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鉛試験法

 この試験に用いるすべてのガラス器具は,ホウケイ酸ガラス製のもの又はメチルシラザン処理(器具の内壁をトリメチルクロルシラン,ピリジン及びヘキサメチルジシラザンの混液(1:5:3)で湿らせ,10分後水洗し,乾燥する。)を施したものとする。また,この試験には鉛をできるだけ除いた水及び試液を用いる。

1. 試薬・試液
次に示すもの以外は,総則の3に示すものを用いる。
アンモニア・シアン化カリウム・亜硫酸ナトリウム溶液 アンモニア水392mlにシアン化カリウム溶液30ml及び水を加えて1,000mlとした後,亜硫酸ナトリウム1.5gを加えて溶かす。
塩酸ヒドロキシルアミン溶液 塩酸ヒドロキシルアミン20gを水に溶かして約65mlとし,分液漏斗に入れ,チモールブルー試液2〜3滴を加え,液が黄色を呈するまでアンモニア水を加える。次に4%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム溶液10mlを加え,よく振り混ぜた後,静置し,クロロホルム10〜15mlずつで抽出する。終点は,抽出液5mlに硫酸銅溶液(1→100)5滴を加えて振り混ぜるとき黄色を呈しなくなつた点とする。次いでこの抽出後の水溶液に液が赤色になるまで希塩酸を加え,更にクロロホルム15mlを加え,振り混ぜた後,静置し,水層を分取し,これに水を加えて100mlとする。
灰化補助液 硝酸マグネシウムを飽和するまで水に溶かす。
クエン酸アンモニウム溶液 クエン酸アンモニウム250gを水に溶かして500mlとし,アンモニア水を滴下してpH9に調整する。次いで鉛を除くために,これに適量の抽出用ジチゾン・四塩化炭素溶液を加え,このジチゾン・四塩化炭素溶液が固有の緑色を保つようになるまで抽出を繰り返す。液中に残存するジチゾンをクロロホルムで,次いで四塩化炭素で除く。
シアン化カリウム溶液 シアン化カリウム50gを水に溶かして100mlとする。次いで鉛を除くために,これに適量の抽出用ジチゾン・四塩化炭素を加え,このジチゾン・四塩化炭素溶液が固有の緑色を保つようになるまで抽出を繰り返す。液中に残存するジチゾンをクロロホルムで,次いで四塩化炭素で除いた後,水を加えて500mlとする。
抽出用ジチゾン・四塩化炭素溶液 ジチゾン40〜50mgを四塩化炭素に溶かして1,000mlとする。
必要があれば,次の方法で調製する。
ジチゾン0.1gをクロロホルム100mlに溶かして分液漏斗に採り,これにアンモニア水の溶液(1→100)100mlを加え,振り混ぜた後,静置し,アンモニア抽出液を採る。このアンモニア水による抽出を2〜3回繰り返し,アンモニア抽出液を合わせ,これを四塩化炭素少量で数回洗つた後,塩酸(1→2)を加えてわずかに酸性とする。これに四塩化炭素200mlを加え,振り混ぜた後,静置し,四塩化炭素抽出液を採る。この四塩化炭素による抽出を2〜3回繰り返し,四塩化炭素抽出液を合わせ,水50mlを用いて洗つた後,適量の四塩化炭素を加え,1,000ml中ジチゾン40〜50mgを含むように調整する。
抽出用ジチゾン・四塩化炭素溶液を四塩化炭素で10倍に薄めたもののジチゾン濃度は,この液を液層の厚さ1cmのセルに入れ,四塩化炭素を対照液として,波長620nmにおいて測定した吸光度をAとするとき,次式によって表される。
濃度(mg/l)≒(77±3)×A
この液は冷暗所に保存し,用時必要量を採り,その約1/2容量の1%硝酸を加え,振り混ぜた後,静置し,水層を除いて用いる。
定量用ジチゾン・四塩化炭素溶液 抽出用ジチゾン・四塩化炭素溶液を四塩化炭素で薄めてジチゾン10mg/lの濃度とする。

2. 試験溶液の調製
a 灰化
検体20.0g(なつみかんの外果皮,日本なし,りんご及びほうれんそうの場合は,10.0g)を白金製又は透明石英製の蒸発皿又はビーカーに量り採り,赤外線ランプで十分に乾燥する。次いでこれを電気炉に入れ,徐々に温度を上げ,500〜550°で灰化する。灰化が十分でないときは,冷後灰化補助液1〜2mlを加え,乾燥後,再び500〜550°で灰化する。冷後少量の水で湿らせ,次いで塩酸2mlを注意して加え,水浴上で加熱して溶かし,これを試験溶液とする。
不溶物が残るときは,加熱して乾固し,冷後再び塩酸2mlを加え,加温して溶かす。さらに,不溶物が残るときは,水を加えて4〜5倍容量に薄め,ガラスろ過器でろ過する。この残留物を50%クエン酸及び熱塩酸の混液(1:1)0.5〜1ml,次いで熱40%酢酸アンモニウム溶液0.5〜1mlで洗い,両洗液をろ液に合わせる。残留物が多量の場合は,これを白金皿に移し,フッ化水素酸5mlを加え,蒸発乾固し,冷後塩酸及び水数滴を加えて溶かし,これをろ液に合わせる。

b 抽出法
a 灰化で得られた溶液に水20mlを加え,分液漏斗に移し,塩酸ヒドロキシルアミン溶液2ml,クエン酸アンモニウム溶液10ml及びチモールブルー試液2滴を加え,黄色を呈するまでアンモニア水を滴下した後,シアン化カリウム溶液5mlを加え,アンモニア水の溶液(1→3)を滴下してpH9.0〜9.5(青緑〜青色)に調整する。必要があればpH試験紙を用いてpHを調べる。この液に抽出用ジチゾン・四塩化炭素溶液5mlを加え,30秒間振り混ぜた後,静置し,ジチゾン・四塩化炭素抽出液を第2の分液漏斗に採る。第2の分液漏斗に1%硝酸10mlを加え,30秒間振り混ぜた後,静置し,ジチゾン・四塩化炭素抽出液を第3の分液漏斗に採り,これに1%硝酸8mlを加え,30秒間振り混ぜた後,静置し,ジチゾン・四塩化炭素抽出液を除く。第2及び第3の分液漏斗の硝酸抽出液を20mlのメスフラスコに移し,1%硝酸を標線まで加える。

3. 定量試験
2.試験溶液の調製のb 抽出法で得られた硝酸抽出液10mlを分液漏斗に採り,アンモニア・シアン化カリウム・亜硫酸ナトリウム溶液10ml及び四塩化炭素2mlを加え,振り混ぜた後,静置し,四塩化炭素層をできるだけ完全に除く。これに定量用ジチゾン・四塩化炭素溶液10mlを加え,30秒間振り混ぜる。分液漏斗の脚部及び活栓の内部の水分をろ紙片で除き,脱脂綿を脚部に挿入してジチゾン・四塩化炭素抽出液を流出させ,液層の厚さ1cmのセルに入れ,四塩化炭素を対照液として,波長520nmにおける吸光度を測定し,4.の検量線によつて鉛の含量を求める。
鉛の含量が30μgを超えるときは,硝酸抽出液に適量の1%硝酸を加え,その10mlを用いて,再び上記の操作を行い鉛の含量を求める。

4. 検量線の作製
鉛標準液0.5,1.0,2.0及び3.0mlを別々に量り採り,それぞれに1%硝酸を加えて10mlとし,別に1%硝酸10mlを採る。これらを3.定量試験と同様に操作して検量線を作製する。

5. 定量限界
(記載無し)

6. 留意事項
分析対象化合物は、無機鉛である。

7. 参考文献
なし

8. 類型
 A


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