米国・カナダ産牛肉等への対応についての説明会 日時:平成17年12月19日(月)    14時00分〜16時20分 場所:名古屋通信ビル ホール 1.開 会 ○司会(広瀬補佐)  本日は皆様、御多忙の中、御参加いただきありがとうございます。ただいまから、「米 国・カナダ産牛肉等への対応についての説明会」を開催したいと思います。  私は、本日司会を務めさせていただきます、厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情 報課の広瀬と申します。よろしくお願いいたします。  厚生労働省と農林水産省は、米国産及びカナダ産牛肉のリスクについて、本年5月、 食品安全委員会に評価を依頼したところでございますが、この12月8日に評価結果が取 りまとめられております。この評価結果を受けまして、厚生労働省と農林水産省では、 一昨年より停止しておりました米国及びカナダ産牛肉等の輸入を再開することといたし ました。  本日の説明会は、消費者を初めとする関係者の方々に、輸入再開に至った背景ですと か国の安全確保に向けた取り組みなどを御説明し、参加者の方々の疑問点や意見につい て話し合うということで、この問題についての理解を深めていただくため、全国9カ所 で開催しているものの一つでございます。  初めに、配布資料の確認をさせていただきます。  お手元に議事次第の方があるかと思いますが、本日の配布資料といたしましては、ま ず、資料として、「米国及びカナダ産牛肉の輸入再開について」という少し厚めのものが ございます。これが本日これからパワーポイントで御説明させていただく資料の中身に なります。  それから、参考資料が5点ほどございます。参考資料1が「食品健康影響評価につい て」、これは食品安全委員会への諮問のものでございます。参考資料2が「食品健康影響 評価の結果の通知について」、これは食品安全委員会の答申でございます。それから、参 考資料3といたしまして、「米国及びカナダ産牛肉等に係る食品健康影響評価のポイント について」というものですが、これは内閣府食品安全委員会事務局においてつくられた 評価の中身についての説明をする絵になっております。参考資料4といたしまして「米 国産牛肉等の輸入再開に当たって」というものと、それから、参考資料5が「米国・カ ナダ産牛肉の輸入再開について(Q&A)」。この5点が入ってございます。  資料の不足等がございましたら、お近くのスタッフまたは受付にお申し出ください。  なお、本日、資料のほかにアンケートを入れております。本日の会についてお尋ねし ているものですが、アンケートの方の御記入もよろしくお願いいたします。  続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきます。まず、厚生労働省大 臣官房の藤井充参事官と農林水産省大臣官房の伊地知俊一参事官の方から、米国・カナ ダ産牛肉等への対応についての説明を1時間程度させていただきます。説明終了後、10 分間程度の休憩をとらせていただき、その後に質疑応答というふうに進めさせていただ きたいと考えております。なお、会場の都合上、午後4時半ごろには終了させていただ きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 2.議 事  (1) 米国・カナダ産牛肉等への対応について  (2) 質疑応答 ○司会(広瀬補佐)  では、先に藤井参事官から、途中で交代して伊地知参事官から御説明をさせていただ きます。よろしくお願いいたします。 ○藤井参事官  それでは、時間も限られておりますので、早速御説明をさせていただきたいと思いま す。  先ほど司会からございましたように、お手元の封筒の中に、右上に「資料」という形 で、今からお見せするスライドと同じもののコピーが入っております。見えづらいとこ ろについては、その資料をごらんになりながら話を聞いていただければと思います。  説明の流れとしましては、大きくはここにお示しをしている順序でお話をしたいと思 います。Vの途中からが後段で、農林水産省の参事官に説明をバトンタッチさせていた だきたいと思います。  まず、食品安全委員会から出た答申について簡単に触れさせていただきたいと思いま す。そこにはお示ししておりませんけれども、食品安全委員会に厚生労働省と農林水産 省の方で、米国・カナダ産牛肉の輸入再開に関するリスク評価について諮問をしました のが、今年の5月24日になります。その諮問をする前に、今回のケースにつきましては、 全国で9カ所意見交換会を開催しまして、いろいろと皆さん方の意見も聞いたというこ とでございます。名古屋でも開催をしておりますので、そのときに御参加いただいた方 がおられるかもわかりません。  そして、5月24日に諮問をしまして、その後、食品安全委員会の方では、プリオン専 門調査会での10回にわたる審議を経て、10月31日に報告書案がまとまっております。 その案を受けまして、食品安全委員会の方でパブリックコメントを開催し、全国7カ所 で意見交換会を開催されております。それらを最終的にまとめて、12月8日に、食品安 全委員会から厚生労働省と農林水産省の方に、答申という形ですべてのものがまとめら れ送付をされております。  具体的にその答申の中身に入ります前に一つだけ、厚生労働省と農林水産省が諮問を したときの背景について触れさせていただきたいと思います。  衛生植物検疫措置の適用に関する協定、簡単にSPS協定と呼んでおりますが、これ は何のことか、余り聞きなれないことで、おわかりにならないかもわかりません。WT O(世界貿易機関)という国際機関がありまして、そこで世界中の貿易に関するいろい ろな調整、ルールづくりをやっております。日本も国際社会の一員でありますから、W TOの場で決められたルールに基づいて国際貿易をやっております。その国際貿易のル ールの中に食品の衛生に関するルールがありまして、それをSPS協定と呼んでおりま す。  SPS協定の中に牛肉に関することも含まれておりまして、その牛肉に関することだ け、骨子をここにお示ししております。OIEというのは国際獣疫事務局で、家畜等の 衛生基準等を決める国際機関であります。牛肉の国際貿易に当たっては、その基準に基 づく措置を推奨する。そして二つ目でありますが、牛肉の国際貿易の中で何か暫定的な 措置をとった場合――今回の件でいいますと、平成15年5月にカナダで、12月にアメ リカでBSEが発見されたことに基づいて、我が国は暫定的に輸入を停止するという措 置をとりました。それが暫定的な措置ということになるわけです。その暫定的な措置を とった場合には、一定の期間の中にきちんと情報を集めて、科学的にその措置を再検討 する必要があるとうたわれております。  今回、そういう背景もありまして、アメリカ・カナダ産牛肉についてリスク評価を食 品安全委員会にお願いをすることになったというものであります。  食品安全委員会のリスク評価の中身に入らせていただきたいと思います。  いろいろとアメリカ・カナダ産の牛肉に関するデータをそろえる必要がありますが、 我が国と同じようなレベルでデータをそろえるのは非常に難しい面もあると指摘されて おります。データがある部分については、できるだけそのデータに基づいて評価をする。 ただし、全体的な考え方としては、データに基づかない部分が多いものですから、定性 的評価を基本とせざるを得ないということで、その定性的評価が牛のリスクと牛肉のリ スクの二つに分けてなされております。  牛のリスクといいますのは、簡単に言いますと、BSEにどれだけ牛が汚染、感染し ているかというリスクであります。牛肉、内臓のリスクというのは、BSEの病原体の もとになる異常プリオンにどれだけ汚染されているかを評価するものであります。食品 安全委員会の方では、この二つを個別に評価し、最後に総合的にあわせて評価をされて おります。  次からは、個々について簡単に御説明します。まず最初は、牛そのもののリスクであ ります。  @侵入リスクとA暴露・増幅リスクをあわせまして、生体牛のリスクを評価しており ます。説明をする時間もありませんので細かいことは申し上げませんが、この侵入リス クと暴露・増幅リスクの二つのリスクを総合的に評価すると、楽観的には日本と同等程 度であり、悲観的には約10倍ぐらい、牛そのものがBSEに汚染されているリスクがあ るだろうという結論になっております。  そして、後でサーベイランスということが出てまいりますが、日本もアメリカもカナ ダも、どれだけBSEに感染しているかというデータをいろいろとっております。その データの範囲で推計すると、アメリカでは日本の5〜6倍、カナダでは日本の4〜5倍 のリスクがある牛の絶対数があるだろう。ただし、アメリカもカナダも、日本に比べて 牛を飼育している頭数がかなり多いものですから、これを100万頭当たりにしますと、 アメリカの場合は日本に比べてリスクがやや少ない、カナダの場合は日本と同等程度で あるということになっております。  サーベイランスについては、データのとり方が日本とアメリカ・カナダとではかなり 違っておりまして、食品安全委員会の報告の中では、米国・カナダのデータのとり方は さらに強化が必要であり、そのデータによってはリスクの再評価も必要であるというこ とになっております。  次が、牛肉そのもの、内臓そのものが異常プリオンに汚染されているリスクの総括で あります。日本向け輸出プログラムについては後で御説明いたしますが、簡単に言いま すと、すべての月齢から特定危険部位を除去し、21カ月齢以下の牛の牛肉等であるとい う条件が遵守されれば、プリオンによる汚染の可能性は非常に低いという結論になって おります。  先ほどの牛自身のリスク評価と牛肉のリスク評価を総合的にあわせまして結論が導か れております。「結論@」とありますのは、結論の部分については、ほぼそのまま抜き書 きをしておりますので、二つのスライドになっております。  「米国・カナダに関するデータの質・量ともに不明な点が多いこと、管理措置の遵守 を前提に評価せざるを得なかったことから、米国・カナダのBSEリスクの科学的同等 性を評価することは困難と言わざるを得ない。他方、リスク管理機関から提示された輸 出プログラムが遵守されるものと仮定した上で、米国・カナダの牛に由来する牛肉等と、 我が国の全月齢の牛に由来する牛肉等のリスクレベルについて、そのリスクの差は非常 に小さいと考えられる」。  後段の方でありますが、「リスク管理機関が輸入を再開する措置をとった場合には、仮 定を前提に評価したものとして、プリオン専門調査会は、管理機関から輸出プログラム の実効性及びその遵守に関する検証結果の報告を受ける義務があり、また、管理機関は 国民に報告する義務を負うものと考える」。  実際の報告の中には、この結論に加えまして、ここの下にもありますように、附帯事 項というものが幾つかついております。それは、また後ほど、対応のところで御説明を しながら、対応方針を御説明させていただきたいと思います。  次からが、この食品安全委員会の答申を踏まえました、厚生労働省と農林水産省の対 応についてでございます。  まず、結論の前段部分につきまして要約をして、大きく二つに分けております。まず 言われておりましたのが、米国・カナダのデータは質・量に不明な点が多い、そして、 20カ月齢以下とか特定危険部位の除去といった管理措置を前提に評価しなければなら なかったために、科学的同等性を評価するのは困難という結論で指摘をされております。 そしてその後に、輸出プログラムが遵守されたと仮定した場合にはリスクの差は非常に 小さいと書かれています。  ここは多くの皆さん方が非常にわかりにくいと指摘をされたところだろうと思ってお ります。私どもがこれをどのように理解しているかを申し上げます。ちょうど昨年、食 品安全委員会では、我が国のBSE対策について独自に検証をされ、その後、厚生労働 省と農林水産省の諮問に応じて、さらに管理措置について検討、評価をされました。そ のときは、我が国の問題でありますので、データが質・量ともに非常に豊富にありまし た。それと比べると、やはりアメリカ・カナダの方は、前提条件もある、外国でもある ということも含めて、同じレベルで評価をすることは難しいというのが、この「科学的 同等性を評価するのは困難」という言葉になったのだろうと思います。  ただ、いろいろな記者会見等でも、そうした後段の部分が科学的評価でないのかとい う質問が出たときに、「いや、そこは科学的にきちんと評価をしました」というのが食品 安全委員会の方の答えでありました。したがいまして、我が国と同等レベルではなかな かデータ的に評価するのは困難だけれども、一定の仮定を置いた場合にはリスクの差が 非常に小さいという結論でありましたので、20カ月齢以下であるとか、すべての月齢か ら特定危険部位を除去するといった一定の条件を満たした牛肉について、輸入を禁止す る措置を継続する科学的根拠がなくなり、輸入を認めることにしたということでござい ます。  そして、結論の後段の方で、リスク管理機関すなわち厚生労働省と農林水産省が輸入 再開の措置をした場合には、プログラムの実効性、遵守といったものをきちんと検証し てプリオン専門調査会に報告をしなさい、国民の方にも報告をしなさいということが指 摘されております。現在、その検証をするために、厚生労働省と農林水産省の担当官が アメリカとカナダで査察を実施しております。その査察結果は、恐らく今週末ぐらいに は日本に帰ってきて、ちょっとまとめたりすることもありますので、多分来年になって しまうのではないかと思いますが、食品安全委員会へ、そして、いろんな手段を通じて 国民の皆さんにも情報提供をしていこうということになっております。  結論には実際は附帯事項がついているというお話をしました。その結論の附帯事項は、 まず前段の方では、米国・カナダの対応について、この3点が指摘されております。脊 髄除去の監視体制の強化、いろいろとBSE汚染なんかのデータをとるサーベイランス の強化、そして、飼料規制の問題、交差汚染の問題。これらについて附帯事項の中で指 摘をされておりましたので、米国・カナダ政府に対しまして、この食品安全委員会から の三つの指摘についてきちんとした対応をするようにと、12月12日に、東京にある両 国の大使館の公使を呼んで、その対応について要請をしております。  附帯事項の後段の方は、厚生労働省と農林水産省に対してということであります。輸 出プログラムはまた後で御説明しますが、20カ月齢以下の牛からの牛肉であるとか、特 定危険部位を全月齢で除去するとか、そういうリスク低減措置がきちんと実行されてい るか保証をするシステムが必要である。これはアメリカ・カナダの国内でもいろんなシ ステムが動いております。それについてはまた後ほど御説明をさせていただきますが、 それに加えまして、先ほど申し上げましたように、我が国から査察をしまして、輸出国 側の措置、対応がきちんと機能しているかどうかを現場に行って直接確認するというこ とを、現在もしておりますし、今後も定期的にしていこうということでございます。  それから、特定危険部位の除去であるとか、20カ月齢以下の牛肉であるとか、そうい う管理措置が守られずに、重大な事態を招くようになれば、一たん輸入を停止すること も必要であろうという指摘がありました。これについても、アメリカ・カナダの国内、 そして輸入をされるとき、国内に入るときの日本の水際でいろいろと対応措置を考えて おります。  次からが、アメリカ・カナダで実際にどういう対応が行われているかを御説明したい と思います。  最初に、日本向け輸出プログラムについて、これまで何回も言葉の上では出てきまし たが、再度これについて概要を御説明したいと思います。  まず、この輸出プログラムの中には、日本向け牛肉等の条件というものが明記されて おります。一つ言い忘れましたが、アメリカ・カナダについても、いわゆるBSE対策 ということで国内措置をとっております。国内措置に加えて、日本向けに輸出をする牛 肉については、上乗せ措置として輸出プログラムを遵守しなければならないという形に なっております。その牛肉の条件は、例えば、アメリカ・カナダの国内でありますと、 多くの特定危険部位の除去は30カ月齢以上の牛ということになっております。ただし、 日本向けの場合には、すべての月齢から特定危険部位を除去していただく必要があるこ とになっております。そして、輸出対象の牛肉は、20カ月齢以下と証明される牛からの ものであること。この二つが一番大きな条件であります。  それに加えまして、アメリカ・カナダの食肉処理施設は、日本向けだけの処理をして いるところはほとんどありません。そういう意味から、日本向けの牛肉を処理するとこ ろから梱包、包装をして出荷をするまで、その他の牛肉、自国向けまたは日本以外の外 国向けに牛肉を処理しているものと混じらないように、きちんと区分けをしていること が必要であるという条件がついております。  実際に、何が輸出可能になるかということについては、いわゆる肉の部分と内臓です。 内臓といいましても、特定危険部位を除きました胃、腸、肝臓、タンが入ってまいりま す。※印に書いてありますけれども、加工製品、そして、ひき肉は日本向けに輸出でき ません。  これがなぜかとよく聞かれるのですが、先ほど、輸出できる肉の条件を、特定危険部 位の除去と20カ月齢以下の牛からの牛肉等であることと申し上げましたが、ひき肉とか 加工食品になりますと、そういうことをなかなか識別することができないことから、今 回は、これについては輸出対象から外されております。お手元のQ&Aの中にも同じこ とを書いておりますが、Q&Aの中では、旅行者がアメリカ・カナダからビーフジャー キーを持ち込むとか、場合によっては生肉を持ち込むとかいうことが考えられるわけで ありますが、それも禁止をされております。  アメリカとカナダの国内で輸出プログラムが守られる、遵守をされる仕組みの一つを、 これはほとんどカナダも同じでありますので、アメリカの例でお示しします。  まず、我が国へ牛肉を輸出したいという業者さんは、国内措置に加えて日本向けのプ ログラムを遵守しなければならないことになりますので、そのプログラム参加への申請 を米国の農務省に提出します。農務省では、書類審査に加えまして、実際の現地の処理 施設に査察に行きまして、そういうものがきちんと守られる設備、体制になっているの かどうかを確認した上で認可をすることになっております。  アメリカの食肉処理施設は800余りありますけれども、それがすべて日本向け輸出を したいと思っているわけでもありませんし、こういう仕組みの中で認定をされるのは、 当初の段階では40程度かと考えております。なぜ40ぐらいかというと、平成15年に輸 出がとまる前、大体40ぐらいの食肉処理の施設から我が国に牛肉が輸出されていたこと から、最初は同じ程度の施設が認定を受けたいと言ってくるかと考えております。  そして、認定の一つの条件として、食肉処理施設は必ず自分のところで定期的に内部 監査を実施しなければならないことになっております。そのほか、農務省の検査官が常 駐をして、いろいろと特定危険部位の除去の確認等をやっているということがあります。 それに加えまして、農務省の方からも年に2回、現場の施設に入って査察をして、問題 がないかを確認するというシステムになっております。  そして、プログラムに違反をした場合の罰則が、アメリカもカナダもございます。こ れも例としてアメリカの場合をお示ししておりますが、日本向け輸出プログラムに参加 するときに申請をすると申し上げましたが、虚偽の申請をした場合については、連邦刑 法によりまして懲役か罰金の罰則があります。一たん認定をされまして、その中でプロ グラムの実施上、実行上に問題があった場合につきましては、その程度によりまして、 改善の指示から輸出資格の停止まで、さまざまな罰則が科せられることになっておりま す。  日本向け輸出プログラムの大きな柱は、すべての月齢からの特定危険部位の除去と20 カ月齢以下の牛からの牛肉等と申し上げましたが、その一つの柱であります特定危険部 位の除去について簡単に御説明をしたいと思います。  特定危険部位の範囲は、全月齢の牛の頭部等々書いておりますが、この範囲は、我が 国で対象としている特定危険部位と同じだということで御理解いただいたらいいと思い ます。  そして、その特定危険部位を実際に除去する場合には、アメリカ、カナダでは、かな り細かな手順を文書化して作成し、それに基づいて実施することが求められております。 その手順の作成、それに基づいて実施したこと、そして、内部監査等の話をさせていた だきましたが、内部監査についても、そういうものをやったら必ず記録をとることを求 められております。こういうすべての計画については、政府が本当にきちんとやられて いるかどうかを検証することになっております。これは、認定のときに見ますし、それ から年2回、施設に監査に入るときにチェックすることになろうかと思います。  具体的に特定危険部位の除去をどのようにやるのか、なかなかイメージとしてわかり づらいところがあろうかと思いますので、次からは、実際の食肉処理場でのフローを御 説明させていただいて、その中で特定危険部位の除去についても触れさせていただきた いと思います。皆さんのお手元の資料はカラーになっていないので、見えづらいところ があるかもわかりませんが、前のスライドをごらんいただければと思います。  最初に、多くの場合はトレーラーで牛が施設に搬入されてまいります。そして実際の 食肉処理施設、屠場に入るまでに、いわゆるBSEに感染しておりますと、牛が神経症 状を示すと言われておりますので、その牛が行動異常を示さないかどうかとか、歩行異 常がないかどうかを事前に屠畜場に入る前にチェックします。トレーラーからおろして、 牛のたまり場に集めて、検査に合格したものだけが屠畜場に移ることになります。ここ の検査は、政府の検査官による検査がやられております。検査官はどういう資格なのか とよく言われますが、獣医の資格を持った獣医官、または獣医官が監督をする食肉検査 官が生体検査を実施することになっております。  生体検査で問題がなかった牛については、処理場に搬入されまして、そこで屠殺が行 われます。屠殺をするのは、日本も大体同じ形式でありますが、スタンガンというもの で屠殺します。この先に鉄の棒状のものが出ておりますが、スイッチを入れますと、こ の棒状のものが飛び出す仕組みになっています。屠殺の場合については、牛の額にスタ ンガンで衝撃を与えますと、これが飛び出しまして牛が失神するという形になります。 失神をした牛の足にすばやく器具をつけまして、逆さにつり下げて、首のところにある 動脈を切って血を抜きます。そして皮をはいで、次から頭部除去、内臓摘出ということ になるわけです。  ここにお示ししておりますのは頭部除去で、頭部は、ほほ肉とかタンの部分以外は特 定危険部位となっております。念入りに除去をされるわけでありますが、アメリカの場 合、多くのところでは、タンの部分とそれ以外の頭部の部分、この二つの部分に分けて 除去をされます。このタンの部分はこちらが先端でありますが、この途中までは特定危 険部位ではありませんので、きちんとした月齢が確認されているものについては、下の 方にある舌扁桃という特定危険部位を除去したものについては日本に輸出することが可 能になります。頭部を除去した後、その他の内臓を除去いたします。  次に、牛の胴体を真っ二つに割る背割りという作業をいたします。尻尾の方から頭の 方にかけまして、大きな電気のこぎりで、乗っている台をだんだん下に下げながら背割 りをいたします。御存じのように、ちょうど背骨のところに脊髄がありまして、脊髄は 特定危険部位の一つになっておりますので、電気のこぎりがそういうものに触れる可能 性があるということで、1頭ごとに洗浄消毒をするシステムになっております。  そして、背割りで真っ二つに分けられた後は、脊髄の除去をいたします。ここの先端 のところが非常に鋭い刃物のような形になっておりまして、ここに脊髄が走っているわ けですが、その先端の刃物のようなところでこそげ取りながら脊髄を吸引するという形 で脊髄除去を実施いたします。脊髄除去についても、脊髄は特定危険部位そのものであ りますから、1頭ごとに器具の洗浄を実施いたします。脊髄除去の確認はだれがするか という話がよくあるわけですが、これについても政府の検査官が確認することになって おります。  点線から以下は直接脊髄除去には関係ないのですが、食肉処理場ではいろんな場面で ナイフが使われます。ナイフも、衛生面の配慮から、ダブルナイフシステムということ で、1本を使っているときは1本消毒し、それを交代交代に使うという形でナイフの使 用がされております。  脊髄除去の後は、脊髄の破片なんかが残っていれば、それは特定危険部位であります ので、危険でありますから高圧洗浄をいたします。その後、蒸気による消毒をいたしま す。蒸気による消毒というのは、我が国でもやっているところがあります。ただし、義 務づけまでは行っておりません。アメリカ・カナダの場合はこれが義務づけになってお りまして、細菌の汚染を抑制するという意味で蒸気が使われております。  その後、アメリカ・カナダの処理施設は毎日の処理頭数が多いものですから、コンピ ュータで管理をするというのがかなり導入されております。その場合には、一体どこか らの牛がいつ処理をされたのかという情報がわかるように、こういうタグをつけてコン ピュータ処理がされております。輸出プログラムの大きな二つの条件に加えて、日本向 けの牛肉がきちんと区別される必要があると申し上げましたが、そういうときにもコン ピュータ管理が有効になってくるのだろうと思っております。  今までお示しをしたのは、実際に国内向けの措置等もほぼ同じことをやっているとこ ろがありますので、実際の場面をお示ししたのですが、次は、スライドをつくる時点で は実際にやっていなかったものですから、日本向け輸出プログラムが動くとこうなるで あろうというデモンストレーションということで御理解いただきたいと思います。  一たん洗浄されたものは、肉を落ち着かせるために、冷たい場所でしばらく保管され ます。その後、この場合で言いますと、アメリカでは食肉の格付がされておりますが、 その食肉の格付を活用して20カ月齢以下の牛を判別していこうというデモンストレー ションであります。最初から書面等で20カ月齢以下とわかっている牛については、一々 こういうことをやらずとも、既にそれが20カ月齢以下とわかっておりますので、もっと 簡単なわけでありますが、これはあくまでも、最初に書類等で20カ月齢以下と判別して いない牛が、こういうルールで20カ月齢以下と判別されるというデモであります。  格付がされる際に、恐らく20カ月齢以下じゃないかと言われるものについては、例え ば、この例でいきますと、ジャパンの「J」というスタンプを押されてラインを分けら れます。日本向けに作業するラインに「J」マークのものが集められて、改めて枝肉の 生理学的成熟度のA40というもので20カ月齢以下と確認をいたします。A40による生 理学的成熟度の月齢判定については、後ほど改めて御説明します。ここでは、こういう ふうにするのだということを御理解いただきたいと思います。格付につきましても、政 府の担当官が確認をして、確かに生理学的成熟度からいくと20カ月齢以下である、A40 以下であるというものについては、改めて「USDA」というマークが押されて、対日 輸出用と確定するというシステムになっております。  今御説明したのは、書面等で20カ月齢以下とわからない牛でありましたけれども、最 初からわかっている牛も含めて、きちんとほかのものと混じらないように区別して管理 をされます。その後、特定危険部位の一つである脊柱を除去いたしまして、カットをし て包装する。そして、きちんと情報をパッケージに付した上で出荷するという形になり ます。  次からは、先ほどの月齢の確認について、もう少し詳しく御説明させていただきたい と思います。 ○伊地知参事官  農林水産省の伊地知でございます。スライドの後半部分につきまして私の方から御説 明をいたします。  月齢確認というのはEVプログラムの中でも、20カ月齢以下であるということを確 認するため、大変重要な事項でございます。  スライドをお願いいたします。月齢の判別の方法はどういうものがあるかということ で、ここにお示しをしております。アメリカの場合には生産記録または生理学的成熟度、 よくA40と言われてるものです。これについてはまた後ほど御説明いたします。カナ ダは個体識別制度で証明をしていく。日本の場合も個体識別制度、トレーサビリティと 言われているものでございます。  次、お願いします。個体識別制度についてもう少し御説明いたしますと、アメリカの 場合は、制度として義務化はされておりません。任意の仕組みでございますが、200 4年から試験的に導入をしておりまして、USDAが認証して、一部で行われておりま す。ただ、まだ全国的には行われておりません。2009年1月をめどに完成の予定で あるということで、今、試験的にやっている状況でございます。カナダでは既に200 2年の7月からこの制度が導入され、義務化されております。日本よりも早く導入がな されております。日本の場合は2003年12月から導入をされております。ただ、情 報の内容といたしまして、この個体識別制度では、例えば豪州でもそうですが個体の番 号と出生農場、どういう経路でその牛が来たのかということがわかるということでござ いまして、基本的には、生年月日というのは義務化をされていないわけですが、カナダ の場合は任意で生年月日を入れるようにしております。日本の場合は生年月日も入れる ことになっております。ただ、この仕組みは、一般的には、家畜の伝染病とか、あるい は製品になって食中毒とかが起こったときに、それを追跡をしていくということで、ど ういう経路で来たかというのをトレース、追跡することができる仕組みということで、 カナダでは生年月日までは義務化がされていないわけでございます。  次、お願いいたします。アメリカでも独自に、このトレーサビリティシステムとは別 に、パッカーは独自にこういう耳標をつけております。農家は農家で自分のとこでつけ るところが多いわけです。日本でも、トレーサビリティが導入される前でも、農家では、 特に数多く飼ってる農家では、自分のところで耳標をつけて管理をしてたわけです。し たがいまして、アメリカもこういう耳標が全然ついてないかというと、そうではなくて、 それぞれ独自に耳標をつけて管理をしてるというのが実態でございます。  次、お願いします。カナダの場合、もう少し詳しく書いてございますけど、1989 年にカナダ牛個体識別管理局というところが設立されまして、2000年4月には個体 識別の法令が公布をされました。それと、2001年の1月から制度が開始をしまして、 2002年7月から、完全実施されております。それと、カナダは最近さらに進んでお りまして、こういう番号が入っているもの以外に、無線で読み取る方法に今切りかえて いこうということで、ハイテクを使って、さらに便利な方法に改善がなされてきており ます。  次、お願いいたします。個体の月齢を知る方法は、今申しましたように、個体識別制 度を使うということでございますが、個体識別の前提になるのが生産記録でございます。 生産記録をとって個体識別制度に乗せていくことになるわけですが、まず生産記録とい うのはどういうものかというと、これは牛が生まれたところを見て確認し、いつ生まれ たという記録をとるということです。それで、農家で耳標をつけて、その耳標と生年月 日を記録をしておく。これが基本でございまして、個体の番号と生年月日を記録した台 帳を備えるということです。これが個体識別制度のベースになっているということでご ざいます。  それと、次、お願いいたします。アメリカは牛の数が多くて、1頭1頭生年月日を確 認はできないんだとよく言われます。じゃあ、個体の数が多いものはアメリカではどう いうふうにして生年月日を確認するかというと、生産記録による月齢の確認を群単位で やる。群単位で確認をやっていきましょうということです。数が多いと、なかなか1頭 1頭確認するというのは大変だということで考えられた方法でございます。  普通は、放牧をしてても、春に子供が生まれるようになるべくしようということで、 季節繁殖と言ってますけども、春に生まれれば、草が多いので子牛がよく育つわけです。 冬に子牛を産ませると、草がないので、子牛を育てるのはなかなか難しいということで、 かなりの農家は春に子牛を産ませる管理をしております。春に子供を産ませるためには、 その妊娠期間をさかのぼった約10カ月前に雄牛を雌牛の群れの中に入れます。そこで 自然交配がなされまして、妊娠期間を経て子牛が生まれる。春に生まれるためには、1 0カ月ぐらい前に、夏に雄牛を雌の群れの中に入れるということをやっています。雄牛 を入れたら、大体すぐ種つけをやります。雄が種をつけ雌が妊娠します。そうすると、 約10カ月後に生まれますから、いつごろ子牛が生まれるなというのを農家がわかるわ けです。そして、生まれそうな時期によく観察して、最初に生まれた子牛の生年月日を 確認します。最初に生まれた子牛の生年月日が確認できたら、その後、二、三カ月の間 に生まれる子牛については、もう生まれるところは確認しません。子牛が生まれたのに 気づいたら、そのときにこの生まれた子牛も最初に生まれた子牛の生年月日にするとい うことです。そうすると、若い牛も年をとった生年月日がついてしまうということです。 ですけども、それは20カ月齢以下という管理をやる上では問題ないわけでございまし て、例えばこういう群単位での記録というのがここにでています。ここでグループの一 番年とったものは何カ月齢かというと、これは12カ月齢となっています。これは恐ら く育成の農家での記録だと思いますが、12カ月齢が一番年とってます。これはいつ生 まれたのかというと、生まれた期間が2004年の2月1日から2004年の4月15 日までの間、この期間に生まれたもので一番年とってるのは12カ月齢ですよというこ とです。このように、群単位で生年月日を管理するというのが出生記録の2番目の方法 でございます。  次、お願いいたします。それから、アメリカは先ほど生理学的成熟度、A40という ので確認すると申し上げました。カナダにはこの仕組みがありませんでした。カナダと アメリカでは、そういう格付の仕組みが違いまして、アメリカは、長い間、格付の仕組 みの中で格付の要素として生理学的成熟度というのを使ってきております。したがいま して、アメリカはその仕組みを使って月齢の判定ができるのではないかという提案をし てきました。一般的には30カ月齢であれば歯で判定するんですね。この歯で判定する のは、牛の場合、前の切歯、最初の第1切歯と第2切歯、これらが乳歯から永久歯に生 えかわるときが大体30カ月齢だと言われてるわけです。国際的に、30カ月齢という ところが基準になってまして、アメリカもカナダもそれを歯で判定をしております。た だ、20カ月齢というのは、その切歯で判定するのができないので、新たにこの生理学 的成熟度という手法を用いたらどうかということで提案があったわけです。  それで、生理学的成熟度はどういうものかというのを次に御説明いたします。生理学 的成熟度、A40での判定の流れというのをここに示しております。屠畜をされ、その 後枝肉の格付がなされます。格付というのは、日本の場合はAの5とかAの4とかとい う格付をされます。A、B、Cが歩留りで、1から5までが肉質ということで、例えば、 最高級の和牛であればAの5という格付がされるわけです。アメリカも似たような格付 けの仕組みを持ってるわけです。むしろ日本の方がまねしたかもしれませんけど、日本 ほど精緻なものにはなってませんが、生理学的成熟度と脂肪交雑を要素として、プライ ムとかチョイスとか、そういう格付がなされてます。そういう通常の格付をここでやり ます。その際に、先ほど言いましたように、生理学的成熟度もその1つの要素になって ますので、ここでその生理学的成熟度についても見るわけです。そこで、日本向けに輸 出できそうなものを識別をする。他のものと識別をするということで、ここで分けます。 それで、分けた上で、さらにこのAの40以下かどうかというものをここで確認をする という作業をやることにしております。そして、Aの40以下のものは、日本向けの輸 出が可能になる。それと、中に、もしAの50以上のものがまざっていたら、これは日 本には輸出できませんので、国内向けに回すというような確認をしております。  次、お願いいたします。これは格付、アメリカは長い間、格付の仕組みを持っていま して、マニュアルに基づいて格付がなされてる。どういうものがどういう格付であると いうマニュアルがちゃんと整備されてまして、こういうような形で確認をしていく。時々 は目合わせということで、人によって格付にばらつきがないような目合わせみたいなこ ともやってきてるということです。  次、お願いいたします。それで、生理学的成熟度のAの40というのはどうやってど こで見てるんだということです。生理学的成熟度は、AからEまでの5段階があって、 さらにその5段階の中でそれぞれが10に分かれてます。Aが一番成熟度が低くて、E に行くほど成熟度が高いもの。それと、Aの中でもAの10、Aの20、Aの30とい うように数字が上がっていくにつれて成熟度が高くなってくるということです。したが いまして、Aの40というのはかなり成熟度が低いものであるということです。その成 熟度は、肉色とか骨の状況とかを見て決めております。  それで、Aの40の識別の一番のポイントというのが、この腰椎を見るということで、 よく肉質でわからないと言われるように、肉質ではこのAの40と50のところはなか なか難しいところがありますが、この腰椎を見ることによって識別が可能であるという ことで専門家の評価をいただいております。普通は、まずおしりのところが仙椎といい ます。それから腰のところが腰椎、それから胸椎、それと首に行って頸椎というふうに 背骨があるわけですけども、仙椎、人間だったら下の方から、牛だったら後ろの方から 骨化が進んできます。軟骨がだんだんかたい骨になってきます。そこの一番見てわかり やすいところが棘突起という部分です。ここの棘突起の先っちょの方が、これが軟骨だ けの場合、一部骨化してる場合、ほぼ骨化した場合というふうに、腰椎の棘突起の上部 を見ることによって区別ができるということです。それで、一部骨化してる状況がAの 40で、こうなるとAの50だということで、これは専門家が見れば識別は十分に可能 であるとの評価をいただいてます。  この評価、アメリカが勝手に評価したわけでなくて、アメリカ側が試験データを出し て、日本の専門家が評価をするということで、牛の月齢に関する検討会というのを設け まして、日本の専門家、解剖の専門家お二人、それから格付、肉質の専門家お二人、そ れと統計の専門家お二人の計6名の先生方に評価をしてもらいました。この検討会は公 開の場で、アメリカと日本の専門家での議論がなされたところであります。その結論と いたしまして、Aの40というのはこういう腰椎の棘突起の上部を見ることによって識 別が可能であるということになったわけでございます。  実際に、このAの40以下というのはどういう比率があるのかというと、アメリカは 肥育牛の8割から9割は20カ月齢以下であるということを言っております。したがい まして、本来ならAの60とかAの70で認めてもらいたいという意向がありました。 Aの40以下というのは1割以下しかありません。約8%ぐらいです。現状でですね。 これから若い牛を一生懸命つくろうと思って肥育期間を短くしていけば、それはふえる 可能性はありますけども、現状では約8%です。それで、Aの60までとると約半分ぐ らいになる。Aの70までとると約8割ぐらいになるわけです。アメリカは、アメリカ の牛は大体20カ月齢以下であるということで、Aの60か70でもいいはずだという ことを言っておりましたけれども、やはり個体差があります。個体差があるということ は、アメリカは生年月日がわからないので、2カ月ぐらいの幅で生年月日をとって、そ れでこのデータをとってますので、Aの50にしたら21カ月齢が何頭か入ったんです ね。アメリカにしてみれば、これは頭数少なくて、さっきみたいに生年月日の幅がある んだから、認めてくれというようなお話もありましたけども、そこは21カ月齢以上が 入るのは絶対だめであるということで、かなり成熟度の低いAの40でということで決 まったものでございます。  次、お願いします。それから、アメリカ・カナダ側の管理措置についてでございます。  よく飼料規制がアメリカはいいかげんだと言われますけども、何が日本と違うかとい うと、日本の場合は牛の肉骨粉は豚にも鶏にも給与したらだめだとなってます。豚の肉 骨粉も鶏の肉骨粉も牛にはだめです。こういうふうになってますね。ただ、牛の肉骨粉 を豚が食べてもBSEにはかかりません。牛の肉骨粉を鶏が食べても、これはBSEに はかかりません。それと、豚の肉骨粉を牛が食べてもBSEには、恐らくこれはなりま せん。したがいまして、国際的に、反すう動物の肉骨粉を反すう動物に給与してはいけ ないというのが基本です。アメリカは、自分たちはその基本をちゃんとやってるんだと いうことを言ってます。  日本はなぜこういうことをやってるかというと、念のための措置なんです。なぜ念の ための措置かというと、例えば豚の肉骨粉に牛の肉骨粉がまざっていたら、それを牛に やったら、結果的に牛の肉骨粉を牛が食べたことになるんじゃないかということなんで す。日本の場合には、豚と牛を同じ屠畜場で処理してるところが多いんです。屠畜場は 日本の場合は規模が小さいので、豚も牛も一緒にやってるところが多いですね。アメリ カの場合は、牛は牛、豚は豚と分かれてるところが多いんですね。それと、飼料工場で も、日本の場合、規模が小さいので豚のえさと牛のえさと鶏のえさを一緒につくってる ところが多いわけです。そういう背景もありますので、こういう念のための措置という ことでの交差汚染防止対策を日本はやってる。アメリカはそういう措置がとられていな いということです。  日本の場合は、豚の肉骨粉を豚にやることも禁止していたんですけども、ラインをち ゃんと分けるということを条件にして、今それは認めております。そういうことで、こ こがアメリカと日本が違うということです。  次、お願いします。それと、BSEの検査がアメリカと日本では考え方が違うとよく 言われます。これはサーベイランスの目的をどう考えるかということです。アメリカ・ カナダは、日本以外の欧米等でもそうなんですけども、サーベイランスというのは、B SEが今どれだけいるんだという、BSEの浸潤状況を把握するためであるということ。 それと、BSE対策の効果を確認する。例えば飼料規制をしても、それから5年後、1 0年後にBSEがどんどん出るようであれば、その飼料規制は効果が余りないというこ とがわかるんだということで、そういうBSE対策の効果を確認するためであるという、 この2つの大きな目的があるということです。これは日本も同じです。  日本では死亡牛の検査と、屠畜牛の検査と両方をやってます。アメリカとカナダでは、 屠畜場での健康な牛の検査をしてません。アメリカはこれから少しやると言ってますけ ども、カナダもやってません。それは屠畜牛でこの検査をするのは、日本の場合は食肉 の安全性の確保のためである。BSEの検査をして、BSEの牛がいたら、それを排除 する目的もあるということです。屠畜牛の検査はEUもやっております。EUは30カ 月齢以上の健康な牛を屠畜場で検査をする。国によっては、ドイツとかは念のために2 4カ月齢以上をやってます。ただ、それ以下のものは検査をしても陰性に出るので、検 査はしないということです。日本の場合は全頭検査をやっておりましたけども、これは BSEが発生して大変なパニック状況になって、そういう状況をおさめるということも あってやってきました。ことしの8月からは制度的には21カ月齢以上の検査をする。 ただ、都道府県が自主的に検査するものについては支援を引き続きやっていくというこ とで、現実としては全頭検査が今もやられているという状況です。  次、お願いします。それから、検査の方法が違うのではないかということですが、今 は3カ国とも全部検査の方法は同じになりました。アメリカ、カナダは、このウエスタ ンブロットというのはやってなかったんです。エライザ検査というのが1次検査で、今、 屠畜場で日本が検査してるのもこのエライザ検査、アメリカも今はサーベイランスはエ ライザ検査でやっております。これは感度がかなり高いので、陰性のものも陽性という 結果が出ることがあるんです。それで、陽性と出たけども、今申し上げましたように、 陰性の場合もあるので、確定検査をやります。これは免疫組織化学的検査とウエスタン ブロット法という2つの方法がありまして、アメリカは免疫組織化学的検査だけで十分 であるということでやってきました。国際的にもそれでいいということだったんですけ ども、免疫組織化学的検査で陰性でウエスタンブロットで陽性になることがあるんじゃ ないかということも日本は言ってきまして、そういうことで、アメリカも自国で6月に BSE牛が確認されたときに、この方法を取り入れるということを決めました。現在は 3カ国ともエライザ検査、免疫組織化学的検査、ウエスタンブロット法検査、この3つ の検査方法がとられております。  次、お願いします。それから、検査についての考え方が違いますので検査の対象が違 っております。先ほど言いましたように、日本の場合には全頭検査ということで、屠畜 場ですべての牛の検査をやってきたわけです。日本では約1年間に130万頭の牛が屠 畜場で処理されております。これについて検査をすべてやってきている。カナダはやっ てません。アメリカもやってなかったんですけども、2万頭程度やることになってます。  一方、リスク牛ということで、BSEにかかってる確率の高いもの、可能性が高いも のについて調べる。これはサーベイランスを効率的にやるためには、こういうリスク牛 を調べた方がいいと一般的に言われてます。よく言われるのは、死亡牛は健康牛の10 倍から20倍、あるいは30倍ぐらいBSEが検出される可能性が高いと言われてます。 日本もサーベイランスは24カ月齢以上の死亡牛を全頭やりましょうということで、年 間に約10万頭検査しております。カナダは3万頭、30カ月齢以上のリスク牛を調べ る。それと、アメリカは年間20から27万頭程度、30カ月齢以上のリスク牛を調べ る。これはアメリカでBSEが発生して、急遽やることになりました。それまでアメリ カは年間2万頭とか4万頭のリスク牛検査だけやってました。それでもアメリカは、自 分たちはこれは国際基準を大きく上回る検査であると言ってたんですけども、アメリカ でBSEが確認され、強化されたサーベイランスということで、頭数をかなりふやして おります。  それと、考え方としては、ほとんど検出されないものを幾らたくさんやってもしよう がないんじゃないかと。むしろ検出される可能性が高いものを集中的にやる方が効果的、 効率的であるという考え方でやられてます。  それでよく言われるのは、OIEのサーベイランスの基準というのがあるんですけど も、その国際基準をアメリカもカナダも大きく上回ったサーベイランスを自分たちはや っていると言っております。それは、国際的な考え方でいくと、OIEでは症状のある 牛を調べたらいいというふうに言われてました。今回改正がされましたけども、これま では症状がある牛を調べればいいということでした。したがいまして、日本もOIEの 基準でいくと、症状のある牛を二、三百頭調べればいいということになってたわけです。 ただ、実際にはなかなかその症状を見つけるのが難しいので、死亡牛とか、そういうと ころをやることによってBSEの検出、発見が進んできてます。屠畜場でも検出されて ます。死亡牛を約9万頭調べて、年間二、三頭日本で見つかってます。健康牛を130 万頭調べて、二、三頭、同じぐらいの数、見つかってます。ですから、やっぱり死亡牛 では10倍ぐらい見つかる確率が高いということです。EUでは20倍とか、BSEの 発生頭数が多いところほど率が高いようです。ドイツとかフランスで約20倍ぐらいと いわれています。健康牛を調べるよりは高リスク牛を調べた方が効率がいいという考え 方に基づいてOIEの基準が作られております。  次、お願いいたします。日本の行う管理措置について御説明いたします。  輸出プログラムをアメリカの方でつくりまして、その輸出プログラムに参加したもの のみが日本に輸出をできるという仕組みができております。それで、日本はそれについ て査察をやって、ちゃんとそのプログラムが機能してるかどうかというのを調べること になってます。  次、お願いします。アメリカでは、その輸出プログラム、これは食品安全委員会の答 申を踏まえた内容を我々が貿易の条件としてアメリカ側に提示をしまして、アメリカ側 がそれを受け入れて、その内容を組み込んだプログラムをつくってるわけです。もとも とアメリカは、品質管理プログラムというのを持ってまして、そこに新たな条件を組み 込んだということです。基本的には、もともとの仕組みというのは、品質管理のための 組織、訓練、それから製造の条件とか、何か不適合があった場合の是正措置、それをど うやって予防するかというものを文書にして、手順書を作成する。その手順書にのっと って作業、管理をするというような仕組みをつくっております。これに先ほど言いまし たような条件を加えた日本向け輸出プログラムというものをつくってます。  したがいまして、このプログラムに条件を満たして参加できる企業というのは限られ ておりまして、アメリカの場合は屠畜場が約825だったと思います。800余りの屠 畜場がありますけども、日本向けに輸出できるということで参加するのは現時点で約4 0ぐらいじゃないかというふうに言われてます。日本はこのプログラムがちゃんと機能 をしてるかどうかということを査察することになってます。具体的な査察のポイントと いたしましては、輸出プログラムに規定される要件を担保するための作業手順書がちゃ んと文書化されてるかどうかということ、それと、その作業手順書の適切な実施のため の確認システム、内部監査とかそういう監査をやる手順も文書化されてるかどうかとい うようなことを確認をする。それと、現場においてルールどおりに実施されてるかどう かの確認をやっていく。牛の搬入時の手続はちゃんとされてるかとか、月齢の確認、S RMの除去、日本向けの牛肉と他の牛肉との識別がちゃんとされるようになってるかと いうのを査察をするということです。  次、お願いします。今申し上げましたことを全体図としてかいたものであります。輸 出国で日本向けの牛肉等輸出認定施設で衛生証明書が発給され、これは政府が発給しま す。輸入業者が届け出をして輸入をするわけですけども、そのときには動物検疫所と厚 生労働省の検疫所の方で検疫を実施します。届け出書類の審査と現物の審査をして、問 題がなければ合格ということで国内流通をする。問題があれば、これは廃棄または積み 戻しということです。もし違反があった場合には、そういう情報はアメリカ側に伝えて、 改善をしてもらう。ひどいものは取り消しをしていくということになるかと思います。  次、お願いします。違反があった場合の対応ですが、アメリカ、カナダ政府による日 本向け輸出施設の日常のモニタリング、定期的な査察において、アメリカのEVプログ ラムでは、内部監査はその施設が内部でやることになってますけども、USDAが年に 2回は査察をやることになってます。そういう査察等において違反が発見された場合、 それと日本が査察に行って違反が確認された場合、その当該施設からの日本向け輸出を 直ちに停止をするということと、是正措置がとられたことを確認されるまでの間は輸出 を停止をするということになります。それと、重大な違反が繰り返されるようなシステ ムに係るような問題が確認された場合には、その国全体からも輸入をとめることも検討 するということです。  次、お願いします。それから、表示について御説明をいたしたいと思います。  JAS法に基づきまして、生鮮食品につきましては名称と原産地の表示が義務づけを されております。したがいまして、スーパー等に行って牛肉が並んでたら、それにはア メリカ産とか豪州産とか国産とか、そういうふうに表示をしなければいけないことにな っております。  加工品の原産国表示がなされてないのではないかというお話がございます。外国で製 造された牛肉の加工品を輸入して販売する場合は、製造された国を原産国名として表示 することが義務づけられておりますが、今回、アメリカとカナダとの輸入条件では、牛 肉の加工品は輸入を認めることになってません。したがいまして、そういうものは国内 では、流通しないことになります。ただ、豪州とかからの輸入は可能ですから、そうい うものは、豪州でつくられた牛肉の加工品は、表示をしなければいけないということに なります。  あと、国内で製造される加工品の原料の原産地表示については、加工度が低くて生鮮 食品に近い20食品群が原料原産地の表示をするということになってますが、これは今、 準備期間ということで、来年の10月に義務化されます。例えば、味つけカルビとか合 いびき肉とか成形肉などが表示の対象になります。  次、お願いします。これは皆さん、スーパー等での表示の例です、ここに国産黒毛和 牛ローススライスと表示されています。  次、お願いします。それと、加工品の場合は、原材料を書くことになってますが、そ こに例えば米国というふうに書くようになります。  次、お願いいたします。外食につきましては、ことしの7月に外食における原産地表 示に関するガイドラインというのを作成をしまして、メニューの主たる原材料の原産地 表示を行うように外食業者の方にお願いをして、普及を図っているところです。これは 法律による。罰則を伴う義務化ではございません。これは外食にそこまで義務化を課す のは難しいだろうということで、自主的なガイドラインという形でお示しをして、その 普及を図るということにしているところであります。  次、お願いします。外食の原産地表示の例です。例えばチキンだったら、今はブラジ ル産とか書いてないんですけども、こういう料理でブラジル産のチキンを使用したとか、 これは牛肉に限らず、サラダだったらサラダに使用しているレタスはすべて国産ですと か、主な材料について原産地の表示をやっていこうということにしております。  次、お願いします。最後にまとめということで、今までお話ししたことと重複をいた しますが、まずアメリカ・カナダ産の牛肉の流れといたしましては、輸出国政府による 確認、これは輸出プログラムに合致したものであることの確認です。それと、これにつ いて農水省、厚労省としてリスク管理をやる立場からは定期的な査察を実施するという こと、それから飼料規制とかサーベイランスというBSE対策措置の確認をやっていく ということをやっていきたいというふうに考えてます。それと、日本に輸出された場合、 水際での検査をしっかりやっていくということで、輸入検査の徹底、輸入関係者への説 明をやっていきたい。国内に入ってからは、原産地表示の徹底等を図っていきたい。そ れから、正確な情報を国民の皆様方に提供していくようにしていきたいと考えておりま す。  以上でございます。 ―休 憩― ○司会(広瀬補佐)  それでは、時間となりましたので、これから質疑応答に移りたいと思います。  まず、行政側出席者の紹介をさせていただきます。  壇上、皆様の方から向かって中央から右の方に、まずは農林水産省大臣官房の伊地知 参事官でございます。  そのお隣が、内閣府食品安全委員会事務局の西郷リスクコミュニケーション官でござ います。  また、今度は中央から左側の方に、厚生労働省関係でございますが、厚生労働省大臣 官房の藤井参事官でございます。  その隣が、監視安全課の蟹江BSE対策専門官でございます。  司会の方は私、広瀬が引き続き担当させていただきます。よろしくお願いいたします。  質疑応答の進め方についてでございますが、御質問、御意見をいただく場合には、手 を挙げていただきますようにお願いいたします。私の方で発言いただく方を指名させて いただきますので、その場合、係の者がマイクを持って伺います。マイクが来ましたら、 差し支えなければお名前と御所属を述べていただいて発言いただければと思います。  なるべく多くの方に御発言いただきたいということがございますので、お一人当たり のお時間を、大変申しわけありませんが、2分以内でお願いしたいと思います。初めに、 1分30秒たちましたらベルを1回鳴らしていただきます。2分たちましたら2回ベルが 鳴ります。このように鳴りましたら、後の方にマイクをお譲りいただければと思います。 多くの方が手を挙げておられる場合には、初めての方を優先させていただきたいと思い ますので、御了承ください。ちょっと時間も短いことがございますので、なるべく最初 の方に御発言の要旨を述べていただいて、その背景を引き続き述べていただくという形 にしていただければと思います。  本日、テーマについては、食品安全委員会の答申から、米国・カナダの管理状況、日 本としての確認という形で幾つかのテーマがございましたが、お時間の関係もございま すので、特にテーマを限らず、どのことに関してでも結構ですから、御発言いただけれ ばと思います。  それでは、質疑応答に入りたいと思います。どなたか、御意見がございます方はいら っしゃいますでしょうか。  それでは、ちょっと早かったので、真ん中の列のスーツの方。 ○参加者1  私は、外食に所属します飯田と申します。今日はどうもありがとうございます。  すごく単純なことですけど、国際基準で30カ月齢ということになっていますよね。日 本は今回20カ月齢ということになりまして、どちらも科学的に安全だ安全だと言ってい るんですけど、ならば食品安全委員会で30カ月齢がどれぐらい危ないのか、どれぐらい 安全なのかというのを調べていただいたら、単純にこの問題は終了するのかなという気 がするんです。それは大体どのような感じで進んでおられるのかなと思いまして。よろ しくお願いします。  以上です。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  それでは、西郷リスクコミュニケーション官にお願いしてよろしいでしょうか。 ○西郷リスクコミュニケーション官  食品安全委員会でございます。御質問をありがとうございます。  国際基準と申しますか、30カ月齢をもって、いろんな検査でございますとか、特定危 険部位の除去とかいったことについて運用している国が多いということは承知しており ます。ただ、食品安全委員会の仕組みと申しますのは、今回については、先ほどからも 説明がございましたように、20カ月齢以下であって、特定危険部位をすべて取り去った ものを持ってきたときにどうかと、もともとの諮問の条件がそうなっていたので、今回 はその条件を整えておればという結果になってございます。  それから、もともと国内で評価をするときにどういうことだったかと申しますと、国 内では、21カ月齢、23カ月齢のBSEが見つかっていたということと、もう一つは、そ の21・23カ月齢で見つかったときのプリオンの量がものすごく少なくて、今の検査技術 ではその辺が限界ではないかと思われたこと。もう一つは、今までのいろんな例を見て みますと、日本の汚染状況はかなり低いと考えているわけでございますが、そういった 日本のような汚染の状況では、20カ月齢以下ということであれば、異常プリオンがあっ た場合も、それほどたまっていることはなかろうといった御判断が専門家の間であった ことは事実でございます。  ただ、30カ月齢についてどうするかという議論は、食品安全委員会ではしていない状 況でございます。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  それでは、そのお隣の女性の方。 ○参加者2  消費者です。中村といいます。時間がないみたいですので、質問をぱーっと箇条でや っていきます。  まず、査察結果が出ていないのに、なぜ輸入スケジュールだけどんどんどんどん早く 進むのですか。そこら辺はおかしいんじゃないかと思います。  それから、アメリカ・カナダへの査察頻度はどれくらいでしょうか。外国なんですけ れども、抜き打ち的にできるのかどうなのか、そこら辺、きちっと説明が欲しいです。  それから、水際検査に当たってSRMの混入の有無を調べるというふうにされていま すけど、調べ方はどうされるのでしょうか。試験的な輸入のものをニュースで見たんで すけれども、あれでいくと、書類のおかしな部分はちょっとチェックされているようで すけれども、ああいう形ですと、なかなか検査そのものが難しいんじゃないでしょうか。  それから、アメリカの食肉処理業者の処理場の監査は内部監査というふうになってい ますけれども、なぜ外部にできないのでしょうか。  それから、検査官が常駐というようなことも書いてありましたけれども、これは本当 にできるのかどうか。今の検査体制でも、検査官には余り権限がないように思われます けれども、本当にきちっと検査官が役割を果たせるかどうか、いまだに疑問です。  それから生理学的判定、やっぱりちょっと疑問に思います。  それから、いろいろあるんですけれども、カナダもそうですけれども、アメリカのウ エスタンブロット法は、検査をする牛全部に適用されるのかどうなのかというのも、ち ょっとお聞きしたいです。  それから、表示の関係ですけれども、加工食品20品目について10月に義務化という 形になっていくんですけれども、これは前倒しで国内できちっと表示ができないかどう か、そこら辺、検討してほしいと思います。  それから、外食産業の表示のガイドラインですけれども、これはガイドラインではな くて、きちっと原産国表示ができるように義務化をしてほしいと思いますので、お願い します。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  10点近い御質問があったかと思います。まず一番最初に、査察結果が出ていないのに 輸入スケジュールだけどんどん進んでいるという点について、伊地知参事官の方から御 発言を。 ○伊地知参事官  先ほども御説明をしたんですけれども、十分でなかったのかもしれません。  基本的には、輸出プログラムに合致するとか承認するとか、承認しないとかいうのは、 アメリカ政府の責任で行うわけです。したがいまして、アメリカ政府が輸出プログラム の条件に合致した工場を認定するということで輸出ができるようになるわけです。日本 政府は、そういう輸出プログラム全体の仕組み、アメリカがそれを監査、管理する仕組 みが機能しているかどうかを見るということでございますので、現時点でアメリカのす べての輸出の承認を受けた工場を見ているわけではありません。できるだけ早期に多く の工場を見たいと考えておりますけれども、今回、アメリカの場合は約10工場を見ると いうことで、そのシステムが機能しているかどうかを確認するということです。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  今回、アメリカ・カナダに査察に行っていると思うんですが、査察頻度がどのくらい なのかということと、抜き打ち的なのかどうかということを藤井参事官の方から。 ○藤井参事官  まず、抜き打ちに査察ができないかということについてですが、アメリカ・カナダ両 方とも、外国の領土にある施設ということもありますので、抜き打ちというのは難しい と思っております。ただ、今後査察に行くときには、ここを査察したいということを日 本政府の方から指定して、そこへ行けるようにするという努力をしていきたいと思って おります。  それから、査察の頻度については、当初どれぐらい出てくるかわからないんですが、 当初出てきたものについては、できるだけ速やかに一巡したいということであります。 その後は、米国・カナダから全部でどのぐらいの施設が本当に出てくるのかにもよるの ですが、日本からの査察団としては、両国に少なくとも年1回は行けるようにするとい うことを考えております。  ついでに、内部監査だけで外部監査をできないのかというお話がありましたが、内部 監査というのは、日本向けの輸出プログラムで条件として規定をされていることで、外 部監査については、政府が年に2回監査をするという形でやられるようになっておりま す。  検査官の常駐が本当にできるのかという話もありましたけれども、既に食肉処理施設 には、政府の検査官が国内向けについても常駐をしています。そういうルールになって おりますので、これは必ず政府の検査官が常駐ということになります。 ○司会(広瀬補佐)  ウエスタンブロットでの検査は全部の牛に適用されるのかという御質問については。 ○藤井参事官  ウエスタンブロットについては、先ほど、特にアメリカについては、ことしの6月か ら正式に導入されたという説明でありましたけれども、一次検査のエライザ検査で陽性 になったものについては、ウエスタンブロットでも確認をするということで聞いており ます。 ○司会(広瀬補佐)  それから、水際での検査は実際にどういう調べ方をしているのかという御発言もあり ましたけれども、蟹江さんの方からお願いします。 ○蟹江専門官  水際での検査につきましては、スライドで説明をさせていただいたとおり、厚生労働 省の検疫所と農林水産省の動物検疫所、両方の検疫が必要になってきます。その場合に、 米国政府が認定した施設から輸出されますので、その施設が対象施設であるかどうか。 あるいは輸出プログラムに適合している貨物であるか。これらについては、米国農務省 が発行します衛生証明書によって確認し、さらに現物にも一部表示がされておりますの で、そういった表示の情報と衛生証明書の情報が同一であるかどうかといったことを確 認します。  それから、その品物につきましては、輸出可能な製品であるかどうか。今回はカット 肉と内臓となっておりますので、そういった対象の製品であるかどうか。それから、特 定危険部位の混入があるかないか。これは現在、目視によって確認をしております。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  あと、生理学的判定についての疑問のところと、加工食品の表示を前倒しでお願いし てほしいということと、外食もガイドラインでなくて、なるべくきちんとした形でとい うような御意見があったかと思いますが。 ○伊地知参事官  生理学的成熟度は、先ほども御説明いたしましたけれども、アメリカの試験データそ のものを日本の専門家の方々に評価をしていただいたわけであります。その専門家の 方々から「A40の評価決定ポイントは高い精度での判別が可能であり、牛枝肉の生理学 的成熟度を客観的に判別する基準としては適当である」という御意見をいただいており まして、これを尊重していきたいということ。あと、「A40を基準として採用し得るか 否かの判断は、統計学的分析による数値だけでなくて、米国産牛肉のBSE感染リスク の程度の評価とあわせて評価すべき」と言われていまして、これにつきましては、食品 安全委員会の方にも内容を御説明して、評価をいただいたものであります。  参考までに、お配りしております資料の35ページ、36ページの方に、アメリカが行 った結果が出ています。35ページは3,338頭について調べた結果です。その後、追加の データをもらいまして分析した結果が36ページに出ております。  A40といいますと、17カ月齢までの牛が入って、18・19・20カ月齢が入っていない ということと、先ほども申しましたように、シェアとしては1割程度ということで、ア メリカ政府としては、実際は20カ月齢以下は肥育牛の9割近くいるのにということで、 かなり不満もあるわけですが、かなり厳格な対応をしてきているということです。輸入 後のフォローアップも、今後、この生理学的成熟度については実施をするということで 行っていきたいと考えております。  それから、表示の義務化の前倒しでございますが、今どの程度行われているかという 調査もしております。義務化に間に合うように、できるだけ早く自主的に行っていただ けるように努力をしていきたいと思っております。義務化の前倒しということではなく て、できるだけ早く対応できるような形での努力をしていきたいと考えています。  それと、外食での義務化というのは、現実問題としてはなかなか難しい問題でござい ます。そもそも、外食屋さんが食材を仕入れるときに義務化されていません。どこのも のかわかるものもありますが、わからないものもあるわけです。わからないものもある 中で、それを義務化していくのは大変難しいということ。  あと、外食屋さんは、いつも同じ国のものを決まって使っているわけではございませ ん。気象状況や何か事故等があって物を変えなくちゃいけないとか、臨機応変な対応が 必要になってくることもあります。特に小さいところは、原材料の調達が必ずしも一定 していません。  こういう状況で罰則を伴う義務化はなかなか難しいのではないかということで、ガイ ドラインでの対応を行っていきたいと考えているところでございます。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  それでは、ほかの方、どなたかいかがでしょうか。特にいらっしゃらないでしょうか。 今回、かなりのものが出てきているということかと思うんですけれども。  それでは、こちらの列の方。 ○参加者3  奈良から来ました木下と申します。一消費者です。  今回の日本向けプログラムですが、SRM除去と20カ月齢以下限定ということなんで すけど、一番根底となる発生抑制たる飼料規制に踏み込んでいない。これが最大の原因 であると思います。  というのは、米国では牛肉骨粉を牛に与えてはいけないということですけれども、実 はざる規制であり、えさの紙の袋に「反芻動物にはやるな」と書いているだけですよね。 これに関してチェックする人もいなければ、システムもない。そしてまた罰則もないと いうことです。米産牛肉の肥育過程においてホルモン剤を投与することが前提となって いると思われるので、それに関しては当然、対応しているたんぱく質ということで、や はり肉骨粉がかなり必要ではないかと言われております。罰則もなければ、当然やりた くなってくるのが人情でしょう。したがって、その点で、実は牛にやられているのでは ないかと思われます。  また、先ほど言われましたSRM(特定危険部位)が骨粉化されて、再度えさとして 利用されている。これが今言ったような状況で牛にやられている可能性があるとすれば、 これは非常に問題だ。また、交差汚染で、豚や鶏にやってもいいということなので、や っぱりその残飯が入っている可能性もある。したがって、米産牛はかなりの率で感染し ているのではないかと考えるのが自然だと思います。  その点が発生抑制であり、この発生抑制に手をつけずに日本向け輸出プログラムとし てやったところで、ざる法であり、まさに感染牛を我々が食べることになると思います。 幾ら日本で20カ月齢以下に限定して、完璧にSRMを除去したって、感染牛が入ってき て、その感染牛からSRMを除去したところで、末梢神経までプリオンが行き渡ってい ると思われるので、我々日本国民は感染牛を食べることになる。これは間違いないと思 われます。  もう一つお願いします。  日本人は欧米人と違って、93%がBSEに感染しやすい遺伝子、コドン129M/M型 の所持者であると厚生省から発表されております。したがいまして、ヨーロッパでは3 〜4割が狂牛病感染遺伝子ですが、日本では大変な事態が起こるのではないか。現在、 20カ月齢以下に限定されておるので頭数は少ないけれども、もしこれが30カ月齢以下 になった場合、アメリカの牛はほとんどフリーで入ってきます。ほとんどノーチェック で入ってくる。このときに、この遺伝子がどのように我々にかかわってくるのか。本当 に大変な事態となると思います。したがいまして、本当に真剣な対応をしていただきた いと思います。  以上です。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  今回の点で幾つか御指摘があった部分について、確かに飼料規制の甘い部分とか、も ともと日本人の遺伝子としてメチオニン/メチオニン型が多いということも踏まえて国 内の評価をした上で、さらに、国内の牛肉と、今回輸出プログラムの上乗せがかかって いる米国産、カナダ産の牛肉とのリスクの差を評価いただいたということだと思うんで すけれども、その辺、西郷さんの方から少し御説明いただいてもよろしいでしょうか。 ○西郷リスクコミュニケーション官  今、司会がおっしゃったとおりでございます。今回の評価書を見ていただきますと、 アメリカにおける飼料規制は、日本と比べると、御指摘があったとおり、牛から牛のも のについては規制されているけれども、それ以外のものは規制されていません。この点 については、交差汚染の可能性が日本よりは大分高いのではないかと指摘されていると ころです。  それから、イギリス人と比べると、日本人は変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病を 発生しやすいと言われていることについては、その遺伝子の組み合わせを持っている人 が多いというのは、確かにそのとおりでございまして、これについてはまだよくわから ないところが多いんですけれども、イギリス人に比べたら倍ぐらい多いということです。  それがどの程度本当に効いているのかわからない時代でございましたけれども、もう 今から1年以上前になりますけれども、中間取りまとめの評価のときに、まだBSEの 対策をほとんどとっていなかったころのリスクが、今どの程度負の遺産として我が国に 残っているのかという評価をして、何も規制がなかったときの牛肉を食べてしまったこ とで、どのぐらい日本人がバリアントタイプのCJDにかかってしまう可能性があるの だろうかという試算を専門家にしていただいたところ、0.1人から0.9人の間、要する に1人はいないという、出るか出ないかわからないぐらいの数字になったわけでござい ます。当時、その遺伝子型だとかかりやすいといったことを踏まえた計算でございまし たけれども、そのような計算になっているところでございます。  今回の評価は、そのような状況を踏まえつつも、特定危険部位がきちんと除去されて いること、それから20カ月齢以下であることが確保されているのならば、アメリカから 今言ったような条件の肉が入ってきてもリスクがふえることはないだろうという結論に なったということでございます。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  そういう結果を踏まえて、こちらとしても、その前提となっています輸出プログラム がきちんと守られるのかどうかなどの確認を、管理官庁側としてきちんとやっていくと いうことで対応させていただいているところではないかと考えております。  飼料のところで少し補足をしていただきます。 ○伊地知参事官  飼料規制につきましては、FDAというところが遵守状況の調査をしております。そ れと、その状況等については、参考資料のところに載せてあったと思います。36ページ のところに、米国、カナダ、日本での飼料規制の遵守の状況を載せてございますので、 参考にしていただければと思います。  それから、西郷さんの方からもお話がありましたけれども、今のアメリカの飼料規制 の状況の中で評価をしていただいて、リスクの差は非常に小さいという評価をいただい ておるということでございます。  本当はもっとたくさんBSE感染牛がいるのではないかということですけれども、こ れは先ほどお示ししましたサーベイランスの結果のところにも出ておりますが、絶対数 でいえば日本の5〜6倍だと。ただ、100万頭当たりで見ると約1万頭ということで、 日本より少ないという結果が出ております。  それから、末梢神経の関係は、死亡牛で、高濃度に汚染された脳の検査でBSEと判 定されたものは末梢神経でのデータがありますけれども、一般のもので末梢神経でBS Eのプリオンが見つかったという知見は、今のところ出ていないと思っております。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  それでは、ほかの方、どなたかいかがでしょうか。特にいらっしゃらなければ、今ま で御発言いただいた方でも結構ですけれども。  それでは、先ほどの女性の方。 ○参加者2  輸入で入ってくるものは、肉の関係だとビーフジャーキーみたいな加工品は入ってこ ないとお聞きしたんですけれども、例えば、牛関連品みたいなビーフエキスみたいなも のだとか、化粧品なんかで使われてくるものとか、肉そのものだけではなくていろいろ ありますよね。そういう関係のものはどうなっているんでしょうか。 ○蟹江専門官  まず、食品の関係で申し上げますと、先ほど御説明したとおり、肉そのものと内臓で す。ですから、牛がと畜処理をされて枝肉になりますが、それを分割あるいは細切した ような部分肉が対象になっておりまして、ビーフジャーキー等の食肉製品、あるいは今 御指摘のございましたビーフエキス等の加工品といったものは、引き続き輸入がとめら れておるという状況でございます。  それから、化粧品のお話が今出ましたけれども、化粧品とか医薬品につきましては、 今回は食品の評価、あるいは食品の輸入の規制、措置についてのお話で、医薬品とか化 粧品はまた別に管理をしております。基本的には、特定危険部位を原料として使用して はいけないとか、非常に細かく決まっております。今回の評価の中には含まれておりま せんけれども、化粧品とか医薬品についてもBSE対策がとられていると御理解いただ きたいと思います。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  それでは、御質問、御意見等ございましたら、お願いしたいと思いますが。  それでは、前の方。 ○参加者4  JA豊橋の牧野と申します。  簡単な質問なんですけど、まず1点は、カナダ・アメリカから輸入で入ってきますが、 もしわかれば、来年度どのぐらいの輸入量が入ってくるのか。  それと、ちょっと僕がおそくなったので済まないのですけれども、個体識別番号につ いて、国内産では「和牛」「ホルス」「交雑種」ということで10けた番号が載っておりま して、その中で履歴がわかるということになっております。これを見ますと、カナダ産 は個体識別番号ということになっておりますが、これは履歴が調べられるのか。アメリ カ産については履歴ということが書いてありませんけれども、わかるようだったら、そ の辺をもう少し詳しく教えてもらいたいということです。  以上です。 ○司会(広瀬補佐)  来年度の見込みの量と、それから、識別がどの程度か、こちらはトレーサビリティー の関係になるかと思うんですけれども。 ○伊地知参事官  どれだけ入ってくるかというのは、先ほど言いましたように、生年月日を今まで調べ ていませんので、正確にはわかりません。  以前、アメリカ政府の関係者が来られて、協議を行った後に公表した中では、マチュ リティーで約1割程度。このマチュリティー、生理学的成熟度のものは、これまでの格 付のデータからA40がどれだけかというのがわかりますし、アメリカが行った試験結果 からも、約8%ですから約1割ぐらいだというのがわかっています。ただ、生理学的成 熟度も、今まで少し長く飼っていたものを短く飼おうという行動をとりますと、少しふ える可能性があります。  それと、生年月日の方は、正確にはわかりませんけれども、1割から2割程度は、わ かるのではないかと言われております。ただ、これもアメリカ側、カナダ側が、もしも これから日本にどんどん輸出していきたいと考えれば、生年月日を積極的に調べてつけ るようになってきますので、ふえていく可能性があります。  これまでアメリカ政府等から得た情報では、マチュリティー、生理学的成熟度で約1 割、生年月日で1割から2割程度ではないかと聞いております。 ○司会(広瀬補佐)  日本の方は今、個体識別で、例えば、スーパーで売っているお肉にまで番号がついて いると思うんですけど、外国産のものまで番号を入れると何かがわかるというような仕 組みではないのですよね。 ○伊地知参事官  日本のように精緻な情報は求めていません。基本的には、何か事故があった場合、例 えば家畜の病気が出た場合、どこの農場から出荷されたものかとか、そういう追跡がで きるようにするのが主な目的でございます。あとは、例えば食中毒があったときに、そ の牛がどこから来たものかを追跡できるようにということでありまして、日本のように 生年月日の義務化はなされておらず、任意ですし、品種も、余り品種にこだわっていな いと思いますので、明確に義務化されていないのではないかと思います。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  それでは、ほかに御意見、御質問はいかがでしょうか。  それでは、最初に前の方、その後に奥の方。 ○参加者1  少し先ほどの続きなんですけど、例えば、輸入条件を緩和するとか、どうのこうのと いう話があります。筋からすれば、食品安全委員会さんに30カ月齢のリスクを評価して もらって、それが高いのか低いのかを客観的に見てから判断すれば一番すっきりするの かなと思っていたのです。  先ほど、「要請」でしたか、どこかの部署から要請がないから、そのリスク評価はまだ 行っていないというようなニュアンスでおっしゃっていましたけど、その「要請」とい うのは一体どなたが行うものかということと、その行う方は今現在まだ行う予定がない のか、あるのか。もし行う予定がないとすれば、なぜ行う予定がないのかを知りたいん です。よろしくお願いします。 ○司会(広瀬補佐)  多分要請の方は管理機関側の方になるかと思うんですけど、いかがでしょう。 ○伊地知参事官  諮問をするのは、恐らくリスク管理機関です。食品安全委員会はリスク評価機関とい うことで、独自でやれないこともないんですけれども、リスク管理機関がリスク管理を 行っていく上でリスク評価を求めるという形で、リスク管理機関が食品安全委員会に諮 問をするという形になります。その場合のリスク管理機関というのは厚生労働省と農林 水産省で、もしかしたらそれ以外にもあるかもしれませんが、基本的には、厚生労働省 と農林水産省がリスク管理機関として食品のリスク管理を行っているわけでございます。  では、なぜ厚生労働省と農林水産省が30カ月齢を諮問しなかったのかという御質問だ と思いますけれども、先ほど言いましたように、食品安全委員会の国内の中間取りまと めの中での評価結果と、あと、アメリカ側からは、昨年10月の局長級協議の中で、20 カ月齢で特定危険部位を全部除くという条件で、国内の承認手続を前提にということで、 認識の共有が図られたわけです。したがいまして、その局長級協議の認識の共有ができ た条件と、先ほど言いました国内の食品安全委員会の中間取りまとめの内容を踏まえて 諮問をしたということです。  それで、マスコミ等では、アメリカ政府が30カ月齢だと言っているというお話も聞き ますが、公式に我々にそういう話は来ておりません。したがいまして、30カ月齢での諮 問はしておりません。 ○司会(広瀬補佐)  それでは引き続き、真ん中の列の後ろの方の方。 ○参加者3  先ほどの木下です。  イギリスで1人の男性が輸血をされて、それにより、6,000人まで感染が危惧される という情報があります。これは、感染して発症していない状況で輸血をした段階で広が ったということですね。したがいまして、はっきり言ってしまえば、今回20カ月齢以下 といえども、感染牛が我々の体内に入る可能性がある。それで、今回の結論の中で、ア メリカ・カナダと日本の牛のリスクの差は非常に小さいということでありますが、それ は単年度でとった計算ではないか。例えば、今の輸血のリスクに係るように、経年して いけば、10年20年たっていけば、当然そのリスクはネズミ算的にふえていく可能性が あると思われますね。  したがいまして、先ほど言われましたように、日本人は感染しやすい遺伝子を持って いるということですから、単年度で見たら、1か2かわからないけれども、確かにそう いう結果だとしたって、バックボーンである日本人全体が感染しやすければ、特にその 輸血のことに関して、当然それがやはり倍々ゲームでふえていくと考えられますね。そ の点で僕は、このリスク評価は問題だと思っております。  また、そもそも今回の答申も、両論併記だとは思うんですが、その一つは確かにリス クが少ないと、これは仮定を前提にとった空想の世界ですね。もう1点、科学的に評価 した場合には、実はデータ不足のために評価できないという結論ですよね。科学的なデ ータにより評価ができないということは、全く何もわからないということですね。中間 取りまとめでデータが出たということですけれども、それもデータ不足であり、その中 間取りまとめ自身が実は科学的でないと思われます。  したがいまして、そういうめくら状態でBSEの危惧があるところに突入していくと いう日本の方向性は非常に怖いと思っております。  以上です。 ○司会(広瀬補佐)  ありがとうございました。  では、西郷さんの方からお願いします。 ○西郷リスクコミュニケーション官  どうも御指摘ありがとうございます。  まず、結論部分で、両論併記で科学的には評価していないのではないかというお話が ございましたが、そういうことではなくて、今回の諮問は、我が国で今流通している牛 肉・内臓と、ある一定の条件をつけた場合、先ほどから何回も言っていますけれども、 SRMを除去し20カ月齢以下ということがはっきりしている場合のアメリカの牛肉・内 臓で、リスクの同等性はどうですかと諮問を受けたわけです。  それで、科学者が一生懸命いろんなデータを調べました。両省からもいただきました し、アメリカからもいただいたわけですけれども、科学者の場合、同等性を評価すると なると、当然、本当にこれとこれが同じかどうかといったことを非常に厳密に議論した いけれども、我が国とカナダ・アメリカでは、牛の飼い方から、検査の仕方、えさの状 況もすべて異なっていて、データもベースが異なるということから、専門家の御議論と しては、きちっとした意味で、厳密な意味で比べて評価して、同等かどうかといったこ とについて評価することは困難であるという結論に達したわけです。  ただ、一方で、先ほど申し上げたような、20カ月齢以下でSRM除去といったきちっ とした管理がもしも担保されているのであれば、それは我が国で流通しているものと比 べてもリスクに大差ないのではないか。ですから、そういったものがちゃんと担保され ているかどうかは、どんどん検証をしていく必要があるという結論になったということ で、最初の部分だけが科学的評価で、次はそうじゃないという趣旨ではないことは御理 解いただければと存じます。  二つ目は、私、御意見をきちんと理解できたかどうかちょっとわからないんですけれ ども、今回の評価も、今までの中間取りまとめも、その後の国内対策の評価につきまし ても、いわゆる単年度の評価をしたのではなくて、その時点の今の蔓延度がどうなって いるかといったことをもとに評価をしているということであります。  例えば日本では、BSEが発生してからいろんな対策をとってきておりますので、少 しずつ飼料規制をきちっとしてから、多分蔓延度はどんどん下がってきているだろうと いう評価に立った上での評価をしているということでございまして、評価の前提が変わ れば別でございますけれども、単年度の評価をしたのではないと御理解いただければと 思います。  御趣旨がよく理解できていなかったかもしれませんので、もしあれならば、もう一度 聞いていただければと思います。 ○司会(広瀬補佐)  御意見をいただいた方、少し補足をされますか。今、もしこちらの思い違いとかがあ ればということで、さらに補足していただければということですけれども、特にはよろ しいでしょうか。  それでは、ほかに御意見、御質問がある方、いかがでしょうか。  どんなことでも結構ですので、ひょっとしたらこんなことを聞いたら恥ずかしいかな とかいうことは余りお考えにならずに、すごく基本的なことでも、もし疑問などがあれ ば、御意見をいただければと思います。  それでは、そちらの手が挙がった方。 ○参加者5  飼料業界にいます児玉と申します。  1点だけなんですけれども、屠場に牛が搬入されるときにチェックをするということ がありました。これを目視でやり、症状が出ているものは除外するということでした。 20カ月齢以下で症状が出るということは高濃度に汚染されているとしか思えないんで すけれども、同居牛については、どういうふうにチェックをされるのかを教えていただ きたいと思います。 ○伊地知参事官  屠畜場に搬入された場合のチェックは、もちろん書類のチェックも行います。それと、 目視で行うのは、起立困難牛、ダウナー牛でないかどうか、病気の症状がないかどうか を見ます。BSEでなくても、アメリカの場合、ダウナーは屠畜場で屠畜しないという ルールを決めていますので、BSEでなくても、ダウナーであれば、それは除外される ということです。それと、同居牛は、これがBSEだとわかった場合には、その同居牛 についての調査を行っていくということです。 ○司会(広瀬補佐)  20カ月齢以下のところでも見つかれば、BSEだとなれば、同居牛についてもチェッ クをするということですね。はい。  ほかにはいかがでしょうか。特にはよろしいでしょうか。さしつかえないようでした ら、少し早いんですけれども終了にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。  それでは、ちょっと時間が押していたんですけれども、意見の方が少し早目に終わり ましたので、10分ぐらい早く終了することができました。どうもありがとうございまし た。 3.閉 会 ○司会(広瀬補佐)  以上をもちまして、「米国・カナダ産牛肉等への対応についての説明会」を終わらせて いただきたいと思います。長時間にわたりまして御議論いただきまして、ありがとうご ざいました。  出入り口でアンケートの回収を行っております。今後の参考とさせていただきたいと 思いますので、御協力よろしくお願いいたします。  それでは、足元の悪い中、参加いただきまして、ありがとうございました。お気をつ けてお帰りください。どうもありがとうございました。 (了)