06/06/01 平成18年6月1日(宮城県仙台市)食品に関するリスクコミュニケ−ション (米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会) 食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会) 日 時:平成18年6月1日(木)14:00〜16:30  於 :エルパーク仙台               1.開       会 ◎司会(吉田厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐)  本日は大変お忙しい中御出席いただきまして、まことにありがとうございま す。  ただいまから、食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉輸入問 題に関する意見交換会)を開催いたします。  私は、本日の司会を務めさせていただきます、厚生労働省医薬食品局食品安 全部企画情報課の吉田佳督と申します。よろしくお願いいたします。  なお、地球温暖化防止等、省エネルギーのために、本年度も本日、6月1日 から9月30日までの期間、政府全体といたしましていわゆるクールビズに取 り組むこととしております。本日の意見交換会もクールビズといたしますので、 御協力のほどよろしくお願いいたします。上着ですとかネクタイの方をとって いただければと思います。御協力のほどお願いいたします。  さて、農林水産省と厚生労働省では1月20日からすべての輸入手続を停止 しているところでありますが、先般、3月28日から29日にかけて、原因や対 策に関する米国側の報告書について日米専門家会合を開催いたしました。そし て、これを受けて日本側では4月11日の那覇会場を皮切りに、24日まで全国 10カ所で意見交換会を開催いたしました。  また、米国側におきましては、対日輸出認定施設のレビューを行い、今般5 月17日から19日にかけて日米専門家会合が開催され、そのレビューの結果に つきまして米国側から聴取したところでございます。  本日の意見交換会は、米国政府の説明の内容及び米国産牛肉の輸入手続再開 の考え方について御説明し、参加者の方々の疑問点やお考えなどについて意見 交換を行うため、全国10カ所で開催するものの1つと位置づけているところ でございます。  初めに、お配りしている資料の確認をさせていただきます。  まず、議事次第がございます。それから、資料といたしまして「米国産牛肉 輸入問題について」という資料でございます。それから「参考資料」でござい ます。日本向けEVプログラムに関するAMS監査結果報告書の概要でござい ます。さらに、参考資料といたしまして「米国・カナダ産牛肉・内臓に係る食 品健康影響評価」でございます。それから、6月は食育月間ということで、今 月は食育月間になっておりますが、その案内の資料でございます。そして「食 品安全エクスプレス」でございます。さらに、「『食品に関するリスクコミュニ ケーション(米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会)』についてのアンケー ト」でございます。さらに、小さな「食事バランスガイド」でございますけれ ども、こちらの方でございます。この資料を用意しております。  また、このアンケートでございますけれども、今後の参考にさせていただく ためのものでございますので、お帰りの際には御協力をお願いいたします。  なお、資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出ください。よろし いでしょうか。  それでは、続きまして、本日の進行について説明いたします。  まず、米国産牛肉輸入問題につきまして1時間程度、説明をいたします。そ の後、10分間程度の休憩時間を挟みまして意見交換に入りたいと思います。  なお、会場の都合上、終了は4時30分までとさせていただきます。  では、米国産牛肉輸入問題につきまして、厚生労働省食品安全部監視安全課 輸入食品安全対策室の道野室長から説明をお願いします。              2.議       事           (1)米国産牛肉輸入問題について ◎道野厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室長  紹介いただきました、厚生労働省医薬食品局食品安全部の道野と申します。 よろしくお願いいたします。  (OHP使用)それでは、プロジェクターに出ている資料はお配りしている 資料と同じですので、どちらか見やすい方を見ていただきながら、私の方から 米国産牛肉の輸入問題についてということで御説明を申し上げます。  きょうの私の方からの説明は、もちろん4月に同じようなリスクコミュニケ ーションをやっていますけれども、きょう初めての方もいらっしゃると思いま すので、簡単にですけれども、これまでの経緯も含めて、御承知の方は少し退 屈かもしれませんけれども、説明をさせていただいた上で、前回のリスクコミ ュニケーションの結果、それから、先月(5月)に日米の専門家会合をやりま したけれども、その際に米国側から提出された対日輸出施設の再調査の結果と いったことについてまず説明をさせていただきます。  その上で、今後の対応ということで、輸入手続の再開の考え方ということで 幾つかの点についてお話をした上で、さらにもう1つ、先日の専門家会合で米 国側から説明あった内容として、同じように米国との間で輸出基準の違反事例 ということで報道等をされている、香港と台湾の骨片の混入事例について米国 側から情報提供ありましたので、そのことについても最後に触れさせていただ きます。  字が小さいのでお手元の資料の方がいいかもしれませんけれども、御承知の とおり、平成15年12月24日に米国でBSEの感染牛1頭が確認されていま す。カナダ生まれの牛ということが後にわかって、アメリカはあれはカナダ生 まれの牛だということで国産牛ではないということだったのですが、その後、 米国産牛でもBES感染牛が確認されているというのは御承知のとおりであ ります。  日本政府としては、この12月24日をもって米国からの牛肉等の輸入を停止 しております。これは、要するに米国においてBSE対策が食肉処理の段階で 講じられていないということがございましたので、そういった病気にかかった 牛について、必要な排除対策であるとか、それから処理段階での衛生対策がと られていないといったものですので、米国のそういった証明は受け入れられな いという判断でございまして、法律に基づいて輸入をストップしたということ でございます。  ただ、前提として、日本もWTO協定を批准している国の1つであるわけで すけれども、こういった貿易のルールとして食品の安全問題に関しても暫定的 な措置というのは確かに認められているわけですけれども、やはり食品の輸出 入ということについては原則自由で例外規制ということでありますので、その 後、米国政府と日本政府の間で貿易の再開という観点から協議を継続したわけ です。  平成17年5月24日に食品安全委員会に輸入再開について諮問をしたわけで すけれども、これまでの間に局長級の会合を4回、専門家レベルの会合を3回 ぐらいやりまして、日米間でのBSEに対する規制の考え方であるとかリスク の考え方であるとかといったものについて、まず相互理解ということを深めた 上で最終的な諮問の内容について詰めていったということになったわけであ ります。  その輸入条件が2つございまして、20カ月齢以下の牛に由来するものであ ること、それから日本国内規制のSRMについてすべて衛生的に除去する、そ ういうことが条件になったわけですけれども、そういった内容について食品安 全委員会の方で、特に専門家の先生方がお集まりになっているプリオン専門調 査会において10回の審議が行われている。  答申については12月8日に行われまして、ここに書いているとおり、先ほ ど申し上げた内容の輸出プログラムが遵守されたと仮定された場合、米国・カ ナダ産牛肉と国内産牛肉とのリスクの差は非常に小さいという答申内容だっ たわけです。  もちろん、上にありますように、米国・カナダのBSEリスクの科学的同等 性を評価するのは困難というもう1つの結論もございました。これに関しては、 この前の諮問としてBSEの国内対策について諮問していまして、国内につい てのリスク評価というのも答申をいただいていたわけですけれども、やはり国 内と比べるとどうしても外国のものというのは、データ等の入手できる範囲と か質といったものについて異なってくる、おのずと制限があるということもあ ります。  もう1つは、こういった輸出プログラム自体は輸入が再開されることが前提 でなければ米国側で動かないということですから、実際にそういった遵守率な どをチェックすることができないということもあったので、1つ目の結論がそ れであるわけです。2つ目の結論については、ではそれを前提と仮定した場合 には、結果としてはリスクの差は非常に小さいですよという2つの結論があっ たわけです。これにつきまして、きょうお配りしている資料の中に「米国・カ ナダ産牛肉・内臓に係わる食品健康影響評価」という資料もございますので、 また後ほどごらんいただければと思います。  そして、昨年12月12日に米国産・カナダ産牛肉の輸入再開を決定いたしま して、行政側のいろいろな対応であるとか、それから基本的な疑問に対するQ &Aといったものもあわせてプレスリリースをして公表したというような流 れでございます。  12月13日から米国とカナダにおける日本向け牛肉の認定施設等の査察とい うことで担当官を派遣して、米国の11カ所、それからカナダの4施設の対日 輸出基準が守られているかどうかということについての検証を行うために査 察を実施したわけでございます。  ことしの1月20日になるわけでございますけれども、報道等でもよく御承 知のとおり、農林水産省の動物検疫所の成田支所でまず発見されたわけでござ いますけれども、脊柱を含む米国産の子牛肉が発見されたと。もちろん当該ロ ットについてはすべて焼却処分ということで、すべての米国産牛肉の輸入手続 を停止。  これは、どうしてこういうふうな話になったかと申しますと、細かなことを 申しますと、1つは米国政府の証明書自体が、日本向けのプログラムに適合し たものですよという証明書がついていた。それから、御承知のとおり、脊柱が 子牛肉にくっついている部位があるわけですね。商業的に使われる部位の名称 も明確に書かれていると。もちろん、証明書と合致するものが、きちんととい うのは変ですけれども、きちんと輸入されてきたということで、何かの間違い でというようなことではなくて、いずれもつじつまが合った形で対日輸出基準 に反するものであったというようなことがあって、これは非常に重大な違反で はないかということがあるわけです。  もう1つは、12月に再開をして1カ月余りですぐにそういったものが出て きたといった内容の重大性と、それから時期から見ても、米国の輸出プログラ ムについて本当に機能しているのかどうかということについて、日本側として はやはり信頼を持っていいのかどうかということが非常に疑問視されたと。そ ういったこともあって、すべての米国産牛肉の輸入手続をストップしたという ようなことであります。  もちろん、12月から輸入が再開され、輸入手続が終了して国内に流通して いるものというのもございましたので、そういったものに関しては輸入業者に お願いをして自主的に調査をしていただいた。もちろん都道府県の方にも協力 いただいて確認等もしていただいたのですが、このとき輸入されていた730ト ンの中に、そういった子牛肉と同様に脊柱等がくっついていたというようなも のはなかったということが2月10日に至って確認されたわけです。  2月17日に、本件につきまして米国側が日本側に対して調査報告書を提出 しています。これは事案が起こった12月20日の直後の24日に政府間で協議 を行いまして、米国には、原因の究明をしっかりした上で再発防止ということ について日本側にきちんと報告をしてほしいということで要請をするととも に、他の対日輸出施設について同じような問題がないかどうかということにつ いても日本側にきちんと説明をするということで要求をしたということの結 果、こういった報告書の提出ということになったわけです。  ただ、この報告書の内容につきましては日米間での認識がなかなか一致しな いということもあって、3月28日、29日の両日、東京で日米の専門家会合と いうことを実施いたしました。  その後、その内容について全国10カ所で意見交換会ということで、4月11 日から24日までの間、こういった形の意見交換会を実施いたしました。  その後、4月24日から5月4日の間、これは後ほどまた申し上げますけれ ども、3月の日米の専門家会合において米国側が、問題のあった2施設以外の 対日輸出施設について問題がないかどうかということについて再調査をやる ということを約束しておりましたので、それが実際に実施されたのが4月24 日から5月4日の間ということであります。  さらに、その結果についてということで、5月17から19日の3日間、実質 的には2日半ほどですけれども、東京で日米の専門家会合を開催したわけでご ざいます。  今回の大もととなった、1月20日に成田空港で発見された脊柱が、混入と いうよりは脊柱を含むと言った方が正しいのかもしれませんけれども、子牛肉 の事案の概要ということでございます。  ここに、ゴールデンヴィール社とアトランティックヴィールアンド・ラム社 と2つの会社があります。ゴールデンヴィール社というのは子牛のと畜施設と いうことで、生きた子牛をと畜解体して、いわゆる枝肉――子牛の場合は余り 枝肉にすることは一般的ではないようですけれども、内臓を取って、まだ背骨 がついた形態の肉の状態になる。そこまでを処理しています。当然、その処理 の間に出てくる内臓とかといったものについての区分けもやっているわけで す。  ゴールデンヴィールというのはオハイオ州にありまして、アトランティック ヴィールアンド・ラム社というのはニューヨーク州。同じ東海岸ですけれども、 かなり離れた場所にございます。  アトランティックヴィールアンド・ラム社では、ゴールデンヴィール社から 持ってきた枝肉もしくはそれに近い形態のものについてカットして、いわゆる おろしといいますか、部分肉と言ったらいいのですか、部分肉形態で出荷をす るという業態のところでございます。  今回は、そういった脊柱肉、いわゆる混入の子牛肉の内容ということでいい ますと、脊柱つきの子牛肉の、この場合には枝肉をゴールデンヴィール社がア トランティックヴィール社に出荷をした。それから内臓についても、特に舌と 胸腺について出荷をしたというようなことでありまして、ゴールデンヴィール 社での問題点というのは、特に内臓について対日輸出プログラムの要件を満た していないというのは、対日輸出用として区分管理をするプログラムがない。 そういう管理要件を設定していないのに、舌と胸腺を対日輸出プログラムを満 たした製品ですよという申告書をくっつけて出荷をしてしまったということ が、1つ問題点としてあります。  それから、アトランティックヴィール社の方では、今度はゴールデンヴィー ル社から仕入れた枝肉の方ですけれども、脊柱を除去せずに、ホテルラックと いう形態というふうに聞いていますけれども、いわゆるぶつ切りの状態という ふうに考えていただいたらいいと思いますけれども、その形で輸出をした。そ れから、対日輸出プログラムを満たした製品の納入記録には記載されていなか ったということに内臓についてもなっていますけれども、申告書がついていた ということもあったのだとは思いますが、舌と胸腺についてもそれで対日輸出 をしてしまった。  この輸出に当たって、これは農務省のFSISの検査官が確認をして輸出証 明書にサインをするわけですけれども、その検査官も対日輸出基準プログラム というものを理解せずに輸出証明書に署名をしてしまった。すごくお粗末な話 なのですけれども、そういったことで今回の事案が起きたということが米国側 の原因調査でわかっているわけです。  それで、3月に行われた専門家会合の概要ということですが、この事案に関 して米国との間で一定の共通の認識を得るということでありまして、今申し上 げたような、ゴールデン社、アトランティック社の施設において今回の事案が 起きた経緯と、この事実関係についてはアメリカ側から詳しく説明を聴取した ということがあります。  それから、もう1つは、農務省の農業販売促進局というところが対日輸出施 設の認定というのを行っているわけですけれども、その認定したQSAマニュ アル自体に改善すべきことがあったということについて共通認識を得たとい うことであります。  具体的にどういうことかというと、(1)の話は基本的にアメリカ側がもとから 主張してきた内容ですけれども、まずは施設が、認定されたQSAのマニュア ルに従わなかったと。もちろん施設が自分で作成をしたQSAマニュアルなわ けで、それを農務省に認定してもらうわけなのですが、その自分でつくったマ ニュアルに従わなかったということが1点。それから、FSISの検査官がそ れをまた発見できなかった。この2点が原因で発生したものであるということ であります。  日本側の疑問としては、そもそも何でこんな施設が認定されたのだろうとい うことがずっと大きな疑問点の1つだったわけですけれども、米国側も、要は、 書類上の問題はなかった、認定基準に合ったQSAマニュアルだったという主 張だったわけですけれども、ただ内容が、さらにもっと具体的で現実的なもの である。要するに、施設側の従事者の一挙手一投足といったことがきちんと詳 しく、どうやって処理すればいいかということが書かれていれば、今回の事案 を防ぐ可能性が高まっていたと考えられるということなのです。  具体的にいいますと、5.1.1というところにSRMの組織の名前がずらっと 並んでいるのですけれども、そういう5.1.1に書いてあるものを除去するとか いう非常に一般的な記載の部分もあったということもあって、実際、本当に施 設の従事者がみんな理解しやすい形だったのかねというようなこともあった というのが具体的な問題の例であります。  3月の専門家会議のフォローアップとして、これまでの件について日本側は 消費者への説明会等を実施する。これは趣旨はどういうことかといいますと、 米国側の先ほど申し上げました輸出プログラムの遵守ということについての 信頼性という問題ですので、やはり一般の方々に説明をし、十分理解いただく ということも大切ですし、私どもも皆さんの意見を聞きながらやはりこの問題 については対処していくことが重要だろうということがあって、そういった説 明会を日本側としてはやりますと。  米国側においては、これは先ほどから申し上げているのですけれども、では 他の施設は本当に大丈夫なのか、同じような問題があるのではないのかという ことを言い続けていたわけですけれども、米国側としても、そういった他の対 日輸出認定施設に対して再調査。それから、もちろんこの事案を契機に再発防 止策ということで幾つかの追加的な対策を講じていますので、そういった追加 的な改善策についての具体化といったものについて調査を行うということに なったわけです。  日本側で行った意見交換会の結果でございます。  ごらんのとおり、全国10カ所で意見交換会を開催いたしました。  意見交換会での結果ということでございますが、まず、米国の調査報告書・ 米国との協議についてということで、やはり米国は、特にこの2施設について は特異な事例で、ほかの施設ではこういうことはないというふうに言っていた のですけれども、今申し上げたとおり、それは調査をせずに、今まで苦情もな かったしということで、そういった問題がほかにはないというふうに米国側は 考えていますよという、この時点ではそういうような米国側の見解でしたので、 やはりずさんなのではないかと。  それから、他国でも輸出基準についての違反があったということもあるでは ないかというようなこと。それから、日本側が提示したルールがなぜ守られな かったのか、しっかりとした原因究明をするべきであるということ。それから、 国民の命を守るという真摯な対応で米国側と協議を行ってほしい。6月に開催 予定の日米首脳会談に向けて再開を考えているのか。米国からの圧力によって 政治的に輸入再々開をすべきではない。こういうような指摘がございました。  それから、今後の対応についてということで、米国側の改善措置の精査とい うことが第一だと。もちろん、その時点での輸入再開というのは反対というこ とであります。さらに、すべての対日輸出業者の現地調査を早急に実施すると ともに、輸出プログラム遵守の確認方法の徹底的な検証を行ってほしい。それ から検査。自主全頭検査も含めてBSE検査を求めるべきではないか。それか ら、米国側に年齢がわかるシステムの構築を要求するべきではないかというこ と。  それから、日本側の輸入検疫体制を強化するべきである。それから、再開に はしっかりとした事前の査察が必要であると。抜き打ち査察もできないか。飼 料規制の実態についてしっかり把握すべきである。それから、輸入停止後、通 関できずに保管されている貨物の対応についても留意するべきである。それか ら、米国産牛肉を食べる食べないは個々の消費者の選択にゆだねればよいとい うようなことです。  さらに、早期の再開を期待すると。その前提として、米国の対策が強化され るということがもちろん前提の御意見です。それから価格の問題としては、実 際、これは事業者の方だと思いますけれども、経営が大変ですよというような こと。それから、こういった意見交換会、意見募集での意見についてどのよう に反映されているのか、それは非常に疑問であるということ。それから、消費 者等からの意見についてきちんと反映をしてほしいというようなことがあり ます。  さらに、情報提供ということで、国民への情報提供に力を入れるべきという ことで、具体的には開催場所を増やしてリスコミをしっかりやりなさいという ようなこと。それから、消費者が米国産牛肉かどうか選択できるように、加工 食品や外食の原産地表示は法律的な表示を義務とすべきというようなことが あります。  その他のものとして、ちょうどプリオン専門調査会の委員の改選の問題が当 時ございましたので、それに対する御懸念であるとか、それから、安全委員会 で再評価を行うべきではないか。それから、今度同じことが起こったら政府の 関係者は辞任するべきだと。さらにもう1つは、国産牛肉の生産振興策という こともしっかり考えるべきではないのか。こういった御指摘がございました。  今申し上げた主な御意見の中で、1つ1つについてここで全部お話ししてい ると時間が終わってしまいますので、この後ずっと、米国側の説明の内容であ るとか、私どもの方の今後の対応の考え方であるとか、そういった説明の中で、 できるだけ私どもの考え方、今後の対応について説明をさせていただきたいと 思いますので、ここで1つ1つについてということは省略をさせていただきま す。  米国側による施設のレビューということで、要するに、同じ問題がほかの施 設にないのか。それから、そもそものそういう輸出プログラムについて、他の 対日輸出の認定施設で問題がなかったかということについて米国側で再調査 を行ったわけです。実施期間はことしの4月24日から5月4日まで、対象は 35施設ということで、対日輸出をしようということで手を挙げている35施設 が対象になっています。実施者は農務省とAMSの査察官ということで、要す るに、対日輸出認定をやっているのと農務省の部局の担当官ということであり ます。  確認の内容としては、輸出プログラムの要件ということで、もちろん去年の 12月に制定されたもの以外に、今回の問題が起きて追加された要件といった ものも含めて、適合しているかどうかということ。それから、認定されて、輸 出プログラムに定められた手順の遵守状況、それから記録の保管状況。後ほど 御紹介しますけれども、25施設については既に対日輸出をしているわけです ので、対日向けの処理もやっていますから記録が残っているわけです。そうい ったことで、そういう記録の検証ということもやると。それから、システム全 体の適正な遵守状況について確認をする。そういったことが内容になっていま す。  この中で、米国側による施設の再調査、レビューの中身として、大きく分け て2つございます。1つは、現時点での対日輸出プログラムがそれぞれの施設 のプログラムについてどうなのかということの調査が1つ。もう1つは、今申 し上げましたけれども、25施設については既に日本向けの処理をして出荷を したということがありますので、それの追跡の調査。  1個目の方の調査は、実際に施設に行って、現場で施設側の管理者にインタ ビューをしたり、職員にインタビューをしたり、それからマニュアルをチェッ クしたり記録の確認をしたりということをしています。それから下側のは、要 は、日本向けに処理した牛の搬入の記録から輸出の記録まですべての記録を集 めて、これはいわゆる机の上でというか、物は日本に着いてしまっていますか らありませんので、そういった記録の内容をずっと洗い直したというような調 査の内容です。  米国側による施設レビューの結果ということでありますけれども、レビュー 対象の35施設の非適合。向こうでは「ノンコンフォーマンス」というふうに 言っていますけれども、輸出プログラムに全く非適合が確認されていなかった 施設が10、重要度が低い非適合のみが確認された施設が19、重要度が高い非 適合を確認された施設が6ということになります。  ここで輸出プログラムというものと対日輸出基準との関係についてちょっ とお話をしておいた方がいいと思うのですけれども、対日輸出の基準というの は、結果として20カ月齢以下の牛に由来するものが、SRMを全部除去され たものが日本に着くということが対日輸出基準なわけです。その基準を担保す るために、いわゆるISO9000という品質管理の国際基準なのですけれども、 それに沿った管理システムを各施設は導入しなさいということで、そういう対 日輸出基準を守るための各施設の仕組み、特に農務省から認定されたものが輸 出プログラムというわけでございまして、その輸出プログラムに違反している かどうか。対日輸出基準に直接違反しているかどうかということではなくて、 それを担保するための品質管理プログラムが認定基準に合っているかどうか、 認定基準上の問題があるかどうかということなので、そこはよくお含みおきの 上で聞いていただければいいのではないかと思います。  そういった対日輸出プログラムを担保するためのいろいろな手続とか書類 とかというものが必要になってくるわけですけれども、そういったものに関し て手続上については書類上の問題点があったということでありました。ただ、 内容自体は製品の対日輸出条件への適合性等に影響を及ぼすというものでは なかった。具体的な内容は後ほど御紹介します。  それから、発見された問題点については早急に改善が予定されているという ことで、5月末までにAMSに改善の報告をしなければならないということで ありました。実際、実はきょうの朝、米国の方からEメールで、今回発見され た非適合事例についてはすべて改善が終了したということの連絡が、一応来て います。ただ、詳細なレポートについてはまた後日ということになると思いま す。  重要度の高い非適合事例というのはどういうものかということなのですけ れども、まず1例目は、屠畜用に受け入れられた牛のうち、1ロットについて 施設の記録中に牛の月齢の証明が残されていなかった。この施設では、要する に20カ月齢以下、月齢確認牛の搬入の際に証明書を出させる。その証明書を 保存するというルールになっていたわけですけれども、その証明書がAMSが 5月に立ち入ったときに残っていなかった。1件、そういうものがあった。  もちろん、日本向けに20カ月齢以下の牛を、要するに月齢が確認できる牛 を実際に育てているフィードロットというのは、それはそれで1つ付加価値が あるわけですね。国内向けというか、ほかの牛であれば月齢がわからないわけ ですから。そういう意味でいうと、日本向けのもの、要するに20カ月齢以下 という証明のついているものというのは付加価値がありますし、特定のフィー ドロットでしかそういうことはやっていませんので。もちろんほかの書類等で 20カ月齢以下という確認はできるわけですけれども、要するに自分でつくっ たルールを確認する証明を残すということについて対応できていなかったと いうことが、重要度の高い事例としてあるわけです。  あと、今回の事例を踏まえて輸出プログラムの要件が追加されているわけで すけれども、手順書の修正が完全にできていなかったというようなことですね。  それから、内部監査と申しまして、これは会社サイドでですね。もちろん自 分の仕事について自分で監査するということはないわけで、他の部門の――普 通は監査部門があるのですけれども、会社内の監査部門がやる監査を内部監査 というのですが、これが実施されていなかったということ。  それから、不適格品について。要するに、対日輸出向けの管理がされていな いものと、されているものというのの分別管理をしなければいけないわけです けれども、その手順書がなかったというようなこと。監査実施当時、当然、こ の施設は日本向けの製品は生産していなかったというようなことです。  あと、4月から輸出プログラムの要件とされた、輸出国別の製品コードを使 用するかわりに北米食肉協会の識別番号を使用していた。これは、各会社ごと に特定の製品コードというのを国別につくらなければいけなかったのですけ れども、協会が使っているユニバーサルなものを使っていたというようなこと です。それから、20カ月齢以下の枝肉由来製品の製品番号が30カ月未満の枝 肉由来製品にも使用されていた。これも上と同じような事例で、製品のコード を適切に指定して使っていなかったというようなことでした。  それから、重要度の低い事例。これは簡単な例を幾つか示しているわけです けれども、まずはマニュアルの保管がしっかりとした規定がなかった。要する に、保管期間だとか、保管場所だとか保管条件というのを決めなければいけな いわけですけれども、それが規定がなかったということ。  それから、先ほどの重要度の高い事例では、内部監査をまだ1回もやってい なかったということだったのです。こっちは1回はやった。だけど、次の内部 監査をやるタイミングが来ているのにしていなかった。そういう事例が重要度 の低い事例ということになります。  それから、企業の供給先リストというもので、外部から受け入れないという ことになっているわけなのですけれども、品質マニュアルと手順書にはその変 更が反映されていなかったというような、要するにマニュアル同士でのつじつ まが合っていなかったというようなこと。  あと、品質マニュアルで定められている書類の改正番号、日付、それからペ ージとかですね。体裁の問題ではあるのですけれども、そういったものについ て一部の書類についてしっかり明記がされていなかったというようなことで す。  こういった非適合事例があって、日本時間でいうときのうまでに改善が確認 をされているわけですけれども、もう1つの方の再調査ということで、昨年の 12月12日から本年の1月20日までの間に25施設で対日輸出のために処理さ れた牛肉があるわけですけれども、保管されている記録を検証した結果、問題 点は発見されなかったということであります。  実際にどういうふうなレビューをやったかということなのですけれども、1 つは製品の出荷の記録ということを確認をしています。そこから屠畜場の中の 処理の記録であるとか、それから生体の受け入れ記録とかといったものをずっ と遡っていくわけですけれども、その中で20カ月齢以下の牛の由来、または 例のA40の要件というのを満たしていることが確認されたということ、それ から製品名・製品コードをレビューしたということなのですけれども、要する にどういう品物が輸出されたかということですが、内容は、骨つき肉、骨なし 肉、それからハラミ、横隔膜──同じものを分けてわざわざ書いていますけれ ども──それから舌のみであるということを確認。  それから、出荷記録、製造記録をレビューした結果、これは特定危険部位(S RM)の除去をしっかりやっているかということの記録があるわけですけれど も、それについては、除去をされていたということが確認できた。もちろん記 録上でありますけれども、確認がされたということです。  米国側からは、このような形で再調査結果について提示があったわけです。 日本側からは前回のリスクコミュニケーションの結果について詳しく説明を した。要するに、日本側ではまだ米国の輸出プログラムの遵守ということにつ いての信頼というのはなかなか納得が得られていないですよという状況につ いても、アメリカに十分伝えたということであります。  今後の対応ということで、状況から申しますと、去年の12月に輸入の再開 をしたと。問題が発生した。問題が非常に重要度の高い問題だということで、 輸入手続を一時ストップをしたわけです。米国側は、その発生した問題につい て原因の究明をやり、当該施設だけではなくて他の対日輸出認定施設について も調査をし、レポートを出してきた。そういった意味では、米国側は日本側か ら求めた内容について一通り提出をしてきて日本側に説明をしたということ と、それから、その内容について特段の不合理なもの、おかしなものというの は今のところはない。そういう現状にあるわけです。  対応の基本的考え方。  今申し上げたのは、一番上のところですね。要するに、原因究明と再発防止 策を検討して報告を要求した。米国側がそういった措置をやり、2回にわたっ て日本に来て説明をしたというような状況にあるわけです。  冒頭申し上げましたとおり、規制する部門としては、通常の貿易ができるよ うなステップに進めるかどうかということについて、これから検討をしなけれ ばいけないということになるわけです。前回及び今回の消費者等の意見交換会 の結果を踏まえて、日本側による対日輸出認定施設の事前確認調査を実施する 等の追加の改善措置について、米側と今後、調整をしていこうというようなこ とです。  具体的にはどういうことかといいますと、米国が一応、そういった対日輸出 プログラムについての遵守の状況について、遵守できるということの具体的な 調査結果を出してきた。日本側としては、では本当にそれが信頼できるような ものなのかどうなのかということについて、日本側が今度は検証する番が来て いるのではないか。私どもとしてはそういう認識に現在至っているということ です。そうすると、輸入手続の再開ということを前提とした行政対応というこ とに今後進んでいくべきではないかと考えているわけです。そういったことに ついて今回、意見交換会を開催して皆様の御意見を伺いたいというようなこと なわけです。  米国側が行った再発防止措置について、若干御説明をいたします。  問題点と、それに対応した改善措置という形で資料は整理してあります。施 設の従業員が対日輸出プログラムを理解していなかったということについて ですけれども、1つ、これは日本側からもかなり指摘をしたのですが、監査に おいて農務省の監査官は、通常、施設の管理者にはインタビューをして、理解 しているかどうか、どういうことをやっているかということを聞くわけですけ れども、もちろん物すごいたくさんの従事者の方々がいらっしゃるので、そう いった人たちにまではインタビューをしていない。  私も12月にアメリカへ行きましたけれども、割と管理クラスの人に現場で もインタビューはするけれども、実際に作業をしている人には現場の状況とい うのがなかなか聞ける状況にないという部分もあるのかもしれないですけれ ども、そういった従事者の方にはほとんど聞いていないということだったので すが、やはりAMSの監査官が、役員的な人だけではなくて職員に対してもイ ンタビューを行って理解度の確認をしていくということ。  もう1つは、施設の手順書で輸出認定製品をリスト化する。どういったもの が日本向け――ほかの国でもいいのですけれども――輸出認定製品なのかと いうことについて明確化するということ。これは、例の先ほど申し上げたよう な子牛肉でいえば、ホテルラックというようなものは脊柱がもともとついてい るものですので、そういうものは本来こういうリストには入れないものですか ら、こういったものをつくることによって再発が防止できるのではないかとい うことです。  それから、抜き打ち監査の実施ということ。  あと、検査における問題点として、農務省のもう1つの局であるFSIS。 日本でいうと厚生労働省と都道府県の食肉衛生検査所をくっつけたような仕 事をしているところですけれども、要するにと畜検査をやっているところです ね。日々そこの検査官がと畜検査をやって、申請があれば輸出証明書を発行す るという仕組みになっているわけですけれども、今回の事例はFSISの検査 官が理解をしていなかったということが1つの原因になっています。検査官に 対しては輸出プログラムの研修の受講と終了試験を義務づけたということで、 5月の専門家会合の時点でたしか3,000人以上の検査官が一応、研修を終了し たというふうに言っていました。  施設を担当する検査官の研修終了までは、施設認定は、これは輸出の認定を しないということ。それから、FSISの方も抜き打ちの監査を実施するとい うようなことがございます。  それから、農務省における問題点として、この2つの局がうまく連携をして いなかった。要するにFSISの検査官は、対日輸出認定をその施設が受けた ということについてよく理解していなかったというような事情もあったよう です。  こういったAMSが管理する輸出認定製品のリストをFSISの検査官に 随時提供をするであるとか、もう1つは、認定したよということについても情 報を提供するというのもここに書いていませんけれども、そういうこともあり ます。それから、AMS輸出適格品であることを確認をして、これは個別の輸 出の段階の証明を出すときの手続に追加をしたものでありますけれども、AM S輸出適格品であるということを施設の申請に対して確認書を発行して、その 確認書がついていないとFSISの検査官は輸出証明を書かないというふう にしたということです。  今回の専門家会合で新たに要請をし、アメリカ側と意見交換を行った追加措 置について御説明をします。  今回、新たに要請したといいますか、米側では一応、今まで日本側へ説明し てきた追加措置で再発防止措置は講じたよということなのですけれども、日本 側として米国側の輸出プログラムの検証をする手段というものを強化・確保し ていこうということで、米国側と協議をしたわけです。  1つは、輸入再開前にすべての対日施設における日本側の事前調査を実施し、 問題がないと判断された施設のみ輸入手続・再開の対象とするということで、 いわゆる事前調査というものです。もちろん、1日、2日行ったからといって その施設の評価が完全にできるかということではありませんし、将来にわたっ てそこが問題を起こさないということも保証するわけではありませんけれど も、12月においても11カ所を見て順々に──これは再開後ですね。事後の調 査ですけれども、事後にそういった検証をしていこうということを考えたわけ ですが、今回は事前にそういった検証をやる。すべての対日輸出施設について 事前に現地調査をやるということによって、そういう検証の精度を上げるとい ったことができるのではないかということが1つです。  次に、対日輸出認定施設ごとに日本向けの輸出認定製品リストの提供をして ほしい。これはどういうことかといいますと、先ほど申し上げたとおり、各輸 出認定施設において日本向けに輸出ができる製品というのがリスト化されま すので、それについて日本側の輸入検査でもチェックができるように、そのリ ストを米国側から提供を受けようということです。これは、今回問題あった事 例について、当初、脊柱の付着のみということで問題があるのではないかとい うふうに考えていたのですが、冒頭申し上げたとおり、日本向けに内臓が輸出 できない施設から仕入れて輸出していたということがわかりましたので、今度 はそういったことが日本側でも随時チェックができるようにしようという考 え方であります。  もう1つは、米国側が実施する対日輸出認定施設の抜き打ち監査への日本側 の同行ということでありまして、もちろんアメリカ側が抜き打ち監査をやるわ けでして、日本が外国で権限を持ってやるということはできませんので、米国 側でちゃんと抜き打ち監査がやられているのかどうか、その内容はどうなのか ということについて、日本側の職員が同行するというようなチャンスを持ちま しょうということであります。  それから、具体的な内容でありますけれども、先ほどお話ししたとおりなの ですが、輸入手続の再開をするとすれば、その内容としましては施設レビュー のフォローアップ。先ほど言った再調査の結果について、日本側でも確認をす る。それから、強化された対策について、実際にできるのかどうかと。それか ら、輸出プログラムが遵守されているかどうか。そういったことについて事前 にやりましょうということです。   ただ、具体的にいいますと、対日輸出処理は始まっていないわけなので、結 局、いろいろなマニュアルだとか、手順書だとか過去の記録だとか、それから と畜解体処理については対日輸出と国内向けとそんなに大きく差はないです から、それは現場で見れる。ただ、腸などは、日本と、あとカナダ、メキシコ もありますけれども、処理をやったりやっていないというところもありますし、 やっていない処理については少しデモンストレーションでもしてもらうとか、 そこはやることは非常に限定はされるわけですけれども、できるだけそういっ たものについてもチェックができるだろうという期待を持ってこういったこ とをやろうということであります。  それから、日本向けの輸出認定製品のリストの提供ということで、すべての 施設について一応もらいましょうと。ただ、牛肉のいろんな部位というのは物 すごく細かな分類があって物すごい数になるらしいのですが、実際に必要なの は、恐らく内臓関係が一番問題になってくると思います。そういったものにつ いて確実にチェックできればいいのではないかということです。日本側の検査 の体制の強化というものにつながるのではないかというふうに考えています。  それから、抜き打ち監査ということについても日本側で。日本側が主体的に やるということは、普通、外国ですからなかなか実施はできないと思いますけ れども、米国側がしっかりやっているかどうかということについてのチェック はできるだろうということです。  逆に、日本の和牛肉をアメリカに輸出するという仕組みもあります。それで は、当然、アメリカ側が来るときは事前に通告をして来て、日本には4施設し かないということもありますから全部見るわけですけれども、今回は日本がア メリカに輸出するものでやっていない抜き打ち監査の同行ということについ ても、アメリカサイドとしては受け入れをしてもらえるのではないかなという ふうに考えています。  あとは、国内において新たに講じようとする措置であります。  日本国内において新たに講じようとする措置として、水際検査の強化と、も う1つは、やはり輸入される事業者の方に輸出プログラムについてよく理解を していただいて、それに沿ったものを輸入していただくということも重要です。 我々は規制をやっている立場なので、主体的に1つ1つの食品についての安全 を確保するということについては、やはり事業者の方がまず一義的には責任を 持っていただく。食品安全基本法でも食品衛生法でもそれがベースになってい ます。特に食品衛生法は規制法ですから、我々はそういった意味で、安全な食 品というものが確保されているかどうかということについてあくまでチェッ クをするという立場だということもありますので、やはり事業者の方々によく 理解をしていただくということが重要だろうということであります。  水際検査の強化ということなのですけれども、左側が去年の12月12日から 1月20日。本当は17年度内、3月の終わりまでこういった体制でやろうとい うふうに厚生労働省サイドでは考えていたわけですけれども、届け出数量に応 じてある程度、統計学的に算出した数の箱数をあけて中を確認しましょうとい うことをやっていたわけです。これにつきましては、仮に輸入手続を再開する ということになった場合には全ロットについてもちろん検査をしますし、開梱 数についてもさらなる強化ということを考えたいというふうに考えています。  ただ、例えば厚生労働省の検疫所で輸入食品の安全検査をやっている食品衛 生監視員の数というのは314名いるわけですけれども、輸入手続を再開したか らといって突然増えるわけではありませんし、それから、御承知の方もあると 思いますけれども、5月29日から残留農薬だとか残留動物用医薬品に対する ポジティブリスト制度の施行ということで、そういったような対策も講じてい かなければならないということもあるので、行政側でどれぐらいそういった監 視について強化できるかというところはいろいろ考えなければいけない部分 もあるし、工夫も必要だというふうには考えています。  それから、日本国内において新たに講じるものの2つ目として、輸出プログ ラムの周知徹底と。12月も、業界団体の協力を得まして、団体に入っている 方に対しての説明会というのは実は昨年もやっておるわけでございますけれ ども、今回はそういった会員の方以外の輸入業者の方とか、それから広く流通 関係の方々にも声をかけて、なるたけ広い範囲の事業者の方を対象にして説明 会をやりたいというふうに考えています。  それから、ちょっとマニアックな話なのですけれども、輸入手続停止中の貨 物というのはどういうものかといいますと、ことしの1月20日に輸入手続を ストップしたわけです。そうするとどういうことが起きているかというと、も ちろん、それまでに検査が終わって通過したものは国内流通にのっていまして、 それは先ほど申し上げたとおり、脊柱混入事例がないかということで、事業者 の方の御協力も得て確認をしたわけです。そういう輸入手続が終わったものは よかったわけですけれども、終わっていないものがあるわけです。それは港の 保全倉庫に入っているものもあれば、その時点ではまだアメリカから日本に輸 送中というような段階のものもあったかと思います。そういったものについて はアメリカ側に積み戻したりとか廃棄されたりとかということもその後行わ れているようですけれども、業界団体の調査だと1,000トンぐらいまだ保管中 のものがあるというふうに伺っています。そういったものの対応をどうするか ということであります。  その考え方についてなのですが、これはあくまで、私どもが今こうやっては どうかなというふうに考えている内容でございます。先ほどアメリカ側のレビ ューの結果で触れましたけれども、昨年の12月からことしの1月20日までに 25施設で処理されて対日輸出された牛肉等については、これはあくまで記録 を確認しただけですけれども、その記録の検証の結果からは問題は発見をされ ていないということがあります。  仮に輸入手続再開ということを前提にして考えた場合に、その前に事前の確 認調査ということを現地でやることになるわけですけれども、そういうことを やった上で、問題がなければ、現在、港の保全倉庫にあるものについて実際に 輸入手続を再開をする。これについても、同じように輸入手続を再開をして、 もちろん既に国内に入ってしまったものについても調査しているわけなので、 それと同じ扱いをして、問題がなければ輸入を認めてもいいのではないかとい うふうに考えています。  もう1つ。アメリカ自体が日本との約束に違反をしたというのが1月20日 の事例なわけですけれども、香港と台湾においてもそういった──もちろん、 輸出基準については日本とは全然違います。違いますけれども、約束が守れな かったという意味では同じような事例ではないかという物の見方もできるわ けです。これは香港と台湾の骨片の混入事例ということであります。  ちょっと前提になる輸入条件についてお話をしますと、日本は20カ月齢以 下の牛由来ですけれども、香港、台湾はいずれも30カ月齢以下という、月齢 についてはそういう制限をしています。そこも違うところですけれども、部位 についても、SRMの除去は同じなのですが、さらに、骨がくっついていない、 要するにボーンレスビーフというふうになっているわけです。  香港、台湾、いずれの事例でも、要するに骨が見つかったということで輸出 基準、輸入基準に違反しているというような事例なわけです。それについて本 年3月から5月にかけて、香港、台湾において米国産牛肉への骨片混入を確認 されたということがその事実としてあります。香港、台湾両政府は、輸入条件 に違反するということで、日本みたいに全体をとめたのではなくて、アメリカ 側の出荷した施設について停止をした。ただ、その骨片自体はSRMではない ということで、食品の安全性の問題ではないという立場をとっています。でも、 やはり条件違反ではないかというところは認識は変わっていません。  今度は、輸出した方の米国側の考えはどうなのかということであります。基 本的に、ボーンレスミートといった場合に、本来、骨がくっついていない種類 の部位を輸出するというのがボーンレスの輸出条件というふうに理解してい るというのがアメリカ側の言い分で、ボーンインというのはどんなものがある かというと、例えばTボーンステーキみたいにもともと骨をわざとつけている 部位というものが、要は輸出できないというルールなのだというのがアメリカ 側の基本的な解釈です。ただ、品質の問題というのもあるわけなので、カナダ、 メキシコとの間でもそういうボーンレスということで輸出要件を設定してい るわけですけれども、NAFTAに関しては許容範囲をルール化しているようです。 ところが、どうも香港と台湾と輸出条件、輸入条件について協議するときに、 そのことについては協議をしていなかったということを米国側も認めていま す。  ただ、今申し上げたとおり、輸入国側と米国側の基準に対する考え方が物す ごく離れているのが現状です。それで、米国側として何もしていないかという と、実はそうではなくて、香港事例の1例目と2例目について特に詳しく説明 を受けたのですが、その事例についての調査報告書はアメリカ政府がちゃんと つくって香港政府には提出をする。それから、そういったレベルでの品質管理、 骨片が入らないような品質管理をしなければいかぬということで、業界サイド も、それに対応する業者。それから、では香港に輸出するのはやめたというと ころ。そういったところに分かれてきているということは、輸入国の要求する レベルに現実的に合わせていこうという努力はされているようです。  その事実関係でありますけれども、一番上は公表日ということで4事例につ いてですね。それから施設名ということで、多分、いずれも対日輸出のできる 施設だと思います。混入した骨については、いずれも特定危険部位ではないと いうことでありました。  ここからは参考資料ですので詳しくはもう御説明しませんけれども、これは 基本的にSRMの部位はどこかということでございます。  輸出条件では、SRMの除去、20カ月齢以下。日本向けに輸出可能という のは、SRMでなければ骨はついていても構わないというカット肉と、それか ら内臓。  これは、アメリカとカナダ産の牛肉の流れ。それから、それぞれの農水省、 厚生労働省の対応というようなことを模式化している図です。基本的に、米国 内での対日輸出基準の確保・遵守というのは米国政府、カナダ政府が行ってい る。水際に着いた時点から日本側で、公的権力というか、法律に基づいたチェ ックが入るということになります。ただ、米国内においてそういった輸出プロ グラムが遵守されているかどうかということについて日本側として検証手段 を持ちましょうということで、定期的な査察の実施というのが従来あったわけ です。これに加えて、先ほど申し上げたような追加的な検証手段というのを確 保するということでどうなのかなというふうに考えているわけです。  これは日本側が実際に12月に査察したときの査察のポイントということで、 当時の説明資料です。  あと、余りきょうはお話ししませんでしたけれども、月齢が確認されている 牛というのがアメリカにはいるわけですね。そういった20カ月齢以下の牛を 集めてきて処理をするというのが1つの対日輸出の方法ですけれども、もう1 つは、月齢がわからない牛についても、特に背骨のとがっているところはさわ ったら人間でもあるわけですけれども、そこの先っぽのところの軟骨がだんだ ん年がいくと骨化してくるということで、要は加齢すると人間でも体がだんだ んとかたくなっていくと同じで、軟骨がずっと骨化していくというようなこと があります。その骨化の度合いで、20カ月齢以下であるということが確実な ものを相当余裕を持って判断基準をつくっているのですけれども、そういった ものも20カ月齢以下ということで認めましょうと。そういうことをやってい るわけですが、それのチェックを、施設側だけではなくて、もちろん農務省の 方の格付官がそこの判断をしましょうということで、と畜場の中でと畜解体し て枝肉になったものについてUSDAが判断して輸出しているというような ものです。その流れです。  それから、これは輸入検査。EU、アメリカ、豪州などでどういうふうにし ているかという事例の参考資料であります。1%を抽出検査しているところも ありますし、何回も入ってくると、初めの間はかなり密度を上げて検査をする けれども、結果がよければだんだん簡素化していくというような例などもあり ます。  それで、米国産牛肉等への対応に関する情報ということで、インターネット の厚生労働省、農林水産省のホームページに掲載をしておりますのでごらんを いただければということが1つと、さらに、もちろん今日意見交換会でいろい ろな意見を出していただきたいというふうに考えていますけれども、今日言い 忘れたなとか、それから、新たな事案についてまた意見がおありの方は、Eメ ールで御意見を受け付けています。郵送もありますね。なかなか1つ1つにつ いて回答するということは難しいですけれども、そういった形で御意見も受け 付けていますので、ぜひ御活用いただければと思います。  ということで、ちょうど1時間ぐらいで、1時間ぐらいで終わらせろという ふうに言われていましたので大体予定どおりなわけでございますけれども、以 上で私の方からの説明を終わらせていただきます。ちょっと飛び飛びでわかり にくいところもあったかもしれませんので、そういったところについてはまた 次のところで御質問等をいただければと思います。  どうもご静聴ありがとうございました。(拍手) ◎司会  ご清聴ありがとうございました。  では、ここで10分間の休憩といたします。15時20分(午後3時20分)か ら再開いたします。              (休      憩)             (2)意 見 交 換 会 ◎司会  それでは、お時間が参りましたので、意見交換を始めます。  本日の出席者を紹介いたします。  皆様からごらんになって右から、内閣府食品安全委員会事務局、西郷リスク コミュニケーション官です。  農林水産省大臣官房、伊地知参事官です。  先ほど御説明申し上げました、厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品安 全対策室、道野室長です。  最後に、厚生労働省大臣官房、藤井参事官です。  意見交換の議事進行につきましては、藤井参事官にお願いいたします。 ◎藤井厚生労働省大臣官房参事官  意見交換の進行役を務めます藤井でございます。今からは座って進行させて いただきたいと思います。  募集の案内でも御理解をいただいていることだと思いますが、今回の意見交 換会の目的は、米国側と輸入手続再開のための措置の調整を行うために、いろ いろな考え方を今回お示しをして、それについての皆様方からの意見をいただ くというものでございます。ぜひ、そういう意見を中心に出していただくよう にお願いをしたいと思います。  御意見等がある方につきましては、何回も出席をされている方については同 じ説明になるかと思いますが、約束事を若干、御説明をいたします。  まず、御意見がある方については挙手をお願いをしまして、そして発言をい ただく方については指名をさせていただきます。係の者がマイクをお持ちをし ますので、発言に先立ちましてはお名前と、差し支えがなければ御所属をお願 いをいたします。  できるだけ多くの方に御発言をいただきたいと思いますので、お1人1回の 御発言につきましては2分以内にお願いをいたします。1分半を経過しました ら、事務局で1回、ベルを鳴らします。そうしましたら、取りまとめに入って いただき、2分がたちましたら2回、ベルを鳴らさせていただきますので、他 の方にお譲りをいただきたいと思います。  行政からの発言につきましては、誤解があってはいけませんので2分という 時間を区切りませんが、できるだけ簡潔にお願いをしたいと思います。  そして、まず、最初に休憩の前に行政側から説明をしましたが、その説明内 容に対して御質問を受け、その後、輸入手続再開についての考え方について御 意見をいただきたいと思います。  当初申し上げましたように、会場の都合で午後4時半には終了したいと思い ますので、皆様方の御理解と御協力をお願いをしたいと思います。  それでは、早速、時間も迫っておりますので意見交換を開始したいと思いま すが、まず最初に、この説明内容につきまして御質問がある方、お受けをした いと思いますので、挙手をお願いをしたいと思います。  それでは、4名の方が最初、前の方で手を挙げていただきましたので、4名 の方、続けて御発言をお願いをしたいと思います。  まずお断わりをしますが、2分以内というのを守っていただきたいというこ とと、最初は説明に対しての御疑問点を御発言をいただくということでやらさ せていただきたいと思います。  それでは、そこの前の列のお2人の方と、その1つ後ろの女性の方。そして、 こちらの2列目の男性の方。その4名の方、続けて御発言をお願いをします。 ◎参加者1  全国肉牛事業協同組合の萬野と申します。私どもの立場、考え方を先に説明 して、質問させていただきます。  先ほどの説明の中でも、4月の意見交換の意見でも出ておりましたけれども、 現在、国産牛の供給不足を起こしていまして、結果的に飼料価格が高騰して消 費者に御迷惑をかけている立場と思っております。それと、牛肉の安定供給の 点からも、米国産の牛肉の輸入再開はやはり必要というふうに考えております。  しかし、今後再開されても、再停止になるような状況では、我々生産者も状 況のそういった変化に対応するのが大変なので、何とか再停止にならないよう な形で実施していただきたいというふうに考えております。  質問なのですが、7点ほどありまして、すべて言わせていただきます。  1つ目は、米国内において、牛肉の生産上、要するに米国内向けと日本向け の、我々から考えましたらダブルスタンダードになっているというふうな状況 を考えますと、また今後とも人為的なミスが起こるのではないかというふうな 危惧をしております。その辺、今後ともそういった人為的ミスがないというこ とことは可能なのかという点を、ちょっと聞かせていただきたいと思います。  2点目は、先ほどの御説明でもありましたけれども、韓国も、要は骨つきの 牛肉を輸入停止しているというふうなことを聞いておりますが、やはり日本も 今後とも骨つき牛肉も可能にするのか。  3つ目は、A40で牛肉の月齢を見ているのですが、我々から見ると主観的 な評価と思われますので、今後、日本のように100%トレーサビリティで月齢 を担保するというふうなことは考えておられるのかどうか。  4つ目は、再度ミスが発生して危険部位等が入った場合、やはり全面輸入停 止されるのかどうか。台湾、香港のように、対象の工場をストップするという ふうなお考えかどうか。  その次なのですが、次回の査察に、例えば消費者団体の代表の方とか、流通 業界の団体の代表の方とか生産者の代表の方を同行させて、その辺の査察の内 容を同じように検査できるような形が可能かどうか。  最後に、日本でも今、大きな問題になっていますが、ポジティブリストの施 行において、アメリカの牛肉も問題ないというふうなことも調査されているの かどうか。  以上です。 ◎藤井参事官  ありがとうございます。  それでは、次の方、お願いをします。 ◎ 参加者2  山形県生協連の伊藤寛と申します。  3点お尋ねしたいと思いますが、まず第1点ですが、御説明にありました非 適合事例の概要の手法についてでありますが、述べられて、「しかしながら」 という形で、これは弁明ではないのでしょうけれども、説明をしておられます けれども、私の非常に狭い見聞の中では余りこういう御説明をお聞きした覚え がないのですけれども、これは日本の行政の説明の手法として広く行き渡って いるのであるのかどうか、それが第1点であります。  第2点ですが、進行の方から御注意がありましたけれども、これから考えて いく上で非常に大事だと思いますのであえてお聞きしたいと思いますが、私が お聞きした範囲では、今、全頭検査については4月のリスクコミュニケーショ ンのところでしか出てまいりませんけれども、今の段階で食品安全委員会等で 全頭検査についてはどのようにお考えになっているのかどうか。必要がないと いうことなのかどうか、あるいは今の段階でできないということなのかどうか、 お聞きをしたいと思います。  次、最後でありますが、これもリスクコミュニケーションの御説明の中には 出てまいりましたが、6人の安全委員の方の辞任についてでありますけれども、 皆さん行政の方ですから御回答がなかなか難しいと思うのです。一体、辞任の 本当の理由は何なのか。  お答えにくい点をあえてお聞きするところでありますが、以上3点、お尋ね をいたします。 ◎藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、後ろの女性の方、続けてお願いをします。 ◎参加者3  岩手県消費者団体連絡協議会の伊藤と申しますけれども、35から38の説明 のところで「今回新たに要請した追加措置」というのがありますけれども、こ の項目について、要請をしたけれども、ではアメリカがどういうふうに具体的 にこたえるのだというあたりが見えないのが1つと、日本向け輸出が、認定さ れた食肉処理施設で、査察も行った施設で違反が結構見つかっているというの が、アメリカ農務省の違反記録の中で見つかっておりますよね。  ですから、香港と台湾の骨つきは危険部位ではなかったということなのです けれども、そこの会社と違反を行っている会社というのはダブっている部分が かなり多くて、そういうところで本当に安全と消費者は感ずることができない のですよね。だから、なぜ今こんなに急いで輸入再開をしなければいけないか というのがとても納得できない状況です。  それで、前の方も言われましたけれども、それでまた危険部位が、前は背骨 のような見えやすい形で出てきましたけれども、これが見えない部分で、ちょ っとした、たった5%ぐらいの水際検査でも、もし見つかった場合のそのマイ ナス作用といったら、もっともっと、2乗、3乗になるのではないですかね。 その辺についての対策も、とても納得できるような今回の説明ではありません でしたので、再考をお願いしたいと思います。  以上です。 ◎藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、前の方。 ◎参加者4  食品のコンサルタントをしております佐伯龍夫と申します。最初の方とちょ っとダブる質問になってしまうのですが、御了承ください。  初めに、WTO関係等、非常に難しい問題を抱えてながらここまで煮詰めて いただいたことには感謝申し上げます。  私、輸入再開前に食品事業者の立場としましてお願いしたいことがあるので ございますけれども、検疫所で違反を発見した場合なのでございますけれども、 仮定ということにはなってしまいますが、違反した施設に限定して許可を取り 消されるのか、改めて米国産を全面禁輸されるのか。それと、その際、既に国 内の市場に流通している米国産牛肉の販売は禁止されるのか。それとも、もう 通関を通ったものについてはそのまま流通を許可していただけるのかという ことなのでございますけれども、輸入再開前に、想定し得る違反事例ごとに、 行政としましてとる対応を、消費者と事業者にあらかじめお示しいただければ ありがたいと思っております。  対応マニュアルの内容がわかりませんと、事業者としましては危機管理上、 あるいは会社法上、取り扱いができない、リスクが非常に大きいということが ございますので、ぜひ輸入再開前に対応マニュアルを御開示いただきたいと思 っているのでございますけれども、そちらの方はどの程度まで、現段階では、 起こり得る事項、違反ということに対する、処理マニュアルといいますか、処 理を現時点では想定されているかということを教えていただければありがた いと思います。  以上でございます。 ◎藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、10幾つかの項目になると思いますが、順次、行政側から回答さ せていただきたいと思います。 ◎道野室長  すみません。2分ではとてもではないですけれども答えられないと思うので すが、順番に行きますと、国内での牛肉生産自体、要するにアメリカの国内規 制と輸出基準が異なる。もちろん、日本以外の貿易相手国に対しても違うわけ ですね。もちろんアメリカの国内基準に近いものもあれば、そうでないものも ありますし、人為的なミスが起こるのではないか、リスクがゼロにならないの ではないかということですけれども、不適合事例というか、SRMの混入の程 度とかといったことも含めていろんなレベルでの問題発生の確率が全くゼロ になるというのはもちろん難しいことだと思いますし、ゼロにするというのは 非現実的だというふうには考えています。  ただ、今回の事例のように、米国側でも日本に輸出するまで幾つかのハード ルがあるわけですね。施設の認定から始まって、区分管理であるとか、それぞ れの手順書だとかマニュアルの設定だとか、もちろん輸出証明を出す段階での 手続。今回、そこについてもかなり強化されているわけですけれども、幾つか のハードルがしっかり機能していけば再発の確率というのはどんどん下がっ てくるのだろうというふうに思っています。だから、それぞれのハードルがき ちっと機能しているのかどうか、機能できるのかということがやはりポイント になってくるのだと思います。  それから、骨つき牛肉の輸入禁止ということをほかの国でやっているところ があるけれども、それについてどうかということですが、基本的に危険部位の 規制については、私どもとしては科学的に危険性のあるものについてだめとい うスタンスでいますので、現在、一律に骨つき肉を規制するというふうには考 えていません。  それから、トレーサビリティは伊地知参事官に後ほどお願いするとして、再 度のミスの発生と。  もちろん、確率は理論的にゼロにならないということはあります。先ほど説 明申し上げたとおり、今回の輸入手続の停止というものに関しては、事案につ いて非常に重大な事案であったということについて御説明申し上げましたけ れども、2つあって、事案の内容が非常に重大であったということと、それか ら、再開後、非常に間があかずに発生したということもあって、米国のプログ ラム全体が本当に機能しているのか、遵守されているのかということについて 信頼が失われたということが、今回の1月20日の措置だったわけです。  もちろん、米国側の調査プロセスは先ほど申し上げたとおりでありまして、 その原因がどうなのか。ほかの施設には問題ないのかどうなのかということに ついて、やはり順次詰めていくというふうにしないと、全体の問題なのか、そ れとは個別の事例なのかという判断というのは技術的にはなかなか難しいの だと思うのです。そこは、むしろアメリカにもっと迅速に調査をやってもらう ということが、その判断をするキーになってくるのだろうというふうに考えて います。基準についてはまた後でお話しします。  それから、査察について消費者団体、生産者、流通関係の方々が同行できる かということですけれども、これはアメリカ人でいうと「ガバメント・トゥ・ ガバメント」ということであくまで政府間での仕事でありまして、もちろん個 別には米国側のパッカーが見学の受け入れというのはやっているようですの で、例えば米国の食肉輸出の事業者団体で日本にも事務所を持っていますし、 そういったところと御相談をいただいた方がいいのではないかと思います。  ただ、結果については、向こうでの調査が終わり次第、12月の件でも御報 告なり結果の公表なりということはしておりますし、それから、特に12月の ものについては調査結果の報告書についても、もちろん非開示情報が含まれて いるのでその部分については非開示としていますけれども、報告書自体は開示 をしております。そういった情報も御参考にしていただければというふうに思 います。  それから、ポジティブリストの施行の関連ですけれども、輸入時の検査とい うことで、検疫所におきましても5月29日からポジティブリスト制度に対応 した検査項目の拡大ということをやっています。去年からいろいろ検討してき て、かなり今までよりも検査項目については広げています。  米国産牛肉については、結局、制度はスタートしたけれども、入ってきてい ませんから検査を行っていませんけれども、昨年12月の再開のときには施設 ごとに、最初に日本に輸入されるものについては残留物質について、当時、検 査可能なものについては検査をしています。抗生物質、ホルモン剤、合成抗菌 剤等々ですね。そういったものについては検査をしておりまして、その結果で は問題はなかったということになっております。  それから、山形の生協連の方ですか。  では、ちょっと休憩させていただいて。 ◎伊地知農林水産省大臣官房参事官  非適合の説明のところで、弁明みたいな形になっているけれども、これは日 本の行政手法としてあるのかということなのですけれども、これは日本の行政 手法ということでなくて、アメリカ側の報告書がそういうことを書いてきてお ります。  概要(仮訳)をお手元にもお配りしてありまして、そこでアメリカの報告書 のサマリーを先ほど説明した形でお示しをしたということで、日本の行政手法 としてそういうのを書いたということではありません。  なぜかという理由は、私なりに推測いたしますと、この全体のところのを見 ていただきますと、こういう不適合のものがあったのですけれども、これらの 不適合の事例が製品の許容性、利用可能性に影響を与えるものではなかったと いう、理由として、先ほど言ったような、説明がついているのだと考えており ます。  それと、ちょっと前後して前の方に行きますけれども、私の担当というとこ ろで、A40をアメリカでは採用を認めているけれども、これを日本のような トレーサビリティだけにやる考えはないのかという御質問でございましたが、 アメリカ国内では、月齢については、30カ月齢というところが1つの基準に なっております。30カ月齢というのは、アメリカはトレーサビリティの制度 が義務化されておりませんので、歯で基本的には判断をしております。これは、 なぜ歯でやっているかというと、牛の切歯が乳歯が永久歯に生え替わるときに 20数カ月齢なので、30という余裕を見て、牛の第1切歯と第2切歯が乳歯か ら永久歯に生え替わるところで見ようということでやられているわけです。  ただ、20カ月齢という日本の基準に対応していくためにはそれは使えない ということになりまして、アメリカ側がそれと見合うような形での試験データ を提供するので、それについて日本の専門家で評価をしてくださいということ でございました。したがいまして、あちらから出していただいた試験データを 日本の専門家に評価をしていただいて使っております。  アメリカ政府に対してトレーサビリティ制度を義務化しろと言うのは、安全 性との関係は直接的なものではありませんので、そこを義務化をしろとか、そ うでなければ輸入は認めないよというのはなかなか難しいというふうに考え ておりまして、現時点ではアメリカ側に、A40というのはかなり余裕を持っ てやられているものですけれども、さらにその精度を高めるためのフォローア ップの試験をやってもらうようにしております。 したがいまして、A40を すぐトレーサビリティでなければだめだというふうに切り替えるということ は今のところ考えておりません。 ◎藤井参事官  そうしたら、安全委員会の関係を西郷さんの方から。  全頭検査の関係の評価の話と、それからプリオン専門調査会の委員の交代の 話をお願いします。 ◎西郷内閣府食品安全委員会事務局リスクコミュニケーション官  食品安全委員会でございます。  まず、全頭検査についてどう考えているかという御質問でした。多分、この 全頭検査というのは全月齢のBSE検査ということだと思いますけれども、平 成16年9月に中間取りまとめというのを出したときから基本的に考えは変わ ってございません。日本でBSEの発生が確認された2001年9月以降、非常 に厳しい飼料規制なりいろいろな対策が講じられて、だんだんBSEの蔓延度 なども下がってきているという中での話でございますけれども、今の検査の技 術だとか検査手法と、今の日本の蔓延度とを勘案してみると、20カ月齢以下 については検査をしても、あるいはしなくてもということですが、そのときの 言い方ですと、検査をしなくなってもリスクは上がらないという考え方でござ います。  平たく言いますと、今のような規制をやっているのであれば、20カ月齢以 下のものについて検査しても、要するに非常に見つけることが難しいと。20 カ月齢以下のものは絶対感染がないと言っているわけではなくて、要するに見 つけることが難しいという食品安全委員会の考え方は、今も、変わっていませ ん。  それから、プリオン専門調査会の改選についてでございますけれども、これ は前回ここにお邪魔したときも同じような御質問があったのでお答えしたと ころでございますけれども、今回の改選というのは、基本的には事務的に任期 をつけなければいけないということでやったものでございます。  そのときに、12人の専門委員がいらしたわけでございますが、いわゆる年 齢制限みたいなもの。これは基本的には政府の審議会は皆同じ方針なのでござ いますけれども、70歳以上の方については委員はお引きいただくというルー ルがございまして、それにひっかかる方については再任のお願いはしなかった と。  それから、もう1人、1年以上、やめたいとおっしゃって、ずっと欠席を続 けていらした委員がいらっしゃいました。この方にも再任をお願いしてもこれ は難しかろうということで、内々の再任のお願いはしなかったということでご ざいます。残りの10人の方には、もう一度どうでしょうかというお願いを申 し上げたところ、4人の方から今回はもういいよというふうに固辞されたとい うことがあったので、結果として、ですから12人中、6人が入れ替わったと いうことになってございます。  個々の事情につきましては、いろいろな報道もされましたけれども、いろい ろなお考えがあったのだと思います。私、直接お聞きしたわけではございませ んけれども、職場が替わられて非常に忙しくなったとかということもあるのだ と思います。  ただ、食品安全委員会が設立された経緯の中でもプリオンの話が大きな部分 を占めていたわけでございますので、そういった点では食品安全委員会の仕事 を一番最初からやってきたところでございます。一番最初にできた専門調査会 でございますし。  ですので、新たにできた委員会の中で、評価側というのですか、科学的評価 をする方。それから、厚労省、農水省のように管理措置を講じるところとの役 割分担が、切ったはいいけれども、実際のところ、運用がなかなか決まらない うちに次々と問題が起きて、自分たちでやっていかなくてはいけなかったとい ったところで、仕切りの問題などでいろいろ苦労をされたとか、そういったこ とをお感じになった方はいらしたようではあります。  ただ、この間も申し上げたのですけれども、いろいろな報道ぶりの中で一部 に、やめられた6人の方が慎重派で、残られた6人の方が、貿易振興派という のですかね。新たに入られた6人もそうなのではないかというのは、余りにも 単純な仕切りの仕方になっているのではないかといったことを私も思ってお りますし、現にそういったことについて委員会の議論でも、そういったくくり 方は若干、残られた方にも、新しく入られた方にも失礼ではないかといったよ うな議論もありました。  今度新しく入られた方もそれぞれの分野の専門家でございまして、以前同様 に科学的な立場からの御議論をしていただけるのではないかというふうに考 えております。  以上でございます。 ◎藤井参事官  では、あと、残りの部分をお願いします。 ◎道野室長  それでは、また続けてお答えしたいと思います。  1つは、ミスの再発があったときに、措置として輸入停止というものについ て、今回は手続をとめたわけですけれども、一部にするのか全体にするのかと いうことですが、結局、問題が当該施設の問題なのか、それともシステム上の 問題なのかということの判断が前提になるわけです。もちろん、その前提とし てシステムの問題ではないかというふうなところまで結論が至るとすれば、そ れについて、システム全体の継続性というのか、そういったものも含めて考え ていかなければいけないと思います。  ですから、ことしの1月の事例でいいますと、申し上げたとおり、再開して から1カ月ちょっとでということですね。これは、1年、2年、3年と続いて 適切に運営されてきたシステムであれば、当然、信頼性も上がっていくわけで すし、それがスタートした途端でということが1つ、やはり要因としては大き かったと思いますし、内容としては、先ほど申し上げたように、政府の証明書 から、あと、インボイスといいますか、ずっと列記しているような商取引上の 書類であるとか、それから現物、みんなつじつまが合っていて全部だめだった ということですので、事態の重大性という意味では、最もあり得そうにもない ような事案が発生したということがあると思います。  ルール化ということに関しては、要するに今申し上げたことをもう少し角度 を変えて申し上げますと、こういうふうな問題は個別施設の問題でしょう、こ ういう問題はシステムに疑いがあるということの類型化をしていかなければ ならないのだというふうに思います。けれども、現時点でそれを整理するだけ の情報というものも私どもは余り持ち合わせていないという状況にあります し、今後、米国側のシステムを検証していく中でそういったものについて整理 ができてくればというふうには思います。  ただ、内容的な問題と、もう1つは、米国側のシステムが長期間、継続して 機能するということがやはり前提となりますので、今すぐにルール化して示せ と言われてもなかなか難しい問題だなというふうに考えています。もちろん、 そういったものの必要性というものについては、私どもも認識をしているとい うことは申し上げておきたいと思います。  それから、ノンコンプライアンスレコードのことだと思うのですね。たしか 岩手の消費者団体の方がおっしゃった。要するに、SRMだけではなくて米国 の国内規制に関してなのですが、各と畜場で違反があった場合に、アメリカの 場合は、私の説明の中でもいっぱい出てきましたけれども、書類とか記録とか、 今は非常に重要視されています。そういうこともあって、違反行為があった場 合には必ず違反の事実関係についてその当事者に行政側が示して、そのときに、 何が問題だったのか。それから、その製品が食品衛生上、大丈夫なのか。流通 していいのか、だめなのかと。出荷していいのか、だめなのかという判断。そ れからもう1つは、改善をする。この3つがセットになって、一応、記録とし て残されるわけです。  御指摘のあった事例は、多分、2004年1月から2005年5月までの間に、米 国内でそういった取り扱いですね。衛生管理の基準違反についてそういう記録 があるわけなのですけれども、その期間の記録の公開請求を米国の消費者団体 がやったのですね。特にBSEの関連基準と。BSEの関連基準というのは 2003年1月に施行されまして、その都度に違反があったものについて記録が 残されて、その1年4カ月ほどの間の記録が公開されたわけです。対日輸出施 設についてはもちろん違反はあるわけでありますけれども、それについては、 そういった仕組みの中で改善がされたということも含めて行政側が確認をし、 対応されているということなわけですね。したがって、改善の済んでいる問題 についてですので、それはアメリカの国内規制が機能しているというふうに考 えていいのではないかと思っています。  もちろん日本でも、食品衛生法の違反やと畜場法の違反というのは当然ある わけですね。そういったものについては改善をして問題のない状況にしていく ということが重要なわけですし、そういったことを日々、継続的にやっていく ことによって食品の安全性も高まっていくということではないかと思います。  それにあわせて、なぜ急ぐのかという御質問があったのですけれども、私ど もとしては、1月に米国側に要求した内容について、米国側がやるべき作業を、 前回の専門家会合までに概ねそれが対応されてきた。向こう側はやるべきこと を概ねやってきたと。完全かどうかは別にしてやってきた。そういったことで すので、今度は日本側が米国側の改善措置も含めた全体のシステムについて検 証する段階に来ているのではないかというふうに考えています。  その前提となるのは、2003年に輸入をとめてからの経緯のところでもお話 ししましたけれども、貿易というものについて私どもは必要な規制はしなけれ ばならないですけれども、その規制が常に妥当かどうかということについても チェックしていかなければならないわけですから、そういった意味では、今度 は日本側が米国側のシステムを検証するという段階に来ているのではないか。 そういう認識であるからです。  あと、日本側の要請というか、意見交換した措置に対する米国側の反応とい うところですけれども、米国側としては恐らく受け入れるのではないかという ような……。  もちろん、こういったリスクコミュニケーションが終わった段階で日本側と してどうするかということを決めて、それを米国側と最終的に調整をするとい うことになるわけですけれども、5月の専門家会合の段階では、概ね米国側に はだめだとか難しいとかというようなことはなかったです。もちろん技術的に 調整しなければいけないことというのはたくさんあると思いますけれども、概 ねいい反応ではなかったかなというふうに私は受けとめています。 ◎藤井参事官  もう既に輸入手続再開の考え方についての御意見も入ってきていますので、 説明に対する質問に限らず、御発言のある方、お受けをしたいと思います。  それでは、まず、そちらの3列目の一番左端の方。そして、後ろの方の、手 を挙げておられる方。そして、この列の後ろの方の、手を挙げておられる男性 の方。そして、真ん中ぐらいの女性の方。そして一番前の男性の方。  時間も迫っておりますから、手短に。まだ発言は順次していただきますので、 お願いをします。 ◎参加者5  河合と申します。東北大学で農業経済学を担当しておりました。  2点お聞きしたいと思います。これは輸入再開の条件としては絶対的に必要 なことだと思いますので、冒頭に御意見を出された方とややダブるかもしれま せんが、あえて2点お聞きしたいと思います。  1つはトレーサビリティの問題です。アメリカのトレーサビリティは、先ほ どの御説明では、牛の乳歯が永久歯に切り替わる頃ということで、専門家にも 結構ではないかという判断をいただいたということでありますが、これは個体 差が物すごくあるはずです。人間だって同じです。乳歯から永久歯への転換を 基準にするのではなくて、日本がやっているような、個体個体の生年月日をき ちんとアメリカは押さえられるかどうか。  私は、全く不可能だと思っています。アメリカの牛の飼育方法は日本と全く 違いますから。数1,000頭とか1万頭とか、大きな群れで自然交配が中心です から、アメリカはトレーサビリティというのはそもそも不可能なのです。その ことをちゃんとアメリカに問いただしているのかどうか。  アメリカのきょういただいた資料の中で監査報告を見ておりますと、トレー サビリティシステムを有していたということをアメリカ政府が日本政府に報 告しているわけですね。これは私、全くのうそだと思います。間違っていると 思います。こういうことをうのみにして輸入再開を考えることは基本的に間違 っていると。これが1点です。  2点目はA40の問題です。これも先ほど来お話ございましたけれども、ア メリカ農務省が昨年の1月に出した日本政府への最終報告書の中を一部紹介 させていただきますが、「A40とみなされる枝肉は……」。7点挙げておりま すが、時間がありませんから全部は申し上げません。  1つは「椎骨のすべての軟骨の形跡」。表現は「形跡」ですよ。それから2 番目、「脊椎のはっきりした部分と、かなり多くの軟骨の形跡を見せる」。これ も「形跡」です。よろしいですか。それから3番目、「部分的に骨化する傾向 のある腰椎の先端部分」。これはいいといたしまして、5番目にしましょう。 「脊柱の断面がやわらかく、多孔質で赤い傾向」という表現ですね。ほかにも ございました。これは全部、先ほど冒頭の方もおっしゃったように、極めて主 観的です。全く科学的ではございません。  A40を絶対的基準にしてアメリカ牛肉を輸入するということは、あっては ならないことだと思います。この点、明確にお答えいただきたいと思います。 ◎藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、後ろの方、続けてお願いします。 ◎参加者6  半澤と申します。  皆さん方にも猫や犬を飼っている方が多いと思いますけれども、さっき言わ れましたダブルスタンダードで、犬用、猫用の餌に紛れ込んでくることはない のでしょうか。  それ1点のみです。 ◎藤井参事官  それでは、続けて、その後ろの方と、真ん中の方と、前の方ですね。 ◎参加者7  「食・緑・水を創る宮城県民会議」の関と申します。  私の方からは、アメリカ産の牛肉等に対するBSE対策の中で、私どもが情 報としてお聞きをしている中で、なかなかストレートに安全・安心が確認をで きないのではないかという観点から、意見、要望を申し上げたいと思います。  1つは、アメリカでは屠畜される牛でBSE検査を行っているのは極めて少 ないというふうに言われています。さらに、生産流通履歴をたどるトレーサビ リティ制度が整っていないために、今お話ありましたように、月齢判定がなか なか正確にできないと。そういったものが、目視による骨あるいは肉質の状況 の中で月齢判定では誤差を招きかねないのではないかと。  さらに、特定危険部位の除去では、日本においてはすべての月齢の牛の脳な どの危険部位を除去して焼却処分を行っているのに対して、アメリカでは30 カ月齢以上の牛に限られているという問題。さらには、アメリカでは除去され た特定危険部位は処分をされず、肉骨粉の原料とされ、豚や鶏の飼料として流 通されているのではないかという疑念があることなども言われておりまして、 こうした状況からすれば、今回のように改善措置が明確にならない段階で拙速 的に輸入再開を行わないでいただきたいというふうに思います。  仮に輸入再開ということになった場合においても、国内におけるBSE対策 についても、アメリカあるいはカナダ産の牛肉等の再評価を適正に行っていた だきたいと。その場合に、全頭検査、トレーサビリティ、さらには全頭からの 特定危険部位の除去、肉骨粉の禁止などを基準に評価を行っていただきたいと。 輸入時の検査体制の強化を図って最大限の検査を行っていただくと。  最後に、消費者の選択権を確保して、食の安全を実現するために、牛肉を使 用した外食、中食、加工品と、すべてに原料原産地表示を義務化することなど を要望いたしたいと思います。  よろしくお願いします。 ◎藤井参事官  ありがとうございます。  それでは、女性の方、お願いします。 ◎参加者8  菅野と申します。2点ほどお伺いします。  1つは、資料でいただきました香港、台湾における事例のところに、こちら の資料の方、日本語で会社名が出ております。あと、仮訳の一番最後のページ に日本の処理施設一覧が英語で書いてありますね。ここの中に片仮名でスイフ ト社とかカーギル社という名前がありますけれども、ここに出ている番号と一 致するのかどうかですね。もし一致しているのでしたら、せめてそこのところ を教えていただきたかったと思います。  あと、このほかに10社ほどはまだ実績がなかったためにリストに入ってい ないというのが、せっかく資料として渡されていますので、その辺のところ、 関連を教えていただきたいと思いました。  もう1つは、もし再開なった場合、アメリカの処理施設を見ていますと、J のブルーのスタンプが押されたのが輸入停止でとまって、そこで処理した肉が どのようにアメリカ国内の方でなっているのかどうか。  それで、再開されたときは、それらは6カ月以上とまっているわけですけれ ども、処理施設は、効率的に日本向けだということで、再開がオーケーかどう かわからない状態でどんどん処理していて倉庫にためていたのを、再開オーケ ーになってどんどんと入ってくるのか。それとも、一たんそこでやったのは、 日本の政府が行って施設をチェックした後に処理を始めた肉が再開後入って くるのかどうかという点が心配ですので、お伺いしたいと思います。  よろしくお願いします。 ◎藤井参事官  ありがとうございました。 ◎参加者9  山形県生協連の多田と申します。お世話さまです。質問がピントずれていた らごめんなさい。  アメリカでBSE牛が見つかって2年半たつわけですね。しかも、1月20 日の成田の件があって3カ月になるわけです。その4月24日から5月4日に レビューを実施なさったということなのですね。高いレベルの非適合と低いレ ベルの非適合の、いわゆる問題点がある施設があるところが7割以上もあると いう、きょう、びっくりするような報告を受けました。大変な問題だというふ うに思います。手続や書類上の問題だということですけれども、日本の農家で は考えられないことだと思います。  きのうですか、きょうですか、全部適合したということでおっしゃっており ましたけれども、この意見交換会におっ取り刀で、急いでやったような感じが してなりません。これはアメリカ政府の施設への、残念なのですけれども、ず さんな指導だというふうに思わざるを得ません。  また、誠実さが全く感じられません。アメリカ政府の誠実さについてどう思 われるのか。率直なところ、概ねという言葉を、今よく使われました。ですけ れども、残念ながら、きちんとやってきたという言葉は聞かれませんでした。  その辺で、6月の日米首脳会談があるそうですけれども、そのお土産に輸入 手続の再開というのは拙速だなというふうに思いますので、ぜひやるべきでは ないというふうに思います。  どうも失礼しました。 ◎藤井参事官  ありがとうございました。  とりあえず、ここで一たん、こちらの方から発言をさせていただきたいと思 います。また順次お願いをしたいと思います。  まず、A40とトレーサビリティについて。 ◎伊地知参事官  アメリカでトレーサビリティは不可能であるというお話がありましたけれ ども、トレーサビリティシステムにつきましては、カナダはアメリカと似たよ うな飼養形態にしておりまして、カナダは2002年7月から義務化をしており ます。日本と同じようにトレーサビリティシステムの義務化をしておりますが、 基本的には生年月日を義務化するということではなくて、生年月日は任意でご ざいまして、これは豪州の場合も大部分がそうなのです。どこから、牛がどう やって来たかというのを追跡するというのがトレーサビリティの主な仕組み になっております。アメリカは任意で2004年から導入をしております。  それで、トレーサビリティというのは生年月日が全部入るのがトレーサビリ ティだというふうにお考えの方が多いかと思います。それも1つでございます けれども、トレーサビリティというのは、その牛や肉がどこから来たのかとい うのを追跡するということで、生年月日が必ずしも条件になっていないところ もあるというのが実態であります。  それで、アメリカでは生年月日が絶対わからないだろうという御指摘かと思 いますが、なぜアメリカは生年月日がわからないのかと。日本のように個体管 理、1頭1頭飼っていないと。群単位で飼っていると。アメリカでは牛が1億 頭もいるから、そんなのわからないだろうということで言われているというふ うに思いますが、アメリカの子牛の生産農家も規模はそんなに大きくないので す。子牛の生産農家は、1戸当たりで50頭とか、それぐらいなのです。それ で、管理ができないわけではないのです。  ただ、群単位で飼っているので、日本ほど個体の管理はしていません。ただ、 個体管理しているものは、個体で生まれたときに生年月日を記録することはで きます。だけど、多くの農家は群単位で飼っています。ですから、群単位での 生年月日をつけるというのがEVプログラムにも載っております。  群単位の生年月日というのはどうやってやるのだということですが、大体、 牛を飼っている人は、子牛は草が多い時期に生ませたいというのが基本的な考 え方なのです。生まれたときに余り牧草とか草がないと餌の確保で苦労します から、大体、すべてではございませんけれども、季節繁殖をやっている農家が 多いわけです。  したがいまして、春に生まれるようになるべく種つけをする。すると、雌の 群れがたくさんいる中に雄を夏場に入れれば、春に子供が生まれるわけですね。 妊娠期間284日たつと生まれるわけです。雌の群れに、雄牛を入れて、そうし たら、すぐ雌に乗って種つけをやります。  そうすると、雄を入れてから284〜285日たった頃に生まれるだろうという ことで観察をするわけです。そして、妊娠が間近な牛を自分の目の届くところ に集めてくる。そして、1頭生まれたら、最初に生まれた牛の生年月日をその 群れの生年月日にしようということです。季節繁殖ですから、その後2〜3カ 月間かけてどんどん子牛が生まれてくるわけです。  例えば3月1日に一番最初のやつが生まれたと。そうすると、その後はいつ 生まれたのを見なくても、後から生まれてくるものはすべて3月1日という生 年月日をつけるということです。そうすると、本当は4月1日に生まれたやつ も3月1日の生年月日がついているというような形での生産記録を認めてい るわけです。したがって群単位での生年月日というのはやれるわけでございま して、アメリカでは1割から2割が今、そういう形で記録がわかるであろうと 言っているわけです。  1頭1頭をわかるわけではないのです。群単位で、2〜3カ月の幅を持ちな がらわかると。それで20カ月齢以下であればいいと。その20カ月齢以下は、 さっきも言ったように、もしかしたら本当は18カ月齢か19カ月齢のものが 20カ月齢だという生年月日になってしまうわけですね。ということで、生年 月日が絶対わからないということではないということでございまして、そうい う取り組みがなされている。  全部がやっていない。では、やっているところだけ輸入を認めるということ でございますので、全部がやらないから全部認めないということでなくて、そ ういう生産記録があるものは、20カ月齢で記録のあるものを認めるというこ とです。  それと、A40の話なのですけれども、これは個体差があるというのは事実 です。これは歯でも同じです。今回のこのA40というのは、かなり厳しい、 幅を持った設定になっているというふうに思います。  アメリカは最初、A60かA70で認めてほしいというのが本音だと思います。 初めての方はA40とか50とか60とかいうのはおわかりではないかもしれま せんけれども、生理学的成熟度というのは、A、B、C、D、Eといって、E に行くほど成熟度が高いわけですね。年をとっているという意味です。そのA、 B、C、D、Eそれぞれが10段階に分かれているわけです。A0、A10、A20、 A30、最後はE90ということで、50段階のA40といったら下から5番目なの ですね。  それで、アメリカは日本と違って肥育期間は短いのですね。日本のように肉 質をよくしようということよりも、経済性をかなり追求しておりますから長く 飼うメリットがないわけです。したがいまして、アメリカ側の説明によります と、肥育牛いわゆる肉用牛の9割ぐらいは20カ月齢以下であると言っている わけです。  ただ、A60といったら、半分ぐらいがA60以下なのです。アメリカは自分 たちの肥育牛をほとんどそういう生理的成熟度で認めてもらいたいわけです けれども、そうするとA70とかなってしまうわけです。  ただ、実際にそのデータ、3,338頭の生年月日と生理学的成熟度のデータを みたら、A50だと21カ月齢というのが何頭か入っていたわけですね。だから 認めなかったのです。サンプルとして、21カ月齢以上が1頭も入っていない A40というところでしか認めなかったわけです。そうすると、A40というの は全体の肥育牛の8%しかないわけです。アメリカの感覚的には自分たちの牛 の8割から9割は20カ月齢以下だと思っているけれども、A40という基準で やると8%しか入ってこないわけです。  だから、これについてはかなり不満があるわけです。それを統計学的にもち ゃんと誤差も見た上で判定をしていただいて、これであれば採用することも可 能であろうということで採用されたものでございまして、誤差を見てもかなり 低い水準に設定されているということでございます。  では、ペットフードの話を。  アメリカでは、基本的には哺乳動物の肉骨粉を反芻動物にやることは禁じら れておりますが、豚とか鶏とかには認められているわけです。日本は牛の肉骨 粉は豚にも鶏にもだめなのですけれども、基本的には豚も鶏も、反芻動物の餌 を食べたらBSEになるということはないわけです。ですから、それは理論的 にはいいわけです。犬猫もそういう意味で反芻獣でありませんので、牛の肉骨 粉をペットフードとして使うことも認められております。ですから、それは禁 じられておりません。  あと、表示をすべて義務化してほしいというお話がございました。表示は、 御承知のとおり食品衛生法とJAS法というのがあって、JAS法では品質の 違いがあるものについては原産国表示を義務化をしております。具体的には、 生鮮食料品は義務化されておりますが、加工品については品質の差というのを 明確に分けるところまでいってないということもありまして、いろいろ加工さ れますので品質の差をそういうふうに差別化してやるということも余りない ということで、表示は義務化されておりません。  ただ、生鮮に近いものにつきましては10月から義務化をすることになって おります。たれをつけた生の肉とか、味つけをしていないミンチ肉とか、あぶ った肉とか、そういう生鮮に近いものは10月から義務化をすることになって いますが、すべてのものを義務化するというのはなかなか難しいわけでござい ます。  それと、外食につきましても、いつも同じところから同じものを調達できる 外食業者もあるのですが、そういうことができない方もおられるわけです。そ れを義務化をして違反をしますと、法人だと1億円以下の罰金になるわけです。 かなり厳しい罰則がかけられておりますので、そういうところにまでこれを義 務化するというのは難しいということで、外食につきましてはガイドラインを つくりまして、表示できるところはガイドラインに沿って表示してほしいとい うことで、そういう取り組みを推進をしているところでございます。  それと、加工品につきましても、ほかは全くやらないということでなくて、 どういうものであれば表示が可能かということも含めて、表示に関する共同会 議というもので、いろんな分野の識者に集まっていただいて議論をしていただ いているという状況にございます。 ◎道野室長  それでは、引き続きまして、簡単に答えさせていただきます。  まず報告書の関係ですけれども、ここで出てくるトレーサビリティというの は、月齢のどうとかということではなくて、過去に日本に輸出された製品につ いて、処理の記録であるとか、それから生体の搬入記録であるとか、そういっ たものがずっとトレースバックできるものについて、そういう性質をトレーサ ビリティと言って、それを確認したということでありますので、念のため申し 上げておきます。  もう1つ、資料の話で香港、台湾の事例と、それから日本に既に輸出した施 設のリストの関係ですけれども、ここにありますとおり、コロラド州のスイフ ト社というのは、後ろに「資料」と書いているのがコロラドですから。それか らカンザスのカーギル社、それからカリフォルニア州ハリスランチ。これは一 番下にあります。ということで、対照して見ていただければ確認できると思い ます。7番、24番、25番が該当すると思います。ネブラスカのタイソン社は、 さっと見たところ、多分、入ってないのではないかというふうに思います。  あと、アメリカに在庫が残っているのではないかということなのですけれど も、日本向けの輸出自体は、アメリカ全体で見ても輸出というのは1割なので すね。あとはみんな国内で食べてしまっていますね。各工場単位で見れば10% より多いところ、少ないところはあるのでしょうけれども、長く置いておく経 済的なメリットというのは余りなさそうだというふうに思っていますし、ただ、 実際そんなものがあればあったでまたそれは考え方を整理しなければならな いと思いますけれども、通常、ちょっと考えにくいのではないかなというふう に思っています。  それから、山形の生協の方で、米国側のやっていることというのは、急いで やってずさんではないのかということなのですが、しかし、問題が起きたのが 1月20日ですから、それから、要するに2施設、37施設のいろいろな調査、 データ整理に3カ月かかっているということで、それをどう評価するかという ことだとは思います。ただ、日本側が求めたものについては、一応、米国側と しての調査結果なり見解は出てきたということは事実です。  私が概ねと言っているのはどうしてかというと、あくまでそれはアメリカ側 の主張であり、アメリカ側の資料に基づいてそういうふうなことですよという ことを言っている、日本側として現地で検証していないということもあるので、 そこはちょっと語尾がふにゃふにゃしているのではないかなというふうに思 います。そういった意味で、今度は日本側がやはり米国側の検証をしていくと いうステップに入ってきているのではないかという認識だということを重ね てお話ししたいと思います。  あと、政治的にどうかということはよく言われるわけですけれども、本件に ついては、もう御承知のとおり、内容的には非常に技術的な問題ですし、私ど もも上司から技術的にきちんと検討して解決をするというふうに指示を受け ておりますし、そういったスタンスで対応しているということについて改めて 申し上げたいと思います。  以上です。 ◎伊地知参事官  A40でマチュリティの関係は、農林省のホームページの方に、これはアメ リカとの協議を公開の場でやっております。その議事録とか資料もすべて出さ れておりまして、かなり膨大な資料でございますので、ここだけで完全に説明 するのはちょっと難しいと思いますので、関心のある方は、ホームページに月 齢判定検討会の議事録、資料、すべて載っておりますので、ぜひ詳細をお知り になりたい方は読んでいただければというふうに思います。 ◎藤井参事官  それでは、こちらの2つの列の方が残っておりましたので、今、手が挙がっ ている3名の方で、もうそろそろ時間ですので終わりたいと思います。  順次、その3名の方、御発言をお願いをいしたいと思います。 ◎参加者10  肉牛生産農家の川口と申します。  きょうの資料の12ページに記載されておりますけれども、米国における飼 料規制の云々と書いてありますけれども、私も、実は輸入の不安、それからB SEの問題等につきまして、国内だけの世論を聞いたのではだめだというよう なことで、実質、アメリカの方に15日間行ってまいりました。そんな中で、 日本で報道されているのとアメリカの報道はかなり違っているなと。私は基本 的に、輸入を阻止するとか輸入はいけないという観点から話をしているのでは ございません。  といいますのは、1つは、先ほどおっしゃられたように、アメリカの屠畜で すね。生後20カ月で屠畜すると。和牛は基本的には32カ月から36カ月で屠 畜するわけなのですけれども、その短いギャップは何を意味しているのかとい うと、BSEより怖いものがあるのです。それは何かといいますと、成長ホル モン剤。これを多量に投与して、そしてコストを下げて短期間に肥育する。そ れが、私はむしろ健康を害する要因をつくっているのではなかろうかなと。こ れがまず第1点。  それから、2点目は、前座の方もお話ししたようでございますけれども、直 接、肉骨粉を牛に与えてはおりませんけれども、豚と鶏に与えています。それ を再度、牛に与えているというようなことがございます。  さらに、もう1点。骨の成熟度によって牛の月齢を判断するのだということ でございますけれども、餌の調合状態によって骨の成熟度が変わります。そん なこんなのことをきちっと対応して、二度とこういったようなトラブルがない ような対応をしていただきたいと。私たち生産農家も大変でございますし、業 者の方も大変だと思います。  それから、きょうの議題にございませんけれども、せっかくでございますか ら最後に1点。  やはり、安い安心・安全な牛肉を農林省の方で考えて、減反を30%、農地 を休ませているわけですから、もっと国内生産に本気になって力を入れてもら いたい。そうすれば安心・安全な牛肉が国内生産できるのではなかろうかなと いうふうに思っております。  きょうの議題にはなかったのですけれども、ぜひそのことを念頭に置いて頑 張っていただきたいというふうに御要望を申し上げます。  以上でございます。 ◎藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、次の方、お願いします。 ◎参加者11  手短に申し上げます。ミートジャーナル等の専門誌に執筆しております、マ ーケットアナリスト、コンサルタントの、ブリッジインターナショナルの高橋 と申します。  まず最初に、以前もリスコミで申し上げましたけれども、再度、日本の基準 について厳し過ぎるのではないでしょうかということです。  皆様御存じかどうかわかりませんけれども、国際基準、つまりOIE基準は、 特定危険部位を除去してしまえば、まず30カ月齢以下は安全ですというのが 国際基準です。これは日本を除く消費国──ヨーロッパ、アメリカ、あと、こ の近辺。先ほど話題になった香港、その他、台湾、すべて30カ月以下は安全 だと。なおかつ、SRMについては、除けば、よしんばBSEにかかっている 可能性があったにしても安全ではなかろうかというのが、今のOIEの考え方 でございます。  皆さん、BSE、BSEとおっしゃっていますけれども、一番怖いのはvC JDでございまして、つまりヤコブ病でして、これとの因果関係につきまして は、今、国際的な考えでは、SRM、つまり特定危険部位を食べた方が感染の 可能性が非常に高いということになっております。  アメリカが20カ月齢で特別に選定すると、つまり非常にコストがかかると いうことになるわけです。どこがやろうにしてもですね。そのコストについて 我々が負担する、消費者が負担するということになるわけでして、これでは仙 台名物の牛たんもそれほど食べられないというような、また、吉野屋に並んで いる若い人たちも消費者でございますので、そういう方々がおいしくて安い牛 肉を食べられるような、国際基準に沿った形でやっていただけないかと。  もう1つ、全頭検査についてなのですが、全頭検査についても税金で補填す るというのはおかしいのではないでしょうかという話です。  全頭検査については、私は何もやるなと言っている話ではなくて、これは受 益負担でやるべきなのではないでしょうかと。プリオン委員会の方で20カ月 齢については全頭検査はやらなくても結構というお話になっておりますので、 それを今、移管期間だといって、800兆円もの日本国の赤字があって政府がリ ストラをしているような状態の中で、これ以上、税金を投入するというのは、 納税者としては私は納得いかないという話でございます。 ◎藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、一番最後に、後ろの方、手短によろしくお願いをいたします。 ◎参加者12  私の前にお話しなさった方が国際基準においての話をちょっとお話しなさ っているのですけれども、私の空耳かどうかわかりませんでしたけれども、2 週間ほど前にテレビのNHKのニュースで、アメリカは国際基準の委員会の方 に、30カ月以下の牛についての基準で輸入・輸出をできるように、訴えると いう言葉ではなかったのですけれども、そういう方向で行くので、輸出する国 にとっては非常に利益が上がるというか、要するにあんばいいいような話で、 輸入する国にとっては大してメリットがなくても、輸出する方が優先権を持て るというふうな方向で、先ほど話したOIEですか、そちらの方に日本と米国 のBSEの問題をスライドさせてこれから交渉に当たりたいというようなこ とを、ちょっとニュースで流れたのですね。  私はそれを新聞等で確認しようと思ってずっと見ているのですけれども、一 向に出てこないので、もしかして、下世話な話ですけれども、ガセネタだった のかななどと思ったりもしたのですけれども、ちょうど今、私の前の方が国際 基準においてというふうなことをおっしゃっていましたので、その辺の新しい 情報をもし国の方で押さえているのであればお話しいただきたいと思います。 ◎藤井参事官  失礼ですが、お名前……。 ◎参加者12  大変失礼いたしました。食品安全委員会モニターの古内と申します。 ◎藤井参事官  ちょっと司会の進行の不手際で、もうお約束の半が過ぎておりますので、い ろいろと御予定がある方については席を立っていただいても結構かと思いま す。  今の御意見、御質問等について、行政の方からは手短に発言等をさせていた だきたいと思います。 ◎伊地知参事官  OIEの関係で申し上げますと、今言われたように、基本的には、30カ月 齢以下の骨なし肉でピッシングをやっていないとか、生前・生後の屠畜検査で 合格しているということが条件であれば貿易を制限すべきでない、すなわち自 由に貿易できるということです。少し前までは、30カ月齢の月齢を外そうと いうのが、OIEの今回の総会での原案として回ってきたわけです。  ですから、30カ月齢以下でなくても、とにかく骨を抜いた肉で、ピッシン グをやってなくて生前・生後の検査で合格しているものであればいいというよ うな案が来たのですけれども、日本の方から、30カ月齢を外すのは反対であ るという意見を出しました。EUもそれに賛同してくれまして、結果としては 30カ月齢という月齢が残ったままになっております。  アメリカは特にそれについては反対しなかったそうです。30カ月齢をその まま残すことについて反対した国もいたそうですが、ちょっと今、名前を覚え ていませんが、アメリカは特にそこについては反対をしなかったということで、 アメリカが特に今回、大きく政治的に動いたということは、承知をしておりま せん。ただ、アメリカは以前から、国際基準にのっとってやるべきであるとい うのが基本的な考え方であります。  ただ、今回、輸入が再開されたらアメリカは国際基準を主張すると思ってい たのですけれども、今回の事件が起こったので、現時点では30カ月齢にしろ という声は大きくはなっておりません。 ◎道野室長  あと、残りについてお答えします。  成長ホルモン剤とおっしゃっていましたけれども、要するに肥育をするため のホルモン剤の使用ということですが、これに関しましては日本でも、先ほど ポジティブリスト化の話がありましたけれども、ポジティブリスト化以前から 基準をつくっています。それは、科学的な安全性の評価をやった上で基準値を 設けています。  そういったことで、基準を上回るものについては当然、輸入を認めないとい うことで、検査もやっているということでございます。昨年12月の検査につ いてさっき触れましたけれども、ホルモン剤についても違反するものというの はございませんでした。  それから、日本のBSE基準は厳しいのではないのかという御指摘がござい ました。もちろん規制ですので、科学的な合理性というのは当然求められます。 WTO協定でも原則は国際基準であり、科学的なそういう根拠があればそれよ りも厳しい規制ができるというふうになっているわけです。  国内規制の見直しについては、食品安全委員会に諮問して科学的な評価を受 けて、日本としての科学的な評価結果に基づいた基準というふうに私どもは認 識しておりますし、それについては正当性があるというふうに考えていますし、 アメリカに対してもそういったことで主張してきたということであります。  あと、全頭検査の経過措置の問題につきましてですけれども、20カ月齢以 下については法的には安全基準としては検査は必要がないというのが今の日 本の基準です。私どもの方としては、市場であるとか消費者の混乱回避という ことで、去年の8月から一応、基準自体は施行しているわけですけれども、3 年以内については経過措置ということで、全体の1割ぐらいが20カ月齢以下 に当たるわけですけれども、一応、措置を継続しているということです。  これに関しましては、科学的には問題がないのですよということについて、 しっかり私どもから国民の皆さんに伝えていくということが重要ですし、そう いったことで、経過期間を有効に利用して対処していきたいというふうに考え ています。もちろん、税金の使い方ということに関していろいろな御意見があ るということはよく承知をしております。 ◎伊地知参事官  あと、飼料規制のお話は先ほども少し申し上げましたけれども、アメリカで は、反芻動物の肉骨粉──わかりやすく言いますと、牛の肉骨粉を牛にやった らいけないのですけれども、牛の肉骨粉を豚、鶏にはやっていいということに なっておりますが、ただ、飼料規制の強化ということで、30カ月齢以上の牛 の脳とか脊髄とかの危険部位につきましては動物の餌にしないようにしよう ということで、規制の強化を今、検討しているという段階にあります。  あと、国内で畜産振興をしっかりやれという励ましのお言葉をいただきまし て、ありがとうございます。実際はかなりのお金、約1,000億ぐらいの予算を 毎年、肉用子牛対策費ということで畜産振興のために使っております。かなり の予算を使って振興に努めているところでありまして、その成果が上がるよう に引き続き頑張っていきたいというふうに思っております。 ◎藤井参事官  お約束の4時半を、進行の不手際で過ぎてしまいましたことをお詫びを申し 上げたいと思います。  また、まだ発言をされたいという方おありかと思いますが、時間が10分以 上過ぎておりますのでこれで終了させていただきたいと思いますが、本日、活 発な御意見等をいただきました。それにつきましては、輸入手続を再開するた めの措置を検討する際と、その他、厚生省、農林水産省での管理措置を検討す る参考にさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)              3.閉       会 ◎司会  それでは、以上をもちまして、食品に関するリスクコミュニケーション(米 国産牛肉輸入問題に関する意見交換会)を閉会いたします。長時間にわたり、 ありがとうございました。  なお、お帰りの際にアンケートを回収いたしますので、御協力をお願いいた します。                               (了)