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エマメクチン安息香酸塩試験法


1. 分析対象化合物
 エマメクチン安息香酸塩(B1a及びB1b)、エマメクチン(B1a及びB1b)、エマメクチンアミノ体(B1a及びB1b)、エマメクチンホルミルアミノ体(B1a及びB1b)、エマメクチン N−メチルホルミルアミノ体(B1a及びB1b)、8,9−Z エマメクチン(B1a)

2. 装置
蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ及び液体クロマトグラフ・質量分析計を用いる。

3. 器具
シリル化共栓試験管
15ml共栓試験管に、5%(v/v)ジクロロジメチルシランのトルエン溶液を満たし、密栓をして40°の水浴中に10分間放置した後、5%(v/v)ジクロロジメチルシランのトルエン溶液を捨て、トルエン10ml及びメタノール10mlで2回洗浄を繰り返す。次いで、メタノールを満たし密栓をして、40°の水浴中に10分間放置し、メタノールを捨て十分乾燥させる。

4. 試薬、試液
次に示すもの以外は, 総則の3に示すものを用いる。
蛍光誘導体化用アセトニトリル アセトニトリルを適量のモレキュラーシーブスで脱水したもの。
蛍光誘導体化用酢酸エチル 酢酸エチルを適量のモレキュラーシーブスで脱水したもの。

5. 標準品
エマメクチン安息香酸塩 本品はエマメクチン安息香酸塩(エマメクチンB1a安息香酸塩とエマメクチンB1b安息香酸塩の混合物)92%以上を含む。
融点 本品の融点は141〜146°である。
4”−エピ−アミノ−4”−デオキシ−アベルメクチンB1(以下「アミノ体」という。アミノ体B1aとアミノ体B1bの混合物) 本品は、アミノ体91%以上を含む。
融点 本品の融点は146〜148°である。
4”−デオキシ−4”−エピ−(N−ホルミル)アミノ−アベルメクチンB1(以下「ホルミルアミノ体」という。ホルミルアミノ体B1aとホルミルアミノ体B1bの混合物) 本品はホルミルアミノ体82%以上を含む。
融点 本品の融点は177〜180°である。
4”−デオキシ−4”−エピ−(N−ホルミル−N−メチル)アミノ−アベルメクチンB1(以下「N−メチルホルミルアミノ体」という。N−メチルホルミルアミノ体B1aとN−メチルホルミルアミノ体B1bの混合物) 本品はホルミルアミノ体85%以上を含む。
融点 本品の融点は163〜169°である。

6. 試験溶液の調製
a 抽出法
(1) 野菜の場合
検体約1kgを精密に量り、必要に応じて適量の水を量つて加え、細切均一化した後、検体20.0gに相当する量を量り採る。
これにアセトン100mlを加え、3分間細砕した後、ろ紙を用いて300mlのすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。
ろ紙上の残留物を採り、アセトン50mlを加え、3分間細砕した後、上記と同様に操作して、ろ液をすり合わせ減圧濃縮器中に合わせ、40°以下で約30mlに濃縮する。
(2) 茶の場合
検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後、その1.00gを25mlのポリエチレン製遠心分離管中に量り採る。これにアセトン20mlを加え、振とう機を用いて3分間激しく振り混ぜた後、7,500×gで約3分間遠心分離を行い、アセトン層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。遠心分離管の残留物にアセトン10mlを加え、上記と同様に操作して、アセトン層を上記のすり合わせ減圧濃縮器中に合わせ、40°以下でアセトンを除去する。この残留物にメタノール2mlを加えて溶かす。
b 精製法
(1) 大根以外の作物の場合
オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)に、a 抽出法の(1)で得られた水溶液を注入する。次いで水及びメタノールの混液(19:1)5mlを用いてすり合わせ減圧濃縮器を洗い、洗液を注入する操作を2回繰り返した後、ミニカラムを遠心分離(500×g)あるいは吸引してカラム中の水分を取り除く。
次に、このオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムの先にアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムを接続する。メタノール5mlを用いてすり合わせ減圧濃縮器を洗い、洗液を連結したミニカラムに注入する操作を2回繰り返した後、更にメタノール10mlを注入し、これらの流出液を100mlのすり合わせ減圧濃縮器中に合わせる。次に、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムを取り外して捨てる。アミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムにエタノールを10ml注入し、流出液を上記のすり合わせ減圧濃縮器中に合わせ、40°以下でメタノール及びエタノールを除去する。
この残留物を、酢酸エチル及びメタノールの混液(1:1)2mlに溶かして、15mlシリル化共栓試験管に移す操作を2回繰り返し、40°以下で酢酸エチル及びメタノールを減圧除去する。更に、40°以下で窒素気流下で完全に乾固する。
(2) 大根の場合
オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)に、a 抽出法の(1)で得られた水溶液を注入する。次いで水及びメタノールの混液(19:1)5mlを用いてすり合わせ減圧濃縮器を洗い、洗液を注入する操作を2回繰り返した後、ミニカラムを遠心分離(500×g)あるいは吸引してカラム中の水分を取り除く。
次に、このオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)の先に、プロピルスルホニルシリル化シリカゲルミニカラム及びアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムを順に接続する。メタノール5mlを用いてすり合わせ減圧濃縮器を洗い、洗液を連結したミニカラムに注入する操作を2回繰り返した後、更にメタノール10mlを注入し、これらの流出液を100mlのすり合わせ減圧濃縮器中に採る。次に、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムを取り外して捨てる。プロピルスルホニルシリル化シリカゲルミニカラムとアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムを接続したカラムに1%酢酸アンモニウム(w/v)メタノール溶液20mlを注入し、流出液を上記のすり合わせ減圧濃縮器中に合わせる。更に、プロピルスルホニルシリル化シリカゲルミニカラムを取り外して捨てる。アミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムにエタノール10mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に合わせ、40°以下でメタノール及びエタノールを除去する。
この残留物に水5mlを加え、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(360mg)に注入する操作を2回繰り返し、洗液を注入する操作を2回繰り返した後、次に水10mlを注入しカラムを洗浄する。吸引してカラム中の水分を取り除いた後、上記のすり合わせ減圧濃縮器をメタノール2mlで洗い、洗液を注入する操作を2回繰り返した後、メタノール10mlを注入し、流出液を50mlのすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40゜以下でメタノールを減圧除去する。
この残留物を、酢酸エチル及びメタノールの混液(1:1)2mlに溶かして、15mlシリル化共栓試験管に移す操作を2回繰り返し、40°以下で酢酸エチル及びメタノールを減圧除去する。更に40°以下で窒素気流下で完全に乾固する。
(3) 茶の場合
オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)の先にアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムを接続する。次に、このカラムにa 抽出法の(2)で得られた溶液を注入する。次いでメタノール2mlを用いてすり合わせ減圧濃縮器を洗い、洗液を注入した後、更にメタノール10mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に合わせる。次に、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムを取り外し、アミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムにエタノール10mlを注入し、流出液を上記のすり合わせ減圧濃縮器中に合わせ、40°以下でメタノール及びエタノールを除去する。
この残留物を、酢酸エチル及びメタノールの混液(1:1)2mlに溶かして、15mlシリル化共栓試験管に移す操作を2回繰り返し、40°以下で酢酸エチル及びメタノールを減圧除去する。更に、40°以下で窒素気流下で完全に乾固する。
c 蛍光誘導体化
b 精製法で得られた残留物を蛍光誘導体化用酢酸エチル0.2ml及び蛍光誘導体化用アセトニトリル1mlで溶かす。次いで、1−メチルイミダゾール0.1mlを加え、混合した後、密栓をして10分間氷冷する。さらに、用時調製した無水トリフルオロ酢酸とアセトニトリルの混液(1:2)0.3mlを加え、混合し、密栓をして20°で10分間放置した後、アセトニトリルで正確に2mlとして、これを試験溶液とする。
d 検量線
エマメクチン安息香酸塩、アミノ体、ホルミルアミノ体及びN−メチルホルミルアミノ体の検量線標準溶液をアセトニトリル溶液として調製し、シリル化共栓試験管に採つた標準溶液のアセトニトリルを完全に除去した後、c 蛍光誘導体化と同様に操作する。

7. 操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果はエマメクチン安息香酸塩、アミノ体、ホルミルアミノ体及びN−メチルホルミルアミノ体の各標準品について6.試験溶液の調製のc 蛍光誘導体化と同様に操作して得られたものと一致しなければならない。
操作条件
カラム充てん剤 オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径3μm)を用いる。
クロマトグラフ管 内径4.6mm、長さ150mmのステンレス管を用いる。
カラム温度 50°
検出器 励起波長365nm、蛍光波長470nmで操作する。
移動相 A:アセトニトリル、B:水で、エマメクチンB1aが約19分で流出する流速に調整する。
濃度勾配 A80%で5分間送液した後、A80%から90%まで5分間の濃度勾配で送液する。次いで、A90%から93%まで20分間の濃度勾配で送液した後、A93%から100%まで2分間の濃度勾配で送液する。次に、A100%で5分間送液した後、A100%から80%まで2分間の濃度勾配で送液する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、エマメクチン安息香酸塩、アミノ体、ホルミルアミノ体及びN−メチルホルミルアミノ体のそれぞれについてピーク面積法により定量を行い、エマメクチン安息香酸塩、アミノ体、ホルミルアミノ体及びN−メチルホルミルアミノ体のそれぞれについての含量を求め、次式により、エマメクチン安息香酸塩に換算した含量を求める。
エマメクチン安息香酸塩に換算した含量(ppm)=A+B×1.16+C×1.12+D×1.10
A:エマメクチン安息香酸塩の含量(ppm)
B:アミノ体の含量(ppm)
C:ホルミルアミノ体の含量(ppm)
D:N−メチルホルミルアミノ体の含量(ppm)
c 確認試験
次の操作条件で6.試験溶液の調製b 精製法で得られた試験溶液について液体クロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク面積法により定量を行う。
操作条件
カラム充てん剤 オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径3μm)を用いる。
クロマトグラフ管 内径2.0mm、長さ150mmのステンレス管を用いる。
カラム温度 50°
移動相 A:アセトニトリル及び酢酸の混液(100:0.2)、B:アセトニトリル及び水の混液(0.2:100)、エマメクチンB1aが約20分で流出する流速に調整する。
濃度勾配 A30%から100%まで10分間の濃度勾配で送液する。

8. 定量限界
野菜 0.01 mg/kg、茶 0.05 mg/kg

9. 留意事項
 エマメクチン安息香酸塩は、エマメクチン安息香酸塩、そのアミノ体、ホルミル体及びN−メチルホルミル体のそれぞれについて定量を行い、アミノ体、ホルミル体及びN−メチルホルミル体についてはその含量に係数を乗じてエマメクチン安息香酸塩の含量に換算し、これらの和を分析値とすること。

10. 参考文献
なし

11. 類型
A


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