05/12/20 平成17年12月15日〜12月21日 米国・カナダ産牛肉等への対応についての説明会 米国・カナダ産牛肉等への対応についての説明会 議事録 平成17年12月20日(火) 於:福岡県看護等研究研修センター講堂 開 会 【司会(広瀬厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐)】  本日は皆様ご多忙の中、 ご参加いただきありがとうございます。ただいまから米国・カナダ産牛肉等への対応に ついての説明会を開催したいと思います。私は本日、司会を務めさせていただきます、 厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課の広瀬と申します。よろしくお願いいたし ます。  厚生労働省と農林水産省では、米国産及びカナダ産牛肉のリスクについて、本年の5 月に食品安全委員会に評価を依頼したところでございますが、この12月8日に評価結 果が取りまとめられました。この評価結果を受けまして、厚生労働省と農林水産省は、 一昨年より停止しておりました米国及びカナダ産牛肉等の輸入を再開することといたし ました。  本日の説明会は、消費者をはじめ、関係者の方々に輸入再開に至った背景ですとか、 それから、国の安全確保に向けた取り組みなどをご説明し、参加者の方々の疑問点や意 見について話し合い、この問題についてのご理解を深めていただくというようなことで、 全国9カ所で開催させていただいているものの一つでございます。  初めに配付資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元に議事次第があるか と思いますが、まず、配付資料といたしましては、「米国及びカナダ産牛肉の輸入再開 について」ということで、本日、これから説明をさせていただきますパワーポイントの 資料の配付物になります。それから、以下は参考資料、5つほどございますが、参考資 料の1が「食品健康影響評価について(食品安全委員会への諮問)」というものでござ います。これは1枚紙の表裏程度のものかと思います。参考資料の2が「食品健康影響 評価の結果の通知について(食品安全委員会の答申)」というものでございますが、こ れはかなり分厚いものになっております。参考資料3は「米国及びカナダ産牛肉等に係 る食品健康評価のポイントについて」ということで、こちらは内閣府食品安全委員会の ほうでおつくりいただいた評価の結果について解説するポンチ絵というふうになってい ます。参考資料4として「米国産牛肉等の輸入再開に当たって」というものがございま す。それから、最後が参考資料の5、「米国・カナダ産牛肉の輸入再開について(Q& A)」というものでございます。以上の配付資料のほかに、本日、アンケートというも のも入れてございます。こちらのほうもご協力をお願いしたいと思います。資料の不足 等がございました場合には、お近くのスタッフもしくは受付のほうにお申し出いただけ ればと思います。  続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきたいと思います。まず、厚 生労働省大臣官房の藤井充参事官と、それから、農林水産省大臣官房の伊地知俊一参事 官のほうから、米国・カナダ産牛肉等への対応についての説明ということで、このパワ ーポイントを使いまして、1時間20分前後になるかと思いますが、説明させていただ きます。説明終了後、10分程度の休憩をとらせていただいた後、質疑応答をさせてい ただきたいと思います。なお、会場の都合上、午後4時ごろには終了させていただきた いと思いますので、よろしくお願いいたします。  では、先に藤井参事官から、途中で伊地知参事官からご説明をさせていただきます。 よろしくお願いいたします。 説 明 【藤井厚生労働省大臣官房参事官】  それでは、スライドに沿ってご説明をしたいと 思いますが、皆さんのお手元の資料の中、右肩に四角で「資料」というものが入れてあ りますが、それが、このスライドと全く同じものになります。見えづらいようなときに は、その資料のほうをご参考にしながら聞いていただければと思います。 (スライド)  説明は、ここにありますように、食品安全委員会の答申を踏まえた対応で、さらに詳 しい米国、カナダ、日本が行う管理的な対応についてという流れでご説明をしたいと思 います。この途中で、後段は農林水産省の伊地知参事官のほうと説明をかわらせていた だきたいと思います。 (スライド)  先ほど司会のほうからもありましたように、米国・カナダ産の牛肉の輸入再開に関し ましては、本年の5月24日に、厚生労働省と農林水産省のほうから食品安全委員会に 日本の牛肉との同等性のリスク評価をお願いしております。そして、今回、リスク評価 をお願いするに当たって、また後ほど詳しく説明いたしますが、20カ月齢以下の牛か らの牛肉等であることとか、すべての月齢から特定危険部位を除去する、そういう条件 をつけて諮問をしているということからも、厚生労働省、農林水産省から食品安全委員 会に諮問をする前に意見交換会を全国9カ所で開きまして、そこで皆さん方からのいろ んなご意見をいただいてきたということもございます。  そして、食品安全委員会のほうでは、プリオン専門調査会で10回にわたり審議をさ れ、この10月31日にプリオン専門調査会としての報告案をまとめられました。その 後、食品安全委員会のほうでは、パブリックコメントを行い、あわせて、この福岡でも 実施されましたが、食品安全委員会の報告書案についての意見交換会というものを全国 7カ所で実施されてきております。そういうことを踏まえて、食品安全委員会のほうで は最終的な答申というのを12月8日にまとめられました。まとめた答申につきまして は、12月8日に厚生労働省と農林水産省のほうに送付されております。 (スライド)  食品安全委員会の答申について具体的に骨子をご説明する前に、農林水産省と厚生労 働省のほうで諮問をしたときの背景の一つについて、ちょっと触れさせていただきたい と思います。  ここでは、衛生植物検疫措置の適用に関する協定、SPS協定というものを出して、 これは何のことかというふうに思われるかもわかりません。我が国は、国際社会の一員 として、国際貿易のルールというものは、WTO、国際貿易機関のルールに従って調整 をしております。その中の食品に関する衛生措置についてのルールというものが、いわ ゆるSPS協定と言われるものになっております。そのSPS協定の中に牛肉に関する 部分というのがあります。それを抜き書きしたのがここの部分なんですが、牛肉の国際 貿易に当たってはOIE基準、OIEというのは国際獣疫事務局という畜産関係の国際 基準を調整するようなところでありますが、そこの基準に基づいたような検疫措置をと ることを勧める。  そして、そうでなくて急な場合に、各国は暫定的な措置というものをとることが可能 である。これはどういうことかといいますと、平成15年にカナダとアメリカでBSE の牛が発見され、それに基づいて日本は暫定的に両国からの牛肉の輸入を停止しました。 それが、これに当たるわけでありますが、そういう暫定措置をとった場合には、一定の 期間の間にきちんとした情報を集めて、評価をした上で、その措置を再検討する必要が あるということがうたわれております。  こういう世界的なルールに従いまして、平成15年にとったアメリカとカナダの牛肉 の輸入停止に対する再検討が必要になってきたということも、今回、厚生労働省と農林 水産省のほうで食品安全委員会にリスク評価を諮問した一つの理由にもなっております。 (スライド)  これからは食品安全委員会のリスク評価について簡単に触れたいと思いますが、詳し くは皆さん方のお手元の資料の中に答申書及び報告というものの全文が入っているので、 ごらんいただけたらと思います。  食品安全委員会のリスク評価におきましては、外国のことでありますので、数値的な 詳しいデータをなかなか取りづらいということもあるだろうということから、できるだ け数値データを評価する、定量的な評価をするということに努めながらも、評価の基本 は定性的な評価にならざるを得ないだろうという指摘がありました。そして、評価につ いては、牛そのものがBSEに感染しているリスクと牛肉等が異常プリオンに汚染され ているリスク、この2つを個別に評価して、そして、あわせて総合的な評価をするとい うことをやられております。 (スライド)  まず、牛がBSEに汚染されている、感染しているリスクの総括のところですが、侵 入リスク、これはイギリスなどからBSEに汚染された牛を輸入しておりますので、そ ういうリスク、そして、肉骨粉なんかを輸入しているためのリスク、それを侵入リスク といって評価されております。そして、それが国内で増幅するリスクというもの、この (1)と(2)を合わせて生体牛のリスク、おのおのの国でBSEに感染しているリスクという ものを推定しております。  それによりますと、米国・カナダは、楽観的には日本と同等、悲観的には約10倍程 度のリスクがあるということになっております。それとは別に、米国・カナダ両国は感 染のデータというものをいろいろととっておりますので、そのデータに基づいて絶対数 としての比較をしますと、米国では我が国の五、六倍ぐらい、カナダでは四、五倍ぐら い。ただし、アメリカ・カナダとも、日本に比べまして牛を飼育している頭数が多いも のですから、それを100万頭当たりということに直しますと、アメリカの場合のBS Eに汚染されている頭数というのは、日本に比べてやや少ない程度、カナダで日本と同 等程度であるということが報告書の中に書かれています。  サーベイランスについては、後ほど出てまいりますが、データのとり方というのが、 米国・カナダと日本とでは若干違っておりますので、食品安全委員会の報告書の中では、 米国・カナダのデータのとり方の強化が必要であるという指摘がされております。 (スライド)  次に、牛肉そのものが異常プリオンに汚染されているリスク、これにつきましては、 日本向け輸出プログラム条件が遵守されれば、異常プリオンによる汚染の可能性は非常 に低いという評価になっております。ここの日本向け輸出プログラムにつきましては、 また後ほどご説明をしますが、その骨子というのは、すべての月齢から特定危険部位を 除去すると、20カ月齢以下の牛からの牛肉に限る、それが主な条件になっております。  この牛肉のリスクと牛のリスクを合わせまして、結論が出されております。 (スライド)  結論はちょっと長いので、このスライドと次のスライドと2枚に分けて掲げさせてい ただいておりますが、いろんな誤解を招くのを防ぐために、結論の部分についてはその ままを抜き書きしてきております。  米国・カナダに関するデータの質、量ともに不明な点が多いこと、管理措置の遵守を 前提に評価せざるを得なかったことから、米国・カナダのBSEリスクの科学的同等性 を評価することは困難と言わざるを得ない。他方、リスク管理機関から提示された輸出 プログラムが遵守されるものと仮定した上で、米国・カナダの牛に由来する牛肉等と我 が国の全月齢の牛に由来する牛肉等のリスクレベルについて、そのリスクの差は非常に 小さいと考えられる。 (スライド)  後段の部分につきましては、リスク管理機関、牛肉の場合につきましては、厚生労働 省と農林水産省ということになりますが、両省が輸入再開措置をとった場合には、輸出 プログラムがきちんと守られているかどうかについて検証して、食品安全委員会プリオ ン専門調査会にその報告をする義務がある。あわせて、国民の皆様にも報告をする義務 があるというのが結論の後段になっております。  結論には、結論への付帯事項というものがついておりますが、それは、食品安全委員 会の答申を受けた両省の対応のところで触れさせていただきたいと思います。 (スライド)  次からは食品安全委員会の答申を受けて、両省がどういうふうに考えたか、どういう 対応をとったか、とろうとしているかについてご説明をしたいと思います。 (スライド)  まず、結論部分で、最初の結論のスライドにありましたように、大きくは前段で2つ のことが言われております。米国・カナダに関するデータ、質、量とも不明な点が多い、 管理措置遵守を前提としているため、米国・カナダのBSEリスクの科学的同等性を評 価するのは困難という食品安全委員会の結果でありました。  ここの部分につきましては、確かに、外国のことを評価しているということもありま すし、日本と比べまして、牛の飼い方でありますとか、その処理の仕方、この両国と日 本とはさまざまな面で違っております。ですから、条件を同じにして、厳密に、科学的 に同等性を評価するというのは難しかったということを指摘されているんだと理解して おります。ただし、輸出プログラム、先ほど申し上げましたけれども、すべての月齢か ら特定危険部位を除去するとか、20カ月齢以下の牛からの牛肉に限る、そういう条件 が遵守されたと仮定した場合は、両国の牛肉と国内産牛肉のリスクの差は非常に小さい という結論でありました。  このことから、厚生労働省と農林水産省では、プログラムの一定の条件を満たした牛 肉等については、輸入禁止措置を継続する科学的根拠がなく、輸入を再開することが妥 当であろうということを判断したわけであります。これは、ご存じのように、12月8 日に食品安全委員会のほうから報告が出まして、その条件につきまして米国とカナダに 提示いたしました。そして、米国・カナダのほうからその条件を飲むという返事を受け まして、12月12日に輸入再開ということになったわけでございます。  なお、あわせて、例えば、日本からアメリカへ牛肉を輸出する場合、日本で牛のいろ んな病気があった、または日本でもBSEが発生したということからとまっておりまし たが、これは現地時間でありますが、カナダについては12月9日に日本の牛肉の輸入 を再開するという結論を出しております。アメリカのほうも12日に日本産の牛肉の輸 入を再開するという結論を出しております。 (スライド)  そして、食品安全委員会の評価結果の後段部分のところでありますが、輸入再開をし た場合については、輸出プログラムの遵守に関して検証して、その報告をきちんとしな さいという部分がありました。ここの点に関しましては、厚生労働省と農林水産省のほ うから担当官をアメリカとカナダに査察に派遣しております。その査察結果につきまし ては、査察自体が今週の週末ぐらいまでかかるものですから、それを取りまとめたりす るのに、食品安全委員会への報告はおそらく年明けになってしまうだろうと思いますが、 食品安全委員会に報告を行うとともに、国民の皆さんにもプレスリリース、ホームペー ジ等で情報公開をしていこうということを考えております。 (スライド)  先ほど、食品安全委員会の報告の中には、結論に加えて結論への付帯事項があるとい うことを申し上げました。結論への付帯事項というのを大きく2つに分けておりますが、 その前半のほうについては、米国・カナダにつきまして、脊髄除去の監視体制の強化、 サーベイランスの強化、飼料規制の問題、交差汚染の問題、そういうものをきちんとす る必要があるというのが付帯事項で指摘されております。  この点に関しましては、12月12日に、東京にあります両国の大使館の担当公使を 呼びまして、こういう点について食品安全委員会から指摘されているので、きちんとし た対応をするようにということで要請しております。 (スライド)  付帯事項の後段のほうでは、どちらかといいますとリスク管理機関として厚生労働省 と農林水産省に対する指摘になっております。リスク低減措置が適切に実施されること が保証されるシステムの構築を行う必要がある。そして、重大な事態となれば一たん輸 入停止することも必要であろうと、この2つの指摘をされております。  リスク低減措置というのは、また後ほどご説明しますが、アメリカ・カナダ両国の国 内で行ういろんな措置というものがあります。そういう措置については、アメリカ・カ ナダの国内できちんとしていただくというのが基本になりますので、我が国としては、 先ほども申し上げました査察において、アメリカ・カナダの措置というものがきちんと 機能しているかどうかというものを現場に行って直接確認をするということを現在もし ておりますし、これからも定期的にしていくことにしております。そして、重大な問題 が発生したような場合については、また後ほどご説明いたしますが、これは健康に関す る問題でありますので、迅速な対応というものが必要であろうということを考えており ます。 (スライド)  ここからは、アメリカ・カナダで具体的にどういうことが行われているのかという、 実際の対応について簡単にご説明をしたいと思います。 (スライド)  今までも日本向けの輸出プログラムというのが出てまいりましたが、改めてこの内容 について概略をご説明します。 (スライド)  まず、日本向けの輸出プログラムに規定されている牛肉等の条件というのがあります。 一番大きな条件というのは前の2つになります。あらゆる月齢から特定危険部位を除去 する、そして、20カ月齢以下と証明される牛からの牛肉であること、この2つが一番 大きな条件でありますが、それに加えまして、アメリカ・カナダの牛肉の処理施設は、 自国の国内向けの処理または日本以外の国向けの処理というものをやっているところが あります。そういうところでも、日本向けの牛肉が、処理から出荷されるまで全過程で、 ほかの牛肉とまざらないように区別されるこということが条件として付加されておりま す。 (スライド)  今回、具体的に何が輸出可能になるのかということでありますが、カット肉と書いて ありますが、肉の部分、そして内臓、これは特定危険部位である部分を除いた、胃であ りますとか、腸でありますとか、肝臓でありますとか、タンの部分、そういうものであ ります。下に米印でありますように、加工食品、ひき肉、そういうものについては、今 回輸出対象とはなっておりません。これは前のスライドで申し上げましたように、日本 向けに輸出できるものというのは、すべての月齢から特定危険部位が除かれているとい うこと、20カ月齢以下の牛からの牛肉等であることという大きな条件があるわけです が、それが加工食品等にしてしまいますとなかなか区別ができなくなる、証明ができな くなるということから、こういうものについては今回対象になっておりません。  お手元の資料の中のQ&Aの中にあるんですが、旅行者がアメリカ・カナダへ行って、 牛肉または牛肉製品をお土産として日本へ持ち帰ろうとする、そういうものについても、 きちんとした証明が難しいということから、今回は禁止される対象になっております。 (スライド)  そして、そういう細かい条件のほかに、輸出プログラム自体をアメリカ・カナダの国 内できちんと守っていく体制というものが確立されております。アメリカの場合を例に してご説明をしたいと思います。  日本向けに輸出したいという食肉処理施設業者があった場合は、この施設というのは、 アメリカの国内規制があるわけでありますが、当然、それをきちんとクリアしていると いうことに加えて、日本向けの輸出プログラムに関するいろいろな条件を上乗せで実施 するという必要が出てまいります。そのためのいろんな手順でありますとか、場合によ ってはシステム、そういうものを含めて体制が整っているということを施設のほうから 米国の農務省に対して申請いたします。米国農務省のほうでは、まず書類審査をして、 そして、実際にその施設を査察して、きちんと体制整備がなされているということにな りましたら、日本向け処理が可能だということで認定をされます。認定をされたものに つきましては、農務省のホームページの中で施設名がきちんと公表されるということに なっております。  日本向けに輸出ができる条件の一つとして、おのおの内部監査体制をきちんとする必 要があるということも規定されております。そのほかに、農務省の検査官がそういう施 設に常駐して、監督、指導をしております。それ加えて外部監査ということで、その施 設については、年2回、農務省のほうから現場に監査が入って、いろんな面でチェック が行われるというシステムになっております。 (スライド)  もし、そういうものに違反があった場合どうなるんだということでありますが、アメ リカの場合でいいますと、プログラムに参加する際、虚偽の申請があったというような 場合につきましては、連邦刑法に基づいて懲役または罰金の刑がございます。一たん日 本向け輸出ができるという施設に認定されてからも、認定条件の実施に当たっていろん な問題が生じた場合につきましては、その内容に応じて改善の指示から、輸出の認定施 設である資格の停止というところまで、さまざまな罰則が準備されております。 (スライド)  次からは輸出プログラムの大きな条件、何度も申し上げておりますが、すべての月齢 からの特定危険部位の除去と20カ月齢以下の牛からの牛肉という条件でありますが、 最初の特定危険部位の除去について改めてご説明をしたいと思います。 (スライド)  特定危険部位の範囲、ここに書いてありますが、この特定危険部位の範囲というのは、 現在日本で特定危険部位だとされている範囲と同じものだとご理解いただけたらいいと 思います。そして、アメリカ・カナダの場合は、特定危険部位の除去等に対しまして、 かなり細かく手順を文書化するということが必要になってまいります。そして、その手 順に従って実施した、またはチェックをしたということについては、日々記録をとらな ければならないという形になっております。そういう全体の計画については政府が検証 する。あわせて、申し上げましたように年に2回は立ち入り検査を実施されるというこ とになっております。 (スライド)  特定危険部位の除去といいましても、具体的にどういうふうにするのかというのが、 なかなかイメージがわきづらいと思いますので、アメリカ・カナダの処理施設、どうい う処理の流れになっているのかという一例をお示しした中で、特定危険部位の除去につ いて若干触れさせていただきたいと思います。  まず、多くの場合は、処理施設に牛がトレーラーで搬送されてまいります。処理施設 に入るまでの間、トレーラーからおろして、一たん牛を一定のところに集めるというこ とをするわけでありますが、そういう中で、歩行異常の牛があるのかないのか、行動異 常を示すような牛がないのかというのをチェックいたします。BSEに感染しますと、 牛が行動異常を起こすということがよく知られておりますので、日本でも同じでありま すが、屠畜場に入るまでに、そのチェックをまず済ませてしまうということをやってお ります。その検査については、政府の検査官がチェックするということになっておりま す。問題があった牛はここで排除されてしまいます。 (スライド)  問題がなかった牛は、屠畜場の中に入れられて、最初は屠殺されます。屠殺する場合 には、日本でもほぼ同じなんですが、これはスタンガンという機械であります。ここの 先に鉄の棒が出ておりますが、その拡大をしたものがこれでありますが、ここの部分を 牛の額に押し当てて、スイッチを入れますと、このボルトが出てきて牛の額を強打して、 そのために牛が失神をするということになります。失神した牛の足に器具をつけまして、 逆さにつるして、首にある頚動脈を切って血を抜きます。その後、皮をはいで、特定危 険部位の一つである頭部の除去というものをいたします。  これは頭部の除去をしたものがどんどん流れてきているわけでありますが、これがタ ンの部分です。それ以外の残りの頭部の部分、この例では、こういう形で分けて処理さ れています。頭部でも、ほほ肉については特定危険部位以外とされていますし、タンの 部分についても特定危険部位以外になっています。ただし、タンにつきましては、こっ ちがタンの先端ですが、根元にある扁桃の部分は特定危険部位になっておりますので、 ここの扁桃の部分については適切に除去されるということになります。  そして、ここではお示しをしておりませんが、回腸遠位部という腸の一部も特定危険 部位なんかでありますので、そういうものも含めて、その後内蔵が除去されるというこ とになります。 (スライド)  その次は背割りといいまして、大きな肉を2つに割るということをやります。大きな 電気のこぎりを使いまして、牛のしっぽのほうから頭のほうに向かいまして、作業員が 乗っている台を下降させながら電気のこぎりで真っ二つに割るということになります。 背割りをするときには、ちょうど特定危険部位の一つであります脊髄の近くを切ること になります。そのために、脊髄によって電気のこぎりが汚染されるかもわからないとい うことから、1頭ごとに電気のこぎりを洗浄、消毒をするということになっております。 (スライド)  その次、ちょうど真っ二つに割った後は、今度は脊髄除去をいたします。脊髄という のは、ここでいいますと若干白い部分が見えておりますが、ここの部分が脊髄に当たり ますが、この器具の先端がカッターになっておりまして、このカッターの部分で脊髄を こそげ取りながら、あとは吸引除去をするという形で脊髄を除去されます。この脊髄除 去の器具につきましても、1頭ごとに洗浄がなされるということになっております。き ちんと脊髄除去がされているのかどうかにつきましては、政府の検査官がチェックする という体制になっております。  この点線から下は脊髄除去だけにかかわるわけではありませんが、いろんな処理の場 面でナイフを使うことがあります。その場合も、必ず1本使用している場合は1本を消 毒しているというダブルナイフシステムというようなものが使われているということの ご紹介でございます。 (スライド)  その後、洗浄という作業に入るんですが、脊髄除去する、背割りをする、そういうと ころで特定危険部位の脊髄の破片に汚染されていたりということがある場合も、この高 圧洗浄によってそういうものを洗い流すということがなされます。そして、アメリカの 場合でありますと、それにプラスして蒸気で消毒するということがされております。こ れは、主には細菌による汚染を抑制するために蒸気で消毒するということであります。 (スライド)  そして、ここでは選別ということになるんですが、先ほどご説明をしましたように、 日本向けの牛肉はほかの牛肉ときちんと区別される必要があるということになっており ます。そのために、すべてがすべてこういうタグでやっていることとは限らないのです が、ここの例では、こういうタグによってすべてコンピュータ管理がなされて、日本向 けのものが区別されるという形になっております。 (スライド)  今までのものにつきましては、国内向けの牛肉処理も含めて、実際にアメリカ・カナ ダでやられていることをお示ししておりますが、スライドをつくりました時点では、ま だ輸出許可ということになっておりませんでしたので、もし輸出許可になったら、こう いう流れでやるという一つのデモンストレーションとしてお示しをしております。  日本向けに輸出される牛肉の条件、20カ月齢以下ということを何度も申し上げてき ました。書類上で明らかに20カ月齢以下ということがわかるものについてはいいので すが、また後ほど説明しますが、それ以外に枝肉の生理学的成熟度によって月齢を判定 しようということが行われます。20カ月齢以下というのが、ここにありますようにA 40以下というものになるんですが、明らかに書類で月齢がわからないものについては こういう流れになるというデモンストレーションだということでお聞きいただければと 思います。  ここにありますように、多くのアメリカの食肉工場では肉の格付というものが行われ ております。その格付の段階で20カ月齢以下の可能性が高いというものが対日輸出用 として選別され、別のラインに移され、この例でいきますとJマークというのがスタン プとして押されます。そして、別ラインに移されたものを改めて米国農務省の担当官が チェックをして、実際にA40以下であるということを確認したら、最終的にUSDA (米国農務省)というマークが押されて日本向けの輸出用に回される。検査官がA40 以下でないというふうに判断したものについては、この段階でまたはじかれるというこ とになります。 (スライド)  少し肉を落ち着かせるために冷却保管ということをされるんですが、その場合でも、 日本向けの輸出用のものとほかのものがまじらないように、きちんとした区別をして保 管されるということになります。そして、最後に特定危険部位の一つである脊柱の除去 というものが行われて、肉がカットされ、包装され、出荷という手続に回っていくこと になります。  次からはもう一つの大きな条件であります月齢の確認についてというところをご説明 いたしますが、ここらはバトンタッチをさせていただきたいと思います。 【伊地知農林水産省大臣官房参事官】  農林水産省の伊地知でございます。私のほう からは後半部分についてご説明をいたしたいと思います。  今、お話がありましたように、月齢確認というのは特定危険部位(SRM)の除去と 並んで大変重要な事項でございます。20カ月齢以下というのを確認することが輸出条 件になっております。 (スライド)  それで、月齢判別はどのようにやっていくのかということでございますが、国によっ て少し違いがございます。ご承知のとおり、日本は個体識別制度、トレーサビリティー システムというものがつくられておりまして、それによって確認をすることになってい ます。カナダについても、基本的には日本と同じように個体識別制度、トレーサビリテ ィーシステムを使って確認していこうということでございます。アメリカの場合には、 個体識別制度ではなくて、生産の記録または生理学的成熟度、これはよくA40と言っ ているやつです。これについては、また後ほどご説明いたします。 (スライド)  それぞれの国の個体識別制度についてここに書いてございますけども、今申し上げま したように、日本とカナダでは既に義務化がされております。日本の場合は2003年 の12月からでございます。カナダは日本よりも早く、2002年の7月から義務化が なされております。アメリカのほうは「任意」というふうに書いてございまして、これ は2004年から試験的に導入をやっております。一部の地域とか、一部の団体ではU SDAの承認を受けながら試験的な導入をやってはおりますが、2009年の1月をめ どに義務化、完成したいということで準備が進められているという状況であります。  それから、この個体識別制度での情報でございますけども、個体識別の番号、それと 出生農場というのが基本的な情報になってくるわけですが、日本の場合には生年月日な ども入っています。カナダは、この制度自体は義務化して、こういう個体識別番号とか、 出生農場とかということについては義務が課されていますけども、生年月日につきまし ては任意であるということで、2005年から任意で実施することにしております。  これはなぜかといいますと、アメリカ・カナダとかは、月齢、生年月日をトレーサビ リティーで確認していこうというよりは、何か家畜の病気が発生した場合、どこの農場 で発生したのか、この牛はどこから来たのかということで、追跡をしていくための仕組 みであるというのが基本でございます。したがいまして、生年月日については任意とい う形になっております。 (スライド)  じゃあ、個体識別制度がなければ牛の月齢はわからないのかということですけども、 トレーサビリティー制度も、まず出生記録を確認するというのが基本でございます。出 生記録を確認することによって、その個体の番号をつけて、それをシステムに乗せてい くということでございます。アメリカでも、それぞれ個々の農場でこういうふうな耳標 をつけて管理をしているというところもたくさんあります。日本の場合でも、トレーサ ビリティー制度が導入される前から、それぞれの農家で耳標をつけて管理をしていたと ころが多かったと思います。アメリカでもそういうような形のものをやられております。 (スライド)  先ほど言いましたように、カナダは日本よりも早く個体識別制度、トレーサビリティ ーの仕組みを導入したわけですが、さらに、今、無線で読み取る方法を推奨しておりま して、無線読み取り方式へのIDへの切りかえ、本格的にそこに移行する準備をやって いるところです。2005年1月からそういうことをやっております。 (スライド)  生産記録による月齢の確認を具体的にどうするのかということですが、生産記録のや り方は二通りあります。個体そのものの生産の記録を確認するということと、あと、群 単位での生産記録を確認していくという二通りのやり方がございます。  それでまず、個体ごとの生産記録の確認、月齢の証明でございますけども、子牛の生 産農場において個体ごとに生年月日などの記録を記載した台帳を保存していくんだと。 日本の場合もトレーサビリティーシステムを行っているわけですけども、個体ごとの生 産記録が基礎になります。アメリカの場合でも個体ごとに生産記録を保存するというや り方もあるわけです。特に、乳牛、ホルスタインは、子供を生まなければ搾乳できませ んので、個体ごとに分娩というのは確認しているわけです。したがいまして、ホルスタ インの雄とかが生まれた場合には、生年月日はほとんど個体ごとにわかるということで ございます。  一方で、アメリカの場合は、日本と違って頭数が多く飼われているということで、個 体ごとの管理ができないのではないかというお話をよく言われます。それで、肉用牛の 場合、群単位で管理しているものについては、群単位での生産記録の確認をやっていこ うということになっております。  それで、群単位の生産記録というのはどうやってやるんだということですけども、同 じシーズンに生まれた牛を群で管理して、群で最初に牛が生まれた日を群全体の出生日 とするということであります。群単位で管理している場合でも、多くの場合は春に子供 が生まれるようにしたいと。これはどこでも同じような考え方なんですけれども、南半 球と北半球では違いますけども、草がたくさんできる時期に子供の生産を多くしようと いう基本的な考え方で、春に子供が生まれるようにする。冬に子供が生まれたらえさに 困ってしまいますので、えさがたくさんとれる春の時期にとにかく子供を生ませようと いうことを多くのところでやっております。  妊娠期間が284日、約10カ月ありますけども、春に子供を生ませるためには、妊 娠期間をさかのぼった時期に種つけをするということです。そうしますと、夏ごろに雌 の群れの中に雄牛を放すということになります。雄牛を放しますと、すぐ種をつけます。 雄牛がすぐ種をつけて、先ほど言いましたような妊娠期間、大体10カ月後に子供が生 まれるということになるわけですから、いつごろ生まれるというのは農家も大体わかる わけです。雄を入れて、それから10カ月たったら子供が生まれるということがわかる わけですから、生まれるころをよく注意して観察をして、農家によっては自分の目の届 く近くに群れを移動させるとか、そういう管理をやっておるようでございますけども、 そういう形で、できるだけ観察できるようなところで最初に生まれる牛を見つけるとい うことです。  それで、最初に生まれた牛を見つけたら、群れ全体の子牛、後から生まれてくる牛に も生年月日をつけるということです。そうすると、例えば、3月1日に最初のやつが生 まれたと。その後、3月10日とか、4月1日とか、たくさん生まれます。大体二、三 カ月の幅で生まれてくるという管理をやっているところが多いようですけども、二、三 カ月の間に生まれた子牛は、全部3月1日という生年月日をつけるわけです。そうする と、若い牛も年をとった生年月日がついてしまいます。だけど、群単位での管理という のはそういう仕組みでやっていこうということです。これは台帳の例を挙げていますけ ども、2004年の2月1日から4月15日までに生まれた牛の、生まれた期間ですよ、 その中で一番年をとったのは12カ月齢ですよというような形での記録をとっていくと いうことです。これが群単位での生産の記録をとる方法でございます。 (スライド)  ただ、こういうやり方は、アメリカは一部でやっておりましたけども、そんなに広く やられている方法ではございません。それで、アメリカのほうでは、生理学的成熟度を 使って、ある程度の月齢が判別できるのではないかというお話、提案がありました。今、 アメリカもカナダも、30カ月齢以上の脳脊髄というのが特定危険部位ということで、 30カ月齢という月齢が一つの基準になっております。じゃあ、生産記録がないのにど うやって30カ月齢を判別しているのかということなんですが、30カ月齢につきまし ては、世界的に歯で判別できるというふうに言われております。歯でどうやって判別す るのかといいますと、牛も人間と同じで、乳歯が永久歯に、子供の歯が大人の歯に生え かわる時期があります。牛の場合は、第1切歯――前の歯ですけども、第1切歯、第2 切歯が乳歯から永久歯に生えかわるときが30カ月齢程度というふうに言われておりま す。したがいまして、30カ月齢という基準であれば、それは乳歯が永久歯に、第1、 第2切歯が生えかわるのを基準に判定しているわけです。  ただ、20カ月齢というのは、歯が使えないということで、アメリカがずっと使って きている格付の仕組みの中に生理学的成熟度というのがあるので、それを使えないかと いうことでの試験をやって、その試験の結果について日本の専門家で評価をしてもらい たいということでした。それで、アメリカは、生年月日がわかっているものと格付の生 理学的成熟度のデータを分析して、日本に提出したということです。それで、日本の専 門家、これは解剖の専門家お二人と、格付、肉質の専門家お二人、それから統計学の専 門家をお二人、計6名の専門家の先生方に検討会という形で評価してもらいました。こ れは全部公開でやっていまして、その内容等についてもインターネット等で公表してい るわけです。そうした中で、A40というのは20カ月齢以下を識別する上で大変有効 な手段であるという評価をいただいたわけです。したがいまして、日本政府としても、 その方法について採用していくという形での判断をしたわけです。  詳しいやり方はこの後またご説明しますけども、それをどうやって格付、A40とい うのをやっているかというのを代表的な事例としてここに載せてございます。先ほど言 った、屠畜をされますと、普通格付、ここで、農務省の検査官が格付をします。アメリ カは、プライム、チョイス、セレクト、スタンダードという格付があるわけです。その 格付の基準になっているのが、先ほど申しました生理学的成熟度と脂肪交雑でございま す。  日本の場合は、脂肪交雑という要素もありますが、歩どまりと肉質というような形で 格付しております。アメリカの格付は生理学的成熟度と脂肪交雑ということです。ある 程度若くて、脂肪交雑が多いのが一番いいやつだと言われています。ただ、日本のよう に、肉質にそれほど大きな差はありませんけれども、こういう形で格付がされていまし て、通常の格付をする際に、その要素となります生理学的成熟度を1回見てみるという ことです。そして、先ほど言いました日本向けというのをこういうふうに識別しておく。 さらに識別したものを再度確認して、A50、40以外のものがないかどうかというの をよく見て、A40以下のものを日本向けに輸出する。そうでないものは国内向けに持 っていくというような形でやっております。 (スライド)  格付制度は、アメリカ自身が持っている仕組みについては、マニュアルを整備して、 そのマニュアルにのっとってやっているということです。それと、訓練もやって、目合 わせという形で、格付によって差が出ないような目合わせみたいなこともやっていると いうことです。 (スライド)  それで、A40の生理学的成熟度とは何かということですけども、生理学的な成熟度 というのは、枝肉の成熟度を安定していくということです。アメリカの場合、A、B、 C、D、Eと5段階がありまして、Aが一番成熟度が低いもの、Eが一番高いものとい うことです。それぞれのA、B、C、D、Eがさらに10段階に分かれていまして、A 10、A20、A30というふうに、数字が若いほど成熟度が低い、A10、A20、 A30、B10と、成熟度が進むにつれて数字がだんだん高くなっていくということで す。したがいまして、A40というのはかなり成熟度の低いものであるということです。  それで、成熟度をどうやって見るのか。成熟度自体は、肉の色とか、骨の状況を見る わけです。肉の色は、淡いピンク色が若いわけです。赤くて色の濃いやつが成熟度が進 んだものです。これは、日本の肉の場合でも、皆さん方もそういうふうに見ればわかる と思います。  ただ、A40とA50を見分けるのは、肉の色とか、そういうのもありますけども、 一番のポイントは腰椎の棘突起というところを見るということです。人間もそうですけ ど、おしりのところに仙椎というのがあって、腰椎があって、胸椎があって、頚椎とい うふうに背骨があるわけです。人間の場合、下のほうから骨化が進んでいきます。牛の 場合は後ろのほうから骨化が進んでいきます。したがいまして、まず仙椎のところから 骨化がどんどん進んでくるわけですけど、腰椎を見ると、腰椎の棘突起という上の部分、 ここは軟骨がだんだん骨化していきます。それで、その軟骨がほぼ完全に骨化するか、 一部骨化するかというところを専門家が見て、判断をしていこうということです。ここ がA40で、ここがA50という形でやっていくということです。  よく、肉の質ではわからないというふうに言われていますけども、もちろん、肉の質、 色と、あと骨の状況で生理学的な成熟度というのは決まっていますが、A40のポイン トはこういうところでやっていくということです。 (スライド)  それから次に、アメリカ・カナダの管理措置についてご説明いたします。 (スライド)  よく、アメリカ・カナダでは日本に比べて飼料規制がいい加減だというふうに言いま す。それは何が違うのだということですけども、アメリカ・カナダの場合は、牛の肉骨 粉を牛に与えない。正確に言うと、反すう動物の肉骨粉を反すう動物に給与するのを禁 止している。もっと正確に言うと、ほんとうは哺乳動物由来の肉骨粉を反すう動物に与 えてはならない。ただし、馬、豚の純粋なものを除くというような形になっています。 簡単に言いますと、牛の肉骨粉を牛に与えたらいけない。牛の肉骨粉は豚とか鶏には与 えてもいいんだと。豚の肉骨粉は、もちろん豚にも鶏にも与えていい。鶏の肉骨粉も、 豚にも鶏にも与えていいということになっています。日本の場合は、牛の肉骨粉は豚に も鶏にもやったらいけないということ。それと、豚の肉骨粉も鶏の肉骨粉も牛には与え てはいけないということで、色がついている部分が禁止されているわけです。  それで、アメリカは牛の肉骨粉を豚とか鶏にやっているからだめなんだというふうに 言われますけども、アメリカが言うには、反すう動物、牛の肉骨粉を牛に与えたらいけ ないというのが基本なんです。それはなぜかといいますと、牛の肉骨粉を豚にも鶏に与 えても、牛も、鶏も、豚もBSEにはなりません。牛の肉骨粉を、豚に与えたり鶏に与 えても、BSEにはならないわけです。ただ、日本の場合は、念のための措置としてこ ういう厳しい規制をやっていると。  念のための措置というのはどういう意味かというと、交差汚染とよく言われています けども、日本の場合には、牛の屠畜場と豚の屠畜場が一緒になっているところが多いん です。規模が小さいので両方一緒にやっているところが多いわけです。鶏は別ですけど も、豚と牛を一緒の屠畜場でやると。それとあと、えさをつくる工場も、豚のえさと、 鶏のえさとか、牛のえさとか、一緒につくっているところが多いわけです。それで、例 えば、屠畜場で豚と牛を一緒に屠畜していたら、豚の骨とか、そういう残渣の中に牛の 残渣がまざる可能性があるわけです。そうすると、豚の肉骨粉だと思っても、そこに牛 が少し入っていたとか、それか、例えば、飼料会社で、最初に鶏のえさをつくるときに、 鶏には牛の肉骨粉は与えてもいいからということで、鶏のえさをつくるときに牛の肉骨 粉を使う、その後にすぐ牛のえさをつくるというと、前の鶏のえさをつくるときに残っ ていた肉骨粉が牛のえさにまざる可能性があるということです。そういうのを交差汚染 と言っているんですが、そういうのを防止することを目的にしているということです。  アメリカの言い分だと、アメリカの場合は、日本と違ってそういうところの専業化が かなり進んでいるんだということです。屠畜場も、牛は牛、豚は豚と、すべてが分かれ ているわけではないんですけど、大部分が分かれている。アメリカの場合は、専業化が かなり進んでいて、牛は牛だけで一日何千頭も屠畜処理をしているわけです。そこのパ ッカーでは豚はやっていないということで、屠畜施設の状況も日本と違うということ。 それとあと、えさをつくる会社も日本に比べて専業化がかなり進んでいるということで、 そういう交差汚染の可能性は日本に比べて低いということで、自分たちは基本的なこと はやっているんだという説明をしております。日本の場合は、さっき言ったような念の ための措置というのをとっているということの違いがあります。 (スライド)  それから、よく違いが言われるのが、サーベイランスについての考え方が違うという ことがよく言われます。世界的に、サーベイランスの目的というのは、その国にBSE がどれだけ浸潤しているか、どれだけのBSEがいるかというのを調べるための一つの 手段です。それとあと、対策の効果の確認というのがあります。この対策というのはB SE対策ということで、例えば、飼料規制ということです。飼料規制をすることによっ て、牛から牛へのBSEの伝播を防ぐということでやっているわけですけども、飼料規 制をやった後、例えば四、五年後にサーベイランスをやったら、BSEがほとんど減ら ない、なくならないということになりますと、それは、BSE対策としての飼料規制が 十分に機能していないのではないかということがわかるということです。そういうふう に、サーベイランスの目的は、BSEがどれだけいるかというのを確認する、浸潤状況 を把握するということと、その対策の効果を確認するという目的があるわけで、日本の 場合も、基本的にはそこの部分は同じです。それで、日本の場合は、農場段階でも死亡 牛についての検査をしているわけです。  ただ、それ以外に、日本とアメリカ・カナダが違うのは、日本の場合は、屠畜場で健 康な牛についての検査をやっているけども、アメリカ・カナダはやっていないというこ とです。日本の場合は、食の安全の確保ということで、屠畜場でBSEの検査をして、 BSEが見つかったら、それを食用から外していくということをやっているわけです。 アメリカ・カナダは、屠畜場で若い牛のBSE検査をしても検出できないので、それ自 体が安全性を確保する手段ではないのだと、それはSRM、特定危険部位を除去すれば、 その対策をとることができるんだというところでの考え方の違いがあるわけです。 (スライド)  それとあと、BSEの検査方法についてですが、1次検査、確定検査とありまして、 日本の場合は、1次検査がエライザ、確定検査が免疫組織化学的検査とウエスタンブロ ットというのをやっておりました。エライザ検査で陽性が出て、確定検査は両方やって、 いずれかが陽性であれば、BSEが陽性だというふうにやっておりました。アメリカ・ カナダは、免疫組織化学的検査とエライザ検査をやっていたんですけど、ウエスタンブ ロットは必ずしもやらなくていいと。免疫組織化学的検査でちゃんとやれるんだという ことでやってきておりました。ただ、6月にアメリカで自国産のBSEの牛が1頭確認 されて、それ以降、ウエスタンブロット法も実施することになりましたので、現時点で は、日本も、アメリカも、カナダも、検査方法については同じ検査方法をやっていると いうことです。  それと、よく1次検査と確認検査は何が違うんだということですけども、短時間で多 くの検体を検査するにはエライザ法というのが適しております。ただ、エライザ法であ りますと、陰性のものも陽性という判定をすることが多いわけです。したがいまして、 エライザ法で陽性が出たからといって、それでBSEと確定するわけではなくて、その 後、確定検査をやるということです。それで、確定検査をして、免疫組織化学的検査、 ウエスタンブロット法のいずれかが陽性であれば、これはBSEになります。ただ、エ ライザで陽性が出ても、これで陰性であれば、これは陰性ということになります。 (スライド)  それとあと、検査の対象が違うということ。先ほど申し上げました、日本の場合は屠 畜場で年間約130万頭の牛が屠殺されていまして、これについてすべて検査をしてお りますが、ここでは21カ月齢以上というふうに書いてございます。今年の8月から2 1カ月齢以上を検査すればいいということになりました。ただ、都道府県が自主的に検 査をする場合は、引き続き助成も続けておりますので、実態としては、現時点では各県 が自主的に全頭検査をしているという状況にあるということです。それと、カナダ・ア メリカは、先ほど言いましたように基本的にはやっておりませんが、アメリカは、成牛 2万頭程度はサーベイランスの目的でやるということで、今、検査を始めたところです。 それと、カナダはやっておりません。  それから、リスク牛ということで、これはなぜ「リスク牛」と書いているかというこ とですが、BSEにかかる可能性が高い牛ということです。屠畜場での牛は、若い牛で 屠畜場で健康なものであればBSEにかかっている可能性は非常に低いということで、 それ以外の24カ月齢以上とか、30カ月齢以上とか、年をとればとるほどかかってい る可能性が高いということと、あと、死んだ牛とか、起立、歩行が困難な牛、起立困難 牛とか、中枢神経症状のある牛、そういうものを調べることによって効率的にBSEを 見つけることができるというのが一般的なサーベイランスの考え方です。  したがいまして、リスク牛で、日本の場合は死亡牛の24カ月齢以上のものはすべて 調べると。日本の場合でも1年間に約10万頭、出ます。カナダの場合は3万頭以上を 調べるということになっております。アメリカの場合は、年間20万から27万頭程度 で、とりあえず30カ月齢以上のものを12カ月から18カ月間、調べましょうという ことで、今、12月で18カ月目に入るわけです。ただ、実際にはこの計画よりも多く 検査をしていまして、1年半で約55万頭の検査をしているわけです。  よく言われるのが、欧米のデータだと、若い牛を調べてもどうせ検出できないんだ、 個々のリスク牛を調べることが検出できて効率的なんだということで、欧米のデータ等 では、健康な牛を調べるよりも、死亡牛を調べれば10倍から20倍、場合によっては 30倍ぐらい高い確率でBSEを見つけることができるということです。日本の場合は、 今どうなっているかというと、大体年間四、五頭出て、二、三頭が屠畜場、二、三頭が 死亡牛です。この数が約10倍以上ありますから、死亡牛を検査すれば10倍ぐらいの 確率でBSEが見つかっているということです。欧米ではもっと高く、フランス、ドイ ツでは20倍ぐらいの確率で見つかっている。BSEがたくさん出ているところほど、 死亡牛とか、そういうリスク牛を調べれば、出る確率が高くなっているという状況にあ ります。  よく、国際基準とかで言われているのが、一、二歳の健康牛を屠畜場で調べるよりは、 例えば、神経症状がある五、六歳の牛を調べるものと屠畜場で調べるものの差が、屠畜 場で7万5,000頭を調べるのと1頭調べるのと同じくらいだというふうな基準を、 欧米の場合はつくっております。そういうことで、アメリカは何もやっていないという ことではなくて、アメリカから言わせると、自分たちは効率的なサーベイランスをやる ために高リスク牛を調べているんだということです。 (スライド)  それから、日本の行う管理措置でございます。 (スライド)  輸出プログラムの遵守の確認ということです。 (スライド)  先ほどからご説明しておりますけども、輸出プログラムの条件といたしまして、SR Mはあらゆる月齢から除去するということと、20カ月齢以下と証明される牛由来のも のであるという条件がございます。これらの条件を確保するために、EVプログラムと いうプログラムをつくって、こういうことを遵守できるパッカー、輸出業者のみがアメ リカ政府の承認を受けて、日本に輸出ができるということになっています。  これを守るために、具体的にどういうことをやっているかというと、まず、組織、責 任、権限の明確化、それから、訓練、トレーニング、それと、製造条件で、原料、トレ ーサビリティーシステム、それとあと、製品の管理をどうやっているかとか、万が一不 適合とかが出た場合どうやって是正するか、さらに、どうやって予防するかというよう なことを文書で手順化、手順書をつくるということです。文書として残すということで す。それを管理するということ。それと、記録を保存して管理するということ。これに ついて企業自体が内部監査をやるということです。こういう条件をクリアしないとアメ リカ政府から承認をもらえないということです。それと、アメリカ政府が、年2回、こ れについて外部監査をやるということです。  この条件を守らせるというのは、基本的にはアメリカ政府の責任のもとで行われるわ けですが、このシステム自体がちゃんと機能しているかどうかということを日本政府が 査察をするということです。ここに書いてありますように、輸出プログラムに規定され る要件を担保するための作業手順書が文書化されているかどうかとか、作業手順の適切 な実施のための確認システムがちゃんととられているかどうか。それと、現場では、牛 の搬入時の手続がちゃんとやられているかどうか、月齢の確認がやられているかどうか、 それから、SRMの除去がちゃんとやられているかどうかとか、こういうことを日本側 が査察して、確認をしていくということです。 (スライド)  監視体制の全体図をここに示しておりますけども、今申し上げましたように、日本向 けの牛肉等の輸出認定施設、EVプログラムをちゃんと守れるということでアメリカ政 府に認定されたところから輸出されます。日本の輸入業者は、輸入したら厚生労働省の 動物検疫所に届け出をします。そして、ここで輸入時の検疫を受けることになります。 その検疫は、まず書類の審査、それと現場検査とか、現物の検査です。書類は衛生証明 書の確認、施設名がちゃんとした承認を受けている施設かどうか、品目で特定危険部位 がないとか、脳とかがまざっていないかとか、もちろんそういうことはないと思います けど。それとあと、現物の表示の確認、貨物の表示の確認、SRM混入の有無等を調べ ます。それでちゃんとした合格をすると国内の流通に向けられる。不合格の場合には廃 棄か積み戻しになります。そして、こういう違反の情報につきましては、米国政府に伝 えて、協議をして、是正を求めていくということになります。 (スライド)  違反事例が確認された場合の対応でございますけども、米国・カナダ政府による日本 向け輸出施設の日常のモニタリングや、定期的な査察において遵守の違反が発見された 場合とか、日本が査察に行って、あるいは水際の検疫で遵守違反が確認された場合には、 その施設から日本向け輸出を直ちに停止するということと、是正措置がとられたことが 確認されるまでの間、輸入の停止を継続するということです。それと、重大な遵守違反 が繰り返されるようなシステム全般に係る問題が確認された場合、システムが機能しな ければ輸出国全体からの輸入停止を検討するということです。 (スライド)  それから、表示についてご説明いたします。牛肉だけに限らず、生鮮食品につきまし ては、JAS法で名称と原産地の表示を義務化しております。アメリカから輸入された 牛肉の場合は「米国産」と表示することになります。加工食品につきましては、外国で 製造された牛肉の加工品を輸入、販売する場合には、製造された国を原産国名とする表 示の義務づけをしております。あと、国内で製造される加工品の原料の原産地表示でご ざいますけども、これは、加工度が低くて、生鮮食品に近い20食品群が原料、原産地 表示の対象となって、来年10月に義務化されます。例として、味つけカルビとか、合 挽肉とか、成形肉などが対象になります。 (スライド)  これは表示例を載せてあるだけです。「国産黒毛和牛ローススライス」と、こういう ような形での表示がなされている。これは国産の場合です。 (スライド)  加工食品の場合は、牛肉ということで、ここに「(米国)」というふうに原産国を書く ことになります。 (スライド)  それと、外食の場合なんですけども、今年の7月に外食における原産地表示に関する ガイドラインというのを策定しております。そして、メニューの主たる原材料の原産地 表示を行うよう外食業者への普及を図っているところでございます。ガイドラインとい うことで、業界がみずから取り組むという指針でございますので、罰則つきの義務化と いうことではありません。 (スライド)  例として、今まで書いていなかったところに、チキンの場合は「ブラジル産チキン使 用」とか、野菜の場合、サラダの場合です、「サラダで使用している野菜はすべて国産 です」とか、こういうような形で、主な原料については書いていくということでの表示 を推進していくことにしております。 (スライド)  最後にまとめです。これまでお話しした内容をまとめたものでございます。米国・カ ナダ産牛肉の流れがこちら側、日本の管理措置がこちら側に書いてございます。  先ほども言いましたけども、輸出プログラムで特定危険部位の除去と20カ月齢以下 の牛由来のものについて日本向けに輸出が認められるということです。アメリカの国内 では、それ以外での飼料規制とか、サーベイランスのBSE対策措置もとられているの で、これらについて定期的な査察を実施するということと、BSE対策措置について、 どういう措置をとるのか確認していくことを管理側としてやっていくということです。  それと、日本に輸入されたものについては、水際検査ということで、厚生労働省と農 林水産省で検疫を実施するということです。あと、検疫、検査の徹底ということとあわ せて、輸入関係者への説明ということで、輸入される方にも条件等の周知徹底を図って、 間違いがないような輸入、問題がないような輸入をやってもらうようにやっていきたい というふうに考えております。  それと、先ほど言いましたように、国内での販売の段階では、原産国表示の徹底、米 国産、カナダ産等の表示を徹底していくということ。外食については、ガイドラインに よる原産地の推進を図っていくということであります。  それあと、正確な情報を提供していくということ。これは、説明会等を開催してご説 明をしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。 【司会(広瀬)】  ありがとうございました。ちょっと時間が押しています関係で、 3時5分までを休憩とさせていただきたいと思いますので、3時5分になりましたら席 のほうにお戻りいただきますよう、お願いいたします。 (休 憩) 質疑応答 【司会(広瀬補佐)】  最初に、みなさんにお配りしている座席の配置表に若干修正 がございます。急遽、私の隣に、監視安全課のほうから追加で担当官が出席することに なりました。また、ご紹介させていただきたいと思います。  それでは、行政側出席者の紹介ですが、まず、皆様のほうから向かって、壇上に対し て右のほう、中央のほうから説明していきたいと思います。  先ほどプレゼンテーションいただきました農林水産省の伊地知参事官でございます。  その右のお隣が内閣府食品安全委員会勧告広報課の大津補佐でございます。  また、中央から左側のほうに、厚生労働省関係になりますが、先ほどプレゼンテーシ ョンさせていただきました藤井参事官でございます。  それから、本日追加で参加させていただいております厚生労働省食品安全部監視安全 課の蟹江専門官でございます。  司会のほうは引き続き広瀬が担当させていただきます。よろしくお願いいたします。  質疑応答の進め方についてでございますが、ご質問とかご意見をいただく際には、手 を挙げいただきますようにお願いいたします。私のほうで発言いただく方を指名させて いただきます。係の者がマイクを持って順番に伺いますので、マイクが来ましたら、差 し支えなければ、まずお名前とか、ご所属を述べていただいてご発言いただければと思 います。  なるべく多くの方に発言いただきたいと思っております。これは大変申しわけないの ですけれども、一人当たりのご発言の時間について、1回当たり2分以内でお願いいた します。もし、たくさんご意見がある場合には、複数回に分けてご発言いただければと 思います。1分30秒がたちますと、ベルを1回鳴らします。次に、2分になりました ら、ベルを2回鳴らします。このように、ベルが2回鳴りましたら、一たんお譲りいた だければと思います。多くの方が手を挙げておられる場合には、なるべく最初の方を優 先させていただきたいと思いますので、ご了承いただければと思います。  それでは、ご発言される方、ご意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 それでは端の列の男性の方から。 【参加者1】  生協コープ鹿児島の南郷と申します。  BSEの全頭検査について少しお伺いしたいんですけども、先月、日本で21頭目の 感染牛が確認されたということなんですが、これが全頭検査の成果であるというふうに 評価されているのか。あるいは、現在、日本で進めている全頭検査について、日本だけ の特殊な事例ということで世界中に評価されておるみたいなんですが、このことについ ての今後の継続性。  当面、20カ月以下については補てんをするというようなことらしいのですが、これ についてもいずれ中止、あるいは、30カ月齢というのを基準に導入というような形の 動きの中では、これもまたいずれ中止とするような、そういうような中身になっていく のか。21カ月とか、23カ月はやばいけど、20カ月だったら大丈夫だったというよ うな、そこあたりの経過とか、全頭検査そのものがアメリカで拒否されたというような、 まあ、経済的な問題も大きいと思いますけども、食の安全というやつを経済観念の中で 置きかえるということについての厚生労働省の考え方を少しお聞きしたいというふうに 思います。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。最初のところは伊地知参事官のほ うから説明いただいていいでしょうか。 【伊地知参事官】  農林水産省ですけども、全頭検査は後ほど厚生労働省さんのほう から説明いたします。  21頭目というのは、死亡牛での検査の結果、見つかったということで、農場段階の サーベイランスで見つかったものでございまして、屠畜場での健康牛からのBSEの検 査で見つかったというものではありません。  それと、関連して申し上げますと、先ほども言いましたように、死亡牛で年間大体二、 三頭、健康牛で大体二、三頭というような形で見つかっているわけです。死亡牛の場合 は大体高齢牛のものが多いわけですし、そういう意味で死亡牛のサーベイランスをやる というのは大変有効な手段だということで、これは高リスク牛の検査ということで、世 界的にもサーベイランスの対象として、死亡牛等の高リスクでやるということで大変有 効な手段であるというふうに思っております。  それとあと、21、23カ月齢は、マウスに摂取試験というのをやられています。こ れはマウスに牛の遺伝子を注入したもの、形はマウスだけど牛だということで、そこに 摂取試験をやって、今、約2年が経過しておりますけれども、現時点では感染性は認め られていないということで、引き続き検査を実施しているという状況です。 【藤井】  全頭検査についてお答えをさせていただきたいと思います。  平成13年に日本で初めてBSEの牛が発見され、そのときには、まだトレーサビリ ティーというものが導入されておりませんでしたので、牛の月齢というものが全くわか らなかった。そして、我が国で最初に出たということから、消費者の方の不安を含めて の混乱が非常に大きかったということなどから全頭検査というのを開始いたしました。 その後、食品安全委員会のほうで自主的に我が国の国内措置の再評価というのをされ、 それが平成16年9月に中間報告という形で取りまとめをされております。  中間取りまとめの中では、ご存じの方もあろうかと思いますが、検査で検出限界以下 の牛を検査対象から除外しても、現在の全月齢の牛を対象としたSRM除去の措置を変 更しなければ変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のリスクは増加しないということが言 われております。そういう食品安全委員会の中間取りまとめを踏まえて、厚生労働省と 農林水産省のほうで食品安全委員会に国内措置の見直しということを諮問いたしました。 それが平成16年10月のことであります。  今年の5月にその答申が食品安全委員会のほうから出てきております。飼料規制の話 とかいろいろあるんですが、そこの中の全頭検査に関したことにだけ限定しますと、食 肉の汚染度は、全頭検査をした場合と、21カ月齢以上を検査した場合、いずれも無視 できるから非常に低いという答申が出されております。それを踏まえまして、全頭検査 につきましては、厚生労働省のほうで見直しをして、法律で義務づけをする検査という のを21カ月齢以上ということで、今年の8月1日から制度を変更しております。ただ、 その段階でも、すべての自治体で20カ月齢以下の検査も自主的にやるんだという方針 を出されましたので、制度の急な変更による混乱をなるべく招かないようにしようとい うことから、国のほうでも補助金を出して助成するということにしてきたわけです。し たがいまして、今、実質は全頭検査ということになっておりますが、法律で言いますと 21カ月齢以上だけ検査をすればいいということになっております。  30カ月齢云々というお話もありましたけれども、現在の我が国における科学的な知 見、諸外国の科学的な知見、そういうものを含めて食品安全委員会のほうでリスク評価 をされて、検査においては21カ月齢以上に限ってもリスクが多くなることはないとい うことでしたので、30カ月齢以上というのは、今の段階では評価もされておりません し、国のほうとしても、当面30カ月以上云々という形で食品安全委員会に評価をお願 いするという予定もございません。 【司会(広瀬)】  ありがとうございました。非常に砕いた言い方になるのかもしれ ないんですけども、全頭検査をしていた時期から国内措置の変更、それから、今回の点 では、輸入に当たってリスクの差がないかどうかというのを食品安全委員会に評価をい ただいた上で措置を変更してきていますので、安全は適当でもいいから何か変えてきた ということではなく、安全を確認しつつ変えてきていると。リスクというのは、昔の全 頭検査をやっていた時期からそんなに変わっていないというのが一連の流れではないか というふうに考えているということだと思います。  ほかにはいかがでしょうか。では、お二人、手が挙がったので、まずそちらの方と、 次、その方に行きますので、最初に前の方。 【参加者2】  鹿児島で外食を営んでおります康正産業の肥田木と申します。よろし くお願いします。  結論の部分で、輸出プログラムというものはアメリカが責任を持って果たすと。日本 においては、管理機関による遵守の状況の検証が必要で、査察を行うというようなお話 でございました。私どもも、10月に現地のミートパッカーのほうに実際に足を運んで、 どういった処理をしておられるのかというのを確認してまいりました。今日ご説明いた だいたような流れと全く同じように、こういうふうに除去をしているとか、タグはこう いう形でやっておるとかというのをご説明いただいて、自分たちなりには納得して帰っ てきたんですけれども、20カ月以内というのがどの程度そろうのかというのが、非常 に数が少ないというようなことも聞きましたので、あくまでもアメリカ側でやっていた だいた上で日本で査察するというような形ではなくて、数が少ないのであれば、逆に工 場ごとに日本側からつぶしていくというような形で、両国からお墨つきの工場だという ような認定をいただく制度というものはとれないものかどうかというご質問なんですが、 お願いします。 【司会(広瀬補佐)】  では、伊地知参事官のほうからお願いします。 【伊地知参事官】  両方でというお話ですけども、基本的には、アメリカの施設につ いて我がほうで認定するというのは、現実的にはなかなか難しいと思います。それはな ぜかというと、そういう観察も常時できないということで、逆に日本の輸出業者がこれ を輸出する場合でも、基本的には日本側が管理措置をちゃんと守っているかどうかとい うことの責任をとるということで、対米輸出の場合もそういうような仕組みでやってい くということで、それぞれの国のものを両方が責任持ってという仕組み自体は、現実的 にはなかなか難しいというふうに考えております。その国の施設については、その国の 政府が責任を持ってやっていくというような形になろうかと思います。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。それでは、こちらの列の後ろの方。 【参加者3】  農林水産省のモニターをやっております妙見と申します。  日本国内での水際検査は非常に大切だと思います。しかしながら、対日輸出する際に 成熟度のA30以下というメリットはどんなぐあいでしょうか。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。A40ということだと思うんです けども。 【伊地知参事官】  A40なんですけども、どちら側のメリットかというと、アメリ カ側からの仕組みや提案があったわけでございます。なぜかというと、先ほど言いまし たように、基本的に、以前は、アメリカでは生年月日を記録するということをあまり一 般的にやられていませんでした。したがいまして、アメリカ側は対日輸出のときに生年 月日がわかっているものがあまりないのではないかということもありまして、30カ月 齢であれば歯で判別しているような、同じような仕組みが生理学的成熟度でとれるので はないかということでの提案があったわけです。したがいまして、生年月日がわからな くても、アメリカ側にとってはA40ということで担保ができれば輸出ができるという メリットがあるということです。  ただ、よく言われるのが、ちょっと話がそれるかもしれませんが、A40というのは 枝肉で判定をしますので、既に内臓は別々になっています。したがって内臓の管理がな かなか難しいので、A40のデメリットは、内臓の管理ができないので、内臓はなかな か輸出ができないんじゃないかということになろうかと思います。枝肉そのものは格付。 もちろん、枝肉と内臓をパラレルに管理できればいいんですけれども、現実問題として それはできないということで、内臓については輸出が難しいというデメリットがあると いうことです。 【司会(広瀬補佐)】  結局、A40で確認するというのは枝肉の部分で、内臓につ いては、A40の判定で入ってくるというふうにはならないだろうということですね。 それと、生理学的成熟度で入ってくると思われる肉の割合と、実際に月齢の識別で入っ てくると思われる肉の割合というのはどんな感じかというのは……。 【伊地知参事官】  A40以下がどれぐらいかというのは、これまでアメリカ政府が 格付制度の中でそういうことをやっていたということと、あと、アメリカ政府が3,3 38頭を検査したデータがあります。お手元の資料の35ページに、パワーポイントで ご説明したやつの資料の後ろのほうに「参考資料」という形で載せてございます。そこ の35ページとか、36ページに、実際に生理学的成熟度と月齢の関係を試験した結果 が出ていまして、これを見ても、A40以下というのは約8%、1割以下でございます。 アメリカ政府が格付をしたこれまでのデータからも1割以下であると言っていますので、 生理学的成熟度、A40によるアメリカの牛の比率というのは、約1割以下、8%とい うことです。  それと、生年月日がはっきりわかっているものはどれだけあるのかと言いますけども、 今まで生年月日を記録することを一般的にやっておりませんでしたので、正確なデータ はありませんが、アメリカ政府の方々が来られたときに、いろいろ意見交換をした場で 話が出たのは、約1割から2割が生年月日がついているのがあるだろうということです。 ただ、日本向け輸出は、生年月日がわからなければ輸出できないということになると、 農家は熱心に生年月日をつけるようになってくると思います。したがいまして、生年月 日の割合は、今は1割から2割ですけども、もし日本に輸出したいという方が増えてく れば生年月日をつけるということで、その比率は高まっていくというふうに思います。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。それでは、ほかの方、前の方。 【参加者4】  こんにちは。熊本の牛島です。  20カ月未満とおっしゃいますけど、はっきり言って食べごろではありませんよね。 20カ月未満の牛でも、今1年後、2年後、国内でも、アメリカでも、成長ホルモンを 打っていますよね。おたくたち、ご存じでしょう。あれを打って20カ月で牛をつくり 上げるような時代が来た場合、おたくたちは、今のBSEというのは感染牛とか、汚染 が広まっているとか言っておられるけど、あれはその答えの症状でしょう。ああいう牛 は、45年前からいたんだから。  今現在わかっているのは、幾つか打った子供の豚でさえよろめきがきている。あれは みんな豚骨ラーメンに行っているよ。今まで、保健所の方々が屠畜場で認識を持って印 鑑を打っていたんだから。それをだれも責任をとらないじゃないですか。  それで、2年、3年後は、アメリカのほうで内臓の病気が出てくるよ。おたくたちは 病気牛の肉を食べさせるのか。25カ月の牛というのは、見る者が見れば、見てすぐわ かるよ。骨とか、何とか、関係ないよ。そうなった場合、だれが責任をとるのか。  大臣はレンタルだから、つけかえればいいのだから。各省の局長関係が詰め腹でも何 でも切って、私が責任をとるからと、そのくらいの意気込みで取り組んでほしい。今度 の安全委員会も、あまりにもいい加減。ふざけた結論でしょう。それに対してあれして くださいよ。お願いいたします。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。こちらで把握していないようなお 話も幾つか出ていたのではないかと思いますけれども、できれば簡潔に、要旨といいま すか、ポイントは最後の責任問題ということをおっしゃりたいのでしょうか。 【参加者4】  20カ月という、アメリカ牛、カナダ牛でもいいよ、決めつけた場合、 普通の一般の消費者は、牧草を食べて大きくなる、ああいう牛を食べているという了解 があるわけでしょう。そうでしょう。ただし、体をつくるためには、8カ月とか、10 カ月、12カ月、体をつくって、穀物を一気に食べさせると。  今現在も、おたくたち、屠畜場で視察をされましたか。アメリカのほうに行っても、 あの人たちはいいところだけしか見せないよ。私は下水の底から見るよ。内臓も見るよ。 どういう牛か。内臓が美しいなら、健康な牛なら、肉もちゃんとしたものよ。そうでし ょう。  それで、私は、ここまで黙っていたよ。失礼な言い方だけど、おたくたち、今までぼ ーっとしとった、ぼんやりしとった。かなりの牛がいたよ。今もおたくたちが屠畜場で BSE検査をしているから、国産牛は安心、安全だと言っておるけど、持ち帰りの牛は どうなっているんね。持ち帰っているでしょう。酪農の方々は、行政の方々に少し思い やりがあればなと私に言っていますよ。私も脳みそは熊本の冷凍会社に預けていますよ。 あれ、検査すればBSEよ、死んだ牛だから。当初、出たやつは、牛小屋はみんな、全 部連れて行ったでしょう。  今は、酪農の方々は、持ち帰りとかでおかしい牛がおったなら、シンナー、ゴムのり、 それのにおいをかがせて、1カ月ぐらいしたなら屠畜場をパスするんだから。それで安 心、安全というのは魔法だから。もともと安心、安全よ。そうでしょうが。私は、販売 店もしているけど、安全でなければ私は売ってないよ。罪になるんだから。行政の方々、 特に屠畜場に出入りする人、あまりにもぼーっとしておって、印鑑さえ打てばいいと。  安全委員会の方々も、1回、酪農の方を根本から調べてごらん。危険部位、あと2つ あるでしょう。乳腺、それと肝臓を取り巻いている天然脂。食品安全委員会の名前は言 われん。七、八回、電話をしましたよ。豚の件も電話したはず。おたくたちが調べるな ら提供しましょうかと。豚骨ラーメン屋さんは全国にどれだけありますか。私の知り合 いのところは、札を下げておけと。スープは、規格ものの豚、若者の豚からしかしてい ませんと。 【司会(広瀬補佐)】  わかりました。幾つかご指摘があった中で、国としては、基 本的に健康な牛からとれた肉を食べるということで、病気の牛とかは外しているとか、 そういうことなので、基本方針としては、別に病気の牛を食べていただこうということ ではないと思うんですけども。 【参加者4】  今からできてくるだろう。今現在も内臓やられている牛が多いでしょ う。 【伊地知参事官】  アメリカの牛が若くて食べごろじゃないということを前段で言っ ておられて、食べごろかどうかというのは、食べる方々が判断をすることになると思い ますけども、アメリカの牛は、一般的に20カ月齢以下で出荷されているというのが実 態だと言い切れます。  もちろん、廃用牛とか、搾乳した後の牛とか、あと、子供を生産した牛とかいうのは 年をとった牛です。だけど、一般の肥育牛というのは約20カ月齢以下というのが主体 であると。それは、先ほどAのマチュリティーのところでもお示ししたデータを見てい ただくということと、お配りしている資料の34ページを見ていただきたいんですれど も、例えば、放牧で飼っていて、約6カ月ぐらいは親と一緒につけて放牧で飼って、こ れが子牛の段階。34ページの一番上の、ちょっと小さくて見づらいですけども、「生 産農家」で「約6カ月」と書いています。これが子牛の段階です。それと、育成段階と いうので6〜8カ月、これも放牧主体で飼っています。そして、12カ月以上たったも のをフィードロットというところに持ってきて、さっき言われたように、そこで肥育す るわけです。ここで初めて濃厚飼料、穀物を中心に飼うと。それが約三、四カ月という ことです。そうしますと、一般的には15カ月から18カ月齢ぐらいで出すという形に なります。  日本の場合は、言われたように、肥育牛というのは、肉専用種の黒毛和種の場合は、 出荷月齢の平均は30カ月ぐらいです。ただ、これは肉質をよくするために長いこと肥 育をしているわけです。ホルスタインの雄牛は、平均するとアメリカよりちょっと長い ぐらい、21カ月ぐらいで出荷しています。交雑種で、よくF1と、ホルスタインに黒 毛和種をつけたやつは、その中間ぐらい、二十四、五カ月ぐらいで出荷するということ で、牛の品種とか、どういう肉質のものをつくるかということで、肥育期間、出荷月齢 が変わってきております。  日本の場合でも、肉質を目指さなければ、長いこと飼うのは肥育効率が悪いんです。 長いこと飼えば、えさをたくさん食べるけども、肉はそんなにたくさんつかなくなって くる。これは人間でも同じで、子供のときは少し食べてもどんどん大きくなるけど、大 人になってしまったら、食べてもそれ以上大きくならないということで、あるところで 成長曲線というのがあって、肉質を重視する場合には長いこと飼います。ただ、アメリ カは、経済効率を考えて、長く飼ってもそれほど肉質がよくならない品種を飼っておれ ば、若くして出したほうが得策だということで、大体20カ月ぐらいでの出荷というの が一般的だというふうになっております。 【司会(広瀬補佐)】  あと、屠畜場の関係は蟹江専門官のほうから。 【蟹江厚生労働省食品安全部監視安全課BSE対策専門官】  屠畜場のお話を少しさ せていただきますと、例えば、牛あるいは豚を屠畜して、食肉として販売する。そうい う場合には、屠畜場法という法律がございまして、施設自体は都道府県知事が許可を出 す施設です。食肉の検査につきましては、都道府県の職員で、かつ獣医師の資格を持っ た屠畜検査員という方が屠畜場に常駐していまして、1頭ごとの検査をして、問題がな いものについて流通可能になるシステムになっています。BSEについても、屠畜場の 段階で検査を実施して、判断をしている。こういうシステムでございます。これは、日 本だけではなくて、ほかの諸外国でも同様の食肉検査システムがございまして、検査員 が1頭ごとの検査をするという実態でございます。 【司会(広瀬補佐)】  私も一度、屠畜場は見せていただいたことがあるんですけど も、現場での検査というのは、まず搬入されているときの異常とかの目視以外にも、た しか、実際取った内臓とかについても異常がないかとか、流している中で見ておられた かと思うんですけど、中の検査の詳細についても少し補足いただければと思うんですけ ど。 【蟹江専門官】  先ほど、アメリカの食肉の処理の加工の工程のスライドがありまし たけども、基本的には日本でも同じような方法がとられておって、牛が搬入されて、失 神させて、皮をはいで内臓摘出をして、背割りをして、枝肉になっていくという工程の 中で、生体――牛が係留されている段階ですとか、それから、屠畜場に搬入される段階、 そういった生きた段階の検査を、目視あるいは触診、さわったりとか、いろんな方法で 確認をしたり、あるいは、生産段階での病歴とか、あるいは抗生物質等の投薬歴、そう いった情報も入手して、そういったものを総合して判断し、それから屠畜されて、処理 をされていく工程の中で、頭の部分ですとか、あるいは内臓の細かい部分ですとか、最 終的な枝肉の部分ですとか、そういった各段階で、基本的には目視ですけども、検査員 が診断をして、判断していると。 【参加者4】  それはわかっています。私が言っているのは、元気のいい肉用牛でさ え、特に5月ごろから10月ごろまで、脂肪肝をかなり廃棄しているでしょう。まだ増 えるよ。  アメリカのほうは、20カ月で牛を育て上げて。おたくは20カ月未満がほとんどっ ておっしゃったですけど、あれは1割程度でしょう。私どもに言わせれば、チョイスと いって若牛の肉は柔らかい、それとプライム牛といって、このプライムというのは販売 店の人たちは喜ぶと。大体、日本で言えば二十五、六カ月。この肉は国産牛よりすぐれ た肉質。それだから国産牛とか、和牛とか、そういう表示で偽装して、販売しよった肉 だから。二十一、二カ月はわからない。二十五カ月前後以上は、私は見ただけでわかる よ。それで、だれが責任をとるのか。見ただけでわかるよ。あなたたちは、科学的根拠 に基づいてアメリカと。科学的な根拠じゃないじゃないですか。ただ数字を当てはめた だけじゃないですか。公取委員であろうが、農水であろうが、農政局であろうが、今ま で私はお願いして、ウシジマさん、科学的な根拠を持ってきてくださいと言うたでしょ う。偽装の問題でも一緒よ。 【司会(広瀬補佐)】  今回は、とにかく20月齢を超えたものは輸入できないとい う仕組みになっているので、偽装されていたら、それを取り締まらなければいけないで すし……。 【参加者4】  それはだれがする。する人がいないじゃない。 【司会(広瀬補佐)】  それは、まずアメリカ政府として、きちんと20カ月齢以下 のものを出荷すると。我々も査察に行って、その仕組みを確認に行っているという……。 【参加者4】  行った人たちが牛のことば知りもせんで。頭のよか人たちばっかりで 決めてから。牛のこと、いろいろ肥育でも何でも、足を踏み入れた人が行ったんですか。 【司会(広瀬補佐)】  いや、今回は専門の獣医さんとかが行っていますので、牛の 生理学とか、そういうものをきちんと勉強している専門家の人間が行っていると。 【参加者4】  酪農の方々はどうなの。あの人でも、口を割れば、BSEばとらした 牛ですよと言う人がいるはずでしょう。 【司会(広瀬補佐)】  ご意見としてはいろいろいただきまして、ありがとうござい ました。ほかの方からもご意見をいただきたいと思います。済みません。それでは、こ の列の後ろの方。 【参加者5】  福岡県生協連の村岡といいますが、質問させていただきたいのですが、 1点は、34ページと35ページのところについていますA40の月齢判定について、 34ページの(2)のところで、「A40の基準として採用し得るか否かの判断は統計学的 分析による数値のみではなく、米国産牛肉のBSE感染リスクの程度の評価とあわせて 評価すべき」という報告が出ていますが、この意味はどういう意味なのかというのをお 尋ねしたいのと、それから、35ページのところに、(4)のところですが、「仮にA40 を基準として採用する場合には、評価結果の記録・保存が必要」ということと、その下 に「追加的な検証または事後のフォローアップが必要」ということですが、これはどう いうことなのか。あるいは、これは具体的にどうされようとしているのかということを、 まず一つお尋ねしたいと思います。  それから2つ目に、33ページのところに、日本向け輸出施設として約40施設とい うふうに書かれていますけども、現在、20カ月齢以下で輸出される屠畜場は、ほぼこ の数値なのかどうかということと、日本向けの施設については、平均して一日に何頭ぐ らいの検査がされて、それを検査する政府の機関の方は、大体何人が一日何頭ぐらいを 検査されているのか。それから、今回、日本から米国の施設の視察に行かれていますが、 あの視察というのは、今後、どのくらいの期間の幅でされるのかということをお尋ねし たいと思います。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。まず、月齢の関係は伊地知参事官 のほうからお願いします。 【伊地知参事官】  34ページの月齢の関係の下の表の、「統計学的分析による数値 のみではなく、米国産牛肉のBSE感染リスクの程度の評価とあわせて評価をすべき」 ということで、この月齢の判定等の内容等については、食品安全委員会にご説明をして、 その内容を含めた評価をいただいたということでございます。ですから、リスク評価と あわせて評価をするという形の中で、食品安全委員会にA40の内容等についてもご説 明した上で評価をしていただいたということです。  それと、33ページの、「仮にA40を基準として採用する場合には、評価結果の記 録・保存が必要」ということと、「追加的な検証、事後のフォローアップが必要」とい う意味でございますが、評価結果の記録・保存が必要というのは、これは日本の専門家 側からのご意見がありましたので、アメリカ側にA40と格付をした結果についてはち ゃんと記録を残しておくようにということで、記録を残させるようにしました。どの牛 がどの生理学的成熟度であったかということです。  それと、追加的検証は、当初、3,338頭についてデータをいただいたんですが、 さらにデータが欲しいということで、その後400あまりのデータが来まして、35ペ ージの「3,338」が、36ページの「3,777」というふうにデータを追加して、 一部検証をやっているということと、さらに、それだけではなくて、フォローアップを やるということで、アメリカ政府にフォローアップのためのデータの収集と分析をさら にやってもらうようにしております。 【司会(広瀬補佐)】  次に、日本向けの施設として、これは、たしか輸入がとまる 前が40ぐらいだったということで、大体この数字ということ……。じゃあ、施設数は 藤井参事官のほうからお願いします。 【藤井参事官】  資料の中に入れておりますのは、見ていただきますと、輸入停止前、 日本向けは約40施設だったと書いております。当初は、輸入停止前に日本向けに輸出 をしていたんだから、おそらくこれぐらいの数字が出てくるのかなということで、ここ に40ということをお示ししておりますが、アメリカならアメリカ、カナダならカナダ 政府が日本向けプログラムに合致している施設かどうかというのを認定することになっ ておりますので、現時点ではこれぐらいの数字になるのかどうかというのはわかりませ ん。  先ほども申し上げましたように、認定された施設については、名称とか、所在地とい うものがホームページにおのおの掲載されることになっております。例えば、アメリカ でいいますと、今日はまだ見ていないのですが、先週の段階でいいますと、現在のとこ ろ、たしか33施設が政府から認定されておりました。 【蟹江専門官】  それから、アメリカの食肉処理施設で、処理頭数とか、あるいは検 査員の数はどの程度かということでございますが、米国の食肉処理施設も大規模、中規 模、小規模といろんな規模がございます。まず、処理の頭数は、大きな目安としては、 大規模で一日約5,000頭程度。これは8時間ではなくて、通常は2シフトというふ うに8時間を2回、16時間で処理する頭数というふうになっています。それから、中 規模が大体2,000頭程度、小規模ですと500頭程度でございます。  それで、検査員につきましては、規模に応じて人数が違いまして、この人数の配置に つきましては、アメリカのほうの連邦規則で配置の人数が規定されています。例えば、 大規模で約5,000頭ぐらいを処理するところには、大体30名ぐらいの検査員で対 応しているというような状況です。  それから、今後の査察の予定といいますか、計画ということでご質問がございました けれども、今行っております8チームは、米国2チーム、カナダ1チームで、米国のほ うの1チームが5カ所ですので、今回、米国10カ所、カナダ4カ所を対象に視察を行 っております。今後につきましては、まだ調整の段階ではございますけども、年があけ て1月下旬から、再度、別の施設に視察に行けるように調整を進めているという状況で ございます。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。それでは、ほかの方。ほかにいら っしゃらなければあれなんですけど、後ろの方を先にさせていただきます。緑の洋服を 着ておられる方。 【参加者6】  エフコープの江口といいます。  11月の食品安全委員会の説明のときに、安全性というのがかなり理解できたんです けれども、今日のご説明を聞いてかなり不安になりました。その理由というのは、答申 の中の付帯事項についての、管理機関としての対応です。私たちが一番気になる交差汚 染とか、脊髄事故の監視体制について、12月12日に大使館の担当の方を呼んで、私 たちはこう思っているんです、じゃあ、このことについて対応を検討してくださいとう ふうなお話をされたというふうに伺ったんですれども、答申の中の付帯事項については、 管理機関としての責任の明確化というのを挙げられています。大使館の担当官に話をす ることで、管理機関としてきちっと責任をとっていただけるのでしょうか、とれるとい うふうに思われているのでしょうか。そこのところをお聞かせください。 【司会(広瀬補佐)】  こちら、たしか物を書面で出したりとかしていたのではない かと思うんですが。 【伊地知参事官】  大使館にお伝えするということは、大使館を通じて本国政府にち ゃんと伝えてもらうということでありまして、大使館でとまっているわけでなくて、そ れを本国政府でちゃんとやっていただくということと、さっき言いましたように、私ど も日本政府が行って、査察もやって、そういうところを確認していくということですの で、そういう形でやっていくということであります。  どうやって渡すかというと、日本であると、外交ルートで物事と渡す場合には、大使 館を通じて申し入れをやるということでございますので、そういう形でやらせていただ いたということです。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。じゃ あ、先にそちらの方に行ってから、もう1回、そちらの方にします。 【参加者7】  田川市の群谷といいます。  農業振興係で肥育農家とか抱えて、また輸入が始まるということで、ちょっと打撃が あるんじゃないかと心配しているところなんですけど、番号が書いていない資料の36 ページ、米国・カナダの飼料規制の遵守状況、これを見ていたんですが、特にカナダ、 違反件数5.5%。一応、この数字を踏まえた上での今回の輸入決定だったと思うんで すけど、もうちょっとしっかりした規制が必要なのではないかと思います。  もう一点、資料の4、1枚紙の分の裏側、上から3行目、「さらに米国産牛肉等の到 着時に、厚生労働省」云々ありまして、全ロットを検査する、水際の輸入検査を徹底し ますとあるんですが、具体的にどういった検査をするのか、わかっていればお聞きした いと思います。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございます。それでは、一つ目を伊地知参事官の ほうで、二つ目を蟹江さんのほうでお願いします。 【伊地知参事官】  言われますように、36ページで、日本、アメリカに比べるとカ ナダは遵守違反の状況が少し多いということですが、これについては、カナダ政府にも そういうのをしっかりやってほしいということを我々は伝えることにしております。た だ、規制をかなり厳しくやるとか、例えば、文書で残せとかいった場合に文書が保管さ れていなかったとか、そういうものも含まれておりますので、決定的なものではないと いうことはご理解願いたいと思います。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。たしか、今回、資料のところでも 申し入れをして……。 【伊地知参事官】  付帯事項にあったことについては、さっきもご説明したように米 国・カナダ政府にもお伝えしたということです。 【司会(広瀬補佐)】  それでは、先ほどの全ロットのところ、水際の検査について 少し詳しくという……。 【蟹江専門官】  水際の検査につきまして、ご説明をさせていただきます。  スライドでもご説明をさせていただいたと思いますが、水際の検査といいますのは、 アメリカから貨物が到着して、まず農林水産省のほうの動物検疫所がチェックのポイン トとして一つございます。それから、厚生労働省の検疫所がございます。両方のチェッ クを受けて、最終的に税関の手続を踏んで輸入されるというのが基本的な流れでござい ます。  その際に、貨物が到着しますと、その貨物に対して米国政府が衛生証明書を発行して おりますので、まず、その証明書の内容を審査いたします。日本向けのプログラムに適 合しているかどうか、あるいは認定された施設であるかどうか、そういった事項を中心 に審査することになります。それから、実際の貨物が倉庫に保管されておりますので、 そこに出向いて、その書類をもとに実物を確認します。その場合には、表示の事項、こ れは施設の名称もございますし、処理された年月日等も記載されておりますので、そう いった事項と証明書の事項が同じかどうか。それから、今回の輸出プログラムの対象製 品――今回は牛肉と内臓でございますので、実物が対象となっている製品かどうかとい うのを確認し、重要なポイントで、倉庫の中で箱をあけて特定危険部位の混入について 確認していく。基本的にはこういった流れで水際の検査が行われております。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、 前の方。 【参加者4】  20カ月未満、それで危険部位除去、それはわかりますよね。例えば、 アメリカであろうが、カナダであろうが、25カ月の牛のBSE検査を一、二の施設で した場合は、向こうからいえば輸出は可能になるんですか。 【司会(広瀬補佐)】  伊地知参事官のほうから……。 【伊地知参事官】  今、アメリカでBSEの検査をしても、25カ月齢以上の牛は日 本に輸出できません。 【参加者4】  輸出はできない。それならなおさら、25カ月以上がまざってきた場 合は、おたくたちはどうするか。それも口頭で言ってくださいよ。テレビ局も来ている もん、ちゃんと記録は残りますから。 【伊地知参事官】  ですから、先ほど言いましたような輸出プログラムというもので、 そういうのがまざらないように、アメリカ政府が責任を持ってやるということと、我々 日本側としては、そういうものの査察等をやって、また、水際での検査をやって、入ら ないようにやっていくということです。 【参加者4】  欧州はどうなるんですか。アメリカとカナダばっかり指をさして。オ ーストラリアも同じ条件でしてくださいよ。  今は、ほんとう、学校納めの、犬も食べんごた、冷凍肉、消費者関係はあれをハンバ ーグとおっしゃるけど、犬も食べないよ。今、そういうのを子供に食べさせているでし ょう。ものはかなりいいのがありますよね。ただし、25カ月、30カ月、豪州の和牛 というのは霜降りが入って、900日、肥育していますよ。そういうのも輸入せんでお って、アメリカと同じ条件をちゃんと突きつけたらどうですか。 【司会(広瀬補佐)】  少し説明したほうがいいですか。要するに、オーストラリア はBSEの汚染国になっていないというのが前提にありますので、リスクという点では、 汚染した国というと、日本とか、アメリカとか、カナダというところは、本来オースト ラリアよりもリスクが高い国という位置づけになっております。オーストラリアのほう は、かなり早い段階から肉骨粉を輸入することを規制したりとか、もともと牧草を中心 とした肥育がベースにあったというようなことで、比較的オーストラリアの牛の清浄度 が高いというような状況がありまして、それで、現在、BSE汚染国としての規制とい うのをしていないという……。 【参加者4】  それはわかるんですよね。おたくたちが確認しとらんだけであって、 私はもう確認しとるわけです。そういうおかしい牛が増えているわけよ。おたくたちが 知らんだけですよ。日本でのBSEもおたくたちは知らなかったんだよ。わからなかっ た。 【司会(広瀬補佐)】  確かに、事実として上がってこないと、なかなか評価できな いということもあるのかもしれませんが。 【参加者4】  今回、オーストラリアで出たなら、だれが責任をとるのか、私が対応 しますからという人を決めてくださいよ。安全委員会なら安全委員会でいいですから。 古川さんといって、安全委員会におられるでしょう。あの方もいい加減よ。食べないの なら買わないでおればいいと。食べる人は買ってくださいと。ちゃんと消費者に説明し て、そういう言葉を出せばわかるよ、中途半端でね。  はっきり言って、BSEのどこが悪いの。ほなら、人間でも、歩行困難になったのな ら、子供でも親でも、みんな殺して検査するね。牛も人間も一緒じゃないか。何で牛ば っかり別の扱いするのか。人間も一緒やんか。今、事件を起こしておる若者の関係者な ら、親、兄弟もみんな、脳から脊髄からみんな検査したらどうね。あまりにもおかし過 ぎるじゃないね。  私は、肉屋に足を踏み入れて41年。私が出会ったのは、その3年前。なぜ肉屋をし たかというと、その当時、私はその牛に人工授精をするのが楽しみで、お願いしますと。 楽しみにしとって、足がかなわんごとなった。畜産の人はそれを1,000円で買って いかれる。これ、肉にしたら幾らと。28万。いいなあと。16のときだったけど。そ れから3年間、考えて、ああ、肉屋しよって……。 【司会(広瀬補佐)】  済みません、手短にお願いします。申しわけありません。当 然、BSEが発生すればオーストラリアもとめることになると思います。何か補足をい ただく方、いらっしゃいますか。大津さんのほうからお願いします。 【大津内閣府食品安全委員会事務局勧告広報課課長補佐】  せっかくの機会でござい ますから、一言発言させていただきます。  今、オーストラリアのというお話がありました。それで、私どもは、あくまでもリス ク評価を行う機関ということで、ご案内のとおり、国内でBSEが発生した際、日本が 大きなパニックになった。それで、食の安全という観点から、その当時の体制を大きく 変えるということで、リスク評価とリスク管理というのをきちっと分けて取り組んでい かなければいけないということで、一緒にやっていた管理機関から評価の部分を完全に 外して、我々は独立してきちっと評価をさせていただきますと、あくまでも科学的知見 に基づいて評価をいたしますと。ご批判はいろいろあるんですけれども、そういう形で 私ども委員会が誕生したわけです。  それで、今、オーストラリアの話がありました。私は事務局の人間でありますから、 科学者ではありませんので、当然、そういう専門的なことはわからないわけですけども、 これはまだ正確に決まったわけではございません。我々の体制としては、あくまでもリ スク管理機関のほうからこれこれこういうことについての食品健康影響評価をしていた だきたいという依頼があって、リスク評価をするという立場にあるわけですが、といっ て、さまざまな重要な問題が起こって、管理側からリスク評価依頼が来ないと動けない ということではいけないということで、食品安全基本法の中には食品安全委員会みずか らが評価を行っていくという、そういうこともできる体制をとっております。  それで、BSEの話になりますと、もちろんアメリカ、カナダ、ほかの国々の問題と いうのは、今回、2カ国のことが出てきたわけですけども、今、私ども食品安全委員会 の中では、例えば、オーストラリアあるいは中国、現実に日本はそういうところから牛 肉を輸入しているわけですけども、そういった国々のリスクの評価というのをやるべき ではないかという話も出てきております。  実は、さまざまな評価を行うための専門調査会というのが全部で16、委員会の下に ぶら下がっております。その中の一つに、今回、BSEに関して評価をした、ご存知の プリオン専門調査会というのがあるわけですけども、もう一つ別の専門調査会のところ で、言ってみれば委員会の運営についていろいろと決めようという専門調査会がござい まして、そこの中で、我々委員会がみずから、「自ら評価」と呼んでおりますけれども、 そういう評価を毎年きちっとやろうということで、現在、その候補の中に中国や他の 国々の牛肉のリスクを検討してはどうかという話が持ち上がっております。複数ある自 ら評価候補案件の中の一つでありますので、私がここで発言したから、それがそうなる んだというふうに受けとめられては困るんですけども、場合によると、そういう諸外国 の牛肉のリスク評価というものも、今後、私どもの専門調査会で取り上げていくという ことがあるかもしれません。今、一つそういう動きが私どもの委員会の中でもあるとい うことをお含みおきいただきたいと思います。  以上です。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。ちょっとお時間のほうを回ってし まいましたので、もし、交通手段の都合とかで退席されたい方がございましたら、適宜 退席いただいても結構です。ほかにご意見をいただける方がいらっしゃいましたら、手 を挙げていただければと思います。あと数名で終了させていただきたいと思いますが、 それでは、今、手を挙げていただいている方、私の確認できた範囲ではあの方だけなん ですけど、ほかにはよろしいですか。じゃあ、そちらのスーツの方と、その後ろのほう の席の方、その方、お二人で。 【参加者8】  東伯農協の川本です。  資料の13ページですけれども、フロー例(3)と(4)、そこのところに処理の写真がつい ていますが、私はアメリカに行ったことがないもので実態はわからないのですが、背割 りした後に脊髄除去をしておられますが、日本では脊髄は背割り以前に吸引しておると 思うんですが、アメリカで、あえて背割りした後に脊髄を取っておられて、つまり飛散 の危険性を冒してまで実行しておられるのかどうか。それがちょっとわからなかったも ので質問です。  もう一つは、山内氏の文書の一つで、先ほどの、検査月齢の線引きがもたらすリスク は非常に低いレベルにとどまるという判断のほかに、一連の対策実効性が確認された後 に月齢の線引きを行うのが合理的という判断を併記しようとしたんだけれどもできなく て、終わりの項目の付帯意見としてつけられたということがありますが、ここのところ でどういうふうに留意されたのかということを聞きたいです。 【司会(広瀬補佐)】  一つ目は藤井参事官のほうから。 【藤井参事官】  背割り後に脊髄を除去するか、脊髄を除去してから背割りをするか というのは、我が国でもいろんな方式があります。我が国の場合、いろいろと研究をし て、背割り後に脊髄を除去した場合と、脊髄を除去してから背割りをした場合、脊髄に どれぐらい汚染があるのかどうかというのを厚生労働省の研究班で調査をしております。 その結果、後に高圧洗浄をした場合には、汚染度というものは、背割りをした後に脊髄 を除去しても、脊髄を除去してから背割りをしても、ほとんど変わらないという結果が 出ております。  そういう結果は出たんですが、我が国では予防的措置ということも考えまして、背割 り前の脊髄除去を推奨しているという、これは義務化ではありませんので、推奨してい るということで、現実問題として約9割ぐらいが背割り前の脊髄除去ということになっ ております。  アメリカとかカナダの場合、日本でそういう調査結果も出たものですから、アメリ カ・カナダで処理する場合に、どっちかにしてくれということまでは申し上げておりま せんで、きちんとした脊髄除去、そして後の洗浄をしていただくということで、日本と の同等性というのはほぼ担保されているのではないかと考えております。 【司会(広瀬補佐)】  それでは、月齢線引きに当たっては、留意の部分についてど うしたのかということですが。蟹江専門官のほうからお願いします。 【蟹江専門官】  今の山内先生のご発言ということでご質問がございました。今のご 指摘は、おそらく、今回の米国産及びカナダ産の牛肉の件ではなくて、国内のBSE対 策を見直す際、特に検査対象月齢の見直しを行う際に、厚生労働省と農林水産省が食品 安全委員会の諮問をし、その答申、国内対策の評価をしたレポートに書かれている事項 だというふうに理解しております。  その理解でご説明させていただきますと、まず、食品健康影響評価は、その時点にお いて到達されております水準の科学的知見に基づいて、客観的かつ中立公正に行われる ことが基本でございまして、結論部分ではなくて、「終わりに」という部分の記載でご ざいますので、私どもとしては、食品健康影響評価の結論を踏まえて、BSEの検査対 象月齢を見直したということでございます。それで、「終わりに」の部分ですとか、あ るいは、委員会の議論の中でいろんな指摘もなされております。そういった部分につい ては、引き続き取り組んでおるという状況でございます。 【司会(広瀬補佐)】  結局、法的には検査月齢の見直しをして、新しくなっていま すけれども、都道府県のほうにおいて自主的に検査していただく部分について国が補助 しているという部分もありますので、本来は混乱を避けるためという観点でございます けれども、そういう部分の措置が続くという点でも若干、留意に関係する対応に相当す るのではないかということだと思います。  それでは、後ろの方、お願いします。 【参加者9】  佐賀県の唐津市農協畜産課の川添といいます。私のほうからは、1点 だけお願いをさせていただきます。  今回、輸入が再開しまして、米国産、原産国表示など、表示のほうをするようになっ ているんですけれども、今回の問題としましては、BSEから変異型クロイツフェル ト・ヤコブ病に感染する可能性があるということで、それに感染すれば間違いなく死に 至るということだと思います。そういうことからの表示、これは大事だと思いますので、 学校給食につきましては、間違いなく表示ができないと思います。消費者にとっては、 その表示を見ながら買うという方もおられると思いますが、学校給食はこれができない のじゃないかと私は考えます。よって、学校給食には米国産牛肉を使用しないよう、よ ろしくお願いしたいと思います。  以上です。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。 【伊地知参事官】  しないようにというふうに、行政的に義務化するということは難 しいと思います。これは、学校給食の牛肉を調達される方がご判断をすることになるか と思います。その方の判断でやっていただくしかないというふうに思っております。 【司会(広瀬補佐)】  積極的に推奨しているわけではないですけれども、そちらの 判断ということになるんじゃないかということです。  済みません、最後のお一人、前から3番目の方……。 【参加者10】  九州大学農学部3年の加藤と申します。今回の牛肉輸入問題に対し て賛成の立場から発言をさせていただきます。  今回の答申の中で、国内産の牛肉とアメリカ産の牛肉のリスクが同程度であるという ふうに判断をされたと思うんですけれども、この判断の基準というのは、根本的にどの ようなものがあったんでしょうか。ごめんなさい、同程度であったというふうに答申の 中でありましたけれども、この過程……。 【司会(広瀬補佐)】  結論に至った過程ということでいいのでしょうか。そういう 判断に至った結論の過程とか、そういうことですか。 【参加者10】  ごめんなさい、そうではないんですけれども、今回の答申の前では、 国内産のリスクよりは高いということで牛肉の輸入が停止されたと思うんですけれども、 そう判断された理由についてお答えいただきたいと思います。 【司会(広瀬補佐)】  わかりました。要するに、まず停止に至った過程というのが あって、停止されているんだと思いますがという趣旨かなと思うんですけど。 【伊地知参事官】  輸入をとめた理由ですか。アメリカでBSEが発生して……。 【司会(広瀬補佐)】  リスクが高いと思ったからとめたんじゃないかという……。 【伊地知参事官】  リスクが高いと思ったから輸入をとめたのではないかということ ですか。それは、BSEが発生した場合には、そういうリスクがあるのではないかとい うことで、暫定的に輸入を一たん停止したと。それで、情報収集をして、リスク評価を して、見直しをやったということです。 【司会(広瀬補佐)】  要するに、発生国になってしまったので、リスクが高いのか、 低いのかというのがわからないけれども、かといって人の健康の問題もありますので、 そのまま輸入を認めるわけにはいかない。まず暫定措置としてとめたということがあっ て、それで、さらにリスク評価を、情報を集めて食品安全委員会にお願いしたという流 れになっていると思います。また追加であれば。 【参加者10】  今回の説明の中で、高圧処理とか、蒸気殺菌とかいう過程を説明し てくださったと思うんですけれども、そういう過程がきちんと確立されているという条 件のもとであれば、プリオンというのはたんぱく質ですので、変性を起こしても問題な いと考えられるんですよ。だから、そういう点からも、国内産のリスクとアメリカ産の リスクというのは同程度ではなかったのかと初めから感じておりました。 【司会(広瀬補佐)】  ありがとうございました。ただ、BSEプリオンはかなり強 固なたんぱく質ですので、かなり過酷な条件でないとなかなか変性しない。洗浄して落 ちるというのはあるんですけれども、それによってたんぱく質が変性して、病原性がな くなるというのはなかなか難しいのじゃないかというふうに言われているみたいです。  済みません、最後の、前の方、どうぞ。 【参加者4】  おたくたち、テールを言わなかったよね。テールはどうなるの。 【伊地知参事官】  輸入可能です。条件に合っておれば大丈夫です。脊柱はテールの ところまで神経組織が行っていないので、一般的にテールのところは大丈夫だと言われ ています。脊髄の脊柱がだめだということです。 【参加者4】  今度、国内で発生したなら、人間と一緒で、隅々まできれいに解剖し てごらん。先ほど私が言った乳腺、それと肝臓を取り巻いている天然脂、まだほかにあ るかもしれない。私のようなこんなばかでさえわかっとるんだから。おたくたちは頭が いいんだから。じゃんじゃん税金を使えばいいのだから。  そして、一つ、お願いがある。牛がBSEと判断されたら、常にマイナス5度ぐらい の、20坪ぐらいの冷蔵庫にその牛を保管する。その施設をどこかにつくってほしい。 燃やすばかりが能じゃないよ。そこはさわるな、そこはさわるなと。今まで腹いっぱい、 つぶして、BSEでふらふらしとっと、助けらんとでん何でん、腹いっぱい食べさせと るじゃないですか。ああ、おいしい、おいしいと言って食べているよ。特にハンバーグ 関係にはほとんど回っているんだから。  今日はいろいろ言うてごめんね。私も熊本からわざわざ来ましたけん。言うときは言 いますよ。おたくたちにまだちょっと頑張ってほしいよ。おたくたちは国家公務員で、 身柄は守られとっちゃね。ためにならんでも、いろいろせんでも、失礼な言い方ばって んがね、ただし、頑張ってほしいよ。販売店はどれだけ痛い目に遭ったね。外食産業も 一緒よ。消費者は恐怖のどん底よ。いまだに牛肉を食べないという人がいるんだから。 BSEでも今まで腹いっぱい食べておられたんだから。  ホルスタインも、もうばあちゃんは安全委員会にあげるよ。1頭幾らでみんな買い上 げなっせ。そして、おたくたちが管理すればよかよ。なにゆえの思惑があるのか。臭い ものにふたをかぶせとったってだめよ。消費者に明らかにこうだったと言えばいいのだ から。おたくたちは上の方だから、現場を知らないから。放浪の旅に出たら。肥育農家 のところに行く必要はない、酪農の方。  そしてまた、酪農の方も、出れば絞ればいいって、幾らにもなるって。あれはやめて ほしいよ。うちの母ちゃんだっておっぱい触れば嫌と言うとによ、10カ月絞るんだか ら。あれはね、ホルモンのバランスが崩れる、必ず。私のように面の皮の薄かとは人前 に出ても恐ろしかとだから。もう、そういう牛がおるわけ。そういうのがBSE。 【司会(広瀬補佐)】  済みません、どうもありがとうございました。 閉 会 【司会(広瀬補佐)】  それでは、時間のほうが随分延びてしまいまして、司会のほ うが不手際で申しわけございません。  本日は、長時間にわたりまして参加いただきまして、どうもありがとうございました。 出口のほうでアンケートの回収を行っておりますので、時間が遅くなって申しわけない んですけども、ご協力いただきますようお願いいたします。  それでは、皆様、お気をつけてお帰りいただけますよう、本日はどうもありがとうご ざいました。 ―― 了 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