05/05/17 平成17年5月13日〜20日(全国9カ所)「食品に関するリスクコミュ ニケーション(米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見交換会)            食品に関するリスクコミュニケーション         (米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見交換会)            (平成17年5月17日(火)仙台会場)              厚生労働省医薬食品局食品安全部                   1.開会 ◎司会(広瀬・企画情報課長補佐)  本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。  ただいまから、「食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉等のリスク管 理措置に関する意見交換会)」を開催いたします。  本日、説明の後に休憩の時間を設ける予定でございますが、3時間にわたる長い会に なりますので、休憩の必要な方は、周りの方の御迷惑にならないように退出いただきま して、適宜、休憩をおとりいただければと思います。                    2.挨拶 ◎司会  本日は、厚生労働省と農林水産省の共催でございます。両省を代表いたしまして、厚 生労働省の松本・大臣官房参事官から御挨拶申し上げます。 ◎松本参事官  皆さん、こんにちは。ただいま御紹介いただきました厚生労働省大臣官房参事官の松 本義幸であります。  本日の意見交換会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。このタ イトルにありますように、米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見交換会の開催に 当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。  平成13年の9月に我が国で第1頭のBSEが出まして、その一月後からと畜場にお きます全頭検査、またSRMの除去、飼料の規制をやってきましたけども、ほぼ3年た ったところで、我が国のBSE対策につきまして、食品安全委員会が検証、評価を行 い、昨年の9月に「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について中間取りまとめ 」をまとめ、同日、厚生労働省、農林水産省の方に通知されました。  それを受けまして、厚生労働省と農林水産省は国内対策の見直しについて意見交換会 を行いますとともに、昨年の10月15日に食品安全委員会にリスク評価を依頼したと ころであります。食品安全委員会では、見直し案につきまして科学的な観点から慎重に 評価していただきまして、この5月6日に評価結果を通知いただいたところでありま す。  国内対策の見直しに関します意見交換会の中で、国内対策見直しに対する意見とあわ せまして米国産牛肉等の輸入問題についての意見も多く寄せられ、輸入再開に当たりま しては改めて食品安全委員会に評価をいただくということを説明してまいりました。  厚生労働省、農林水産省は、このたび米国産及びカナダ産牛肉等の輸入再開に当たり まして具体的な検討を行うということにしておりますが、輸入条件の決定、実施に当た りまして、食品安全委員会にリスク評価を依頼することとしております。  本日は、これに先立ちまして消費者を初めとした関係者の方々と十分な意見交換を行 い、その検討の参考にさせていただきたいと思いますので、忌憚のない御意見あるいは 疑問等ありましたらお寄せいただければと思います。  限られた時間でありますけども、実りある意見交換会としたいと思いますので、どう ぞよろしくお願いいたします。 ◎司会  続きまして、本日の目的について説明いたします。  この意見交換会はリスクコミュニケーションの一環として実施するものでございま す。皆様への配付資料の中に、「意見交換会に参加いただいた皆様へ」という1枚紙が ございます。本日の意見交換会の目的は、この場で何かを合意して決めるということで はありませんで、米国やカナダのBSE対策について関係者間でまず情報を共有すると いうこと。それから、いろいろな立場の方と意見交換を行うことでこの問題についての 認識を深めることを目的としておりますので、よろしお願いいたします。  次に、出席者を御紹介いたします。  まず、募集により大変多数の方に御参加いただいております。本日は、広く御意見を いただくため出席者を公募させていただき、125名の応募をいただいております。当初 予定しておりました人数の範囲内ですので、応募いただいた方全員に参加いただいてお ります。  出席者の御紹介につきましては、お手元の資料の中に出席者名簿というものを入れさ せていただいておりますので、それでかえさせていただければと思います。御了承くだ さい。  なお、資料作成の後に応募のありました方につきましては、名前を掲載できなかった 点、お詫び申し上げます。  それでは、議事に先立ちまして、資料の確認をお願いいたします。  お手元に、まず「議事次第」というものがございます。議事次第の後ろに「座席表」 がありまして、その後が、今御紹介させていただきました参加者の名簿、資料1になり ます。それから、「米国、カナダにおけるBSE対策」。ちょっと分厚いものでござい ますが、これが資料2になります。資料2の7ページ目に差し替えが発生いたしました ので、大変恐縮ですが、7ページ目の差し替えというのを1枚紙で入れております。そ れから、その資料2の参考資料ということで、2枚程度を綴じた紙が入っております。 それから、肩に「参考1」「参考2」と入っている資料がございます。これは食品安全 委員会における食品健康影響評価の資料でございます。参考1の方が概要で2枚紙程度 になっておりますが、参考2は少し厚いものになっております。  それから、意見交換会に参会いただいた皆様へ先ほど御紹介させていただいたもの と、「食の安全・安心トピックス」という1枚紙が入っております。さらに、ちょっと 小さなもので、場合によっては出したときに封筒の底に残ってしまうかもしれません が、「食生活指針について」という四角い小さなものが入っております。  最後になりますが、アンケートというのを入れさせていただいております。今後の意 見交換会の運営の参考にさせていただきたいと思いますので、大変恐縮ですが、お帰り の際に御記入いただき、提出いただけますよう、お願いいたします。  ただいまの資料等につきまして不足等ございましたら、事務局もしくは受付の方まで お申し出ください。  続きまして、本日の進行について説明いたします。本日は米国産牛肉等のリスク管理 措置に関する意見交換会でございます。まず、意見交換に先立ちまして、厚生労働省、 農林水産省から「米国、カナダにおけるBSE対策(我が国とのBSE対策の比較)」 として、現在の米国等における現状や輸入再開に当たっての考え方というものを1時間 程度、説明いたします。その後、会場の模様がえの都合などもございまして、10分程 度、休憩をとり、その後、意見交換に入りたいと思います。会場の都合上、4時には終 了したいと思いますので、よろしお願いいたします。                   3.議事 ◎司会  それでは、議事の方に入りますが、初めに農林水産省の濱本飼料安全管理官から飼料 規制のところまで御説明いただいて、途中、と畜場のところから厚生労働省の松本参事 官から説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。   (1)牛海綿状脳症(BSE)に関する米国産牛肉等のリスク管理措置について ◎濱本・飼料安全管理官  農林水産省の消費・安全局の濱本でございます。よろしくお願いします。本日は、お 忙しい中、御参集いただき、どうもありがとうございます。  去る5月6日、BSEの国内対策の見直しについて、食品安全委員会から厚生労働省 と農林水産省の諮問に対して答申が出されました。答申では、と畜場でのBSE検査対 象月齢を現行の全頭検査から21カ月齢以上とした場合であっても、人に対するリスクは 非常に低いレベルにとどまるとしております。この答申を受けて、今後、国内の関連規 定を改正することといたしております。  一方、この答申を受けまして厚生労働省と農林水産省は、米国及びカナダ産牛肉の輸 入再開について今後、食品安全委員会に諮問することといたしております。米国、カナ ダ産牛肉の輸入再開については、我が国と同等の安全性が確保されるということが基本 的な考え方となっております。  諮問の内容は、米国及びカナダ産牛肉について、新たな国内措置と同等の措置。具体 的には、BSE検査は行わないが、20カ月齢以下の牛由来の牛肉であって、その牛から SRMはしっかり除去するという条件で輸入を再開すると。こうした場合、これらの牛 肉と国産牛肉とのBSEリスクについて伺うということとしております。  本日は、その諮問に先立ちまして、米国、カナダ産牛肉のBSE対策について日本と の違いを含めて情報提供をして、その後、御意見を交換したいと考えておりますので、 よろしくお願いします。  (OHP使用)このスライドになるわけなのですけれども、本日の説明、ちょっと長 時間にわたるわけですが、まずは米国とカナダの肉牛産業の概要ということについて説 明したいと思っております。  使用されている牛の頭数。もちろん日本と米国などは大分違っておるわけですけれど も、そういった点について説明していきたいと。それから2点目といたしまして、BS E対策について、その経緯を説明したいと思っております。(1)にございますように、 BSEプリオンを国内に持ち込ませないための輸入禁措置であるとか、(2)にあります ような、国内での循環をとめるための飼料規制。それから(3)にありますように、BS Eをいち早く発見いたしまして、あるいはBSE感染牛がどのくらい国内にいるかとい ったことを把握するためのサーベイランスといったことについて御紹介したいと思って おります。  それから、3点目といたしまして、こういったことに関するBSE対策の現状という ことについて御説明したいと思っております。4点目といたしまして、こういった現状 のもとで、輸入再開に当たって私どもがどのように考えているかということを紹介させ ていただきたいと思っております。具体的には、20カ月齢以下でSRMを除去した牛の 肉の輸入再開に関して、こういった牛肉と国産牛肉のBSEリスクの同等性について食 品安全委員会に諮問したいと考えておりますが、その際、月齢の確認はどのようにして 行うのかということですね。それから、SRMの除去はどのようにして徹底するのかと いうことについて説明したいと思っております。  まず、米国、カナダにおける肉牛産業の概要について御説明したいと思います。  これは、米国、カナダの牛の飼養頭数ということになります。3つの円グラフが出て おります。米国とカナダと日本とございますが、この円の大きさは飼養頭数の規模の違 いというものを表しておるわけでございます。日本は約400万頭ですね。カナダは1,500 万頭程度、米国が9,400万ということで、米国は我が国の大体20倍ぐらいの差があると いうことになろうかと思います。  飼養頭数の内訳なのですけれども、アメリカをごらんいただくといいかと思うのです けれども、6,400万頭が専ら牛肉を生産するために飼養されている。肉用牛ということ ですね。ちょっと鼻息を入れていますけれども、これがいわゆるアメリカで中心になる 肉牛であるヘレフォード種ということですね。それから、後ろの方に白黒の牛がおりま すけれども、ホルスタインの雄。こういったものが肉用牛として飼育されているという ことでございます。  このほかに、子供を生産する母牛ですね。それから母牛の予備軍とか、と畜を待って いる肥育牛。こういうヘレフォードとかといった牛がいるわけですけれども、こういっ たものが含まれています。米国では、この飼養頭数の約7割、青の部分ですが、これが 肉用牛ということになります。  一方、日本の方をごらんいただきますと、肉用牛は飼養頭数の約半分ということにな っておりまして、大分、米国と違っているというふうになります。  それから、酪農家が牛乳を生産している搾乳牛とその予備軍というのが、乳を搾って いる絵がありますけれども、これが米国で1,300万頭ぐらいいるということになります。 飼養頭数でいえば米国の15%ということになっておりますが、日本の場合はそこの部分 が非常に大きい。約4割程度が乳用牛ということになっております。ここは大きな違い ということになります。  残りの1,700万頭。これはいわゆる子牛に該当するものです。これらはいわゆる子牛 肉として生産される部分が中心ということになりますが、そのほか、肉用牛や乳用牛に なるために待機している牛というものも含まれているという状況でございます。  カナダにつきましても、基本的には米国と同じ構造ということになっています。ちょ っと子牛の量が多いのですけれども、これは米国とカナダの子牛の定義が違っておりま して、基本的には構造は一緒というふうに御理解いただいていいかと思います。  次に、と畜頭数をごらんいただいておるわけなのですけれども、と畜頭数の総計は米 国が3,350万頭ということになっておりまして、日本の130万頭に比べて約25倍という 形。カナダは430万頭で、日本の約3倍というふうになっております。  内訳を見ますと、米国では専ら牛肉生産に向けられる牛が大変多く、去勢牛ですね。 それから未経産牛。これは肉用にするために交配を行わない雌牛ということになります が、約1,100万頭ぐらいいるということになります。  これらを生産するための肉用繁殖牛、いわゆる母牛ということになりますが、これら の役目を終えたものが繁殖牛として出てくるということになります。これが約300万頭 です。こういったものを含めますと、と畜頭数の約9割が肉用牛として出てくるという ことになります。日本に輸出されていた牛肉もこういったものから出てくるということ になります。  カナダにおきましては、と畜頭数は米国に比べて少なくなっておりますが、その構成 は肉用牛が大半であるということで、米国と似ているということになっております。  なお、ここのところは、カナダの統計の都合上、これとこれとを足して0.5という形 になっております。  それから、一番下の欄、連邦検査施設という欄がございますけれども、連邦政府の認 可を受けたと畜場が米国には825施設、カナダは29施設ございまして、このほか州政府 が認可するというと畜場もございますけれども、と畜頭数のほとんどは連邦政府の認可 を受けたと畜場でと畜されたものが出てくるということです。  また、産業構造としては、米国ではパッカ−と呼ばれる、いわゆる食肉会社でござい ますけれども、このうち上位4社がと畜頭数の約8割を占めるということになっており まして、上位5社の29工場でと畜頭数の約9割と、寡占状態になっているということが 知られております。  次に、米国とカナダの肉用牛の飼育状況でございます。日本ではほとんどの牛が、生 まれてからと畜されるまで畜舎の中で、屋根の下でといいますか、飼われておりまし て、米国やカナダとは大分違っているということになります。ここに米国とカナダの肉 用牛の一般的な飼養形態を示しております。一般的に、発育段階に沿って3段階に大き く分けることができるかと思います。  まず繁殖農家です。これは肉牛を生産する農家ですね。これが子牛ということになり ますけれども、広大な放牧地で自然交配をして、妊娠した雌牛が自然分娩で子牛を生む と。生まれた子牛は、離乳するまで約6カ月間ぐらい、放牧地で放牧されて育てるとい うことになります。日本の肉用牛ですと、例えば黒毛和種などですとほとんどが畜舎の 中で生まれて畜舎の中で育ちますけれども、米国、カナダでは、放牧して、そこで生ま れてくるというのが主体になるわけです。ここで6カ月ぐらい飼いまして、離乳した牛 が、同じ農家である場合もあるのですけれども、育成農家に移動してはぐくまれるとい うことになります。  この育成農家では6カ月から8カ月間ぐらい育てられまして、この段階で多くは、こ の写真にありますように、やはり放牧地で育てられます。ただし、次の段階のフィード ロットの方の要望等がありまして、ここでの育成期間を短くするという目的で穀物等の えさを給餌するというような場合もあるようでございます。日本の育成農家では畜舎で 飼養されておりますので、そういう面ではやはり違っているということになります。  このようにして育てられた牛が、最後、この肥育農家に参るわけです。肥育農家では 3カ月から4カ月間、飼育されまして、と畜に向けていわゆる仕上げという形の飼育形 態になります。フィードロットという名前がついておりますけれども、この飼い方は穀 物を主体とした飼料を与えるということで、肉質を向上させて付加価値をつけていくと いう段階でございます。  この3段階を経まして、大体、アメリカ、カナダの牛は、15から17カ月程度でと畜さ れて牛肉生産に回されるという形になります。  これは米国、カナダの肉用牛のライフサイクルを示したものですが、どのような段階 でと畜されているか等、日本と比較してみた図です。  まず、左端のところをごらんいただきたいのですけれども、乳用種、肉用種とござい ます。上が米国、カナダでございますね。下が日本ということになります。米国は基本 的には乳用種が少なくて、もしくは乳用種でも、一部分は子牛の段階で出荷されてしま うということも多いということでございます。  それから、ごらんいただいたらわかるように、大半を肉用種が占めておるのですけれ ども、肉用種は基本的には牧草とか補助飼料とかといったもので育てられているという 形になりまして、最後の段階で濃厚飼料や粗飼料というものが給与されるということに なります。  それに比べまして日本は、全体的に乳用牛の比率、いわゆるホルスタイン。白黒の牛 ですね。それから、ここに交雑種というのも入っております。黒毛和種とホルスタイン の合いの子とかといったことですが、そういったものが4割強ぐらいおりまして、その ほかにいわゆる和牛とかといった肉用牛が飼われておるわけですね。いずれにしても、 これらの牛は早い段階から濃厚飼料や粗飼料を給与されるという形になっておりまし て、肉用種につきましても、購入飼料であるふすまとか牧草といったもので飼育されま すが、かなり早い時期、10カ月ぐらいから濃厚飼料といったものに切り替えて育てられ ていくということでございます。  この間に出荷月齢ということになりますけれども、日本では基本的には乳用種で20か ら24カ月齢で出荷されますが、肉用牛は、そのほとんどが黒毛和種ということになるの ですが、30カ月程度ですね。この頃まで飼われて、それから出荷されると。一方、米 国、カナダでは、日本に比べると短期間で出荷されます。20カ月前後で出荷されてくる というのが大きな違いというふうになっております。  牛に給与される牧草以外の飼料について説明したいと思っております。  我が国は飼料原料の大半を海外に依存している関係から、港にある配合飼料工場で配 合飼料を製造して供給すると。農家は、もちろん単味の原料も使うのですが、基本的に は配合飼料に依存して牛を飼うということが中心になってまいります。  一方、カナダは、牛に給与される濃厚飼料は、近くにトウモロコシがあるわけですか ら、近傍から集められたトウモロコシなどの単味飼料といったものに補助飼料、ビタミ ンとかミネラルとか蛋白といったものを添加したものが給与されます。輸送コストの関 係等から、米国、カナダでこういった配合飼料が広域に流通するということはなくて、 日本と比較して補助飼料が中心に流通しているという形になってまいります。特にフィ ードロットなどでは農家自体が大規模な飼料工場を持っておりまして、自分の牛専用に 飼料を製造しているという状況でございます。  我が国は、配合飼料は配合飼料メーカーが製造し、供給しておるわけですけれども、 米国では配合飼料の供給というのは農家であったり、それから食肉事業者であったり、 協同組合であったり穀物商社であったり、もちろん配合飼料製造メーカーもいるわけで すが、さまざまな業種で飼料というのは製造されておるわけでございます。  肉骨粉はBSEの感染原因であるということが知られておりまして、我が国では肉骨 粉の牛への給与を禁止しているということになります。一方、米国、カナダでは、牛の 肉骨粉を牛に給与するということは禁止しておりますが、豚、鶏に給与するということ は、現在、認めております。  我が国ですと、肉骨粉といいますと、やはり牛、豚を混合して製造されるものが大半 であったということでございます。配合飼料工場では牛の飼料も豚の飼料も製造してお るということでございますから、交差汚染を防止するということを念頭に、肉骨粉全体 を禁止してしまうという措置がとられております。  一方、米国、カナダの方は、基本的にはレンダリング、と畜場から肉骨粉の製造に行 く段階が畜種別に構成されている部分が非常に多いということになります。したがっ て、BSEの感染源となるのは牛の方ですけれども、牛の肉骨粉が牛に入るということ が効果的に阻止できる。そういう環境が整っているという形になっております。  なお、我が国でもことしの4月1日から、配合飼料工場において牛用飼料と豚用飼料 の分離が行われまして、純粋な豚肉骨粉等が豚、鶏用の飼料として利用されるという環 境が整ってきつつあるところでございます。  次に、米国、カナダでこれまでに講じられてきましたBSE対策について、輸入禁止 措置、飼料規制、サーベイランスに分けて説明したいと思っております。  まず輸入禁止措置でございますが、BSEの病原プリオンの進入を防止すると。この ために、輸入禁止措置について、牛、牛肉、それから肉骨粉を対象として、これまでの 変遷を説明したいと思います。  ヨーロッパを中心としてBSEが確認されまして、また広範囲に広がる中で、各国と もその時々での措置を講じてきているという状況でございます。1986年に英国でBSE が確認されておりまして、それを受けてBSEの発生国からの輸入禁止措置というのが 順次とられてきておるわけでございます。  赤いところを見ていただきますと、まずカナダでは1988年、それから米国では1989年 に肉骨粉の輸入を禁止しております。日本では1996年に英国からの輸入を禁止するとい うことを行っております。  次に、牛そのもののお話でございます。青いところを見ていただくといいのですが、 米国では1989年に、肉骨粉の禁止と同時にですが、反すう動物の輸入を禁止していると いうことでございます。カナダと日本は1990年に牛の輸入を禁止しております。  次に、牛肉の方でございます。紫のところを見ていただきたいのですが、米国とカナ ダは1991年に禁止をしておりますが、日本は1996年に輸入禁止措置を講じているという 状況でございます。  これは、きょう差し替えさせていただきました資料でございます。ここの部分が変わ っておるかと思います。パブリックコメント等を検討中というような表現であったの が、これが最新バージョンということになっておりますので御確認いただきたいと思い ますが、2000年になりますと、BSEの検査技術の進歩とか、それからヨーロッパの多 くの国でBSEの発生が確認されてきたということで、これを受けまして、米国、カナ ダ、日本は輸入禁止措置を順次強化してきておるわけでございます。米国、カナダはす べての動物の肉骨粉──赤の肉骨粉のところでございますけれども、これを禁止すると いうことをやってまいりました。日本も牛の肉骨粉の輸入を禁止するということをやっ ております。  次に、米国のところをごらんいただきますと、2001年に日本でBSEの発生を受けま して、日本産牛肉の輸入を禁止すると。それから2003年には、カナダでの発生というの を受けまして、牛や牛肉の輸入をカナダから入れるということを禁止しております。た だし同年に、30カ月齢以下の骨なし牛肉の輸入を再開するという措置もあわせて行って おるところでございますね。  次に、カナダをごらんいただきますと、米国同様、2001年に日本でのBSEの発生を 受けまして、日本産牛肉の輸入を禁止するということをやっております。2003年には米 国でのBSEの発生を受けまして牛や牛肉の輸入を禁止しましたが、やはり同じように 30カ月齢以下の牛から生産された牛肉の輸入は除外されております。  なお、本年3月29日付で、30カ月未満でと畜される米国からの生体牛の輸入を解禁す る規則が施行されております。  それから、説明を飛ばしてしまったのですけれども、2005年の米国のところでござい ますけれども、カナダ産のすべての牛肉や30カ月齢以下のと畜牛の輸入禁止の措置を、 これは公布はしておるのですけれども、これにつきましては、米国内で一部反対があっ たりしまして、その施行が現在、裁判所で差しとめられているという状況のようでござ います。  次に、BSE病原プリオンの循環。牛から牛への感染を防ぐというための措置。飼料 規制の経緯ということでございます。  日本は1996年に、反すう動物由来の飼料原料を反すう動物に使用しないように行政指 導を行ったという形になっております。次いで、国内での2001年のBSEの発生を受け まして、10月より、肉骨粉を飼料に使うことを禁止するということと、牛に肉骨粉と動 物性蛋白を補給をするのを禁止すると。この2つを、この時点で法律に基づく禁止とい うことを行ったところでございます。  一方、米国、カナダは既に1997年から、法律に基づく反すう動物由来の肉骨粉等を反 すう動物に与えることを禁止する。これは豚や鶏には使っていいということになってお りますが、そういう規制を早くから行っているという状況でございます。  次に、BSEの広がり具合やBSE対策の効果を見るためのサーベイランスというも のについて説明したいと思っております。  BSE発生の報告を義務づけるということですが、1986年から米国は報告の義務づけ というのを行っております。カナダは1990年、日本は1996年からそういう報告を義務づ けております。  さらに、サーベイランスですね。報告を受けるだけではなくて積極的に調べるという 形になりますが、米国は1990年から、カナダは1992年から、日本は1996年からサーベイ ランスを開始しております。  米国におきましては、開始5年間、サーベイランスで年間、約数100頭程度が対象と なっておりましたが、2002年からは2万頭にその対象頭数を拡大しております。2003年 12月には、このサーベイランスによってBSEの牛が確認されておるわけでございま す。2004年にはさらにこのサーベイランスを強化するということで、現在までに約32万 頭の検査が行われております。これまで、そのサーベイランスの中では陽性牛は確認さ れてはおりません。  その対象といたしましては、基本的には30カ月齢以上の歩行不能の牛とか中枢神経症 状を示した牛など、BSEのリスクが高いと考えられる牛を中心に米国はサーベイラン スをやっているという状況でございます。  カナダでは、年間数1,000頭のサーベイランスをずっとやってきております。2004年 には対象を拡大して2万4,000頭程度を検査しております。2005年には対象頭数3万頭 まで拡大する計画というふうになっておるところでございます。  こういったサーベイランスの結果、これまでカナダは3頭、米国は1頭のBSE牛が 確認されておりますが、ただ、米国で確認された1頭はカナダで生まれた牛であるとい うことが確認されておるところでございます。  現在、BSE対策としてどのようなことが行われているかということを説明したいと 思います。  まず飼料規制でございます。ごらんいただいているように、米国、カナダ、日本とも に、法律に基づく規制というのを現在、飼料規制で行っているわけでございます。日本 の飼料規制というのは2001年から法律に基づくものということで実施されております が、米国、カナダでは1997年の段階から法的な規制が実施されておったわけです。  規制の内容ですが、日本は飼料の輸入、製造、販売、使用等を行う者に、飼料の品質 とか製造基準とか使用基準とかといったものを定めて、違反した者には罰則を適用する という形をとっておりますが、米国は連邦法と州法という二重の構造がございまして、 連邦法では表示方法とか記録方法とか製造方法等を定めて、これに適合しない飼料を品 質不良飼料として州間取引を禁止するということをやっております。違反した者にはも ちろん罰則が適用されますし、違反飼料は差し押さえ等の対象になっております。  また、州の方の法律では、州によっても若干違うのですけれども、これらの飼料の製 造、販売が禁止されるという仕組みになっております。使用については、直接は禁止し ておりませんけれども、最終的には差し押さえとか給与禁止命令という形で規制が加え られているという形になっております。  カナダの方は、反すう動物由来の蛋白質を含む牛用飼料の使用とか、輸入とか製造、 販売等を直接禁止しておりまして、さらに製造等の記録の義務化もしているということ でございます。  見ていただきますと、米国、カナダは記録の義務というのが重要視されております。 ここはちょっと日本とは違うところかなというところでございます。しかしながら、規 制の内容、方法は若干違っておるのですが、効果としては、いずれも法律に基づく規制 でありまして、日本、米国、カナダに大きな差はないというふうに考えられます。  次に、牛、豚、鶏といった家畜の種類ごとに、どんな飼料を与えてはいけないかとい うことを説明したいと思っております。  日本では、牛に動物性蛋白質──ここでは牛、豚、鶏の肉骨粉という形で書いてござ いますけれども、その給与を禁止するということですね。牛に対して牛、豚、鶏の肉骨 粉を禁止するという、縦の列でございますね。さらに牛の蛋白質については、すべての 畜種に対して──豚、鶏ですね──使用するのを禁止するということをやっておるとこ ろでございます。  カナダ、米国では、基本的には牛由来のものを牛に給与するのを禁止するということ になっています。法律の条文上は、純粋な豚とか、馬を除く哺乳動物を牛に与えてはい けないというふうに書いてございますけれども、実質的にはこういった内容だというふ うに御理解いただければいいかと思います。これを見ていただくと、青いところがその 規制になっておるのですけれども、日本の規制は米国、カナダに比べると、やはりより 厳しい規制というふうになっておるところでございます。  しかしながら、米国は現在、豚や鶏の蛋白質というものを牛に給与するということを 禁止するかどうかという検討を行っておる最中でございます。また、ここには出てきま せんけれども、SRM(特定危険部位)というものがございますが、米国やカナダは、 こういった牛の特定危険部位を飼料に利用することをやめようということで、豚、鶏の 飼料にも使わないようにしようということを今検討しているという状況でございます。  それから、下の段になりますが、交差汚染対策です。交差汚染対策というのが1つの BSE対策のポイントになっておるわけですが、我が国ではことしの4月より、牛用飼 料とその他の飼料のライン分離というのを法制化したところでございます。米国、カナ ダは現在、それについて検討しているという段階でございます。  これは、飼料規制がどの程度遵守されているかということについて各国の調査結果を 示したものでございます。いわゆるコンプライアンスというものでございますけれど も、このコンプライアンスを国ごとに比較するというのは、なかなか難しい面が実はご ざいます。各国がそれぞれのやり方で調査し、規制を加えていくということになります ので、例えば、ここに数字が並んでおりますけれども、米国とカナダと日本をそれぞれ この数字で比較するというのは意味がないというふうにお考えいただいていいかと思い ますが、しかしながら、同じ国の中で、2002年と2004年ですね、こういうふうに数字が 減少している。日本も減少しておるわけですけれども、これを比較することは意味があ ろうかと思います。  我が国では、1996年の通知による牛の肉骨粉の利用の禁止ということが全国で約160 の農家で守られていなかったということが明らかになったわけなのですけれども、現在 では良好なコンプライアンスが得られているというふうに考えております。使用、販売 及び輸入段階の監視を徹底するということが1つの今のコンプライアンスの課題でござ いまして、さきの食品安全委員会の答申を踏まえて、そこの部分を強化するということ を今、パブリックコメント等でお示ししているところでございます。  一方、米国、カナダも、2002年、2004年を比較していただきますと、コンプライアン スが向上してきているという状況でございます。  そういった中で、例えば米国の会計検査院の報告書では、飼料規制の監視体制を中心 に不十分な部分もマークしてきているということでございまして、コンプライアンスを 確保するというのは日本にとっても、米国にとってもカナダにとっても共通の課題とい うことになっているというふうに思われます。  これまでの説明を取りまとめてみました。日本の牛肉産業と比較しまして、米国、カ ナダの牛肉産業には次のような特徴があると思います。  まず、米国、カナダの牛は若齢期に、主としてBSEへの感染のおそれが少ないとい うふうに考えられる牧草主体で飼育されていると。さらに、飼料は主として農家で配合 されている部分が多いと。それから、補助飼料はちょっと別なのですけれども、それを 除けば配合飼料製造業者の製造する飼料に日本ほどは依存していないという状況にあろ うかと思います。  また、法的な飼料規制の導入につきましては、米国、カナダは1997年からなされてお りまして、日本が2001年に導入したことと比較すると、より早期にそういった規制が始 まっているということでございます。しかしながら、規制の内容といたしましては、日 本がすべての肉骨粉を牛に給与することを禁止しているのに比べますと、米国、カナダ では豚や鶏の肉骨粉を牛に給与することは認めているという形になっております。ただ し、肉骨粉が主として畜種別に別工場でそれぞれ生産されている部分が非常に多いとい うことになっておりまして、牛の肉骨粉が混入しない豚、鶏の肉骨粉が供給されるとい う環境が整っているのもまた1つの特徴かと思います。  なお、飼料規制の遵守の確保、コンプライアンスについては、日本、米国、カナダ に、引き続き共通の課題というふうに考えられておるところでございます。  引き続きまして、厚生労働省の方から説明させていただきます。 ◎松本参事官  この後、と畜場での扱いになりますので、私の方から御説明いたします。  次、お願いします。これは米国、カナダでの牛肉処理施設の処理の流れです。基本的 には、我が国のと畜場も諸外国を参考にしておりますので同じような流れになります。  まず、と畜場に運ばれました牛には、スタンニングといいましてスタンガンという器 械でボルトを額に撃ち込んで気絶させます。その後、頸動脈を切りまして放血をいたし ます。その後、前歯の永久歯の生え方で30カ月齢以上を区別いたしまして、30カ月 齢以上と判断されたものについてはマークをつけて、それより若い牛と区別するという ことで流れが変わるわけです。その後、皮をはぎます。その後、頭部を除去するという ことになります。その後、腹をあけまして内臓を摘出する。その後に背割りということ をいたします。背割りに使います鋸は、1頭ごとに消毒をするということです。背割り の後に脊髄除去を、ミーリングカッターで、この後写真を出しますけども、脊髄を除去 いたします。その後、枝肉を高圧洗浄いたしまして、重さをはかって冷却をする。そこ で格付をするという流れになります。  日本のと畜場の違いといいますのは、BSE対策でいえば我が国の場合には念には念 を入れということで、予防的観点から背割りの前に脊髄を吸引除去しておるということ であります。  次、お願いします。これが脊髄除去するミーリングカッターというものでありまし て、この上の方からずっと脊髄をはぎ取って、吸引されるということになります。ちょ っと見えづらいですけど、細かいところまでちゃんととるということであります。  次、お願いします。これが脊髄を除去した後、枝肉を高圧洗浄しているところです。 このように高圧水を吹きつけて洗うということであります。  次、お願いします。また、細かいところになりますと蒸気噴霧式吸引機で枝肉を洗浄 するということであります。  次、お願いいたします。米国におきますBSE対策の概要ですが、米国は米国内でB SEが発生する前に、ハーバードリスク分析センターに米国でのBSE対策についての リスク評価を依頼しておりまして、その後、米国内でBSEが発生して、ここに上げま したように5つの対策を昨年平成16年1月12日から施行したということでありま す。  上の3つについては、次のスライド以降でさらに説明いたします。  空気噴射スタンニングの禁止ということについて。牛を気絶させる際には、ボルトを 牛の額に打ち付けるスタンガンという器具を用いることが多いのですが、特に、すばや く苦痛なく牛を気絶させ、また、長時間の気絶状態を生じさせて人道的にと畜できるよ うにするため、ボルトを打ち付けて額に穴をあけ、その穴から圧縮空気を注入して脳構 造をばらばらにする方式の器具を用いることが認められていました。しかし、この方式 では、中枢神経組織の断片が循環系に入ってしまうということから禁止をしたというこ とです。なお、額に穴をあけても圧縮空気を注入しない方式のものについては使用が認 められています。  BSE 検査中の牛肉は陰性が確認されるまで流通禁止ということについては、義務づけ まではしていなかったということから、これを義務づけたというものです。  次、お願いします。先ほど上の3つと言いましたのは最初の部分です。  歩行困難な牛の食用禁止の基本的な考え方としては、歩行困難になった理由やその時 期に関わらず、歩行困難牛はすべてヒトの食料供給から排除するということです。  したがいまして、例えば、施設への運搬中に外傷を負って歩行困難になったというよ うな場合でも、人道的方法で運搬車から降ろし安楽死させ、その と 体を適切に廃棄し なくてはなりません。  また、運搬中は歩行できていたとしても、運搬車から降ろすときに肢を骨折するな ど、施設構内で歩行困難になった牛についても、同様に扱われます。  歩行困難な牛というのが、映像でよくご存じの神経症状で立ち上がれない牛以外もの も含んでいるということはご理解いただけるのではないかと思います。  そういう歩行困難になった牛は食用を禁止するというように対策を強化したわけであ ります。  次、お願いします。次に特定危険部位の除去についてです。  SRMの範囲については、英国の事例や実験的に感染させた牛の組織の感染性の報告 等の検討をもとに、30ヶ月齢以上の頭蓋、脳、眼、三叉神経節、せき柱、せき髄、背 根神経節 、すべての月齢の扁桃、回腸遠位部、ただし除去は確実な除去のため小腸全 体とされています。頭蓋や脊柱については、感染性が認められているのではなく、頭蓋 の内部に眼、三叉神経、脳があること、せき柱の中に背根神経節があることからこれら をSRM に含めているということです。  SRMの除去・廃棄については、施設において最適の手順を実施するには柔軟性が必 要という観点から準拠すべき特定の手順を指示しないが、各施設において、HACCP (危害分析重要管理点方式)、又はSSOP(衛生標準作業手順書)により、SRMの 管理手続きを定めて、SRMを完全に除去し、施設から適切な方法で廃棄することとさ れています。  また、農務省の食品安全検査局(FSIS )は、定められた各施設の手続きが妥当であ り、効果的であるかということを確認することとされています。  次、お願いします。先進的食肉回収システムの規制強化についてです。皆さん方のス ペアリブを食べたときに骨がくっついて残った経験があると思います。業者としては骨 から効率よく肉をはがしたいと考えます。そこで、高圧で骨を破壊することなく、骨か ら肉を肺で採取する方法がございます。それを先進的食肉回収システム(AMR)と言 います。  規制内容としては、脳、せき髄、三叉神経節、背根神経節がAMR を用いることによっ て回収する肉中に混入することがないようにするものです。  したがって、30ヶ月齢以上の牛の頭蓋骨、せき柱以外の骨、例えば、30ヶ月齢以 上の牛の肋骨や肩胛骨の部位、30ヶ月未満の牛の頭蓋骨から AMRを用いて肉を機 械的に分離することは可能とされていますが、30ヶ月例未満の牛の頭蓋や脊柱を用い た場合でも、食肉への脳、三叉神経節、せき髄、背根神経節の組織の混入は禁止されて います。 このように先進的食肉回収システムの規制強化ということを打ち出したわけ であります。  次、お願いします。次に、SRMのリスク管理の措置の比較でございます。  まず、BSE の範囲について米国、カナダとの比較したものです。  頭蓋等の部位という 点では、 各国ほぼ同一ですが、頭蓋、せき髄、せき柱について は、日本では全月齢を対象としているのに対し、米国 、カナダでは、30ヶ月齢以上 となっています。  また、 扁桃については、日本、米国が全月齢、カナダが30ヶ月齢以上となってお り、腸については、日本では、全月齢の回腸遠位部をSRMとして除去することとされて いますが、米国 、カナダでは、全月齢の回腸遠位部とするけれども、この部位の確実 な除去のため小腸全体を除去することとされております。  次、お願いします。  SRMの除去・汚染防止について比較したものです。  牛を気絶させるために行うスタンニングは、日本、米国 、カナダとも 同様に実施し て います。  ピッシングについては、日本では、約7割のと畜場で実施されている状況で、 ピッ シングを中止していると畜場の事例集を提示して中止に向けての取組みを さらに指導 しているところですが、米国 、カナダでは、禁止されており 、この点の問題というの はございません。  また、SRMによる汚染防止措置については、日本では、SSOP(衛生標準作業手順書) を作成することとしており、また、背割り前のせき髄除去についも指導を行って、と畜 頭数ベースで約9割がこれを行っているという状況です。 我が国のこの指導について は、予防的な観点から念には念を入れて背割り前の脊髄除去を指導しているということ であり、研究班での調査研究の中では、背割り後の脊髄除去であっても高圧洗浄を行う ことで十分効果的という結果ではありました。  一方、米国 、カナダでは、 と畜処理施設へのHACCP の導入が義務づけられている状 況であり、各施設に 対してHACCP(危害分析重要管理点方式)又はSSOPの中で管理手続 きを定めなければならないとされています。  なお、脊髄除去については、先ほどご説明したように背割りの後で吸引除去するとい う流れになるかと思います。  次に、BSE検査の取り扱いでございます。次、お願いします。  まずは、BSE検査の目的という観点から、米国・カナダと日本を比べてみました。  米国・カナダは、BSE検査は浸潤状況の把握、対策の効果の確認のためのサーベイ ランスを目的として検査を行っています。  一方、日本では、米国・カナダと同様のサーベイランスを目的として検査を行ってい ますが、これだけではなく、食肉の安全の確保という目的も併せ持っています。サーベ イランスとしては、死亡牛の検査などやと畜牛の検査があり、食肉の安全の確保の観点 からはと畜牛の検査があります。  次、お願いします。  BSE検査がどういった牛を対象として行われているかを取りまとめています。  米国では、と畜場で約2万頭程度を対象としている他、昨年6月から、リスク牛を対 象として強化サーベイランスが行われています。ここには当初の計画頭数として20〜 27万頭程度を掲げておりますが、先ほど説明いたしましたように、既に32万頭程度 の検査が終了しています。  カナダでは、リスク牛を対象としたサーベイランスが行われており、その頭数は今年 から3万頭以上を目標としています。  次、お願いします。続きまして、牛の個体識別制度について。これはBSEの感染牛 が出たときなど、追跡調査がしやすいように考えられたシステムですが、牛の個体識別 制度というものがあります。  次、お願いします。これは各国の個体識別制度であります。  ごらん頂いていますように、カナダ・日本では既に義務化されています。一方、米国 では、現在国を中心としてその普及に努めており、2009年を目途に義務化しようと していますが、現段階では任意です。  この制度で把握できる情報ですが、 (1)いづれの国も個体識別番号を付し、また、出生農場は把握することができます。 (2)一方、日本では、出生年月日は登録が義務化されています。 (3)カナダでは、出生年月日の登録は義務化されていませんが、本年からこれを入力 できるようにシステムが改善されており、生産者は任意で出生年月日を登録することが できるようになっています。  このように、日本とカナダでは、個体識別制度で月齢の確認をすることができます。  米国の場合には一部導入されているものがありますけども、まだ導入されてない部分 が多くあるということであります。これは次に話します輸入再開に当たっての月齢をど うやって確認するかというところに関係するわけであります。  次、お願いいたします。以上米国あるいはカナダの肉牛産業構造あるいはBSE対策の 内容につきまして説明いたしましたけども、それらを踏まえまして私ども厚生労働省と 農林水産省が米国産及びカナダ産牛肉の輸入再開についてどのように考えているかとい うことについて説明いたします。  次、お願いします。今後、米国産及びカナダ産の牛肉の輸入再開につきまして、食品 安全委員会に諮問をしたいと考えておりますが、その内容といたしましては、米国、カ ナダから輸入される牛肉について、我が国で流通する牛肉とのBSEのリスクの同等性 がどうであるかということが一つ。かつ、その対象となる牛肉は米国及びカナダでとら れています現在の国内規制と、日本向け輸出プログラムということで上乗せの規制管理 がされますけども、その上乗せの管理がされた牛肉が対象となるということでありま す。  ここで、日本向け輸出プログラムとありますけども、これについて説明いたします。  次、お願いします。  日本向け輸出プログラムは、米国やカナダで国内流通する牛肉とは異なり、日本向け に輸出される牛肉に適用されるいわば日本向け輸出牛肉の条件です。このプログラム で、ここに掲げております2点を担保することとしております。  一点目は、上段に掲げてありますように、輸出される牛肉は20ヶ月齢以下であるこ とです。  二点目は、特定危険部位をあらゆる月齢から除去することです。  こういった条件については、日本側が査察を行うことで確実に履行されていることを 確認しようと考えています。  それでは、これから、この条件をどのように証明或いは履行していくかについて説明 します。  次、お願いします。  まずは、20ヶ月齢以下の牛であることの判別の方法です。  米国については、生産記録で確認するか、あるいは生理学的成熟度を用いて確認する こととしています。  カナダについては、先ほど説明した、個体識別制度により確認することとしていま す。  米国について、さらに詳しく説明します。  次、お願いします。これは先ほど一番最初に生産農家で6カ月、育成農家で大体半年 から8カ月、フィードロットで3〜4カ月育てられてと畜に回されます。その多くは大 体15カ月から18カ月ぐらいで米国ではと畜されておりますけども、20カ月齢以下 の牛ということを確認する必要があるわけです。  米国では、大きく分けて2つの方法で月齢を判別することとしています。  まずは、左側に掲げてありますが、生産記録による証明です。  個体毎に月齢を証明する記録がある場合、これを利用します。  次に、群毎の月齢の証明ですが、米国では、子牛はほぼ同じシーズン、春と秋に大き く分かれますが、このシーズンに生まれます。同じ群で同じシーズンに生まれた牛は、 その群で始めに生まれた牛の生年月日を持ってその群の牛全ての生年月日とします。従 って、同じ群の牛は、その生年月日よりも前に生まれたことにはならないという仕組み です。  次いで、右側に掲げてありますが、枝肉の生理学的成熟度による判別です。  米国では、食肉のグレードを格付する際に、肉質等級だけでなく、牛の生理学的成熟 度についても判定し、総合的に格付を行っています。生理学的成熟度、マチュリティと 呼ばれていますが、これを用いても牛の月齢を把握することが可能です。  このマチュリティについて、さらに詳しく説明します。  次、お願いします。  マチュリティは若い牛からA、B、C、D、Eと5段階に区分され、それぞれの段階が さらに区分されています。  ここには、A40とA50とを示してありますが、40,50,60と増えるに従っ て、月齢が進み、一方30、20、10と減るに従って、月齢が若くなります。  この表は、米国で用いられているマチュリティの判定基準のうち、輸入再開に当たっ てその牛が20ヶ月齢以下であることの証明に使用しようとしている区分であるA40 と、それよりも月齢が進んでいるA50について示しました。  両者の違いは、青色で示してあります。  牛の背骨のうち、骨盤の部分にある「仙椎」と呼ばれる部分と、その少し上にある 「腰椎」の部分で両者の違いが最も鮮明になっています。  背骨は、椎骨と呼ばれる骨がいくつもつながってできています。加齢により、この椎 骨同志のつながりが強くなっていきます。  例えば、仙椎についてみると、A40では椎骨は一つ一つ明確に分離しています。一方A 50では分離はしていますが、あまり明瞭にはわかりません。また、皆さんが背中を触 ると背骨にごつごつしたものを感じると思いますが、これが椎骨のきょく突起と呼ばれ る部分です。A40ではこのきょく突起の上部の部分、ここでは「上部」と書いてありま すが、そこに相当の軟骨が残っていますが、A50ではその量がA40ほどではありません。  また、腰椎についてみると、やはりきょく突起の上部がA40では骨化が進んでいない のに対し、A50ではほぼ骨化してしまっています。  これについて、写真で説明します。  これは、腰椎の部分の 棘突起 (きょくとっき)と呼ばれる部分の写真です。  左の写真が、A40に格付けされたものです。上部に白い部分が見えますが、これが軟 骨の部分です。  右の3枚の写真は、左から、軟骨だけのもの、部分的に残っているものの一部骨化、 言い換えると骨に変わってしまっているもの、、骨に変わってしまったものを示してい ます。  A40では、この左あるいは真ん中の状態です。A50になると右の状態になります。  こういったマチュリティについては、日本でも専門家の方々に検討いただきました。  よくテレビ等で肉質で月齢を判別すると言われますけども、この棘突起の軟骨の骨化 でA40とA50が判別できるということです。  次、お願いします。これが今年(平成17年)の2月に出ました月齢判別についての 検討会の報告書であります。4つまとめてありまして、A40の評価決定ポイントは高 い精度での判別が可能、牛枝肉の生理学的成熟度を客観的に判別する基準としては適当 だという結論をいただいております。  また、A40を基準として採用し得るか否かの判断は、統計学的分析による数値のみ でなくて米国産牛肉のBSE感染リスクの程度の評価とあわせて評価すべきだという御 意見もいただいております。  次、お願いします。3番目として、A40を基準として用いた場合、統計学的分析か らは21カ月齢以上の牛の枝肉がA40以下と評価される可能性は1.92%以下と。  仮にA40を基準として採用する場合には、評価結果の記録・保存が必要ということ で、これは先ほど申し上げました日本に向けて輸出するときの輸出プログラムに反映す る。  また、今回の評価にはおのずと評価するためのデータに限りがありましたので、追加 的な検証または事後のフォローアップが必要という専門家の御意見をいただいたところ であります。  次、お願いします。  次に、日本向け輸出プログラムのSRMの除去についてでございます。  SRMについては、全月齢からのSRM除去、これは我が国と同じ範囲をSRMとし て除去するということです。  また、SRMの除去等について、各施設に対しては、HACCP計画又はSSOPに 基づいて実施するということで、  SRM除去、分離、廃棄のための手順を作成し、それを実施すること  実施や監視に関する日報を記録すること  を求めております。  そして、各施設が有する管理計画についてUSDAが検証を行い、さらに日本側によ る定期的査察も行うという形で実施面での担保をしていくこととしております。  次、お願いします。  いずれにしましても、米国、カナダ産牛肉の輸入再開については、我が国と同等の安 全性が確保されるということが基本的な考え方です。  今後、食品安全委員会に米国産、カナダ産牛肉について、国産牛肉とのBSEリスク の同等性について評価を依頼することになりますが、現在の米国、カナダで講じられて いる国内措置の下で、20ヶ月齢以下の牛由来の牛肉であり、全月齢からのSRMの除 去がなされるという基準に合致するものについて、国産牛肉と同等の安全性が得られる かどうかというような評価を依頼することを考えております。  ちょっと長くなりましたが、御清聴ありがとうございました。 ◎司会  それでは、ここで10分程度、休憩を設けたいと思います。  再開は2時30分からにしたいと思いますので、それまでお戻りいただけますよう、よ ろしくお願いいたします。                   (休憩)                 (2)意見交換 ◎司会(広瀬課長補佐)  それでは、意見交換の方に入りたいと思います。  まず初めに、行政からの出席者について御紹介させていただきます。  皆様の方から見て一番右側、こちら側から順に、厚生労働省の松本参事官でございま す。  そのお隣が農林水産省の高橋審議官でございます。  そのお隣が農林水産省の濱本飼料安全管理官でございます。  そのお隣が、内閣府食品安全委員会事務局の西郷リスクコミュニケーション官でござ います。  よろしくお願いいたします。  私、紹介が遅れましたが、厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課の広瀬と申し ます。よろしくお願いいたします。  それでは、意見交換の方法として、まず最初に、先ほど事務局の方から説明させてい ただきました米国、カナダのBSE対策の現状につきまして、説明内容についての不明 の点など御質問いただきたいというふうに思っております。その後、一通り質問の答え 等が終わった段階で、輸入再開に当たっての考え方も含めて意見交換を行ってまいりた いと思います。  なるべく多くの方に御発言いただきたいと思いますので、大変申しわけありませんけ れども、御質問、御意見ともお1人当たり2分以内で簡潔にお願いいたします。  また、発言に先立ちまして、お名前と、差し支えなければ所属を申していただければ と思います。  それで、時間の進行の管理上、事務局の方で、1分半たちましたら1回、2分たちま したら2回というふうにベルを鳴らさせていただきますので、2分たちましたら次の方 にお譲りいただきますようお願いいたします。  それから、やじ、拍手など、その他、意見交換の妨げになる行為というのはお控えい ただけますようお願いいたします。場合によってはご退席いただきます。  では、米国、カナダのBSE対策の現状について御質問いただきたいと思います。発 言される方は挙手をお願いいたします。  では、係の者がマイクをお持ちしますので、少々お待ちください。 ◎参加者1  私、宮城のBSE被害補償を求める会の代表ということで、千葉勇治というものでご ざいます。  今回、20カ月齢以下の牛肉について、アメリカのいわゆる輸入について、私から見ま すと、日本政府の無力さで、アメリカの圧力によって輸入されようとしていると考えざ るを得ないと考えます。ましてや、アメリカだけでなく、この流れの中で、国内の20カ 月齢以下の牛の検査も省くような動きが出ております。これまで全頭検査だからこそ安 心して国内の消費者は食べていた牛肉でございます。  私たち補償を求める会といたしましても、ようやく消費者に理解されて、安心した牛 肉の生産ができるようになったということでほっとしている状況でございますが、そこ で具体的にこの問題についてお聞きしたいのですが、今回、20カ月齢以下ということで 輸入再開する見通しのようでございますが、国内で既に平成15年10月6日、栃木県では 23カ月齢のBSEの発生、あるいは15年11月4日には兵庫県で21カ月齢のBSEが発生 しております。  そういう中で、今回のアメリカ産の月齢の判別について、牛の固体識別制度、アメリ カは任意でございます。この任意の中で2004年の導入というようなことで、まだ具体的 に安全の20カ月齢そのものの判断も厳しい状況でございます。  こういう中で、本当に20カ月齢という判断が、先ほどの説明もありましたが、できる かどうか疑問にございます。私は輸入を反対する立場で、その辺のはっきりした、自信 ある回答を求めたいと思います。 ◎司会  20月齢というのはきちんと判定できるのかということかと思いますが、濱本管理官、 いかがでしょうか。 ◎濱本管理官  20カ月齢の判定の仕方と。先ほども御紹介ありましたように、生産の記録というもの で判断する場合。それから、マチュリティーというか、成熟度で判断する場合。この2 つがあるわけでございます。  記録の場合につきましては、もちろんそれはしっかりした記録に基づいて判断すると いうことになるのですが、問題はマチュリティーの方のことをおっしゃっておられるの かなというふうに思うのですけれども、これにつきましては先般、専門家によるデータ に基づく判断をいただきまして、A40というもので20カ月というものを判断できるとい うふうに専門家の知見を得ておるところでございます。  その中でも、1.何%なりの若干のエラーというものがあり得るという可能性もござい ますので、今後フォローアップをするというようなことと、それとあわせて米国のリス ク評価を行っていくと。米国の牛肉のBSEのリスクを踏まえてということを専門家の 方から意見をいただいておりまして、それにつきまして今後、食品安全委員会の方に意 見を聞きまして、国内における牛肉と同等の安全性が担保できるのかどうかということ を正確に評価していただこうというふうに考えておるところでございます。 ◎司会  ほかにいかがでしょうか。  それでは、一番前の方、マイクが行きますので、少々お待ちください。 ◎参加者2  管野哲雄と申します。BSEが国内で発生したときに衆議院議員としてこの問題に対 処した1人なのですが、この資料で16ページ、リスク管理措置の比較表の中で、米国と カナダはSRMの除去の範囲が30カ月以上なのですよね。これが今後どうなっていくの か、これをひとつ説明していただきたいと思います。  それから、国内ではトレーサビリティー法案が施行なっているのですけれども、資料 の19ページを見ると、アメリカでは2004年導入、数年後を目途に完成予定ということな のですね。国内対策としてこのトレーサビリティー法案というものをしっかりと位置づ けてきたこれまでの経過から見れば、カナダでは生年月日は2005年から任意で実施と。 米国、カナダ産においてはトレーサビリティーという方向は私はまだまだ不十分だとい うふうに思うのですけれども、現状がどうなっているのか。この2点について説明願い たいと思います。 ◎司会  ありがとうございました。  それでは、1点目の方を松本参事官の方から、2点目の方を濱本管理官の方からお願 いしたいと思います。 ◎松本参事官  米国、カナダの国内対策としては、SRMの除去については30月齢以上ということに なっております。ただ、それは米国、カナダの国内対策であります。日本に輸出する場 合には上乗せの規制として全頭から除くということで、米国の輸出プログラムというこ とで今、聞いておるというところであります。  ただ、これについても、見直す必要が出てくる場合には見直すことがありますけれど も、現時点では日本に輸出するすべての牛から除くということであります。 ◎濱本管理官  トレーサビリティのお話でございます。  国内でトレーサビリティというのは大分整備されてきたわけなのですけれども、この トレーサビリティ制度というのは、基本的にはBSE等が発生したときの蔓延防止の基 礎となるためのデータを準備しておくということともに、消費者に情報の提供を行うと いうことを目的としたものでございまして、トレーサビリティそのものが牛肉の安全性 を直接保証するというような措置ではございません。牛肉を輸入するに当たっての条件 となるような性格のものではないというふうに考えてございます。  必要以上の措置を輸入条件として要求することはなかなか難しいこともございますけ れども、今回の諮問に当たっては、トレーサビリティそのものを行うということを求め ていくということは考えておりません。 ◎司会  すみません。余り説明に御納得いただけなかったみたいなので、もう少し何か御発言 されますか。 ◎参加者2  輸入再開の条件として、現在の米国、カナダの国内措置というものが非常に重要なポ イントになると思うのです。SRMの除去というのが、BSEの問題では、食の安全・ 安心ということからすれば、私は決定的条件だと思うのですね。  それで、輸入を再開する条件として、日本に向けてというベースが国内基準ですね。 国内で流通するものと輸入牛肉を誰がどうやって分離するのかということが非常に難し い部分があるものですから、私は後段で言おうと思ったのですけれども、あえて質問し たわけです。  SRMが全頭から除去されるという条件が、私は最低限、必要なのではないのかと。 イギリスにおいては、BSE検査はしていないのですけれども、国内流通向けとしては 全部のSRMを除去している。こういう条件があるわけですから、この辺もしっかりと した対応はしてほしいと思います。  それから、トレーサビリティーの問題は、確かにこれは上乗せ基準としてはないので すが、20カ月齢というものをはっきり限定するためには、日本としても月齢基準として トレーサビリティー法案というものを、食の安全・安心という立場からつくったと思う のです。これもやはり、月齢を特定するためにも絶対必要な条件ではないかと思って質 問したわけでございます。  以上です。 ◎司会  ありがとうございました。  参事官、お願いします。 ◎松本参事官  30カ月齢というのは、あくまでも米国、カナダの国内で流通する肉です。日本に輸出 する場合には、上乗せ規制として、全頭からSRMを除去すると。これは日本のBSE の対策の基準が、全頭からSRMを除去するとなっています。それに合わせるというこ とであります。  では、実際そういうのが紛れ込んでくるのではないかという御心配だろうと思います けれども、その部分については、米国ですと800幾つのと畜場があります。カナダが29 ありますけれども、そのすべてということではなくて、日本向けに輸出をしたいという 事業者を登録して、それはちゃんと20月齢以下の牛由来の牛肉を輸出し、かつ、そのと きには日本に輸出する牛から全部SRMを除去するということを守ります。ちゃんと文 書化して、守りますという施設を登録してやる。  その施設を登録してちゃんと守っているかどうかについては、米国政府、カナダ政府 も査察する。日本も、輸入が将来再開されたとすれば、再開後、定期的に専門家がその 登録されている施設をきちっと査察をして、決められたとおりにSRMが除去されてい るかどうかを検証する。そういう仕組みでやっていこうということなのです。  ですから、米国あるいはカナダで流通しているものがそのまま我が国に入ってくる訳 ではなくて、それに上乗せの基準があるということで進めていこうということでありま す。 ◎司会  高橋審議官、どうぞ。 ◎高橋審議官  もう1つつけ加えますと、国内では30カ月以上の牛から特定危険部位を除去すると。 ところが日本向けは違うので、現実問題どうやって分けるのだというのが質問の核心部 分だと思いますけれども、日本向けには、先ほどアメリカでは820幾つの施設と申し上 げましたが、輸出向けのものを処理できるような大きいものというのは全部で60カ所ぐ らいなのですけれども、その60カ所のうちでかなりの部分が日本向けには手を挙げるの だと思いますが、聞くところによりますと、これはアメリカ、あるいはカナダの中での やり方によるのですけれども、日本向けには時間を分けて、日本向けの牛をどこかに集 めて処理する。あるいは日を分けると。  そうすると牛がたまっているではないかとなるのですけれども、日本向けに使うもの については牛を別のところに待たせておくというようなことを今考えているということ で、その最終的な詰めは、実は先週、調査団を出しておりまして、その辺はアメリカ側 からのヒアリングを行っております。  それから、トレーサビリティにつきましても、アメリカでは一般的なトレーサビリテ ィーはございません。カナダのトレーサビリティというのは、生まれた日付を書くのは 義務にはなっていないのですけれども、農家が一般的に大体、記帳はしているというの ですが、きちっと確認できるものは、アメリカで全頭数の1割弱、20カ月以下のもので 記録がはっきり確認できるというふうに聞いていますけれども、はっきり記録として確 認できるものしか、私どもとしてももちろん認める気はないということでございます。 ◎司会  それでは、2人目の方で、真ん中の4列目の方。 ◎参加者3  私は消費者で、新日本婦人の会の菅原と申します。  今は、日本は生まれたときから全頭検査で、その牛の状況が全部わかるわけですよ ね。安心、安全な食生活をと思っているのですけれども、実際は今、食料自給率40%と いうことで、60%が外国からの輸入品で、子供たちがアトピーとかいろいろな悩みで、 本当に病気を抱えている状況なのですね。  6割で、添加物やら残留農薬やらポストハーベストやらの心配事がいっぱいある中 で、アメリカでは放牧されているところで生まれた牛についてはどういうチェックをす るのか。日本だったら生まれたときからちゃんとわかるという状況で、専門家と牛の生 産者というのは少し距離があるのではないかと思うのですね。  今はアメリカから輸入するのが前提みたいなお話が多いのですけれども、日本がやっ ている全頭検査をどうしてアメリカでやれないのか。日本でやっている、こんなすぐれ た、本当に安心、安全な食生活ができることを、アメリカにぜひ求めてほしいなと。  先ほどもそういう発言があったとき、私もまだ納得できないので、やはり日本のすぐ れた全頭検査をアメリカに求めていただきたい。そして私たちも安全・安心な食生活を したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ◎司会  ちょっと意見に近いような感じではありましたけれども、放牧で生まれたときのチェ ックのところは濱本管理官の方からお願いしたいと思います。 ◎濱本管理官  放牧で生まれたところのチェックということになるのですけれども、図でお示ししま したように、基本的には米国の肉牛は放牧地で、言い方は変かもしれませんけれども、 勝手に生まれてくるわけなのです。日本のように畜舎の中で管理された状況で生まれて くるというわけではないということになっております。逆に言いますと、米国での牛の 生まれ方というのは、いわゆる一番、牛としては自然な生まれ方で出てくるという形に なってきます。  そのチェック体制なのですけれども、もちろん放牧地で、例えば肉骨粉とかといった ようなものを給与するわけではございませんので、そういった面でのえさのチェックと いうのはなくて、自然に生えている牧草を食べていくということになります。  したがって、そこで厳密なチェックというのは、日本で飼われている和牛のようにチ ェックされているというわけではなくて、獣医師さんが一々ついて診断しておったり、 お産のときに専門家が出てきて手伝うとかといった管理体制にはなっておりませんが、 ある意味では非常に粗放的な、ナチュラルな飼い方をやっているという面では、日本の 飼い方とは違って、それなりのリスクの低さというのがあるのではないかというふうに 思われるわけです。 ◎参加者4  岩手県消費者団体連絡協議会の伊藤と申しますけれども、私たちは全頭検査緩和にず っと反対してきましたけれども、今回質問したいのは、21ページのところ、「月齢判別 方法」でアメリカのところなのですけれども、生産記録というのはほとんど数字になら ないと思います。  それで、主には生理学的成熟度のところの問題だと思うのですが、先ほどから何人か から出ているように、アメリカの分母というのは日本の数10倍ですよね。それで、全国 消団連の事務局長がアメリカの食肉処理工場を見学したときも、日本の1年分を1日な り1時間でやるような大きな処理工場を見て来たと。  それで、今、質問に答えて、日本向けには一定程度ためて、丁寧に検査してというお 話がありましたが、現場のところでは、とてもとてもそんな規模の話ではないと。だか ら、成熟度を瞬時に判断するというのはほとんど無理で、ため込んで判断するにして も、本当にそういうことが可能なのかどうかというのは、規模的に本当に無理な状況と いうのがアメリカにあるようです。  その辺のところ、どういうふうに私たちに対して安全・安心を提供して輸入再開をし ていくのかというあたりの、もっと具体的なプログラムをお願いいたします。 ◎司会  ありがとうございます。  これは松本参事官の方から。 ◎松本参事官  2つの条件を適切にちゃんと実行できるかということにつきましては、先週、当方の 職員も現地へ調査に行っております。今後、必要に応じて調査をして、あるいは米国政 府にも必要なデータの提供を求めて判断していきたいと思います。今後、食品安全委員 会で御検討いただく中でもそういうものが求められて来ると思いますので、そういうも のについては提供していきたいと思います。  また、そういうデータについてはすべて公表されます。情報を開示しながら進めてい きたいと思っております。 ◎司会  それでは、また意見を求めたいと思います。  大勢の方から手が挙がっているので、では、そちらの列から。  では、前のお二方が終わった後に、黄色い洋服を着られている方と、その後ろの方 と、後列の手を挙げている方に御発言いただいてから、次の方に移りたいと思います。  それでは、どうぞ。 ◎参加者5  私、名簿の78番の、BSE対策を求める仙南の会の代表をしている日下七郎です。  飼料規制の10ページのところで、米、カナダの飼料規制というところの下に交差汚染 対策ということがございますけれども、実質的にこの対策が十分やれるものかどうか と。食品安全委員会の専門委員会のプリオン委員会の中で一番、この飼料の問題が指摘 されております。そういう点で、これは十分やれるのかどうか。これを伺いたい。  それに、月齢の判断の問題。このことについて、A40とかということで判断していく という中で、それ以上のものが1.29%ぐらい混ざってきますよということを既に認めな さっている。こういうときにおいて、ヤコブ病とかに1人でも2人でもかかって、国民 の健康について最初から認め抜いていることについて、どうお考えになって数字的なこ とを報告しているのか。  それと、第3点は査察の問題。輸入している肉が既に来ているということで、査察官 が後に行って査察したって、これは実効性あるものではない。こういうことになるので すよね。査察の時期というのはどういうふうにするのですか。輸入に入る前に行って、 まとめて査察するのか。その時期が問題であるというふうに思うのですけれども、いか がでしょう。 ◎司会  まず、飼料規制の方は濱本管理官の方からお願いします。 ◎濱本管理官  飼料規制のお話です。交差汚染対策が十分できるのかどうかというお話でございま す。  米国の交差汚染対策ということにつきましては、もちろん法律に基づく規制という形 になっておりまして、現在、日本はことしの4月1日からライン分離というのは法制化 されておったわけですけれども、それまでは日本もクリーニング対応ということでやっ ておったわけですね。  米国は現在、クリーニング対応という形で、例えばえさをつくるときに、豚のえさと 牛のえさを同じラインでつくるというようなことがあった場合には、その間にクリーニ ングを入れると。3カ月ほど前の日本と同じような状況でございますけれども、そうい った対応を今やっておるところでございます。  これに関しましては、米国のFDAなりの機関が立ち入り検査をいたしまして、コン プライアンスのところでちょっと数字をお示ししたのですけれども、クリーニングとか といったことについても検査をやっておるという状況でございます。2004年と2002年を 比較しますと大幅に改善されてきているということで、こういったクリーニングによる 交差汚染対策というのは確実に行われているというのが現状だというふうに考えられま す。 ◎司会  それと、月齢の判定のところについてもコメントをいただければと思います。 ◎高橋審議官  2番目のお話の月齢の判別ですが、先ほどお話がちょっと出ていました、A40という 成熟度のラインをとると1.92%ほど混じるというお話をさせていただきました。ただ、 何が混じるかといいますと、要は、A40という数字で切りますと、21カ月以上の牛が混 じってくる確率が1.92%想定されるということなのです。入ってくる牛がBSEに汚染 されているということではないわけです。21カ月以上の牛が混じる可能性があると。  きょう、実は「参考資料」という2枚紙がついていますが、3ページにアメリカ側が 出してきたデータをつけております。総合的成熟度別月齢分布表という、ちょっと数字 が細かいので、一々その細かい数字を見ていただく必要はないのですが、縦の方に、肉 の格付であるA20からスタートして、ずっと下のCまで行っていますけれども、これは 本当はA、B、C、D、Eまであるのですが、横軸は月齢です。  このデータから見て、アメリカ側は最初、A70というラインを引いていたのですが、 A70のところをずっと横に見ていきますと、21のところに89という数字がありますが、 要は、A70あたりで見ると21カ月の牛が89頭ほど入ってしまうということでありまし て、こういうものを見ていたアメリカ側も、頭数は非常に少なくなるのですけれども、 A40というラインで線を引けば──このサンプルですね。ここから出てきたサンプルの 中で一番、歳がいっている牛でも17カ月。  これを、ちょっと理論的な話になりますが、統計学に当てはめてA40の方の分布の端 を計算すると、実は21以上は1.92%という数字がどうしても出ます。これは統計理論上 しようがないのですけれども、さらにデータを追加して、本当にこれはどういうふうに なるのかというのを、実は最近、アメリカからデータを出していただきました。  これと同じようなものをさらに追加してデータを出していただいたのですが、追加の ものでも、A40ラインで実はサンプルの中では21カ月以上のものは入っていないのです けれども、そうすると21カ月以上の牛が入ってくるのはもうちょっ低くなるということ でありまして、21カ月以上のものが混じるということはほとんど可能性としてはないの だろうというふうに私は見ております。 ◎松本参事官  査察の件であります。まず、今回の米国等が提案してきております輸出証明プログラ ムの中には、輸出したいという業者がちゃんと基準を満たすことを文書化して登録する ことがあります。登録しているところが仮に違反した場合には、名簿から削除されるほ か、場合によっては罰則もかかると米国等が言ってきております。まずはそちらの方を きちっと守ってもらうのが原則であります。  また、輸入に当たりましては、必要な衛生証明書などをつけてきますので、それを検 疫所の段階で確認するということ。  また、いつから輸入されるかについては今後の検討になります。定期的にどれくらい の頻度で行くかということについては今後、具体的に検討していくことになろうと思い ます。  ですから、今の段階で、どの段階でどれくらいの頻度で行くか、そこまではお答えで きませんけれども、確実に専門家が行って、その施設がちゃんと決められたとおりやっ ているかどうかについて査察します。輸出プログラムに違反しておった場合について は、米国の法律にのっとって適切に処理してもらうことになります。 ◎司会  では、今お答えの範囲での疑問点とかということであれば。 ◎参加者5  濱本さんの答弁というのが、我々、先ほど説明を受けた10ページの資料と食い違う話 をしていると。これには、汚染対策について義務化検討中ということなのだね。あなた は、既にやっているのだという発言なの。これは適切なことで、やらないといけないと 思うのだ。そういう点が1点。  交差汚染というのが、プリオン委員会での一番心配なさっておることなのですよね。 そのことについてちょっと注意不足があるのではないかというふうに指摘しておきま す。  それと、1.29%、21カ月の牛が入ってくるので、BSEの汚染になっているものでは ないということを言い切ったならば、この意見交換会というのは何なのですか。入って きてないのだと決めつけてしまっている。これがおかしいということ。  それと査察の問題。査察する基準云々。アメリカでいろいろ法で規制するということ を言うけれども、そのものが既に日本に上陸して、日本人の口に入っておるということ で、病気になってしまう。これについて、国民の健康から見ると、この査察もアメリカ 寄りではないですか。そういうふうに思うのですけれども、どうです。 ◎司会  ちょっと御発言が、すべてアメリカ産の肉が汚染されているという前提でお話しされ ているのようですが、濱本さんの方からお話を。 ◎濱本管理官  まず、私の説明した10ページの交差汚染対策のところなのですけれども、今、米国、 カナダが義務化を検討しているのは、ライン分離について義務化を検討しているという ことで、クリーニング方式についてはもう義務化されておるのです。これで現在、交差 汚染対策を米国、カナダは実施していると。それについて検査が行われて良好な結果が 得られているというのが、今のアメリカ、カナダの現状でございます。  そういうことでございますね。 ◎司会  先ほどの1.92のところも、高橋審議官の方から説明があったと思うのですが、例の月 齢の委員会で検討した中では、3,338というサンプルの中で見たところ、A40だと20月 齢以上のものは1頭もいない。いないのですけれども、計算上、まだ3,338頭しか検査 していないので、可能性として1.92%混じる可能性があるという御指摘だったと思いま す。 ◎高橋審議官  統計的には、これは、先ほど申し上げましたように、アメリカ側が追加的なデータを 出しています。それを合わせると0.7か0.8%ぐらいの数字だったと思いますけれども、 そこの評価は食品安全員会に、当然、我々はお願いするつもりです。 ◎松本参事官  まずは、食品安全委員会に今後諮問しますけれども、そのときには、米国で具体的に どうやるかについても先生方は御承知になりたいと思いますので、そういうデータを提 供することになると思います。それに基づいて米国が輸出することになりますので、輸 出プログラムに則っているかは相手国をある程度、信用しなければならないということ はありますけれども、それがちゃんと守られているかについては定期的に査察をしてい くことになります。 ◎司会  すみません。前の列の2人目の方から。 ◎参加者6  仙南の会の中山と申します。説明の中で、今いろいろお伺いしたいのですが、ポイン トを3つに絞ります。  1つは、本当にBSEをなくして、安全に牛肉を食べられるというのが一番望ましい わけですけれども、BSEをなくすという意味で、いわゆるBSEの疫学的な研究到達 度がどこまでいっているのかなと。国内でも、まだこれまで1頭もいわゆる感染ルート がわからない状況ですね。アメリカでどうなのか、カナダでどうなのかというふうにな りますけれども、そういう点で、例えばカナダでは外国産肉骨粉の輸入を1989年あたり から規制していますね。ところが、それ以降、かなり出たという実績がございますね。  そういう点を考えますと、なぜカナダで出たのかということとか、なくしていくため に何が必要なのかという、本当になくすためのあれがどこまでいっているかというの が、1つお伺いしたいところです。  その点から考えて、BSEの疫学的な見知の上に立って、では20カ月以下なら絶対B SE患牛は出ないのという問題が解明されていなくて、たまたま日本で21カ月というの が一番若いというようなことで20カ月になっているだけにすぎないのではないかという 心配はあります。この辺についてどうお考えなのか。  それから、もう1点は、先ほどのいわゆるアメリカにおけるBSEの発生は、アメリ カ産は1頭もいないというような勘定になりますね。ところがアメリカでの検査率は、 例えば年間6,000万頭ぐらいの中で、抜き取り数は2万頭ぐらいですか。0.何%ぐらいで すね。この中で見つかる確率というのはどのくらいあるのだろうかと。だから、見逃さ れている確率が非常にあってそうなのではないかという懸念があります。この辺につい て科学的にはどう考えればいいのかというあたりですね。  もう1つは、アメリカで現在、食料に規制しているのは歩行困難という状況だという 説明がございました。この歩行困難の中に、病的な歩行困難だけでなくて、いわゆる外 傷的な状況で動けなくなったり、あるいは車からおろすときにけがしてしまって動けな いものまで入っているのだよという説明がありました。  これは内容的に見れば、全くばかげたことをやっているなと私は逆に思いますけれど も、なぜそういうことをしなければいけないか。これは、アメリカの措置に対する、例 えばBSE対策の措置に対する認識の程度がそうなのかなと逆に疑われるのですけれど も、その辺のところをよろしくお願いします。 ◎司会  それでは、まず1番目は濱本管理官の方から、2番目は西郷さんの方からお願いした いと思います。 ◎濱本管理官  BSEの原因究明の状況ということだと思います。日本とカナダとアメリカとあるの ですけれども、日本の方は15年9月に疫学的な検討チームをつくって、そこで検討して いただいたということで、1つのポイントとして交差汚染のお話も出てきたわけでござ いまして、それを踏まえて飼料規制の強化というのを日本は順次やってきたというとこ ろでございます。  カナダ、米国につきましても、ある程度の調査はやっておるのですけれども、日本も 同様でございますけれども、特定の原因に結びつけるというところまではイギリスでも できなかったと。日本でもカナダでも米国でもできなかったという状況でございまし て、やはり交差汚染とかといったところが疑われているという状況でございますね。  カナダについては、飼料規制を実施した後に生まれたという牛でございますと、そこ で飼料規制がうまく機能していなかったのではないかというような議論もあるわけなの ですけれども、飼料規制をやった直後ということでございました。  やはり飼料規制というのは、どこの国でもそうなのですけれども、制度として動き出 してから完璧に根づくまでには若干のタイムラグがある。そのあたりで日本の21カ月、 23カ月というのも生まれてきたのではないかなというふうに考えられると。今のところ はそういう状況でございます。 ◎西郷リスクコミュニケーション官  食品安全委員会でございます。21カ月齢のBSE感染牛が見つかった例を挙げて、20 カ月齢で区切るとはどういうことかという御質問だと思います。  月齢についてよくそういう御質問を受けるのですけれども、食品安全委員会が評価し たのはどういうことかというのをもう一度説明いたしますと、20カ月齢以下が全部安全 で、21カ月齢以上が危ないとかということを言っているのではなくて、厚生労働省と農 林水産省から、今、全頭検査をしているわけだけれども、21カ月齢未満の牛の検査をや めた場合、食肉のリスクは増えるのか増えないのか、どうなのですかということを諮問 いただいたわけでございます。  その結果でございますけれども、いろいろやったわけでございますが、お手元にたし か参考1というので配付されていると思いますけれども、評価結果の概要というところ でございます。2の(1)「と畜場におけるBSE検査対象月齢の見直し及び検査技術に関 する研究開発の推進」の中ほどに線を引いたところがございますが、「食肉の汚染度は 全頭検査した場合と21ケ月齢以上検査した場合、いずれにおいても『無視できる』〜 『非常に低い』と推定された」と。定量的評価による試算でも同様の推定が得られた と。これらの結果から、検査月齢の線引きがもたらす人に対する食品健康影響(リスク )は非常に低いレベルの増加にとどまると。要するに、リスクは増えるかもしれないけ れども、そんなに増えないと。増えても非常に少ないという結果が出たということでご ざいます。ですので、20カ月までは大丈夫とか、21カ月齢から危ないとかということで はないということでございますね。  もう1つは、20カ月齢以下に見つかる可能性はないのかという御質問があったと思い ます。これにつきましては、今回、分厚い方で恐縮でございますけれども、参考2の15 ページを見ていただけますでしょうか。  そこに、「3.1.2.2.2 と畜検査」、その下に「3.1.2.2.2.1 ELISAテスト」と いうところがあるかと存じます。その最後のところでございますけれども、「2003年7 月生まれ以降の牛で検査陽性例が見いだされるとしたら、その蓄積量は検出限界に近い と考えられる」と。  要するに、今20カ月齢と言っている牛は、飼料規制だとか国内での規制がかなり整っ た後のものしか生きていないわけですから、その牛でもし陽性が出るとしたら、今のE LISAによるスクリーニング技術では検出限界ぐらいなのではないだろうかという御 議論に、専門家の中ではなっているところでございます。  以上、御紹介申し上げました。 ◎松本参事官  米国が規制強化で、歩行困難牛は理由のいかんを問わず食用に回していないというの は、英国等の例で、そういう症状のない、一見健康に見える牛と、そういう症状のある 牛、特に歩行困難などの牛が出たときには、そういう歩行困難牛からBSEが見つかる 率が高いという判断でおやりになったのだろうと思います。  ただ、今おっしゃったように、余りにもかわいそうではないかという話もあるのは事 実です。ですから、明らかにBSEは関係ない場合については見直したらどうかという 意見もあると聞いておりますが、一応、米国としては、歩行困難牛については現行では 食用に回さないようにしていると聞いております。 ◎司会  それで、3点目のアメリカのBSEの感染リスクについてなのですけれども、これは 多分、現状、評価は不能だと思います。全く清浄国だとは我々は思っていないというこ とでございます。  ただ、安全委員会にお伺いしても多分、評価不能というふうになると思うのですけれ ども、まだ評価されたこともないですし、そのあたりコメントいただければと思います が。 ◎西郷リスクコミュニケーション官  まだ諮問もいただいておりませんので、何ともお答えのしようがありません。  ただ、その都度、内外の専門家から資料をいただいたり、関係省庁から資料を提出い ただいたりしているところでございます。いずれにいたしましても、もしこの問題につ いて評価の要請、あるいは諮問をいただくということになれば、必要な資料をまたまと めていくということになろうかと存じます。 ◎司会  それでは、大勢の方から来ていますので、3人目の方に移りたいと思います。 ◎参加者7  仙台市消費者協会の小林と申します。  食料に限らず、もともと輸出国というのは、輸入する相手国の国内の法律に合わせる ように努力して、ちゃんと法律にのっとった基準を守れるものを出していくのが、今ま でPLOを初めとして行われてきたことだと思います。今回のアメリカ産牛肉のリスク 管理の意見交換会を聞いておりますと、アメリカから牛肉を輸入するために日本側が大 変に努力をしているというふうに聞こえてくるので、それが大変に日本国民としては残 念でございます。  私は2つあります。何回も出ていましたけれども、日本側による査察。これは、例え ば常駐させるのでしょうか。後追いになるのは日本国民としては許せないことでござい まして、常駐させるのか、誰が行くのか、何人行くのか。たくさんあると畜場に、誰が 常駐して、本当にアメリカが間違いのないことをやっているかというのを検査できるの かというようなことをよく考えていただきたいというふうに思いますし、BSEの検査 対象でアメリカが出しております、2万頭を20万から27万に増やすという、その対象に なる牛の基準は何なのか。  よろけ牛というのが出ていましたけれども、日本の国内でBSEと陽性になった牛 は、よろけ牛ではないものがたくさん含まれていたと思います。そうすると、よろけ牛 だけを対象にするアメリカの検査の頭数は、どれだけ増えても余り意味がないような気 がします。その辺はいかがでしょう。 ◎司会  松本参事官の方からお願いします。 ◎松本参事官  査察ですけれども、常駐とまでは考えておりません。輸入食品は多うございますけれ ども、例えば冷凍ホウレンソウ。中国から輸入された冷凍ホウレンソウから基準を超え る農薬が検出された事例がありますが、現地に査察に行きました。必要に応じて行った ということです。  今回の場合も常駐までは考えておりません。定期的に査察に行くことで、その規模等 については今後検討すべきものだと考えております。できるだけ効率的に進めたいと思 っております。 ◎司会  それでは、BSEの検査対象の、2万から27万頭と。リスク牛の検査、いわゆるサー ベイランスという点で、濱本さんの方からお願いしたいと思います。 ◎濱本管理官  説明の中にもあったのですけれども、米国の牛の検査はあくまでサーベイランスとい う位置づけでやっております。サーベイランスというのは、結局、米国であれば米国の BSEの状況を把握するために行っているものなのですね。直接生産される肉の安全性 を担保するという目的でやっているわけではないのです。  したがって、よろけ牛ということになるのですけれども、基本的には米国は一番可能 性の高いものに焦点を置いて検査をして、感度の高い検査をやろうというふうに行って いるわけですね。その対象として、いわゆるリスク牛というものを対象として検査を行 うというのが米国のやり方ということになります。  これで、今のところ1頭を除いて、その後の検査でBSEが検出されていないという 状況に、米国は今なっているということなのです。 ◎司会  左の列の4人目の方。 ◎参加者8  43番の、青森から来ました須藤と申します。  食品安全委員会の答申が出てからずっとマスコミも政府も肉牛輸入再開という方に動 いていますが、この答申を見る限り、私はなぜ輸入再開というふうになるか理解できな いのです。  この答申を見ますと、確かに先ほど西郷さんがおっしゃったようにリスク評価では大 差はないと出ていますけれども、終わりのところで、今後のリスク評価にはより感度の 高い検査方法の開発と、若齢牛を含む十分なデータが必要だと強調していますよね。し かも、月齢上、単なる線引きをしたわけではないと。総合的な評価をしたのだというこ とを言っています。この答申を踏まえたら、どうして今回、20カ月以下を省いて輸入再 開という諮問にいくのか、これが一番、私は疑問なのです。  しかも、留意すべき批判的意見が2つ載っています。これも、吉川座長は個人的な見 解だろうと言いましたが、寺田委員長が、書いているとおりですと、一蹴しました。こ の留意すべき批判的意見も、今回の見直しに対してどう留意されているのかと疑問で す。  もう1つ、瑣末な問題ですが、資料の7ページの「輸入禁止等」の資料ですけれど も、日本の牛肉もBSEが発生してから輸出禁止になりました。ところが、いまだにア メリカ、カナダは日本産の牛肉を輸入禁止していますね。この理由は何なのでしょう か。 ◎司会  では、1点目の方は松本参事官の方から、2点目の方を濱本さんの方からお願いしま す。 ◎松本参事官  昨年の9月に、我が国が平成13年10月からとってきましたSRMの全頭からの除去と 全頭検査を評価し、中間取りまとめが出されました。その中で350万頭の検査をやっ て、当時、11頭でしたか。BSE感染牛が発見され、そのうち2頭が21月齢、23月齢で あったので、今の検査でそれは見つかるだろうと評価されました。  今後参考にすべき事実として、20月齢以下で見つかっていないのも事実だということ でありましたので、その中間取りまとめに基づきまして、月例の見直しを、BSE検査 の対象が現在ゼロ月齢を21月齢に変更したいと諮問して食品安全委員会の方で評価いた だきまして、5月6日に皆さん方のお手元にあるような形での答申をいただいたわけで す。  そこで、先ほど西郷さんから説明がありましたけれども、(1)のところでリスクは 「無視できる」から「非常に低い」と推定されると結論をいただきましたので、BSE 検査の対象を21月齢に変更したいということで、現在、皆さん方からの意見を求めてい る最中であります。  ですから、これまでの評価はあくまでも国内対策であります。では今後、輸入のとき どうするかというときに、基本的には、安全性は同等であることが大前提であると考え ておりまして、我が国で流通している牛肉と、米国あるいはカナダから入ってくる牛肉 のBSEに関するリスクは同等かについて今後諮問して、専門家の御意見を聞いてから 再開するかどうかを判断するとこれまでずっと説明してきております。その手続として 今回このような意見交換会を開いておるというところであります。 ◎高橋審議官  2点目の方の話で、アメリカから日本ではなくて、逆に日本からアメリカへの牛肉の お話が出ましたが、アメリカの方が日本産の牛肉──日本産の牛肉が輸出でアメリカは あったのかという話なのですが、向こうに行っていらっしゃる日本人の方が日本の牛肉 を食べるために日本から輸入しているというのが多いらしいのですけれども、日本でB SEの牛が確認されました平成13年(2001年)に、これはさっきの資料の7ページです けれども、そのとき日本産牛肉のアメリカ、カナダへの輸入がとまっています。これ は、日本にそれまでBSEが確認されていなかったのが確認されたので、その後はとめ ていると。  その後、同時に日本産のものについても、今、アメリカ側は日本産の牛肉について安 全性の評価に入っています。 ◎司会  それでは、左の列の5人目の方。 ◎参加者9  消費者の一戸と申します。婦人民主クラブ(再建)の会員です。  幾つか意見を申し上げたいのですが、まず、今も問題になっていましたけれども、20 カ月以下の牛からは今までのところプリオンは発見されていないというようなことで、 これを検査しなくてもいいという答申をしたということ自体が、既にそのような法律に なってしまったかのような前提でいろいろな問題が交わされているということが、ひと つ私としては非常に問題だなと思うのですね。  専門家の間でも、20カ月以下なら大丈夫というようなことははっきり言えないという ことが言われている。そこのところを、私はやはり全頭検査にまさるものはないはずだ と思うのです。だから、答申そのものがまず問題だったのではないか。  仮にそのとおりになったとした場合であっても、アメリカ産の場合は、やはり先ほど から問題になっているように飼料規制が非常に抜け穴があるわけで、ですから日本の場 合は、飼料規制が始まってからの牛の方からは発見されていないということはあり得る としても、飼料規制があるところで発見される可能性というのはなお高いのではないか というふうに考えられます。  そして飼料規制の遵守状況についても、先ほど11ページの資料を提示されたのです が、アメリカでは日本の25倍以上もの牛が飼われているのに、検査頭数は日本の場合の 2.5倍。それからカナダでは、4倍の牛が飼われているのに0.4倍。それくらいしか検査 されていないわけですね。こういうのを信頼あるデータとしていいのかということが、 私は問題だと思います。  最後に、SRM以外のところについても、別の部位から発見されているという例があ るというわけですね。例えば、抹消神経から病原体が見つかった。前足のつけ根とか後 ろ足のすねなどの抹消神経、副腎など、特定部位以外の場所から確認されている。これ が日本であったわけですね。  ですから、SRM、全部取ればいいというものではないのではないか。やはり全頭検 査をすべきではないか。これが私の意見です。 ◎司会  ありがとうございました。  まず、1番目を西郷さん、2番目は濱本さんの方でお願いします。 ◎西郷リスクコミュニケーション官  全頭検査をなくしてもいいというような答申が問題だという御意見かと思います。  科学者の御議論では全頭検査をやれともやめろとも言ってはいないわけで、先ほど申 しましたように、20カ月齢以下を検査から外しても、今の検査であるならばリスクはそ んなに増加しないということを申し上げているだけでございます。  もう1つ、最後の方にありました、今、SRMとされていないところから見つかった 例があるということだから、SRMの除去だけでは安心できない、だから検査をすべき だというお話だったと思うのですけれども、これにつきましては、評価書の13ページの 3.1.2.1.3「BSEプリオンの生体内分布」というところに一応の記述がございます。 2行目、「昨年、BSEが確認された94カ月齢の死亡牛(国内11例目)」。死亡牛です から、と場で見つかったのではないわけです。「の坐骨神経、脛骨神経等の末梢神経組 織や副腎から、BSEプリオンたんぱく質がウエスタンブロット法により、検出され た。当該死亡牛から確認されたBSEプリオンたんぱく質の量は、現在SRMに指定さ れている三叉神経節よりも相当少ないレベルであった」と書いてあります。少ないから いいと言っているわけではないですけれども、いかんせん、まだよくわからないという ところでございます。ただ、BSEプリオンたんぱく質の量は少ないということはわか っております。いずれにしろ、これについては今後の御議論があるところだと思いま す。  また、検査していれば安全かと申しますと、答申が言っていることは、検査していて も、感染していてもすり抜けてしまうのは結構たくさんあるかもしれないということで ございまして、全頭検査をしているから安心だというのは、もしかしたら安心のし過ぎ かもしれないと。  これは委員会が言う立場ではないのかもしれませんけれども、専門家の御議論を聞い ていると、要するに検査をしてもしなくてもリスクがそんなに変わらない、検査しても 見つからない部分があるということであるならば、やはり危ないところをできるだけ取 っていくということが大事だということだと思います。検査も大事でございますけれど も、そういったことが必要なのではないか。もちろん飼料規制も必要でございますが、 今のところ、そういったことを全部組み合わせてやっていかないといけないのではない かという示唆になっているのではないかと存じております。 ◎司会  ありがとうございました。  2点目のところをお願いします。 ◎濱本管理官  飼料規制が十分に機能しているかどうかというようなお話であったかと思います。  米国の牛肉のリスクを考えるときに、飼料規制というのは確かに重要な要因でござい ます。もちろん、リスクというのは飼料規制だけで決まるものではないわけですね。そ の国での牛の飼い方。幼齢期に牧草地帯で飼われているというようなお話をちょっと説 明させていただきましたけれども、そんなこととか、BSEの侵入がどれぐらいあった かとか、さまざまな要因がかかわってくると思います。そういったことを飼料規制も含 めて食品安全委員会の方に資料として提出して評価を受けていきたいと、こういうふう に考えているところでございます。  特に、御懸念の飼料規制の遵守状況なのですけれども、これについては、確かに頭数 に比べると件数が大分比例していないというようなところはあるわけなのですけれど も、実をいいますと米国の検査件数というのは、FDAが直接やる部分、それから州に 対して委託してやる部分、両方合わせての数字ではあるのですけれども、その中から報 告書が返ってきたものを母数としているのですね。だから、実際の調査件数というのは 公表されていません。したがって、母数を報告書の数から出しているわけで、これが信 頼できる数字ということになるのですが、多分、これ以上の数字の検査はなされている であろうと。  逆に日本の方を見ますと、2004年で680件というふうにやっておるのですけれども、 日本の規制は、もちろん肥飼料検査所の業務概要というところから引っ張ってきておる のですけれども、これはえさ全般の検査ということになっておりまして、例えば配合飼 料工場に立ち入ったときに、BSEの観点でも検査しますし、抗生物質の観点でも検査 しますし、そういうものを合わせての680ということでございます。  分類せずにやっているものでトータル数で表現させていただいておりますけれども、 そういうことで、実際の検査数が多い少ないというのをこの表で比較するのはちょっと 難しいというふうに思っております。検査の密度とか濃度とか、実際には違っていると いうことです。  この表で比較していただきたいのは、あくまで2002年と2004年ということで、どうい うふうに改善されてきているかというところをこの表では見ていただきたいというふう に思っておるわけなのです。 ◎司会  誤解があるようですので申し上げますが、20月齢以下の牛由来の牛肉と、それから全 月齢からのSRMの除去。こういった条件を満たす牛肉について、我が国と同等かどう かというのが安全委員会に諮問される予定ということで、単に月齢だけ同じですかと か、措置として同じですかということをリスク評価してもらうのではなくて、そういう 条件の牛のリスクというのはどのくらいあるのか、そのリスクと日本の牛のリスクが同 じなのかということを安全委員会では評価いただく予定ですので、そこは誤解のないよ うにしていただければと思います。  時間が大分超過しそうでございますので、少し延長させていただきたいと思います。 すみませんが、4時以降で御都合の悪い方は適宜退出いただいて結構ですので、アンケ ートをお出しいただいて退出いただければと思います。 ◎参加者10  ただいまの御発言に関連があると思うので、すみません、ちょっと発言させてくださ い。  というのは、今、初めて西郷さんから、リスクがあると。小さいかもしれないけれど もリスクがあるということをおっしゃっていただいたと。そこを、私は、皆さんきちん と認識すべきだと思うのです。  食品安全委員会というのは、私はやり方としては完全に賛成ですけれども、政府の方 でちょっと表現がおかしいかなというところがあります。私の立場としては、今まで科 学的な測定をしてそのデータを解析するという仕事をやっていましたので、そのことに ついてちょっと発言させてください。  というのは、今、20カ月以下の全頭検査をやっていて、20カ月以下では検査にはかか らないと。したがって、もしBSEに感染していた牛があったとしても、それは検査を すり抜けて食品として流通しているかもしれないという事実はあるのですよね。そこを 皆さん、きちんと認識して考えていただいたらいいと思います。そうしないと、20カ月 は安全だという言葉。政府はよく安全だという表現を使うのですけれども、科学的には 安全ということはどこにも出てこないのです。  例えば、100人のうち1人が病気になったら安全なのか、1,000人だったらいいのか、 1万人だったらいいのか、そういうことは誰も決めることができないわけなので、大き いか小さいかということだけを言っているのだと思います。そこのところをきちんと考 えていかないとおかしくなってしまう。  したがって、私も、輸入再開賛成ではございませんけれども、別に再開しても今と変 わらないでしょうと。もし嫌なら輸入したものは買わなければいいのではないですかと いうことが、まず1つの提案です。  では、買わないというためにはきちんとした表示をしなければいけない。アメリカ産 の牛か日本産の牛か、そこがきちんと表示されているということ。それから、できれば 月齢も、検査したかしないかも含めてきちんと表示されている。それから、鮮肉だけで はなくて、加工肉とか牛肉の製品についてきちんと表示してもらう。そういう要求を我 々がしていけば、もし嫌ならそのものは買わないでいればいいのだということなのです ね。  実は、私の子供がちょっと前まで学生をしていまして、大した仕送りもしていません でしたから安い牛肉を食べていたと。ちょっと心配だと、私に相談に来ました。それ で、私が返事したのは、それは安全だとは言えないよと。だけども、みんながこれだけ 食べていて患者が1人出たと。それまでは公式な患者としては出ていなかった。こんな に日本人がいっぱい食べていても、ほとんど患者というものは出てきてないと。  逆に、例えば交通事故などというのは、しょっちゅう何人かの人が犠牲になっている と。そういう危険性というものを考えたら、BSEを食べたためにクロイツフェルト・ ヤコブ病になるという危険性は非常に小さいから、もし気になったら量を減らせばいい のでしょうと。そしたら子供は安心していました。そういうことをきちんと理解して発 言していかないと、堂々巡りなのですよね。  だから我々としては、政府の方にぜひ表示をきちんとお願いしたいと。米国であれ日 本製であれ、それをきちんと表示してもらうという要求をしていただくと。政府もぜひ それに協力して、法律的にそれをバックアップして……。 ◎司会  すみません、そろそろお願いします。 ◎参加者10  それで我々に安心を与えてほしいと。安全ということはあり得ないと。安心を与えて ほしいというふうに思います。 ◎司会  すみません、ここまでにしていただきます。  それでは、表示のところで、農水省の方からいかがでしょうか。 ◎高橋審議官  表示の場合には、今も、国産か、あるいは外国産か、外国の場合はどこの国のもの か。これは、普通の生鮮の精肉については必ず表示することになっています。  今お話あった加工品の中で、メンチなどは、一般的には小売りのものは表示が大変難 しい。  といいますのは、スーパーなどで聞かれればわかるかもしれませんけれども、仕入れ 先がよく変わるので表示が大変難しいという問題がございまして、そういった加工品は 大変難しいのですが、一般の売られている精肉などについてはきちっと表示がなされる ということでございます。 ◎司会  お時間もありますので、今、手を挙げた3名の方で、左の方からお1人目。引き続 き、真ん中の方という順番でいきたいと思います。 ◎参加者11  名簿の2番目か3番目、東北大にもとおりました水間と申します。  このリスクコミュニケーションのやり方について、ちょっと意見がある。  と申しますのは、先ほど御説明の方が、例えばアメリカが3,338頭のデータを持って きて、それで20カ月以下であるとかということを、例えば骨の状態とかというので判断 できるとかというふうに言われた。どうしてそういうことが出てくるかというのがわか らないわけですね。  去年の10月23日の日米局長会議のときの記者会見において日米で合意したことという のが、20カ月以下のものをどうやって判定するかについて、アメリカは45日以内にその データを日本側に提示すると。そういうことから始まって、ことしの2月8日までいろ いろやってきた。2月8日の段階では、さっき御説明のようなことで、大体は判定して もいいかもしれないと日本側は考えられたかもしれないけれども、まだ足りない、もう ちょっとデータが欲しいということで、この4月25日からの、ランバートが日本に来た ときに400頭の追加データをもらったとか、そういうようなことがあるわけですね。  つまりは、リスク管理機関としての厚生労働省、農林水産省が、食品委員会に対して 諮問しましたね。その諮問に対して食品安全委員会がいろいろ答えられたということ が、実は10月15日から163日かかった3月28日にやっとそれが出たというぐらい、食品 安全委員会は慎重に協議されたということがあったと思うのですね。  私が言いたいのは、そういうことですから、きょうの会議というのは、今後、農水省 と厚労省としては、輸入再開という条件を諮問するために皆さんから御意見を聞きたい のだということだと思うのですね。  だとすると、きょうの話というのは、アメリカやカナダではどういう牛が飼われてい るかとかというふうな話が最初ではなくて、今までの経過ですよ。2001年9月にBSE が出てから今までの3年間に管理機関のやってきたことが、リスク分析、リスク評価と いう立場でどうであったかということを評価したというのが去年の9月9日の中間報告 だと思うのですよね。それに対して今度は諮問されたということであって、そういう流 れだと思うのです。  私が1つ質問したいのは、飼料の規制ということを言いますけれども、1988年にイギ リスは規制していながら、2004年には検査で338頭が出ていますよ。それはどういうこ となのだと。日本でも、2001年の9月から肉骨粉を扱ってはいけませんということを規 制しても、2頭は出ているではないですか。  だから、そういうことというのは、たしか日本の飼料規制でも、先ほどデータにあり ましたけれども、かなり問題があるということでございましたですけれども、諸外国の 場合でもそういうことですので、ぜひその点も含めて向こうとの交渉をやっていただき たい。 ◎司会  すみません。質問を簡潔にお願いします。  飼料規制のことについて多分、説明されていると思うのですけれども、濱本さんの方 からお願いいたします。 ◎濱本管理官  飼料規制の話です。  飼料規制。基本的にはBSEの発生を根絶するための措置ということでやっておるわ けなのですが、現実にBSEの発生を防止するための措置というと飼料規制が中心にな ってくるということで、これについては一生懸命取り組んでおるところなのでございま す。  イギリスにおきましても、それから日本におきましても、フィードバンを実施した後 に生まれた牛でBSEが発生するという事態は、これはもう報告されております。ボー ン・アフター・バンというふうに言うのですけれども、これにつきまして、イギリスで もそうです、日本でもそうですが、いろいろ原因究明をやっておるところでございま す。  イギリスでは、こういった牛については、やはり交差汚染とかといったことが疑われ ているというふうに報告が出ているようでございます。日本の方でも8例目、9例目に ついて給与飼料等の調査をやりましたけれども、やはりこれについては、もちろん肉骨 粉等は給与されておりませんで、何らかの交差汚染等の経路で発生したのではなかろう かなというふうに推測されるところでございます。  いずれにしても、今まで日本では7頭目まで疫学的な報告がなされておりますので、 今後、8例目から、今18例まで出ておりますけれども、それらを合わせて疫学的な検討 をして、これからのBSE対策にしていきたいというふうに思っておるわけなのです。 ◎司会  ありがとうございました。 ◎松本参事官  リスコミのやり方についての御意見ということでありました。  我が国の対策をもう少し簡潔に、要領よく説明すべきということの御意見だと思いま す。確かに我が国の対策については、食品安全委員会で検討していただいて中間取りま とめいただいて、それに基づいて諮問して、先般、答申をいただいたものですから、少 々省略したところがあります。もう少し節目節目のところを追加して説明した方がよか ったかもしれません。今後の説明のときに十分注意したいと思います。  御意見、ありがとうございます。 ◎司会  それでは、真ん中の列のお2人目の方。 ◎参加者12  小野と申します。  まず、先ほどからお聞きしますと全頭検査、全頭検査というのがしょっちゅう出てく るのですが、安全性確保には全頭検査ありきということを、やはり皆さんが思っている ということだと思うのですね。  ところが、私が勉強していろいろ調べてみますと、肉骨粉を禁止すること、それから 危険部位を除去すること、そしてそれを検査したのが有効かと。その取り組みが最善策 であるというふうな私はとらえ方をしているのですが、その辺は間違いないのでしょう か。  そして、先ほどからリスクのお話も出ましたが、リスコミに何回か参加させていただ いているのですが、1億2,000万人分の0.01%というリスクがあるというお話もされて いたと思うのですが、ゼロというリスクの食材というのはほかに何があるのでしょう か。  私はリスクのない食品というのはこの世にないと思っていますし、それがあるのであ れば逆に教えていただきたいのですけれども、輸入のものにしろ国内のものにしろ、農 薬、そして輸入する際の、もしかしたら防腐剤といったものですとか、今、私たちが日 常生活で食べているものに、少なからずともいろいろなものが添付されているわけで す。そういったものを考えると、今、この牛肉が本当にたたかれている時代で、牛肉の リスクというのを客観的に、この数字はどの程度のリスクなのかというのを教えていた だきたいと思います。  あと、もしそれが検査でなければ危険だとしたら、私はよくフグちりなども食べます けれども、フグは毒を食べれば死ぬわけで、ところが私は毒を取れば安心だと思って食 べています。  そういう意味では、SRMをきちっと除去した牛肉であれば、それも全く私は問題な いかと思いますし、私も肉の方に携わる人間ですけれども、これ以上苦しめないでいた だきたいと思いますし、早期の輸入を私は望みます。  よろしくお願いします。 ◎司会  それでは、松本参事官の方からお願いします。 ◎松本参事官  世界各国とも、BSE対策については、どれか1つで安全を担保をできるということ で取り組んでいるわけではありません。やはり、BSE感染牛をつくらないという意味 での根本の部分としての飼料規制。  また、BSEでは異常プリオン蛋白質が蓄積しますが、ある面では幸いなことに、 脳、脊髄に99%たまります。先ほど末梢神経の話をされた方がいますけれども、非常に 濃度が高いのであればもっとほかの筋肉とかかからも発見されてもいいのでありますけ れども、検出されるのは中枢神経の部分だけであるということで、それを特定危険部位 として除去するということ。  それと、やはり、念には念を入れといいますか、そういう感染牛の枝肉の中に異常プ リオンが見つかったわけでありませんけれども、それを食肉流通に回さないという、そ の3つの柱で安全対策に取り組んできています。それは、おっしゃったように、どれか 1つということではなくて、その3つを組み合わせることが非常に大事であります。  ではゼロリスクのものはあるかというと、ゼロリスクというものは、はっきり言って ありません。リスクをできるだけ下げる方向で対策を取るというのが、食品安全に関す る世界共通の流れであります。そのためにいろいろな手段を講じていくということであ ります。  60年前といえば食べるものがなかったことが最大のリスクではないかと思いますけれ ども、現代は十分、食べ物はありますので、その中でより安全性を高くするようリスク を下げていくということ。  食べ過ぎると生活習慣病になって糖尿病になったりしますので、それはそれで、また 十分、注意を払わなければいけないということでありますので、そういうことで取り組 んでおるということで御理解いただきたいと思います。 ◎司会  それでは、真ん中の3番目の方、お願いします。 ◎参加者13  基本的にはBSE検査をするのが絶対だと思って、ずっといるのです。日本人はBS E感染に、要するにヤコブ病にかかりやすい遺伝子を持っているというふうに言われて いるというのを新聞で読みました。それが欧米人よりもかなり比率が高いということ で、しかも、すぐ出るものではなくて、何10年か先に出る。一たん出たら、もう死に至 る。そういう病気でありまして、後悔では済まないと思っています。  米国の圧力で日本の食品安全基準がゆがめられるようなことがあってはならないと思 っています。そもそも20カ月未満云々というものは、アメリカからいろいろな圧力をか けられた結果、妥協して出た話だと経過的に思っています。要するに、全頭検査以外に 本当に安心して食べられるということはないので、ぜひ全頭検査の再検討を頭に入れて いただきたい。  それから、先ほどの方の意見で、自分が買わなければいいという話がありましたが、 そんな問題ではないと思います。要するに、食べないで余ったものなどが加工品や、そ れから学校給食やファミレスなどで使われるようなことがあってはならないと思います ので、ぜひもう一度、全頭検査についても検討をお願いしたいと思います。  すみません。消費者の立場ですが、新日本夫人の会の伊藤と申します。 ◎司会  わかりました。  それでは、全頭検査のところなのですけれども、西郷さん。 ◎西郷リスクコミュニケーション官  同じようなお答えになってしまって恐縮なのでございますけれども、よくわかりま す。全頭検査でもって安心したのに、たった3年しかたっていないのに、やめてもいい ような答申を出すとは何事だというふうな御意見ではないかと思います。  食品安全委員会は、これは、逃げるわけではありませんけれども、全頭検査をやめな さいだとか、あるいは何かほかのことにしなさいと言っているわけではなくて、例えば 検査の技術に限界があるという話については、去年9月の中間取りまとめでお出しした ところですね。  ですから、今回それを受けての諮問が、それでは、国内で今の対策をやっていて、20 カ月齢以下の牛について検査をやめた場合、どの程度リスクは上がるのですかというふ うなお問い合わせだったので、それについていろいろ検討をしたわけです。  おっしゃるとおり、わかっていない話も多い。だからきちっとした数字は出せないけ れども、いろいろ専門家が比べていまして、例えば、ちょっと見にくいかもしれません けれども、厚い方の16ページを見ていただきたいと思うのですけれども、ここに表がご ざいます。長い表の名前でございますけれども、要は、全頭検査の場合と21カ月齢以上 の検査の場合とリスクがどう変わるかというのを専門家の目で対比した表でございま す。  これを見ますと、検査の項に「全頭検査する」「21カ月齢以上を検査する」という のがありますけれども、専門家から見て、今の知見でいきますとほとんど変わらないと いう結果が出ているところでございます。  要は、全頭検査をやめなさいとか何とかではなくて、20カ月齢以下の検査を外した場 合も、人へのリスクは今のところそれほど変わらないというお答えをしたところであり ます。  ですので、再検討しろということになりますと、どういう点を検討すればいいかとい うことになりますけれども、ただ、おっしゃるとおり、これは現在の検査の技術や現在 の施策を前提にしたものでございます。これがまた変わってくることがあれば当然、管 理官庁の御判断にもよりますけれども、また諮問をいただいて議論するということにな ると思いますけれども、現在のところは、検討してみるとこういうところではないかと いうことでございます。 ◎松本参事官  と畜場における検査を所管する立場から、ちょっと補足説明させていただきます。  平成13年10月から全頭検査を始めましたけれども、当時、一番、感染実験等でデータ を持っておったのはイギリスであります。イギリスは30カ月以上を検査対象として線引 きしました。  我が国もその時点で、30カ月齢以上でいいのではないか。BSEが発生している国が そうであるならばそれにならおうということで、検討はしたのでありますけれども、そ の時点で牛の月齢を正確に確認する仕組みがありませんでした。ですから、30カ月齢で 切ったところが、実はそうではなかったということがあったりすると市場が混乱するだ ろうということが1つ。  もう1つは、国内初のBSEが発見された直後で、検査をした肉とそうでない肉が流 通することで大変な混乱をして、かつ、不安であろうということで、科学的にはいかが なものかということでありましたけれども、あの混乱を沈静化する観点で始めたのが全 頭検査であります。その時点で検出限界があるということも分かっていました。それは 検査につく宿命みたいなものであります。  しかし、それを3年間やって350万頭を検査し、21月齢、23月齢で見つかったという のもまた事実でありますし、20月齢以下の部分で見つかっていないことも事実です。 今、440万頭以上を検査しておりますけれども、20月齢以下では全く出ておりません。  もしこういう汚染状況が当時わかっておったらば全頭検査はまずやっていないと思い ます。全頭検査を3年間やってきてどうかということを食品安全委員会に評価いただい て、リスクの点で変わらないとの結論をいただきました。当然、全頭からSRMを除去 するという前提はあります。当然、飼料規制もやっている等もあります。  そういうことで食品安全委員会で評価をお願いして、リスクは変わらないということ で答申をいただき、対象月齢を0月齢から21月齢に変更したいと諮問し、リスクは低 いということであったので、21月齢以上に変更をするということで、今、皆さん方から のパブリックコメントを求めているという状況であります。そういう観点で見直したと いうことであります。  全頭検査をやった方が安心だなというお気持ちはわかります。ですから、諮問をした ときに、安全という科学の部分については理解できるけれども、なかなか安心という心 の持ちようまでうまくいかないということとか、市場での混乱を回避するために、自治 体で独自に20カ月齢以下も検査する分については経過措置として補助いたします。その 間、徹底したリスクコミュニケーションをやるという経過措置を入れたのは、皆さん方 のような御不安があるからだということであります。検査の見直しについては、科学的 評価に基づいて見直しているということを御理解をいただきたいと思います。 ◎司会  それでは、後ろの女性の方。その次に、前のスーツの方と、先ほど御発言いただいた 方の順番でいきます。 ◎参加者14  山形市消費者連合会の五十嵐と申します。  BSEが発生したときに、生産者の方から何とか助けてほしいという要望を受けて、 生産者を支援しようと。それこそ牛舎から、飼料から、と殺場から、ELISA法の検 査から、全部現場を見まして、私は山形ですから黒毛和牛の山形牛ですが、これは安全 だということで、チラシを配りながら消費者に訴えて運動を展開したものでございま す。  先ほどから皆さんの質問やら何やら聞いて、いろいろ考えることはあります。重複す ることもありますが、ただ1つ、その中で「危険部位の除去」とさらりと流して、それ が大前提だという話が先ほどからありますけれども、本当にこの危険部位の除去が正確 な技術を担保されているのかどうか、私、非常に疑問に思います。  その辺のところを専門家としてどういうふうに考えていらっしゃるのか、時間も差し 迫っておりますので、その辺だけをちょっとお伺いをしたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ◎西郷リスクコミュニケーション官  評価の方で、専門家の間ではSRMの除去、危険部位の除去につきましてはいろいろ な御議論がありまして、関係省庁の方にも資料をたくさんいただいたり、あるいは、と 畜場、食肉処理センターで働いている方々にも来ていただいて、実際の状況を現場の専 門家の方々に言っていただいたりしました。  それで、基本的には、時間もございませんので結論だけ申しますと、参考1の2.の (2)でございます。「SRM(特定危険部位)の除去の徹底」というところに書いてご ざいますけれども、要は、SRM管理は非常に重要だと。おっしゃるとおりでございま す。  下に線が引いてございますけれども、「施策の遵守状況と適切なSRM汚染防止法の 実施状況を確認するため、と畜場における実態調査を定期的に実施する」と。こういう ふうに厚生労働省から諮問があったわけですけれども、これは非常にいいことなのでち ゃんとやってくださいと。  なお、ピッシングというのは多分御存じだと思うのですけれども、「ピッシングの中 止に向けて」と書いてあります。我が国は、まだなかなかやめることができないでいる わけですけれども、中止に向けて具体的な目標を設定して、できる限り速やかに進める 必要があると。その他もろもろございますけれども、そういったような指摘を御議論の 中から専門家の方が行ったということです。  これは、確かに、おっしゃるとおり一番重要な施策だということで、非常に時間を割 いて、資料を綿密に当たって専門家の方に御議論いただいたところでございます。 ◎松本参事官  お手元の資料の「まとめ」の1つ前のスライドのところで、除去に当たりまして、ま ずこの輸出プログラムに参加する施設については、SRMの除去、分離、廃棄のための 手順書を作成、実施し、監視に関する日報を記録するということが求められておりま す。それをきちっとやっていることを、米国あるいはカナダ政府がちゃんと見守るとい うこともありますし、輸入再開後は、ちゃんと守れるかどうかについては、専門家を派 遣して、日報等も残っておりますので、そういうことを見ながら突き合わせて、適切に 行われているかどうかを検証していきたいと考えております。  それはおっしゃるとおり非常に重要なところであると思いますし、恐らくこれから食 品安全委員会で評価をいただくときに、これはどうなっているかという、今お尋ねあっ たようなことが委員の方から質問が出てくるのではないかと思いますし、必要な資料に ついては提供して評価を仰いでいこうと考えております。 ◎司会  それでは、右の列のお2人目の方。先ほど御発言いただいた方です。 ◎参加者10  では、簡単に2点、補足させていただきます。先ほどはちょっと時間がなくて言いそ びれたのですけれども。 ◎司会  差し支えない範囲で御発言いただいていますので、どうしてもということであれば名 前とかは結構です。 ◎参加者10  泉区の遠藤です。消費者です。  私、さっき申し上げましたが、私の子供にも、食べるなら食べてもいい。それでも気 になったら控えなさいということを言いましたといった例を挙げたので、弱者に対し て、また別の配慮は必要だと思います。  私は2つの提案をしたかったのですが、1つは、加工肉も含めてきちんとした表示 と。それから弱者に対して、例えば私のような年金の生活者とか学生だとかというとこ ろに、やはり安いものを食べるという傾向が出てきますので、それは政府とか社会全体 としてバックアップすべきだろうということをつけ足させてください。  それから、もう1つ。今までまだ議論しているのですけれども、外国と交渉するとき に、なぜ反対か。20カ月以下も全頭検査しろと言う過程、根拠がないのですよね。今ま でのリスクと同じよと。  そういうことを皆さん認識していないと思ったので、まず、話し合いをする以上は、 どういう理由で反対だと。どういう理由がなくて、ただ心配だからというのでは、心配 したという意味では、今の現状と変わらないというのでは相手に説得力がないと。だっ たらこちらで自衛策を別にとるべきだということを提案させていただいたのです。  すみません。 ◎司会  一応、意見としてお伺いしたいと思います。  それでは、真ん中の……。 ◎参加者15  仙台で小さな牛タン屋をやっております小山と申します。この問題が発生してから、 仙台市民なりお客さんに、頑張りなさいとかいろいろな御支援をいただいて、非常にあ りがたいと思っております。  アメリカ産の牛タンが入ってこない前、輸入禁止の前の値段というのが、キロ400円、 500円ぐらいだったのですが、現在、5,000円以上しています。10倍以上の値段になって います。  それで、当局との話し合いの中で、これは正当な経済活動ではないのではないかと。 10倍以上もしているような値段になっているのに、何か調査なり指導なりできないのか という質問をしたのですが、自由経済の中で、それはできませんというお話でした。  この問題が発生してから、仙台では、牛タン専門店が大体110軒ぐらいあったのが、 現在、40軒、50軒ぐらいしかやっていません。半分以上がクローズしているというのが 現状です。アメリカ産牛肉を輸入禁止してからもう1年半になろうとしておりますけれ ども、我々は食品安全委員会なりが出てくる新聞記事などを見て一喜一憂しておりま す。  それにしても、僕らのサイドから見ると非常に長い年月だと思います。一日も早い解 決をぜひお願いしたいということです。  以上です。 ◎司会  これも、一応、御意見ということで、西郷さん。 ◎西郷リスクコミュニケーション官  いろいろ御苦労されているのだと思います。  食品安全委員会の議論がちょっと長過ぎるのではないかという御批判も、1つはある のではないかと思います。もっともっと慎重に時間をかけて議論すべきだというふうな 御意見もいただいているところでございます。ただ、私どもとすれば、粛々と、資料が 集まったらきちんと議論していくということです。  1つ、食品安全委員会の事情を申し上げますと、プリオン専門調査会の先生方は今、 12人いらっしゃいます。この方々は全員、非常勤の先生方です。大学の先生であった り、いろいろなところの研究所の先生であったりという方で、本職をお持ちの方に、次 はいつ集まれますかというふうにお諮りして次の会合を開くというふうなことで進めて おります。食品安全委員会の専門調査会は16ございますけれども、すべてそうでござい ます。  専門委員の先生方がなかなかお忙しいのと、それから、いろいろ宿題を先生方からい ただきます。それについての資料を揃えたり、また厚生労働省、農林水産省にお願いし て資料を集めたり、そういうことについても時間がかかるわけでございます。ですの で、「えい、えい」とはなかなか進まないということでございます。  それから、先生方の御議論の中でも、次から次へと御疑問の点だとかデータが必要だ ということが出てくることも事実でございますので、次々と議論が発展していってしま うということは当然あると思います。  ただ、当然でございますけれども、事務局がいたずらに時間を引き延ばしたり、ある いは拙速に急いだりというようなことはなく、諮問を受けた場合については任務に従っ て粛々と進めてまいるということで全力を尽くしてまいりたいと思いますので、審議の 期間については御理解をいただければと思います。 ◎司会  時間の方が大変超過いたしまして、申しわけありません。  最後にもう1人だけ、御意見ということでお伺いしたいと思いますが、いかがでしょ うか。  特にはよろしいでしょうか。  それでは、時間の方、大変超過いたしまして、申しわけありませんでした。活発な御 意見いただきまして、どうもありがとうございます。いただいた御意見につきまして は、今後、諮問していく中で考慮させていただきたいと思います。  お帰りの際にアンケートを回収いたしますので、御協力の方をお願いいたします。                    閉会 ◎司会  以上をもちまして、「食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉等のリス ク管理措置に関する意見交換会)」を閉会いたします。どうもありがとうございまし た。                                     (了)