食品に関するリスクコミュニケーション ――米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会:福岡市―― 平成18年6月12日(月) 於:アクロス福岡 7F大会議室  開 会 【司会(吉田厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐)】   本日は、大変お忙しい中ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。 ただいまから食品に関するリスクコミュニケーション、米国産牛肉輸入問題に関する意 見交換会を開催いたします。  私は、本日の司会を務めさせていただきます、厚生労働省医薬食品局食品安全部企画 情報課の吉田佳督と申します。よろしくお願いします。  なお、地球温暖化防止と省エネルギーのために、本年度も6月1日から9月30日ま での期間、政府全体としまして、いわゆるクールビズに取り組むこととしております。 本日の意見交換会もクールビズにて取り組むこととしておりますので、ご協力のほどよ ろしくお願いいたします。  さて、農林水産省と厚生労働省では、1月20日からすべての輸入手続を停止してい るところですが、先般、3月28日から29日に、原因や対策に関する米国側の報告書 について日米専門家会合を開催し、これを受けて日本側では、4月11日の那覇会場を 皮切りに24日まで、全国10カ所で意見交換会を開催いたしました。  また、米国側におきましては、対日輸出認定施設のレビューを行い、今般、5月17 日から19日にかけて日米専門家会合が開催され、そのレビューの結果について米国側 から聴取したところです。  本日の意見交換会は、米国政府の説明の内容及び米国産牛肉の輸入手続再開の考え方 についてご説明し、参加者の方々である皆様の疑問点やお考えなどについて意見交換を 行うこととしております。  初めに、お配りしている資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第になりま す。それから、資料といたしまして「米国産牛肉輸入問題について」というこの資料で す。それから、参考資料といたしまして「日本向けEVプログラムに関するAMS監査 結果報告書(概要)2006年5月」というものです。それから、「米国・カナダ産牛 肉・内臓に係る食品健康影響評価」の資料です。そして、「6月は食育月間」というこ のチラシになります。それから「食品安全エクスプレス」、こちらの方もチラシになり ます。それからカードですけれども、二つ折りにすると名刺に入るという「食事バラン スガイド」、このカードです。それから最後に、「食品に関するリスクコミュニケーショ ンについてのアンケート」になっております。  なお、アンケートにつきましては、今後の参考にさせていただきたく考えております ので、ご記入の上、お帰りの際にご提出いただきますようよろしくお願いいたします。  また、資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出ください。よろしいでしょ うか。  それでは、続きまして本日の進行について説明いたします。  まず、米国産牛肉輸入問題につきまして、1時間程度説明をいたします。その後、1 0分間程度の休憩時間を挟み、意見交換に入りたいと思います。  では、会場の都合上、終了は4時30分を予定しておりますので、早速米国産牛肉輸 入問題につきまして、厚生労働省食品安全部監視安全課の桑崎課長から説明いたします。 説 明 【桑崎厚生労働省食品安全部監視安全課長】  皆さんこんにちは。ご紹介をいただき ました厚生労働省の食品安全部の監視安全課長をしております、桑崎でございます。  それでは早速、お手元に資料がございますが、パワーポイントも使います。ちょっと 字が小そうございますので、両方見ながらお話を聞いていただければ幸いです。  それでは、米国産牛肉輸入問題についてご説明を申し上げます。 (スライド)  本日説明をさせていただきます内容は、1番目として、米国産牛肉問題のこれまでの 経緯ということで先ほど司会からございましたけれども、1月20日に米国産子牛肉か ら脊柱が発見されたということを中心に、さらには3月に専門家会合を開催いたしまし た。その概要についてこれまでも説明してまいりましたけれども、初めての方もいらっ しゃるかもしれませんので、簡単に概要をご説明申し上げます。  それから2番目として、消費者の方々との意見交換の概要、それから3番目として、 米国側の再調査の結果でございます。  それで4番目といたしまして、今後の対応ということで、輸入手続再開の考え方、こ こに@からDまで示しておりますけれども、この考え方についてご説明を申し上げ、ご 意見をいただきたいというふうに思います。  それから5番目になりますが、香港・台湾における骨片混入事例の概要、これも後ほ ど説明をいたしますけれども、日米ではなくて、アメリカと香港、アメリカと台湾、ア メリカ産の牛肉が香港・台湾に輸出された際に、日米と違って合意の条件は30カ月齢 以下で骨なし牛肉というふうに条件がついておりますけれども、アメリカから輸出され た牛肉について骨片が混入したということについて、これは前からいろいろ議論になっ ておりまして、なぜこれを説明するかと申し上げますと、日米のみならず、アメリカと 台湾、アメリカと香港、ルールが決まっているわけですけれども、このルールがどうも アメリカは遵守できないのではないかという懸念があるものですから、それについてア メリカ側から聴取いたしましたので、その内容についてご説明を申し上げたいと思いま す。  本日は、こういう内容で説明いたします。 (スライド)  平成15年12月24日に米国でBSEの感染牛が1頭確認をされました。その後の 調査で、これはカナダ生まれということがわかっておりますけれども、この発生があっ て以降、直ちに我が国は米国からの牛肉などの輸入停止措置をとりました。それ以降ア メリカ側と局長級クラスの協議、さらには技術者協議ということを行ってまいりまして、 平成17年5月24日に米国産牛肉の輸入再開について食品安全委員会に諮問をいたし ました。  先ほど局長クラスの協議、もしくは技術者レベルの協議を行ったと申し上げましたけ れども、「平成16年10月の局長級会合を踏まえ」となっておりますけれども、この 平成16年10月の局長級会合では何が決まったかというと、一定の条件、枠組みのも と、国内での承認手続完了を条件として科学的知見に基づいて牛肉貿易を再開するとの 認識を共有したということで、一定の条件というのは下に書いていますけれども、全頭 からの特定危険部位の除去、さらには月例は20カ月齢以下という条件、さらには国内 手続ということで、食品安全委員会にご意見をお伺いするという手続を踏まえてという ことでございます。それで、食品安全委員会のプリオン専門調査会におきましては、諮 問を受けまして10回にわたる審議を行ったところでございます。  平成17年12月8日に、食品安全委員会から米国産牛肉等のリスク評価について答 申がなされました。答申の内容は右側に書いてございますが、米国・カナダに関するデ ータの質でありますとか量、ともに不明な点が多いということなどから、米国・カナダ のBSEリスクの科学的同等性を評価するのは困難であるということではあるが、輸出 プログラム、全頭からのSRM除去、20カ月齢以下の牛、「等」というのはこれは分 別管理ということですけれども、そういう輸出プログラムが遵守されたと仮定した場合、 米国・カナダ産牛肉等と国内産牛肉等のリスクの差は非常に小さいという答申をちょう だいいたしました。  この答申を受けまして、平成17年12月12日に米国・カナダ産牛肉等の輸入再開 を決定したわけでございます。それでここには書いておりませんが、12月12日に輸 入再開を決定したと同時に、厚生労働省、農林水産省においては、入ってくる米国産牛 肉について、輸入時の検査を強化するために通知を各検疫所に出しております。これも 後ほど出てまいります。  さらには、平成17年12月13日から24日までの間、米国とカナダにおける日本 向け牛肉認定施設に対して査察を実施いたしました。米国11カ所、カナダは4カ所と いうことでありますけれども、査察を実施したところでございます。 (スライド)  そういう手続を踏まえて再開をいたしましたけれども、ご承知のとおり、本年の1月 20日になりまして、農林水産省の成田にある動物検疫所、さらには厚生労働省の検疫 所において、脊柱を含む米国産の子牛肉を発見いたしました。当該ロットについてはす べて焼却ということでございますが、この時点で再開直後にこういう事案が起きたとい うこと、さらには他の、それ以外の対日輸出施設におけるプログラムの遵守に関する信 頼性を確認する必要があるということから、輸入手続の停止に入ったわけでございます。  2月10日に国内に輸入された米国産牛肉の自主調査結果公表となっておりますけれ ども、12月から1月20日までに輸入された米国産牛肉について、本当に問題がなか ったのかということを確認するために、1月23日になりますが、右に書いてあります けれども、米国から輸入された牛肉について、念のため脊柱が含まれていないか、地方 自治体、これは輸入業者を所管する地方自治体を通じて業者に自主調査を要請し、その 結果を取りまとめて2月10日に公表したところでございます。この結果はご承知のと おり、脊柱の混入は認められなかったという結果の公表をさせていただきました。  2月17日になりまして、米国農務省が調査報告書を日本側に提出いたしました。こ の事案が起きて以降、農林水産省、厚生労働省ともども、今回起きた原因は一体何なの かと、さらには、その他の施設についてほんとうに問題がないのかということについて、 その原因究明と対策について求めていたところでございまして、それについてたしか5 00ページ弱にわたる、これもすべて公表しておりますけれども、レポートがアメリカ 側から日本側に提出をされたところでございます。  そのポイントとなるのは、一言で言うと、今回の事案の発生の原因というのは、輸出 業者がみずからつくったプログラムを守っていなかったと。さらには、検査官も日本向 け輸出プログラムを熟知していなかった。さらには、今回、子牛肉が初めての輸出であ るということから、特異な事案であるというふうに報告書を取りまとめ、日本に提出し たところでございます。  ご承知のとおり、それについて日本側から20項目にわたる質問書を出し、さらには アメリカ側からそれに対する回答が来ているということで、結果的には3月28日、2 9日と日米で対面で協議を行いました。この結果についても後ほど説明をいたしますが、 この時点でそれぞれ宿題を出していたわけなんです。日本側は、1月20日以降アメリ カとのやりとりについて国民の方々に説明を申し上げ、ご意見を伺うというのが1点で、 アメリカ側は、その他の施設について再調査を実施し、問題がないかどうかを確認する というのがそれぞれ宿題でございました。  そういうことで、平成18年4月11日から24日、先ほど、司会からもお話があり ましたけれども、全国10カ所で、もちろん福岡県、ここでもそうですが、意見交換会 を実施いたしました。さらにはアメリカは、4月24日から5月4日までの間に再調査 を実施したわけであります。これらの結果を踏まえて、5月17日から19日の間に、 再度対面で日米協議を行ったということでございます。  この間のやりとりについては右側に書いていますけれども、英文、日本語文、それぞ れ公表させていただいています。 (スライド)  今回の米国産牛肉脊柱混入の事案の概要ということですが、関係する営業者は二つご ざいます。一つは、たしかオハイオ州にあるのだと思いますが、ゴールデン・ヴィール 社(G社)ここは、子牛のと畜施設であります。それからもう一つは、アトランティッ ク・ヴィール・アンド・ラム社(A社)と書いてありますが、ここは枝肉を購入して処 理をする食肉加工施設でございます。G社においては、この左側にございますけれども、 脊柱の混入子牛肉の枝肉を出荷したというのが1点、それから舌、胸腺とありますが、 内臓も実は輸出されていたわけであります。これにつきましては、ここに記載してござ いますとおり、対日輸出プログラムの要件を満たしていない内蔵に対して、輸出プログ ラムに適合しているとの申告書を付して出荷した。具体的にどういうことかと申し上げ ますと、内臓を出荷する場合には、20カ月齢以下であるということがきちっと分別管 理できる手順書の作成が求められています。ここの施設にはその手順書がありませんで したので、内臓の出荷は認められていないはずにもかかわらず、大丈夫だと、適合して いるということで、申告書を付してA社(アトランティック・ヴィール・アンド・ラム 社)に出荷をしたということでございます。それで、A社においてはご承知のとおり脊 柱を除去せず輸出をした。  それからもう一つは、これは内臓の話でありますけれども、対日輸出プログラムを満 たした製品の納入記録には記載されていなかった。したがって、この製品はそもそも対 日輸出プログラムに適合していないにもかかわらず輸出されてしまったということでご ざいます。  あわせて、農務省の食品安全検査局(FSIS)と書いてありますけれども、日本で いうと、食肉衛生検査所の検査員というイメージだと思いますが、そこの検査官が対日 輸出プログラムを十分理解しないまま輸出証明書に署名をした。この輸出証明書がない と輸出できない仕組みになっているわけです。したがってここは大変大きな権限、責任 を持っているところでありますが、理解しないままサインをしてしまったということで、 脊柱混入子牛肉の輸出、さらには内臓の輸出がされてしまったというのが今回の事案の 概要でございます。 (スライド)  3月の専門家会合の概要でございますけれども、以下の点でアメリカと一定の共通認 識を得ることができました。ゴールデン社、アトランティック社の2施設において、今 回の事案が起きた経緯、それからAMSという農務省の農業販売促進局、ここがプログ ラムの認定をするところですが、AMSにより認定された対日輸出のマニュアルに改善 すべき点があったということについて共通の認識を得ることができました。  具体的にはここに記載していますが、今回の事案は直接的には問題の施設が認定され たQSAマニュアルに従わなかったことと、それをFSISの検査官が発見できなかっ た結果発生したものである。これは従来からアメリカが主張しているところでありまし た。  2番目になりますが、問題となった施設の認定について、当時の判断としては手続に 従って認定が行われたということであるけれども、今から振り返れば、このマニュアル がより具体的、現実的なものであったとすれば、今回の事案を防ぐことができた可能性 は高まっていたと考えられる。もうちょっと具体的に申し上げますと、例えば、脊柱を 輸出してはいけないというだけの記載ではなくて、具体的にどういうふうな手順で脊柱 を外すのかというようなことがきちっと書かれていれば、今回の事案を防ぐことができ た可能性は高まっていたと考えられるというのが両国の共通の認識でございました。  それでここに書いていますが、今後の話でございますけれども、今後、これまでの経 緯について日本側は先ほどご説明いたしましたけれども、消費者への説明会を実施し、 ご意見をお伺いする。さらには米国側には、その他は大丈夫なのかということも含めて 再調査を実施するということでございまして、これらの結果、日本側のリスクコミュニ ケーションの結果、さらにはアメリカ側の再調査の結果を踏まえてこれからの対応を検 討しましょうということが3月28日、29日の専門家会合の概要でございます。 (スライド)  消費者等との意見交換会の概要ということで、4月11日沖縄県の那覇を皮切りに4 月24日の香川県まで、全国10カ所で意見交換会を開催させていただきました。都合、 1,200名以上の方々にこの意見交換会に参加をいただきました。 (スライド)  どういう意見が出たのかということでございまして、それをご紹介申し上げますと、 まず調査報告書・米国との協議については、米国は特異的な事例と言うけれども、香港 の例を見ても米国の対応はずさんである。それから、日本側が提示したルールがなぜ守 れなかったのか、しっかりとした原因究明をすべきではないか。それから、国民の生命 を守るという真摯な対応で米国側と協議をしてほしい。6月に開催予定の日米首脳会談 に向けて再開を考えているのかと。さらには、米国からの圧力によって政治的に輸入 再々開をすべきでないというようなご意見をちょうだいいたしました。 (スライド)  それで、今後の対応についてということでありますが、米国側の改善措置の精査が第 一であり、現時点では輸入再開には反対である。それから、すべての対日輸出業者の現 地調査を早急に実施するとともに、輸出プログラム遵守の確認方法の徹底的な検証をし てほしい。さらには、米国に輸入牛肉のBSE検査を求めるべきだ。括弧として、自主 的に全頭BSE検査を実施すると表明している米国の業者から輸入すべきだ。さらには、 米国側に年齢がわかるシステムの構築を要求すべきではないかというご意見をちょうだ いいたしました。 (スライド)  その2でありますが、これは輸入時の話であります。さらには日本での輸入検疫体制 を強化をしてほしい。さらには、輸入再開にはしっかりとした事前の査察が必要である。 また、抜き打ち査察を日本側でできないのかというご意見もちょうだいいたしました。 さらには飼料規制について、米国における飼料規制の実態等をしっかり把握すべきであ ると。それから、輸入停止後、通関できずに保管されている貨物への対応にも留意して ほしいというご意見もいただきました。さらには、米国産牛肉を食べる、食べないとい うのは、個々の消費者の選択にゆだねればいいのではないかというご意見もちょうだい いたしました。 (スライド)  さらには、今回の停止措置は残念だったけれども、これにより、米国の対策が強化さ れるというのはよいことである、早期の再開を期待するというご意見。同じような意見 でありますけれども、一刻も早く輸入を再開していただきたい。国産の牛肉は非常に値 段が高く経営が大変になっているというご意見もいただきました。さらには、意見交換 会や意見募集での意見について、どのように施策に反映されるのか説明してほしい、消 費者の声が反映されているかどうか疑問であると。同じような意見ですけれども、消費 者からの意見についてはきちんと反映してほしいというご意見もちょうだいしたところ でございます。 (スライド)  情報提供・表示ということがありますけれども、リスクコミュニケーションの開催場 所を増やして、多くの国民との意見交換が必要ではないか。また、リスクコミュニケー ションに参加していない方々への情報提供というのも力を入れるべきではないかと。  それから表示の問題ですが、消費者が米国産牛肉かどうかを選択できるよう、加工食 品や外食の原産地表示は法律的な表示義務とすべきではないかというご意見もちょうだ いいたしました。 (スライド)  ちょうどこの時期に、プリオン専門調査会、先ほど10回のご審議をいただいて答申 いただいたという話を申し上げましたが、委員の改選がございまして、これについても ご意見をいただきました。  それでここに書いてあるとおりの内容でございまして、プリオン調査会の委員のうち 慎重派の6人がやめて、今後、公平中立な議論ができるのかと。さらには、食品安全委 員会は再評価を行うべきではないかと。また同じことが起こったら、政府関係者は辞任 すべき。それから、米国産牛肉を輸入するよりは国産牛肉の生産振興を考えるべきでは ないかというようなご意見もちょうだいいたしました。 (スライド)  こういうリスクコミュニケーションの結果でございました。  それで、米国側のレビューの結果ということでご説明を申し上げますと、これにつき ましては、先ほど来ご説明申し上げましたとおり、5月17日、18日、19日に開催 されました専門家会合でアメリカから説明があった内容でございます。 (スライド)  まず、レビュー、再調査の実施期間、実施方法ですが、実施期間はここに記載されて いますとおり、2006年4月24日から年5月4日までの11日間実施されました。 対象の施設は、35であります。調査を実施した者はAMS、米国農務省農業販売促進 局の監査官でございます。  確認の内容ですが、ここに記載されていますとおり、施設の手順書で輸出認定製品を リスト化するといった追加処置を含む輸出プログラムの適合性、さらには、認定された 輸出プログラムに定められた手順の遵守状況や記録の保管ということについて、書面や 現場での施設職員へのインタビューなどで確認をしたということでございます。 (スライド)  レビューの内容は大きく分けて二つございまして、この青印でくくっている部分であ りますが、一つは、追加措置を含めた対日輸出プログラムについてのレビューというの が1点、それからもう1点として、先ほど申し上げましたように、過去12月から1月 20日まで我が国にアメリカ産牛肉が輸出をされているわけでありますけれども、その 過去の対日輸出牛肉に関する調査ということもあわせて実施いたしました。  追加措置を含めた対日輸出プログラムでございますけれども、これにつきましては、 35施設における本年1月20日以降に追加された要件、これが先ほど言いましたよう に、輸出できる製品をリスト化して手順書に書き込むということであります。そういう ものが代表例でありますけれども、そういう追加された要件を含めた対日輸出プログラ ムについての対応状況の調査ということ。  さらには、過去の対日輸出牛肉等に関する調査ということで、昨年12月12日から 本年1月20日までの間に、日本向けに出荷されたすべての製品について追跡調査を実 施をいたしました。対象の施設は、輸入実績のあった25を対象にしているわけであり ます。 (スライド)  米国側による施設のレビュー結果ということで、まず、追加措置を含めた対日輸出プ ログラムについてということで、レビュー35施設の非適合の状況ということでありま す。この非適合というのは、輸出プログラムに適合していないという意味であって、対 日輸出条件、例えばSRMが除去されている、もしくは20カ月齢以下であるという条 件に直接違反しているということではなくて、それを担保するための輸出プログラムに 適合していないということで、全く非適合が確認されていなかった施設は10ございま した。それから、重要度の低い非適合のみが確認された施設というのは19施設、それ から、重要度の高い非適合が確認された施設は6施設ということでございます。  結果ですけれども、確認された非適合は手続や書類上の問題点であり、製品の対日輸 出条件への適合性等について影響を及ぼすといったものではなかったという報告を受け ているところです。なお、この非適合については、早急に改善を予定しているというこ とで、5月末までに農務省に改善の報告をしなければならないということになっている わけでありますが、6月1日に米国側からすべての非適合事例に対応した改善措置が講 じられたという報告を受けているところでございます。 (スライド)  非適合事例の概要でございます。6事例あったというふうに先ほどご説明申し上げま した。順繰りに説明申し上げますと、と畜用に受け入れられた牛のうちの1ロットにつ いて施設の記録中に牛の月齢の証明が残されていなかったと。ここの施設は、20カ月 齢以下の牛を受けるときに、証明書の提出を求めているということで、その記録が残さ れていなかったということであります。「しかしながら」と書いてますけれども、これ もアメリカ側の説明でございまして、これらの牛は認定施設から受け入れられており、 その他の記録から20カ月齢以下だということが確認されたという報告を受けました。  それからもう一つでありますが、4月から輸出プログラム要件として追加されたAM Sによる製品確認書、これは輸出品のリストの話になりますが、それについての手順書 の修正が完全ではなかったという報告を受けております。 (スライド)  それから、内部監査が実施されていなかった。プログラムの中では内部監査を実施す ることになっています。これは外部の監査ではなくて、会社内部で監査組織があってそ の内部による監査が実施されていなかったということでありますけれども、これは農務 省による監査によってシステムが十分機能していることが確認されたという報告があり ました。  それから、不適格品についての分別管理を明記した手順書が保持されていなかったと いう事例もありました。しかしながら、この施設は日本向け製品を生産していなかった ということがわかっております。 (スライド)  重要度の高い事例で、4月から輸出プログラム要件とされた輸出国別製品コードが求 められているわけでありますが、その輸出国別製品コードを使用するかわりに、北米食 肉加工協会の識別番号を使用していたということでありました。  さらには、その下にございますけれども、20カ月齢以下の枝肉由来製品の製品番号 が30カ月齢未満の枝肉由来製品にも使用されていたということでありますけれども、 これは他の管理手法により、適格品の輸出が確認されたという報告を受けました。 (スライド)  重要度の低い事例としては、品質マニュアルがQSAプログラムの要件である記録の 適切な保管に関する規定がなかったという事例、さらには、内部監査は四半期に1回実 施されることが品質マニュアルに規定されていたけれども、1回目の監査の後に監査を 実施していなかったという事例もありました。これについては、農務省による監査によ ってシステムが十分機能していることが確認されたという報告を受けました。 (スライド)  次の重要度の低い事例ということでありますけれども、企業の供給先リストでは、輸 出プログラム用の製品の供給は外部から受けないことになっていたけれども、品質マニ ュアルと輸出手順書にはその変更が反映されていなかったということでありました。た だ、この企業は昨年10月以降、外部からの供給を受けてはいないということでござい ます。  それから、品質マニュアルで定められている書類の改正番号や、日付の明記が一部の 書類についてなされていなかった。また、書類のページ番号が記載されていないページ があったというのも挙げられています。 (スライド)  ということでございまして、さらには過去の対日輸出牛肉等に関する調査の結果でご ざいますけれども、昨年12月12日から本年1月20日までの間に25の施設で処理 され、対日輸出された牛肉等については、保管されていた記録を検証した結果、問題点 は発見されなかったということであります。 (スライド)  具体的なレビューの結果ということで下に書いてありますけれども、入手可能なすべ ての製品・出荷記録をレビューした結果、20カ月齢以下の牛由来またはA40要件を 満たしているということを確認したと。  それから、製品名・製品コードをレビューした結果、輸出された製品には頭部、腸は 含まれず、骨つき肉、骨なし肉、ハラミ、横隔膜、舌のみであることを確認したと。さ らには、出荷記録と製造記録をレビューした結果、頭部、脊髄、回腸遠位部、脊柱は除 去されていたことを確認したという報告を受けました。 (スライド)  こういうことについてアメリカから報告を受け、さらには専門家会合では、我が国の 消費者等との意見交換会について日本側はこうであったということを、アメリカ側に説 明申し上げました。それで今後の対応ということで、輸入手続再開の考え方ということ について活用させていただきます。 (スライド)  対応の基本的な考え方ということで、今までご説明申し上げておりますが、日本側は これまでアメリカ政府に対して、なぜ今回こういう事例が起きたのかという徹底した原 因の究明と、その原因究明結果に基づく十分な再発防止策が必要だということについて、 その報告を要求してまいりました。  それで、こういう日本側の要求を踏まえて、アメリカ側が改善措置、さらには、先ほ どご説明申しましたような、対日輸出認定施設の再調査を実施したところでございます。  その結果は、先ほどご説明いたしましたけれども、手続や書類上の問題はあったけれ ども、製品の対日輸出条件の適応性について影響を及ぼすものではないという結論でご ざいました。また我々もその内容について、特段の不合意なものがあるとか、おかしな ものがあるということは認識しておりません。  そういうことで、日本側としては、今回のような事例が起きることのないように、前 回とそれから今実施しています消費者等との意見交換会の結果を踏まえまして、日本側 による対日輸出認定施設の事前確認調査を実施する等の追加の改善措置について、アメ リカ側と調整をすることにしたい。さらには、今回の意見交換を踏まえたアメリカ側と の調整が終わり次第、日本側による対日輸出施設の調査を行い、対日輸出条件を遵守す る体制が整っているかどうかを検証する段階に来ているのではないかということで考え ているわけでございます。 (スライド)  事案の発生以降、米国側が行った強化対策について概要をご説明申し上げます。 (スライド)  施設における問題点ということで、施設の従業員が対日輸出プログラムを理解してい なかったということがあります。改善措置として、今回行った監査においてAMSが施 設の偉い人だけではなくて、職員にもインタビューをして理解度を確認した。さらには、 施設の手順書で輸出認定製品をリスト化すること。さらには、抜き打ち監査も実施する ことになったというのが改善措置でございます。 (スライド)  検査における問題点ということで、検査官が対日輸出プログラムを理解していなかっ たということでございます。改善措置としては、@に、検査官への輸出プログラム研修 の受講と終了試験の義務づけということで、研修、テストを実施する。そしてテストの 結果がよくないと業務をさせないというのが@。さらには、施設を担当する検査官の検 査終了までは施設の認定を与えない。さらには、先ほどと同じですけれども、抜き打ち 監査を実施するというのが改善措置でございます。 (スライド)  農務省における問題点ということで、プログラムを認定するところと、それから現場 にいて検査をするFSISの担当官との連携の不足ということが問題点として非常に大 きいということでございます。改善措置としては、@に書いていますけれども、AMS が管理する輸出認定製品のリストをFSIS検査官へ随時提供するというのが1点目。 それから、2点目になりますけれども、AMSが輸出適格品であることを証明する文書 を発行する。従来は、FSISの検査官が輸出証明を書いていたわけでありますけれど も、今度はその輸出証明を出す前に、AMSがそういう文書を発行すると。その文書が ないとFSISの検査官は輸出証明を出さないというような仕組みも導入したわけであ ります。 (スライド)  今回新たに要請をした追加措置ということで、今回の専門家会合で新たに要請をし、 米国側と意見交換を行った追加措置の内容でございます。 (スライド)  4月に実施をいたしました消費者等との意見交換会で出された意見等を踏まえ、今回 の日米専門家会合で、以下の3点について米国側に要請をいたしました。  1点目は、輸入再開前にすべての対日輸出認定施設における日本側の事前調査を実施 し、問題のないと判断された施設のみを輸入手続再開の対象にする。  それから2番目のポツですけれども、対日輸出認定施設ごとに日本向け輸出認定製品 リストの提供を受けると。これはどういうことかといいますと、先ほど申し上げました とおり、前回1月20日の事例が発生したときには、証明書はちゃんとついてきている わけです。その中には内臓も入っていたと。実際上はその内臓というのは輸出できない 製品であったということでありました。それについて今後輸入再開に当たっては、日本 側でも輸入時に、当該製品がほんとうに輸出できるものかどうかということを確認する 必要がある。そのためには、アメリカの対日輸出認定施設ごとに何が日本向けに輸出で きるのかというリストを我が方に提供してもらいたいということでございます。  さらには、下の一番最後に書いてありますけれども、米側が実施する対日輸出認定施 設の抜き打ち監査、先ほど出てまいりましたけれども、それに日本側が同行させてほし い、こういうことについてアメリカ側と意見交換をさせていただきました。 (スライド)  日本側の事前確認調査ということでありますが、ここに書いているとおりでございま して、これについては、下の枠に書いてありますけれども、4月の消費者との意見交換 会での意見で、先ほどご紹介をいたしましたけれども、輸入再開に当たってはしっかり とした事前の査察が必要である。それから米国の日本向け輸出認定施設は、すべて事前 に日本として査察すべきだというご意見もちょうだいをしたわけなんです。  こういうご意見を踏まえまして、要請している措置の概要ということで、米国側の施 設レビューのフォローアップ、米国側の強化対策の履行状況を確認し、輸出プログラム が遵守されているかどうかを確認するため、すべての対日輸出認定施設について、実際 の輸入再開前に日本側が調査を実施するというのが要請している措置の概要のその1で ございます。 (スライド)  日本向け輸出認定製品リストの提供ということでありますが、これも下をごらんいた だくとわかりますが、4月での意見交換会では、脊柱つきの牛肉が見つかったのは偶然 であると。日本での輸入検疫体制を強化すべきであるというご意見もちょうだいし、そ ういうことも踏まえまして、水際検査の段階で、当該施設から日本への輸出をすること が認められた製品かどうかのチェックを、米国の証明書に頼るのみでなくて日本側でも 行うため、すべての対日輸出認定施設ごとの輸出認定製品のリストというものを日本側 に提供してほしいということであります。 (スライド)  それから、米国側の実施する抜き打ち監査への同行ということについても、先ほどご 紹介を申し上げましたけれども、意見交換会では米国の施設に対して抜き打ちで検査す ることを求められないのか、抜き打ち査察を日本側でできないのかと。さらには、輸出 プログラム等を遵守するなら安全だというが、どのように遵守を担保するのか、米国任 せにするのではなくて、日本政府が確認をしてほしいというご意見をいただいておりま す。  こういうことを踏まえまして、対日輸出プログラムがしっかりと遵守されていること を日本として現地で確認するために、米国側による強化対策としての施設への抜き打ち 監査について日本側が同行をし、きちっとやられているかどうか検証するということも 要請をしているわけであります。 (スライド)  日本国内において新たに講じようとする措置についてご紹介申し上げます。先ほども ご意見がありましたけれども、日本で水際での検査の強化ということについても、強化 する方向で考えているわけでありますし、それから輸入業者等に対する輸出プログラム の再度の周知徹底ということについても行う必要があると。安全な食品を輸入する一義 的な責務というのは営業者にあるわけで、これについても再度の周知徹底を図っていき たいということであります。 (スライド)  日本国内において新たに講じようとする措置ということでございますが、日本の水際 での検査の強化ということで、平成17年12月から平成18年1月20日までの間に、 適応していた検査というのは、全ロット検査、厚生労働省でいきますと、輸入届け出ご とに必ずチェックをする。  それで、そのチェックの内容というのは、開梱数で申し上げますと、輸入される箱の 数に応じて箱をあける数を決めている。例えば、50箱以下の輸入ロットであれば、1 2箱、52箱から110箱であれば20箱というふうに、開梱数を決めて輸入時検査を 強化しております。農林水産省についてもこのように強化しておりました。  これについては、今後、米国産牛肉に適用予定の強化検査ということで、全ロット検 査はもちろんやるわけでありますが、開梱数のさらなる強化というのも検討する必要が あるというふうに考えています。  それからその他の追加措置ということで、従前はありませんでしたけれども、先ほど ご説明申し上げたとおり、施設ごとの日本向け輸出製品認定リストを用いて、輸入の書 類審査時に証明書の記載品との突合を実施するということで、間違いなく日本に輸出で きるものかどうかということをこれで確認したいというのが、日本の水際での検査の強 化ということでございます。 (スライド)  輸入業者等に対する輸出プログラムの周知徹底ということでございますけれども、昨 年12月には輸入業者を中心とした説明会とか、さらには文書の配布ということにより まして、水際での検疫強化措置、さらには輸出プログラムに基づく輸出認定施設の情報 等を提供したところであります。  今後、米国産牛肉の輸入手続の再開に当たっても、こういう輸入業者に加えて、もう ちょっと対象の範囲を拡大して、例えば流通業者の方、販売業者の方も含めて、広くそ ういう方々を対象とした説明会の開催など周知徹底を図っていきたいというふうに考え ているところでございます。 (スライド)  輸入手続停止中の貨物への対応ということで、今現在港に滞っている貨物というのは、 正確な統計ではありませんけれども、1,000トンぐらいあるのではないかというふ うに判断をしています。これについてでございますけれども、米国のレビューの結果は 最初の青に書いてございますが、昨年12月から本年1月20日までの間に、25施設 で処理され対日輸出された牛肉等については、保管されていた記録を検証した結果、問 題点は発見されなかったということでございました。  今度は、日本側による事前確認調査実施後、これはちょっと順番が違いますけれども、 その結果問題がなければ輸入手続の停止を解除すると。そうしないと、届け出が始まり ませんので。そうなった段階で当該貨物について、SRMが入ってないかどうかも含め て全箱の確認を行うということを考えているわけであります。 (スライド)  最後になりましたけれども、香港それから台湾における骨片混入事例の概要でござい ます。これにつきましては、後ほど表が出てまいりますけれども、本年の3月から5月 にかけて香港では3事例、それから台湾では1事例ですけれども、米国産牛肉から骨片 の混入が確認されたということがあります。先ほど申し上げましたように台湾、香港と もアメリカと結んでいる合意事項というのは30カ月齢以下で骨なしというのが条件だ と。日本とは違っています。日本はそういうことではなくて、20カ月齢以下でなおか つ全月齢からSRMを除去するというのが日本とアメリカで決められた合意事項であり ますけれども、それとは違う合意事項で米国・香港、米国・台湾は運用しているわけで あります。  それで骨片が混入したということでありますが、輸入国政府は輸入条件違反であると。 なぜかというと、boneless、骨なしが条件であるということで、輸入条件違反である として、当該施設からの輸入は停止するということですが、当該骨片というのは特定危 険部位ではないということで食品の安全性の問題ではないという立場です。ただ決めら れたルールを守っていないから輸出された施設については停止をするという対応をとっ ているわけです。  それで、「米国側の考えとしては」と書いてますが、実はNAFTAという北米の経 済圏の中ではこういう場合にこれぐらいは許されるという許容の範囲を決めているとい うことでありますけれども、香港、台湾については、許容の範囲ということについて議 論なくboneless、30カ月齢以下というふうに決めているということであります。し たがって、アメリカ側は骨片が混入した製品のみを不良品扱いとすることということに ついて輸入国側に要請をしているわけですが、なかなか協議が進まないということでご ざいました。それで、アメリカ側は現実的な対応を図っているということで、一つは、 アメリカ政府が調査報告書を出すと言っておりますし、さらには、業界みずからが自主 的に骨片の混入防止対策を推進しているということで、現実的に問題を解決したいとい うのがアメリカ側の考え方ということでございます。 (スライド)  香港、台湾における骨片混入事例の概要ということで、ちょっとここに書いてござい ます。香港が3、台湾が1、それぞれ公表した日にちは3月、4月、5月、4月という ことでございます。施設名もここに書いてございます。それで、混入した骨は、香港の 1事例は腰椎の横突起に由来すると思われる骨片が二つ、それから香港2、それから香 港3、台湾については骨片である。ただ、特定危険部位ではないというふうに報告を受 けています。  それで、輸入国による対応ということで、当該施設からの輸入をとめているというこ とでございます。  これが香港、台湾における骨片混入事例の概要でございます。 (スライド)  ちょっとポンチ絵に書いていますが、先ほど横突起という非常に専門的な言葉が出て まいりましたので、ここにポンチ絵を示しておりますので、ごらんいただくとおわかり になると思います。 (スライド)  このような意見交換会を開催させていただいて、ご意見をちょうだいしているわけで ありますけれども、ここに書いてございますとおり、米国産牛肉等への対応に関する情 報というのは、厚生労働省や農林水産省のホームページにも詳しく掲載してございます し、何かご意見があれば、ご意見も受け付けております。ぜひこういうようなツールも 使いながら、ご意見をいただければ幸いでございます。  その他資料は、後ろのほうにもうちょっと細かな参考資料を載せてございます。説明 の時間がありまして省きますが、ぜひごらんいただくようにお願い申し上げたいと思い ます。  以上で、とりあえず私の説明をこれで終了いたします。  よろしくお願いいたします。 【司会】  ご清聴ありがとうございました。  それではここで、短くて恐縮ですけれども、10分間の休憩といたします。 ( 休  憩 ) 【司会】  それでは、お時間が参りましたので意見交換を始めます。  本日の出席者を紹介いたします。  皆様からごらんになって右から、内閣府食品安全委員会事務局、西郷リスクコミュニ ケーション官です。  農林水産省消費・安全局動物衛生課、釘田課長です。  先ほど説明申し上げました厚生労働省食品安全部監視安全課、桑崎課長です。  最後に、厚生労働省大臣官房、藤井参事官です。  意見交換の議事進行及び閉会までの以降の司会につきましては、藤井参事官にお願い いたします。 【藤井厚生労働省大臣官房参事官】  それでは後半の部分として皆さん方と意見交換 を始めたいと思います。  先ほど前半部分の説明でもありましたように、今米国産牛肉につきましては、日本と アメリカでどういう状況にあるかということについて、再度確認をさせていただきたい と思います。  1月20日に輸入手続の停止をしました。その後、説明がありましたように日米間で いろいろなやりとりというものがありました。そして、2回目の専門家会合を終えて、 日本側としてはそれまでの経緯を全国10カ所で意見交換会を開催して、そこで今後の 米国産牛肉の輸入手続の再開の考え方についてご説明をする、となりました。そして、 皆さん方からの意見も参考にしながら、今後どうしていくかというのを具体的に米国側 と交渉するという段階でございます。  したがいまして今回の意見交換会というのは、先ほどご説明をしましたように、米国 産牛肉の輸入手続の再開についての現時点での考え方について特に皆さん方から率直な ご意見を伺いたいということでございます。  何度も意見交換会を福岡でもやっておりますので、既にご出席をいただいた方には2 度、3度目になるかもわかりませんけれども、進め方についての約束事を最初にご説明 させていただきたいと思います。  まず、ご意見等のある方につきましては挙手をお願いしまして、ご発言をいただく方 は恐縮ですが私の方でご指名をさせていただきたいと思います。係の者がマイクをお持 ちしますので、ご発言に先立ちましてお名前と、差し支えがなければ所属をお願いいた します。  できるだけ多くの方にご発言をいただきたいと思いますので、1回のご発言は2分以 内にお願いしたいと思います。1分30秒が経過しましたら、事務局で1回ベルを鳴ら します。そうしましたら、取りまとめに入っていただきたいと思います。2分たちまし たら2回ベルを鳴らします。そうしましたら他の方にお譲りをいただきたいと思います。  行政側からいろいろと発言をさせていただく場合には、誤解があってはいけませんの で2分間という時間を区切りませんが、できるだけ簡潔にお願いしたいと思います。ま ず最初に、休憩前に行政側から説明をいたしました説明内容そのものについてご質問を 受け、それが終わりましてから輸入手続再開についての考え方についてご意見等をいた だければと思っております。会場の都合で、午後4時半には終了したいと思いますので、 皆様方のご理解とご協力をお願いしたいと思います。  それでは意見交換を開始したいと思いますが、先ほど申し上げましたように、まず最 初は、先ほどの説明内容そのものについてご質問がある方にご発言をいただきたいと思 います。挙手をお願いしたいと思います。  それでは今はお一人しか挙がっていませんので、一番右の前から2列目の男性の方に ご発言をお願いいたします。 【参加者1】  こういう場を設定していただきましてありがとうございます。福岡県 生活協同組合連合会の土井です。よろしくお願いいたします。  まず最初に、質問ということで簡潔に述べたいと思います。  この間、アメリカによる施設の検査等々行われたということと、非適合事例の概要と いう説明をされたわけですが、基本的には問題は特別発生しなかったのではなかろうか という報告ではなかったかと思うんですが、この検査もしくは非適合事例の概要を検討 されるときに、日本側として施設検査に同行した事例があるのか、35施設もしくは2 5施設の中で同行した事実があるのかということと、非適合事例を検討されるときに、 これも日本側のほうからその検討の中に一緒に入られた事例があるのかと。  要は、報告のみなのか、一緒に立ち会ったり検討するということがあったのかという ことをお聞きしたいと思います。  以上です。 【藤井参事官】  もう一度確認をさせていただきますと、35施設については再度米 国側が点検をする。25施設、これは既に日本に牛肉を輸入したことがある施設であり ますが、その輸入した牛肉について、それがきちんと条件に合っていたかどうかという のを再度点検するということを前回アメリカに求めて、今回アメリカが調査してそのレ ポートを出してきたわけなんですが、その35施設の検証、25施設の確認、それぞれ について日本側が現地へ行って調査を一緒にやったかどうかというのがご質問の趣旨で すか。 【参加者1】  そうです。 【藤井参事官】  はい、わかりました。 【参加者1】 やらなければ、やらなかった、やったらならやっとということをお答え いただければ。  最後のほうの新しい提案も同じようなやりとりがあったのかどうか、その辺です。 【藤井参事官】  わかりました。それでは桑崎さん、ご説明願います。 【桑崎課長】  先ほどご説明をしたかもしれませんが、今回の再調査というのは、日 本側がアメリカ側にその他の施設はほんとうに問題がなかったかどうか、まずアメリカ 側が点検をしてほしいということで始まったものです。それで、4月24日から5月4 日までアメリカ側のAMS担当官が施設に入って調査をして、その結果をご報告いただ いたということでございます。4月24日から5月4日までやっておりますが、日本側 が同行したということではなくて、まずアメリカ側の責任でアメリカ側がきちっとレビ ューをしてほしいと、それを報告してほしいという要請をして、その結果について今ご 報告を申し上げたということでございます。 【藤井参事官】  ご質問された方、とりあえず今の時点ではよろしいでしょうか。 【参加者1】 はい。そういうことを明確に言っていただければそれで構いません。今 後の話は今後の話でまた。 【藤井参事官】  それではまず、説明内容そのものについて、中身についてご質問が ある方。  今そちらに。あっ、それではお二人手が挙がりましたから、最初に右側の一番の4列 目の男性の方、そして3列目の一番左端の女性の方、続けてご発言をお願いします。 【参加者2】  福岡市の高橋です。無職です。  説明のアポイントの11番の上から3番目の、米国に輸入牛肉のBSE検査を求める べきであるという前回の消費者の意見がありますけれども、交渉時にこれはそういう発 言をされたんですか。それで米国のほうはどういう回答をされたんですか。  その点をお伺いしたいです。 【藤井参事官】  それでは恐縮ですが、前の列の方もご発言を続けてよろしいでしょ うか。 【参加者3】  福岡市の今村と申します。  私のほうは、日本側の検査体制の強化、これの中身です。人員体制のところで、それ が可能かどうかということと、それからもう一つ、輸入手続停止中の貨物への対応のと ころなんですが、先ほどこれの説明書と違うことをおっしゃったように思いましたけれ ども。たしか、全箱検査は前後にするようなことをおっしゃっていましたけれども、こ このところをもう一度ご説明いただきたいと思います。  それから、これらの日本側の要請を3点に絞って今要請されているということですが、 これはアメリカ側がこれについて合意されたのかどうか、現時点でははっきりわかりま せので、その可能性についてお願いします。 【藤井参事官】  一番最初におっしゃった検査体制の人員的な話とおっしゃったんで すが、それは水際での検査のことですか、それとも説明をしました現地へ行って検査を するというどちらのことを……。 【参加者3】  日本国内の水際検査です。 【藤井参事官】  わかりました。  それでは全頭検査の話、水際検査、そして既に輸入された貨物の話、新たに要請をし た点についての米国の対応、その辺についてお願いします。 【桑崎課長】  まず最初の方が全頭検査を求めたのかと。 【参加者2】  ここに書いてあるBSE検査をするためにアメリカに行ったかどうか ということです。      【桑崎課長】  それは要するに消費者の意見の中で、米国に輸入牛肉のBSE検査を 求めるべきと、自主的に全頭BSE検査を実施すると表明している米国の業者から輸入 すべきということについてどうしたかと。 【参加者2】  いいえ、それを交渉時に発言したのかどうか。交渉された方は出席さ れてるんでしょ。 【桑崎課長】  はい。結論から申し上げると、この話はしておりません。 【参加者2】  何でしてないんですか。 【桑崎課長】  もちろんリスクコミュニケーションの結果については、こういう意見 がございましたということについては当然紹介をしております。ただ、これは前から議 論になっていますけれども、我々の食品安全行政、農林水産省もそうですけれども、科 学的知見に基づいて行政を行うというのをベースにしているわけでございます。  何回も申し上げていますけれども、今回の輸入再開に当たっては、食品安全委員会に おける科学的な議論を十分踏まえて、さらには、国民の意見も聴取した上で取りまとめ られたものでございまして、もう一度説明いたしますと、答申において米国における輸 出プログラムが遵守されたと仮定した場合、米国産牛肉等と国内産牛肉等とのリスクの 差は非常に小さいという科学的な結論が得られているものですから、もちろんリスクコ ミュニケーションの結果についてこういう意見があったということについては紹介いた しましたけれども、この点についてはアメリカ側に交渉の中で全頭検査しろということ は求めていません。  それから日本……。 【参加者2】  それについて、なぜ一言でも交渉の席でね、言わないという……。交 渉というのはね、何回も同じことを言うことによって、相手に認識させるわけですから。 やはり、日本としてはBSE検査というのを国内でも全部やっているわけでしょう。そ れを同じ条件に持っていかすように交渉するのがそちらさんの役目じゃないんですか。  それで、20カ月齢以下というのは『文藝春秋』の6月号に山内先生の、これは結論 が出てないうちに事務局のほうで20カ月齢以下に決められちゃったというようなこと が『文藝春秋』には載っていますよね。だからそこらがあいまいで、幾ら山内先生がそ こらで質問して、なぜ20カ月齢以下というような文書が入れられたのかどうかという ことについて質問しても、的確な回答がないというようなことが『文藝春秋』には載っ てるじゃないですか。  だからそこらを踏まえて、アメリカに対してもきちっと説明していただかないと、日 本としてはアメリカのもの、個人としては食べなければそれでいいんですけれども、加 工肉の場合には、これはアメリカ産であるかどうかというのは表示されていないですか ら、自然に口の中に入っちゃうわけですから。そこらはひとつ厚生労働省として十分に 対応していただかないと、いつも厚生労働省は後手、後手になっているんですよね、い ろいろな問題に。 【藤井参事官】  わかりました、はい。それでは今の点を整理させていただくために、 まず、国内で20カ月齢以下の検査というものが、どういう扱いになっているのかとい うそのあたりから、行政側の発言をさせていただきたいと思います。  まずそれでは、食品安全委員会の評価を踏まえて厚生労働省のほうで月齢というもの を決めておりますので、食品安全委員会の評価のことについて西郷さんのほうから説明 をしてください。 【西郷内閣府食品安全委員会事務局リスクコミュニケーション官】  かしこまりまし た。食品安全委員会でございます。  食品安全委員会は、平成15年7月にできました。食品安全委員会ができたきっかけ の大きな一つには、もちろんBSEのことがあったものでございますから、プリオンの 専門調査会というのは、8月にはいろいろ活動を始めております。それでそのときに、 いろいろ国内でどうなっているんだといったことを、ずっと自分たちで議論をしていっ たわけでございます。  その結果いろいろ考えてまいりますと、平成16年のたしか9月に、いわゆる中間取 りまとめ――今の『文藝春秋』の記事の話もそのときのことだと思いますけれども―― に検査のことだけ申しますと、今の検査技術と検査のやり方、それから日本でBSEが 起きてからいろいろな規制がされました。飼料の規制とか、そういったことがされて蔓 延度がずっと下がってきているんではないかといったようなことから勘案すると、もう 一つは日本で全頭検査等していたわけでございますけれども、21カ月齢、23カ月齢、 いわゆる若齢牛というんですが、ごく少量のBSEプリオンが見つかったといったとこ ろで、どうもそのあたりに今の検査技術と、日本のBSEの汚染度、浸潤状況と申しま すか、それからすると、大体その辺が検出の限界に近いところがあるのではないかとい うふうな議論になったわけでございます。  それで今『文藝春秋』の話が出ましたので、山内先生だとかいろいろおっしゃってい るかもしれませんけれども、基本的には中間取りまとめにつきましては、委員会として は座長一任になった後につきまして、専門委員のコンセンサスがとれているということ で進めているところでございます。その後、そのような評価が出た後に、厚生労働省、 農林水産省から、いわゆる検査の月齢ですね、その他にも質問がございましたけれども、 21カ月齢以上とした場合についてどうなるかという諮問をいただいたわけでございま す。  それでまたかんかんがくがくの議論をしたわけでございますけれども、もちろん検査 の月齢だけの議論をしたわけではございませんが、結果としては今の状況では20カ月 齢以下について検査をしなくなっても、いわゆる変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病 に国内の牛肉を食べてなるというリスクは高まらないという結論に至ったわけでござい まして、その旨を答申したという経緯でございます。  その後どうなったかは監視安全課長にご説明いただけると思うんですけれども、要は 20カ月でばちっと線を引いて、20カ月齢以下は安全、そうじゃないのは危険だとい うことでなくて、そのあたりに今の検査では限界があるだろうということをお示しした ということでございます。 【藤井参事官】  それでは、食品安全委員会の評価を受けて、厚生労働省のほうでど ういう対応、考え方をとっているかというのをご説明します。 【桑崎課長】  今、安全委員会の説明がありましたけれども、そういう食品安全委員 会からの答申を踏まえて、昨年8月に検査対象月齢を21カ月以上に見直したというこ とでございます。ただ、このときにリスクコミュニケーションも開催いたしましたけれ ども、大変消費者の方々が急に変えるということに対する不安がある、さらには現場で も大抵混乱をするだろうということがあって、今どういうふうにやっているかというと、 自治体が行うスクリーニング検査については、国が全額補助金を出して検査をしていた だいています。  そういうことなものですから、法令上は21カ月以上が検査対象月齢でありますけれ ども、当時の言い方としては最長3年間という言い方をしていますが、3年間は自治体 に対して要請があれば国庫補助をしますということで、現在実質的には、全都道府県で 20カ月齢以下についても検査を実施しているという状況でございます。  ただ、科学的な知見を踏まえた法令上の見地からは、21カ月齢以上が検査対象月齢 であるということは変わりません。 【藤井参事官】  先ほど別の方のご質問で、水際の検査体制の話等々がありましたけ れども、それについてまだ……。 【桑崎課長】  具体的に水際の検査をどう強化するんだということですよね。 【参加者3】  はい、そうです。 【桑崎課長】  ここのところは、ぜひ会場からご意見をちょうだいしたいという部分 なんですね。我々は検査を強化する方向でもちろん考えているわけですが、何か具体的 にこうすべきだ、ああすべきだというご意見が出れば、我々はそれを検討させていただ きたいなということで、何かご意見があればぜひちょうだいしたいと思います。何かご 意見があればお願い申し上げます。  それから、全箱検査のところでちょっと説明が内容と違っているわけです。この原文 は……。 【藤井参事官】  スライドの44番です。 【桑崎課長】  44番目です。原文は、日本側による事前確認調査実施後、当該貨物 について全箱検査を行い、その結果問題がなければ輸入手続の停止解除なんですけれど も、手続上は、まず日本側が事前確認調査を行って、問題がなければ輸入手続をその時 点で停止を解除すると。そうすると検疫所に届け出がなされる。したがって検疫所は届 け出がなされた時点で全箱確認というのを行うという流れになるものですから、少し説 明の順番をかえさせていただいたということです。  それで、なおかつ全箱確認の結果問題がなければ入れたらどうかというのが我々の提 案でございます。  3点についてアメリカ側の反応はどうであったのかということですよね。事前調査は どうであったか、それからリストの提供はどうであったか、それから抜き打ち査察での 動向はどうであったかと。  結論は出ていませんけれども、私の感触ではアメリカは前向きにとらえていたという のが私の感想です。 【藤井参事官】  それでは、もう説明内容そのものについてのご質問には限りません ので、広くご質問も含めてその他ご意見等がありましたら、ご発言をお願いしたいと思 います。  それでは今お二人の方の手が挙がっていますので、真ん中の列の後ろのほうの男性の 方ですか、そして一番左側の列の黒のジャケットを着た女性の方に、続けてご発言をお 願いします。 【参加者4】  大分市から来ました清田と申します。  質問が2点ほどありまして、36ページの追加措置のところで、すべての対日輸出認 定施設について、実際の輸入再開前に日本側が調査を実施すると書かれているんですが、 具体的にこれはいつからされるんですか。それから施設としては35施設ということで 限定されるのかということの質問と、二つ目が、日本国内において新たに講じようとす るということで、もし不幸にも今回と同じような問題が起こった場合、どのような対処 を取られる予定なのかと。  私どもは実際食肉の業者なんですけれども、今回とまったことでものすごく被害をこ うむっているということもありまして、例えばどこかの会社で同じようなトラブルが起 こった場合、全面的に禁止になるのか、その施設だけがストップになるのか、これによ って輸入したくてもできないというような実情も出てこようかと思いますので、その2 点についてご質問させてください。 【藤井参事官】  はい、ありがとうございました。  それでは続いて女性の方にご発言をお願いします。 【参加者5】  質問ではない、意見です。 コープかごしまの平松と申します。  説明を伺ったんですけれども、今年に入って骨つき牛が発見されたということ、輸入 に脊椎が入っていたというふうなすごくショックなニュースがありました。それで、そ の原因が何なのかということでここに書かれていますけれども、マニュアルに従わなか ったということと、検査官が知らなかったという2点だと。私たちとしては、すごくび っくりするんです。どういうことなんだろうと思いました。私はたまたまこれが発覚す る前、輸入が再開される前の輸出プログラムの意見交換会があったときに参加しまして、 これがこのままほんとうにいけば、この基準がいいかどうかは別として、20カ月齢以 下であって危険部位が除去されているというのは、これがうまくいけばそのとおりにな るだろうと思いましたけれども、そもそもそのことを知らないだとか、マニュアルはこ うだという立派なマニュアルがあるけれども、それが運用されていないという、仕組み はできているけれども、その運用の実態というのはすごくずさんなんだなというのはび っくりしました。  それで、今回アメリカから再度説明を受けたということで、説明された方は特段問題 はないだろうとおっしゃいましたけれども、私はすごく不審です。ほんとうにそうなの かなというふうに、この裏側にある実態はどうなっているんだろうというのがすごく不 審で、これを聞いたから、ああそうですか、じゃ再開したらいいんじゃないですかとは、 とても消費者の一人としても思えないし、そのことを帰ってうちの組合員さんにも説明 できないなと思います。すごく不審と不安が高まっています。  それで、ぜひそういう気持ちを消費者の感覚というか、不安な気持ちというのを酌み 取っていただきたいのと、先ほどBSE検査のことがありましたけれども、そもそもB SEというのはわからないことが多くて、今感染している人がいるかもしれなくて、そ れが数十年後に発症するかもしれない、わからないことがすごく多いわけです。このこ とにもっと力を入れて、輸入という前にこのことを一緒にアメリカとも知恵を出して、 うちの科学者の力もこちらに注いでいくべきじゃないかということを申し上げたいと思 います。 【藤井参事官】  ありがとうございました。  それでは、36のスライドにあった事前確認調査の件、そしてもし再度輸入再々開を したときに、今回のような問題事例が起こった場合への対応。そしてお二人目の方は、 主に不安、不信というものが払拭できないということであるとか、BSEそのものにつ いて原因等になるんでしょうか、研究を進めたほうがいいんではないかというご発言が ありました。  それでは。 【桑崎課長】  もう一度、今後の段取りなんですけれども、私どもが説明した内容と いうのは、今回説明をしている全国10カ所での意見交換の結果を踏まえて、アメリカ 側と調整をするというのが次のステップだと理解しています。  それについて、合意ができた段階で調査に行くというふうに先ほど説明を申し上げま したが、具体的にいつからどの施設に行くということについては、現時点で決まってい ないという状況でございます。  それから、何か問題が起きた場合のルール化について、これも各会場でご意見をちょ うだいしていると思います。結論から申し上げますと、ルール化をするには我々は少し まだ知見が足りないかなと思っています。これからご了解をいただければ、事前調査も 入るわけですし、その後場合によっては定期的な査察も入るということでございまして、 そういう状況も整理しながらルール化については考えていく必要があるんでないかとい うのが今の現状でございます。 【西郷リスクコミュニケーション官】  BSEについてはわかっていないことが多い ので、科学者は全力を注いで頑張るべきだという指摘がございました。確かにおっしゃ るとおり、リスクは低いかもしれないけれども、かかってしまったら治る見込みがない ということですし、それから症状が非常に悲惨な経過をたどるということが言われてお ります。そういった点で非常に厄介な病気なわけです。そういった点では、食品安全委 員会も研究費を計上して取り組んでおりますし、関係省庁が協力した研究ももちろん進 んでおりますし、今後とも、それから諸外国の情報収集も含めて努めてまいりたいと思 います。  ただ、諸外国の状況もいろいろ見てまいりますと、欧米ではBSE、あるいはバリア ントのクロイツフェルト・ヤコブ病の場合、人から人へ輸血での感染につきましては非 常に英国でものすごく今問題というか、どうしようかということになっているようでご ざいますけれども、牛から人のほうにつきましては、例えばいろいろな飼料規制だとか、 SRMの除去だとか、そういった今までの対策でかなりコントロールできるというふう なことが科学者の考え方としては主流になってきているようではございます。  そうではございますけれども、だからといってそれでいいということではございませ んので、私ども基本的にはプリオンの専門調査会が中心になりますけれども、情報の収 集といろんな施策を見ながら、国民の健康といったことについて、特に食べ物から病気 になっては困るわけでございますので、その辺については重々注意をしてまいりたいと 考えているところでございます。 【桑崎課長】  不信と不安というご意見もちょうだいをしたわけです。それで、いろ いろな方とお話をすると、結果的には先ほど出ましたけれども、前回のリスクコミュニ ケーションでもなかなかアメリカ側の対応が信用できないと、だから日本側がみずから アメリカに出向いて、その目で確認をすべきではないのかというのが、前回たくさんご 意見をいただいた中の一つでございます。  そういう意味で、今回ご提案を申し上げているのは、アメリカ側はアメリカ側として こういうことだと、今度は我々がそれを検証する番で、きちっとほんとうにアメリカの 報告どおりやられているかどうかも含めて、我々が現地に赴いて、実際に施設に入って 調査をする。その結果どうすべきかということだろうと今のところ考えております。 【藤井参事官】  それでは、関連があることでも結構ですし、別のことでも結構です から、ご発言ある方は挙手をお願いしたいと思います。  それでは、今4名の方が手を挙げられています。一番右の列でお二人、真ん中で一人、 そして一番左でお一人と。右の列の方から順次4名続けてご発言をお願いしたいと思い ます。 【参加者6】  北九州の小倉から来ました、主婦の江藤といいます。  単純な質問から。米国側による施設の再検査ということで、10日間で35施設とな っています。そうすると、1日に三、四カ所しないといけない計算になります。何人の 人がこの大変な調査にかかわられたのかお聞きしたいと思います。  それから日本国内において新たに講じようとする措置で、水際作戦で具体的な意見が 欲しいと言われましたが、そういうことではほんとうに困ります。ここに書かれてある 数、50箱以上だったら12箱、6分の1です。3,200箱以上だと80箱というこ とは、40分の1ですね。ということは、一箱抜いて39が安全だということはなかな か信じられません。というのが、ほんとうにアメリカの人たちは、このBSEの、プリ オンの病気にかかった怖さを皆さんが知っているかどうかという部分が、とても私たち のところに伝わってこないわけです。というのが、この前、アスベストに関してアスベ ストを砕石している現場のニュースがありましたが、そこの人たちはだれもアスベスト の怖さを知っていません。そういうふうなことを、アメリカ政府がそういう怖さを一般 の国民に対して知らせていかないと、幾ら文書でやってもどういうふうなことをしても 現場の人たちが怖さを認知しないでしょう。さっき、食べて国内産とアメリカの分でリ スクは変わらないと言いましたが、食べ物ですから一人出ても困ります。やはり国民の 食べ物というのは国が責任を持ってすべきです。国が牛肉の輸入再開を、私たちの意見 を聞いて、何かもう再開が前提のようですが、再開の前提のときにはきちんとした安全 性を守っていただきたいと思います。 【藤井参事官】  ありがとうございました。  それでは続いて後ろの男性の方お願いします。 【参加者7】  永原と申します。福岡市で食肉衛生検査をしております。  私は食品安全委員会の影響評価の結果の通知の中の最後の、結論の附帯事項の中の3 番に、アメリカでのBSEの拡大をとめるためには、特定部位の利用の禁止が必須であ るという附帯事項がつけられております。この禁止が必須であると、このことについて どのような交渉をされているのか、あるいは時間を区切って何か交渉されておられるの か、そういうところをお聞きしたいと思います。 【藤井参事官】  ありがとうございました。  それでは続いて、真ん中の列で手を挙げられた……。 【参加者8】  コープさがから来ました岡本と申します。  前回のときに出席いたしまして、主な意見の概要を拝見いたしました。これを遵守さ れればいいなと思いまして。それと、その後に米国側に要請した事項というのがありま して、要請というのはありましたけれども、米国からきちんとしたお返事、要請してき ちんとしますというお返事が来たのかどうか、それを確認されるのかどうか。それから、 されたという結果報告を私たちにまたされるのかどうか。  それと、この添付した資料の中に、「米国・カナダ産牛肉・内臓に係る食品健康影響 評価」の中の、4ページのところの右のほうの、日本向け輸出プログラムによる「屠畜 処理」状況等の国産牛との比較の中の高リスク牛の排除の中で、日本は獣医師による検 査が1頭につき約80秒、米国・カナダは食肉検査員による検査で、1頭につき約12 秒と書いてあります。だからそれをどういうふうにされているのかという中身がよくわ からないし、その秒でどのくらいのことができるのかというふうなことがちょっと不安 に感じます。まして、日本が80秒というのにアメリカは12秒でどういうふうなこと ができるのかということと、その下の脊髄除去・枝肉洗浄後の確認ということの中に、 その下の部分の屠畜検査員による脊髄除去確認というのと、右側の目視確認というのは、 どういうふうな差があるのか教えていただきたいと思います。 【藤井参事官】  ありがとうございます。それでは一番左の列で手を挙げられた方。 【参加者9】  福岡の田中と申します。  まず第1点、意見交換会のあり方。ここ数回、全国で意見交換会がなされております けれども、この意見の反映の仕方、交渉の内容。先ほども出ておりましたとおり、交渉 の席上で必ずこの意見を伝えていただきたいというのが一つです。  それから事前査察のあり方、先ほども出ていましたけれども、25、35施設を10 日間で査察をやると。これは到底できません。アメリカの合衆国の中で35施設を10 日間やれば、1日1施設です。どうやってやりますか。到底できません。  それと、先ほども出ていましたけれども、アメリカの消費者の対応、BSEに対する 関心度、そこら辺をどう日本側として受けとめてあるか。また、アメリカ側として受け とめておるか。その点を十分伝えていただきたいというのが意見でございます。  それから、これはマスコミで出ておりますけれども、6月の日米首脳会談でもう既に 約束されて、その後7月から輸入再開という話も聞きますけれども、この辺の実態はそ うなのか。今日の意見を十分踏まえて、これはぜひ撤回してほしいというのが意見でご ざいます。 【藤井参事官】  ありがとうございました。  4名の方から多方面にわたるご意見等をいただきましたので、少しまとめた形で行政 側から発言をしていただきたいと思います。 【桑崎課長】  まず10日間で35施設は一体何人でやったのかということですが、 11人でやったと報告を受けております。1人ではありません、11人で対応したと言 っています。  それから水際検査の話でおしかりをちょうだいしましたが、我々としては強化すると いう方向は間違いない。これをどうやって今後強化してやるかというのはマンパワーの 問題もあり、どういうふうにそれを実現していくかということについていろいろ考える 必要があるわけで、そういう意味で何かご意見があればちょうだいをしたいと申し上げ ました。いずれにしても、強化するということについては変わりません。  それから、飼料の話は後ほど農林水産省からお願いを申し上げたいと思います。  それから、3点の要請について米国側の反応とおっしゃっていましたですか。先ほど もちょっとご説明申し上げましたが、これはこういうことで我々は考えているけれども どうかという意見交換をアメリカ側とした。それでアメリカ側はそれについて、私の感 触ですけれども、前向きな感じがあったということですが、いずれにしても、今回全国 でやっているリスクコミュニケーションの結果を踏まえて、日本側として考え方を整理 をして、アメリカ側とその措置について調整をするというプロセスが残っています。そ の中で、今提案申し上げている内容について、これでよければその内容を踏まえてアメ リカ側と措置の調整に入ることとしたいと考えております。  それから、検査官のところは後ほど食品安全委員会に少しご説明をお願い申し上げた いと思います。  それから意見交換会のあり方、それから意見の反映の仕方ということですが、先ほど もスライドでもご説明申し上げましたけれども、前回のリスクコミュニケーションの結 果を踏まえて、例えば今回新たに要請した事項が幾つかあるわけですけれども、これは 基本的には、そういうリスクコミュニケーションの場で出た意見を踏まえて、例えば抜 き打ち査察についてはどうなのか、さらには、先ほど話も出ましたけれども、事前調査 をすべきじゃないかというご意見もたくさんいただいたわけです。それについて我々は、 それを踏まえてアメリカ側と調整して、最終的に決めたいということがあります。  それからリストについても、日本側の言うようにちゃんと検査できるのかという会場 からの声がたくさんあったわけでありまして、アメリカ側は追加の措置として、施設ご とに輸出できる品目のリスト化を図る。そのリストはAMSにも提供するし、FSIS にも提供するし、さらには日本側にも提供してほしい。なぜかというと、証明書に加え て、それで水際検査を強化する。会場のご意見、要するに皆さん方のご意見を踏まえて、 対応をさせていただいたつもりでいます。今後ともそういう意味で、しっかりと対応し ていきたいなというふうに思っています。  それから消費者の対応とか、どれぐらいアメリカ側は深刻度合いをもって理解をして いるのかということですけれども、前回の専門家会合で我々はリスクコミュニケーショ ンをやり、リスクコミュニケーションの結果をアメリカ側に説明申し上げました。総論 で申し上げると、日本側の消費者というのは、輸入再々開に極めて慎重な意見が多い。 もちろん会場によっては、早目に解禁をしてほしいというご意見もいただきましたし、 困っているからというご意見もいただきました。それもあわせて紹介をするわけですけ れども、全体の流れとしては日本の消費者というのはこの問題について慎重な意見が多 いよということについては、十分我々のほうからアメリカ側に説明をし、伝えていると いう認識でございます。  それから6月の日米首脳会談で約束して、輸入云々ということがありましたけれども、 これは農林水産大臣も言ってますけれども、いついつまでに再開するとか、いついつま では再開しないとかというようなスケジュールで我々は決して動いているわけではあり ません。今までのやりとりというか、経過をごらんいただくとわかりますけれども、手 順を踏み、段取りを踏み、消費者のご意見をいただきながら、一歩一歩慎重に対応して いるということでありまして、決して政治的な日程に左右されるということではないと 我々は思っております。  以上です。 【藤井参事官】  それでは飼料規制の関係を農林水産省の釘田課長からお願いします。 【釘田農林水産省消費・安全局動物衛生課長】  ご指摘のありました食品安全委員会 の報告書で、飼料規制の強化が必要であるとされていることについてですけれども、こ の飼料規制というのは、BSEが牛から牛に蔓延するのを防ぐために極めて重要な措置、 対策なわけです。ですから御存じのように、私どもも日本では非常に厳しい飼料規制を 行っております。この食品安全委員会の答申の附帯事項にありますように、米国では全 くやっていないわけではないんですが、反すう動物のたんぱく質を反すう動物へ、牛の たんぱく質を牛に与えることは禁止されています。しかしながら、それを鶏ですとか、 豚、そういったものに与えることは現状では禁止されておりません。豚、鶏は、食べて もBSEになるわけではありませんので、それだけだと問題はないのですが、交差汚染 といいまして、流通や製造の過程でまざったものが牛の口に入ってしまうおそれがある ということで、ヨーロッパや日本では非常に厳しい措置として、一切牛等の反すう動物 由来のたんぱく質を家畜に与えないということが行われているわけです。私どももアメ リカに対して、そういった飼料規制の強化をやってほしいという要望は機会あるごとに 伝えておりまして、先般も中川農林水産大臣がアメリカのジョハンズ長官と会談した際 にも、トップ会談でその旨を伝えております。ただこれは、実はアメリカでは農務省が 担当しているのではなくて、FDAという別な組織が担当しているものですから、直接 その場で回答はなかったわけですけれども、その旨を伝えるということでした。米国側 も、この飼料規制を強化するということは大分前から検討はしておりますが、まだ残念 ながら今の段階では、いつから強化に踏み切るという回答は得られておりません。  そういう現状ですけれども、引き続き私どもとしても米国に対してはこの飼料規制の 強化は求めていきたいと思います。ただ1点だけ、蛇足かもしれませんが、この食品安 全委員会の答申がなされたときのリスク評価というのは、あくまでも米国の現状の措置 の中でのリスク評価をしておりますので、強化されなければ輸入は認めてはならないと いうことではありません。米国の今のリスクの程度であれば、牛をきちんととめておけ ば、急速にBSEがアメリカ国内で広がることはないだろうというのがアメリカ側の評 価でありまして、そのことが正しいかどうかはわかりませんが、少なくとも一番肝心な ところはとまっているわけです。ですから、現状の措置を前提としたリスク評価の中で、 一定の条件下の米国産牛肉と日本の牛肉とのリスクの差は非常に小さいという評価をい ただいておりますので、それに基づいて今手続を進めているところでございます。  以上です。 【藤井参事官】  それでは、食品安全委員会の日米比較の点について。 【西郷リスクコミュニケーション官】  と畜場でのというか、高リスク牛の排除のと ころで1頭につき日本では80秒だけれども、あちらでは12秒だというのはどうなっ ているのかというご質問がございました。これは全米と、それから日本全体の平均とか そういうのを出したわけではなくて、審議の途中でいろいろ提出いただいた資料で、ア メリカの大きな屠畜場では、例えば1日当たり5,000頭を一連の中で処理している わけですけれども、その中で検査官2シフト制であって、1人当たりの検査頭数が約2, 500頭と出る。そうすると、8時間働くと1時間当たり300頭ぐらいなるだろうと。 そうなっていくと1頭当たり12秒になると。ただ12秒たったら次というのではなく て、要するに変なのがいたらじっと見てやるということでしょうから、一頭一頭12秒 ということではないと思いますけれども、頭数と検査官のおのおのから考えるとそうな っているんではないかということです。  それで日本はどうなっているかというと、日本では係留場で獣医師さんが目視検査を 行っておって、大きなところで最大400頭を三つの流れで処理すると。最大処理頭数 は一つの流れでは175ということであって、これが二つあるとというのをどんどん計 算していきますと、午前中4時間で終わるとすると、1頭当たり80秒ぐらいになるの かなということでございます。ですので、日本も80秒かっちり見て次に送るというこ とではないわけですけれども、処理する頭数と検査官の働く時間数をこうやってみると、 大体出してみたらこんな数字であったということでございます。 【藤井参事官】  なかなかこの食品安全委員会の評価の中身については、わかりづら い点もあろうかと思います。  ちょっと厚生労働省のほうから補足をいたします。 【桑崎課長】  今の表の下から2番目で、脊髄除去の確認で違いがあるのかというご 質問をちょうだいしたと思います。と畜検査による脊髄除去の確認、アメリカ側は目視 の確認、これは同じでございます。両方とも目視で確認をして、ついていればきちんと 取るという対応をしているはずですので、これも変わらないと思っていただければいい と思います。 【藤井参事官】  それでは、ほかにご発言等がありましたら、挙手をお願いしたいと 思います。  今お三方、手が挙がっていますので、まず一番右の列の5列目ぐらいですか、の女性 の方、そしてちょうど真ん中の列の真ん中ぐらいの女性の方と、後ろのほうは男性の方 でしたでしょうか、手を挙げられたのは。そのお三方、続けてご発言をお願いしたいと 思います。 【参加者10】  エフコープの江口といいます。  先ほど6月の日米会議のときのお話のお答えの中で、手順、段取りをしながら消費者 の声も聞きながら、リスクコミュニケーションをしながら、政治的日程には左右されな いというご発言がありました。それで、政治的日程ではなくて、政治的圧力はどうなの かというふうなことをご質問させていただきます。いろいろな会場で消費者のほうから 政治的圧力で輸入を再開したのではないかということもありましたし、先ほどあった山 内先生の『文藝春秋』のところにも明らかに政治的な圧力があったんだというふうに寄 稿されていますけれども、その件についてどのようにお考えなのか教えてください。 【藤井参事官】  それでは続けて次の方。 【参加者11】  福岡市内の主婦です。 【藤井参事官】  恐縮ですが、お名前を。 【参加者11】  蓮尾と申します。 【藤井参事官】  蓮尾さん。ありがとうございます。 【参加者11】  今日の資料の中の、意見交換会での主な意見の概要の6番のところ の、4番目に書いてあることを私もほんとうにこれをぜひと思って、再度意見として申 し上げさせていただきたいと思うんですけれども、米国産牛肉を輸入するより、国産牛 肉の生産振興を考えるべきではないかという意見に大賛成なんですね。今日のお話をい ろいろ聞いていますと、いろいろといいシステムや制度をつくるので、安心して輸入で きるからというようなお話のように伺えるんですけれども、何かやはり不安感というか、 ほんとうにその制度を守ってくれるのかなという不信感というものが根強くあります。  主婦の間でも、アメリカ産輸入牛肉再開されても買わないよねというのがあります。 けれども、自分たちは国産牛を買うということができますけれども、外食とかお弁当と かで息子なんかは知らずに輸入牛肉を食べてしまうということもありますので、やはり ほんとうに国内の畜産農家の方が安心して経営をやっていける、そして業者の、例えば 牛丼とかいろいろ業者の方も安い牛肉をという思いがあるかと思いますが、例えば国内 で価格保障をするなど、そういうふうなことで業者の方も国内産牛肉を安く仕入れて営 業ができるようなシステムをつくるとか、ぜひ国産牛肉の生産振興を広めていただきた いと思います。 【藤井参事官】  ありがとうございました。  では、後ろのほうの男性の方、お願いします。 【参加者12】  私は堀内と申します。一般の会社員です。  私は一般の父親としての感想、要望ですけれども、私の息子にお腹いっぱい焼き肉を 食べさせたいと思います。今牛肉が非常に高価で、手に入りにくいんですけれども、安 くておいしいアメリカ産の牛肉を、カレーにもたっぷり入れておいしく食べさせたいと 思います。米国産牛肉の輸入再開を早くしてほしいと思っている一人です。よろしくお 願いします。  以上です。 【藤井参事官】  ありがとうございました。一番最後の方は、ご意見ということでよ ろしいですね。 【参加者12】  はい。 【藤井参事官】  それでは、政治的圧力に左右されていないかというお話と、国産牛 の生産振興の話がありましたが。 【桑崎課長】  我々はアメリカと協議をしているわけですけれども、隣の課長もそう ですが、我々のカウンターパートはランバートさんとか、要するに向こうの実務者なわ けです。そういう中で政治的な圧力云々というのは基本的になくて、我々がやっている のは技術的なレベルの協議ということをしているのが実際です。  一方、報道なんかは確かにどうのこうのという報道がありますが、それが実務者レベ ルまで下りてきて、それで影響するということは今まで一回もありませんでした。我々 がやっているのは実務者レベルとしてどう対応していくのかということは当然ありまし たけれども、それがどうのこうの影響して、ということはないと言えると思います。  それから、あとは何ですかね。 【西郷リスクコミュニケーション官】  食品安全委員会の評価にも政治的圧力があっ たんではないかというふうなお話がございました。食品安全委員会は科学的評価の委員 会でございますから、基本的には経済的、政治的なことよりは、科学的な知見を基に考 えるということでやっておりますし、それを旨としてやってございます。ですので、先 生方にもそういった余計なことを考えなくて済むように、いろいろ事務局としても苦労 しているところでございます。  ただ、プリオン専門調査会につきましては、非常に世の中の注目が激しくて、先生方 にも例えばご自宅にいろいろ電話がかかったり、消費者から要望があったり、マスコミ からの問い合わせもあったりとかいったことで、もともとプリオン専門調査会の先生方 は食品安全委員会に専従で勤めていらっしゃるわけではなくて、大学の先生だったり、 国の研究所の先生だったりするわけなので、そういったところまですべてかっちりガー ドというわけにはなかなかまいりませんけれども、そういうところにつきましては、要 らない心配をしなくても議論が進むようにといった配慮を今後ともしていきたいという ふうに思っております。 【釘田課長】  それでは蓮尾さんからあった米国産牛肉を輸入するより、国産牛肉の 生産振興を考えるべきではないかというご意見についてお答えします。  そういうご意見も心情的には非常によくわかります。ただ一方でその次の方は、早く 安くておいしい米国産牛肉を輸入再開してほしいというご意見でした。ですからそこに ついてはいろいろなご意見があるのだろうと思います。私どもとしては、とにかく安全 性の確保というのは国の責務でやらなければいけませんから、万が一にも心配になるも のを入れることのないようにという措置をきちんととった上で、輸入再開していくこと だろうと思っています。  この問題を政府として考える際に大事なことは、検疫措置というものはどの国もとっ ているのですが、この検疫措置が隠れた貿易障壁とされてはいけないというのが国際的 なルールとしてあるわけです。よくお聞きになると思いますが、今世界の農産物だけで はなくて、工業品も含めた貿易のルールを定めているWTOのルールがあるのですが、 その中に動物、植物の検疫のルールというのも定められておりまして、一番大事なのは、 昔から検疫ということに名をかりた貿易障壁じゃないかと疑われるような事例がたくさ んあったわけです。今でもそういうことがあり得るものですから、それは国と国の間で 紛争になってしまうのですけれども、そういうことをなくしていこうということで、で きるだけ検疫というのは科学的にやっていこうということなのです。  ですから私どもが今、ずっと食品安全委員会に諮問して、科学的な議論もしていただ いた上で判断しようというのは、まさに我々が例えばアメリカに20カ月齢以下という 月齢を求めています。これは30カ月でいいじゃないかとか、あるいは骨抜きにすれば 月齢は関係ないじゃないかとかいろいろな議論があるわけですけれども、いろいろな議 論がある中で、私たちは日本の科学者が持っているいろいろな知見を踏まえて、日本人 にとって我々が食べる牛肉としてどのレベルの安全性を確保すればいいかという議論を やった上で、安全性を確保するために、20カ月齢以下ですべてのSRMを除去する、 こういう世界的にも最も厳しい基準を今アメリカに求めてやっているわけです。  ですから、アメリカから見れば、これは隠れた貿易障壁ではないかというふうに言わ れるおそれもあるのですが、そういうことにも耐えられるようにきちんと議論をしなが らやっているわけですので、ちょっと話がずれたかもしれませんが、その点はご理解い ただきたいと思います。  その一方で国内の牛肉生産を振興しなければいけないというのは、これはこれで我が 農林水産省としてはもう一つの重要な政策課題ですので、これは部局が違いまして、そ ういう生産振興とこの食の安全というのは切り離してやろうと今なっておりますので、 私が担当している部局ではないんですが、農林水産省の中には別途その生産振興をやっ ている部局がありまして、国内の牛肉生産の振興というのも一生懸命努力しているとい うことを申し上げておきたいと思います。 【藤井参事官】  それでは、そのほかフロアからご発言がありましたら。  今、4名の方が手を挙げておられますので、今度は左の列からいきたいと思いますが、 一番左の左の方を最初、そして右側の端で手を挙げられた方、右側の2列目と3列目の 男性と女性の方ですね。その4名の方に続けてご発言をお願いします。 【参加者13】  外食関係をやっております、日本フードサービス協会の多賀谷と申 します。  行政の皆様方、1月20日に起きて以来、アメリカといろいろな交渉をしていただき、 やっとここまでたどり着いていただけたということで、基本的に非常に感謝をしており ます。と同時に、一日も早く解禁にいっていただきたいというのが私の基本的な考えで ございます。  その中で、先ほどから検疫のご意見というお話ですけれども、1月20日に起きた後、 通関きったものについて自主検査ということを民間のほうに依頼をして行ったというの があります。その中で、今後解禁した後の検査につきまして、一番大事な点はSRM、 要するに脊柱が入っているかどうかというポイントが検疫の中の特にBSE、今回の問 題の大きなポイントだと思いますので、確かに検疫というのは、獣医なり、それなりの 資格の人がやらなければいけないというのはわかるんですけれども、その部分のマニュ アルをつくって、その部分だけでも民間に委託するというような形をして、スムーズな 通関をお願いしたいというのが一つの私の希望でございます。  それからもう一つ、これは行政の皆様というよりも報道の人たちにぜひ申し上げたい のですけれども、報道の誤報というのがかなり見られる。特に今日香港と台湾の件につ いて非常に正確なご説明をいただいたんですけれども、あの出たころに、ほとんどの報 道機関が特定危険部位が見つかったという表現をされたと。それからもっと言いますと、 1月20日の報道はアメリカの今回の牛肉から脊柱が見つかった。実際には子牛なんで す。子牛と牛肉というのは国際的に違う商品、もちろん日本は牛肉一緒ですけれども、 違う商品の扱いをされてきている。SRM除去についてもヨーロッパは6カ月以下、1 2カ月以下という形のものがある。その中で非常に消費者の不安をあおるような誤報が 多々見られたことによって、今回の解禁というのがさらにおくれてしまっている。それ から、今皆さんの意見の中で不安という言葉がある。やはり危険と安心、安心と安全と は違うんだということを肝に銘じて考えていただきたい。これは私の一つの意見でござ います。 【藤井参事官】  ありがとうございます。  それでは、一番こちらの。 【参加者14】  コープかごしまの組合員です。ほんとうの末端の消費者の意見です。  まず一つ質問は、20カ月齢以下のものとおっしゃいましたけれども、ほんとうにわ かるのかなと。私もアメリカに余り詳しく見にいったわけではないんですけれども、ア メリカの牛と日本の牛はかなり飼い方が違うもので、ほんとうに確認できないんじゃな いかなという疑問です。日本の場合は、いつどこで生まれて、どのようにどこで育って 私たちのところまで届くというのが非常によくわかるんですけれども、その点、20カ 月齢以下というのがちょっと信用できないなというのが一つありました。  それと、輸出プログラムのところを非常にきちんと守っていたら、このような事故、 事故ですね、骨が入ったんですから、それにはならなかったんじゃないかと思うんです けど。 すごく私たち一消費者から見ると、ええっと。輸出するときのその箱の入れ方とか、屠 殺の仕方とかずさんなんじゃないかなと。私は一消費者ですから、全然難しいことはわ からないのでそういうふうに思いました。  だから1月20日のときに、新聞社の人から一消費者としての意見を求められていた ときに、なし崩し的に安全性が確認されないままに輸入が始まってしまったからこうな ったんではないですかと、しっかりと輸出プログラムのところの約束事を守っていたら、 こういうことは起こらなかったというふうに思いました。  それと、検査する人たちが余り専門的知識がない人たちが検査していたり、屠殺と言 ったらいけないですかね、検査官のところの資格のところをもっとしてほしいなと要望 です。 【藤井参事官】  失礼ですが、お名前をおっしゃっていただけますか。 【参加者14】  済みません、都築と申します。 【藤井参事官】  ありがとうございました。  それでは、最初に前の男性の方。 【参加者15】  日本生協連九州地連の大木と申します。  今日のスライドでの説明のあった資料で言いますと、34番から38番までに今回新 たに要請した追加措置というのがあります。特にその中で36番の日本側の事前確認調 査ですとか、38番のアメリカ側の実施する抜き打ち検査に同行というのは、日本政府 自身が実際に現地に出向いてきちんと確認するということは非常に重要なことで大切だ と思うんですけれども、今後の輸入再開する場合における日本政府の判断条件として、 今回の出されている追加措置の結果を踏まえて、改めてこういう説明の場を持っていた だいて、そして国民の意見を聞いた上で輸入再々開の決定をされようとしているのか、 今後の進め方についてちょっとお聞きしたいと思います。  以上です。 【藤井参事官】  それでは最後に女性の方お願いします。 【参加者16】  先ほどですね、検査体制の強化のこと申されましたけれども、ここ について言ってくださいとおっしゃるだけで、具体的にどれぐらいの人員が今の、例え ば何倍必要だからこれぐらい欲しいとか、そういうことをおっしゃっていただきたいん ですよ。この梱包を、どれぐらいパーセンテージ上げるためにはどれぐらい必要かとか ですね。  それからもう一つ、具体的措置について書いてありますけれども、書類審査も突き合 わせをきちんとやるということが書いてございますけれども、そうするとまたそれだけ 時間もかかるわけですよね。ですからそういう人員体制について、予算措置が結局要る わけですから、日本の検疫体制というのは非常に私は人が不足していると思っています。 農薬のポジティブリストについての意見交換会、私は行ってきたんですが、やはりそう いうところでも人が足りない。  私も生協の主婦ですけれども、そういう意味で輸入農産物についての不信感もござい ますし。私はアメリカの牛肉は輸入しなくていいと思っておりません。アメリカの検査 体制がいろいろ言われても、それよりは日本の検査体制をしっかりして、水際で何とか 食いとめていただきたい。生協に入っている主婦はそれなりに自己完結できるんですけ れども、そうではない、やはり外で食べるときとか、そういうことについて表示義務も 必要ですし、私はやはり日本がしっかりしないとほんとうに大変なことになると思いま すので、ぜひこの検査体制について、具体的に何倍ぐらいは必要だということをおっし ゃっていただきたいと思います。 【藤井参事官】  ありがとうございました。いろいろと多方面のご意見がありました。  ではまずは、検疫の関係から先にお願いします。 【桑崎課長】  ただいまのお話と重複する部分があって、先ほど日本フードサービス 協会の方からのお話もあって、要は検査というのは今BSEをちょっと置いておいても、 輸入時どうしているかというと、官がやる検査、それから民がみずからやる検査、両方 ございます。そういうのを上手に組み合わせながら輸入時、食品の安全を確保している というのが、これはBSEと違いますけれども、ポジティブリストの話も出ましたけれ ども、やっています。したがって、今回の輸入時の監視強化も、官がやる部分の強化、 さらにはもうちょっと言うと、今提案がありましたけれども、民がやる部分で何か強化 はないのかという提案だと思います。そこら辺をよく考えながら、いずれにしても安全 な食品をどうやって輸入するか、それをどういうふうな段取りでやるのかという話です から、そこは今のご意見を踏まえて少し検討をする必要があるかなと思います。  それから、向こうでインスペクターが専門的な知識が少ないので、そこはしっかり資 格強化を含めてチェックをしてほしいというご要望があったと思います。  先ほどもスライドの中で説明を申し上げました。アメリカ側が行った追加措置の中の 32番目をごらんいただくといいと思います。この中で今ご指摘がありましたように、 今回の2カ所、特にアトランティック・ヴィールのほうについては、十分に日本側の輸 出プログラムを理解しない検査官が輸出証明書にサインをしてしまったということで、 それが一つの原因になっているということです。アメリカ側もこの点を大変重視して、 ここに改善措置を書いていますけれども、まずしっかり勉強をしてもらおうと、そうい う教育プログラムをつくって研修をさせている。  それからもう一つはテストをする。先ほどちょっと申し上げましたけれども、ほんと うにこのインスペクターが十分に輸出プログラムについて理解をしたかどうかというこ とについて、ここに終了試験と書いてありますけれども、テストを実施するという中で、 しっかりと日本側の輸出プログラムを検査官に根づかせていくというのがアメリカ側の 追加措置でありますし、それから、ついでにもっと申し上げると、アメリカ側の抜き打 ち査察も実施して、FSISの検査官がきちんとやっているかどうかを確認するという ふうに言ってますので、そこら辺はしっかりアメリカ側にやってもらう必要があるとい うふうに考えています。  それから今後の段取りですよね。今決まっている段取りというのはご提案申し上げた 内容でございまして、まずはこういう意見交換会を全国10カ所で開催させていただく と。一番最後はあさってですか、東京になると思いますが、全国10カ所で行う。そこ で一応ご意見を整理して、その上で日本側の追加的な措置について決め、アメリカ側と 調整に入るということは決まっていますので、ここまではご意見を踏まえながらしっか りやっていきたいと思っております。  検査体制の強化は先ほども言ったように、今厚生労働省でいくとたしか314名が検 疫所に配置をされ、食品衛生監視員として業務に従事している。もちろんこの人間が今 度、仮に再々開になった場合には、アメリカ産牛肉についてのチェックをすることにな るんだと思います。  総論になりますが、314名も過去から随分いろいろ増えてまいりました。私が担当 のころは89名でした。そういう意味で随分この部分については、皆様方のご意見も踏 まえながら国としても体制の整備を図ってきましたし、マンパワー以外に試験検査体制 の強化ということで、ご存じかもしれませんが横浜と神戸に大きな検査センターをつく って、ラボラトリーの検査機能も強化しているということです。この部分については、 これとは違ったリスクコミュニケーションでもいろいろ意見が出ております。引き続き 輸入時の検査体制については、しっかりと体制の整備をしていきたいというふうに思い ます。 【藤井参事官】  それでは米国の20カ月齢の確認方法について。 【釘田課長】  20カ月齢の話の前に、検疫の話を私からも一言申し上げたいと思い ます。検疫というのは、厚生労働省さんとあわせて農林水産省でもやっております。先 ほどのお話は、検疫体制の強化が必要であるという大変ご理解のあるご発言だったと思 うのですが、確かに今厚生労働省からもご説明がありましたように、私どもの動物検疫 所という所ですが、こちらも国の定員がどんどん減る中で増えてはきております。それ でもまだ私たちの組織でも320名強ということで、ご存じのように例えば鳥インフル エンザの問題ですとか、口蹄疫といったような病気、あるいは狂犬病など犬の病気の対 応もやっておりますので、今世界的にもいろいろな家畜、動物由来の病気に対する関心 が高まる中で、動物検疫としてもまだまだ組織の体制の強化が必要だと思っております。 そういう中で、米国産牛肉を輸入再開する際にまた検疫を強化するというのは、なかな か大変なことではありますけれども、私たちも厚生労働省さんとも協力しながら、ある いは家畜防疫官というのはさっき言いました320名強なんですが、それを応援する体 制は農林水産省の組織の、場合によってはほかの部局から応援するような体制を組むな りして、とにかく再々開に当たっては消費者の皆さんから見ていただいて、これぐらい やれば安心が得られるかなと言えるような水準を確保できるように努力したいと思って います。  もちろん全箱をあけてくれ、全部見てくれというご要望があるのかもしれませんが、 これは現実的には不可能です。もちろん物流を非常に阻害することにもなりますし、そ ういう対応は無理だと思うのですが、やはり統計学的に見て、一定の信頼性を確保でき るレベルというのはきちんと確保していきたいと思っています。  それから、アメリカの牛の生産の仕方が日本と随分違うけれども、20カ月齢以下と いうのはわかるのかというお話です。  これもたびたびご質問を受けるのですが、20カ月齢以下の証明というのは二つの方 法がありまして、一つは日本と同じように生まれた時期がわかる牛について月齢を証明 するということです。これは基本的には日本と同じですが、もちろんアメリカは広大な 土地ですので、そんなに見ていないのではないかという話もありますが、アメリカの牛 すべてに対してそういうことが今できるわけではありません。そもそも個体識別制度と いうのは、アメリカは2009年までに導入しようとしていまして、今それに取り組ん でいる最中ですので、まだ国全体としてそういう仕組みはないですけれども、一部の生 産者の間では、農務省のチェックを受けながら月齢証明をする仕組みというものをつく っています。そういう仕組みがある場合にはその仕組みを使って、生まれた時期が何年 何月以降だから少なくとも何カ月齢以下ということで証明ができるようになっています。 これが一つです。  それからもう一つは枝肉の成熟度という考え方がありまして、参考資料にもついてい ますけれども、これは屠畜場の中で解体した枝肉の特徴を見て月齢を判別するという手 法でございまして、これが目で見て判断するものですからあいまいなんじゃないかとい うご心配を毎度いただくのですけれども、これについても一昨年の12月ごろからアメ リカとも随分議論をいたしました。とても若い枝肉の特徴、一番大事なのは背骨を割っ たときの骨の断面の軟骨が骨化するその特徴を見ていくんですけれども、それで非常に 若い月齢の特徴を持った骨だけを認めようということで、アメリカ側がそのために試験 をしたデータを見ますと、月齢が進んでいるものでも17カ月齢までで、それ以上のも のは見つけられないというようなところで線を引いていまして、これがA40という格 付になっております。これは一千数百のデータを見て、それらを超えることがないとい うことで今回採用しております。  さらに、ほんとうにA40で20カ月齢を超える牛がまざることがないのかというこ とについては、引き続き検証データを集めるということになっておりまして、今後とも 信頼性を高めるためのデータはアメリカ側から提出させて、それが集まればまた皆さん にもご紹介していきたいと思いますが、絶対間違いありませんというようなことはなか なか難しいんですが、これまで得られたデータから見れば、非常に高い確率で20カ月 齢を超える牛が混ざることは排除できると私たちは判断しています。 【藤井参事官】  お約束の4時半までに5分を若干切ったという状況になりましたが、 あと最後にお二人の方にご発言をフロアからいただいて、フロアからの発言は最後にさ せていただきたいと思います。  ご発言がある方は挙手をお願いしたいと思います。  できるだけ初めての方を優先させていただきたいんですが、初めての方がおられなけ れば2回目の方。  それでは一番左の列の後ろのほうの方と、真ん中の列の男性の真ん中からちょっと後 ろ目の男性の方、どちらも初めての方だと思いますので、大変恐縮ですがそのお二人を もってフロアからの発言は終わりにさせていただきたいと思います。  それではご発言のほうをよろしくお願いします。 【参加者17】  済みません。赤村からやってきました野間です。  私は両親が畜産業をやっています。私自身は今食肉販売で黒毛和牛と豚の直売所をし ています。  それで、今いろいろと意見を聞いていましたけど、私自身は説明を聞きながらわかり にくい点もありましたけど、輸入再開は生産者のほうから見たら必要なのかなと思って いろいろと意見を聞いています。国内での畜産とか農産物のほうへ目を向けて、日本の 農業の自給率を上げていただきたいと思います。さっき厚生労働省と農林水産省と関係 はございませんとは言ってましたけど、やはり生産者から見たら輸入牛肉のことに対し ても生産するほうにしてもどっちも一緒みたいな感じがして聞いていましたけど。  説明がうまくできないと思うんですけれども、できるだけ子供たちのことを考えたら、 大人の勝手でいろんなものを食べさせるということではなくて、できるだけ商品に対し てもいいものを取り扱っていってもらいたいというところがあります。ちょっと上がっ てしまって、説明不足で済みません。  以上です。 【藤井参事官】  とりあえず今ご発言をいただいた方は、輸入再開は基本的にしてい ってもいいと思うけれども、きちんと輸入条件等を守った安全なものを確認して輸入で きる体制にすべきだというご意見だったんでしょうか。 【参加者17】  違います。できるだけ日本の商品を取り扱っていってもらいたいと いうことです。 【藤井参事官】  そうすると、輸入はせずに国内の畜産を振興して、国産の牛肉がう まく流通するようにすべきではないかというご意見ですか。 【参加者17】  そういうことです。 【藤井参事官】  わかりました。ありがとうございました。  それでは最後に、お願いいたします。 【参加者18】  福岡市の川本です。  西郷さん、釘田さん、それから桑崎さんの言葉の中に、こちらが条件をもって交渉す るときに、調整するという言葉とそれから要望、要請するという言葉が両方とも出てき たんです。特に西郷さん、調整するというふうに逃げておられるようにうかがったんで すが、そこら辺の言葉を使用する基準というのをはっきりしていただけませんでしょう か。でなければ、じゃ日本とアメリカで調整する役になっておられるのか、また日本を 代表して交渉しておられるのか、どちらの立場なんだと。これをはっきりしてもらいた いです。 【藤井参事官】  ありがとうございました。  それでは、今の方に対するご発言を。 【釘田課長】  十分にお答えできるかどうかわかりませんが、日本の農産物の自給率 を上げることのほうが大事なのではないかというご趣旨だと思います。私たちも農林水 産省としては、食料というのはできるだけ国内でつくっていくことが望ましいだろうと いうことで、自給率向上に向けて今頑張っているところですが、現実には自給率は4割 ぐらいでこれを1%上げるだけでも非常に多大な努力を要するわけです。そういう現実 があるというのはご理解いただきたいと思います。それでも今40%の自給率を45% に上げるという目標で、いろんな施策を立てて努力はしているわけですけれども、農林 水産省の施策としては、きちんと国民に安全な食料を安定的に供給するということです から、もちろん国産を基本にしたいとは思いますけれども、国産だけでは現実問題飢え てしまうわけですから、輸入食品についても厚生労働省さんと協力しながら、安全な輸 入食品を供給するというのも大事な使命だと思います。  私が先ほど申し上げましたように、国内生産を守りたいから検疫で輸入をとめるとい うのは国際的なルール違反です。そのことはぜひご理解いただきたいと思います。科学 的な根拠のないものを、あんたの国のものは食べたくないからというような心情で国が 貿易をとめるというのは国としてはできません。もちろん消費者の方々が嗜好の問題と して買わないというのは自由だと思います。ですけれども、国と国のルールとしてそれ はできないということです。  いずれにしても自給率の向上については、それはそれで農林水産省としては頑張って いきたいと思いますので、ご理解いただきたいと思います。  あと、最後の方のおっしゃった要望する、調整するというのは、役所言葉でおわかり になりにくいかもしれません。特に調整するというのは日本語的にはわかりにくいかも しれませんけれども、例の三つの事項を先日の専門家会合で私たちのほうからアメリカ に要請しました。つまり、事前確認調査を我々としてはやりたいので、それをきちんと 受け入れてくれということや、その製品のリストを提供してくれということ、あるいは 抜き打ちの調査に同行させてくれということを要請したわけです。それで会合の中では 先ほど桑崎課長からも申し上げましたが、基本的にはアメリカ側も輸入再開に向けてそ ういったプロセスが必要だということは理解して、前向きに検討するという感触だった わけです。  ですけど、例えば事前確認調査をいつからやるかとか、例えば抜き打ちの調査への同 行をどうするかなどについては、細かなことはまだ決まっていないわけです。ですから 私たちはこういうことを今後やっていきますよということを、こういう機会に消費者の 皆様方にもご説明していろいろなご意見をいただいた上で、これから細かな日程ですと か、具体的なやり方、方法、そういったことをアメリカ側と相談して協議して詰めてい きたいと思っています。そのプロセスのことを、これは一方的に要望するのではなくて、 アメリカ側の都合も聞きながらキャッチボールをしながらやりとりをして、具体的な日 程や方法を詰めていきますから、そのことを調整というふうにここでは言っております。  おわかりになりにくかったかもしれませんが、そういう変な意味があるわけではない のでご理解いただきたいと思います。 【西郷リスクコミュニケーション官】  あと、私が一番逃げているというご指摘がご ざいましたけれども、今言った要望とか調整とかをアメリカとされているのは、厚生労 働省と農林水産省であって、食品安全委員会はその前の評価を行ったわけでございます ので、今何かを調整しているわけではございません。ただ、私のしゃべり方が非常にわ かりにくかったということであれば、おわび申し上げたいと思います。 【藤井参事官】  大変多方面の意見を活発にいただきまして、どうもありがとうござ いました。  いろいろな意見をいただきました。そういうご意見を参考にしながら、今後厚生労働 省、農林水産省のほうでいろいろと管理措置を考えていくことになると思いますが、そ のときの参考にさせていただきたいと思います。  進行の不手際でまだまだご意見を言い足らなかったという方があろうかと思います。 その点につきましては、最後になりますがおわびを申し上げたいと思います。  本日はほんとうにどうもありがとうございました。(拍手)  大変恐縮なんですが、皆様の封筒の中にアンケートを入れております。これから別の 場面での意見交換会をするときの参考にもしたいと思いますので、ぜひアンケートに御 協力をいただいてお帰りの際、受付のところに提出をしていただければと思います。 ── 了 ── - 49 -