06/01/16 平成18年1月16日(京都府京都市)「食品に関するリスクコミュニケー ション(輸入食品の安全確保及び残留農薬等のポジティブリスト制度の導入 についての意見交換会)」 食品に関するリスクコミュニケーション(輸入食品の安全確保及び残留農薬等のポジテ ィブリスト制度の導入についての意見交換会:京都市) 平成18年1月16日(月) 於:ぱ・る・るプラザ京都 開 会 【司会(広瀬厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐)】   本日は皆様ご多忙の中、ご参加をいただきましてありがとうございます。 ただいまから「食品に関するリスクコミュニケーション」を開催したいと思います。  私は、本日司会を務めさせていただきます厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報 課の広瀬と申します。よろしくお願いいたします。  本日の意見交換会につきましては、予定人数300名ということで募集を行っており ましたけれども、350名を超える方のご応募をいただきまして、ありがとうございま す。できるだけ多くの方にご参加いただきたいということでございまして、期限内にご 応募いただいた方を優先的にご案内申し上げて、会場の座席数も増やしております。大 変混み合って申しわけございませんが、ご理解いただければと思います。  最初に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元の資料の中に、議 事次第というものがあるかと思いますけれども、配付資料といたしましては、資料1が 「残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について」、資料2が「平成18年度輸入 食品監視指導計画(案)」、資料3が「輸入食品の安全確保について及び平成18年度輸 入食品監視指導計画(案)について」というもの。それから、資料4といたしまして 「米国及びカナダにおける日本向けの牛肉認定施設の査察について」というもの。それ から資料5ですが、「食品に関するリスクコミュニケーションにおける事前意見・質問 について」というものでございます。  そのほか、参考資料といたしましては、「意見交換会に参加いただいた皆様へ」とい う、カラーの1枚のA4物と、それから「食品中に残留する農薬等のポジティブリスト 制度(補足資料)」というものが入っております。また、「食品安全エクスプレス」とい うA4横の紙のもの、それから「遺伝子組み換え食品の安全性について」という、これ は小冊子になるかと思います。それから、「安心を食べてほしいから。見守っています、 食の安全。」、これも小冊子になるかと思います。それから、「食品の安全性に関する用 語集(改訂版)」というものと、「食事バランスガイド」を入れさせていただいておりま す。資料の不足等ございましたら、受付もしくは担当者のほうにお申し出いただければ と思います。  続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきます。まず、厚生労働省大 臣官房の藤井参事官から、本日のテーマであります、残留農薬等のポジティブリスト制 度の導入についてということでご説明いたします。続きまして、監視安全課の田中専門 官から、輸入食品の安全確保及び平成18年度輸入食品監視指導計画(案)についてと いうことで、説明させていただきます。その後、同じく監視安全課の坂梨係長から、米 国及びカナダにおける日本向けの牛肉認定施設の査察についてということで、説明をさ せていただきます。最後のものについては、一時停止となっておりました米国及びカナ ダからの牛肉の輸入について、昨年末再開したことに伴いまして、厚生労働省と農林水 産省からそれぞれ米国とカナダに担当官を派遣し、両国の牛肉認定施設の査察をしてお りますが、その報告をさせていただくものでございます。  今回は輸入食品がテーマでございますので、輸入牛肉についても若干関係がございま すので、当初の開催案内の中には議題として入っておりませんでしたけれども、今回、 それについても報告させていただきたいと考えております。  説明時間につきましては、それぞれ30分程度を予定しております。説明の終了時刻 としては、2時半を予定しております。説明が終わりましたら、壇上のアレンジをする 関係もございまして、10分程度休憩をとらせていただき、2時40分からパネルディ スカッション、意見交換に入りたいと思います。終了は、会場の都合もございまして、 4時半ごろを予定しておりますので、よろしくお願いします。  本日の意見交換会の目的なんですけれども、先ほど、「意見交換に参加いただいた皆 様へ」ということで、A4縦の一枚紙、カラーのものがあるかと思いますけれども、リ スクコミュニケーションの取り組みの一環として、本日、行っておりますので、この意 見交換会の目的については一番下の段になるわけですが、リスクコミュニケーションに つきましては毎回毎回、それぞれで行う意見交換会で、何か合意して決めるというよう な性格のものではございませんで、きょうの意見交換会の目的といたしましては、まず 1つ目として、輸入食品の監視指導計画とか安全対策、それから、残留農薬等のポジテ ィブリスト制度の中身とか、米国・カナダ産牛肉等への対応などについて、きょうお集 まりいただいた方々の間で、まず情報を共有するということ、それから、2つ目の目的 に、さまざまな立場の方から意見を出していただきまして、それをみんなで聞いたり考 えたりすることによって、この問題について理解を深めるというようなことを目的とし ておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、まず初めに、ポジティブリスト制度についてということで、藤井参事官か ら説明させていただきます。  よろしくお願いいたします。 テーマについての説明 【藤井厚生労働省大臣官房参事官】  それでは、時間も押しておりますので、早速説 明をさせていただきたいと思いますが、スライドを使ってご説明をしたいと思います。 ただ、先ほど、会場の後ろのほうへ行ってみますと、スライドが見えにくい方が大分お られると思いますので、お手元の資料1は、今日お示しをするスライドの、そのままの コピーでございます。スライドが見えにくい方については、資料1を参照いただきなが ら話を聞いていただければと思います。  残留農薬のポジティブリスト制度の導入についてということをご説明する前に、農薬 及び今までの残留基準について、国がどのように対応してきたのかということを簡単に ご説明をさせていただきたいと思います。 (スライド)  これは、あくまでも我が国で使用される農薬になりますが、農薬については農林水産 省さんのほうで、ここにありますように、農薬取締法によって承認されたものだけが使 えるということになっております。その承認も、安全性が確認をされないと、農薬とし て承認登録がされないという仕組みでございます。 (スライド)  安全性を担保する場合、あくまでも食べる作物に残留する可能性がある農薬について、 毒性試験、そして環境中への影響で、どれだけ農作物の中に残留するのか、そういうこ とを精査した上で登録がされるということになっております。  農薬は、どちらかといいますと、農作物への害虫の駆除でありますことを中心に使わ れるわけですが、こういう安全性が明らかに、農薬を登録する時点でも担保されている。 ただ国のほうでは、あくまでも農薬を使うという立場からの基準でありまして、厚生労 働省のほうでは、これが食品中に残留する可能性がある、そういうものについて健康上 の配慮から規制をしております。 (スライド)  その規制といいますのが、先ほど申し上げましたように、あくまでも食品の安全性、 健康への影響ということを考慮して、食品衛生法上で、残留農薬の基準を決めるという ことをしております。  基本的な考え方として、毎日の食事を通じて摂取する農薬等の量がADIを超えない ようにする。このADIというのは、次からご説明をしますが、簡単に申し上げますと、 毎日食事を通じていろんな農作物でありますとか、牛乳とか牛肉とか、そういうものを 含めて、農薬等を摂取する可能性があるわけですが、それが健康に影響を与える量を超 えないようにするというのが、食品衛生法上の基本的な考え方になっております。 (スライド)  このADIとは何かと申し上げますと、英語でAcceptable Daily  Intake、この頭文字をとりましてADIと呼んでおりますが、日本語では、許容 一日摂取量または、ときによっては、一日許容摂取量と訳されている場合もあると思い ます。ある物質について、人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康に対す る有害な影響があらわれないと考えられる1日当たりの摂取量であります。  人間は、大人も子供もいますし、太った方、やせた方がいますので、そういうことも 考慮しまして、1日当たりの体重1キログラム当たりのミリグラムで、このADIとい うのは表わされることになっております。 (スライド)  ADIはどのように決められるのかということでありますが、食品衛生法上の、食品 中に残留する農薬の基準を決めるのは厚生労働省です。厚生労働省がその大もとになる 安全基準を決めるのかというと、そうではありませんで、ここにもありますように、平 成15年からは食品安全委員会がADIを決定して、そのADIに基づいて、厚生労働 省のほうで基準を策定するということになっております。  これは、健康に影響を与えるかどうかという大事な基準でありますから、どういう手 法を使っても、その値を出してもいいというものではありませんで、国のほうで、こう いう手順に従って実験をして、データをとってくださいということも定めております。 そして、また、この基準といいますのは、人の健康への影響への基準でありますから、 人を対象に実験をするということはできません。したがいまして、いろいろな試験を実 施するわけでありますが、これはネズミを中心とする動物実験によるデータによって、 その後を決めていくことになります。  これは、あくまでも動物実験でありますから、それがほんとうに人に応用できるのか という疑問もございます。それから、先ほど申し上げましたように、子供もいれば大人 もいる、お年寄りもいるということもあります。これは、いろいろと動物実験をして、 いろいろな試験から、全く健康への有害作用が認められない量、これを無毒性量と呼ん でおりますが、それが決められます。これは、あくまでも動物実験でやりますから、先 ほど申し上げましたような、人間と動物の種差、大人と子供という個体差、それを考慮 しまして、安全係数という形で、無毒性量を100分の1にするということがやられて おります。これは、世界中、このADIの決め方というのは、大体100分の1を動物 実験の無毒性量に掛けて設定をするということになっております。 (スライド)  今、申し上げたのを図にお示しをしたのが、次のスライドでございます。通常、横軸 のほうに、この場合でいいますと、残留農薬ということになります。それがどれぐらい 健康に影響を与えるかというのを、縦軸にとっております。普通考えますと、何か化学 物質が体に入ると、直線的に体に影響があるのかなとお考えになるかもわかりませんが、 通常の化学物質の場合は、ある一定量をとっても、体に全く影響はありません。あると ころから影響から出始める、それも、これは直線的に出るのではなくて、S字のカーブ 状に出るということが一般的に知られております。その影響が出始める点というのが、 先ほど申しましたように、無毒性量ということになります。動物実験での無毒性量を1 00分の1にしたものがADIとして設定をされているということであります。  よく、基準以上の農薬が作物に発見され、廃棄されたとか、回収されたとか、そうい うことをお聞きになることがあると思います。普通、農薬等が検出されるレベルという のは、一般的に、ADIよりも、かなり低いレベルのものが多いんですが、たとえ、こ の基準値が若干超えたからといっても、かなり実際に影響が人体に出るところまでは余 裕があるということが、1つには言えるかもわかりません。 (スライド)  現在、国のほうでは、約250の農薬について残留基準というものを設定しておりま す。その残留基準の考え方というのは、いろんな農産物を食品として摂取するわけであ りますが、それをトータルして人体に影響が出ないように、許容ができる範囲の量とい うことを残留基準ということで言えるのではないかなと思います。  具体的に、残留基準をどういうふうに決めるかと申し上げますと、日本人が平均的に 食べている1日当たりの農作物中に含まれる残留農薬、そのトータルを推定して、その 合計が、先ほど申し上げましたように、動物実験の無毒性量の100分の1を上限にし てADIという形で上限値を決めたもの、それを下回るように決定するということでご ざいます。そして、農薬というのは、場合によっては、水とか空気とか、そういう環境 中から体内に取り込まれる可能性もありますから、ADIの100%を使うのではなく て、ADIの80%を超えないように、ここでも安全率を見込んで基準を設定するとい うことをしております。  また、先ほど申し上げましたように、平均的な成人だけを考えるのではなく、子供さ んでありますとか、妊婦の方、お年寄りというものも考慮して値を設定いたします。そ して、いろいろな農作物に残留基準というものが設定をされるわけでありますが、農作 物によっても、毎日、少量しか食べないもの、かなり量を食べるものということで、食 べる量が違うものですから、当然、農作物ごとに基準を設定するという形になります。 (スライド)  今まで申し上げたことを簡単に、1つのグラフに要約をいたしますと、先ほど申し上 げましたように、我が国で使われている農薬というものは、きちんと安全基準を確認さ れて登録承認をされたものだということです。そのときに、残留基準というものとセッ トで、こういうぐあいに農薬を使ってくださいという使用基準も決まります。簡単に言 いますと、決まった使用基準を守れば、農作物中に農薬が残留する基準値というものを 超えない、すなわち、超えないように使用基準を決めているということでありますので、 使用基準を守れば、残留基準を超えない。そして、通常の食物としての農産物等を摂取 していると、1日の許容基準としてのADIも超えないということになります。 (スライド)  次に、簡単に、3つのスライドで、どれだけ残留基準値を超えているものがあるのか というものをご紹介しますと、いろいろな調査の集計の関係で、今からお見せするスラ イドというのは年度が古いものになっています。ただ、結果としては、これが直近の結 果であります。これは、食品中の残留農薬の一日摂取量がどれぐらいかというものを検 査しておりますが、まず、新しいほうの平成14年度で見ますと、21の農薬について 検査をして、日常の食事を介して食品中の残留農薬を推計して、この許容一日摂取量と 比較したもの、ですから、許容一日摂取量というのが上限だということを考えていただ きますと、実際に推計をした農薬の摂取量というのは、上限の0.04%から、1.6 9%の範囲であるというのが平成14年度の21農薬。  13年度は、1つ、かなり高いものがありますが、これはいわゆる自然界中にもある 物質の関係で、それが識別できないために高く出ておりますが、一般的にいうと、許容 限度から比べて、その割合というのは低いレベルにあるのがおわかりいただけるのでは ないかと思います。 (スライド)  次は、加工食品中の残留農薬の検査でありますが、これも新しいほうの、平成14年 度を見ていただきますと、乾燥野菜等で297の農薬の検査を実施して、件数としては 0.2%、農薬としてでは、12農薬を検出しています。ただ、検出されたものについ ても非常に低いレベルであって、基準を超えているようなものではないということであ ります。 (スライド)  もう1つ。今まで申し上げたのは、加工食品中でしたけれども、今回は、農産物その ものの残留農薬検査の結果でありますが、これも平成13年度をごらんいただきますと、 農薬が検出されたもの自体が、トータルの0.5%であります。うち、基準を超える件 数というものが0.01%であります。基準を超えている件数もあるんですが、その値 については非常にわずかなもので、直接、すぐに健康に影響するようなものではなかっ たということであります。この件数を多いと見るか、少ないと見るか、それは評価の仕 方であろうかと思いますが、率からいいますと、比較的守られているほうではないかな という気がしております。 (スライド)  これは、いろいろと、農薬を使わないようにしようという動きが、生産者の側、そし て、そういうものをできるだけ購入しようという消費者側の動きというものもあります が、それ以外にも、調理をする段階で、農薬というものはかなり減少するということが 知られております。特に、水溶性の、表面につく農薬については、適切に水洗いをする と9割以上が流水によって流れ落ちてしまうということも知られております。 (スライド)  ちょっと前置きが長くなったんですが、次から、本題のポジティブリスト制度につい てご説明をさせていただきたいと思います。 (スライド)  ポジティブリストというのは、なかなか聞きなれずに、どういうことかとお考えの方 があるかもわかりません。英語でポジティブの反対にネガティブという言葉があるわけ ですが、ネガティブリストと言われるものもあります。原則規制がない状態で、規制す るものにだけリスト化をするということであります。  現在、日本の残留農薬の規制というのは、こういう状況になっております。規制をす るものについてだけ、リスト化がされている。食品衛生法上でいいますと、約250の 農薬について、それだけが規制されている。ただ、後で輸入の話もありますが、我が国 は食品を非常に多く輸入している、輸入食品の大国になっております。全世界では、8 00近くの農薬が使われていて、日本では250でありますから、800マイナス25 0、約550については規制しようにも、規制の方法がないというのが現状であったわ けであります。  それを、ポジティブリストといいますのは、原則すべて禁止です。使用を認めるもの だけについてリスト化をしましょうと、農薬についても、こういう制度に変えていこう ということが、今回ご説明をする内容でございます。 (スライド)  先ほど申し上げましたように、原則禁止です。ですから、基準が設定されていない農 薬等については、食品の販売等、原則禁止する制度です。ただし、全然残留してはだめ だということではなく、ここでは、一定量を超えて農薬が残留する場合については販売 が禁止になります。これは、どうして、残留しているものについて、すべて禁止をしな いのかということを言われる方がありますけれども、先ほども申し上げましたけれども、 水とか空気とか、環境中から意図せず、いろいろな食品に農薬成分が混入することもあ ります。それから、全く残留しないという証明が、機器の検査精度の関係で変わってま いります。そういう関係で、ここでは、一定量を超えて残留するということで決めてお ります。 (スライド)  こういう制度になりましたのは、日本の消費者団体の方が、ネガティブリストではな くて、ポジティブリスト化にするべきだと、多数の署名を集められ、運動をされた結果、 最終的には、平成15年、3年前の制度改正によって導入が決定されました。 (スライド)  3年前に決まったわけでありますが、3年以内に、この制度をきちんと組み立てなさ いということでありました。それの期限が、この5月にやってまいります。その6カ月 前までに、いろいろと手順を踏まえて、厚生労働省のほうでは考え方について通知を出 しております。それが、昨年の11月29日であります。 (スライド)  その通知の主な中身を説明していきますと、規制の対象ということでは、「農薬等」 となっておりますが、具体的には、農薬と動物用医薬品、飼料添加物、こういうものが いろいろなルートから食品中に残留する可能性があるということで、この3つのものを 対象に、そして、今までは加工食品というものをあまり明示的に言っておりませんでし たが、加工食品を含むすべての食品を規制の対象にするということが、今回の特徴にも なっております。今年の5月29日から適用されることになります。 (スライド)  もう1度簡単に、現在の制度とポジティブ制度の大きな違いでありますが、現在は、 基準が定められているものについては法規制がかかります。基準が決められていないも のについては、法規制をかけることが難しい状況にあります。これが現状であります。 それが、今年の5月29日以降は、基準が決められているもの以外については、一定量 を超えて農薬が残留をすると、食品の販売等が禁止になるということで、大きく網がか かってしまう、すべの農薬について網がかかってしまうということになります。  ここに、いろいろ説明を書いてありますが、次から、説明をしたいと思います。 (スライド)  11月29日には、中身の話とあわせて、基本的な枠組みについても通知をしており ます。先ほど申し上げました、一定量を超えて残留しているものについては食品の販売 等が禁止をされると、その一定量というのはどういうものかというのを、ここでご説明 をしております。  この一定量を一律基準と呼んでおりますが、人の健康を損なうおそれのない量として 決めたものであります。一定量としては、国では0.01ppmを設定しております。 先ほども申し上げましたように、環境などから意図せず汚染がある可能性がある等々の ことも考慮して、ここをゼロとせずに、0.01ppmという形にしております。pp mというのは100万分の1でありますので、0.01ppmというのは1億分の1、 ですから、概念的には、日本の全人口のうち1人ぐらい、そういう確率の割合といいま しょうか、それが0.01ppmということになろうかと思います。 (スライド)  0.01ppmというのは非常に厳しいというご指摘が、農家と事業者等からあるん ですが、既にこういう制度を導入しているころも、EUなんかは0.01ppmという のを設定して、その前からドイツは0.01ppm。アメリカも、物によっては0.01 ppmというものを設定している。ニュージーランド、カナダについても、世界的に0. 1ppmでは甘くなっているというので、改正を考えているという状況にあります。 (スライド)  それから、今回の中で、全く規制の対象にならないものというのも一部あります。6 5物質あるわけなんですが、オレイン酸とかレシチン、これはアミノ酸の一種でありま すが、アミノ酸の一種が農薬として使われている。これはアミノ酸ですから、基本的に 人体に害がない。重曹、これも、よく食品添加物に使います。こういうものについても、 農薬として使われております。こういう、既に添加物とかで使われていて、ほぼ安全性 が確認されているようなもの、これらの65物質については規制の対象外としますとい うことが、そのときに決まっております。 (スライド)  基準がないものについては、一律基準0.01ppmで規制をしますということであ りますが、基準があるものといいますと、現在、日本では約250しかありません。世 界で約800使われているということは申し上げましたが、そのまま規制をしてしまい ますと、ほとんどの輸入食品がストップしてしまうという可能性もあります。かといっ て、外国で使われている農薬について、いいかげんな基準を設定するということもでき ませんので、今申し上げましたように、国民の健康を守る、そして今回の制度を円滑に 運用するということから、日本では認められていない農薬等について暫定基準というも のを設定することになりました。 (スライド)  暫定基準というのも、先ほど申し上げましたように、いいかげんな基準ではありませ んで、何をもとに設定するかといいますと、国際基準、そして、農薬で登録をされると きに、いろいろな安全性の試験をすると申し上げましたが、そのときの基準。それから、 今回、こういうことを考えるに際して、諸外国に科学的な評価の資料を出してほしいと いうお願いをして、協力が得られたアメリカ、カナダ、EU、オーストラリア、ニュー ジーランド、この5地域と国の基準、これらを参考にして暫定基準というものを設定し ております。 (スライド)  暫定基準というのは国際基準を最優先にする、国際基準がないものについては我が国 の農薬の安全性の基準を準用する、それもないものについては、協力を得られた5つの 地域と国の基準を考慮すると、その3段階で暫定基準を設定することにしました。 (スライド)  これは、どういうふうに暫定基準をするかを、もっと簡単にシェーマにお示しをした ものですが、ある農薬が、日本では小麦とかみかんとかお茶、牛肉、牛乳、こういうも のについて残留基準が設定されていないといたします。ほかのいろいろなところを見ま すと、コーデックスと書いてありますのは国際基準であります。先ほど申し上げました ように、国際基準があるものについては最優先するということでありましたので、小麦 と牛肉については、国際基準であるコーデックスを参照して暫定基準値を0.05と決 定する。コーデックスの国際基準がないものについては、わが国の農薬の安全基準であ る登録保留基準というものを参考にすると申し上げましたが、ここでは、みかんに該当 するものがありましたので、登録保留基準の0.1を採用する。それもないものについ ては、先ほどの5つの地域と国を参考にする。参考にした結果、牛肉については、例え ば0.02ppmという値の範囲です。  この国際基準も、国の農薬登録基準も、そして5つの地域と外国の基準もないお茶に ついては、暫定基準というものをセットをせずに、基準がないものについて適用すると いう一律基準である0.01ppmをここでは使うと、こういう作業を国としては、や りました。 (スライド)  それから、今回、加工食品についても適用されるということを申し上げました。加工 食品で、コーデックス基準で国際基準が設定されているものについては、暫定基準を設 定するということであります。これは、小麦粉でありますとか、乾燥の果物であります とか、ジュース、トマトピューレ、そういう非常に加工度が低いものについて、幾つか 国際基準が設定されております。それについては、国際基準を準用して暫定基準を設け ておりますので、それらについては、その基準を使って規制がなされるということにな ります。  そういう基準が設定されていない加工食品につきましては、ここにありますように、 個々の原材料が基準に適合したものならば、すべての加工食品が基準に適用していると いう考え方で整備をすることにしております。加工食品は、皆様もご存じのように、い ろいろな材料、いろいろな方法でつくられておりますので、一々それに基準を設けると いうのは現実的に不可能になります。したがいまして、国際基準でも非常に加工度が低 いものだけに基準が決まっている。ある程度加工度があるものについては、原材料が基 準にのっとっていれば、製品についても基準にのっとっているだろうということを推定 して、販売等を可能にする、そういう考え方でございます。 (スライド)  先ほど申し上げましたけれども、農薬等、今回整理をしたのは、すべてで799、約 800になります。そのうち、暫定基準を設定したものが760程度あります。暫定基 準というのは国際基準であったり、外国の基準であったりして、日本でほんとうに、食 品安全委員会で評価をされたものではないものですから、見直していこうということに なっております。 (スライド)  特に、後段のほうを見ていただきますと、国民がどれくらい農薬をとっているのかと いう実態調査に基づいて、摂取量が多いようなもの、特に、想定されるADIと比べて 摂取量が非常に多いものについては、基準の見直しをなるべく早く行っていきましょう ということにしております。 (スライド)  それから、いろいろと科学的な知見が集積されてまいりまして、現在、安全だという ことで使われている農薬についても、発がん性が急にわかったとか、そういうものにつ いては早急に優先順位を上げて見直していきましょうということにして、5年ごとの見 直しと書いておりますが、先ほどの、暫定基準を決めた約760については、できれば 5年間ぐらいで、すべて国のほうで基準の設定をし直したい。どうしてもそれができな いものについては、5年後に諸外国等の基準の変更に応じた見直しを行うということに なっております。 (スライド)  今回、食品衛生法でいいますと、規制の対象は250から約800に増えるわけであ ります。そうすると、どういうふうにそれを分析していくのかというのも大変重要なこ とでありますが、いろいろと各自治体の検査機関等々にもご協力をいただいて、サンプ ルを入れれば、1回でいろんな種類の農薬の分析ができる、一斉分析法というものの開 発を進めております。 (スライド)  その結果、徐々にではありますが、一斉分析でできる物質というものが増えてきてお ります。まだまだ、物質数でいきますと、トータルが約800ということで申し上げま したので、それからいいますと、60数%ですか、529物質ということになっていま す。5月29日までは、まだ若干の時間もありますから、現在も一斉分析法の開発を国 のほうでは進めておりまして、でき次第、順次、それについては公表していくというこ とにしております。  以上、ざっと駆け足でポジティブリストについて申し上げましたけれども、今まで、 一部のものにしか規制をできないシステムであったのが、一応すべての農薬について網 をかけるシステムに、今年の5月29日から変わるという大変革が行われるということ でございます。消費者の方だけではなく、事業者の方、農業従事者の方についても、非 常に関心が深いところでありますので、ぜひ、この点については十分にご理解して、ご 協力も賜りたいと思っております。 【司会(広瀬課長補佐)】  ありがとうございました。  引き続きまして、監視安全課の田中専門官から、輸入食品の安全確保及び平成18年 度輸入食品監視指導計画(案)についてご説明いたします。  よろしくお願いいたします。 【田中厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室衛生専門官】  厚生労働 省の田中でございます。  私のほうからは、食品の安全性確保につきましてご説明させていただきたいと思いま す。資料につきましては、2と3という表示がなされている資料をごらんいただければ と思います。私のほうもスライドを使用しまして、ご説明をさせていただきたいと思い ます。 (スライド)  本日は、まず輸入食品の現状、そして、その安全性確保を担っております厚生労働省 の機関、検疫所の現状、そして、本日のテーマでもあります輸入食品監視指導計画とは どういうものかということについて、ご説明をさせていただきたいと思います。 (スライド)  まず、輸入食品の現状ということで、このグラフは、緑色が昭和45年、そしてオレ ンジ色が、その約30年後、平成14年の、各国の食糧自給率をカロリーベースで示し たものになります。フランスなどの先進諸国、そして日本のデータが示されております けれども、フランスを見てみますと、平成14年度、100%を超えております。これ は、自国の自給にとどまらず、輸出も行っているということがわかります。  また、このように諸外国の自給率がこのように上昇しているのに対しまして、我が国 の自給率というのは、昭和45年では約60%ほどありましたけれども、平成14年に は約40%にまで下がっている。国内自給率が約40%に低下したということは、言い かえますと、輸入食品、いわゆる食品の輸入が増加して、今日、私たちの食生活は、そ の6割を輸入食品に頼っている現状にあると言えます。 (スライド)  次に、輸入食品の届け出というものが、厚生労働省の検疫所になされます。その統計 データになりますけれども、先ほどの、輸入が増えていることを一部あらわしているも のになります。  この、緩いカーブを示しているものが輸入の重量、そして、急激に伸びているのが、 検疫所に届け出を出されている件数ということになります。平成16年度には約180 万件の輸入届け出がなされて、輸入重量としては3,428万トンにのぼっております。 輸入重量がそれほど増加していないのに対しまして、輸入届け出件数というのが急激に 増加しているというのは、貨物が小口化をしていると。例えば、航空輸送や冷凍コンテ ナが普及して、いわゆる流通の発展というものに伴いまして、高付加価値で、いわゆる 少量多品種のものが輸入されてくるようになったというのが、この表の背景になってお ります。 (スライド)  これは、輸入された食品、約3,400万トンを品目別に、どのようなものが輸入さ れているかというものを示した図です。お手元の資料を見ていただければいいと思うん ですけれども、まず、一番輸入が多いのはトウモロコシや小麦の穀類、そして生鮮野菜 や果物、冷凍食品など、農産加工品というのが大体、全体の7割を占めております。続 きまして、マグロとかウナギの水産食品、そして牛肉、豚肉、鶏肉などの畜産食品と続 いております。  このような統計データにつきましては、どのような国から、どういったものが輸入さ れているかということを詳細にまとめました輸入監視統計というものが、厚生労働省の ホームページで公表されておりますので、ぜひご参照いただければと思います。 (スライド)  続きまして、先ほど言いましたが、輸入食品が輸入をされる都度、厚生労働省の検疫 所という機関に届け出がなされることになっております。その検疫所という機関が、い わゆる輸入食品の安全性を担っているわけでありますけれども、全国にどれぐらいの検 疫所があるかというのを示した図です。今、全国に約31カ所の窓口があります。その うち、添加物とか微生物のような検査を行う検査課という部署が全国に6カ所、そして、 残留農薬とか遺伝子組みかえ食品などの高度な分析を行う、検査センターというものが 神戸と横浜の2カ所に設置されております。また、全国12カ所の主要な検疫所には、 輸入者の方がいわゆる安全な食品を輸入するための手助けを行うために、無料の相談を 専門に行う部署というのも設置しております。 (スライド)  これは、検疫所で働いております食品衛生監視員、その資格を持った者ですけれども、 全国でどれほど配置されているかということの伸び、推移を示した図になります。平成 元年、89名ほどいた監視員が、平成17年、現在では300名ほどに増えております。 国家公務員につきましては削減をしていくという、国の大きな方針の中で、食品安全と いう分野につきましては、いわゆるその必要性をある程度認めていただいて、平成18 年につきましても、約14名ほど増員が図られる予定になっております。 (スライド)  続きまして、輸入食品も含めてですけれども、安全確保の基本的な考え方というもの をお示ししております。この考え方につきましては、国の内外、いわゆる国内だけでは なく、外国も含めて、農林水産物の生産から食品の販売に至るまでの、ここに書いてあ りますけれども、食品供給行程の各段階において適切な措置を講じるということが、食 品安全基本法に明記されております。  この考え方を踏まえまして、輸入食品に当てはめてみますと、まず輸出国における衛 生対策の強化、そして検疫所が行っております水際での対策、そして、各都道府県等の 方に実施していただいております、国内流通時での対策、この3つの対策が確保される、 いわゆる三段階での安全性確保により行われているということになります。 (スライド)  この考え方をフローチャートにしてみました。いわゆる輸出国における対策、そして、 検疫所が実施している輸入時の対策というものが示されておりますけれども、検疫所に おいて、その検査体制というものが中心になってまいりますけれども、検査体制として は、検査命令、モニタリング検査、そして自主検査というものがありますけれども、大 きな枠組みとしては、検疫所が実施しているモニタリング検査というもので違反が見つ かれば、検査命令に移行して、輸入時の検査強化を行っていくというのが大きな流れに なっております。また、輸入時の検査で合格したものも、消費者の方に渡る前に、各都 道府県の方々による取り締りというものも実施されております。  先ほど、輸入食品監視指導計画のお話を少しさせていただきましたが、輸出国と、輸 入時における対策というものは、輸入食品監視指導計画に明記しております。また、都 道府県の方々が行う監視指導計画につきましては、各都道府県ごとに監視指導計画とい うものが定められて、公表されているところです。  また、輸入時もしくは国内で発見された違反食品の情報は、それぞれ輸入時の監視強 化、もしくは輸出国に対する衛生対策の要請ということで活用されて、こういった検査 体制の流れがトータルにめぐっていくということになっております。 (スライド)  先ほど言いましたとおり、輸入食品というのは、輸入の都度、厚生労働省の検疫所に 輸入の届け出をしなければならないということが、食品衛生法上、規定されております。 その届け出の中には、まず、食品衛生法に適合している食品であるかどうか、そして、 検査が必要なものであるかどうかということに必要な情報が示されておりますので、監 視員がそういった情報をもとに、それぞれ輸入時に必要な検査なり、審査を行うことに なっております。 (スライド)  輸入時における検査体制ということでありますけれども、検疫所が年間計画を立てて 実施するモニタリング検査というものがあります。これは、今、年間7万7,000件 ほどの検体について検査を実施しております。モニタリング検査というのは、世界各国 から多く輸入されてくる、大体、今、200カ国を超える国々からいろんな食品が輸入 されてきておりますけれども、そういった食品の衛生状態を広く把握するために、違反 の可能性があまり高くないと思われるものをランダムに検査しております。そういった もので違反が発見されれば、違反の蓋然性が高いと判断して、検査命令に移行していく というのが、今の輸入時の検査の大きな流れになっております。 (スライド)  これは、検査制度において、違反の蓋然性に応じて規制がどんどん厳しくなっている というものをあらわした図になります。輸入届け出のあった約180万件に対してモニ タリング検査、もしくはモニタリング検査を強化した状態、そして検査命令、こういっ た、何らかの輸入時の検査が実施されているのは、平成16年度の実績で見てみますと、 179万件に対して約19万件、10%強、実施されているということがあらわされて います。 (スライド)  次に、そういった検査がどのように行われているかという、検疫所での検査風景にな ります。現場に監視員が出向いて、輸入食品の検体をそれぞれ採取してくるわけですけ れども、これは、実際に現場の倉庫などでサンプリングをしている風景になります。こ ういった採取の仕方につきましては、決められた手順で、隔たりがなく均一になるよう にサンプリングが行われるわけですけれども、いわゆる冷凍品にのみを使ってたたいて みたり、あるいは採取を行ったりということで、それぞれ貨物の包装形態や違いによっ て、決められたサンプリング方法というのがありますので、そういったことに基づいて 監視員が採取を行っております。 (スライド)  これは、検体の輸送、そして検査部門での受け付けの風景になります。こういった検 体が年間約8万個、検査部門に送られてくることになるわけですが、当然、微生物の検 査等も行いますので、こういう温度計を設置して、輸送中もしっかり温度管理がなされ ているということを記録保存して、検査の信頼性を保つようにしています。 (スライド)  これは、理化学検査の流れになります。残留農薬とか、そういった分析の簡単な流れ になりますけれども、まず、とってきた検体を均一に粉砕して、溶媒で抽出をします。 そして、精製をして、これはクロマトグラフという専門の分析をする機械になりますけ れども、こういった機械で解析をすることになります。こういった結果につきましては、 いわゆる国際的な信頼性を得るために、こういう分析が正しく行われているということ について、結果も含めてしっかりと記録をして、検査の精度を保つように、そういう記 録保存がなされて、輸出国から要請があれば、いつでも詳細なデータが出せるような体 制がとられています。 (スライド)  そういった検査の中で、大体、輸入届け出件数に対しまして約0.1%、年間約1,0 00件ほどの違反というものが発見されておりますが、それを条文別に見てみますと、 一番多いのが規格基準による違反、全体の約65.5%を占めておりますけれども、例 えば、農薬の残留基準違反であるとか、微生物の規格の基準違反、添加物の使用基準違 反、そういった、いわゆる日本の基準に合わなかったことによる違反というものが、大 体、全体の65%を占めている。当然、諸外国との基準の違いというものによって違反 が見つかる場合もあるわけですけれども、基準の設定に関しましては、そういう国際的 な基準との、いわゆるハーモナイゼーションも進めているわけですけれども、基本的に は、輸入食品については我が国の食品衛生法の遵守がなされるように監視強化がなされ ているところです。 (スライド)  続きまして、輸入食品監視指導計画、本日のテーマになりますけれども、どういうも のかということについてご説明をさせていただきます。  先ほど、安全性確保の考え方というお話をさせていただきましたが、輸入食品監視指 導計画の基本的な考え方というのも、食品安全基本法に示された考え方に基づいて、食 品供給行程の各段階で適切な措置を講ずるためには、何をしたらいいかということが明 記されております。 (スライド)  検査制度の中心となりますのが、先ほどお話をさせていただいた検査命令の制度、そ してモニタリング検査ということになりますけれども、モニタリング検査については、 平成17年度においては7万7,000件という数字になっております。そして、検査 命令につきましては、平成18年1月現在で、大体、全輸出国対象品目が9品目、そし て、25カ国、1地域を対象に132の品目が、今、検査命令の対象となっております。 (スライド)  それでは、輸入食品監視指導計画とはどのようなものかということについて、お話を させていただきます。  そもそも、平成15年の食品衛生法の改正におきまして、その中で、輸入食品の安全 性を確保するために、重点的、そして効果的、効率的な監視指導を実施するために計画 を定めるということが規定されました。そこで、いわゆる重点的、効果的、効率的な監 視ということに合わせまして、計画をつくることになった1つの背景といたしましては、 輸入食品を含めた食品の安全性について、消費者の方々に、非常に不安があるというこ とが私たちの議論の中でもありました。  なぜ、そういった不安があるのかということでいえば、例えば、先ほどご紹介しまし たように、検疫所が実施している業務、そういったものが消費者の方々に十分伝わって いないのではないかということの議論、そういった反省も踏まえまして、私たちが実施 していることについて広く皆さんの意見を聞いて、それについては、また結果も広く公 表していこうということを実際に法律上明記して、うたったのが、この監視指導計画に なります。  平成18年度の輸入食品監視指導計画に関しましては、今、現在、パブリックコメン トを募集しているところです。今月の27日まで募集させていただいております。 (スライド)  続きまして、監視指導計画の中で重点的に監視指導を実施すべき項目ということで、 当然、輸入時の届け出のチェック、審査というのが監視員によって実施されるわけです けれども、その中で、検査体制として、平成18年度には約1,000件増の7万8,0 00件のモニタリング検査を実施することを計画しております。  このモニタリング検査で違反が発見された場合には、先ほどから申し上げているとお り、輸入時の検査が強化されるという流れになっております。 (スライド)  輸入食品のモニタリングの検査というものが7万7,000件であるとか、7万8,0 00件であるといった数字が、どのような根拠で示されているということになりますけ れども、先ほど少し出てまいりましたコーデックスというものが世界規模で基準を策定 しておりますけれども、コーデックスの議論の中で、ある統計学的な考え方というのが 示されたことがあります。その数字の考え方につきましては、アメリカを初めとする欧 米諸国でも同じような数字を利用されて、モニタリング検査が実施されているんですが、 具体的には、ここに示してありますとおり、これは統計学的な考え方になりますけれど も、95%の信頼度をもって、ある特定の食品群で間違いなく1%の違反を見つけるた めには、少なくとも、299件を検査すればいいという考え方があります。  私たちの計画では、この299件というのを中心として、いわゆる輸入件数、輸入重 量、そして違反率がどのようなのか、そういったものが多く輸入されていて、違反率も 高いというようなものには、さらに違反率が0.1%でも発見できる、2,995件を割 り当てて算出すると。そういったことの積み上げを、今でしたら、大体122の食品群 について、それぞれ検査項目ごとに算出を行って、積み上げた数字が7万8,000件 となっています。 (スライド)  次に、検査命令の発動に関して、ここに記載してあります。まず、諸外国でいわゆる 健康被害が発生しているというような情報を入手した場合ですとか、例えば、輸入時の 検査においてカビ毒、アフラトキシンいうのはカビ毒なんですが、非常に危害度が高い と言われております。こういった危害度の高い違反が発見されたような場合には、直ち に検査命令に移行するようにしています。  そして、残留農薬や動物用医薬品につきましては、輸入時のモニタリングで1回違反 が発見されれば、その検査率を50%にアップして、さらにもう一度見つかるというよ うな状況になりましたらば、違反の蓋然性が高いと判断して、検査命令に移行していま す。こういう検査命令に移行しましたらば、私たちはすぐ、その輸出国との二国間協議 を始めて、必要があれば現地調査にも出向きます。そういった形で、輸出国で大丈夫だ ということが確認されるまでは、この検査命令が継続されることになります。 (スライド)  こういったモニタリング検査を実施する上では、広く海外における情報というものも 収集する必要があります。海外情報に基づく緊急対応としましては、我が国は広く海外 から食品を輸入しておりますので、どのような問題が起きているかということを、ここ に書いてあります国立医薬品食品衛生研究所というところに、そういった情報を専門に やっております安全情報部という部署を設置して、広く海外の健康情報もしくは食品の 安全情報というものを収集しております。  また、食品安全委員会からも、海外における有用な情報というのが私たちのところに 入ってまいりますので、そういった情報が入った際には、必要な輸入時の検査を強化す るという仕組みができ上がっております。そういった中で、具体的な事例としてあった のが、フランス産のナチュラルチーズのある製品で、リステリアという病原微生物の汚 染実態があって、フランスでリコールされているという情報を入手して調べたところ、 同一の製品が我が国にも輸入されていたという事例があって、都道府県と協力をして国 内の追跡調査を行って、さらに輸入時に同一製品がまた入ってきた場合には、検査を強 化して対応するということも実施いたしました。 (スライド)  続きまして、先ほど、輸出国における衛生対策の推進が非常に重要であるというお話 をさせていただきましたけれども、輸出国に対する衛生対策の強化ということも積極的 に行っております。  まず、私たちが行っているいわゆる監視業務であるとか、もしくはポジティブリスト のような新たな規制であるとか、そういったものについては英語の情報を用意して、在 外公館やホームページを通じて、広く輸出国に情報を広めるということも努めておりま す。また、開発途上国に対しましては、その国の専門科を招き入れたり、こちらから技 術者を派遣するなりした、海外協力というのも行っております。  さらには、検査命令が実施されているような品目、もしくは包括的輸入禁止の検討対 象になっているような品目といったものに対しては、二国間協議や現地調査というのも 実施しておりますし、さらにはBSEなど、生産段階でなければ確認できないような問 題、後ほどお話もあると思いますけれども、そういった場合には、輸出国に専門科を派 遣して対応するというような措置も行っております。 (スライド)  これは、計画の中で、輸入者に対する基本的指導事項というものを、食品別に、個 別・具体的に示しております。これについては、皆様がお持ちの資料の後ろのほうをご 参照いただければと思います。 (スライド)  食品安全基本法には、いわゆる営業者、輸入者の方々を含めた営業者の方々、食品の 安全性確保については、第一義的には責任を有するということが規定されております。 さらには、食品衛生法の中には、食品衛生に関する知識ですとか技術の修得、そして原 材料の安全性確保、自主検査の実施などについて努めるよう規定がなされています。  ということで、先ほどありました基本的指導事項ということを検疫所なり行政側が認 識いたしまして、行政側の施策として、その事項を輸入者の方々みずからが実施するよ うに指導に努めているところであります。そういったことは、極めて重要であるという 認識を持っております。  また、検疫所では、当然、違反というものが発見された場合には、輸入者の方々に改 善指導なりということも実施をしております。また、講習会なりも各検疫所で開いて、 関係事業者の方々に知識の啓発等も図っているところであります。 (スライド)  違反が判明した場合の対応ということですけれども、先ほどご説明したモニタリング 検査というものは、貨物の流通を認めながら検査を実施しております。ということで、 モニタリング検査については、貨物が港から動いている場合がありますので、そういっ た場合には、もし違反が発見されれば、都道府県等を通じて速やかに回収を行うという ようなこともあります。  また、都道府県のほうでも、輸入食品に対しては監視等を実施していただいておりま すので、そういった場合に、違反が国内で見つかれば、さらに、その情報に基づいて、 輸入時の検査の強化を行うということを行っております。また、そういう違反があった 輸入者に対しましては、先ほども言いましたが、違反の原因と改善措置というものを求 めるようにしています。  さらに、今月、ガイドラインをお示しさせていただきましたけれども、いわゆる違反 を繰り返す輸入者、もしくは悪質なケースがあるような場合に対しましては、そういっ た輸入者の営業行為を禁停止するという措置を講じる規定も設けられております。  また、後ほどご紹介いたしますけれども、こういった輸入食品の違反が発見された場 合には、製造者そして輸入者の名前も含めまして、厚生労働省のホームページで大体、 半月に1回ほど更新をして、その情報を公開しております。 (スライド)  監視指導計画につきましては、その結果についても公表していくということを、先ほ どご説明させていただきましたが、いわゆる年度の途中におきましても中間報告という のを皆様にお示ししているところです。  これは、平成17年度の輸入食品監視指導計画の中間報告ということで、プレスリリ ースとホームページで公表をさせていただきました概要になります。最終的な詳細結果 につきましては、輸入食品の監視統計とあわせまして、次年度の6月に公表することを 予定しております。 (スライド)  こういった監視指導の計画に基づきまして、さまざまな食品に対して重点的な監視を 行っているところですけれども、その中で、輸出国に対する衛生対策の強化として、幾 つか、ここに挙げてみました。  対策が進んでいるものもあれば、今、現在、輸出国において対策を検討中というもの もありますが、こういった品目については、それぞれ二国間、いわゆる政府同士での協 議、そして現地調査等を進めているところです。 (スライド)  こういった輸出国に求めた衛生対策の強化の事例ということで、輸入食品の問題とし ては、象徴的なものとして、中国産の冷凍ホウレンソウの残留農薬問題が挙げられてい ます。中国産の冷凍ホウレンソウにつきましては、クロルピリホスという農薬、いわゆ る殺虫剤の検出が相次いだという問題が起きまして、一時、輸入が自粛されるというよ うな事態にまで至りました。その後、中国政府と日本側政府で協議を進めて、実際に私 も行ってまいりましたが、現地調査なども進めて、今、現在ではこのように、生産農家 での農薬の使用の管理、そして加工場における農薬の検査も実施しますし、原料の管理、 そして、流通段階においては、さらに中国政府の検査体制、そして当然、日本に入って くるときには、我が国で、また検査を実施すると。こういった厳しい体制を実現できる 可能な企業からのみ、今は輸出を認めています。中国政府がそういった優良な企業を選 定して、輸入が実施されているということです。 (スライド)  これは、過去の統計資料になりますけれども、平成14年には45件の違反が中国産 冷凍ホウレンソウから発見されましたが、先ほど言ったような措置がとられてからは、 平成16年、平成17年と、残留農薬に係る違反は発見されておりません。いわゆる輸 出国政府が優良な企業、製造者もしくは生産者というものを選定して、それを輸出国政 府が保証するという制度がいかに重要かということ、かつ、それが有効であるかという ことを示した表になると思います。 (スライド)  そして、これは、平成18年度、今、パブリックコメントを求めております、輸入食 品監視指導計画の主な改正点ということで、3つほど挙げさせていただいておりますが、 まずはモニタリング検査、輸入届け出件数も当然、増加しております。それにあわせま して、モニタリング検査も1,000件ほど増加させて、7万8,000件のモニタリン グ検査を実施する予定にしております。  そして、BSEの問題、この後またお話をさせていただきますが、対日輸出プログラ ムの遵守について、輸入時に確認を行う。そして、先ほどご説明のあったポジティブリ ストにつきましては、約800近い農薬等に基準ができるということですので、検疫所 の検査体制、そして検査項目についても、モニタリング検査の拡大を図っていくという ことが計画に明記されております。 (スライド)  こういった、厚生労働省のさまざまな取り組みにつきましては、厚生労働省のホーム ページのほうでご紹介をさせていただいております。  そして、特に輸入食品に関しましては、輸入食品監視上のホームページ、先ほどのペ ージからリンクされておりますけれども、別途設けて、そこに輸入食品監視指導計画、 そして、その結果、輸入の違反事例なども含めまして、各種通知とともに公表させてい ただいております。次年度、検疫所で、どのようなモニタリング、残留農薬を含めまし て、どのような項目の検査が実施されるかということは、ここで公表されることになり ます。 (スライド)  最後になりますけれども、ちょっとご紹介させていただきたいのは、ポジティブリス ト制度の導入に伴いまして、海外での規制状況というのを教えていただきたいというよ うなお問い合わせを、よくいただいております。それに伴いまして、今、国立医薬品食 品衛生研究所のホームページを利用しまして、各国の農薬・動物用医薬品残留基準につ きまして、こちらのほうで、今、大体20カ国ぐらいになっていると思いますけれども、 公表をさせていただいております。そして、ここのページには、私たちが海外情報とし て活用している食品安全情報というものも公表されております。これは、皆さんも活用 できるものだと思います。  そして、さらに問い合わせの多い、中国での規制を教えてほしいというようなことに も対応できるように、中国語の規制の翻訳についても、今後このページで充実させてい くような対応を図っていきたいと思っております。  以上、私のほうからは、輸入食品全般についてご紹介をさせていただきました。  ありがとうございました。 【司会(広瀬課長補佐)】  それでは続きまして、監視安全課の坂梨係長から、3つ 目のテーマであります、米国及びカナダにおける日本向けの牛肉認定施設の査察につい てご説明いたします。よろしくお願いいたします。 【坂梨厚生労働省食品安全部監視安全課乳肉安全係長】  今ご紹介いただきました、 厚生労働省監視安全課坂梨栄二と申します。よろしくお願いします。 (スライド)  私のほうからは、こちらにありますように、米国及びカナダにおける日本向けの牛肉 認定施設の査察について、結果報告ということで、わずかな時間ですが、説明をさせて いただきます。  皆さん方のお手元に資料をお配りしていますが、こちらのスライドでお見せすると畜 場の写真などは、企業情報の関係で、お手元の資料には載せられないところがありまし て、スライドのほうではお見せするようにしておりますので、と畜場の話などの部分で、 写真がないところは、こちらのスライドを見ていただければと思います。  それでは、説明をさせていただきます。  昨年12月8日、先ほどもお話がありましたが、食品安全委員会からの、食品健康影 響評価の答申が出され、12月12日に、政府として輸入再開を決定いたしました。  米国及びカナダの牛肉等の輸入再開に当たって、両国における輸出プログラムの実施 状況の確認のため、12月13日から12月24日まで、カナダは23日までですが、 担当官を両国に派遣して、その査察結果をとりまとめたものを、昨年12月26日に公 表したところです。 (スライド)  本日は、公表した内容の、もう1つ細かい部分ということで、こちら目次になってお りますが、輸入プログラム遵守の確認と1のところに書いてありますが、それから、具 体的に月齢確認、それからと畜場のSRMの除去について、そういったものについてご 説明をさせていただきます。 (スライド)  これは、一番大もとといいますか、それぞれについては、この後で少しずつ説明をさ せていただきますが、査察において、要は特定の品質条件、これが日本向けの輸出プロ グラムのことでありまして、その中の、プログラムを遵守するためにいろいろな項目が あり、その項目を実施するために手順書が作成され、その手順書を作成した中で、当然、 記録がされているところ。このプログラムを企業の中で監査を行い、また、外部の監査 によっても、こちらのプログラムが遵守されているか、きちんと動いているかについて、 このような形で、これは一応、アメリカの場合ということになっています。 (スライド)  先ほどの、日本向け牛肉等の条件ということで、これがSRM、特定危険部位は、あ らゆる月齢から除去されていなければならない。それから、輸出される牛肉は20カ月 齢以下と証明される牛肉だけであること。それから、日本向け牛肉が処理から出荷まで の他の牛肉と識別されること、これが先ほどの特定の品質条件、ここにこういうものを つくるために、今から説明しますが、ここの製品管理ですとか製造条件といったもの、 どういったことが行われているか、それを査察により確認をするということになります。 (スライド)  今言いました製造条件、例えば、月齢証明牛の受け入れは、このようにされていまし た。と畜場では、と畜シフトの最初にと殺がされている。こういった条件が、きちっと されている。同じように、そのプログラムがここに規定されている、例えば日本向けの 部分肉処理が開始時に実施されていること、モニタリングといいまして、こういったこ とがきちっと実施されているかどうかを確認、査察を行うということになります。  同じように、先ほどの表にもありました内部監査というのは、そこで行っている施設 できちんとしたプログラムが実施されているかどうか、それを最低、四半期に1度、内 部監査を行っているかどうか、それから、牛をそこの施設に持ってくる、その前の生産 者に対して年1回、関係書類を確認する、そういったことができているかどうか。実際、 査察に行ったときには、当然、年に1回実施するというのは、そのときまでに確実にで きているわけではなく、行った時点で、1年が始まるということになっていますので、 基本的に業者としては、1回やりますという規定はありますけども、実際、やってみま したという部分を確認していないという施設もありますので、イメージというような書 き方をしています。  例えば、最低、四半期に一度実施という部分があれば、稼働して3カ月たっています よというときに査察をした場合には、これが実施されていなければ、実施されていない ということは言えると思うんですが、今回の査察のときには、年1回といった事例に関 してはイメージと、内部監査でやりますと書類には規定されていましたが、事実上、年 1回やりますといような状況でございます。 (スライド)  それから、予防措置ということで、不適合事例があった場合にはどうしますかと、そ ういったことがきちっと記録で書かれているかどうか、そういった記録をチェックした りするというような、これも当然、イメージ的な部分がありますので、その時点では、 例えば不適合事例があったとかいう事例は認められませんでした。 (スライド)  ここの説明ですが、食肉処理場が米国政府に対して、日本向けのプログラムをやりた いと申請をします。そうすると、米国政府がその施設に対して書類審査ですとか、現地 調査ですとか、そういったプログラムが規定されていますか、できますかということを 審査をして、そして認定を与えます。認定を与えたら、アメリカの農務省はきちんと、 それの査察を行うと。施設では、プログラムが自分たちでできているか、書類などがき ちんと書かれているか、その辺に関して内部監査を自分たちで行うと、そういった制度 になっているのが、この図になっています。 (スライド)  これは、お手元の資料にもあると思うんですけれども、これが非常にわかりやすいと 思うんですけれども、先ほどあったように、製造条件ですとか製品管理、こういったも のがきちっとされているかどうか。されたものであれば、日本向けの条件がきちっとさ れていると。この条件がきちんとされているかどうかは、必ず内部監査、外部監査がな ければならないですし、これに関して、手順書が作成されていたり、記録が保存されて いるかどうか。この全体に関して日本が査察をするという形になります。  日本向け輸出プログラムに適合した体制整備の確認ということで、先ほど言った作業 手順の文書化がされていますか、こういう手順がきちんと実施されるかどうか、そうい ったものが内部監査できちんと手順を監査することができますかというような、書類に 関するような確認事項と、それ以外に、現場でこういった条件に合うものをきちんと製 造するために、こういった搬入の手続き、月例確認、特定危険部位の除去といったもの が、きちんとできているか、実際に現場に行って査察をすると。こういうように、大き く分けて2つぐらいなんですけれども、査察のポイントがあると書かれているものです。  月齢確認には、月齢がわかる生産記録のはっきりしたものと、この後に出てきますけ れども、生理学的成熟度による確認の方法があります。ここで言うのが、生産記録のわ かっているもののことなんですけれども、普通、小牛生産農業では、出生記録がわかっ ている農場もありまして、このような手帳など、それから出生記録をデータベースに保 存しているというような農場があると。 (スライド)  生産記録の伝達例となっていますけれども、農家のほうで出生した記録をフィードロ ットのほうに伝達する、これは承認の1つです。一般的なケースですけれども、肉牛を 育てるときに、繁殖農家というのが6カ月ぐらい周辺に放牧をして、それから育成をさ せる農家が6カ月から8カ月ぐらいの間、育成をさせて、放牧をしたり、穀物を食べさ せたりするような段階がある。その後、肥育農家というところで肥育されるという、3 段階に肥育がされるというのが一般的でして、第3段階目の穀物肥育農場といわれると ころで、と畜場に出荷される直前といいますか、その前、三、四カ月ぐらいがフィード ロットと呼ばれています。 (スライド)  そのフィードロットでも個体識別が行われ、フィードロットからパッカー、つまり食 肉処理場に、また生産記録が伝達されると。そういう記録もとられていると。  生産者にもいろんなパターンがあって、契約農家もあれば、一貫生産みたいなものも あると。 (スライド)  これが、先ほど言いました、生理学的成熟度による月齢の判定で、これは大まかなと ころでの理解でかまわないと思うんですが、と畜場に搬入された牛がと殺された後に、 通常の格付、グレーディングというのがあるんですが、ここでA40であるということ ではなくて、そのようなものを幾つか、日本向けとして「J」と書かれたものがこちら にはじかれるといいますか、別のレールに分けられて、そして、こちらで対日輸出用証 明として確認されるということです。そのA40とランクづけされたものが日本向けと して、こちらで生理学的成熟度による月例判別とされるわけで、ここで、A40とされ なかったものは日本向けにはならない。そして、ここでつけられた「J」という印は切 除されると、これが大まかな流れの図です。 (スライド)  これは、A40に関する通知ですので、2005年12月12日に通知が出されてい て、通知では、枝肉は成熟度A40以下と証明されると。それから、格付肉の認定を受 ける。それから、今のスタンプ、記録といったものが通知で示されているということで す。 (スライド)  これは、実際の現場の写真です。通常のラインと別のライン。判定が行われた場合に は、その判定はすべて記録にとられています。 (スライド)  これは、格付官が携帯している写真です。先ほどお話した「J」と押されたスタンプ と、その証明スタンプが合わさったものです。これは、ちょっと見にくいかもしれませ んけれども、「J」を除去された絵です。 (スライド)  次に、と畜場の中の話です。SRMは、先ほどもお話しましたが、特定危険部位と言 われるところで、SRMの範囲は、全月齢の牛の頭部、脊髄、回腸遠位部、脊柱、これ を除去しなければならないと。それをHACCPプランに基づき、SSOPにより実施 しています。  各施設の管理の計画及び実施は、米国、カナダ政府が検証をしている。 (スライド)  これが工程になっています。まず、牛が入ってくるときは、生体の搬入となっていま すが、工程ごとのSRM除去の部分と、区分管理手法ということで、きちんと識別がさ れるように、どのようにされているかということが書かれているものです。  生体が搬入されたときに、歩行困難牛をはじきます。それから、ロットごとに搬入し、 耳標による確認をしていると。それで、識別をしています。  それから、と畜の工程では、頭部、扁桃、脊髄、回腸遠位部、これらのSRMを除去 しています。それから区分管理手法としては、こちらにあるように、個体管理。生産記 録による月齢確認ロット。このロットは20カ月齢以下だとわかっているので、前と後 ろのロットの間隔をとって処理しましょうと。それから、内臓、頭部、枝肉は合札によ って管理をしています。 (スライド)  次に、枝肉になった後の工程。ここで、区分管理手法としては、枝肉にタグ、それか ら、先ほどのスタンプ、その確認印といったもので管理しますと。それから、部分肉処 理。ここでは、脊柱を除去します。それから、仕分け先により、処理時間を区分します。 それによって、混ざらないようにしましょうと、そういう意味です。 (スライド)  対日輸出監督体制ということで、と畜場のラインには、ラインインスペクター、また、 と畜場フロア全体にはフロアインスペクター、それから、不適合牛を発見した場合には、 こういう処置をしますというのが決められています。 (スライド)  これから後も写真なんですが、同じように工程が、一番左に書いてあります。 (スライド)  これは、全体検査による、先ほどの歩行困難牛の話です。トラックが運んできたもの が、ここにどんどんと搬入されてくるんですが、ここで歩行困難牛を排除します。それ から、生体受け入れ時に、受け入れ施設に併設された事務所の中で書類が確認されます。 それから、ロットごとに、ペンという囲いによって仕分けがされると。場合によっては、 マーキングなんかもされるということであります。 (スライド)  これは、カナダの個体識別の写真です。 (スライド)  それから、と畜場の中に搬入された後に、スタンニングというのをやります。これは ちょうど、頭蓋部に穴をあけて気絶させる行為なんですけれども、こちらの器具が使わ れます。それから、と体となった後、これは牛が逆さまにつるされている状態ですけれ ども、個体識別がされています。その後、先ほどあった頭部が切断されるんですが、切 断された後に、頭部とタンがこのように分けられて、頭部のあいた後、もう頭部がとら れている枝肉のほうが突合するように、合札がつけられています。それで、頭部とタン のところにある扁桃は工程間で除去されるようになります。 (スライド)  扁桃を除去したタンは、このような形になっております。こちらに並んでいるタンは、 こういうふうになったものが、要は、先ほどの枝肉と突合しているように、こちらに保 管されています。通常、月齢がわかっている牛であれば、頭部を外して、さっきの、こ の時点で何番というのがわかっていれば、この後にタンは保管して構わないんだと思う んですが、A40のように、最後、格付をしてみないとわからないというような枝肉の 場合には、タンが通常の格付がされる24時間後まで、とめ置かなければなりませんの で、そのとめ置く方法として、合札をつけて冷蔵庫にしまってあるという状態でありま す。 (スライド)  次は、背割りの工程です。これは、ちょうど牛の前肢から後肢、お尻のほうから頭の ほうにかけて、このように背割りが行われます。背割り時は、先ほどの背割りのこの洗 浄がきちんとされています。 (スライド)  その後、脊髄除去。これが片方の枝肉の間の部分なんですけれども、これが、ちょう ど、枝肉を割った状態ですけれども、ここに脊髄があります。除去すると、ここがこう なります。こういう機械を使って除去しています。脊髄除去の器具は、除去ごとに洗浄 されていると。 (スライド)  日本の場合には、背割りをする前の段階で脊髄吸引をしているんですけれども、アメ リカの場合は、背割りをした後に脊髄の除去をしています。  脊髄除去に関して調査結果がありまして、高圧洗浄などによって脊髄の飛散ですとか 汚染は除去されるという結果が残っておりまして、アメリカの場合は、この後、高圧洗 浄も含めて、4回から、多いところでは5回近く洗浄がされています。日本と比べて、 洗浄の回数などは、若干、アメリカのほうが多いかなというところだと思います。 (スライド)  これが冷却施設における枝肉の区分。これは、日本向けのものを区分して、保管して いると。 (スライド)  それから、部分肉を処理する場合に、脊柱をここで除去しているところなんですけれ ども、手作業により脱骨処理も行われているということになります。 (スライド)  これは製品のパッケージですが、これも、日本向け製品をいろいろ区別して出すよう な形になっております。 (スライド)  非常に早足で申しわけないんですが、飼料規制については、ここに書いてあるとおり、 日本は牛が動物性たんぱく質、牛だと牛のたんぱく質をとらないように、牛、豚、鶏に 給与することを禁止しているんですが、アメリカでは豚、鶏に関しては使用できるとい いますか、認められているということがあるので、牛用の飼料に、牛以外のたんぱく質 の混入があるんじゃないかということも指摘されていますが、これに関して米国などで は、脳や脊髄など、BSEリスクが高いとされる一部の部位について、一定の条件のも とで使用利用を禁止するなどの規制強化を提案しているという形になっています。 (スライド)  今回の飼料規制の関係は、施設の写真とかはありませんが、実質、調査結果として、 農場において禁止原料は使用されておらず、使用規制などの逸脱は認められなかった。 それから、レンダリング施設に関して、禁止原料である表示が行われるなど、飼料規制 からの逸脱は認められなかった。それから、パッカー、フィードロットに対して、飼料 規制等の法令を遵守して生産している旨の宣誓書の提出を求め、生産段階における飼料 規制の遵守を担保していたと、そのように飼料の調査結果はまとめられております。 (スライド)  それから、査察において公表した内容として、日本向け輸出プログラムの手順書に沿 った作業が適正に実施されていたということから、輸出プログラムの遵守について特段、 問題がなかったという結果を公表しているんですが、その結果のほかに、こちらにある ように、多くの対日輸出施設で、対日輸出用の部分肉処理を作業開始時に実施している という状況があるので、これは非常にクロス・コンタミネーションの防止になるという ことで、他の施設も同様の対応をとれないかという話をしています。  それから、SRMの国内向けの処理、日本向けの処理と、これは処理の方法が当然違 っていますし、当然、脊髄や脊柱の取り扱いなども違ってきているので、品質マニュア ルに、日本向けにはこうしてくださいというようなものを明記して、徹底してほしとい う話をしています。 (スライド)  最後に、違反事例があった場合、これについてもお話をしていますが、重大な日本向 け条件の遵守違反が確認された場合には、当該施設からの日本向け輸出を直ちに中止、 是正措置がとられたことが確認されるまで停止を継続すると。それから、重大な日本向 け条件の遵守違反が繰り返されるような、システム全般に係る問題が確認された場合に は輸出国全体からの輸入停止を検討すると。そのような内容を掲げている監視体制のも とで、食品の安全確保に万全を期していくというところでございます。  以上でございます。 【司会(広瀬課長補佐)】  ちょっと駆け足の説明になりましたけれども、ここで1 0分程度の休憩を設けさせていただきたいと思います。  3時5分からパネルディスカッション、意見交換を始めたいと思いますので、それま でにお席にお戻りいただけますようお願いいたします。 パネルディスカッション・意見交換 【コーディネーター(広瀬課長補佐)】  それでは時間となりましたので、これから パネルディスカッション及び意見交換を行いたいと思います。  まず、本日の関係では、プレゼンテーションをした人間については、基本的に、壇上 に来て、一緒にディスカッションをさせていただく予定でおったんですが、今回、パネ ラーの数が非常に多くなってしまったこともありまして、先ほどの、輸入食品と牛の認 定施設の説明をいたしました2人の担当の方には、事務局席のほうに配置させていただ いております。  それでは、パネラーを紹介させていただきたいと思いますが、まず、壇上、皆様のほ うから見て3人目の方からになりますが、日本ジフィー食品株式会社宇治営業所品質管 理部の千代將晴部長様でございます。そのお隣が、京都府生活協同組合連合会の会長理 事ということで、小林智子様。そのお隣が、京都府保健福祉部生活衛生室室長の若松久 雄様。そのお隣が、京都市保健福祉局保健衛生推進室生活衛生課、課長補佐の土井直也 様。そのお隣が、内閣府食品安全委員会事務局のリスクコミュニケーション官の西郷正 道さんでございます。そのお隣が、農林水産省消費・安全局農産安全管理課、課長補佐 の東野昭浩さんでございます。遅くなりましたが、私の隣におりますのが、先ほどプレ ゼンをさせていただきました、厚生労働省大臣官房の藤井充参事官でございます。以上 でパネルディスカッションを進めていきたいと思います。また、場合によって、事務局 席の担当のほうにも入っていただきたいと思っております。  最初に、パネルディスカッション、意見交換の進め方についてご案内したいと思いま す。このパネルディスカッション、意見交換は、本日3つのテーマがございますので、 テーマごとに議論を進めさせていただきたいと思います。  まず、1つは、残留農薬のポジティブリスト制度、2つ目が輸入食品監視指導計画、 3つ目が米国・カナダの査察報告という形でございます。また、時間がとれれば、最後 に食品安全全般について、自由に意見交換を行う時間を設けていきたいと思います。  本日、意見交換に参加いただくに当たって、事前質問という形で、申し込みの際に、 質問、意見があります場合にはということで書き込んでいただいたもの、本日、資料5 の形で、縦の紙になりますが、皆様の配布資料ということで配らせていただいておりま す。こちらのほう、40数件の意見をいただきまして、すべてについてご紹介すること は、この時間内ではできませんので、一応、いただいた質問の内容に対して、簡単では ございますが、回答をまとめさせていただいております。質問に対する回答という形で は、資料のほうで対応させていただいたということにさせていただいて、それぞれパネ ルディスカッション、意見交換の際に、不足する部分などがあればご意見をいただけれ ばと思います。  それでは、まず、残留農薬のポジティブリストのところから、パネラー間でお話をし てみたいと思います。  ポジティブリスト制度については、これからまさに、今年の5月29日から、新しい 制度として導入されるわけですが、これがより円滑に導入されていくためには、どのよ うなことをするべきか、どういうことに気をつけていったらいいのか、国の取り組みと しては、先ほど参事官のほうからご説明申し上げたとおりですけれども、これは、なか なか非常に難しい制度でございますので、いろいろ、皆さん、努力をしていかないと、 うまく進んでいかないのかなという感じがしております。  それでは、まず、消費者を代表してということで、小林さんのほうから少し、意見を 伺ってみたいと思います。 【小林京都府生活協同組合連合会会長理事】  トップバッターで……。先ほどのポジ ティブリスト制度のお話の中で、少しご紹介もありましたけれども、消費者団体の強い 要望でという表現でおっしゃっていただいたんですけれども、私ども全国の生協で19 99年から、食品の安全を確保するための請願署名運動というのを広めました。具体的 には、食品衛生法の改正ということで、幾つか要望を出させていただいたわけですけれ ども、その中の1つに、農薬・動物医薬品の残留基準の設定をきちんと進めてください ということを申し上げました。それが、具体的に法律が改正され、今回、ポジティブリ ストという形で現実に進められてきたということを、まずは、とてもうれしいことだと 受けとめております。  私たち消費者にとって農薬というのは、実は、いろんな食の安全にかかわる調査をし ますと、やはり不安なものというのが、いつも上のほうに出てくるんですね。それで、 農薬は使わないでということを、消費者の方々はいつも言います。  例えば、今、有機栽培の農産物がありますね。それと、今は無農薬という言い方はし ませんけれども、無農薬、どちらが安全だと思いますかと聞くと、無農薬と言う人が多 いんですね。それぐらい、農薬ということに対する不安感というのは非常に根強くある と思っています。  1つは、農産物がつくられている場所、どのようにつくられてということが、なかな か、私たち消費者の暮らしからは見えない。消費と生産というものが、今のこういう大 きな流通の仕組みの中で、非常に分断されているということが前提にあるのかなと思っ ています。そういう中で、こういう形でポジティブリスト制度が進められていくという ことを、私たち消費者もしっかり認識をして、勉強していかなければいけないなと思っ ています。まず、それが1点です。  幾つか、質問も含めて、お聞きしたいなと思っているんですけれども、1つは、今回、 暫定基準という言葉で、つまり暫定なんですよね。ですから、これが暫定がとれて、き ちんとしたポジティブリストの基準として、できれば5年をめどにというお話がありま したけれども、やはり、これがどのように、これから進められていくのかという、そう いったプロセスといいますか、そういうことも、ぜひ公開していただいて、こういう場 でコミュニケーションしていただければ、とてもいいかなと思っています。  それから、今回は特に、加工食品まで含めてということですので、先ほどお話があり ました中国産のホウレンソウ、あれ以来、中国産には非常にアレルギーが強いですよね。 ああいったものも、加工品というジャンルの中で、するりと抜けてしまうことがなくな るということが、とても安心につながって、いいことだなと思っています。ぜひ、加工 食品のところも、しっかり進めていただきたいなということです。  それから、もう1つは、具体的には、地方自治体と進めていくということになるかと 思いますけれども、そことの連携はどんなふうになっているのか、それから、消費者も 勉強しなければと言いましたけれども、事業者や生産者の皆さんが、具体的にこれから 進めていく中身になるかと思いますけれども、この制度の周知徹底がどのレベルまで、 今、進んでいるのか、そのことについてお聞きしたいなと思います。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  それでは引き続き、事業者の立場からということで、千代さんからもお伺いしたいと 思います。 【千代日本ジフィー食品株式会社宇治営業所品質管理部長】  私は、京都の宇治に工 場がありますフリーズドライ食品の会社の者で、きょう、ここへ出席させていただくこ とになりました。  ポジティブリスト制に関しましては、正直なところ、先ほどご説明がありましたとお り、取り組みというものとしては、非常に難しい制度だなと考えています。その中で、 いろいろ、今まで論議をしてきましたけども、もう今年の5月からということで差し迫 っていますので、この場で方向性を皆さんで確かめられたらなと考えております。  私のほうも、ポジティブリスト制に対していろいろ質問をさせていただこうかなと考 えていますけども、こんな高いところで、大変恐縮なんですけれども、きょう来ていた だいています方々も、ぜひ意見をたくさん出していただきまして、きょうの会は説明会 ではなく、コミュニケーションですので、多数の中で発言されるのは、あれかと思いま すけれども、ぜひ、活発な意見を出していただきたいなと考えております。  ポジティブリスト制ですけれども、やはり、検査が一人歩きしているところがあると 思うんです。このポジティブリスト制を、まず導入されたいきさつですね。何を主な目 的に導入されたのかということを、まず確認したいということと、それと、我々食品事 業者が今までの法律と、これが変わったときに、内容が非常に大きく変わりますので、 何か大変なことをしないといけないというようなことがあると思うんですけれども、そ のあたりの実情ですね。変わったことによって、何が変わるのかということを確認した いということ、そのために、我々事業者が、じゃ、具体的にどういう取り組みをしてい けば、安全な食品を提供することができるのかということを、できるだけ具体的に確認 していきたいなと考えております。  以上です。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  それでは、幾つか、ポジティブリストの関係で意見をいただいておりますので、参事 官のほうから、少し説明をお願いします。 【藤井参事官】  それでは、若干ご説明をした中で、時間的な制約もあったものです から、はしょったようなところ、説明のまずさから、ご理解をいただけなかったような ことも含めて、今のご質問、ご疑念があった点について、若干答えさせていただきたい と思います。  順不同になって恐縮なんですが、ポジティブリスト制度というのは、小林さんのほう からもありましたように、生協の方々が140万人でしたでしょうか、たしか署名を… …。 【小林理事】  1,400万人です。 【藤井参事官】  1,400万人でしたか、1けた間違っていましたね。署名を集め て、もう少し、農薬に対する規制を強化すべきだということを国会に請願をされたこと に端を発しているわけですが、その後、食品安全をめぐる行政の中では、表示の偽装問 題でありますとか、BSEの問題ですとかの問題があって、食品安全行政全体をきちっ と見直すべきだという話が国会の中でも議論をされました。そういう議論の中の1つと して、やはり、1,400万もの署名を集められた、その声の重みというものを国会の ほうでも考慮して、ポジティブリスト制度というものが導入をされることになったんで すが、この目的は、あくまでも消費者、国民の皆さん方の食品の安全を担保するという のが第一義的な目的になっております。  それまで、農薬に関する残留規制というものが問題だというのは、先ほども申し上げ ましたけれども、我が国では食品安全法によりまして、現在もそうですが、規制値があ るものだけを規制をするという制度の中で、約6割を輸入食品に頼っている我が国にと って、外国から入ってくる多くの食品についての農薬残留基準に、規制をするすべがな かったという大きな問題がありました。そこで、そういう輸入食品に非常に頼っている 我が国についても、農薬について、我が国で認められていない農薬についても、きちん と規制がかけられるようにということで、今回のポジティブリスト制度ということにな ったわけであります。  そして、今までも、食品衛生法の中では、加工食品を排除していたわけではありませ ん。しかし、今回、加工食品についても農薬の残留規制というものを設けますというこ とを明示をして、改めて関係者の方に周知と理解の協力をお願いしたということでござ います。  いろいろと農薬が使われている中で、先ほども申し上げましたように、規制値が日本 で決まっているのが250、世界的には800ぐらい使われているということになりま すが、現在、その規制値を決める国内的な手順としましては、内閣府にある食品安全委 員会でADI、許容一日摂取量というものを決めまして、その範囲の中で、個々の作物 についての基準値を決めていくというのが厚生労働省の役割になります。  そうしますと、物理的な作業量にもよるですが、食品安全委員会のほうで、現時点で のベースでいきますと、1年間に20程度しかADI、許容一日摂取量を決めることが できないということになっておりますので、約800の決まっていないものがあるもん ですから、それを全部こなそうと思うと40年かかってしまう。これは現実的ではない ということから、国際基準でありますとか、外国の基準を流用して、暫定基準というも のを設けることにしました。  ただ、暫定基準というのは、言葉の上では暫定となっておりますが、今まで決められ ている基準値と同じ効力というんでしょうか、当然、暫定基準に違反しますと、その商 品は流通をしていただくわけにはいかないということになりますので、罰則規定等は、 ほかの、きちんとした基準のものと同じものがかかります。  暫定基準について、できれば5年間で、きちんとした基準を設定する努力をしたいと いうことは申し上げたんですが、どういうものを優先的にやるかについては若干申し上 げましたが、具体的に食品安全委員会のほうに、厚生労働省として、許容一日摂取量を 設定することを諮問するものですから、もう少しすると、今年度はこういうものを内閣 府の食品安全委員会に検討してほしいということについて、公表をさせていただくとい うことになると思います。おそらく、毎年そういう形で、今年度はこういうものを中心 にということで公表することになると思いますので、それは、よくウォッチをしていた だければと思っております。  それから、この制度、国のほうは輸入食品については、一応、水際ということで、ポ ジティブリスト制度にのっとって検査を実施しますが、国内で流通している食品につい ては、地方自治体のほうで検査をしていただくということになります。したがいまして、 地方自治体の方には、検査項目、技術、そういうことについての周知、または一部のそ ういうことの研修について、情報交換をしながらやっているところですが、なかなか、 今まで規制が250だったものが800になるということで、準備が間に合っていない というのも、一部、現状でもあります。地方自治体との連携ということについては、非 常に重要だと思っております。  それから、この制度の周知につきましては、平成15年5月に法律が通って、3年以 内にポジティブリスト制度を導入するべしということが決まったわけであります。その 後、いろいろ検討して、1次案、2次案、3次案というところまで案をお示しをしてき たんですが、日本は輸入食品も多いということで、国際貿易機関、WTOに、こういう 規制をしますということを通報して、関係の各国にも意見を言っていただく機会、周知 をする機会というものを設けております。WTO通報というのを既に2回実施をして、 場合によっては、要請によって個別の国に対して説明会等も開いております。  もちろん、地方自治体の方についても説明会を開いております。各事業者の方につい ても、事業者の団体のご要請に応じて、担当の者が随時出かけていっておりますが、1 年ぐらい前というのは、皆さん方の関心が薄くて、今年の5月29日に導入されるとい うことを昨年の11月29日にお決めしたんですが、それ以降、間際になったというこ ともあるんでしょうか、非常に関心が高くなって、個別に説明会をするから来てくれと いう要請が増えているというのが現状であります。  今回、制度が変わりますが、これは、事業者の方とか生産者の方に検査を義務づける というものではありません。そこは、お間違いのないようにしていただきたいんですが、 ただ、食品安全基本法によりましても、食品衛生法によりましても、食品の安全性を一 義的に確保するのは事業者の方であるということが法律にも規定をされております。そ ういう意味から、特に事業者の方については、以前よりも増して、食品の原材料の安全 性の確保とうことについては、注意をしていただきたいと思います。  今回、大きく制度が変わることによって、事業者の方の対応が変わるのかということ もございましたけれども、変わるといえば変わると思いますし、ボリュームは確かに変 わります。ただし、考え方については、それほど大きく変わらないのではないかなと思 っております。といいますのは、現在、食品衛生法で250の残留農薬の規制がありま すが、事業者の方が、その250を1つの作物について、すべて検査をしているかとい うと、そうはされていないと思います。その作物に使っているようなものを中心に、い ろいろと情報を収集されながら、必要なものを検査されているというのが現状だと思い ます。そのボリューム、項目数は増えるかもわかりませんが、考え方として、今回80 0が物質的には規制をされることになるんですが、すべての作物について800の検査 をするのかというと、そこは、あまり現実的ではないのではないかと思いますので、国 内の作物につきましては、やはり、使用が認められている農薬を中心に、輸入をされる ものについては、外国で、その作物にどんな農薬が使われているのかということを十分 に情報をとっていただいて、もし検査をするとすれば、そういうものを中心に、または、 いろいろと国際的な情報というのを流しているというのを、輸入食品の説明のところで も申し上げましたが、そういう情報を見ながら、ポイントを絞って効率的にやっていた だくということになるのではないかなと思っております。  とりあえずは、これぐらいで。 【コーディネーター】  今回、制度としては、大きく、ネガティブなものからポジテ ィブなものへ、要するに、一部限定的なものから包括的に管理がされるという形に変わ っていますけれども、そもそも、導入の発端は、基準の決まっているものしか規制でき ないというのでは不安だという大きな声があって、今回、包括的に管理がなされるとい うことで、大きく変わってきているわけですが、ただ、その規制の中身というんでしょ うか、違反があったら、それをチェックしてという体制については、今までも、250 幾つかの基準というのはあったわけで、それが、今回大きく700幾つに変わるという ことと、さらには、一律基準みたいなものができたのが、ちょっと大きく変わった点か なという感じがしております。  それで、1つは、食品の安全確保というのは、やはり、食品供給行程の各段階で適切 に管理をしていくということが本来の趣旨でございますので、最終的にチェック、要す るに、検査をして、なければいいのだというようなことよりは、きちんと生産段階から、 どういう管理がされているのかということを把握するというようなことも、安全確認の 1つの手法ではないかと思う部分もあります。  それでは引き続き、小林さん、千代さん、何か、いろいろあるかと思うので、意見を 伺いたいと思いますけれども。 【小林理事】  済みません、もう1点、質問をさせていただきます。  京都という地域を考えたときに、大規模な農業生産者が比較的少なくて、ほんとうに 小さな生産者が畑と畑をひっつけてという感じで野菜をつくっているという状況の中で、 具体的に、例えば農薬を一斉にするというようなことも考えられますし、それから、加 工品についても、小さな業者さんがたくさんある地域なんですね。そういう中小零細な 事業者や生産者に対する支援みたいなことは、具体的に何かあるのか。これは、京都府 とか京都市に聞いたらいいのか、ちょっとわかりませんけれども、それは、ぜひ聞かせ ていただきたいなと思います。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  まず、生産現場での、いわゆる農薬の飛散の関係では、農林水産省のほうで、何か取 り組みを、ガイドラインのようなものを、たしか、つくられていたかと思いますが、ご 紹介をいただけますか。 【東野農林水産省消費・安全局農産安全管理課課長補佐】  はい。1つは、残留農薬 基準のポジティブリスト制になりましても、先ほど、千代さんのほうから、食品事業者 の対応はどういうふうに変わるのかというご質問がありましたが、農家の対応につきま しても、我々としては、決められた農薬を、これまでどおり決められた使用基準を守っ て使っていただければ、何ら恐れる必要はないと考えています。  今、登録農薬を使用基準どおりに使っていただくということが法律で義務づけられて いまして、例えば、使用時期とか希釈倍率とかが厳格に決められています。農家の方が これに違反して農薬を使用すると、厳しい罰則が適用になります。  何で、そこまで厳しくなっているのかというと、それを守っていただけないと、食品 衛生法に違反するおそれがあるからです。その残留基準というのは、実は、ポジティブ リスト制の施行前と施行後では変わりません。ですから、今までどおり登録農薬を農薬 使用基準を守っていただければ、何ら問題は生じないと考えています。  ただし、先ほどありました、京都では少ロット多品目の栽培が多うございますから、 大根用の農薬を大根に、これまでどおりの使用方法でかけていただく分には何ら問題な いんですが、隣のニンジンにちょっとかかった、隣のキャベツにちょっとかかった、そ うすると、キャベツやニンジンには残留基準がない場合があります。こういう場合に、 一律基準を超えるおそれがあるということで、意図しない飛散というのを気をつけてま きましょうということを呼びかけています。  ドリフトということですが、我々は去年の暮れに、ドリフト対策マニュアルを作成し、 農協も独自のパンフレットをつくって、農薬散布の際に気をつけるということで、隣の 作物に、できるだけかけないようにしましょうねという呼びかけをしています。特別な 技術とか、難しい研究が必要なわけではなくて、中身を読んでいただくと、風の強い日 は散布をやめましょうとか、ノズルの位置を低くしましょうとか、ほ場の端では、外側 から内側に向いてまきましょうとか、ごく一般的なことが書いてあるわけですが、これ までどおり漫然とまいていただくと、ひょっとすると、そういうおそれがある。皆さん、 まくときには、少し気をつけていただくというのが一番だと。  こういうふうに気をつけていただくと、ほとんど問題はないんじゃないかなと思って おります。ただ、京都のように、一畝ごとに、物が違うということになりますと、それ だけということにもいかないだろうということで、プラスアルファとしまして最もいい のは、適用の広い農薬を使っていただくということですね。たまたま、まいているとき に風が吹いてきて、隣の作物にかかっても、大根用の農薬だけれども、ニンジンにもキ ャベツにも使える農薬ですよと。農薬の登録というのは作物ごとにやりますが、一番広 い登録ですと、野菜類という登録もあります。こういう、何にでも使える農薬を1つ選 んでいただくというのは、京都の場合、大きな対策になるんじゃないかなと思います。  それから、地元で、このようにたくさんの作物に使えるように、登録を拡大する場合、 これには、残留データとか、いろんなデータが要るんですが、そういうデータをとる取 り組みをしていただける場合については、農林水産省も、費用の半分を助成しています。 最初は、適用の広い農薬ということで、普段使っていらっしゃらない農薬を使っていた だくことになるかもしれませんが、できるだけ、普段使っていらっしゃる農薬も適用を 広げていって、ドリフト対策の注意喚起と、それから、万が一のときでも一律基準にひ っかかることのないような仕組みを整えることで、十分対策ができると思っています。  それから、もう一言だけ言わせていただきたいんですが、先ほど、食品事業者はポジ ティブリスト制度となるとどういうふうに対応を違える必要があるのかでしょうかとい うようなお話がありました。ポジティブリストに変わっても、生産現場の方々は、これ までどおり厳しい法律を守っていただければ、何ら心配することはないと考えています が、食品事業者のほうから、ポジティブリスト対策として、500種類とか、800種 類の残留分析をしてくれみたいなことが、農協ですとか、農家のほうへ要求されている と聞きます。  私としては、そういう要求が拡大することを、心配をしています。といいますのは、 700とか800とか、農薬残留基準ができても、我が国で使える農薬というのは、こ れまでと全く変わっていません。別に、700とか800の農薬が、全部使えるように なるわけではありません。ちゃんと登録を受けた農薬しか使えないわけです。  各農協ですとか、普及所に行きますと、その地域で作物生産をするときに、どういう 農薬を使うかという、防除暦というのをつくっています。そこに載っている農薬という のは、せいぜい10から20ぐらいです。それから、その周辺のほかの作物に使われて いる農薬をあわせても、そんなにたくさんの量にはならないわけです。にもかかわらず、 800の農薬を分析せよというのはナンセンスといいますか、非科学的な要求だろうと 思います。  それから、分析では安心は買えないといいますか、どれだけの量分析をするのかとい う問題があります。例えば、20ロットのうち、1つを抜き出す、あるいは10ロット のうち、1つを抜き出す、それなら安心なんですか。全部を検査するということはでき ないわけですから、分析というのは補助的なチェックではあっても、それだけで安全性 を証明できるわけではない。  最も大事なのは、どういう履歴の農作物なのか、どういう来歴で、どういうふうに生 産工程を管理されたものなのかということをチェックすることが大事なんだろうと思っ ています。国内の農家は、JAが中心になって記帳運動というのをやっておりますから、 どういう農薬を、どういう時期にまいたということがいつでも確認できるということが あります。そういう来歴のしっかりした農作物を使っていただくというのが、一番、食 品事業者の対応としては王道なんじゃないかなと思っています。  聞かれたこと以外で、済みません。ちょっと心配していることがありましたので、余 計なことも言って。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  あと、京都府さん、もしくは京都市さんのほうで、生産者あるいは中小の加工食品業 者向けの、何か支援策みたいのがありますでしょうか。ちょっとお話いただければと思 いますけど。 【若松京都府保健福祉部生活衛生室室長】  京都府でございます。  残留農薬のポジティブリスト制度に向けては、検査器の整備とか、検査体制の制度の 管理を今年度、整備をしているところですが、現在、京都府のほうも普及所等がござい ますので、こういったところと連携して、京野菜の対策に取り組んでおります。それと あわせまして、今年は、お隣の小林さんも入っていただいて、京都府の食の安心・安全 推進条例というのをつくりました。この4月1日から施行いたしますが、これは、全体 的な枠組みでございまして、生産から消費までのあらゆる段階での取り組みの推進とか、 あるいは徹底した情報の公開、いわゆる生産者から消費者までの、関係者と行政とが協 働した取り組みの推進という枠組み条例でございます。  これとあわせまして、食品衛生法の施行条例の一部を改正しておりまして、営業者の 衛生管理といいますか、より高い衛生管理方式を導入したのと、トレーサビリティーあ るいは自主回収報告、こういったもの。あるいは、原材料・製品の検査の推進といった ものを、この4月1日から、新しい衛生管理基準ということで適用することにしており ます。  このために、どうしても各事業者、京都府の多くは10人以下の小規模な企業の方が 多いですので、京都府としてもきめ細かな支援策をとって、何とか衛生管理をレベルア ップしていきたいと、現在、取り組んでいるところでございます。  以上でございます。 【コーディネーター】  ありがとうございました。 【土井京都市保健福祉局保健衛生推進室生活衛生課課長補佐】  京都市の対策につい てご説明させていただきます。  先ほど、小林さんの方から、生産者の方、それから事業者の方にどのような支援がで きるかということなんですが、実際、生産者につきましての指導は、現場では農業指導 所というところがやっていると思います。ですから、そこら辺で、今説明していただい たような内容について、普及、啓発していただくということになるんですが、私たちの できることということになりますと、出荷される場合、京都市の中央市場のほうに出荷 されていると思います。近郷のせり場というのがございまして、そういうところに出荷 をされます。ですから、私ども衛生公害研究所のほうで抜き取りをさせていただきまし て、そういうものの検査結果を、また荷主さんのほうにフィードバックするようなこと をやっておりまして、すべてというわけにはいきませんが、できるだけ、そういう、経 費が節約できるような方法でやりたいなと、そういうのを利用していただいたらどうか なと考えております。  それから、事業者の方に対しては、事業者の責任として、原材料の履歴というか、情 報を得てくださいよということで、保健所のほうが指導しているわけですが、先ほどお っしゃったように、700の項目について、全部を検査して出せというのは無理な話で ございまして、いろいろ使用状況とか、そういう情報があると思いますので、それを入 手していただくことによって変えていただいたらどうかなと考えております。  それから、あと、もう1つ、ポジティブリスト制ができまして、京都市のほうでも、 どうしたらいいかなということで、ちょっと悩んでおりまして、そこら辺の説明もさせ ていただきたいんですが、実際、従前から、検査をしますと、基準にないようなやつも、 年に数件出ています。今後、ポジティブリスト制が施行されますと、一律基準が使われ るのであれば、これは違反かなというようなやつもいろいろございまして、そこら辺、 ちょっと、どきどきしているというところでございます。  それと、実際、どういうぐあいに対処をしていくんやということになるんですが、い ろんな問題がございまして、まず、人ですね。やっぱり検査の項目が増えますと、人を 増やさなあかんと違うかなということで、これは、どうする、こうすると、私のレベル では言えないことでございまして、そういう人の問題がある。  それから、もう1つ、機械があります。さっき、京都府さんも予算措置をしていると いうことをおっしゃっていますが、私どもも、できるだけ早く準備をしたいということ で、今、LC/MSとかGC/MSは、1台ずつあるんですけど、もう1台GC/MSだ け、先に買っておこうということで、今、注文しています。そこら辺で、機械のほうを 何とかやっていきたいなと思っています。  それと、あと、検査法ですね。今、京都市のほうでも、大体130項目しかやってい ません。それが、日本国内で350、世界的にいうと800ということになるわけです から、例えば輸入物で、日ごろやってへんような物質が出たんやということで発見され た場合、これは、京都市でもやらんとあかんようになるわけですね。800について、 一応、すべて検査できるような状態にせんとかあかんので、そこら辺、ちょっと、つら いなと考えております。  それと、あと検体についての話なんですけど、加工食品のことについて、皆さんご興 味があると思うんですけど、実際、加工食品の検査を今までやったことがありません。 今やっているのは、キャベツとか、そういう1次製品をやっているわけであって、今度、 加工食品でやった場合、野菜の場合なんかでも、いろいろ複雑な抽出行程を経て、液ク ロとか、ガスクロに注入するわけなんですけど、そういう加工食品の場合は、いろいろ、 きょう雑物質ができて、検査法的にはすごい難しいんと違うかなと思っていまして、私 どもも、すぐに加工食品について検査をやりますというようなことは、今、言えない状 況です。  ちょっと脱線しましたが、京都市としての立場を説明させていただきました。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  西郷さん、何か。 【西郷食品安全委員会事務局リスクコミュニケーション官】  食品安全委員会でござ います。  先ほど、厚生労働省の藤井参事官から評価の仕組みについての説明がございました。 私どものほうは、厚生労働省から評価の依頼をいただきますと、農薬専門調査会という、 農薬の専門家が集まっている調査会でリスク評価といったことをお願いして、やってい ただくわけです。実績で申しますと、先ほど、参事官もおっしゃったように、年間20 件が評価できるかできないかと、こんな膨大な資料を一々全部見て、先生方にやってい ただくわけです。また、膨大な数の資料・データを評価しなければいけないのは予想さ れているところでございまして、私どもとしても、何十年もかけるわけにはまいりませ んので、さっき、京都市もこれは大変だというお話でございましたけれども、いろいろ 事務方で来年度から、1人、増員をすることとしております。それから、先生方につき ましても、農薬専門調査会の人数を増やして、幾つかのグループに分けて、それで評価 が円滑に進むようにしたいと思っております。  それでも、一気に解決するというわけにもまいりませんので、先ほど厚生労働省のほ うから、私どもに諮問をいただく方針を公表されるということでございますけれども、 その中で、ニーズの高いものといいますか、先に評価をしなきゃいけないようなもの、 外国でよく使われているものということなのかもしれませんが、そういうプライオリテ ィーをよく考えて、このポジティブリスト制度がうまくいくように、私どもとしても努 力してまいりたいと考えておるところです。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  たしか、評価の依頼の仕方については、11月の24日でしたか、食品安全委員会の ほうに、厚生労働省からご説明させていただいた資料がございまして、食品安全委員会 のホームページで見ていただくと、11月24日あたりの資料のところで、多分ごらん になれるのではないかと思います。  それでは、パネラーの方で、ポジティブリスト関係でご発言はいかがでしょう。 【千代部長】  先ほどのご説明で、まずは国内のものに関してですけども、国内は農 薬のほうも厳しくありますので、履歴等で確認をすれば、今回の制度を課すようなこと はないだろうという説明だったと思いますけれども、そうしましたら、国内のものは、 そういったデータといいますか、資料等で、絶対じゃないと思いますけれども、ある程 度の安全性が確保できると判断させていただいたらいいのかどうかということと、じゃ、 海外からの輸入物はある程度、検査に頼らざるを得ない部分はあるのかなということ。 それと、あと、検査のほうも日進月歩で進んでいくと思うんですけれども、今後、ある 程度は検査をして確認するということが、今回の制度に変わったときに、どうしても現 実問題として出てくると思うんです。そのときに、今後、もっと簡便な検査とか、コス トの安い検査とか、そういうものが早急に開発されていくのかどうか、そのあたりをお 聞きしたいんですけれども。 【コーディネーター】  ありがとうございました。 【藤井参事官】  農林水産省さんのほうからもありましたように、国内で登録認可を されている農薬を使用基準に従って使用した場合は、基本的には、残留基準を超えない という使用方法であり、基準になっているということになっております。したがいまし て、国内で適正に認められたものを国内で使用された農産物については、ほぼ安全だろ うと思います。ただ、京都市さんのほうでしたでしょうか、年間、幾つか、ちょっと違 うものが、検査をすれば出てくるという話もありましたので、事業者の方につきまして は、農林水産省さんのほうからもありましたように、履歴等がわかっている確かなもの をできるだけ導入をされ、使っていただくということが基本になるのかなと思います。  その中で、生産者側の方々も、自己防衛ということで、かなりの検査を自主的にされ ている部分もあるやに伺っておりますので、そういうデータ等も参照にしながら、場合 によっては、検査をされるにしても、検査項目を絞っていただけるのかなと思います。  輸入をされるものにつきましては、やはり一番望ましいのは、海外での生産現場に行 っていただいて、そこでどういう農薬、農産物の管理がされているかという情報をきち んと把握をしていただいて、それに応じて、必要な検査を絞っていただくということが 現実的であろうと思います。  最近は検査機器等が高度になってきて、質量分析を組み合わせたガスクロマトグラフ ィーとか、リキッドクロマトグラフィーとか、高価なものを使うようになっているんで すが、今後コストがもう少し下がるかどうかというのは、試薬の値段の問題もあるでし ょうし、どれだけボリューム的にこなせるかという問題もあるでしょうから、その辺は、 日進月歩なとは思っているんですが。  国でも、検査の標準的な手法については、できるだけ効率的なものを開発するように、 今後も努力を続けていくということにしておりますので、そういうものも1つのご参考 になるのかなと思っております。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  やはり、海外のものについては、ある程度の検査というのは必要になってくる可能性 はあるのかなという感じがしています。ただ、800近いものを、やみくもに全部検査 することではなくて、やはり、その地域で使われる可能性のある農薬とかターゲットを 絞って検査をされるとか、いろいろ工夫をすることによって効率化が図れるのではない かと思います。  検査法のほうも、一斉ではかれないものは個別に1個1個検査しなければならないわ けですので、そうすると、当然、人件費もかさみますし、いろいろ大変なので、なるべ く一斉ではかれるようにということで、引き続き、一斉法の開発も進めているところで ございますので、もう少し、一斉法ではかれる物質というのも増やせるのではないかと 思います。  それでは、少し、会場の方からもご意見を伺ってみたいと思います。大変恐縮ですが、 ご意見、ご質問のある方は、まず手を挙げていただいて、私のほうで指名させていただ きますけれども、お時間があまりないということで、お一人1回当たり、2分以内にお さめていただけますようお願いします。非常に簡潔に質問をしていただければと思いま す。なるべく、多くの方にご意見を伺ってみたいと思いますので、ご了承いただきたい と思います。  1分30秒たちましたら、ベルを1回鳴らします。2分たちますと、2回鳴らします ので、2回目のベルがなりましたら、次の質問者の方にお譲りいただければと思います。 やはり、いろんな方が、いろんな立場から、お考えを述べていただいて、それを理解す るというか、聞くということも、この問題についての認識を深めることになりますので、 積極的にご発言いたければと思います。  それでは会場の方、いかがでしょうか、ポジティブリスト制度について。  早く手が挙ったので、そちらの、左から2番目の列の、前から2番目の方。  差し支えなければ、最初にお名前とかご職業をいただければと思います。 【参加者1】  京都の販売業者で、長谷川と申します。  お聞きしたいのは、農水省とか厚生省で、農薬登録をおろしていただいているんです けれど、ここにおられる生協さんの小林理事長さんのところから、こういうのは、やっ ぱり使ったらいかんというようなことを書いて、農家の方なんかに書類で渡しておられ るんですけれど、生協さんには、それだけ権限はあるんですか。それやったら、行政の 農水省も厚生省も、食品安全委員会も要らんの違うかなと私は思っているんですけど。 それで、みんな非常に混乱しています。  私、京都府にも1回、聞いたと思うんですけど、それは生協さんの哲学やさかい、し ようがないと。どういうことを言うたか、科学的な根拠があったら、教えてほしいんで すけど。 【コーディネーター】  いつもですと、行政への質問が多いんですけれども。済みま せん、小林さん、いかがでしょうか。 【小林理事】  京都府生協連ということではなくて、京都生協ということでご質問が あったと思いますけれども。 【参加者1】  それでも、組織と一緒と違うんですか。 【小林理事】  私、きょうは生協の連合会という立場で出ておりますが、京都生協の 理事長も兼ねておりますので、少しお答えさせていただきたいと思いますが、私ども生 協は、取り扱っている農産物や食品について商品政策というのを決めていまして、今お っしゃっていた哲学ですけれども、その政策に沿ったものを供給させていただくという 事業をしているわけですね。  それで、これは使ったらいけませんよと強制的に言うことではなくて、そういう業者 の方とおつき合いをさせていただきたいということで、それは組合員に対するお約束と いう形で、政策を持っておりますので、そのことは、ぜひご理解いただきたいなと思っ ています。  そして、その中身についても、全く科学的根拠がないものではなくて、一定の科学的 根拠があるものについて示させていただいていると。私は専門的なことは、よくわかり ませんけれども、基本的な考えは、そういう形で進めさせていただいていると思ってい ます。 【参加者1】  その科学的データがあったら、教えてください。 【小林理事】  そうしたら、後で、個人的に、担当の者と連絡させていただいて、私 がその説明ができませんので、その者に説明させていただきます。 【参加者1】  それでも、いなかでは、大方そのように思っています。そやけど、圧 力団体と違うかなと私は思うので。生産者は非常に困っておるんです。 【コーディネーター】  一応、食品の安全という観点では、国、いわゆる厚生労働省、 農林水産省のほうで定めた基準がまずベースにあって、さらにポリシーとして、こうい うものを供給したいということですので、要するに、私たちの扱いたいものとして、そ ういうものを出荷してほしいという希望として、多分行われているものだと思います。 規制だということでは一切ないんだと思うんですが。  リスクについては、きょうはリスクコミュニケーションの説明に移る時間がなかった んですけれども、いろんなリスクというのは目に見えないというか、概念的なものです ので、実は、一人一人がリスクと感じる度合いについて認知ギャップというのがあって、 要するに、これがリスクだと思う人と思わない人というのが、それぞれの個人個人で、 全部レベルが違うんですね。専門家の間でリスク評価を行う場合でも、いろいろデータ を示しながら意見交換をして、このリスクはこれぐらいですねということを、みんなで 合意して決めないと、専門家の間でも、最初は、リスクの認知というのは違うという状 況があります。そういうリスクの認知の違いの中で、我々の認知しているリスク以外に も、生協の組合員さんとか、それを支持されている方たちが思う、その思いというのが あって、おそらく、その中で、商品選択の一環として、そういうものがあるんじゃない かと思います。  あと、ほかの方、いかがでしょうか。  それでは、一番端の列の方と、真ん中の列の中央の方と、それから、真ん中の列の後 ろの方、その3名で、それぞれご意見を伺っていきたいと思います。 【参加者2】  私はJAとぴあ浜松の村越と申します。  生産側の立場から、少しお願いをしたいと思うんですが、今、私ども農協でも分析機 等を新しいものに更新して、一斉分析もスクリーニングという形で、出荷の前、また出 荷の途中で実施をしておりますが、そういう分析をする中で、今、農水の方もおっしゃ いました、基準どおり使っていれば、ドリフトがある場合は別ですが、問題はないだろ うというお話がありましたけれども、私どもの産地は、大体150種類以上の作目をつ くっておりますが、1つのほ場の中で、仮にトマトを作づけする、その後にほかの野菜 を作づけするというような形をとっております。  そうしますと、トマトで使った薬剤は、もちろんトマトが基準になるものですが、そ れが次の作目に若干土壌に残留をしていて、吸われて、出てくるというものが、今まで 少しあります。もちろん微々たる量ではありますが、こういったことを繰り返している と、ほんとうに将来的に大丈夫かなという気がいたしますし、また、生産者の方が、土 壌改良剤的に切りわらを使用いたします。もちろん、切りわらは農薬をかけられたもの が使われているものが多いわけですから、そういった処置に使える材が、さっきと同じ ように土壌に残って、これから将来的にどうなのかなと。  今まで、一斉分析というのは、私どもの産地はあまりしておりませんでしたので、わ からなかった部分があるんですが、一斉分析をやりだしてから、そういう事例が出てき ておりますので、そういったところを産地だけで対応していたのでは、とても間に合い ませんので、やはり、行政なりのところでご支援がいただけれるとありがたいなと思い ます。  以上です。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  引き続き、真ん中の列の、中央あたりの方。 【参加者3】  食品事業者に勤めている枡岡と申します。  質問なんですけれども、弊社でも、いろいろ業者さんから原料とかを購入することが 多いんですけれども、特に、海外から輸入しているもの、これは生産現場の確認という のが先ほど出ていましたけれども、実際問題として、これを確認しましたら、ほとんど のメーカーさんが、無理やということを言われています。理由としては、例えば、工場 に一括してサイロに入ってしまうと。そうなった場合に、どこから来たものなのか全く わからなくなってくる、そういったことが多々ありました。  そういった場合は、輸入品ですと、国が水際検査をされるということだったと思うん ですけれども、そこで、また、当然、海外での使用実態を調査した上での分析項目にな ってくると思います。その場合、水際検査で問題がなかったものに関しては、ポジティ ブリストに合致したものであるという保証として言えるのかどうか、こういったことが、 もし言えるのであれば、かなりのメーカーさんも助かることになるとは思うんですけれ ども。そういったところが、少し気になりました。 【コーディネーター】  ありがとうございました。 【参加者3】  もう1つ、済みません。 【コーディネーター】  はい、じゃ、お1つだけ。 【参加者3】  あと、ドリフトについてなんですけれども、先ほど、マニュアル等が 昨年末にでき上がったということを言われていたと思うんですけれども、これは海外の ほうにも、そういった話はしているんでしょうか。特に、海外の小麦ですとか、トウモ ロコシですとか、大きな農場となってきますと、農薬等のまき方も、よくテレビで見る 飛行機ですとか、そういう形でまくことになってくると思います。そういったときに、 実際、ドリフトしたとなったときに、もうわけがわからなくなってくると思うんですけ れども、そういったところについてご意見をお聞きしたいと思います。 【コーディネーター】  わかりました。それでは、真ん中の列の後ろのほうの方。 【参加者4】  食品事業者に勤めております村松と申します。  1人目の方と2人目の方にほとんど言われてしまったんですけど、ドリフトについて なんですが、やはり国内でも空中散布、有人ヘリやラジコンヘリを使った散布等が実際、 推奨されていまして、よく行われているんです。実際にまいた薬剤がほかの作物で禁止 されたという事例も聞いておりまして、それが一部基準のものだったんですけれども、 そういう場合、補償ですね。賠償とか、そういうものはどうなんでしょうか。  あと、空中散布について、国として何らかの指導や指針というのは出るんでしょうか。  もう1つなんですが、対象外物質についてで、中国なんかの話になるんですけど、有 機栽培に近いようなもので、推奨農薬というのがありまして、その中でロテノンとかマ トリンとかいう、植物から抽出するような物質を使うことがあるようなんです。それが、 今回の対象外物資には含まれていなかったんですけど、同じようなもので、アザジラク チンなんかは含まれているんですけど、そういう、植物から抽出するような物質につい てはどうなんでしょうか。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  それでは、まず、後作への影響というんでしょうか、最初の方からのご質問ですが、 それは農林水産省の方からお願いいたします。 【東野課長補佐】  最初の土壌残留とか、切りわらの後作への影響なんですけれども、 基本的には、ほとんどの農薬で普通に使っていただいていれば、前作の農薬が後作から 問題になるほど出てくるとか、切りわらの農薬が出てくるということはないんだろうと 考えています。ただ、一部、特殊な農薬で、そのような影響が見られる場合も、まれに あります。一部でそういうことがあるので全部を禁止するということではなくて、そう いう特殊なケースが認められれば、例えば登録の方法を見直す、あるいは使用について 注意喚起の通知を出すというふうに個別の対策として行っていきたいと思っています。 【コーディネーター】  あと、あわせて、ドリフトという話があって、2点あるんで すけど、海外は農水省さんの管轄じゃないと思うんですが、ただ、ドリフトという事態 としてお詳しいと思うんですけれども、海外は栽培形態が、例えば隣のほ場とかなり距 離があるとか、そういうことがあるんじゃないかと思うんですが、感覚で、もしわから なければ結構ですけれども、何か。 【東野課長補佐】  基本的に、我々のつくているマニュアルとかパンフレットは国内 の農家向けのパンフレットということで、海外は、テレビでもごらんになったというこ となんですが、基本的には、見渡す限りトウモロコシが植わっているとか、小麦が一面 に植わっているということで、作物と作物のほ場の間は、それなりの距離を置いている んですね。農薬の飛散があっても大丈夫なくらいの距離を置いて、違う作物を植えつけ ているということですので、我々はそこまでは考えていないというか、日本もそこまで できれば、こういうものは要らないわけですが、日本の場合は、先ほどの、一畝ごとに 物が違うというような状況がある中で、それではどうすればリスク管理ができるんでし ょうかということで、こういうものをつくっています。  おっしゃるように、有人ヘリ、無人ヘリについてはどうなんでしょうかということな んですが、1つは、農薬の噴出し口が下から上に向いて散布するということと、それか ら、粒子の大きさが普通の噴霧器よりも大きめになるということで、適切に散布すれば、 それほどドリフトを気にしなくてもいいのではないかという話もあります。  ただ、ほうっておいていいというのではなくて、適正散布を呼びかけていく必要はあ ります。それから、ヘリコプターを使ってまく農薬の適用を広げていくと。これも、多 少ドリフトがあっても一律基準が問題にならないような、幅広い適用のある農薬を優先 的に使っていくといことが大事なんだろうと思っています。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  輸入食品で、一応、国で水際の検査をしているので、それを経ていれば大丈夫だと保 証していると言えるのかというご意見もございましたけれども、参事官、いかがですか。 【藤井参事官】  輸入のところでもありましたように、現在、輸入をされている件数 が、年間180万件あります。そのうち、残留農薬を水際で検査をしているというのは、 大体2万6,000件ぐらい。ですから、そこでパスしたら、一応の目安にはなるかも わかりません。ただ、国の場合、水際でやるのは、どっと荷物が入ってきた、その中を 比較的まんべんなくサンプルをとって検査をするんですが、それが国内に出回りますと、 もっと小さな単位になってしまいます。場合によっては、小さな単位によって都道府県 なり、政令指定都市が検査をすると、そこの部分については残留農薬が高い場合もあり 得ます。ですから、水際で検査をされてパスしたから、モニタリング等で検査をして合 格したから全部が確実に安全だということまでは、なかなか言いがたいのかなと思って おります。  やはり、海外の生産現場を確認というのは、なかなか難しいというお話もありました けれども、国レベルでは、いろいろと残留基準のポジティブリスト制度への変更の情報 提供をしておりますし、ぜひ輸入をされる事業者の方についても、相手国にあるカウン ターパートに日本の制度を十分理解していただくようにして、できるだけ基準に合うよ うなものを調達できるという工夫をしていただくのがいいのではないかなと思っており ます。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  担当課の方で、何か補足はありますか。特にいいですか。  それでは、対象外物質について、植物抽出物のお話があったんですけれども、少し話 がずれるかもしれませんが、1つは、皆様の一般的な認識として、天然物が安全で合成 品が危険だという、これは誤解の1つなんですけれども、例えば、ピレスロイド系農薬 というのがあるんですけど、その発祥は、もともと除虫菊という植物の中から見つけた ピレトリンというものを合成で、いろいろ形を変えて農薬をつくってきたわけです。し たがって、植物抽出物だったら何でも安全ということではなくて、たまたま天然にあっ たというものを使ってきているわけですけれども、天然の中にも、人間に対して生理影 響を及ぼすようなものというのはいっぱい含まれていますので、自然から抽出したもの だから有機栽培で使っていいとか、安全だとかということでは、まずないので、今回、 その対象外物質として、ある一定の評価をしたものについては、そのレベルで使ってい る範囲では大丈夫だろうという物質であるということです。対象外物質も、どっぷりと、 したたるほどついていても、それでも安全かというと、実はそうでもないものもござい ますので、ご注意いただければと考えております。  それでは、時間が大分少なくなってきてしまったので、輸入食品と牛の施設認定のほ う、両方をあわせて、少しパネラーから意見をいただいて、あと会場からも意見をいた だきたいと思います。時間内に終わらない見込みがございますので、質問がある場合に は、少し時間を延長させていただきたいと思います。交通機関の都合等で早目に退席さ れたい方がいらっしゃいましたら、適宜退席されて結構ですので、よろしくお願いいた します。  それでは、まず消費者の立場から、輸入食品の安全対策、それから、牛肉の施設認定 の査察結果にご意見等があれば、いただきたいと思いますけれども。小林さん、いかが でしょう。 【小林理事】  牛肉の問題に絞って、少し述べさせていただきます。  今回、牛肉の輸入が再開されるということで、この輸入が停止されたことから再開に 向けてのプロセスといいましょうか、そこのところに注目をしてまいりました。200 3年5月に食品安全基本法が制定されて、リスクアナリシスという考え方が導入されて、 それが今回のことでも本格的に運用されるという中で、それぞれのリスクアセスメント、 リスクマネジメント、リスクコミュニケーションという3つの、リスクにかかわる重要 なそれぞれのポイントがどのように実際、機能していったのかということについて期待 もしておりましたし、注目をしてまいりました。  しかし、結果としては、多くの国民がまだ不安を抱えているという状況のままで再開 をされたということについては、残念な思いがしております。多くの国民の不安の中身 でいいますと、やはり、この輸入再開に向けての進め方についての不透明さといいまし ょうか、それに対しての不信感といいましょうか、そういうことが主にあったのではな いかなと思っています。それと同時に、輸入再開に向けての条件が、これから確実に実 施されていくのかどうかということについても、不安がぬぐえなかったということであ ったのではないかと思っています。  先ほど、日本に対する輸入プログラムの中身について、初めて、ああいう形で説明を 聞きましたし、なかなかわかりやすく説明していただいたと思っていますけれども、た だ、消費者にとって一番不安の種であった、20カ月齢という問題について、あの説明 の中では少し不十分であったなと思っています。つまり、それがどれぐらいきちんと確 認されていくのかということについては、まだ少し不安が残っているという状況です。  その間、食品安全委員会からも答申が出されて、それにかかわってのリスクコミュニ ケーションという形で、そういう意見交換会の場が何度も持たれたわけですけれども、 私たち生協も消費者として、リスクコミュニケーション、つまり問題についてともに考 えるという立場で参加をしてまいったわけですけれども、残念ながら、そのリスクコミ ュニケーションは、ともに考えるというよりは、説明する、説得するという形になった なというのが、参加しての印象です。  それから、食品安全委員会から、幾つか答申が出されていたわけですけれども、その 一部が再開に向けての評価という形で取り上げられたということも、私たちとしては、 少し、適切ではなかったなと思っています。そういうことを通じて、今回注目をしてい たリスクアナリシスという仕組みそのものが十分に機能したのかどうかということにつ いては、少し検証していくことが要るのではないかなと思っているところです。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  続きまして、事業者の立場から、千代さん、お願いいたします。 【千代部長】  海外輸入物とか、牛肉も一緒ですけれども、一度問題が起こったもの は、加工業者としましては、やはり、安全ですよといって、すぐに使える状況にはなら ないというのが現状です。また再発するのではないかとか、やっぱり危険なものは使い たくないということで、かなり時間がかかりますので、なかなか使用できないというの が現状です。  それと、狂牛病に関しましては、アメリカが出る前に、いろんな決まりがあったと思 いますけど、その中で、かなりアメリカに頼っていたところがありましたので、アメリ カが出て、市場が混乱しまして、かなり廃棄損が出たということがありましたので、そ のあたり、行政側の対応もちょっと混乱していたかなと。今後、同じようなことがおこ りましたら、速やかに対応していただかないと、業者のほうは、それによって、どこへ 持っていくことのできない損失が出ますので、その点、よろしくお願いしたいと思いま す。  以上です。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  それでは、リスクアナリシス全体の流れは正しく進んできたかということでご意見を いただいていますけれども。アナリシスというか、西郷さん、少しお話をいただいて、 その後、こちらのほうで。 【西郷リスクコミュニケーション官】  今、小林さんから非常に厳しいご指摘をいた だいたと思っております。確かに、食品安全基本法ができてから、先ほどご説明があっ たとおり、食品安全委員会は評価を行う、それから、厚生労働省、農林水産省、その他 いわゆる管理機関がそれに基づいて必要な施策を講じると。その間のやり取りについて は、関係者がみんなで意見を言い合って決めていくのがリスクコミュニケーションであ ると、こういう形になっているのは、おっしゃるとおりだと思います。いろいろと印象 を持たれた方がいらっしゃるんですが、食品安全委員会ができてから、ちょうど2年半 がたっておりますけども、その間にこういった意見交換会は既に200回以上行ってお ります。実際、そのうちの半分近くがBSE関係の意見交換会であったと、結果として ですけれども、そうなっております。  これは担当者としての感触ですけれども、いろいろ説得調であって、意見交換になっ ていないという厳しいお話がございましたけども、いろんな努力はしてきたつもりでは ございまして、一方では、こういった意見交換会の形式には限界があるかなという気が しております。と申しますのは、いろいろ調べてみますと、参加される方は非常に意識 の高い方が多くて、どちらかというと、BSEについては、意見が決まっている方が多 くて、リスク評価の結果がこうだったからこうだとかという話について、なかなか、純 粋な意味での意見交換が難しい状況ができてしまっていたということがあるかと思いま す。ですから、リスクコミュニケーションの進め方について、若干こちらも考えなきゃ いけないと思っております。  きょうの会合もそうでしょうけれども、例えばいろんな立場の方が出ていらっしゃる と、いろんな話を聞いて、確かにそうだなとは思っても、ご自身が消費者団体でいらし たりとか、業界関係でいらしたりすると、そのとおりだねなんていうことは、なかなか 言えないですよね。それは、おっしゃるとおりだと思いますし、ですから、やっぱり立 場、立場のお話を繰り返さざるを得ない。それでは、いつまでたっても相互理解とか合 意はできるわけがないということはあろうかと思います。ですから、意見交換会だけじ ゃなくて、いろんなことを考えていかなきゃいけないと思います。  ただ、その中で、不透明だったというご指摘があるんですが、それは非常に耳の痛い ところで、相当な部分、いろんなものを公開をしてやってきたつもりですけども、中身 がわかりにくい話もあったのかもしれませんし、そういうところは、今後どうしていっ たらいいのかというのを考えなきゃいけないと思っております。  委員会としては、諮問に関しては誠実な議論を重ねて、答申をしたわけでございます し、それから関係行政機関の対応も、いろいろなことをおっしゃる方がいますけれども、 やっていることが見えないということはないのではないかと、それについて気に食わな いということはあるのかもしれませんけれども。そういったところは、以前に比べれば、 今、この問題はどのようなステージにあって、どういうことになっているのかというこ とについては、少なくとも見えるようになってきているのかなとは思っておりますし、 そうでなければ、またご指摘いただきたいと思います。  リスクコミュニケーションについては、おっしゃるとおりで、少なくとも、どんな方 でもご意見が言えるような形だとか、アクセスをする気になれば必ず情報にたどり着け るということだけは確保していきたいと考えております。 【藤井参事官】  関連をして、厚生労働省からも少しつけ加えさせていただきますと、 食品の安全と安心ということがよく言われますが、客観的な事実に基づいた安全と、か なり主観的な部分の安心というのは、往々にしてギャップがある場合があるというのを 私ども担当者としても感じております。それを埋めていくのが、リスクコミュニケーシ ョンの大きな役割の1つではないかと思っております。  ある会場で、お互いに信頼関係が醸成をされないと、なかなか進まないのではないか というご意見もいただきました。我々行政として、先ほど内閣府の食品安全委員会の西 郷さんのほうからもありましたように、できるだけの情報を公開して、透明性を確保す るようにすることによって、この問題については、多くの方の信頼を少しずつでも得た いなということで努力をさせていただいておりますし、これからもそうしていきたいと 思います。  特に、今回の米国・カナダ産の牛肉の再開の問題について、いろいろな意味で不安を お持ちの方がいる。その1つに、輸入条件が確実に実行されていくのかということもご 指摘をいただきました。そこは、現在は当初でありますから、米国の事業者と米国政府、 カナダ事業者、カナダ政府、そして日本側の水際の、厚生労働省、農林水産省の検疫所 は緊張感を持って対応をしているということで、幸いにして、査察でも大きな問題を見 出すことはありませんでしたし、現在の水際の検査体制でも、大きな問題になったよう なところはございません。  今後、やはり、こういう緊張関係を継続させていくということが大変重要であろうと 思っております。そういう意味から、査察については、来週、22日ごろ、また第2陣 が出発をする予定になっております。アメリカ、カナダ国内の対応を向こうにお任せし ておくだけではなくて、やはり、厚生労働省、農林水産省のほうも、節目節目で、きち っと目で見て、現場を確認するということで実効性を担保していく必要があるなと思っ ております。  今から、2年ちょっと前ですか、米国とカナダにBSEが発生して、輸入をストップ したわけですが、そのときに、いろんな混乱があって、事業者のほうでも迷惑を受けた というご指摘もありました。そういうことがBSEに限らず、何かのときに、事業者さ んも含めて、製品の回収等をお願いしなければならないというときには、混乱が起こら ないように、円滑に進むように、私どもも気をつけていきたいと思います。 【コーディネーター】  なかなか、衛生法からの手続となりますと、物自体の安全性、 そして回収するというところで、実際の補償とか、そういうのは、なかなか難しいとこ ろがあるのかと思います。  それでは、まだ、これ以外のことでも、ご意見がありましたら。 【土井課長補佐】  京都市ですが、今回のアメリカ産、カナダ産牛肉の輸入再開につ きまして、賛否両論ございます。私も、12月に大阪の天満研修センターで説明会がご ざいまして、参加させていただきました。私の知る範囲では、反対意見の嵐であったか と思います。ただ、今、現在、輸入が再開されてしまったわけでございまして、私ども、 一自治体、京都市として、国さんに対して、反対しましょうよなんて言えませんから、 やっぱり国さんの方針に従ってこれから事業をやっていくわけなんですが、実は、きょ うから京都市内の肉を処理しているところ、販売しているところにつきまして立ち入り 調査をしています。  これは何をするかということなんですけど、情報によれば、今週ぐらいから大量にア メリカ産の牛肉が入ってくるみたいです。ですから、それぞれ取り扱うところにつきま しては、荷物が入ってくるのかなというところで、そのタイミングをはかっていたんで すが、行きまして、いろんな表示とかを見るわけなんですが、1つ、お店の方にお願い しているのは、衛生証明書。今回、対日のプログラムがあると思うんですが、衛生証明 書を仕入れ先からとってくれということをお願いしております。  実際、何でやということになるんですが、輸入牛肉を扱っている業者の皆さんも、や はり、こういう証明書の上で、輸入のあれが回っているんだよというのを理解してほし いのが1つと、消費者の方でも、トレーサビリティーで、和牛なんかは店頭で履歴が出 ていると思うんですが、できれば、店頭でそういう衛生証明書を掲げてほしいというこ とを言っています。やはり、消費者に対して、アメリカが発行した衛生証明書があるか ら安全なんやということで、胸を張っていいような状況にして、事業者の方、消費者の 方にも理解してほしいなということでやっています。  来週から、またアメリカのほうに査察に行かれるということですから、日本の一自治 体でそういう取り組みをしていて、掲示をしているよということであれば、アメリカの 検査員の方もうかつな検査はできないのと違うかなと、ちょっと期待もしながら対策を やっております。  以上です。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  よろしければ、会場の方からご意見をいただいてみたいと思います。  会場の方、いかがでしょうか。  後ろのほうの方、手が挙っていますね。 【参加者5】  コープきんきの日野と申します。  いつも参加させていただきまして、いろんな資料をいただきまして、ありがとうござ います。2つだけ質問させていただきたいと思います。  1つは、輸入の検疫についてなんですけども、計画が出されておりまして、資料10 と11ページに、その数字等が出ています。実は、よくわからなかったので、質問をす るんですけれども、11ページの検査の考え方という部分で、違反率が1%、299件 になる、ならないというような形で書いてあるんですが、そのことと、その前のページ の輸入検査の検疫の数との関係をどのように理解すればいいのかわからなかったので、 これを質問させていただきます。  2つ目です。米国とカナダの牛肉の輸入の件につきまして、実はきょう、東京でこの 報告会があるということで、先日、インターネットで情報を見たんですけれども、今回、 東京だけで開催されたものですから、参加できないということでメールを送りましたら、 きょうの、この会場がありますよという話で参加した経過があります。できれば、ホー ムページ等で、きょう発表されたような資料について詳しく提示いただければ、行かな くても済むなと思ったりもしますし、そういう情報の提供というのが大事かなというぐ あいに思っています。  関連しまして、もう1点だけ。これは、前回のところでも質問した部分で、きょうは 専門官がいらっしゃいますので質問をするんですが、国内の検疫のところで実際に牛肉 の検査をするときに、BSEの関係でいいまして、どういう検査項目をされるのか、ど のようにされていくのかというあたりについて少し教えていただきたいと思います。お 願いいたします。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  それでは、まず、ホームページで情報を出していただければということでございまし たが、リスクコミュニケーションとかの資料について、きょうはスライドでお示ししま したけれども、写真とか幾つか、向こうの了解の関係で、映写のみとなったものについ ては難しいんですけども、本日配付させていただいている資料ベースのものについては ホームページに掲載できると思いますので、そちらのほうも参考にしていただければと 思います。  最初の1点目のところの、モニタリング検査の考え方と、実際の検疫の数のところ、 それから、牛肉の検査で、実際、どういう確認を検疫所でしているのかという部分につ いては、田中専門官のほうから説明いただければと思いますが。 【田中専門官】  輸入食品安全対策室の田中でございます。  モニタリング検査の考え方につきましては、先ほども、統計学的な考え方ということ でお示しさせていただきましたけれども、まず検疫所で、例えば牛肉の検査項目としま しては、残留農薬、そして動物用医薬品、あと病原微生物としてはO157などを検査 しておりますけれども、それぞれの検査項目において何件検査をすればいいかというこ とで、牛肉の輸入量、届け出件数、そして、過去にそういう農薬とか動物用医薬品でど れぐらいの違反があったかということをそれぞれ、私たちの計画の中ですけれども、計 算をする式をつくっております。  その計算については、非常に品目数が多くて細かい計算ですので、特に公表は行って いないんですけれども、考え方としましては、通常229件という数字が真ん中に来る ように、そして、より厳しく検査したいものは、年間2,995件、約3,000件近く を食品の群ごと、今、大体122種類ぐらいに食品の種類を分けて、鶏肉については農 薬を何件検査しようか、動物医薬品は何件検査しようかということを一つ一つ計算をし て積み上げた結果が7万8,000件という数字になっております。  これは検疫所が行うモニタリング検査です。これは貨物をとめ置かずに、広く衛生状 態を確認するということを前提にしていますので、貨物はそのまま流通をさせています。 このモニタリング検査で違反が見つかれば、今度は検査命令という措置に移ります。  検査命令というのは、その後入ってくる、例えば、アメリカの牛肉で、もし問題があ るのであれば、すべての届け出に対して問題があった項目、例えば動物医薬品であれば、 動物医薬品の特定の物質について、すべて検査をします。検査に合格しなければ貨物を 流通させない、港にとめ置いたまま検査をするという非常に厳しい措置ですが、当然、 こういった措置になると、一たん港に貨物が駐留することになります。輸出国政府とし ては、早くそういった問題を解決したいということで、すぐに厚生労働省と相手の輸出 国の政府間で協議に入ります。  そもそも、そういう農薬が検出した原因は何なのかというところを調査して、それに ついて、例えば、先ほどご説明した中国産のホウレンソウであれば、そもそも農薬の使 い方に問題があったと。中国では、表示も明らかでないような農薬を使っていて、管理 がなされていなかったというような原因があって、では、現地にも出向いて、使用の管 理がちゃんとできているところからのみ輸出を認めましょうという、いわゆる安全性の 確保の確認が両国の認識のもとにできて初めて、ここに書いてあるように、検査命令を 解除して、私たちは通常の監視体制と呼んでいますけれども、また年間ランダムに検査 をするモニタリング検査に戻すというのが流れです。ですから、このモニタリング検査 と検査命令の解除というのはつながらないんですが、一応、流れとしてはこうなってお ります。 【コーディネーター】  件数の積み上げがいろいろあるので、単純ではないというこ とですね。 【田中専門官】  そうです。 【コーディネーター】  輸入件数がどれぐらい増えるのかとか、違反率がどうなのか とか、いろいろ勘案していかないといけないので、簡単にはお示しできないということ なのかもしれません。  済みません、牛のほうは、坂梨さんからお願いします。 【坂梨係長】  それでは、牛のほうを私から説明させていただきます。  米国とカナダ産牛肉は、輸入時に検疫所と動物検疫所において、米国農務省とカナダ の食品検査局が発行した衛生証明書を確認することによって、輸出プログラムの認定施 設において処理された製品であるかどうかを、まず書類で見ます。それから、輸出プロ グラムに適合している貨物であるかを確認することになります。それで、現場検査とし て、保税倉庫に行きまして、貨物の表示を確認することによって、それが衛生証明書と 同一のものであるかどうかを確認することと、それから、輸出プログラムの対象外製品、 それから特定危険部位が混入していないかというところを確認します。それと、厚生労 働省では、輸出時に全ロット検査を行うこととしていまして、今年の3月31日までの 間を強化期間として、集中的に検査を行うようにしています。  以上です。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  いわゆるプリオンの検査みたいな、理化学検査的なものではなくて、目で見て確認す るようなものが中心。要するに、SRMがついていないかとか、書類がきちっと合って いるかと、そういうことになるんだということだと思います。  ほかに、会場の方、いかがでしょうか。  また、お二方から挙っているので、こちらの列の方、その後、真ん中の列の方、どう ぞ。 【参加者6】  民間検査会社に勤めている中道と申します。  先ほど、輸入食品などについての検査という話があったと思うんですが、かなりの量 が輸入されますので、1回の検査でどれぐらいを1ロットして考えていらっしゃるのか。 それぞれの作物で、また、物によっても違ってくると思うんですが、そういう基準があ れば、よろしくお願いいたします。  また、一般の生産者の方とお話をさせていただくんですが、今回のポジティブリスト 制について非常に興味を持っていらっしゃる方と、そうでない方、非常に意識が違うよ うな気がします。こういうことについて、行政のほうとして、これからどういう指導と いいますか、取り組みをされていかれるか、できましたらお聞かせ願いたいと思います。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  それでは、もう一方、お願いします。 【参加者7】  食品事業者のオオシマと申しますけれども、私は資料の5番で、質問 をいっぱい書かれているやつの37番を質問した者なんですけれども、先ほどの方と同 じで、結局、自分たちが流通するものや生産したものが安全だよと消費者なりに説明す るには、農水なり厚生省なり、保健所なり、生協さんがやられる分析法を、同じような ことをやって大丈夫だよと言うしかない立場だと思うんです。後で問題になったときに、 それが予測できていたか、できなかったかというのが非常に大事になってくると僕は思 います。  したがって、分析は、正確なやり方というのが公表されていますけれども、どういう 形でサンプリングするのか。1キロとってきて、1キロやってオーケーなんだとか、工 場の中の5カ所からとってきて、それを平均してということでやるとか、そういうこと なり、輸入食品でも、10キロの箱の物だったら、そのうちの1割をやってオーケーな ら、オーケーだよとかというような、明確なルールみたいなことを知ってもらうと、今 後、混乱とかが起こらずに、安全だよという、ある程度のことが言えてくるんじゃない かなと思います。  この37番で、大根1本だけしてアウトだったりとか、ドリフトの問題のときに、端 っこのやつ1つだけとってきて、枯れそうなやつをやって基準値オーバーだったら、全 部、それは生産中止になるのかとか、そんなことが、今後起こってくると思うので、や っぱり、そこら辺を明確にしてもらいたいというか、公表してほしいと思います。 【コーディネーター】  ありがとうございます。  ロットのところ、お願いします。 【田中専門官】  輸入食品についてお答えいたします。  ロットのくくりということになると思うんですけれども、輸入時においてロットのく くりというのは非常に重要になります。なぜかといいますと、検査をして、違反にした ときに、廃棄なり積み戻しの措置を行うというのは、そのロットごとに行っているから です。輸入の届け出というのは、そもそもロットごとに届け出をしてくださいと、つま り、同一の食品とくくれる範囲で、1つの届け出として届け出をしてくださいというこ とになっておりますので、1つの申請が1つのロットとしてくくられています。ある商 社さんが輸入してくる1つのコンテナのオレンジというような形で、それが1,000 カートンなら、1,000カートンという形で申請がされてきます。  そこで重要になってくるのが、そのロットからのサンプリングの仕方ですね。先ほど、 決められた方法でサンプリングをするというお話をしましたけれども、検査結果を出す に当たっては、そのロット全体を評価しなければならないので、1,000カートンな ら1,000カートン、そこから幾つとるかというのは、やはり統計学的に一定の数が 決められています。例えば、1万カートン来れば多くとりますし、さらに多ければ、も っと多くサンプリングをして、それを均一化するという流れになってきます。  ですので、ロットの大きさというのはさまざまですけれども、1つの申請を1つのロ ットと考えて、それをしっかり代表できるようなとり方をしているのが、今の検疫所の やり方でございます。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  農水省さんから補足をお願いします。 【東野課長補佐】  ポジティブリストを生産者にどういうふうに周知していくのかと いうお話がありました。我々、昨年中に行政レベルの通知ですとか、こういうパンフレ ットとかを出しておりますけれども、年明け以降は、1つはホームページ、それから 『日本農業新聞』という農家向けの新聞がありますので、そういうところでも特集なん かを組んで、周知徹底に取り組んでいきたいと思っています。  それから、後の方のご質問で、食品衛生法に適合しているというのは、分析して証明 していくしかないというご発言がありましたけれども、また繰り返しになりますが、 我々は必ずしもそうは思っておりません。分析というのは、あくまでも補助的な手段で、 一番大事なのは、やはり生産行程をしっかり管理するということなのだろうと思います。 正しく行程管理がなされたかどうかを念のためにチェックするというのが分析なのだろ うと思っています。  例えば、同じ食品でも、O157などは食品中でどんどん増えていきますから、出荷 時に分析して、基準値以下であっても、流通段階でまた増えてしまうというようなこと もあるわけです。農薬は幸いなことに、増えることはありませんので、一度分析してし まえば、それで安心ということなのかもしれませんが、大腸菌などの管理とかで考えて いただければ、一度分析して、それで安心ということではなくて、生産行程がどのよう に管理されたのかということが大事なんだろうと思っています。  ロットの話とも絡んでくるんでしょうけれども、例えば、残留基準を少しオーバーし たものがあった場合に、その産地でつくられたもの全部を廃棄するのか、あるいは出荷 停止にするのか。大根1本が残留基準を超えたから、その部分、どこまでを廃棄するの かというようなことを考えた場合、やはり、普段からの記帳運動といいますか、個々の 農家がどういう農薬をどれだけまいたのかというのを記帳しておけば、残留基準を超え た原因分析なんかも容易にできますでしょうし、そういう場合は、関係ない生産者の農 産物まで出荷停止をしたり、回収したりしなくてもいいということになるんだろうと思 います。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  ポジティブリストについての周知の関係、指導のこととかもございますけれども、厚 生労働省関係では、事業者向けなり、都道府県の説明会がありますとか、一般向けとし ては、本日のような意見交換会というのを、あと2回ぐらい開催する予定としておりま す。そのほかにも、他省庁さんが開催されるもので、ポジティブリスト制度がテーマに 上がっていれば、当然担当官がそちらに伺うとかいうことも工夫していきたいと思って おります。  それでは、かなりお時間が超過しましたので、最後に、どうしても発言したいという 方がいらっしゃれば、お一人だけ意見を伺って、それでは、手が挙ったあそこの列の方。 この方で最後にしていただければと思います。 【参加者8】  コンシューマーズ京都の事務局長をしています、あざみ祥子と申しま す。よろしくお願いいたします。  BSE絡みの査察のことについてお尋ねしたいと思います。輸入のやり方ということ につきまして、私は十分把握しているわけではないんですけれども、今回、輸出をする 業者というのは、アメリカ、カナダにおいて、どれぐらいあるんだろうなというあたり を、ちょっと聞かせていただきたいと思います。  そして、そこで、先ほど、農場だとか屠畜場などの検査の査察に行っていらっしゃい ますけれども、その査察というのは輸入・輸出の問題に関しましては非常に特別なこと であるのか、もし特別なことであるならば、こういうことを進めることによって、また 輸入食品の安全性を確保する1つのモデルになっていくなと思いますので、教えていた だきたいと思います。それから、査察の具体的な今後のスケジュールというものを教え てほしいと思います。  あと、もう1点なんですけれども、輸入が決まりましてから、私のところなんかにも、 じゃ、自分たちがアメリカ、カナダからの輸入肉を食べないためにはどうしたらいいん でしょうと、食べないためにというよりも、消費者としてはどうしたらいいんでしょう ということなんですが、安心・安全とは関係なく、嫌だよというときに、選択の問題だ と思いますけれども、そういうときに、じゃ、どういう方法があるんだということにつ いてお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いいたします。 【コーディネーター】  ありがとうございました。  それでは、まず、輸出している業者はどれぐらいあるのかという部分ですけれども、 平時というか、輸入がとまる前はどれぐらいのところから実績があって、今、現在どれ ぐらいなのか、その辺、答えられますか。今、日本に入ってきているのは何事業者かと いうのは、多分データがあると思うんですけれども、それをご紹介いただいたらと思い ます。 【坂梨係長】  それでは、最初の質問ですけれども、こちらに、輸出をしている業者 で、今日、スライドで説明すればよかったんですけれども、実際に、査察をした施設数 は、前回、アメリカが11施設、カナダは4つの施設となっています。  先ほどのスライドで説明したように、アメリカが認定をしている施設というのは、こ れは12月末までなんですが、37施設で、カナダが6施設、要は、今の数を引いてみ ますと、37から11を引いた26の施設は、当然、今後査察をしていくという形にな るところです。  実質上、輸入をされている処理場の数が、現状で24ということですので、これは、 どの施設が該当しているのかというところまでの、細かい手持ち資料はありませんけれ ども、要は、37施設のうち24施設から輸入がされているという形になっております。 【コーディネーター】  今後のスケジュールについては。 【坂梨係長】  今後のスケジュールで、先ほどお話がありましたように、1月末に第 2の査察チームがアメリカに行きます。それから、継続して、今年中に査察のチームを 派遣する予定でおりますが、詳しい予定はまだ決まっておりません。査察については、 今年中何回とか、そういう数ではなくて、今後も、当然継続して行っていかなければな らないという予定でございます。 【コーディネーター】  外国に査察に行っているという点では、ほかの事例に比べる と比較的手厚い状況になっているのかなと思うんですけれども、特別な状況という感じ かなと思うんですが、いかがでしょうか。  いろいろな取り組みを進めていく上で、モデルになるかもしれないということではあ りますが、やはり、事案の大きさとかによって、かなり手厚く現地の確認をするとかと いう、事案、事案で多分、状況が異なってくるのかなという部分はあるかと思います。  あと、食べないためにはどうしたらよいのでしょうかというご意見をいただいている んですけれども、おそらく、きょう来ているメンバーの中には、その辺に詳しい方が来 ておらないんですけれども、JAS法の中で、生鮮食品については原料原産地を表示す るということが、たしか義務づけられていたかと思います。加工されてきてしまうと、 なかなかすべてのところは難しいということとか、外食のところも、一部ガイドライン というような状況はありますけれども、少なくとも生鮮品については義務づけがされて いると思いますので、もし、どうしてもその辺が心配だという方がいらっしゃいました ら、その辺は、生鮮品などを中心にきちんと表示がされていて、国産だというのが確か なものをご購入されるというのも1つの考え方かなとは思います。  ただ、国の考え方といたしましては、リスクの同等性についてはあまり差はないとい うことですので、別に、アメリカ産が危険だとか、そういうことではないという状況だ と思います。それでも心配な方もいらっしゃるので、その辺はそういう方法もあるのか なと思います。  何か、補足される方はいらっしゃいますか。特によろしいですか。  それでは、大変時間を超過してしまいまして、申しわけございませんでした。これで、 意見交換会を終了させていただきたいと思います。  大変申しわけありませんが、資料の中にアンケートというものを入れております。遅 くなってしまった上に、なかなか記入も難しいかとは思うんですけれども、意見交換会 のあり方その他、今後検討していく上で非常に参考とさせていただいておりますので、 記入のほう、ご協力お願いしたいと思います。  では、本日は、どうもありがとうございました。(拍手) ―― 了 ―― −68−