食品に関するリスクコミュニケーション (米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会:名古屋市) 日時:平成18年6月6日(火)    14時00分〜16時32分 場所:愛知県産業貿易館 西館大会議 室 1.開 会 ○司会(吉田厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐)  本日は、大変お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  ただいまから、「食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉輸入問題に関す る意見交換会)」を開催いたします。  私は、本日の司会を務めさせていただきます、厚生労働省医薬食品局食品安全部企画 情報課の吉田佳督と申します。よろしくお願いいたします。  なお、地球温暖化防止と省エネルギーのために、本年度も6月1日から9月30日まで の期間、政府全体として、いわゆるクールビズに取り組むこととしております。本日の 意見交換会もクールビズとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。上着 やネクタイをお取りになり御参加いただければと思います。御協力をお願いいたします。  さて、農林水産省と厚生労働省では、1月20日からすべての輸入手続を停止している ところですが、先般、3月28日から29日にかけて、原因や対策に関する米国側の報告 書について日米専門家会合を開催し、これを受けて日本側では、4月11日の那覇会場を 皮切りに24日まで、全国10カ所で意見交換会を開催いたしました。また、米国側にお きましては、対日輸出認定施設のレビューを行い、今般、5月17日から19日にかけて 日米専門家会合が開催され、そのレビューの結果について米国側から聴取したところで あります。  本日の意見交換会は、米国政府の説明の内容及び米国産牛肉の輸入手続再開の考え方 について御説明し、参加者の方々の疑問点やお考えなどについて意見交換を行うため、 全国10カ所で開催しているものの一つであります。  初めに、お配りしている資料の確認をさせていただきます。  議事次第であります。それから資料といたしまして、「米国産牛肉輸入問題について」 であります。続いて、参考資料ですけれども、「日本向けEVプログラムに関するAMS 監査結果報告書(概要)2006年5月」というものでございます。さらに参考といたしま して、「米国・カナダ産牛肉・内臓に係る食品健康影響評価」の資料です。そして、「6 月は食育月間」の資料です。さらに「食品安全エクスプレス」。それからアンケートでご ざいます。そして、小さな資料ですけれども、「食事バランスガイド」の方も同封させて もらっております。  資料に不足等ございましたら、事務局までお願いいたします。  また、今後の参考にさせていただくためにアンケートを用意いたしておりますので、 お帰りの際には御協力をお願いいたします。  続きまして、本日の進行について説明いたします。  まず、米国産牛肉輸入問題について、1時間程度説明をいたします。その後、10分程 度の休憩時間を挟み、意見交換に入りたいと思っております。なお、会場の都合上、終 了は4時30分を予定しております。 2.議 事 (1)米国産牛肉輸入問題について ○司会  では、米国産牛肉輸入問題について、厚生労働省食品安全部監視安全課の桑崎課長か ら御説明をお願いいたします。 ○桑崎厚生労働省食品安全部監視安全課長  皆さん、こんにちは。ただいま御紹介をいただきました厚生労働省食品安全部の桑崎 でございます。  それでは、早速でございますが、私の方から米国産牛肉輸入問題について御説明を申 し上げます。  先ほど司会からお話がございましたが、本日の説明の概要として、まず1番目に、米 国産牛肉問題のこれまでの経緯ということで、これについては前回のリスコミでも御説 明申し上げましたが、初めての方もいらっしゃるかもしれませんので、おさらいの意味 も兼ねて、事案の概要と3月に開催されました専門家会合の概要について御紹介を申し 上げます。  2番目として、4月11日から24日までの間、全国10カ所で、1月20日以降の経緯、 米国とのやりとり、概要について消費者に説明申し上げ、さらには御意見もお聞きしま した。その概要について御紹介を申し上げます。  さらに3番目で、米国側のレビューの結果となっていますが、5月に開催されました 日米専門家会合において、アメリカ側が日本側の要請によって問題のあった2施設以外 のその他の施設についてレビューをいたしましたので、その結果について御報告を申し 上げます。  これらを踏まえまして、4番目でございますが、今後の対応ということで、輸入手続 再開の考え方について御説明を申し上げ、皆様方の御意見をちょうだいするということ で、ここに1から5までの内容が入ってございます。  さらには、5番目になりますけれども、これは日米ではありませんが、アメリカ−香 港、アメリカ−台湾で、アメリカ産牛肉に骨片が入っていたと報道されております。そ の点についても専門家会合で確認をいたしましたので、その概要について報告申し上げ るというのが私の本日の説明の内容でございます。 T.米国産牛肉輸入問題のこれまでの経緯  まず、これまでの経緯でございます。  このスライドが見にくければ、お手元の資料の方がひょっとしたら見やすいかもしれ ませんので、両方を見比べていただいて、見やすい方をごらんいただくといいと思いま す。  平成15年12月24日、米国でBSEの感染牛が1頭確認されました。この米国におけ るBSE発生を踏まえて、直ちに、厚生労働省、農林水産省は米国からの牛肉の輸入停 止を行ったところでございます。それ以降、米国側と、専門家による会議、さらには局 長レベルの会議を開催してまいりました。  「平成16年10月の局長級会議を踏まえ」となっておりますけれども、これにつきま しては後ほど説明いたしますが、一定の条件、枠組みのもと、国内での承認手続完了を 条件として、科学的知見に基づき牛肉貿易を再開するとの共通の認識をこの局長級会合 で得たところでございます。一定の条件というのは、その下に書いてございますけれど も、輸出プログラムを設けて、全頭からの特定危険部位の除去、さらには日本に輸出さ れる牛肉、内臓については20カ月齢以下のものであることを特定の条件とし、17年5 月24日に、食品安全委員会に、米国産牛肉等と我が国牛肉等とのBSEリスクの同等性 について諮問をいたしました。  食品安全委員会では、この諮問を受けて、プリオン専門調査会で10回にわたる審議を 経て、17年12月8日、米国産牛肉等のリスク評価について食品安全委員会から答申を ちょうだいしたということでございます。  答申の内容は右側に書いてございますけれども、米国・カナダのBSEリスクの科学 的同等性を評価するのは困難だということでした。御承知のとおり、米国・カナダに関 しては、データの質、量ともに不明な点が多いことから、米国・カナダのBSEリスク の科学的同等性を評価するのは困難であるが、輸出プログラムで全頭からのSRMの除 去、さらには20カ月以下の牛由来の肉であることが遵守されたと仮定した場合、米国・ カナダ産牛肉等と我が国の国内産牛肉等とのリスクの差は非常に小さいという答申をち ょうだいいたしました。  こういう答申を踏まえまして、17年12月12日に米国・カナダ産牛肉等の輸入再開を 決定したところでございます。  さらには、平成17年12月13日から24日まで、担当官をアメリカとカナダに派遣し て、日本向け牛肉認定施設等についての査察を実施したということでございます。ここ には書いてありませんが、17年12月12日に輸入再開を決定いたしましたけれども、同 日付で、アメリカから入ってくる牛肉等についての輸入時検査の強化もあわせて実施し ているところでございます。  御承知のとおり、年をまたいで1月20日になりますけれども、動物検疫所の成田支所、 さらには成田空港検疫所において、脊柱を含む米国産牛肉を発見いたしました。当該ロ ットについてはすべて焼却処分することとあわせて、すべての米国産牛肉について輸入 手続を停止いたしました。これにつきましては後ほど説明いたしますが、今回の脊柱に 関連する施設は2カ所でございましたけれども、それ以外の対日輸出施設についても、 きちっと守られているかどうかを確認する必要があることから輸入手続を停止したわけ でございます。  さらには、その下になりますが、既に国内に入っているものがございます。これにつ きましては1月23日に、輸入業者を所管する地方自治体に指示いたしまして、脊柱が含 まれているものがないかどうかについて、営業者に検査を指導するように通知いたしま した。  平成17年12月12日から平成18年1月20日までに輸入されたトン数は約730トンで ございます。このうち調査対象は575トンということで、脊柱が含まれている可能性が ある部位についてはすべて箱を開けさせて検査を実施いたしました。その結果、脊柱が 含まれていることはないという報告を取りまとめて公表させていただきました。それが 2月10日になります。それ以降、米国側には、この間、今回の事案について、なぜ起き たのかという徹底した原因の究明と、それに基づく再発防止措置についてアメリカ側に 求めてまいりました。  2月17日になりますが、米国側が調査報告書を、今回の事案の原因と、さらにその原 因を踏まえた対策について、たしか470ページぐらいに上る大部のレポートを日本側に 提出いたしました。一言で言うと、このレポートの骨子は、今回の事案は輸出業者、さ らには現場に常駐している検査官が日本向けの輸出プログラムを熟知していなかったこ と、また、初めての子牛肉の輸出であることから、非常に特異な事例であるというのが、 アメリカ側が出した報告書の骨子でございます。  それにつきまして、ここには書いてございませんが、日本側からそれについての20 項目にわたる質問状を出し、さらにはアメリカ側からそれについての答えが来るという やりとりの中で、18年3月28日、29日、対面で日本側とアメリカ側で協議を実施いた しました。この内容も後ほど出てまいりますが、このときに双方が宿題を出し合ったと いうことであります。日本側は、1月20日以降の経緯、やりとりについて消費者の方々、 事業者の方々に丁寧に説明し、御意見をちょうだいするリスコミを全国10カ所でやると いう対応、アメリカ側は、その他の施設についてのレビュー、再調査を実施し、問題が ないかどうか確認するというのが宿題でございました。  その下に書いてありますとおり、全国10カ所で4月11日から24日までの間に意見交 換会を開催させていただきましたし、アメリカ側は、4月24日から5月4日までの間レ ビューを実施したということであります。それで、それぞれの結果を持ち寄りまして、 5月17日から19日までの間、再度日本側とアメリカ側の専門家が会合を持って協議を したというのがこれまでの経緯でございます。  なお、これまでの報告書等につきましては、英文のものであれ、邦文にして公開して いることをあわせて申し上げたいと思います。  今回の米国産牛肉脊柱混入事案の概要でございますけれども、関係する施設は2施設 でございます。一つは、ゴールデンヴィール社(G社)です。ここは子牛肉専用の屠畜 施設でございます。もう一つの関係するところは、その右側にございますけれども、ア トランティックヴィールアンドラム社(A社)でして、ここはゴールデンヴィール社か ら枝肉を受け取って、ここで食肉処理をして、実際上はここから輸出をしているという ことでございます。  左側に書いてありますけれども、G社が脊柱つきの子牛の枝肉をA社に出荷したとい うのが1点。それから、内臓のところが下に書いてありますが、対日輸出プログラムの 要件を満たしていない内蔵に対して、輸出プログラムに適合しているとの申告書を付し て出荷した。輸出プログラムの中で、内臓の場合もそうですが、必ず20カ月以下の牛で あることをきちっと分別管理をしなくちゃならないというマニュアルをつくることが求 められているわけでありますけれども、ゴールデンヴィール社については、そのような 分別管理のマニュアルが整備されていなかったにもかかわらず、輸出プログラムに適合 しているという申請書を付して、本来輸出できないものを出荷したということでござい ます。  A社の方は、御承知のとおり、脊柱つきの子牛の枝肉をゴールデンヴィール社から購 入したわけでありますけれども、脊柱を除外せずそのまま日本に輸出してしまったのが 1点。さらには、内臓(舌・胸腺)を、対日輸出プログラムを満たした製品の納入記録 には記載されていなかったが輸出した。本来であれば、輸出プログラムに適合している 製品は、納入記録にきちっと書いて、それから輸出されることになっているわけであり ますが、納入記録がないということは、そもそも輸出ができないということになります。 しかし輸出されてしまったということでございます。  あわせて、アトランティック社に常駐している農務省の食品安全検査局(FSIS)、 日本でいえば食肉衛生検査所のイメージだと思いますが、そこの検査官が、ここに書い てありますとおり、対日輸出プログラムを十分理解しないまま輸出証明書にサインをし てしまった。日本向けプログラムに適合しない製品であるにもかかわらずサインをして、 輸出許可を出してしまったというのが事案の概要でございます。  3月の日米専門家会合の概要でございます。字が非常に細こうございますけれども、 以下の点について米国との間で一定の共通認識を得ました。  一つは、ゴールデン社、アトランティック社の2施設において今回の事案が起きた経 緯、さらには、次が重要ですけれども、対日輸出プログラムの認可、認定をする機関で あります農務省の農業販売促進局により認定された対日輸出施設のQSAマニュアルに 改善すべき点があったことについて、一定の共通認識を得ることができました。  具体的に申し上げますと、今回の事案は、問題の施設が認定されたQSAマニュアル に従わなかったこと、及びそれをFSISの検査官が発見できなかった結果発生したも のであるというのが1点目。  2番目として、そもそも我々は、この両施設についての認定が本当に正しかったのか どうかという問題意識を持っていたわけでありますが、問題となった施設の認定につい て、当時の判断としては手続に従って認定が行われたものであるけれども、今から振り 返れば、QSAマニュアルがより具体的、現実的なものであったとすれば、今回の事案 を防ぐことができた可能性は高まっていたと考えられる。例えば、QSAマニュアルが 脊柱の除去の手順をきめ細かく規定するとか、もうちょっと申し上げると、輸出してい いものが明確になっているということであれば、今回の事案を防ぐことができた可能性 は高まっていたということで共通の認識を得たわけであります。  これを踏まえて、先ほど申し上げましたけれども、今後、これまでの経緯について日 本側は消費者への説明会等を実施し、アメリカ側においては、その他の施設が大丈夫か どうかについてレビューを実施するということでございまして、これらの結果を踏まえ てこれからの対応を検討するというのが、28、29日に行われた日米専門家会合の結論で ございました。 U.消費者等との意見交換会の概要  次に、消費者等との意見交換会の概要でございます。  4月11日の沖縄県を皮切りに、24日の香川県まで、全国10カ所で説明会、リスコミ を開催いたしました。都合1,200名以上の方にお集まりいただきました。  意見交換会での主な意見の概要です。  米国の調査報告書、米国との協議について、「米国は特異な事例と言うけれども、香港 の例を見ても米国の対応はずさんである」「日本側が提示したルールがなぜ守られなかっ たのか、しっかりと原因究明をすべき」「国民の生命を守るという真摯な対応で米国側と 協議を行ってほしい」「6月開催予定の日米首脳会談に向けて再開を考えているのかどう か」、また、「米国からの圧力によって政治的に輸入再々開をすべきではない」という御 意見をちょうだいいたしました。  今後の対応についてということでは、「米国側の改善措置の精査が第一であり、現時点 では輸入再開には反対である」「すべての対日輸出業者の現地調査を早急に実施するとと もに、輸出プログラム遵守の確認方法の徹底的な検証をしてほしい」「米国に輸入牛肉の BSE検査を求めるべき」「米国側に年齢がわかるシステムの構築を要求すべきではない か」という御意見をちょうだいしました。  今後の対応(その2)ですけれども、「日本での輸入検疫体制を今まで以上に強化して ほしい」「輸入再開にはしっかりとした事前の査察が必要。また、抜き打ち査察を日本側 でできないか」「米国における飼料規制の実態等をしっかり把握すべき」「輸入停止後、 通関できずに保管されている貨物への対応にも留意をしてほしい」「米国産牛肉を食べる 食べないは個々の消費者の選択にゆだねればいいのではないか」という御意見もちょう だいしたところであります。  さらには、「今回の停止措置は残念だったが、これにより米国の対策が強化されるのは いいことではないか。早期の再開を期待する」「一刻も早く輸入を再開してもらいたい」 という御意見もいただきました。  また、「意見交換会や意見募集での意見について、どのように反映されるのか、説明を してほしい。消費者の声が反映されているかどうか疑問である」、その下も同じような御 意見でございました。  情報提供・表示等についてでありますけれども、「リスクコミュニケーションの開催場 所をふやして、多くの国民との意見交換が必要ではないか。また、こういうリスコミに 参加していない国民への情報提供にも力を入れるべきではないか」「消費者が米国産牛肉 かどうかを選択できるよう、加工食品や外食の原産地表示は法律的な表示義務としてほ しい」という御意見もちょうだいいたしました。  これはちょっとあれですが、当時、プリオン専門調査会の委員の再選の時期に当たっ ておりまして、いろんな新聞報道がございました。それについて食品安全委員会の方か ら御説明をいただきましたけれども、そういう説明に対して、このような御意見をちょ うだいしたわけでございます。 V.米国側のレビューの結果  米国側のレビューの結果でございますが、実施期間、実施方法ということでは、実施 期間は2006年4月24日から5月4日までの11日間で、35の施設を対象にレビューを 実施しました。実施をした人間は、AMSという農業販売促進局のプログラムを担当し ている監査官です。確認の内容でございますけれども、施設の手順書で輸出認定施設を リスト化するといった追加要件を含む輸出プログラムの適合性や、認定された輸出プロ グラムに定められた手順の遵守や記録の保管の状況について書面や現場で確認をし、さ らには、施設職員のインタビューをして確認をしたということでございます。  追加措置を含めた対日輸出プログラムと過去の対日輸出牛肉等に関する調査とありま すが、今回のレビューは、二つの内容についてレビューを実施いたしました。  一つは、最初に書いてございますけれども、追加措置を含めた対日輸出プログラムに ついてどうであるかということで、35の施設における本年1月20日以降に追加された 要件、追加措置を含めた対日輸出プログラムについての対応状況はどうであったのかに ついて調査を実施いたしました。  もう一つ、過去に日本に輸出したものについては大丈夫なのかということについても 調査をいたしまして、昨年12月12日から本年1月20日までの間に日本向けに出荷され たすべての製品について追跡調査を実施いたしました。対象の施設は、輸出実績のあっ た25施設を対象にしたわけであります。  米国側による施設のレビュー結果ということで、追加措置を含めた対日輸出プログラ ムの遵守状況について確認をいたしました。レビュー対象35施設の非適合の状況と書い てあります。  少し御説明申し上げますと、この非適合というのは、輸出プログラムに適合していな いということでこの表現を使っています。対日輸出条件に直接違反するものではなくて、 それを担保するために、自ら定めたプログラムの内容に沿ってちゃんとやっているかど うか、もしくは規定された手順書が作成されているかどうかについて確認したものでご ざいます。全く非適合が確認されなかった施設は10施設、重要度の低い非適合のみが確 認された施設は19施設、重要度の高い非適合が確認された施設は6施設ということであ りました。  確認された非適合は、手続や書類上の問題であり、製品の対日輸出条件への適合性等 に影響を及ぼすものではないという報告がアメリカ側からございました。さらには、発 見された問題点については早急に改善予定ということで、5月末までにアメリカ農務省 の農業販売促進局に改善の報告をすることになっていたわけでありますけれども、6月 1日に米国側から、すべての非適合事例に対応した改善措置が講じられたという報告を 受け取っているところでございます。  非適合事例の概要ということでここに書いてあります。  重要度の高い事例では、と畜用に受け入れられた牛のうちの1ロットについて、施設 の記録に牛の月齢の証明が残されていなかった。ここの施設は月齢がわかっているとい う牛の搬入の際に証明書を求めるというマニュアルをつくっていたが、その証明が残さ れていなかったという事例が一つ。また、4月から輸出プログラム要件として追加され たAMSによる製品確認書――これは輸出可能の製品リストのことだと思いますが―― について、手順書が完全に修正されていなかった。  さらには、内部監査が実施されていなかった。この内部監査というのは、輸出プログ ラムにおいては外部監査ということで、AMSの人間が年に2回査察をすることになっ ているわけですが、それではなくて、会社内部の監査部門が内部を監査することも規定 されていまして、その内部監査が実施されていなかったという報告もございました。ま た、不適格品についての分別管理を明記した手順書が保持されていなかったという報告 もございました。  重要度の高い事例として、4月から輸出プログラム要件とされた輸出国別製品コード が必要なわけでありますけれども、そのかわりに北米食肉加工協会の識別番号を用いて いたという事例もありました。また、20カ月齢以下の枝肉由来製品の製品番号が30カ 月齢未満の枝肉由来製品にも使用されていたという報告もあったということであります。  重要度の低い事例ということでは、ここにも記載しておりますけれども、品質マニュ アルがQSAプログラムの要件である記録の適切な保管に関する規定がなかったという こと。また、先ほど出てまいりましたけれども、内部監査を四半期に1回実施すること が品質マニュアルに規定をされていたけれども、1回目の監査の後に監査を実施してい なかったという事例も報告されました。  そして、企業の供給先リストでは、輸出プログラム用の製品の供給は外部から受けな いことになっていたけれども、品質マニュアルと輸出手順書にその変更が反映されてい なかったということ。さらには、品質マニュアルで定められている書類の改正番号や日 付の明記が一部の書類についてなされていなかった。また、書類のページ番号が記載さ れていないページがあったという事例も報告されたわけでございます。  そういうレビューの結果でありますが、もう一つ、過去の対日輸出牛肉等に関する調 査ということで、既に輸出されたものについてはどうであったのかという調査結果であ りますけれども、昨年12月12日から本年1月20日までの間に25施設で処理され、対 日輸出された牛肉等については、保管されていた記録を検証した結果、問題点は発見さ れなかったという報告を受けているところであります。  過去の対日輸出牛肉等に関する調査ということで、具体的なレビューの結果としては、 入手可能なすべての製品・出荷記録をレビューした結果、20カ月齢以下の牛由来または A40要件を満たしていることを確認した。製品名、製品コードをレビューした結果、輸 出された製品には頭部、腸は含まれず、骨つき肉、骨なし肉、ハラミ、横隔膜、舌のみ が輸出されていることを確認した。出荷記録及び製造記録をレビューした結果、頭部、 脊髄、回腸、遠位部、脊柱は除去されていたことを確認したという報告を受けました。 W.今後の対応(輸入手続再開の考え方)  今後の対応ということで、対応の基本的な考え方でございます。  日本側はこれまで、米国政府に対し、徹底した原因の究明と十分な再発防止策を検討 し、その報告を要求してきました。これはこれまで御説明したとおりであります。これ を受けまして、米国側が改善措置と対日輸出施設の再調査を実施したということであり ます。その結果については、先ほども申し上げましたように、特段の不合理なものやお かしいものがあったということは今のところないと理解しているところであります。  日本側としては、今回のような事例が起きることのないように、前回及び今回もやっ てございます消費者等との意見交換会の結果を踏まえて、日本側による対日輸出認定施 設の事前確認調査を実施する等の追加の改善措置について米側と調整する。今回いろん なお考えを説明し、消費者の方々の御意見を聞いた上で、日本側による考え方を整理し、 その結果を踏まえて、対日輸出施設の事前確認調査を実施すること等についてアメリカ 側と調整をするという段階です。  さらにその次の段階として、今回の意見交換を踏まえたアメリカ側との調整が終わり 次第、日本側による対日輸出認定施設の調査を行い、対日輸出条件を遵守する体制が整 っているかどうかを検証するというのが対応の基本的な考え方でございます。具体的に は、米国が対日輸出プログラムについて遵守できるという具体的な調査結果を出してき たということですが、日本側としては、今度はそれを検証するという段階に来ていると いう認識でございますし、輸入手続の再開を前提とした行政対応について、今後進んで いくべきと考えているわけであります。そういうことについて、今回の意見交換会を開 催して皆様方の御意見をちょうだいするということでございます。  事案の発生以降米国側が行った強化対策です。  施設における問題点としては、施設の従業員が対日輸出プログラムを理解していない という問題点がありました。これについては、今回の監査において、AMSが施設の役 員のみならず職員についても理解度の確認をした。また、施設の手順書で、いわゆるポ ジティブリストですが、その施設が一体どういうものが輸出できるかという輸出認定製 品をリスト化する。さらには、抜き打ち監査を実施するということが改善措置でござい ます。  検査における問題点としては、FSIS検査官が対日輸出プログラムを理解していな かったことについての改善措置ということで、検査官への輸出プログラム研修の受講と 修了試験の義務づけということで、きちっと理解しているかどうか、研修を行った上で テストを実施するということ。さらには、施設を担当する検査官の研修修了まで施設認 定を与えない。また、先ほども出てまいりましたけれども、抜き打ち監査を実施すると いうのが改善措置でございます。  農務省における問題としては、農務省内にある両機関、プログラムの認可を行ってい るAMS、農業販売促進局と、現場にいてと畜検査、衛生検査を実施しているFSIS との連携不足があったということであります。この連携不足を解消するための改善措置 ということで、AMSが管理する輸出認定製品のリストをFSIS検査官へ随時提供す る。さらには、AMSが輸出適格品であることを確認する文書を発行する。従来は、F SISの検査官が輸出証明書を出していましたけれども、その輸出証明書を出す前に、 AMSがきちっと大丈夫であると確認した文書を出した上で、それをFSISの検査官 が確認して輸出証明書を出すという手続を導入するということであります。  今回新たに要請した追加措置につきましては、今回の専門家会合で新たに要請し、ア メリカ側と意見交換を行った追加措置ということでございます。  今回新たに要請した追加措置としては、4月に実施した消費者等との意見交換会で出 された意見等を踏まえまして、今回の日米専門家会合で以下の3点について米国側に要 請いたしました。  1点目として、輸入再開前にすべての対日輸出認定施設における日本側の事前調査を 実施し、問題のないと判断された施設のみを輸入手続再開の対象にする。12月の段階で は再開後に調査に行っていましたけれども、そうではなくて、輸入再開前に日本側が調 査を実施するというのが1点目。  それから2点目として、対日輸出認定施設ごとに日本向け輸出認定製品リストを提供 してもらう。仮に輸入再々開になって貨物が日本の港に届いた場合、輸入時の検査を強 化するわけでありますが、現物を見ることとは別に書類上のチェックも行います。従来 は衛生証明書をチェックしていましたけれども、今回の事案のように、アトランティッ ク社からそもそも輸出してはいけない内臓が輸出されていたこともありますので、そこ の施設は一体何が輸出できるのかについて我々も情報を持って、輸入時にそれと合わせ てチェックを実施することを可能にするために、輸出向け製品リストの提供をアメリカ 側に求めます。  3点目として、米側が実施する対日輸出認定施設の抜き打ち監査への日本側の同行に ついてもアメリカ側と意見交換をさせていただきました。  日本側の事前確認調査ということで、要請している措置の概要でありますけれども、 米国側の施設レビューのフォローアップでありますとか、米国側の強化対策の履行状況 等を確認し、輸出プログラムが遵守されているかを確認するため、すべての対日輸出認 定施設について、実際の輸入再開前に日本側が調査を実施すること。御承知のとおり、 これにつきましては、4月の消費者との意見交換会で、先ほど御紹介いたしましたけれ ども、輸入再開にはしっかりとした事前の査察が必要であるという御意見もいただきま したし、さらには、米国の日本向け輸出認定施設はすべて事前に日本として査察すべき という御意見もいただきました。これを踏まえて、アメリカ側とこういう内容について 意見交換をしたということであります。  要請している措置の概要の2番目としては、水際検査の段階で、当該施設から日本へ 輸出することが認められた製品かどうかのチェックを、米国の証明書に頼るのみではな くて日本側もちゃんと行うために、すべての対日輸出認定施設ごとの対日輸出製品のリ ストを日本側に提供するように、これも意見交換をいたしました。下に書いてあります けれども、これにつきましても、脊柱つきの牛肉が見つかったのは偶然である、日本で の輸入検疫体制を強化すべきという御意見をちょうだいして、こういう意見交換をさせ ていただいているわけであります。  それから、抜き打ち査察への同行ということでございます。対日輸出プログラムがし っかりと遵守されていることを日本として現地で確認するために、米国側による強化対 策として施設への抜き打ち監査を実施すると先ほど御紹介申し上げましたが、日本側も それに同行して、米国側がちゃんと抜き打ちをやっているかどうかも含めて確認すると いうことであります。これにつきましても、4月の消費者等との意見交換会で、米国の 施設に対して抜き打ちで検査することが求められないのか、日本側は抜き打ち査察をで きないのかという御意見をちょうだいし、そういう意見を踏まえましてアメリカ側と意 見交換をさせていただいたということでございます。  日本国内において新たに講じようとする措置です。  先ほどの4月のリスコミでの意見交換の際に出た意見にもございましたけれども、日 本の水際で検査を強化する、さらには輸入業者に対して輸出プログラムの再度の周知徹 底を図るというのが、日本側において新たに講じようとする措置の内容でございます。  日本国内において新たに講じようとする措置として、日本の水際での検査の強化とい うことで、ここに細かな数字が書いてございます。12月12日から今年の1月20日まで の間に米国産牛肉に適用していた検査は全ロット検査ということで、農林水産省、厚生 労働省の対応が書いてございます。厚生労働省は、届出数量に応じて、要するに輸入さ れる箱の数に応じて開梱する数を決めています。大体平均10%ぐらい現場で箱を開けて いるということでございます。今後の強化ということでは、開梱数のさらなる強化を検 討するということと、その他の追加措置と右下に書いてございますけれども、先ほど御 紹介申し上げましたように、施設ごとの日本向け輸出認定製品リストを用いて、書類審 査時に証明書の記載品との突合を実施することについても今後適用することにしていま す。  輸入業者等に対する輸出プログラムの周知でありますけれども、昨年12月の輸入再開 時には、主として輸入業者を対象にした説明会、さらには文書の配布を行って、水際で の検疫強化措置や輸出プログラムに基づく輸出認定施設の情報等を提供したところであ りますけれども、今後の米国産牛肉の輸入手続の再開に当たって、こういう輸入業者に 加えて、流通の方とか、もうちょっと幅広く関係の業者の方々を対象とした説明会を開 催して周知徹底を図っていくということでございます。  さらに、輸入手続停止中貨物への対応でございます。  現在、港に輸入手続を停止してございます在庫は、正確な数字ではありませんけれど も、約1,000トン程度あると聞いております。輸入手続停止中の貨物については、先ほ ど御紹介申し上げましたけれども、米国のレビューの結果、昨年12月から本年1月20 日までの間に25施設で処理され対日輸出された牛肉等については、保管されていた記録 を検証した結果、問題点は発見できなかったというのが第1番目でございます。  そういうことでありますけれども、日本側による事前確認調査実施後、これはちょっ と順番が違いますけれども、まず事前調査を実施し、その結果に問題がなければ輸入手 続の停止を解除します。そうすると届け出が始まるわけでありますので、その際に、当 該貨物について輸入業者の力もかりながら全箱を確認するということで、今手続停止中 の貨物についても、問題がなければ輸入を認めるということでどうかと考えているわけ であります。 X.香港、台湾における骨片混入事例の概要  最後になりますが、香港、台湾は一体どうなったのだろうかということであります。  日米の話ではありませんけれども、これがなぜ重要かというと、日本−香港、日本− 台湾では合意の基準が違いまして、例えば、台湾とアメリカ、香港とアメリカ間では30 カ月齢以下で骨なし肉の輸出というのが条件になっていますが、そういう中で、先ほど 御紹介申し上げましたけれども、香港で3例、台湾で1例、骨が見つかったということ で、日本の国民の方々は、アメリカはルールを守れないのではないかという懸念が大変 あったわけであります。それについて、一体どういう状況になっているのかを専門家会 合で確認いたしました。  ここに概要が書いてありますが、本年3月から5月にかけて、香港、台湾において、 米国産牛肉への骨片の混入を確認いたしました。都合4件でございます。輸入国政府は、 骨なし(boneless)という条件でありますので、輸入条件違反であるとして当該施設か らの輸入を停止しました。すべてではなくて、それを出荷したアメリカのパッカーから の貨物を停止したということであります。当該骨片は特定危険部位ではないものであり、 食品の安全性の問題ではないというのが輸入国政府の立場でございます。要は、基準、 ルールを守っていない。安全性の問題というよりは、取り決めたルールを守っていなか ったという立場でございます。  米国側の考えとしては、カナダ、メキシコとの間では同様の取り決めにおいて骨片の 混入は許容範囲とされている。要するにNAFTAという北米の経済貿易圏では骨片が これぐらいあってもよいという許容範囲を決めているわけですけれども、香港、台湾の 間ではそういう取り決めがなされていなかったということでございました。それで、骨 片が混入した製品のみ不良品扱いとすること等について輸出国側に要請しているけれど も、なかなか問題の解決に時間がかかるということで、アメリカ側は現実的な対応を模 索しているということでした。アメリカ政府が今回の事案についての調査報告書を提出 し、さらに、業界が自主的に骨片混入防止措置を強化して問題解決を図ると言っている わけであります。  なお、下にちょっと書いてありますけれども、何回も申し上げますが、我が国の輸出 条件は、SRM全部の除去と20カ月齢以下ということでありまして、当該骨片が入るこ とは我が国では違反ではないということであります。  香港、台湾における骨片混入事例の概要ということで、ちょっとここに書いてござい ます。香港が3例、台湾が1例。公表日はそれぞれこういう状況になっています。施設 名もここに書いてあるとおりであります。混入した骨の種類もここに書いてございます。 輸入国による対応は、先ほど申し上げましたように、当該施設からの輸入を停止すると いうことであります。  香港@に「腰椎の横突起」と記載してありますが、このスライドに示します、背骨の ところの横に出っ張っている骨の部分が入っていたというのが香港側の話でございまし た。  これで私の説明を大体終了いたしますけれども、最後に、米国産牛肉等への対応に関 する情報は、厚生労働省、農林水産省のホームページに掲載してございますし、皆様方 の御意見も随時受け付けています。今回の意見交換会もそうですが、後ほどでも、意見 がある方は、このように御意見を受け付けておりますので、こういうものも活用してい きながら厚生労働省、農林水産省に御意見をいただければ幸いでございます。  とりあえず私の話はこれで終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○司会  ご清聴ありがとうございました。  それではここで、短くて恐縮ですけれども、10分間の休憩といたします。3時05分 に再開いたします。 ―休 憩― (2)意見交換 ○司会  それでは、お時間がまいりましたので、意見交換を始めます。  本日の出席者を紹介いたします。 皆様からごらんになって右から、内閣府食品安全委員会事務局勧告広報課、齊藤リスク コミュニケーション専門官です。  農林水産省大臣官房、伊地知参事官です。  先ほど御説明申し上げました、厚生労働省食品安全部監視安全課、桑崎課長です。  最後に、厚生労働省大臣官房、藤井参事官です。  意見交換の議事進行及び閉会までの以降の司会につきましては、藤井参事官にお願い いたします。 ○藤井厚生労働省大臣官房参事官  厚生労働省の藤井でございます。意見交換会、後半の部の進行役を務めさせていただ きたいと思いますが、ここからは座ってやらせていただきたいと思います。  今回の意見交換会の募集の御案内でも御理解をいただいていると思いますが、米国か らの牛肉の輸入は今、輸入手続の停止という形をとっております。輸入手続を再開する ために、先ほど御説明したような、アメリカ側に要求をすること、また、日本側でいろ いろと上乗せをして対策を講じることを考えております。それらについて、皆様から率 直な御意見をいただきたいというのが趣旨でございますので、できるだけその趣旨に沿 って意見交換会を進めさせていただきたいと思います。  何度も御出席をいただいている方については、この意見交換会の進め方の約束事を十 分御理解いただいていると思いますが、初めて御出席いただいた方があろうかと思いま すので、一応進め方の約束事について御説明させていただきたいと思います。  先ほどの説明に御意見、御要望等がある方は、挙手をお願いいたしまして、私の方か ら御発言いただく方を指名させていただきます。係りの者がマイクをお持ちしますので、 発言に先立ちまして、お名前と、お差し支えがなければ御所属をお願いしたいと思いま す。できるだけ多くの方に御発言いただきたいと思いますので、1回の御発言は2分以 内にお願いしたいと思います。1分半が経過いたしましたら、事務局の方で1回ベルを 鳴らします。今のようにベルをならしましたら取りまとめに入ってください。2分たち ましたら2回ベルを鳴らします。そうしますと、他の方にお譲りいただきたいと思いま す。行政からの発言につきましては、誤解があってはいけませんので、時間を2分と区 切ることはいたしませんが、できるだけ簡潔に行っていただきたいと思います。  まず最初に、休憩前に行政側の方から説明いたしました内容に対する質問をお受けし たいと思います。その後、輸入手続再開の考え方について幅広く御意見をいただきたい と思います。会場の都合で、午後4時半には終了したいと思いますので、皆様方の御理 解と御協力をお願いいたします。  それではまず、先ほどの説明内容について疑問がある方から御質問をいただきたいと 思います。御発言を希望される方は挙手でお知らせをいただきたいと思います。  それでは、特に説明内容について御質問がないということでありますので、広く一般 の御意見等も含めて御発言があれば、お受けしたいと思います。挙手でお知らせいただ きたいと思います。  それでは、最初に3列目の黒い服の女性の方、そして、右から2列目の前から2列目 の男性の方、お二人続けて御発言をお願いしたいと思います。 ○参加者1  座ったままでよろしいですか。 ○藤井参事官  どちらでも結構でございます。 ○参加者1  消費者の加藤と申します。  先ほどの御説明の中で、日本がさらに強化するとナンバー42のところでおっしゃった んですけれども、そのさらなる強化の詳細を知りたいんです。 ○藤井参事官  ええと、スライドの42ですか。 ○参加者1  41番でした。41のところに「日本国内において新たに講じようとする措置A」があり ますよね。「日本の水際での検査の強化」ということで、そこに右と左があるんですけれ ども、農水省と厚労省がやられたというこれは以前の検査ですよね。以前というか、禁 止になる前の検査の結果で、さらなる強化というのは今回やられる強化ですよね。違い ますか。 ○藤井参事官  その具体的な中身をお尋ねしたいということですね。 ○参加者1(加藤)  はい、そうです。  それともう1点、スライド43から輸入手続停止中の貨物というところがありまして、 先ほど約1,000トン在庫があるとおっしゃいました。以前4月18日のリスクコミュニケ ーションに来ましたときの手続未完了で港に保管という数字は765.9トンなんですけれ ども、それと違いますのはどうしてでしょうか。  そのときの説明では、昨年12月以降の輸入量は全体で1,496トンあって、手続未完了 で港に保管してあるのが私が先ほど言いました765.9トンで、通関済みのものは730.1 トンという説明をここで受けました。通関済みの730.1トンというのは、もう市場に出 回っているんですか。その辺がちょっとわからないもんですから、教えてください。  以上2点です。 ○藤井参事官  わかりました。それでは、続けて男性の方、御発言をお願いいたします。 ○参加者2  大阪から参りました全大阪消費者団体連絡会の飯田と申します。  三つ質問がございます。  スライド番号で言いますと31番ですが、@に「AMSが施設の役職員の理解度を確認」 と書いてあります。この「役職員」の中には従業員の方は含まれるのでしょうか。実際 に作業をする人が含まれるのかどうかを伺いたい。これが1点目です。  それから、35番の追加措置の一つ目に「事前調査を実施」ということがあるんですが、 この調査は文書、記録等を見て調査をするのでしょうか。あるいはまた、現場の作業も 含めて調査の対象にするのでしょうか、そこを教えていただきたいと思います。それが 2点目です。  もう1点は、説明の中にはなかったんですが、スライドの参考資料の4番目のところ に査察の内容について少し詳しく書いてあります。その日本による査察の二つ目のとこ ろに、「現場においてルールどおりに実施されているかの確認」という記述がございまし て、その内容が書いてあります。  この査察をやろうと思いますと、実際に日本向けのプログラムに沿った作業が行われ ている場を見ない限りできないと考えられます。先ほどの説明でいきますと事前の査察 をするということだったんですが、アメリカのレビューにおきましても、日本向けのプ ログラムが実際に行われていないので、現場の作業については見ていない。つまり、レ ビューについては、アメリカは文書による確認だけしかしていないという報告がありま す。そういう意味で言いますと、日本側の事前査察においては、現場の作業をデモンス トレーションのような形でやらない限り見られないことになってしまいます。実際の作 業も含めて見ると書いてあるわけですが、それはどうやって解決するのかを伺いたいと 思います。  以上、3点です。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  お二人の方からは、特に、具体的に資料と資料に附属している参考資料のページ数を 指示しての御質問がありました。順次こちらの方からお答えをさせていただきたいと思 います。 ○桑崎課長  まず第1点目ですが、パワーポイントの41番の「日本国内において新たに講じようと する措置」ということで、水際での検査強化の今後の対応で、全ロット検査は変わらな いけれども、開梱数についてはさらなる強化をするというが、その具体的な内容をとい うことでした。  実は、こういうところがリスコミで関係者の方々に十分な御意見をいただきながら詰 めていく一つのテーマなのですね。非常にいい提案をいただいたと思います。今こうす るというふうに決めているわけではありませんけれども、いずれにしても、強化をする 方向は間違いない。それを具体的にどう強化するかは、こういう場で御意見をちょうだ いしながら十分に詰めていきたい。いろんなやり方があります。我々行政がやるのか、 もしくは輸入者に対する何らかの措置を加えるのか。いろんなツールもあります。そう いう中で御意見をいただければ、我々はそれをしっかり受けとめて検討していきたいと いうのが1点です。  それから、1,000トンとはどういうことなのかという数字の話がございました。  前回のパワーポイントで御説明をすると、昨年12月の末から1月20日までの輸入量 は1,496トンという数字を出しました。このうち手続が未了のものは765トンございま す。通関済み、要するに処理が終わっているものが730トンで、このうち調査対象が575 トンで、国内に流通しているものについて開梱も含めて調査を実施したということでし たので、この時点では765トンでございました。これは厚生省の話でございますので、 手続上は、厚生省の検疫所に来る前に動物検疫所をクリアしなくちゃいけないというこ ともございます。そういう数字をトータルで考えると、我々がしっかり数字を持ってい るわけではありませんし、また、後ほど農林水産省からもコメントをいただきますが、 大体1,000トンぐらいの貨物が港でとまっているのではないかと我々は推測をしていま す。 ○伊地知参事官  数量につきましては、今御説明がありましたように、厚生労働省の方に届け出があっ たもので先ほどの御説明がされたわけですが、その後、輸入業者も含めまして調査をし た結果では、未通関が1,580トン程度ありました。ただ、輸入がなかなか認められない ので、シップバックという形で送り返されたもの、ほかの国に回されたもの等がござい まして、 5月30日の時点で未通関のものが、約1,000トンだと聞いております。 ○桑崎課長  それから、パワーポイントの31番目で、「監査において、AMSが施設の役職員の理 解度を確認」ということで、現場で働いている人間についても確認をしているのかとい うことでした。  今回、実はそこが大変大事なところで、すべての従業員に確認するというのは物理的 に不可能ですけれども、従来はマネジャークラス――課長さんと言っていいのかどうか ちょっとわかりませんが、マネジャーと言っています――の人が組織を統括し作業をさ せているものですから、アメリカは、そのマネジャークラスについてはちゃんと確認を していると説明していました。でも、実際上作業をしているのは現場の人間で、その人 が十分理解しないと輸出プログラムは機能しないことが今回の事例でわかりましたので、 そこについては我々も、マネジャークラスだけではなくて、実際に働いている人間につ いてもきちっと確認して、理解しているかどうかを調べてほしいというお願いを申し上 げました。  そういう意味で、スライドは「役職員」となっておりますので、役員、マネジャーク ラスだけじゃなくて、実際に現場で働いている人間についても調査の対象としてインタ ビューをし、その理解度を確認したと報告を受けています。  それから、35番目でしたが、手続がいろいろありまして、先ほど説明いたしましたよ うに、まず今回のリスコミで日本側の措置について御意見をいただきますと、それを踏 まえて日本側の措置を確認し、アメリカ側と調整をするという段階もありますけれども、 その次の段階で、それがかたまったならば事前の調査に行きます。  ここのところも大事な指摘ですけれども、事前の調査ですから施設はとまっており、 日本向けの処理はしていません。ここのところはどうしても避けて通れません。事前の 調査をやると言った以上は、実際に動いているときの調査ではなくて、動く前の話だも のですから、そこでは日本向けの作業はしていない。  ただし、調査の内容としては、先ほど言いましたように、輸出プログラムの内容とか、 改善状況とか、検査官が十分に理解しているかどうか。それから、先ほどもお話がござ いましたけれども、施設従業者がちゃんとプログラムを理解しているか、さらに記録は どうなのかということを、施設に立ち入って調査をします。また、全部が全部できない かもしれませんけれども、今我々が考えているのは、少なくともいくつかの施設につい ては日本向けのデモをやってもらって、その内容も確認できればいいなとは考えていま す。  もちろんアメリカ側との調整がありますので、今後の検討課題ではありますけれども、 今御指摘のような点も含めて考えていかなくちゃいけないのではないかと思っています。 ○藤井参事官  いろいろと御質問という形でありましたけれども、今厚生労働省の桑崎課長からお答 えをさせていただきましたように、こういうことをアメリカ側に要求すればいいんでは ないか、日本側としてこういうことをすればいいんではないかということを整理して、 今回御説明をしたことになります。それについても少し具体的に、こういうことをすべ きではないかとか、逆にいえば、ここまでする必要はないんじゃないかとか、あわせて こういうことも追加的にやるべきじゃないかとかいう形での御意見もいただければ、大 変ありがたいと思っております。  ちなみに、課長からもありましたように、水際での検査について、昨年の12月12日 から今回の事例が発覚しました1月20日までは、ほかの輸入食品に比べてかなり強化を した検査体制をしいておりましたが、もし今回輸入が再々開という形になった場合には、 それに加えてもう少し強化していく必要があるんではないかというのが、現時点での役 所側の考え方であります。それについて、こういうことをした方がいいんではないかと いう御示唆等がありましたら、御発言をいただきたいと思います。  それに関してということでしょうか。それではどうぞ。 ○参加者3  岐阜県から来ました獣医師の八竹と申します。  今、桑崎課長さんからいろいろ御苦労なさった御報告がございましたけれども、私、 消費者の一人としても、アメリカの肉なんて全く信用していないんです。あの巨大な中 で物理的にまともなことができるはずがないんです。今の水際ということもありますけ れども、今度輸入が再開された場合も、実際問題できないと思うんですね。  その上に、最後の項で骨つきということがありましたけれども、私もかなり前にアメ リカの日本向けに生産している農家を訪ねたことがあるんですが、抗生物質を使ってい る。なぜかといったら、日本のような飼い方じゃないんですよね。日本へ出荷するのは、 狭い牛舎に詰め込んで、入舎してから出荷するまで糞の処理もしないんです。蹄叉腐乱 を起こすからといって抗生物質を常用しているでしょう。  入れる前にやっていることは、ホルモン剤を入れています。これは日本が要求するか らだと言うんです。要求しているんじゃないんですね。脂を乗せるためであって、そう いう単純なことで入れているんです。日本ではこれを禁止していますけれども、このホ ルモン剤の検査は、実際問題は港湾でできないですね。できる範囲内のことと言われて いますけれども、そういうような問題についてはどのようになさるのか。落ちた問題が まだ随分ありますけれども、まずこれについて対応策をお答えいただきたいと思います。 ○藤井参事官  御質問の趣旨は、水際での検査で、例えば、アメリカの方で抗生物質とかホルモン剤 を使っていることがきちんと検査できるのかということでよろしいでしょうか。 ○桑崎課長  BSEの問題とはちょっと離れて、輸入食品全体について今どういう段取りになって いるのかを説明申し上げた方がいいと思います。  平成15年に食品衛生法が改正されまして、輸入品、国内品ともそうですけれども、監 視指導計画というのをつくって、そこで計画的に効率的に輸入時の検査を実施するとい うことで、これも実はリスコミをしています。毎年度つくることになっていますが、今 年はこういう動物医薬品やこういう農薬をこれぐらい検査しますよという計画をつくっ て、国民の方々にその状況をお知らせし、御意見もちょうだいして、毎年毎年その計画 に基づいて輸入時の検査を強化しています。  いろんな国から輸入食品が入っていますけれども、動物医薬品についても検査の対象 にしています。アメリカから来る牛肉についても、今は件数が出てまいりませんけれど も、話がございました肥育ホルモンや抗生物質などについてもモニタリング検査を実施 して、問題があるものについては検査を強化しています。  12月のときに輸入された時には、BSE以外に、実際上は貨物ごとに肥育ホルモンと 動物医薬品については検査を実施しています。その結果については問題がないというこ とになっています。そういう意味で、我々は、BSEとは別に農薬とか動物医薬品の輸 入時の検査体制についても、従来よりもはるかに強化しています。その結果についても 公表しています。中間報告的なこともしていますので、そんなものも御参考にしていた だければいいと思います。  いずれにしても、我々が何も検査をしないでアメリカ産牛肉をパスしているというこ とじゃなくて、動物医薬品も農薬も含め、計画に基づいて適正に輸入時検査を強化して いるということについて、ぜひ御理解をちょうだいしたいと思います。 ○藤井参事官  それでは、ほかに御発言がある方、手を挙げていただければと思います。  一番左の真ん中ぐらいの男性の方と、左から2番目の後ろの方の真ん中の女性の方と、 その後ろの男性の方、3名の方に続けて御発言をいただきたいと思います。 ○参加者4  山田です。大阪から来ました。  輸入のときに、アメリカはアメリカ合衆国、日本国は日本国の名前のもとに国民に約 束した。それがだめだったということは、いかにアメリカと日本の政府がでたらめかと いうことの一つの証明だ。だから、でたらめだという認定書を両方ともいただいたとい う前提で考えます。  それから、アメリカのマスコミを見ますと、官僚から下まで、この病原体についての 認識が――広義の意味で「ヤンキー」といいますけれども――ヤンキーにはほとんど理 解されていないと思います。だから、モチベーションですね。トップに米国民やら輸出 する先の国民を病原体から絶対守ろうというモチベーションがない。そこのところを見 ていかないとちょっとあれだと思います。  それから、これは皮肉ではなしに、今壇上にいらっしゃる官僚の方、それから国会議 員の方にしばらく米国産牛肉だけを食べていただいて、防衛庁の方でもいいですけれど も、10年間ぐらいフォローさせていただいて、どれぐらい発症するのかを1回見ていた だきたい。自分がかからないとしたら動物実験としては非常におもしろいんです。アメ リカ人には狂牛病についての理解もないですし、どんどん食べていますし、においも何 もしないので、10年20年でどれぐらいアメリカや日本の国民から狂牛病が発症するか、 非常に興味深いと思います。  以上です。 ○藤井参事官  それでは、続けて次の方、お願いします。 ○参加者5  消費者団体のめいきん生協の仙田と申します。  2点質問があります。  1点目は、先ほども出ましたけれども、アメリカへの新しい要請の3点について、こ の点をいつの時点で要請されて、その結果どんな答えが返ってきたのかを聞かせていた だきたい。ここは多分まだ結果が返ってきていないのではないかという予測はできます が。  もう1点ですけれども、食品にゼロリスクはないことは私ども十分承知しております。 その中で、アメリカの牛肉が入ってきた場合、先回の4月の意見交換会の中で「米国産 牛肉を食べる食べないは個々の消費者の選択にゆだねればよい」という発言があったと 出ておりますが、でもやはり、そのときに食べる食べないを自己判断する条件が一体ど うなのかということが一番大事な問題だと思います。  そこで、意見の概要Dのところに、「消費者が米国産牛肉かどうかを選択できるよう、 加工食品や外食の原産地表示は法律的な表示義務とすべき」という御意見が出されてお りますけれども、これに対する明快な答えをいただかないと、消費者として安心はでき ない。ゼロリスクではないですから、安全であるかもしれないけれども、安心できない。 ここの部分について、本当に行政として、日本の国の立場としてどういうふうに判断を されているのか、そこら辺をはっきり聞かせていただきたいと思います。 ○藤井参事官  それでは、引き続いて後ろの方。 ○参加者6  井上と申します。生産者団体です。  まず、先ほど来出ておりますパワーポイント41ページの水際での検査強化ですけれど も、今までの対応が、農水省さんと厚労省さんの間では、この数字を見る限りで言いま すと、農水省さんの場合は0.5%ですから、600梱包で最低3梱包ということになろうか と思いますし、厚労省さんの場合はそれぞれ箱単位で何箱と書いてございます。これを 見る限り非常に温度差が高いような気がしますが、ここら辺のところを、国の機関でご ざいますので、できましたら協議機関みたいなものをつくられて、農水省さんも厚労省 さんも一緒にこういった検査体制のさらなる強化をしていっていただく、こういうよう なことを考えていただいたらいいんではないかと思うことが1点でございます。  それから、先ほどの動物医薬云々の話ではないんですけど、トレーサビリティーのア メリカ国内における正確性の辺に関して、ほかの資料には一部書いてあるんですけれど も、「日本向けに出荷された製品について、有効なトレーサビリティーシステムを有して いたこと」というふうにさらっと流してあるだけで、日本国内で今和牛を飼っておる場 合のトレーサビリティーシステムと比べてどうなのかといった比較を検討されたことが あるのか。  あと一つは、米国産牛肉につきまして、今度5月29日からポジティブリスト制度が施 行されていると思いますけれども、その中の規定はどのようになっているのか、この点 についてちょっとお答えいただければと思います。  以上でございます。 ○藤井参事官  ありがとうございました。それでは、こちらの方から順次回答させていただきたいと 思います。 ○桑崎課長  最初の方の御質問は、ちょっと聞き取れなかった部分もあるんですけれども、アメリ カはどうも信用ならぬ、認定もでたらめではないか、もしくは従業員のモチベーション も低いのではないかというような御質問だと理解をしてお答えをさせていただきます。  先ほどもちょっと申し上げましたが、今回の事案が起きて、我々の問題意識は、まず 2事例について認定が正しかったかどうかということについて十分にアメリカ側と確認 をする必要がある。それからもう1点は、その他は本当に大丈夫なのか。そういう問題 意識を持って、先ほど来説明を申し上げましたように、まずはアメリカ側でその他の施 設についてレビューを実施してほしいと要請したわけです。  2施設については、先ほど説明申し上げましたとおり、当時は認定に問題はないと考 えていたけれども、今から考えれば改善すべき事項があったんだという説明でございま した。したがって、その改善すべき事項について今回追加の措置が加わったということ でございます。それから、その他の施設についてもアメリカ側がレビューをして、先ほ ど説明をしましたような内容の報告があったということであります。  それはアメリカ側の報告で我々も理解をしましたが、今度のステップは、もしも仮に 御意見がまとまって、アメリカ側と調整がすめば、我々が行ってその検証をする番だと いうことです。その中でしっかり確認をするべき事項は確認をさせていただきたいと考 えています。  それから、35について、今回新たに要請した追加措置の3点をいつ要請したのかにつ いては、専門家会合で意見交換をして要請をしたわけであります。アメリカ側の反応は、 私の理解では、前向きであったと理解しています。しかし、それは今後、先ほども申し 上げましたように、こういう御意見の結果も踏まえて再度アメリカ側と調整するという 段階だろうと思います。  表示の話については、後ほど農水省の方から御説明を申し上げたいと思います。  輸入時の検査について、農水と厚労で開梱数の違いもあり、今後は十分に調整をして やってほしいという御意見でございました。それについても後ほど参事官の方から御説 明を申し上げます。  それから、ポジティブリストについて照会がありました。実は先ほどの御質問とかな り似ているのですが、まず、ポジティブリストとは何かをちょっと御紹介申し上げた方 がいいと思います。  従来は、ポジティブリストではなくて、動物医薬品も農薬も、基準があるものについ てはその基準を超えてはいけない、基準がないものについてはよほど多量に含まれてい るものでない限り、基本的には食品衛生法違反とならないという制度でございました。 5月29日から施行されたポジティブリストは、基準があるものはもちろん基準をクリア しなくちゃいけないが、基準がないものについては、一律基準ということで0.01ppmが いろんな物質にかかってくるという規制でございます。したがって、今までは抜けがあ ったけれども、ポジティブリスト施行以降は、すべての動物医薬品、農薬、飼料添加物 について規制の網がかぶることになっています。  先ほども御説明申し上げましたが、こういう制度の施行を踏まえて、検疫所において もポジティブリストについてどのように対応するのか、今検討してきているわけです。 基本的には、輸入時の検査項目をふやさなくちゃいけないということで、農薬について は今たしか200数十項目ですけれども、これを倍増するぐらいの体制で検査を強化して いきたいと考えているところでございます。  以上です。 ○伊地知参事官  表示の関係を御説明いたします。  御承知のとおり、表示につきまして、生鮮食料品につきましては原産国表示が義務づ けをされております。私どもが生鮮物に表示しているのは、品質に差があるものについ て、その品質についての情報を消費者に提供するという観点から、JAS法に基づいて 実施しているわけです。  加工品と外食関係でございますが、加工品につきましては、そういう意味では、生鮮 品に比べて品質面での差が余り大きくないということで、これまで義務づけされており ません。ただ、消費者の関心もあり、意見をいろいろ踏まえながら、生鮮に近いものな どにも、できるものはできるだけ表示をしていこうということで、加工品につきまして、 生鮮に近いもの20食品群を今年の10月から義務化することになっております。その中 には牛肉関係も含まれております。  ただ、加工品のすべてについて義務化することは、これはJAS法でかなりの罰則を かけていまして、法人については、違反があった場合には1億円以下の罰金というよう な、かなり厳しい罰則がかけられますので、それをすべてのものについて表示をせよと いうと、加工品生産者にとって加工品を生産できなくなる場合もあるわけですね。  そもそも、加工品をつくっている方は、必ずしも毎回同じ場所からでなく、どういう ものが来ているかわかっているとはかぎりません。場合によっては、需給関係で違う国 のものも使わなくちゃいけないし、はっきり国名がわからないものを調達しなくちゃい けない場合もあります。安全なものを供給するのは当然のことでございますが、品質面 での違いで、すべての表示を義務化することはなかなか難しい状況にあることを御理解 いただきたいと思います。  外食も同じように、いつも原産国がわかっているものだけを調達しているわけではご ざいません。これも品質面だけでいきますと、生鮮物とは違った特質があります。外食 につきましては、必ずしも調達しているものの原産国がわからなくても、そういうもの を商売として提供している方もいるわけでございまして、義務化というのは、こういう 方々にもかなり負担が大きいのではないかということです。  ただ、そういうことができるところについてはできる限り積極的にやってもらおうと いうことで、ガイドラインをつくりまして、その推進に努めているところでございます。 すべてのものへの表示を罰則つきで義務化するというのはなかなか難しいので、できる ところは積極的に支援をしていこうという形でやっていきたいというのが基本的な考え 方でございます。  あと、トレーサビリティーでございます。  商品を追跡できたという意味でのトレーサビリティーというお話がアメリカの報告書 では出ていたと思います。追跡調査をして、全部さかのぼって確認することができたと いう意味でトレーサビリティーがしっかりしているという話があるわけですが、先ほど の御質問は、生産段階でのトレーサビリティーだと理解しておりますので、そのことに ついて御説明をいたします。  日本では、2003年12月からトレーサビリティーが義務化されております。これは生 年月日も記録が義務化されています。ただ、トレーサビリティーというのは、そもそも 生年月日を把握するのが目的ではなく、そのものがどういう経歴で、どういう経過を通 ってきているかを知るのが主な目的でございます。したがいまして、国によっては生年 月日は義務化されておりません。  豪州の場合もそういう制度を導入していますけれども、生年月日は義務化されていな くて、どういう経過を通ってきたか、出荷者からどこの農場に行って、その農場からど この屠畜場に出荷され、その屠畜場からどこの肉屋さんに行ったかとかいうことがわか るというようなトレースができるという意味でのトレーサビリティーでございます。  カナダにつきましても、日本よりも早く、2002年7月から義務化されておりますけれ ども、生年月日については義務化されておりません。任意でございます。ただ、日本へ の輸出条件として月齢の条件がありますので、それについては任意でありますけれども、 積極的に生年月日もちゃんと記録していくという対応をとっているということです。  アメリカは2004年にこの制度の導入をしておりますけれども、試験的導入でございま して、2009年をめどに義務化をしていきたいということで進めてきております。まだ試 験段階であります。アメリカの場合も、トレーサビリティーのシステムそのもので生年 月日を義務化しているわけではありませんし、制度そのものもまだ義務化されておりま せん。ただ、日本向けに輸出する場合には、月齢の要件を満たすために生年月日を記録 するという、独自の個体、群でのEVプログラムの中での仕組みを活用しているという ことでございます。  それと、検疫の関係でございます。厚生労働省と農林水産省で違うので、もう少し連 携をしてということでございます。  言われるとおりのところもございますが、ただ、全く同じというわけにはいかないと いう事情もございます。動物検疫所は、家畜防疫の観点、家畜の伝染病の侵入を防止す るという観点からの検疫が目的でございます。厚生労働省の場合は食品衛生ということ でやっておりまして、目的等が少し違っているところもありますので、全く同じものと いうわけにはいかないことがあって、これまで違った対応がなされてきております。  ただ、今回0.5%というと「何だ、これだけしかやっていないのか」という印象をか なり持たれて、少ないという御批判を受けるわけですけれども、今回実際にアメリカ産 牛肉が輸入された際の実績を見てみますと、強化をいたしております。  それまでは6割のロットで、全ロットを調べていたわけではございませんでしたが、 厚労省も農水省も全ロットを調べましょうということ。それから、ロットの中の箱数を どうするかということで、厚労省の場合は箱の数に応じてあけ、農林省の場合は0.5% というのがありましたけれども、最低3箱、もし部位が違った場合には全部位をあける ということで対応してきた結果、当初アメリカから航空便で入ってきたものについては、 結果として約4割の箱をあけております。船便で入ってきたものは、箱数が多いもので すから率が落ちますけれども、全体でも、実績でいきますと18%ぐらいは結果としてあ けております。  今後さらにどういう形で強化していくかは、厚生労働省とも相談しながら、できるだ け連携をとれるところは連携をとって協力してやっていきたいと考えております。 ○藤井参事官  それでは、また別の項目も含めて、御発言がある方、挙手をお願いしたいと思います。  できるだけ最初の方を優先したいと思うんですが、今のところ3名手が挙がっていま して、まず最初に、真ん中の列の前から3分の1ぐらいの方、そして、2回目の御発言 になりますが、お二人の方、続けて御発言をお願いします。 ○参加者7  全国焼肉協会の山田と申します。  ちょっと論点が違うところもありますが、質問ではなくてほとんど意見です。  現在までに日米においてBSEに感染した人間は一人もいない、つまり、新型ヤコブ 病になった人は一人もいないということであります。この事実をもっと皆さんに御認識 いただきたいと思います。  そもそも、BSEの問題は肉骨粉の禁止で全部なくなるということが、現在までの経 緯から見て言えるわけであります。そういうことで日本も法律で禁止になっております ので、これからBSEの問題は発生しないと考えても問題ありません。アメリカは2億 何千万人も人間がいて、一人も感染していないという事実をもっと重視しなければいけ ないんじゃないかということであります。  それから、日本の行政判断では21カ月、23カ月がBSEとなっておりますが、しか し、農水省の研究所の実験によりますと、2匹のマウスにこれをうつしたんであります が、2年以上たっても現在まで全く感染していない。ということは、21カ月、23カ月齢 はBSEと言っておりますが、海外の判断では、これはBSEではないということであ ります。したがって、日本の輸入条件でありますところの20カ月齢以下ということを緩 和してもらって、早急にOIEの基準でもあるところの30カ月以下にとりあえずしてい ただきたいということであります。  以上です。 ○藤井参事官  それでは、続けて御発言を。 ○参加者2  済みません。2回目ですが、大阪消団連の飯田と申します。  三つ意見を申し上げます。  一つは、香港、台湾の問題の考え方です。この事項をどう評価するかについてですけ れども、この事例を日本向けの基準に照らしてSRMではないということで済ますので はなくて、問題の核心は、アメリカ側が出荷するに際して台湾、香港の輸出条件を遵守 できなかったという問題をどう解明するのかというところにポイントがあると思います。 これが1点です。  2点目は、先ほどの質問との関係ですが、査察の問題です。事前査察すること自身に ついては賛成しますが、現場の作業を見る際に、デモンストレーションで判断をすると いうのはちょっと安心できないと私は思います。一定の稼働をしたところでもって、稼 働した日常の作業の中で査察を行う、そういう視点が必要ではないかと思います。それ が二つ目です。  三つ目に、これは報告にはないんですが、昨年の米国公文書で公開されました6,000 カ所の違反事例1,036件のうち、公開事例が800数十件あります。このデータを日本政 府は持っていると言われております。私は、この違反記録の個表をきちっと公開すべき だと思います。  意見だけです。 ○参加者3  先ほどの伊地知さんの答弁に関することですが、検査体制を私は成田の現地で実際に 厚生省の紹介で2回見ているんです。見ているけれども、あの膨大なものの中で果たし て5%できるのか。人員もあれだけでできっこないと思うんですね。  それと、先ほど桑崎課長さんが説明しておられました中で、ホルモン剤は出なかった というけれども、どういう計算法なのか。今肉への残留問題で言われているのは、ホル モン剤は800mgぐらいのものを入れるんでしょう。そうすると、単位はナノミリ単位の ものでしょう。どういう検査方法なのか。全く出なかったのか。基準量がどれぐらいの ものなのか、それをちょっと教えていただきたい。  また、今はすぐにできるんですか。検査でも数日かかるんでしょう。その間、検査対 象の肉はどうなっているのかについてもお教えいただきたいと思います。 ○藤井参事官  それでは、また御発言はいただきますが、今3人の方から御発言をいただきましたこ とについて、行政の方から発言をさせていただきたいと思います。 ○桑崎課長  21、23カ月という件について御意見がありました。これは大事なところなので、私か らも少し御意見を申し上げた方がいいと思います。  我が国では、BSEについて陽性の判断をするときには、専門家会議を開いて陽性か 否かを判断しています。その時、異常プリオンが検出されたということはどういうこと なのか、現在の知見では、異常プリオンが検出されるのは、BSE以外にないのではな いかという判断を専門家会議でしていただきました。したがって、専門家会議で陽性と 判断をいただき、そういう行政措置をとったということでございます。  今のお話の中で、諸外国ではこれはBSEではないというお話がございましたけれど も、私自身はそれを聞いたことはありません。21、23カ月齢についても、たしかOIE の専門家会合で我が国から報告をさせていただいて、そのときに特段の御意見がなかっ たとも聞いておりますし、文献も出しているということですから、21、23カ月齢につい てはBSEと判断しているということについて、ぜひ御理解をいただきたいと思います。  それから、OIEの話は後ほど参事官からお答えをちょうだいします。  台湾、香港の事例をどうするのかということで、要はルールを守らなかったことが重 要だろうと。我々も全く同じ認識でアメリカ側に聞いています。中身がSRMじゃない ということは輸出国側も輸入国側も言っておりますが、それはそれとして、ルールが守 れるかどうかについて、日本の国民の方々の大変な関心があったし、我々もそのことに ついてしつこくアメリカ側に確認しているということであります。  アメリカ側は、専門家会議で、先ほどちょっと申し上げましたけれども、NAFTA では骨片の許容量について基準を決めている。たまたま香港と台湾については、そうい う基準を決めることなしに30カ月、ボーンレスになった。そのことについては、ルール 設定の問題上、アメリカにも反省すべき点があったという説明でありましたけれども、 いずれにしてもルールはルールでございます。この点について我々も大変関心を持って いて、すぐアメリカ側に聞いたわけです。結論としては、先ほど申し上げたようなこと であります。  いずれにしても、日米間でも決められているルールがきちっと遵守できるように、こ れからも引き続きアメリカ側に対応を求めていくし、我々も事前調査、その他の問題も 含めてしっかり確認をしていきたいと思っています。  それから、事前調査ではわかることが限られているという御指摘でございますが、事 前調査はあくまで事前調査です。その後に、実際上は、稼働している段階での定期的な 調査ということも考えています。あわせて、先ほど御説明しましたけれども、アメリカ 側の抜き打ち査察に同行するということも考えておりますので、こういう調査なり同行 を通じて、アメリカ側が遵守できているかどうかについても確認していきたいと思って います。  それから、ノンコンプライアンスレコードの話ですが、我が方は個表を入手していま すが、公開の話については、ちょっと今ここでお答えできませんので、検討させていた だかなければいかぬ案件かと思っております。  それから、ちょっと今手元にデータがないのですが、肥育ホルモンについて、日本は 3物質について基準をつくっています。食品衛生法に基づく残留基準値をつくっていま す。これに基づいて食品衛生上「適」かどうかを判断しています。その数字が今ござい ますが、ポジリス施行以後たくさん基準ができてきましたので、済みませんが、後ほど この資料をお渡しするということでよろしゅうございましょうか。 ○伊地知参事官  OIE基準は30カ月齢以下だから、それに合わせて輸入条件を変えろという御指摘だ と思いますが、もしかしたら前にもお話ししたかもしれませんけれども、私ども食品安 全委員会でのリスク評価の結果を踏まえてリスク管理措置をとっているということで、 30カ月齢以下でのリスク評価をやっていただいたわけではございません。私どもがリス ク評価の結果いただいているのは、20カ月齢以下で特定危険部位を除くということでの 評価をいただいておりますので、この評価を踏まえた管理措置ということでやっていき たいと考えております。  ですから、直ちに30カ月齢に引き上げるというリスク管理措置をとるということでは なくて、食品安全委員会でリスク評価をいただいた結果で管理措置をとっていくという ことでございます。  あと、検疫の関係で5%は大変だと、これは本当に大変なことなんです。参考にも一 番最後の6ページに載っておりますけれども、諸外国でも数%というのはありませんで、 海外でも「0.6〜1.5」とか「0.2」とか、かなり率が低いことは事実でございます。動物 検疫所では0.5%でやっていたので、低いという印象を持たれるかもしれませんけれど も、実績は、先ほど申し上げましたように18%のものをあけていたということです。輸 入が再開されて停止されるまでの間にやった検査は、実績として18%程度だったという ことでございます。 ○藤井参事官  では、引き続き、別のことも含めて結構ですが。  それでは、前の方で手を挙げておられる4人、一番前列の女性の方、2列目の女性の 方、その後ろの男性の方、そして、その後ろの男性の方。4人の方に続けて御発言をい ただきたいと思います。 ○参加者8  名古屋市の会社員で杉山と申します。消費者の一人として勉強しに参りました。  私も消費者の一人として意見を申し上げたいと思っております。  今日のお話を聞きまして、また、新聞やテレビの報道を見ながら、輸入の再開はそう 遠くないのかなという感想を持っております。そうなった折には、私個人としては、米 国産牛肉をいただこうと思っている消費者の一人です。  と申しますのは、スーパーなどへ買い物に行っても牛肉が高くなっているんです。お いしいもの、いいものがお高いのは納得がいくんですけれども、輸入停止前だったらそ れほどでもなかったはずのランクのお肉ですとか、オーストラリアのお肉ですとかがい っぱしの値段がついて売られている。何か腑に落ちないなと思います。もっと言えば、 だれがもうけているのかなという気にもなっちゃいます。やっぱり商品の価値に見合う お値段でショッピングしたいなというのが、お金を出す人間として思うことなんですね。  一方で、職場の仲間と焼肉を食べに行くとなると、値上げをしていらっしゃるか、値 上げをせずに我慢していらっしゃるんだったら、お肉が小さく薄くなり、焼いてもかり かりになっちゃっておいしくない。こんなことだったら満足できないなということをな じみの店員さんに申しますと、それでも青息吐息で、仕入れが高くて、これでももうけ は出せていないとおっしゃる。  このように、一方で苦しんでみえる業界があり、一方では前と同じものでも高く売れ る業界がある。そういういびつな市場がこのまま続いちゃうのは、国としても不幸だな と。苦しんでいる業界から職場も減っていくだろうし、税収も減っていくだろう。私は、 米国産のお肉が輸入されて、適正な価格で買い物をしたり外食したりできるようになれ ばいいなと思っている一人です。 ○藤井参事官  ありがとうございました。一応御意見、御要望ということでよろしいでしょうか。  では、次の女性の方、お願いいたします。 ○参加者9  消費者の藤田です。  参考資料の2ですが、「日本向けに輸入可能となる牛肉等 カット肉、内臓 ※ひき肉 や肉加工製品は日本向け輸出プログラムの対象外」と書いてあります。  2001年の厚生労働省の報告にもあったんですけれども、牛のBSEから感染する人の 変異型ヤコブ病の発症率はある遺伝子に集中していることがわかっており、ヨーロッパ ではこのタイプが40%ぐらいなのに対して、日本人は何と93%がこのタイプの遺伝子を 持っているということで、私たち日本人は、BSEに感染した牛を食べた場合、93%の 人が危険だということを見ました。  このまま輸入が再開されると、牛肉だけでなく、危険部位から取った牛肉エキスが入 っているブイヨンやレトルト食品、離乳食などの加工品に病原体が忍び込むおそれがあ ると思うんですね。気づかずに食卓に上ることになるということで、私はとても心配し ているんです。私たち国民の健康を守るために、こういったひき肉や肉加工製品などに 関しても、ぜひ輸出プログラムを適用してほしいと思います。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、続けてお願いします。 ○参加者10  名古屋の出版社経営の種村でございます。  リスクコミュニケーションには、私牛肉に大変関心がありますので、四国にも伺いま したし、福岡にも伺いまして、私自身大変勉強をしたと思っております。  その中で、今日の桑崎課長の御報告は大変説得力があり、一歩大きな前進をしている と思っております。といいますのは、この問題の発端は、全頭検査ということで日本国 民の間に狂牛病パニックが起きまして、日本中がゼロリスク探求症候群になってしまっ た。これは農水省、厚労省のどちらの責任か今は言いませんけれども、これはよくない と思うんですね。  先ほど消費者団体の方もゼロリスクは食品にありませんとおっしゃった。でも、これ によって消費者団体の方も本当に真剣にこの問題に取り組まれました。私は、日本の食 品の安全を実現していく上で、これは大変すばらしいことだと思います。ただ、この時 点で、もし日本で100頭狂牛病が出たとしましても、国立の先生や厚生労働省の資料に も出ていますが、0.1人しか日本では発症しないんです。本当にそうなんです。  今たばこで9万5,000人が毎年亡くなっているんです。これをほうっておいてはいけ ない。毎年9万5,000人の日本人が亡くなっている。私は、このエネルギーでたばこの 害のリスクコミュニケーションをやられるべきだと思うんです。本当にそうだと思うん です。  厚労省、農水省は、物すごくパワーをかけて、税金をかけてやっているわけですね。 私は、そういう点では、農水、厚労両省が全力を挙げて一刻も早く国民を説得して、政 治決着じゃなく、学者の方も安全だと言っているわけですから、自信を持って踏み切る べきだと思います。ゼロリスク探求症候群を日本から一掃する。しかし、ここまで来た のは消費者団体の方々の努力、パワーも私は大変すごいと思います。 ○藤井参事官  そろそろまとめていただけますか。 ○参加者10  はい。もうあと10秒で終わります。済みません。  先日も私、新幹線に乗りました。禁煙車は空気がきれいです。喫煙者はごほんごほん になります。ですから、このエネルギーをそちらに向けていくときに差しかかっている んじゃないかと思います。  どうもありがとうございます。 ○藤井参事官  それでは、次の男性の方、お願いします。 ○参加者11  私も焼肉協会の水野と申します。いつもお顔を拝見している方も多いんであれなんで すが、質問は2点です。  前回参事官からお答えをいただけなかったんですけれども、今回、輸入を再開してい ただきたいと思っているのは一緒ですが、また万が一手違いで危険部位、脊髄、脊柱が 入ったりするようなときには、台湾等々は業者だけを輸入停止にすると言われておるん ですけれども、日本としては、万が一そういうことがあれば全部停止にされてしまうの か。質問はその1点です。  あと、意見の方は、先ほどからおっしゃっていますように、やはり安全で安心なもの を食べなければいけないんですけれども、別に商売がどうのこうのというわけではあり ませんが、それによって生計を成してみえる人もあります。皆さんおっしゃっているよ うに、アメリカの方も、日本に対して間違った病気のものを売ろうという姿勢はないと 思います。どんなに立派な、どんなにきちっとした法律なりを整備しても、人間がやる ことですので、どうしてもミスがあったりチョンボがあったりすることはあると思いま す。その辺のところをもう少し寛容な気持ちでやっていかないと。  今皆さんには、アメリカ産の牛肉だけを目のかたきにして、世界で一番悪い食べ物じ ゃないかというような感覚が出ております。例は悪いかもしれませんけれども、例えば、 トヨタの自動車に向こうでブレーキ事故によるけががあって、アメリカが日本製の車は 全部輸入禁止だということになれば、大きな問題になると思います。食べ物と車を一緒 にしてはいけないと思いますけれども、基本的な考え方は一緒のことであります。です から、私はアメリカも日本に対して安全なものを売ろう、やっていこうという考えがあ るので、もう少しその辺は大きな気持ちで迎え入れて、早急に輸入を再開していただき たいと思います。私の意見です。 ○藤井参事官  それでは、今4人の方から御意見等をいただきましたので、それについて行政の方か らお答えをさせていただきたいと思います。  最初に、クロイツフェルト・ヤコブ病にかかりやすい遺伝子型のことについて指摘が ありましたので、まず食品安全委員会の方から。 ○齊藤内閣府食品安全委員会事務局勧告広報課リスクコミュニケーション専門官  食品安全委員会の齊藤でございます。  vCJDの発症が非常に気になりますという御意見でございましたけれども、食品安 全委員会では、平成16年9月に中間取りまとめをまとめております。その中で一定程度 の評価をしておりますので、これを御紹介したいと思います。  まず1点、BSEにつきましては、科学的、生物学的な知見が非常に限られておりま すので、科学的に不確実な点が多いことを念頭に置きまして、種々の前提を置いた形に なりますけれども、その中で、日本におきまして本格的なBSEの対策が始まる前、つ まり、2001年10月以前に日本人が食べてしまったことによるvCJDの発症リスクを 検証しております。先ほど申しましたとおり、科学的、生物学的知見が非常に限られて いるということで、疫学的な方法でアプローチをして検討しておりますが、この結果、 先ほどちょっと御説明がありましたけれども、やはり0.1人から0.9人の発症という評 価を得ております。  2点目に、本格的なBSEの対応が始まった後のことでございますが、これにつきま しては、適切な特定危険部位の除去等の対策が今後も進んでいくのであれば、vCJD に感染するリスクはほとんど排除されると評価しているところでございます。  この評価を読んで、自分自身もちょっとほっとしたという経験を持っております。  以上でございます。 ○桑崎課長  今のことに関連して、参考の2のひき肉の話がありました。ひき肉も輸出プログラム の対象にすべきだという御意見ですけれども、輸出プログラムの対象外ということは、 輸出できないということです。ちょっとそこだけは私の方から訂正をさせていただいた 方がいいかなと思います。ここに書いてあるとおり、今輸出できるのは、カット肉と内 臓に限られていることだけ最初に申し上げた方がいいと思います。 ○伊地知参事官  あと、輸入を再々開する前に余りこういう議論をするのは、適当かどうかなんですけ れども、違反が今後あった場合どうするのか。今回輸入手続の停止をしたのは、輸入再 開の初期の段階で、この違反がシステムにかかわるものか、その施設特有のものかをち ゃんと見きわめる必要がある、原因究明をしてもらう必要があるということでとられた 措置でございます。今、そういうルール違反が起こらないように最大限の努力をしまし ょうということで、アメリカに対しては、徹底した原因究明と再発防止策を求めてきた わけです。それを受けて、日本側で今後それを検証していくという段階にあるわけでご ざいます。  その先どうするのかというのは、結論から言うと、現時点では決まっていません。こ れは、現時点で考えてもルール化するのがなかなか難しいということがあります。シス テム全体にかかわる問題なのか、その施設だけの問題なのかというのは、個々の事例で 判断していく必要がありまして、どういう原因で、その違反の内容がどういう状況かを 機械的に一律にルール化できるかどうかということも含めて、今後の検討の課題だと思 っております。現時点ではそういう結論は出ておりません。 ○藤井参事官  先ほどの4名の方からの御発言の多くが御意見なり御要望だったと受けとめさせてい ただきまして、行政側としてコメントをさせていただいたのは以上のようなことという ことで御理解いただきたいと思います。  そろそろ時間も短くなってきたんですが、あと3名か4名の方から御発言をいただい て、それで御発言をいただくのは終わりにさせていただきたいと思います。御発言を希 望される方は手を挙げていただけますか。  それでは、今手を挙げておられる4名の方で最後にしたいと思います。一番右側の列 の女性の方、そして、真ん中の列の前から3列目の男性と女性の方、そして、一番左側 の列の真ん中ほどの男性の方、その4名で終わりにしたいと思いますので、順次発言を お願いいたします。 ○参加者12  加藤と申します。食育アドバイザーとして主に子供たちを対象として活動しています。  各省から出されるパンフレットや、今日いただきました食育月間の案内のチラシにも あります栄養バランスガイドなどを説明しているんですけれども、食育を進める上で重 要な要素に、食糧自給率40%の危機とか、地産地消を推進しようとか、栄養のことでは 脂質の過剰による栄養バランスの崩れや生活習慣病、メタボリックシンドロームなどが 問題になっています。  米国のお肉が安全と認められて輸入が再開された場合、たくさんの安くておいしい牛 肉が消費者のもとに来るわけですけれども、そのときに、食育の観点から、日本人の健 康や自給率のことなどに関して、国は国民に対しどういうPRをするのか。輸入再開以 前と何か違うような対応があるのでしょうか。  それから、私の身近なことでは、子供たちに対して輸入が再開されたらどのように説 明したらいいのか、御提示ください。 ○藤井参事官  それでは、続けて男性の方、お願いします。 ○参加者13  私、岐阜市で焼肉屋を経営しております新井と申します。一応和牛専門でやっており ます。  米国産の牛肉が輸入禁止になって和牛に需要が殺到し、値段もどんどん上がっていま す。実際に私どもも今は赤字です。でも、和牛の農家の方もすごく困っているんです。 もうかっていない。ところが、例えば舌に関しては、オーストラリア、ニュージーラン ドの商品を使うんですが、これも値段がどんどん上がっちゃったんです。最近になって、 輸入再開を直前にして相場は落ちついたんですが、舌なんかは赤字で売っておりました。  私が聞きたいのは、米国産牛肉の輸入が禁止されたと同時に、和牛も値段がどんどん 上がっちゃう。そして、オーストラリア産も値段が上がる。肉屋さんに聞きますと、和 牛が上がったら、それに合わせてオーストラリアの相場も上がるんだそうです。そうい う行政の価格に対する監視状態というのはどのようにされているんですか。経営してい まして、私いつもそれを不思議に思うんです。それをちょっとお聞きしたいと思います。 よろしくお願いします。 ○藤井参事官  では、隣の女性の方、続いてお願いします。 ○参加者1  先ほど日本でのvCJDの患者が0.1〜0.9人だというお話が何回もあったんですけ れども、この数字については、プリオン専門調査会の中でもひとり歩きするおそれがあ ると専門家の方が言われているんですが、結果、それがひとり歩きしてしまったという ことがあります。  それから、線引きの問題も同じように、詳しいことは申しませんけれども、そこにつ いても線引きはできないと調査会の委員がおっしゃっているんですね。その方は、いろ んなことがありまして、今回やめられた6人の中に入っていらっしゃいますけれども、 皆さんがおっしゃっているような内容と違うことを私はすごく思っています。  先ほどのアメリカと日本のBSE対策の比較のことでも、私の意見としては、日本と アメリカの検査対象の頭数の問題とか、特定危険部位(SRM)の問題、それから飼料 規制の問題、トレーサビリティーの問題、全部見ましても、私はアメリカ産の牛肉は食 べたくありません。やっぱり正しい情報をもっと流してほしいと思います。プリオン専 門調査会の問題もいろいろありましたので、もう少し公開していただきたいと思います。 意見です。お願いします。 [挙手あり] ○藤井参事官  もう時間が迫ってますから、最後にそちらの男性の方、お願いします。 ○参加者4  米国側も行政側も、はっきり言って信頼度はゼロだと思っております。灰色の中で輸 入再開ということになったら、これはもう政治的決着になると思います。  それから、病原体自身も非常に未知な部分が多い。ということは、将来の国民の生命 の危険性の拡大が予想を超えることも十分に考えられる。アスベストの危険性は、その ときに薄々考えられたのに無視して、今物すごく拡大して物すごいお金がかかっていま すよね。そういうことがBSEでも起こらないとは限らない。だから、壇上にいらっし ゃる方も含めて、もしゴーサインを出されるとしたら、将来の子供たちとかに物すごい 責任を負わせることになります。それだけ言っておきます。 ○藤井参事官  もうこちらの方からお答えをさせていただいて、それで、先ほどお約束をしたとおり に、会場からの御発言はこれで終わりにするということで御了承いただきたいと思いま す。  それでは、今御発言があったのは、意見なり要望という形での御発言が多かったと思 いますが、その幾つかについて、こちらの方からコメントをさせていただきたいと思い ます。 ○伊地知参事官  食育と米国産牛肉の輸入問題は、直接的に関係しているものではないと思うんです。 それで、安くておいしい牛肉がどんどん入ってきたら食べなさいと言うのかどうかとい うことですけれども、少なくとも、そういうことで私どもが米国産牛肉の消費拡大の運 動とか推進をするつもりはございません。これは経済活動とか、また別の次元での考え 方だと思います。私は、農林水産省の立場からいえば、やはり自給率向上ということで、 米国産牛肉の消費拡大というような活動をやるつもりはございませんし、省としても、 米国産牛肉の消費拡大という形でやることはありません。  米国産牛肉の輸入問題は、あくまでも科学的に対応すべき問題であって、政治的にや られる問題ではないと思っております。これはあくまでも科学的な知見に基づいて実務 的に進めていくべき問題だと考えております。食育を米国産牛肉とどう絡めていってい いかというのは、大変申しわけないんですけれども、現時点で私は具体的な考えを持っ ておりません。機会があったら、また食育の担当の人に伝えたいと思います。  それと、需給の関係でございますが、和牛の農家ももうかっていないということがあ りました。これもちょっと話がそれるかもしれないんですけれども、和牛では、繁殖農 家、子牛の生産農家はもうかっていると思います。ただ、高い子牛を買って肥育する農 家は大変厳しい状況になっている。それで、今後ますます大変になるんじゃないかと懸 念しています。子牛は過去最高ぐらいの値段になっていますので、子牛の生産農家はい いんですけれども、肥育して肉につくるところが大変な状況にある。  それと、価格的にはどうかというと、全体のパイが少なくなれば、需給関係で価格は 上がると思います。ただ、和牛が上がっているのは、米国産牛肉の問題以外の要因もあ ると思います。和牛の本物志向とかいうことが出てきている部分もあるのではないかと 思います。全体のパイは、アメリカが減った分、豪州がふやしてはおりますけれども、 全体では元の水準まで達しておりませんので、需要があれば価格が上がります。そうい う価格を我々行政が操作するということはやっておりません。それは市場での需給関係 で決まってきます。そこにはいろんな方の思惑も絡んできていると思います。ただ、行 政でコントロールするということは、価格が異常に下がった場合の支援とかいう形では やっていますけれども、あくまでもそこは需給関係で決まってくると考えております。 ○齊藤専門官  0.1〜0.9人に対して、一部の先生方に十分コンセンサスが得られたものじゃないんじ ゃないかという御意見だったと思いますけれども、中間取りまとめを行った際、きちん と専門調査会の中で議論を行って、その先生方もそこに参加をされて決まったと認識し ておりますので、そのようなことはないと私どもは考えております。 ○藤井参事官  会場の方々からさまざまな御意見、御要望を今回いただいたと思います。その中で、 私ども行政の方としてコメントできるもの、コメントしなければならないものについて はできるだけさせていただいたとは思いますが、中には少しコメントが抜け落ちてしま ったような部分もあるかもわかりません。その点については御了承をいただきたいと思 います。  今回いただきました御意見、御要望につきましては、今後、ほかの全国10カ所の会場 の意見交換会のものを含めまして、米国側と輸入手続再開の手続について、どういう措 置をとったらいいかを協議する参考にさせていただきたいと思っております。 3.閉 会 ○藤井参事官  本当に長時間、皆様ありがとうございました。(拍手)  お忙しいところ恐縮ですが、お帰りの際にはアンケートに御協力をいただきたいと思 いますので、その点もよろしくお願いをいたします。 (了)