05/05/20 平成17年5月13日〜20日(全国9カ所)「食品に関するリスクコミュ ニケーション(米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見交換会)」              平成17年度タウンミーティング           ―食品に関するリスクコミュニケーションー         (米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見交換会)             (平成17年5月20日(金)東京都)    平成17年度タウンミーティング―食品に関するリスクコミュニケーション― (米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見交換会)(平成17年5月20日(金)東京 都)                   議事次第           日時:平成17年5月20日(金) 13:00〜16:36           場所:ニッショーホール 1.開会 2.挨拶 3.議事  (1)牛海綿状脳症(BSE)に関する米国産牛肉等のリスク管理措置について  (2)意見交換 4.閉会 ○姫田消費者情報官  それでは、定刻になりましたので、ただいまから「平成17年度タウンミーティング  食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見 交換会)」を開催いたします。  本日は、大変お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございました。  本日は、厚生労働省と農林水産省の共催でございます。農林水産省からは島村大臣 が、厚生労働省からは西副大臣が、当初出席の予定でございましたが、現在国会の都合 により遅れております。後ほど説明の後にそれぞれの大臣、副大臣からあいさつをいた しますので、御了解ください。  それでは、本日の進行について説明いたします。本日は「米国産牛肉等のリスク管理 措置に関する意見交換会」です。  まず、意見交換に先立ちまして、厚生労働省、農林水産省から「米国、カナダにおけ るBSE対策(我が国とのBSE対策の比較)」として、現在の米国、カナダの現状や 輸入再開に当たっての考え方を60分程度説明いたします。その後に意見交換に移りたい と思います。会場の都合上、午後4時には終了したいと思いますので、よろしくお願い いたします。  また、大臣、副大臣につきましては、途中で退席することを御了解いただきたいと思 います。  次に、お手元の資料の確認をお願いいたします。お配りした封筒の中に、議事次第、 座席表、そして本日の出席者名簿がございます。リスクコミュニケーション意見交換と いうことでございまして、出席者はむしろここに書いてある皆様方でございますので、 積極的に御参加いただくことをお願いいたします。そしてその後に、本日のパワーポイ ントで御説明いたしますものと同じものを付けた資料。そして後ろに参考資料がござい ます。  この後の説明の際に、できるだけ前を見ながら御説明をお聞きいただいた方がわかり やすいと考えております。お手元の資料は、お持ち返りになられて後でごらんいただく 方がわかりやすいかと思っております。  それから、参考1として「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品健 康影響評価について」ということで、本日のお話とは直接関係ございませんが、先ほど 内閣府食品安全委員会から出されました、BSEの国内対策に関する答申の概要でござ います。  そして参考2として、その答申の本文をお付けしております。  それから、カラー刷りで「意見交換に参加いただいた皆様へ」というものがございま す。これはリスクコミュニケーションをわかりやすく書いたものでございます。御存じ のように、この真ん中辺に書いてございますが、平成15年に始まった新しい食品安全行 政で、食品安全委員会、そして厚生労働省の食品安全部、農林水産省の消費安全局がで きました。その中で、それぞれ今までの行政としては、事故が起こってから後始末する というものが多かったわけでございますが、事故が起こる前に可能な範囲で未然に防 ぎ、そしてリスクを最小限にするというリスク分析の考え方でやってきております。  そして、このようなリスク管理を決めるに当たって、リスクコミュニケーションをや っていくということで、本日もそういうことでリスクコミュニケーションをやっており ます。  リスクコミュニケーションは、関係者が情報を供給すると。透明な情報を出すだけで はなくて、それぞれの立場から意見を出し合って、そしてお互いがともに考える土壌を 築き上げようということ。そしてその中で関係者間の信頼関係を醸成して、社会的な合 意形成の道筋を探ろうと考えているものでございます。  本日の意見交換会の目的として、この場で何かを合意して決定しようということでは ございません。まずアメリカやカナダにおけるBSE対策がどういうものかということ を、皆さん方と私どもの間で同じ情報を供給しようということ。そして、その中から意 見交換を行って、この問題に対しての認識を深めることを目的としておりますので、よ ろしくお願いいたします。是非この後の言意見交換会においては、積極的な御発言をお 願いしたいと思っております。  そして、次に「食の安心・安全トピックス」ということで、メールで厚生労働省、農 林水産省、食品安全委員会、あるいは場合によっては環境省からの毎日のプレスリリー スを皆様の方にお届けいたします。是非御登録いただきたいと思います。  そして最後にアンケートが入っておりますので、アンケートにお答えになってお帰り いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  もし不足のものがございましたら、その辺に立っております事務局の者にお申し付け ください。  それでは、ただいまから議事に入ります。初めに、農林水産省の釘田衛生管理課長、 続いて、厚生労働省の松本参事官から約六十分ぐらいの説明をいたしますので、よろし くお願いいたします。 ○釘田衛生管理課長  御紹介いただきました。農林水産省消費安全局衛生管理課長の釘田と申します。よろ しくお願いいたします。  それでは「米国、カナダにおけるBSE対策(我が国とのBSE対策の比較)」とい うことで、このスライドを説明させていただきます。 (PP)  本日の資料の説明の流れでございますが、ここにございますように、まず「米国、カ ナダにおける肉牛産業の概要」について御説明させていただきまして、その後「BSE 対策の経緯と発生」、 3番目に「BSE対策の現状」。これは、日本とカナダ、米国 を比較しながら御説明したいと思います。  その上で4番目ですが「輸入再開に当たっての考え方」。食品安全委員会への諮問に 当たっての考え方を御説明したいと思います。  その前に、本日の御説明をする前にこれまでの経緯を振り返りますと、去る5月5日 に食品安全委員会から農林水産省、厚生労働省で諮問しておりました、BSEの国内対 策の見直しにつきまして答申をいただきましたけれども、この答申の中では全頭検査を した場合と、21か月齢以上の検査をした場合との比較をした場合、食肉の汚染度はいず れの場合でも無視できる。または、非常に低いという推定がなされておりまして、検査 月齢の線引きがもたらす、人に対する食品健康影響は非常に低いレベルの増加にとどま るという報告を受けております。  この答申を受けまして、私どもは国内制度の改正のための手続を今、進めているとこ ろでございます。  また、今後米国産牛肉、カナダ産牛肉の輸入再開につきまして、食品安全委員会へ改 めて諮問することとしておりますけれども、その諮問に先立ちまして、本日米国、カナ ダの状況につきまして、日本との違いを含めまして、情報提供をし意見交換をさせてい ただきたいと考えているところでございます。  前半を私が説明しまして、後半を厚生労働省の松本参事官に交代いたします。 (PP・・・スライドページ交換時)  まず「米国、カナダにおける肉牛産業の概要」でございます。 (PP)  この絵は、日・米・カの牛の飼養頭数を示しておりますが、この丸いグラフが牛の飼 養規模でございまして、右下の一番小さな円が日本でございます。約四百万頭、ごらん いただきますとわかりますように、アメリカは日本の二十数倍の規模がございまして、 9,400 万頭。カナダも3倍強の飼養規模となっております。  また、この内訳でございますが、米国の場合は、この青い部分が7割ぐらいを占めて います。専ら牛肉を生産するための牛であります肉用牛、これが7割。それから、牛乳 を生産する乳牛が1割強。あとは子牛、この一部はビールという子牛肉の生産にも向け られますが、肉牛、乳牛になるために育てられているものも含まれます。  こういった構成になっておりまして、カナダも構成としては大体同じでございます が、日本はごらんいただきますと、この青の部分がやや少なくて、真ん中の茶色に見え ます乳牛のシェアが高いことがわかります。日本の場合は、全体の中で4割程度この乳 牛が占めているというところで、やや米・カと異なった構造になっております。 (PP)  アメリカ・カナダのと畜頭数を数字で見たものでございますが、一番上のと畜頭数自 体は、先ほどの飼養頭数規模の違いとほぼ同じ傾向を示していまして、米国は日本の25 倍程度、カナダも3倍強、そういった規模を持っております。  その内訳ですが、アメリカの数字を見ますと、と畜頭数の9割は肉用牛になっており ます。カナダもほぼ同じでございますが、日本の場合は先ほどと同じで乳牛のと畜頭数 が比較的多くなっているということがおわかりかと思います。  あと一番下の欄に、連邦検査施設となっておりますが、と畜場の数が入っておりまし て、アメリカで825 施設、カナダで29施設ございます。このほかにも、連邦ではない州 政府の認可に係ると畜場もあるようですが、こういった数の施設がございます。ただ、 輸出向けの食肉処理を行っていると畜場の数というのは、この中の更に少ない数でござ いまして、恐らく米国では100 以内、数十の施設になろうかと思います。  また、米国ではよく知られておりますけれども、大手のパッカーが生産量では大きな シェアを占めておりまして、上位四社のと畜頭数で約八割を占めているということが言 われております。 (PP)  アメリカとカナダの肉用牛の飼養概況を示しております。肉用牛の生産パターンと言 いますと、子牛が生まれます繁殖農家、その子牛が育てられます育成農家、それから最 後の出荷されますまでの間、肥育農家。この3段階で飼育されるというのが、典型的な パターンでございます。  ここで、繁殖農家、育成農家、ここまではこの写真が示しておりますように、放牧主 体で飼育されます。広い広大な草地の中で昼夜を問わず放牧されたまま飼育されるとい うのが、米国、カナダの一般的なパターンでございます。  日本の和牛などは、ほとんど畜舎の中で飼われているということでございますので、 この点は大きな違いでございます。  繁殖農家では、生まれてから約半年間飼われまして、離乳された後に育成農家へ行き まして、ここで6〜8か月となっておりますが、この育成段階はその土地で利用できる えさを使いながらということになりますので、もっと短い場合もありますし、もっと長 く1年ぐらい育成する場合もある聞いておりますが、典型的にはこういった期間でやら れておりまして、最後の肥育農家、フィードロットと呼ばれる施設の中で穀物を給与し て、肉の品質を高める最後の飼育段階がございます。ここは、大体3〜4か月飼育され ます。  こういった飼育段階を経まして、典型的な場合には10〜17か月齢程度で出荷されて、 牛肉になるということになります。 (PP)  アメリカ・カナダの肉用牛のライフサイクルでございます。まず、この上の段がアメ リカ・カナダで、下の段が日本になりますけれども、左端にありますように、上の細い 部分が乳用種、これは約一割ぐらいを占めておりますけれども、その下に肉用種が約九 割。それに比べまして、日本は先ほども申し上げましたが、乳用種の割合が比較的高く て、上の段が4割ぐらい乳用種が占めております。  そういった牛の種類が異なるということと、あとそれぞれ牛のそういった種類ごと に、飼育パターンが異なるわけですが、まず乳用種を比べますと、米国・カナダでは、 一部は短いところで切れていますように、代用乳なり、ミルクの給与だけで、子牛肉の 生産に仕向けられます。また、そのほかの肥育に向けられる場合でも、比較的早期に出 荷されております。  それに対しまして、日本も乳用種の場合は、大体同じように子どもの時代は代用乳を 与えられ、その後濃厚飼料主体のえさを与えられまして肥育がなされるということにな ります。  肉用種の方を見ていただきますと、これは米国・カナダの場合は牧草が主体、先ほど 放牧を見ていただきましたが、ああいう草地の上で牧草主体で、一部補助飼料、この補 助飼料というのは、ビタミン、ミネラルといったものが主体になりますけれども、こう いったものを与えられるというのが米国・カナダでございますが、日本の場合は放牧で は必ずしもないわけですが、牧草主体でふすまといったような濃厚飼料を一部給与する ということです。  それから、後半で濃厚飼料を給与されますが、日本の方がやや早くから、長期にわた って濃厚飼料を与えているということがおわかりいただけるかと思います。  最後の出荷時期につきましても、米国・カナダは比較的早く出荷されておりますし、 日本の場合はやや遅い、和牛の場合は30か月齢ぐらいまでかかっているというのが特徴 でございます。 (PP)  この図は、飼料、えさの流通を示しておりまして、まず米国・カナダにおきまして は、いずれの国も穀物の大生産国でございますので、自国で生産した穀物、あるいは自 分の農場で生産した穀物を使って飼育が行われます。  したがって、単味原料と書いてありますが、穀物を農場でほかから買った幾つかのミ ネラルとかビタミン、補助飼料、そういったものと組み合わせて、自分の農家で配合し て牛に与えるというのが典型的なパターンになります。  それに比べまして、右の方の日本の場合は、まず日本は穀物のほとんどを輸入に依存 しているわけですので、その輸入された穀物を用いまして、配合飼料工場で牛の成長段 階に応じた栄養を持つ配合飼料がつくられまして、そういった配合飼料を用いて農家が 牛を飼育しているということになります。  こういった意味で、えさの流通が米国・カナダと日本とではかなり異なっていること が見ていただけるかと思います。 (PP)  先ほどは、えさの流通を見たわけですが、この図ではレンダリング産業と肉骨粉利用 の違いを見ております。上の図が米国・カナダで、下が日本になりますけれども、まず と畜場へ出荷された後に、食肉にならない部分がレンダリングと言いまして、肉骨粉を つくる工場へ行きまして、そこでつくられた肉骨粉が、従来ですとリサイクルという形 で家畜のえさに用いられておりました。  しかしながら、この牛の肉骨粉がBSEの蔓延の原因であると。牛の肉骨粉を牛が食 べることによって、BSEが拡大してきたということがわかってまいりまして、現在で はこのBSEの蔓延防止のための最も重要な対策というのが、この肉骨粉を牛に食べさ せないという対策になるわけです。  そういった観点で見た場合は、まず下から見ていただきますと、日本の場合はこうい ったと畜場なりレンダリング施設というのは、牛と豚、そういった家畜が一緒に処理さ れている場合が多いですが、これをそのままえさに与えますと、感染を広げる元になり ますので、現在日本ではここでつくられた牛由来の肉骨粉を含むものはすべて焼却処分 しております。これがえさに出回ることはございません。  しかしながら、上の図を見ていただきますと、米国・カナダの場合は生産段階でも牛 と豚を一緒に飼っているというのは非常に珍しいケースで、農家段階でも分かれており ますし、それらを処理すると畜場、レンダレング施設、更にはえさ工場、こういったも のも畜種ごとに分離されているという傾向がございます。これは必ずしも100 %ではご ざいませんが、日本に比べるという分離がかなりはっきりしているということが言われ ております。  そういった中ではございますが、アメリカの場合では、この牛の肉骨粉を焼却処分と いったようなことはしておりませんで、えさに使うことを認めておりますが、右の方に 赤いバッテンが付いておりますように、牛の肉骨粉が牛に行かないように措置を取って いるということです。したがって、豚、鶏のさえに使うことは勿論、認められているわ けです。  こういった肉骨粉に対する規制の違いというのが、日本と米国・カナダでかなり違い があるということが見ていただけるかと思います。 (PP)  それでは、歴史的にこのBSE対策をどのように取ってきたかということを振り返っ てみたいと思います。 (PP)  「BSE対策の経緯」です。 (PP)  これは、輸入の禁止、水際措置を米国・カナダ・日本、それぞれどのように取ってき たかということを示しております。  まず、生きた牛なり、牛肉、肉骨粉についてまとめてございますが、まず赤い字で書 いてあるのが肉骨粉でございまして、1986年にイギリスでBSEという病気が確認され まして以降、国によって導入の時期は少しずれておりますが、カナダで1988年、アメリ カが1989年、日本では1996年から肉骨粉の輸入を禁止しております。  青い字が生きた牛になりまして、アメリカでは1989年、カナダと日本は1990年にそれ ぞれ輸入を禁止しております。  更に牛肉につきましては、紫の字で、アメリカとカナダは1991年、日本は1996年にそ れぞれ輸入禁止措置を取っているということになります。 (PP)  これは、その続きでございますが、2000年に入りましてから、更に肉骨粉の輸入禁止 については、当初牛由来の肉骨粉の輸入禁止措置をいずれの国も取っておりますが、こ れを対象動物を広げるということで、肉骨粉の輸入禁止措置を強化しているというのが 見られます。  更に2001年には、日本でBSEが発生しました関係で、アメリカ、カナダでは日本産 牛肉の輸入を停止しております。  更にその後2003年に、今度はカナダで5月、12月にはアメリカで、それぞれBSEが 発生いたしまして、それぞれ牛肉の輸入を停止しております。  その後、この一番下に書いてございますが、真ん中のカナダは、つい先日、3月だっ たと思いますが、米国産牛肉については輸入解禁、その条件は30か月齢未満でと畜され る牛ということですが、輸入を解禁しております。また、アメリカも同様にカナダ産牛 肉の輸入解禁についての規則を公布しておりますけれども、これは実は生産者団体の反 対がございまして、裁判所による差し止めという形で、まだ実施されておりません。 (PP)  次に飼料規制の実施状況です。アメリカ、カナダは、1997年に両国ともほぼ同じタイ ミングで反すう動物由来の肉骨粉の反すう動物への給与の禁止ということを法的に実施 しております。  日本は、1996年に行政指導という形で反すう動物から反すう動物への使用をしないよ うにという指導を行っておりますけれども、これは強制力のないものでございまして、 法的に禁止いたしましたのは、国内で発生が見られた直後ということで2001年になりま す。  更に、アメリカ、カナダの一番下に書いてございますが、動物用飼料からSRMの除 去を提案とあります。これは、今、アメリカでも、カナダでも、SRMと呼ばれる特定 危険部位由来の肉骨粉を、豚とか鶏のえさに使うことは認められておりますけれども、 それを使わないようにするような規則が提案されておりますが、まだ実施には至ってお りません。 (PP)  届出及びサーベイランスでございます。これは、BSEが国内にあるかどうか。また は、あった場合でも、どの程度広がっているかというのを見るために、非常に大事な措 置であるわけです。  まず、発生報告につきましては、アメリカでは1986年、カナダでは1990年、日本では 1996年、導入時期に差はありますけれども、それぞれ実施されています。  次に、このサーベイランス、これもアメリカが1990年、カナダが1992年、日本は1996 年に始めております。  このサーベイランスについて少し申し上げますと、アメリカではこの導入以来数百頭 規模で実施しておりましたけれども、2002年にはその対象頭数を大幅に拡大しまして、 2万頭規模といたしまして、更に2004年には米国での発生というのを受けまして、更に 強化サーベイランスというのを、2004年6月から実施しております。これは、現在まで に約三十二万数頭規模の実績がございまして、この間、BSEの発生は見られておりま せん。  カナダでございますが、カナダも同様に数百頭規模のサーベイランスを行ってきたわ けですが、やはりこれを強化しておりまして、年間3,000 頭規模から、最近では年間2 万頭規模、更に今後は3万頭規模でやっていくという計画があると聞いております。  日本では、従来リスク牛を中心にしたサーベイランスを行ってきたわけですが、2001 年から全頭検査を始めたほか、死亡牛の検査につきましても、現在では24か月齢以上の 死亡牛について、すべての検査を行っている体制になっております。 (PP)  そういった中で、北米におけるBSEの発生でございますが、カナダではここにあり ます3例、アメリカでは1例の発生がございます。アメリカのこの発生例は、実はカナ ダのアルバータ州で生まれた乳牛だったということで、そういった意味では生まれたの はすべてカナダ生まれの牛ということになります。  また、この中の2頭は乳牛なんですが、肉用牛も2頭含まれております。 (PP)  以上、経緯を振り返ってみたわけですが、次に、現状のBSE対策がそれぞれどうな っているかという比較を見ていただきたいと思います。 (PP)  まず「飼料規制」です。 (PP)  飼料規制につきましては、先ほど経緯のところでも触れましたが、いずれの国も現在 では法律に基づいた規制を行っておりまして、日本では2001年からということですが、 米国・カナダではそれより早く1997年から法的な規制が実施されています。  規制の内容としましては、日本では飼料の輸入、製造、販売、使用を行う者に飼料の 品質、製造基準、使用基準、保管基準、表示基準、こういったことを定めておりまし て、違反した者には罰則が適用されることになります。  米国では、表示方法、記録方法、製造方法、こういったものを定めておりまして、こ れに適合しない飼料を品質不良飼料として取引を禁止する。あるいは違反した者には、 罰則を適用するといったような措置が取られております。  カナダもほぼ同様な内容になっております。  いずれにしましても、こういった法的な罰則を伴う規制をかけることによりまして、 その内容、方法は若干異なりますけれども、規制の効果としては、日・米・カ、それぞ れ大きな差はないのではないかと考えております。 (PP)  今度は、実態面でどういったところに規制がかかっているかということを、この表で 御説明したいと思います。まず、牛、豚、鶏、そういった家畜の種類ごとに、どのよう な飼料を与えてはいけないかということになりますが、日本では牛に対しては、この 牛、豚、鶏、いずれの肉骨粉も与えることはできません。この縦の列ですべて×になっ ています。また逆に、牛由来の肉骨粉を豚とか鶏に与えることも禁止されております。  したがって、牛のところを見ますと、日本の場合は縦の線も横の線も×が付いており ます。  それに比べますと、アメリカ、カナダの場合は、×が付いているのが、この牛と牛の クロスするところだけ、つまり牛由来のものを牛に与えてはいけないという規制のみと なっております。その点が大きな違いでございまして、この規制の範囲という意味で は、米・カに比べて、日本の方がより厳しい規制となっているということが言えます。  ただ、ここに検討中とありますが、アメリカでは豚、鶏の肉骨粉を牛に与えることを 禁止する方向で検討中と聞いておりますし、また牛由来の、いわゆるSRMについて は、飼料として使わない方向も検討中であると聞いております。  また、交差汚染対策といたしましては、日本では従来クリーニングだったものを、ラ イン分離というのを義務化しておりますが、米国・カナダでは現在それを検討中だとい うことになっております。 (PP)  「米・カナダの飼料規制の遵守状況」でございます。先ほどのような法的な規制があ るわけですけれども、これが実際どの程度遵守されているかということについて、各国 の検査結果と違反例というものを示してあります。この遵守割合を比較するというの は、検査方法とか違反の定義が国によって異なりますので、一概にはなかなか数字だけ で比べるのは難しい面もございますけれども、いずれの国もこの制度が始まった当初 は、こういった違反の割合はかなり高かった国もございますが、それがだんだんと違反 の割合は低下してきていると。遵守率は高まっているという傾向が見られます。  日本では、御存じのとおり、1996年に行政指導による肉骨粉の使用禁止が出されてお りますが、2001年に発生した直後に農場の調査を行ったところ、160 戸ほどの農家では これが守られていなかったということがわかっております。そういった意味では、日本 でもその後の法的な規制の下で、現在ではかなりその遵守割合は高まっていると。今は きちんと実施されているということが言えようかと思います。  一方、アメリカ・カナダにつきましても、この数字をどう見るかはいろいろ見方はあ りますが、米国では米国の会計検査院というところが調査報告書を出しておりまして、 飼料規制の監視体制がまだ不十分な面があるといったような、幾つかの指摘がなされて いるところでございます。 (PP)  アメリカ・カナダの牛肉産業、特にえさに着目した牛肉産業の特徴をとりまとめてお ります。  まず、アメリカ・カナダの牛は若い時期では、主として放牧という形態の下で牧草で 飼育されています。  その中で、飼料は主として農家自身が配合していまして、製造工場から買ってきてい るというえさの割合は少なくなってきております。  飼料規制につきましては、アメリカ・カナダの方が早期に導入しているということで ございます。  豚・鶏の肉骨粉につきまして、これは日本では牛に与えることは禁止されております けれども、米国・カナダでは認められておりまして、牛にも使われているという面が違 っております。  肉骨粉は、アメリカ・カナダでは、畜種ごとに分離が進んでおりまして、別工場で製 造されておりまして、牛の肉骨粉が牛用のえさに混ざってしまう可能性は低くなってい るのではないかと思います。  飼料規制の遵守、これは先ほど見ていただいた表のように、それぞれの国がまだ完全 というわけではなく、いろいろ課題も抱えているというのが現状ではなかろうかと思い ます。  以上、私の方からの説明で、ここで松本参事官と交代いたします。 ○松本参事官  これまで、米国・カナダの肉牛産業の実態や、米国もカナダもBSE対策を取ってお りますけれども、その飼料規制について説明させていただきました。この後、育った肉 牛が人間の口に入るまでにと畜場に運ばれいろんなことがありますけれども、それらに ついて説明いたします。 (PP)  これは、米国・カナダのと畜場での作業の主な流れであります。運び込まれてきます と、まず眉間のところにスタンガンというものでボルトを打ち付けて気絶させます。そ の後、頸動脈を切りまして放血をする。その後、牛の前歯の永久歯の並び具合で30か月 齢以上の牛であるかどうかを判別して、30か月齢以上とされたものについは、マークを 付けて若い牛と区別するということであります。  皮をはぎまして、頭部を落として、内臓を摘出して背割りをいたします。背割りに使 いますノコにつきましては、一頭一頭洗浄・消毒をすると聞いております。  その後、背割りをした後、ミーリングカッターというもので脊髄を除去し、2つに分 かれた枝肉を高圧洗浄し、重さをはかって、冷却して格付けをするということでありま す。  この施設には、米国農務省食品安全検査局の獣医官と食肉検査員が常駐してと畜検査 が行われているということです。 (PP)  ちょっと遠い方は暗くて見えにくいかもしれませんが、これが脊髄を除去するミーリ ングカッターです。ここのところに白く見えるのが脊髄です。上の方から吸引しながら 除去します。これは保持用器具です。この脊髄を除去した後、高圧洗浄します。 (PP)  これが高圧洗浄をしているところです。これは、洗浄水が出る前の状態です。これで 大どころは洗浄できます。 (PP)  細かいところまで洗うために、蒸気噴霧式吸引機で洗浄が行われています。  次に、米国におけますBSE対策の概要について説明申し上げます。米国では、一昨 年(平成15年)の12月にBSEが発生いたしました。その発生を受けまして、ここに 挙げておりますように、歩行困難な牛の食用禁止、特定危険部位の除去、先進的な食肉 回収システム(AMR)の規制強化、空気噴射スタンニングの禁止、BSE検査中の牛 肉はBSE陰性が確認されるまで流通禁止ということで、昨年の1月12日から規制を強 化したということであります。  この上の3つについては、次にもう少し詳しく説明いたします。この4番目の空気噴 射スタンニングの禁止について説明いたします。  と畜場に運ばれました牛は、額にボルトを打ち付けて気絶させると説明しましたが、 素早く、苦痛なく牛を気絶させて、長時間の気絶状態を生じさせて、と畜をしやすいよ うにするために、そのボルトで打ち付けた穴から圧搾空気を注入して、脳をばらばらに する方式の器具が認められておりました。  しかしながら、そういう方式ですと、ばらばらになった中枢組織が、血管などを通っ て広がる恐れがあることから、それを禁止したということであります。  ただ、額に穴を開けても圧搾空気を注入しない方式のものについては、使用が認めら れているということであります。  BSE検査中の牛肉は、陰性が確認されるまで流通禁止ということについては、これ まで義務づけまではしなかったものを義務づけたということで、規制の強化になってお ります。  このような対策は、このBSEの発生が確認される以前に、米国農務省がハーバード のリスク分析センターにリスク評価を依頼して、アメリカ国内でのBSEリスクをどの ように下げるかということを評価してもらっておったと。それに基づいて、こういう対 策を打ったということであります。 (PP)  その対策の強化した部分の最初の部分「歩行困難な牛の食用禁止」であります。歩行 困難な牛の食用禁止の基本的な考え方は、歩行困難になるには、神経症状のほか、股関 節脱臼ですとか、骨折とか、原因はいろいろあります。また、どの時期に歩行困難にな るかということがありますけれども、そういう理由や時期にかかわらず、歩行困難牛を すべて食料供給から排除するということで規制を強化したわけであります。  したがいまして、牧場からと畜場までトラックで牛を運ぶときに、そのトラックの中 で転んでけがをしたり、骨折したりすると歩けなくなりますが、そういう場合でも運搬 車から下ろして食用に回さず、安楽死させて廃棄する。  また、運搬中はよかったんだけれども、トラックから下ろすときに足を骨折したと か、あるいは施設の中を歩いている途中に歩けなくなったような牛についても、同様に 扱われるということであります。  最初に申し上げましたけれども、歩行困難というのは、日本でBSEが13年9月に発 生したときに、映像でよたよたして立ち上がれない牛の映像がよく出ましたけれども、 ああいう神経症状のものもありますし、骨折などによって動けなくなったものもありま すけれども、理由のいかんを問わず、食用禁止というように規制を強化したということ であります。 (PP)  次にSRMの除去であります。SRMにつきましては、BSEが発生した英国の事 例、あるいはその後の感染実験等の報告の検討をもとに、ここにありますように30か月 齢以上の頭蓋、脳、眼、三叉神経節、脊柱、脊髄、背根神経節、それとすべての月齢の 牛の扁桃、回腸遠位部ということであります。  この頭蓋と脊柱は骨でありますが、これについて感染性があるというわけではなく て、頭蓋の中には眼とか三叉神経節、あるいは脳がありますし、脊柱の中には背根神経 節があるということで、SRMに含めているということであります。  そのSRMの除去、廃棄につきましては、そういう処理をする施設はHACCPとい う方式、またはSSOPという、衛生標準作業手順書によりSRMの管理の手続を文書 で定めて、それに基づいてSRMを完全に除去して、その施設から適切な方法で廃棄す ることを各施設ごとに決めて、それを守るという責務を負うということです。  このHACCPというのは、各段階、段階で、いろんな危険なものがあったら、それ を除去するという考え方に基づいて、全体としてリスクを下げる方法であります。  農務省の食品検査局は、各施設の手続がちゃんと定められて、適切に行われているか を確認することになっております。 (PP)  次に、規制強化の1つですけれども「先進的食肉回収システム(AMR)の規制強化 」ということです。肉は骨に大分残りますが、それをできるだけはがして食用に回すこ とをやっております。イギリスでBSEが発生したときに問題になりました、機械回収 肉は、骨ごとすりつぶして、それから肉を回収するというものであります。このAMR というのは圧はかけますけれども、骨を破壊することなく、肉だけを分離するという進 んだ機械であります。  その規制内容といたしましては、30か月齢以上の牛の頭蓋骨と脊柱以外の骨、ですか ら、30か月齢以上の頭蓋骨と脊柱からの肉と骨を分けるときには、このAMRはだめで すよということです。それ以外の肋骨ですとか、肩胛骨でありますね、そういう骨から 肉をはがすときには、AMRを使ってもいいですよと。  もう一つ、では30か月齢未満ではどうかと言いますと、それは頭蓋とか脊柱もいいん ですけれども、ただし脳とか、三叉神経節、脊髄、背根神経節が混ざり残ってはいけま せんと、規制を強化したということであります。 (PP)  規制を強化しましたが、リスク管理が各国どうなっているかということで、日本との 比較をお示ししたいと思います。SRMの部位につきましては、ここの左端に挙げてお りますように、頭蓋、扁桃、脊髄、脊柱(背根神経節も含む)、腸でありますが、日本 の場合には全月例から除いておりますが、米国とカナダでは、頭蓋は30か月齢以上、脊 髄も30か月齢以上、脊柱も30か月齢以上ということで、全月齢からの除いているのは腸 です。扁桃については、米国は全月齢から除いておりますけれども、カナダは30か月齢 以上ということで、ここのところが差があります。  ですから、ここの日本の全月齢から除くというのは、これから先もずっと続くわけで あります。 (PP)  それで、SRMの範囲の違い、取扱いの違いを御説明しましたけれども、SRMを除 き、かつ交差汚染をどのように防止するかについての、日本・米国・カナダの比較を示 したものがこの表でございます。  まず、スタンニングですけれども、日本も米国もカナダも同様に実施しております。  一方、ピッシングについて申し上げます。気絶させた後、頸動脈を切って放血すると 言いましたけれども、気絶しただけなものですから、切るときの刺激で不随意運動を起 こします。そういう不随意運動を取るために、スタンガンでボルトを打ち付けて開いた 額の穴から、ワイヤーを入れて中枢神経を破壊することをピッシングと言いますけれど も、日本の場合にはBSEが発生した直後から中止するよう指導してきておりましたけ れども、まだ7割のと畜場で行われています。  一方、米国・カナダでは、禁止されております。  また、SRMによる汚染防止措置を、どのように取っているかということですが、我 が国の場合には衛生標準作業手順書を各施設が決めて、それに基づいてSRMの除去、 廃棄をやっております。  また、米国・カナダでは、背割り後に脊髄の除去をやっておりますけれども、我が国 の場合には背割り前に脊髄を吸引除去しております。これは、平成13年の研究で、背割 り後に脊髄除去を行っても、その後高圧洗浄すれば十分効果は上がるという結果が出て おりますけれども、予防的な観点から我が国においては背割り前の脊髄の吸入・除去を やっております。  米国・カナダでは、このHACCPという方式が、と畜場では義務づけられておりま す。これに基づく、あるいはそれに加えて、この衛生標準作業手順書というものを定め て、それに基づいてSRMの除去、また汚染防止に取り組むことになっているわけであ ります。 (PP)  次に、BSE対策の大きな安全ネットの1つで、飼料規制とSRMの除去について申 し上げましたけれども、もう一つ、BSE検査があります。BSE検査については、米 国・カナダ・日本では、少々趣が違います。 (PP)  米国・カナダにおきましては、それぞれの国の牛にどれぐらいBSEが侵入している か状況把握の観点と、BSE感染牛をつくらないための飼料規制を行っておりますけれ ども、それが実効が上がっているかを確認するためのサーベイランスという観点でBS E検査を行っております。  一方、我が国日本の場合には、同様な意味でのサーベイランスという観点からの検査 と、もう一つ食肉の安全確保ということで、スクリーニングという観点で検査を行って おります。  サーベイランスにつきましては、歩行困難などのリスク牛を含む死亡牛につきまし て、検査を行っておりますし、と畜場でも現在検査を行っておりますが、これもサーベ イランスの意味合いもありますし、と畜場の検査の場合には食肉の安全確保という観点 でやっておるということで、検査の目的が米国・カナダ・日本では少々観点が違うとい うことであります。 (PP)  BSE検査の対象であります。米国は先ほど説明がありましたように、と畜場で成牛 2万頭程度を検査する。一方、歩行困難などのリスク牛、死亡牛も含みますけれども、 30か月以上のものについて、昨年の6月から強化サーベイランスということで、1年か ら1年半かけて20万頭〜27万頭程度検査すると言っております。既に先ほど説明があり ましたように、32万頭ほど検査が行わっていると聞いております。  カナダでございますが、カナダでは30か月齢以上のリスク牛につきまして、3万頭以 上検査するということです。  一方、日本の場合には、先ほど申し上げましたように、と畜場では食肉の安全確保と いう観点、それとサーベイランスを含めて、年間130 万頭、正確には125 万頭ぐらいで すけれども、検査しております。  一方、サーベイランスという観点からは、歩行困難などを含むリスク牛、死亡牛も含 みますけれども、24か月齢以上につきまして、9万頭ほど検査をしておるということで あります。  次に、BSEなどが発生したときの原因究明などに非常に有用な制度ということで の、牛の個体識別制度というものがありますけれども、それについて説明いたします。 (PP)  ごらんいただきますように、カナダ・日本では義務づけられておりますけれども、米 国は任意であります。カナダでは2002年7月から、日本においては2003年の12月からス タートいたしました。  一方、米国では2004年に導入されて数年後を目途に完成予定ということで聞いており ます。  この個体識別制度の中で把握できる情報ですが、1つは牛そのものの固有番号、それ とどこの農場で生まれたかという情報です。それ以外に、日本の場合には生年月日を入 れることになっております。  カナダの場合には、任意でありますけれども、2005年から生年月日を入れることにな っております。  このように、日本とカナダでは個体識別制度で、牛の月齢を確認することができるわ けであります。  以上、米国・カナダの肉牛の産業構造ですとか、それぞれの国で取っておりますBS Eの国内対策について説明いたしました。それらを踏まえまして、私ども厚生労働省と 農林水産省が今後米国産、及びカナダ産牛肉の輸入再開について、どのように考えてい るか説明いたします。 (PP)  今後、米国及びカナダ産の牛肉の輸入の再開に当たりましては、食品安全委員会に諮 問したいと考えておりますが、その諮問内容であります。  まず、上にありますように、米国・カナダから輸入される牛肉について、我が国で流 通する牛肉とのBSEリスクの同等性を諮問したいと考えております。この入ってくる 牛肉でありますけれども、米国及びカナダで取られています、現在の国内規制に加えま して、日本向け輸出プログラムで管理された牛肉が対象ということであります。  すなわち、今まで米国・カナダのBSEの国内対策については説明しましたけれど も、それに上乗せの条件をかけて、それをクリアーした牛肉と、我が国で流通している 国産の牛肉とのBSEのリスクの同等性がどうかということを諮問したいと考えている わけであります。  それでは、日本向けに考えられております輸出のプログラムはどんなものかについて 説明いたします。 (PP)  「日本向け輸出プログラム」です。まず輸出される牛肉は、20か月齢以下と証明され る牛由来の肉であるということ。また、日本に輸出する牛肉について、その牛からは特 定危険部位はあらゆる月齢から除去されているということであります。  こういう2つの基準を満たすことができます、日本に牛肉を輸出したいという業者が 施設において、こういう条件を満たしますということを文書化して、かつ米国、あるい はカナダ政府の承認を得て登録された施設、そこから出される肉ということになりま す。これが日本向け輸出プログラムです。  このようなことが、ちゃんと担保されているかどうかということにつきましては、輸 入再開後日本から専門家を現地に派遣いたしまして、ちゃんと守られているかどうかを 査察することとしております。 (PP)  それでは、最初の20か月齢以下の牛由来であるということで、ではその20か月齢以下 をどうやって判断するかということが問題になってまいります。  カナダ・日本においては、個体識別制度がありますので、これでちゃんと月齢がわか ります。一方、米国の牛の月齢確認が問題になります。米国でも、生産記録のあるもの もあります。ただ、それだけでは少ないので、米国政府が昨年の10月に開いた日米局長 級会議で科学的な観点に基づいて検討するということで、提案してまいりましたのが、 枝肉の生理学的成熟度で月齢を判定するものです。日米両国の専門家でいろいろ検討し ていただいて、A40以下であれば20か月以下と大体言えるだろうということで結論をい ただいたわけであります。  米国の月齢判別について、もう少し詳しく御説明いたします。 (PP)  20か月齢以下の牛の月齢をどのように確認するかということです。  1つは、書類で確認するということ。その1つが、米国でも個体管理されている牛が ありまして、個体ごとの月齢証明というものがありますので、そういうものがある牛に ついては、それを活用するということが1つ。  もう一つ、子牛が春と秋に生まれるという説明がありましたし、牧場の雌牛の群れの 中に雄牛を放して、そこで自然交配するということで説明がありました。交配後一定期 間しますと、子牛が生まれてまいります。その群で管理したところで、一番先に生まれ た牛の生年月日を、その群で後から生まれてきた牛も一番最初に生まれた牛の生年月日 と同じ扱いでやろうということで、群ごとの月齢証明という方法もある。こういう書類 による管理というのが1つあります。  もう一つが、牛肉の格付け制度を利用しようということであります。枝肉の生理学的 成熟度の中でも、A40というものであればよかろうということであります。現在、米国 では年間2,700 万頭程度の牛枝肉の格付けが行われております。全米で160 名の格付け 検査官が格付けを行っていると聞いておりますが、そのうち約九割が20か月齢以下の牛 の枝肉である。そのA40に相当するのは、大体その1割弱だという具合に聞いておりま す。 (PP)  この生理学的成熟度ということについて、もう少し説明いたします。  整理学的成熟度をマチュリティーと言っております。まずアルファベットでABCD Eということで大きく分けます。Aは若くて、Eというほど月齢が進んだ、お年寄りの 肉ということになります。  そのAの中でも、30、20、10と、数が小さくなるほど若くなり、40、50、60、70と数 が増えるほど月齢が進んだということになります。  その中でも、Aという若い牛の40というところで格付けすれば、これはかなり月齢の 確認に使えるということであります。その違いと言いますのは、ここにA40、A50とい うことを示しております。人間と同じく牛も背骨は椎骨というものが重なっておりま す。椎骨の間に椎間板というものがあるわけです。年を取ってくるとその分離している ものがはっきりしなくなるということがあります。  仙骨という部分、骨盤のところの椎骨ですけれども、そこで見ますとA40ですと椎骨 一つひとつが明確に分離しているけれども、A50と格付けされるものについては、分離 はしているけれどもはっきりしないということ。  また、皆さん方の背中、押さえてもらうとぼこぼこしているものがあると思います。 これを棘突起と言います。椎骨の一つひとつに棘突起があります。その上部の部分、ち ょうど皮膚に近い部分に軟骨があります。A40に相当するものは、かなり軟骨があると いうことであります。  一方、A50に判別されたものにつきましては、軟骨はあるけれども、かなり骨化が進 んで軟骨の後が残っているということです。  また、腰椎になりますと、この棘突起の上部がA40では、かなりの部分が軟骨の状態 である。  一方、A50に判定されたものは、ほぼ骨化ということであります。 (PP)  言葉だけですとなかなかわかりにくいものですから、これはA40と判定された腰椎の 部分であります。ここの部分が椎体で、ここに出ているのが棘突起です。上部というの は、ここ(棘突起)の部分です。この右の方の3つが棘突起の部分を拡大したものであ ります。ここのところが白くなっております。白いところが軟骨です。これがちょっと 年を取ってきますと、ここのところ(先端部分)にちょっと赤いものが入ります。これ が骨化が始まったところです。この一番右のところが、ほとんど赤くなっておりますけ れども、これはほぼ骨化しているというところで、白色の軟骨がない状態です。  この左の2つが大体A40に判別され、一番右のものはA50に判別されるということで あります。 (PP)  昨年の10月末の日米局長級会議で、提案されたこの方式ですけれども、その後日米の 専門家が集まりました。日本では解剖学の専門家がお二人、統計学の専門家がお二人、 肉質の専門家がお二人で、6人の専門家の方に専門員となって御検討いただきました。 アメリカから出された資料に基づいて御検討いただきましたけれども、今年の2月に一 応その報告がまとまりました。そこでの報告書の要点であります。A40の評価決定ポイ ントは、高い精度での判別が可能と、牛枝肉の生理学的成熟度を客観的に判別する基準 としては適当ということで結論をいただいております。  A40を基準として、採用し得るか否かの判断は、統計学的分析による数値のみでな く、米国産牛肉のBSE感染リスクの程度の評価と併せて評価すべきということです。 (PP)  A40を基準として用いた場合、統計学的分析からは、21か月齢以上の牛の枝肉が、 A40以下と評価される可能性は1.92%以下ということで、これは統計的なことです。仮 にA40を基準として採用する場合には、評価結果の記録保存が必要ということでありま す。A40とか、A50とか、A60というのは、枝肉の格付けに使われる基礎資料でありま す。格付けというのは、プライムとかチョイスとかいうことで格付けが終わりますと、 それがA50であったか、A70であったか、あるいはA40であったかということはもう必 要なくなるということで、格付けであればそういう記録がなくなるわけでありますけれ ども、我が国の今後の話といたしましては、このA40という成熟度を月齢の判別に用い るということになりますと、なくなっては困りますので、そういう記録、保存が必要と いうことで、これは先ほど御説明した輸出プログラムに反映するということでありま す。  また、今回検討に用いられましたのは、全体で3,000 頭ちょっとの牛であります。ま してA40以下は196 頭ということでありまして、数が少ないということもございまし て、追加的な検証、または事後のフォローアップが必要という結論をいただいたわけで あります。  今、スライド等をお見せしましたけれども、生理学的な成熟度によります月齢の判別 については、先週我が国から米国に職員を派遣しましていろいろ調査をして来ましたけ れども、格付け検査官がA00〜A50までの標準写真を携行するということ。また、通常 の格付け行程で対日輸出用に選別した牛枝肉を、対日専用作業ラインに移して、改めて A40以下かどうかについて再度確認し、最終判定するという考え方を示されたと聞いて おります。  勿論、生理学的成熟度での月齢の判別ということについては、このようなことで一応 日米の専門家はいいのではないかという御結論をいただいたわけであります。 (PP)  日本に輸出する場合には、全頭からSRMを除去するということで申し上げましたけ れども、SRMの範囲につきましては、我が国がSRMとして全頭から除いております けれども、それと範囲は一緒ということになります。それを確保するために、HACC P計画、あるいはSSOPに基づいて除去等を実施するということで、SRMの除去、 分離、廃棄のための手順書を作成して、それに基づいて実施すると。それがちゃんと実 施されたかどうかという監視に関しまして、日報を記録するということが事業者に求め られるわけであります。  各施設が有します管理計画は、米国・カナダ政府が検証するということがその中身で あります。 (PP)  米国・カナダの国内対策に上乗せして日本向け輸出プログラムにのっとった扱いがさ れるということで申し上げましたけれども、これから「食品安全委員会」に諮問しよう と考える基本的な考え方は、我が国と同等の安全性が確保されていることが基本的立場 であります。  そこで、現在の米国・カナダの国内措置の下で、この20か月齢以下の牛由来の牛肉で あるということと、全月齢からのSRMの除去がされているという条件を満たす輸入牛 肉と国産牛肉とのBSEリスクの同等性を「食品安全委員会」に諮問しようという具合 に考えているところであります。 (PP)  最後に今後の話であります。日米の輸出プログラムにつきましては、昨年10月末に行 いました、日米局長級会合で認識を共有いたしまして、その後日米の専門家が集まって 月齢判別に関する検討会をいたしました。  また、輸出証明プログラムの詳細な検討をいたしました。それで先週の金曜日から今 日まで、全国9か所でこのような形で意見交換会を行ってきたわけであります。それら を参考にして牛肉の輸入条件について「食品安全委員会」に諮問する予定であります。  「食品安全委員会」の「プリオン専門調査会」で議論されることになると思いますけ れども、そこである程度まとまりましたら、意見募集ということがなされまして、それ が終わったところで「食品安全委員会」から答申をいただけることになろうかと思いま す。  その答申をいただいた後、厚生労働省、農林水産省におきまして、それぞれ輸入条件 の見直し等、所要の手続を進めることになるわけでございます。  以上、米国・カナダのBSEの国内対策と、輸出に係る日本向けの輸出プログラム、 また諮問に当たってどのように考えているかということを御説明した次第であります。  御清聴ありがとうございました。 ○姫田消費者情報官  それでは、皆様どうもお疲れ様でございました。これから意見交換会への会場設営を いたしますので、そのままでしばらくお待ちいただけますでしょうか。                   (小休止) ○姫田消費者情報官  それでは、意見交換会を開催したいと思います。  まず初めに、島村農林水産大臣から皆様にごあいさつ申し上げます。 ○島村農林水産大臣  農林水産大臣を務めております、島村宜伸でございます。本日は、皆様お忙しい中、 当意見交換会にお繰り合わせ御参加をいただきまして、誠にありがとうございます。  消費者を始めとした関係者の皆様方の御意見を直接伺いたいと考えまして、今日は私 も参加をさせていただいた次第であります。実は初めからお伺いするつもりでしたが、 今日から郵政特別委員会が発足しを見まして、ちょっと与野党間でもめまして、本会議 の開会がかなり遅れたものですから、今し方ようやく駆け付けたようなわけでございま して、御理解をいただきたいと思います。  皆様御承知のとおり、このリスクコミュニケーションは食品安全行政の推進に当た り、施策の策定段階から消費者を始めとした関係者の皆様に、正確でわかりやすい情報 を積極的に提供し意見交換を行うことによって、できるだけ多くの方々の御意見を施策 に反映することを目的としているわけであります。  本日の意見交換会におきましても、できるだけ多くの皆様の御意見をお伺いしたいと 考えております。  さて、BSE問題についてですが、国内措置の見直しにつきましては、過ぐる5月6 日に食品安全委員会から御答申をいただいたところであります。これを踏まえまして、 農林水産省といたしましては、厚生労働省と連携し、国内措置の見直しについて制度改 正の手続を行っているところであります。  また、米国産牛肉の輸入再開問題につきましては、従来から輸出国に対し、我が国と 同等の安全性が確保されるよう求めてきたところであります。そういう意味で、去る5 月13日から本日まで、全国でこの会場を含めて9か所で意見交換会を開催してまいりま したが、その結果を踏まえて輸入再開条件を検討し食品安全委員会に諮問する考えであ ります。  本日は輸入再開条件を食品安全委員会に諮問するに当たり、皆様から忌憚のない御意 見を承りたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げる次第であります。  我々が十分に皆さんのお気持ちに沿えるかどうかはともかくとして、私たちはあくま で消費者の安全・安心を守ることを大前提に、あくまで科学的知見に基づく安全性の確 保ということに留意をして今日まで取り組んできたところでありますので、どうぞよろ しく皆さんの御意見を承らせていただきますようお願い申し上げます。  ありがとうございます。(拍手) ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  続きまして、西厚生労働副大臣からあいさつをいたします。 ○西厚生労働副大臣  ただいま御紹介をいただきました、厚生労働副大臣の西博義でございます。本日は、 このように大勢の皆さんに意見交換会に御出席をいただきまして、ありがとうございま す。  米国産牛肉等のリスク管理の措置、これに対する本日の意見交換会に当たりまして、 一言ごあいさつを申し上げます。  島村大臣と同様、急遽1時から本会議がセットされ、さらにずれ込みましてぎりぎり この場に寄らせていただきました。私ども厚生労働省は、食品の安全を確保するという 重要な立場を担っております。そういう意味で、BSE問題につきましても、ずっと取 り組んできたところでございます。この問題につきましては、他の食品安全の問題と同 様に、国民の健康の保護を大前提にいたしまして、科学的知見に基づいて対応するとい うことが大変大事ではないかと考えております。  同時に、一方で、このように国民の皆さんに直接、いわゆるリスクコミュニケーショ ンとしてお伝え申し上げ、また御意見をちょうだいすることによって、我々としまして も消費者の皆さん、また直接食品を取り扱っている関係者の皆さん、事業者の皆さん、 そういう皆さんなど、国民の皆さんに情報を提供させていただくということも大事だと 思っておりますし、意見の交換をさせていただきたいと考えております。  このことが、この科学的な安全ということを中心として、今度は安心ということに変 わっていくきっかけになればというふうに心から願っているわけでございます。  本日は、米国産牛肉等の輸入の再開の問題につきまして、関係者の皆さん方の御意見 を十分拝聴いたしまして、今後の行政につなげていきたいと思っておりますので、どう ぞ忌憚のない御意見をちょうだいできますように、心からお願いを申し上げまして、一 言ごあいさつに代えさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  それでは、意見交換に先立ちまして、本日の出席者を紹介いたします。まず、本日は 募集により、大変多数の方に御参加いただいております。広く御意見をいただくため出 席者を募集したところ、300 名余りの応募をいただきました。当初予定しておりました 範囲内でございましたので、応募いただいた方全員に御参加いただいております。  出席者の御紹介につきましては、お手元の出席者名簿に代えさせていただきますの で、御了承ください。  次に、行政からの出席者を紹介いたします。まず、先ほどあいさついたしました、島 村農林水産大臣でございます。  同じくあいさつしました、西厚生労働副大臣でございます。  その隣、厚生労働省医薬食品局食品安全部長の外口崇でございます。  厚生労働省大臣官房参事官の松本義幸です。  そしてこちら側になりますが、厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課長補佐の 広瀬誠でございます。  そして反対側でございますが、農林水産省消費・安全局長の中川坦でございます。  消費・安全局衛生管理課長の釘田博文でございます。  また、本日はオブザーバーといたしまして、食品安全委員会事務局の一色賢司次長に お越しいただいております。  同じく、食品安全委員会事務局の西郷正道リスクコミュニケーション官でございま す。  私、本日進行役を務めさせていただきます、農林水産省消費・安全局消費者情報官の 姫田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  あらかじめ申し上げておきますが、誠に恐れ入りますが、島村大臣と西副大臣は公務 により1時間程度で退席いたしますので、どうぞ御了承ください。  それでは、これから意見交換に入りたいと思います。本日は、米国等のリスク管理や 輸入再開に当たっての考え方について御説明させていただきました。  まず、輸入再開に当たっての基本的な考え方について、御意見をいただこうと考えて おります。  そして勿論、その後実務的な個々のリスク管理の状況などについても、御質問の時間 を設けたいと思っておりますが、大臣、副大臣がおります間に、基本的な意見交換をや りたいと思いますので、お願いいたします。  なお、できるだけ多くの方に御発言いただきたいと考えております。申し訳ありませ んが、御質問・御意見ともお一人2分以内で簡潔にお願いいたします。1分30秒経ちま すとベルを1回鳴らします。そうしたらまとめに入っていただいて、2分経ちましたら 2回鳴らしますので、次の方にお譲りください。  なお、御発言に先立ちまして、お名前と、差し支えなければ所属をお願いいたしま す。  なお、意見交換の妨げになります、やじ、拍手などは御遠慮ください。場合によって は御退席いただきますので、御協力お願いいたします。  それでは、意見交換に入ります。どなたからでも結構でございますが、挙手をお願い いたします。  それでは、早かったので、そちらの一番前の列の白い服を着られた男性の方、そして その後ろの男性の方、その隣の方、そしてこちらの方、そして真ん中よりこちらの今、 手を挙げている女性の順でお願いいたします。 ○参加者1  日本消費者連盟の山浦と申します。大臣もおられますので、いろいろと広範囲にお伺 いしたいと思います。  現在、まだ日本の牛肉はアメリカには輸出できない状況が続いておりますね。こうい った状況の中で、アメリカの牛肉を日本に入れるに際して、やはり日本政府としては厳 しい条件をアメリカに求めるということは当然だろうと思いますので、以下のような事 柄について納得できなければ、やはり現在の時点では輸入解禁をすべきではないと私は 考えております。  まず、先ほどの説明にもありましたように、アメリカの牛肉を日本に入れる際の条件 として、日本向けのものを非常に特別視して、その条件を今、詰めるというふうな作業 をされておりますけれども、私はこの方法については反対いたします。  と申しますのは、アメリカの国内の消費者の安全性の問題。あるいはアメリカで肉骨 粉をつくり、それを輸出しておりますけれども、世界の人々のいろいろな被害の問題、 こういったことも今後大きく取り上げられることが考えられますので、こういったこと につきましても、やはり日本政府としては、アメリカのBSE対策全体を問題にして交 渉において議論していただきたいということをお願いしたいと思います。  それで、アメリカに対しては日本の国内基準をアメリカに要求するというお話でした けれども、現在の日本の国内基準についての先ほどの釘田さんの御説明は違うと思いま す。20か月齢以下の牛を検査から外すべきであるという答申ではなかったと思います。 これにつきましては、答申書の最後の部分のところに反対意見等もありまして、非常に 慎重な表現になっておりますので、これをもって日本の国内対策は20か月齢以下は検査 から外すというふうな基準では現在ないと考えておりますので、これをもってしてアメ リカ牛の20か月齢以下の輸入を認めるということは、おかしいと思います。  それから、検査の方法、そして飼料規制、そしてSRMの除去、またトレーサビリテ ィーについても、日本並みの要請をすべきであって、先ほどの説明をお伺いしておりま しても、非常にずさんな状況がまだ存在しているわけでして、やはりこれを問題にしな ければいけないと思います。  また、と畜場におけるチェック体制、こういったことも実際に行われているのかどう か、日本の査察が入るということでしたけれども、やはり抜き打ち的な検査を常に行わ なければだめではないかと思います。  また、月齢判別方法につきましても、専門家の会合が行われましたけれども、科学的 に見ても非常にも問題があると。そしてまた答申書の中でも、それについてはまだまだ 問題があるといった報告書がまとめられましたので、これをもって20か月齢以下である というふうに言えるということは無理ではないかと考えます。  総じまして、今の段階で日本が米国の牛肉の輸入を再開することは、現在無理ではな いかというのが私の意見です。 ○姫田消費者情報官  ありがとうございました。  それでは、その後ろの男性の方お願いいたします。 ○参加者2  御説明ありがとうございました。日本生活協同組合連合会の原と申します。今日は、 具体的な件につきましては、発言時間が短いので割愛させていただきまして、全般的な ことを申し上げたいと思います。  先ほど御説明いただきましたように、アメリカの牛に関しましては、日本の牛と生 産、食肉の処理に至るまでのところが、やはり事情が随分大きく異なりますので、内外 無差別ということで、この間、厚労省さん、農水省さん、お進めになっていますけれど も、アメリカの牛に関する全般的なリスク評価をきちんと詳細に行っていただきたいと いうことを要望させていただきたいと思います。  そのために、アメリカ、カナダにリスク評価に必要な詳細なデータを求めていただく とともに、両省この間調査には行かれたんですが、検証も今後もやっていただきたいと 考えております。  リスクコミュニケーションに関しまして、もう一つ要望させていただきたいんです が、「食品安全委員会」の国内管理措置についてのリスクコミュニケーション、50回の 意見交換会、パブリック・コメントを含めて行われましたけれども、そういったところ で出された意見が「プリオン専門調査会」で、ほとんど具体的な議論が行われずに答申 に至ったことは、はなはだ遺憾に感じております。今後、リスクコミュニケーションに 関しましては、関係者の意見がきちんとくみ取れるように工夫をしていただきたい。取 り上げて議論をしていただきたいと思っております。  それから、ここにアメリカ・カナダの大使館等の関係者の方もおいでいただいている ようですので申し上げたいんですが、日本政府が全面的なリスク評価を行うに必要なデ ータを、きちんと出していただきたいというふうに考えます。  それから、BSEに関しては、科学的な知見が少なく、安全性に関しましても確実な ことがなかなか言えないという事情がありますので、できる限りの対策をやっていただ きたいと。説明はありましたけれども、牛骨粉を鳥・豚に与えたりとか、あるいは豚・ 鳥の骨粉を牛に与えたりということは、検討中ということでしたけれども、本来だった らもっと早く禁止すべきではなかったかと。そういったことを含めた、きちんとした対 策、できる限りの対策を行動で示していただきたいと思っております。  それから、一部民間で自主的に行う検査を禁止するということが伝えられております けれども、そういったことに関しましても、やはり民間でできる限りの安全対策という ことで行われることですので、寛容に取り計らうべきではないかと考えますので、よろ しくお願いしたいと思います。  時間が長くなって申し訳ないんですが、ここにも外食産業の方にたくさんおいでいた だいておりますので、一言申し上げたいんですけれども、皆さんの御苦労は理解できる つもりでおります。大変だろうと思います。大変だろうと思うんですが、この間の意見 交換会等で、かなり心ない発言と言いますか、消費者団体は消費者を代表してないみた いな話がありましたが、私ども消費者の代表というよりは、消費者の立場から意見を申 し上げているわけですけれども、是非外食産業の皆さんもSRMさえ取れば安全だとい うことを、この間ずっと主張されておりますけれども、SRMが完全に取り切れない、 汚染というものが排除できないということが、この間「食品安全委員会」の評価の中で きちんと議論されていることなわけです。そういったことを考えて、できる限りの安全 対策を取るべきだということを、食品産業の方、外食産業の方も含めて、厚労省さん、 農水省さんにお願いするとともに、外国の輸入牛に関しましても、最初に輸入をされる のは皆さん方産業界の方ですので、バイイングパワーと申しますか、お願いをするの に、我々消費者からアメリカの方々にそうやってお願いをするよりも、皆さん方ができ るだけの安全をお願いすることがやはり生産地が変わっていく力になると思いますの で、是非我々消費者と一緒により安全な食肉の安全性の確保というものを、一緒に要求 していっていただきたいと思います。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。お二方、そしてこれから発言される方にお願いした いんですが、できるだけ時間内に簡潔におまとめください。  それでは、そのお隣の女性の方、お願いします。 ○参加者3  主婦の戸谷真理子と申します。今回、日本向け輸出プログラム、昨年10月にそれを行 って、勝手に条件を決められた方の責任をはっきりと問いたいんです。どうしてかと言 うと、ずっと国内の措置に関するリスコミで、国内措置の後に輸入条件を諮問で決める ということを言っていたのに、話が全然違うということで、まず国のやっていることが 全然信用ならない、全然安心・安全が信用ならないということと。あと20か月云々につ いての食安委のまとめについても、プリオンの専門の第一人者が2人も、輸入再開に利 用されたということで辞意を表明されております。そういったことで、調査会の結論自 体も消費者として信用ができない。まず、この1点を申し上げます。  あと、国内同等であるという前提においては、飼料管理が全然日本と違うということ で、例えば、牛の肉骨粉を食べた鶏の糞を食べさせたりとか、レストランの残渣を食べ させたりとか、そういうことが全然違うんです。これは、米国の上院議員のカントウィ ルさんということが告発されていますので、是非彼女を呼んで確認をさせていただきた いということが1点です。  あと、20か月を証明することが、BSEの感染していないことを証明するものではな いので、検出限界以下の感染している潜伏牛を輸入するのは、ヒトと家畜の病気の防疫 上とてもよくないし、全然同等ではないということです。  最後に大前提として、SRMを完全に取り除けるわけがないんです。スタンニング は、例えば、血液が飛んでお肉を汚染するという論文が出ていますし、検査に検出限界 があるというなら、SRMの除去率とか、除去汚染率、除去限界も科学的に調査分析し て、それも食安委に諮問すべきことだと思います。同じように限界があります。  最後になりますけれども、EUのGBR評価と、国際調査団の調査と、検査官組合の 告発と、対象者の労組の告発と、カナダ議会での元USDA職員の告発、これを全部日 本政府として確認していただきたいんです。よろしくお願いいたします。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  それでは、こちらの女性の方、お願いいたします。 ○参加者4  主婦連合会の和田です。月齢の判別方法について発言します。  いろいろな関係者の方が、この判別方法について疑問の発言をよく耳にいたします。 これは、牛の種類、あるいは飼育方法、それからえさの種類などによって、果たして 今、使われようとしています判別方法でいいのかということの疑問をいろいろ出されて おりますが、これについて十分にお答えいただいてないということです。  それから、検討会の報告書に、仮にA40を採用するときに、記録と保存が必要で、追 加的な検証、それから事後のフォローアップが必要と。これは非常に大きな意味を持っ ていると思いますけれども、記録と保存をしたとしても、これは生産、いつ生まれたか ということがわかっていない場合に、どのようにしてそれを生かして検証、フォローア ップができるのかという具体的なことをお答えいただきたいと思います。  それから、24ページに米国の月齢判別方法は、生産記録、または生理学的成熟度、こ の2つが書かれておりますけれども、生産記録によりますものがわずかということでし たけれども、どのぐらいの割合があるのかということを質問したいと思います。  以上です。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。簡潔にありがとうございました。  それでは、後ろの方の女性の方、どうぞ。 ○参加者5  食の安全・監視市民委員会の伊藤と申します。まず初めに、今日はせっかく大臣がい らっしゃるので申し上げたいんですが、このリスクコミュニケーションのことなんです が、勿論承知のとおりで、食品安全基本法第9条に基づいて行われていると思うんです が、ここで出された意見が本当に施策に反映させるということをお約束していただきた いと思います。  これまで、いろいろリスクコミュニケーションをやられておりますけれども、どうも 形にだけに終わっているという感じを私はしております。  それから、米国産牛肉について、私はアメリカへ行ったこともないし、現場を見たこ ともないし、先ほどいろいろと農水省の方と厚労省の方が、こういうふうにアメリカは やっているというふうに言われたんですが、一般消費者にとっては、それは信じるより 仕方ないと、文字情報等で情報を得るより仕方ないわけで、本当にそうなのかというこ とを深い疑いの念で見ているんではないかと思っています。  その中の1つで、アメリカではBSEが1頭しか発生してないというけれども、本当 にそうなのかなと。実は検査が不十分なのか、それとも口悪く言えば公表してない、隠 しているのではないかというようなことも考えております。  先ほどBSEの危険性については、アメリカの国民にとっても、日本の国民にとって も、差別があってはならないということを発言された方がいらっしゃいますが、まさに そのとおりだと思っています。  その次に、勿論同じものを日本の国民の中で、輸入牛を食べる人、国産牛を食べる 人、そこに差別があってはらないのは当然で、少なくとも国産並みの安全管理が輸入牛 にも必要ではないかと思います。国産並みの安全管理と言えば、全頭検査の話もあり、 詳しくは言えませんが、危険部位の完全除去とか、ピッシングは先ほどの説明では、日 本の方がちょっと劣っているなと思ったんですが、日本はピッシングを禁止していただ きたい。それから、飼料の完全管理、トレーサビリティーの実施、これらが輸入品も国 産と同等に行われているのが当然のことだと思います。  最後に、今、私どもは輸入の牛肉を半分以上食べているわけなんですが、輸入なの か、国産なのかという区別が付いておりません。生鮮については区別は付きますが、例 えば、お店で食べる外食産業のものとか、加工されたものは全然わからないんです。い ろいろ対策は立てられるとしましても、やはり安心できないという消費者もいらっしゃ るやに思います。そういう場合は、やはりそこには消費者の選択をさせていただきたい と思います。ということは、表示について検討される前に輸入云々ということは言って いただきたくないと思っております。  以上です。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  たくさんの御意見が出ました。それでは、順番にお答えしていきたいと思っておりま す。あと先ほど原さんの方から、それぞれ海外の方、あるいは外食の方にお話があった ので、もしその後私の方からお答えしたときに、更にそれに対しての外食の方や海外の 方からの御意見があればお聞きしたいと思っております。  まず最初に、日本向けを特別視しないで、アメリカの消費者や世界のために考えるべ きだということがございました。むしろそこはOIEなりWHOのルールの問題がある かと思いますが、そういうことについて、中川局長の方からお願いします。  そして、中川局長にもう一つ、外食の表示の話があったと思います。それも併せてお 答え願いたいと思います。 ○中川消費・安全局長  それでは、私の方から2点お答え申し上げます。  まず、国際的なルールというのはどうなっているかということでございますけれど も、これはWTOのいろいろな条約がありますけれども、そのうちのSPSというもの がまず基本的にありまして、そのSPS協定の下に、また動物の関係であればOIE、 植物の関係であればIPPC、食品であればコーデックスというふうに、3つの国際的 な基準やスタンダードというものがございます。こういった国際的なルールというの は、基本的に世界の各国が、先進国であれ、途上国であれ、基本的に守るべきものとし て、共通の基準として決められております。  したがいまして、原則的に申し上げれば、そういった国際基準が存在する場合には、 それに従うというのが基本的な考え方でございます。ただ、今、申し上げましたように 世界にはいろんな国があります。したがいまして、それぞれの国で、それぞれの社会で 受容されるために、科学的に知見に基づいて一般的な国際的な基準よりもより厳しい措 置を取っている国もあります。  そういう場合には、科学的な根拠があれば、自分の国で取っているのと同じような厳 しい措置を相手方にも要求することもまた、これは国際ルールで認められていることで ございます。  したがいまして、日本は日本の社会が受け入れられるように、科学的な根拠に基づい て取っている措置については、相手国に対しても求めることは当然認められていると思 います。  それから、このことと関連して、山浦さんの方から日本向けだけではなくてというこ とではございましたが、我々政府として国民の方々に安全で安心していただける食料を 供給するのが、まず何よりの役割でございますから、そういう意味では日本の消費者の 人たち、国民が安心していただけるものを供給するために、さまざまな条件を設定する ことが私たちの務めだと思っております。  表示の問題でございますけれども、確かに現在JAS法に基づきまして、食品の表示 は原産国をすべて書くように義務づけしておりますのが生鮮食品でございます。加工食 品については、昨年の9月から加工度の低いものについて、原料の原産地を書くように 措置を拡充いたしましたけれども、これはまだ全体を網羅するものではございません。  そこで、外食産業の方々はメニューの中の主要なものについて、原産地を書く方向 で、今、業界の自主的な取組みとしてガイドラインをつくるべく検討しておられます。 まだ、最終的なガイドラインにはなっておりませんけれども、こういった取組みに対し ましては、農林水産省の方からそれを支援するようにしていくということでございま す。できるだけ、表示、何を使っているか、どこのものを使っているかというものは、 消費者の方々のニーズがある限り、それに答えていくというのが、これからの大きな方 向だと私どもも思っております。 ○姫田消費者情報官  それでは、国内の答申の20か月齢以下云々ということがございました。それは「食品 安全委員会」の方から、今日、参考でも付いておりますから、「食品安全委員会」の方 から、どういう答申だったかということをお答え願いたいと思います。 ○西郷リスクコミュニケーション官  「食品安全委員会」でございます。今回の答申と申しますか、リスク評価につきまし て御質問がございました。  参考でお配りしている2枚紙の薄いものを見ていただければと思います。今回諮問い ただきましたのは、20か月齢以下の牛につきまして、と畜場でのBSE検査をやめた場 合、食肉のヒトへのリスクはどう変わるのかということを主として諮問をいただいたわ けでございます。  それについて、非常に長い議論があったわけでございますけれども、端的に申します と「2.評価結果の概要(結論部分の抜粋)」の「(1) と畜場におけるBSE検査対象 月齢の見直し及び検査技術に関する研究開発の推進」とございますけれども、この中で 下線が引いてあるところがございます。「食肉の汚染度は全頭検査した場合と21ケ月齢 以上検査した場合、いずれにおいても『無視できる』〜『非常に低い』と推定された」 と、「これらの結果から、検査月齢の線引きがもたらす人に対する食品健康影響(リス ク)は、非常に低いレベルの増加にとどまるものと判断される」ということでございま して、そういう場合でも、変化はあっても非常に少ないと。非常に低いレベルの増加と いう、これがリスク評価の結果だということでございます。 ○姫田消費者情報官  それでは、それを受けて今の21か月齢以上の検査ということにされていると思います が、厚生労働省の外口部長に、現在の考え方、そして現在国内対策はどうなっているか ということをお答え願えますでしょうか。 ○外口食品安全部長  ただいま「食品安全委員会」の方から説明がありましたように、5月6日にいただい た答申では、全頭検査をした場合の食肉のBSEプリオン汚染度が無視できるから非常 に低いということです。それから、21か月以上とした場合も、無視できるから非常に低 いと、定量的評価による試算でも、同様の推定が得られたというふうに結論いただいた わけでございます。  勿論、理論上はこの見直しによって、非常に低いレベルの増加というのはあり得るわ けですけれども、答申において非常に低いレベルの増加にとどまるというふうに記述さ れているわけでございます。  こういったことを受けまして、私どもとしては、現在、0月齢以上を検査するという のを、21か月齢以上にするというふうに変える省令の改正についてパブリック・コメン トの手続に入っているところでございます。  その中で、今、我々の考えているのは、予定としては8月の上旬ぐらいに省令の改正 をしていく方向で、今、準備を進めているところでございます。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  それでは、せっかく大臣が参っておりますので、例えば今アメリカやカナダの情報は 文字情報で、本当に信じられるのかということ、そしてアメリカのデータとかをしっか りと要求していって食品安全委員会に諮問していくべきだというお話がございました。  大臣の方から、これからいわゆるアメリカ・カナダに対しての、私どもの方の対応の 考え方ということをお答え願えればと思っています。 ○島村農林水産大臣  私自身、農林水産大臣を拝命しました直後に、このBSE問題が山場にぶつかってお りまして、小泉総理とブッシュ大統領とのいろんな会談の中で、あたかも小泉総理がす ぐにでも米国産の牛肉の輸入を再開するような発言をしたかに報道されたりして、食品 行政の最高責任者の私は、アメリカ側の大変な圧力を受けて、それに屈するんではない か、こんな危惧の念を持ったいろんな方から御照会がありました。国会の委員会でも、 このことについていろんなやりとりがありました。  しかし、私自身、なるほどアメリカの代表の方と何度かお会いしたことは事実であり ますが、当初はアメリカ側はアメリカの常識で日本に理解を求めた時期がありましたけ れども、我々はあくまで科学的な知見に基づいて、食の安全・安心と、消費者の安全と 安心というものを大前提に考えることを基本としているとお伝えしました。  アメリカの国の事情を我々に押し付けようとしても、それは無理ですよと。人のもの の考え方もありますけれども、私はそういうことで自分の考えを変える男ではありませ んので、今後は、我々は誠心誠意いろんな検討を進めていくけれども、それ以外の圧力 めいたお話は御遠慮願いたいとはっきり申し上げました。  それ以来、アメリカ側は極めて紳士的に私どもに圧力めいた話は一言も、少なくとも 私自身は受け取っておりません。  先般、ライス国務長官がお見えになりましたけれども、その際でも我々の説明を了と して帰っていただいたと思います。  御承知のように、日本は平成13年10月18日から全頭検査を始めております。昨年、日 本における牛海綿状脳症(BSE)対策についての中間とりまとめが示されたところで ありますが、少なくともその時点でも少なくとも350 万頭、現在では440 万頭ぐらいの 全頭検査をやっておりますが、日本以外に世界中のどこの国にも全頭検査をやっている 国はありません。  しかし、日本は緊急避難的な、皆さんの不安を取り除くということを考えて、思い切 った手段に出たわけであります。  その結果、現在440 万頭時点においても、20か月齢以下の牛に問題が一切出ていない というのは、皆さんも御高承のとおりであります。  さはさりながら、私どもは全頭検査を実施すると同時に、国内産の牛肉についてのい ろんな検査の基準を変えることについては、当然食品安全委員会にきちんと御検討いた だいて、それを了としていただく必要もありますし、皆さんの御理解は当然に得ていか なければいけない。  同時に、アメリカ産の牛肉を輸入するについても、同様に日本の国と安全性において 全く異ならないという意味合いのものを求めなければならないという立場からすれば、 やはりそれらのものにきちんとした確認が得られない段階で、何か政治的な交渉で我々 の姿勢を変えたり、あるいは譲歩するようなことがあってはならないということでやっ てきているわけです。  ただ一方で、アメリカ側からすれば、日本の国が何か意図的にこの話を引き延ばし て、非常に誠実さに欠けるという受け取り方をした議員が多かったこともまた事実であ ります。  いろんな報道や情報が私たちの耳に入りますけれども、それはそれでありまして、私 たちはあくまで日本の国の責任者として、冒頭にも申し上げたように、あくまで科学的 知見に基づいて、食の安全・安心を確認しながらこのことに当たっているという意味で ございますが、その基本姿勢を是非御理解いただきたいと思います。  私どもも、まだ1か月か2か月やってみて、何百頭かやってみて大丈夫だったという 話とはちょっと違うわけで、桁がまるっきり違います。440 万頭の牛を全部検査するの は大変なことであります。  たまたま私はついこの間のフランスへ1週間行ってまいりました。その際に、フラン スで日本人の観光客なども先を競って肉を召し上がっている姿を拝見しました。しか し、フランスの場合で言えば従前は24か月以上のものはBSEの検査をするということ だったのに、昨年の7月からEUの基準に合わせて30か月以上に変えている。そういう ことを、日本人も知らないではないと思いますが、何の抵抗もなく召し上がっている。  だから、日本はどうしてもいいということではありませんが、少なくとも世界の中で 一番厳しい検査をし、一番慎重に構え、事に当たっているのは日本であると。我々の姿 勢も是非御理解いただきたいと思うわけであります。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  続きまして、リスクコミュニケーションが形だけではないかという御意見がございま した。むしろ今日も大臣、そして西副大臣という直接の指揮官が自ら来ての皆さん方の 御意見を聞こうという姿勢でございます。  ただ、そういうこともどういうふうに施策に反映させてきたかということで、例え ば、リスクコミュニケーションの結果、いわゆる3年間の経過措置を持ったというよう な、厚生労働省の西副大臣の方から、リスクコミュニケーションをどういうふうに反映 させていくかということについてお話しいただけますでしょうか。 ○西厚生労働副大臣  先ほどから皆さんの御意見をお聞きしておりました。多くの皆さんから、このような 直接国民の皆さん、または関係者の皆さんからの御意見がどのように反映されているの か。また、今回のこの会場におけるお一人おひとりの意見を是非とも「食品安全委員会 」の審議の場に反映してほしい。こういう意見が多くの方から出されました。  実は今回のタウンミーティングを開催するに当たって、これは9会場目ということで すので、多くの皆さんからの御意見がございます。その内容すべてがすべてというのは 難しいかもしれませんけれども、事実上何十人の方、何百人の方がきっとお話しになっ ているんだろうと思いますが、できるだけ皆さん方の御意見は、私ども直接もう伺って おりますし、反映させていきたいと思います。  今回「食品安全委員会」の方で20か月齢以下の牛が検査対象から外れても、全頭検査 をやっても、結果的には余りというかほとんどリスクにおいて変わりはないという結論 をいただきました。これは、先ほど「食品安全委員会」の方からお話しがありましたけ れども、科学的根拠に基づいて、リスクを判定いたしましたが、これは言わば、まだま だ国民の皆さんにとって安全というレベルと、本当にそれだったら安心だなということ が私はまだ十分納得していただいていないという事情もございまして、そのようなこと から今回経過措置として、最長三年間にわたって全頭検査を継続していただく都道府県 に対しては、厚生労働省の方から補助をさせていただくと、こういうことに決めており まして、4月の上旬に実は各都道府県にお聞きをいたしました。その結果、全都道府県 がと畜の際の全頭検査を継続すると。こういう回答がまいっております。  そのような意味で、今回も皆さん方の御意見を十分お聞きをした上で、「食品安全委 員会」における議論に付させていただきたいと、このように思っているところでござい ます。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  そして、今、国内でやっている飼料規制、トレーサビリティー等を全部要求していく べきとか、SRMは完全に除去できていないのではないのではないかということ。そし て、残飯、血粉なんかを使っていて、アメリカの飼料規制は信用できないというような お話がありました。そういうようなことを含めて、やはり基本的な今回の諮問の考え方 について、どういうふうにするかということを、外口部長の方からお願いいたしたいと 思います。 ○外口食品安全部長  今回の諮問でございますけれども、基本的な考え方は、米国やカナダで今、行ってい る規制に我々が必要と思う上乗せの規制をしてもらって、そこから選ばれて出てくるも のの安全性が、我が国で今、流通している、皆さんが今、召し上がっているものと同 等、同等以上の安全性が確保されているかどうかということを評価しようと。これを「 食品安全委員会」にお願いしようという考え方であります。  だから、その意味では、最初に米国民の安全性とか、いろいろなお話しもありました けれども、我々がやっていることを、アメリカ国民に考えていただくことになるのかな と思うんです。必要だと思うのは、何といっても今、国内で流通している牛肉の安全性 のレベル、水準を下げるようなことは、我々はしたくないということで、こっちに合わ せてもらう。そのためには、上乗せ措置をしてもらう。それを要求していくんだという ことです。  それのためには、単に基準を決めるだけではなくて、大事なのは法令順守、コンプラ イアンスです。そういうのがちゃんと守られているか。それを国民の目でちゃんとわか るようにというようなことも含めて、では、どうすればいいかというのを今いろいろ考 えて、日本向けの特別プログラム等の中で、今、反映させようとしています。  それが本当に同等がどうかを判断するためには、これはいろんな資料が必要です。単 にSRMの除去措置だとか、入ってくる牛肉だけについてのことだけではなくて、その バックグラウンドのデータというのもいろいろ必要ですから、そういったことも資料で 付けて、それを「食品安全委員会」にお示ししようと思っています。  その中には、勿論、戸谷さんから御質問のあったGBRのデータとか、GAOのデー タだとか、ハーバードのレポートだとか、いろいろな評価データで国際的に、これはあ った方が役に立つだろうというものについては、それも関連資料として一緒に提出し て、御判断いただこうと思っています。  告発とかいろいろなことを、最近一番御質問を受けるんです。実際にそういう報道が 流れると、大変みんな不安になります。これについても、やはり丁寧に説明する、直接 説明する、あるいは説明させるようにするというのは、やはり我々の仕事だと思ってい ますので、今それをいろいろやっています。  例えば、労働組合の委員長さんが告発したりとか、BSEの検査がちゃんと検査され ないで何か隠ぺいされてしまったのではないかという報道もあったわけですけれども、 それについてもアメリカ政府の方に直接、それに対してちゃんと対応するようにとして います。  例を申し上げると、最近米国大使館のホームページにQ&Aが載っているのは御存じ でしょうか。その中に、97年に2頭の牛に対するBSE検査が正しく行われなかったと するメディアの報道について、Q&Aをつくって書いてありますけれども、農務省によ る隠ぺいを主張した人々は、あらゆる事実を入手する前にこうした主張を発表したもの であり、必要な情報を得た後では、これらの牛がBSEに感染していなかったことを納 得したと。主張した人がちゃんと納得したというところまで、これを押さえて載せてい ます。  別に私宣伝しているのではなくて、こういうことをやってくれということを我々の方 で大使館の方にお願いしています。是非、これは危ないのではないかなというのが、ま たいろいろあったら我々の方に言ってください。我々の方としてもできるだけそういう ことについては、不安を取り除くための正確な事実の確認と公表に努めたいと思ってい ます。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  それでは、月齢の判別方法、あるいはマチュリティーについて十分納得できないとい うような御意見がございましたので、中川局長の方からお願いできますでしょうか。 ○中川消費・安全局長  月齢の判別方法は、書面によって確認する場合と牛の枝肉の成熟度でもって判別する 場合の2つの方法を今、検討しておりますけれども、後者の方の成熟度でもって月齢を 判別する。これは昨年10月に第4回の日米の局長級の協議の際に、アメリカ側からそう いうアイデアを提示されたわけであります。昨年10月の時点では、私ども全くそういっ たものについての知見を持ち合わせておりませんでした。本当にそれでもって月齢の判 別が可能なのかどうかということについて、自信ございませんでした。ですから、この 点については特別な研究をして、そしてまた専門家の方々にきちっと検討してもらおう ということが、その時点で日米間でそういうふうにやっていこうということになったわ けでございます。  昨年11月から今年2月にかけまして3回行いまして、日本の専門家の方は、解剖学の 人ですとか、あるいは統計学、肉質の専門家の方、併せて6人に入っていただきまし た。またアメリカの方では、実際に格付の基準でありますA40だとか、50だとかとい う、そういうものについてサンプルを取って、データを示すというふうな、そういう研 究もしてもらいました。  そして、提出された3,338 のサンプル、3,338 というのは、アメリカの中で記録によ って、月齢が一定の確かさでわかるものというものを集めたわけでありますけれども、 そのサンプルを基にして検討をしていただいたわけであります。  その結果は、2月8日に報告書が出されておりますけれども、A40とA50の境目のと ころは、はっきりとした区別ができる特徴があると。腰のところの骨の突起の部分を見 れば、はっきりとわかるというふうなことが専門家の見解でございました。  サンプルでございますから、A40にした場合に、本当に21か月以上のものが入るか入 らないかというところは、全く確率として0ではございません。99%の信頼度で、当初 示されました3,338 のうちの21か月のところのサンプルというのは、二百数十あったと 思いますけれども、それで見れば1.92%程度の可能性ということでございました。  ですけれども、こういったものを使うかどうかという点からいたしますと、専門家の 方方は、アメリカの全体のBSEリスクの程度にもよるけれども、それとともに併せて 判断すべきであるというふうなことを言われました。  これを使う場合には、2つの大きな留意点がございました。和田さんからの御質問に もありましたけれども、1つはどこを見てきちっと判別するかということ検査員に周知 をさせる。検査をした記録は、きちっと残しておくということ。  もう一つ大事な点は、今回は一度3,300 余のサンプルで1つの結果が出ておりますけ れども、これについて更に追加的な検証をするか、またはフォローアップをするか。そ ういった確認の作業が大事だということでございます。  追加的検証でありますけれども、その後、アメリカ側に更に追加的なデータを提出す るよう要請をしておりました。先般、とりあえず生のデータでありますけれども、更に 追加的に439 サンプルについて提出がございました。その評価は、更に今、専門家の方 々にまた委ねております。また、アメリカ側でもとりあえずは生のサンプルでしたの で、それをレポートの形でまとめるようにということで、今、要求しておりますが、そ ういったものを併せて考えますと、更に439 サンプルが追加されたことによって、先ほ ど申し上げた信頼度というのは上がってきております。先ほどは、99%確率で1.92%と いうことでしたが、0.9 %台、1%を切る程度にまで計算上はなるわけであります。  いずれにしましても、こういった成熟度を用いて月齢を判別することの可能性につき ましては、かなりの程度で、これは確かなものだということは、日本の専門家の方々の 報告書の中に1つの結論として出されているものでございます。  あとは追加的検証として出されているものについての正式なレポート、専門家の方々 の御判断を待って、最終的には私どもで判断をしたいというふうに思っておりますが、 とりあえずの印象で申し上げれば、かなり確度の高いものだというふうに思っておりま す。 ○姫田消費者情報官  それでは、食安委に対する御意見もありますが、少々これは後に回させていただい て、もう少し会場の方から御意見を伺いたいと思います。  では、そちらの方、そしてこちらの方、そしてそちらの前の方で、スカイブルーのカ ーディガンの隣の方、そこまででちょっと1回区切らさせてください。  では、そちらの方、もっと後ろの方です。はいと言われている方です。 ○参加者6  全国消団連の神田と申します。よろしくお願いいたします。  先ほど大臣の方からお話しがございました。紳士的になったということで、そのこと がそうであれば何よりだというふうに思いますが、どうしても私たちは圧力があるので はないかというふうに思ったりいたします。日本の内部は、非常に急いでいるというこ とがございますので、もし本当にないのであれば、そんなに急がずにきっちりとやって いただきたいなというふうに思います。それが1つです。  「日本向け輸出プログラム」というところで、2点挙げられておりますけれども、こ こで20か月齢の話がありますが、非常に疑わしいことを言うようで申し訳ないんです が、例えば、アメリカとの約束で30か月齢というお話はないのでしょうかということを 確認したいと思います。30か月齢があちこちでちらほらしているということで、普通一 般的には非常にその辺は気にしているということです。外口さんの方の説明では、この プログラム以外にも、これから詰めていくというようなお話があったのかなと思います ので、この2点なのか、もっと違うような内容が入ってくるのか、その辺も教えていた だきたいと思います。  私は、今日の御説明を聞いておりまして、データとか情報の内容は、どこが責任を持 って出しているのかなということの説明をやはり加えてほしかったなというふうに思い ます。例えば、出典があるものもありますけれども、何々と言われていますといったよ うな表現もございましたので、ちょっとあいまいではやはりこういったことをやるのに 困るなというふうに思っています。  そういうことで、同等というふうに判断をするには、やはり一定の資料の信憑性とか 正しさとかということが、私たちにも伝わってこなければいけないというふうに思って おりますので、よろしくお願いいたします。  今日は、概要ということですから、非常に簡略化したものだというふうに思いますけ れども、そうはいっても本当にこういうふうなところまで調べているんだと。それで、 こういうふうに概略化して出しているんだという、その辺のところを話していただきた いと思いますし、資料の件につきましては、違反率が0.1 %という数字が出ておりまし たけれども、では、なぜ会計検査院がこんな指摘をしているのかということをもう少し 詳しく説明していただきたいと思います。  では、時間ですので以上です。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  そして、そちらの前の男性の方です。 ○参加者7  宮城県から来ました鈴木と言います。  生産者は今、大変な思いで牛の生産をしています。牛は、今、両耳にイヤリングを4 つから5つぐらい付けている非常にかわいい姿をしております。それは、トレーサビリ ティー、そしてまた全頭検査ということで、生産者もやはり消費者に安心、安全の牛肉 を食べてもらうために、そういった必死の努力をして、そして生産者、消費者、行政が 一体となって、ここまで牛肉の安全が確保されたわけです。それを引き続き緩めること なく、やはりBSEの心配が完全になくなるまで、つまり100 %そういう危険がなくな るまで、続けていただきたいというのが生産者の立場であります。  今回の問題は、極めて政治的だというふうに思いますし、今は世界に冠たるアメリカ の大統領が島村農林水産大臣ではなくて、日本の総理大臣に直接電話をしてアメリカの 牛肉を買ってくれと。これは、世界に例がないような、そういう事態。つまり、極めて 政治的な問題なんです。ですから、国民も結論先にありきで、それにもっともらしく合 わせて、さまざまな基準緩和とか、手続をとっているのではないかというふうに疑われ ないように、やはりしてほしいというふうに思います。  科学的知見の問題で言えば、いまだに肉骨粉が原因だということは100 %証明されて いないわけです。ですから、科学的知見という言葉が先ほどから非常に出てきますけれ ども、もともと食べ物というのは安全であることが当たり前だし、疑わしきものはつく らせない、流通させない、食べさせないというのが基本なんだと思うんです。予防の原 則なんだというふうに思います。  今後とも、そういう立場に立って、是非この問題を解決してほしいし、アメリカの牛 肉については合成ホルモン、抗生物質、牛の白血病、牛のエイズ、こういったものまで 指摘されているわけですから、やはりアメリカの牛肉の輸入再開を急いで、世界に冠た る厳格な基準を、ゆめゆめ緩和することなくお願いをしたいというふうに思います。 ○姫田消費者情報官  そして、そちらの前から3番目の男性の方です。 ○参加者8  町田の消費者生活センターの運営委員をやっていました佐藤と申します。  以前、日本は何もしていなかったのかどうか知りませんけれども、全頭検査をするよ うになったと。アメリカは、世界に冠たる輸出国でして、牛の数がけた外れに大きいと いう話は聞いています。なぜ、全頭検査ができないのか。全頭検査は、経費がかかって やり切れないとアメリカが考えているとしたら、安全を犠牲にして、そういうことを言 っているのかということになりますし、抜き打ち検査であるならば漏れが当然生じます というわけで、経済面です。  なぜ、そこを詰め切れていないのか。全頭検査にまで持っていくことが詰め切れてい ないのか。そこは、もう少し議論してもらわないとよくないと思います。日本はそれだ け経費を使ってやっているわけですから、少なくとも日本に対する輸出物に関しては、 そのぐらいやって当然であろうというふうに思います。  以上です。 ○姫田消費者情報官  ありがとうございました。  それでは、まず一言で答えていただければと思いますが、アメリカからの圧力がある と思うと。大分急いでいるような気がするというようなお話しがございました。大臣の 方から、そういうことがあるのかということと、御決意をお願いいたします。 ○島村農林水産大臣  先ほども申し上げたことですが、こういうことに圧力をかけること自体が非常識なこ とでありまして、私は国会での答弁でもきちっと申しているところですが、そういうこ とには一切耳を貸さない人間であります。これは、日本の国民の安全、安心を確保し、 将来に向かっての、言わば我々に対する信頼も確保しなければいけないことであります から、当然の責任として、これらについてどんな圧力があっても屈しない。たまたま小 泉総理に直接電話を入れて云々というお話がありましたが、小泉総理もこの点だけは、 申し合わせたように頑固な人で、一切耳を貸しません。  先般ライス国務長官が見えたときにも、もう少しうまい対応があってもいいのではな いかと外務省の陰口が聞こえたぐらい、頑固にきちっと我々はあくまで科学的にこれら を検討した上でと、こういうことをはっきり申しているところでありますから、是非御 理解をいただきたいと思います。逆光で皆さんのお顔が見えないのが残念ですが、私自 身こうして皆さんの前の明るいところに座っていても、何らやましい、恥ずかしいこと はございません。  ついでに申し上げますけれども、委員会等で野党の方から食品安全委員会の委員の関 係者には、もう辞めるんだ、辞意を表明しているんだ云々というようなお話がいろいろ ります。私は逆に聞き返したところなんですけれども、いろいろ難しい問題を一生懸命 御検討いただいている方ですから、住所も電話もわかるんですから、私たちだって御礼 の一言も申し上げたいし、意思の疎通を図りたいという気持ちはあります。ただ、それ をやったのでは、逆にいろんな誤解を受ける元になりますので、一切いたしておりませ ん。これはやるべきことではない。ですから、野党の人も本来そうあるべきだと思うん ですが、何か密かに先生方に、そういうようなことの情報を得ようとする動きをしてお られる。どちらが正しいかは皆さんの御判断に任せますが、私どもはやはりそういうこ とをやると、恣意的に何かそれこそ我々が今度は圧力をかけたような誤解を受けますの で、そういうことはいたしておりません。しかし、それも私たちなりにいろんな意味で きちんと我々の説明をすれば、食品安全委員会の委員の先生方にも御理解がいただける のではないかと、そう考えているわけであります。  いずれにいたしましても、もうせっかくここまでやったんだから、もっと十分時間を かけてとおっしゃる気持ちはわかりますし、できれば全頭検査を続けてほしい、このお 気持ちもわかりますが、やはり世界中どこの国でもその国の国民の言わば衛生と言いま しょうか、安全と言いましょうか、そういうことに最善の努力をしていることは、当然 事実でありまして、そういう国々の中で、日本の国だけが抜きんに出で全頭検査を今ま でやってきたという努力、これは大変なものであったと言えますし、同時に世界中にこ のことを要求するということ自体が世界では受け入れられない事実であるということも ついでに申し上げたいと思います。 ○姫田消費者情報官  そして、次は20か月齢で今、諮問をしようとしているけれども、30か月齢という数字 がちらちらとする、そういうことは上げることはないのかということがございました が、西副大臣の方から一言お願いできますでしょうか。 ○西厚生労働副大臣  先ほどお話しがありました、あくまでも私どもは日本の国内と同等の安全の基準とし ています。そのような意味で、どこの国が30か月齢というような話は聞こえてきますけ れども、日本の国内措置について、21カ月齢以上の牛について検査するということの 「食品安全委員会」の評価をいただいたわけですから、それ以上緩和するということ は、今はあり得ません。そのことははっきりと申し上げておきたいと思います。 ○姫田消費者情報官  外口部長からもお願いします。 ○外口食品安全部長  少し補足させていただきますけれども、皆さん御存じのように、アメリカと日本でB SEの管理対策というのは、相当認識のギャップがあります。どこが一番違うかという と、大きく2つあるんです。  1つは、BSEの検査に対する考え方が全く違うと。最初のスライドで説明したよう に、日本ではサーベイランスの意味もあるけれども、スクリーニングの意味もある。す なわち、検査には食品安全上の意義があると。それは、日本の考え方です。これは、今 も前も恐らくこれからも変わらないでしょう。  アメリカの考えは、BSEの検査というのは、これはサーベイランス以上の意味はな いと。それは、1つは検出限界という問題もあるでしょうし、もう一つは、アメリカは 自分の国の汚染度がものすごく少ない。もしかすると、カナダから来た1頭だけではな いか。これがアメリカの基本的な考え方です。  日本としては、アメリカは、もう少し潜在的なリスクはあるのではないかなという考 え方でいましたから、そこでまず全然意見が違ったわけです。  こういったことで、相当認識のギャップが違う中でずっと議論を闘わせてきて、勿論 その中には各論で言えば、日本では21か月、23か月は絶対BSEだというのを、向こう は、それは第三者が証明していないという立場ですから、そこも随分意見が違ったんで すけれども、そういったやりとりをする中で、日本の国内対策では、これは日本がちょ うど諮問した後でしたので、局長級協議のときには、日本としては21か月以上の検査と いうのは、意味あるものと考えているんだから、これは併せてくれなければ困るという のを、かなり強く主張して、それで今の諮問案にもつながっているわけです。ただ、ア メリカは30も主張していましたけれども、我々がずっと主張して、これでなければ絶対 にだめと。それは科学的根拠があるということを訴え続けて、今に至っているわけで す。  ここのところは、私どもも譲れない一線でありますので、ここは頑張っていきたいと 思います。勿論、それを証明するだけの科学的な根拠を示しながら、説明していこうと 思っているわけであります。  同じように、全月齢のSRMの除去というのも、我々は必要だというのを向こうにず っと説明して、それも向こう側がこれは日本に合わせるしかないという形で、これから お示しするような諮問案に至っているわけです。  ということで、これからもずっと議論が続くと思いますけれども、私どもとしては、 やはり科学に基づいてやるんだと。日本では、プロセスとして「食品安全委員会」とい う中立公正な機関で、リスク評価をするという手順があり、これが絶対に必要なんだと いうことを向こうに理解してもらっています。かなり議論したんですけれども、絶対に 必要だということでやっていますので、これからもこの方針でいきたいと思っていま す。  という意味で、私が今日ちょっとどうしても言いたかったのは、秋の日米協議で何か を約束したのではないかとか、あれがいけないんだという意見を随分いただいておりま すけれども、私から言わせれば、それは全くの勘違いだと思いますので、そこは是非御 理解いただきたいと思います。あのときに、科学的な知見に基づいて決めていくんだ と。これは貿易問題ではないんだ、国際基準に基づいてやる話ではないんだ、科学に基 づいてやるんだと。「食品安全委員会」が承認するという、日本のプロセスを経てやる んだということをあそこで納得させたからこそ、今に至っているわけであると思います ので、日本の食品安全を守る仕組みというもの、「食品安全委員会」を尊重して科学に 基づいてやるという仕組みを維持するために、我々としては、あの協議で国民の皆様に 恥じないことをやってきたものだと思っております。 ○姫田消費者情報官  それでは、意見交換をしていただいている途中でございますが、ここで島村大臣と西 副大臣は、公務のため退席いたします。退席に当たり、大臣から一言お礼を申し上げま す。 ○島村農林水産大臣  本日は、国会の状況等もございまして、十分な時間とはいかずに残念でございまし た。しかし、皆様の生のお声を伺う機会を得ましたことを大変有意義に、また感謝して いる次第であります。  これから、また公務に戻らなければいけないわけでございますが、先ほどこういう意 見を言うだけ言わせて、そのままにするのではないかというようなお話がございました けれども、そういうことをしてたら、かえって信用を失うことになります。我々が、努 めていろんな地域でこういうことをしてきたのも、やはり皆さんの御意見を生かした い、そして皆さんのいろんな御意見を伺って参考にしたい、そういう気持ちでいたした ことでありますので、是非、前向きにとらえていただきたいと思います。  また、はじめの方の御意見で、日本の牛も買ってもらうのは当然ではないかという御 意見がありました。これは誠に当然でございまして、日本の国は先ほど申したように、 もう440 万頭も検査をしているわけであります。これほど念入りな検査というのは、ほ かにはないわけでありまして、ここまでやった結果については、十分尊重すべきと考え ます。日米の牛肉を比較しますと、日本の場合には、アメリカに対し直近で1999年まで の輸出実績しかないのですが、その時点で輸出は14.5トン。ところが、アメリカの日本 向けはなんと24万トンですから、もうこれは全然比較にならない数字ではありますが、 しかし、それぞれの輸出入については、対等の立場で臨んでもらうことが、当然のこと でありますので、我々はこのことをきちんとアメリカ側にもお話しをしているところで あります。何ら卑屈な姿勢で、協議をいたしておりませんので、是非御理解をしていた だき、また信頼をしていただきたいと思います。  それでは、次の公務に向かわせていただきますので、これで失礼を申し上げます。本 日は、ありがとうございます。(拍手) ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  それでは、意見交換会を続けてまいります。  先ほど、1つは肉骨粉が原因として証明されているのかということでございますの で、一色次長よろしいでしょうか。肉骨粉説について、安全委員会の方で回答をよろし くお願いします。 ○一色食品安全委員会事務局次長  「食品安全委員会」の「プリオン専門調査会」でも、原因について議論を行いまし た。そして、肉骨粉説と代用油脂のお話もありました。いろんな文献を調べたり、ヨー ロッパ、アメリカのいろんな専門家を招聘して、御意見を伺った結果、現在のところや はり肉骨粉を原因と考える方が妥当であるという、そういう見解をプリオン専門調査会 の方では、出しているところでございます。  以上でございます。 ○姫田消費者情報官  あと、なぜアメリカは全頭検査をできないのかという話は、先ほどの外口部長のお答 えに入っているかと思いますので、そのまま議論を続けたいと思います。  それでは、会場の方の皆さんから、どうぞお手をお挙げください。ちょっと私、光で 見えていないので、今そこでお一人男性の方が見えています。後ろの方の黒い上着の 今、手を挙げている女性の方。そして、こちらの方に女性の方がいらっしゃいます。と りあえず今はそのお三方で、ちょっと私よく見えていないところがありますので、周り にいる担当に次の方は、一言言ってください。とりあえず、今はそのお三方の順番で、 男性の方、そしてそちらの黒い女性の方、そしてそちらの女性の方という順番にしたい と思います。 ○参加者9  15番の野田と申します。  私ども消費者は、自分のお金で自分が安全だと思っているものを買うわけですから、 今いろいろとお話を聞きますと、一生懸命アメリカの牛肉で、こういうのなら安全だと かといろいろお話がありますが、自分で安心だと思うものを買うわけですから、いざ具 体的に輸入になっても、このような状況だと余り買わないのではないかなという気もす るくらいです。  ですから、もっともっと私ども消費者にこのように安全でございますと、こういう具 合になっておりますということを、わかりやすく説明をお願いしたいと。例えば、今日 のA40とA50と言われましても、なかなかわかりません。  もう一つお願いなのは、業者がうそ偽りを表示して売るとか、またはさっきお話しに なりましたように、外食産業でいろいろな肉をまぜて料理するとか、そういうことのな いように、そちらの方に是非注目をしていただきたいと思うんです。  私どもは、自分の目で、自分の心で買い物をしますので、余り消費者に過保護になら ないように、お前たちは自分の判断で買いたいものを買いなさいという具合にしていた だいた方がいいのではないかなと思うんです。  私どもは、今までアメリカの肉がなくても、十分健康に暮らしておりますので、特に アメリカの肉が必要というわけではございませんが、安心の肉で、それが今の肉よりも 安ければ喜んで買いたいと思っております。  もう少し、わりやすく具体的な説明をお願いいたします。  以上です。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  そうしたら、今、手を挙げている女性の方お願いいたします。 ○参加者10  東京都地域婦人団体連盟の飛田と申します。本日参加させていただきまして、今まで の経緯などを振り返りながら感じたことを述べさせていただきます。  まず1つは、行政の皆様がBSEが我が国で発生してから、一生懸命リスク管理、リ スク評価等に励まれてきたと信頼してまいりましたのですが、圧力がかかり始めると急 にUターン現象に近いような、ふらつき現象が起こってまいりました。これは、否定さ れておられますけれども、大勢の人たちはそのような認識を持っていると思います。や はり、うるさく何度でも必要に迫るところに対する配慮というのは、人間の常として注 意を払わざるを得ないということで、どうも仕方がないのかもしれませんが、その辺の ことは、やはりしっかりお伝えしておくべきだと思いました。  今日お伺いしております中で、例えば、15ページで「歩行困難な牛の食用禁止」とい う施策がございます。これは当然なことでありまして、我が国のBSEの検査の中で も、歩行困難の症状を呈していなくてもBSE牛があるわけです。  これは、もう自明の理のことでございますが、かつてアメリカの2002年度の指摘でご ざいましたけれども、農務省の監察官が指摘されていて、危険牛の76%は未検査であっ た。神経障害の兆候が表れている76%は検査を受けていなかったという話もございま す。  これから多少変わってくるんでしょうけれども、非常にアバウトなずさんなやり方が 飼料規制から、いろいろなところで見受けられるわけで、それをどのように我が国が望 んでいる形にしていただくかということは、私たちは十分監視しなければならないと思 っています。  表示につきましては、アメリカ牛の使用に関しては、しっかりと表示をしていただか なければなりませんし、国産牛でありましても未検査のものについては、未検査表示を 是非していただきたいと思っております。  私も家庭の主婦でございますが、一般の消費者はアバウトなアメリカのやり方、強引 なやり方に辟易しております。アメリカは、いい面もたくさん持っている国ですから、 批判しなくないですけれども、この件に関しましては、大変押し付けがましさと、いい 加減さが目立っております。  SRM自体も、まだほかにもあるぞということが指摘されてきております。我が国の 死亡牛の検査でも、いろいろなことがわかってまいりました。そういう意味では、SR M自体もこれは国際的な研究が必要でございますし、死亡牛の検査をしっかりやってい ない、アメリカ、カナダなどの場合には、全く不十分と言わざるを得ないと思っており ます。  その辺のところは、やはり申し上げておくべきだと思いますので、行政の皆様方も、 先ほど島村大臣は非常にいいことをおっしゃってくださいました。そのお言葉が、その まま実行されますよう祈っております。アメリカの皆様には、誠にいろいろなものを提 供していだたいて、私どもも助かっておりますけれども、やはり安全ということは、替 え難いものでございます。  日本人は、クロイツフェルト・ヤコブ病に弱い遺伝子を持っておりまして、お気の毒 にほんの短期間ヨーロッパに行った方が発病されて、既に亡くなってしまいました。安 易に輸入を再開しますと、これから第二、第三の犠牲者が出てくる可能性は多分にござ いますので、日本人の命を守るということを、どうぞお忘れなく。そして、国際的にも やはり人命は大事であるということ、BSEはこれから研究がもっとされなければなら ないということを、是非認識していただきいと思います。  データもいろいろ出されているようですが、先ほどのA40に関しましても、私も最後 のところを傍聴いたしましたが、非常に何か急いで集めた資料のようにお見受けいたし ました。それは、私どもの見方と視点は違うかもしれませんが、とにかく間に合わせ て、そろえて、このままで納得させようではないかという姿勢がありありとうかがえる 内容でしたので、やはり消費者の目から見たことを一言申し添えさせていただきます。 行政の皆さんは、是非頑張ってください。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございます。  そうしたら、そちらの女性の方お願いいたします。 ○参加者11  レストランで勤めておりまして、また家庭の主婦でもあります石橋と申します。  私は、家庭で調理しております場合、アメリカの牛につきましては、今のところ大変 主婦の間でも警戒心が高まってるのは感じます。  そして、レストランで勤める者としては、お客様が警戒するようなものは、お出しし ても恐らく売れないのではないかという、大変な懸念を持っておりまして、もしアメリ カの方が、アメリカ側の基準で日本に提供されたお肉でありましても、消費者の皆様が 受入れる、スーパーで買いたくなるような肉でなかった場合、大量なロスが出るのでは ないかと懸念しておりますので、それがメニューにできるかどうかということは、また 別の問題だと思います。  私が懸念しておりますことのほかに、日本の銘柄や表示の書き方について、日本で肥 育地が一番長かったところを最終的な生産地として書くように、一応基準とはなってお りますようですが、今のところは全頭検査するようになっておりますけれども、万一も し20か月以下を検査しなくなった場合、アメリカで8月育てて、日本で9か月肥育した 場合、日本の産地が書かれてしまうようなことになりますと、消費者の方がどのように とられるのではないかと、ちょっとそこのところも心配になります。  そのほかに、もしスーパーなどで切り分けたり、もしくはスライサーなどを使ったり する場合、お店ごとによると思いますが、まないた、包丁、スライサー、ビニール手 袋、加工する場合の調理エプロンなどにつきましても、果たして国産牛、オーストラリ ア牛、アメリカ牛と分けられるかというと、そういうものでもなと思いますし、どのよ うなことになるのか、そちらの方も伺いたいと思います。  肥育期間を短くとりますと、その分アメリカ牛であってもオーストラリア牛のような 赤身の肉に近くなると思いますので、無理やり脂肪を短期間に付けるために、科学薬 品、ホルモン剤などが大量に投与されるおそれがないのかどうか。そちらの方も主婦と して気になりますので、お調べ願えればと思います。  ありがとうございました。 ○姫田消費者情報官  それでは、1つはもっとわかりやすくしっかりと説明しろという御議論がありまし た。  あと、表示のことで、よくうそ偽りの表示があっては困るということで、いわゆる業 界への指導とか、あるいは表示の適正化のためにどういうことを具体的にやっているか ということ。  あと、未検査表示をしてほしいというようなこととかがありましたので、中川局長の 方からお願いします。 ○中川消費・安全局長  それでは、私の方から何点かの御質問にお答えを申し上げます。  まず最初の私のA40と言ったことを例に引かれて、わかりやすく説明をしてほしい と。おっしゃるとおりでございます。若干、時間のこともありましたので、はしょって しまいましたけれども、リスクコミュニケーションの基本というのは、やはりわかりや すく、かつ正確な情報をまずは提供して、それに基づいて意見交換をしていくというの は、もうおっしゃるとおりでございますから、私の方としても、常にこれ以降またよく 心して、その方向で努力をしたいと思います。私の先ほどの説明が不十分であった点に ついては、おわびを申し上げたいと思います。  2点目で、表示の件でございますけれども、消費・安全局はJAS法に基づきます品 質表示についても所掌いたしております。  東京だけではなくて、全国の都道府県に約二千名の農林水産省の職員がおりますけれ ども、表示の適正化のための日々のチェック、問題があった場合には確認をし、ルール 違反があれば、それについて業者の方に指示をし、また指名を公表する。更に、それに 従わない場合には命令をし、更に命令にも従わない場合には、命令違反ということで最 終的には刑罰をかけると、そういう仕組みになっておりますけれども、まずは適正に表 示がされているかという点について、常日ごろからチェックをしているところでござい ます。  これは、消費者の方々が品物を選ばれる場合に、一番の手かがりになるのは、やはり 表示ですから、表示が正しくないと正しい情報に基づいて判断がされないという意味で は、一番の基本的なことだという私どもは思っております。適正な表示が確保されるよ うにということでは、これからもなお一層努力をしたいと。行政サイドでのチェックと ともに、やはり関係業界の方の意識をきちっとしていただくということが大事でありま すから、この点についての啓発も含めて努力をしたいというふうに思っております。  BSEの検査に関連をして、検査をしている場合としていない場合、特にしていない 場合の未検査ということの表示をすべきではないかという御意見がございました。  これは、今回の国内措置の見直しは、BSEの検査を20か月以下のところに義務づけ なくても、リスクの点では大きな変化はないということで切り替えるわけでございま す。ですから、当面は最大限3か年間の経過措置は取りますけれども、リスクの点から 見ると、20か月以下の牛について、BSEテストをしているかしていないかということ は、リスクの点からは差がないということで、私どもは理解をしております。  そうだといたしますと、検査をしているというふうなことを書くことについては、御 自由でありますけれども、検査をしていないということを書かせる、義務として課すと いうことについては、必然性がないと私どもは判断をいたしております。したがって、 検査をしていない場合に義務として、それを書かせるべきだというのは、こういった規 制の必要性からすると、正当性がないということでございます。  表示との関係ですけれども、若齢牛で輸入をして、そして日本で肥育をした場合、国 産になるのではないかということでありますけれども、今ここで御説明もしております のは、アメリカからの既に肉になったもの、または内臓、そういったものの輸入であり まして、生きた牛はどんな年齢であれ、今回輸入の条件について協議をしているわけで はありません。したがって、遠い将来は別として、当面生きている牛をアメリカ、ある いはカナダから入れるといったことは、およそ念頭にはございませんし、また条件につ いて協議をしていることもございません。  先ほども外口部長からお話がありましたが、こういったBSEの問題についてアメリ カと協議をする我々行政サイドの姿勢を疑問視されるお声を随分いただきました。  私も一昨年12月24日にアメリカでBSE発生の情報が入りまして以降、もう1年半こ のポストにおりまして、ずっと担当をしてまいりましたけれども、最初から安全確保の ために日本と同じ措置をアメリカに要求するという基本的な姿勢は、一切そこを揺るが せにしてやってきたつもりはございません。  消費・安全局というのは、本当に新しい組織でございます。消費者の信頼を確保して いく、更にまた高めていくということが最大の私どもの役割だというふうに思っており まして、それを心に抱いて、この間仕事をしてきたつもりでございます。そういう点で は、少なくとも妥協をしてきたという意識は毛頭ありませんし、最初の姿勢を貫いてき たということは、皆様の前で私は胸を張って言えるというふうに思っております。  この点だけは、申し上げさせていただきます。 ○姫田消費者情報官  あと、ホルモン投与の話がありました。ホルモン投与をすると、むしろどんどんとリ ーンになって、赤身肉になっていって、大きくはなるとかもしれませんけれども、熟度 は上がらないということでございますが、ホルモン投与について外口部長から何かいた だけますでしょうか。 ○外口食品安全部長  アメリカで牛を育てるときに、ホルモンを使っているというのは事実でございます。 これについては、ホルモンに対する害がどの程度かというのは、きっちり科学的に評価 をして、私どもの方ではコーデックスの基準に基づいて、それを超えたものがないかど うかをチェックしております。それ以内であれば、これは問題ありませんので、それは いいと。ただ、それを超えるようなものは認めないと。そういう立場でございます。 ○姫田消費者情報官  それでは、意見交換を続けてまいりたいと思います。  そのほかの方いかがですか。そうしたら、そちらの女性の方、白いシャツの男性の 方、真ん中の列の今、手を挙げておられるグレーの上着の男性の方、そちらの男性の方 です。とりあえず、その4人の方にお願いしたいと思います。 ○参加者12  千葉県の市川市消費者の会の武荒と申します。  BSE撲滅の研究は、どのぐらい進んでいるのでしょうか。ウイルスの免疫性の対策 をもっと早くやっていただきたいと思っております。牛が発病した、と殺した、焼却し たでは、十年一日のごとくいつまでこんな悲しい知らせが続くのでしょうと。本当に本 当に思っております。  天然痘は地球上に存在しなくなったというWTOの発表は、現在ではBSEもそのよ うな発表をしていただきたいものだと思っております。前世紀に自分の子どもを使って まで免疫を研究をしたジェンナーの話、これは小学校ころ教科書で学んだんですけれど も、子ども心に感動しました。  また、得体の知れない病気に取り組んで命を落とした野口英世博士の話のように、こ んな熱心な研究者の出現を期待しております。常に頭の半分をかすめる、ただいまです とBSEの不安ですけれども、食品への不安をいつもいつも思うことでございます。早 く安全な食生活、リスクのない生活を期待いたしております。  終わりです。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございました。  そうしたら、次はそちらの男性の方です。 ○参加者13  イチタケと申します。初歩的な質問をします。BSE検査方法は、どこで確立され、 牛のどの部位を検査するものなのか。この検査の方法をもっとスピーディーに簡単にで きるように開発がなされているのかどうか。それをお聞きしたいです。  以上です。 ○姫田消費者情報官  ありがとうございます。  そうすると、次は後ろの方のグレーの方です。 ○参加者14  食肉関連で働いています菊子と申します。  昨年、私はグアムの方にちょっと行ってきたんですが、ホテル関係の方に、日本から たくさんの観光客が見えているが、米国産牛肉のBSEの状況はどうですかという質問 をしたんですけれども、皆さん気にしないでたくさん米国産牛肉をどんどん日本の観光 客の方は食べられていると。全くコンプレインはありませんという話を昨年聞きまし た。  先月は台湾にちょっと行ってきたんですが、米国産牛肉を国際基準で解禁しました と。いろいろ聞いてみますと、一般の消費者、外食産業の方は非常においしい牛肉がや っと食べられるということで、皆さん喜んでおられました。特に何か安全に対する懸念 とかありますかということを聞いたんですけれども、そういうことは聞かれませんでし た。  御存じのように、アメリカにはたくさんの日本人が活躍していますし、生活をして、 米国産牛肉を現実に食べていると思います。全頭検査をしていないヨーロッパの国々、 例えばフランス、ドイツ人もきっとワインと一緒にステーキを楽しんでいると思いま す。  日本においても、いろんな牛肉をたくさん食べたいという方と、一方では控えたいと いう方がいるのは、これは当然だと思います。そういう場合に、いろんな国民の方々 に、いろんな選択権を是非政府の方、行政の方は与えていただいて、いろんな選択を国 民ができて、豊かな食文化を築けるような形にしていただきたいと。勿論、その場合に は、安全ということが絶対な条件になると思います。  以上でございます。 ○姫田消費者情報官  どうもありがとうございます。  そうしたら、そちらの男性の方です。こちらのブロックの方です。 ○参加者15  吉野家のディー・アンド・シーに勤めています多賀谷と申します。今日は一日どうも お疲れ様でございます。  先ほどから、私ども外食が非常に危ない、危険だというような発言がたくさんござい ましたけれども、私ども外食は安全がまず第一でございます。もし、安全問題で何か起 こした場合には、会社が倒産し、我々生活している人間が路頭に迷うことになります。 そういう面では、安全が第一ということは、皆さんの消費者一般の方々、スーパーで働 かれている皆さん一緒でございます。そういう面では、是非誤解のないようにお願いし たいと思います。  先ほど皆さんの御意見をお伺いした中で、検査にも限界がある。一方で、SRMを除 去しても、全部取り切れないのではないかと、そのような意見が両方ございました。こ れをやるということは、検査をしてもだめ、SRMを除去してもだめ、牛肉を食べるな ということは、牛肉は安全ではない、危険だということにならないのではないだろう か。  ところが、先ほどからありましたように、大臣もおっしゃっていましたフランスでも そう、アメリカでもそう、日本でも現在そうですけれども、牛肉はそれなりの対策さえ 立てれば、安全で何も問題ない肉であるということは十分わかっていると思います。  そういう面で、私ども外食といたしましても、国際的な考え方で、まずSRMの除去 が大事であると。そういう面で、このたびアメリカとの中でSRMを全頭から取るんだ という形で決めていただいていることは非常に評価したいと思います。  もう一つ、先ほどから国民の食べる権利ということがございましたけれども、弊社と しましても、2月11日に牛丼が1日だけ復活いたしました。これはアメリカの牛肉を使 って行ったものでございます。皆さん御存じだと思いますけれども、150 万食出してい て、150 万の方が皆さん喜んで食べていただきました。  ですから、食べない、食べたくないという方もいれば、是非食べたいという方もい る。そういう中で、やはり今回の20か月齢以下で、かつSRMの除去というのは、国際 的にはまだかなり厳しいものではございますけれども、まず第一歩として、是非早急に 解禁をしていただきたいと。そのように考えております。  以上です。 ○姫田消費者情報官  ありがとうございました。  それでは、まず1つは、BSEを撲滅するための研究は進んでいるのかということが ございました。あと、実際に肉骨粉の焼却とか、そういう撲滅に対してやっております ので、中川局長のから実際にやっている撲滅に対する対策のことをお願いします。  今、おっしゃったように、検査方法と併せて、まず厚労省の外口部長の方からお願い いたします。 ○外口食品安全部長  最初にイチタケさんから検査法についての質問がございました。今、検査していると ころは、牛の首のところです。脳の下の延髄の部分、ここをと畜したときに、そこを一 部取ってきて、異常プリオンタンパクがあるかどうかを調べています。それを簡易検査 法、その日のうちに判断できる方法でまずやって、それだと陽性のものも、一部そうで はないものも幅広く引っかかりますので、そこで引っかかりますと、次に確認検査で す。もっと精密な検査をして調べております。簡単な検査の方は、それぞれのと畜場の ところでやりまして、確認検査は東京の感染症研究所とか、幾つかの限られた施設で細 かく分析をすることにしています。検査法についても、今いろいろな研究が進んでおり ます。ただ、今、日本が行っている検査法は、感度、精度ともに一番いいレベルのもの だと思っております。勿論、それがもっとよくなれば、それは改めてよく検証して、い いものであれば、取り込むという考えです。  武荒さんからご質問いただきましたけれども、撲滅の研究、治療法の研究もBSEと かvCJDだけではなくて、プリオン病全体について、例えばクロイツフェルト・ヤコ ブ病というと、BSEからくるだけではなくて、普通の自然発生的な100 万人に1人か かるような、似たようなプリオン病もありますので、それも含めて神経病理の専門家、 神経内科の専門家はいろいろ治療法の開発等を今、取り組んでおります。残念ながら、 まだ決定的なものは見つかっていないのですけれども、診断法とか治療法とか、どうや ったら予防できるかとか、そういったことについて、今いろいろ研究が進んでおります ので、是非いい結果が近いうちに出ればいいと思うんですけれども、今はまだ研究途上 でございます。 ○姫田消費者情報官  では、中川局長の方から撲滅の取組みについてお願いします。 ○中川消費・安全局長  BSE、牛の病気でありますけれども、この撲滅のための対策ということですが、一 旦BSEにかかってしまった牛を治療することはできませんので、牛から牛にBSEが 広がることをどう防ぐかというのが撲滅のための対策になります。  先ほどから説明の中にもありましたけれども、BSEに感染するのは牛が肉骨粉など の中にある異常プリオンを食べる、そういうことを介して牛が感染をするとなります と、牛から牛に感染する経路を断ち切るというのは、やはりえさのところの飼料の管理 をきちっとして、牛が食べるえさの中に、そういったリスクがあるもの、異常プリオン が含まれる可能性があるものをきちっと排除していくということが、まず何よりも大切 なことでございます。そのためには、BSEの検査をして、感染しているものが見つか ったものはもとよりでありますけれども、それ以外の通常のと畜場で処理をされるもの の残渣、これをレンダリング処理というふうなことを言いますけれども、化製処理をし て、最後に牛由来のタンパク質の含まれるようなものが残るわけですが、これを完全に 焼却をして、破棄すると。このことを徹底をしているわけであります。  日本では、平成13年9月に1頭目のBSEが発見をされましたけれども、それから約 一か月後から、法律に基づく措置ということで、えさの対策を強化してきております。 御案内の方もあるかと思いますけれども、平成13年10月にえさの規制を強化した以降 も、13年10月と14年1月に生まれた牛が、非常に若い段階でBSEということで確認を されておりますけれども、それ以外の牛は今日ただいままでで18頭が日本ではBSEの 感染ということが確認をされておりますが、このうちの16頭はみんな平成13年10月より もうちょっと以前に生まれた牛であります。  ですから、これからもまだBSEの感染牛というのが出るかもしれませんけれども、 それが13年10月よりも以前であれば、残念ながらえさの規制がまだ緩やかだった、不十 分だったときに何らかの原因で感染をしたということでありますので、現在のBSEの 対策が不十分だということではありません。  また、今回更にどこかに漏れがないかということで、平成13年10月以降に2頭確かに そういった牛が出たということも踏まえて、更に一層の点検をして、これから追加的な 措置をしようと思っております。  13年10月以前に生まれた牛が日本の中にどれだけいるかということなんですが、現在 日本では450 万頭の牛がおりますけれども、まだ13年10月以前の牛が110 万か120 万頭 おります。ですから、こういった牛がすべてなくなり、更にしばらく様子を見なければ いけませんけれども、BSEの感染牛が確認されなければ、大体日本の国内からはきれ いになったのかなという判断が将来できると思いますけれども、それが自信を持ってで きるように、これから更にBSEの対策は努力をしていきたいというふうに思います。 ○姫田消費者情報官  今BSEの撲滅の話をいたしました。武荒さんから検査に限界があって、SRMの除 去にも限界があったら、安全と言えないではないかというようなお話がございました。 むしろ、そこについてはリスクの考え方とか、セーフティーネットの考えかたら、外口 部長からもう一度基本的な姿勢について、お話し願えますでしょうか。 ○外口食品安全部長  まずSRM除去が完全にできるかどうかというと、できません。検査は完全ですか と。これも検出限界があります。もう一つ言えば、飼料規制は完全ですかと言うと、完 全ではありません。  食品は、科学に対する考え方自体がそうかもしれませんけれども、絶対安全とか、安 全にネガティブだというのは、これは物理的に証明できないんです。では、どうするか というと、できるだけそれに近いものに近づけていこうと。無視できるとか、そういっ たレベル、リスクのゼロは証明できないけれども、健康に影響のないレベルに幾つかの 手段を組み合わせて持っていくと。それはできるわけです。それを検証していき、もっ といい手段を考えて、組み合わせていくと。そういうこともできるわけですので、今B SE対策でやっていることは、まさにそれだと思っています。  だから、いい方法があれば、次々組み合わせて、今までやっていた方法でもちょっと 考え方に間違えがあれば、それは適宜見直していくということを組み合わせて、是非皆 さん方に安全で安心なものを召し上がっていただけるようにしたいと思います。そのた めには、やはり我々としても、そのプロセスをできるだけ皆様方に詳しく説明していく というのが、先ほど御質問にもありましたけれども、我々の義務ではないかと思ってい ます。 ○姫田消費者情報官  リスクをいかに効率的に低くとしていくかということ、そういうものを重ね合わせ て、リスクを下げていくということであって、リスクをゼロにできることというのは、 残念ながらないということでございます。  それでは、時間も過ぎておりますので、これで最後にしたいと思います。どうぞ、ま だ意見が残っておりましたらお手を挙げていただいて、手を挙げたままにしてくださ い。では、そちらの男性の方、たしかその辺でマイクを持たれていらっしゃる方、で は、そちらの男性の方、女性の方、そして後ろに2人いらっしゃいますね。ほかにまだ 当たっていないという方はいらっしゃいますか。よろしゅうございますでしょうか。見 えていないので、大丈夫ですね。  ちょっと済みません。私見えていないので、右の列であちらの方と、そちらの方で す。よろしゅうございますでしょうか。そして、そちらの方、そちらの男性の方、それ で終わりにしたいと思います。  では、どうぞお願いします。 ○参加者16  地方自治体で食肉検査をしています半澤と申します。  アメリカのSRMの除去、これについてちょっと危惧を実際に感じています。日本の 場合、脊髄吸引をしてから背割りをしておりますが、アメリカの場合は脊髄吸引をしな いで背割りをしてから脊髄を取っているということで、背割りをした段階では脊髄が入 っていますので、かなり飛散をしまして、食肉を汚染すると。これは、確かにさっき御 説明がありましたとおり、高圧洗浄をしますと10分の1ぐらいに脊髄組織の汚染度が低 くなりますが、完全に取り切れるというわけではありません。ですから、かなり薄くな るけれども、飛散した状況で汚染度は広がるのではないかというふうに危惧を持ってお ります。  あと、機械回収のシステムの強化のところで、アメリカでは20か月齢の牛の場合、脊 柱の場合もAMRを使えるというふうに伺いましたので、ここにただしということで、 脊髄神経根とかの混入は禁止と書いてありますけれども、実際にちょっと難しいのでは ないかなと思います。ですから、是非お願いしたいのは、実際に脊髄の汚染濃度を簡易 検査キットで、脊髄の肉の方をどのぐらい汚染するかというのを測定するキットがあり ますので、それでアメリカの実際の現場に行って、濃度を測定して、それも科学的デー タに加えていただいて「食品安全委員会」の方で検討していただきたいと思っていま す。  以上です。 ○姫田消費者情報官  ありがとうございました。  そして、そちらの男性続いて2人です。 ○参加者17  日本フードサービス協会の中井と申します。外食産業の立場から一言申し上げたいと 思います。  大分時間がかかりましたけれども、ようやく米国産牛肉の輸入再開の道筋が立ってき たことは、大いに評価をしたいと思います。適正な価格で、なおかつ安全でおいしい牛 肉を食べたいというふうに考えている日本国民はたくさんいると思います。皆さん同じ 気持ちではないかと思います。  しかし、今回輸入再開に当たって、20か月という線引きの条件を付けたということに ついては、これはOIE等の世界的な常識から見ると、極めて非常識ではないかという ふうに思っております。  かつて島村農林大臣は、全頭検査は世界の非常識というふうな発言をされたように記 憶をしておりますけれども、一刻も早く次のステップとしては、30か月齢で線引きをす るというふうに、移行していただきたいというふうに切に望みたいと思います。  以上です。 ○姫田消費者情報官  ありがとうございます。  そのお隣の方だと思います。 ○参加者18  千葉県からまいりました木野村と申します。  ちょっとピントが外れるんですけれども、先ほど大臣が国内への規制について検討中 というようなお話しがございましたけれども、私ども消費者としましては、マスコミ情 報しか普段は持っていないものですから、それが正しいとするならば、例の3年間の猶 予期間、あれは単なる妥協ではないかと。ですから、もし「食品安全委員会」その他が おやりになっているもので、統計的に科学的知見に基づいて差がないとおっしゃるのな らば、これはちょっと問題なのではないかなと。  先ほど外口さんがおっしゃったように、科学というものには絶対はありません。した がって、科学的知見においても、これは常に進歩しているものですから、そういった面 では問題はあるかもしれませんけれども、何かその辺に今日は非常に専門的なお話をい ろいろお聞かせいただいたんですけれども、何かすっきりしないというような気持ちを 持っております。  ですから、国内の政策制度をこれからごらんいただくという中に、3年間云々と言う ことがございましたけれども、その辺について、どうもあいまい性があるというふうに 考えられてしようがないんですけれども、国民の税金で使うわけですから、一つ是非そ の点はよろしくお願いしたいと思います。  以上です。 ○姫田消費者情報官  差がないなら、3年間の経過措置というのは要らないのではないかということです か。 ○参加者18  そこまで言っていいかどうかわかりませんけれども、やはりそういうことです。 ○姫田消費者情報官  わかりました。  そして、たしかあちらの女性の方です。 ○参加者19  家庭栄養研究会の蓮尾と申します。  ちょっと情報の提供の仕方でお願いしたんですけれども、私たち消費者というか市民 にとっての情報源というのは、文字情報で新聞記事から得る情報が大変多いものですか ら、さまざまな告発記事というものに、非常に不安感に駆られている人たちが多いので はないかと思います。  先ほどの何人かの方々から出されていますけれども、例えば感染牛の秘匿、隠ぺいみ たいなものが会員で証言をされたというような問題を外口部長の方から米国大使館のQ &Aで、そういうものは開示しているので見たらよろしいのではないかというふうに私 は受けとめたられたんですけれども、これからはできるだけ、例えばそういった新聞情 報等に責任を持って、米国の政府に問い合わせをされていらっしゃるということがわか って、今日は大変安心したんですけれども、そういう意味で得られた情報は、米国大使 館のホームページを見ればいいということだけではなくて、書いた新聞社、あるいは記 者にコミュニケーションを取って、きちんと返していただきたいなというふうに思いま す。そういうことでないと、ただ不安に駆られたままで、今日ここに来ている人には納 得がいった情報の提供の仕方でも、多くの国民には伝わらないのではないかと思います ので、是非そうしていただきたいということです。  もう一つは、これも新聞記事で拝見したことでちょっと恐縮なんですけれども、今日 は米国とカナダの両国セットで、これから「食品安全委員会」に諮問をなさるというこ となんですけれども、その新聞記事によりますと、米国のデータ不足を、カナダの場合 は非常に個体識別から、検査の段階でもかなりそういったシステムがきちっとされつつ あるので、そういったデータをすりかえる形で使おうということでのセットではないか というような記事が書かれていました。5月22日からOIEの総会が多分開かれるので はないかと思いますけれども、そこにも北米とカナダ、メキシコが一緒になって国際基 準の緩和について提案をしていくという記事が同時に載っておりましたので、そういっ たことがないように是非お答えいただけるようでしたら、お願いしたいと思います。 ○姫田消費者情報官  ありがとうございます。  そうしたら、たしかこちらの男性です。先ほど言っていませんでしたけれども、そち らの男性手が挙っているので、そこまでにさせていただきたいと思います。その隣の方 です。 ○参加者20  婦人民主クラブ再建女性団体ですが、麓と申します。  これまでの御説明で、日本が全頭検査をこれまでしてきたことに自信を持って、その 前に日本に来た牛肉は、この間BSEの牛が発見されたけれども、それは全頭検査前だ ったからという話もありました。  それで、全頭検査について、あるいはそれ以上の万全、これから科学的な解明を要求 するということは、マスコミの世論調査なんかでも、これまで80%以上の国民が、非常 にそれ以上科学的解明を望むということで、これを承認し、また期待してきている現状 だと思います。  それを今、緩和策を答申されたことで、今日は議論しているわけですけれども、やは り日本は国際的基準を超えても、すばらしいそういう対策を持ったということに、誇り を持って、これを更に科学的にも前進させていくということが、やはり、例えばアメリ カはアメリカの立場があるから、今の緩和策以上要求できないと、今そちらの方でも何 度もおっしゃいました。  しかし、輸出するならば、アメリカは世界の各国に対して責任を持って、それぞれの 国の国民の要求、消費者の要求に応えるということが、輸出するものの義務ではないで しょうか。  そういうことで、属国扱いにされているみたいな、みんなが情けない気持ちを持たな いためにも、日本はこれこれの全頭検査、もう万全、安全だという状況ではなければ、 輸入はしませんということで進むことはできると思います。それが全世界の消費者に対 しても、安全を守るという本当にすばらしい、これは歴史に残ることだと思います。  吉野家さんが本当に早くというお気持ちもわかるし、だけれども、それをやり切った ところで、安全な牛肉が入ったら、吉野家さんもうんと繁盛するのではないか、本当の 繁盛が得られると思います。 ○姫田消費者情報官  そして、最後にそちらの男性の方、お願いいたします。 ○参加者21  安全科学研の保延と申します。  私は、2月の会議、それからOIEのコメントを出す際にもずっと出てきました。私 自身、機械系のプロダクトセーフティーをずっとやってきました。科学のリスクコミュ ニケーション、PRTRとか、そして生体の関係。コーデックスの遺伝子組換えのとき にもずっと出ていましたけれども、アメリカはトレーサビリティーについては何だと。 フランスから質問があったときに、わからないような状況でした。  今回の生産記録の2月の会議のときも、どのような状況で検査が行われているかとい う報告が全くございませんでした。生産履歴のあるものだけ特別に検査をすれば、どの ような検査が行われるか皆さんよくわかっていると思います。注目して検査すれば、必 ずしっかりした結果が出ます。  アメリカの検査官の組合の方が何と言っているか。アメリカの牧場に見に行かれたそ うです。その検査官にお会いになりましたか。組合の長たる人にお会いになりました か。やるべきことをやって、統計が本当に信頼できるのか。どういう状況で検査された 統計か。それがわからなくて、数字の上だけで見てもだめです。  私は品質管理をやってきて、石川馨先生もそういうものではだめだと言われていまし た。「いろは」のいです。しっかりしたことで、やっていただきい。私は、リスクコミ ュニケーションをやってきましたから、100 %の安全ということは一切申し上げませ ん。ですけれども、検査がどういう検査で、特別の検査をやって、それで3,000 何種を ちゃんとでしたよと。それがはっきりわからなくて、どうして統計学的に大丈夫なんだ ということが言えるのでしょうか。基の基がだめだったら、絶対にだめです。結論あり きではいけないと思います。  ですから、その状況がどうだったのか。アメリカに行った、牧場を見た方々がどうや ったか、日本でも外食産業の立派なところは、ちゃんとアメリカの特定の牧場からとっ て、そこへはしょっちゅう行ってチェックしていますね。だから、そういう外食産業の ところは、本当に安心です。力を入れて、しっかり自分の買うものは、どういう状況で 生産されているかということを把握して、そして、それを輸入して、使っている外食産 業の方、そういう人には私どもは頭が下がります。ステーキなんかでです。 ○姫田消費者情報官  時間も来ておりますので、そろそろまとめに入っていただけますでしょうか。 ○参加者21  そういうことで、そういう形のちゃんとした状況で把握されたデータを基に「食品安 全委員会」もやっているのかどうか。データがわからなくて勝手にやっているんではだ めです。それをお伺いしたいと思います。アメリカに行って、どういうような状況を調 べてきたのか、検査官の組合の委員長には聞いたのかどうか。 ○姫田消費者情報官  まず1つは、いろいろな告発段階については、先ほど外口部長からお話があったとお りでございます。  まず1つ目に、脊髄の吸引の件と、AMRの件について、ほとんど外口部長にずっと なってしまっているんですけれども、とりあえずまずその2点についてお願いいたしま す。 ○外口食品安全部長  脊髄吸引についてのお尋ねがありました。日本では、背割りの前に脊髄吸引を使って います。アメリカではやっていません。ただ、両方ともその後でもっと丁寧に取り除い て、洗浄ということもやっているんですけれども、日本の脊髄吸引が100 %すぽっと取 れるか。取れればこれが実は一番いいんですけれども、完全に取れないんです。やはり 少し残ります。  ということで、日本の場合も背割りをした後で、手作業も含めて、丁寧に取って洗浄 するという作業で、できるだけ安全な方に持っていくということをやっております。  アメリカの方は、吸引ではなくて切ってからですけれども、それで丁寧にミーリング カッターで取って、確認をするということをやっています。  どちらがどっちかというと、確かに比較するだけのデータというのは、まだペーパー になってないと思いますけれども、御質問にあったような中枢神経細胞を染める組織を 使う検査を使って比較するということは、1つの方法だと思っています。  それから、先端的機械回収肉、AMR、これが心配だという御意見でしたけれども、 これは今回の輸入牛肉再開の問題について、最初から対象外としています。これは、我 々もよくまだ安全性を確認するだけの方法が考えられておりませんので、これは最初か ら対象とすることから外しています。 ○姫田消費者情報官  あと、OIEのルールからすると、20か月齢ではなくて30か月齢以上にするべきでは ないかという話がありました。  それともう一つ、逆に3年間の経過期間は不透明だというお話があったんですけれど も、2つまとめてお答えをいただけますでしょうか。 ○外口食品安全部長  国際ルールでは30か月以上だから、20か月の条件は非常識ではないかという御意見で した。多数決で言えば、多分30か月の国の方が多いかもしれませんけれども、我が国は やはり今までの国内で検討した科学的知見から、検査は食品安全上有意義であると。そ れから、20か月以上はやる意味があるというのが、我々の考えです。  だから、20か月の条件は非常識ということは、厚生労働省としては同意できません。  それから、3年間の経過措置、これについてもかなり多くの議論をしました。それ で、科学的にはこうですよと、安全性はこうですよというような議論をして、これをわ かっていただいても、でも自分としては今すぐ切り替えるのは困るという意見も随分い ただきました。  それは、流通関係の方からも随分いただきました。自分としては、これで納得はいっ た、だけども商品として売れないかもしれないものを仕入れるわけにはいかないと。こ ういったことも含めると、やはり今の状況で経過措置なしで、いきなり制度を変えるこ とはかなり混乱を起こすというふうに我々は思いました。  それから、もう一つ言えば県によって、自分たちはもう国が20で線を引いても続ける んだというふうにもう早くから決めたところがありますけれども、御存じのように牛の 生産と消費は1つの地域、県内で完結しているわけではないんです。消費地と生産地は 複雑に入り組んでいますので、一部の地域でそういうことをやり、一部の地域でやらな いということになると、これも理屈の上ではわかっていても、当初相当混乱するんでは ないかと思いますので、そういったことを混乱しないようにするために、やはり一定期 間の経過措置が必要だと考えましたので、そのような最長3年間の経過措置の補助とい うものを決めたわけであります。 ○姫田消費者情報官  それから「食品安全委員会」の方からお答え願いたいんですが、アメリカとカナダと のリスク評価を一緒にしてしまうのではないかということがあったかと思うんですがお 答え願います。 ○西郷リスクコミュニケーション官  まだ、そういったリスク評価の依頼がないので、何とも申し上げられないんですけれ ども、多分評価を行う専門家の先生方は、評価に必要なデータは、アメリカだろうが、 カナダだろうが、次々と求められると思いますので、それに沿って粛々対応したいと存 じております。もし評価の依頼があればそのように進んでいくんだと思います。  だから、どこかのデータでデータのない部分を覆い隠すとかという話は、まずないの ではないかと思っております。 ○姫田消費者情報官  それでは、時間も大分過ぎてまいりました。  まず1つは、いわゆる告発案件なんかがあったら、きちっとまたマスコミなんかにし っかりと情報提供をして、またマスコミから国民に流してほしいということもありまし た。  そういうことも含めまして、中川局長の方からお願いいたします。 ○中川消費・安全局長  その前に1つ最後の御質問で、今回の月齢判別のところで、それが格付けその他、ブ ラインドネスとか、ランダムネスと言うんでしょうか。何か検査をするときに、そのサ ンプルがまず無作為にちゃんと選ばれているかどうか。  それから、実際に格付けをする人が何か特別のことをやらさせているという意識を持 ってはいけないわけで、普通にやっているときの結果が、後から調べてみると、それが そのとおり一定の基準で調べられたかどうかという、その辺のところが大事だという御 質問だと思います。まさにおっしゃるとおりでございます。  アメリカから提出されました、この三千数百のサンプル、決して数は多くないと私も 思いますけれども、それ自体は結局生産記録で月齢がはっきりわかるのが、余り多く集 まらないという中で月齢がわかるもの。  それから、また実際の格付けをする人には一切知らせないでやったもの、その結果と 月齢がわかっているものとを突き合わせて、そして始めて1つのサンプルになるとい う、そういう手順は報告書の中にそういうやり方は書いてありますけれども、できるだ け尊重したというのがアメリカの今回の結論でございます。  勿論、統計の専門家の方々から見たときに、100 %のブラインドネスがあったとはあ れされていません。そこのところはまだ問題があるということで、それもあって、1つ は追加的検証、あるいはフォローアップということは必ずやる必要があるということを 指摘されていてるわけでありまして、それは私どもも、先ほどもちょっと追加的なデー タが出たということは申し上げましたけれども、更にきちっとした説明ができるように 努力していくつもりでございます。  全般的に、いろいろアメリカから報道される事柄について、日本の消費者の方々が心 配をするものが幾つもございます。それについて、私どももそのたびにアメリカ政府に はこの事実関係の確認。それから、場合によっては現地に行った際にそのことを確認す るといった努力はいたしているつもりでございます。  残念ながら、そういうことが指摘されたという報道はされますけれども、その後のこ とについては、なかなか現に報道はされていないわけでありますけれども、その報道さ れるか否かは別として、私ども行政とすれば、きちっとした確認の責任は努めていかな ければいけないと思っております。不十分な点は、これからまた改めて努力したいと思 います。 ○姫田消費者情報官  それでは、大分時間も経ってまいりました。これで本日の意見交換を終わりたいと思 っておりますが、まず最後に本日の意見交換を受けて、外口部長と中川局長から一言ず つお礼を込めてごあいさついたしたいと思います。 ○外口食品安全部長  時間も大分超過いたしましたけれども、最後まで本当にいろいろ御意見をいただきま してありがとうございました。  私から強調したいことは2つあります。1つは、リスクコミュニケーション、これで 終わりではないです。これからもずっとBSEの問題、科学も進歩してまいりますし、 我々としてもできるだけの対策を講じていきたいと思っております。  また、いろいろな機会に皆様方から御意見をお聞きし、また意見交換をしていこうと 思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それから、何か言い足りなかったとか、顔を見ているとそういう感じも随分ありまし たので、それは是非御遠慮なくアンケート用紙が入っていると思いますので、アンケー ト用紙の欄に関係なく、もう裏でも何でもいいですから、言いたいことをみんな書いて ください。我々の方でよく勉強させていただきます。  ありがとうございました。 ○姫田消費者情報官  それでは、中川局長、お願いいたします。 ○中川消費・安全局長  長時間本当にありがとうございました。外口部長の今のお礼を兼ねたごあいさつに、 特に付け加えることもございませんけれども、こういったリスク分析手法にのっとった 1つのプロセスとしてのリスクコミュニケーション、我々もまだ十分慣れていない部分 もございます。これからも、是非こういったものを回を重ねながら、消費者の方々、あ るいは流通関係の方々、さまざまなそれぞれの分野におられる方々の意見を、できるだ け政策に反映するというのがこの会の趣旨でありますので、そういった本来のねらいが きちっと機能するように努力したいと思っております。  これからもまた引き続きよろしくお願いいたします。今日は、本当にありがとうござ いました。(拍手) ○姫田消費者情報官  それでは、以上をもちまして「平成17年度タウンミーティング 食品に関するリスク コミュニケーション(米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見交換会(東京都)) 」を閉会いたします。長時間にわたりましてありがとうございました。  お帰りの際に、アンケートを回収いたしますので、先ほども外口部長からもお話あり ましたように、しっかりとお書きになってお帰りください。  どうもありがとうございました。                                     (了)