05/08/24 平成17年8月24日(愛知県名古屋市)「食品に関するリスクコミュニケ ーション(輸入食品の安全確保及び残留農薬等のポジティブリスト制度の導 入についての意見交換会)」      食品に関するリスクコミュニケーション(輸入食品の安全確保及び    残留農薬等のポジティブリスト制度の導入についての意見交換会:名古屋市)                          日時:平成17年8月24日(水)                             13時00分〜16時38分                          場所:ウィルあいち大会議室 1.開会 ○広瀬厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐  それでは、お時間となりましたので、「食品に関するリスクコミュニケーション(輸 入食品の安全確保及び残留農薬等のポジティブリスト制度の導入についての意見交換会 )」を始めたいと思います。  本日は、御多忙の中、御参加いただきまして、ありがとうございます。  私、本日司会を務めさせていただきます、厚生労働省食品安全部企画情報課の広瀬と 申します。よろしくお願いいたします。  私、ネクタイをしておりません。大変失礼かとは思いますけれども、政府の方ではク ールビズということで、ノーネクタイ、ノー上着で仕事をさせていただいておりまし て、今日もその延長線上ということで、もし暑い方がいらっしゃいましたら、気軽にネ クタイ等を外していただいたりとか、上着の方も外していただければと思います。  それでは、まず初めに、配布資料の確認をさせていただきます。  お手元の封筒の中に資料が入っているかと思いますが、まず議事次第というのがあり ます。それから、今回の意見交換会の座席図、資料1といたしまして「リスクコミュニ ケーションについて」というもの、資料2として「輸入食品の安全確保について」とい うもの、資料3として「残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について」というも の、それから資料4として「食品に関するリスクコミュニケーションにおける事前意見 ・質問について」というものがあります。  そのほか、参考資料になりますが、「意見交換会に参加いただいた皆様へ」というこ とで、A4カラー刷りの縦のものがございます。それから、「残留農薬等のポジティブ リスト制度(補足資料)」というものがあります。その後ろに「食品安全エクスプレス 」というもの、それから、「食生活指針」という小さなもので、よく封筒の底に残って しまったりするのですが、四角いものがあります。それから、「食事バランスガイド」 という、こちらはまたA4の大きさの1枚紙があります。あと、「遺伝子組換え食品の 安全性について」ということで、このような小さな冊子がございます。  一番最後にアンケートが入れてありまして、御参加いただいた皆様へということでお 配りしております。これは、皆様方からいただきました意見を今後のリスクコミュニケ ーションの改善の中に反映させていきたいと考えておりますので、大変恐縮ですが、ぜ ひとも御協力いただきますようお願いいたします。  以上で資料の一通りでございますが、不足の資料等がございました場合には、事務局 もしくは受付の方にお申し出いただければと思います。特には大丈夫でしょうか。  それでは、続きまして、簡単に本日の議事進行の紹介をさせていただきます。  議事次第の方を見ていただければと思いますけれども、まず、愛知県健康福祉部の五 十里理事から御挨拶を申し上げた後に、私の方から「リスクコミュニケーションについ て」ということで10分程度説明をさせていただきます。続きまして、厚生労働省大臣官 房の松本参事官の方から、本日のテーマであります「輸入食品の安全確保について」と 「残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について」を説明する予定となっておりま す。説明時間の方はそれぞれ35分程度を予定しておりますが、二つのテーマの説明の間 に約5分間程度休憩を設けたいと考えております。説明の終了時刻といたしましては、 2時半を予定しております。この2時半以降に、また休憩を10分程度とらせていただき まして、2時40分からパネルディスカッション及び意見交換というふうに進めていきた いと考えております。また、本日の終了は午後4時半を予定しておりますので、よろし くお願いいたします。 2.挨拶 ○広瀬補佐  それでは、愛知県健康福祉部理事の五十里明様、御挨拶の方をよろしくお願いいたし ます。 ○五十里愛知県健康福祉部理事  御紹介を賜りました愛知県健康福祉部理事の五十里でございます。開会に当たりまし て、主催者の一人として一言御挨拶を申し上げたいと思います。  本日は、残暑の中、また御多用中のところ、このように多くの方にお集まりいただき まして、まことにありがとうございます。今回、愛知県で食品に関するリスクコミュニ ケーションを開催する運びとなり、この場をおかりして関係者の皆様に厚くお礼を申し 上げたいと思います。  さて、近年、BSEの発生や輸入野菜の残留農薬基準違反、ダイエット食品による健 康被害など、食品に関する問題が相次いで発生いたしまして、食の信頼性を損なう要因 となっております。こうしたことから、国では、食品安全委員会を設置し、リスク評価 を行うとともに、全国各地でリスクコミュニケーションを開催し、皆様との積極的な意 見交換を実施しておられるところでございます。  また、愛知県におきましても、食の安全対策について、生産から消費に至るまで幅広 く皆様の御意見をいただき、県の施策に反映することを目的といたしまして、平成15年 3月に「愛知県食の安全・安心推進協議会」を設置いたしまして、これまで、愛知県の 食品安全確保に関する具体的な施策を体系化した行動計画であります「あいち食の安心 ・安全推進アクションプラン」の策定や見直しに当たり、貴重な御意見、御提言をこの 協議会からいただいているところでございます。  これらコミュニケーションの実施は、食品に関する情報や意見を相互に交換するた め、あるいは、皆様の御意見を行政に反映させるためにも極めて重要なことと考えてお ります。なお、本日のリスクコミュニケーションは、特に輸入食品の安全確保につい て、また、平成18年5月末までに導入されます残留農薬等のポジティブリスト制度につ きまして、食品安全行政とともに消費者及び事業者などの皆様と十分な意見交換を行 い、今後の方策に反映させたいと考えております。  最後になりましたが、本日のリスクコミュニケーション開催に当たり、食品安全委員 会、厚生労働省、農林水産省初め関係の方々に深く感謝を申し上げますとともに、今後 とも愛知県の食品安全行政に対し、御理解、御協力いただきますようにお願いを申し上 げまして、御挨拶とさせていただきます。本日はまことに御苦労さまでございます。 ○広瀬補佐  ありがとうございました。 3.リスクコミュニケーションについての説明 ○広瀬補佐  それでは、早速でございますが、リスクコミュニケーションについての説明に入らせ ていただきたいと思います。  まず、リスクコミュニケーションについて、なるべく簡潔に説明させていただきたい と思います。  食品安全行政を取り巻く動向ですけれども、まず、食品をめぐる環境の変化、それか ら国際的な考え方ということで示させていただきました。  食品をめぐる環境の変化といたしましては、飢餓から飽食の時代へということで、こ れは一部の先進国ではございますけれども、ようやく食料としては満たされたという状 況があります。それから、新たな食の問題の発生ということで、まさにBSEやO−157 もそうですけれども、従来なかったような問題も起きてきたりしているわけです。それ から、貿易の国際化、大量生産・大量流通、長距離輸送の普遍化というようなことで、 非常にグローバルな状態で食品が流れているという状況に変わってきております。それ から、これはまた我が国の食品衛生とは少し外れるかもしれませんが、海外旅行なども 一般化してきておりますので、日本の方が海外の国に行って、そこで食べたもので何か が起きるというようなこともあるわけです。  食品を安全に取り扱うためにどうしたらいいのかということで、国際的な考え方とし て二つございまして、まず一つは、フードチェーンアプローチということでございま す。これは、生産から消費に至るフードチェーンの全段階で安全性を確保することが重 要ということです。従来の取り組みでありますと、つくられた食品について、最終的に 検査をして安全であればいいんじゃないかということでしたけれども、やはり最終的な ところだけのチェックではなくて、生産の段階、流通の段階、販売の段階、消費の段階 ということで、それぞれ適切に管理をすることが重要なのではないかと言われているわ けです。  それから、リスクアナリシスというものがございます。これは、事故の対応より予防 に重点ということで、何か起きてしまってから対応するのではなくて、あらかじめ予測 しつつ、未然防止に重点を置いてやりましょうということです。まず一つは、安全性評 価と管理を機能的に分離しましょうということがございます。それから、利害関係者間 の情報や意見交換を推進しましょうということがございまして、まさにこちらの情報や 意見交換の推進のところがリスクコミュニケーションに当たるわけでございます。  食品の安全確保の仕組み(リスク分析)、リスクアナリシスでございますけれども、 まず、そのリスクアナリシスというのは、先ほども少し説明させていただきましたけれ ども、国民の健康の保護を目的として、国民やある集団が危害にさらされる可能性があ る場合、事故の後始末ではなくて、可能な範囲で事故を未然に防ぎ、リスクを最小限に するというプロセスでございます。事故を完全に防ぐというのはなかなか難しいところ でございますので、これは可能な範囲で防ごうということでございます。  また、防ぐためにコストを幾らでもかけることができれば、どんどん防止対策が進め られるんですけれども、コストを無限にかけるのも難しいということがございますの で、実用性といいますか、そういったことも当然ある程度考慮されてくるわけでござい ます。  現在、日本の仕組みはどうなっているかというと、リスク評価につきましては、食品 安全委員会が行っております。食品安全基本法に基づきまして、食品安全委員会でリス ク評価を行う。それから、管理を行う機関として厚生労働省、農林水産省があるわけで す。従来、食品安全委員会ができるまでは、厚生労働省なり農林水産省の方でリスクの 評価と管理を全部一つでやっていたわけですが、そうすると、科学的な評価としてどう かということが表に出てこなくて、最終的な管理措置だけが皆さんのところに知らされ ていたということがありました。それでは科学的に安全かどうかがきちんと管理の中に 反映されているのかどうかわからないということもあり、評価するところと管理すると ころが分かれております。  リスク評価については、健康に悪影響を及ぼすおそれのある物質が食品中に含まれて いる場合、どのくらいの確率でどの程度の悪影響があるのかということを評価している わけでございます。なお、このスライドは評価と管理という点からまとめさせていただ きましたので、食品安全委員会には、実はまださまざまな役割がございますが、そこの ところの説明は割愛させていただきます。  厚生労働省では一体何をしているかといいますと、食品安全委員会に評価いただいた 結果に基づいて、例えば、食品中の農薬とかの含有量について基準を決めるとか、表示 をするとか、そういった基準とか表示が守られているかどうかの監視などを、食品衛生 法などによって行っているわけです。  農林水産省の方も、同じように管理措置がございまして、例えば、農薬であれば、食 品衛生法の基準が満たされるような使い方としての農薬の使用基準を決めたりとか、え さとか肥料の中の含有量について基準を決めたりとか、その表示とかいったことをして きているわけです。  コミュニケーションの部分として、枠が全体にかかっています。上のところまでかか っているというのがわかりにくかったかもしれないんですが、要するに、このリスクコ ミュニケーションというのは、管理だけでやるとか、評価だけでやるとかいうことでは なくて、評価から管理に至る全体のところで必要とされているものでございます。食品 の安全に関する情報の共有と相互の意見交換ということです。それから、消費者等関係 者の意見を施策に反映させようということで、現在行っているわけでございます。  ちょっと個別な話になってきますが、食品の「リスク」というのは一体何でしょうか ということでございます。まず、食品中にハザード、ハザードといってもちょっとわか りにくいのですが、健康に悪影響をもたらす可能性のある物質なんかが食品の中にある 場合に、この「物質等」という「等」のところには、放射能であるとか物理的な状態な どが関係していますので、単なる物質だけではないんですが、そういうハザードという ものがある場合に、それによって生じる悪影響の確率とその程度の関数だと言われてい ます。  日本語にはもともとなかった概念で、つい「危険」だと認識してしまいがちですが、 「リスク」と「危険」は同じ意味ではありません。「リスク」の中には、必ず起きるの かどうかはわからないという概念が含まれているわけです。起きるかもしれないという ようなことです。これに近い日本語にあえて直すと、「やばい」「やばさ」という言葉 が比較的リスクの概念として近い言葉なんだそうですが、なかなか公的な機関で「この 食品はどのくらいやばいか」とか「この食品のやばさはどのくらいです」と言うことが できませんので、「リスク」という言葉を使用しています。  次に、絶対に安全な食品はあるかということでございます。先ほどのハザードもそう ですけれども、ある物質が健康に悪影響を及ぼすかどうかについては、その物質だけで 決まっているわけではなくて、その物質の持っている有害性とその物質をどのくらい摂 取するかという摂取量で決まってくるわけです。下にありますように、どんな物質、食 品でも、摂取量によっては健康に悪影響を及ぼす可能性があります。これは要するに、 リスクはゼロではないということです。健康に良いと言われている食品ですら、当然何 らかの作用があって健康に良いとかいわれているわけですから、そういうものをとり過 ぎると作用が過剰になって健康被害が起きるということが出てくるわけでございます。  本題のリスクコミュニケーションとはということでございますが、まず、リスクに関 係する人々の間で食品のリスクについての情報とか意見を相互に交換すること。この 「相互に」というところが非常に重要でございまして、単純に一方的にこちらの方から 説明するということではリスクコミュニケーションにはならないということでございま す。有害性がどうだとか、それが起こる確率がどの程度であれば受け入れられるのかと いうこととか、そのレベルまでリスクを下げるためにどうすればいいのかということに ついて、関係者の間でお互いに話し合いながら理解を深め、ともにどうしたらいいのか を考えていこうという取り組みでございます。  我々も現在、一生懸命リスクコミュニケーションを推進しているわけですが、そのリ スクコミュニケーションを難しくしている幾つかの要因がありますので、それについて も御説明させていただきたいと思います。  まず、実はリスクの認知ギャップというのがあります。結局、リスクというのが非常 に抽象的な概念ですので、それの感じ方にギャップが出てくるわけです。まず、実際に そのものが持っているリスクがあるわけですが、それと、それを聞いたときに受け取る 側の人々が感じるリスク、この認知リスクに差があると言われています。それから、食 品の安全性についての思い込みというのがあります。こういったものが、リスクコミュ ニケーションをフラットにといいますか、穏やかな心で進めていくことを難しくしてい ます。  先ほどの一つ目のリスクの認知ギャップについて、もう少し細かく説明させていただ きます。上の段にあるものが実際のリスクよりも大きく感じられるものでございます。 下は小さく感じられるものでございます。  どういうものが大きく感じられるかというと、例えば、未知のものとか、情報が少な いもの、よく理解できないもの、自分で管理、コントロールすることができないような もの、こういったものはリスクが実際よりも大きく感じられると言われております。下 にあるのは、実際のリスクよりも小さく感じられるものでございますが、例えば、便利 さとか利益が明らかなもの、自分で便利さや利益を感じることができるようなものと か、自分で管理、コントロールできるようなものは、リスクが小さいと感じられると言 われています。  どういったものが上のものに該当するかというと、まさに農薬ですとか、添加物です とか、遺伝子組換え食品などです。特に遺伝子組換え食品なんてよくわからない未知の ものだということもありまして、よく理解できないし、しかも自分でそれをコントロー ルできないということから、非常にリスキーだと感じるわけです。  一方で、下のもので代表的なのは、食べ物とはちょっとずれるかもしれませんが、自 動車などが該当します。移動するための手段として明らかにメリットが感じられます し、しかも自分で運転したりしている場合には、気をつけていれば事故は避けられると いうこともありまして、リスクも非常に小さいと感じておられるかと思うんですが、実 は、年間で自動車事故がどのくらい起きているかといいますと、最近の統計では、一時 期のひどかった時期よりは大分少なくなっているんですが、7,000人から8,000人の方が 自動車事故でお亡くなりになっているということがあるわけです。  農薬とかでそういうことが起きたら大変なことですが、自動車のようなものの場合に は、やはり自分でコントロールできるということもあって、余り大きなリスクだと認識 されていない傾向があります。  もう一つの難しい要因の一つとして、食品の安全性についての思い込みというのがあ ります。  一つは、自然由来の物質は全部安全で合成化学物質はとにかくみんな危険なんだと思 っている方が多いかと思いますけれども、実は、自然由来の物質の中でも、例えば、フ グ毒とかもそうですし、カビの毒とかもそうですし、有害な微生物なんかもみんな自然 由来です。また、最近の事例では、添加物で天然のものでありましたアカネ色素から発 がん性が見つかりまして、これが使えるリストの方から削除されるということがありま した。要するに、自然だから安全だとか、合成品だから危ないとかいう単純なものでは なく、安全かどうかというのは、やはり安全性についての動物の試験とかのデータに基 づいて評価して初めて明らかになるものでございます。  それから2番目の、有害なものがほんの少しでも入っていたら危険ということがござ います。皆さんそう思っているかもしれないんですが、先ほどもちょっと御説明させて いただいたように、有害かどうかというのは、そのものが持っている有害性と、それを どのくらい摂取するかで決まってきますので、非常に毒性の高いものでも、ほんの少量 の摂取であれば人体影響が起きないこともあるわけです。  それから一番最後に、賞味期限を1日でも過ぎていれば危険だと思っている方も多い と思うんですけれども、賞味期限については、科学的な根拠に基づいて、このくらいの 日にちであれば安全に食べられるということを調べた上で設定いただいております。基 本的には、賞味期限ぎりぎりのところで設定するということもまず少ないと思います。  問題は、日にちとして過ぎているかどうかよりも、それをいかにちゃんと管理してい るかということでして、幾ら賞味期限前であっても、適切な温度管理をしていないと、 微生物が繁殖したりして食べられなくなったりすることもありますし、きちんと管理を していれば、多少賞味期限が過ぎていても安全に食べられる場合もございます。一応こ こでお示しさせていただいたのは、科学的にそういう状態だということを説明させてい ただいたもので、賞味期限が切れたものの販売を推奨しているわけではございませんの で、そこは誤解のないようにしていただければと思います。  今日の意見交換の目的でございますけれども、お手元の方にA4縦の1枚紙を配らせ ていただきました。「意見交換会に参加いただいた皆様へ」というものでございますけ れども、やはり本日の目的は、皆さんでいろんな意見を出し合って理解を深めていこう ということでございまして、必ずしもこの意見交換会で何か合意して決めようというも のではございません。特に本日のテーマであります輸入食品の安全対策の現状とか、残 留農薬等のポジティブリスト制度について、関係者の間でまず情報を共有して、さまざ まな立場から意見交換を行い、この問題についての認識を深めていくということを本日 の目的と考えておりますので、よろしくお願いいたします。  以上、簡単でございますが、終了させていただきます。 4.テーマについての説明  ○輸入食品の安全確保について  ○残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について ○広瀬補佐  それでは続きまして、松本参事官の方から、本日のテーマであります輸入食品の安全 確保について説明させていただきます。 ○松本参事官  紹介いただきました厚生労働省でこのようなリスクコミュニケーションを担当してお ります松本義幸と申します。  「参事官」というと、どういう肩書かはっきりしませんが、今日はリスクコミュニケ ーションに関して1時から4時半までで3時間半です。普通は1時半から4時半までの 3時間でありまして、専らこの「3時間」だけの仕事なので「参事官」ということで人 には紹介しております。  まず、愛知県の皆様には、「愛・地球博」をお開きいただきまして、ありがとうござ いました。また、目標の1,500万人にも到達して大繁盛のようであります。今朝東京を立 って新幹線で参りましたけれども、新幹線の車両も名古屋でどどっと人がおりまして、 多くの方は「愛・地球博」へのシャトル列車のホームの方へ行っておりました。あの方 々もこれからいい出し物をごらんになるのかなとうらやましく思いながら、こちらの会 場へ来た次第でございます。  私の家内と長女が5月末に、「愛・地球博」へ行ってきました。大変おもしろかった と言って、私にも、せっかく名古屋へ行くんだったら行ってきたらと勧められたんです けれども、時間がありませんで、今回は残念ながら見ることができません。  日本は、世界中から多くの食料品を輸入しております。この輸入食品の安全確保につ いて、まず話をさせていただきます。 (スライド2)  これは、主要先進国の食料自給率をカロリーベースであらわしたものです。緑が昭和 45年、ちょうど大阪万博があった年です。オレンジが平成14年です。イギリス、ドイ ツ、フランスは自給率を伸ばしておりますけれども、我が国は逆に自給率が下がってい ます。ちなみに、100%を超えている国は、フランスが130%、オーストラリアが220%、 アメリカが110何%だったと思います。軍事大国と言われているアメリカでもしっかり 食料は自給しておりますし、ファッションの国フランスと言われながらも、大いなる農 業国でありまして、自給率が高い。  この自給率につきましては、率だけではなくて、余談になりますけれども、バーチャ ルウオーターという考え方があります。それは、小麦だとか野菜をつくるのに水が必需 品です。外国から食料品を輸入すると、外国でそれだけの栽培をするのに水が必要であ りまして、多くの水を日本が輸入しているという見方もあります。  また、フードマイレージという表現の仕方もあります。食べ物を日本に輸入するのに 船とか飛行機で持ってまいります。当然、輸出国では生産地から港まで車等で運びま す。そうしますと、多くの化石燃料を使っているということで、日本は食べ物も輸入し ているけれども、水とか燃料もたくさん使っているという問題を指摘もあります。 (スライド3)  これは我が国の輸入届出件数と重量の推移です。件数は、20万件ぐらいであったの が、現在では180万件に増えております。これは、届出のやり方が変更された影響もあ りますが、多くは少量多品種の輸入で件数が増えています。一方、輸入重量にします と、大体2,000万トンぐらいであったのが3,430万トンと、これも相当増えています。 (スライド4)  これは輸入食品をどのようなレベルで監視するかの概要です。三つポイントがありま す。  一つは、輸出国から運び込まれた輸入の時点です。全国31カ所に検疫所があります。 まずは検疫所に届出がされます。書類を審査し、問題がなく合格すればそのまま流通経 路に乗ります。モニタリング検査、あるいは検査命令による検査、あるいは自主的な検 査があって、合格したものが流通に乗り、不合格であれば回収あるいは廃棄、積み戻し ということになります。  もう一つは、国内での流通段階です。愛知県の方がいらっしゃいますけれども、マー ケットで輸入食品を監視して、残留農薬がないかどうか、あるいは違反していないかど うかを都道府県段階でも調べます。  もう一つの大きなところは、輸出国において我が国の規制に合った形できちっと輸出 してもらうということであります。違反があったときには、我が国の規制に合わせるよ う要請をしますし、必要に応じて係員が現地へ行って、本当に正しくやっているかどう かを見て、確認されなければしばらく輸入を止めます。輸出国と輸入時と国内の3段階 でやっているということであります。 (スライド5)  この輸入食品の安全確保の基本的な考え方です。ここにありますように、国の内外に おける食品供給行程の各段階において適切な措置を講じることにより行うと、食品安全 基本法にあります。先ほど申し上げましたように、3段階での適切な対応が必要という ことで、輸出国における対策、水際(輸入時)での対策、国内流通時での対策というこ とになります。 (スライド6)  それではまず、水際での対策について御説明いたします。  これは水際(輸入時)のところでの関門になります検疫所であります。全国で31カ所 あります。当然ここの名古屋港も大きな港でありますし、今年オープンいたしましたセ ントレア(中部国際空港)にも、食品も運び込まれてきますから、名古屋港あるいはこ の近辺にも四日市もありますし、中部国際空港にも検疫所があります。  全国31カ所でいろんな書類の検査のほかに、食品をサンプリングいたしまして検査を いたします。検査には非常に高度な設備が必要でございますので、この31カ所全部でや っているわけではありません。東日本は横浜、西日本は神戸に検査センターを設けまし て、そこにサンプリングしたものを送付して、残留農薬がないかどうかとか、あるいは 添加物はどうかとか、いろんな遺伝子組換えのものがまじっていないかどうかというよ うなことを検査しているわけであります。 (スライド7)  その全国31カ所の検疫所に職員が約800人ほどおりますけれども、食品安全にかかわ る者で食品衛生監視員というのがおります。17年前の平成元年には89名しかおりません でしたが、17年たちました現在は300名であります。公務員を減らせという声が新聞等 で言われておりますし、間もなく衆議院の総選挙が公示されますけれども、各党も公務 員を減らすと言っておりますが、必要な公務員は要るわけでございまして、17年かかっ てこれだけ増やしてきたわけです。まだまだ少ないじゃないかという意見がありますけ れども、全体としては減らせという中で、増やすことはなかなか難しいわけでありま す。しかし、必要だということでふやしてきておるということであります。  先ほどの折れ線グラフで輸入件数がふえておるということがありました。あれだけの ものをさばくのにこれだけで十分かというと、本当はもっともっとふやしたいのであり ますけれども、なかなか厳しい状況の中で、何とかここまでふやしてきつつあるという ことであります。 (スライド8)  これは水際(輸入時)での監視です。重点的に監視指導を実施すべき項目として、ま ず、輸入届出時における法違反の有無のチェックがあります。いろいろ書類上の問題と かがあります。そういうところをチェックする必要があります。もう一つが輸入時の検 査で、検査を実施するということであります。モニタリング検査、あるいは検査命令に よる検査等々があります。  それと、なかなか検査だけではしようがありませんので、輸入業者についてもきちっ と指導して、輸入業者が日本の法をよく理解し、日本の法律に合ったものを輸入してく れれば、ほとんどそういう検査も必要ないわけですけれども、現実問題なかなかわかっ ていただけない。輸入業者への指導も重点項目の一つであります。さらには、モニタリ ング検査等で違反が発見された場合には、輸入時の検査を強化します。 (スライド9)  輸入時の検査の実施ということを申し上げましたけれども、輸入の検査には三つあり ます。  一つは、検査命令というものであります。食品衛生法の不適格の可能性の高い食品と かについて、厚生労働大臣の命令でやる検査であります。費用については、輸入者が負 担する。かつ、検査命令の検査の場合には、検査結果が判明するまでは流通させてはな らないという厳しい検査です。  もう一つの検査が、モニタリング検査です。180万件輸入しておりますけれども、す べて検査するというのは現実的に不可能であります。それで、年間計画を立てまして検 査しています。今年度は7万7,000件ほどの検査を計画しております。このモニタリン グ検査の費用については、当然国の費用でやりますけれども、試験結果の判明を待たず に流通させることができるというものであります。  もう一つが、先ほど輸入業者の指導ということを申し上げましたが、輸入業者がみず から検査をする自主検査があります。  この三つがありますが、一番大きいところではモニタリング検査で、これとほぼ同じ 数をやっているのが、検査命令の検査ということになります。 (スライド10)  これは輸入時の検査体制の概要です。モニタリング検査あるいは指導検査ということ をやっております。そこで違反が出ますと、モニタリング検査を強化いたします。2件 に1件を検査するということで、さらに違反の蓋然性が高い、あるいは明らかに違反だ となれば、検査命令ということでもっと厳しい検査になります。それでも違反がやまな いときには包括的な輸入禁止となり、そのものについては輸入差しとめということであ ります。  180万件ほど輸入件数がありますけれども、大体モニタリング検査が7万数千件、そ れと検査命令がほぼ同数で、平成16年度は大体19万件実施しております。 (スライド11)  モニタリングというのは、当然抜き取りで検査するわけですけれども、本当に大丈夫 かなという話があります。そのモニタリング検査について、どれだけ検体数をとればい いか、コーデックスというWHOとFAOがつくった食品の安全基準を決めておる委員 会がありますけれども、そこに分析サンプリング部会というのがありまして、そこでど うすればいいか、どれぐらいやれば見つけられるかということで、統計学的に調べられ ております。  統計学的に一定の信頼度で違反を検出することが可能な検査数、検体数というのがあ りまして、95%の信頼度で違反率を0.1%と厳しくやろうとすると、大体3,000件ほど拾 わなければいけない。違反率1%であれば300件、違反率10%だったら29件。先進諸国 におきましては、コーデックスで示された考え方を踏まえて、食品群については95%の 信頼度で違反率が1%以下ということを確認できる299件の検査数を基本として輸出検 査を実施しているということです。この考え方で入ってくるものをサンプリングし、そ のときの検体数をこういう考え方で抜き取っているということであります。 (スライド12)  厚生労働大臣による検査命令が一番厳しい検査ですけれども、大臣が思いつきで検査 しろと言うわけにはまいりません。どういうときに検査命令が出るかというと、一つ は、健康被害が既に発生しておるとき、あるいは健康被害の発生のおそれがあるときと いうことでございます。同一の製造者または加工者からの同一の輸入食品について、例 えば、ひき肉がO−157で汚染されたことからO−157の患者が出たという場合、直ちに 検査命令ということになります。  あるいは、残留農薬ですとか動物用医薬品がモニタリング検査等で引っかかります と、全件数の半分ですから50%の2件に1件をモニタリングして検査をより細かくしま す。それで2回目の違反が出たときには、非常に違反の蓋然性が高いと判断されて検査 命令ということになります。  この厳しい検査ですけれども、いつまでも続けるわけにはまいりません。それで、そ の検査の解除という手続が出てまいります。これはどういうときかといいますと、輸出 国の再発防止策が確立されていて、違反食品が輸出されることがないと確認されたと き、検査命令が解除されることになります。どの輸出国でどの品物について検査命令が 出ているかも、厚生労働省のホームページ等で公表しております。 (スライド13)  それでは、検疫所の食品衛生監視員がどのようなことをやっているか紹介します。こ れは倉庫に行ってサンプリングしているところです。これはオレンジか何かだと思いま すけれども、パレットの上に積んであるものを、「そこと、そこと、そこの部分」と指 示をして、それを持ってこさせて必要なものだけとります。どこからとったかも一々記 録に残しますし、デジタルカメラで撮って後でもめないようにしてあります。  これは米のところで、俵ではありませんけれども、ぶすっと刺して米を採取します。 あるいはコーヒー豆なんかも同じような状況です。これは冷凍した肉か魚です。冷凍し てありますと石みたいな状態でありますので、ハンマーとのみでかいて、真夏でもマイ ナス20度とかマイナス30度の冷凍庫の中で防寒着を着て入ってやるということでありま す。  こういうサンプリングをするときに、引っかからないように、業者がいいものだけ集 めて、どうぞこれを持っていってくださいということで、ただ単にそれを収去している んじゃないかという誤解があるかもしれませんが、決してそういうことはありません。 係員が行って、ばらつきがないようにちゃんと指示して、事前の準備ができないように して行っております。 (スライド14)  その採取してきたものを、東日本の方は横浜、西日本の方は神戸の検査センターに送 ります。保存の状態が悪くて雑菌が繁殖したということがあっては困りますので、きち っと保冷庫に入れて、かつ、ちゃんと温度計を入れて、輸送途中で温度変化がなかった かどうかも調べるようにしております。当然こういうパック詰めにして、何月何日、ど この会社のどこの倉庫からどの部分を収去してきたということで、この表を見ればどこ の部分からサンプリングしてきたかが全部わかります。それで、こういうコンテナで送 られてきたものを検体として受け付けるということになります。 (スライド15)  これが横浜と神戸にあります検査センターです。持ってきたものをそのまま、重さを はかるように機械に乗せれば残留農薬等がぱっと出てくるというわけではありません。 そのためには、粉砕して均一化する必要があります。魚なんかですと、3枚におろして すりつぶすことになります。さながら調理場みたいな感じになりましょうか。それを有 機溶剤等で抽出して分析装置にかけるまでの部分が相当な力仕事です。分析機にかけれ ば、後はコンピューターでコントロールされて自動化されていますけれども、粉砕・均 一化と抽出・精製の部分が本当に手仕事でありまして、重労働です。このようなところ で、農薬が残留していないかどうかを調べています。 (スライド16)  サンプリングすると申し上げましたけれども、やみくもにとってもしようがないの で、海外情報に基づく対応もしております。  海外における食品安全情報の収集でありますが、各国に日本の大使館があります。そ こからの情報が一つあります。もう一つ、国立医薬品食品衛生研究所に安全情報部とい うのがあります。これは、世界各国でいろんな食品安全に関する政府の発表、あるいは 学会での発表、あるいは新聞等がありますので、目を光らせておりまして、その中から 必要なものを逐次我々の方に提供していただく、あるいは検疫所にも提供する形になっ ております。もう一つは、食品安全委員会の事務局に情報・緊急時対応課がありまし て、ここで世界中の食品安全に関する情報を集めております。まずこういう情報に基づ くというのが一つであります。  もう一つ、問題の食品が我が国に輸入されている場合につきましては、流通状況を調 査したり、あるいは回収、輸入時の検査を強化するということで対応しているというこ とであります。  具体例としまして、米国産アーモンドの事例です。普通アーモンドで一番多いのは、 アフラトキシンという発がん性の高いカビが生えることであります。輸入食品のナッツ 類ではアフラトキシンが多いんですけれども、この米国産アーモンドの場合には、サル モネラに汚染されておったという情報があって調べたことがあります。あるいは、中国 産のはるさめで過酸化ベンゾイルが入っておったという事例もあります。 (スライド17)  これは字が小さくて恐縮ですが、皆さん方のお手元の資料も字が小さくて申しわけあ りませんが、どういう食品衛生法違反の事例が多いかということであります。一番多い のは規格基準に違反する事例で、残留農薬だとか、いろんな部分です。大腸菌群のよう な微生物基準違反もあります。その次に多いのが12.7%、落花生やナッツ等のアフラト キシンの検出などです。 (スライド18)  違反が判明したらどうするかということであります。まず、違反食品が国内で流通し ておるということになりますと、関係の都道府県と連携いたしまして回収等の措置をと ります。国と都道府県等の役割の明確化ということであります。  また、都道府県では、先ほど国内に入ってからのところで説明したように、都道府県 の食品衛生監視員が市場で輸入食品を調べて検査することがあります。それで違反が見 つかりましたら、検疫所にフィードバックして輸入時の検査を強化するということであ ります。  当然、違反のあった輸入者に対する措置といたしましては、どうしてそういうことに なったのかということで原因究明の調査、再発防止の対策をとるようにさせますし、同 一製品を再度輸入する場合にありましては、サンプル品の検査等をやって改善が図られ ていることの確認を必ずやります。そうは言っても違反を繰り返すようなたちの悪い輸 入業者もありまして、そういう業者に対しましては、営業の禁止とか停止を申し渡すと いうことであります。  輸入食品の違反があった場合には、規模の大小を問わず、かつ、輸入業者が大きいと か小さいとか関係なく、新聞等に公表しております。ただ、新聞に公表しても新聞が書 かない場合がありますが、厚生労働省のホームページには全部載せております。  次にもう一つ、検疫所の段階でいろいろ検査等をやっておりましても、どうしても全 国で300人からの職員では、はっきり言って手が十分ではありません。そういうときの ために、やはり業者にきちっと認識を持ってもらってやるということで、輸入業者への 自主的な衛生管理の実施に関する指導を行っております。 (スライド19)  食品安全基本法には、営業者は食品の安全性の確保について責任があるということを 明確にしておりますので、まず、食品を輸入するとしたら、どんなものを輸入するの か、事前に相談をしてくださいと言っています。どこの国からどんなものを輸入するか という話です。あるいは、輸入に当たっては、できたら自主検査をやってください、ま た、輸入に当たってのいろんな記録とかがありますけれども、それをきちっと保存し て、何かあったときに追いかけられるようにしておいてくださいということなども指導 しておるわけであります。ここまでが国内対策です。 (スライド20)  もう一つ、三つの段階のうちの大きな根元から絶たなきゃだめということであります が、輸出国における衛生対策の推進ということがあります。  検査強化品目について、違反原因の究明、あるいは再発防止策の確立を、輸出国に要 請しております。  また、二国間協議とか現地に係員を派遣いたしまして、農薬等の使用管理がどうなっ ているか、あるいはその監視体制がどうなっているか、場合によっては強化してもらう ことになります。あるいは、日本に輸出する前に、輸出国として責任あるものを出して いただくということで、輸出前の検査の推進を要請しているということであります。  また、もっと大もとにいきますと、生産段階での安全対策の確認が必要な場合があり ます。専門家を輸出国に派遣して、その輸出国の担当者と一緒になってきちっと指導す る、生産者の指導ということもあるわけです。 (スライド21)  これは、数年前に中国産の冷凍ホウレンソウからクロルピリホスという農薬が検出さ れた事例です。民間の検査でわかって、調べてみたらそういうものが結構あることがわ かりまして、その時点で輸入をとめたわけであります。当然、中国からも輸入を再開し てくれということを言ってきておりました。  そういうことから、現地に行って、生産段階における農家の管理、あるいは使用農 薬、使用方法の遵守、使用農薬の統一購入ですとか、ここに挙げたようなことをやって もらう。加工工場には、畑ごとに製造管理してもらう。あるいは、使用原料の記録を保 存する。あるいは、3段階での農薬検査、収穫前、加工時、最終製品のところでやって くれということで申し入れ、輸出段階では、中国政府の検査機関による輸出前の検査、 あるいは生産加工場の管理をきちっとやるというようなことで申し入れて、一応守られ るということがわかりましたので、輸入を再開したということであります。 (スライド22)  これが平成14年ですけれども、45件違反がありまして、15年まではちょっとありまし たけれども、16年、17年は指導が効いて違反がゼロということになっております。 (スライド23)  これが最後ですけれども、今いろいろ御説明をしたことにつきましては、ちょっと字 が小さいですけれども、厚生労働省のホームページの食品安全のところをクリックして いただきますと、食品安全情報の部分が出てまいります。そこのところに、輸入食品の 安全確保に向けた取り組みとして、昨年度の輸入時の検査の状況ですとか、何でどれだ け違反が出たかという細かいデータが出ております。もっと詳しく知りたいときには、 このホームページにアクセスしていただきたいということであります。  輸入食品の安全確保についてはこれで終わらせていただきます。御清聴ありがとうご ざいました。 ○広瀬補佐  ありがとうございました。  それでは、ここで5分ほど休憩をとりまして、ちょっと時間が押してるんですけれど も、2時から次の説明に入らせていただきたいと思います。よろしくお願いします。                   ―休憩― ○広瀬補佐  それでは、休憩時間が短くて恐縮ですが、二つ目のテーマの説明、残留農薬等のポジ ティブリスト制度の導入についてに入らせていただきます。よろしくお願いいたしま す。 ○松本参事官  それでは、残留農薬等のポジティブリスト制度の導入についてお話をさせていただき ます。  日本の消費者、国民に、平成15年9月だったと思いますが、食品安全委員会で食品の 安全性についてどういうものが気になるかというアンケート調査をやりました。そのう ち関心が高かったのが三つありまして、一つが輸入食品、それとほぼ同じく、残留農薬 の問題、それと食品添加物ということでありました。  先ほど輸入食品の安全確保ということで申し上げましたけれども、生野菜等の6割が 中国から輸入されているということがありまして、一番最後のところで中国からの冷凍 ホウレンソウでクロルピリホスという残留農薬が見つかったというのがありましたけれ ども、この農薬の問題が輸入食品とほぼ同じぐらいで、輸入食品と農薬問題というの は、ほぼ同じような感じで皆さん方の関心が高いものでありました。  この残留農薬の基準につきましては、来年5月から大幅に制度を変えることとしてお ります。それについての説明ですが、まず初めに、食品に残留する農薬に関する規制の 仕組みについて簡単に説明いたします。 (スライド3)  基本的な考え方ですが、毎日の食事を通じて摂取する農薬等の量がADIを超えない ようにするということです。いきなりアルファベットで「ADI」という言葉が出て、 何のこっちゃという思いの方がいらっしゃると思いますけれども、なかなかいい言葉が ないもんですから、「ADI」と書かせていただきました。 (スライド4)  それでは、この「ADI」とはどういうものかといいますと、日本語では「許容1日 摂取量」と訳します。英語の「Acceptable Daily Intake」で、「Acceptable」が「許 容する」、「Daily」が「1日の」、「Intake」が「摂取量」ということでありまして、 その頭文字をとって「ADI」ということであります。  このADIというのは、ある物質について、人が一生涯その物質を毎日摂取し続けた としても健康に対する有害な影響があらわれないと考えられる1日当たりの摂取量のこ とをあらわします。通常、1日当たり体重1kg当たりの物質量ということです。ですか ら、子供さんですと体重が小さいですから、全体量は当然少なくなりますし、私みたい に太っておると少々量がふえてくるということになります。  このADIということですけれども、愛知の「あい(AI)」の間に挟まれた「胴体 (D)」という感じで「ADI」ということだろうと思います。 (スライド5)  では、このADIをどうやって決めるか。人が一生涯食べ続けても有害な影響があら われない量だといったときに、どうやって決めるかということがあります。まずは、そ れを評価するためのデータが必要です。多くは動物実験ということになります。  そうは言いましても、こういうデータは、基本的には農薬メーカーが提供いたしま す。農薬メーカーがいろんな動物実験なんかをやるわけです。ここにありますように、 主としてネズミ等を使ってやりますけれども、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、発が ん性の問題、催奇形性がないか、繁殖への影響がないかなど、いろんなことで30項目ぐ らいのものについての実験をやってデータをとります。  ただ、そのときに、農薬メーカーに任せてしまって好き勝手なデータをとられると評 価ができない。農薬の影響に非常に強いネズミだとかを使いますと、なかなか影響が出 ないということになって評価ができませんので、そういうばらつきがないようにという ことで、GLP(Good Laboratory Practice:安全性試験の適正実施に関する基準)と いうものがありまして、それにのっとって作成された安全性試験のデータを評価すると いうことになります。  これは、どういうものについてはどういう実験をやるかということ、また、その実験 に当たっての管理体制がどうなっているかということなど、ソフト面、ハード面合わせ た国際的な基準でありまして、そういうものにちゃんとのっとったところで試験をして データをとるということ。  かつ、そのようなGLPにのっとって試験がされたかどうかについて、農薬について は農林水産省が立入検査等をやって、正しく試験がやられていることを確認する仕組み があります。GLPにのっとって出てきたデータでやるというわけであります。 (スライド6)  そういう試験結果から、有害な作用の認められない量、これを無毒性量といいますけ れども、それを評価いたしまして、安全係数を掛けてADIを設定します。  安全性といいますのは、主としてネズミを使ったデータですので、人とは違うという ことで、そのままネズミのデータを人に応用できませんので、そこで安全率を10倍見ま す。また、人間も、非常に敏感な人からそうでない人までいろいろいますので、個体差 があるということで10倍して、100倍の安全率を見ます。ですから、ADIというのは、 無毒性量の100分の1という量で決めるわけであります。  これは、暴露量と生体影響の関係を示した図です。この暴露量というのは、例えば、 ネズミ等に農薬等を与えまして、症状が出てくるかどうかをいろんな実験で見るわけで す。当然、一定量を超しますと、農薬でネズミが全部死んでしまいます。少なくなって きますと、ずっと症状が少なくなっていって無毒性量ということになるわけです。縦軸 が生体影響で、必ずしもぴったりするわけではありませんけれども、これをリスクと考 えていただいても結構だと思います。  この実験をして、全くいろんなもので症状があらわれないというところで無毒性量を 決めます。それで、無毒性量の100分の1、先ほど申し上げましたけれども、種による 差で10倍、人の個人差ということで10倍ということで100倍するので、100分の1のとこ ろでとるわけです。このADIを超えないようなところで実際の農薬の残留基準が決め られているわけであります。  ですから、よく新聞等で残留基準値を10倍超えたとか、20倍とか、あるいは100倍と かありますけれども、実際は、仮に超えたとしても、ADIのぐっと下のところであり ますので、この10倍、20倍であったとしても、まずリスクはほとんど変わらないという ところがあります。いろんな作物をつくるのに農薬等を使ってつくっておりますけれど も、そういうものが残留したとしても問題ない、一生食べ続けても問題ないというとこ ろで基準を決めておるということでありまして、農薬を使っておるから危ないとかいう 見方をされる方がありますけれども、そういうものを使ったとしても安全だというとこ ろで残留値を決めておるということであります。 (スライド7)  その食品の残留基準値の決め方ということであります。  これは、個々の農薬ごとに、登録保留基準とか諸外国の基準を考慮して検討するとい うことであります。ちなみに、今の農薬というのは、一つの農薬があって、それで残留 基準が決まっているわけではありません。その農薬が使える野菜類が決まっておりま す。その野菜ごとに、農薬と野菜との組み合わせで残留基準値が決められるということ になるわけです。  これは農薬Aでありますけれども、小麦でいえば、海外のデータを参考に使う。白菜 については、もう登録されているので国内の残留試験のデータを使う。ミカンについて は、コーデックスで決めたものを使う。茶については、登録保留基準ということで、こ れは農薬を登録するときに決めますけれども、その部分を使う。そのような形で基準値 を決めるという方法があるわけであります。 (スライド8)  もう一つの決め方です。理論最大1日摂取量方式ということで、基準設定の対象とな る農産物の摂取量に基準値案を乗じて足し合わせる。ですから、その基準値いっぱいい っぱい残留しているという、実際にはあり得ないんですけれども、そういう推定をす る。  それで、国民が平均どれだけ食べるかということで、小麦あるいは白菜、ミカン等に それぞれの基準値がありますので、それを全部掛け合わせて、この例ですと、その農産 物を通じた農薬の摂取量がトータルで0.173mgとなります。この農薬AのADIが0.02mg /kg/dayであれば、日本人の平均体重が53.3kgですので、1人当たりの許容1日摂取量 が1.066mg/人/dayということになりますから、この計算した値と1日摂取量を比べて、 1日摂取量よりも小さければこの値でよいという決め方があります。実際は基準値いっ ぱいいっぱいに農薬が残ることはまずありませんので、非常に多目に見積もっていると いうところであります。 (スライド9)  もう一つは、日本型推定1日摂取量方式ということで、これは、基準設定の対象とな る農産物の摂取量に、実際に当該農薬がどれだけ残留しているかを調べて、それを掛け 合わせる。先ほど、前の図では基準値をそのまま掛けておりましたけれども、この基準 値の部分に実際に測定したものを入れて掛けてやるということであります。それがAD Iを超えないことを確認して決めるということです。  その農薬の摂取量の推定は、実際の作物の残留試験での残留レベルですとか、また、 バナナの皮を食べる人はいませんし、マンゴーなんかでも皮ごと食べる人はいません で、むきますので、可食部、実際に食べる部分だけの残留レベルがどうかとか、あるい は野菜も、生で食べるものもありますけれども、実際には熱を通して煮たり焼いたりし て食べますから、そういう調理加工の影響なども考慮して実際の摂取量を推定するとい うやり方で、より現実に近いものであります。 (スライド10)  集団として、国民平均、子供さん、妊婦さん、高齢者につきまして、それぞれ理論最 大1日摂取量をまず計算いたします。そして、理論最大1日摂取量がすべてADIの80 %以下ということであれば、基準値として大丈夫だろうということになります。どれか が80%を超えるときには、国民平均等のこういうものについて実際にもう一度計算し直 すということで、それでADIと比べてどうかということで決めるというやり方もある ということであります。 (スライド11)  それでは、来年度から大幅に変えようとするポジティブリスト制度について御説明い たします。これまで農薬の残留基準はどうやって決めてきたかについて、一番頭に置い ていただきたいのは、暴露量と生体影響の関係のS字状のなだらかな線の図がありまし たけれども、あの無毒性量のずっと下のところで決めておることをまず頭に入れておい ていただいて、今後、制度を変えることについての説明に移りたいと思います。 (スライド12)  まず、ポジティブリストといいますのは何か。写真ですとネガフィルムだとかありま すけれども、一般的に、ネガティブリストというのが現在の農薬の規制であります。こ れは、原則自由で、規制がない状態です。規制するものだけ農薬をリストアップすると いうのがネガティブリスト制です。一方、ポジティブリスト制というのは、原則農薬の 使用は禁止で、使用を認めるものだけリストをつくるということになるわけです。です から、投網をかけるといいますか、大きく網をかけるということで、かなり変わるわけ であります。 (スライド13)  この残留農薬等のポジティブリスト制度というのは、基準が設定されていない農薬等 が一定量を超えて残留する食品の販売等を原則禁止するという制度であります。農薬の 使用を禁止するわけではありませんが、一定量を超えて残留する食品の販売、流通を禁 止するということになりますと、間接的には、そういう農薬は使わなくなるということ になるわけであります。  こういう制度に変えましたのは、やはり中国からの冷凍ホウレンソウの残留農薬の問 題等々がきっかけです。日本で規制されている農薬は流通が規制されましたけれども、 外国で使われている農薬で日本で規制のかかっていないものについては、国内での流通 等がとめられないのが現状です。果たしてそれでいいのかという問題になりまして、平 成15年に食品衛生法を変えまして、このような形に変えることにしたわけであります。 (スライド14)  先ほど一定量を超えて残留する食品の販売等は原則禁止とありましたけれども、じ ゃ、その一定量とは何か。人の健康を損なうおそれのない量として、一定の量を定めて 規制するという考え方ですけれども、一定量としては0.01ppmを定めるということで考 えております。これは、先進諸国とかEUとかのデータ、考え方等も取り入れて、大体 よかろう、合理性があるというところで、一定量として0.01ppmと定めることにしたわ けであります。 (スライド15)  現在、我が国はまだネガティブリスト制で、来年5月からポジティブリスト制に移行 しますけれども、ポジティブリスト制度を採用している国々としてはどういう国がある かといいますと、一つはEUであります。EUは、使用対象外の作物に残留する場合、 安全性に関する資料がない場合には、0.01ppmを超えるレベルで残留することを禁止す るということでやっております。ニュージーランドですと0.1ppm、ドイツが0.01ppmと いうことで、米国の場合は、基準は定められておりませんけれども、運用上、0.01ppm から0.1ppmで判断しているということであります。このようなところで、我が国も0.01 ppmを採用することにしたわけであります。 (スライド16)  このポジティブリスト制でどういうものが規制の対象となるかというと、まず、規制 対象物質は、農薬が一つ。また、動物も病気をしたりしますので、そのためにいろんな 抗生物質等を使います。そういう点での動物用医薬品。そして、動物にえさをやった り、魚にもえさをやったりしますけれども、そういう飼料にいろんな添加物があります ので、そういう添加物が規制対象となります。規制対象食品といたしましては、加工食 品を含むすべての食品が対象になるということであります。 (スライド17)  規制対象とならないものもあります。オレイン酸あるいはレシチンなど、オレイン酸 は殺虫剤として使われたりしておりますし、レシチンも大豆レシチンが殺虫剤などに使 われておりますが、そういう食品添加物として指定されているものですとか、重曹とか 酢などを農薬として使うことがありまして、それは特定農薬という分類がありますけれ ども、そういうものについては規制対象とならないということであります。また、下に ありますけれども、天敵農薬ですとか微生物農薬などは、栽培段階で使用され、残留し ないと考えられることから、最終案では検討対象から除かれております。 (スライド18)  来年度の5月からというのはどうしてかというと、食品衛生法を改正し、平成15年5 月30日に公布いたしました。そこの中に、施行は3年を超えない範囲内で政令で定める 日と書かれております。非常に準備が大変でございまして、今一生懸命やっておるとこ ろであります。国民の皆様に十分周知する期間が必要だということもありまして、来年 5月ということで、法改正からほぼ丸々3年たったところで考えております。5月まで には実施するということであります。早まることはまずありません。 (スライド19)  ちょっと字が小さくて恐縮ですけれども、この一番左が現行の規制です。食品の246 農薬と31動物用医薬品等について残留基準を設定しております。残留基準値を超えて農 薬等が残留している場合には、販売等を禁止するということがあります。一方、残留基 準が定められていないものについては、農薬等が残留しておっても、基本的には販売等 の規制ができないのが現状であります。ですから、カロリーベースで6割の食料を輸入 している我が国にあって、日本の国内の農薬は規制がかかりますけれども、外国で使わ れていて日本の農薬として登録されていないものについては、規制がかからないという ことになって非常に問題になったわけです。  それで、来年5月から、このように、原則一定量を超えて残留する場合には、販売、 流通を禁止しますというように大きく変わります。ここに白の部分がありますけれど も、ここの少し緑がかっていますところも全部規制がかかってくることになるわけで す。 (スライド21)  これは、現在の日本の、残留農薬等の基準の設定状況であります。まず、食品衛生法 等により残留農薬基準を設定したものが246あります。それで、国際的に輸入、輸出、 貿易に関するいろんな基準が決められているのですが、WHOとFAOがつくった特に 食品についての基準を決めるコーデックス委員会で基準値が決められている農薬が130 ほどあります。一方、我が国については、農薬の登録基準があるものが350あります。 ですから、そこのあたりについてはある程度規制がかけられるにしましても、諸外国で 国際的に使われている農薬は約700ありまして、この周辺の部分は現行では規制がかか らないという状況になるわけであります。  そうしますと、アメリカから小麦を輸入するとなったときには、アメリカで使われて いる農薬で日本では基準が決まっていないものについては、流通を規制したくてもでき ないということになるわけであります。そういうこともありまして今度決めるというこ とになりましたけれども、じゃ、この700と、これを合わせた数の間をどうして埋めて いくかということになるわけです。  基準として、この246はそのまま使えます。そして、国際的に決められている基準が ありますので、重なっている部分はありますけれども、その残りの部分については、コ ーデックスの国際的な基準を使いましょう。また、基準はまだ決まっておりませんけれ ども、国内で農薬について登録されているものがありまして、この246と350の間で大体 90ぐらい差があります。その90については、そちらのきちっとしたデータに基づいたも ので基準を決めましょうということでやります。  しかし、その残りの部分について、なかなかデータがないということがあるわけであ ります。そのために、本当はいろんな実験をして、そのデータを評価して残留基準値を 決めるべきでありますけれども、とてもそんなデータが全部そろわないということがあ りまして、一応暫定的に基準を決めようということで進んできておるわけです。 (スライド22)  この暫定基準の設定の目的ですけれども、まず1番は、国民の健康保護ということで あります。もう一つには、ポジティブリスト制度の円滑な施行ということもあります。 (スライド23)  今現在246の基準がありますけれども、基準を全部一から定めようとすると、膨大な 試験をしてデータを取り寄せなければなりません。しかし、そのデータが出るのを待っ ておったら何十年かかるかわからない。そこで、暫定的なものでとにかくまず施行しよ うと決めたわけです。ですから、科学的な根拠に基づいて決めている基準等を参考に、 食品成分規格として設定すること考えておるわけであります。既に設定している残留基 準があるわけですけれども、それについては改正等を行わないということで進めていく ということであります。  参考とする基準はどういう基準かといいますと、一つは、国際基準でありますコーデ ックス基準です。これは科学的なデータに基づいて決めてありますので、基準があるも のはこちらをそのまま採用します。また、農薬取締法に基づく登録保留基準というのが あります。こういうものがあるものについては、それを用います。  あとは、コーデックスなどのいろんな委員会がありまして、農薬等の影響を専門的に 評価する会議がありますけれども、そこで必要とされている毒性などに関する資料に基 づいて設定されていると考える外国の基準、ですから、当然そういうところは基準を決 めるときにGLPに基づいて試験をして、それに基づいて安全性を評価している、AD I等を決めて基準を決めているわけでありますので、そういう信頼性の高いデータに基 づいて基準を決めておる国の基準、米国、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージー ランドの基準を参考として暫定基準を決めようと考えておるわけです。  暫定基準はどのように設定されるかということですが、まず一つ、コーデックス基準 があるものはコーデックス基準を使う。コーデックス基準がない場合には、我が国の農 薬の登録保留基準を使う。コーデックスの基準にもなく、登録保留基準もない農薬の場 合には、先ほど申し上げました海外の、アメリカ、EU、オーストラリア、ニュージー ランド、カナダのものを参考にして決めるということで取り組むということでありま す。 (スライド25)  イメージとしては、例えば、農薬Bの場合、小麦について、現在残留基準が決まって おればその値を使う。その農薬をミカンに使う場合には、登録保留基準があればその値 を使う。牛の肉についてはコーデックスの基準、牛の乳の場合は海外の基準があればそ れを使う。こういう寄せ集めであります。では、お茶にこの農薬Bを使うとしたらどう するかというと、コーデックスの基準もありませんし、現行もない、海外にもないとな ったときには、一定量の0.01ppmという規制がかかってくるということになるわけです。 (スライド26)  この暫定基準につきましては、借り物ですから、ポジティブリスト制度で暫定基準を 設定する際に参考とした諸外国の基準が変更される場合がありますし、あるいはコーデ ックス基準が変更される場合もありますから、そういう状況に応じて暫定基準の見直し を行うというのが一つあります。そういうことで、5年ごとの見直しをやることとして おります。  一方、こういう残留基準を決めるときには、マーケットで皆さん方がどういうものを 買ってきているかという統計がありますが、それに基づいて、そのものからどれだけの 農薬が摂取されるかということで調べております。そういうマーケットバスケット調査 で農薬等の摂取量がふえてきたということであれば、そういうものを優先的に調べて安 全性の試験結果を収集して見直しを行いましょうというのが一つ。  それと、国際機関でADIが設定できないと評価されるものについては、資料を集め て、食品健康影響評価を優先的依頼して、その結果を踏まえて暫定基準の見直しを行 う。そのようなやり方で、暫定基準を決めたからといって、何もずっとそれをほうって おくわけではありませんで、状況の変化に応じて見直していこうと考えているわけであ ります。 (スライド27)  今後の予定でありますけれども、まず現在、WTOに通報すると同時にパブリックコ メントを募集しています。普通、大体1月ぐらいしかパブリックコメントをかけないん ですけれども、非常に膨大な量がありますので3カ月間とし、パブリックコメントを8 月2日で終わって、WTOの方が今週末、明日までだったと思います。来月、内閣府食 品安全委員会に調査審議をお願いして、それと同時に、厚生労働省に薬事・食品衛生審 議会というのがありますので、そこの食品衛生分科会に諮問をすることにしておりま す。11月末に関係法令の公布、告示ということで、約6カ月間の周知期間が必要だと見 ております。それで、来年の5月末までにポジティブリスト制度施行という予定をして おります。 (スライド28)  一応、大きく我が国の残留農薬の基準の決め方が変わるという御説明をしました。  では、実際の食品中における農薬の残留実態はどうかを簡単に御説明します。 (スライド29)  これは、平成13年度と14年度に調べたものでありますけれども、基準値と比べてどう かということであります。13年度が、基準値の0.19%ぐらいから、多いものでも基準値 の31%程度が残留しておったということです。14年度はこのぐらいでした。先ほど、国 民栄養調査で、実際皆さん方が購入されるものがわかっておりますので、その日常の食 事を介した食品中の残留農薬摂取量の推計ということでやっておるわけであります。 (スライド30)  加工食品中につきましては、ここに挙げたような状況であります。あるものはありま すけれども、全体の件数からすると非常に微々たるものだということであります。 (スライド31)  残留農薬の検査結果ですけれども、12年度が、総検査数が46万7,000件、検出数が 2,826件ということであります。ただ、この総検査数というのは、実際の品物を46万個 調べたということではありませんで、一つの野菜について複数の農薬を調べます。例え ば、キャベツならキャベツで五つ農薬を調べるとすると、それは5件ということになり ます。それで違反がどれだけ出てきたかということでありまして、品物の数を46万7,000 個調べて、そのうち何個というものではありません。一つのものについて農薬を複数調 べたものも、その件数としてカウントしているものであります。いずれにしましても、 ほとんど低い値であります。 (スライド32)  そうは言いつつも、やはり気になるという方のために、最後の1枚であります。生で 食べてもほとんど残留しないわけですけれども、気になる方には、調理加工によって減 少いたします。水洗い、皮むき、ゆでる、揚げるなどをやって、残留農薬が減少すると いうことが知られておりますので、通常の調理をしていただければ問題ないと考えてお ります。  最後に、別に群馬県の人に頼まれたわけではありませんけれども、農薬について、多 くの方々に知ってもらいたいということで、群馬県が苦労をして、「ちょっと気になる 農薬の話」という320円の冊子で、親子が農家に行って農薬についていろいろ話を聞く という、親子の対話という形でまとめられておりまして、皆さん方が非常に気になるこ とがわかりやすくまとめてあります。御関心のある方は、これを読んでいただいた方 が、私の説明よりよくわかるのではないかと思って、最後に御紹介させていただいて、 お話を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○広瀬補佐  ありがとうございました。 5.休憩 ○広瀬補佐  ここで10分間休憩をとらせていただいて、再開は45分からとさせていただきたいと思 います。よろしくお願いいたします。                   ―休憩― 6.パネルディスカッション及び意見交換 ○コーディネーター(広瀬補佐)  それでは、お時間となりましたので、これからパネルディスカッション及び意見交換 を行いたいと思います。私、広瀬の方でコーディネーターとして進行を務めさせていた だきます。よろしくお願いいたします。  それではまず、パネリストの紹介をさせていただきます。  真ん中のテーブルからになりますが、愛知県健康福祉部生活衛生課主幹の佐橋悦也様 でございます。  そのお隣が、愛知県生活学校連絡会会長の太田和子様でございます。  そのお隣が、社団法人愛知県食品衛生協会会長の岩田功様でございます。  また、本日は、関係行政機関からも来ていただいておりまして、食品安全委員会事務 局次長の一色賢司様でございます。  そのお隣が、農林水産省消費・安全局消費者情報官の引地和明様でございます。  あと、一番こちらが厚生労働省になりますが、先ほど説明をさせていただきました、 厚生労働省大臣官房参事官の松本義幸でございます。  以上6名でパネルディスカッションの方を進めていきたいと思います。  それから、このパネルディスカッション、意見交換の進め方についてでございます が、テーマごとに進めていきたいと考えております。本日のテーマとしては、輸入食品 の安全対策、それから残留農薬等のポジティブリストという二つのテーマがございます ので、それぞれ一つずつ進めていきたいと思います。また、最後に、食品安全全般につ いて自由に意見交換を行う時間を設けたいと考えております。  それでは、まず最初に、輸入食品の安全対策の方から始めたいと思います。  輸入食品の安全対策につきましては、国の方が現在行っている取り組みについて先ほ どプレゼンテーションの中で御紹介させていただきましたが、これはあくまでも安全確 保のために国がどういうことに取り組んでいるかということで説明をさせていただいた ところでありまして、これを理解していただいた上で、安全だと感じていただける方も あれば、そうは思わないという方もいらっしゃると思います。安全だと思えないとか、 安心できないということになった場合、それを解消するためにはどういうことをしてい ったらいいのか、何が問題なのかということを議論していきたいと思います。  それではまず、パネラーの方から御意見を伺いたいと思います。  消費者の立場から、いかがでしょうか。 ○パネリスト(太田氏)  それでは、御指名を受けましたので、生活学校連絡会の太田でございますが、発言を させていただきます。  ただいま、リスクコミュニケーションを初め、本テーマになります輸入食品の安全確 保についてということで、私たちが見せていただきました映像の中から見ますと、大変 いろんな面で輸入食品についての安全に関する国側の取り組みというか、これを見せて いただいて、私は一生懸命やっていただいているんだなということは感じました。  ただ、主要先進国の自給率の中にもございましたけれども、イギリス、ドイツ、フラ ンスは自給率が伸びている中で、日本においては40%ということで、従来よりも自給率 が下がっているということ、これは大変大きな問題だと思っております。いかんせん、 私たちが自給率を高めるためにはどうしたらいいかということで、大変これが問題にな っていくんだろうということを感じております。  現在、私たちが周辺のスーパーなどで食品を購入するときに、食料品の中でも生鮮食 品初め加工食品を求めるときには、多くの輸入食品が店頭にございます。これは、私ど もが好むと好まざるとにかかわらず、そういったものが置かれているという状況であっ て、それを選択するのは私ども消費者でございます。  その中で、どう選択していくかということでありますが、輸入食品については、BS Eの問題、にせ表示、そしてまた、最近にも見られる鳥インフルエンザと、大変このと ころそういった食の不安状況が多いわけです。されど、BSE以来、食に関して大変消 費者が関心を強めているということについては、大変いい傾向である。されど、そうい う中であるからこそ、国も県も、それに対する対応をしてもらっていると私は思ってお ります。  ただ、そういう中で、輸入食品の安全確保ということについて私たち一般市民はどう 思っているかということですが、たまたま平成16年度に、食の安全に関する意識調査と いうものをいたしました。これを見ますと、やはり不安がまだ払拭されていない点がご ざいます。  1年前ですので、その後の状況はかなり変わってきているとは思いますけれども、調 査した中で、先ほどもお話がございましたように、このポジティブリスト制度を設ける に当たって、平成15年に調査をされたときに何がそこに挙がったかというと、やはり輸 入食品、残留農薬、そして添加物と、全く同じ状況で結果が出てまいりました。県下で 一般消費者1,000名にフリーで調査したわけですが、やはり私どもは輸入食品に対して の安全性について危機感を持っているし、私たち自身、それにかかわって、やはり残留 農薬、そして添加物ということは否めないんだなということを感じております。  冷凍食品のホウレンソウという点では、食品に関して、生鮮食品もそうでございます が、このところ、インターネットで検索しましても、情報の中にはそういった面でのト ラブルは起きていないようです。ただ、そういう中で、加工食品、そしてその加工食品 の中でも冷凍食品に、いろいろな面で私たちが案ずるものがございます。そして、やは りこれを我々がどう選んでいくかという目安になるものは表示でありますが、その表示 がなかなか私どもにわかりづらいところがあるというか、輸入食品に対する問題点につ いて、私たちは、特に加工食品や冷凍食品の問題点について、いろいろな立場からもっ といろいろ考えていかないといけないと思っております。  たまたま見ておりましたら、本年でございますが、タイ産のモチ米に異物がというこ とで、安全確認まで、その輸入されたものが移動凍結されております。先ほど監視体制 はしっかりとやっていただいているところを見せていただきましたが、何せそれにかか わられる方がまだまだ多いとは言えません。水際から中へ入ってからそういったものが 発生するということは、我々にとってみると、検疫状態がどうであったのか、そして、 その後の管理状態はどうであるか、保存されている状況など、一般消費者としては、こ れも懸念材料だと思っております。  もう1点、これは表示に関連いたしますが、今アサリが北朝鮮から入ってくる。こう いうものが韓国からのルートでなく、中国へ回って国内へ入ってくる。それもやはり汚 染度があるということで、大変心配している状況です。こういう問題点も、私どもがこ れからどう把握して、輸入食品に対しての安全度を確認していくか、そして保持してい くかということが私は大変大きな問題であると思います。表示は私たちにとって目安で ございます。その表示を、やはり消費者が安心して、そして安全なものを口にできるよ うに、しっかりとしていっていただきたいと思っております。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、事業者の立場からということで、食品衛生協会の岩田さん、お願いいたし ます。 ○パネリスト(岩田氏)  社団法人愛知県食品衛生協会の会長を仰せつかっております岩田でございます。  食品衛生協会と申しますのは、愛知県下に24の支部がございまして、約5万5,000軒 の食品に関する業者さんが会員で加入をされておる団体であります。業種につきまして は、本当に川上から川下まで、小売業さんから飲食業、そして川上はメーカーと、すべ ての食品を扱うところでございます。また、規模におきましても、本当に何千人規模の ところから、1人2人の本当に零細の食品業者まで、すべてを網羅しております。  そういう団体でございますので、こういう場で発言をするときに、どこのあたりを頭 に置いて話をしたらいいかが大変難しいのですが、ただ、一つ言えることは、食品の業 者というのは、すべて共通の認識がございまして、それは、消費者の皆さんに、安心で あり、また安全である商品を供給するという大前提のもとにやっております。ただ、残 念ながら、一部の不届きな業者がありまして、違法表示なりがあるわけでありますが、 基本的には、すべて本当にそれが一番重要だと考えているわけであります。  その中において、今の輸入食材、輸入食品の安全性云々につきましてのお話をさせて いただくんですが、私ができる話としては、自分がやっていることが一番わかりやすい ので、皆さんに話をさせていただこうと思います。私、惣菜をメーカーとしてつくって おりますし、なおかつ販売もしている会社の人間でありますので、そのあたりを少しお 話をさせていただきます。  先ほども自給率の話がございました。約40%が日本の自給率であるんですが、我が社 におきましても、大体どのぐらい輸入の食材を使っておるんだろうかと調べさせました ら、大体同じような数字が出ました。国内産が40%、輸入品が60%でありました。数字 的には、年々輸入品が多くなってくるわけです。本来ですと、我々も国内産の原料を使 いたいわけでありますが、価格の問題などいろいろな問題がございまして、どうしても 海外の商品に頼らざるを得ないわけであります。そういうときにおいて、当然今お話し の安全性ということが一番重要になるわけです。  これも先ほど話にあったんですが、平成14年にホウレンソウの事件がございました。 これが一番最近の中では大きな事件でございまして、当然我が社の方にもかなり影響が あったわけであります。これを境にして、多くの食品メーカーなり流通、または小売業 の考え方が変わったと私は思っております。実際、我々も変わりました。今までです と、これは中国から来た商品ですが、あくまでそういうものはないだろうということを 前提にして原料を買って商品につくっていたわけです。しかし、それ以降は、かなりの 会社なり人間が中国に出向いて、もちろん農場なり生産工場なりに出向いてチェックを するようになってきております。  それ以来、今のところ大きな問題は起きていないわけでありますが、ホウレンソウ以 降、かなり各会社が安全について強烈にいろんな手を打ったことによって、今後ますま す今までとは違った形になってくるんではないかと思っております。ただ、先ほど言い ましたように、会社の中でも、大きな会社から小さな会社までございます。そういうこ とができる会社とできない会社があるわけでございます。本当に小さな会社で、自分た ちではそういうことができない会社をどうするのかということも、今後大きな問題にな ってくるのではないかと思っております。ただ、少なくとも、先ほど言いましたよう に、我々全会員は、安心安全が一番大事なことだと思ってすべての行動をしていること だけは、皆さんに御理解をいただきたいと思っております。  それともう1点、これもまた一時問題になったことですが、いわゆる規制の項目で、 例えば添加物ですと、欧米では認可されていて日本では認可されないということに対し て、中国などの海外の産地や食品工場へ行きますと、これが結構大きな問題というか、 難しいことであります。当然商品というのは、皆さん御承知のように、1カ国だけに輸 出しているわけではなくて、世界中を回っているわけでありまして、日本用につくった ものと欧米用につくったものを別々にするということも大変難しいことですので、この あたりの問題も頭が痛いところです。これも一時、添加物の問題で、日本国でそういう ものが検出されて全品回収ということになりましたことによって、かなり改善をされて きているんですが、まだ一部問題があると思います。  ですから、我々業者の立場としても、国際基準、よく今使われるいわゆるグローバル スタンダードのようなものと国内基準との整合性のようなものを、きちっと役所なり何 かでしていただかないと、今後ますますこういう問題が起きる可能性があるということ も少し話をさせていただきました。  以上でございます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  最初に太田さんの方から問題提起をいただきましたが、加工食品、特に冷凍食品とい うようなお話と、それから表示の不安とか、あとは監視体制への不安といったものが輸 入食品の安心感を高めるためには重要なのではないかという御指摘をいただきました。  一方、岩田様の方からは、事業者としての取り組みというようなことで、まず、冷凍 食品について、ホウレンソウの例でしたけれども、具体的な取り組みを御紹介いただき ました。それからあと、問題提起としては、各国の規制の違いから、いろいろな違反と かが出ることにつながっており、ハーモナイズをするようなことが必要なのではないか という御指摘をいただいたところでございます。  加工食品への不安感のところにつきましては、今事業者としての取り組みについても ちょっとお話をいただきましたので、あとは、今回、表示のところをどうするのかとい う話と、検疫体制のところと、規制の違いのところ、この三つについて少し行政側から もコメントをいただければと思います。  表示の関係については、農林水産省の引地さんからお願いします。 ○引地農林水産省消費・安全局消費者情報官  消費者の方からの関心が最も大きい問題は、やはり表示の問題でございます。  この表示につきましては、生鮮物、それから加工品の他、さらに今は外食産業でも、 いろいろと皆さんがレストランで食べていただく料理について、原料はどこから来てい るのかということで、原産地を示していこうという動きになっています。  今日お話のあった加工品でございますが、特に先ほど自給率の問題でございましたよ うに、外国からいろんな加工品が入ってくる中で、これがいったいどこの国から来たの かということに対する関心が非常に高くなってきているということでございます。  御案内のとおり、加工品の表示には、加工品ですからいろんな材料が一緒になってい るということで、それぞれについて原産地を表示するというのは、技術的に大変難しい 問題があります。さはさりながら、非常に関心が高いということで、これまで8食品群 に原産地表示を義務づけて昨年から、20食品群までこれを広げまして、原産地をきっち り書くようにという仕事を今させていただいております。  技術的な問題が多少ありますので、一気にこういった原産地表示を増加するというわ けにも、なかなかいかないのですが、逐次そういった品目で、技術的な面、あるいは情 報、あとはいろいろな消費者の方の関心といったものを勘案しながら、こうした情報表 示の提供に充実を図っていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  それと、若干自給率の問題についてお話がありましたので、お話しさせていただきま す。  自給率は、今、カロリーベースで4割でございます。考えてみますと、この自給率と いうのは、だれが頑張れば上がるのだろうかということでございます。農家の方が一生 懸命農産物をつくれば自給率は上がるのかというと、どうもそうではない。一生懸命つ くっても、消費者の方に食べていただかないと自給率は上がらないわけですね。そうす ると、おのずと、生産者の方、農家の方、流通・加工の方、それから消費者の方、それ ぞれの立場からの自給率に対する取り組みがこれからは非常に大事だと思っておりま す。  生産者の方は、たくさんつくってもうかるのはいいんですが、値段が高ければやっぱ り売れないんですよね。それで、外国の商品と競争するということになりますと、生産 性を上げまして、効率のいい生産をして、価格の競争力を高めていく努力をしないとい けない。また、消費者の方も、国産の商品に対する理解をしていただきたい。それと、 結構むだが多いんですね。捨てているものが多いので、そういうロスを少なくしていく ということ自体も、やはり自給率を上げていく一つの取り組みだろう。  私ども、向こう10年先を見通して、45%ぐらいに上げたいということで、1%上げる のも大変な努力なんですけれども、上げていきたいという目標を立てております。つい ては、目標だけ飾るのではなくて、それに至るプロセスをきっちり管理しようというこ とで、それぞれ行程表というのをつくりまして、生産者の方はどういう取り組みをして いくか、流通業者の方はどんな取り組みをしていくか、あるいは消費者の方は、消費者 団体の方にどういうことをお願いして、どんな仕事をしてもらっているか、普及しても らっているかということを一つ一つチェックしながら、少しでも前に進めていきたいと 思っております。  今私ども、今日の資料に入れさせていただきましたけれども、食育ということとの関 連で、食事バランスガイドというものを今年は普及したいなと思っているんです。日本 の食材を使った食事バランスということを意図してつくらせていただいています。こう いう食べ方をしていただきますと、結果として自給率も上がってくるのではないか。自 給率が目的ではございませんが、こういう食事のとり方をしていただければ結果として 上がるということで、これも取り組みの一つにしたいと思っております。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、監視体制という話もありまして、結局、検疫を通関した後、いろいろ問題 となるようなものが見つかってくると、検疫のときの状態はどうだったのかとか、保存 状態とか、監視の体制としてどうなのかという御意見をいただいたわけですが、これに ついてと、あと、添加物などの規制の違いなどの話を松本参事官からお願いしたいと思 います。  あと、監視体制のところでは、佐橋様からも、県としての取り組みということで少し お話をいただきたいと思います。 ○松本参事官  検疫所での輸入時の検査の状況につきましては、先ほど申し上げましたように、いろ んな情報を集め、かつ、人数も限られておりますので、効率的に検査をしています。し かし、180万件もありますと、それからどうしても抜け落ちる部分があります。そこの 部分については、都道府県でいろいろやってもらっていますので、そちらとの役割分担 をしながらやっていこうと考えております。  保存、輸送、保管の状態につきましては、一義的には輸入業者あるいは流通業者が責 任を負うことになります。食品衛生法あるいは食品安全基本法にも、食品を提供する者 の責務が明確にされておりますので、安全な食品を提供するという役割をきちっと担っ ていただくということになるかと思います。  次に、指定添加物のところで、海外で認められて日本で認められていないので困って しまうというお話がありました。国際的に安全性が確認されて汎用されている、広く使 われている添加物につきましては、JECFAという国際的に添加物を科学的に評価す るところがありますけれども、そこで安全性の評価が終了して一定の範囲での安全性が 確認されたものということが一つ、かつ、米国及びEU諸国等で使用が広く認められ て、国際的に必要性が高いと考えられる46品目と香料につきましては、業者任せにする ことなく、国が主体となって安全性のデータを集めて分析し、指定に向けて今取り組ん でいる最中ということであります。  これまでこういうものは業者が申請しないと認めないということがあって、業者も日 本1国のためにそこまではしないということで、事業者の方が困るということが、先ほ ど岩田さんの方から話がありました。国際的に安全性が確認されて、非常に広く使われ ている添加物につきましては、国でそれを指定するという取り組みをやっておるという ことで、国際的な整合性をとりつつあるところであります。 ○佐橋愛知県健康福祉部生活衛生課主幹  愛知県の佐橋でございます。  今お話がありましたのは検疫から出てきてからの話だったと思うんですけれども、私 どもの輸入食品への対応としては、平成14年度から、毎年9月を輸入食品対策月間と し、1カ月間の間、重点的に輸入食品に対しての監視指導、収去検査等を行っておりま す。  ちなみに、16年度につきましては、輸入関係業者等311施設に対して819回の監視指導 を実施しまして、合わせて154検体の輸入食品につきまして、それこそ農薬を初めとし て防黴剤ですとか組換え遺伝子等の検査を、延べ1,757項目行いました。表示の不備は 確かにありましたけれども、違反は特にございませんでした。  それから、今年度でございますけれども、皆さん御承知のように、国際博覧会「愛・ 地球博」が今まさに開催されております。その会場を中心に多くの輸入食品が流通する のではないかということが予想されましたので、毎年9月の月間を5月に繰り上げまし て実施いたしました。万博の施設を含めまして319施設に1,297回の指導を行いまして、 210検体の輸入食品について、延べ1,400項目の収去検査を行ったわけでございます。そ の結果、先ほど申し上げたように、表示の不備は発見されまして、それについては改善 指導ということで行いましたけれども、成分規格等の違反はなかったわけでございま す。  私どもは、その月間だけは集中的にやるんですけれども、それ以外にも、やはり輸入 食品に対して不審があれば、特に国からの情報があれば、率先してそういうものに取り 組んでいきたいと考えております。本音を申し上げれば、水際で防いでいただければあ りがたいわけですけれども、先ほどの体制からいっても、100%というのはなかなか難 しいんだろうなと、同じ食品衛生監視員としてわかるもんですから、できれば我々は我 々で、消費者に渡る前の最後のとりでになるだろうと思っていますので、頑張っている という現状でございます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、パネラーの方から、ほかに何か補足するようなことはございますか。で は、次長からお願いします。 ○一色食品安全委員会事務局次長  食品安全委員会ではいろんな仕事をしておりますけれども、そのうちの一つに、世界 中から食品安全に関する情報を収集するというのがあります。これは今年で2年目にな りますけれども、データベースをつくって皆様にも使っていただくことを計画しており ます。少しずつですけれども、皆様からアクセスしていただいて、データをとれるよう に今なっております。  水際で検査をするにしても、市販に出回った後で検査をするにしても、やみくもに検 査をするのでは非常に効率が悪いわけでして、世界中から食品安全委員会なり、厚生労 働省なり、または輸入をされる方が適切な情報をとってきて、例えば中国で使ってはい けない魚の殺菌剤みたいなものが使われているというような情報があれば、検査する方 も非常にやりやすいわけですね。ですから、そういうことを心がけて、輸入食品等につ いて、食品安全委員会も情報を集めては提供するようにしております。  それから、最初に広瀬さんから御紹介がありましたけれども、現在の食品安全の考え 方は、最終食品だけを検査して、安全とか安全でないということでは無理だということ がわかりました。それで、いわゆる一次生産から最終消費まで、みんなで気をつけまし ょうと。  自給率40%ですから、60%が海外から来ます。ということは、私たちの一次生産農場 というのは、地球上というか、地球上全部が一次生産の場になりますので、そのあたり を消費者の方もぜひ理解していただいて、みんなで世界中を見ていきましょうという助 け合いの気持ちみたいなところをぜひ御理解をお願いしたいと思います。そうしない と、輸入のことを検疫所の方たちだけに何とかしろと言っても、ちょっと無理ではない かというような感想を持っております。  以上でございます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  少し簡単に私の方からも補足させていただきたいと思います。  先ほどの輸入食品の安全対策の説明の中でも、いろんな違反事例があるということで 示されていたかと思いますが、輸入食品は、どうしても外国で生産されているものなの で、国内の法律に合致しているかというと、先ほど岩田さんからもお話がありましたよ うに、その国で合法なものでも、日本でそれが合法かどうかという問題があるというこ とでございました。  結局そこは法律的には違反ということになるわけですが、違反イコール危険とは必ず しも結びついていないということもあります。これは、実は余り一般の方にはそういう ふうに情報が流れていないのかなと。やはり違反品は怖い、危ないと感じておられる方 が多いかと思います。先ほどの添加物なんかのお話にもありましたように、実は、海外 ではきちんと安全性評価がされていて、安全だということで使われていても、日本でた またまそういう添加物を申請する人がいなかったので、要するに日本の法律上はそうい う評価がなされていない。だから、そういうものが見つかると違反になるというものも ございます。  輸入食品の場合には、どうしても国内、海外という状況の違いなんかもありますの で、そういったことも広く理解いただいて、より輸入食品の安全対策をどう考えていっ たらいいかを皆さんでお考えいただければと思います。  パネラーの方、あとはもうよろしいですか。  それでは、輸入食品の安全対策、安全確保について、安全のためにどうしたらいいの かみたいなことについて、会場の方からも少し意見を求めたいと思います。御意見のあ る方はいらっしゃいますでしょうか。  最初に、意見をいただく際には、私の方で指名させていただきます。それと、大変申 しわけありませんが、会場には大勢の方がいらっしゃいますので、いろんな方から意見 をいただきたいと思っておりまして、お一方の1回当たりの意見につきましては2分以 内におさめていただきますようお願いします。1分半のときに1回、2分たちましたら 2回と、大変申しわけないんですが、こういう形でベルを鳴らさせていただきますの で、この2分ぐらいのところで大体まとめていただきますようお願いいたします。余り 長い場合には、大変恐縮ですが、途中で中断させていただきますので、よろしくお願い します。  それでは、輸入食品の安全について、御意見はいかがでしょうか。  特に御希望される方はいらっしゃらないようなので、次の農薬の方に入らせていただ いて、最後の時間で、特にテーマに限らず意見を求める時間を設けたいと思いますの で、そのときにでも、また思いついたことがありましたら御意見をお寄せいただければ と思います。  それから、御紹介が一番最後になってしまいましたが、本日、この意見交換会に参加 いただくに当たって、事前にお寄せいただいた質問がございます。それを資料4の形で 本日皆様のお手元に配布させていただいております。非常に多くの意見をいただきまし たものですから、一つ一つを個別に御紹介させていただくことは時間的にも難しいとい うことで、一応左側に質問の内容を、右側に国としての回答を記入させていただいてお ります。御自分の意見等のところをお読みいただいて、もし回答の中身について、もう 少しこういう趣旨ではないところが聞きたいとか、説明が足りないというようなことが あれば、また意見を求めた際にでも御発言いただければと思います。  それでは先に、残留農薬等のポジティブリスト制度の導入についてということで、テ ーマを次に進めたいと思います。  このポジティブリスト制度について、本日も説明をさせていただきましたが、やはり 非常に難しい制度だとお考えになった方が多いのではないかと思います。しかも、これ については新たな制度として導入されるということと、参事官の方からも説明をいたし ましたが、原則自由だったところが、がらっと原則禁止になるということで、今まで は、基準のないものは何が残っていても余り規制がなかったわけですけれども、これか らは、基準のないものは規制されて、だめになってしまう。要するに0.01ppmという一 律の基準が適用されて、それを超えたものは販売等が禁止されるという制度になり、が らっと180度変わるわけでございます。  こういった制度が円滑に進められていくためにはどういうふうなことを考えていけば いいのかということで、これは、いわゆる国の取り組み以外にも、事業者の取り組みで すとか、消費者としてどういうことについて注意をすべきかなど、そういったことがあ るかと思いますので、まずはパネラーの方から意見を伺っていきたいと思います。  消費者の立場から、太田さん、いかがでしょうか。 ○パネリスト(太田氏)  それでは、ポジティブリスト制度の導入について、今回、このポジティブリスト化が できたということは、消費者にとりましても、前向きに取り組んでいただけたというこ とで、大変これは好ましいという状況でおります。それに対しての評価をさせていただ きたいと思っております。  食品の残留農薬の問題だけでなく、やっぱり消費者といたしますと、先ほどから川上 から川下までということがあるように、生産されるところ、そしてまた、それが加工、 輸入をされ、さらに流通して私どもの食卓へいろいろ乗ってくるわけですから、それに 関連して、国民の健康保持のためにも、ぜひそれぞれの立場で、それぞれ役割を持った 人たちがしっかりとそれを受けとめていただいて、このポジティブリスト制度をうまく 運用していただければと思っております。  さらに、せっかくできたこれをどう運用するかということと同時に、これをチェック していかなければいけないなと思っております。大変多くのもので難しい問題だとは思 いますけれども、私たちにとってみると、その後が大切であるなというふうに思ってお りますので、ぜひそれについてもお願いしたいと思っております。  それから、ポジティブリスト制度に関してばかりではございませんが、非常に片仮名 の文字が多い。大変御苦労なさっていらっしゃることはわかりますが、私どもにとって とてもわかりにくい表現方法です。  この問題点のほかにも、実は私、先ほどの食の安全の調査のときにも、トレーサビリ ティーシステムに関して、みんながどうこれを理解しているかと、「知っていますか」 という問いをいたしましたところ、90%近くの人が「知らない」という答えを出してい るんです。確かに対象としましたジェネレーションが40歳以降の方が多かったというこ ともあるかもしれませんが、とてもわずかな数で、この片仮名文字が多いというのは、 非常に我々にとりまして理解しがたいものがございます。  その点、少しでも一般の人にわかりやすい表現方法を、これは、そうされることの方 が大変なんだろうということはわかりますが、ぜひその点、せっかくいい制度ができた わけですので、これを来年5月からしていただくまでに、多くの消費者、そして一般の 国民、県民に理解しやすいようにお願いしたいと思います。  それから、情報の共有化というか、その後も、例えば違反的なものが起きたときな ど、いろいろ私どもに情報を提供していただいて、私どもも共有化していけるように願 いたいと思っております。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、事業者の立場から、岩田さん、お願いいたします。 ○パネリスト(岩田氏)  このポジティブリストの件でございますが、やっと最近になりまして、我々業者の中 でも、たくさんではないですけれども、ぼちぼち話題に上るようになってきました。ぼ ちぼちといっても、もう来年の5月から始まるのに、やっとぼちぼちという程度でござ いまして、これから後、そんなに時間がなくてどうやってやるのかなということに対し て、私は個人的に大変不安があるわけであります。  ただ、今日の話を伺っても、今までのようなネガティブリストからポジティブリスト に変わることによって、かなりわかりやすく、基準値もはっきり出ましたし、また規制 もはっきりわかりましたから、今までのようなあいまいなところから明快な制度になる ということでございますので、それについては決して反対するわけでもないし、大賛成 であります。ただし、先ほども言いましたように、我々の業界は、本当に大手から零細 までたくさんあります。そういう方々に説明をして理解をしていただくことについて、 余り時間がないので、我々協会としてもどうやってやろうかということについてちょっ と頭を悩ませております。  また、先ほども太田さんが言われたように、中身はよくわかるんですけれども、実に 単語等も大変難しい言葉がたくさん使ってありまして、そのあたりも、もう少し考えて いただければわかりやすい制度になるだろうと思っております。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  わかりやすいようにというご指摘が両方からありましたので、参事官の方からコメン トをお願いします。 ○松本参事官  私も今のところに来て1年ですけれども、まず、「ポジティブリスト制」というのが わからなかった。それで、もう少しわかりやすくということで、「原則禁止」というよ うな表現にしたのが最近のことなんですね。ただ、それ以外にもまだ片仮名も多いです し、「ADI」もそうですし、「GLP」もそうで、いろいろと深く反省しています。 もっと文学あるいは漢文の素養があればいいのでありますけれども、なかなかそこまで いかないというところで、いろいろ指摘はされております。  先ほど岩田さんからも、あるいは太田さんからも、わかりやすくということがありま したし、来年の5月施行に向けて、やはり多くの国民の皆さん方、業者の方、消費者の 方、生産者の方にもわかっていただくために、大変な努力をしておる最中です。脳みそ が汗をかくぐらい努力する必要があるだろうと思っておりまして、今の御指摘につきま しては重々わかっておりますけれども、なかなかぱっと明確にここで出せないのがつら いところであります。わかりやすい資料を出すために努力したいと思っております。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それから、制度が運営された後のチェックもぜひしていかないといけないというご指 摘がありました。輸入食品に関しては国の方でのチェックになりますし、国内流通品に ついては都道府県の方でということになるわけでございます。チェックのところについ ても、また一つずつコメントをいただければと思います。 ○松本参事官  まず一つ、大きな課題は、基準を決めても分析方法がないと意味がないというところ があります。分析方法につきましては、今新しく開発したものが6割ぐらいはあるんで すけれども、標準品とかが必要となってまいりますし、その分析方法についても、国だ けでなくて地方の衛生研究所にも御協力いただいて、今一生懸命進めておるところであ ります。  ただ、正直申し上げまして、一朝一夕にできる話ではありません。来年の施行までに は分析方法の開発を間に合わせたいと思いますけれども、物によっては分析方法が若干 間に合わなくなるものも現実的にはあるのではないかと。ただ、できるものから公表し ていきたいと考えております。先ほど5年ごとの見直しということがありましたけれど も、必要に応じて見直していくことについては、当然のことだと思っております。 ○コーディネーター  佐橋さんからもお願いします。 ○佐橋主幹  私ども、従来から農薬の検査はさせていただいておるわけでして、16年度は149検体、 7,173件という検査をさせていただいているわけです。結果的に、基準値を超えるもの はございませんでした。今回、来年の5月からポジティブリスト制が施行されることに なりましたことで一番頭の痛いのが、やはり今も話題に出ておりました検査体制の問題 でございます。  200何十から700ということでございますことと、検査方法自体、今も国の方がおっし ゃいましたように、決まったら出てくるという形で、検討はさせていただくんですけれ ども、一体どの機械が要るのかというところから始まりまして、今まさに予算の折衝に 入りつつあるもんですから、頑張って何とか体制を整えたいと思ってはおります。それ には膨大なお金がかかるということも、今日は企業の方が多いようですけれども、消費 者の方々には御認識をいただきたいなと一行政マンとして申し上げたい思いでございま す。  いずれにしましても、先ほど輸入食品についてでも申し上げたんですが、私ども地方 自治体の行政が、要するに保健所、それから食品衛生検査所ですとか食肉センターとか いうことで、一番の最後のとりでになると考えておりますので、何とか万全の体制をし いていきたいと考えているところでございます。  以上でございます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  パネラーの方でほかに何か補足はございますでしょうか。いいですか。  農薬とか動物用医薬品、飼料添加物なんかでございますけれども、これはやはり、い ろんな国からいろんなものが入ってきている中で、しかも、国内で生産されているもの も出てきて、そういったものも全部対象になるわけです。これは微生物の汚染なんかと 違って、突発的に起こるというよりは、恐らく継続的に使用実態があるのだろう。そう すると、やはりそういう使用実態なんかの情報に基づいて検査をしていくというのが、 基本的には効率的な検査につながるんじゃないかと思います。  今日お示ししている資料の中で、スライドの説明の時間の関係もありましたので、ポ ジティブリスト制度については、さらに補足資料ということで資料をつけております。 その21ページを少しごらんいただければと思います。スライドは21ですが、資料として は11ページになります。  これは、ポジティブリスト制度の暫定基準の二次案の段階の案をベースに、平成12年 度、13年度の残留農薬の調査結果について解析したものでございます。実際に、国産と 輸入で違反率とか基準超過件数とかがどう変わるかというものでございます。こちらの 件数の方も、先ほどお話をしましたように、一つの農作物ごとではなくて、農作物掛け る農薬の検査数、つまり一つの農作物に対して50の農薬について検査をした場合には50 検査ということになってしまうわけですが、その中での割合を見たところです。  12年度は、国産であると大体0.02%ぐらいの超過率、輸入であると0.05とかいうこと になるわけですが、さらに13年度は0.15%だったりするわけです。ただ、ここに括弧で 補正と書いてありまして、超過件数の8割を占める組み合わせを除いた場合はどうなる かということで補正すると、補正後は0.01とか0.02になる。特定の状況下で出やすいも のとか、違反に結びつきやすいもの、これは制度の違いとかいうことなんだと思います が、やはりそういう特定のものがかなりの部分を占めています。そういうことを重点的 に監視していくと、違反率がかなり低く抑えられるんじゃないかと思います。  それでは、この農薬等のポジティブリスト制度について、会場の方からも意見を求め たいと思いますが、いかがでしょうか。  では、前の方とその次の方というふうにしたいと思います。マイクをお願いします。 ○参加者1  食品メーカーの者ですけれども、ちょっとお伺いしたいんです。  うちの会社ではなくて別の会社の人から聞いたんですけれども、中国で原材料の農産 物をつくっているので、中国に市場履歴を調べにいきましたら、これだけ農薬を使いま したと、いろいろ全部リストが出てきたそうです。それを見たら、検査方法がわからな いのがほとんどだったということを聞いたんです。  日本で決まっているもの以外で使えないものは0.01ppm以上出たらいけないわけです が、そういうものはどうやら向こうでしか使ってはいけないものみたいなので、0.01ppm 以上出たらいけないものだと思うんです。でも、検査方法がわからないと言うんです。 検査方法がわからなかったら、結局出ないから、一緒なんでしょうか。そこら辺がよく わからない。  そういう検査方法というのと、日本で全然使用しない農薬で、中国ではよく使用して いるものが結構多いのかとか、そういうことも私ちょっとよくわかりませんので、そこ ら辺のところを教えていただければありがたいんですけれども。  過去の違反事例を調べているんですけれども、やっぱり違反事例を重点的に絞って検 査をする方が効果的だなという気もしますので、それも教えてください。 ○松本参事官  まず、過去の違反事例について、検疫所でやるときには、過去どうであったかという ことも考えながら、それもサンプリングのときの参考にしながらやっております。  もう一つ、中国での状況ですけれども、中国での使用状況については、はっきり申し 上げてよくわかりません。冷凍ホウレンソウが問題になったときには、中国政府に要請 して、うちの職員が現地に行きまして、いろいろ話し合って、特定の農場からでないと 認めないということで、それで中国政府も「まあわかった」ということで、そういうと ころがふえていって量がふえてきたということであります。  現在、ポジティブリスト制に向けて、WTO通報をやっています。これは、日本が今 度こういう基準にしますよということをWTOに通報して、各国の大使館を呼んで書類 を渡して、意見があるなら言えということでやっております。中国からは、「厳しいじ ゃないか。そんなに厳しくしなくてもいいじゃないか」という意見を言ってきたように 聞いておりますけれども、それを言うのであれば、もう少し合理的に、科学的に大丈夫 だという裏づけをちゃんと示してくれということで、やりとりの最中だと聞いておりま す。  いずれにしましても、生産履歴なり何なり、どういうものを使っているかということ は、輸入業者にもよく調べていただいて、そうすることによって我々としても効率的に 検査することにつなげていきたいと思っております。  検査方法につきましては、先ほども申し上げましたように、まだ検査方法が開発され ていないものが現時点で約4割あります。それをできるだけ開発し、検査方法を見つけ ていきたいと思っております。検査をするときには、標準品がないと検査できないんで すね。それを手当てすることも考えないといけませんので、施行までもう1年を切って おりますけれども、準備方、努力していきたいと思います。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、2番目の方。中ほどの方ですね。 ○参加者2  食品の流通にかかわっている者でございます。  今回参加する前に、いろいろこの関係のセミナー等に出ておりまして、私の印象とし ては、一般消費者様を対象にしているような雰囲気を今受けました。  私どもは業界の人間でございますので、一つはっきり確認しておきたい点があるんで すが、仮に来年の5月に施行されたとき、例えば、それまでの基準で農薬を使っている ものがあります。一応もちろん、要するに基準があるものについては基準に適合してい る。ところが、これからはすべてですから、基準外のものも対象になってくるわけで す。そういうたぐいのものに関して、既にもう生産が終わって倉庫に入っている、もし くは流通に回っているものに対する猶予措置とか、猶予期間とか、そういうことはどう なっているんでしょうか、ちょっと教えていただきたいと思います。 ○松本参事官  鋭い指摘ですね。  例えばワインなんかですと、30年前のワインとかいうときにどうなんだという話もあ りまして、今度のポジティブリスト制をどの時点のものから適用するか、今検討中でご ざいます。混乱が起きないような方向で進めていきたいと思っております。9割方詰ま っておるんですが、まだ明確に「こうです」と公表するところまでいきません。  今年の11月にはそういう関係の告示なり何なりを全部整備することとしておりまし て、そのときに合わせて、これまで寄せられたいろいろなものについて、関係者の懸念 されたようなところについて、混乱がないように進めていきたいと思っております。か つ、それでもまだよくわからないところが出てくると思いますので、そういうときのた めにQ&Aも用意する必要があるだろうと考えております。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  ほかの方はいかがでしょうか。  それでは、まず前の方、次に後ろの方というふうに進めたいと思います。 ○参加者3  食品の事業者の者です。  6月24日に福島県にて開催の、リスクコミュニケーションの事前意見やりとりの13番 目において、食品添加物由来の農薬の取り扱いという質問に対して、食品添加物は対象 外というふうに御回答されていますけれども、ちなみに食品添加物は対象外という事項 が実際に明文化されているところはあるんでしょうか。  それと、その場合、天然香料も含めた食品添加物全般を対象外と考えてよろしいんで しょうか。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  もともと、このポジティブリスト制度自体、対象となる物質というのが、農薬、動物 用医薬品、飼料添加物ということなので、まず基本的に、添加物として使われたもの は、このポジティブリスト制度の対象からは外れてきています。  ただ、添加物の中にも、添加物としての使用以外に、先ほど農薬の生産現場で農薬と して用いられるものが幾つかあって、そのうちの幾つかについては、少しぐらい残って いても健康を損なうおそれのない物質ということで対象外物質を定めることにしていま す。それは、本日の説明のスライドの9ページ、スライド番号でいうと17番になります が、人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるもの、これは厚生労働大臣が定 めることになっておりますが、この中で実は、カテゴリーとして物質を位置づけるので はなくて、恐らく個々の物質として指定して定めていく形になります。  まだきちんと確定しているわけではないんですが、例えばここに書かれております食 品添加物とか特定農薬というものが、多分個々に1個1個、物質ごとに書かれてくるこ とになりますので、特定農薬だから全部このおそれがない物質だということにはならな いのかもしれませんが、そういうものについてリストアップをするということが作業と して進められているところでございます。  天然香料とかは、基本的には農業現場でということではなくて、添加物としての使用 ということでよろしいんですよね。はい。  添加物としてきちんと使用基準に従って使われているものについては、農薬のポジリ スの制度から外れるということは明らかでございますので、一応そういうふうにお答え させていただきたいと思います。 ○参加者3  あくまで対象は食品ということであって、そのことは明文化されていますけれども、 添加物が対象外というのは、特に明文化はされていないんですね。 ○コーディネーター  農薬等のポジティブリスト制度としてはこうだということだけでございます。  済みません。ちょっと現在前の方で意見を聞いている中で、御質問の趣旨が、ひょっ として、例えば天然香料の中に農薬が含まれていた場合にどうするかと、そういう趣旨 でございますか。 ○参加者3  ええ。 ○コーディネーター  恐らく添加物といっても、天然香料をつくる過程で、例えば香料をとるもとになった 農作物とかに農薬が使われていたという場合には、多分もとの農作物が基準に適合かど うかという判断になるんだと思います。  加工食品を含むすべての食品が対象となるので、農薬がどういう由来から来ているの かということでいろいろ変わってくるわけですが、原材料とかのもとになった農作物が 合っているのかどうかということで、基本的には全部の食品が対象になるという制度で ございます。  前の方はよろしいでしょうか。 ○参加者1  ということは、添加物に農薬が入っていないかも検査されるということでしょうか。 ○参加者3  添加物も対象になるのかということなんですけど。 ○コーディネーター  一応対象としては対象になってくるんだと思います。ただ、今ちょっとお話をいただ いたんですけれども、恐らくそういうものでつくった添加物があったときに、それを使 って最終的な加工食品をつくった場合、添加物はかなり微量で使ってくることになるの で、恐らく食品全体としては、残っていった量はかなり微量になってくるので、問題と しては多分生じてこないのかなというふうには思います。  先に後ろの2番目の方がいらっしゃるので。 ○参加者4  食品加工社の者です。  加工食品の場合は、その原材料が基準値以下だということで進めていいよというふう に解釈しておるんですけれども、お米ですとか、ミカンですとかいう明らかな農産物の 場合は基準もあると思うんですが、例えば、アガリクスですとか、プロポリスですと か、高麗ニンジンなんかはどのような基準になるんでしょうか。それが1番目の質問で す。アガリクスの場合はキノコだろう、プロポリスの場合はハチミツに近いんじゃない か、高麗ニンジンの場合はハーブだろうとかいう判断は、どなたが、どのような根拠に よってされるのか。  2番目は、今の質問ともちょっと関係があるかもしれませんけれども、例えば、トウ モロコシとかジャガイモなんかを出発物質として、非常に高度に加工されたもの、例え ばブドウ糖ですとかショ糖、脂肪酸、エステル、これは今の添加物の話にも関係あると 思うんですが、こういったものは対象となるのでしょうか。それから、これは原料が当 然複数になります。ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバと、いろいろあると思うんで すが、一体それをどの基準で我々は考えればいいのかを教えていただきたいんです。 ○コーディネーター  非常にレベルの高い質問で、我々も困ってしまっているわけですけれども。  まず1点目の方は、実は余り難しくないのかもしれませんが、とにかく食品分類上、 今回、一応すべての食品がカバーされるように分類上分けることになりますので、その 分類に従って、どこに何が入るのかはある程度明示していくことになると思います。 ○参加者4  すべてのものについて明示するのは恐らく不可能だと思うんですが。 ○コーディネーター  すべてがすべてというのは多分無理だと思いますけれども、統一的な扱いができるよ うに、恐らく県のところで判断に困ると厚生労働省の方に照会が来るんだと思います が、そこで最終判断みたいなことをさせていただくことになるのかと思います。A県で はこうだけどB県ではこうだということはないようにしたいと思います。  もう一つの、高度な加工があった場合、恐らく現実的には原料にさかのぼって考える のも非常に難しいのですが、やはり高度に加工されていても、加工食品として一応この 制度の対象となることは間違いありませんし、ある一定量のものが出ると違反というこ とになるわけですが、じゃ、どこでどうなっていくのかは、やはり原料も、調べてみて もわからないというケースもあるかもしれないですね。  たまたま使っていた原料にそういうものが入っていたというケースだと、また非常に 難しいんでしょうけれども、やはり農作物は基本的には同じようなつくり方を毎年され ているので、ある年の原料だけ突然出ていたとかいうことはひょっとしたら少ないのか と思います。ただ、いろんな状況が考えられるので、それをこの場ではっきりと言い切 ることもできないわけですが。  複数の場合にも、それぞれ複数のもので考えていかざるを得なくて、加工食品という のは加工形態が非常にさまざまなので、これはケース・バイ・ケースで考えていかざる を得ないのかなと思います。ジャガイモ由来なのか、トウモロコシ由来なのか、判断し なければいけない場合には何とか判断していかないといけないと思うんですが、それで もわからないというケースも当然出てくることが想定されます。 ○参加者4  そういった場合に、例えばAという農薬について、トウモロコシは0.1という基準が あり、ジャガイモは0.01という基準があったら、どちらなのかということなんですね。 我々としては、トウモロコシで0.1でいいんだったら、それは0.1でいいでしょうと考え てしまうのが加工業者のしようがない面かもしれないんですけれども。 ○松本参事官  ちょっとここではそこまで明確にお答えする部分もありませんけれども、少なくとも 今年の11月には、そういうことも含めて告示し、あるいは関係の部分を政省令に整理し ますし、Q&Aも出していきたいと思いますので、いましばしお待ちいただきたいと思 います。よろしくお願いいたします。 ○コーディネーター  ほかの方ということで、先ほどのそちらの方と、真ん中の方と、今手を挙げられてい る左の方というふうにしたいと思います。まず、そちらの方から。 ○参加者5  私、先ほどの食品添加物の件で、お話を今聞いていまして一つ、食品添加物が今回の ポジティブリスト制度の対象外ですとQ&Aに書いたものがありましたので、それをち ょっと今言おうかなと思っていたんです。6月24日、福島県で行われたリスクコミュニ ケーションにおけるQ&Aの13番にそういうことが書いてあるんです。それだけです。 ○コーディネーター  先ほどそれに基づいて質問をされていたので、そういうことになっているわけです が、先ほども説明させていただきましたけれども、加工食品を含むすべての食品が対象 となっており、添加物も、いわゆるその加工の原料みたいな状態になっていますので、 そこは私どもの方も確認をさせていただきたいと思いますが、恐らくその原料となるも のがオーケーなのかどうかとかいう判断もやっぱり入ってくるんじゃないかと思いま す。添加物だから一律除外ということには必ずしもならないのかなと思うんです。 ○参加者5  今回のポジティブリストの中に書いてあるものは、食品及び加工食品が対象ですよ ね。食品衛生法には、食品と食品添加物というおのおのの定義があります。その食品添 加物の定義のものが、今回のものには入っていないという解釈だと思うんですけれど も。 ○コーディネーター  原則そういうことかと思いますが、確認をさせていただきたいと思います。済みませ ん。ありがとうございます。  それでは、真ん中の方。 ○参加者6  私も食品事業者の一人ですけれども、今日は仕事絡みではなくて、世間一般が郵政民 営化どうのこうのでかなり選挙とかの話に行っていますので、一人の国民として、納税 の義務をしょっている国民としての意見といいますか質問をさせていただきたいんで す。  この残留農薬の今回のポジティブリスト制度の施行に関して、まず、この規制に関し て整備をして、先ほどもおっしゃっていました分析方法の開発なり、また、それにかか る人件費や整備とかいろんな面で考えたときに、この制度を実際にやるのにかかってく るコストはどのぐらいなんでしょうか。  といいますのは、結構これには、国なり地方の機関でやられる限り、やっぱりかなり 税金が入っちゃうと思うんですね。実際それがどの程度のものなのかという部分と、先 ほどからありました資料とかで見てきました12年度、13年度の残留農薬の調査結果等々 の状況を踏まえた上で、今現在のこの状態は、そこまで懸念しなければならない状態な のかという点。  ですから、今現在の状況と、今回、この制度を施行するに当たってかかってくる費用 とを考えたときの、いわゆる規制影響という部分に関してどのようにお考えになってい ますかというあたりを質問させていただきたいと思います。 ○松本参事官  具体的にどれだけかかっているか、ちょっと手元に数字がありませんので、明確にお 答えできませんけれども、新たにこの制度をやることによって、今、分析方法の研究開 発ということに一定額を使っておりますし、あと、実際に動かし始めるとなったときに は、検疫所における検査と、あとは、先ほど佐橋さんがおっしゃったように、都道府県 の方でもいろんな部分が出てまいります。  ただ、現在やっておる部分と比べて倍になるかというと、倍までにはなりません。現 在どれだけ費用を使っているかがちょっと手元にありませんけれども、むちゃくちゃ多 いということでもありませんけれども、少なくとも現行の部分より少しはふえます。現 在使っている経費より少しかかるのは事実です。  あとは、現行の状況は懸念される状況なのかどうかという話がありますけれども、こ れまでずっとやっておることで、食品の安全が保たれているんだろうと思います。やは り安全というのは何物にもかえがたいものでありますので、一定の食品の安全、安全な ものを提供するという国の責務、あるいは行政の責務としては、それだけのものが必要 であろうと思っております。  ただ、具体的にこれだけかかりますと今ぱっと言えないので非常に申しわけありませ ん。けれども、海外からカロリーベースで6割を輸入している状況で、国民の安全に寄 与するためにそれだけのきちっとした制度が必要であろうと国会で議論され、変えるこ とにした制度でございますので、それだけ金がかかることについては国会で御了解いた だいたと理解しております。 ○コーディネーター  それでは、左の方、お願いします。 ○参加者7  私は、消費者の一人として、惣菜会社を経営してみえる岩田さんにお聞きしたいんで す。惣菜が市場に出まして、直接それを我々が買って食べるということで、今日のパネ ラーの中では一番身近に感じる岩田さんにお伺いしたい。  まことに単純なんですけれども、例えば、岩田さんのところの惣菜は、見ばえもいい し、おいしいし、栄養もありますから、ぜひずっと食べ続けたいし、周りの人にもそう いうふうに宣伝したいし、何か大がかりなイベントがあれば、ぜひ岩田さんのところの 惣菜を利用したいと思ったとします。しかし、何か最近、どうも残留農薬についてポジ ティブリスト制度なるものが、ちまたでいろいろうわさされている。それで、岩田さん のところでつくられる惣菜の原料は、ポジティブリスト制度が導入された場合、それに 照らし合わせて本当に大丈夫と言えるんですか、どうやって大丈夫と保証されるんです かと、そういう質問が会社に寄せられた場合、岩田さんはどのように御回答なさるんで しょうか。よろしくお願いします。 ○パネリスト(岩田氏)  恐らくそういう質問が来ると思います。確実に来ますが、それは当然、保健所なり国 の指導がございますので、それに沿ってやっていくということだけだと思います。それ 以上言いようがないです。 ○参加者7  そうなんでしょうけれども、先ほどからもいろいろ話が出ていますリスクコミュニケ ーションで、消費者と、つくっている関係者がいろいろな話をしましょうと。それで、 リスクもあるんです。リスクがゼロではありませんよということを前提にして、どうコ ミュニケーションをとっていくかということなんです。そんな、今おっしゃったような ことでは、そりゃ正しいですよ。正しいけど、ちっとも心に触れないね。琴線に触れて こない。それではせっかくの岩田さんの惣菜ファンがね……。 ○パネリスト(岩田氏)  わかりました。質問としてそう言われたので、先ほどのように言っただけで、もちろ ん心を込めて説明をさせていただきますし、御理解いただけるように、自分のところが やっておることについてはやります。ただし、やり方としては、今言うように、保健所 なり国の方法にのっとってやっていくというだけですから。だけど、説明の仕方として は、そんなに簡単に説明できませんので、今はこういう場ですから簡単に言っただけ で、もしも消費者の皆さんから質問があった場合は、もう少しわかりやすく、このシス テムなり制度なりを説明するつもりでおります。 ○参加者7  当然、絶対大丈夫だよということは言えないと思うんですね。やっぱりそう言われる と、それだけでは心配になるわけです。だから、そこのところを上手にというか、わか りやすい、合理的な説明をできるようにしていただきたいと思います。これは日本全国 ですよ。そう思いますけど。 ○パネリスト(岩田氏)  そのとおりでございまして、私が先ほど言いましたように、個人の会社でも協会でも そうですけれども、これをいかに理解して、そのような質問があった場合にわかりやす く説明できるか、また御理解いただけるかということが大事だと思うんです。  事務的な説明をしてしまえば終わってしまいますので、そうすると、今言われるよう に、信頼関係が薄れますので、それはやっぱり今後、恐らく5月までの短い期間です が、ある程度保健所なり、そういうところの資料をいただきながら、協会内でもっと議 論をしなきゃならないことがあるだろうと思っております。 ○参加者7  せっかくですから、協会の会長としてそのあたりをしっかり練ってほしいですよね。 よろしくお願いします。 ○パネリスト(岩田氏)  わかりました。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、多数の手が挙がっておりますが、まずは一番奥の方、その次に真ん中の列 の方とこちらの方というふうにしたいと思います。では、まずは奥の方から。 ○参加者8  消費者です。  このポジティブリスト制度で一番心配なのは、やはり加工食品に関する部分だと思っ ております。補足資料の13、14で、加工食品の取り扱いという部分があります。そこを 読んでいますと、原材料としての農作物にもポジティブリスト制度がかかってきて、そ れを加工するときには、ゆでたり、お水によって薄めたり、いろんなものと混合されて 加工食品ができてくる、これはわかり切ったことでございますが、その一番右側の加工 食品になったときもまたポジティブリスト制度がかかってくる。  そのとき、下にリンゴとリンゴ果汁の関係の例が出ております。リンゴに対してAの 農薬は0.2ppmが基準値になっている。それを水で希釈などをして10%のリンゴ果汁にし たときのAの農薬検出が0.05ppmであった場合、判断基準としては0.02ppmであるという ことから違反性があると書いてあります。私たち消費者としては、これを読んだとき、 「えっ。だったらこの基準値は正しいんでしょうか」と思わざるを得ないんですよね。 加工をした最終段階でも違反が出てくるということは、もとの基準値が正しいんだろう か。  先ほどいろいろ基準値のことについて御説明いただきましたけれども、その基準値の 出し方についての再考というか、説明をもう一度いただかない限り、ここのところはあ る意味納得のできない部分です。下のところはわかります。出た場合ですよね。「これ でも出るのか。そんなばかな」という感じがします。 ○コーディネーター  一つは、表の説明をちょっと補足しないといけないかと思うんです。  例1について、「(基準値)A農薬:0.2ppm」とありますが、これは多分、実際に基 準値を満たすリンゴが原料となって10%リンゴ果汁になっているという前提ではなく て、10%リンゴ果汁から0.05ppmというものが検出されたところが出発点になっており ます。  リンゴについてA農薬は0.2ppmというのが本来の基準値なので、10%果汁であれば、 その10%に当たる0.02ppmがリンゴ果汁として出たものの判断の基準になるということ で、恐らくこの検出値として0.05ppmが出たというのは、原料のリンゴに0.5ppmぐらい の残留があったと考えられるので、そうすると、0.2よりも0.5の方が多いから、結局、 違反としての可能性があるんじゃないかという説明の表になっているわけでございま す。  こういうような表だということを御理解いただいた上で、またさらに御質問とか御疑 問の点があれば、お伺いしたいと思うんですが。今御質問をいただいた方はよろしいで しょうか。 ○参加者8  最初の原材料のところのポジティブリスト制度がかかって、その段階でもし0.5ppmの リンゴがあったら、そこでもう取り除かれるというのが、私ども消費者としてはそうい う認識を持ちたいんですよね。その認識の上で10%の希釈されたリンゴ果汁ができてき ていると。  だから、確かにおっしゃるようには読めますけれども、消費者としては、やはり最初 の原材料の段階で基準値をクリアしているということを、ある意味これは希望かもわか らないけれども、そこのところをはっきりさせていただかないと、何でポジティブリス ト制度をとるのかという、そもそも論がおかしくなってくるんではないかなというふう に消費者としては思います。 ○松本参事官  今回、加工食品まで入れるということは、それだけ加工業者は、原材料についてそう いうものがないようにきちっと、超えるようなものを選ぶなと、ちゃんと基準値を超え ていない、合格したものを原料として使いなさいよという意味を含めた説明の図なんで す。 ○コーディネーター  さらには、国産品であれば、国内の基準で、そもそも0.5ppmのリンゴがあると、それ はまずいわけですけれども、仮にアメリカとかで既に10%リンゴ果汁としてつくられて しまったものが日本にやってくるケースなんかもありますので、その場合は、やはりリ ンゴ果汁がどうなのかという判断をせざるを得ない部分もあるかと思います。  おっしゃることはまさに御指摘のとおりかと思います。まず、そもそも原材料の時点 から基準を満たしているものであることが本来あるべき形だと思いますが、違反の蓋然 性の判断をどう考えるかという考え方として、一応このような図で考えることができる のではないか。ただ、実際はこういうふうに単純ではないので、非常にケース・バイ・ ケースで、難しいということはあるかと思います。ありがとうございました。  真ん中の方。 ○参加者9  食品事業者、メーカーの者です。暫定基準の決め方のところでちょっと御説明いただ きたいんです。  海外基準を適用するときに、原則は5カ国の平均値ということになっていると思うん ですけれども、これを各国の基準に当てはめると、非常に無理というか矛盾が生じる場 合があります。  アメリカで私どもが調達している作物のサプライ屋さんのところに最終案を持ってい って、今後日本はこうなるからこうしてくれという説明をしました。そのときに、たま たま平均値で日本の基準の方が厳しいものについて、なぜこれがいけないのかという素 朴な質問をいただいて、私、よう答えなかったんですね。いろいろ言いたいこともあり ますけれども、まず、この素朴な質問に対してどう回答すればいいかを御説明いただき たいと思います。 ○コーディネーター  一つは、この暫定基準を決めるに当たって、これが正式なリスク評価に基づいてい て、まずADIを評価した上で、どのくらい残留していても大丈夫なのか、その最終的 な暴露量といいますか、いろんな食品を通じて摂取する農薬の摂取量がADIの範囲に おさまっているかどうかという標準的な、きちっと正式な基準として決められれば、恐 らく外国の基準が採用できるのかどうかをきちんと評価できるんだと思いますけれど も、今回の暫定基準というのは、1個1個の農薬についてそういうことができないとい う状況の中で導入されています。  諸外国の基準を単純に参考にして決めてきたということがありまして、外国も確か に、アメリカも科学的に決めているでしょうし、ほかのEUとかオーストラリアとかも 科学的に評価をして決めているので、ある意味、どこの国もある一定の科学性を持って 評価した基準であるという、そこのスタートは同じになっているわけです。  それで、一番大きなものにすればいいじゃないかという意見も一つある一方で、科学 的に決めて一番小さな基準というのも当然あるわけだから、一番小さな方にすればいい じゃないかという、両方の意見がありまして、実はその両方ともが科学的なので、どっ ちにしたらいいかというところを決めるだけの科学的根拠を我々としては持ち合わせて いないことから、やむを得ず平均値をとったということになっております。  したがって、確かに輸出国側からしてみると、何でいけないのかという話は当然出て くるかもしれません。それは御指摘のとおりかと思います。  では、こちらの方。 ○参加者10  消費者です。ちょっと検査方法について、単純にどこがどう違ってくるかということ を松本さんにお聞きしたいんです。  今まで水際で検査してきていますね。それで、いろいろ各都道府県で衛生課の方が抜 き打ちで検査されたりしているんですけれども、費用がかかるとか、検査体制がまだ十 分でなく、この1年でということをお聞きしていると、ちょっとやっぱり消費者として は不安になってくるんです。  検体に対しての農薬の検査数がふえるのか、それとも、もちろん検体もどんどんふえ てくるのか。WTOに通報したりとか、世界の情報をもとに確実な疑いのあるものを実 施していきたいということですけれども、ちょっと頭の中で浮かび上がってこないんで す。今までの検査方法とどこがどのように違うのか。厳しくなるということはとてもい いことで、私たちにとってはとてもありがたいことなんですけれども、ちょっと具体的 にそこをお知らせ願いたいんです。 ○松本参事官  現在の残留農薬は、野菜とか、肉とか、先ほど示したように抽出して分析器にかけま す。分析器にかけるときには、液体クロマトグラフィーだとか、ガスクロマトグラフィ ーだとかいう分析の仕方がありますけれども、方法自体は基本的には一緒です。ただ、 今後どう変わるかというと、現在200幾つの農薬を検査しておりますけれども、その種 類が極端にいえば700までふえるということです。  今の検査方法は、ずっと液体あるいは気体なんかを流してきて、ピークが出ますけれ ども、それを標準品と比べて、農薬の部分であれば流し始めて一定のところにピークが 出るというのがあって、その標準品との比較でもって出します。ですから、新たな農薬 あたりを検査する種類としてふやしてくるといったときには、その標準品をきちっと各 検疫所の検査センター並びに都道府県の衛生検査所、衛生研究所の方に整備しておかな いと、はかってもそのピークが何なのかわからないということになりますので、そうい うところで変わってくるところがあります。  今後、検査方法としては、それにかけるまでに、効率よく野菜だとか肉だとかから農 薬の部分だけを抽出するような方法なり何なりを、基本的な方法はありますけれども、 新たに検査する農薬について、それをもっと効率よく抽出するような方法なり何なりを 開発する必要があったということと、標準品の部分が必要だということで、ちょっと時 間がかかるというところです。  ですから、今後どうなるかといいますと、調べるものの個数自体は、基本的には、今 検疫所あたりでサンプリングして検査していますけれども、それがふえるということで はなくて、入ってくる農薬の種類の部分がふえてきます。今は240ほどやっているもの が700ということになりますから、極端にいうと倍以上に件数自体はふえるということ になります。そういう違いであります。 ○参加者10  今後、検査員がふえるとかは。やっぱり輸入量に比べたらまだまだ少ないと思うんで すよね。だから、水際の検査数はふえることは余り考えられないんですか。 ○松本参事官  抜き取りが今10.4%でありますけれども、そこの部分をさらにふやすというのは、現 実問題としてなかなか難しいところがあります。消費者の方で、100%検査しないのは けしからんと言う方がいらっしゃいますけれども、100%検査すると食品が口に入らな くなっちゃう。ウナギなんかを100%検査したら、全部すり身になっちゃって、かば焼 に回すウナギがなくなっちゃうということになりますので、それは現実的ではないの で、抜き取り調査でサンプリングをするということになります。サンプリングの件数自 体は、今のところ10.4%ほどですけれども、それを大幅にふやすということはなかなか 現実的に難しい。  ただ、今度のポジティブリスト制で確実に人員の増が必要だというところについて申 し上げますと、神戸と横浜に検査センターがありまして、そこの検査の部分にかかる人 手は確実にふやさないと処理できないということになります。 ○参加者10  ありがとうございました。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、お時間の方が、まだありますけれども、大分迫ってまいりましたので、御 意見がある方、ちょっとまとめて何人かの方に手を挙げていただければと思います。そ れでは、後ろで手が挙がっている方と、ほかにはいかがでしょうか。それでは、この列 の方と、その前の方。それでは、後ろの方から。 ○参加者11  生協の向井といいます。  ポジティブリストの導入に大変な努力をいただいて、基本的には感謝したいと思って おりますが、今の会場の御発言も含めて、暫定基準としてつくられたものでのリスク評 価ですよね。法的には問題があるものが検出されるかもしれない。しかし、その問題が あるもののリスクの度合いが、健康に対してどの程度の危害があるのかということと混 在してしまうと、大変混乱するんじゃないかと思うんです。  ですから、暫定基準ですので、私どもに、どういう意味での暫定性か、優先的にこれ は危害が大きそうだからさらに正確な調査をするとか、そういう設定をするプロセスが 見えますと、今後の判断においても理解しやすいんじゃないかと思います。その辺につ いて、今後の情報提供をぜひお願いしたいと思います。  それから、私ども生協でも、たくさんの生産者や食品をつくっていらっしゃる方との おつき合いもありますので、本当にそれぞれの方が安全ということに対して一歩一歩を 進めることが大変大切だと思っております。いろんな自主的な検査もしておりますが、 国の検査、県の行政の検査も含めて、民間でやっているいろんな検査の実態なりデータ の共有も含めて、全体として前へ進むような仕組みづくりあるいはコーディネートをし ていただきますと、それぞれが努力をしていることがかみ合っていくんじゃないかと思 いますので、リスクコミュニケーションの一つの大きな切り口として御検討いただけた らと思います。 ○松本参事官  今の暫定基準は、我が国のいろんなデータに基づいて決めたということではなく、借 り物の基準ということで暫定ということですが、効力は変わりません。ただ、制度とし ては、一応暫定ということで、今後農薬の摂取量が日本人の食生活を見ているとどうし てもADIに近づいてくるだとか、こうなっては困りますけれども、そういうのがマー ケットバスケット調査等でわかれば、そういうものを優先的に見直すということで進め ていきたいと思います。また、そういう情報公開は必要に応じてやっていく必要があろ うかと思っております。  あと、検査等の協力ですけれども、生協さんでもきちっとした農薬検査をされて、分 厚い本を出されて、あの違反リストと国でやっている違反のものとほとんど変わらない ということで、大したものだと尊敬申し上げていますけれども、そういうところでも協 力してやっていける部分は協力していきたいと考えております。 ○一色次長  食品安全委員会でございます。今御指摘がありました点につきまして、我々も同様 に、厚生労働省の方に、注意喚起といいますか御意見を申し上げているところでござい ます。  一つは、これはあくまでも暫定基準でありますので、ちゃんとしたリスク評価をすべ きであること。したがって、今御指摘のとおりでして、やっぱり健康リスクが高いと思 われるものから順番にデータを整えて食品安全委員会に持ってくるべしということ。  それから、御指摘がありましたように、国民によく理解できるようにリスクコミュニ ケーションを積極的にやってほしい。その他ありますけれども、主に今御意見をいただ きましたことは、食品安全委員会からも厚生労働省の方に申し入れているところでござ います。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、その次の方。 ○参加者12  食品メーカーの人間です。  質問というか意見も含めてなんですが、ポジティブリストで今回、農薬が714プラス 不検出等々を合わせて、実情としては800ぐらいありますよね。そうしますと、実際に 残留農薬の検査をやっているんですが、800全部を検査せよと言われると、とんでもな いお金がかかっちゃうというのが正直な事実だと思うんです。  じゃ、その中でどうするかといいますと、やはり一つには、使っている農薬を検査す るというのは当然だと思っていますが、ただ、やはりお客さんからは、それだけじゃ望 みも生まれませんので、プラスアルファが必要になってくると思うんです。そのとき に、やはり行政の方で検査された結果、例えば、違反はこういうものが多いですよだと かいったデータの開示だとか、そういったもののある場所だとかを、出されているなら 教えてほしいですし、出していないのであれば、出すような方向で検討いただければ。  我々メーカーとしても、1年に1回700をやって終わりじゃなくて、例えば30なら30 を何回にも分けてやった方がやっぱりお客さんにも安心していただけると思いますの で、そういったような開示をしていれば教えてほしいし、していなければしていただき たいと思っているのが1点。  それからもう1点、今度は自給率の問題です。これは個人的な意見ですが、海外の場 合、日本で取り締まるのは、結局、今回のポジティブリストで海外の農産物を縛りま す。それで、日本の農家さんは、農薬取締法とこれの両方で縛られます。したがって、 農家の方に自給率を上げるために努力しなさいと言っても、日本の農家さんは農薬取締 法とポジティブリストの二つの縛りを持っていますよね。海外の農家さんは、日本に入 れる場合はポジティブリストだけ。  したがって、国産という表現を強くするなり何なりの対策を考えないと、自給率を上 げるのはやっぱり難しいんじゃないかという気がします。それに対する対応を何か考え ていただきたいなという感じを受けます。 ○コーディネーター  ありがとうございます。 ○松本参事官  どういうもので違反が出ているかということですが、「輸入食品の監視指導計画に基 づく監視指導結果」というのを先般出しましたけれども、それに事細かに、後ろの方 に、どのものでどういう農薬なり添加物等で違反が出ているかという違反内容まで全部 出しております。ですから、それを見ていただければいいですし、これは厚生労働省の ホームページにも載せておりますので、そちらをごらんいただければと思います。 ○引地情報官  国産の生産者の方が頑張っていることへのエールだと思うんですけれども、原産国表 示をするということは、どこから来たかがわかるので、消費者の方に区別するための情 報を提供するということです。  ちょっと口幅ったい言い方をすると、これをビジネスチャンスととらえて、国産農産 物は頑張っていますよということで訴えていくということにつながります。だから、J Aさんを初め生産者の方には、我々はこういう非常に厳密な条件をクリアしながらいい ものをつくっているんですよということで、それを逆手にとってやっていくということ も、国内生産者の対応なのかなと。それで国産は一生懸命頑張っているというのを示せ たらいいなと私は個人的に思います。 ○松本参事官  あと、違反が出たものについては、その都度、新聞発表をすると同時に、厚生労働省 のホームページに載せておりますので、見ていただければ。食品安全情報というところ で、一番新しいものが一番わかりやすくしてありますので、それをずっと追っていけ ば、どこから輸入したどの食べ物から何が検出されて違反になったのかがわかるように なっています。 ○コーディネーター  先ほど農薬取締法とダブルでかかっているという件もありましたけれども、農薬取締 法で合法的なものはポジリス上も合法となるように、整合性は図らせていただいたつも りですので、そこは、何かそごがあって、どっちかは合法なんだけれども、どっちかが 違法になるというようなことはないようにさせていただいたつもりでございます。 ○参加者12  言いたかったのは、例えば大根なら、大根に対して使える農薬が日本の場合は決まっ ていますよね。海外の場合は、はっきり言えば、何を使っても結果として出なきゃオー ケーなんですよね。だから、そういったことを言いたかっただけの話です。 ○コーディネーター  わかりました。ありがとうございました。  それでは、前の方。 ○参加者13  消費者です。  今、私たちが知らずに遺伝子組換え食品を食べている現状があるわけですけれども、 表示について、遺伝子組換えであるという表示は今ほとんどないと思うんです。という のは、ほとんどその遺伝子組換えのものを原料として油とかしょうゆが使われています よね。その表示がないということが、すごく私は問題だと思います。  しかも、5%以上でないと加工食品の場合、表示を省略することになっていますが、 この間新聞に書いてあったんですけれども、75%以上でしたか、そのことをほとんどの 消費者が知らない。だから、豆腐なんかは遺伝子組換えでないという表示があるんです けれども、5%以下ならば表示しなくてもいいもんですから、入っているかどうかとい うことがはっきりわからないという現状があるわけです。それと、今言った油やしょう ゆなんかでは表示されていない。  それで、日本では5%となっているんですけれども、EUの場合0.9%になっていま すので、もっとその辺を厳しくやってもいいと思います。これは意見ですけれども、飼 料、えさにすごく多いんですが、牛乳だとかにえさについての表示は全然ないですの で、その点についてもしてほしいなという希望があります。  それから、この中に遺伝子組換え食品を食べても大丈夫ですかということが書いてあ るんですけれども、遺伝子組換えの安全性審査があるんです。ある点検グループがある んですね。「遺伝子組み換え情報室」というNPOの団体があるんですけれども、そこ のところを見ましても、結局、マウスの毒性試験だけでも、遺伝子組換えを使った耐性 の菜種があるんですけれども、そのマウスの試験毒性は7日間だったと。大豆の場合は 28日間投与ということしかないですので、私は安全かどうかということをすごく疑問に 思っています。その点について、これからもしっかり審査というか、詳しく審査してい ただきたいと思っています。  消費者の点検グループもありますし、そういう調査会もあると思います。審査会です か、食品安全委員会の中に部会もあると思いますので、それに耳を傾けてほしいという ことと、それから、ちょっと済みません、時間が超過しますけれども、現在のアメリカ 産の輸入牛肉について現状を教えてください。 ○コーディネーター  遺伝子組換え食品の安全性審査自体は私どもでしておりますが、リスク評価自体は食 品安全委員会の方にお願いをしていますので、お願いいたします。 ○一色次長  食品安全委員会は、科学的根拠に基づいた情報を集めまして、それで審査を行ってお ります。それで、きちんと御意見・情報等をいただきまして、こういう考え方でこうい う審査をしますよという手続を踏んで、毎回1品ずつきちんと審査をしております。  ホームページに全部出しておりますので、非常に透明性の高い審査をしているという ことをぜひ御理解いただきたいと思います。  以上であります。 ○参加者13  済みませんね。今そうでないから意見を申し上げているんですので。安全性の検査の 結果の問題点を私は言っております。 ○松本参事官  いろんな審議にかかるようなデータについては、特許のかかるものとか何かはともか くとして、今の安全性評価に係る分については情報も全部公開されております。ですか ら、そういうものをよく見ていただきたいと思いますし……。 ○参加者13  それを見た結果、私は……。 ○松本参事官  あとは、消費者の方にも、それと同時に、いろんな意見の方がいらっしゃいますの で、その意見がどこからやってきたのかを、国際的に遺伝子組換え食品について危ない 危ないとおっしゃっているその根拠となった論文がどうなのかというようなことについ ても、英文で書いてあることが多いんですけれども、そういう点もぜひたどっていただ いて、いろんな知識を吸収していただければと思いますし、インターネット等で調べれ ばかなりの情報がわかります。貴重な御意見だと思いますけれども、合わせてそういう もっと広い意味での勉強を消費者の方にもお願いしたいなというところが一つありま す。  それと、米国産の牛肉の話です。これは、食品安全委員会のプリオン専門調査会で今 検討がなされておりまして、たしか今日プリオン専門調査会をやっておりますけれど も、その結論が出てからということになります。いつ結論が出るかについてはわかりま せん。 7.閉会 ○コーディネーター  それでは、少しお時間を過ぎてしまったようですが、意見交換会のパネルディスカッ ションの方をこれで終了させていただきたいと思います。  参事官、何か最後に。 ○松本参事官  1時から4時半まで、長時間にわたりまして御参集、御参席いただきまして、ありが とうございました。  この食品の安全ということにつきましては、厚生労働省、農林水産省、食品安全委員 会、また、都道府県とも協力しながらこれからも進めてまいります。また、関係団体と も協力しながら進めてまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げま す。  長時間どうも御苦労さまでございました。ありがとうございました。(拍手)                                     (了)