08/12/09 平成20年12月9日器具・容器包装、おもちゃの規格改正等に関する意見交換会議事録   器具・容器包装、おもちゃの規格改正等に関する意見交換会                   議事録          日時:平成20年12月9日(火)14:00〜16:35          場所:星稜会館ホール ○事務局(北村) それでは時間となりましたので、ただいまから「器具・容器包装、 おもちゃの規格改正等に関する意見交換会」を開催いたします。    本日はお忙しい中、御参加いただきましてどうもありがとうございます。私は本日の 司会役を務めさせていただきます、厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課の北村 と申します。よろしくお願いいたします。  器具・容器包装、おもちゃについての規制も、食品衛生法でなされているところです けれども、平成20年3月31日に、おもちゃに関します改正、平成20年7月31日に器 具・容器包装の規格に関する改正がなされたところでございます。  本日は、これらの改正内容につきまして、説明を行いますとともに、器具、容器包装 及びおもちゃの衛生上の観点からの安全確保につきまして、理解を深めていただきます ため、事前にいただいております質問や意見にお答えいたしまして、会場との意見交換 を行いたいと思っております。  それではまず最初に、配布資料の確認をさせていただきたいと思います。  本日の配布資料といたしまして、受付でお配りしてございますけれども、まず、「器 具・容器包装、おもちゃの規格改正等に関する意見交換会」という1枚の紙がございま す  資料1、パワーポイントの資料で「食品衛生法に基づく器具・意容器包装及びおもち ゃの規格改正について」。  資料2、こちらもパワーポイントの資料になりますけれども、「器具・容器包装及び おもちゃの規格基準改正の背景」という資料です。  資料3としまして、「ST基準・STマーク制度について」というパワーポイントの 資料です。  資料4としまして、「食品に関するリスクコミュニケーション」という表題になって いるパワーポイントの資料でございます。  その後ろが参考資料になっておりまして、1−1、1−2、こちらの方が器具・容器 包装に関します文書となってございます。1−1の方は改正に関する文書です。1−2 がQ&Aになってございます。  2−1、2−2、2−3、2−4は、おもちゃに関します文書になってございまして、 2−1として改正に関する文書がございます。2−2にQ&A、2−3Q&Aその2、 2−4でQ&Aその3となってございます。  一番後ろにアンケート用紙がつけてございます。また追加の資料としまして、受付の 方でお渡ししております2枚ほどの資料がございます。こちらが資料2の追加資料とな ってございますので、よろしくお願いいたします。  アンケートの方を同封させていただいておりますけれども、今後の意見交換会をより よいものにできるよう、皆様の御意見を伺うものでございますので、お帰りの際には、 是非、御協力をお願いいたしたいと思います。  また受付の方に、日本社団法人日本玩具協会さんから、御提供いただきましたSTマ ークに関するリーフレットを置いてございますので、御興味のある方は、是非お持ちい ただきたいと思います。  次に、簡単に本日の進行について御説明いたします。  初めに「器具・容器包装、おもちゃの規格等の改正について」ということで、厚生労 働省の束野補佐と国立医薬品食品衛生研究所の河村室長の方から説明いたします。  次に事業者団体におけます安全確保の取組みということで、社団法人日本玩具協会専 務理事の津田博様と日本陶磁器工業協会連合会、専務理事の荻野剛弘様より、御説明を いただきます。  その後、15分程度の休憩を挟みまして、会場との意見と交換を行いまして、午後4時 30分の終了を予定しております。  恐れ入りますけれども、会の進行に支障を来すおそれがございますので、携帯電話の 電源はお切りになるか、マナーモードとしていただきますよう、御協力お願いいたしま す。  不足の資料等ございましたら、お近くの係の者にお手を挙げて、お伝えいただければ と思います。  それでは早速ですけれども、厚生労働省の束野補佐から、器具・容器包装、おもちゃ の規格の改正について、説明をいたします。よろしくお願いいたします。 ○束野補佐 それでは20分ほど、お時間をいただきまして、器具・容器包装及びおもち ゃの規格等の改正につきまして、御説明いたします。  まず法的な根拠なんですけれども、規格基準ではないんですが、食品衛生法は飲食に 通じた衛生上の危害の防止という目的のために、16条という条文がございまして、有毒、 有害な物質が含まれ、もしくは付着して人の健康を損なうおそれのある器具・容器包装 は、販売してはいけないということですとか、あるいは食品に接触して人の健康を損な うおそれのある器具・容器包装は、これを販売、製造、輸入、営業上使用してはならな いという規定があります。  18条がその規格基準の根拠になっておりまして、大臣が薬食審の意見を聞いて、器 具・容器包装、あるいはそれらの原材料について規格を定め、または製造方法について 基準を定めることができるとされております。2項では、この規格に合わない原材料を 使用したり、基準に合わない製造方法で製造してはならないという規定がございます。  おもちゃにつきましては62条で、こういった器具・容器包装の規定を準用することが できるというふうになっております。  これを図にいたしましたものが、正面のスライドに投影いたしましたもので、16条と 18条という2本柱のうち、18条を根拠として規格基準が告示されております。この中で 赤字で示してありますAとDですけれども、今回改正いたしましたのは、Aの原材料一 般規格と略称していますけれども、器具・容器包装。またはこれらの原材料の一般規格 ということで、メッキ用スズ、製造・修理用の金属、あるいは製造・修理用のハンダの 鉛の含有量規格を、今回引き下げました。  Dのところには、材質別規格ということで、ガラス、陶磁器、ホウロウとか合成樹脂 製の器具・容器、ゴム製とか金属缶とかあるんですけれども、今回はこの赤字の部分、 ガラス、陶磁器、ホウロウ引きの器具・容器包装のカドミ・鉛の溶出規格を、ISOに 整合化させて改訂いたしました  まずここでお示ししているんですけれども、金属製の器具・容器包装の原材料の規格 改正につきましては、今回7月31日の改正で、国際的に通用しているISO規格や米国 の任意規格、欧州の強制規格等を参考に、実際に流通している材料の実態を踏まえまし て、メッキ用スズ、製造用・修理用の金属、ハンダにつきまして、鉛の含有量の上限値 を大幅に引き下げました。  もともとメッキ用のスズですとか製造・修理用の金属、ハンダにつきましては、明治 33年にこういったものの規定がありまして、今と同じように5%、10%、20%という数 字があるんですが、これはもはや今の実態に即していないということがございまして、 実に108年ぶりということなんですけれども、改訂をしたということでございます。  それからガラス製、陶磁器製、ホウロウ引きの器具・容器包装の規格改正につきまし ては、今回7月31日の改正におきまして、今までガラス、陶磁器、ホウロウ引きは、共 通規格でカドミ・鉛の溶出規格があったんですが、これをISOを参考に、各材質ごと、 すなわちガラスはガラスのカドミ・鉛の溶出規格、陶磁器は陶磁器、ホウロウはホウロ ウで、それぞれ分けたというのが1点。  2点目は、加熱調理用器具の区分がなかったんですが、今回はISOを参考に区分を 新設いたしました。それ以外の区分につきましても、区分を改定しております。  規格値につきましては、ISOの最新のものを参照して、引き下げ強化を図っており ます。  これは先ほどの原材料一般規格Aのところです。第3のAのところですけれども、メ ッキ用スズと製造・修理用金属、ハンダにつきましては、このように5、10、20を0.1、 0.1、0.2に引き下げました。  これは改正前ですけれども、今まではガラス、陶磁器、ホウロウで、こういうふうに 2.5cm以上の液体を満たしたときに深さがあるか、それより浅いか、あるいは満たすこ とができないかという、大きく2つに区分いたしまして、2.5cm以上の深さがあるもの につきましては、更に容量が1.1以上か未満かで2つに分けまして、それぞれカドミと鉛 の溶出規格を定めておりました。  試験方法は4%酢酸を常温で24時間、暗所に放置して、後で測定をするというもので す。今回その試験法は改訂しておりません。  これは改訂前の基準ですけれども、このように国際基準、アメリカ、EUと日本の基 準を比べますと、例えばここでISO6486/2と比べますと、倍ぐらい日本の方が緩いと いいましょうか、規格になっておりました。EUと比べましてでもです。区分につきま しては、このようにやはり国際基準で2ppmが日本では5というふうになっておりまし て、こちらは1に対して2.5と、いずれも、加熱調理用器具とか3L以上の区分はござ いませんでしたが、以前は3L以上のものは1.1L以上の区分で、2.5で読んでいたとい うことでございます。ここは区分がございませんでしたので、容量で1.1未満かどうか で、いずれかの値を当てはめていたということでございます。  これは改正後の、まずカドミウムの方ですが、今回の改訂につきましては、ごらんい ただけるとわかるのですが、ほぼ改正前と同じというところで、新設されたこのような ところは、カドミにつきまして厳しくなっている。  例えば器具・容器包装が1.1L未満ですと、0.5から、それがもし加熱調理用器具であ れば1/10になるということになります。浅型の場合も、改正前は1.7だったところを 0.7になりますから、半分以下に厳しくなるということになります。  あと、ここは1.1Lの区分しか従来はありませんでしたが、改正後は3L以上という 区分ができましたので、そこが分かれたということでございます。  今回焦点になりました鉛につきましては、やはり同じように深型か浅型で、深型の方 に、こういう加熱調理用器具の区分と、新しい3L以上の区分を設けました。改正前は 5だった1.1L未満のところは、2になりましたので、鉛についていえば、この区分で 2/5、2.5倍厳しくなったというんでしょうか。基準値としては、2/5に引き下げら れました。1.1L以上につきましても、やはり2/5に、2.5から1に、3L以上につき ましては、1/5に引き下げられました。  加熱調理用器具が新設されましたので、従来の区分で、例えば1.1L以上の、加熱調 理に用いる土鍋があった場合、従来は2.5という規格値だったわけですけれども、今回 の改正によりましてそれが加熱調理をするということで、0.5ですから、1/5に厳しく なったという形になります。  浅型、あるいは満たせないものについては、こういうふうに、半分ぐらいに厳しくな ったということでございます。  ここは、ガラス製の器具・容器ですけれども、ガラスにつきましても、やはり加熱調 理用器具の区分を設けております。  もとになりましたISOは、ガラスは2つに分かれておりまして、麦茶や紅茶を入れ たりするような中空のものと、そうでなくて平皿で絵がかいてあるようなものというん でしょうか、そういうものに分かれて、ディナーウエアと中空に分かれていたんですけ れども、今回の食品衛生法の規格では、1枚の規格表に全部統合いたしまして、このよ うな規格になっております。  区分といたしましては、600ml以上3L未満というのと3L以上と区分が増えており ます。非加熱のところが3区分に分かれているというところでございます。  ホウロウ引きにつきましては、同じように加熱調理用器具の区分を設けているのです が、ちょっとホウロウ引きだけ特殊なのは、ここで浅型と深型にまず分けまして、加熱 調理がこちらの浅型にも深型にも、両方登場するという点でございます。ただ3L以上 の区分、いわゆるタンクとかベッセルという言い方を向こうではしているんですけれど も、保存用の容器につきましては、こちらの深型の方にしかございませんので、もし浅 型でも縦×横×深さが30cm×40cm×1200?で、掛ける深さが2.5、1200の2.5倍がちょう ど3Lになりますので、そういったものがあった場合に、どちらの区分で読むかという ことにつきましては、それがもし加熱であればこちらで、そうでないなければこちらで という形で、適用していただくことになります。そこが注意すべき点ですが、あとは3 L未満につきましては、深型でこういう規格値になっているということでございます。  ここから先はおもちゃについての規格基準の説明でございます。おもちゃにつきまし て、先ほど御紹介しましたように、器具・容器包装の16条と18条というのがあります けれども、62条1項で18条を準用いたしまして、おもちゃについても規格基準を定め ることができますということで、それに基づいておもちゃまたはその原材料の規格とい う、あるいはおもちゃの製造基準というのがBでございますけれども、が定められてご ざいます。  今回の改正は、対象玩具、指定おもちゃの範囲を拡大したという点がございまして、 3つのやり方で拡大したんですけれども、以前あった材質制限、例えばこれは食品衛生 法施行規則78条第1号のところに、「乳幼児が口に接触することをその本質とするおも ちゃ」というふうに改正後はなったんですが、改正前は、紙、木、竹、ゴム、合成樹脂 とか9つの材質に限定して、「口に接触することを本質とするおもちゃ」が指定おもち ゃになっておりましたが、紙、木、竹、云々かんぬんという材質の限定を取り払いまし たので、基本的にどんな材質でできていても、設計製造の段階から乳幼児の口に入れる こと、あるいは口に接触することを念頭に、材質の選定とか構造を設計されているもの につきましては、これに該当するということです。  以前は2号のところに、ほおずきというものが列挙されていたんですけれども、あれ はいわゆる人工の材料ではなくて、天然物の口に入れることを本質とするおもちゃだっ たわけですけれども、それから材質制限を取り払いましたので、2号のほおずきも1号 で読み込まれるという形になります。  それからもう一つ、こちらの2号も実はゴム、合成樹脂、金属という3つの材質に限 って、以前は乗り物玩具とか動物玩具というものが、指定おもちゃになっていたのです が、ゴム、合成樹脂、金属という材質制限を取り払いました。  2点目は、材質限定の取り払いではなく、今度はアクセサリー玩具とか知育玩具、そ れから第3号で、前号のおもちゃと組み合わせて遊ぶおもちゃという、3つの新しい区 分を新設いたしました。これで指定おもちゃの範囲が広がったというのが1点です。  あと、3点目は乗り物玩具については、以前、電動式、ぜんまい式は除かれていたん ですけれども、今回は限定を取り払いましたので、プルバック式のおもちゃとか、そう いった電動式のものも入ってくるようになりました。  以上の3点で、指定おもちゃの範囲が広がったということです。  今、御説明したのがここです。材質制限の撤廃とアクセサリー玩具、知育玩具、この 3種類を追加してぜんまい式、電動式を除外したということで、範囲が広がりましたと いうことです。  一つ大きな点は、材質制限を取り払いますと、要するに繊維でできているものも指定 おもちゃに、例えば動物玩具など、ぬいぐるみがおもちゃに入ってくるということにな りまして、そういう意味ではそこら辺のぬいぐるみのグループというのが、指定おもち ゃとして、ここに加わったということになります。  経過措置等については、指定おもちゃの範囲の拡大は、5月1日から既に施行されて おりまして、9月30日までは、輸入上、届け出だけでよかったのが、今年の10月1日 以降からは、規格基準に適合しているという検査成績証等を添付して、食品等輸入届け を出していただく手続きになっています。  ここから下半分は、規格基準の改正ですが、3月31日から施行で、9月30日までの 経過措置ということで、主には鉛を中心に規格基準を改正いたしました。ここで5点挙 げてございますけれども、塩ビ、樹脂塗料からすべての塗膜へということで、以前は塗 料という原材料、どろどろした状態だったんですが、実際に空港、港に届くのは、最終 完成製品ですので、そこでは検査をするとすれば塗膜ということで、塗膜の規格。しか も塩ビだけでなくて、アクリルですとかいろいろな樹脂の塗膜も対象になるということ です。  鉛、カドミ、ヒ素の輸出条件は、以前は乳幼児が口に入れることを念頭に、水で溶出 していたのが塩酸で、これはISOに整合化させた点です。  3点目が塗膜の鉛につきましては、比色法から原子吸光光度法ですとか、融合結合プ ラズマ発光強度法になりましたので、より正確に機器分析で測定できる形になりました。  あと金属製、アクセサリー玩具という区分も新設いたしまして、そこの鉛の溶出規格 を追加いたしました。  PVC、PEにつきましては、実質的に変更はないんですけれども、材料といってい たところ、材料を用いて製造された部分というふうに、表現を変更させていただいてお ります。  非常に駆け足になりましたけれども、以上が、器具・容器包装とおもちゃにつきまし て、規格等の改正の内容でございます。 ○事務局(北村) 束野補佐、どうもありがとうございました。  続きまして、国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部、第3室の河村室長から、「器 具・容器包装及び玩具の規格基準改正の背景―鉛及びカドミウム―」について、御説明 いただきます。河村室長、どうぞよろしくお願いいたします。  河村室長 国立衛研の河村です。  今日は、先ほど束野補佐の方から、規格基準改正について御説明がありましたけれど も、その背景というか、鉛、カドミウムについてお話をしたいと思います。  この3月、7月に改正があった部分については、束野補佐からお話がありましたが、 例えば玩具塗膜の鉛・カドミウム、それから金属製アクセサリーの鉛、こちらの方では 原料金属、ハンダ等の鉛含有量の引き下げ、ガラス、陶磁器、ホウロウ引き製器具の鉛・ カドミウムというふうに、全体として、特に鉛・カドミウムの溶出規制を強化する、も しくは含有量の規制もありますけれども、こういった鉛・カドミウムの規制というのが、 一つの主眼になっております。  どういうところから鉛・カドミが器具・容器包装や玩具に入ってくるかというと、例 えば原料金属、メッキ用スズ、ハンダですと、鉛合金が使われている、もしくは加工性 向上のために鉛を配合するという可能性がある。日本ではこういったものは非常にまれ な例ではあるんですけれども、海外ではこういったものが使われている例が幾つかある。  それから陶磁器、ホウロウ引きの場合ですと、釉薬の溶融温度を引き下げたり、光沢 を出すために鉛含有フリットを使ったり、釉薬や絵の具の着色料として、鉛・カドミウ ムの酸化物ですとか塩とか、そういった化合物が使われる。ガラスの場合ですと、クリ スタルガラスの加工性や光沢のために鉛クリスタルが配合されたり、飾りの部分に鉛が 入っていたり。  玩具ですと、塗料とか基材の着色料として鉛・カドミウムの化合物が使われる。あと は不純物として混入する可能性もあります。  鉛の毒性はどういうものかというと、皆様も御存じかと思いますけれども、急性毒性 ですと消化器系、あとは皮膚が蒼白になるとか、ひどい場合ですと急性脳症が起こる。  こういったものは、ほとんど職業暴露が中心なんですけれども、器具・容器包装由来 で起こった例というのも聞いております。数年前ですが離乳食用として売られていたホ ウロウ引きの小さい鍋で、離乳食に鉛が移行して鉛中毒が起こったという事例もありま す。。しかし、大部分は慢性毒性ということになります。微量ずつ、食品に溶出してく る。それらの摂取であっても、鉛の場合は、こういうところに影響が出てきます。最も 鋭敏なエンドポイントと言われているのが、脳の発達障害で、IQ低下などが起こると 言われています。  鉛のリスク評価に関しては、JECFAでは1986年に行われましたし、現在、食品安 全委員会の方でリスク評価が進行中です。JECFAの評価ではPTWI、暫定の耐容 週間摂取量、鉛は蓄積性があるので1日当たりではなく1週間当たりで出していますが、 0.025mg/kg体重/週になっております。この数字を例えば50キロの体重の大人で換算し てみると、1日当たり180μg、乳幼児で体重10kgという場合では約36μgという、非 常に微量な量に相当します。  鉛というのは、土壌とか水、大気に広く分布しています。暴露経路としては食品経由 が80%ぐらいを占めると言われていまして、もともとは土壌とか水とか大気にあったも のが、食物連鎖等を通じて食品中に蓄積して、食品経由で人が暴露されるということに なり、食品経由が最大です。  日本人が食品由来でどれくらい摂取しているかというと、例えば1970年代は1日当た り約100μgということで、平均値でも180μgという耐容量の半分以上という高い状況 でした。  2000年代に入ってきまして、約30μgと1/3以下になっています。この大きく減少 した、一番大きな原因は、ガソリンが無鉛化されたということ。1980年代に無鉛化され ました。あとは工業的な排出が非常にきれいになってきて、環境汚染が少なくなった。 この2つが大きな理由かと思います。それが回ってきて食品への汚染量が減少して1/ 3ぐらいになりました。ただ、減ったと行っても大人で比べると耐容量の1/6ぐらいあ ります。これは平均値ですので、高い人ですと半分を超える人がかなりいるだろうと思 われます。  こういうふうに鉛の場合は、耐容摂取量と実際の摂取量の差が非常に小さいことが特 徴です。JECFAが評価したときで、半分から1/10ぐらいと言われていました。一 般的な化学物質ですと、実際と耐容量との間に100倍とか1000倍というマージンがある んですけれども、鉛ですとこの差が小さい。そこで、WHOでは食品由来の鉛をできる だけ減らしてください、減らしましょうということで勧告を出しています。  この勧告に沿って、いろいろなところで規制が進められてきましたが、その一つとし てコーデックス(国際食品規格委員会)で「鉛の汚染防止低減化に関する行動規範」と いうものが、2004年に制定されています。  ちょっとこの内容を紹介したいと思います。コーデックスというのは、国際標準とな る食品規格をつくる委員会ですが、こういう行動規範もつくっています。  全部で45項目ぐらいありますが、最初の方の数項目は主な汚染源が書かれています。 食品の汚染源としては空気、土壌、水、そのほかに農薬、猟銃の弾、釣りのおもりとか、 こういったものは食品そのものも汚染するし、環境汚染をして、回りまわって食品に来 るというようなことがあります。  それとは別に、食品の製造工程で、例えば工場の壁に塗られたペンキ、これは日本で は余りありませんが、海外では壁などにペンキを塗ることが多く、そういった鉛含有ペ ンキに由来するもの。それから工場設備の中で鉛管ですとか、ハンダを用いた機械、こ ういったものが食品を汚染する。  もしくは食品包装、保存容器で鉛のハンダを使った缶、鉛化合物を使って色付けされ たポリ袋、包装紙、板紙、鉛釉薬を使った陶磁器、鉛クリスタル、鉛を配合した金属製 水差しなどが例示されています。こういったものが食品を汚染する。  この行動規範の中では、製造者、国、消費者、いろんな人がどういう行動をとる必要 があるかということが書かれています。例えば、食品を製造する人は、その機械の食品 と接触するすべての金属は、鉛の低いものにしなければいけないとか、メッキのこと、 塗料、それから食品用途外の、鉛が入った着色料やインクを使った袋とか箱を食品用に 使ってはいけない。消費者もそういうものを食品用に転用してはいけないなど。  それから陶器については、鉛釉薬を使っている陶器に、食品を詰めて販売するのは避 けるべきだとか、ワインのキャップも鉛製はやめるべき。  38番では、国家当局、この場合厚生労働省に当たるかと思いますが、そういったとこ ろは鉛釉の陶磁器、鉛クリスタル、そのほか鉛を含有するものからの鉛溶出について、 規格基準の設定を検討しなければならないと決めております。今回の規格基準改正も、 勿論日本は、前から規格はありましたけれども、より適切なものに変えるということも、 勧告の精神に従うことであります。  そのほかにも鉛を含む装飾用の陶磁器というのは、ちゃんと明示をしてくださいとか、 陶磁器の生産者は、鉛の溶出を最小限にする製造方法や品質管理を行われなければなら ない。地方や国の管理当局は、鉛汚染を減らすために消費者を教育する必要があるとい うようなことまで、ここには書かれております。  42番では、消費者は、酸性食品とか乳幼児用の食品を、鉛が溶出するおそれのあるも のに入れて保存してはいけないし、それから鉛が溶出しないことが確認されていない陶 磁器製マグカップを使って、毎日コーヒーを飲んだりしない方がいいですよというよう なことまで書かれています。  これはカドミウムの毒性ですが、カドミウムの方が実は毒性が強い。腎臓に対する毒 性が強くて、骨のカルシウム代謝障害などが、イタイイタイ病を引き起こしたと言われ ています。  カドミウムのリスク評価もJECFAで1988年に行われました。日本でも食品安全委 員会が昨年リスク評価を行いました。カドミウムの場合、一番感受性の高いエンドポイ ントは腎機能への影響ということで、たんぱく尿をマーカーにしてPTWIを設定して います。これが0.007mg/kg体重/週で、1日あたり体重50キロの人で50μg、10キロの 子どもの場合は10μgになり、鉛よりも更に低い値です。  カドミウムも土壌、水、大気に広く分布しています。最大の暴露源はやはり食品です。  日本人の食品由来の1日摂取量は、最近で22μgです。平均値でも耐容量の半分ぐら いになります。10%の人が耐容量を超過しているだろうといわれています。  ただ、カドミの場合は、この汚染が人為的なものよりも、もともとの天然由来、例え ば火山性の土壌由来とか、人がコントロールできない部分が多く、コーデックスでも勧 告は特に出されていませんが、基準値としては鉛よりも低く設定されています。このよ うに、鉛・カドミについては実際の暴露量が非常に高いところにあるので、暴露量を下 げなければ行けないという危機感を持っています。  そのため、今回の改正でも鉛、カドミウムの基準値を下げるということが、一つの目 標になったわけです。  陶磁器の規格については陶磁器から鉛やカドミウムが溶出することを心配して、WH Oは1976年にISO国際標準化機構に規格の策定を依頼しています。WHOでは、食品、 水の規格はつくっていますが、工業製品については、ISOで規格をつくっています。 ISOで検討され、1981年陶磁器について、82年にガラス製中空容器について規格がつ くられました。我が国ではこの2つの規格とホウロウ引きの規格案をもとに、1986年に 陶磁器、ガラス、ホウロウ引き製品の規格が設定されました。  1986年にWHOから勧告が出されたため、ISOでも再度検討が行われ、1998年にホ ウロウの規格が新しくつくられ、1999年、2000年に、陶磁器、ガラスの規格が改正され、 鉛、カドミの溶出規格がより厳しくなりました。  我が国でも新しいISO規格に対応しようということで、、今回の規格改正になった わけです。  ISOの規格は国際標準規格と認められている規格です。1994年のウルグアイラウン ド以降、WTOは、各国が国際標準規格に合わせて国家規格を制定することを推奨して おり、これと違うものを定める場合には、十分な科学的根拠が必要であるということに なっております。そこで、今回の陶磁器の改正でも、まずISO規格が導入できるかど うかということを検討しました。  このISO規格は、安全性を守るということと、貿易において非関税障壁になるよう なものをなくして、国際的なルールをつくるために作成されました。  我が国に新しいISO規格を導入する場合に、どういう問題点があるかということに ついては、平成16年から17年の厚生労働科学研究で業界の方たちと一緒に検討いたし ました。  どんなことを検討したかというと、材質と形状の区分の仕方、さっき束野さんのお話 にもあったように、従前の規格では3区分しかなかったのが、新しい規格では15区分と 非常に複雑になります。そこで、これでいいのかといろいろ議論をしましたが、やはり 国際規格に整合するということが大事だということで、ISOの区分をできるだけその まま受け入れましょうということになりました。  それからISOに調理器具という区分があるのですが、これは加熱して用いる調理器 具ということを明確にするために加熱調理用器具とし、直火、オーブン、電子レンジな どで加熱して、主として100度を超えて使用するものと定義しました。  そのほか試験方法とか、規格の除外として例えば美術品、装飾品、それから通常の食 器ではないと思われる、例えば抹茶の茶碗等は除外することはできるのではないかとい うことについて検討しました。  このあたりは後で追加してもらった資料ですけれど、従前の規格と新しい規格を比べ ると、例えばガラス製品ですと鉛はすべてで引き下げられていますが、この辺が1/2ぐ らい、この辺が1/5から1/10ぐらい下がっているということです。こちらのカドミウ ムでもかなり引き下げられています。陶磁器でも、新しい規格では鉛はすべて下がって おります。カドミウムも浅いものとか調理用器具で下がっている。ホウロウ引きでは、 すべてのもので下がっています。  ということで新しい陶磁器、ガラス、ホウロウ引きの規格というのは、鉛やカドミの 基準を、形態、用途に応じてできる限り下げられています。  新しい規格では、例えば従前の規格ぎりぎりの製品で、例えばホットレモネード200ml 飲んだときどうか。ホットレモネードはかなり酸性が高くて、しかも温度が高いので、 鉛やカドミウム溶出しやすいので半分ぐらい溶出すると仮定した場合に、旧の規格では 200ml飲むと500μgぐらい鉛が溶出することになりますが、新しい規格ですと200μg ということで、耐容摂取量を超えることはほぼなくなります。  試験は4%酢酸で24時間常温で置きますが実際には酸性の食品を入れて、そういった 状況に置かれるのは非常にまれです。基準値がここにあるからといって、製品からこれ だけ溶出するわけではなく、実際には食品にほとんど移行はしてこない。この試験自身 が陶磁器にとっては過酷な条件で試験をして、よくないものを見分けようという意図で つくられている試験ですので、規格値の数字に示す量をいつもとっているというわけで はありません。  それから金属材料の鉛の規格ですが、コーデックスでは減らせということは決めてい ますが、数値としては示されていません。ISO規格にも該当する規格がなく、米国で はスズ合金のピューターの中の鉛は0.05%以下、ハンダは0.2%以下という規格があり ますが、他にはなかなかなくて、ハンダについてはこの数字を参考にさせていただきま した。  鉛含有量の規格値については5%のメッキ用スズが0.1%、10%の金属が0.1%で、 20%のハンダが0.2%ということで、1/100から1/50に引き下げられました。これは 100年ぶりの改正だそうです。  次はおもちゃです。おもちゃについては塗膜と金属アクセサリー玩具の規格が新設さ れ、いずれも鉛が規制されています。なぜおもちゃの規格基準が改正されたかというと、 皆様御存じのように、米国において玩具の塗膜が鉛を含有するという指摘があって玩具 メーカーが検査を行ったところ、自主基準を超えるものが次々に見つかって、2007年に は次々に回収されたわけです。我が国でもそれらの製品が回収され、また玩具協会のS T基準違反ということでも回収されました。  ところが、こういった製品は必ずしも食品衛生法違反にならないということがわかっ たわけです。なぜかと言うと、まず食品衛生法の対象になるのは、指定玩具のみで、指 定玩具には材質による限定があったので、例えば木製の機関車といったものは、指定玩 具の範囲に入っていませんでした。また、塗料のうち規格があったのはポリ塩化ビニル 製塗料だけで、それ以外の塗料は対象外でした。  さらに、溶出試験法に違いがありました。米国のASTMや日本のSTが採用してい るISO8124という規格の試験法は、試料を粉砕してから希塩酸で溶出しています。I SO8124では子どもが塗膜などを飲み込んで胃の中で溶出することを想定した試験方 法です。一方、食品衛生法は、おもちゃをなめて唾液で溶出することを想定しています ので、そのまま水で溶出しています。そのかわり数値は低い数字です。  ということで、どちらの試験法が厳しいか比較をしたところ、例えば塩化ビニールと アクリル樹脂製の塗膜に、1000 ppmのカドミウム及び鉛を含有させて、それぞれの試験 をやってみますと、食品衛生法ではどれも溶出ませんでしたが、ISOの方法では、規 格を超えて溶出し、ISOの方が食品衛生法よりも厳しい規格であるということが明ら かになりました。そういったこともあってISOの方法を導入するということになりま した。  それからなぜ鉛が90mg/kgでカドミウムが75mg/kgなのかというと、ISOやその基 の欧州標準規格EN71の3に準拠しているんですけれども、スライドに示すような論理 で、こういう数字が導き出されてきました。  以上のように、鉛とカドミウムは、耐容摂取量と暴露量のマージンが小さいために、 暴露量をできるだけ低くする必要があります。しかし、マージンが小さいために、TD Iから十分な係数を掛けて規格値を設定するということができません。きつい目の規格 値にしてしまうと、実際に流通している食品のある部分が、流通できなくなるというこ ともありますし、もう一つは非常に低い規格をつくらなければいけないので、その試験 をするということが難しくなってしまうということがあり、そういう規格設定をするこ とができません。  ガラス、陶磁器、ホウロウ引き製品、金属材料、玩具に関しては、できる限り低くす る、金属材料以外のものはISOに準拠していますが、できる限り低く設定するという ISOの理念にのっとって規格値が設定されているわけです。  鉛・カドミウムは、食品と接触する器具・容器包装や玩具に意図的には使用しない方 が望ましい。ただし、使用する場合には、十分な管理を行う必要があるということで、 今回の規格設定がされているとお考えいただくといいと思います。   ちょっと時間をオーバーしてしまいまして、早口になりましたけれども、以上です。 ○事務局(北村) 河村室長、どうもありがとうございました。  続きまして、社団法人日本玩具協会の津田専務理事より、おもちゃに関する安全確保 の取組みということで、「ST基準・STマーク制度について」御説明いただきます。  それでは津田専務、よろしくお願いいたします。 ○ 津田専務 御紹介いただきました日本玩具協会の津田でございます。それではスラ イドに基づきまして、ST基準、STマーク制度、玩具協会の取組みを説明させて いただきたいと思います。  まず最初にST基準、STマーク制度のポイントを申し上げますと、業界の実施する 自主的な制度ということでありまして、昭和46年に創設しております。したがって営々 と40年間やってきた。  検査を受けてST基準に適合していることを認定された玩具、それに対してSTマー クを表示します。勿論、玩具の本体にマークを貼るケースはほとんどなくて、パッケー ジ、箱入りで売っていますけれども、そこにこのSTマークがついているわけです。勿 論ここには番号とか、そういうものもつきます。  522社が私ども協会とマークの使用契約を結んでいます。STマークは商標でありま す。業界の制度ですので、法的なステータスという面で見ると商標登録をしている商標 となります。商標の使用許可ということを、私ども協会の方でやっている。1年間で2 万 5000点の玩具が検査に出されて、合格してマークを付けて出ている。40年間にわた って年間2万5000件の検査を確実にやってきているということであります。  その次のスライドは、玩具の安全規制ということです。日本の玩具は、一体全体どの ような形で安全が守られているのか。法的な制度、それからST制度、それがどういう 関係になっているかということです。基本的には法律は2つです。1つが消費生活用製 品安全法、これは一般法といいますか、個別の商品についてのスペック・基準というも のは、具体的なものはほとんど書かれておりません。  ただ、重大製品事故等でありましたら、10日以内に経済産業省なり、担当官庁の方に 報告をしなければいけない。場合によっては製品の回収命令、改善命令とか、そういう さまざまな命令が出るということです。シュレッダー、石油ガスのファンヒーター、ガ スの湯沸かし器とか、さまざまな事故があったわけですけれども、それに関連してくる 一般的な法律という形でカバーされているということで、玩具特有の個別スペックとい うものはございません。  もう一つは食品衛生法があるわけですけれども、これにつきましては、玩具は子ども さんが口に入れる可能性があるということで、食品衛生法の中で、化学的な安全性のと ころを規制しています。これは個別のスペックがある法律ということであります。  これが玩具安全についての法規制のほとんどといいますか、基本的なものでございま して、残りを業界としてカバーしているのがST基準・STマークということです。  ST基準は、基準が3つに分かれていまして、一つは機械的物理的な安全性、もう一 つは可燃安全性、ぬいぐるみなどを抱えていてぼっと燃えてしまったりすることのない ように。そういったものであります。あとは化学的安全性。この3つが、玩具について の安全規制。法規制であり、また業界の自主的な規制ということです。  STマーク制度の仕組みがどうなっているかということです。プレーヤーが3人おり ます。一つが日本玩具協会。協会はST基準を作ります。基準がないと検査ができませ んので基準が必要。検査をしてくれる検査機関を指定しております。  それからもう一つ、ここにメーカーがプレーヤーとして出てくるわけですけれども、 まずSTマークの使用許諾契約、522社と協会はこの契約を結んでいるわけです。これ は包括的な契約でして、1年ごとに更新しますけれども、検査機関のところに持ち込ん で検査に合格したらSTマークをつけて、玩具を販売してもいいですという形になって いる契約です。したがってメーカーはSTマークをつけたい玩具について、これを検査 機関に持ち込んで、検査を受ける。そして検査機関はST基準に基づいて検査をするわ けですけれども、合格したらSTマークをつけて、消費者に販売する。  ただ、検査に合格したからといって必ずしも100%事故がないというわけではござい ませんので、不幸にして事故が起きたときには、それを企業が賠償するわけであります けれども、企業がPLで賠償したときに玩具協会の方から、掛金は取っておりますけれ ども、賠償補償という形で賠償したお金に相当する金額を、企業の方に払って、企業が お金がなくて倒産してしまう、賠償金を支払えないといったような事態を防ぐというこ とであります。  それでは、ST基準はどういう基準かでありますけれども、これが3つあるというこ とで、物理的・機械的安全性、可燃性、化学的安全性ということです。非常に細かい規 定がこの中にたくさんあるわけです。例えば窒息でありますと、のどに詰まるようなケ ース、更に口がふさがるようなケース、乃至はヘルメットなんかをかぶって頭がふさが るケース、乃至はどこか小さな箱の中に子ども自体が入ってしまうケース、さまざまな レベルで窒息リスクがあるわけですけれども、そういったことについての規定をしてい るということです。  この第3部のところに、化学的な安全性、実はここに着色料とかいろいろ書いてあり ますが、食品衛生法の基準は全部取り込んでおります。したがってSTに合格していれ ば、食品衛生法にも合格するという形で基準をつくっております。  このスライドが第3部のところの、食品衛生法とSTの基準の対比であります。ST は食品衛生法の基準を取り込んでいると申しましたけれども、むしろSTの方が先行し て、さまざまな基準を先に入れていく。業界の自主的な措置として足固めをして、足場 が固まったところに、法的な規制を後で食品衛生法として入れていったりするというこ とが、適当なのではないかということで、これまでも、ほかの基準につきましても、先 行して入れていっております。  今回、ここにありますように、STと食品衛生法、できるだけSTの方が厳し目にな るように、少し基準を厳しくするとか、乃至は試験方法を厳しくする。着色料につきま しても、ぬいぐるみに3色ほど使われていたら、食品衛生法だったら、3色を皆ある程 度の比率で混ぜて検査していいんですけれど、ST検査の場合は、色ごとに全部検査を するということで試験方法も厳しくしています。基準を少し厳し目にしてSTの方が少 し厳しくなるようにするか、乃至は食品衛生法とほとんど同じ基準をそのまま使うよう にするかということです。  この中の塗膜の3元素、これは今回、食品衛生法規制に入ったところですし、それか ら金属製アクセサリーも入ったところでありますけれども、こういう食品衛生法規制に 今回入ったものは、もともとST基準の中に入っていました。金属製アクセサリー規制 も入っておりました。それから塗装については1996年・平成8年、12年前からいわゆ るヨーロッパ、アメリカ共通の重金属8元素、ここで5元素と3元素に分けましたけれ ども、もともとSTの中には8元素が入っていて、その中の3元素について、今回食品 衛生法に入ったわけです。12年前からSTの方では、塗膜、塗装についての8元素試験 をやっているということです。  したがって先ほど河村先生の方から話がありましたけれども、去年6月にアメリカで、 塗装から基準値を超える鉛の溶出を理由とした玩具のリコールが何回にもわたってあっ たわけで、大量に回収されています。アメリカ本国の本社から日本の子会社とか日本の 販売代理店等に連絡が来て、アメリカで回収しているので日本でも回収をしてくれとな っているんですけれども、皆STマークのついていない製品でした。ST検査を受けて いなかったわけですけれども、日本の場合は、アメリカで回収の原因となった鉛など8 元素の検査を、STマークの検査でやっているということで、今回の海外での大規模な リコールというのに対して、日本の方では向こうほどの大きな騒ぎにならずに済んだ、 一つの防波堤になったのが、このST制度ではないかと思います。  ちなみに各国の制度がどうなっているかということですが、このスライドが玩具規制 の各国の比較です。見ていただきますと、EU諸国については、全体が法規制といいま すか、Toy Safety Directive、玩具安全指令がEU委員会から各国に出て、各国で玩具 安全法をつくれということになっています。各国は玩具安全法をつくり、なおかつ玩具 安全規格、EN71というヨーロッパの玩具安全規格がありますけれども、それを各国の 言語にほとんど翻訳してコピーをしたような形で、各国の規格をつくるわけです。そこ に合致していれば、法律の、essential requirementといいますけれども、玩具安全に ついての本質的な要求事項に合致しているものと推定するということになっています。 玩具安全規格に合致していれば、法律にも合致しているというシステムのもとに、規格 も法律の一部として取り上げている。そしてCEマークをつけて玩具を売るということ であります。  したがってヨーロッパで売られている玩具は、すべてCEマークがついているわけで ありますけれども、よくCEマークとSTマークの違いについて聞かれます。CEマー クというのは自己適合宣言といいますか、Self Declarationといいまして、企業が、私 はこの玩具安全規格に合致しておりますということを、文書で書くかわりにCEマーク をつけるというふうになっているマークで、これは自己適合宣言マークだと説明してい ます。  それに対して日本のSTマークというのは、第三者検査機関に持ち込む必要があり、 会社の判断でマークはつけられないんだと。検査に合格をしてマークをつける、第三者 が認証するマークであるということで、STマークはとってくるマーク、申し込んで検 査をして、マークをくださいと言ってとってくるマークだし、CEマークの方はつけな ければ売ってはいけないといわれて、企業が自分でつけているマークですと。マークの 性格が違うんですと説明しています。  アメリカについては、法律は少しあるのですけれども、ASTMという任意規格でや ってきているというような世界だった。そういう形で動いてきていたわけです。現在の 時点でもこのシステムですけれども、やはり昨年、大規模なリコール等がありましたの で、玩具についての全般的な安全法というのが今年の8月に成立しております。180日 経って施行ということで、来年の2月10日から施行になるわけですので、これは現在の 状況ですけれども、また大きくアメリカの制度が変わるわけです。  ただ日本のこれまでの制度は、各国と比較して、やはり第三者認証といいますか、検 査機関でとにかく検査を受ける。これは絶対に合格すると百もわかっているのだけれど も、検査を受け合格しないとSTマークはつけられないということで、検査機関で検査 をしてきたことが、日本の玩具安全に、この40年間大きく寄与してきたのではないかと 考えております。  以上が私ども日本玩具協会のST基準、STマーク制度でございます。パンフレット も用意をしてありますので、関心がある方は、お持ち帰りいただければと思います。  以上でございます。 ○事務局(北村) どうもありがとうございました。  続きまして、日本陶磁器工業協同組合連合会の荻野専務理事より、陶磁器に関する安 全確保のための取組みについて、御説明をいただきます。  それでは荻野専務理事、どうぞよろしくお願いいたします。 ○荻野専務理事 日本陶磁器工業協同組合連合会の荻野です。本日は「食品に関するリ スクコミュニケーション、器具・容器包装、おもちゃの規格改正等に関する意見交換会」 ということで、陶磁器業界の取組みについて、お話をさせていただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。  まず初めに、簡単に陶磁器について御説明をいたします。陶磁器は、ほとんどが安定 な天然原料からつくられており、環境に配慮した材料とも言えます。しかし天然の原料 であるため、品質管理が非常に難しく、不純物として鉛、カドミウムといった重金属な ど、環境影響成分が含まれている場合があります。  先ほど河村室長からもお話がありましたが、やはり土壌汚染といった問題もありまし て、原料自体が陶器というものでいいますと、粘土からつくられておりまして、土に鉛、 カドミウムが入っている可能性があります。  一般的に、陶磁器という表現をされるんですが、陶器に関しては生地が粘土、磁器に 関しては石からつくられております。  また陶磁器なんですが、素地以外のものとしましては、装飾をするものとして絵の具 や釉薬などが使われております。  簡単に陶磁器の製造工程も説明した方がいいかと思いまして、スライドにはないんで すが、製造工程を簡単に御説明させていただきます。  陶磁器の製造工程は、まず陶土または成土工程といわれるものがあります。磁器であ れば、石を粉砕する作業から始まります。石といっても陶石、長石いろいろあるんです が、そういったものを混ぜ合わせてボディーをつくっていくことになります。  ものによっては、脱鉄とか不純物を除くようなこともされています。  また陶器なんですが、こちらは粘土を水ひといわれる作業を行うことで、不純物を取 り除くことをしております。ですから粘土をとってきて、そのまま製品にするというわ けではなく、一度泥しょうという水に溶かした状態で、不純物を取り除くというような 作業が行われております。  次に成形工程というのがありまして、こちらでは皆さん御存じだと思いますけれども、 手ろくろとか鋳込み、プレスなどさまざまな方法によって形がつくられていきます。  その後に乾燥工程というのがありまして、これが陶磁器にとっては非常に重要なので すが、陶磁器製品というのは、水分を含んだまま焼成、焼くということをしますと、切 れだとか割れなど不良が多く出ます。またひどい場合は製品が破裂するということにも なりますので、十分に乾燥されることが重要になります。  次に素焼き工程という工程がありまして、乾燥しました素地はわずかですが、水分が 残っています。水気をなくしてかたく引き締まった生地にするために、窯で焼成が行わ れます。  次に下絵付け工程というのがありまして、転写紙、印刷、手書きなと、さまざまな方 法で絵付けがされていきます。  下絵付けをした後に、施釉工程というのがありまして、釉がかけられます。  そして本焼成工程に移って、製品が焼き上がると完成というのが、簡単ですが、陶磁 器の製造工程になります。  ただし本焼成の後に、上絵付けというようなことを行って、もう一度焼成されるとい った製品も、中にはあります。  ここから本日の本題に少しずつ入っていきますが、まず、どうして陶磁器製品にカド ミウムが使用されているのかというのを御説明いたします。  初めに陶磁器の素地に鉛、カドミウムが含まれている場合があると言いましたけれど も、入っていたとしても本当に不純物ということなものですから、ほんのわずかな量に すぎません。陶磁器に含まれるカドミウム、鉛もそうなんですが、顔料というものがす べてというわけではないんですが、だと思っていただいて構いません。顔料というのは、 着色に用いる粉末で、絵の具のもとになっているものであります。  使用する絵の具、色によって、含まれるカドミウムの量というものが、異なってきま す。こちらに絵の具というふうに書いてあるんですが、実際には色釉というものがあり まして、釉薬に色をつけるということで、釉薬自体にもカドミウムが入っているという ふうに思っていただければいいと思います。  次に、どうして鉛を使用するかということを説明したいと思います。大きく分けて3 つ理由があるんですが、まず1つ目、つやが出やすいということがあります。  2つ目ですが、色が濃く出る。絵の具等でよく発色がいいというようなことが言われ ますが、鉛が入っていないと、ぼやっとしたような色になってしまうということがあり まして、鉛を使用することがあります。  そして3つ目なんですが、機械的というと変なんですが、そういったものはそれほど 問題はないのかもしれませんが、手書きで絵をつける場合、書きやすいという理由があ ります。手書きをされる職人さんですと、書きやすさを表現する場合に、伸びが悪いと か、よく伸びるといった表現をされますけれども、ペンキを塗られた方はおわかりだと 思うんですけれども、ペンキをそのまま使うと、非常に塗りにくいんですけれども、シ ンナー等で薄めますと、かなり塗りやすくなると思います。感覚的にはそれと同じよう な感覚だと思っていただければ、わかりやすいと思います。  これまで説明してきたことを簡単にまとめますと、陶磁器に含まれる鉛、もしくはカ ドミウムは、絵の具、釉薬、そして素地に含まれている場合があるということを御理解 ください。また、一般的になんですが、鉛、カドミウムの含まれる量の多い可能性とし ましては、この順番どおり、絵の具、釉薬、素地の順番ではないかと思います。  先ほどから釉薬、釉薬と言っておりますが、ここで釉薬はどんなものかというのを説 明いたします。釉薬というか、釉といった方がいいのかもしれないですけれども、釉と いうのは陶磁器が液体とかガスを吸収しないように、器ものを覆うために用いる不透過 性の、一般にガラス質の材料であります。  普段使われている陶磁器の食器を思い浮かべていただくと、表面に透明でつやがある ガラス状の膜があると思います。その部分が釉の部分だと思っていただければいいと思 います。釉は表面につやが出て、一層美しい外観を与えるとともに、素地にかいた下絵 と言われるもの、各種の装飾を保護する目的でもあります。  次に基本的なことかもしれないんですが、化学物質の規制の考え方について、少し御 説明したいと思います。  まず一つ目なんですが、溶出基準であります。溶出基準というのは、溶出試験におい て有害物質、陶磁器でいう鉛、カドミウムなんですが、こちらが基準値以下であるよう にする考え方です。したがって製品にどれだけ有害物質が含まれているかというのは、 問題にしておりません。どれだけ有害物質が製品から出るかというような考え方になり ます。  ちなみに陶磁器なんですが、食品衛生法では、この考え方が該当しております。  それ以外に、2つ目なんですが、含有基準というのがあります。製品に含まれる有害 物質を規制値以下であるようにする考え方です。当たり前のことなんですが、製品に有 害物質が含まれていなければ、溶出するということもありませんし、摂取することもな いという考え方であります。  先ほど説明しました2つの化学物質の規制の考え方に基づいて、陶磁器業界の取組み としまして、まず溶出基準の考え方に基づくものなんですが、業界としましては耐酸絵 の具というものの使用があります。一般的に酸性の飲食物に対して、鉛、カドミウムと いうものは、溶出しやすいと言われています。耐酸絵の具というのは、鉛、カドミウム が絵の具に含まれてはいるんですが、一般的な絵の具よりも、酸性の飲食物に対して、 鉛、カドミウムが溶出しにくいというようなものになります。  同じようなものなんですが、低鉛溶出釉薬の使用ということで、こちらの方も一般的 な釉薬よりも鉛、カドミウムの溶出がしにくいといったものになります。  また、最後に下絵付けと書いてありますが、下絵付けというのは鉛、カドミウムを含 んでいるような絵の具を使用することが多いんですけれども、絵付けをした上に釉薬を かけまして、表面を釉薬で覆うことによって、絵の具の鉛、カドミウムが溶出しないよ うに、釉薬でコーティングしているような形で、下から溶け出さないようにするという 考え方になります。  次に含有基準の考え方に基づく業界の対応なんですが、無鉛もしくは無カドミウム絵 の具の使用というものがあります。ただし、こちらの方は、まだすべての色がつくられ ておりません。一番の理由は、発色だとかつや等の問題がありまして、思ったような色 が、まだできていないというところもあります。現在も試験機関、企業さん等で開発を 続けております。  先ほど溶出基準の説明で、下絵付けについてちょっと御説明をしましたが、下絵付け に対して上絵付けというものがあります。最初に製造工程で説明して触れましたけれど も、上絵付けというのは、釉薬をかけた上に、絵をつけるということになっています。 下絵付けのように釉薬で覆われているわけではないものですから、鉛などの溶出の可能 性が高くなります。 そこで、特に上絵付けをする場合には、無鉛絵の具というものを、最近は使用するよう になってきています。  次に絵付けの工夫ということなんですけれども、湯飲み、お茶椀など、普段使われて いる、また目にするような陶磁器なんですが、口が直接触れる可能性がある部分に絵付 けをしていないものが多いということに、お気づきなのではないでしょうか。また飲食 物が直接触れる内側ではなく、ほとんどが外側に絵をつけるような工夫をしております。  またお皿などですが、中心に絵をつけるのではなく、飲食物に触れにくい縁に絵をつ けるようにしております。特に洋食器といわれるようなディナー用のもの、ホテルなど でフルコースを食べるときの食器なんかは、絵がついていたとしても、多分、縁につい ているだけといったものが多いと思います。  次に焼成の工夫ということですが、高温で焼成するというのは、当たり前の話なのか もしれないですけれど、材質などによって焼成温度というのは、当然変わってきます。 磁器、陶器、上絵付け、そういったことでも焼成温度というのは、変わってくるんです が、例えば上絵付けということでいいますと、上絵付けで750度ぐらいで焼成しないと いけない製品というのがあった場合、700度もしくはもっと低温で焼成した場合は、鉛 等が溶出しやすくなる可能性があります。昔ですと、窯の中の炎とかを、職人さんとい われる方々が見て、大体何度とか大丈夫というようなやり方をしていましたが、最近は 炎は炎で見るんですけれど、それを主にするのではなく、熱電対といわれるような温度 計等を使用しまして、本当に1度、2度まで管理できるような形で、コンピューター制 御等を行うことをして、低温で焼くようなことがないように、適切な焼成温度の管理等 をしております。  もう一つなんですが、有鉛絵の具の製品と無鉛絵の具の製品を一緒に焼成しないとい うふうに書いてありますけれども、これはせっかく無鉛の絵の具を使っても、有鉛の絵 の具の製品と一緒に焼成をしますと、窯の中で蒸気化した鉛が無鉛の製品に移るといっ た可能性もありますので、こういったことはしないように、業界の方でも考えておりま す。  次に安全確認についてということで、少し御説明をさせていただきます。陶磁器製の 製品なんですが、全品検査をするのが一番よいのですが、実際のところは抜き取り検査 を行っております。できるだけ多くの製品を検査するのが望ましいわけですけれども、 検査費用、また検査時間など、さまざまな理由から、余り多くを検査することはできて いません。  そこで、県・市、試験機関等に協力を要請して、少しでも多くの製品を検査できるよ うな体制づくりというものを業界として行っております。  例としましては、ここに書いてありますけれども、長崎県窯業技術センターでは、県 下の事業所に対して毎月、1事業所20点までは無料で鉛、カドミウムの検査を実施して いただいております。  瀬戸市等では、鉛、カドミウムの検査費用の半額を市が負担するといったような形で、 支援をお願いしております。  最後になりますけれど、今後の陶磁器業界の取組みということで、社会的な流れであ る、含有基準というものをもとにして対応していくことが必要だということを考えてお ります。現在陶磁器に関しては溶出基準なんですが、やはり含有基準というものが、今 後だんだん増えてきて、これが一般的な基準になってくるのではないかというふうにも 考えておりますので、これが必要だということを考えております。  先ほど、まだすべての色が出ていないという話をしましたけれども、無鉛もしくは無 カドミウムの絵の具等、もしくは釉薬の更に開発というものが、必要になってくるので はないかということを考えております。このような開発を進めて、より安全・安心な商 品を御提供できるよう、業界として取組んでいきたいと考えております。  以上で説明の方は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 ○事務局(北村) どうもありがとうございました。  それでは約15分程度の休憩とさせていただきます。15時40分ごろに再開をしたいと思 いますので、それまでにお席の方にお戻りいただきますようお願いいたします。                  (休憩) ○事務局(北村) それでは、時間となりましたのでこれより意見交換を始めたいと思 います。まずパネリストを御紹介いたします。  皆様からごらんになりまして右側が社団法人日本玩具協会、津田専務理事でございま す。  日本陶磁器工業協同組合連合会、荻野専務理事でございます。  国立医薬品食品衛生研究所、河村室長でございます。  厚生労働省の束野補佐でございます。  最後に一番左側、本日のコーディネーターを務めます厚生労働大臣官房牛尾参事官で す。  意見交換の議事進行につきましては、牛尾参事官にお願いいたします。 ○牛尾参事官 それでは、以後の進行を私の方でさせていただきます。  冒頭、司会の方から説明がございましたように、本日、出席される方の中で御意見の ある方から事前に意見をいただいております。まず、いただいた意見に対して回答させ ていただくということから始めたいと思っております。  その後、時間がありましたら、今日の説明を聞きまして、また新たな御質問等があれ ば、時間の許す範囲で、お答えさせていただきたいと思っております。  まず、順番として器具・容器包装関係、その次に玩具関係というふうに行きたいと思 います。  今日の説明で、説明が終わっているところもあるかもしれませんが、若干重複がある かもしれませんが、御質問を御紹介したいと思います。  まず海外の規制との比較ということで、「容器包装に関して、海外の法規と日本の法 規との違いについてお伺いしたい」という御質問がございました。これは束野補佐の方 からよろしくお願いします。 ○束野補佐 それでは海外の規制と日本の規制の違いということで、容器包装について です。  まず2つに分けまして、ガラス・陶磁器・ホウロウ引きについては、日米は、ほぼI SOに整合化しております。欧州の方はまだ最終のISOとの整合がとれていない状態 で、近々整合されることが予想されています。  それから合成樹脂につきましては、欧米が添加剤等も含めた原料規制となっているの に対して、我が国は最終製品で規制をしております。  以上です。 ○牛尾参事官 御質問をいただいた方は、それでよろしゅうございますでしょうか。  特にないようでしたら、次の質問に行きたいと思います。  次の質問は、新品で検査を行う理由ということでございます。「容器包装は、新製品 のみのチェックとなっていますが、繰り返し使うものであり、何らかのガイドラインは できないものでしょうか」という御質問でございます。これも束野補佐の方からよろし いですか。 ○束野補佐 一般に物質の溶出量は、新品からの溶出が一番高くて、経時的に使用回数 が増えていくほど、溶出も減少していくのが一般的ですが、必ずしもそうではない物質 もございます。  規制する側といたしましては、要は販売されている製品の形態、新品の形態に対して の規格が一番現実的ということで、新品に対する溶出規格を設定しています。  御質問といいましょうか、御要望は、ガイドラインができないかどうかという御質問 なんですが、使い込んで、更に物質の溶出量が増えるようなものがある場合には、一定 以上使い込んだものは使用しないでくださいといったような注意喚起というんでしょう か、一般の消費者の方に向けての、あるいはこういう物質は、こういう状態になったら 使わないようにというようなガイドラインというのは、確かに有用だと思いますので、 今後の検討課題ということで、念頭に置いておきたいとは思っております。以上です。 ○牛尾参事官 この問題は非常に興味深いなと思ったんですが、御質問された方は、例 えば具体的にどのようなものかというような、具体例はありますでしょうか。もし質問 された方が、今日お越しでしたら、ちょっと補足の説明でもしていただければと思いま すが、いらっしゃいますでしょうか。お願いします。 ○木下 日本生協連の木下と申します。どうもありがとうございました。  特に具体的ということではないんですけれども、消費者の方からどれくらいまで使え ますかという質問が結構多いものですから、そういった観点で、何かあればと思って質 問をさせていただきました。 ○牛尾参事官 ありがとうございます。河村室長、何かありますか。 ○河村室長 どこまで使えるかというのは、すごく難しい質問です。多分、同じある種 類のプラスチックであっても、何年と区切ることはできない。使い方によっても全然違 う。  見た目で明らかに変形が起こるとかという場合でしたら、そこでやめていただくとい いわけなんですけれども、変形が起こっていなくても、劣化が進み始めると溶出量が増 えるという場合もあるので、恐らく材質ごとに、材質の業界の方が、ホームページ等で どれくらいというものを言っていただくとか、もしくは製品を販売するところで、これ ぐらいをめどにというのを言っていただけるといいなというふうに思うんですけれど も、なかなか消費者の方が見ただけで判断するというのは、明らかに変形が起きるとか、 表面がざらざらしてくるとか、そういうときはやめていただいた方がいいのではないか とは思いますけれども、だからといって直ちに危険だというわけでもなくて、余り好ま しくないかなというような話です。  ガイドラインをつくるとなると、一つ一つの事例を細かくしないと難しいかなという 感じがします。できれば生協さんなんかで、大まかな、そういう表面がざらざらしてく るとか、変形が起こるとか、亀裂が入るとか、そういったものはもう使うのをやめて新 しいものに変えていただくようにというようなことを言っていただいてもいいのではな いかというふうに思います。 ○牛尾参事官 津田専務、こういうようなことについて、何か、電話での相談というの が、消費者の方からかかってくるようなことがありますか。 ○津田専務理事 余りその手のお話というのは、玩具では、そう多くはないだろうと思 います。 ○牛尾参事官 荻野専務、いかがですか。 ○荻野専務 陶磁器の方も直接そういった話はないんですけれども、ただ、一つあるの が、今回の食品衛生法の改正もあるんですが、旧規格のものの方が当然、鉛、カドミウ ムの規制値が高いんですけれど、新しい法律になって、昔のものというのは、使用しち ゃいけないんですかとか、そういった意味での問い合わせはあります。  実際に長く使っていたから、たくさん出るんじゃないですかといった質問は、私の方 に来たことはありません。 ○牛尾参事官 ありがとうございました。結論と申しますか、私が出す立場ではないの ですが、なかなかガイドラインというのは難しい。それと同時にどのように使われてい るかということが、まず個人でさまざまだという状況から、ガイドラインをつくったも のが、実際それで合っているかということの検証も、なかなか難しいかなと思います。  ただ、消費者にとって非常に関心のあるポイントだろうというふうに受け止めさせて いただきました。ありがとうございました。  次の質問はここで答えるのか、難しいんですけれども、医薬品等に関する御意見がご ざいました。今日は医薬品等の問題ではないんですけれども、「食品添加物等の規格の 一部改正として、ガラス製の容器包装の材質別規格等の改正でありますが、医薬品や医 薬部外品に用いるドリンク剤等の容器包装について、どのように考えるのか」というこ とでございます。  これは、若干専門的な御質問でございますので、もしよろしければ、御質問の方に、 その趣旨と申しますか、補足の説明をいただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○ 今回の容器包装ということで、食品ということで規定している、食品衛生法と いう法律のもとで、食品についての容器包装等の規制だというふうに理解しています。  これの、いわゆるものを食べる、内服する、医薬品でいえば飲み込むということも、 同じ人体にとっての摂取ということになると思います。  それで薬事法にかかわる容器のガラス容器というのは、例えばドリンク剤などもガラ ス容器。一方、食品でのガラス容器というのもあります。そういった場合に、医薬品あ るいは部外品に使う容器についての規制というものは、どのもので読むのかということ なんです。  食品については今回の改正のもので読むということですが、一方では、そちらの方面 での材質はどう読んだらいいのかということでございます。 ○牛尾参事官 ありがとうございます。これは事前に御質問をいただいておりまして、 こちらの方で検討させていただいたんですが、この質問は薬事法にかかわるということ なので、今日はちょっと御容赦いただきたいと思っております。  所管としましては、医薬食品局の審査管理課の方に御照会いただきましたら、御質問 に対する回答をさせていただけるのではないかと思っております。済みません。そうい うことで。 ○   ありがとうございます。 ○牛尾参事官 器具・容器包装関係に関しは、事前にちょうだいいたしました御質問は、 以上でございますが、現時点で今日の説明等をお聞きになって、何かほかにございまし たら、1〜2問お受けさせていただきたいと思いますが、ありますでしょうか。よろし いですか。ではどうぞ。 ○   どうもありがとうございました。この中で食品衛生法の改正について、それぞ れの中にISOとか書いてあるんですけれど、規格はそれぞれ規格の番号と、いつ決め られたものか、ENについてもそういう形で明確にしていただかないとわからないと思 います。  現在使われているものといっても、それがいつのものか、非常に重要なことなのに、 そういうことが一切ございません。 ○牛尾参事官 資料番号でいえば、例えばどういった。 ○   例えば資料1についてもそうです。10ページ、ISO規格6486の2、それか らENの84/500/EEC、これがいつ制定されたものか。これは規格をやる人間だった らイロハのイだと思うんですけれど、それことがほかについても全くございません。 ○河村室長 よろしいですか。私の方の資料2のページ13を見ていただくと、陶磁器関 係については、ここで書かせていただいております。  ISO4531は1998年に成立しております。 ○   何ページですか。 ○河村室長 13という番号が振られています。紙としては、手書きの番号では13です けれども、陶磁器関係です。ISOの4531が1998年、ISOの6486が1999年、IS Oの7086は2000年です。古い方はその前のページに書いてありますけれども、1981年 と82年に6486と7086はつくられていて、2回目の改正でここで新しいのに変わってい ます。 ○   例えば6486の1も2も一緒に変更になりましたか。 ○河村室長 同時です。 ○   それはやはりしておいていただかないと。 ○河村室長 1は試験法で2は規格で全くセットになっております。すべてここに書い てあるものは1、2ともに同時です。 ○   ENはいつですか。 ○河村室長 ENはたびたび改正がされていて、一番直近の改正は2005年です。 ○   そういうのをちゃんとしておかないと困るんです。 ○河村室長 ただしこの改正につきましては、8元素の規格に関しては古いものと変わ っておりません。ISOの方は97年だったと思いますが、これも改正はされておりませ んので、年度が書かれていなくても、一つのものにしか行き当たりません。 ○   それからこれはそれぞれ日本規格JISにはなっているんでしょうか。これか らする予定なんでしょうか。 ○河村室長 JISの方は、こちらの担当ではないのでわかりませんけれども、なって いないと思います。 ○   共管ないし向こうに申し入れることをしてください。以上です。 ○河村室長 食品衛生法で法律として規定しておりますので、JISはそれに準拠され るということはあると思いますが、こちらからお願いをする事項ではないと思います。 ○牛尾参事官 御指摘ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。  それでは一度、ここで玩具の方に移って、また最後に時間があれば、全体の質問に戻 りたいと思います。  玩具の方でございますけれども、規格基準と規制値の関係についての御質問がござい ました。「器具・容器包装規格基準と規制値との関係がよくわかりませんが、いかなる リスク評価に基づくものなのか、御教授願いたい」という御質問でした。  これも室長の方でよろしいですか。 ○河村室長 私の方からお答えさせていただきます。さっきのスライドの中でもちょっ とお話しましたが、時間がなくて端折ってしまったので、もう少し説明をさせていただ きたいと思います。  一般的な規格値を設定する場合、例えば農薬や食品添加物ですとか、ADIもしくは TDIという許容摂取量、耐容摂取量を決めます。そして寄与率、摂取する量を計算を して、そこから基準値を計算で出すというのが一般的なやり方で厳しい目に推定して決 められます。す。  今回の鉛、カドミウムに関しては、先程お話ししましたように、鉛、カドミウムのP TWIと実際の暴露量がかなり近いところにある、マージンとして10倍とれない量であ るということで、通常の設定法では、容器包装の方は大丈夫だと思うんですけれど、例 えば食品にそういった形で鉛、カドミの規格を設定してしまうと、実際流通している食 品ののかなりの部分が流通できなくなる可能性があります。  日本では一部かもしれませんが、国によっては通常の食品のかなりの部分が食べられ なくなるというようなことが起こるので、オーバーエスティメイトではなくて、安全性 は確保できるけれど、ぎりぎりのところにしておきたいというのが一つ。  それからもう一つは、通常の方法で基準値を設定してしまうと、非常に低い値になっ てしまって、非常に試験費が高くつくということになったり、もしくは測定できないと いう状況にもなると思います。  例えば容器包装ですと、鉛のTDIから、容器包装がどれぐらい寄与しているか。恐 らく1割も寄与していないとすると、非常に低い寄与率をかけて、しかもそこから、容 器包装の種類が非常に多いので、割り算をしていくと、許容量は、非常に低い数値とし て出てきてしまいます。実際にはその数値を超えていたから危ないかというと、超える ものはほとんどないのでそうではないのだけれど、そういう計算の仕方でコンサバティ ブなリスクアセスメントのところから導いていくと、非常に低い数字が出てしまう可能 性がある。  そういうことがあるので、今回、玩具にしても、ガラス、陶磁器、ホウロウ引きにし ても、ISOの考え方は、安全性が確保できる、できるだけ低い値にもっていくけれど も、これは必ずしもリスク評価から掛け算をして出てくる数字ではなくて、それぞれ製 品ごとにできるだけ低く下げる。今回の陶磁器、ホウロウ引き、ガラスの分類が非常に 細かくなっているというのは、その一つの表れです。例えば加熱をするものは溶出しや すいのでできるだけ低く抑える。ぎりぎりまで抑える。試験費用は高くつくかもしれな いけれども、低い値で試験をする。だけど普通の食品を短時間しか入れないものであれ ば、普通につくったもので大丈夫だろう。ちゃんとしたつくり方をしているものであれ ば、安全性には問題がないのだから、そういったところで数字を決めようというような 形で決められています。  それからもう一つ、器具・容器包装が食品の規格と違うのは、例えば農薬とか添加物 だったらその量が食品の中に入っるのですけれども、容器包装の試験、今回のガラス、 陶磁器、ホウロウ引きの場合、4%酢酸で一晩放置して溶出してきた鉛とかカドミを調 べるということです。これは実際の食品に移行する量ではないんです。実際の食品でこ んなに厳しい条件になるということは、非常に珍しい例で、4%酢酸というのは、普通 のお酢そのままという量なんですけれども、お酢を入れて24時間置いておくというよう な使用例は余りない。  こんなに厳しい条件ではなく、実際の食品程度の条件で測るとしたら、恐らく溶出し てこないです。ではそういう規格値を決めるというやり方もあるんですけれど、ISO としては、不良品があったら、もし鉛が少しでも溶出する可能性があったら、それは外 しましょうということで、非常に厳しい試験をしています。そのため、この規格値とい うのは、こんなに高い数字と思われるかもしれないけれど、実際に鉛が入っているもの をチェックするための厳しい試験で溶出してくる数字であって、食品に移行する量では ないのです。今回の規格値というのは、普通にリスク評価から考えると、どうしてこう いう数字になるんだろうかと思われるかもしれませんが、そういうISOの考え方で決 められたものです。  今回、改正を考えるときに、このやり方に従うか、また別のやり方でいくかというの を検討したのですが、やはり海外との整合性ということも非常に重要だろうということ になり、ISOに準拠するが適当とい結論した次第です。   ○牛尾参事官 御質問をいただいた方は、よろしいでしょうか。 ○   ありがとうございました。 ○牛尾参事官 済みません。私の勘違いで器具・容器包装があと一問残っていました。 玩具はその後にしたいと思います。  他の規格との整合性についてということで、先ほども御指摘がございましたが、CE 規格との整合性がとれなかったのかという御質問がございます。これは、束野補佐の方 でよろしいですか。 ○束野補佐 玩具につきましては欧州の規格と日本の食品衛生法の規格との整合性がと れなかったかという御質問ですけれども、規制のあり方を見ますと、基準値を設けると いうことと、その基準値に合っているかどうかを確認する適合性評価という手続きの両 方の側面から考える必要がございます。  欧州の場合は、規格基準は精密に厳しく設定されているんですけれども、先ほどの日 本玩具協会の津田専務の御講演の中にもありましたとおり、欧州は自己適合宣言という ことで、必ずしも第三者認証になっているわけではございません。  片や日本の場合、輸入品に着目しますと、事実上の第三者認証で輸入時に食品等輸入 届出書に添付する資料として、適格基準に適合していることの試験検査成績書を添付す るということがございます。  こういった観点から考えますと、例えば塗膜の重金属8元素等につきまして、日本で 設定していない残りの5元素につきましても、全部入っている可能性はほとんどゼロに 近いんですけれど、それを全部すべて検査を義務付けてしまいますと、コスト、検査機 関のキャパシティの問題とかいろいろございまして、現実的ではないということで、規 格基準プラス適合性評価手続きという両方を考えますと、そういった現実的な対応をと らざるを得ないかなというふうになっております。 ○牛尾参事官 御質問をしていただいた方はよろしゅうございますか。 ○河村室長 追加させていただいてよろしいでしょうか。  今束野補佐の方から御説明があったんですけれども、EUの8元素、これはISOの 規格も同じで、鉛、カドミウム、ヒ素のほかに水銀、クロム、バリウム、アンチモン、 セレン を規定しています。  例えばSTマークの試験をしていらっしゃるところでは、毎年輸入品を何千検体も測 っていらっしゃるんですけれど、どういった元素に違反が出るかというのをまとめてい ただきました。その結果、違反になるのは、ほとんどすべてが鉛でした。    基準の1/5や1/10程度溶出するものというふうに調査をしていただいても、やはり 大部分が鉛で、一部カドミウムがあったということから、規制としては、鉛とカドミの 規制がまず一番だろうと。  あとバリウムが時々溶出するのですけれど、バリウムは、皆様御存知のように、胃の 検査で飲んだりするもので、安全性の面でそれほど問題はないので、基準値も非常に高 い値でした。1000mg/kgとISOでは定めているのですけれど、こういったものは、必 ずしも食品衛生法に入れる必要はないのではないかということもありまして、鉛とカド ミウム、それとヒ素、おもちゃの場合はヒ素が非常に重要だと食品衛生法では考えてお りますので、その3元素を規制するということで、食品衛生法としては十分ではないか ということで規格が設定されました。 ○牛尾参事官 ありがとうございました。よろしいでしょうか。  それでは次の御質問に行きたいと思います。せっかく業界の方からも出席をしていた だいていますので、その関係の御質問を取り上げたいと思います。  「業界全体でのレベルアップについての取組みについて」ということでございます。 この御質問の内容ですけれど、いわゆるいろんなおまけがございますね。「おまけにつ いては、外部に委託しておりますが、業者が食品衛生法並びに関連法規を理解していな い現実がございます。協会での情報発信、啓蒙活動など、業界全体のレベルアップの取 組みについて、興味がございます」というような御質問でございます。これは津田さん の方でよろしいですか。 ○津田専務理事 それでは業界全体のレベルアップということでございますけれども、 日本玩具協会も、今回食品衛生法の改訂、作業は昨年の秋から始まっておりますけれど も、本年の2月、それから10月施工がありましたので、直前、9月ですけれども2回に わたりまして、東京と大阪でそれぞれ2時間、延べにしますと6回ですけれども、セミ ナーを食品衛生法関係で開催しております。  参加者ですけれども、延べでこれまた1030人ということでございます。勿論2月と9 月とでかなり内容的にも少し違うこともやりましたけれども、それぞれ2回出られた方 もいるかもしれません。しかしながら2時間の話を聞いたという方が、延べで1030人と いうことでございます。またこういうセミナーの中でできるだけ基準につきましても、 基本的な説明、これについてもするように心掛けております。  お取引のある会社が、余り食品衛生法とか関連法規について理解をされておられない ということでありますけれど、恐らくある程度かなりの会社は、だれかそういうセミナ ーに出席しておりますので、その会社だと、こういうふうに言っていただきますと、恐 らく何々さんが出ておりますというようなところまでわかるわけです。  しかしながら玩具に携わっている方というと、非常に人数も多いわけで、その中の 1000人とかといったところが、それで全部カバーできるかというと、そういうこともご ざいませんでしょうし、社内の中でやはりこういった話、食品衛生法なり関連法規のと ころ、それぞれ会社に持ち帰って、またその中でいろいろと周知していただくというこ とが大事なのではないかというふうに思います。  それとST、私どもが、直接コンタクトができる会社というのは会員、それからST マークの契約会社、522社ございますけれども、そういった会社であります。大体市場 の7割ぐらい、STをつけられる商品の7割ぐらいはSTマークがついているのではな いかというふうに思います。  残り、STを取り扱っていない会社でありますとか、雑貨といったような会社であり ますと、直接、私ども協会と接触する手立てはないような場合もございます。  いずれにしろ、だんだんときいてきて、品質管理を担当しているとか、安全管理を担 当している人は、理解するんでしょうけれど、更にその先、その先と行きますと、例え ば基準の中身も過マンガン酸カリウムの消費量かというような話になってくると、水の 電気分解で聞いたなというくらいの感じになってしまって、関係ないやと思ったりする と、ちょっとそこまで届くまでに、何回かいろんなことがあるかもしれませんけれど、 しかしながら今後玩具を取り扱っていく上で、食品衛生法内の改訂、またSTの基準等 につきましても、かなり基礎的な知識になってこようと思います。  私どもの協会の中でのプログラム、いろいろ研修プログラムとかセミナーとかござい ますので、そういう中で機会をとらえて、周知をしていきたいというふうに考えていま す。以上です。 ○牛尾参事官 御質問をいただいた方、よろしいでしょうか。  それでは次に指定おもちゃの範囲、区分について何問か御質問をいただいております ので、一括して御紹介させていただきます。「指定おもちゃの範囲区分について、おも ちゃの中の指定おもちゃとそのほかのおもちゃ、遊具、遊戯具、乗り物遊具、雑貨の区 分基準を知りたい。」それから「指定おもちゃに該当するのか、あるいは該当しないの かという点が曖昧ではないか。」「知育玩具と教育用玩具の区分基準があれば教えてく ださい」ということで、いずれも指定おもちゃの区分、あるいは範囲というものについ ての御質問を2〜3、いただいております。一括して、これは厚生労働省の方からお答 えさせていただきます。 ○束野補佐 まず最初の遊具、遊戯具、乗り物遊具、雑貨の区別ということなんですけ れど、上半身だけでなく、全身を使って遊ぶものは、遊具、遊戯具に類するものとして 整理をしております。  乗り物の形をしていて、その上に実際に幼児がまたがって遊ぶようなものは、この考 え方でいきますと、乗り物玩具ではなくて、遊具、遊戯具に類するものとして整理して おります。  雑貨は、遊ぶ目的以外の目的で製造されているものということで、遊ぶ目的を持って 製造をされているものがおもちゃという整理にしております。  ただ先ほどのように、遊具、遊戯具に類するようなものは、この食品衛生法の規制の 対象外としております。  後半、該当、非該当の区分についてということと、知育玩具と教育用玩具の区別をど のようにつけるかという御質問ですけれど、例えばしつけ等の習慣づけやあるいは文字、 そういったものの学習等の目的を持って開発、設計、製造されたものが教育玩具という のにあるのに対して、知育玩具は、こういった目的ではなく、一般的に視覚、聴覚、触 覚等を刺激して、乳幼児の知育の発達を促進するのに資することを意図した玩具という 整理になっております。  しつけや文字の学習等の目的は、こういった知育玩具には一義的にはございません。  以上が御質問に対する回答でございます。 ○牛尾参事官 ありがとうございます。今の質問と回答に、若干関連した質問をいただ いておりますので、紹介させていただきます。  今日は実は資料としまして、参考資料2から2−4がおもちゃ及びおもちゃの規格に 関するQ&Aということで、これはまたお持ち帰りいただいて読んでいただければと思 います。「Q&Aは詳しく書かれていますが、やはり具体的なおもちゃで示していただ かないとわかりにくい。写真などを入れていただけないでしょうか」という御質問、あ るいは要望というふうに考えた方がいいんでしょうか。  これにつきましては、津田さんの方でよろしいでしょうか。 ○津田専務理事 このQ&Aは厚生労働省の方でつくられて、厚労省のホームページに 出ているものでございますので、ここに図とか写真とかを入れていただくということに なりますと、厚生労働省の方で作業をいただくということになるんでしょうけれども、 ただ一般的な話になりますけれども、私どもの方でも、6歳以上の対象年齢で、基本的 には食品衛生法の乳幼児ではない人たち相手のものでも、今回、食品衛生法の対象にな るといったことの解釈が、厚労省から示されましたので、私どものホームページでも、 その例を写真をつけて、これが食品衛生法に該当する、しないというものの資料、31点 ほどの商品を、日本玩具協会のホームページに出させていただいています。  そのときに写真をつけるということについて、やはりかなり版権の問題がありまして、 半分ぐらいの商品については、ホームページに出していただいて結構ですということだ ったんですが、半分ぐらいはやはりちょっと版権との関係で出すのは控えたい。したが って名前も出せないといったようなケースもありますので、そういう点があるというこ とについては、これはコメントということになりますけれども、コメントさせていただ きたいと思います。  ただ、Q&A自体は、厚生労働省のものでございますので、厚生労働省の方で、写真 なり絵にするか、そういったことは御判断いただくことだろうと思います。 ○牛尾参事官 ありがとうございました。指定おもちゃの範囲、区分、及びQ&Aに関 しての要望について、答えさせていただいたところでございますが、御質問をいただい た方、よろしいでしょうか。  それでは次の問題に移りたいと思います。分析方法につきまして、2つほど御質問を いただいております。「食品衛生法の着色量の溶出試験において、サンプリング方法が、 Q&A集だけでは、わかりかねる試料が依頼されます。サンプリング方法をもっと明確 に、また実演していただければと思います。また今後、不明なことがあれば、どこに問 い合わせたらよいか、教えていただければと思います。」  「おもちゃの重金属、着色料について、日々試験を行っておりますが、サンプリング 方法について、Q&A集を読んだだけではわからないことが多々あります。したがって 具体例だけでなく、その根拠となるような原則論を体系的にまとめたものを提示してい ただけると、助かります。また、試験について疑問点がある場合の問い合わせ先を、公 開していただきたいと存じます。」というふうな御質問でございます。これは束野補佐 の方で。 ○束野補佐 御質問をいただいた方が、検査関係のところというふうに理解しておりま すので、実際に検査をして発行した証明書の用途から考えますと、輸入品の届け出に添 付するというようなことがあろうかと思います。最終的にそういう試験方法でいいかど うかというのは、検疫所の方の判断になりますので、検疫所の相談窓口を通じてお問い 合わせいただきたいと思います。  検疫所の方で、それについて、実際に本省の方に上げる必要があるということになり ますと、食品安全部の基準審査課の方に参りますので、直接、基準審査課の方に聞いて くれということであれば、こちらの方にお問い合わせいただければと思います。以上で す。 ○牛尾参事官 よろしゅうございますでしょうか。それでは次の質問に移りたいと思い ます。  次にいただいた質問は、必ずしも今日の中心的な主題ではないのでございますけれど も、ほかの化学物質に関する規制の方向というふうな御質問をいただいております。こ れは非常に重要な問題ですから、御関心をお持ちだろうということは、よく理解できま す。  「今後、ほかの化学物質規制の方向性、具体例としましては、ビスフェノールA、フ タル酸エステル等の説明をお願いします。あるいはポリカーボネードに関する今後につ いて、考え方を御説明ください」ということで、今日の主題ではないので、簡単に。説 明をし始めるとこれは非常に時間を要すると思いますが、簡単に御回答させていただき たいと思います。  これはまず束野補佐の方ですね。 ○束野補佐 まず、ビスフェノールAについては、今年の7月8日付で低用量暴露が人 の健康に及ぼす影響について、食品安全委員会の方に食品健康影響評価を依頼させてい ただいたところです。今後その結果をもとに、食品衛生法における規制の見直しなど、 必要な対応を行うこととしております。  また、米国、カナダ、EU等における今後の国際的動向を含め、国内外における必要 な情報の収集を行っているところです。  こういった情報につきましては、厚生労働省の食品安全部のホームページのところに Q&Aも公表していますので、御参考にしていただければと思います。  2点目はフタル酸エステル類のことについてですけれども、先月11月5日に開催され ました器具・容器包装部会におきまして、フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱い について、御審議いただいたところでございます。その結果、11月5日で完結したわけ ではございませんで、今後また御審議いただくものと思いますが、そういった御審議の 結果をもとに、食品衛生法ではどういった規制のあり方とすべきか。規制の見直しなど、 必要な見直しを検討したいと思っております。  なお、米国では6種類のフタル酸エステル類の規制が、来年2月から実施されること になっておりまして、EUでは既に同様の規制が実施されておりますので、そういった ことも念頭に、対応を急いで検討していきたいと思っております。以上です。 ○牛尾参事官 河村室長の方から、何か補足はよろしいですか。ありがとうございます。 御質問をいただいた方、よろしゅうございますでしょうか。  いずれもこれらの物質につきましては、厚生労働省でも食品安全委員会と検討を開始 しているところでございます。  それでは大分時間が迫ってまいりましたので、もう一つ、どうぞ。 ○   ありがとうございました。ちょっと、ビスフェノールAについて、Q&Aが非 常に丁寧に書かれておりましたので、フタル酸のことに関しましても、ほかの4種規制 されているEU、アメリカ、それに関してまたああいう形で、Q&Aみたいな形で提示 されるとありがたいと思っております。 ○牛尾参事官 ありがとうございました。  最後にもう一つに質問をいただいております。質問というか、要望というか苦情とい った方がいいかもしれません。  輸入時の検査に対する意見ということで、「10月より輸入検査の時間がかかりすぎて 納品、製品納期に支障を来すケースが増加している」ということ。だからどうしてくれ というのは、何とか答えにくい問題なのですが、何か言えますか。 ○束野補佐 これにつきましては、当事者でない方もこの場におられようかと思います ので、若干、背景説明も含めて御説明しますと、食品衛生法に基づきますいろいろな検 査の中に、命令検査とかいろいろなものがあるんですが、そういった検査を行う際に、 大臣の方に登録した登録検査機関というものが、登録した分野について行うことになっ ております。  一部の登録検査機関で、実際に検査が行われていないにもかかわらず、証明書を発行 してしまったというようなことが、今年ありました。それはおもちゃの分野とかではな いんですけれども、そういったことがあったことも影響して、検査機関の検査の運用に 対する、非常に厳密な取り扱いということが、以後ありました。具体的には、1日に処 理する件数のシーリングといますか、上限をきちんと守っているかとか、いわゆるGL Pに相当する部分はきちんとやられているかについて、証明書に記載を求めたり、ある いはそれに適合していないところの成績を輸入時に受け付けないとか、そういったよう な、非常に厳密な対応がとられたということも、ひとつこういった検査時間がかかるこ との状況の背景にあったと思います。  それに対する対策として、どういったことを行ったかということにつきましては、実 は登録検査機関は、全国に90強あるんですけれども、そのうち玩具を検査できるところ は、約1/3程度、手を挙げていただいています。それ以外にも、例えば玩具の検査のう ち、比較的簡単にできるものとして、着色料の溶出試験のようなものがございます。こ れは必ずしも高価な分析機器とか特殊な分析技術がないとできないといったものではご ざいませんで、そういった項目によっては、通常はうちの検査機関では、例えば食品し かやっていないけれども、その検査だったらできるというところがないかどうかという ところ、食品衛生登録検査機関協会さん等の御協力もいただきまして、アンケートをし ていただきましたら、幾つかの検査機関では、そういった検査であれば受けていただけ るということで、手を挙げていただいたところもございます。  こういった情報につきましては、日本玩具協会さんの御協力を得まして、玩具協会さ んのホームページで、更にこういうところの検査機関で検査ができるようになりました とか、あるいは海外であれば、今度からこういったところも受け付けられるようになり ました。いわゆる輸出国の公的検査機関のうち、日本の玩具規制等に精通していて、ル ーチンでやっていて非常に詳しいところの情報もホームページ上で掲載していただいて いますので、そういったところをごらんいただきますと、待ち時間についても、調査時 点での数字ですが、こういう項目だったら何日でできるということも含めて掲載されて おります。  一つ念のため補足させていただきますと、そういった情報は調査時点での数字ですの で、必ず実際に検査を依頼される際には、現時点で何日ぐらいになっているかとか、あ るいはその検査機関が発行してくれる証明書を、実際に貨物が届く空港や港の検疫所で 受け付けてくれるかというところまで確認した上で、検査の依頼をしていただければと 思います。  以上です。 ○牛尾参事官 ありがとうございました。よろしゅうございますか。  どうぞ。 ○   すいません。今の件について補足の説明をお願いしたいんですけれど、実際、 Q&Aが3回発行されまして、検査機関さんの方がすべてのおもちゃに対する検査を始 められるという状態になったのが、大体8月末から9月に入ってからだと思っておりま す。  そこからこれだけあるおもちゃ会社の方が検査を始めて、10月1日から、どういった 形であれ、輸入できないということの施策自体は、成功だったのか、失敗だったのか、 どうお考えなのか、ちょっと聞きたいと思うんですけれど、どうお考えでしょうか。 ○束野補佐 検査機関の混雑と、10月1日以降、いろいろなトラブルということにつき ましては、経過措置期間内、9月30日までの輸入品に対しては、10月1日以降も、在 庫がなくなるまで販売してもいいという措置を設けておりますので、そういった経過措 置期間内に必要量の輸入等をしていただけるというふうに考えていたのですが、先ほど 申し上げましたような、実際に検査をしていないものに対して証明書が発行されたよう なこととか。それをもとに、検査機関での運用が非常に厳格になったということは、こ ちらとしても予測外のことだったので、そういった面も総合的に見ますと、いろいろな ところで予定外のところで困難というんでしょうか、そういう事態が生じているという ことは、そのとおりだと思います。 ○牛尾参事官 済みません。予定していた時間になりました。まだ御意見はあるかと思 いますが、一応これぐらいでパネルディスカッションは終了させていただきたいと思っ ております。申し訳ございません。  では手短にお願いします。 ○   私は資料2の25ページを見ていました。それでISOの8124の3、ENの71 の3というのが、いつだったかわからなかったので質問をしました。  それともう一つ、EUの自己宣言というのは、もしそれがだめだったら、その企業は、 マーケットから撤退していただくということなんです。これは日キ連の事務局長さんも よく言われていることです。ただ第三者に責任を負いかぶすんじゃなくて、自分自身が やると。もしだめだったらマーケットから撤退していただくという非常に厳しいものだ ということを言われていますので、その点を認識していただきたいと思います。以上で す。 ○牛尾参事官 ありがとうございます。  それでは司会の方に。 ○   教えてください。23ページの、言っていただけませんでしょうか。 ○河村室長 ISO8124の3は1997年です。EN71の3は最後に改正されたのは2005 年です。 ○   8124の3も。 ○河村室長 一度しか出ていません。1997年に出ただけで、改正はされていません。 ○牛尾参事官 それではどうも4人のパネリストの方、ありがとうございました。これ でパネルディスカッション、時間がちょっと足りませんでしたが、終了させていただき たいと思います。 ○事務局(北村) ありがとうございました。本日は皆様からさまざまな御質問、御意 見をいただきまして、誠にありがとうございました。また長時間にわたりまして、円滑 な運営に御協力をいただきまして、どうもありがとうございました。  以上をもちまして、「器具・容器包装、おもちゃの規格改正等に関する意見交換会」 を閉会いたします。またアンケートの御協力、どうぞよろしくお願いいたします。  本日はどうもありがとうございました。皆様、お気をつけてお帰りくださいませ。   照会先 食品安全部企画情報課 03-5253-1111 内線2493,2452