06/08/21 平成18年8月7日〜8月24日(全国8か所)米国産牛肉輸入問題 (対日輸出認定施設の現地調査結果)に関する説明会 「米国産牛肉輸入問題(対日輸出認定施設の現地調査結果)に関する説明会」 平成18年8月21日(月) 14:00〜16:11 於:札幌サンプラザ 金枝の間 1.開 会 ●司会(吉田厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐) 本日は、お忙しい中ご参加いただきまして、ありがとうございます。 ただいまから「米国産牛肉輸入問題(対日輸出認定施設の現地調査結果)に関する説 明会」を開催いたします。 私は、本日の司会役を務めさせていただきます厚生労働省食品安全部企画情報課長補 佐の吉田佳督と申します。よろしくお願いいたします。 それから、地球温暖化防止と省エネルギーのために、本年度も6月1日から9月30 日までの期間、クールビズに取り組むこととしております。本日の説明会も、クールビ ズといたしますので、よろしくお願いいたします。 さて、本年1月20日に米国産牛肉の輸入手続きを停止して以来、これまで厚生労働 省と農林水産省が連携しまして、米国側に対して徹底した原因究明と再発防止を求め、 日米の専門家による協議を重ねるとともに、4月及び6月には、消費者等の皆様とリス クコミュニケーションを開催いたしまして、情報の提供と意見交換に取り組んでまいり ました。これらを踏まえまして検討を進め、6月20日、21日に日米の局長級テレビ 会合を実施し、米国産牛肉の輸入手続きの再開に向けた措置について認識を共有し、そ の合意内容に基づいて6月24日から7月23日まで、米国の対日輸出認定施設35ヵ 所の現地調査及び農場等8ヵ所の現地調査を行ったところであります。この結果を踏ま え、対日輸出認定施設35施設のうち、指摘事項がなかった施設、指摘事項に対して是 正措置が確認された合計34施設につきましては、輸入手続を再開し、1施設につきま しては、今後、所要の手続きを経て米国が査察を行い、日本が確認するまでの間は再開 を認めないこととしたところです。 本日の説明会は、この現地調査の結果につきまして、消費者、事業者など、関係者の 方々に対してご説明し、皆様のご理解を深めていただきたいと考えております。 初めに、配付資料の確認をさせていただきます。 まず、議事次第です。 それから、資料といたしまして、対日輸出認定施設の事前調査結果等についてでござ います。 それから、参考資料といたしまして、参考資料の1から4を用意しております。 また、今後の参考とさせていただきたく思いまして、アンケートを用意しております。 お帰りの際には、ご協力をお願いいたします。 なお、資料に不足等ございましたら、事務局までお申し付けお願いいたします。 続きまして、本日の進行について説明いたします。 まず、厚生労働省食品安全部監視安全課の横田専門官から、対日輸出認定施設の事前 調査結果等につきまして、50分程度の説明をいたします。その後、質疑応答に入りた いと思います。 なお、終了は、午後4時を予定しております。 それでは、厚生労働省の横田専門官から説明をいたします。 2.議 事 (1)米国における対日輸出認定施設等の現地調査結果について ●横田厚生労働省食品安全部監視安全課衛生専門官 厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課の横田と申します。 それでは、早速ですが、スライドの方を使いましてご説明をさせていただきます。 (スライド) 本日の説明の流れということでございますが、まず最初に、米国産牛肉問題のこれま での経緯、その次に、6月にありました日本政府及び米国政府による米国産牛肉の輸入 手続きの再開に向けた措置についての共同記者発表の概要、それから、今日のご報告の 本体になりますが、3番目といたしまして、対日輸出認定施設に対する調査結果等、そ の後に4番目といたしまして、輸入手続き再開の考え方、そして最後に追加という形で すが、8月に入ってから行いました米国における対日輸出施設現地調査のフォローアッ プ調査という順番で、ご説明の方を申し上げたいと思います。 (スライド) まず、これまでの経緯に関しまして、多くの方、既にご存じかと思いますが、簡単に ご説明の方をいたします。 (スライド) 平成15年12月に米国で、カナダ生まれということでございましたが、BSE感染 牛が1頭発見され、米国からの牛肉等の輸入が停止されたということでございます。 その後、日米間で協議を行いまして、1年半後の平成17年5月に、輸入再開につい て食品安全委員会の方へ諮問をいたしました。約半年間にわたり、食品安全委員会の方 で10回審議を行いまして、平成17年12月にご答申をいただきまして、12月12 日に輸入再開を決定したところでございますが、1月20日に米国から、特定危険部位 でございますせき柱を含む子牛肉が輸入され、成田空港に到着したということを受けま して、全ての米国産牛肉の輸入手続きを停止したところでございます。 (スライド) その後、その関連した2施設の原因究明でございますとか、その他の対日輸出認定施 設における遵守状況の調査が米国側で行われまして、それぞれにつきまして、日米で専 門家会合を行ってまいりました。また、この間、4月と6月に意見交換会を開催いたし まして、皆様からご意見もいただいてきたという経緯でございます。 そういった経緯を経まして、6月20日と21日になりますが、日米局長級テレビ会 合を開催いたしまして、再開に向けての条件を協議いたしました。今回は、これらの結 果に基づきまして、全ての対日輸出認定施設を対象に現地調査を実施したということで ございます。 更に、右下になりますが、つい先日、フォローアップ調査ということで、2施設につ きましては、再度調査を実施したところでございます。 (スライド) それでは、先ほどの経緯の中の、まず6月21日の日米の共同記者発表の内容につき ましてご紹介をしたいと思います。 (スライド) まず、米国側の措置ということでございますが、今回の事案の発生を踏まえまして、 その原因に対応した再発防止策を含めた米国側の輸出プログラムの強化策ということで ございます。このうち、まず施設側の措置、つまり対日輸出認定施設で強化された事項 といたしまして、大きく3つございます。 まず、1点目でございますが、対日輸出ができる製品リストを作成するということで ございます。 また、その下に書いてありますが、部分肉処理施設云々というところでございますけ れども、これは多くの対日輸出食肉処理施設は、と畜解体を行う施設と、その後の部分 肉のカットの処理を行う施設と両方持っているところが大半でございますが、一部、部 分肉処理を専門に行っている施設がございまして、そういった施設につきましては、仕 入れ先のと畜場のリストと、仕入れ先の施設ごとに、例えば部分肉だけであったりとか、 舌や内臓も含めて可能なのかということを、あらかじめ仕入れ可能な製品リストを作成 して規定をしておくということでございます。 また、各施設では、マニュアルに基づきまして作業が行われるわけでございますが、 これらのリストは、各施設のマニュアルに記載されるということでございます。 それから、2点目でございますが、特定危険部位の除去等につきましても、米国農務 省が定めている対日輸出プログラムで、日本向けに輸出するための特定製品条件として 規定されているわけでございますが、これを各施設のマニュアルにしっかりと記載する。 一番下、3点目でございますが、各施設で対日輸出条件がきちんと実行できるように、 施設の役員や職員の方々に対して周知を徹底するということでございます。 (スライド) 次の米国側の措置の2番目でございますが、今度、役所側であります米国の農務省が 行う措置についてでございます。 まず、上、AMSと呼ばれている農業販売促進局、こちらの方が輸出プログラムの作 成や対日輸出施設の認定を行う部局でございますが、まずAMSが施設の認定を行うと きに、一番上でございますが、マニュアルの適正性や、役職員の方々の理解をしっかり 確認するということでございます。 特に、マニュアルにつきましては、先ほどご説明したとおり、製品リストの追加や、 プログラム上必要な条件が、マニュアルにちゃんと記載されていることを再度確認する ということでございます。 それから、施設を担当する検査官の検査終了後に施設を認定するということで、これ は下のFSISの方の措置の1つでありますが、FSISの検査官の研修が終了してい ることを確認した後に、AMSが施設を認定するということでございます。 また、3つ目でございますが、製品リストを管理し、輸出申請ごとにその製品が輸出 可能かどうかを確認する。これは、施設が作成した製品リストについて、AMSでもき ちんと審査した上で管理いたしまして、それに沿ったものがきちんと輸出されているか どうかということにつきまして、確認手続きを設けるということでございます。 それで、その次ですが、更に抜き打ちによる査察を実施するということでございます。 2つ目の星印になります。農務省食品安全検査局、FSISと通常、略しております が、こちらの職員が毎日、実際、と畜場におきまして、と畜検査であったり、作業の監 視、監督を行っており、また、彼らが日本への輸出証明書についてサインをするという 役割も担っているわけでございますが、サインをするに際して、輸出要件に適合してい るかどうかを確認するということになります。したがいまして、彼らがきちんと輸出プ ログラムの条件を熟知しなければ、適切な判断ができないということになりますので、 まず、一番上ですが、ちゃんと研修を受けて試験に合格するということが、1つ目の要 件になっております。 更に、輸出検査証明に際して、製品リストでありますとか、対日輸出プログラム条件 への適合性を確認する。一番下ですけれども、FSISもAMS同様に抜き打ちによる 査察を実施するということでございます。 (スライド) 次に、日本側の措置になりますが、1つは対日輸出再開前の現地調査、2つ目でござ いますが、先ほどご説明いたしました米国農務省が行う抜き打ち査察に日本側も同行す る。3つ目でございますが、実際に日本側でも水際で検査を行っているわけでございま すが、この水際での検査を強化する。更に4つ目でございますけれども、実際に輸入を 行う輸入業者の方々に対しても、対日輸出プログラムについて十分にご理解いただくた め、改めて周知徹底をさせていただくということでございます。 (スライド) 次に、輸入手続きの再開についてでございますが、まず、基本的な考え方といたしま して、一番上ですけれども、対日輸出再開前に現地調査を行うということで、米国側の 検査体制あるいは対日輸出プログラムの有効性といったものを、まず検証するというこ とでございます。その結果、現地調査において不適合がなかった施設につきましては、 輸入手続きを再開する。また、不適合のある施設が発見された場合には、日米両政府は その不適合について緊密に協議をするというのが、6月の考え方でございます。今回、 これに基づきまして、一連の調査及びその結果に基づく対応が行われたということでご ざいます。 (スライド) それから、もう1つ、国内にある輸入手続き停止中の貨物の取り扱いということでご ざいますが、これは昨年の12月輸入再開から1月に停止になるまでに、対日輸出向け に処理されたもののうち、既に一部は検査に合格して国内に流通したものもあるわけで ございますが、一方、未通関貨物として残っているものもございます。そういったもの について、どのような考え方をとるかということでございますが、今回の日本政府によ る現地調査で不適合がなければ、輸入手続きの再開後に全箱を確認をいたしまして、問 題がなかったものについては輸入を認めるということでございます。 以上が、6月の日米局長級の協議の結論だったわけでございます。 (スライド) それでは、今回の対日輸出認定施設に対する調査結果についての説明に移らせていた だきます。 (スライド) 対日輸出認定施設の調査ということで、まず、調査の期間とか実施方法ということで ございますが、期間は6月24日から7月23日までの約1ヵ月間にわたりまして、対 象施設が、対日輸出認定施設、35施設全てを調査いたしました。調査チームの方です が、厚生労働省と農林水産省の担当者で合計3チーム作りまして、大体1チームの人数 が3名から4名ということでございました。 それで、確認した内容ということでございますが、まず、各施設におけるマニュアル の整備状況、特に追加要件を含む輸出プログラム要件への適合ということでございます。 それから、マニュアルに沿った作業の実施ということでございまして、手順の遵守状 況、記録の保管状況、それから、これらを確認することにより、システム全体が適切に 遵守されているかどうかといったことにつきまして確認をしてきたということでござい ます。ただし、今回の調査は、まだ対日輸出処理が始まっていたわけではございません ので、実際に日本に輸出される製品の処理は、当然のことながら今回は見られていない ということでございます。 (スライド) 次に、各施設における調査方法でございますが、まず、上の四角の書類での調査とい うことで、一番上、施設の概要ということで、施設の従業員の数でございますとか、ま た、検査官の人数や、枝肉の成熟度の確認を行う格付官の人数などを調査いたしました。 それから、次ですけれども、輸出プログラムということで、各施設のマニュアルであ ったり、あと米国では、食肉処理施設において義務づけられておりますHACCPプラ ンについての内容を確認したということでございます。HACCPというのは、日本語 で申しますと、危害分析重要管理点方式ということでございますが、これは簡単にご説 明いたしますと、製造における重要な工程を連続的に監視することによって、1つ1つ の製品の安全性を保証しようとする衛生管理手法でございまして、例えば食肉を処理し ていく工程において、微生物汚染を防止するために重要なポイントを決めまして、そこ をきちんと管理することにより、最終製品の安全性を確保するというような手法でござ います。 また、3つ目のポツの関係記録の確認というところでございますが、まず、過去のと いうふうに書いてありますけれども、これは昨年の12月から今年の1月になりますが、 そこで輸出をしたことがある施設につきましては、実際に輸出プログラムに沿って対日 輸出処理が行われたかどうか、検証可能な記録を備えるということがルールで定められ ておりますので、そういった記録につきまして確認してきたということでございます。 また、HACCPに関しても同様でございます。 また、そのほか国内規制に関して違反があった場合、米国の場合ですけれども、ノン コンプライアンスレコードというものが発行されますので、国内規制の違反に対する対 応や改善がきちんとなされているかどうか、アメリカの国内規制のシステムがきちんと 動いているかどうかといった観点から、こういったものも確認をしてきたということで ございます。 更に、昨年の1月の事例では、従業員の方々に対して、きちんと対日輸出処理の手順 が周知されていたかどうかということが問題になっておりましたので、従業員の方々に 対するトレーニング記録というものについても確認をしてまいりました。 それから、下の方の四角ですけれども、全ての施設につきまして、現場での調査とい うものも実施しております。特に、と畜解体工程につきましては、アメリカ国内向けと 日本向けで、基本的には大きな相違はございませんので、そういったものを見て来てお ります。 それから、カット施設や内臓の処理に関して、日本向けに一部特有の処理、例えば回 腸遠位部の除去のように、余りアメリカ国内向けの出荷がないようなものでありますと か、それから、A40と呼ばれております生理学的な成熟度の判定につきましては、先 ほど申しましたように、まだ実際に日本向け処理が行われていない段階でございました ので、別途、デモンストレーションというような形で確認をしてきたということでござ います。それから、実際に従業員の方々に対してインタビュー等も行ってきております。 (スライド) 次に、実際の処理の流れということでございますが、まず、基本的には昨年の12月 の調査のときと同じ内容にはなるんですが、まず、生体の受け入れにつきまして、左上 にありますような大きなトレーラーみたいなトラックで、まず牛が運ばれてまいります。 それで、建物の外にある生体の係留場、向こうではペンというふうに呼んでおります が、そちらに牛がロットごとにトラックから積み卸されるというのが最初の段階になり ます。 (スライド) この生体受け入れ時の書類の確認でございますが、先ほどの受け入れのペンの横に事 務所がございまして、受け入れに際しましては、トラックのドライバーなどが搬入しま した牛のロットに関する情報、つまり出荷をいたしましたフィードロットの名前であり ますとか、牛の頭数であったり、あと月齢確認牛につきましては、月齢確認のための書 類を持ってまいりますので、そういった書類をきちんと、こういった事務所の担当者が 確認、チェックをするということが、こちらで行われるわけでございます。特に、月齢 確認牛につきましては、と畜場に出荷するフィードロットの名称、所在地などがきちん とリスト化され、最新のものが事務所に備えられているかどうか。それから、それが入 ってきたときに、ほかのロットときちんと区別され、単一のロットとして確実に食肉処 理される仕組みになっているかどうかといった観点から、生体受け入れ手順について確 認を行ってきております。 (スライド) 次に、生体のロット管理ということでございますが、先ほど申し上げたように、ロッ トごとに搬入管理が行われておりまして、処理の順番が来ましたら、と室の方へロット 単位で牛を送り込むということになりますが、そのロット間の区別につきましては、と 畜場によりいろいろな方法がございますが、このスライドの例では、右側になるんです けれども、例えばロットの先頭と最後尾の個体にペイントでマークを付けて区分をする 例ということでございます。このほか、と室ではトローリーといいまして、1頭ごとフ ックのようなものに牛をひっかけて処理をしていくということでございますが、そのト ローリーの間隔をロット間で少し空けたり、また、あと牛にタグを付けて区別するよう な方法など、施設によっていろいろな方法がとられているところでございます。 (スライド) それで、今まで申し上げたのは、月齢が確認されている牛についての搬入からの分別 管理でございますが、アメリカではもう1つ、生理学的成熟度による月齢判別というも のがございます。これは多くの皆様、既にご存じかと思いますが、枝肉の段階で、せき 柱の棘突起の軟骨が骨化する過程などを見まして、一定の成熟度、いわゆるA40の基 準と呼んでいますけれども、その基準以下であれば、20ヵ月齢以下であるということ で、A40以下かどうかを、米国の農務省の格付官が確認をするわけでございます。 その際に、どういったやり方がとられているかといいますと、まず、施設側が初めに、 この枝肉はA40以下と判定されるであろうというものにつきまして、Jのスタンプを 押して、まず区分をいたします。それにつきまして、多分青いヘルメットを被った方が 米国の農務省の格付官ということになると思うんですけれども、この格付官が実際にA 40の基準を満たすかどうかについて判定を行いまして、確かにA40以下だとみなさ れるものについて、USDAの認証スタンプを押していくということになります。施設 側がJを押したんですが、USDAの格付官がA40以下とはみなさなかったものにつ きましては、この右下にありますように、Jのスタンプをそぎ落とすといった措置がと られることになります。最終的に、A40以下と判定された枝肉につきましては、同じ レールに集められまして、冷蔵庫内で区分して管理されるということになります。 (スライド) 次に、と畜解体工程における一連の流れ、特に輸出プログラムにおける牛肉等の条件 の1つでございますSRMの除去や対日輸出品の区分管理についてという説明になりま す。 (スライド) まず、生体受け入れですけれども、先ほどご説明したとおり、ロット単位で牛の搬入 が行われ、月齢確認牛の場合には、生産記録の確認が行われます。 また、この段階で生体検査ということで、生きたままの状態で、まず歩行状態など異 常がないかどうかという確認が行われます。具体的には、トラックからペンに移動する 際や、ペンからペンを移動していく際に、米国の農務省の検査官が1頭ごとにチェック をしておりまして、この時点で歩行困難牛が見つかった場合には、食肉処理から外され るということになります。その後、と室に送られまして、スタンニングということで、 動物の苦痛をとるため気絶をさせるわけでございますけれども、この際、ピッシングは 禁止、またガス注入式のものは使用禁止ということになっております。その後、放血処 理が行われまして、剥皮を行うという流れになります。 (スライド) 次に、牛から頭部を除去いたしまして、FSISの検査官が1頭ごとに病気がないか どうか、頭部検査というものを行い、異常が認められる牛は排除されるということにな ります。その後、頭の方からは、舌とかを取るわけでございますが、まず、頭部を除去 する際に、胴体と頭それぞれに、ちょっとスライドは見づらいんですけれども、合札と いうものを付けまして、どの個体由来か確認できるようになっておりまして、そのアイ フラー合札と舌を、右上の写真になるんですけれども、一緒にセットで保管することに よりまして、先ほどのA40の判定を結果が出るまで待つということになります。こう することによりまして、A40で月齢判定を行った牛の舌につきましても、日本向けに 輸出が可能になるというわけでございます。もちろん、これは施設によって異なりまし て、もともと生産記録で月齢確認が行われた牛の舌しか輸出しないところも当然ござい ます。これは、各施設のプログラムによりまして行われるということでございます。右 上の方ですけれども、舌につきましては、当然、特定危険部位でございます扁桃の除去 が行われるということになります。 それから、下の方ですけれども、内臓が摘出されるわけでございますが、内臓につき ましても、FSISによる検査を受けることになり、合格したもののみが輸出可能とい うことになります。その中で、小腸につきましては、回腸遠位部が特定危険部位という ことになっておりますので、除去が行われるということでございます。 (スライド) それから、胴体の方につきましては、引き続き背割りという作業が行われます。せき 柱の真ん中に沿って背割り鋸で切断をしていくというのが、この背割りの作業になりま すが、右上にありますとおり、湯槽で背割り鋸を洗浄するということも行われます。 その次になりますけれども、脊髄を吸引する作業というものが行われます。真ん中に ありますような装置で行われるわけですけれども、先端にカッターのようなものが付い ておりまして、これで硬膜も含めまして脊髄を吸引していくということでございます。 この脊髄吸引器具につきましても、作業員の横に洗浄槽がございまして、洗浄しながら 作業をしていくということでございます。 次に、枝肉検査ということで、FSISの検査官が検査を行いまして、脊髄が十分に 除去されていない場合には、保留レーンというか、別のレーンに枝肉を移しまして、も う一度きちんと脊髄をそこで除去するという作業が行われます。 (スライド) その後、枝肉は重量を計りまして、上にありますような枝肉識別用のタグが付けられ ます。その後に、真ん中ですけれども、洗浄が行われるわけですけれども、アメリカの 場合は、O157対策ということが一番大きいんだと思うんですけれども、通常の高圧 水などによる洗浄以外に、高温のお湯でございますとか、有機酸による洗浄が、先ほど ご説明しましたHACCPの重要管理点として設定されているというのが一般的でござ います。 その後、一番下ですけれども、冷却・保管につきましては、冷蔵庫で行われるわけで ございますが、日本向けの枝肉につきましては、レーンを区別して、分別して保管され るということになります。 (スライド) 以上が、と畜解体工程でございまして、これからが部分肉処理の工程になりますが、 枝肉をしばらく冷却した後、今度は枝肉をカットして、実際に輸出するサイズにしてい くというわけでございます。この部分肉処理について、一番上に書いてあるんですけれ ども、グレードチェンジという手法を用いて、日本向けとその他の製品とを区分・管理 していくということでございますが、このグレードチェンジというのは、もともとアメ リカ国内向けでも行われておりまして、どういったものかといいますと、例えばアメリ カの中でも、プライムとかチョイスとかといったように、肉の質ですね。肉質によって グレードが分かれておりまして、当然、取引価格等も異なりますので、こういったもの が混ざらないようにきちんと処理を行う必要があるということでございます。具体的に は、例えば朝一番にプライムの処理をしたといたしますと、その後に一定の間隔を設け まして、この真ん中にあるように、部分肉の処理ラインから製品がなくなったり、あと はラベルとかもきちんと交換が行われたことを確認した後に次のグレードを流すという ような作業を行うわけでございます。 それで、実際の部分肉の処理工程でございますが、この段階で、左上の方の写真にな りますけれども、特定危険部位であるせき柱を除去するわけでございますが、このスラ イドは手作業により除去しておりますが、このほか、のこぎりなども用いまして取り除 く作業を行っております。取り除かれたせき柱は、真ん中の右側にありますけれども、 ベルトコンベアで搬出されるということになります。 それから、下の方ですけれども、カットされた肉について真空パックなどで包装をい たしまして、その後、ラベルが添付された箱に梱包されることになりますが、日本向け の製品には特有の識別表示がなされます。例えば、日本向けの製品番号の一番最後に特 定の数字を付けたりとか、最後に特定のアルファベットを付けたりして区別をするとい う方法がとられております。 (スライド) 以上が調査の作業の流れですけれども、次に、調査結果の概要について移らさせてい ただきます。 (スライド) これが実際に調査に用いました調査表の例でございますが、先ほどご説明した輸出プ ログラムやHACCPの整備や実施状況につきまして、こういったチェックリストを用 いて詳細に確認を行ったというところでございます。右側の施設概要という紙もござい まして、こちらで従業員の数であったり、検査官の人数などについてもまとめて調査を してきたということでございます。 (スライド) 調査結果の概要でございますが、1つは最初の経緯のところで説明しましたとおり、 4月から5月にかけて、35施設について対日輸出基準が遵守されているかどうか、ア メリカ側で調査を行っておりまして、その際、何点か指摘事項が確認されておりました。 これらにつきまして適切に改善されているかどうかということについて、今回確認をし てきたわけでございますが、これらの指摘事項につきましては、全て改善が図られてい たということでございます。 2つ目のポツになりますが、35施設につきまして、私どもが調査をした結果という ことでございますが、特段の指摘事項がなかった施設は、20施設ということでござい ます。一方、15施設につきましては、指摘事項が確認されたということでございます。 (スライド) それで、指摘事項の内容に移りますが、まず1点目、一番上でございますが、これは アメリカ側による4月から5月の再調査の後になるんですけれども、企業合併をしたと ころがございました。品質管理の手法とか考え方といったものは企業ごとに大きく異な るために、合併などがありますと、施設のマニュアル等については、新しい企業のもの に変更する必要があるわけでございますが、日本側が調査を行った時点では、まだ変更 の作業中ということでございまして、その調査時点におきましては、新しいマニュアル の確認ができなかったということで、そういった意味でいいますと、一番よくなかった ということになります。 その次、2つ目になりますが、認定前にと畜された牛肉が含まれていたという施設が ございました。これは、昨年の12月の輸出再開の後に各施設の認定が行われたわけで ありますが、この施設では、認定日より1日前であったりとか、あるいは数日前にと畜 された牛肉が、認定後に処理された牛肉と一緒に日本向けに輸出されていたということ が分かりました。ただし、これに関しましては、更に調査の方をいたしましたところ、 A40の判定で、20ヵ月齢以下と確認されております。またそれから、施設の処理記 録で脊髄などのSRMが適切に除去されていることも確認されております。そういった ことから、これにつきましては、安全上の問題というよりは、手続き的な問題ではない かというふうに考えております。 その次、3番目でございますが、先ほども説明したとおり、新たに今度、適格品リス トというものを作ることになったわけでございますが、このリストに対日輸出ができな い唇の肉が記載されていたという書類上の不備がございました。これにつきましては、 実際に輸出の計画や実績が行われていないわけでございますが、頭部は舌とほほ肉しか、 日本向けの場合、輸出できないということになっておりますので、唇の肉は不適当とい うことになります。 次、一番下の4番目でございますが、適格品リストに処理設備が未整備、または具体 的な処理手順が定められていないものを掲載しているというケースがございました。具 体的には、例えば牛の第四胃につきまして、適格品リストには掲載されているものの、 その施設にはそういったものを処理する設備が存在しなかった、あるいはまた、マニュ アルに具体的な処理手順が定められていなかったということでございます。これは、ど うしてこういったことが起きたのかといいますと、例えば1つの企業で複数の施設を持 っている場合ですと、共通のものを本社みたいなところで作りまして、それを配って、 本来は各施設が実情に合わせて整備を行わなければいけないところなんですけれども、 それが十分に行われていなかったということが理由ではないかと考えられます。 (スライド) 次ですけれども、マニュアルに対日輸出できない唇及び舌根部の筋肉の処理手順を記 載ということでございまして、今度は逆に、適格品リストには記載はなかったというこ とでございまして、実際に輸出するということはないわけでありますが、書類上の不備 ということが確認されたということであります。 その次ですけれども、一部の枝肉の仙骨部分に脊髄が少量残存していたということで あります。これは、ちょうど尻尾に近い部分で、せき柱でもずっと下の方の部分でござ いまして、ちょっとカーブしていたりしていて、取りづらいという部分ではあるんです けれども、また、最終的にはカット工程におきまして、仙骨ごと除去されるというもの でございますが、と畜解体工程で全ての脊髄を除去するということが対日輸出条件にな っておりますので、やはりきちんと、と室で処理する必要があるということで指摘をし たということでございます。 最後、一番下になりますが、先ほど説明したとおり、月齢確認牛につきましては、受 け入れ時にきちんと生産記録で月齢確認ができるフィードロットからの牛であることを 確認するわけでございますが、その供給者の認定リストが最新のものではなかったとい う事例でございます。施設のマニュアルに添付されたリストは、最新のものだったわけ ですけれども、しばらく対日輸出が停止していたということもございまして、受け入れ の事務所に置かれていたリストが更新されていなかったということでございます。 (スライド) それで、次に農場・飼料調査ということでございまして、先ほどのと畜場の方とは別 に、7月6日から7月23日になるんですけれども、農場や飼料関係の施設、合計8施 設について、農林水産省がチームを1つ派遣しまして、調査を行っております。この調 査では、農場での牛の生年月日が正しく記録、保管され出荷先に伝えられているのか。 また、農場や飼料関係の施設で、飼料がどのように製造・出荷・給与され、またその際、 米国の飼料規制に合致した方法がとられているのかを確認いたしました。 (スライド) 生産農場における月齢の確認ということでございますが、今回訪問しました5ヵ所の 農場につきましては、USDAが認定する工程証明プログラム、または、2番目ですけ れども、品質システム評価プログラムというものに基づいて行われているということで ございます。 先ほどのと畜場の認可と同じように、文章化された手順や管理組織というものを作り まして認定するという仕組みがあるわけです。今回訪問いたしました農場につきまして は、これらのプログラムに基づきまして、個体または群単位での生年月日が適切に記録、 伝達されていることが確認されたということでございます。 (スライド) 実際の事例でございますが、具体的には、農場で牛が子供を生む時期に何度も巡回し、 個体ごとに生年月日を確認しましたり、また、その群の中で最初に生まれた子牛の生年 月日を群全体の生年月日として、つまりそれ以外の子牛は、少なくともそれよりも後に 生まれた若い牛ということになりますけれども、そうやってロットごとに耳標というも のを付けるとともに、文書で出荷先のフィードロットに伝えていくというような方法が とられておりました。 (スライド) 次に、飼料規制ということでございますが、餌の規制については、アメリカと日本で やや異なるわけでございます。米国の飼料規制は、ここにありますように、豚や鶏に牛 由来の肉骨粉を与えたり、逆に牛に豚や鶏由来の肉骨粉を与えることが認められている ところでございます。日本では、牛のものは豚や鶏にも与えないということで、仕組み が少し異なっておりますが、このアメリカの飼料規制の実態について確認をしてきたと いうことでございます。 (スライド) 遵守状況でございますが、こういった規制が守られているかどうかについて、農場、 飼料工場、レンダリング施設で、設備でありますとか、現物、あとは文書の確認、関係 者からの聞き取りなどを行い確認したところ、いずれの施設におきましても、米国の飼 料規制に違反する事実が認められなかったということでございます。 (スライド) これは、繁殖経営、フィードロットでの飼養管理ということでございますが、具体的 な飼料の給与実態ということでご説明しますと、例えば今回訪れた、上にありますけれ ども、アイダホ州の繁殖農家では、約13万ヘクタールということで、東京23区の合 計面積の大体2倍ぐらいの広さになりますが、そういった広大な牧草地で牛を移動しな がら放牧しておりまして、鉱塩及び、冬場に乾燥した牧草を与える以外は、基本的には 放牧のみで牛を飼っているということでございました。 左下の方、今度は、ネブラスカ州のフィードロットになりますが、牧場内や周辺で、 トウモロコシなどの穀物や牧草が生産されておりまして、これらを中心に自家配合によ り生産した飼料を給与しているということでございました。右下の写真は、アルファル ファの牧草を計量器に導入しているところの写真でございます。 このように、今回訪れた5ヵ所の農場につきましては、肉牛の繁殖及び飼育を通じま して、法令に違反するものを給与していないことはもちろんのこと、鶏や豚由来のもの を含む、全ての動物性タンパクを給与しておりませんでした。この理由といたしまして は、まず肉用牛は、タンパク質含有量が高い飼料を必要としておらず、植物性の原料で タンパク質の要求量を満たすことができるため、動物性タンパク質を給与することは経 済的でないということが考えられます。それから、肉用牛、乳用牛を通じて消費者によ る懸念を考慮した場合、動物性タンパク質を給与することは有益ではないということで、 動物性タンパクをわざわざ給与するメリットはないということでございました。 (スライド) そのほか、法令に定められた現在の自主的な取組みといたしまして、一番上でござい ますけれども、農家が家畜の出荷に対して、法令に違反する飼料が給与されていないこ とを示す宣誓書、英語で言いますと、アフィデビットということになりますけれども、 こういったものを提出するということがございます。 2つ目ですけれども、飼料業者が飼料に動物性の原料を使用していないことを示す宣 誓書を提出する。 3番目でございますが、飼料業者に第三者機関による検査を受けまして、合格したも のであることを示すロゴを添付するといったような取り組みが行われていました。 (スライド) 以上が調査の概要でございまして、そういったものを踏まえまして、次に輸入手続き の再開についての考え方でございます。 (スライド) まず、対日輸出認   定施設への対応でございます。 (スライド) 結局、今回35施設についてどういう結果だったかと申しますと、先ほどご説明いた しましたとおり、20施設につきましては問題はなかったということで、これらの施設 については、輸入手続きを再開するということであります。 それから、次に指摘事項があった15施設につきましてですが、これにつきましては、 日米間の確認事項といたしまして、指摘事項があった施設については日米間で確認を行 い、指摘事項が改善された施設については、対日輸出を再開するということになってお りまして、この15のうち13の施設につきましては、速やかに必要な是正措置が講じ られたことを確認いたしましたので、これらについても輸入手続きを再開するというこ とであります。 更に、1施設、先ほどの説明の中で、認定前にと畜された牛が輸出されていたという 話をしましたが、これにつきましては後で詳しく説明をいたしますが、条件付きで対日 輸出リストに掲載をするということでございます。また、企業合併でマニュアルが大幅 に変更手続中という施設につきましては、ちょっと時間がかかるということでございま して、最初の認定リストからは除外するということでございます。 (スライド) 指摘事項があった施設での対応ということでございますが、まず、上でございますが、 企業合併により、マニュアルが大幅に変更手続中であった1施設につきましては、先ほ どご説明したとおり、変更がなされた後に、米国側及び日本側が確認をするまではリス トに掲載をしないということでございます。 下の方ですが、認定前にと畜された牛肉を出荷した1施設につきましては、通常は施 設には常駐しないAMSの職員が特別に一定期間常駐いたしまして、遵守体制について 監視・評価を行うということでございます。更に、通常のAMSの査察は年に2回とい うことになっておりますが、この施設につきましては、常駐期間が終わった後に査察を 行いまして評価を行うということでございます。これらの結果につきましては、日本側 としても報告を受けるとともに、現地において実施状況の確認を行うということにして おります。 (スライド) また、残りのその他の13の施設についてでございますが、まず、下の四角の中の上 の方の適格品リストの問題があったのが幾つかありましたが、これにつきましては、リ ストからの削除でありますとか、その下の方のマニュアルの記載については修正であり ますとか、また、あとその下の脊髄の残存とか、供給者の認定リストについてというと ころにつきましても、既に是正措置がとられていることを米国側から報告を受けており ますので、これらの施設については、対日輸出リストに掲載をするということになった わけでございます。 (スライド) それから、今後の対応というところでございますが、調査対象施設、35施設中34 施設については、輸入手続きを再開したということであります。このうち1施設につき ましては、先ほどご説明したとおり、条件付きということでございます。 それから、2つ目のポツ、もう1つ重要な点といたしましては、今後6ヵ月間は、米 国側の対日輸出プログラムの実施状況を検証する期間といたしまして、米国側は今回の 調査対象となった35施設以外の施設の認定は行わないということにしております。こ の間に、日米間で対日輸出プログラムの実施状況をよく検証していきましょうというこ とでございます。 それから、一番下でございますが、輸入手続き再開後も、日本側といたしましては、 通常の査察に加えまして、米国側の抜き打ち査察に同行することにより、対日輸出プロ グラムの遵守状況を検証していくということになります。 (スライド) 次に、日本国内での新たな措置ということでございます。 (スライド) まず、日本側での水際の検査の強化ということで、先ほどあった各施設の適格品リス トを米国側から入手いたしまして、実際に輸入された製品のチェックを行うということ でございます。 また、2つ目のポツですけれども、輸入者の協力を得まして、当面、全箱確認をして いくということでございます。 それから、下でございますが、輸入業者の方々に対しましても、改めて輸出プログラ ムの内容を周知するということで、既に説明会の方を開催しているところでございます。 (スライド) それから、輸入手続き停止中の貨物についてでございます。 (スライド) 輸入手続き停止中の貨物についてですけれども、既に米国側による調査、それから今 回の日本側の調査でも問題がないことを確認しておりますが、念のための措置といたし まして、今後新たに対日輸出される牛肉につきまして、一定期間問題がないということ が確認できれば、輸入業者の方々の協力を得まして、全箱確認を行いまして、SRMが 含まれていないこと等を確認した上で輸入を認めていこうという考え方でございます。 (スライド) その他といたしまして、まず原産地表示でございますが、上にありますとおり、消費 者の合理的な選択に資するという観点から、加工食品の原産地表示でありますとか、そ の下にあるレストランとかの外食における原産地表示につきまして、一層の活性化を促 していくということでございます。 それから、牛肉の原産地表示等について、行政としても監視指導を更に徹底していく ということでございます。 それから、下の情報提供というところでございますが、米国産牛肉輸入問題につきま しては、今後とも査察の結果を初めとして、国民に対する情報提供に努めていくという ことでございます。 (スライド) それから、追加ということでございますが、先ほどの説明の中でありました企業合併 でマニュアルが変更中だった施設、もう1つ、認定日前にと畜された牛が出荷されてい たということで、条件付きでリストに掲載するとされていた施設のこの2ヵ所につきま して、先々週ですか、8月7日から12日までフォローアップ調査ということで、追加 で調査をしてまいりましたので、その結果につきまして簡単に紹介させていただきます。 (スライド) 調査結果の概要と今後の対応ということでございますが、まず、企業合併により、マ ニュアルの変更中だった施設につきましては、現地でマニュアルの整備がなされている ことを確認しまして、内容については特に問題といいますか、指摘はなかったというこ とでございます。 その次ですが、ただし、舌の保管方法について、これまで国内向けの方法から変わっ ていた点がございましたが、この点がHACCPプランに反映されていないという問題 がございました。この点につきましては、下の矢印のところですけれども、後日、米国 側の方からHACCPプランが適切に修正されたとの報告がございまして、日本側でも その内容を確認いたしましたので、一番下の方に書いておりますけれども、8月15日 に対日輸出認定施設リストへの掲載を認める旨、米国側に通告したところでございます。 米国側では、これを受けまして、この施設については、既に現在、もう対日輸出認定施 設リストに掲載されておりまして、現在のリストの数は、35施設ということになって いるところでございます。 (スライド) もう1つ、条件付きで対日輸出リストに掲載されている施設につきましても、その後 の状況につきまして調査をしてまいりました。この内容につきましては、AMSの職員 が実際に施設に常駐して監視等を行っており、これまでのところ、特段の不適合は認め られていないということでございます。 また、施設側といたしましても、再発防止策ということで、と畜日のチェック体制を 強化しておりまして、それに加えましてFSISも検査体制を強化しているということ でございます。この施設につきましては、引き続きAMSの職員により監視や評価が行 われまして、その状況につきまして米国側より報告を受ける予定としております。 (スライド) それから、参考資料といたしまして、今回調査を行った35施設の会社名、所在地、 それから、昨年の12月に実施した我が国の査察を踏まえた農務省からの通知事項とい うものを後ろの方に記載しておりますので、これにつきましては、後ほどお読みいただ ければと思います。 以上で、説明の方、終わらせていただきたいと思います。 ●司会 ご清聴ありがとうございました。 それでは、ただいまから10分間の休憩に入りたいと思います。 3時8分に再開いたします。 (休 憩) (2)質疑応答 ●司会 それでは、これより質疑応答に移ります。 その前に、本日の出席者を紹介いたします。 皆様からご覧になって、右から食品安全委員会勧告広報課の吉岡課長です。 農林水産省消費・安全局動物衛生課の沖田課長補佐です。 先ほどご説明申し上げました、厚生労働省食品安全部監視安全課の横田専門官です。 最後に、厚生労働省大臣官房の藤井参事官です。 それでは、質疑応答の議事進行及び閉会までの以降の司会につきましては、藤井参事 官にお願いいたします。 ●藤井厚生労働省大臣官房参事官 それでは、進行につきまして、私の方で進めさせていただきたいと思います。 本日の説明会は、募集のときにもご案内をしましたように、米国産牛肉の輸入再開手 続きに際しまして、厚生労働省と農林水産省で実施いたしました米国内での現地調査結 果と、それを踏まえた対応についてご説明をして、皆様からもご質問に答えるという趣 旨でございますので、その趣旨を十分ご理解をいただきまして、進行にご協力をいただ きたいと思います。 質疑応答の進め方について、若干ご説明をさせていただきたいと思います。 発言を希望される方は挙手をお願いしたいと思います。係の者がマイクをお持ちしま すので、発言に先立ちまして、お名前と、差し支えがなければ、ご所属をお願いしたい と思います。 多くの方にご発言をいただきたいと思いますので、1回のご発言は、2分以内でお願 いをしたいと思います。1分30秒が経過をしましたら、事務局で1回ベルを鳴らさせ ていただきます。そのベルに合わせてまとめに入っていただきたいと思います。2分た ちましたら、2回ベルを鳴らさせていただきます。そうしましたら、次の方に発言をお 譲りいただきたいと思います。 行政からの発言につきましては、時間を区切るということはいたしませんが、できる だけ簡潔に行っていただくようお願いをいたします。 質疑応答を効率的に進めるために、先ほどご説明をしたスライドのコピー、右肩に資 料とあるものをお手元に配付しております。その資料の内容について、関係があるご質 問の場合は、可能でしたら、おのおののスライドの右下のところに数字が振ってありま す。その数字の何ページに関しての質問だということを申していただくと、ほかの方に も分かりやすいのではないかと思っております。 ご案内をしましたように、午後4時を終了予定と考えておりますので、皆様のご理解 をとご協力をお願いしたいと思います。 それでは、ご発言がある方、挙手をお願いしたいと思います。恐縮ですが、私の方で 指名をさせていただきたいと思います。 それでは、発言を希望される方、ちょっと恐縮ですが、そのまま手を挙げて、今4名 の方がお手を挙げておられます。一番左側の端の中ほどの女性の方、そして左から2列 目の真ん中ほどの女性の方、そして右から2列目の一番右側の女性の方と、中ほどの男 性の方、その4名の方、恐縮ですが、続けてご発言をいただきたいと思います。係の者 がマイクをお持ちいたします。 ●参加者1 札幌消費者協会の竹田と申します。 資料の31ページについて、ちょっと説明をお願いしたいと思います。 農場5施設と飼料工場2施設のところなんですけれども、飼料工場の中では、動物性 のものを使っていないということだったんですけれども、これ以外で日本に輸出する場 合に、飼料工場というのはやられていないんでしょうか。ほかの施設を見学しなくても 大丈夫なのかなということを伺いたいことが1点です  。 それから、合併したということに関して、まだこれから先は、向こうのアメリカ側で もあるというふうに思うんです。その際に、また内容を詳しく調べるための、一旦その 施設は中止して、更に詳しく中身を精査した上での措置をするというようなことは、日 本側としては、きちんとできるのかどうかということを伺いたいと思います。 ●参加者2 新日本婦人の会、厚別から参りました小野と言います。 今回、先ほどのお話を聞いたときに、ノンコンプライアンスレコードというんですか、 これをお読みになった上で、今日のこの会も開いているということを聞きまして、非常 に驚いたわけです。何でそこまでアメリカの味方をしているのかなというふうな感じで、 ずっと聞いていました。これを読みましたら、すごく1,000ぐらいの違反が出てい て、特定危険部位の除去の違反とか食品安全プラン、BSE及び特定危険部位を除去す ることに違反しているとか、30ヵ月齢以下、それと20ヵ月齢も一緒に処理を同じと ころでしているために、解体処理器具の洗浄消毒が行われずにやられていたとか、それ からへたり牛が食べる方に回っていたとか、いっぱい出ていますね。ここら辺のことを お聞きしたいと思います。 それから、日本国内の店頭及び外食加工品、全ての表示がされていないのに、私たち 消費者が買わなくてはいけないシステムというのは、非常に困ります。やはり日本の国 民に安心・安全の食料を供給するという、そういう役目が政府にはあるのではないかと 思いますので、そのことをお答え願いたいと思います。 ●参加者3 コープさっぽろの前濱と言います。 質問が6つほどあります。 9ページの、1月に輸入停止になったものなんですけれども、全箱確認をしてという ことですが、違反した業者のものはもちろん除いてあるということですよね。 それから、36ページの対日輸出の牛肉を使用している牧場は、全て動物性たん白を 与えられていないということだと取っていいんでしょうか。 それから、43ページなんですが、2つ目の丸、今後6ヵ月間は新たな施設の認定は 行わないとなっていますが、6ヵ月後、新たな施設の認定があるということだと思うん ですが、そのときにはまた査察を行って、プログラムがちゃんと遵守されているという ことを見てくるということですよね。 あと2つなんですが、45ページなんですけれども、日本の水際での検査の強化とい うところで、当面輸入業者の協力を得て全箱確認を実施とありますが、当面というのは、 いつぐらいまでのことなんでしょうか。 それと、49ページです。先ほども質問ありましたけれども、加工食品の原料原産地 表示が10月から義務になりますけれども、今の時点では、まだ義務表示になっていま せん。外食における原産地表示もガイドラインということで、主体的情報提供というこ とで、これは強制力が全くないということですよね。食べたくない人が選べない状況に なりますので、その辺のところ、強制力を持ったものにしてほしいなと思います。 それと、もしプログラムに違反があった場合、この前のように、何かSRMがついた ような肉が輸入された場合に、どのような措置をとるのでしょうか。この前のように、 全面的に輸入禁止という措置をとるのか、その辺のところもお伺いしたいと思います。 ●参加者4 北海道消費者協会の本田と申します。 今まで3人の方で大分言い尽くされていまして、ちょっとダブル面があるかも分から ないんですけれども、まず、今回の説明会の趣旨なんですけれども、もう既に米国産牛 肉が輸入されている段階で説明会が今回ありまして、むしろこの説明会は、もっと前の 段階でやるべきじゃなかったのかなというふうに、今ちょっと感じています。 それと、新聞報道などで見ますと、輸入に際して、先ほどちょっと出たんですけれど も、全箱開梱して検査をするということなんですけれども、実際に農林水産省だとか厚 生労働省の検疫に担当している方が、全てを確認して検査しているのかどうかをお聞き したいのと。その検査の内容なんですけれども、輸入に当たって、20ヵ月齢以下と、 それから危険部位が除去されているという条件のもとで輸入されていると思うんですけ れども、それの確認ができるのかどうか。例えば20ヵ月齢以下のものであるというこ とが確認できるのかどうか。 それから、特定危険部位が若干混じっていても、それは確認することができるのかど うか、その辺のところをお聞きしたのと。 もう一つ、先ほど表示の面についても出ていたんですけれども、加工商品についても、 今、生鮮肉などは検査表示は義務付けられていると思うんですけれども、加工商品につ いても、ぜひ検査表示をするような方向でお願いしたいと思います。 以上でございます。 ●藤井参事官 ありがとうございました。 広範囲にご質問等をいただきましたけれども、それでは、厚労省の横田さんから、ち ょっと順不同になりますかね。まず説明会、この時期にというのは遅過ぎたのではない かという、説明会の趣旨に関する質問が総論的なものとしてありましたので、それを最 初にしていただいて、あと厚労省関係で関係があるものについて答えていただいて、そ の後、農水省の沖田さんに、飼料規制の問題でありますとか、原産地表示の問題等々に ついて、答えていただくということにしたいと思います。 それでは、まず最初に、横田さんからお願いをします。 ●横田専門官 まず初めに、本日の説明会の趣旨ということでございますが、本日の 説明会は、先ほどご説明いたしましたとおり、6月21日の米国側との共有認識に基づ きました、対日輸出手続き再開前の現地調査の結果及びそれを踏まえた判断を報告する という趣旨で、説明会という名前にさせていただいております。 具体的には、4月に実施いたしましたリスクコミュニケーションで頂戴した意見も反 映した上で、これまで日米協議を進めてきておりまして、その後、また6月にもリスク コミュニケーションで今後の対応方針をご説明させていただきまして、その際にいただ きました水際検査の強化でありますとか、事前調査の実施といった意見を真摯に受けと めて、6月21日の共有認識で示した対応方針にも、そういったご意見を反映してきた というところでございます。 こういった経緯の中で、過去2回実施いたしましたリスクコミュニケーションでの意 見を踏まえて、共有認識で対応方針を決めて、それに従いまして、6月から7月にかけ て現地調査を行った上で、行政として最終的に判断をいたしまして、本日、ご説明を申 し上げているということでございます。 本日の説明会の位置付けというのは、そういったことということで、ご理解いただき たいと思います。 その次に、ノンコンプライアンスレコードの話がございましたけれども、このノンコ ンプライアンスレコードというものはどういったものかということですが、これは米国 の農務省の検査官が違反の内容を確認して、適切な改善措置がとられるまでの記録とい うふうに承知しておりまして、違反が確認されましても、適切な改善措置がとられまし て、米国内の国内規制が機能すれば問題はないというふうに考えているところでござい まして、今回ノンコンプライアンスレコードも調査の内容に含まれておりましたが、基 本的には、問題があったとしても、きとんと改善を図った上で、出荷されないというよ うな体制になっていたということでございます。 それから、今後新たな合併があった際の対応ということで、詳しく確認をしなくても よいのかという意見  がございましたが、合併をした際の手続きについては、まずは米国 側の認定手続きの中で、どういったふうに取り扱っていくのかということが考えられる かと思いますが、この点につきましては、まだ米国側と細かく話はしておりませんが、 今後適切な対応がとられるように、相談をしていく内容になるのかなと考えております。 それから、未通関貨物の中に、違反した業者はなかったのかという質問でございます が、その違反した業者というのは、恐らく認定日前にと畜された牛を出荷した施設の話 だと思いますけれども、現在、厚生労働省の検疫所や、農林水産省の動物検疫所で輸入 手続きを保留している貨物の中には、この施設の貨物の存在は確認されていないという ことでございます。 その次、6ヵ月間は新たな認定は行わないということで、その後、査察を行うのかと いうことでございますが、6ヵ月間、米国側の対日輸出プログラムの実施状況を検証し て、問題がなければ、その後は通常の認定の手続きということになりますので、まずは 米国側が施設認定を行っていくということになるかと思います。それで、米国側が認定 した施設につきましては、日本側といたしましても、定期的な査察を行っていくことに なりますので、通常査察でありますとか抜き打ち査察を行うことによって、その遵守状 況の確認を行っていくことになると考えております。 その次、水際での検査で全箱確認を行っていくというのが、当面というご説明を申し 上げましたが、期間はどれぐらいを考えているのかという質問でございますが、まだ輸 出再開したばかりでございまして、実際に貨物が入り始めたばかりでございますので、 いつまでと明確に決めているわけではありません。実際、ある程度の数が入ってきて、 その遵守状況を確認した上で、全箱検査をいつまで続けるかということは検討していく こととしております。 その次ですけれども、プログラムで違反があった場合、全面禁止にするのかどうかと いう話がございましたが、まず前提といたしまして、6月から7月にかけて行いました 現地調査におきまして、米国側の対日輸出プログラムの遵守体制を検証いたしまして、 問題がない、あるいは改善された施設、また条件付きということで、アメリカ政府の厳 重な監督下に置かれた施設からの輸入のみを認めることとしたということから、今後新 たに日本向け処理をされるものについての安全性というのは、まず前提としては、確保 されているというところでございます。 こういった状況の中、特定危険部位が混入した牛肉が再度発見された場合、どうする かという問題につきましては、なかなか事前に一律にどうすると判断できるようなもの ではなくて、国民の食の安全・安心の確保を大前提といたしまして、個別の具体的事案 に応じて、適切に判断していくことになると考えておりまして、一律で事前にどういっ た対応をするというのを決めるのは、ちょっと難しいと考えております。 それと、全箱検査、厚生労働省の検疫所や農林水産省の動物検疫所で全て開梱してい るのかという質問がございましたが、資料でも説明させていただいたとおり、全箱確認 は輸入者の協力を得てやるということで、検疫所では、輸入者が全箱確認をした後に、 一部抜き取りという形で検査をするということになります。 その際に、SRMの除去でありますとか、20ヵ月齢以下の確認ができるのかという お話がございましたが、まずSRMの除去につきましては、今回輸入業者さんに全箱検 査にご協力いただくに当たりまして、過去の骨片等の写真を事例集という形でまとめて おりまして、そういったものをマニュアルとしてお配りしておりますので、そういった ものを見ながら、SRMの除去については、確認をしていくということになります。 あと、20ヵ月齢以下の確認はできるのかという点は、20ヵ月齢以下、A40という のは、枝肉の状態でないと確認はできませんので、日本に入ってくる段階でカットされ た状況だと、水際での検査の時点では、20ヵ月齢以下の確認はできないということに なります。 ●藤井参事官 それでは、飼料と表示の話をお願いします。 ●沖田課長補佐 まず、お2人の方、消費者協会の竹田さんから、ほかの飼料工場か ら買った餌を使った農場から対日輸出があるのかどうかというお話、それから前濱さん から、対日輸出されるところは、全て動物性のたん白飼料を与えていないという理解で いいのかということで、2つほど飼料に関するご質問ありましたので、お答えします。 まず、他の飼料工場から出た餌を使っているところはないのかというところですけれ ども、これはアメリカ全部で、いわゆる子牛を育てたり肥育をしたり、そういうところ は100万からの農場があります。ですから、これを一つ一つ全部チェックするという のは、事実上、不可能です。ここはぜひご理解をいただいて、我々はそうは言っても、 主要なところ、こういうところを見に行きたいということでアメリカ側と調整をして、 今回5つの農場を見に行きました。 更に、その5つの農場だけではなくて、アメリカのワシントンですか、本部の方で、 これはこういう飼料の規制などを担当しているのは、アメリカの中でも、医薬食品局と いうところで、農業の関係ではなくて、薬品とか食品の安全性などをやっているところ、 そこが担当しているんですが、そこに行きましてお話を聞いてきて、それで更に補完を しながら情報収集しております。ですから、答えから言いますと、ほかの飼料工場から の対日輸出が絶対にないということは言い切れません。ほかのところから出ているとこ ろもあると思います。ただ、飼料工場というのは、当然アメリカが課しています飼料規 制、これを遵守することが求められております。それを医薬食品局ではちゃんと監視を しております。ですから、そういったところから製造された飼料をアメリカの農場は使 っているということをご理解いただきたいと思います。 それから、対日の輸出をするような農場は、全て動物性たん白を全く使っていないの かというところですけれども、これもアメリカの飼料規制に沿って、言いますと、先ほ どスライドでご説明しましたとおり、例えば、豚あるいは鶏由来のたん白というものは、 飼料として与えてもよいということになっております。この辺につきましては、我々日 本のサイドから、食品安全委員会での答申の際にも、飼料については、引き続き強化を 求めていくべきというふうな附帯意見もいただいておりますので、時期をとらえてアメ リカ側には申し入れをしておりますけれども、そういった全く使っていないということ は、必ずしも言い切れないと思います。ただし、先ほどご説明しましたとおり、酪農に 使う乳用牛は、確かに非常に高たん白な飼料がないとお乳が出せません。北海道の方は よくご存じだと思います。ですから、そういった高たん白、高栄養の飼料を使うことは あろうかと思いますが、肉用牛に関しては、例えば動物性の飼料を使わなければいけな いような、高たん白の飼料を要求されるということがない状況です。それに加えて、こ ういう消費者の非常な関心が高いということ、これはアメリカ側もよく把握しています。 ですから、アメリカ側としても、実質的にそういった動物性たん白を使って消費者への 不安をいたずらにあおるようなことをしないような自主的な取り組みはされています。 こういったことを今回の調査で情報収集してまいりました。 それから、2点目は、表示の話です。3人の方からいただきましたけれども、全ての 加工品について表示の義務はかかっていない、強制力がないという状況で輸入手続きを 再開されるというのは、非常に消費者としては不安がある。ぜひ強制力のあるものにし ていただきたいというご意見をいただきましたが、まず全ての加工食品に、どんなに小 さな量であっても全て表示するというのは、これは非常に難しい、技術的にも難しいと いうのは、ご理解いただきたいと思います。というのは、例えばハムとかソーセージな どの加工品でいいますと、製造業者がいろいろなところから仕入れをします。原産国も、 季節によっては違うところから持ってきた方が安いという場合もありますから、なるべ く低コストでつくるために、そういう企業努力もされています。そういった中で、原産 国を変えることもあります。あるいはできるだけ安い肉を使うために、普通の精肉の加 工場で出た切れっ端、こういったものを使って加工品をつくる場合もあります。切れっ 端などになりますと、食品としての安全性はもちろん担保されているものですが、それ がどこから来たかというは、なかなか分かりにくい状況になっています。こういったも のも使っているという状況を踏まえると、全てのものについて、100%義務でという のは、なかなか難しいというのは、ご理解をいただきたいと思います。 ただ、そうは言いながら、自主的な取り組みはどんどん広まっているところです。外 食のガイドラインであるとか、生鮮の食肉についても、10月からの対象は、例えばタ レをつけただけのカルビ肉とか、合挽き肉で牛肉がメーンになっているものとか、そう いったものはこれから義務化されるんですが、義務化以外のものについても、自主的な 取り組みがどんどん進んでいって、スーパーなどで、例えば売り場の店頭表示などでこ ういうふうになっていますとか、そういうことをしていただいているので、こういった ことについては、引き続き我々も、業者さん一生懸命頑張ってくださいというお願いは していきたいと思っており、また実際、もう既にそういうお知らせも出したりしており ます。 ●藤井参事官 それでは、別の方でご発言がある方、また挙手をお願いしたいと思い ます。 左から2列目の方、そして右から3列目の男性の方、続けてご発言をお願いします。 ●参加者5 生産者です。内藤と申します。 説明を聞いていて、先ほどホルスタインのこともおっしゃっていたんですけれども、 最初、資料を見ながら、牛に動物性たん白質を給与するメリットはないということでお っしゃっていたんですけれども、アメリカは日本に比べて、すごくBSEの発生が少な いんですけれども、それは日本は、ホルスタインにどんな形で入ったか分からないんで すけれども、日本では、ホルスタインで多く発見されていますよね。肉牛からはまだ1 頭ぐらいしか、たしか発見されていないと思うんですけれども、アメリカはこの規制が 早くからされたから、アメリカのホルスタインには出ないのか、調べる件数が少ないか ら出てこないのか、それが分かると、すごく安心感が違うような気がするんですけれど も、アメリカはどの段階で、牛由来の肉骨粉を牛にやらなくなったということが分かる なら教えていただきたいです。 あと、輸入が再開されたんですけれども、私たちは自分が何を食べているかと分かる 権利はすごくあると思うので、選ぶというところで、きちんと選択できるようなことを 義務づけるのは、国の責任として、きちんとこっちを、アメリカが輸入のお肉を通すな ら、選ぶ条件を整えてほしいというのは、切実に思います。以上です。 ●参加者6 コープさっぽろの谷本と申します。 私たち消費者は、どこの国からの輸入品であろうと、現在、国内でやられている国産 牛の安全措置、BSEの全頭検査、トレーサビリティーシステムによる飼育履歴、月齢 の確認方法、それから特定危険部位の除去、肉骨粉等の使用について、反芻動物に与え ないという、こういうルールを、私たち日本の国民が海外から輸入される肉についても 担保してほしいというのが切実な願いだと思います。そういう点で、今問題になってい るように、アメリカの牛肉は、97年度では、イギリスの肉骨粉を使用していたという ことと、カナダないしは近隣の国からも入ってきて、そのものが使われているんでない かという不安を持っているというのが、このアメリカ産牛肉に対する不安の根底にある と思うんです。 そういった点で、先ほど沖田さんが回答されました、たん白質の問題ということで、 肉骨粉はそんなに与えられていないという話をされましたが、地元の北海道新聞が6月 22日に、ちょっとこの点で報道しておりまして、アメリカは戦前から安い牛を飼うた めに、鶏などの糞を牛に与える研究を全国的にやってきたと。やってきた結果、乳牛に 与えたところ、牛乳がそういうにおいがして、これはだめだということで、肉牛に与え るようになった。現在もアメリカではジョージア州とかバージニア州とかアラバマ州と かノースカロライナ州、この5州で大体500万頭ぐらい飼育しているんですが、そち らのところは、依然として安い飼料を与えるということで鶏糞を与えている。先ほどご 指摘のあったFDAの調査では、ほぼ100万トンから200万トンぐらい、アメリカ でこういうふうに与えているんではないかというふうに言われております。そういうの が報道されているんです。そうすると、非常に黄砂  汚染の危険性があるんではないかと いうことが問題だと思います。 あわせて、今年の春に、これはTBSの地元HBCのところで、ニュージャージー州 のチェリーヒールというところで、クロイツフェルト・ヤコブ病というのが異常発生し ているということが報道されています。これも一つの村で、そこでステーキを食べて7 人以上が、いわゆるヤコブ病になったということで、実際にアメリカ産の牛肉で12月 に出て、チュルイの検査したところ、これはヤコブ病だという、そういうことが認めら れたということで、潜在的にいろいろな安全・安心の問題があるんではないかというこ とになっていまして、最後に、今回の食品安全委員会では、いろいろなデータが出てい ないから同等性の確認ができないと。したがって、今回はルールが認められれば輸入し ていいということになったんですが、改めて安全委員会として、アメリカ産牛肉の安全 性について検討するということを考えていないのかどうか、お聞きしたいと思います。 ●藤井参事官 それでは、こちらの方から回答をお願いしたいと思いますが、原産地 表示の内藤さんの件は、また同じような答えになってしまうと思いますので、ご要望を 更にいただいたという形にさせていただきたいと思います。 まず、飼料規制の関係についてお2人の方からありましたが、その辺を農水省の沖田 さんから再度回答をお願いします。 ●沖田課長補佐 続けてになりますけれども、まず飼料の規制、アメリカで飼料規制 が始まったのは、1997年です。ですから、日本よりも約4年ぐらい早い状況になっ ています。そのときからやっているということです。 それから、サーベイランスが少ないから見つからないのか、そうではなくて、本当に 少ないのかというところですけれども、サーベイランスにつきましては、アメリカでは、 これまで、アメリカでBSEが確認されて以降、強化サーベイランスをとってきました。 そういったものも含めて、全て、それだけではなくて、通常やっているようなものも含 めて、サーベイランスの結果から、この春5月ぐらいでしたか、アメリカにおけるBS Eの浸潤度というか汚染度というか、そういったものはこんなふうになるんじゃないか というような推計を出しています。これは科学的ないわゆる統計学とか、そういったも のに基づいて、専門家がきちっと分析をしたものになっています。それによりますと、 100万頭に1頭以下という汚染度ではないかという推計がされております。ですから、 これはいろいろ議論もあるところだと思います。ですけれども、我々は科学に基づいて 議論しないと、単発的なところをつかまえてアメリカに対して議論を振っても、なかな かそれだけでは通用しないので、専門的に科学的に見てどうなのかというところを議論 しなければいけないと思います。そういうのから言いますと、アメリカが今行ったサー ベイランスでは、100万頭に1頭以下ということで、日本よりも低い汚染度ではない かというふうに言われています。 サーベイランスにつきましては、そうは言っても、こういったように、日本の消費者 の方の不安というものがありますから、我々としても、サーベイランスを引き続ききち っと強めて監視をしていくように、アメリカには申し入れをしているところです。 それから、表示のところでもう1点だけ追加させていただきますと、できないからも う何もしませんと言っているわけではありません。加工品の表示につきましては、それ は牛肉だけではなくて、どんな加工品もそうですけれども、情勢の変化だとか、こうい った消費者の方々の要望などもよく踏まえて、どういったものに義務をかけていくか、 それは当然いろいろな情勢を判断した上でということになるんでしょうが、どういった ものに義務化して、どういったものを自主的に推奨していくかというようなところを、 いろいろ議論するのを、厚生労働省と農林水産省が共同で行っている食品表示に関する 共同会議というのがあって、その場で議論をしています。そこで議論の中で、どういっ たものに規制をかけていかなきゃいけないかというところは、しっかり議論をさせてい ただきたいというふうに思います。 ●藤井参事官 それではもう1点、安全委員会で改めて評価をすべきではないかとい うご意見ありましたが、それにつきまして、安全委員会事務局の吉岡さんからお願いを します。 ●吉岡食品安全委員会事務局勧告広報課長 食品安全委員会で昨年、交差汚染の可能 性についても考慮に入れた上で検討を行いまして、その上で輸出プログラムが遵守され れば、そのリスクの差は極めて小さいという結論を出したところです。 1月20日のせき柱混入以来の問題につきましては、プログラムの遵守というリスク 管理の問題ということで、食品安全委員会としては、今直ちに再評価ということを考え てはおりません。ただ、食品安全委員会といたしましては、そのリスク評価の結果に基 づいて、講ぜられる施策について監視を行っていく、モニタリングを行っていくという 任務がございますので、節目、節目でリスク管理機関から報告を受けているところであ り、今後とも、そのような機能を果たしていきたいと思っているところです。 ●藤井参事官 それでは、また再びフロアの方のご発言をお願いしたいと思いますが、 できるだけ最初の方、初めての方にお願いをしたいと思いますので、もしなければ2回 目でも結構でございますが、まず最初ということで、男性のそちらの方、ご発言をお願 いします。 ●参加者7 北海道地域農業研究所の酒井と申します。よろしくお願いします。 今まで話に出ていなかったところで伺いたいんですが、今回、輸入解禁に当たっては、 米国側の措置と日本側の措置が、全てできているということが確認されたということで 解禁になったと思うんですけれども、資料の番号で言いますと、スライドの6、7あた りですけれども、AMSの措置で、役職員の理解を確認したということになっているん ですが、ちょっとその方法が分からなかったので、それを補足していただきたい。 FSISの措置の中では、試験への合格の義務付けを通じた周知徹底とあるんですが、 これが一体何が対象で、どのような試験なのかちょっと分からないので、これを教えて いただきたい。 あと、抜き打ちの検査なんですけれども、これが実際にもう既に行われているのかと いうことで、これが行われているんであれば実績を教えていただきたい。これからとい うことであれば、これから解禁して問題だというふうには思うんですが、計画について 教えていただきたいというふうに思います。以上です。 ●藤井参事官 ありがとうございました。 それでは、今のは資料のスライド番号でいいますと、6番のところについてのご質問、 特に上の方のAMSの役職員への周知の仕方、そして下の方のFSISの一番上の試験 への合格の義務付け、その辺のもう少し詳しい情報ということと、抜き打ち査察につい ての件についてご質問がありましたので、それは厚生労働省の横田さんからお願いしま す。 ●横田専門官 まず、1点目のAMSの措置というところの役職員の理解を確認とい うところでございますが、AMSが施設を認定する際には、まず書面の確認をいたしま して、その後、実際現地での調査ということを行いまして、その際に役職員に対しても、 インタビューを行うことによりきちんと対日輸出条件であったり、プログラムの内容を 理解しているかということを確認するということでございます。 それから、2点目のFSISの措置の中の、試験への合格義務づけ等を通じた周知徹 底というところでございますが、研修はどのようにやっているかということだと思いま すけれども、アメリカの場合、国土がかなり広い関係もございまして、私ども聞いてい るお話ですと、具体的にはインターネットといったものを利用いたしまして、いろいろ な基本的な問題集をつくったりとか、輸出プログラムの条件を配付したりするようなこ とをいたしまして、まずはそれを使って研修を受けるということでございまして、それ が終わった後に、これもコンピューター、インターネットを通じた形になるんですけれ ども、試験の方もございまして、それで一定以上の点数を取らないと合格にならないと いうことでございます。今回、私どもの見てきた中で、実際その試験に合格しますと、 証明書が発行されますので、そういったものも確認してきたということでございます。 それから3つ目、抜き打ちの査察についてのご質問でありますが、これまで私どもが 聞いている範囲では、対日輸出再開したばかりということで、特段抜き打ち査察はまだ 実施してい   ない段階だと思います。 それで今後の予定ということなんですけれども、抜き打ち査察につきましては、具体 的な施設や日程等、まだ米国側と相談していない段階でございますが、今後、日本側の 関心の高い施設等について米国側に申し入れていきまして、具体的なスケジュール等の 調整は行っていきたいというふうに考えております。まだ具体的なものは特段決まって いる段階ではございません。 ●藤井参事官 それでは、その他ご発言がおありの方。 それでは、新しい方お2人、まず左から2列目の4番目の男性の方と、そして一番左 端の女性の方、続けてご発言をお願いしたいと思います。 ●参加者8 札幌市の矢萩と言います。一消費者でございます。 問題を1点に絞って、せっかくの機会ですから、お伺いいたしたいと思います。 牛の月齢確認の件でございますが、資料の18になりますが、生理学的成熟度、これ によって判定する、こういうふうにただいま説明がございました。この判定の精度とい うのはどの程度のものなのか。例えば100%全く間違いないというのか、あるいは許 容限度が例えば8割、9割なのか、その判定も、いわゆる科学的あるいはそういう形で の精度というものについて。これは全頭を全部これでやるのか、抜き打ちでやるのか。 全頭であれば、もしその精度が100%あるいは95%であれば、20ヵ月齢以下であ るということは間違いないんですが、抜き取りであれば、その抜き取りから漏れたもの はどうなるかという問題もあると思います。まずそこの点が第1点。 それから、先般、たしかアメリカの閣僚が、20ヵ月齢を超える、これは将来、アメ リカとしては、個人的な見解はどうか分かりませんが、超えて、いわゆる20ヵ月齢以 上のものについても、将来日本に求めていきたいというような新聞記事が、ちょっと私 見たような感じがするんです。もし間違いであれば勘弁してもらいたいと思うんですが、 アメリカのそういう考え方といいますか、先般、実際に日本の担当者が米国の担当者と 話し合いしたいろいろな中で、既にそういうような考え方が示されているのかどうか、 あるいはもしそういう考え方が今後米国から示された場合に日本としてはどうするのか、 ちょっとその点お聞きしたいと思います。以上でございます。 ●参加者9 札幌消費者協会の三上です。 質問が1点と、それから要望が2点になります。質問の方は、1月に輸入が停止にな った時点で、国内の港などの保冷倉庫などに、たしか1,000トンほど輸入牛肉がス トップされていると思うんですけれども、これについて今後どのようにされるのかとい うのが質問です。 それから、要望の方は、いろいろな発言の方、出ていたと思うんですが、表示の部分 で、加工食品全てにかけるというのは非常に難しいとは思いますけれども、例えば遺伝 子組み換えの食品の中で、不分別というような形の表示、非常に曖昧な表示ではありま すが、そういった形で入っているかどうかが分からない部分については、そういったち ょっと表示をしてでも、できるだけ多くのものに表示をしていただきたいということ。 それと、記者発表のときに、川崎厚生労働大臣は、今後もしこういったBSEのもの が混入していた場合は、即刻その時点で輸入は中止するということを明言していただい たんですけれども、中川農水相は明言されなかったということで、あっては困るんです けれども、もしまた混入するようなことがあった場合は、ぜひその時点ですぐにストッ プしていただきたいという2点です。 ●藤井参事官 ありがとうございました。 それでは、まず生理学的成熟度の話は、沖田さんからでよろしいですか。 まずそこからいきたいと思います。お願いします。 ●沖田課長補佐 月齢に関するご質問がございましたので、ちょっとご説明します。 生理学的成熟度というのは、先ほど説明にもありましたけれども、骨の軟骨の部分の 骨化の状況によって、年が進むと、当然骨化していくんですけれども、その骨化の状況 によって、それから肉質、肉の色なんですけれども、その2つでもって成熟度を決めて いるんですけれども、その成熟度と月齢とに非常に相関関係が高いということで、アメ リカ側に統計的な分析をお願いして、それでデータを出してもらって、こちらで日本政 府として専門家、統計学あるいは獣医の解剖学などの専門家の方にご意見をお伺いしな がら、その相関関係について決めて、A40以下であれば、20ヵ月齢以下になるだろ うということで、報告書もこれは出して公開になっております。その報告書によります と、その精度については、20ヵ月齢を超えるような確率というのは、1.92%とい うふうに言われています。確かに1.92という数字があるじゃないかという話なんで すけれども、私も専門ではないのですけれども、統計学というのは、確率がゼロになる ということは実際上あり得ないことで、どんなに少なくても、その処理を行うのに、そ のぐらいの数字は出てしまうんです。ですから、1.92あるから問題だというのでは なくて、これは現実問題として起こり得なくても、確率論上はそれ以下にはならないよ うな、非常に小さな確率であるということ。現実の問題を申し上げますと、数千頭規模 で生理学的成熟度と実際の月齢を合わせてみてやっているんですけれども、ほとんどが 20ヵ月どころか、もっと下のところに来ます。ですから20ヵ月ぐらいに行くものも ほとんどないくらいの、ほとんどとは言いませんけれども、20ヵ月齢に届くのも少な いぐらいの、A40というのは、それぐらいのところにあるものだというふうにご理解 いただければと思います。 それから、じゃ、その月齢確認を、このA40で全部やるのか、抜き取りなのかとい う話ですけれども、日本がアメリカ側に要求しているのは、20ヵ月齢以下の牛由来で あることを担保しなければ、これは輸入の対象になりません。それを担保するために、 このA40を使うか、または生産記録、農場で子牛が何月何日に生まれました、こうい った生産記録でもって証明するか、どちらかの方法を使って、20ヵ月齢以下であるも のでないと、輸入できないというふうになっています。ですから、抜き取りとかではあ りません。1頭1頭について、どちらかの方法でもって、20ヵ月齢以下を確認してい ます。 ●藤井参事官 未通関牛肉の取り扱いについて、横田さんからお願いします。 ●横田専門官 未通関貨物の取り扱いに関しましては、今日のスライドの中で、右下 47ページのところで説明させていただきましたが、今後どうするのかということです けれども、2つ目にありますとおり、念のため今後新たに対日輸出される牛肉等につい て、一定期間問題がないことを確認の上、輸入を認めることとするのが基本的な考え方 で、その際には、輸入業者の協力を得て全箱を開梱し、SRMが含まれていないことを 確認するということにいたしております。 もう一つ、1人目の方の後半で、20ヵ月齢を超える牛も将来求めていきたいという 話はどうなのかというご質問ありましたが、今のところ、米国政府から輸入条件につい て拡大してほしいというような、具体的な協議の要請というものはまだ来ておりません。 まだ輸入条件の変更について検討を行っていないというのが現状でございます。仮に具 体的な要請が来たらどうするかという話は仮定の話になりますが、日本で21ヵ月齢や 23ヵ月齢の感染牛が確認されているというようなことも踏まえまして、科学的知見に 基づいて、適切に対応していくことになるのではないかと考えております。 ●藤井参事官 お約束の時間の4時を5分ほど既に過ぎておりますが、最後にあと1 人だけ、これだけは言っておきたいということがありましたら、手短にお願いをしたい と思います。そして、4時までというお約束をしましたので、ご都合がある方について は、席を立っていただいて結構かと思います。 それでは、最後に男性の方、お願いをします。 ●参加者10 日高から来ました昭和畜産ファームの吉田です。 日本では、BSEを根絶するという、そういう形で、全頭全部耳に番号をつけて、そ ういうシステムをとっております。ところがアメリカというのはそういうことをやって いない。しかも検査するのは、本当の数%しかやっていない。しかも日本では、死んだ 牛まで全部検査しております。ですからBSEがどれだけ出るか、どういう理由でなっ たのかということを徹底的に調べているんですが、アメリカでは、先ほど100万頭に 1頭ぐらいの確率だというふうにおっしゃいましたけれども、でも科学的見地と言いま しても、全頭検査しているのと、たった数%しか検査していないものとで、科学的見地 と言えるのかなと。やはりアメリカもBSEを根絶するという立場に立ってもらえるよ うに、日本政府も要請していくべきではないかと思います。 1点、質問なんですけれども、アメリカの野生の鹿がBSEに似た症状の病気が出て いるというふうに聞いておるんですけれども、その点について、ちょっとお尋ねしたい と思います。 ●藤井参事官 これは沖田さん、鹿の話はどうでしょうか。 ●沖田課長補佐 まず、BSEをアメリカも根絶する姿勢で望むべきだということです が、日本もいろいろ専門的な議論をしていく中で、決してアメリカの言いなりになって いるわけではなくて、先ほど言いましたように、事あるごとに、飼料規制は日本あるい はお隣のカナダなどと比べても、今強化するという方向で進んでいるというのは聞いて いるんですけれども、実際に強化しましたというのは、カナダはそれを実際に強化する ことを決定して、来年の7月から飼料規制を強化するというのを既に発表しています。 まだアメリカはその段階までいっていないので、我々としても飼料規制、これはBSE の原因物質が、牛の間で回ることを止めるための大事な措置ですから、これについては 引き続きアメリカ側に強く申し入れをしていきたい。あるいはサーベイランスにつきま しても、汚染度をはかるのに必要な量を確保するように、これもしっかりと申し入れを していきたいというふうに思っております。 それから、鹿にBSEと似たような症状が出ているというお話ですけれども、確かに そういう病気があるという報告は受けています。ただ、問題になるのは、鹿が処理され て、肉骨粉になって回っているかとか、そういうことになるんだと思うんですけれども、 我々の聞いている限りでは、そういったことにはなっていない。鹿と牛というのが、例 えば同じ屠場で処理されるとか、そういったこともありません。アメリカの場合は非常 に専業化が進んでいまして、食肉の処理施設というのは、豚と牛が一緒になっていると ころは幾つかあろうかと思うんですけれども、鹿と牛が一緒にやっているようなところ はないというふうに聞いています。 ●藤井参事官 最後のCWDの話は、ちょっと専門家が今日おりませんので、物足り ないという形で思われるかも分かりませんが、もし更にということでしたら、厚生労働 省または農林水産省の方にお問い合わせをいただければというふうに思っております。 それでは、もう既に予定の時刻を10分過ぎております。 本日は、皆様からの大変いろいろなご質問、ご要望、ご意見をいただき、ありがとう ございました。 3.閉 会 ●藤井参事官 進行の不手際があったことをお詫びを申し上げて、閉会をさせていた だきたいと思います。 なお、皆様方の封筒の中にアンケートをお入れしております。今後のこういう説明会 等の開催の参考にさせていただきたいと思いますので、ぜひお帰りの際に、受付に提出 をしていただければと思います。 本日は、どうもありがとうございました。    (了)