08/10/24 平成20年10月24日特別用途食品制度の見直しに関する説明会議事録   特別用途食品制度の見直しに関する説明会 日時:平成20年10月24日 (金) 午後2時00分〜4時05分 場所:航空会館 501・502会議室 ○司会(北村) では、お時間になりましたので始めたいと思います。  皆様、こんにちは。本日は、お忙しい中、また、お足元の悪い中、御出席いただきま してありがとうございます。  ただいまから「特別用途食品制度の見直しに関する説明会」を開会いたします。  私は、本日の司会を務めさせていただきます厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情 報課の北村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  では、まず初めに、厚生労働省大臣官房参事官の牛尾より御挨拶させていただきます。 ○牛尾参事官 医薬食品の担当をしています参事官の牛尾と申します。  本日は、先ほど司会の方からございましたように、足元のお悪い中、お集まりいただ きましてありがとうございます。  この特別用途食品につきましては、今日お集まりの方々は既に御案内かと思います。 また、今日これから資料の確認をさせていただく中で「特別用途食品のあり方に関する 検討会報告書」というものが入っておりますので、 また後ほど御覧いただければと思い ますが、健康増進法に基づく制度でございます。とはいえ、健康増進法の前の栄養改善 法の制度をそのまま引きずっているという方が妥当かもしれませんが、制度としてはか なり古いものになってしまったわけでございます。  そういう観点から、現在の時代に合ったものにしようということで、昨年の11月か らこのあり方について検討を始め、本年の4月にその報告書がまとまったところでござ います。この報告書の検討会に際しましては、多くの関係団体からも御協力、御意見を ちょうだいいたしましたことをここに改めて御礼申し上げたいと思います。  そして、本日の説明会では、まず臨床の立場から見て、この特別用途食品の問題、あ るいは状況について情報提供いただくとともに、 制度見直しの基本的な考え方につきま して、担当室長の玉川から御説明させていただきたいと考えております。  いずれにしましても、新しい制度に移行する際には、さまざまな問題が生じかねない わけでございますので、どうか忌憚のない御意見、御質問があれば寄せていただければ と思います。制度自体は来年の4月1日からスタートするわけでございます。残された 期間は余り多くございませんが、更に猶予期間を若干設けておりますので、我々として も、良い制度にしていき、ぜひこれを活用していただきたいという思いがございますの で、どうかよろしくお願いいたします。 ○司会 どうもありがとうございました。  それでは、資料の確認をお願いしたいと思います。まず一番初めに、「特別用途食品 制度の見直しに関する説明会」という1枚の紙がございます。その後ろに、資料1とし まして「特別用途食品制度の見直しについて」というパワーポイントの資料がございま す。次に資料2ですけれども、「臨床現場から見た特別用途食品について」ということ で、こちらもパワーポイントの資料になります。次に、参考資料としまして「特別用途 食品制度のあり方に関する検討会報告書」、こちらが本編になりますけれども、その次 に別添としまして、Iということで「許可基準型病者用食品許可基準(案)」というも のがございます。最後にアンケート用紙を添付してございます。裏表がございますので、 お帰りの際にはぜひ御協力をお願いしたいと思います。資料の不足等ございましたら、 お近くのスタッフの方までお声かけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。  それでは、続きまして、本日の進行につきまして簡単に御説明いたします。まず最初 に、厚生労働省新開発食品保健対策室長の玉川より「特別用途食品制度の見直しについ て」ということで40分程度御説明いたします。続きまして、東京医科大学腎臓内科の中 尾教授より「臨床現場から見た特別用途食品について」、30分程度御説明いたします。 その後、中尾教授への質問をお受けしました後、5分程度休憩を挟みまして、制度の見 直しに関する質疑応答ということで進めたいと思います。  なお、終了は午後4時を予定してございます。  また、お願いですけれども、参加の方の御迷惑となりませんよう、恐れ入りますけれ ども、携帯電話の方は電源をお切りになるか、マナーモードということで御協力のほど よろしくお願いいたします。  それでは、最初に厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室 長の玉川より、「特別用途食品制度の見直しについて」御説明していただきます。玉川 室長、よろしくお願いいたします。 ○玉川室長 こんにちは。新開発食品保健対策室長をしております玉川と申します。お 時間をいただきまして、これから「特別用途食品制度の見直しについて」御説明をさせ ていただきます。  本日参加された方々のリストを拝見いたしましたところ、これまで検討会を傍聴され た所属先の方が多いようです。したがって、この制度の現状、あるいは課題についても よく御存じの方が多いと思いますけれども、今回初めてこの制度の中身を聞かれる方も いらっしゃいますので、改めて「特別用途食品制度の現状について」ということで、ま ず今置かれている姿、あるいは、制度がそもそもどういうものであるかを御説明させて いただいて、その上で、今回、新しい特別用途食品制度として方向性がまとまったもの について御説明をさせていただきたいと思っております。  まず、特別用途食品とは何かという話でございますけれども、このようなマークがつ きまして、表示の許可の制度と認められているものでございます。すなわち、乳児・幼 児、妊産婦、病者など特殊なニーズを持っている方に対して、その発育とか、健康の保 持・回復、そうした特別の用途に適しているということで、特別の用途を表示して販売 する食品でございます。広い意味では、特定保健用食品も特別用途食品の一類型という ことでございますけれども、マーク自体も図柄が違うということで、若干異なる取扱い をしております。  この特別用途食品として販売するためには、厚生労働大臣に対して許可申請をしてい ただいて、あるいは外国の製品の場合でありますと承認申請をしていただいて、その上 で審査を受けて、実際に許可あるいは承認がなされるということになっております。  実際に特別の用途に適する旨の表示としてどういうものがあるかということでござ いますけれども、今言いました乳児・幼児、妊産婦、病者等の発育回復の用に供すると いうことが適当な旨を、医学的、栄養学的な表現で記載したものということになります。 いろいろと実際の文言については幅がありますけれども、そうしたもので記載し用途を 限定したということで、これを見ることによって、対象者が適した食品として選べると いうことを念頭に置かれているものでございます。その表示の許可に当たっては、許可 基準のあるものと概括的な許可基準しかないものと2つあります。基準があるものにつ いては、その適合性を事務局の方で審査をして、基準のないものについては個別に検討 会で評価を行っております。  健康食品とか食品の表示に関しては、さまざまな制度があるのですが、健康増進法の 中では、栄養成分表示という制度がございまして、その上に乗った制度として各種の食 品の表示の制度が組み合わされております。栄養成分の中では、栄養成分の含有量が多 いとか少ないとかも表示をしているわけですけれども、それと別に、個別に許可を取っ て表示を認めているカテゴリーのものがございます。 特別用途食品という先ほど申しま した病者とか乳幼児のもの。それから、健常人の方、健康な人の体調を整えるといった ようなものを目的とする特保と、それから栄養機能食品、サプリメントのようなもので すけれども、ビタミン、ミネラルを成分とするものについての制度がございます。今回、 我々がこの説明会で御説明をしようと思っているのは、この部分、まさに特殊な用途、 例えば糖尿病の方に適する食品ですとか、腎臓病者用食品とか、こうした形で売られて いるような表示の許可について、その今後のあり方について見直しを行ったものでござ います。  これは、先ほど言ったことと重なるところでございますが、実際に業者さんの方から 許可申請、あるいは承認の申請が上がってまいりまして、保健所、都道府県という自治 体を通じて厚生労働省の新開発食品保健対策室の方に申請が上がってまいります。それ で、許可基準のあるものについては、ここで適合を審査いたしまして、その後、独法の 国立健康・栄養研究所、ないしは登録試験機関で分析サンプルについての許可試験を行 って、その成績が出た上で許可証を交付するといった手続をとっております。それから、 個別の評価で行います許可基準のないものについては、現在は特別用途食品の評価・検 討会という、食品安全部長の私的懇談会の中で個別の審査を行っているというのが現状 でございます。  こうした食品制度については、先ほど参事官の方から、栄養改善法時代からその仕組 みが残ったままになっているというお話がありました。どうしてそもそもこういうもの ができたかというのは、昭和27年に栄養改善法ができたときに、特殊栄養食品というカ テゴリーがあって、そこは健常人向けの補給できる旨の表示と、特別な用途に適する旨 の表示という2つのカテゴリーをつくりました。当時の考え方といたしましては、特に 栄養的に優秀な食品について、それが表示事項と間違いないことを保証して、消費者が 安心して入手できるように、用途の表示を創設したというのがそもそもの経緯でござい ます。この後、補給できる旨の表示をベースといたします健常人向けの食品につきまし ては、栄養強化食品とか、更には特保、あるいは栄養表示基準という形で進化を遂げて いくわけであります。一方、特別の用途に適する旨の表示については、基本的にその姿 を変えることなく、一部、例えば平成6年になって、このカテゴリーの中で高齢者用食 品というものが加えられたとか、そういうことはあるのですけれども、基本的に栄養改 善法時代の姿を引きずったまま今に至っております。  したがいまして、このときのベースとなった考え方というのは、今の食品の流通の実 態、あるいは病院、栄養指導の場で使うときに、本当に使いやすいものになっているの かどうか、その範囲が適当なのかどうか。あるいは、こういう形で健常人向けのものに ついても、栄養表示基準という新しい制度ができている中で、そうしたものとの役割分 担がうまくいっているのかどうか。こうしたことを改めて今まで問うてこなかった。そ れを今回いろいろ考え直したというものでございます。  では、実際に、特別用途食品としてどういうものがあるかでございます。スライドが ズレていて申しわけないんですけれども、お手元の方では直っているかもしれません。 大きく分けまして、病者用の食品と、それから妊産婦・授乳婦用、乳児用、高齢者用、 あと、先ほどちょっとこれは別ですと言いましたけれども、特定保健用食品というもの がございます。  病者用の中で許可基準があるものについては事務局で専ら審査をしておりますし、個 別評価型のものについては、検討会において検討しているという状況であります。それ から、それ以外の妊産婦、乳児用、高齢者用、これらも基本的には許可基準がございま すので、それに当てはまっているかどうかを調べて許可を出している状況にあります。 一番種類が多いのは病者用の許可基準型なわけですけれども、これにも2通りタイプが ありまして、単一のものからなるものと、幾つかのものを組み合わせた形で提供される ものに分かれております。単一の食品ということで言いますと、それぞれのターゲット がありまして、栄養成分を減らしたり、あるいは多くしたりしています。減らしたもの としては、低ナトリウム、低カロリー、低たんぱくがございますし、高いものとしては 高たんぱくがございます。また、一種の除去みたいなものですけれども、アレルゲンと か、無乳糖、こうしたものも病者用の単一の食品として位置づけられております。それ から、組み合わせ用の食品ということでは、4つほどのタイプについて、許可基準を示 しております。4つほどカテゴリーがあるのですけれども、後ほど実際にはどれぐらい 許可が出されているかということもお見せしたいと思います。  それから、妊産婦・授乳婦については、粉乳、粉ミルクのものだけが認められており ますし、乳児用についても、調整粉乳ということで粉ミルクのものが食品として許可の 対象となっております。高齢者用については、咀嚼困難と咀嚼嚥下困難もあるというの が現状でございます。  実際にどれぐらいの許可の品目があるかというものがこのスライドでございまして、 今月初め時点でまとめたものですけれども、広い意味で言えば、 1,308というのが特別 用途表示の許可件数ということになります。この中で 796、つまり約 800が特保という ことですので、特保を除いた特別用途食品としては 512というのが現在許可があるもの の数ということになります。  その中で、やはり病者用が数としては一番多くて、単一食品でいきますと低ナトリウ ム 128、低カロリーが38。あるいは、組み合わせ用でいきますと、糖尿病食用組み合わ せ食品が 226とになっております。中には、許可基準があるにもかかわらず、その表示 許可を取った食品がないといったカテゴリーのものもございます。これが現在の姿とい うことになります。  では、特別用途食品が表示の許可として認められたものとして、受け手の側ではどう いうふうに受けとめているかについてお話をしてみたいと思います。  厚生労働科学研究の中で、神奈川県立大学の中村丁次先生のところでまとめました特 別研究で、医療施設における「病者用食品の使用状況調査から見る特別用途食品制度の あり方に関する研究」というちょっと長い名前のものでございますけれども、その中で 幾つかアンケートをとったものがありまして、その中から抜粋をしたものでございます。 このアンケート調査は、病院の管理栄養士さんなどを対象として行われたもので、その 方が現場で使っているかどうか。そのときにどういうことを考えるかということをお聞 きしているものであります。特別用途食品自体は表示の許可の制度で、消費者が購入す るときの消費者の選択のための制度ということなので、アンケートでお聞きしていると ころと、特別用途食品が流通しているところは若干違うのです。しかし、実際に病院で 働いている方が患者さんが退院するときに実際の栄養指導や何かの場でかなり大きな位 置づけを占めていると思われますので、そういう方々がどういう意識を持っているか。 そういう方々に指導された患者の方がどういうふうに思うか参考になるかなということ でお示しをいたしました。  これは院内での状況の調査ですけれども、院内の病者用食品ということで、検討会で も、このグラフを説明したときに、ちょっとわかりづらいですねという御指摘を受けた のですけれども、このアンケート調査の中では、主として病者(患者)を対象として使 用することを考えてつくられた食品と思うもの、それを使用しているかどうかという質 問をしたわけです。ですから、ここで言っている病者用食品というのは、必ずしも特別 用途食品のマークがついていないものも含めたものです。医療用の食品、あるいは病者 向けの食品ということで指導していますかどうですかということをお聞きしたものであ ります。  そういたしますと、5割を超えるところで頻繁にそういう食品を使用しております。 あるいは、4割を超す方がときどき使用するということです。いろいろなカテゴリーの 病院がございますが、調査では特定機能病院とか、一般の病院とか、幾つかの種類に分 けてお聞きをしているわけですけれども、総じて見ますと、かなりの病院がこうした形 で、主として病者を対象として調整された食品を使っているということがわかります。 したがって、そういう食品に対するニーズがあるということとなりますが、実際にそう した食品を選択する際に、特別用途食品であるかどうかを意識していますかどうですか という質問を同じ方々にお聞きをしております。考慮すると答えられたところが大体4 割弱ぐらい、考慮しないと答えられたところが6割ぐらいということでございます。  この2つのグラフを見たとき、考え方、解釈の仕方はいろいろあると思います。例え ば1つは、先ほど言ったように、専ら院内の話でありますので、通常の流通ルートとは 違った形で食品が提供されるということもあるのかもしれません。他にも、いろいろな 可能性が考えられるのですが、実際にアンケートの中で出てきた回答を聞いて、どうし て考慮しないのですかと聞いたところ、 企業の表示を信頼して、それで判断をしている というのが実際には多い答えでありました。それが直接の答えですけれども、そのとき に、特別用途とか、こういうマークがあるかどうかが役に立っていないのだろうか、立 っているのだろうか。ここが行政としては一番関心のある、気になるところでございま す。というのは、そもそもマークをつけることによって選択をしやすくして、対象者に 適切に届けられるようにするということを考えている訳です。その際、表示がなくても 十分わかるということであれば、マークの存在意義自体が失われているわけです。ある いは、マークを付ける食品の範囲が適当なのかどうなのかということも出てくるんだろ うと思います。実際には、商品を手に取る方は、念頭に置いているのは患者さん御自身 となりますので、その人にとって本当に使いやすい制度とはどのようなものなんだろう かという、問いが今回の見直しの発端の1つとなっております。  なぜそうした病者用のマークを取っていることに重きが置かれているかいないか気 になった点のもう1つのポイントでございますけれども、先ほど平成8年ぐらいに栄養 表示記基準ができたというお話をいたしました。その中で、例えばナトリウムというこ とについては、減塩を名乗れる、低ナトリウムということが栄養表示基準に基づいて名 乗れるようになってきているわけであります。確かに、今の病者用食品でありますと、 更に高血圧症に適するとか個別の疾患名等も書くことができます。その際に、伝える情 報として、最終的に食品の規格がどういうものであるか本当に病者にとってわかりやす いものかどうかということも余り整理をしていないまま制度が走っているところがあっ たように思います。このように、よく似た低ナトリウム、低カロリーという食品の表示 がある中で、本来、病者用食品、あるいは特別用途食品が守備すべき範囲はどのように 考えていったらいいのかということについても今回整理をしようと考えておりました。  今申したところが特別用途食品の制度の仕組み、それから流通の実態、あるいは関連 の制度との関係でございます。そうした事情を踏まえてどのように考えるべきかという のが2番目の新しい特別用途食品制度というテーマでございます。この新しい姿を考え るに当たって、私どもは検討会を組織いたしました。その趣旨でございますけれども、 先ほど申しましたように、栄養改善法によって定められた枠組みが基本的に維持されて いる中で、そうはいっても、特に病者が中心でございますけれども、実際の患者さんを 取り巻く医療の現状が変わってきている。医学や栄養学も変わってきている中で、本当 に制度として対応すべき範囲が妥当なものなのかどうなのか。あるいは、関連の諸制度 との関係はどうだろうか。更には、審査方法や情報提供のあり方が本当に利用者にとっ て使いやすいものへ結び付くのだろうか。こうしたこと全般に御検討していただきたい ということで、こちらのスライドにあります委員の方々にお願いいたしまして、田中平 三先生に座長を、それから中村丁次先生に座長代理を引き受けていただきまして、本日、 この後御講演をいただくことになっております中尾先生にも委員に入っていただいた上 で、特別用途食品制度のあり方を見直すということで検討を始めました。  昨年の11月21日に第1回の検討会を立ち上げまして、それから都合7回にわたって 検討会を行いました。その間、関係団体からヒアリングということで、12月21日と1 月29日の2回にわたって幾つかの、例えば流通に携わっておられるところ、あるいは製 造されておられるところからのお話を聞くとともに、個別の論点について検討を加え、 本年の3月に中間取りまとめとして大枠といいますか、粗々な方向ということをお示し いたしました。その方向性を踏まえて、実際にワーキンググループをつくりまして、許 可の基準についても、実際に動き出すときにどういうものが考えられるのか御検討いた だきたいということでお願いをいたしました。そうした結果も合わせて、本年の7月4 日に、お手元にございますような検討会の報告書をまとめております。このワーキング グループの作業は、本日の報告書の別添としてお示ししております。ワーキンググルー プでまとめられた結果をおつけしております。  では、報告書でどういうふうな内容がまとめられたのかと説明いたします。こうした 報告書をまとめるに当たって、そもそも制度がどういう役割を果たすべきかという点に ついて再確認いたしました。その上で、具体的な見直しの内容としてどういうことが考 えられるかということをまとめております。特別用途の役割の基本的な考え方でござい ますけれども、特別用途食品はどういうものだろうということになる訳ですが、日常生 活の中でいろいろな栄養摂取をしていくためには食品を摂り続けなければならないわけ です。その際、通常の食品を摂っているのでは対応が困難な特別の用途を幾つか限定い たしまして、それに対して表示を行う。それによって対象となる方に、そうした通常の ものであれば簡単に言えばできるわけでありますけれども、入手しやすい食品を選択す る際の手段となる、それが表示の許可制度としての特別用途食品だろうと考えているわ けでございます。  では、そういう特別用途食品がどういう場で特に使われるようになるのだろうか。特 に現代的なニーズとして考えた場合に、どういったところが重点的に果たすべき役割と なるのだろうかといいますと、今後、日本の人口全体で高齢化が進んでいくと考えられ ます。そういたしますと、いろいろな形で入院とかをされることも増えますが、入院し ている間は、お医者さんもいますし、管理栄養士さんが院内の栄養管理をやっていくわ けでございますけれども、入院された方々が病院からリハビリとかを経て在宅に戻って いくこととなります。その際には、自分自身で栄養管理をしていかなければならない。 もちろん指導指導を受けながらですけれども、 栄養管理をしていかなければならないの です。その際に、特別用途食品の表示を見て適切な食品選択をして、自分の栄養管理を コントロールしやすくする。そうした目的に応えていくことで、結局はその人自身の栄 養管理を持続できる体制がつくれるし、その人の栄養状態を改善、在宅療養の効果も上 がる、そういうことを期待しているわけでございます。  そういう観点から見ると、さまざまなものがあればある程いいとか、例えば、マーク の数を幾つ集めたら健康になるというものではありません。本当に許可の対象となる食 品がそういう特殊なニーズのものなので、そういう食品を利用しなければ栄養管理がで きないかどうかという観点からめり張りをつけて、または重点化を図って、逆に制度の 認知度を高めてよく使ってもらおうと期待しています。このような見直しをやることに よって、漫然と対象食品の数が幾つ増えましたということではなくて、最終的なゴール としては、病者とか、あるいは特殊なニーズを持っている方の栄養管理がうまくなるた めの制度としてもう一回つくり直そうと意図しております。  では、現在のカテゴリーではどういうニーズ対応が抜けているだろうかということを まず考えました。そして、昭和20年当時には余りなかったものとして、総合栄養食品が 考えられるのではないかということになりました。一般には濃厚流動食という名前で使 われているものだろうと思いますけれども、治療中や要介護状態の患者さんが通常の食 事摂取に困難を伴うといった、経口での摂取が不十分な場合に、食事代替とか、補助で 必要なエネルギーとか、栄養素のバランスや流動性を考慮した加工食品というのが一般 的な定義のようでございます。こうした食品を摂ることによって、効率よく栄養成分を 摂取して、また、腸管を利用するため生理的な栄養補給が経口などに比べて可能になる と言われています。長期の使用でも、栄養成分の欠乏が起きにくいということで、在宅 療養を含め、病者の栄養管理に適しているのです。こういう食品について本当に患者に 適しているかどうかをちゃんと審査をして、表示の許可の対象とすることによって、認 知度を高めることが必要ではないかということから、今回、総合栄養食品を病者用食品 の一類型として位置づけるべきと報告書において提言されました。  次に、栄養強調表示との関係でございます。この問題を考えるに当たって、まず何を ベースに考えるべきかということでありますけれども、一番大事なのは、許可の対象と なる食品数そのものの対象数が幾つかになるかということではなくて、最終的なゴール は、ここでも病者さん自身の適切な栄養管理ができるかどうかということになります。 そういたしますと、栄養成分の含有量が低い食品であっても、例えば低何食品というも のでも、それを倍量、3倍量摂ってしまえば、栄養管理としては余り意味がないわけで ございます。したがって、栄養成分表示に従ってちゃんと栄養成分量を適切に表示して いただいて、それに基づいて栄養管理できるような、それは本人だけでは厳しいかもし れませんけれども、管理栄養士さんの栄養指導を受けながら、本当にそうした栄養管理 が必要な方については、ちゃんと食品の組み合わせをして管理をしていく。そのために は、マークがついている食品を幾つか集めるというのではなくて、ちゃんとそうした栄 養管理のための成分量に関する情報がわかっていただくということが重要だろうと思い ます。その際に、今の栄養表示基準では、例えば高たんぱく、低カロリー、低ナトリウ ムについては、栄養強調表示の仕組みもでき上がっております。そういう意味で、代替 的な役割を果たし得る制度もかなり定着しつつありますので、栄養強調表示にある程度 そうした役割を委ねることができるのではないだろうかということで、低カロリー・低 ナトリウム等許可の対象から除外することを提言したものであります。  これは病者の側から見た考え方でありますけれども、もう一方の側から見ると、なぜ こうしたものについて栄養強調表示が必要とされているかといえば、それが単にカロリ ーを抑えるとか、ナトリウムを抑えるという対応が単に病者のみに必要とされる事項で はなくて、健常人の方でも、生活習慣病の予防といいますか、生活習慣病のリスクを上 げないという観点から、食塩とか、カロリーの量を一定内にコントロールしていくこと が生活習慣病予備軍にとっても重要なこととなっているわけです。このようにある意味 対象者が広がっていることになっているわけです。ですから、ふだんからそうした栄養 摂取について意識をしていただく仕組みとして、連続的な対応が求められているところ です。  これに対して、例えば、たんぱく質というのは高たんぱくという強調表示ができるわ けでありますけれども、低たんぱく質食品については、普通の健常な方からすると、た んぱく質はある程度摂るべき栄養素でありますので、低たんぱくという表示の意味が余 り認められないといった、まさに特殊なニーズということになります。それから、アレ ルゲン除去とか、無乳糖についても特殊なニーズでありますので、これは単一食品であ っても引き続き病者用食品の対象とすることを考えております。  続きまして、宅配食品の栄養指針と病者用食品の関係についてでございます。ここで、 どういう観点から考えるべきかということですけれども、在宅療養の支援ということに なるわけです。現在は、病者用の組み合わせ食品として4つはカテゴリーがありますけ れども、そのうち許可をとったもののほとんどはカロリーを抑えたものということにな っております。そういたしますと、やはり最終的にはマークの付いた食品を幾つ押さえ るかということではなくて、本当にその人が在宅療養の中でカロリーをコントロールで きるかどうかが課題なわけです。許可の品目はかなり多いんですけれども、それは、お かずの組み合わせによってさまざまなものが申請し得るからそこに至っているわけであ ります。あらかじめ事前の許可でおかずの範囲を幾つか絞るということよりも、宅配で 届けられるもの、パッケージで組み合わされているものについて、共通にどういう条件 を守らなければ在宅医療の栄養管理ができるかどうかをガイドラインという形で示して、 これに基づいて適切な栄養管理をした方が実際的ではないかということを考えたわけで す。  ただ、検討会の中でも議論がありましたが、指針というのはあくまでも目安でありま すので、実効性の担保が許可を受けた商品に比べて低いのではないかという懸念がござ いました。したがって、今、検討会の宅配食品栄養指針のワーキンググループで、そう した点も含めて、業界の方も入って、どうした形でこうした実効性が上がるかを並行し て議論を進めているところでございます。  それから、高齢者用の食品でございますけれども、現在、咀嚼機能と嚥下機能という 2つに対応したカテゴリーがそれぞれございます。対象者の個別の症状を勘案いたしま すと、ヒアリングなどもいたしましたが、特にニーズ、特殊性ということでいくと後者 の方について限定されるべきだということで、許可の対象を嚥下困難者のところに絞る こととしました。高齢者以外でも嚥下機能が弱っている方がいらっしゃいますので、も う少し普遍的な言葉ということで、「嚥下困難者用食品」と区分の名称も変えるという ことを考えております。  また、報告書では、妊産婦・授乳婦用の粉乳について、これはもともと戦後の栄養困 難期に、妊産婦や授乳婦の方にもちゃんと栄養をつけていただくということでミルクを 推奨するとしていたものでありますけれども、粉乳以外にもさまざまな栄養源が今日で は利用可能であるので、引き続き許可の対象として維持しなければならないかを考える と、その必要性は相対的に見れば低下しているのではないかということが指摘をされて おります。  以上をまとめますと、たくさんカテゴリーはあるのですけれども、ものによってはな かなか使われていないという現状を、本当にこの範囲の食品については必要とされてい る方がいて、しかも、それは健常の方とは異なるニーズに基づくものである。 そこにつ いては、積極的に認知度を高めることを実際に栄養指導している方、あるいはお医者さ んとタッグを組んで、対象者の方に使いやすいものに変えていかなければならないので はないかというのが対象食品の範囲の見直しの基本的な考え方でございます。  続きまして、対象者への情報についてでございますけれども、今言ったような区分が どんなによいものであったとしても、最終的に対象者に選択され、利用され、そして、 それがその人の栄養管理につながるためには、お医者さん、薬剤師さん、管理栄養士さ んによって助言・指導が適切に行われないと、食品の製造・供給だけで完結するもので はございません。したがって、患者さんが在宅に戻るときの栄養教育でありますとか、 あるいは地域における栄養ケアステーション、こうしたところで医療関係者が積極的に 関わっていただいて、栄養管理、療養指導をサポートしていく取組みが求められている というのが食品提供に当たっての基本的な考え方であります。  それから、流通のチャンネルに関してですが、今までは、わりとマークが表示されて いても、その意味も余り理解されずに製品が店頭に並べられているという状況もござい ました。やはり認知度を何とか高めて、本当に必要な人には届くような流通の改善を図 っていかなければならないということで、報告書では、情報提供の手段も拡充していく べきということが提言をされております。ただ、その際には、これは先ほど言ったよう に、摂れば摂るほどその人がよくなるとか、そうしたものではありませんので、的確な 情報提供を併せて販売に当たって薬局とかの事業者に努力をしていかなければならない ということも提言されております。  また、当然のことでございますが、表示されている内容が食品の中身と違っては、こ れはそもそも論外でありますので、今でも収去試験によってその適正性を担保すること になっているわけでございますけれども、ちゃんとそういう対応も強化をしていかなけ ればならないと指摘をされているところでございます。  最後に、報告書では、審査体制のあり方についても提言を受けております。特別用途 食品というのは、ある意味、センシティブな特別な用途のためのものでございますので、 本当にそれが適しているかどうかが慎重に検討されなければならない。特に規格基準が あるものについてはともかく、規格基準がないものについては、本当に最新の医学的、 栄養学的知見に沿ったちゃんとした審査を受けられるような体制が図られなければなら ないということで審査体制の強化がうたわれております。ただ、この点につきましては、 今、厚生労働省で審査をしておりますけれども、消費者庁ができれば、そちらの方にこ の審査・許可の権限についても移管をされるということでございますので、将来的には 消費者庁側の審査体制の強化が課題となってくるわけでございます。  併せて、検討会の報告書では、この審査基準として具体的にどういうものとすべきか ということで、ワーキンググループで検討いただいた基準案を別添で付けております。 本日お配りした資料にも書いているところでございますので、詳しくはそちらを御覧い ただければと思います。  さて、先程、消費者庁との関係をお話をいたしましたけれども、9月19日に閣議決 定をされて、 29日に国会に提出された関係3法案の中で、新たな組織として消費者庁 を設置いたしまして、表示に関する法律、取引に関する法律、安全に関する法律につい ては消費者庁自身が一部所管をするといったことが示されております。食品については、 表示の制度として、JAS法、食品衛生法、健康増進法の表示の制度が一元的に消費者 庁の方で所管をして、景表法の関係も消費者庁に移りますので、そうした食品の表示関 係について横断的に担う官庁としてその設置が予定されているところでございます。来 年度から消費者庁発足ということで閣議決定のときには予定をしていたわけであります が、最終的には法律が国会で通過しないとこれは実施できません。提出した後は審議が 進んでいないようでありますけれども、 審議状況も踏まえながら施行の準備を進めてい かなければならないと考えております。繰り返しになりますが、健康増進法の関係で、 特別用途食品の審査・許可は消費者庁が所管するという消費者行政推進基本計画が閣議 決定されておりまして、これに基づいて関連三法案が出されております。  特別用途食品見直しの今後のスケジュールについてということでございますけれど も、10月の初めから31日までということでございますが、厚生労働省のホームぺージ からリンクで飛んでおりますところで、パブリックコメントを募集しているところでご ざいます。これは今月いっぱい御意見を受け付けて、回答が取りまとまり次第、その結 果を公表することを考えておりまして、そうしたものを踏まえて、最終的な新制度の案 を策定いたします。一応、パブリックコメントの中で、いつからスタートしますかとい う点について、21年4月を予定をしております。新年度早々にスタートする訳です。パ ブリックコメントを出した案の中にもありますが、例えば高齢者用食品については、従 来制度についての表示、今までは「高齢者用」ということで食品の表示の許可があった わけですけれども、そういう変更があるものについての経過期間として1年間は従来の 表示でいいですよということを示しております。その他のものについては明示で取扱い は書いていないんですけれども、基本的には食品のカテゴリーによって取扱いを変える ということは考えておりませんので、1年間の経過期間ということを認め、報告書の提 言からすると1年半以上の期間をかけて、切替えをしていただくことを考えております。  ちなみに、パブリックコメントのアドレスについてですが、実際には、案が掲載され ているのは、もっと長いアドレスですけれども、打ち間違えやすいと思いましたので、 入り口のところのアドレスを掲載しております。ここから内容を御確認いたしますと、 本日の報告書の別添をもとにした、より通知に近い案が示されております。今日の説明 会等の中で新しい制度の姿について理解が進めばいいと思いますが、説明を聞かれて詳 細について疑問があれば御参照いただければと思います。  ちょっと予定の時間が過ぎてしまったかもしれませんけれども、駆け足で私どもが考 えております、あるいは提言を受けてつくりました新しい特別用途食品制度の姿につい て御説明をさせていただきました。どうもありがとうございました。 ○司会 玉川室長、どうもありがとうございました。  続きまして、東京医科大学腎臓内科の中尾教授より「臨床現場から見た特別用途食品 について」、お話しいただきたいとおもいます。中尾教授は、先ほどの玉川室長の説明 でもございましたように、特別用途食品制度のあり方に関する検討会のメンバーで、ま た、たんぱく質食品ワーキンググループの主査となっていらっしゃいました。 それでは、 中尾教授、よろしくお願いいたします。 ○中尾教授 皆様、こんにちは。東京医科大学の腎臓内科の中尾でございます。今日は、 「臨床現場から見た特別用途食品について」、特に慢性腎不全に対する私の専門領域で ありますところの低たんぱく質食品の有用性を中心にお話しさせていただきたいという ふうに思っております。  ただいま玉川室長から御説明がありましたとおり、新しい制度における特別用途食品 案については、結局、低ナトリウム食品、低カロリー食品、あるいは高たんぱく質食品、 こういうものが栄養表示基準に基づく栄養強調表示を採用しようということで、特別用 途食品から削除するというようなことでありますし、病者用組み合わせ食品は、宅配食 品栄養指針で対応しようということで、今までの特別用途食品から削除しようという案 であります。したがいまして、新しい制度における特別用途食品、病者用食品というこ とになりますと、低たんぱく質食品、それからアレルゲン除去食品、無乳糖食品、それ から総合栄養食品という、今のところ4つが特別用途食品として採用されるという案に なっております。つまり、この新しい制度による特別用途食品のコンセプトといたしま しては、この食品がないと生命に危険が及ぶ可能性があるというような食品を採用しよ うというものです。もう1つは、この食品がないと健康維持や治療を進める上で特段の 困難を生じるというような食品というものを特別用途食品として採用していこうと。そ れ以外のものは削除して整理しようと、そういうような案となっております。  この中で、先ほどお話ししました私の専門領域であります低たんぱく質食品について ちょっとお話しさせていただきますけれども、規格といたしましては、たんぱく質の含 有量は通常の同種食品の30%以下。それから、エネルギーの含有量は同程度かそれ以上。 それから、ナトリウム、カリウム含有量はそれより多くないようにということが規格の 3つの条件となっております。このような食品についてはどういう表示ができるかとい うことになりますけれども、例えば、この食品はたんぱく質の摂取制限を必要とする腎 臓病の患者さんに適していますというようなことが製品のところに書けるということに なりますし、あるいは腎臓病患者用食品ということが明記できるというようなことにな ります。なお、この制度の認可を受けていない食品ではこういうことが書けないという ことになるわけです。  低たんぱく質食品の食品形態としては、当面は主食類(米・パン・麺)、あるいはそ の製品に限られるということになるのではないかというふうに考えます。このような低 たんぱく質食品を応用していく疾病としては、慢性腎臓病ということになりますので、 この慢性腎臓病、最近はCKD(Chronic Kidney Disease)というふうに呼ばれており ますけれども、それについて少し解説させていただきます。  CKDは、末期腎不全となどで透析療法が必要となるリスクが高い疾病ですし、また、 心血管障害と密接に関連するリスク要因となっておるということで最近注目されている わけです。それで、慢性腎臓病(CKD)は、糖尿病性腎症とか、慢性糸球体腎炎、腎 硬化症、多発性嚢胞腎など、すべての慢性腎臓病を包含した名称となっております。そ れで、このCKDの腎機能による病期ステージの分類はこのようになっております。つ まり、ステージ1から5まで分類されておりまして、腎機能が糸球体濾過量に正常に上 昇している。正常なものはステージ1になります。それから、だんだん腎臓の糸球体濾 過量によって段階にステージ分類されておりまして、ステージ5になりますと腎不全と いうことになるというふうに分類されております。それで、ステージ5になりますと、 場合によっては人工透析、あるいは腎臓移植というようなことが必要になるのですけれ ども、ここに示しますのは、我が国における慢性透析患者数の増加の度合いを示したも のでけれども、これは透析医学会調査によるものです。2007年度末には27万 5,119人。 1970年は 949人だったのですけれども、このようにどんどん増えてきて、いまだもって 増え続けているという状況があります。  これはどこまでいくのか見当がつかないということがあるのですけれども、つまり2 007年12月末日現在において患者総数は27万 5,119人で、これは日本人の 464人に1 人が透析患者というふうな状況になっております。27万 5,000人といいますと、多いよ うに感じるし、あるいは少ないように感じるというところがありますけれども、これら の患者さんは、透析治療をするために、病院に大体週3回、月に10回以上通ってきます ので、実は医療機関を訪れる延べ患者数はこの10倍いるというような勘定になります。 即ち 270万、あるいは 350万人近くの患者さんがいる。我々医療関係者にとっては、そ ういう感じがあります。  しかも、最近の新規の透析導入患者さんの75歳以上の後期高齢者は全体の31%を占 めておりまして、高齢化しているというのが特徴です。透析方法としては、血液透析が 96.6%で、膜透析は少ない。3.4%の普及率ということになります。これらの末期腎不全 に至って透析が必要となる患者さんの原疾患、もとの病気ですけれども、これは第1番 目が糖尿病性腎症で全体の43.4%を占めておりました。第2位が慢性糸球体腎炎、24%。 第3位は腎硬化症で10%です。その他、多発性嚢胞症と続きます。成人ではこの3つ、 糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症で大部分を占めておりますので、末期腎不全 に至るCKDの3大疾病というふうに称することができるのではないかというふうに思 います。  さて、このように末期腎不全の患者さんが増えておりますので、医療費もどんどん増 加している。これはアメリカの例ですけれども、このように1991年、2005年とこのよ うにどんどん増加しておるという状況です。日本でも同じような状況が報道されており ますし、そういう資料が出ております。  一方、しかし、患者さんの方としてはどうかということですけれども、透析療法に対 する慢性腎不全患者さんの思いを我々のところで連続50人についてアンケート調査を した結果ですけれども、クレアチニンが4〜6mg/dlというわけですから、ステージ5 の慢性腎臓病患者さんで透析導入直前に近い患者さんたちですけれども、ほとんどの人 は透析はできたら避けたい、90%以上の方はそういうふうにおっしゃっておりますし、 行なってもいいという人は一人もおりませんし、ある程度の時期、そういうような病状 になったら仕方がないという方は10%程度ですし、ほとんどの人は透析は避けたいと願 っているというのが患者さんの思いであります。  つまり、維持透析患者数は年々増加して医療経済を圧迫しているということがありま す。それで、患者さん自身は、ほとんど全員が透析は避けたいと願っているという事実 があります。そこで、こういう腎不全の透析をなるべく先延ばしにする保存療法という のが最近ますます重要視されてきているという状況があります。この保存療法の一番キ ーになるのが食事療法でありまして、保存的食事療法ということになります。それには、 まずは食塩制限がありますし、たんぱく質制限、それで必要十分なエネルギー摂取とい う3つが大きな保存的食事療法の要素となります。  それで、CKDのステージ4〜5の末期腎不全で、糸球体嚢胞量が低くなればなるほ ど、保存的食事療法が有力な治療方法となって、そういう透析導入遅延、あるいは阻止 ということに有力な力になってくるということがあります。  ところで、たんぱく質の制限による食事療法はいろいろ行なわれていまして、0.8g /kg/dayぐらいから0.5g/kg/day以下というような、かなりのいろいろなバラエテ ィをもって実は臨床の現場では行なわれております。一口にたんぱく質制限といっても、 ちょっとたんぱく質を減らした制限、厚生労働省の健常者に対するたんぱく質摂取推奨 量(必要量)は0.93g/kg/dayですから、ほんのちょっと減らした減たんぱく食という ものから、0.5g/kg/day以下の超低たんぱく食まで、いろいろな段階のたんぱく質の 制限食が行なわれているというのが臨床の現場の実情です。  このたんぱく質緩制限食、この辺ぐらいまでは低たんぱく質食品を使わなくてもどう にかできるわけですけれども、低たんぱく食より下になりますと、どうしても低たんぱ く食品を取り入れないとなかなかうまくいかないという現状があります。それで、減た んぱく食、あるいはたんぱく緩制限食の程度では、介入程度はそんなに強くなくていい のですけれども、低たんぱく食、透析導入遅延を目指す積極的な介入、あるいは超たん ぱく食、透析導入の長期遅延を目指すような高度介入となりますと、これは低たんぱく 食品がないとやはりうまくいかない。栄養学的にもうまくいかないということがありま す。  このような低たんぱく制限食の臨床的な治療上の有効性ということについては、いろ いろと報告が今まであります。これは、Meta分析が2006年に報告されておりますけれ ども、これによっても有効性が示されておりますし、そのほか、MDRD Studyというよう なアメリカの大規模試験の2次解析によっても0.6〜0.8kgのたんぱく制限食では制限 用量依存性に腎機能低下の進行を抑制したということが報告されておりますし、また、 たんぱく質摂取量と腎機能低下との関連を489人のGFRが55〜80という軽度の低下者 を11年間観察した研究結果でも、たんぱく質摂取量が多い群の方が腎機能低下が促進さ れる危険性が高いということが示唆されております。このようにたんぱく質制限をする ことが腎機能低下の進行を阻止するということに役立つということは、いろいろな研究 から証明されてきています。  ところが、食事療法となりますと、これは患者さん自身が御自分の手でやってもらわ なくてはいけないものなので、日常の食事療法というのは、遵守される場合と、そうじ ゃない場合ということがあります。そこで、我々のところでは、遵守ランクというのを A、B、C、Dと4段階に分けて評価しております。簡単に言うと、Aランクというの は大変よく守っている。Bはそれに準じている。C、Dは余りよくない、簡単に言うと そういうことになります。それで、低たんぱく食0.6g/kg/dayの低たんぱく食に対す る遵守度というのを見てみますと、これは糖尿病性腎症 106例について調査したもので すけれども、Aランクの人は19%、Bランクまで入れても約半数ぐらいが遵守良好群と 言えるというところで、なかなかこういう食事療法は実際には 100%遵守されるもので なくて、遵守され難い面もあるということが言えるんじゃないかと思います。  しかし、このような低たんぱく食を遵守してもらうと、やはり腎機能低下の阻止効果 が出るのであって、遵守がA群、それに準じてB群は、このようにC群やD群の遵守が 悪い群に比べて腎機能低下が有意に阻止できているという結果が先ほどの調査した106 人の経過から得られております。  また、別な調査で58例の糖尿病性腎症に対する低たんぱく質の遵守度別効果ですけ れども、血清クレアチニン4mg/dlから透析導入までの期間を見たものですけれども、 やはり遵守のA群、B群、それに続く群C、Dというふうに、遵守がよければいいほど 透析導入までの期間は延長できているというようなことが我々の検討結果からも明らか であります。  また、超低たんぱく食でたんぱく質を0.5g、この場合は0.3mgですから、0.4g/k g/dayの超低たんぱく食を適用すると、 血清クレアチニン10mg/dlというような、非 常に進んだ、通常の医療機関ですとすぐに透析をやらなければいけないというようなレ ベルの患者さんでも、1年たっても50%が透析をやらないで済んだ。2年たっても、30 %が透析をやらないで済んでいる。3年たっても、まだ20%の人が透析をやらないで済 んでいるというような、そういう結果も発表されております。ですから、こちらもちょ っと驚いているのですけれども、そういう効果を発揮するものだというようなことがわ かります。  食事と慢性腎臓病ということを考えてみますと、食塩やたんぱく質の摂取量が多いと 腎機能低下が進行に働く。しかし、炭水化物や脂質、これは幾ら多くても腎機能低下の 進行には作用しない。それで、栄養状態が良好な方に働くということになります。ただ し、一般人では、この摂り過ぎで栄養過剰によるいろいろな害が言われているところで ありますけれども、腎臓ということを考えるとそういうような図式になります。  また、透析患者さんで考えてみますと、たんぱく質の摂取量が増えると、尿素窒素や リンの貯留が起きますし、アシドーシスが助長されるというような悪影響が出ます。し かし、炭水化物や脂質の摂取量が多くなっても、これはこういう悪影響には直接結びつ かないで、こちらが多ければ多いほど栄養状態は良好に保たれるということになります。  これは、血液透析患者さんの体内の環境の変動を模式図にしたものですけれども、通 常、透析は1週間のうち週3回ということになりますと、それは月・水・金というふう に透析をやるというということになりますが、1回透析をやりますと標準的には大体4 時間ぐらいですけれども、4時間やりますと、たまっていたものが4時間の間に除去さ れて、大体正常のレベルまで除去されることになります。しかし、透析の治療を終了し た時点から次の透析までに、やはり食事療法、飲食の加減によって、まただんだんたま ってくるということになります。そこで、また透析をやるとほぼ正常なレベルまで戻る ということの体の中での繰り返しでいっているということになりますが、透析が終了し てからの時間経過の間で、塩分、水分、あるいはたんぱく質、こういうものの摂取が多 いと、たまり具合がこういうふうにいってしまう。これらが抑えられれば、たまり具合 はこのようになだらかになるということになります。つまり、ここのところで正常まで 戻したところは、次の透析までの食事療法の具合によっては、たまり具合がなだらかで あれば、週3回の透析でなくて2回で済むということもあり得るということになります。 更にその辺をうまく制限できれば、週1回でも済むというような患者さんを我々は多く 経験しております。つまり、透析患者さんでは、たんぱく質摂取を減らして、その分、 炭水化物を多く、それで食塩や水分の摂取が少なければ少ないほどよいということにな ります。そのようにして摂取量と透析の関係を考えてみますと、通常は今現在行なわれ ている透析を週3回の透析が、1週間に3回ということが標準ではありますけれども、 このような塩分、水分、たんぱく質の摂取量が抑えられれば、3回でなくて2回で済む という患者さんをたくさん経験しておりますし、逆に、これが多過ぎしまうと3回では 済まない。4回あるいは5回というような回数が必要になるということになります。  そのように、食事療法、たんぱく質を制限した食事、塩分、水分を制限した食事療法 は、透析患者さんにおいても、透析の回数をある程度減らすことができる可能性がある ということになります。このように、透析になる前も、透析になってからも、そういう たんぱく質を制限する低たんぱく食ということが有用に働くわけですけれども、このよ うな低たんぱく食の食事療法を行なっていく1つの要件としては、まずはたんぱく質の 摂取量を有効量まで減少させるということは絶対必要です。それから2番目として、炭 水化物や脂質から十分にエネルギーを摂取するということになります。その脂質のエネ ルギー比率は健康上から20〜25%とするということが厚生労働省の指針にも示されて おるとおりであります。そのほか、食事全体のあのアミノ酸スコアを 100、つまりパー フェクトに維持する。これは栄養学上とても大切なことです。たんぱく質を減らしてこ のアミノ酸スコアを 100に維持するということになりますと、特に主食類、米飯やパン、 麺などを、でんぷん製品、あるいは低たんぱく調整食品を用いるということ。そして、 その減らしたたんぱく源の60%以上を動物性食品とするということがポイントとなる ということになります。 ですから、アミノ酸スコアを 100という面においても、低た んぱく質の米飯類、あるいは主食類やそういうものが有用になってくるということにな ります。  これは、慢性腎不全患者さんで低たんぱく食を行なっている方のアミノ酸スコアを見 た我々の検討結果ですけれども、パーフェクトの方が半分ぐらいおりますが、やはり 1 00にならない人が半分ぐらいいるという状況でした。それで、食事のアミノ酸スコアが パーフェクトになっている人々、そうじゃない人を比べてみますと、たんぱく質の摂取 源が、こちらが64%が動物性たんぱく質から摂っておりましたし、こちらの方々は動物 性たんぱく源の36.8%にしか達していないということで、やはりたんぱく源は動物性た んぱく質から摂るということが必要になります。  そこで、こういう主食になる穀類、植物性たんぱく質をなるべく減らしておこうとい うことが必要になるわけです。これですと、180gの米飯のところ、通常の御飯ですと4. 5gのたんぱく質となりますが、こういうふうに0.2gぐらいに減らしておくと、残りの 部分を動物性たんぱく質で置きかえることができる。そうしますと、要するに、アミノ 酸スコアを上昇させることができるということになります。主食に低たんぱく質食品を 使用すると、肉、魚、卵、こういうようなおかずを同じ食事の枠組みの中で、穀類から のたんぱく質を減らした分、その分を動物性をたんぱく質で補うことができるというこ とになりますので、おかずを増やせるという利点もありますし、栄養学的にも有利にな るというようなことがあるわけです。  主食をそういうような低たんぱく質食品に置きかえることによりまして、副食のたん ぱく質摂取源を増やすことができます。それによって、食事全体のたんぱく質の質がよ くなる。それで、エネルギーの摂取がしやすくなることによって食事内容がよくなると いうことがあります。それで、先ほどの食事療養の遵守度をA、B、C、Dと4段階に 分けてお示ししましたけれども、Aランクの人、Bランクの人とC、Dのランクの方々 と比べてみますと、低たんぱく食の遵守度とたんぱく調整食品、つまり低たんぱく質食 品の使用頻度を見てみますと、やはり遵守度がうまくいっているAランク、Bランクの 方々は、それ以外の方々と比べて、こういう低たんぱく食品、たんぱく質調整食品の使 用頻度を明らかに高いということが我々のところの経験からもわかっております。  以上、本日は、主に低たんぱく食品について、慢性腎臓病に対する応用についてお話 ししました。  ところで、最後に、たくさんの低たんぱく質食品、例えば飯などでも二十数種類以上、 あるいは麺などでも同じように二十種類以上のものが今販売されておりますけれども、 実は特別用途食品として申請されているものはごくわずかということになります。臨床 現場としては、メーカーの成分表示を信じてもちろんやっておるわけですけれども、今 後、我々の心配としては、何か怪しげなものが出てくるのではないかというふうな心配 はあるわけです。ですから、そういうことがないようにこの制度が生かされることを願 っております。また、厚生労働省の方々に対しては、この食品が利用されることによっ て、つまり透析を遅延できたり、あるいは透析の頻度が減少させられるわけですから、 この食品を使うということに何か利点といいますか、医療上の補助なり、そういうもの が付与されるということを考えていただければというふうに願っております。  以上です。 ○司会 中尾教授、どうもありがとうございました。中尾教授はここで御退席の予定で すので、ただいまの中尾教授の説明につきまして、御質問等がありましたらお願いいた します。 ○質問(渡辺) テルモ株式会社の渡辺と申します。今日、先生のお話にあります主食 を低たんぱく化するということの意義は私どもも大変よく理解しておるわけですが、お 話にありましたように、最近、特に高齢者の方、あるいは合併症等で通常の食品を調理 したものをなかなか食べにくいという方も増えていらっしゃると思います。そういう場 合には、低たんぱく、あるいは低たんぱくのたんぱくの中身をアミノ酸、プロテインス コアを上げたような、いわゆる濃厚流動食のようなものを、これは低たんぱく食品の一 カテゴリーとして取り上げていただいた方がよろしいのではないかと思うのですが、 最初に先生の方で専ら主食を中心に考えるというお話でしたので、そこのところの御意 見を伺いたいと思います。 ○中尾教授 確かに、おっしゃるとおりかと思います。御質問ありがとうございます。 ただ、基準となるものよりも30%以下にたんぱく質が抑えられているということがクリ アできれば、今度の新しい制度の案として出されておりますので、そうすれば、特別用 途食品として採用される可能性もあるかと思いますけれども、基準となるものが果たし て何を基準とするかというところもあるかと思います。要するに、飯にしろ、うどんに しろ、通常の食品を基準としておりますから。 ○質問(渡辺) 流動食の場合ですと、例えば一般的に使用されている流動食、あるい は牛乳等、そういった栄養補給のために用いられる一般的な流動性のある食品、こうい ったものを指標にして、なおかつ30%以下ぐらいまで下がっている。そういうようなこ とを業界としてはちょっと考えたいところなんですが。 ○中尾教授 そうですね。牛乳とか、そういうものだと、はっきりとした比較するもの がありますので、十分納得できるものになるかと思いますし、流動食も同じようなこと になれる可能性はもちろんあるかと思います。 ○質問(渡辺) ありがとうございました。 ○司会 どうもありがとうございました。ほかに御質問はいいでしょうか。 ○質問(池田) 大変わかりやすく御説明いただきましてありがとうございました。日 本健康食品規格協会の池田と申します。先ほど非糖尿病者のメタアナリシスのデータを 御説明いただきましたけれども、糖尿病患者さんの場合のエネルギーを炭水化物で補充 する形になりますけれども、何かエビデンスのようなもの、特に炭水化物でエネルギー を補給する場合に問題点などはないのでしょうか。 ○中尾教授 御心配は、要するに一食の食事のエネルギー量が心配なんじゃないかと思 いますし、一つは、グライセミック・インデックスとか、そういうことも御心配になっ ているかと思いますけれども、一食の食事の枠組みの中で、エネルギー量が適正に守ら れておれば、それによって特段に血糖コントロールに悪影響を及ぼすというようなこと は我々は経験していないというような状況です。 ○司会 どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。  なければ、ここで5分ほど休憩とさせていただきたいと思います。中尾教授、どうも ありがとうございました。それでは、開始は25分ぐらいでお願いいたします。                ( 休 憩 ) ○司会 では、これから質疑応答を始めたいと思います。質問に回答いたしますのは、 皆様方の方から御覧になりまして、右側が先ほど御説明いたしました新開発食品保健対 策室長の玉川でございます。手前の方が新開発食品保健対策室衛生専門官の調所でござ います。  質疑応答の進め方でございますけれども、御発言される方は挙手をお願いいたします。 係の者がマイクをお持ちいたしますので、御発言に先立ちまして、差し支えなければお 名前と御所属の方をよろしくお願いいたします。御質問の方は、なるべく手短にお願い できればと思います。なるべく多くの方に御発言をいただきたいと思ってございます。  それでは、御発言される方は挙手をお願いいたします。 ○質問(藤崎) 介護食品協議会の藤崎と申します。嚥下困難者用食品についてですけ れども、高齢者用食品という言葉と咀嚼困難者用食品というカテゴリーが今後制度から 外れるということについてですが、これが外れることで、例えばそういった用途のある 商品に「高齢者の方へ」とか、「咀嚼困難者の方へ」とか、そのような表示というもの は既存の一般の食品に対して行なっていけるものなのでしょうか。それがまず1点目で す。  それから、もう1点ですが、こういった食品については、例えば一般的に嚥下障害の ある方もお使いになるケースとか、あとは、そういった食品として認知されているもの もあると思うのですけれども、そういったものに対して、注意喚起とか警告表示とか、 そういったことを行う場合というのは、例えば「誤飲には注意してください」とか、 「嚥下障害の方は専門家の方に御相談ください」といった、そういった注意喚起表示と いうものも行なうということはできるのでしょうか。 ○司会 ありがとうございます。では、御回答をお願いします。 ○調所専門官 ただいまの質問に対して回答させていただきます。  まず、「高齢者用食品」という名称ですけれども、そもそも高齢者用食品というだけ であれば、この言葉というのは何も規制しているわけではございません。高齢者用食品 で医学的、あと栄養学的等、そういった文言等で説明を表示する場合ということであれ ば、やはり何らか特別な用途ということになるとは思うのですけれども、そのエビデン スといいますか、ちゃんと高齢者用ということが、本当にそうであるかということがち ゃんと説明できるものであれば、「高齢者食品」といった表示も可能かと思っておりま す。  咀嚼困難というところでございますと、これはあたかも硬さとか、そういっただけの ものであればいいかもしれないんですけれども、咀嚼困難となれば、またこれが特別病 気的なもので起こっている場合もありますので、もしかすると、こういったものに関し ましては、表現によっては特別用途個別評価型病者等の関係で咀嚼・嚥下困難というこ とであれば、そういったものの表示の許可を取る必要がある可能性があると思います。  それから、注意喚起ということですけれども、これはもちろん食品で安全性に問題が あるものであれば、注意喚起というのを特に規制しているわけではございません。質問 的にはそのぐらいということですか。 ○質問(藤崎) ありがとうございます。 ○司会 よろしいでしょうか。ありがとうございました。  では、続きまして、御質問等ある方、よろしくお願いいたします。 ○質問(三浦) 味の素の三浦と申します。よろしくお願いいたします。総合栄養食品 につきまして2点教えていただきたいと思います。  1点は、総合栄養食品許可基準の案というところにございます基準に適合したものが 総合栄養食品であるというふうに記載されていますけれども、例えば別表1の熱量の基 準とか、たんぱく質の基準がこの範囲から外れるような場合は、これは個別栄養食品と いうところで申請する必要がございますでしょうか。それが1点でございます。  もう1点は、必要的表示事項の4番に摂取時の使用上の注意等に対する記載ができる ようになっていますけれども、例えば総合栄養食品許可基準をいただきましたここに、 通常、経口で摂取できない方もおられると思います。例えばチューブを使って医療者の 指導のもとにされているという方がおられると思うんですけど、そういった使用上の注 意事項も記載は可能なんでしょうか。以上、2点お願いいたします。 ○調所専門官 まず1点目ですけれども、エネルギーとか、たんぱく質とか、こういっ たものから、この値から外れているものに対しての御質問だと思うのですけれども、こ れにつきましては、案の注釈のところに「個別に調整した成分等についてこの限りでな い」ということなので、それを明記することによって、その成分が外れた場合は、5番 ですか、必要的表示事項を書くことによって可能であるということでございます。 ○司会 今御説明いただいていますのが、資料の別添の15ぺージのところになります。 ○調所専門官 そういうことが1点目の質問の回答だと思います。  2つ目につきましては、4番というところですね。摂取時の使用上の注意等に関する 情報ということですけれども、一応、食品ということの考え方から注意事項は書いてい ただきたいとは思うのですけれども、もちろん、注意事項ということで、そういったも のを書くことも今後可能であるかとは思いますけれども、そのときは、またそういった 表示内容につきまして申請時にこちらの方に確認していただければと思っております。 ○司会 よろしいでしょうか。ありがとうございました。  では、続きまして、ほかに御質問ある方、よろしくお願いいたします。 ○質問(今井) フィブロ製薬の今井と申します。個別評価型の特別用途食品の基準に ついて質問いたしたいのですが、現在、特定保健用食品を取得している商品が、この規 定条件に合致するのであれば、同時に、病者用特別用途食品ということを重ねて表示す ることも条件さえ合えば可能でしょうか。 ○調所専門官 あくまでも特定保健用食品(特保)と言われていますものは健常人を対 象にしているものでございます。ここに書いてあります個別評価型、これは特別用途の 中の病者用ということなので、特別用途の趣旨から言うと、これは同時にはできないと いうことになります。 ○質問(今井) 健常人と病者が同じものを、健常人でも病者用特別用途食品を使える ということがデータなどから裏づけることができた場合は可能ということにはならない のでしょうか。 ○玉川室長 特保の場合は、特定の保健の用途ということで、それに対するエビデンス がデータとして上がってきて、それを使うわけですね。病者用の場合は、その病者のあ る特定の疾患とかに対してということだと思うのですけれども、実際に売る場合の販売 の指導とかを考えてみても、同じ商品の中で2つのマークが混在して表示されるという 形が本当に消費者への情報提供として適当なのかどうか。健常人向けのためのメッセー ジの部分があるのと、それから病者のためのものとして、医師、管理栄養士等の指導を 受けて使ってくださいという注意文言が入るのと、同じ商品に同時に書いてあるのがい いのかどうかといえば、非常に疑問です。したがって、実際上、同じような機序の食品 がそれぞれこういう目的でこのように売る、別の目的での食品がこのような表示で売る ということはあるのかもしれませんけれども、実際に特保がすべからく医師、管理栄養 士の指導を受けて使ってくださいという注意喚起文言がつけられて売られるというのは 実際上、考え難いのではないかと思います。 ○司会 よろしいでしょうか。ありがとうございました。  続きまして、よろしくお願いします。 ○質問(宮崎) 森永乳業の宮崎と申します。1点、私も総合栄養食品のことでちょっ とお伺いしたいのですけれども、総合栄養食品じゃなくても、食品では特に微量元素、 銅、亜鉛とか、そういったものが許可しにくいような状況、添加物が少なくて十分に選 択し得る幅が狭いといいますか、そういう状況にございます。一方、許可基準を見ます と、そういった足りないものについては欠乏するようなケアフレーズをつけなくてはい けない。多いものについては過剰だというふうに書きましょうというようなことになっ ていますけれども、特に欠乏するものについては、そういう添加物の制限がある以上、 幅を広げる必要があるのかなというふうに思うのですが、例えば栄養機能食品でのみ使 用が許されているような添加物は、今度の総合栄養食品では使えるとか、そういったよ うな幅を広げるというようなことは考えていらっしゃるのかどうかというのをお伺いし たいのですが。 ○調所専門官 お答えいたします。確かに、ビオチンとか、亜鉛、銅などは、その添加 物につきましては食品衛生法での使用基準では、保健機能食品しか使えないものと今現 在なっているところです。もちろん、特別用途の総合栄養食品というのは食事の代わり となるものですから、やはりそういった栄養成分が少なくなっているということは問題 であると我々も認識しておるところでございます。それから、それらのものにつきまし ては、やはり今後、そういった特別用途食品というカテゴリーの中で使用できるように 検討する予定でございます。 ○質問(宮崎) よろしくお願いします。ありがとうございました。 ○司会 どうもありがとうございました。 ○質問(疋田) 日清オイリオグループの疋田と申します。私も総合栄養食品のところ でお聞きしたいのですけれども、脂質の注釈に脂質脂肪酸を配合することというふうに あるのですけれども、脂質脂肪酸の割合とか、レベルですとか、例えば量的に制限にあ るとか、1種類でいいのか、2種類、3種類入れなければいけないのかとか、そこら辺 の制限に関してちょっとお答えいただきたいと思います。 ○調所専門官 お答えいたします。ただいまの質問につきましては、今現在、パブリッ クコメントを出している内容というのが、ワーキンググループによる報告書といいます か、総合栄養食品のワーキンググループで検討された結果のものとなっています。だか ら、これにつきまして、今のところ、基準ということであればこれだけですけれども、 そういった中にいろいろな条件、ほかのものも必要とあれば、パブリックコメント等に 言っていただければと思っております。 ○司会 よろしいでしょうか。ありがとうございました。  ほかにございましたらどうぞ。 ○質問(ミヤイ) エイチプラスビィ・ライフサイエンスのミヤイと申します。今現在、 当社で無たんぱく質高カロリー食品の許可を得て食品を販売しているものがあるのです が、食品形態は、主食ではなくて、エネルギー補助食品という形ですけれども、こちら の低たんぱく質食品の許可基準を見ますと、特に食品形態はないんですけれども、中尾 先生の御説明の中で、食品形態が当面は主食と粉製品に限られるとおっしゃったのです が、結果として、今後は許可の対象から外れると考えてよろしいのでしょうか。 ○調所専門官 これは、今回の資料、報告書の別添の12ぺージのところ、今までの低た んぱく質食品許可基準というもので、低たんぱく質食品高カロリーたんぱく質食で以前 ありましたものを、まとめて低たんぱく質食品許可基準に合わせたものでございます。 この中の規格の4番、「食事療法として日常の食事の中で継続的に食するものであり、 これまで食していたものの代替となるものであること」、この基準に当てはまって、こ の条件に合っていれば、それはもちろん許可の対象になると思うのですけれども、そう いったものがカロリーだけを摂るということであって、言ってみれば、今日の中尾先生 からの話の趣旨ということから考えれば、今後そういったものは許可にはなりにくいの かなと思っておるところでございます。 ○司会 よろしいでしょうか。ありがとうございます。  ほかにございましたら、よろしくお願いいたします。 ○質問(菊池) 低カロリー甘味料の受託制度に携わっております菊池と申します。今 回、制度から外されることになった低カロリー食品について質問です。  3つあるのですけれども、まず、低カロリー食品の中でも砂糖代替食品ですけれども、 現在、カロリー摂取制限をされている次の方、糖尿病の方、治療中の方と、医療別に摂 る方の表示を許可されているわけですけれども、今後は、この表示は一般食品として表 示してはいけなくなるのかということがまず1点。  それから、砂糖代替食品においては、今申し上げましたように、糖尿病の方へという ふうにお勧めしているわけですが、糖尿病の方にとっては、カロリーのみならず、血糖 値に影響があるかないかが重要な利益なんですが、今、血糖値に影響がありませんとい うことも含めて表示の許可をいただいているわけですけれども、もしこれを表示しては いけないということになると、消費者にとって多大な不利益になると私は考えておりま すが、低カロリー食品の砂糖代替食品について、単にカロリー表示が栄養表示されてい るからいいんだという考えでよろしいのかどうかということが第2点。  それから、第3番目は、量を摂れないような砂糖代替の液状のものについては、サッ カリン、ナトリウムが使われている例が多いわけですけれども、これは、食品添加物の 使用基準によって、通常ですと0.02%、あるいは0.03%、食品によって規制がされてお りますが、特別用途食品に限り、この例ではないというふうに許可されているわけです。 ところが、この制度がなくなりますと、現在まで使われてきたサッカリン、ナトリウム 0.05%という使用量は許可されなくなるのでしょうか。もしもそうなりますと、これも 大きな混乱を招くものと思います。この3つについて御質問いたします。 ○調所専門官 まず1点目ですけれども、基本的に今回、低カロリー食品、低ナトリウ ム食品というものにつきましては、単一食品だけでは必要な栄養摂取が達成できないと いうことと、栄養表示基準において、そういった関連する栄養強調表示の基準が既に定 められておりますので、それらの代替的な機能を果たし得るということから、特別用途 の許可の対象から今回外れたわけでございます。検討会の報告書でそういったことが提 言されているということです。  それから、実際、今度はそういった低カロリーだけで糖尿病に適するとか、そういっ たものについては、病気に適するというような表現はできなくなるということです。  あと、「血糖値に影響がありません」という表現ですけれども、あくまでもこれは血 糖値に影響がありませんというので幾つか特別用途でないのにそういった広告等がなさ れたものがございましたが、そういったものが、あくまでも実際、病者にとって本当に よいものか、もしくは内容的にエビデンスがあるかどうか、確立されたものであるのか どうなのかというところで判断の基準になると思います。それが入ったから必ず書けな いということではないと思います。※  (※このような発言となっておりますが、「血糖値に影響がありません」との表示は 糖尿病の患者を対象とした表現であるため、病者用食品の許可が必要となります。)  それから、液状のものについての添加物の使用基準ですけれども、言ってみれば、サ ッカリンというものが特別用途に使えるというところなので、それは今後も特別用途食 品には使えるとは思うのですけれども、特別用途でなければそれは使えないということ になると思います。それは、使用基準が「特別用途で使えるもの」ということで決まっ ているので、そこは変わらないということでございます。 ○司会 よろしいですか。 ○質問(菊池) 3番目がよくわからなかったのですが、使えないと。 ○調所専門官 使用基準が「特別用途でないと使えない」ですよね。だから、今度は特 別用途ではなくなるものについては使えないということになります。 ○質問(菊池) その場合に、現在それを食している方から、どうしてですかと聞かれ たときに答えようがないと思うのですけれども。 ○調所専門官 それならば、まず1つは、そこは制度から外れたということになります。 ○質問(菊池) ということは、それまで有害だったわけですかというふうに聞かれて しまう。 ○調所専門官 それは、もちろん有害ではないですよね。 ○質問(菊池) ええ。そこのところは、消費者の方に非常に混乱を来すと思うんです けれども、その辺はどうでしょうか。 ○玉川室長 中尾先生のお話にもありましたように、今回の見直しのコンセプトという のは、その食品を使わないと生命に危険・危害が及ぶかとか、健康の維持ができないか どうかという、 かなり絞ったニーズに対応したものとなっております。したがって、そ ういうものでなければ、その病気への対応として、サッカリンがその濃度でないと維持 できないようなものが例えば個別評価型であれば、それは特別用途の許可対象となるこ とがあるのかもしれませんけれども、一般的にそういうことが考えられるかどうかです。 そこは必要があるかどうかで判断をされるのだろうと思います。また、患者から見て、 栄養管理の中の維持で不可欠なものなのかどうかだろうと思います。 ○司会 御質問については、この回答でよろしいですか。ちょっと納得されていないよ うですけれども、締めさせていただきたいと思いますが。またパブリックコメント等で 御質問いただければ、御回答もできると思いますので。  では、次に移りたいと思いますけれども。 ○質問(渡辺) テルモ株式会社の渡辺と申します。総合栄養食品について3点御質問 があるのですが、ちょっとレベルの違う質問なので、恐縮ですが、1点ずつ御質問させ てください。  まず、全体的な進み方としては、今の予定では、21年、来年の4月から総合栄養食品 というのが新たに申請可能になるという理解をしているのですが、その際に、従来の特 別用途食品ですと、例えば1年ぐらい販売実績がないといけないというふうな話もちょ っと聞いたことがあるのですが、今回の規格基準型のものに関しては、その規格基準に 入っていれば、新たにつくったものであっても申請することは可能というふうに理解し てよろしいでしょうか。それが第1点です。 ○調所専門官 お答えさせていただきます。そもそも総合栄養食品は、今までも医療の 現場で使われているものだと思います。その中の今回の病者用食品の規格基準というと ころの個別にそれぞれ規格が定まっている以外に、今回の資料にもあります別添の1番 目、許可基準型病者用食品の基本的許可基準、概括的許可基準が食品群別許可基準以外 にもございます。ぺージで言いますと、11ぺージのところでございます。これの中に、 2番の概括的許可基準というところでも、(3)として「利用対象が相当程度に広範囲のも のであるか、又は病者にとって特に必要とされているものであること」。今までそうい った実績というのが、こういった概括的許可基準を示すものの資料として提出されてい たものでございますので、今現在、医療機関で売られているものであれば、こういった ものも可能だと思っております。 ○質問(渡辺) その際に、今回規格が決まったことで、例えば、ある微少な部分が規 格から少し外れていた。だから、規格に入れるために、そこを多少調整して、規格に入 るようにして出そうというような部分に関しては、考え方次第だと思うのですが、そう いう軽微な変更というのはある程度踏まえても今のお話の中に入るというふうに考えて よろしいですか。 ○調所専門官 その内容を見てみないとわかりませんので、こちらに書いています概括 的許可基準に合うかどうかというところで判断させていただきたいと思います。 ○質問(渡辺) ありがとうございます。  それから、2点目ですが、先ほどの御質問とちょっと重なるのですが、今度は特保で はなくて、栄養機能食品と病者用総合栄養食品は基本的にダブることはないというふう に考えた方がよろしいでしょうか。つまり、病者に使われる総合的な栄養食品であって も、特にある特別の栄養素を強化したようなものが現実にはかなりあるわけですが、そ ういったものは病者用食品の総合栄養食品であって、かつ栄養機能食品でもあるという 概念は成立するのではないかと思うのですが。 ○調所専門官 総合栄養食品の趣旨というのが、基本的には経口摂取が不十分な者の食 事の代替品となっているものでありまして、そういった観点からこういった許可が行な われるものでございます。それに対しまして、栄養機能食品というのは、これは食生活 の乱れ等によって何らかの栄養成分が不足していて、補給・補完を目的としているもの でございますので、これも同じ目的にはならないということでございます。 ○質問(渡辺) そうしますと、その場合に、総合栄養食品として現在出ているものが、 移行期間、22年の4月を過ぎても、なおかつマークを取らずに売られているとなると、 何らかの御指導があるのではないかと思うのですけれども、臨床現場で総合栄養食品、 病者用食品ではなくて、栄養機能食品が栄養補給の目的で使われているということ自体 は、それを妨げるものではないという理解でよろしいですか。 ○調所専門官 あくまでも表示の制度なので、その表示内容で区別をするということで ございます。 ○質問(渡辺) ありがとうございます。  3点目は簡単に。先ほど来あります相互栄養食品の規格基準ですが、この基準、特に 16ぺージの別表1等に示されている基準というのは、これは表示値の基準と。例えば たんぱく質3gということであれば、たんぱく質3gという表示をする食品であれば、 ここの規格に当てはまるということでよろしいでしょうか。つまり、その3gという表 示には、現行の栄養表示等でもある程度のばらつきというのが実際に認められているか と思うのですが、収去された場合に、表示が3gで例えば2.7gであったとすると、こ れは現行のルールの中では10%マイナスですから、適合するという理解になるのですが、 この場合に、もし収去を分析されたときに、3gを切れてはいけないということになる と全くもののつくり方が違ってきますので、そこだけちょっと御確認をさせていただき たい。 ○調所専門官 こちらの数字につきましては、言ってみれば、たんぱく質を例にとりま すと、3〜5gと書いているわけではないです。3.0〜5.0と書いている理由としまして は、そういった四捨五入と丸めの桁がこの3.0以下のところから起きてくるというよう な考えで、ほかの成分としましても、そういったものでつくられているものです。そう いったところで、言ってみれば、丸めの仕方で範囲というのがズレる場合がございます ので、もちろん基準としまして、この数値といったところで丸めの仕方がおかしいもの であれば、もちろんそれはここの範囲ではないというような判断が下されると思います。 要は、これが基準で丸めで3.0といったところが四捨五入して3.0になれば、それは規 格基準に合っていると理解しております。 ○質問(渡辺) 表示値として3.0という理解でよろしいんですよね。 ○調所専門官 表示値というのは。 ○質問(渡辺) つまり、丸めの問題ではなくて、今の食品の場合には栄養表示を 100 としますと、通常、ものにもよるのですが、80〜 120までの間に分析値が入っていれば 100という表示をしても差し支えないということになってくると思います。それに関す る部分です。 ○調所専門官 この表示される数字自体は栄養表示基準の分析に従うということになり ますので、そのルールになると思います。成分の分析方法がありきですから、分析方法 というのは、今の栄養表示基準に従うということになりますので、そのやり方でいいと 思います。 ○質問(渡辺) ありがとうございます。 ○司会 よろしいでしょうか。ありがとうございました。 ○質問(山口) 旭化成ファーマの山口と申します。今の質問と関連するのですけれど も、玉川室長の資料の中に、栄養表示基準に今回の特別用途の表示の制度にのっとると いうような御説明があったのですけれども、 基本的に今のテルモさんの御質問と同じで すけれども、表示値に対しての管理幅といいますか、栄養表示基準に定められた幅の管 理によるという理解の確認と、あともう1つは、総合栄養食品だと表示できる利用制度 が定められているのですけれども、ビタミン等については規格はあるのですが、表示の 義務はございませんので、そこの幅の考え方というのは、あくまで別表1に示された範 囲であれば、特に実際に分析したときに、その範囲でおさまっていれば問題ないという ようなことの確認を出していただきたいと思います。  あともう1点目は、やはり玉川室長の資料の中に、対象者への適切な情報提供という スライドがございますけれども、当然、その中に医師、薬剤師、管理栄養士等から指導 を受けるというようなコメントがあるわけでございますけれども、そういったときに、 先ほどの中尾先生の話にも関連するのですが、どの程度の情報提供がメーカーとして可 能なのか。表示はある程度わかるのですけれども、具体的にそういう指導の場において、 もっと具体的に、より突っ込んで情報提供が可能なのかどうか。以上、2点についてお 聞きしたいんですけれども。 ○司会 ありがとうございます。 ○調所専門官 最初の質問ですけれども、数値、表示値というところですね。これにつ きましては、先ほどこちらの回答といいますか、言ってみれば、何か基準というのに栄 養表示基準で求められている分析方法によって、得られた数値が範囲内であればいいと いうことですけれども、ちょっとズレていますか。 ○司会 御質問の趣旨はこれでよろしかったですか。 ○質問(山口) はい。 ○調所専門官 それと、もう1点のいろいろな情報提供というものですけれども、今ま で検討会の報告書におきましては、特別用途食品を利用した栄養管理を行いやすくとい う管理、そういったことから、こういった制度に関する認知度を高め、必要な流通の確 保を図るべく、広告可能な事項を絞った上で、一般広告等も認めたり、情報提供の手段 を拡充すべきと提言されているところでございます。  なお、こうした観点から、我々としましても、原則として自粛を求める広告について も、特別用途食品の対象としていない者へ誤認を生じさせない等の点、こういったこと に留意した上で、認めることを想定しておりまして、今後必要に応じて取り扱いについ て通知でまとめることも想定しております。 ○玉川室長 若干補足をさせていただきますと、1点目のところについては、今、パブ リックコメントで出している基準(案)で、栄養表示基準の例によるという文言が入っ ておりますので、ホームページで御確認いただきたいと思います。  それから、後者の点についても、調所の方からの回答は、消費者、利用者に対しての 情報提供そのものだと思いますけれども、御質問は、たぶん医師等に対してどこまでそ れを出すかという話で、 今でも各種の研究会とか、個別にいろいろ情報提供されている と思います。それについては、さまざまなレベルでの話があると思いますので、もちろ ん虚偽・誇大とか、エビデンスがないとかは問題だと思いますけれども、適当な形で商 品の持っている特性がわかるようにという点については、今行われているような形であ れば特に問題はないと思います。 ○司会 ありがとうございます。よろしいでしょうか。 ○質問(下村) 明治乳業の下村です。例えば総合栄養食品で半固形のものがあって、 それは嚥下困難者用食品の規格にも入るという場合もあるのかもしれませんけれども、 その場合、例えば2つ申請というのは可能でしょうか。 ○玉川室長 検討会でもその点については議論になりました。概念的には、形態といい ますか、咀嚼・嚥下困難という見方で捉えておりますので、総合栄養食品とダブルで許 可が出るということはあり得るという考え方です。 ○司会 ありがとうございました。  そろそろ時間が迫ってまいりましたので、もうお一方ぐらいで。 ○質問(アサダ) 先ほどの低カロリー食品について質問されたときの質疑応答につい て、その回答が、私の聞き違いですと困りますのでちょっと確認させていただきたいん ですけれども、「血糖値に影響がありません」という文言が一般食品に必ずしも書けな いわけではないと。エビデンスがしっかりとしていればというお話があったのですが、 それで間違いないということでよろしいでしょうか。 ○調所専門官 今の回答ですけれども、確かに、そういったことで、その文字だけをと って、いい悪いということでなく、全体のイメージによるもので、又、薬事法というも のもございますので、そういったところで個別に評価されるべきものだと思っておりま す。ただ、その文言だけでそれが絶対だめだということではないとは思うのですけれど も、そのような表示をする場合は個別に相談等していただければと思っております。 ○質問(アサダ) ありがとうございます。 ○司会 ありがとうございました。もしお一人ぐらいどうしてもという方がいらっしゃ いましたらお受けいたしますけれども。  なければ、予定の時間になりましたので、この辺で終わらせていただきたいと思いま す。  本日も皆様からさまざまな御意見と御質問をいただきまして、どうもありがとうござ いました。  以上をもちまして、特別用途食品制度の見直しに関する説明会を閉会いたします。長 時間にわたりまして、説明会の円滑な運営に御協力いただきまして、どうもありがとう ございました。なお、お帰りの際に、受付の方でアンケートを回収してございますので、 ぜひ御協力の方よろしくお願いいたします。また、傘など忘れもののないように、また、 お気をつけてお帰りくださいませ。どうもありがとうございました。   照会:食品安全部企画情報課 03-5253-1111(内2493,245