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ジクロルボス及びトリクロルホン試験法


1. 分析対象化合物

農薬等の成分である物質 分析対象化合物
ジクロルボス ジクロルボス
トリクロルホン トリクロルホン

2. 装置
アルカリ熱イオン化検出器,炎光光度型検出器(リン用干渉フィルター,波長526nm)又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いる。

3. 試薬、試液
総則の3に示すものを用いる。

4. 標準品
ジクロルボス 本品はジクロルボス97%以上を含む。
沸点 本品の沸点は128〜129°(減圧・2.5kPa)である。
トリクロルホン 本品はトリクロルホン99%以上を含む。
融点 本品の融点は83〜84°である。

5. 試験溶液の調製
a 抽出法
(1) 穀類,豆類及び種実類の場合
検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後,その10.0gを量り採り,水20mlを加え,2時間放置する。
これにアセトン100mlを加え,3分間細砕した後,ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り,アセトン50mlを加え,3分間細砕した後,上記と同様に操作して,ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下で約30mlに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。酢酸エチル100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル50mlを加え,上記と同様に操作して,酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで酢酸エチル20mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下で酢酸エチルを除去する。
この残留物にn−ヘキサン30mlを加え,100mlの分液漏斗に移す。これにn−ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。n−ヘキサン層にn−ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを加え,上記と同様の操作を2回繰り返し,アセトニトリル層をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下で約1mlに濃縮し、更に室温で窒素気流下で乾固する。この残留物にアセトン及びn−ヘキサンの混液(1:1)5mlを加えて溶かす。
(2) 果実,野菜、抹茶及びホップの場合
果実及び野菜の場合は,検体約1kgを精密に量り,必要に応じ適量の水を量つて加え,細切均一化した後,検体20.0gに相当する量を量り採る。
ホップの場合は、検体を粉砕した後、その5.00gを量り採り、水20mlを加え、2時間放置する。
抹茶の場合は、検体5.00gを量り採り、水20mlを加え、2時間放置する。
これにアセトン100mlを加え,3分間細砕した後,ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り,アセトン50mlを加え,3分間細砕した後,上記と同様に操作して,ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下で約30mlに濃縮する。
これをあらかじめ10%塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。酢酸エチル100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し、酢酸エチル層を300mlの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル50mlを加え,上記と同様に操作して、酢酸エチル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いで酢酸エチル20mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下で約1mlに濃縮し、更に室温で窒素気流下で乾固する。この残留物にアセトン及びn−ヘキサンの混液(1:1)5mlを加えて溶かす。
(3) 抹茶以外の茶の場合
検体9.00gを100°の水540mlに浸し,室温で5分間放置した後,ろ過し,冷後ろ液360mlを500mlの三角フラスコに移す。
これに飽和酢酸鉛溶液2mlを加え,室温で1時間放置した後,ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いて吸引ろ過し,ろ液を1,000mlの分液漏斗に移す。次いでアセトン50mlを用いてろ紙上の残留物を洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。これに塩化ナトリウム100g及びエーテル100mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,エーテル層を300mlの三角フラスコに移す。水層にエーテル100mlを加え,上記と同様に操作して,エーテル層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでエーテル20mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ,40°以下で約1mlに濃縮し、更に室温で窒素気流下で乾固する。この残留物にアセトン及びヘキサンの混液(1:1)5mlを加えて溶かす。
b 精製法
(1) ほうれんそう及び茶以外の作物の場合
内径15mm、長さ300mmのクロマトグラフ管にカラムクロマトグラフィー用シリカゲル(粒径63〜200μm)5gをアセトン及びn−ヘキサンの混液(1:1)に懸濁したもの、次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ、カラムの上端に少量のアセトン及びn−ヘキサンの混液(1:1)が残る程度までアセトン及びn−ヘキサンの混液(1:1)を流出させる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入した後、アセトン及びn−ヘキサンの混液(1:1)150mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40゜以下で約1mlに濃縮し、更に室温で窒素気流下で乾固する。この残留物にアセトンを加えて溶かし、正確に2ml(果実及び野菜の場合は、4ml)とする。
(2) ほうれんそう及び茶の場合
内径15mm、長さ300mmのクロマトグラフ管にカラムクロマトグラフィー用シリカゲル(粒径63〜200μm)5gをアセトン及びn−ヘキサンの混液(1:1)に懸濁したもの、次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ、カラムの上端に少量のアセトン及びn−ヘキサンの混液(1:1)が残る程度までアセトン及びn−ヘキサンの混液(1:1)を流出させる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入した後、アセトン及びn−ヘキサンの混液(1:1)150mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40゜以下で約1mlに濃縮し、更に室温で窒素気流下で乾固する。この残留物にアセトンを加えて溶かし、正確に4ml(抹茶の場合は、8ml)とする。
活性炭ミニカラム(500mg)にアセトン10mlを注入し、流出液は捨てる。このカラムに上記の溶液1mlを注入した後、アセトン10mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40°以下で約1mlに濃縮する。
c 誘導体化
10mlのねじ共栓付き試験管にb 精製法で得られた溶液1ml(ほうれんそう及び茶の場合は全量)を採り、室温で窒素気流下でアセトンを除去する。これにN−メチルビストリフルオロアセトアミド100μl並びにアセトン及びピリジンの混液(1,000:1)900μlを加える。密栓して時々振り混ぜながら60゜で2時間加熱した後、室温になるまで放置したものを試験溶液とする。

6. 操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品のアセトン溶液について5.試験溶液の調製のc 誘導体化と同様に操作したものと一致しなければならない。
操作条件
カラム 内径0.53mm,長さ10〜30mのケイ酸ガラス製の細管に,ガスクロマトグラフィー用14%シアノプロピルフェニル−メチルシリコンを1.0μmの厚さでコーティングしたもの。
カラム温度 50°で1分間保持し,その後毎分20°で昇温し,240°に到達後10分間保持する。
試験溶液注入口温度 240°
検出器 245°で操作する。
ガス流量 キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。ジクロルボスが約3分で流出する流速に調整する。空気及び水素の流量を至適条件に調整する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
c 確認試験
a 定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品のアセトン溶液について5.試験溶液の調製のc 誘導体化と同様に操作したものと一致しなければならない。また,必要に応じ,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。

7. 定量限界
ジクロルボス 0.01 mg/kg
トリクロルホン 0.01 mg/kg

8. 留意事項
 ジクロルボスには誘導体化操作による変化がないこと。ガスクロマトグラフ注入口やカラムが汚れているとトリクロルホン誘導体が分解しやすくなること。トリクロルホンの誘導体化の加熱時間が3時間を超えると収率が悪くなること。検出器にアルカリ熱イオン化検出器,高感度窒素・リン検出器を使用する場合,カラムは,5%フェニルメチルポリシロキサンをコーティングしたもの等が望ましいこと。

9. 参考文献
なし

10. 類型
A


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