08/10/29 平成20年10月29日特別用途食品制度の見直しに関する説明会議事録 「特別用途食品制度の見直しに関する説明会」議事録     日時:平成20年10月29日 14:00〜16:00     場所:新梅田研修センター 705号室(大阪市福島区)     ○司会(北村)  皆様、こんにちは。本日はお忙しい中ご出席いただきましてどうもありがとうござい ます。  ただ今から「特別用途食品制度の見直しに関する説明会」を開催いたします。  私は本日の司会役を務めさせていただきます厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情 報課の北村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、厚生労働省大臣官房参事官の牛尾よりご挨拶させていただきます。よろ しくお願いいたします。 ○牛尾参事官  皆さん、本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。  本日出席の皆様方は、約半分がメーカーの方、半分が地方自治体の方でございますの で、大体制度についてはご案内いただいているかと思いますが、文字どおり乳児、幼児、 病者用といった特別の方に対する食品表示制度というのが健康増進法で定められている わけでございます。とはいえ、その前身の栄養改善法からそのまま引きずっている制度 でございますので、その間様々な状況の変化がございます。例えば、栄養機能表示の問 題であるとか、あるいはその間日本が非常に高齢化してきて、医学、医療あるいは栄養 といったものが進歩してきたということがございます。そういったことを受けまして、 ちょうど一年前にこの特別用途食品制度のあり方に関する検討会を開始いたしまして、 本年の7月、その答申と申しますか報告書を受けたところでございます。我々といたし ましては、一部経過期間を残しておりますけれども、この報告書に基づく制度を来年の 4月1日から開始したいと思っているわけでございます。  そういう意味で、今日はまず検討会で行われた議論、あるいは新しい制度というもの についてご説明させていただき、そして臨床現場から見てこの特別用途食品の持つ課題、 あるいは現状というものについても同時にご説明させていただきたいと思っております。  制度が変わるというのは、どうしてもそのときに様々な混乱を生じる可能性がござい ます。先週東京会場でこういった意見交換会、説明会を開催させていただきましたが、 我々が想像もしていなかったような質問もあったわけでございますが、どんなことでも 結構でございますので、疑問に思っていることがあれば、是非ご質問していただいて、 解消していただければと思っております。  なお、一昨年ぐらいから、特に賞味期限、消費期限といった期限表示の問題に端を発 しまして、表示制度一元化というのが消費者庁の中に移管される予定になっています。 もちろん消費者庁は食品の表示の問題だけではなくて、ガス湯沸器の問題であるとか、 金融の問題とか、そういった様々な問題を含んでいるわけでございますけれども、食品 の表示については消費者庁の方で一元化するというのが政府の方針となっております。 ところが、ご案内のとおり現状の政治状況では、来年度中に消費者庁が設置されるかど うかというのはちょっと不安定な、不明確な状況になってまいりました。いずれにしま しても、消費者庁がこの表示問題を担当するのか、あるいは消費者庁にまだ移管できな ければ引き続き我々の方で担当することになるわけでございますけれども、良い制度に して、この制度を定着していきたいというのが我々の思いでございます。そういう観点 からぜひ制度をよくまず理解していただきたいと思っております。どうぞよろしくお願 いいたします。 ○司会(北村)  どうもありがとうございました。  それでは、配布資料の確認をお願いいたします。机の上に封筒に入った資料をお配り しておりますけれども、まず一番最初に1枚紙で「特別用途食品制度の見直しに関する 説明会」というものが入ってございます。その次に資料1で「特別用途食品制度の見直 しについて」というパワーポイントの資料になってございます。その次に資料2で「臨 床現場から見た特別用途食品について」という、パワーポイントの資料になってござい ます。次に、参考資料としまして、「特別用途食品制度のあり方に関する検討会報告 書」というものがございます。その次に「賢く選ぼう 健康づくりのための食品の表 示」というパンフレットが入ってございます。一番後ろにアンケートを同封させていた だきましたので、お帰りの際にご協力をお願いしたいと思います。資料に不足がござい ましたらお手を挙げてお知らせいただければと思いますけれども。よろしいでしょうか。 途中でお気づきになられた方は係の者にお知らせいただければと思いますので、よろし くお願いいたします。  続きまして、本日の進行について説明いたします。まず最初に、厚生労働省新開発食 品保健対策室の衛生専門官の調所より、特別用途食品制度の見直しについて40分程度ご 説明いたします。次に、医療法人川崎病院外科総括部長の井上先生より、臨床現場から 見た特別用途食品について30分程度ご説明いたします。その後、10分程度の休憩を挟み まして、質疑応答に移りたいと思っております。なお、終了は午後4時を予定してござ います。  また、参加者の方のご迷惑となりませんように、恐れ入りますが、携帯電話のほうは 電源をお切りになるかマナーモードとしていただきますようにご協力をお願いいたしま す。  それでは最初に、厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室 衛生専門官の調所より、特別用途食品制度の見直しについて説明いたします。よろしく お願いいたします。 ○調所専門官  ただ今紹介にあずかりました、私、厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開 発食品保健対策室の調所と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。  本日は特別用途食品制度の見直しについてということで、昨年の11月から我々厚生労 働省の中で特別用途食品の制度の見直しに係る検討会を実施しておりまして、その報告 書がこの7月に公表されました。それを受けまして、我々も新しい制度をつくるという ところで、通知等を見直すという中でのご説明を本日させていただきたいと思っており ます。  本日来られてる方は事業者の方と、また行政関係の方ということで、皆さん制度もご 存じの方もおられると思うんですけれども、特別用途食品制度というところ、初めての 方もおられると思いますので、まず特別用途食品制度の現状というところでご説明させ ていただきたいと思っております。  まず、特別用途食品とはということでございますが、こちらに書いてますように、乳 児、幼児、妊産婦、病者などの発育、健康の保持・回復などに適するという特別の用途 を表示して販売する食品を特別用途食品といっております。  皆さん、このマークは違うんですけれども、特保と呼ばれている特定保健用食品も法 律上は特別用途食品の一類型となってございます。  特別用途食品として販売するには、特別の用途に適する旨の表示について、厚生労働 大臣の許可又は承認を受けなければならないとなっております。許可と承認の言葉の使 い方なんですけれども、国内で生産されたものに表示をするというところでとるものに つきましては許可ということ、また、外国でつくられたものを日本で表示するというの を承認ということで言葉を使い分けてございます。  その特別の用途に適する旨の表示というのは、乳児、幼児、妊産婦、病者等の発育又 は回復の用に供することが適当な旨を医学的、栄養学的表現で記載し、かつ、用途を限 定したものをいいます。だから、あくまでも幼児用とかそういったことだけを表示する というのは、これは特別用途とみなさないということになっております。  表示の許可に当たりましては、許可基準があるものについてはその適合性を審査して、 許可基準のないものについては個別に評価を行っているというものでございます。  まず、おさらいということで、健康に関する食品の表示制度というところで一つまと めてみますと、基本的に今回の関係してくるものがこの特別用途食品ということで、健 康増進法第26条というところと、施行規則第11条に載っているところでございますが、 こういったものに「糖尿病の方に適する食品です」とか、「腎臓病者用食品」と、こう いったものを、特別な用途を表示するというのが特別用途食品。先ほど言いましたよう に、この中には特定保健用食品、「体脂肪が気になる方へ」とか、「おなかの調子を整 える」と、こういった表示をするというものも特別用途食品のひとつであります。  もう一つ、特別用途食品と同じグループになるのでダブっておりますけれども、保健 機能食品という制度がございます。これはこの特別用途食品の中の特定保健用食品と、 ビタミン、ミネラル等の栄養成分の機能を表示できるという制度、栄養機能食品、「カ ルシウムは、歯や骨の形成に必要な栄養素です」、「ビタミンAは、夜間の視力の維持 を助ける栄養素です」、こういったものが表示できるという保健機能食品制度というの もございます。  こういったもの、特別にする表示以外に、また健康に関する食品表示としましては、 そもそもその食品の栄養成分表示というものがございます。これは熱量を表示したり、 たんぱく質の量、含有されてる栄養成分の表示をしたり、またそういったものの強調表 示、この食品にはカロリーが少ないんですよとか、食物繊維がたっぷり入ってますよと、 こういった栄養成分表示というところのものがあり、健康に関する食品制度というもの があります。  一応ここのところで、一般にこういった、栄養成分表示というのは食品全般になされ るものなんですけれども、特別用途食品と栄養機能食品、これら保健機能食品は、健康 な人の体の調子を整える機能を持つ、通常の食品に機能性成分を添加した等のものを対 象として、それ以外の特別用途食品となりますが、病気とか特別な用途の旨のものに関 してされるものということになってございます。  その特別用途食品なんですけれども、これは一つ一つ厚生労働大臣の許可を受けなき ゃいけないということでございますので、今現在審査の手続としますと、申請者が保健 所等都道府県を通じまして厚生労働省の我々新開発食品保健対策室に申達してきたもの を審査するというような形でございます。規格基準等がございますものは、我々室で対 応するんですけれども、それ以外の規格基準のないものにつきましては、特別用途食品 評価検討会というところで、個別評価型なんですけれども、そういったものはこういっ たところで適否を依頼して、その結果をいただいて、それで許可を出しているというよ うな形でございます。  それと並行しまして、実際その申請されたものが本当にそういった成分が含まれてい るのか、内容量が同等なのかということを確認するために、サンプルとしまして独立行 政法人国立健康・栄養研究所または登録試験機関におきましてそのものを分析いたしま して、内容と一致しているという試験成績書をいただいて、それが一致していれば許可 が得られるという、こういった手続になっているというところでございます。  この特別用途食品制度なんですけれども、昭和20年の栄養改善法のところからできて ございます。そのころ、一番最初のときは特殊栄養食品ということで、その食品につき まして、栄養成分等が補給ができる旨の表示、また特別の用途に適する旨の表示という ものが、こういったものを許可するのには大臣許可が必要でありました。このころは栄 養成分表示というものがございませんでしたので、そういった普通の食品と比べて優秀 な食品につきまして、その内容が表示事項とあっているのかどうなのか、そういったも のを保障するというところで、消費者が安心して入手できるように考慮したものでござ います。  このところには、昭和38年に妊産婦、また48年に病者用食品、57年に乳児用調製粉乳 の表示許可基準が定められて、その後現在に至るまでほとんど変更されていないという 状況でございます。  また、平成3年には特殊栄養食品というものの中のカテゴリーの中の特別用途のほう ですね、こちらのほうの中に特定保健用食品という特保の制度ができたということでご ざいます。  その後、平成6年には病者向け特別用途食品に高齢者用食品を追加したということ。  それから、その後には、平成8年ですね、栄養表示基準というものができました。今 まではそういった何か強調表示をするということであれば、特殊栄養食品として表示を していたわけなんですけれども、平成8年からは栄養表示基準というものを創設して、 そういった栄養成分が入っているというもの、そういった強化されているものにつきま しては栄養強化食品というものを廃止いたしまして、そういった強調表示というところ のルールを決めて表示ができるようになったというところで、そのところにはまだ特別 用途食品、特保というものは残ってまして、平成10年には個別評価型という表示許可の 取扱い基準が定められたという、こういった流れになってございます。  現在、特別用途食品の許可区分ということでございます。こちらのほうにあります特 別用途食品というところで、カテゴリーがあるんですけれども、まず病者用食品という ところで、病者用食品の中の許可基準型というのと個別評価型というのがございます。 その病者用食品の許可基準型には病者用の単一食品と組合わせ食品というものがござい ます。単一食品はその字のとおり一つの物質といいますか食品というところでの許可を とるもの、組合わせはいろいろな食材を組合わせて許可をとるものでございます。これ らは許可基準に当てはまっていれば、そういったものが許可がとれる。もう一つ、病者 用食品での許可基準型と別に個別評価型ということで、許可基準のない病者用食品は個 別評価型ということでございます。  それ以外には、妊産婦、授乳婦用粉乳、また乳児用調製粉乳、それから高齢者用食品、 高齢者用食品にはそしゃく困難者用食品、そしゃく・えん下困難者用食品がございまし て、あと特定保健用食品、もちろん個別評価型なんですけれども、こういったものがあ り、特別用途食品の許可区分ということが分かれているということでございます。  そういったものが、10月1日現在ですけれども、どういった食品とどのくらいの数が 許可されてるかということでございますけれども、まず病者用食品というところでの単 一食品ですね、低ナトリウム食品、これは減塩しょうゆとか、ナトリウムをカリウムに 変えたような塩とか、そういった形の食品ということで128ということですね。低ナト リウム食品は高血圧に適する旨とかそういった表示ができるものです。低カロリー食品 というものはエネルギーの低い食品で、糖尿病に適するとかいった表示ができる食品で、 主に甘味料がございます。低たんぱく質食品は、これは腎臓病の患者さん用というとこ ろで、主食である、米飯とか麺とかそういったもののタイプのもので普通のたんぱく質 が少なくなっているもの。低(無)たんぱく質高カロリー食品というのは、ゼリーみた いな食品でたんぱく質を減らすときに、やはり腎臓病の患者さんはエネルギーの確保も しなければいけないというところで、たんぱく質の含まれていない、カロリーが確保で きるような食品になります。それから、高たんぱく質食品というのは、たんぱく質が多 く含まれていて、表示としましては肝臓病に適するとかそういった表示ができる、昔の 食事療法の考えが残ってるんですけれども、高たんぱくにすると肝臓機能がよくなって いくというような食事療法でありまして、高たんぱく質食品と。アレルゲン除去食品と 無乳糖食品というのは、食品からそういったアレルゲン等、また乳糖を除去したもので、 ミルクなんかが主になってございます。これが病者用食品の単一食品。  それから、病者用食品の組合わせ食品というのは、項目があって許可されていないも のもございますが、ほとんど糖尿病食調製用組合わせ食品というものでございます。成 人肥満症食調製組合わせ食品では5製品ございますけれども、これらはいろんな食材を 組合わせて、冷凍食品とかレトルト食品ですね、そういったものになっていまして、糖 尿病の食事療法していく上でエネルギー等管理された食事というところで、いろんな献 立等がございますので、数は多くなっているというような状況でございます。  それから、病者用食品でもう一つは個別評価型というので6製品あります。これは許 可基準型じゃなくて個別評価ということでございますので、今現在あるのはアトピー、 また潰瘍性大腸炎、あと熱中症とかにより水分が失われたときの水分補給とか、そうい ったものが許可されている状況でございます。  それから、病者用食品以外には乳児用食品ということで、これは粉乳、ミルクですね、 母乳代替食品ということで、母乳の代わりになるというような、粉ミルクがございます。 妊産婦用食品というのは、これはそういった妊産婦さんの栄養補給といいますか、鉄分 とかそういったものが不足しますので、そういったものを補った粉乳。高齢者用食品と いうのは、そしゃく困難またはそしゃく・えん下困難者用に対応する、そしゃく等、ま たえん下がしやすいような食品というところで許可をしてまして、これらを全部合わせ まして、10月1日ですけれども、512の製品があると。特別用途食品は、何度も言いま すけれども、特定保健用食品も含みますので、特定保健用食品796ございまして、今現 在特別用途食品としては1,308あるということですね。今回取扱ってる特別用途食品の 制度の中では512の製品があるということでございます。  そういったものが今市場にあるわけですけれども、そういったものが今現在使用の実 態調査というところで、平成18年度厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事 業というところで、日本栄養士会の会長であります中村丁次先生が医療施設における病 者用食品の使用状況調査から見る特別用途食品制度のあり方に関する研究というものを 実施しております。その中で、病者用食品を使用していますかというような質問なんで すけれども、この病者用食品というのが特別用途食品のみを指してるわけでなくて、病 院等で医療用食品として使われているもの全体を指している言葉だとご理解いただけれ ばと思います。また、これらは実際の消費者の調査ではなくて、そういったものを使っ ている病院等での栄養士さんとかそういった方に聞いている結果でございます。  そういった結果の中では、実際そういったものを頻繁に使用すると回答された方が 52.5%、また、ときどき使用するということで42%、ほとんど使用しないが5%という ところでございますので、こういった特別用途食品に限らず病者用、医療用の食品とい うのはそういったところではかなり使われているというような結果でございます。  何らか食事療法に対する有効性といいますか効果があるということで、こういったも のが選ばれて使われているということなんですけれども、その中身につきまして、病者 用食品を選択する際に、特別用途食品であるかどうかを考慮しますかというところで、 先ほどと同じ方々に確認したところ、国の制度である特別用途食品、人形マークがつい てるものを考慮するかというと、考慮するというのが40%弱で、考慮しないというのが 60%強あったということでございます。だから、こういった食品を選ぶときは、医療用 途の食品を選択するのに特別用途食品であるかどうかは余り考慮されていないと。実際 こういった考慮されてない方というのは、どういったことで考慮してないんですかとい う問いでございますと、企業さんの表示を信じているというところで、実際には、別に 国がそういったものを表示しなくても、企業さんがつくってるものを信じていますよと いうところで、余り考慮していないという意見が多かったということでございます。  こういったいろんな特別用途食品というところと強調表示というところがあり平成8 年に栄養表示基準ができたわけですけれども、これを整理してみますと、こちらのほう の形になってございます。まず、左側に特別用途食品というところで、これは個別に大 臣の許可を得るものでございます。右側は栄養表示基準としまして、これは別に審査手 続等なく、基準に従って、ルールに従って表示してもらう内容ということでございます。  まずナトリウムでありますと、これは病者等の栄養管理として、ナトリウムが通常の 食品の50%以下であれば、高血圧に適する病者用の特別用途食品である旨が表示できる ということであります。これにつきまして栄養表示では、ナトリウムがある一定量少な ければ、100グラム当たり120ミリグラム以下であるということ、もしくは同じものと比 べてこれだけ量が減っていれば低ナトリウムというような表示が可能であるということ です。カロリーにつきましても、特別用途食品であれば通常の50%以下であるというこ とが条件でありますけれども、それに適合していれば、それだけで糖尿病に適する病者 用特別用途食品である旨が表示できるということでございます。それに対しまして栄養 表示基準では、100グラム当たり40キロカロリー以下であれば低カロリー食品と。よく 最近こういった低カロリー食品というのがコマーシャル等でも売られていますけれども、 栄養表示基準ではこういったルールであるということです。  それから、特別用途食品では、低い旨をうたうところでたんぱく質というものもござ います。これも通常の食品の50%以下であれば、腎臓疾患に適する病者用特別用途食品 である旨がうたえます。ただ、たんぱく質につきましては、栄養表示基準ではたんぱく 質というのが国民にとって、これが不足すると問題でありますが、逆に、しっかりとら なきゃならない栄養素となってます。ということは、わざわざ低くする必要がないとい うことなので、たんぱく質が低いとうたう、そういった基準は設けていないということ でございます。  あと、アレルゲンとか乳糖につきましても、これも通常健康な方であれば、何もある 物質を取り除いたものというのは、特に必要なものではございませんので、そういった 栄養表示基準というところでは、そういった基準等は設けていないということ。ただ、 脂質や飽和脂肪酸、コレステロール、また糖類ですね、糖質ではございません、糖類、 単糖類と二糖類のことを指すんですけど、こういったものは健康な人にとりましても過 剰というものが健康状態に影響を及ぼすということで、やはり低いというようなことを 強調するのであれば、ある一定量以下であるという基準を設けているところでございま す。  それから今度、低いというところじゃなくて、今度はしっかりとろうということでの 高い旨の表示というところでありますと、たんぱく質というところで見ますと、これが 特別用途食品では、通常の2倍以上であるという基準があれば肝臓疾患に適する旨とい うことで、昔の食事療法で肝臓病にはたんぱく質をしっかりとらなきゃいけないという ことがございましたので、今それがちょっと古い食事療法を引きずっておりまして、こ ういった表示ができるという制度。ただ、栄養表示基準では、実際たんぱく質が100グ ラム当たり15グラム以上であれば、たんぱく質が多く含まれているという高たんぱく質 というような表示ができるということでございます。  あと、栄養表示には、不足になってしまいますとそれが問題と、しっかりとっていか なきゃいけないという食物繊維とかミネラル類や、あとビタミンですね、そういったも のについても栄養成分でたっぷり入ってるとか、たくさん入ってますよというのであれ ば、基準が設けられてありまして、それに従って、実際基準に合っていないとそういっ た表示ができないということになってございます。  販売方法とか流通方法も、一応こういったものは特別な用途というところで、今現在 は病院の提携薬局や医師等の紹介により、医師の指示がある場合に限り使われるものな ので、そういったところで売られていて、もちろん普通の栄養表示は一般に売られてい るというような状況でございます。  こういった状況がある中なんですけれども、新しい特別用途食品制度、こういったも のを見直すというところで、、特別用途食品の制度のあり方に関する検討会が去年の11 月から実施されたということでございます。ここに書いてますように、検討会開催の趣 旨としましては、特別用途食品に関する制度が乳児、幼児、妊産婦、病者等の発育、健 康の保持・回復等に適するという特別の用途の表示の許可について定められたものであ り、健康増進法制定前、栄養改善法によって定められた枠組みが基本的に維持されたま まになってるというところで、栄養改善法の古い制度をずっと見直されてなかったとい うことが一つあったということです。  また、高齢化の進展、また生活習慣病の患者の増大に伴う医療費、こういったものも 増えてきてますし、栄養学、食事療法という内容もかなり昔とは違って変わってきてる 部分もあると。そういったものの著しい進歩や栄養機能表示、栄養成分の機能の表示と か、また成分そのもの自体の表示、そういったものの制度も定着しているというところ で、特別用途食品の取り巻く環境がかなり変わってきているということで、こういった ものをかんがみ、改めて全般を見直す、この制度に期待される役割、許可の区分、審査 方法、情報提供のあり方まで、この特別用途食品のあり方に関して全般、何かを追加す る、何かを省くとかそれだけじゃなくて、全体を見直したということになってございま す。  その去年から実施されてます検討会のこれがメンバーでございます。まず、犬伏先生 とかは、ここに書いてあります消費者関係。本日見えられてます井上先生は外科部長と いうことで、濃厚流動とかそういった栄養療法というところの専門の先生。内田先生は 日本医師会、橘川先生は団体ですね、業者の団体さん。小池先生は法律の専門、田中先 生は行政、座長が甲子園大学長の田中平三先生でございます。東洋先生は薬剤師会常務 理事、中尾先生は内科系の専門の先生、それから日本栄養士会会長の中村丁次先生に座 長代理を行ってもらいまして、国際生命科学研究機構の浜野先生、この方は海外のこと に詳しい方です。それから、国立国際医療センターリハビリテーション科医長の藤谷先 生で、えん下とかそういったことに詳しい方。それから、国立健康・栄養研究所プログ ラムリーダーの山田先生で、分析等に得意な先生、こういった方を迎えまして、検討会 を進めたというところでございます。  その検討会、第1回が19年11月21日にありまして、その後いろんな、ここにも本日来 られている会社の方とかのヒアリングなんかもございましたり、いろいろ検討を行った 結果、20年3月に中間取りまとめを公表したところ。その後、各一つ一つのカテゴリー のものにワーキンググループをつくりまして、規格基準案を検討しまして、6回、審査 体制のあり方、7回に検討会報告書について議論いたしまして、ことしの7月4日に特 別用途食品制度のあり方に関する検討会報告書を公表したということでございます。  その検討会の報告書につきまして、概要でございますけれども、何度も言ってました ようにいろんな特別用途食品を取り巻く環境が変わってきて、その制度が栄養管理に適 切な食品が供給されるため制度のあり方についての見直しを行うということ。役割とい うところで、特別用途食品は食品ということでございますけれども、やはりそういった 特別な食品を利用する方が、必要である方がおられるという状況を伴って、やっぱり現 在のところは在宅療養とかそういった栄養管理の持続できる体制づくりも必要なんじゃ ないかと。そういった制度の認知度を高め、必要な食品の流通を図るべきというところ の役割を持って、具体的な見直し内容としましては、対象食品の範囲の見直し、対象者 への適切な情報提供、審査体制の強化というところで具体的な見直し内容が行われたと いうことです。  この中にも、健康増進法に基づく特別用途食品の審査・許可は、新たに創設される消 費者庁が所管する予定も盛り込んで一応報告書というところで7月4日にできたわけで ございます。  その中の新しいニーズに対応した特別用途食品制度の役割ということでございますけ れども、特別用途食品は通常の食品では対応が困難な特別の用途の食品を表示するもの ということで、対象となる者に十分認知されれば適切な食品選択を支援する有力な手段 であるというところでございます。今後ますます高齢化が進展する中、在宅療養におけ る適切な栄養管理を持続できる体制づくりが求められており、特別な用途食品にもこう したニーズの的確な対応が必要。併せて、許可の対象となる食品の範囲について、当該 食品の利用でなければ困難な食品群に重点を図るべきであるということですね。役割と しましては、何でもかんでもこういった許可を与えるということじゃなくて、やはりこ ういった食品の利用でなければ困難な食品群に重点を図るべきということで、めり張り をつけたような形、制度ということでございます。  その中で、今回新しく増えたというところで、総合栄養食品を病者用食品に位置付け たということでございます。治療中や要介護の患者が、通常の食事摂取に困難が伴うか ら経口での摂取が不十分な場合、やはり普通の形態の食事がとれないといったときに、 食事代替や補助として、こういった栄養成分、またもちろんエネルギーを含めて、そう いったものを考慮した加工食品ということ、こういったものが総合栄養食品であると。  総合栄養食品というのは静脈等を使うということではなくて、腸管等を利用するため、 そういった静脈栄養等よりも生理的な栄養補給が可能であると。また、そういったもの よりも長期使用でも栄養成分の欠乏が起こりにくいということで、今病院のところでこ ういった濃厚流動食を使用していて、また在宅に戻られてもこういったものがうまく使 えていくようにというところで、こういった総合栄養食品というものが、病者用である ことを表示させることで認知度を高める一方、専ら病者を対象とする食品であることか ら、栄養成分などの品質の確保を図る必要性も高いということで、総合栄養食品を病者 用食品の一類型として位置付けたということでございます。これらは新しく特別用途食 品として今回増えたものでございます。  今度は、そういった病者用食品の中で、今ある制度、栄養強調表示という関係の整理 も必要ということでございます。ここで、今やはり病者の適切な栄養管理という観点か らいいますと、これは本当に重要なものがやっぱり必要になってくるというところで、 今現在の単一食品では必要な栄養摂取ができないとともに、栄養成分の含有量が低い食 品であっても、結局これを管理をしないでたくさんとってしまえば、それはその病気に とってもよくないことであるということですね。やはり栄養成分表示に基づく的確な摂 取量の管理自体が重要であるということです。いろんな食品には栄養成分表示がありま すので、そういったもので、その食品だけということじゃなくて、全体を見てやはりエ ネルギーを制限するのであれば、そういった観点から全てを網羅して管理をしていくと いうところが重要であると。  栄養表示基準において、高たんぱく、低カロリー、低ナトリウムに関する栄養強調表 示の基準が定められており、代替的な機能を今果たしていることから、特別用途食品の 許可の対象からこの高たんぱくや低カロリー、低ナトリウムに関する特別用途食品とい うのは除外すべきということであります。もちろん低たんぱく質食品、アレルゲン除去 食品につきましては、こういったものは栄養表示基準等ございませんし、こういったも のはそういったものしかとれない、また医療の効果についても重要であるということで、 引き続き病者用食品の対象とすべきということになってるということでございます。  それから、もう一つは病者用組合わせ食品というものですね。これが組合わせ食品と いうところを宅配食栄養指針による管理へというところでございます。在宅療養の支援 という観点、栄養管理などされた食事を宅配で利用できる宅配病者用食品の適正な利用 を推進することが不可欠ということで、宅配食品栄養指針を改訂し、積極的な普及を図 るべきというところであります。病者用組合わせ食品については、宅配食品栄養指針に 基づいた宅配食品の提供という方法によって適切な栄養管理を図ることが期待できるこ とから、引き続き許可の対象とする必要性は乏しいというところなんですけれども、実 際にこういった組合わせ食品というものは、お弁当みたいなものでございます。お弁当 というか、それが食事の代替になっているものがあるんですけれども、言ってみれば今 サンマが豊漁でこういったものの組合わせ食品を病者に向けて販売しようと思っても、 やはりそういったものをとるにはいちいち厚生労働省の許可をとって、大臣の許可をと って販売するというのは、かなりいろんなところで無理があるんではないかと。また、 今病院ではちゃんと食事管理が提供されて、在宅に戻ったときにそういった食事が提供 されない、自分ではできないといったとき、やはりそういった組合わせ食品として存在 の意味というのはすごく重要であるということでございます。でも、重要であるけれど も、そういったいろんな大臣の許可をとるというところまでは、それはないというとこ ろで、今後やはりこういったものは、今現在宅配食品栄養指針というものがありますの で、こういった中に組み入れていこうということで、この宅配食品栄養指針については、 その実効性を担保するための仕組みについて改善を図るべきというところで、今現在こ れはワーキンググループ等での宅配食品栄養指針を今策定しているところでございます。 これの議論が進んで、今後こういった宅配食品栄養指針も、特別用途食品の制度とは別 なんですけれども、同じようにスタートさせていく予定でございます。  それからもう一つは高齢者用食品というところの見直しでございます。これは現行の 高齢者用食品は、そしゃく機能とえん下機能に対応しているというところなんですけれ ども、対象者の個別の症状を勘案しながら対処する必要があるのはえん下機能というこ とで、許可の対象をこれに限定したということです。当該食品区分の名称についてもえ ん下困難者用食品に変更すべきというところで、特にえん下が困難というのは、これは 高齢者だけに限ったものではございませんので、そういった高齢者用食品ということで はなくて、えん下困難者用食品というような、またそしゃくというものはかたさの基準 でございますので、今でも民間の食品とかでも柔らかめにつくった食品というところは、 そういった開発等はどんどんされています。ただ、柔らかさということではなくてえん 下となると、これはやはり比較的難しいものでございますので、このえん下困難者用食 品というものに限って、今後こういったものを特別用途食品の制度に残していくという ような形でございます。  それ以外に、また妊産婦、授乳婦用粉乳というのがございますけれども、こういった ものにつきましては粉乳以外にも様々な栄養源が利用可能である、もちろん栄養機能食 品等そういったものもございます。だから、粉乳だけを許可の対象とする必要性は相対 的に低下してますよというような報告書の内容でございます。  これを一覧表にまとめてみますと、実際には病者用食品、今までは許可基準型という のがございました。その中には病者用単一食品、低ナトリウム、低カロリー、低たんぱ く、低(無)たんぱく質高カロリー食品、高たんぱく質食品、アレルゲン除去食品、無 乳糖食品、こういったものがございましたけれども、こういったものは、低ナトリウム、 低カロリー、高たんぱく質食品は栄養表示基準に基づく栄養強調表示で対応できるじゃ ないか、また病者用組合わせ食品につきましては、宅配食品栄養指針で対応ということ。 あと、高齢者用食品につきましては、そしゃく困難者用食品、そしゃく・えん下困難者 用食品がえん下困難者用食品に取りまとめられるというところで、新しく今度の我々の 報告書を受けての考え方というのは、特別用途食品の病者用食品は許可基準型として低 たんぱく質食品、アレルゲン除去食品、無乳糖食品、それプラス総合栄養食品というの が新たに加わったという形。個別評価型は変わらなくて、あとは妊産婦、授乳婦用粉乳、 乳幼児調製粉乳、えん下困難者用食品というような形になるということが、これが新し い形でございます。  あと、カテゴリーの話ではなく、今度は対象者へ適切な情報提供ということでござい ますけれども、こういったものにつきましては、対象者に的確に選択され、利用され、 適正な栄養管理がなされるよう、医師、薬剤師、管理栄養士による適切な助言指導の機 会が保障されるべきというところで、もちろん病院の中で退院前の栄養教育や栄養ケア ステーションの医療関係者の連携を強化するべきと。また、特別用途食品に関する認知 度も高め、必要な流通の確保を図るために、一定の広告も認めるなど、情報提供の手段 を拡充すべき。販売事業者は購入者に対して的確な情報提供に努めるべき。もちろん正 しい情報で皆さんに情報提供に努めるべきであるということです。もちろんその内容が、 そういったものが表示と違っていれば、それはやはり信用をなくすものなので、表示内 容の真正さを担保するために収去試験、今も実施しておりますけれども、そういった適 正な実施に努めるべきであるということでございます。  それから、審査体制につきましては、やはり特別用途食品というのは乳児や病者、特 別の用途のためのものであるので、慎重な審査が要請されると。その中でも個別評価型 というのは、やはり最近の医学、栄養学的知見に見合ったものであるような審査体制の 強化を図るべきというところで、ここの部分というのは、今後新たに創設される消費者 庁が所管する予定でございますけれども、実際今までの特別用途ということじゃないけ れども、特定保健用食品ですね、そういったもののイメージの形の審査体制と考えてい るところでございます。  これらのほかの基準というものにつきましては、今回資料としてつけてますが報告書、 または今パブリックコメントで提供しています通知案の中にもこういった具体審査基準 がありますので、それを参照していただければと思っております。  それから、あと、消費者庁の問題でございますけれども、この消費者庁設置というの が今現在ありまして、これが消費者を主役とする政府のかじ取り役として主になってい く、これがことしの9月19日に閣議決定されたものでございます。こういったところに 移るところで、実際のところ表示に関する法律、取引に関する法律、安全に関する法律、 また表示を横断的に管理するような形のものとなっているというところでございますけ れども、本日お話ししました特別用途食品というのが健康増進法の中に組み込まれてい まして、健康増進法というのが基本的には表示基準の企画立案執行、これは消費者庁に 移管するというようなことになってございます。消費者庁は表示基準の策定、改正に当 たっては厚生労働省に協議する、この特別用途表示の審査・許可は消費者庁が所管する ということでございますので、今後消費者庁ができたところで特別用途の審査も含めて 消費者庁が所管する内容ということになってございます。  ちょっと早足になってますけれども、今後のスケジュールということでございますと、 今現在パブリックコメントというものを、通知案につきまして実施しております。一応 10月末ということなので、31日まで、これを取りまとめ次第結果を公表する予定です。 また、新制度の規格基準等を制定しまして、21年4月、新制度をスタートするような計 画でございます。もちろん今現在許可をとっているというものもございますので、そう いった従来制度による表示についての経過期間というのを一年間、これは以前のほかの 前例等を見ましても、そういった1年というものがございますので、それを踏まえて一 年というところで経過期間を予定していて、こういったものが22年の4月に終了すると いうところでございます。  現在、20年10月31日、あと少ししかないんですけれども、パブリックコメントを募集 しています。厚生労働省のホームページ、実際にはこのところでありますとパブリック コメントの頭のところに来ますけれども、実際は10月1日から募集してますので、厚生 労働省のホームページのパブリックコメントのところをクリックしていただいて、その 中で10月1日付等のところを見ていただければ、特別用途食品のパブリックコメントと いうものがございますので、皆さん、何かご意見等ありましたら意見を言っていただき たいと思っております。  本日ちょっと最後急ぎ足になってしまいましたんですけれども、私どもが考えており ます新しい制度のご説明、今までのものと加えまして説明させていただきました。ご清 聴どうもありがとうございました。 ○司会(北村)  どうもありがとうございました。  続きまして、医療法人川崎病院外科総括部長の井上先生より臨床現場から見た特別用 途食品についてお話しいただきます。  井上部長は「特別用途食品制度のあり方に関する検討会」のメンバーで、また濃厚流 動食ワーキンググループの主査となっていらっしゃいました。  それでは、井上先生、よろしくお願いいたします。 ○井上部長  よろしくお願いします。  私はこの特別用途食品制度の見直しに関する検討会のメンバーに選ばれたんですけれ ども、多分皆さんの中に『何や、たかが医療法人の部長が何でこんなことするんや』と 思われる方もおるかもしれませんが、総合栄養食品として認めようとしている濃厚流動 食を実際によく使ってるのが日本静脈経腸栄養学会の会員なんですけれども、この学会 の理事をやってまして、この臨床栄養という分野でずっと勉強してきましたので、多分 そういう理由で私が選ばれたんだと理解しております。  今日はどういう話をしようかなと思ったのですが。まず特別用途食品制度に関して、 恐らくドクターの90%以上はこの制度を知らないと思います。実際に栄養士さんがどれ だけ知ってるかというところに問題が来ると思いますけれども。私もこのメンバーに選 ばれて初めて特別用途食品というのがある、ということを知ったのが実は現状なんです。 だから、正直に言いますけれども、病院へ行ってドクターに『特別用途食品制度ってご 存じですか』と聞いても『ほとんど知らない』というのが現状だと思います。  我々が病院で一番よく使っている濃厚流動食、患者用に使っている濃厚流動食という ものが、この制度の中に含まれていなかったというところが、医師が特別用途食品制度 を知らない、一番大きな原因だと思います。その影響だと思いますが、多分この制度自 体に興味がないということも原因だと思います。これは言っていいかどうか、誰かに叱 られるかもしれませんけれども、医師は栄養療法自体に余り興味がない、ということも 重要な理由だと思うんですね。  2000年ぐらいから、私が理事をやっています日本静脈経腸栄養研究会というのが、学 会に変わりまして、コメディカルに学会に参加してもらって栄養療法を積極的に推進し ようという動きが出てきました。それがNutrition Support Team、栄養サポートチーム で、認定制度を学会が導入して、栄養療法に興味ある人たちをもっともっと育てようと いうことで活動を開始しました。2001年の5月には日本静脈経腸栄養学会が把握してい たNST稼働施設というのは12施設しかなかったんですが、その後ブームみたいになっ て、いろんな病院がNSTをつくろうということで盛り上がってきました。今年の7月 の時点でNST稼働認定施設数は1,223になりました。内容はさておきまして、ほとん どの大きな病院では栄養サポートチームというグループが設立されて、患者の栄養状態 を管理しようというふうに動いているというふうにご理解いただいたらいいかと思いま す。  NSTというのは2000年ぐらいから日本でもブームになりかけてるんですけれども、 本当は、私はもともと大阪大学の第一外科にいたんですけれども、そこでは1974年ぐら いから、30年以上前から院内の患者の栄養管理をずっと見ていたのです。それから、天 理よろづ相談所病院もこの栄養管理に関して特別なナースを育てて管理する、というこ とをやってたいんです。その主な対象患者は、実は、急性期の患者でした。この栄養サ ポートチームというのは、もともとは外科から始まりましたので、いかにして手術後の 合併症を減らすかというふうな動きで来ていました。ところが、高齢者が増えたという ことも重要な因子でしょうが、NSTの興味の対象は、高齢者とか摂食えん下障害とか、 それから褥瘡患者の栄養管理とか、胃ろう、PEG、経腸剤を固めるというふうなとこ ろに移ってしまいました。  後でデータをお見せするつもりなのですが、医療関係者の知識レベルが適切な栄養管 理をするレベルに達していないという現状もあります。私が持っているデータを後でお 見せします。何が言いたいかと言うと、今から説明する総合栄養食品というのはもとも と経腸栄養剤という領域で我々医療関係者の間では使われてたものである、ということ です。  経腸栄養剤、それから濃厚流動食という言葉になりますと、ちょっと分類がややこし くなるんですけど、物すごい種類のものが市販されています。私も一体、何種類の経腸 栄養剤あるいは濃厚流動食が市販されているのか、ということを把握できておりません。 これを全部理解している人は、ほとんどいないんじゃないかと思います。経腸栄養剤と いうのは、外科代謝栄養学会の用語集を見ますと、『そしゃくを要しない液状の経腸栄 養製剤』ということになってまいす。アメリカ静脈経腸栄養学会の定義では、『投与す る準備ができている栄養素の混合物』と定義されています。我々が実際に管理している のは経腸栄養で、Enteral Nutritionという表現をしますが、消化管を通して栄養投与 を行うことで、広義には経口栄養を含むということになります。それから、投与方法と しては、もちろん口から飲んでいただくという方法もありますが、主に経腸栄養剤、濃 厚流動食というのはチューブから入れるということで、経管栄養法という分野に入りま す。  これは鼻からチューブを入れている患者さんの写真です。鼻からチューブを入れて胃 の中あるいは腸の中に流動食を流し込むというふうなやり方があるのですが、最近物す ごく増えてるのが胃ろう、PEGです。このPEGを造設して、流動食を胃に注入するという 方法になります。この患者さんは自分で注入しています。ここに胃ろうがつくられてい て、そこからチューブが出てて、患者さんは自分でこういう流動食を注入するというふ うなやり方もできるようになっています。これはボタン型のPEGです。みぞおちの下 辺りのところに胃カメラを使ってチューブを入れる、という方法で、PEG呼ばれてい ます。それによって濃厚流動食がどんどん変わっているということです。鼻からチュー ブを入れている場合にはできるだけ細いチューブを入れたい、ということになります。 鼻への刺激が少ないように。ということは、液体を入れたいということになります。粘 度の低いものを入れたいということになります。ところが、胃に直接太いチューブを入 れることができるようになりますと、またちょっと流れが変わってきてまして、多少硬 くでも入れることができる、いう方向に今、動きつつあります。それとの関連が、今回 出てます、えん下困難者用食品ということになります。これらは、表現は微妙に違いま すが、ちょっと固めてるんですよね。もちろん口から固めて入れる、飲ます、というト レーニングをやればできるようになる、ということなのです。ちょっとかたまった流動 食を胃から入れる、という風になっているのです。そこに新しい流れが来ていると思い ます。  経腸栄養剤というのは、自然食品流動食で普通の流動食、それからミキサー食、それ から天然濃厚流動食とありますが、今日ここで言ってるのは人工濃厚流動食で、半消化 態栄養剤、消化態栄養剤、成分栄養剤というふうに学問的には分かれます。普通流動食 というのは、かつては鼻から物すごく太いゴムのチューブを入れてて、そこから天然濃 厚流動食を入れるという方法がずっと行われていました。ところが、手間がかかるとか いう問題でだんだん行われなくなっていました。それから、ミキサー食も、おかゆなど をミキサーでブレンドして、流動状態として経管投与ができるようにしたものというふ うなことで使われていたのですが、これもだんだん使われなくなっていました。ところ が、少し時代が変わりました。先ほどちょっとお見せした胃ろうを使うようになります と、結構濃い流動食、粘度の高いもの入れることができる、ということがわかってきま した。そこで、在宅で管理してる人たちは、少しでも患者さんに食べさせたいというこ とを実行するようになりました。家族と同じものを患者さんに少しでも食べさせて、残 りをミキサーでブレンドして、胃ろうから注入するという方法も普及しつつあります。 だから、単に液体の流動食、ここでいう総合栄養食品というものだけを使うんじゃなく て、ミキサーを使って家族と一緒のものを入れてあげたい、そうすると、食べられなく ても一緒に食事ができるという楽しみがある、という考えになってきております。それ がもっと普及する可能性もあります。チューブがつまりやすいとか、流動性に乏しいた め投与しにくいという問題はありますが。私、そういう硬いものを入れると、チューブ が細いのでの手に力が要ります。あまり力を使わずに注入するいい方法はないかと考え て、手押しポンプを作りました。もうすぐ発売になりますが、こういう器具も将来、普 及するんじゃないかと思います。  実際に我々が使ってるのは実は、半消化態栄養剤と消化態栄養剤、特別に疾患別の経 腸栄養剤というのでDisease-Specific formulaというものです。消化態栄養剤と成分栄 養剤というのは、医薬品です。問題は半消化態栄養剤で、これが人工濃厚流動食の代表 的なものなのですが、天然の素材を人工的に処理、あるいは合成アミノ酸、低分子ペプ チドやビタミン微量元素を加えたもので、バランスのとれた栄養剤というふうな表現が されています。この窒素源の違いや消化の必要性の有無などから半消化態栄養剤、消化 態栄養剤、成分栄養剤に分けられてるということになります。  成分栄養剤というのは、実は日本では1種類しかありません。これは医薬品で、味の 素ファルマから発売になってるエレンタールだけです。それから、消化態栄養剤という のは2種類で、テルモから発売されてるエンテルードと、それから大塚製薬から発売さ れてるツインラインだけです。ただ、テルモからペプチーノという形で今回、食品とし て消化態栄養剤が発売になっておりますので、それもまた考慮に入れておくべきだと思 います。  半消化態栄養剤というのはLRD、Low residue dietと表現されてきました。もとも とlow residueということは低残渣という意味です。LRDという略語が一般的に使わ れておりました。ところが、これもまたチューブの形状が変わってきまして、そうする と、人間の体にとっては食物繊維を含んでできるだけ食事に近いものがいいということ で、食物繊維を含むものが非常に多くなってきました。ということは、逆に低残渣では なくなってきたということで、多分今後LRDという、Low residue dietという表現は 恐らく使われ なくなって、たんぱく質のことだけを考えたPolymeric formulaというのが今後日本で 半消化態栄養剤の英語表現として使われると思います。  それで、半消化態栄養剤というのは窒素源がたんぱく質です。糖質はデキストリンや 二糖類、それから脂肪含有量は多い。それから消化能が必要であるために、一定の長さ 以上の機能を有する腸管が必要である。それから、消化態栄養剤に比べると味がよい。 それから、医薬品扱いのものと食品扱いのものがあるというところが特徴です。実は医 薬品扱いものはそんなに多くないんです。食品扱いのものが物すごく多くて、この食品 扱いのものが総合栄養食品のジャンルに今後入ってくるということです。それから、味 がよいというのも大きな特徴でして、消化態栄養剤のツインラインとか、それからエン テルードというのはかなり我々が飲むのはしんどい。それからエレンタールもかなりし んどいです。ただ、エレンタールはクローン病の患者さんが自分で飲んだりしています。 エレンタールも発売して20年超えました。味にもいろいろ工夫がされて、クローン病の 患者さんも自分で飲めるようなものになってきましたので、そこら辺も大きく改善され ています。半消化態栄養剤というのは、はっきりいうと、カロリーメイト、そこそこ飲 めますよね。ああいうふうに味が随分よくなってきていると思います。それから、医薬 品の経腸栄養剤で一番よく使われているエンシュアなんていうのはアメリカではスーパ ーマーケットで売られまして、患者さんというよりも元気な人が飲んでるというふうな ところもあります。ここが半消化態栄養剤の特徴であるということですね。これが医薬 品としての大塚のラコール、それからアボットのエンシュア、それからハーモニックの MとF、これだけが医薬品の半消化態栄養剤です。半消化態栄養剤、いわゆる人工濃厚 流動食のうちの5種類だけが医薬品として認められてるんですね。これと、食品に分類 されている濃厚流動食と、どこが違うんやというところが今後大きな問題になってくる と思います。基本的には医薬品の場合にはデータをもとにちゃんと治験をして許可され てるというところなんですね。  それから、いわゆる人工濃厚流動食、食品と言われてるものはここにちょっと挙げま したけど、物すごい数あります。これが我々にとっては理解できない、知らないという ことで、とにかく使おうと思ったらその会社の人を呼んで成分を見せてくれ、というこ とになります。説明書を読まないと使えないのですが、実際にはメーカーの人が、これ 使ってくださいよと言うと、ああそうかと言って使ってるのが現状じゃないかと思いま す。  それから、消化態栄養剤、先ほどちょっと言いましたけれども、とにかく消化を必要 とせず小腸から全てが吸収されて残渣を残さないという特徴があります。これは2種類 だけ今日本で発売されてますが、間もなくこのエンテルードは発売中止になると思いま す。  それから、成分栄養剤はEDと略すのですが、これはやっぱり医薬品として残ってい くだろうと思います。  それから、濃厚流動食は、異常なくらいににいろんなのが出てます。これは濃厚流動 食なんです。いろんな、見て喜びそうな、「あそびましょ!」とか、それから「笑顔倶 楽部」とか、それから「からだに元気!」とか、こういういろんなものがあります。こ れはどこの会社ですかね。こういう飲みたそうになるようなパッケージのものもありま すし、何となく「からだに元気!」というと、飲んでみようかなということになると思 います。それから、これは明治乳業の流動食一覧、パンフレットをコピーしたんですけ れども、はっきりいうと組成や特徴を理解して使い分けることなんてできるはずがない と、多分ドクターならみんなそう言うと思います。栄養士さんは専門家ですから理解し てやっていただけばいいんですけれども、これをドクターに理解してくれ、というと、 ほかの勉強ができませんよということになると思います。  次に問題なのが、多分今後、我々が今まで濃厚流動食として使いながら、実は非常に 困っていた分野なのです。腎不全用、それから肝不全用、呼吸不全用、耐糖能異常用、 消化障害用、それから小児用、がん患者用、免疫強化、免疫調整と、いろんな病態別の 経腸栄養剤が出ております。だけど、これは医学的にはこういうふうな用途でつくられ てるというふうになっておりますけれども、実はこれを提示することができなかったと いうところが今までの問題だと思います。これはテルモのレナウェルという濃厚流動食 なんですけれども、本当は腎不全患者用を意図してつくられてるんですね。低たんぱく 高カロリー、先ほどちょっと調所さんから紹介ありましたが、ああいう内容になってる んですけれども、これは腎不全用とは言えないのです。だけど僕らは、栄養やってる僕 らとしては、これは腎不全の患者に投与するといいなというのは分かってる。そこに大 きな矛盾があります。確かに低リン、低カリウム、低タンパクと書いてはいるんですけ れども、だからこれは本当は腎不全用経腸栄養剤と僕らは理解して、本にも腎不全患者 用の経腸栄養剤と書いてるんですよ。だけど、企業はこれを腎不全用患者とは言えない という大きな矛盾があったということだと思います。  これはリーナレンという流動食です。これもたんぱく調整流動食というふうになって まして、たんぱく質摂取量の調整が容易、高濃度で水分制限に対応、消化・吸収に適し たMCTを配合、日本腎臓学会のガイドラインを参考に、リン、カリウム、ナトリウム 量に配慮したと書いてますけれども、腎不全患者にどうぞ、とは言えなかったのです。  それから、肝不全はまたちょっと違うんですね。肝不全は今までいろんなデータが積 み重ねられて、これはへパンEDというElemental dietなんですけれども、医薬品とし て出てます。肝性脳症を伴う慢性肝不全患者にどうぞ、肝性脳症の誘因となるアンモニ アの低下作用を示すというふうな表示ができます。ちゃんと効果も分かってるというこ とです。これはアミノレバンENですが、これも大塚製薬から出てるんですけれども、 これも同じように医薬品としてつくられてるんですね。  ところが、次はヘパスという流動食なんですが、これも実は本当は肝不全用の経腸栄 養剤をねらった濃厚流動食として出てるんです。意図して、フィッシャー比ですね。肝 不全の患者になりますと、分岐鎖アミノ酸が減って芳香族アミノ酸が増える、そのため にフィッシャー比が低下するんですけれども、それを戻すような組成にしてますという ことになのですが、肝不全用の濃厚流動食とは言えないんですね。言えないんだけれど も、何となくヘパスという名前を見ると肝臓用かというふうになってるのが現状です。 Hepaticというのが英語で肝臓なんですね。だから、ヘパスという名称にすると、これ は何か肝臓用のものなんだ、というふうに示唆してるという、微妙な表現があったとい うことなんですね。  呼吸不全用の経腸栄養剤というのは、実はプルモケアという名前でアボットから発売 されてます。脂質の含有量を増やしてるというところで、呼吸商を下げる、要するに脂 肪を増やすことによってCO? の産生を抑えるという慢性呼吸不全の患者にいい、とい うデータがアメリカでは出ています。ちゃんと論文にもなっています。ところが、いろ いろあるんでしょうけれども、これは食品として出ています。これは日本静脈経腸栄養 学会のガイドラインなんですけれども、ここにちゃんと慢性拘束性肺疾患などの呼吸器 疾患患者には十分なエネルギーとたんぱくを投与する、炭水化物の過剰投与は避け、脂 質の比率を高くする、脂肪の含有量が多い経腸栄養剤の使用が推奨される、というふう に、ガイドラインも出てるんですね。だから、これを意図して使えばいいんです。プル モケアというあたかも呼吸というのに関連したような名前になってますけれども、呼吸 不全の患者用の濃厚流動食とは言ってはいけないというところがありました。  それから、糖尿病用の経腸栄養剤と言ってはいけないんだけれども、耐糖能異常用経 腸剤として出てるのが、グルセルナとか、それからタピオンとかインスローとかいう流 動食です。だけど糖尿病患者に使うと血糖管理が容易になりますよというふうなことを 言ってはいけない。  それから、あとは免疫能賦活経腸栄養剤というのもあります。Immuno-enhancing diet、IEDというものです。特に手術前後の患者さんに飲んでいただくと免疫能を高 めて、術後の感染症や合併症を減らすことができるというので、インパクト、サンエッ トGP、それからイムンとかいう流動食が出ています。だけどこれも免疫能賦活経腸栄 養剤というふうに外国では英語できちんと用語としてあるんですけど、日本では言って はいけないというふうのが現状でした。  それから、最近、重症症例の炎症を制御することが証明されている経腸栄養剤でオキ ハーパというのが発売になりましたが、これも濃厚流動食としての発売であって、そこ までのことは言ってはいけないというふうになっております。  それから、アメリカ、ヨーロッパではがん患者用の経腸栄養剤も出てます。これがま た将来日本へ導入することになるんじゃないかと思うんですけど、いろんなものが出て ますが、向こうでは論文として出てるから、そのデータを示せば、今後日本でも特別用 途食品の中の個別評価型とかいうふうなのに入って、こういう目的で使ってもいいです よというふうになる可能性はあると思います。  それから、先ほどちょっと言いましたように日本で今、日本だけなんですけどね、実 は。注目されてるのは。液体の経腸栄養剤を入れると胃食道の逆流が起こったり、胃ろ う周囲からの栄養剤の漏れが起こったり、下痢をしたりするという問題があります。こ れに対して、流動食を固めることによって胃食道逆流を防いだり、胃ろうからの漏れを 防いだり、下痢を抑えるという目的で、いろんな製品が出ています。これも特別用途食 品の中にも入ってないので、結構勝手にどんどん発売になっています。1カ月2カ月た つと、また出たの、おたく新しいの出したの?というふうな感じに今なってるんですね。 そこのところの制限もある程度したほうがいいと思うんですけれども、半固形タイプ、 それから固形タイプというふうになってる、これも実は定義が全く定まってなくて、固 形とは何、半固形とは何、ということです。それから、粘度は幾らのものが半固形なん ですかとかいうふうな問題でまだもめてて、定義も全然決まってないような状況なんで すけれども、業界のほうでは製品はどんどん出てるということです。  それから、外国でも使われてないし、エビデンスにもなってないんですけれども、日 本の病院はどこも、これをどんどん使えば誤嚥性肺炎が減るとかいうふうに動いてるん です。日本人の特徴の、雰囲気がよければどんどん動くというのがこの業界でどんどん 進んでるということです。こういうのも出てますし、それから、ちょっと濃いやつをコ ンデンス型流動食と名前つけて投与しようという傾向も進んでおります。介護の人がず っと経腸栄養剤を時間かけて入れてると、褥瘡も悪くなるし、リハビリの時間もとれな いしということで、ある程度固めて入れたら注入時間が短くて済むと。そうすると、体 位を保持する時間が余り要らない。リハビリできるし、介護者も楽だ、ということで、 コンデンス型とか半固形化というのも日本では進んでます。ただ、エビデンスはありま せん。だから、ガイドラインで誤嚥性肺炎予防としてこれを推奨するかというと、それ は推奨できないというのが現状なんですけれども、とにかくどんどん進んでます。  ここからちょっと余り見せたくないんですけれども、これが医療関係者の現状だ、と いうデータなんです。私が、趣味みたいなもので、栄養管理に関する知識レベルを調べ ています。輸液栄養の会社のMRさん、それからTNTというのはドクターのための医 師教育セミナーですけど、そこを受講したドクター、薬剤師さん、栄養士さん、ナース に同じ試験を実施して調査したものです。これはまだ論文にもしてないデータです。ま ず、次の略語の意味を知ってますかという質問をしました。  IVH、TPN、BMI、TSF、EN、ED、LRD、PEG、SGA、PPN、N ST、RTH製剤です。これは普通に病院で使うはずなんですよ。これについて知って ますかという質問をトータル3,000何人にしました、そのデータを私が持っています。 今日全部をお見せすることはできませんが、MRさんは7割ぐらいできています。栄養 士さんが42.6%、ナースは23.4%、それから薬剤師さん、ドクターと、こんなもんなん ですね。専門のMRさんのほうがよく知ってるというのは当然といえば当然かもしれま せん、実はこうなんですね。MRさんは、見ていただくとどれも大体よくわかっておら れる。それから、栄養士さん、明らかに低い。お分かりだと思いますね。それから、看 護師さんになりますと、もう用語をほとんど知らないん違うかという感じですね。この 程度のレベルです。それから、薬剤師さんはその中間ぐらいかな。ドクターは、ドクタ ーやからさすがやからいっぱい知ってるやろうと皆さん思うと思うんですけれども、こ うなんですね。ドクターも余り知らないんですよ。  皆さん多分知らないから説明しますと、IVHというのは高カロリー輸液、点滴で入 れる高カロリー輸液なんですけれども、実はIVHという用語は日本でみんなよく知っ てるんですよね。高カロリー輸液やと思ってるんですけれども、実は間違って使われて るというのを私ずっと主張してるんですね。実際には高カロリー輸液というのはTPN でTotal parenteral nutritionです。外国に行くと、TPNを使わないといけないので すけど、日本ではIVHと言ってる。非常におもしろいというか変というか。それから、 BMIというのはBody Mass Indexで、ダイエットしてる人は皆知ってるんですね。そ れから、TSFというのは上腕三頭筋部皮下脂肪厚といいまして、皮下脂肪の厚さを測 定する方法なんですね。ENというのは今日の講演の主題のEnteral Nutritionで、経 腸栄養のこと。それからEDというのはElemental dietですが、成分栄養剤ですね。さ すがにドクターはすごいなと思ったのは、栄養の試験やってるのにEDで違うEDをち ゃんと英語で書いてる人もいるという、さすがドクターは違うなと思いましたが。それ からLRDですね。先ほど出した半消化態栄養剤のことです。それからPEG。PEG というのは、片仮名でペグと書いた人には全部バツをつけましたけれども。でもPEG というのは物すごく普及してます。PEGを知らない医療関係者はいないぐらいですし、 それから介護をやってる方たちは家の人も知ってます。それからSGAというのは Subjective Global Assessmentといって、患者さんを見ただけで、話を聞いただけで栄 養状態を評価しようというやり方なんですね。それからPPNというのはPeripheral parenteral nutritionで末梢静脈栄養。それからNSTというのは先ほど言いました Nutrition Support Teamで栄養サポートチーム。RTHというのは濃厚流動食なんかを バッグに入れて、すぐにつなげるような製品のことで、ready to hang、RTHという 名前がついてます。そういう用語なんですけれども、これが日本の医療従事者のレベル なんですね。  これを出すとちょっとやばいかなというぐらいなんですけれども、三大栄養素である 糖、脂肪、たんぱく質は1グラムが燃焼するとそれぞれ何カロリーの熱量発生しますか という基本中の基本です。普通の人も知ってるでしょうし、中学の理科で習うと思いま すね。糖が4カロリー、脂肪が9カロリー、たんぱく質が4カロリーというのが正解な んですけれども。これを知らないとやっぱり栄養管理はできないだろうという内容なん ですけどね。よそに行って言わないでほしいんですけどね。3つともできた人はMRさ んで90%。それから栄養士さんで91.1%。これはすごいなと思っちゃいかんので、栄養 士さんは100%でないとおかしいんですよ。それから、ナースはもうちょっとやばいな と。3つともできてる人は25.5%、4分の1しかいないんですね。それから薬剤師さん が62.5%なんですよ。ちょっと間を置いて出すんですが、ドクターは50%ないんですよ。 これちょっと僕もびっくりしたんですけれども、しかもドクターの場合は、近畿では僕 がやってるんですけれども、ドクターのための臨床栄養教育というのをやってまして、 2日間缶詰にして2日間ぶっ続けで教えるセミナーやってまして、近畿地区は非常に人 気ありまして競争率4倍ぐらいなんですよ。そういうしっかりした教育を学会としてや ってる、そこを受講したドクターなんです。受講する気もないドクターのレベルはどん なんかというのを考えるとちょっと怖いなという気がします。一つの原因は、濃厚流動 食なんかでもカロリー計算することはほとんどないんですよね。それから、高カロリー 輸液なんかは今ビタミン入りの高カロリー輸液製剤できて便利なのできましたから、み んな体重当たり何ccとか何カロリーとか計算せずに、この患者は、大人は、例えばテル モの製剤フルカリック2袋というふうな処方しかしなくなりまして、中身全然考えなく なったからこういう現象が起こってるんで、これは非常に怖いことだと私は思ってるん ですけどね。  これから、ここちょっと飛ばしますけれども、こういう50問、経腸栄養法における最 も多い合併症は便秘であるという、こういうのを50問全部入れてトータルすると、MR さんがやっぱり一番いいんですね。はっきりいうと医療関係者は勉強不足だというのが 私の言いたいところなんですね。  それで、静脈経腸栄養学会のサーベイ委員会でドクターに対して栄養療法についてど のように勉強しましたかという質問をすると、大学の講義等で習ったというのはほとん どないんです。たったこれだけしかない。これは何が問題かというと、大学で臨床栄養 についてきちんと教えないで研修医として送り出してると。そうすると、その病院で栄 養のことを知ってるドクターがたくさんいるかというといない。そうすると、見よう見 まねでドクターは栄養管理をやってるんだという非常に危ない状況が出てまして、この 特別用途食品制度で医師、栄養士の助言を得るとか言ってますけど、助言をできるドク ターは非常に少ないというところも僕は大きな問題だと思いまして、日本の医学教育に 大きな問題を投げかけたいというのも一つの気持ちとしてはあります。  だけど、栄養療法やるとこんな元気な人も出てくるというのをちょっとお見せします。 在宅経腸栄養により著明なQOLの向上が見られた超高齢パーキンソン病症例です。ち ょっと古い症例になるんですが、89歳の女性で、もともとパーキンソンです。全介助、 それから家族構成は長女と同居。身長140センチで体重25キロ。理想体重が43キロなん ですね。理想体重に対する比率が58%で、ほとんど会話はできない状態になってました。 13年の秋ころから食事摂取が低下して、14年の8月には水を飲むのもちょっとしんどく なってきたと。それで体重が10キロ減りまして、主治医から、このまま死ぬか、胃ろう をつくって栄養入れるかどっちかやということになりまして、私のとこへ紹介されてき ました。  それで、最初見たときは、もうはっきり正直なところ言うと、こんなばあちゃんに栄 養やっても元気にならんのとちがうかなと思ったんですけれども、長女が非常に熱心な 方でしたので、胃ろうをつくりまして、経腸栄養を開始しました。そうしますと体重が、 ここに投与量を書いていますけれども、一日750カロリーづつ入れていくとどんどん体 重が増えまして、10キロぐらい増えました。そこで、量を減らしながら継続しました。 ここら辺で少しずつ食事が食べれるようになるんですね。元気になってくるとえん下機 能も自然に回復して戻るというふうになりまして、完全に一年たつと全部自分で食べれ るようになって、体重も維持できるというようになりました。  こういうふうに胃に穴を開ける。この患者さんの場合はちょっとした手術をして胃に 穴を開けたんですけどね。そこから栄養剤を入れるというふうにしました。ところが、 元気になりますと、この患者さん自分でチューブを抜くんですね。引っ張って抜くよう になりましたので、抜けないようにということで、こういうボタン型のものに変えまし た。そうするとおばあちゃん、抜かなくなりました。余り栄養管理を上手にやり過ぎま したので、よく太って、ボタンが埋まるぐらいになってしまいました。栄養剤を上手に 入れるとこれだけ有効だ、ということなんですけどね。褥瘡もみるみる治りました。も ちろん訪問看護師さんが非常に丁寧な管理をされたのでよかったんですけど、褥瘡もみ るみる治りました。  実は3年ぐらい前に亡くなってますので、写真出しても怒られないんと思いますが、 最初は全然動けなかったんです。でも、自分で立ち上がることができるようになりまし て、外来に来るときもちゃんと頭下げておはようございますというふうに言ってくれる ようになりましてね。やっぱり高齢者医療としてもきちんとやればこういうふうに回復 できる人もいるんですね。この人は回復できたので、食事だけでいけるようになってチ ューブ抜こうかと思ってたんですけれども、長女がまた悪くなるかもしれないからと言 うので、留置しておきました。結局、一年後に誤嚥性肺炎で亡くなられましたけれども、 その間ずっと管理できたんですね。だから、きちんとした管理をすれば、栄養障害でい ったん落ち込んだ人も戻る可能性はあるというところが非常に大事なんやと思います。  それから、これですね。娘さんが、夏、非常に暑かったので、脱水にならないように とポカリスエットをせっせと注入したんですね。そうすると、ポカリスエットというの は結構カロリー多いので、体重がさらに3キロ増えてこんなんなりました。ちょっとこ れは太り過ぎですよという、チューブがしわの中に埋もれるぐらいになりました。でも、 これは何が言いたいかといいますと、こういうふうに患者が太り過ぎたことを笑って話 せるのも、胃ろうを造設して在宅経腸栄養を行ったおかげでありまして、経腸栄養法が 体にいいんだ、ということが分かるということです。  濃厚流動食としては、私が思ってるのは、これ以上種類を増やさないでほしい。経腸 栄養剤、こういうのを新しいのを出したら売れるかと思っていろいろつくってくれるん ですけど、これ以上は要らないだろうと。それから、流動食としてある程度整理すべき であると。これが総合栄養食品として特別用途食品の中に入れようとしている一つの理 由にもなると思います。それから、安易に新しい製品が出過ぎてるんじゃないかと。そ れから、いい製品を出せばそれに関するエビデンスを出す努力をしていただきたい。食 品だから出せば売れる、というふうな感じで出してもらっては困るだろうと。それから、 栄養療法に関する教育・啓蒙活動を積極的にやってほしいということなんですね。食品 の会社、それから栄養剤を売ってる会社、やっぱりもうちょっと啓蒙活動をドクターに もやってほしいという思います。  病者用食品としての総合栄養食品なんですけれども、はっきり言うと安心して信頼で きる食品となると思います。今まで特別用途食品というのをドクターも病院関係者の多 くが知らなかった一つの理由は、一番患者に使ってる濃厚流動食がこの特別用途食品の 中に入ってなかったというところにあると思います。それから、安易に製品がつくられ ることが減ると思います。それから、医療関係者が特別用途食品制度を認知するように なると。それから、行政のお墨付きをもらって、安心・信頼の濃厚流動食の使用を推奨 できると思います。それから、医師たちに対する啓蒙活動がやりやすくなると思います。  医師、管理栄養士などによる適切な助言指導の機会を保障することができて、制度の 認知度を高めて、この濃厚流動食がもっときちんと使われるようになると思います。そ れから、その出した製品に対するきちんとしたデータをもって、本当に効くかどうかと いうことをもうちょっと出したらうまいこといくと思います。それから、病態別経腸栄 養剤の解説ができるようになる、これは非常に大きな利点でありまして、先ほどから病 態別経腸栄養剤のことをお見せしましたけれども、実際には腎不全患者に効くんだけれ ども、効くと言えない。それから、呼吸不全患者に効くんだけど効くと言えないと。そ れを言えるようにすると、もっと適切な使用ができるようになるというふうに思います。 医療関係者の栄養管理に関するレベルアップがこの制度を導入されることによって期待 できると思います。  以上です。どうもありがとうございました。 (休  憩) ○司会(北村)  それでは、時間となりましたので、これより質疑応答を始めさせていただきたいと思 います。  質問に回答いたしますのは、皆様からご覧になりまして一番左が、先ほどご説明をい ただきました川崎病院の井上先生でございます。一番右側になりますけれども、新開発 食品保健対策室長の玉川でございます。真ん中でございますけれども、先ほど説明いた しました新開発食品保健対策室衛生専門官の調所でございます。  質疑応答の進め方でございますけれども、ご発言される方は挙手をお願いいたします。 係の者がマイクをお持ちいたしますので、ご発言に先立ちまして、差し支えなければお 名前とご所属をお願いいたします。なるべく多くの方にご発言いただきたいと思います ので、ご発言のほうはなるべく簡潔にお願いしたいと思います。  それでは、ご発言される方は挙手をお願いいたします。  どうぞ。 ○質問者A  どうもありがとうございました。松谷化学という兵庫県の研究所におりますAと申し ます。  質問させていただきたいんですけれども、特別用途食品の所管が消費者庁に移るとい うことを伺ったんですけれども、ほかの保健機能食品及び栄養成分表示ですね、こちら のほうの所管は現状のままになるんでしょうか。 ○玉川室長  ご質問どうもありがとうございました。食品の表示の関係については、食品衛生法に 基づく表示も、それからJAS法に基づく表示も、健康増進法に基づく表示も、これは 全て消費者庁に移ります。したがって、今ご質問があったものについても消費者庁のほ うで所管をすることになります。引き続き厚生労働省で食品関係で所管するのは食品の 安全関係で、食品衛生法の表示以外の安全関係だけは厚生労働省に残ります。表示につ いては全て消費者庁のほうで一元化して企画立案、それから実際の制度の執行まで所管 します。実際の現場の第一線は保健所であったりとか、それからJAS法の関係であり ますと農政局関係でありますとか、そういったところが実行部隊となるんですけれども、 霞が関の中では消費者庁が一元的に所管をするということになります。 ○司会(北村)  よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。 ○質問者A  もう一つだけいいですか。そうしますと、私ども低カロリー素材を扱ってるんですけ れども、栄養成分表示ですね、それでカロリー計算をする場合、その素材のカロリー値 につきましては、特定のものについては通知によって何キロカロリーというのをいただ いてるんですけれども、新しい素材が出た場合、またそういうものの評価というのもそ ちらの消費者庁のほうに移っていってしまうんでしょうか。 ○調所専門官  今日の特別用途だけでも説明しましたように、審査、中身を見るというところも基本 的には消費者庁のほうに移る予定でございます。 ○司会(北村)  よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。  ほかの方、ご質問ある方よろしくお願いいたします。 ○質問者B  私は食品会社に勤めておりまして、この中で高齢者用食品についてお尋ねしたいと思 います。  高齢者用食品は、えん下困難者用食品というふうに改められるということで、今まで はかたさだけが基準であったものが、付着性とか凝集性とかの基準の値が出ております けれども、この冊子、検討会の報告書の中にあります24ページの許可基準の中で、許可 基準I、II、IIIというふうに食品について3つに分けられております。これは例えばゼ リーの食品とか、ゼリーやムースの食品、それからあとは不均質なものを含むというこ とでおかゆとかペースト、ゼリー、ゼリー寄せ等の食品というふうになっておりますが、 これ以外の形態の食品についてはどのような判断をされるんでしょうか。 ○調所専門官  すみません、例えばどんな食品になりますか。 ○質問者B  例えば、完熟の果物、アボカドとか、そういうもので、例えば、こういう今あるよう なかたさや付着性や凝集性を持っていれば、これは安全と考えられる基準に入っている わけですよね。そうしたら、例えばそういう一般の食品の中で安全と考えられるような 基準にある場合は、それは商品として考えた場合、こういう基準I、II、III以外にそう いう食品というのは認められるんでしょうか。 ○調所専門官  基本的に基準というのに合っているかどうかという判断になると思います。今の自然 物に対しましては、多分そこが均質なものであるか、均質であるものでないのかという 判断で、不均質なものであれば基準のIIIというところに当てはまらなきゃいけないと。 だから、もちろん不均質なものであって許可基準のIIIに当てはまるものであれば、それ は可能性があるということでございます。 ○質問者B  ただ、この場合、測定方法というのがございまして、この測定方法というのはこれに 準じなければいけないということですか。 ○玉川室長  規格基準ですので、それに従ってはかっていただくということになります。この基準 自体はあくまでも食品として安全かどうかという観点から調べたものじゃなくて、えん 下困難な人に対して適してるかどうかを見てる基準なので、それを一般の人にとってそ れがいいかどうかというのはまた別の話となります。えん下能力が落ちてる人に対して はこういう基準のものが適してるカテゴリーとして認められるということに特化した基 準ということでお考えください。 ○質問者B  そうですか。そしたらこの不均質なものは全て、それでもこの試験方法というやり方 で、この条件の中でやっていくということですね。 ○調所専門官  試験方法はそういうことになります。 ○質問者B  そうですね。分かりました。ありがとうございます。 ○司会(北村)  どうもありがとうございました。  引き続きまして。はい、どうぞ。 ○質問者C  サンアイケンのCと申します。常日ごろ食品の分析、試験等行ってる者です。  今お話にありましたえん下困難者用食品の試験方法についてお尋ねします。  今日いただいた参考資料だと23ページの下の部分になるんですけれども、測定時、高 さ8ミリの樹脂性プランジャーを使用し、クリアランス5ミリで2回押し込みをすると。 試料を15ミリに充填し、クリアランス5ミリで2回測定するというふうになりますと、 1センチ分、10ミリの押し込みがあると思います。その際に、8ミリのプランジャーを 使ってしまいますと、プランジャー上部に試料の一部が付着ないし乗っかっていってし まうかと思います。そうなりますと、ちょっと正確な値をとってるというわけにはいか ないのではないかというのが素朴な疑問でございまして、一つこの点どうお考えなのか ご教示いただければと思います。 ○調所専門官  はい、お答えさせていただきます。  こちらもいろいろ試験方法についてはいろんなところから調べたり調査をした結果な んですけれども、初めのもともと8ミリで器が小さい場合でありますと、それが入った ときにこぼれるといったものがありましたので、前回と比べて変えた点は、そこを高さ を変えた、これは本当に専門の方でないと分からないと思うんですね。そこのところを 変えただけでありまして、ほかのところは前回のところとはそれほどは変えていないつ もりなんです。ただ、ここについては、言ってみればそこの会社の機械をやってるデー タが全てこの形でやったデータなんです。このかたさの基準を決めたのが。だから、も ちろんそういったことで問題があるということであれば、今実際にパブリックコメント というものを行ってますので、そこのところに書いていただければ、もう一度私どもワ ーキンググループの皆様にこういった意見があったということで検討いたしたいと思い ますので、よろしくお願いいたします。 ○司会(北村)  よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。  それでは、ほかにご質問あれば挙手のほうお願いいたします。  はい、どうぞ。 ○質問者D  ハウスウェルネスフーズのDと申します。よろしくお願いします。  今のえん下困難者用食品についてなんですけれども、ここでかたさと付着性と凝集性 というので許可基準がされてるんですけれども、例えばゼリーであると、リスイトウの 量とかもえん下困難な場合には関係してくると思うんですが、その辺は別に問題なく、 この3つさえクリアしてれば許可が受けられるようになるものなんですか。 ○調所専門官  今回のワーキンググループの内容で決められた基準としましてはこの3つということ になります。 ○質問者D  ありがとうございます。それと、今現在許可を受けてるものが、今度これの制度に移 行する場合、再度許可を受け直す必要があるんですか。 ○玉川室長  高齢者用食品としては、今2タイプございます。そしゃくだけのほうは単純に対象か ら外れますので、従来の表示について一年の間に許可ではないものに変えていただくと いうことになろうかと思います。一方、新たな基準のものとして、今度えん下困難者と いうのが出てますけれども、基準等が全部変わっておりまして、表示すべき中身もこれ に基づいて随分変わってまいります。したがって、対象から外れるものも同様なんです けれども、従来の表示というのは一年間もちますので、その間に新しい許可基準に合っ た形での表記できるようにもう一回申請をしていただくということを考えております。 ○司会(北村)  どうもありがとうございました。  それでは、ほかにご質問等ございましたらお願いいたします。  はい、どうぞ。一番前の右の方。 ○質問者E  大阪府のEと申します。11ページの調所さんのご説明のあった対象食品の範囲の見直 しの概要の一覧表で、妊産婦さんと授乳婦さんの粉乳と、それと乳幼児用調製粉乳につ いては、この表を見れば何も変わってないように思うんですけれども、上の囲みの中に あります妊産婦、授乳婦用粉乳については、粉乳以外にも様々な栄養源が利用可能であ り、粉乳だけを許可の対象とする必要性は相対的に低下という、この辺のところちょっ とよく理解できないんですけど、もう一度ご説明お願いします。 ○玉川室長  質問ありがとうございました。検討会の中でそれぞれの個別の区分ごとに現代的な観 点から見て必要性があるかどうかといった議論の中では、11ページの資料にありますよ うに、現在では様々な栄養源があるといったことから、粉乳でなければどうしてもとれ ないといった状態は脱しつつあるんじゃないかというのが、これが委員のコンセンサス となっております。  ただ、技術的な問題ではあるんですが、妊産婦、授乳婦用というところにつきまして は、妊産婦用というのが健康増進法の法律の中で規定をされておりまして、この関係だ けで法律の改正をするというのは、なかなか通常国会等の厚生労働省関係の法律や何か の数等を考えても厳しいところがあるということなのです。将来的にこうした体系につ いて法律レベルでも見直すようなことがあれば当然考慮すべきと、見直しの必要性につ いては認識してるんですけれども、実際に手段として直ちに法改正まで実行できるかと いうと、ちょっとそこは厳しいのかなというのが、この図のところで点々で表している ところです。 ○司会(北村)  よろしいでしょうか。ありがとうございました。  まだ少し時間もございますので、ご質問等ございましたら挙手のほうお願いいたしま す。  はい、どうぞ。 ○質問者F  ありがとうございました。高槻市保健所のFと申します。  資料の中で「賢く選ぼう」という食品の表示を入れていただいてるんですけれども、 私たちが市民の方々に表示についてお話をするときにすごくこれを利用させていただい てるんですけれども、とりあえずこの一年間はこれを使ってもいいということ、多分こ この特別用途が変わってくるということになると思うんですけれども、11ページのとこ ろが今の現在のことが表示されてると思うんですが、このリーフレットをずっと使わせ ていただいてというか、ここが変わってきますというようなご説明をしながら使ったほ うがいいのか、今日入れていただいてる意図というのを教えていただければと思います。 ○玉川室長  本日パンフレットをお配りした趣旨ですが、強調表示との関係というのは調所のほう から説明しましたけれども、実際に強調表示、高いとか低いとかというのがなかなか制 度として分かりづらいところがあるかと思いまして、参考資料として必要に応じてこれ を参照しながらご覧いただけるようということで考えました。  ただ今の質問ありましたように、来年の4月から制度変えることを予定しております ので、そういう意味では特別用途のところについて新しい形で切り換えたものにしなけ ればならないと思っています。ただ、ちょっと複雑なファクターとしては、食品の表示 一般について、また場合によっては所管も変わるかもしれないという中で、どういうタ イミングでどういうパンフレットを用意していけばいいのか、私どもちょっといろいろ と関係諸制度の見直しもにらみながら、適時適切に情報提供できるように準備を進めた いと思ってます。 ○質問者F  じゃ、しばらくは使わせていただいてもいいですか。 ○玉川室長  来年の3月まではずっとこの姿でありますので、それが終わり次第新しいものをでき るだけ準備したいと思います。ただし、紙媒体で印刷をかけてしまっていいものかどう か、我々もちょっとそこは考えながら改版を用意していきたいと思ってます。 ○質問者F  分かりました。ありがとうございます。 ○司会(北村)  よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。  ほかにございましたらどうぞ。  はい、どうぞ。 ○質問者G  介護食品を取り扱っております会社におりますGと申します。  ちょっとえん下困難者向けの部分についてお伺いしたいんですけれども、現在ユニバ ーサルデザインフードという、いわゆる食品メーカーサイドの任意の基準というものが 協会がつくってあると思うんですけれども、若干今こちらに書かれている検査方法なん かも、評価方法も異なっておりまして、先々そういったユニバーサルデザインフードと の兼ね合いの部分で、何か厚生労働省さんのほうでお考えがあるのかなというところも しあればお伺いしたいんですけれども。 ○調所専門官  お答えさせていただきます。  ユニバーサルデザインフードにつきましては、これは高齢者用食品があるときから、 今でもかなりそういったものがあるんですけれども、実は高齢者用食品というのがそし ゃくとえん下困難者用というところなんですけれども、やはりそういったもので対象に しているものであれば、それは特別用途食品の許可をとらなきゃ売れない、これはあく までも基本だったわけです。ユニバーサルデザインフードにつきましては、そこのとこ ろはえん下とかそしゃくが困難じゃなくて、あくまでもかたさの分類、かたさを1から 4段階にしてるわけでありまして、今後も我々の特別用途食品のえん下困難者用食品に ついてのかたさというのは、これはえん下という、えん下困難者用に対してのかたさの 基準でありまして、一般でいう普通にこれがやわらかいですよと、かたいですよという ところとはすみ分けているということでありますので、今後、言ってみればえん下困難 者用としてユニバーサルデザインフードのものが売ろうとするなら、それは許可をとら なきゃいけない。ただ、かたさだけでの表示で売るということであれば、それは別に今 までユニバーサルデザインフードの形で販売して構わないということでございます。 ○玉川室長  補足をしますと、検討会の第3回のときに当該団体からヒアリングを行っておりまし て、その際のユニバーサルデザインフードはそしゃく面への機能を主に配慮としてるも のなのであって、特別用途食品として高齢者や何かの類型を考えるに当たっては、そし ゃくの部分というところについては、むしろ対象から外して考えたほうがうまく運用で きるんじゃないかといったご意見をいただいており、そうした御意見ことも踏まえて高 齢者用食品を見直したというような経緯がございます。 ○司会(北村)  よろしいでしょうか。検討会の資料等につきましては、厚生労働省のホームページに も掲載してございますので、ご参考までにご覧いただければと思います。  そのほかございましたら。はい。 ○質問者H  神戸市保健福祉局のHと申します。日ごろ健康増進法に基づく栄養成分等の食品の表 示を担当してる者なんですけれども、ちょっとここ最近相談の事例がありまして、それ に対してのお考えをお聞かせいただけたらと思うんですけれども、表示に「カロリーが 気になる方に」というような表示がありまして、先ほどの栄養表示基準の低い旨の、低 カロリーとまでは言ってないんですけれども、「気になる方に」というのは何かあいま いな表現をされてまして、今までこちらの見解としては、特別用途食品と紛らわしい表 示であるので余り好ましくないのではないかというふうな見解を持ってるのですが、今 回制度が変わりまして、低カロリー食品は特別用途から外れまして栄養表示基準に基づ く栄養表示の強調表示の基準に対応できるとなっておりますが、今後こういったちょっ とあいまいなグレーなところの表現を使って業者の方が食品のパッケージに表示をする 場合、こうやったあいまいなのは特別用途食品と紛らわしいので余り好ましくないとい うふうに今まで考えてきたんですけれども、どんなふうに指導していったらいいかお考 えをお聞かせいただければと思います。 ○調所専門官  お答えいたします。  基本的に今回、多分低カロリーとかの糖尿病用食品がなくなったり、低ナトリウムの 高血圧者に適する旨の表示の分野がなくなったから、そういったものの表示ということ だと思うんですけれども、そもそもそういった食品に対して病者に適する旨という表示 は、これはできないということなんですね。それは特別用途食品の許可をとる必要があ る。あくまでも個別評価型というのがありますので、今後食品に、絶対糖尿病に適する 旨の表示ができないかというと、そういうわけではございません。あくまでも個別評価 型でとれる可能性があるからですね。そういうこともございますが、病者用に適すると いうのは、これは特別の用途なので、そういった誤認を与えるような内容ということは 表示ができない、許可をとらないとできないということになってございます。  最初の、カロリーの気になる方は、そもそもこれはカロリーが気になる方が病者用と いうことではなくて、あくまでもそういった人は一般の人もいますので、そもそもそう いった言葉を規制してるわけではないということです。血糖値が気になる方とかであれ ば、トクホの許可をとらなければ表示できません。 ○質問者H  そういうのを書いたのは駄目ですよね。 ○調所専門官  ただ食品中のカロリーが気になる方とか、塩分が気になる方、脂質が気になる方とい うのは、これは栄養成分表示のところでございますので、それで少ない、低カロリーの ものであったりするときは、これは何ら表示しても構わないということになります。 ○質問者H  そうですか。それが基準値は満たしてないんですけれども、「気になる方へ」と言っ てるので、低いとははっきり言ってないんですね。特別用途の食品の制度とちょっと趣 旨はずれましたけれども。 ○調所専門官  だから、低いとかというのは、あくまでも低カロリーというのは低カロリーの基準が あるということです。「気になる方へ」ということであれば、それは何で気になる方、 ちゃんとした理由があればいいと思います。それがすごく高いものなのに「気になる方 へ」というのは、確保したいという考え方もあるとは思うんですけれども、そこの趣旨 はどういったことかということが根本的なことだと思います。 ○質問者H  確認があればいいということですね。ありがとうございました。 ○司会(北村)  よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。  まだ少し時間がございますので、どなたかご質問あればお願いします。 ○質問者I  たびたびすみません。総合栄養食品の範囲がいま一つよく分からないんですけれども、 どこまでを含められているのかと。先ほど川崎病院の先生からご紹介のあった、いろん な栄養食品で、病院のほうで使ってるものがあると思うんですけれども、それら全ては 入らないんですよね。ミネラルを強化してるとか、たんぱく質を強化してるものである とか。 ○調所専門官  今回の資料にも提出しております特別用途食品制度のあり方に関する検討会報告書の 15ページに総合栄養食品の許可基準がございます。この中に規格というものがございま して、この規格に合っているもの、そもそも規格にはこれ以外にも基本的許可基準と概 括的許可基準がございますけれども、それは病者用全てに当てはまるものですけれども、 総合栄養食品許可基準というものにつきましては、この規格という後ろの別表、16に当 てはまっている成分であり、それで一番右端にある必要的表示事項するもの、これがあ くまでも基準ということになります。だからこれに当てはまっている場合はこれに合致 したような表示をして、特別用途の許可がとれるということです。また、今回先生のお 話にありましたように、ここの基準に当てはまっていないもので病者用というのも、そ れはもちろん考えられることなんですけれども、そういったものはこの基準外というこ とであれば、やはりそれは個別評価型という、病者用であれば個別評価型がございます ので、そちらのほうで検討するという形になると思います。 ○玉川室長  一点だけつけ加えますと、先生のプレゼンの中でありましたように、医薬品として区 分されるものもあるんですけれども、今回の見直しというのは食品の中での特別用途食 品としての整理なので、医薬品か食品か、そこについては今回見直しというのは手をつ けておりません。あくまで食品の中で規格基準型をつくって、さらには個別の疾患名と いうことであれば、個別評価型ということで対応するといったような整理になってます。 ○司会(北村)  よろしいですか。どうもありがとうございました。  そろそろ時間なんですが、もう一方どうしてもという方がいらっしゃいましたら、最 後にお受けしたいと思いますけれども。よろしいでしょうか。  それでは、活発にご質問等いただきましてどうもありがとうございました。皆様から 様々なご質問等、ご意見いただきまして感謝申し上げます。  以上をもちまして「特別用途食品制度の見直しに関する説明会」を閉会いたします。 長時間にわたりまして説明会の円滑な運営にご協力いただきましてどうもありがとうご ざいました。  また、井上先生初めご回答いただきましてどうもありがとうございました。  なお、お帰りの際にアンケートを回収いたしますので、ぜひご協力をお願いいたしま す。  では、お気をつけてお帰りください。どうもありがとうございました。                                                                                   照会先                 食品安全部企画情報課             03−3595−2326                       内線2493,2452