05/05/03 平成17年5月13日〜20日(全国9カ所)「食品に関するリスクコミュ ニケーション(米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見交換会)」            食品に関するリスクコミュニケーション     (米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見交換会:愛知県名古屋市)                          日時:平成17年5月16日(月)                             13時00分〜16時10分                          場所:テレピアホール 1.開会 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  本日は、大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。ただいまか ら、「食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉等のリスク管理措置に関す る意見交換会)」を開催いたします。  私は、本日の進行役を務めさせていただきます、厚生労働省医薬食品局食品安全部企 画情報課の広瀬と申します。よろしくお願いいたします。  本日は、約3時間にわたるということで、途中、模様がえの関係もあり、説明の後に 10分程度休憩を入れる予定でございますが、長時間になりますので、休憩の必要な方 は、適宜、周りの方の御迷惑にならないよう御退出いただき休憩をおとりいただければ と思います。 2.挨拶 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  本日は、厚生労働省と農林水産省の共催でございます。両省を代表いたしまして、厚 生労働省の松本大臣官房参事官から御挨拶申し上げます。 ○松本参事官  皆さん、こんにちは。ただいま御紹介いただきました厚生労働省大臣官房参事官の松 本義幸であります。  本日の意見交換会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。このタ イトルにありますように、米国産牛肉等のリスク管理措置に関する意見交換会の開催に 当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。  平成13年の9月に我が国で第1頭のBSEが出まして、その一月後からと畜場にお きます全頭検査、またSRMの除去、飼料の規制をやってきましたけども、ほぼ3年た ったところで、我が国のBSE対策につきまして、食品安全委員会が検証、評価を行 い、昨年の9月に「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について中間取りまとめ 」をまとめ、同日、厚生労働省、農林水産省の方に通知されました。  それを受けまして、厚生労働省と農林水産省は国内対策の見直しについて意見交換会 を行いますとともに、昨年の10月15日に食品安全委員会にリスク評価を依頼したと ころであります。食品安全委員会では、見直し案につきまして科学的な観点から慎重に 評価していただきまして、この5月6日に評価結果を通知いただいたところでありま す。  国内対策の見直しに関します意見交換会の中で、国内対策見直しに対する意見とあわ せまして米国産牛肉等の輸入問題についての意見も多く寄せられ、輸入再開に当たりま しては改めて食品安全委員会に評価をいただくということを説明してまいりました。  厚生労働省、農林水産省は、このたび米国産及びカナダ産牛肉等の輸入再開に当たり まして具体的な検討を行うということにしておりますが、輸入条件の決定、実施に当た りまして、食品安全委員会にリスク評価を依頼することとしております。  本日は、これに先立ちまして消費者を初めとした関係者の方々と十分な意見交換を行 い、その検討の参考にさせていただきたいと思いますので、忌憚のない御意見あるいは 疑問等ありましたらお寄せいただければと思います。  限られた時間でありますけども、実りある意見交換会としたいと思いますので、どう ぞよろしくお願いいたします。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  続きまして、本日の目的について説明いたします。  この意見交換会は、リスクコミュニケーションの一環として実施するものでございま す。皆様への配布資料の中に、「意見交換会に参加いただいた皆様へ」ということで、 1枚紙がございます。本日の意見交換会の目的といたしましては、この場で何かを合意 して決めるということではなくて、米国やカナダのBSE対策について関係者間で情報 を共有することと、それから、いろいろな立場の方と意見交換を行い、この問題につい ての認識を深めることを目的としておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは次に、出席者を御紹介いたします。  まず、募集により大勢の方に御参加いただいております。本日は、広く御意見をいた だため、出席者を公募させていただき、113名の方の応募をいただいております。当初 予定しておりました募集人員の範囲内でしたので、応募いただいた方全員に御参加いた だいております。  出席者の紹介につきましては、お手元の資料、資料番号が欠けているようですけれど も、出席者名簿をつけておりますので、そちらの方にかえさせていただければと思いま す。それから、資料作成後に応募のありました方は、お名前を掲載できませんでしたの で、おわび申し上げます。  それでは、議事に先立ちまして、資料の確認をお願いいたします。  まず、お手元に、議事次第、会場の座席表、その後に今お話ししました名簿。それか ら、資料2ということで、「米国、カナダにおけるBSE対策」というちょっと分厚い もの。この次に、「差し替え」という1枚紙が入っております。7ページ目のところに 差しかえがあるので入れさせていただきました。この後ろに、参考資料ということで、 薄い2枚紙のものがあります。  その後、参考1「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品健康影響評 価について」と、参考2という分厚いもの。これは食品安全委員会でおまとめいただい たものを資料として参考配布させていただいております。それから、1枚紙になります が、横長の「食の安全・安心トピックス」と「意見交換会に参加いただいた皆様へ」と いう先ほどのカラー刷りのもの、あと、小さなものになりますが「食生活指針について 」という四角い紙がございます。  最後に、「『食品に関するリスクコミュニケーション』についてのアンケート」がご ざいます。アンケートは、今後の意見交換会運営の参考にさせていただきたいと思いま すので、大変恐縮ですが、お帰りの際に御記入いただき、提出いただければと思いま す。  資料等に不足などがございましたら、事務局もしくは受付の方までお申し出いただけ ればと思います。  続きまして、本日の進行でございますが、本日は米国産牛肉等のリスク管理措置に関 する意見交換会ということで、まず、意見交換に先立ちまして、厚生労働省、農林水産 省から、「米国、カナダにおけるBSE対策」として、管理の現状とか輸入再開に当た っての考え方を1時間程度説明させていただきます。その後、10分程度休憩をとらせて いただき、それから意見交換に入りたいと思います。会場の都合がありまして、午後4 時までには終了したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 3.議事 (1) 牛海綿状脳症(BSE)に関する米国産牛肉等のリスク管理措置について ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  それでは初めに、農林水産省の伊地知参事官、厚生労働省の松本参事官から、BSE の現状について説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○伊地知参事官  ただいま御紹介にあずかりました農林水産省参事官の伊地知でございます。  これから、米国、カナダにおけるBSE対策について説明をさせていただきたいと思 います。  これから説明する内容は、まず、「I 背景」といたしまして、米国、カナダにおけ る肉牛産業の概要について、それから「II BSE対策の経緯と発生」の中で、BSE 対策の経緯といたしまして、輸入禁止の措置、飼料規制の措置、届出及びサーベイラン スでございます。それと、北米におけるBSEの発生の状況。「III BSE対策の現 状」といたしまして、飼料規制、と畜場における措置、BSE検査とサーベイランス、 牛の個体識別制度。それから、「IV 輸入再開に当たっての考え方」として、食品安全 委員会への諮問についての考え方と、諮問する際にお示しをする日本向けの輸出プログ ラム、その中身といたしまして、月齢確認方法、SRM除去、個体識別制度。最後に、 「V まとめ」という形になっております。  私の方からは、前半部分を説明させていただきまして、後半部分につきましては、厚 生労働省の方から説明をさせていただきたいと思っております。  米国、カナダにおける肉牛産業の概要でございます。  これは、円グラフでアメリカとカナダと日本の飼養頭数の状況を示しておりまして、 その大きさが飼養規模にほぼ匹敵するような形で書いてございます。日本は約400万頭 の牛がおります。カナダは1,500万頭です。これは日本の約3倍強でございます。米国 では9,400万頭、約1億頭の牛が飼われております。  飼養頭数の概況としては、まずアメリカを見ていただきたいんですけれども、6,400 万頭が専ら牛肉を生産するために飼養されている肉用牛でございます。これは、肉用牛 の子供を生産する母牛、母牛になるための予備軍、そして肥育牛が含まれております。 米国では、飼養頭数の約7割が肉用牛になっております。一方、日本の方は、肉用牛は 約半分でございまして、アメリカに比べて肉用牛の割合が低いという状況でございま す。カナダもほぼアメリカと似たような状況でございます。  それと、子牛は、アメリカは1,700万頭で、これは酪農で搾乳をされている乳牛から 生まれた子牛と、肉用牛の繁殖牛から生まれた子牛が入っています。その中には、ほと んどが肥育に回りますけれども、一部子牛肉を生産するための子牛も含まれておりま す。それと、1,300万頭は酪農で乳を搾るための牛でございます。日本との違いは、日 本は乳牛の比率が高いということでございます。  次が、と畜頭数でございます。米国は3,350万頭、カナダが430万頭、日本が約130万 頭ということでございまして、ほぼ飼養頭数に応じたような形でと畜頭数も多くなって おります。  内訳を見ますと、去勢牛が一番多いわけです。これは、雄牛が生まれたとき、雄牛は そのままですと性質が荒いし肉がかたくなりますので、いい肉をつくりやすくするため に、子供のときに男性の性器であります睾丸を抜かれた牛で、去勢牛と言われていま す。  次に多いのが未経産牛でございます。雌牛が生まれますと、子供を生産するために使 われる牛以外のものは肉用に回されますが、これが1,050万頭という形になります。こ の1,650万頭と1,050万頭の計2,700万頭がいわゆる肥育牛ということで、牛肉を生産す る目的で飼われる牛たちでございます。ほとんどこれらの牛から日本への輸出がなされ ていたという状況にございます。  繁殖牛は、先ほども言いましたように、子供を生産するための牛でございます。乳牛 240万頭は、牛乳を生産した後、もうこれ以上牛乳生産のため飼養しないとなって、い わゆる廃用になってと畜される牛でございます。それと、種牛ですけれども、これは雄 の種牛でございまして、雄は全部の雄が種牛として使われるわけではなく、ごく一部の 雄だけが子供を生産するために使われるわけでございますが、これも、役目を終わった 雄牛でございます。それと、子牛でございます。  日本の場合は、乳牛の飼養頭数の比率が高いので、乳牛のと畜頭数が多くなっている ということでございまして、去勢牛の割合は、アメリカ、カナダ等に比べると少ないと いう状況になっております。  次に、米国、カナダの肉用牛の飼養状況でございます。  日本では、ほとんどの牛は畜舎で飼われておりますけれども、米国、カナダでは、生 まれてからと殺されるまで、ほとんど外で飼われております。そういうところが、飼わ れ方としての大きな違いでございます。  発育段階によって3段階に分かれております。まず、放牧地で繁殖農家は子供を生産 し、母牛と子牛が一緒に、6カ月ぐらい母牛の乳を飲みながら育ちます。ごく一部雄牛 もいるかもしれませんけれども、基本的に、繁殖農家は母牛と子牛が一緒に育てられて いるという状況でございます。これが約6カ月間でございます。  その後、育成農家というところで、これも基本的には放牧主体で飼われます。離乳と いいまして、約6カ月たちますと、母牛から乳離れをしますので、その乳離れをした子 牛たちを集めて、6カ月から8カ月間ここで飼育をされます。  それから後、肥育農家、これをフィードロットと言っておりますけれども、こちらで 3カ月から4カ月間、穀物を中心に、よりおいしい肉を生産するため、穀物を給与され て肥育されるわけでございます。これは3カ月から4カ月間ということで、この期間を 足しましても、最大約15から18カ月齢ぐらいでと殺をされるという状況にあります。日 本との大きな違いは、先ほど言いましたように、日本は畜舎の中で飼われていますけれ ども、アメリカの場合は放牧中心で舎外、野外で飼われていることでございます。  ただ、育成農家は、放牧だけではなく、ここに「給餌」と書いてございますけれど も、フィードロットで肥育期間を調整する際に、例えば、肥育期間を短くしたいのでこ こですこし長く飼ってくださいということであれば、ここですこし長く飼って穀物も給 与するという形で、少し幅を持たされています。何でそこで少し幅があるかといいます と、こちらの都合にもよりますけれども、アメリカとカナダは大体、季節繁殖といいま して、季節を区切って繁殖していまして、出荷を少し調整する必要があった場合には、 こういう形で肥育期間とか育成期間をずらすという形がとられております。  次に、米国、カナダの肉用牛がどのようなえさで育てられて、どのような段階でと殺 されているかを日本と比較したものでございます。まず、左端を見ていただきたいんで すけれども、これは米国でと畜された牛のうちの、乳用種と肉用種の割合を示しており ます。乳用種は酪農経営で生産されたものでございますけれども、約1割と比率が低い わけでございまして、日本に比べるとかなり低い比率になっています。肉用種の比率が 約9割と、高くなっています。日本の場合は、乳用種の割合が4割強、肉用種が5割強 という形になっています。  どのようなえさを食べさせているかといいますと、酪農家で生まれた乳用種の、子牛 は自分の母牛の乳を飲まされずに、生まれたらすぐ代用乳、この代用乳というのは粉ミ ルクですけれども、母牛の乳以外の粉ミルクとか人工乳を給与されます。それと、しば らくしたら濃厚飼料と粗飼料を与えられるということで飼養がなされているわけです。 肉用種の場合は、先ほど見てもらいましたけれども、放牧地で6カ月ぐらいまでは母牛 の乳を飲みながら牧草を食べている状況であります。それから、肥育期間はフィードロ ットに行きまして、濃厚飼料と粗飼料を給与されるということでございます。  アメリカの場合は大部分が20カ月齢以下で出荷をされている状況にあります。日本の 場合は、乳用種の場合も21カ月齢から24カ月齢ぐらいで出荷をされるわけですが、乳用 種の場合はアメリカと同じような飼い方をされています。一方、肉用種の方は、牧草、 ふすまで、和牛の場合は大体4カ月から6カ月ぐらい畜舎の中で親牛と一緒に暮らして いますけれども、アメリカに比べて比較的早い時期に、長い期間濃厚飼料を給与されて 肥育をされます。肉用種の代表的な黒毛和種の場合は、大体平均すると30カ月齢ぐらい で出荷をされているということです。アメリカは大体20カ月齢以下ですが、日本の場 合、肉用種は長いこと飼って肉質をよりよくしようという飼養の形態がとられておりま す。  次は、牛に給与される牧草以外の飼料についての説明でございます。日本では、ほと んどの飼料を海外に依存していまして、港の近くの配合飼料工場で配合飼料がつくられ て、農家の方に行くわけでございます。一方、アメリカとカナダは、牛に給与される濃 厚飼料は自分で生産したり、近くからトウモロコシを中心にして集められて、肉用牛の 場合は、主として単味飼料を中心に補助飼料を合わせて給与されているのが一般的であ るということです。ただ、酪農家の場合はやはり配合飼料中心にやられている部分が多 いという状況になっております。日本の場合は自分で単味飼料を給与する比率はかなり 低い。アメリカの場合は単味飼料で、肉用牛の場合は補助飼料と合わせて、自分の農家 あるいはフィードロットで給与されている例が多いということで、大きな違いがござい ます。  次は、レンダリング産業と肉骨粉利用の概要でございます。肉骨粉の利用の状況です けれども、日本の場合は肉骨粉等の牛への給与は禁止されています。肉骨粉は、日本で は焼却されていまして、飼料として使われていないということでございます。一方、ア メリカ、カナダは、牛の肉骨粉を牛にやること自体は禁止されています。ただ、我が国 と違いまして、豚や鶏の肉骨粉とかは牛にも給与していいことになっていますし、牛の 肉骨粉も豚とか鶏のえさとして使っていいことになっております。  大きな違いは、日本の場合は、牛と豚が同じと畜場でと殺されて、えさの工場も一緒 のところが多いということで、いわゆる交差汚染を防止する観点からこのような措置が とられております。一方、アメリカ、カナダは、大部分のところが別々で、えさもレン ダも別々の形になっているところが多いということもあって、こういう交差汚染防止措 置はとられていないということでございます。日本の場合は、ラインを分離することに よって豚の肉骨粉を使えるようにしてほしいということがございまして、ことしの4月 から牛と豚のラインがちゃんと分かれているところにあっては、豚の肉骨粉は豚とか鶏 に使っていいことになりました。  次は、BSE対策の経緯と発生でございます。BSE対策の経緯でございます。  まず、輸入禁止。これは、海外からBSEの病原体である異常プリオンの侵入を防止 するということで、水際での措置がとられているわけでございますが、国によって少し ずつ時期的なずれがございます。  1986年にイギリスで初めてBSEが確認されたわけですけれども、まず、肉骨粉の輸 入は、カナダでは1988年、アメリカでは1989年、日本の場合は1996年に英国からの輸入 を禁止しています。ただ、実際には、これまでの調査の結果、英国から飼料としての肉 骨粉は日本に輸入されておりませんでした。禁止措置は1996年からでございますが、そ れ以前は加熱処理を条件に輸入は認めておりましたけれども、現実問題として、えさ用 の肉骨粉はイギリスから入ってきていなかったということでございます。  次に、生きた牛でございます。アメリカでは1989年に、肉骨粉と同時期に輸入禁止を しております。カナダと日本は1990年から禁止をしております。それから、牛肉でござ いますが、アメリカとカナダは1991年からBSE発生国からの輸入を禁止しています。 日本の場合は、BSEの制度としては1996年から禁止という形にしておりますが、イギ リスからの牛肉につきましては、BSE以外の要因、イギリスで口蹄疫という牛の病気 が発生をしたこともありまして、1951年から日本の場合には輸入を禁止しておりま した。  2000年になりますと、ヨーロッパのいろんな国でBSEが確認をされるようになりま して、アメリカもカナダも日本もBSEの対策を強化してきております。米国、カナダ はすべての動物の肉骨粉を2000年には禁止しております。日本もヨーロッパからの牛の 肉骨粉の輸入を禁止しております。  2001年というのは日本でBSEが発生をした年ですけれども、日本でBSEが発生し たときに、米国もカナダも日本からの牛肉の輸入を停止しております。米国は、カナダ でBSEが出たときにも一旦カナダ産の牛と牛肉の輸入を停止しましたが、その後、カ ナダのリスク評価をしてカナダ産牛肉の輸入を再開しております。今現在、30カ月齢以 下の骨なし肉は輸入を認めております。それとあと、すべての月齢の牛肉と30カ月齢以 下のと畜用の生きた牛についても輸入を解禁するということでやってきておりました が、一部の反対がありまして、現時点ではまだこの輸入解禁は実施されておりません。 一方、カナダは、米国産牛肉の輸入を30カ月齢以下の骨なし牛肉について禁止しました けれども、その後、米国産牛等の輸入解禁を実施しているところであります。  それから、BSEの牛から牛への感染を防止するための重要な措置であります飼料規 制についてでございます。日本は、1996年に反すう動物由来の飼料原料を反すう動物に 使用することがないように、これは法律ではなくて通達で指導をしたところでありま す。一方、アメリカ、カナダは1年おくれの1997年に、反すう動物由来の肉骨粉の反す う動物への給与禁止を法律に基づいてやっております。カナダも1997年でございます。 日本の場合は、法律に基づく飼料規制、牛の肉骨粉の飼料利用禁止を2001年にやってお りまして、その際、すべての動物の肉骨粉を牛の飼料に使うことを禁止しております。 米国、カナダでは2004年から、SRMをえさから除去することを提案し、検討をしてい る状況にあります。  次が、届出及びサーベイランスということでございます。届出というのは、BSEの 牛を見つけたら届出をしてくださいということでございます。サーベイランスというの は、その国でBSEがどれだけ浸潤しているかどうかと、あと、BSE対策がどれだけ 効果があるかどうかを調べるために行います。例えば、飼料規制をしたら、その何年か 後にはBSEはなくなるはずであるということですが、サーベイランスをやって、それ でもBSEがどんどん出ているようであれば、その国のBSEの対策が必ずしも十分に 機能していないのではないかということになります。そういうBSE対策の効果を確認 する意味と、その国のBSEの浸潤の状況を把握する上でサーベイランスが重要であり ます。  アメリカは、1986年に発生の報告を義務化しております。そして、1990年にサーベイ ランスを始めておりまして、サーベイランスの頭数は、数千頭であったものが、2002年 からは2万頭、2003年も約2万頭を検査しております。これは、いわゆる高リスク牛を 中心にやっております。ただ、BSEが確認された後、強化をしておりまして、2004年 6月からこれまでに32万頭のサーベイランスをやってきております。  一方、カナダでございますけれども、1990年に発生の報告を義務化しまして、1992年 にサーベイランスを開始したわけでございますが、数千頭程度で実施してきておりまし て、2004年にはそれを拡大しまして2万4,000頭になっております。  一方、日本の方は、1996年に発生報告を義務化しまして、サーベイランスも開始して おります。当初、4,500頭程度の牛を検査していました。当時はEUも全頭でなくて、 24カ月齢の死亡牛を中心にある飼養頭数に応じた頭数の検査をすればいいということ で、日本の飼養頭数からいいますと、EUの基準でいくと大体4,500頭をやればいいと いうことでしたから、死亡牛の検査を4,500頭程度でやっていこうということでやって きたのですけれども、EUの方で、当分の間、死亡牛については24カ月齢は全部やりま しょうということになりまして、日本でも死亡牛については全部やるということで、約 9万頭の検査をしております。  一方、米国、カナダと違って、日本の場合は、と畜場での全頭検査をやってきており まして、先ほど申しましたように、日本でと畜される牛は年間約130万頭おりますので、 約130万頭の牛の検査をやってきているということでございます。  北米におけるBSEの発生の状況ということで、アメリカとカナダでございますけれ ども、カナダでは、これまでに3頭のBSEの発生が確認されております。これは2003 年5月が最初でございますけれども、一方、アメリカではその年の12月に確認されてお ります。ただ、これはカナダ生まれの、カナダから輸入された牛でありまして、北米で はこれまで4頭のBSEの発生が確認されています。随分前に、カナダで輸入牛での発 生もございましたが、北米で発生したものはこの4頭となっております。  次が、BSE対策の現状でございます。飼料規制でございます。  米国、カナダの飼料規制の状況でございますが、1997年から、法律に基づきまして牛 の肉骨粉の牛飼料への利用への禁止、表示の義務、記録の義務化等が課されておりま す。カナダも、先ほど言いましたように、1997年から牛の肉骨粉の牛飼料への利用の禁 止、表示義務、記録義務等が課されておるわけでございます。日本の場合は、1996年か ら指導でやっておりましたけれども、2001年から、飼料安全法に基づきまして、肉骨粉 の牛の飼料への利用禁止と表示の義務等の規制を課しているところであります。  どういう形での規制になっているかを、表にしたのがこれでございます。日本の場合 は、牛の肉骨粉は豚にも鶏にも給与していないということと、豚の肉骨粉も鶏の肉骨粉 も牛へは給与していないということでございます。ただ、先ほども言いましたように、 豚の肉骨粉につきましては、牛のと畜場とか飼料工場で明確にラインを分けることを条 件としまして、豚、鶏に使っていいということでございます。これは、ことしの4月か らそういうことでやってきておりますが、鶏の場合には、当初から豚や牛とと殺される 場所とかが別だということで、ここは認められてきております。  アメリカの場合は、レンダ、飼料工場等が主として分かれているという背景もござい まして、正確には「哺乳動物の肉骨粉を牛に給与してはならない、ただし、哺乳動物の 中で純粋な豚の肉骨粉、馬の肉骨粉は除く」となっていますから、結果として、牛の肉 骨粉を牛に給与してはいけないということになっております。  それと、交差汚染対策といたしましては、アメリカ、カナダはクリーニング方式とラ イン分離をやっておりますが、ライン分離の義務化を検討中です。日本の場合は、クリ ーニング方式からライン分離という形でやってきておりまして、4月から、ライン分離 をちゃんとやっているところについては、豚の肉骨粉も使えるようにしてきているとい うことでございます。  アメリカとカナダの飼料規制の遵守の状況。これは日本もそうでございますけれど も、飼料規制をしているが、これが実際に守られているかどうかということでございま す。これはそれぞれの国がそれぞれの国の基準で調査をした結果で、単純にこれを比較 すること自体は難しいわけですが、アメリカの場合は、2002年に違反が12%ぐらいあっ たのが、2004年は0.1%ということになっております。カナダは8%が5%、日本は1.5 %が0.7%ということで、改善をされてきておりますがゼロということではありません。 あと、レベルについても、その国々によりますので一概に単純に比較することは難しい わけですが、いかに飼料規制を法律で禁止するかも重要ですが、いかに守ってもらうか ということがそれぞれの国にとって重要な課題になろうかと思います。  これまでのお話をまとめたものがこれでございます。  アメリカ、カナダの肉用牛は若齢期に主として牧草で飼育をされているということ で、牧草中心の飼い方がなされております。えさにつきましては、補助飼料は除きます けれども、主として農家で、フィードロットで配合されている部分が多いということ と、飼料規制については、アメリカ、カナダは日本よりも早く規制を導入してきており ます。ただ、豚と鶏の肉骨粉を牛に給与することは認めています。これは、ライン分離 とか工場が分かれているものが多いことを背景とした状況を踏まえた措置になっている ということでございます。それと、肉骨粉は主として畜種ごとに別工場で製造されてい ます。それと、飼料規制の遵守、コンプライアンスは、日、米、カナダ共通の課題であ るということでございまして、これをいかに守ってもらうかが大変重要なことであると いうことでございます。  私の方からの前半部分のお話は終わらせていただきまして、次に、後半部分をお願い いたします。 ○松本参事官  この後、と畜場での扱いになりますので、私の方から御説明いたします。  次、お願いします。これは米国、カナダでの牛肉処理施設の処理の流れです。基本的 には、我が国のと畜場も諸外国を参考にしておりますので同じような流れになります。  まず、と畜場に運ばれました牛には、スタンニングといいましてスタンガンという器 械でボルトを額に撃ち込んで気絶させます。その後、頸動脈を切りまして放血をいたし ます。その後、前歯の永久歯の生え方で30カ月齢以上を区別いたしまして、30カ月 齢以上と判断されたものについてはマークをつけて、それより若い牛と区別するという ことで流れが変わるわけです。その後、皮をはぎます。その後、頭部を除去するという ことになります。その後、腹をあけまして内臓を摘出する。その後に背割りということ をいたします。背割りに使います鋸は、1頭ごとに消毒をするということです。背割り の後に脊髄除去を、ミーリングカッターで、この後写真を出しますけども、脊髄を除去 いたします。その後、枝肉を高圧洗浄いたしまして、重さをはかって冷却をする。そこ で格付をするという流れになります。  日本のと畜場の違いといいますのは、BSE対策でいえば我が国の場合には念には念 を入れということで、予防的観点から背割りの前に脊髄を吸引除去しておるということ であります。  次、お願いします。これが脊髄除去するミーリングカッターというものでありまし て、この上の方からずっと脊髄をはぎ取って、吸引されるということになります。ちょ っと見えづらいですけど、細かいところまでちゃんととるということであります。  次、お願いします。これが脊髄を除去した後、枝肉を高圧洗浄しているところです。 このように高圧水を吹きつけて洗うということであります。  次、お願いします。また、細かいところになりますと蒸気噴霧式吸引機で枝肉を洗浄 するということであります。  次、お願いいたします。米国におきますBSE対策の概要ですが、米国は米国内でB SEが発生する前に、ハーバードリスク分析センターに米国でのBSE対策についての リスク評価を依頼しておりまして、その後、米国内でBSEが発生して、ここに上げま したように5つの対策を昨年平成16年1月12日から施行したということでありま す。  上の3つについては、次のスライド以降でさらに説明いたします。  空気噴射スタンニングの禁止ということについて。牛を気絶させる際には、ボルトを 牛の額に打ち付けるスタンガンという器具を用いることが多いのですが、特に、すばや く苦痛なく牛を気絶させ、また、長時間の気絶状態を生じさせて人道的にと畜できるよ うにするため、ボルトを打ち付けて額に穴をあけ、その穴から圧縮空気を注入して脳構 造をばらばらにする方式の器具を用いることが認められていました。しかし、この方式 では、中枢神経組織の断片が循環系に入ってしまうということから禁止をしたというこ とです。なお、額に穴をあけても圧縮空気を注入しない方式のものについては使用が認 められています。  BSE 検査中の牛肉は陰性が確認されるまで流通禁止ということについては、義務づけ まではしていなかったということから、これを義務づけたというものです。  次、お願いします。先ほど上の3つと言いましたのは最初の部分です。  歩行困難な牛の食用禁止の基本的な考え方としては、歩行困難になった理由やその時 期に関わらず、歩行困難牛はすべてヒトの食料供給から排除するということです。  したがいまして、例えば、施設への運搬中に外傷を負って歩行困難になったというよ うな場合でも、人道的方法で運搬車から降ろし安楽死させ、その と 体を適切に廃棄し なくてはなりません。  また、運搬中は歩行できていたとしても、運搬車から降ろすときに肢を骨折するな ど、施設構内で歩行困難になった牛についても、同様に扱われます。  歩行困難な牛というのが、映像でよくご存じの神経症状で立ち上がれない牛以外もの も含んでいるということはご理解いただけるのではないかと思います。  そういう歩行困難になった牛は食用を禁止するというように対策を強化したわけであ ります。  次、お願いします。次に特定危険部位の除去についてです。  SRMの範囲については、英国の事例や実験的に感染させた牛の組織の感染性の報告 等の検討をもとに、30ヶ月齢以上の頭蓋、脳、眼、三叉神経節、せき柱、せき髄、背 根神経節 、すべての月齢の扁桃、回腸遠位部、ただし除去は確実な除去のため小腸全 体とされています。頭蓋や脊柱については、感染性が認められているのではなく、頭蓋 の内部に眼、三叉神経、脳があること、せき柱の中に背根神経節があることからこれら をSRM に含めているということです。  SRMの除去・廃棄については、施設において最適の手順を実施するには柔軟性が必 要という観点から準拠すべき特定の手順を指示しないが、各施設において、HACCP (危害分析重要管理点方式)、又はSSOP(衛生標準作業手順書)により、SRMの 管理手続きを定めて、SRMを完全に除去し、施設から適切な方法で廃棄することとさ れています。  また、農務省の食品安全検査局(FSIS )は、定められた各施設の手続きが妥当であ り、効果的であるかということを確認することとされています。  次、お願いします。先進的食肉回収システムの規制強化についてです。皆さん方のス ペアリブを食べたときに骨がくっついて残った経験があると思います。業者としては骨 から効率よく肉をはがしたいと考えます。そこで、高圧で骨を破壊することなく、骨か ら肉を肺で採取する方法がございます。それを先進的食肉回収システム(AMR)と言 います。  規制内容としては、脳、せき髄、三叉神経節、背根神経節がAMR を用いることによっ て回収する肉中に混入することがないようにするものです。  したがって、30ヶ月齢以上の牛の頭蓋骨、せき柱以外の骨、例えば、30ヶ月齢以 上の牛の肋骨や肩胛骨の部位、30ヶ月未満の牛の頭蓋骨から AMRを用いて肉を機 械的に分離することは可能とされていますが、30ヶ月例未満の牛の頭蓋や脊柱を用い た場合でも、食肉への脳、三叉神経節、せき髄、背根神経節の組織の混入は禁止されて います。 このように先進的食肉回収システムの規制強化ということを打ち出したわけ であります。  次、お願いします。次に、SRMのリスク管理の措置の比較でございます。  まず、BSE の範囲について米国、カナダとの比較したものです。  頭蓋等の部位という 点では、 各国ほぼ同一ですが、頭蓋、せき髄、せき柱について は、日本では全月齢を対象としているのに対し、米国 、カナダでは、30ヶ月齢以上 となっています。  また、 扁桃については、日本、米国が全月齢、カナダが30ヶ月齢以上となってお り、腸については、日本では、全月齢の回腸遠位部をSRMとして除去することとされて いますが、米国 、カナダでは、全月齢の回腸遠位部とするけれども、この部位の確実 な除去のため小腸全体を除去することとされております。  次、お願いします。  SRMの除去・汚染防止について比較したものです。  牛を気絶させるために行うスタンニングは、日本、米国 、カナダとも 同様に実施し て います。  ピッシングについては、日本では、約7割のと畜場で実施されている状況で、 ピッ シングを中止していると畜場の事例集を提示して中止に向けての取組みを さらに指導 しているところですが、米国 、カナダでは、禁止されており 、この点の問題というの はございません。  また、SRMによる汚染防止措置については、日本では、SSOP(衛生標準作業手順書) を作成することとしており、また、背割り前のせき髄除去についも指導を行って、と畜 頭数ベースで約9割がこれを行っているという状況です。 我が国のこの指導について は、予防的な観点から念には念を入れて背割り前の脊髄除去を指導しているということ であり、研究班での調査研究の中では、背割り後の脊髄除去であっても高圧洗浄を行う ことで十分効果的という結果ではありました。  一方、米国 、カナダでは、 と畜処理施設へのHACCP の導入が義務づけられている状 況であり、各施設に 対してHACCP(危害分析重要管理点方式)又はSSOPの中で管理手続 きを定めなければならないとされています。  なお、脊髄除去については、先ほどご説明したように背割りの後で吸引除去するとい う流れになるかと思います。  次に、BSE検査の取り扱いでございます。次、お願いします。  まずは、BSE検査の目的という観点から、米国・カナダと日本を比べてみました。  米国・カナダは、BSE検査は浸潤状況の把握、対策の効果の確認のためのサーベイ ランスを目的として検査を行っています。  一方、日本では、米国・カナダと同様のサーベイランスを目的として検査を行ってい ますが、これだけではなく、食肉の安全の確保という目的も併せ持っています。サーベ イランスとしては、死亡牛の検査などやと畜牛の検査があり、食肉の安全の確保の観点 からはと畜牛の検査があります。  次、お願いします。  BSE検査がどういった牛を対象として行われているかを取りまとめています。  米国では、と畜場で約2万頭程度を対象としている他、昨年6月から、リスク牛を対 象として強化サーベイランスが行われています。ここには当初の計画頭数として20〜 27万頭程度を掲げておりますが、先ほど説明いたしましたように、既に32万頭程度 の検査が終了しています。  カナダでは、リスク牛を対象としたサーベイランスが行われており、その頭数は今年 から3万頭以上を目標としています。  次、お願いします。続きまして、牛の個体識別制度について。これはBSEの感染牛 が出たときなど、追跡調査がしやすいように考えられたシステムですが、牛の個体識別 制度というものがあります。  次、お願いします。これは各国の個体識別制度であります。  ごらん頂いていますように、カナダ・日本では既に義務化されています。一方、米国 では、現在国を中心としてその普及に努めており、2009年を目途に義務化しようと していますが、現段階では任意です。  この制度で把握できる情報ですが、 (1)いづれの国も個体識別番号を付し、また、出生農場は把握することができます。 (2)一方、日本では、出生年月日は登録が義務化されています。 (3)カナダでは、出生年月日の登録は義務化されていませんが、本年からこれを入力 できるようにシステムが改善されており、生産者は任意で出生年月日を登録することが できるようになっています。  このように、日本とカナダでは、個体識別制度で月齢の確認をすることができます。  米国の場合には一部導入されているものがありますけども、まだ導入されてない部分 が多くあるということであります。これは次に話します輸入再開に当たっての月齢をど うやって確認するかというところに関係するわけであります。  次、お願いいたします。以上米国あるいはカナダの肉牛産業構造あるいはBSE対策の 内容につきまして説明いたしましたけども、それらを踏まえまして私ども厚生労働省と 農林水産省が米国産及びカナダ産牛肉の輸入再開についてどのように考えているかとい うことについて説明いたします。  次、お願いします。今後、米国産及びカナダ産の牛肉の輸入再開につきまして、食品 安全委員会に諮問をしたいと考えておりますが、その内容といたしましては、米国、カ ナダから輸入される牛肉について、我が国で流通する牛肉とのBSEのリスクの同等性 がどうであるかということが一つ。かつ、その対象となる牛肉は米国及びカナダでとら れています現在の国内規制と、日本向け輸出プログラムということで上乗せの規制管理 がされますけども、その上乗せの管理がされた牛肉が対象となるということでありま す。  ここで、日本向け輸出プログラムとありますけども、これについて説明いたします。  次、お願いします。  日本向け輸出プログラムは、米国やカナダで国内流通する牛肉とは異なり、日本向け に輸出される牛肉に適用されるいわば日本向け輸出牛肉の条件です。このプログラム で、ここに掲げております2点を担保することとしております。  一点目は、上段に掲げてありますように、輸出される牛肉は20ヶ月齢以下であるこ とです。  二点目は、特定危険部位をあらゆる月齢から除去することです。  こういった条件については、日本側が査察を行うことで確実に履行されていることを 確認しようと考えています。  それでは、これから、この条件をどのように証明或いは履行していくかについて説明 します。  次、お願いします。  まずは、20ヶ月齢以下の牛であることの判別の方法です。  米国については、生産記録で確認するか、あるいは生理学的成熟度を用いて確認する こととしています。  カナダについては、先ほど説明した、個体識別制度により確認することとしていま す。  米国について、さらに詳しく説明します。  次、お願いします。これは先ほど一番最初に生産農家で6カ月、育成農家で大体半年 から8カ月、フィードロットで3〜4カ月育てられてと畜に回されます。その多くは大 体15カ月から18カ月ぐらいで米国ではと畜されておりますけども、20カ月齢以下 の牛ということを確認する必要があるわけです。  米国では、大きく分けて2つの方法で月齢を判別することとしています。  まずは、左側に掲げてありますが、生産記録による証明です。  個体毎に月齢を証明する記録がある場合、これを利用します。  次に、群毎の月齢の証明ですが、米国では、子牛はほぼ同じシーズン、春と秋に大き く分かれますが、このシーズンに生まれます。同じ群で同じシーズンに生まれた牛は、 その群で始めに生まれた牛の生年月日を持ってその群の牛全ての生年月日とします。従 って、同じ群の牛は、その生年月日よりも前に生まれたことにはならないという仕組み です。  次いで、右側に掲げてありますが、枝肉の生理学的成熟度による判別です。  米国では、食肉のグレードを格付する際に、肉質等級だけでなく、牛の生理学的成熟 度についても判定し、総合的に格付を行っています。生理学的成熟度、マチュリティと 呼ばれていますが、これを用いても牛の月齢を把握することが可能です。  このマチュリティについて、さらに詳しく説明します。  次、お願いします。  マチュリティは若い牛からA、B、C、D、Eと5段階に区分され、それぞれの段階が さらに区分されています。  ここには、A40とA50とを示してありますが、40,50,60と増えるに従っ て、月齢が進み、一方30、20、10と減るに従って、月齢が若くなります。  この表は、米国で用いられているマチュリティの判定基準のうち、輸入再開に当たっ てその牛が20ヶ月齢以下であることの証明に使用しようとしている区分であるA40 と、それよりも月齢が進んでいるA50について示しました。  両者の違いは、青色で示してあります。  牛の背骨のうち、骨盤の部分にある「仙椎」と呼ばれる部分と、その少し上にある 「腰椎」の部分で両者の違いが最も鮮明になっています。  背骨は、椎骨と呼ばれる骨がいくつもつながってできています。加齢により、この椎 骨同志のつながりが強くなっていきます。  例えば、仙椎についてみると、A40では椎骨は一つ一つ明確に分離しています。一方A 50では分離はしていますが、あまり明瞭にはわかりません。また、皆さんが背中を触 ると背骨にごつごつしたものを感じると思いますが、これが椎骨のきょく突起と呼ばれ る部分です。A40ではこのきょく突起の上部の部分、ここでは「上部」と書いてありま すが、そこに相当の軟骨が残っていますが、A50ではその量がA40ほどではありません。  また、腰椎についてみると、やはりきょく突起の上部がA40では骨化が進んでいない のに対し、A50ではほぼ骨化してしまっています。  これについて、写真で説明します。  これは、腰椎の部分の 棘突起 (きょくとっき)と呼ばれる部分の写真です。  左の写真が、A40に格付けされたものです。上部に白い部分が見えますが、これが軟 骨の部分です。  右の3枚の写真は、左から、軟骨だけのもの、部分的に残っているものの一部骨化、 言い換えると骨に変わってしまっているもの、、骨に変わってしまったものを示してい ます。  A40では、この左あるいは真ん中の状態です。A50になると右の状態になります。  こういったマチュリティについては、日本でも専門家の方々に検討いただきました。  よくテレビ等で肉質で月齢を判別すると言われますけども、この棘突起の軟骨の骨化 でA40とA50が判別できるということです。  次、お願いします。これが今年(平成17年)の2月に出ました月齢判別についての 検討会の報告書であります。4つまとめてありまして、A40の評価決定ポイントは高 い精度での判別が可能、牛枝肉の生理学的成熟度を客観的に判別する基準としては適当 だという結論をいただいております。  また、A40を基準として採用し得るか否かの判断は、統計学的分析による数値のみ でなくて米国産牛肉のBSE感染リスクの程度の評価とあわせて評価すべきだという御 意見もいただいております。  次、お願いします。3番目として、A40を基準として用いた場合、統計学的分析か らは21カ月齢以上の牛の枝肉がA40以下と評価される可能性は1.92%以下と。  仮にA40を基準として採用する場合には、評価結果の記録・保存が必要ということ で、これは先ほど申し上げました日本に向けて輸出するときの輸出プログラムに反映す る。  また、今回の評価にはおのずと評価するためのデータに限りがありましたので、追加 的な検証または事後のフォローアップが必要という専門家の御意見をいただいたところ であります。  次、お願いします。  次に、日本向け輸出プログラムのSRMの除去についてでございます。  SRMについては、全月齢からのSRM除去、これは我が国と同じ範囲をSRMとし て除去するということです。  また、SRMの除去等について、各施設に対しては、HACCP計画又はSSOPに 基づいて実施するということで、  SRM除去、分離、廃棄のための手順を作成し、それを実施すること  実施や監視に関する日報を記録すること  を求めております。  そして、各施設が有する管理計画についてUSDAが検証を行い、さらに日本側によ る定期的査察も行うという形で実施面での担保をしていくこととしております。  次、お願いします。  いずれにしましても、米国、カナダ産牛肉の輸入再開については、我が国と同等の安 全性が確保されるということが基本的な考え方です。  今後、食品安全委員会に米国産、カナダ産牛肉について、国産牛肉とのBSEリスク の同等性について評価を依頼することになりますが、現在の米国、カナダで講じられて いる国内措置の下で、20ヶ月齢以下の牛由来の牛肉であり、全月齢からのSRMの除 去がなされるという基準に合致するものについて、国産牛肉と同等の安全性が得られる かどうかというような評価を依頼することを考えております。  ちょっと長くなりましたが、御清聴ありがとうございました。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  それでは、ここで休憩を設けたいと思います。会場の時計で2時20分から再開いたし ますので、それまでにお席の方へお戻りいただきますようお願いいたします。                   ―休憩― (2) 意見交換 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  では、これから意見交換に入りたいと思います。  まず最初に、説明者を紹介いたします。  皆様の方から見て一番右から、厚生労働省大臣官房参事官の松本義幸でございます。  その隣が、農林水産省消費安全局参事官の伊地知俊一でございます。  その隣が、内閣府食品安全委員会事務局リスクコミュニケーション官の西郷正道でご ざいます。  コーディネーターは、引き続き私、広瀬が務めます。よろしくお願いいたします。  それでは、意見交換の方法ですが、まず最初に、先ほど説明させていただきました米 国、カナダのBSE対策の現状について、説明内容についての不明な点等につきまして 御質問をいただきたいと考えております。一通り質疑応答が終わった段階で、その後、 輸入再開に当たっての考え方も含めまして御意見をいただいていきたいと考えておりま す。  なるべく多くの方に御発言をいただきたいと思っておりまして、大変申しわけありま せんが、御質問、御意見とも、お一人様2分以内で簡潔にお願いいたします。また、発 言に先立ちまして、お名前と、差し支えなければ所属を申していただければと思いま す。恐縮ですが、時間の管理の関係で、1分半で1回、2分たちましたら2回と、ベル を事務局の方で鳴らさせていただきますので、次の方にお譲りいただきますようお願い いたします。それから、やじ、拍手、その他の意見交換の妨げになる行為はお控えいた だきますようお願いいたします。場合によっては、御退席いただく場合がございます。  それでは、米国、カナダのBSE対策等の現状につきまして、御質問をいただきたい と思います。係の者がマイクを持って伺いますので、マイクを持ってから発言されるよ うにお願いいたします。それでは、御発言される方、手を挙げていただければと思いま す。  それでは、前の方。 ○参加者1  大阪消団連の飯田と申します。5点ほど質問があります。  先ほどの資料の5ページですが、レンダリングの関係で、米国、カナダの大部分の工 場でラインが分離をされていると報告があったと思うんですが、大部分というのはどの 程度か。数値的には何か把握されているんでしょうか。それが1点目です。  それから、11ページの、アメリカ、カナダの検査件数があるんですが、この検査率は どの程度でしょうか。母数とかがわかっていれば教えていただきたいと思います。  それから、22ページの、A40以下の判定のことですが、これがA40、あるいはA20、 A30と判定されたその判定の証明がどこまで流通で対になっていくのか、わかれば教え ていただきたいと思います。  それから、24ページですが、SRMの除去の問題で、30カ月齢以上、以下、あるいは すべてという区分があるんですが、除去されたSRMはどのように利用されるんでしょ うか、あるいは廃棄されるんでしょうか、それを教えていただきたい。  最後ですが、先日のパブリックコメントの中で、アメリカ政府は、日本の21カ月ある いは23カ月齢のBSEの症例は国際的な科学者間では認知をされていないと述べていま すが、日本政府はそれについてどういう見解を持っているかを教えていただきたいと思 います。  以上です。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。  済みません。先ほどの11ページの検査件数ということですが、飼料規制の上段の話で よろしいんでしょうか。 ○参加者1  はい。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  わかりました。  レンダリングの大部分で分かれているというところはどの程度の数字かについて、伊 地知参事官の方からお願いしたいと思います。 ○伊地知参事官  レンダリングの数が米国では255施設あると言われていまして、そのうち、混合の ものが約2割。したがいまして、8割は非反すう動物と反すう動物とに分かれていると 聞いております。  それと、検査の件数でございますけれども、これにつきましては、どれだけ飼料会社 があるかどうかということですと、レンダの数は今申し上げましたように米国が255 で、日本の場合は約100社ぐらいありますし、ちょっと集計したような形にはなってお りませんけれども、配合飼料の工場数は、アメリカとカナダを合わせまして約6,000か ら7,000ぐらいあると言われています。日本の場合は、800から900の工場があると言わ れております。  それで、あちらから聞いている内容では、アメリカで肉骨粉を使用している工場は約 1,600工場、そのうち牛の肉骨粉を使用している工場は541工場ですけれども、そのう ち、牛の飼料を生産している工場は129工場ということで、数からいくとかなり少な く、シェアとしてはかなり低い状況にあります。  それと、A40が流通段階でどこまで確認されるかということでございますが、A40と いうのは、今現在アメリカで格付をやる際の基礎データで、格付自体はプライム、チョ イスとかいう形でなされていまして、A40自体は、その前段となる基礎的なものという 位置づけでありますので、「A40」という表示がそのまま流通段階にいっているという 実態ではありません。  したがいまして、A40とかいう仕組みを採用するに当たっては、ちゃんとそれを記録 するように、記録というのは、格付をする際に個体ごとに記録するということで、流通 段階までそれがずっといくということではございませんけれども、格付をするときに、 そういうのを明確に個体ごとにちゃんと記録できるような仕組みにしてほしいというこ とをアメリカ側に今話をしているところです。あちらもそういう方向で検討をしている 状況にあります。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  4番目については、松本参事官の方から。 ○松本参事官  100%かどうかについては、ちょっと確認はしておりませんけれども、除去したSR Mはレンダリングの方に回されていると聞いております。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  5番目の、21カ月齢、23カ月齢のところについて、西郷リスクコミュニケーション官 から。 ○西郷リスクコミュニケーション官  政府としての考えということであれば、判定のルールを厚生労働省あるいは農林水産 省からお答えいただければいいかと思いますけれども、今回の評価ではどう考えたかと いった点で、確かにそういうコメントもいただきました。ただ、我が国では、診断その ものは異常プリオンがあったか、なかったかといったことでやっており、見つかったこ とは確かなので、ありましたよということですね。そういうことで診断しているとコメ ントへの回答もしているところでございます。  ただ、国際的な議論としては、見つかったプリオンに感染性があるか、ないか。非常 に量が少なかったとか、あるいは非定型と言われたこともあって、実際、そういった議 論はまだ続いているということでございますけれども、BSEであったか、なかったか ということについては、基本的には、評価においても21・23カ月齢のものはBSEだっ たという御議論をいただいているところでございます。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  今質問をいただいた方、何か追加の質問とかはよろしいでしょうか。  それでは、ほかの方、いかがでしょうか。それでは、最初に前の方の列の女性の方、 次にそちらの方というふうにしたいと思います。 ○参加者2  めいきん生協の福谷と申します。よろしくお願いします。4点お願いします。  まず、差しかえの7ページのところで、カナダ産の解禁のことについて一部が反対で あったからと言われましたけれども、その反対理由と、そのことに対してどう考えられ たのか。  それから、12ページの、歯で確認をすると言われたんですけれども、この確率性とい うか、どのぐらいの確率で本当に確認できるものなのか。  それから、19ページで識別の予定がまだはっきりされないようなことを言われました けれども、このことに対して私たちはどう考えたらいいのか。  最後に、22ページのところで、群で証明する場合、これは確率的に本当に最初に生ま れたということが証明できるのかなと思うんです。  この4点をわかる範囲内でお願いいたします。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  済みません。3点目のところは17ページになりますでしょうか。識別の予定がはっき りしないというような。 ○参加者2  19ページの、「牛の個体識別制度」のところで、まだ予定で、はっきりしませんと言 われたと思うんですけれども。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  19ページの方ですね、個体識別の。 ○参加者2  米国の施行年のところでそう言われましたよね、はっきりしませんというふうに。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  はい。それでは、一つ目の方からお願いします。 ○伊地知参事官  アメリカがカナダから30カ月齢以下の牛の輸入をする際に、一部とまっているという のは、アメリカの生産者が反対をしまして裁判に訴えまして、差しとめという状況にな っていると聞いています。  それと、歯がどれだけの信頼性があるかという話でございますが、正確に何%の誤差 があるとかいう数字は持ち合わせておりませんけれども、一般的に欧米では乳歯が永久 歯に生えかわる、第1・第2切歯が生えかわるところが30カ月齢と言われ、これが一般 的に使われています。  ただ、EUの場合は、トレーサビリティーシステムを導入して生年月日もわかるよう になってきましたけれども、それ以外の、生年月日を明確にちゃんとトレーサビリティ ーに入れていないところでは、30カ月齢という基準として一般的に使われているという ことです。正確に何%の誤差があるかまでは承知をしておりません。  それと、アメリカがトレーサビリティーを導入するのがいつごろか。これは、私ども は2009年ぐらいまでには導入したいというふうに聞いております。ただ、これはカナダ も豪州もそうなんですけれども、一般的にトレーサビリティーといった場合には、生年 月日まではやらずに、例えば、病気があったときとか事故があったときに、どこから来 たのかという由来を追跡するということで、出荷農場、それからどういう変遷を経てそ の牛が来たかを追跡するのが一般的であります。日本のように、今議論になっています ような20カ月齢とか21カ月齢とかいうきちっとした月齢を議論をするような状況になっ ていません。  ただ、日本側から20カ月齢、21カ月齢という話があるもんですから、カナダはそうい うことも任意でやりましょうという形で、カナダの場合は任意で入れるようにしてきて おります。アメリカは、現時点ではそれがどうなるかは明確ではございませんが、今度 の輸出プログラムでは、基本的にプログラムの中で農家とパッカーとの間で取り引きを する際に、農家の段階でちゃんと生産の記録をとっていこうと考えておりまして、それ をちゃんとどうやって記録していくかを今事務的に詰めているところと聞いています。  それと、群でどうやって証明ができるのかということでございますが、基本的には季 節繁殖をやっているというのが一般的でございまして、雌牛は放牧されているわけで す。そこに、日本の場合はほとんどが人工授精なのでこういうことはないんですけれど も、アメリカとかカナダは放牧をしているところに雄牛を入れるんですね。そうする と、雄牛はすぐ雌牛に乗って受精をします。大体9カ月が妊娠期間ですから、もちろん 前後1週間か2週間のずれがありますけれども、284日ぐらいしたら子牛が生まれます。  雄牛を入れたときから大体2〜3カ月一緒に置いておくそうです。そうすると、雄牛 が種をつけまして、雌牛はほとんど妊娠していきます。妊娠をしますと、妊娠期間がた ったころに子牛が生まれてきます。それで、雄牛を入れて種つけをした後9カ月ぐらい のころ、よく注意深く観察をして、大体生まれそうな牛は観察がしやすいところに集め てくることが多いと聞いていますけれども、そのように集めてよく観察をし、最初に生 まれた子牛を見つけて、その後に生まれてくるものは、もう最初に生まれたものと同じ 生年月日とする。だから、本当は2〜3カ月若い牛も、2〜3カ月年をとった形で生年 月日がついてしまうということでございます。  若い牛を年とったものとして生年月日をつけること自体は、当方にとりましては不都 合ございませんので、それはそれでよろしいのではないかと考えております。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  質問いただいた方、よろしいでしょうか。  それでは、右の列の後ろの方。 ○参加者3  座ったままでいいですか。済みません。主婦の内田と申します。  先ほど私もそれを聞こうと思ったんですけれども、季節飼いのことです。季節飼いを しているということで、最初に生まれた牛と終わりごろに生まれた牛では2〜3カ月の 差とおっしゃいましたが、それは一つのグループを、総入れかえというか、まざらない ように農場で区切りをつけて雄牛を次の段階へ送るということでしょうか。  それからもう1点は、24ページのA40のお話です。1.92%以下がほんのわずかの差と おっしゃったんですけれども、単純に私たちが見るんだったら、「日本にどのぐらいの 米国産の牛肉が入っていて、100頭のうちの2頭弱という数字は少ないのかな。私たち にすれば大きな数字だけれど」と感じるんですが、日本で以前販売されていた米国から の牛肉の割合に比べて1.92というのは、本当に心配のない数字なんでしょうか。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。伊地知参事官、お願いします。 ○伊地知参事官  牛がまざらないかどうかという意味が、私ちょっと正確に理解できていないんですけ れども、雌牛が放牧されている中に、雌牛がたくさんおれば、1頭の雄牛で全部種がつ くというのは難しいので、雄牛を複数放すことになると思います。人工授精の場合は、 精液を分けて使いますから、1頭の雄牛から1万頭余りの雌牛に子供を産ませることが できます。ただ、実際の自然交配の場合はそんなにたくさんはつけられないから、恐ら く300頭とか400頭とか。毎日雌に種をつけても365頭ということで、雌牛がたくさんい るところには複数の雄牛を放つことになるかと思います。  ポイントは、一番最初にいつ雄牛を群の中に入れたかということでございます。最初 に入れたら、一番早いものではその日のうちに受精するかもしれません。そうしたら、 あと2〜3カ月の間に受精したものが生まれるのは、その後になる可能性が高いわけで すね。そして、さっき言いましたように、妊娠期間がたつころによく注意観察をして、 最初に生まれた子供を確認すれば、あと2〜3カ月の間に生まれたものにはずっと全部 同じ生年月日をつけるわけです。  ですから、本当は若いんだけれども、数カ月年上の生年月日がついてしまう。本当は 2カ月ぐらい若いんだけれども、2カ月年をとった生年月日がつけられてしまうという ことで、若いものが年をとった形で生年月日になること自体に不都合はございません。  ちょっと趣旨が違いますか。済みません。じゃ、もう1回質問を。 ○参加者3  そのお話はよくわかるんですけれども、私がお聞きしたかったことは、多分日本で考 えているものと放牧が随分違うんだろうと思うんです。  雄牛を入れて妊娠するグループというか、妊娠させたいグループに雄牛を入れるわけ じゃないですか。牧場で放牧してあるわけですから、そのグループは違うグループとま ざりはしなくて、そこで生まれた子供はすべて、6カ月以上という目安ですので、2〜 3カ月の差があっても早く送るのか、それとも一番最後の子供を基準に順番に送ってい くのか。それでやっぱり生年月日がちょっとわかりづらいということです。 ○伊地知参事官  それよりも以前に妊娠したものがほかの群からまざってこないかという意味ですよ ね。  基本的には、そういうことがないように、生年月日をちゃんとつけてもらうような管 理をしてもらうしかないと考えております。  それとあと、A40の1.92%が高いのか、低いのかという話でございます。これは、ア メリカのリスク評価とあわせて検討すべきだという結論になっていますけれども、1.92 %というのは、アメリカ側が今回のマチュリティーの調査、研究をやる際に3,338頭に ついて調べたわけです。その中で、実際には、A40は17カ月齢以上のものはいなかった わけです。その頭数を統計学的に処理しますと100%絶対大丈夫だとはならなくて、99 %の信頼でも最低1.92%以下の可能性があるんだというふうに統計学的にはなっており ます。これについては、統計の専門家は、追加的検証をしてほしいといっております。  統計である以上、100%サンプル調査では絶対大丈夫というのは出てきません。先ほ ど言いましたように、A40では一番多いのが15〜16カ月齢の牛でございまして、17カ月 齢まではいますけれども、18カ月齢以上の牛はサンプル調査の結果では、ゼロなんで す。ただ、統計学的には絶対にゼロだとは言えません。サンプルの数が少なければ、危 険率を見込んで1.92とか言わざるを得ません。ただ、追加的検証をやってサンプルがふ え、それでもいなければ、この率はどんどん落ちてきます。それで、アメリカの方には 追加的な検証をする必要があるんだという話をしています。アメリカ側も、さらにデー タを提供することになっています。  それと、アメリカから来るものはどれぐらいの頭数かということですけれども、これ は、肉の量を1頭当たりの肉量に換算すると約100万頭ぐらいになるんです。ただ、実 際には、部位によって偏りがあります。アメリカからは、1頭分の牛そのものが丸々、 いわゆるフルセットと言うんですけれども、牛1頭分の肉がそのまま来るわけじゃなく て、例えば、牛丼に使われるバラがたくさん入ってくるとか、タンとか、部位によって 違ってきます。ただ、そういうことを度外視しまして肉の量が単純に何頭分かという と、100万頭分ぐらいです。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  御質問をいただいた方、よろしいでしょうか。 ○参加者3  はい。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  それでは、ほかの方。一番左の列の女性の方と、その次に真ん中の列にお二方いらっ しゃるので、その順番でいきたいと思います。 ○参加者4  主婦です。2点ほどお聞きしたいんです。  A40のことですけれども、ここに参考資料というのがありまして、3ページのところ の表を見ているんですが、A40が3,338頭のうち196という形になるんですけれども、全 体として、例えば、A40という形で日本に輸入できるのはこの範囲内となった場合、日 本が必要としている量がこれで確保できるのかというのがちょっとわからなかったとい うこと。  あと、要は30カ月でなくて20カ月以下ということに日本の方は焦点を絞っていると思 うんですけれども、アメリカでと畜されるのが20カ月以下のものが多いというお話をさ れていながら、実際はアメリカでは30カ月齢以上のものでないと危険部位を取り除いて いないとか、すごく矛盾点が多くて、今後、日本がアメリカにどれだけ条件を言ってい って、それをアメリカが飲んでくれるのかというのがとても不安になっております。  もう終わりましたか、これからですか、5月のOIE総会で、世界的に30カ月でやっ ていこうという話になってきますと、それでアメリカが強く出てきて、日本は20カ月と 言っていますが、実際それが通っていくのか。A40とかかわってくるんですけれども。  それともう一つ、アメリカからダイレクトに輸入されるもの以外に、例えば、メキシ コがアメリカのものの輸入解禁を去年の春にしていますが、メキシコを経由してそうい うものがきちっと検査されないまま入ってくる危険性はないのかということ。タンです とか、とてもメキシコ産のものもふえているというものが出ていますので、そこらあた りのところも教えてください。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  それでは、A40のところで、十分日本が必要とする量が入ってくるのかという御質問 がありましたけれども。 ○伊地知参事官  今見られたように、表でA40というのを見ていただくと、これは若い牛ばかりです。 もちろん、A、B、C、D、Eと5段階に分かれて、成熟度が進んでいないものです。 一方、アメリカでは何で30カ月齢以上のSRMをとっているのかと言われるんですけれ ども、これは、資料2ページの、アメリカ、カナダの牛の飼養頭数と3ページの上の表 をちょっと見ていただきたいんです。  先ほど肉用牛のところで、アメリカでは3,350万頭の牛がと殺をされていまして、そ のうちの去勢牛と未経産牛で約2,700万頭いるという説明をいたしました。それ以外に 繁殖牛と乳牛がいますと言いましたけれども、去勢牛と未経産牛は、肥育を目的にして 飼っているので、若いんです。  一方、繁殖牛は子供をとる牛ですので、子供をできるだけたくさんとろうということ で10歳以上ぐらいまで飼われると思います。乳牛は、大体日本の場合は4産ぐらい。恐 らくアメリカも4産ぐらいで、子供を4回ぐらい産むと思います。そうすると、大体6 歳ぐらいになりますから、肥育牛以外の経産牛は30カ月齢を超えるわけです。そういう ものは、年をとっていますから、30カ月齢を超えて、かつさっき言ったような形で特定 危険部位を除去しなくちゃいけないような牛であるということです。  日本に輸出されているものは、そういう年をとった、お産をした牛の肉はほとんど来 ていませんでした。ですから、こういうものは国内でハンバーガーとかに使われるもの が多いわけです。ということで、30カ月齢以上の牛は、アメリカにはいるけれども、日 本への輸出用にはそういうものは回ってこないし、今回輸入を認めるものについては、 こういうものは対象にされないということでございます。  あと、OIE総会はまだ行われていませんで、先ほど言われたように、OIEでは、 BSEのその国のリスクにかかわらず、骨を除いた牛肉は貿易をしていいというBSE のコード改正が予定をされております。多くの国はこれに賛成するのかもしれません。 総会をやってみないと正確にはわかりませんけれども、そういう修正案が出ています。  しかし、日本は、それが決まったからといって、アメリカからすぐにどんな年をとっ た牛の肉でも輸入を認めるということではありません。OIEの国際基準というのは、 いわゆるWTO上、国際基準と位置づけられておりますので、WTO加盟国、OIE加 盟国については、基本的にはそれを守らなければいけないんですけれども、SPS協定 というのがございまして、科学的な根拠がある場合はそれ以上の措置をとることができ るという規定があります。したがいまして、科学的根拠があるということであれば、年 とった牛は輸入を認めませんよと言うことができますので、そういう形での対応をとっ ていくことになるのではないかと思います。  その際に、本当に科学的な根拠があるかどうかというのは、争いになる可能性はあり ます。そして、国際的に本当に科学的な根拠があるかどうかをやらなくちゃいけない場 合もありますけれども、アメリカ、カナダがWTOに訴えなければ、そういうこともな くて、2国間での協議の中で話が進められるということになるかと思います。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  3点目は松本参事官の方からお願いします。 ○松本参事官  米国からの牛肉がメキシコ等を経由して来るのではないか、それは大丈夫かというお 尋ねであります。  メキシコ産を含めまして、我が国に牛肉が輸入されるときには、輸入時に、全国31カ 所にある検疫所で輸出国政府が発行した衛生証明書の内容を確認していますし、必要に 応じまして検査を実施しております。また、直接ではなく、第三国経由でBSE発生国 の牛肉等が輸入されていることがあっては困りますので、そういうことがないよう、輸 入時に検疫所におきまして原材料由来など詳細な確認を行っております。検疫所の段階 で、水際で入らないようにしているということであります。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。  先ほど量が十分確保できるのかというお話もあったかと思いますけれども、やはり量 的な問題というよりは、まず安全性が確認できたものから輸入が再開されていくという ことが政府としては重要なのではないかと考えているところでございます。  今御質問いただいた方は、以上でよろしいでしょうか。特に追加のコメント等があり ますか。 ○参加者4  先ほど、特定危険部位をレンダリングの方に回されると言われていたんですけれど も、今現実アメリカでとられているのは30カ月齢以上のものですよね。でも、実際と畜 場では20カ月齢以下のものがほとんどだと説明されていましたので、そのものは特定危 険部位としてとられていないわけですよね。そういったものはどこに行っちゃうんです か。ほとんど20カ月以下のものがと畜されていて、日本が特定危険部位としている部分 が削除されていないと私は解釈したんですけれども、じゃ、それはどこに行くのかなと いう疑問がわいてきたんです。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  松本参事官、お願いいたします。 ○松本参事官  基本的には食物連鎖から除くことになっておりますので、枝肉なんかにはまざらない ようになっていると聞いております。 ○参加者4  確認はしていないんですか。 ○松本参事官  アメリカには全部で800幾つと畜場がありますが、全てが輸出プログラムの対象では ないので、輸出プログラムの対象となる我が国に輸出したいと畜場等については、どの ようにやっているかを我が国から実際に調査にも行きますし、輸入再開ということにな った後には、ちゃんと査察に行くことになっております。 ○参加者4  と畜する業者を指定するわけですか。 ○松本参事官  そうです。 ○参加者4  そうですか。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  よろしいでしょうか。  それでは、真ん中の列の前の方、先ほど手を挙げられていた方。 ○参加者5  みかわ市民生協の松井賢子と申します。よろしくお願いします。  先ほど、3,000頭余り検査して一番多かったのが17カ月以下のものでしたと聞いたん ですけれども、20カ月というそもそもの基準は、危険か危険でないかの境目だと私は記 憶しているんです。BSEのプリオンとかが発生するか発生しないかが、20カ月以上で は発生率が多くて、20カ月以下だと発生率が少ないのではなかったと思っております。 私の記憶違いでしたら申しわけありません。  やはり、20カ月とある程度規定されるということは、その辺のところが一番判断しに くいところがあると思うんですけれども、大体17カ月以下ですから危険はありませんと いうことでこのまま進んでいくと、20カ月がだんだん多くなった場合、その基準をどう するかとか、その辺がちょっとあいまいじゃないかと思っています。  もし実際に規制緩和でそういうところがどんどん多くなって、20カ月以上で21カ月ち ょっと以下とかいう感じでも20カ月で来た場合、その基準をもう少し厳しく、きちっと 20カ月以下なら20カ月に近いようなものを検査することが一番いいんじゃないかと思う んですけれども、その辺はどうでしょうか。ちょっとよくわからなかったもんですか ら、済みません。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  まず、20カ月のところについて、西郷リスクコミュニケーション官の方から御説明い ただきたいと思います。 ○西郷リスクコミュニケーション官  20カ月よりも若い牛が安全で、それより年をとった牛が危険だということを評価した わけでも何でもありません。参考1に評価結果の概要が出ておりますが、今回の食品安 全委員会に評価の依頼があったのは、21カ月未満の牛のと畜場での検査をやめたとき に、どのぐらいリスクが高まりますか、あるいはどのぐらいリスクが変わりますかとい うことだったわけですね。  それで、いろんな評価をしてまいりますと、2の(1)に書いてありますけれども、全 頭検査した場合と21カ月齢以上を検査した場合、要するに20カ月齢未満はやめた場合で は、いずれにおいてもリスクはそもそも低く、「無視できる」または「非常に低い」の 間だということであります。定量的に計算してみてもやはり低かったということなの で、今20ヶ月齢以下についても全部検査いるわけですけれども、やめた場合でもリス クはほぼ変わらないし、増加するとしても「無視できる」または「非常に低い」という 答えでしたという評価であって、別に20カ月を境に急に危険になるということでは全く ないということでございます。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  21カ月齢以上であれば、基本的に検査で見つかる可能性があるということで、検査を していない牛ということでは20カ月以下であれば、例えば、検査をしても、しなくて も、そんなに変わらないということかと思うんですけれども。 ○西郷リスクコミュニケーション官  21カ月齢以上であれば、検査すれば感染した牛が必ず見つかるかというと、実はそう ではありません。やはり、検査する部位にどのくらいたまっているかということでござ いますから、幾ら感染していても、ひっかかるものが検査限界よりもたくさんたまって こないと見つかりません。そういう形もありますし、当然、21カ月齢以下でも感染した ものが見つからないかもしれないということです。今の技術だとその辺が限界と申しま すか、もちろん検査技術が向上してくればまた話は別になるのかもしれませんけれど も、プリオン専門調査会の御議論では、その辺に限界があるかと。  ただ、20カ月齢以上、あるいはずっと年をとったものが感染していても、それが必ず 見つかるのかというと、そうではない。それから逆に、20カ月以下でこの先絶対に見つ からないかというと、そうは言い切れないけれども、今の技術だと見つかる確率は非常 に低いのではないかと、そのような評価の御議論をいただいたということでございま す。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  今の御質問の中で、A40というので、今、3,338頭では17カ月齢しか見つかっていな いけれども、これが20カ月齢に近くなるようなことはないかという御趣旨の質問もあっ たかと思うんです。多分、先ほどのA40が本当に20カ月齢を超えないのかというのと同 趣旨かとは思うんですが、いかがでしょうか。 ○伊地知参事官  アメリカが調査、研究をした結果、そういう結果が出て、それについて統計学的な評 価をすれば、サンプルではゼロだけれども、1.92%以下は出る可能性もある。よって、 さらにサンプルを集めてやってみてくださいというのが追加的検証でございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、肥育牛のほとんどは20カ月齢以下なんです ね。その中で、A40の割合は8%ちょっとです。若い方から8%ぐらいしかA40以下に 入ってこないんです。そうすると、これはかなり若いものであって、本当はA60でも A70でも大部分は20カ月齢以下なんです。  当初、アメリカはA60とかA70でやっていきたいと思っていたようでございます。そ うすると、先ほど言いましたように、A60でもA70でも大部分は20カ月齢以下ですけれ ども、一部21カ月齢が入り込むということがあって、これでは日本としては受け入れら れませんということで、日本の専門家はそれを認めなかったわけです。  じゃ、どこまでだったら認められるのかということで、どんどん水準を落としてき て、全体の中での8%程度のものぐらいしか入らない水準のものであれば、先ほど言い ましたような骨の状況とかをよく判断して仕分けもつくし、判断基準として採用できる というのが専門家の意見でございました。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。今の方、よろしいでしょうか。  それでは、まず真ん中の方。 ○参加者6  岐阜県の臼井と申します。3点教えていただきたいんです。  一つは、5ページの肉骨粉の話です。米国、カナダでは、豚の肉骨粉を牛が若干食べ ているという説明がございました。これは、乳牛が食べていると考えればいいのかとい うことが1点です。  それから、19ページで、カナダでトレーサビリティーを、資料では任意で実施となっ ているわけですけれども、生年月日までやると。私よくわかりませんが、飼養形態はア メリカと同じだと思うんです。生年月日のトレーサビリティーまですることが可能なの かどうかが2点目です。  3点目は、22ページで、月齢の判別方法が2通りあり、一つは、今話題になっていま すA40という判別、もう一つは書類でやるとなっているわけですが、実際にはパーセン トでいけばどの程度に分かれるのか、もしおわかりであれば教えていただきたいと思い ます。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。お願いいたします。 ○伊地知参事官  豚の肉骨粉等を食べているのは乳牛なのか肉牛なのかということです。絶対どれだけ だと断定して言うのは難しいと思うんですけれども、基本的には乳牛の方が多いと考え られます。それは、配合飼料の比率が乳牛の方が多くなっているからです。単味飼料で の比率は肉用牛が多いということで、乳牛の方に給与されている可能性は高い。ただ、 どれだけが乳牛でどれだけが肉牛かという肉骨粉の比率についての正確な数字を今持ち 合わせておりませんので、感覚的なもので申しわけございません。  それと、カナダは生年月日をどうやってやるのかということでございますけれども、 これも恐らくアメリカと同じような群単位でやらざるを得ないような状況になってくる んじゃないかと思っております。放牧しておると、やっぱりどうしても1頭1頭確認す るのは難しいので、先ほど言いましたように群単位で、早く生まれたものに合わせてい くことになるのではないかと思っております。特別大事な牛とかは個体ごとに見ている ようでございますけれども、一般的には群単位での管理になるのではないかと思いま す。  それと、先ほど言いましたA40と書類がどういう比率になるかということですが、当 初アメリカからもらった報告書では、すぐに生年月日がわかるものは5%程度であると 書いてあったんですね。それと、先ほど言いましたように、A40以下というのは8.数パ ーセントと1割以下ですから、そうすると10数%ぐらいが、そういう形での生年月日が わかるものとマチュリティーがA40以下のものとなるんですけれども、ちょうどアメリ カの代表団が来てアメリカ大使館で記者会見をやった際には、2〜3割がこういう形で できると言っていました。  根拠を聞きましたところ、余り明確な回答がなかったんですけれども、日本側が生年 月日での輸入を認めてくるとそういうものが多くなってくるんじゃないかという御説明 でした。ただ、パッカー、処理する側の実態からいくと、どうもこのA40だけだと、処 理する側は実際にはなかなかやりづらいのではないかという声も聞いております。  というのは、枝肉で判定するときには、ある程度と畜して時間がたっているわけで す。それで、内臓とかタンとかを分けて管理しておかないと、そこで1回枝にしてから また分けるのは大変な作業になってくるということでした。最初から生年月日がわかっ ているものをまとめてやっていけば、20カ月齢以下のものについてはタンも内臓も利用 できるということで、処理する側からいけば、生年月日での処理の方がやりやすいとい う状況にありますので、生年月日のものがどんどんふえてくるであろうと考えておりま す。  どうしても生年月日でできないものはマチュリティーを使うこともあるかとは思いま すが、流れとしては、先ほど言った群単位での生年月日を使っていくところがふえてい くのではないか。現に、アメリカで調査したところに行ってこられた方の話を聞くと、 どうもパッカーは生年月日を早くつけろと、そして、そういうものを集めたいという意 向を持っていると聞いております。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  よろしいでしょうか。  それでは、次の方。 ○参加者7  めいきん生協の向井と申します。大きく3点ほどございます。  一つは、報告していただいて、おおよそのことは様子がわかるんですが、この情報は 現地の、アメリカ国内の――お聞きしますと昨日まで実施をしているとも聞いておりま すが――現地調査を踏まえたものなのか、それとも国内での先方の資料に基づく情報な のか、その点についてまずお聞きしたいと思います。現地調査をされている主なポイン トについては何かということも、あわせてお聞かせいただければと思います。  二つ目は、アメリカ国内での情報の信憑性というとちょっと言葉が失礼ですが、カナ ダの公聴会などで、実際には十分検査がされていないのではないかという食肉検査員の 経験のある方のお話もあったと聞いておりまして、公式な話と実際の現地はどうかとい うことについては、なかなか判断しづらいんじゃないかと思っておりますが、その点に 踏み込んで、例えば、実際の状況がどうかということにつきまして確かめる予定がある のかどうかをお聞きしたいと思います。  それから、最後の点ですが、御紹介いただいた数字についての御質問です。アメリカ の27万頭に及ぶリスク牛の内訳ですが、話の中では、直接のへたれ牛でなくても、けが をしたものも含むということでしたが、その内訳はどんなふうなのか。おおよそ見ます と、2,700万頭に対して27万頭ですから、100頭に1頭ぐらいがリスク牛ということなの か。そういうことで、リスク牛の内訳と、それについての検査方法も、国内の検査方法 と比べて日本ほど厳しい検査方法ではないという理解をしておりますので、リスク牛に 対する検査の精度に対しての評価はどうかということもお聞きしたいと思います。  最後に、専門家委員会の月齢の肉の成熟度についての評価の分布表ですが、専門家の 協議というのは、どなたが実際されたのかということで、かかわられた方がどういう立 場の方かを教えていただきたいと思います。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。  伊地知参事官、お願いします。 ○伊地知参事官  アメリカの情報は、あちらからもらった情報だけなのか、現地で調査した情報なのか ということでございましたが、両方でございます。現地調査は、先週も行っていますけ れども、それ以前にも数回にわたって行っております。今回は、飼料規制の状況、と畜 場におけるSRMの除去の状況、マチュリティーの状況を調べてくることになっていま す。それ以前は、生産の状況とかいろんなものを現地で調査しております。  あと、日米の協議をやる際にも、ワーキンググループで日本の専門家の方々にも行っ ていただいておりまして、我々は、現地で見てきて収集した情報と米国側から提出され た情報との両方を使っており、食品安全委員会への諮問のデータもそういう形で出すこ とになっていくかと思っております。  アメリカのデータの信憑性でございますけれども、コンプライアンスという、法令遵 守の状況をアメリカはちゃんとやっていないんじゃないのかというお話がありまして、 これは幾つかの件がありました。BSE牛と疑われるものを検査しなかったのではない かということと、30カ月齢以上の牛のSRMが、除去されていないんじゃないかとかい うお話がありまして、こういうものについては、日本の消費者、国民がちゃんと納得い くような形で調査をして、その結果を出してくださいと言っております。一部は既に在 京のアメリカ大使館のホームページの方に出されております。  特定危険部位が除去されていないのではないかということで、労働組合の委員長さん が告発した件については、調査をした結果、具体的な証拠は見つかっていないと聞いて いますけれども、いずれにしましてもこれはコンプライアンスの問題で、日本でも同じ ような問題も、トレサのお話もあったりしますけれども、そういうものについては、と にかくちゃんと調査をした結果を日本の国民が納得できるような形でちゃんと公表して くださいということで、具体的には、例えば、アメリカ大使館のホームページにその結 果について載せるとかいうような形でやってほしいということを申し入れしておりまし て、先方もそういう方向で対応していきたいというふうに聞いております。  それから、27万頭の内訳ですが、当初27万頭でサーベイランスを強化するということ で、昨年6月からやってきていますけれども、これまでに32万頭を既に実施していま す。その結果ですけれども、実施に当たって、サーベイランスのプログラム、計画とい うのがございまして、基本的にはリスクの高い牛を中心にやっております。ただ、と畜 場で健康牛も約2万頭はやるという計画になっておりまして、健康牛も含んで、起立困 難牛、中枢神経症状のあるリスク牛を中心にやってきております。  具体的に何がどれだけかというと、2万頭プラス高リスク牛と我々は承知しておりま す。アメリカは、今月末に一応強化プログラムでのサーベイランスが終わるので、それ を取りまとめ、集計をちゃんとして、そのデータを日本側に提供することとなっていま す。日本は健康牛をかなりの数やっているんですけれども、諸外国では高リスク牛をや る方がサーベイランスとしては効率的であると言っています。  現に、OIEは、現在のOIEのサーベイランスは症状があった牛だけを調べればい いというコードになっていまして、これについては、日本とかがこれだけでは見つから ないんじゃないのかということも言って、健康牛も対象とするコードの改正案が出され ています。ただ、その改正案でも、症状のあるものの方が見つかる可能性が高いんだか ら、ポイントを高くするようなものとなっています。効率的なサーベイランスをやって いく上では、死亡牛等の高リスク牛をやることがいいんだということになっていますか ら、そういうものが中心になって、アメリカもカナダもサーベイランスがなされている と理解しております。  月齢の専門家はどういう方がやられたかというと、日本側からは6名の方にお願いを しております。2人が統計学の専門の方、1人は大学の先生、1人は農林省の研究所の 方です。それと、2人が解剖学の先生で、1人は東大の先生、1人は東京農工大学の先 生。あと、肉質格付の専門家が2人、肉質の専門家が日本獣医畜産大学の先生で、この 方が座長でございます。もう1人は日本格付協会の専門家でございまして、この方が肉 質格付の専門家でございます。以上、6名の方にお願いしております。お名前の必要が あれば、インターネットの農林省ホームページに全部出ておりますので、確認をしてい ただければと思います。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。  私の方の見落としとかで、後ろの方の列の方で、手を挙げていても指されなかったと いう方はいらっしゃいますか。特によろしいでしょうか。  それでは、済みませんが、そろそろお時間も大分来ましたので、御意見の方も含めて 御発言いただければと思います。引き続き、質問がある方は一緒に発言いただいても結 構です。いかがでしょうか。  それでは、最初に前の列の赤い洋服を着ておられる方。 ○参加者8  愛知県消費者団体連絡会の中村です。質問もです。よろしくお願いいたします。  16ページのAMR、高圧で処理をされると書いてありますし、骨には影響を与えない と書いてあるんですけれども、聞くところによると、かなりの高圧だもんですから、骨 まで粉砕される率がかなり高いとお聞きしたんです。確実に骨には影響がないかどうか をきちっと確認されているのか、そこら辺をお聞きしたいと思います。  それから、アメリカではサーベイランスをもうやめるということもちょっとお聞きし ているんです。この点には全然触れていないんですけれども、これからどのような形に なっていくのか。輸入されるということになってくると、確実にアメリカの状況がつか めなくなってくるんじゃないのかというところでちょっと危惧をします。  それから、資料の方ですけれども、アメリカでは統一基準があるのかどうなのか。な いということであれば、安全性はどこで確認されているのか、そこら辺もお聞きしたい と思います。  それから、へたり牛のことです。骨折した牛は認めていくという方向ですけれども、 病気の牛とまじることはないんでしょうか。別にアメリカを信用しないわけではないん ですけれども、国としてはかなり大ざっぱなような感じがするんですね。だから、確実 に本当に輸送中の事故の牛だけなのかどうか、そこら辺でもちょっと心配な部分がある と私たちは思っていますので、お願いします。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  お願いします。 ○松本参事官  AMRが骨まで破壊しないかどうかについては、向こうがそのように説明していると いうことでありまして、こちらが一つ一つ調べているわけではありません。今後、査察 をするときには、そういう点も見ていけばいいかと思っております。なお、今回の輸入 対象となる牛肉にAMRで取った牛肉は含まれていません。  それと、へたり牛ですけれども、歩行困難については、骨折だけではなくて、神経症 状等で歩けない牛もあるわけです。そういうものも全部含めてということになりますの で、より広く歩行困難牛等々については範囲が広げられているといいますか、そのよう なものを対象にしていると聞いております。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  伊地知参事官、お願いします。 ○伊地知参事官  今のへたり牛の件、ちょっと誤解を招く可能性がありますので。  除くのは、明らかに骨折をしたとか、例えば、と畜場に運んで本来なら正常に殺され る予定の牛が、たまたま輸送中に骨折をしたということで、これはBSEとは直接関係 ないというのが明らかなものについては、除く方向で検討したらどうかということでご ざいまして、BSEかもしれないようなものまでへたり牛から除いていくということは 考えていないと聞いております。ただ、これはこれから検討するということで、決まっ たということではございません。  それと、2点目の、サーベイランスをアメリカがやめると言っているけれども、大丈 夫なのかというお話です。  アメリカは当初、現行のOIEの基準でいくと、中枢神経症状があるような牛を400 頭ぐらい調べればいいとなっているわけですから、それを大幅に上回る2万頭、4万頭 を検査していますと言っていたわけです。ただ、アメリカで、カナダからの輸入牛であ りますけれどもBSEが確認をされまして、国際調査団からサーベイランスを強化して やった方がいいというお話がありましたので、そのアドバイスを受けまして、1年から 1年半かけて強化したサーベイランスをやるということで、先ほど言いました27万頭、 現実には今32万頭ほどやっていると聞いています。  これが終わった時点で分析をして、その結果を踏まえて今後のサーベイランスのあり 方について検討したいと言っています。サーベイランスをやめるということではないん ですけれども、今のような強化された頭数をやる必要があるかどうかを含めて、サーベ イランスの結果を分析して検討をしていきたいと考えていると聞いております。  飼料の規格等の統一性というのは、今手元に具体的にどうなっているかという資料を 持ち合わせておりませんけれども、先ほど言いましたように、安全性につきましては、 10ページに、アメリカの場合は、連邦食品医薬品化粧品法という法律、カナダの場合に は、家畜衛生法と家畜衛生基準という法律に基づいて規制をして、その安全性の確保を 図っていると聞いています。日本の場合は、飼料安全法という法律でやっているという ことでございます。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  よろしいでしょうか。まだ追加がありますか。 ○参加者8  追加ではないんですけれども、さっきの参考資料の中で、違反事例は記録の不備とな っているんです。果たして本当にたまたま記録がなかったからということだけなのか、 本当に肉骨粉の危険な部分が入っていないのかというところの、安全なものというの か、法律に基づいているからいいということではなくて、きちっと安全が確保されてい るかどうかをちょっと知りたいんです。その辺は調査されているんですか。 ○伊地知参事官  私どもが直接アメリカの農家とか飼料会社に検査に入るというのは、これはできませ ん。もちろん日本のものをアメリカの政府が来てやることもできませんので、それぞれ の政府がやっていくしかないかと思います。ただ、その内容等については、どういう状 況かということも我々は聞いた上で、そういう状況についてもよく把握をして、また必 要があれば、食品安全委員会の飼料規制の状況等の審査の際には、必要なものは出して いきたいと考えております。  日本の場合も、一部動物性たんぱくがまざっていたものもあるし、アメリカの場合も そういうものがあったと聞いています。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  よろしいでしょうか。  それでは、先ほどの前の方。 ○参加者1  飯田と申します。座ったままで済みません。  諮問のやり方をどうするのかという、これは今国民が非常に注目をしていることだと 思います。実際、きょう説明いただいた諮問の考え方、整理の仕方は、非常によく考え られたと感じたんですが、しかし、私はこれでは不十分だと思います。この項目で諮問 することには、私は反対をしたいと思います。理由は幾つかあります。  一つは、安全委員会の答申の中で、一番最後の行に近かったと思いますが、諸外国の 今後の評価をする場合に、総合的な項目において評価をすべきだと答申の中にうたって あります。そのことを受けて、きちっと真摯に項目を考えるべきだと思います。  それから、アメリカはいろんな場で日本が考えている以上に緩和の範囲を広げていこ うというふうに発言をしていますし、見解を述べています。具体的には、30カ月齢以上 の検査あるいはSRMの除去でいいのだということをパブリックコメントでも述べてい ますし、ほかの場でもそういうことを言っています。したがって、アメリカのそういっ たことを考えておく必要があると思います。  具体的な項目でいいますと、飼料規制の問題やSRMの除去の問題をきちっと評価す ることが必要だと思いますし、いわゆる肉以外の、内臓等の利用される部分の評価も必 ず必要だと思います。それから、情報公開していただきたいのは、日本とアメリカの肉 の流通の仕方がかなり違うと私は理解していますが、それが説明の文書の上ではよくわ からない状態になっています。先ほどのA40が10%以下という中で、ほかの9割のもの と混在して処理をされて、本当にそれが区分をされて流通するのかといったことがよく わからないんですね。そういうことも含めて評価対象にすべきだと思います。  以上です。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。  伊地知参事官、よろしいですか。 ○伊地知参事官  諮問に当たっては、総合的にいろいろ評価をする必要があるということで、それは食 品安全委員会の先ほど言われたような中に記載されているとおりでございます。一定の 条件で輸入された牛肉と日本の牛肉との安全性の評価をする際には、その評価の結論を 得るために、要素として、飼料規制、SRMの除去、その他サーベイランスのあり方等 が総合的に審議をされた上で最終的な評価がなされるのではないかと思っております。  逆に、パーツパーツを諮問するということでなくて、私どもがちゃんと結論を出して ほしいものについて端的にお聞きをする方が、私どもは諮問としてよろしいのではない かと。今言われたような要素についても、必要な資料、データは提供をして、円滑な審 議に資するようにやっていきたいと考えております。したがいまして、肉の流通の関係 も、必要があればそういう形で資料要求等については対応していきたいと考えておりま す。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  よろしいでしょうか。何か補足的にもう少しお聞きしたいとか、もう少し言いたいこ とがあれば。 ○伊地知参事官  今回の21カ月齢以上の全頭検査の話も、こういう表をつくった形の中で、侵入リスク とか、飼料規制とか、プリオンの蓄積の程度とか、擬似患畜の検査とか、いろんな項目 について、それぞれ審査をした上で最終的な結論を出されていますので、同様な形での 評価がなされるのではないかと思っております。ただ、これは専門家の方々がどうやっ ていくかは、ちょっと予断をもって申し上げることはできませんけれども、恐らくそう いう形になるのではないかと考えております。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  よろしいでしょうか。  じゃ、西郷リスクコミュニケーション官の方から。 ○西郷リスクコミュニケーション官  食品安全委員会でございます。  まだ諮問をいただいていないのですけれども、諮問の内容にお答えできるよう御議論 いただいていくということでございます。今の御説明によると、国内と同等の安全性と いいますか、リスクかどうかの評価を求めるということでございますので、プリオン専 門調査会の御議論に必要な部分につきましては、評価の依頼を出されるところに資料の 提出などをお願いしていくことになろうかと存じます。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  それでは、真ん中の列の前から2番目の方。 ○参加者9  コープしずおかの山口と申します。よろしくお願いします。  私も諮問の関係について少し意見を述べさせていただきたいと思います。  ずっと説明を聞かせていただいて、アメリカ、カナダ、そして日本のBSEに対する 制度について、どう違うか、あるいはどういう管理方法をやっているのかについては、 概略理解できたと思います。ただ、最後のまとめのところにありますが、「我が国と同 等の安全性が確保されることが基本」という、「同等」の中身です。  制度はこうだと。しかし、同等かどうかは、実際に運用がそのようにされているのか どうかが、非常に大きなテーマというか中身だと思うんです。食品安全委員会が国内の 検証をされたときに、制度を変えた後、実際どういうふうに運用されているか。それで 99.何%とかという形で、実際の運用にあわせて評価をしている。それがやっぱり消費 者が安全性についての理解をしていく上では非常に大きな中身だったと思います。  今回、アメリカやカナダとなったときに、アメリカやカナダの国内の措置のもとでと いうことについて、実際その制度が有効に機能しているのかどうかについての検証をや っていただかないと、実はなかなか、納得感といいますか、安全に対する不安がぬぐい 切れないというのが正直なところです。  特に、先ほども出ていましたけれども、飼料問題で交雑の話ですよね。きょうも、レ ンダリングで混合でつくっているところが2割ぐらいあるというお話がありました。じ ゃ、その2割のところでは本当に大丈夫なのかということをどうやって検証できるのか について、やっぱりはっきりさせてもらう。あるいは、そのデータを食品安全委員会の 方へきちっと出してもらうということも含めてお願いをしたいと思います。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。 ○伊地知参事官  今のは御意見ということで承りたいんですけれども、確認ということでは、先ほども 申しましたように、査察をアメリカ政府自身もやりますし、日本側からも行ってやって いくという形で、実施後の査察の話はそういうことになります。  それと、事前に信憑性のあるデータを出してくださいということでございますが、こ れはまさに、現地調査とかいうことも踏まえて、先ほど申し上げましたように、現地で 調査した結果とアメリカ側から提出された資料の両方を提供していって、審議をちゃん とやっていただく方法でやっていきたいと考えています。食品安全委員会の専門家の方 々から、さらにこういう形での確認、もしくはさらなるデータが必要であるということ であれば、それについては、そういうデータも準備していきたいと考えております。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。  ほかに御意見はいかがでしょうか。それでは、前の方と後ろの方。まず、真ん中の列 の前から2番目の方。 ○参加者7  めいきん生協の向井です。  意見の中身は重なるんですけれども、先ほど、食品安全委員会に諮問する事項とし て、結論を端的に諮問した方が論議もクリアになるという趣旨でしたが、この間国内に おいて諮問されたことについての食品安全委員会の審議の問題と、輸入に当たってどう いうふうに安全性が担保されているかという審議はやはり違うのではないか。  安全性の状況が国内と同等かどうかについて改めて評価するということはわかるんで すけれども、国内の安全性の程度と同等かどうかということで言いますと、最初の国内 の20カ月齢の評価につきましても、先ほどおっしゃいましたように、安全かどうかとい うことではなくて、そのことについてのリスクの評価をしたということですよね。です から、いつの間にかリスク評価と、この文章でいくと、国内の安全性と同等かどうかと いうことでの評価を比較するというふうになってしまいます。そうすると、諮問の中身 がかえって不明になるのではないか。  私は先ほど、成熟度検査の信頼性についてどなたが調査しましたかとお聞きしました が、やはり一つ一つの危険部位の状況なり、飼料の交雑状況なり、個々の現地における BSE検査の精度の問題なりについて、個別個別についても責任を持って食品安全委員 会がリスク評価をして、そのことを総合的に判断して、今回の輸入に当たっての措置が どうかという結論を出すというふうに、諮問事項はやはり内容を明示すべきだと考えま す。  その中で、結論をそのように出していただくことは、食品安全委員会が求められる結 論を出すというのは、組織として当然の行いですのでよろしいかと思いますが、私はこ の間、食品安全委員会に対して、特に消費者は、日本における施策の信頼性について大 変注目をしておりますので、食品安全委員会が何を諮問されているのかについて明確に されることが消費者の期待にこたえる施策ではないかと思っております。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。 ○伊地知参事官  25ページに書いてございますけれども、食品安全委員会にお聞きする内容は、リスク の同等性を諮問するということで、その前提として、安全性を確保することが基本とい う考え方でございます。  ただ、言われていることもわかります。個々の要素をそれぞれやった方がいいんじゃ ないかということですけれども、リスクの同等性をお聞きし、評価するに当たっては、 それぞれのパーツが審議の対象になってくるのではないかと考えていまして、先ほども 申し上げましたように、例えば、21カ月齢以上の検査と全頭検査の際にも、それぞれの いろいろな要素について比較をした上で結論が出されておりますので、同様な手法がと られるのではないかと考えております。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  西郷リスクコミュニケーション官。 ○西郷リスクコミュニケーション官  あと、最後の方に、食品安全委員会は今何を諮問されているのか、ちゃんと明確にす べきであるという御指摘がございました。そのとおりでございますので、これまでもプ リオン専門調査会はすべて公開で議論されてまいりました。それから、どのような議論 がされているかにつきまして、なるべくわかりやすく情報提供ができるよう努めてまい りたいと存じます。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  よろしいでしょうか。  それでは、左の列の前の方の一番後ろの方。 ○参加者9  愛知県農林水産部の石黒といいます。三つ、わかれば教えてください。  一つ目ですけれども、日本でBSEが発生したことに対して、米国は日本からの牛肉 の輸入をとめておるとスライドに載っておりました。米国は、現在も継続して日本から の牛肉の輸入をとめているんでしょうか。あるいは、今後それが改正されるような見込 みはあるんでしょうか。それが1点目です。  2点目でございますが、今回の議論は、米国、カナダ、日本間の、米国、カナダから の牛肉の輸入というお話をされているわけですが、EU諸国の方は米国牛肉に対して、 当然米国の方が輸出国ですので、EU等にも輸出実績があるのではないかと思うんです けれども、今EU等は輸入をとめておるんでしょうか。あるいは、EUが米国からの牛 肉の輸入をとめておる場合、同じような議論、いわゆるEUに対しても輸入を解除しろ というような議論がヨーロッパ諸国と米国の間でやられておるんでしょうか。それが2 点目です。  3番目でございますけれども、今回、今後結論が出ると思うんですけれども、米国、 カナダからの輸入に対して、これが「可」と、輸入ができるとした場合、今後、EU等 のBSE発生国からも同様な要求が日本にされるのではないか。輸出入量としては少な いと思いますけれども、これに対してもやっぱり、もし今回米国からの輸入等の結論が 出た場合、それがやり方あるいは基準の見方の一つのスタンダードになるのではない か。その辺の御意見がございましたら教えてください。  その3点です。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。  伊地知参事官、お願いします。 ○伊地知参事官  米国は、日本からの輸入を今とめているかということですが、今はとめています。た だ、昨年10月の局長級協議で双方向の貿易再開について進めていきましょうということ になって、アメリカはことしの1月に日本に調査に来て、日本の状況を分析し、日本の BSEリスクの評価を今アメリカでやっております。その結果を踏まえ、解禁する方向 でやっていると聞いています。  したがいまして、一旦はとめますけれども、リスク評価をして、こういう措置であれ ば問題ないであろうということがわかりましたら、輸入再開をしていくという状況にな っていると承知しています。  それと、EUは米国、カナダからの輸入をとめているかどうかということですが、E UはBSEを理由にアメリカ、カナダの牛肉の輸入は禁止をしておりません。ただ、現 実問題として、ホルモンの関係で、実際は輸入が余りなされていない状況にあるという ことです。  それと、もし米国、カナダからの輸入が再開になったら、EUからも同じような要求 が来るのではないかということで、それについてどうするのかというお尋ねです。もし そういうことになれば、やはり食品安全委員会にお尋ねをした上で、その結果を踏まえ て対応していくことになろうと思います。 ○参加者9(石黒・愛知県農林水産部畜産課)  ありがとうございました。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  それでは、ほかの方、いかがでしょうか。  じゃ、右の列の後ろの方。 ○参加者3  主婦の内田です。ちょっと輸入とはかけ離れるんですけれども、国内のことについて お尋ねをしたいんです。  ピッシングが危ないと言われつつ、まだ3割近く行われているということで、これを どうされるお考えなのか。  それと、肉骨粉が禁止されましたよね。指導された上、その5年後に禁止されました が、今18頭目が出ました。BSEとの関連性というんですか、日本は危ないといって禁 止をしたんだけれども、その成果というか評価はどう受けとめられているんでしょう か。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  まず、1点目のピッシングの方は、松本参事官から。 ○松本参事官  ピッシングにつきましては、平成13年9月に第1頭目が出たときから中止するよう指 導はしてきておりましたけれども、作業員の方の安全確保との両立がなかなか難しいこ ともありまして、3割のところは中止してもらっていますけれども、まだ7割がやって おります。  これについては、3割のところが中止しておりますので、中止したところのモデル事 例集を集めまして、これを都道府県を経由しまして各と畜場へ配って、自分のところに 一番合った形でできるだけ早く中止してくださいと指導しております。また、都道府県 の方にも、年次計画で、できるだけ早く中止するように計画を立てて出してください と、指導を強化しておるところであります。  以上です。 ○伊地知参事官  肉骨粉を禁止した後にBSEの牛が出ているじゃないかというお話で、それについて どう評価しているのかでございます。  今発生している牛は、肉骨粉を禁止する前に肉骨粉を食べた可能性がある牛でござい まして、例えば18例目についても、肉骨粉の使用は平成13年10月から禁止しています が、それ以前に生まれた牛でございます。ただ、例外が2頭ありまして、8例目と9例 目が議論になっています23カ月齢と21カ月齢の牛です。飼料規制の後に生まれています ので、これについては交差汚染の可能性があるのではないかと考えられています。  ただ、欧米諸国もイギリスもそうですけれども、肉骨粉をやめたらすぐに全部、その 後生まれたものでは発生しないかというと、なかなか実際には。さっきも言ったよう に、遵法精神といいますか、それと自分が意識しないうちに何らかの形で残っていてち ょっとまざるとかいうこともありますので、やめたらすぐに全部100%なくなるという 状況には世界的にもなっておりません。半分以下、2〜3割はまだで、少しずつ発生が 減っていくということでございます。  ただ、18例目のものは、飼料規制以前に生まれて肉骨粉を摂取した可能性があるもの と考えられております。BSEは潜伏期間が長いもんですから、飼料規制をした後でな く、その前に生まれ、潜伏期間を経て発生したものと考えられます。仕掛けられた時限 爆弾がある時間たってから爆発したという感じです。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  それでは、西郷リスクコミュニケーション官。 ○西郷リスクコミュニケーション官  どのような評価になっているのかというお尋ねでございましたけれども、今回の諮問 では、今御説明があったように、飼料規制後も2例ほどBSEが見つかったということ もあって、関係省庁からは、輸入飼料に係る交差汚染をもっと厳しく規制し、具体的に は、輸入混合飼料について中身がわかるような届出を義務づけるというお話でした。そ れから、販売業者における規制をもっと徹底するとか、あるいは、牛を実際に飼ってい らっしゃる農家に対して指導を深めるというふうな諮問でございました。  今もありましたけれども、結論から申しますと、参考1の2の(3)に書いてあります ように、御質問いただいたようなことについては「飼料規制の実効性確保の強化」とい うことでやっていただくことが有効であろうという評価になってございます。さらに、 具体的な目標値を設定して、できる限り早く達成していただければというコメントもつ けているということでございます。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。  それでは、先ほど手を挙げられていた左の列の後ろの方。済みません、マイクを。左 のグループの一番右の列の後ろから2番目の方が、確か手を挙げられていたかと思うん ですけれども。 ○参加者10  今も米国と日本と同等のと言われていますけれども、同等にするために日本の方の基 準を引き下げるようなことになったとしたら、今全頭検査とかいろいろ言っていました けれども、日本の中でも全頭検査をしなくなるとかいうことを新聞で見るにつけても、 私たちは自分で選ぶことができない部分、自分で選ぶ部分は一生懸命選んで買いますけ れども、そうじゃない部分、自分で見られない部分、全頭検査してもらっていてもBS Eが出てくるという状態なのに、輸入のために向こうに基準を合わせてしまうようなこ とになったときに、すごく怖いと思うんですが、その辺はどんなふうにお考えでしょう か。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  伊地知参事官、よろしいですか。 ○伊地知参事官  相手国に合わせて基準を下げるということを言われているんですけれども、これに安 全性上問題があるか、ないかというのがポイントでございまして、まず基本的に、安全 であるものの輸入をとめるのは、国際的な基準からいくとできません。日本は貿易立国 でありまして、不当な輸入の制限はできません。  先ほども申し上げましたように、科学的な根拠があれば、これについて国際基準以上 の措置をとることができるわけですけれども、世界的には、いろんな国が30カ月齢以上 の検査をするとか、それ以下ではなかなかBSEは出ないよというような状況の中で、 それと、OIE上、BSEの発生国からも、特定危険部位の除去の月齢の違いとかはあ るんですけれども、そういうものについて輸入制限はできないことになっているんで す。ただ、日本の場合は、科学的な根拠があるからということで、かなり輸入の規制を やっているわけです。  アメリカに合わせたというよりも、国内のBSE対策について、全頭検査を始めてか ら約3年たって、食品安全委員会で対策の評価をやった結果が出ましたので、その結果 を踏まえてやってきたわけです。それに安全性上問題があれば変える必要はないんです けれども、先ほど言われましたような答申で、21カ月齢以上を検査するものと全頭検査 ではその差がないという評価でありますので、その科学的な根拠に基づいた措置をとっ ていこうということであります。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  よろしいでしょうか。  ほかにはいかがでしょうか。左の列の後ろの方、右の列の今手を挙げられていた方の 順でいきたいと思います。それでは、先に左の列の方から。 ○参加者11  座って済みません。めいきん生協の稲垣と申します。2点ほど教えてください。  私は、BSEが始まったころから代用乳についてとても気になっているんですが、今 回も乳用牛のところで代用乳としか書いていなくて、実際問題、この代用乳は今どんな ものが使われているのか。平成13年からはもう安心だとおっしゃられましたけれども、 実際問題どういうものが使われているのか。  もう1点は、肉骨粉についてちょっと疑問に思っているんです。ちょっと知識が不足 だったと思いますけれども、きょう初めて鳥と豚の骨粉が入っていると10ページのとこ ろで知ったんです。代用乳のときに思ったんですけれども、もともと牛は反すう動物と いうか草食動物というイメージがとてもあるものですから、肉骨粉と言ったときに、ど うしても共食いの牛肉骨粉とずっと思っていたのですが、それが豚とか鳥も使っている ということは、やっぱり消費者にとって見ればすごく疑問だと思うんですね。こういう ことはこれからどう説明をされていくのかなと、一消費者の方たちにもと思ったもんで すから、それだけです。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  伊地知参事官、お願いします。 ○伊地知参事官  代用乳のところから先に。  今、代用乳はどうなっているかということですけれども、先ほど言いましたように、 基本的に、乳用牛は、生まれたら牛乳は人間様のために使われていまして、子牛はすぐ に離されて代用乳を飲まされます。  原因究明の中でよく言われてきたのは、代用乳にオランダ産の動物性油脂がまざって いたのではないかということで、いろいろ調査の対象にもなってきたわけです。これに ついては、前回の原因究明の中で、ほかのところでも使っているけれども、そこで出て いないということもありましたし、オランダに調査に行った結果、肉骨粉から絞った油 ではないこともわかりました。  肉骨粉をつくるときに獣脂として絞りとったら、その油に異常プリオンがまざり込む 可能性があるんじゃないかということで、そういうことが疑われたんですけれども、そ もそもオランダから輸出されていた油脂は、肉骨粉からつくった油、いわゆるイエロー グリースと言っているんですけれども、黄色い色をした不純物の含まれた油ではないと いうこともあって、前回の調査結果では可能性は低いとなっております。  引き続き、その後の発生状況も踏まえて原因究明をやっていくことにしております が、そういうこともあって、代用乳の中の動物性油脂に異常プリオンが入っていたので はないかという話があったわけです。最近は、牛の肉骨粉は代用乳に使われていなく て、大部分は植物性の油脂を使っていると聞いております。  あと、油脂については、国際的には0.15%以下の不純物であれば使っていいことにな っておりますけれども、日本の場合、代用乳等には0.02%以下の不純物でないとだめと いう厳しい措置でやっています。ただ、現実には、先ほど言いましたように、牛のもの は使われておらず、植物のものを使っていると聞いております。  あと、豚とか鶏の肉骨粉を使っているのかということですけれども、これは使われて います。鶏とかにも使われています。ただ、これはたんぱく源ということでありまし て、魚粉とかも牛のえさに使われています。  草食動物だから、肉骨粉とかは要らないんじゃないかということですけれども、基本 的には、牛は草食動物ですから、穀物とか肉骨粉を与えなくても、特に肉骨粉なんか与 えなくてもやっていけます。ただ、先ほども御説明しましたけれども、アメリカの牛と かオーストラリアの牛は放牧で草中心で飼われていますけれども、日本人は大変味にう るさくて、おいしい牛肉を食べたいということであれば、それなりに穀物とかを長期間 給与しないと、日本人が好むようなおいしい和牛の肉はつくれないという状況にありま す。  特にオーストラリアからの牛は、オーストラリアはもともとグラスフェッドといって 草だけで飼っていて、放牧をしていますので、かたくてあまりおいしくない、といっ て、アメリカの方が人気があると聞いております。アメリカの方は3〜4カ月でも肥育 していますから。オーストラリアの方も、グラスフェッドが中心だったんですけれど も、牛肉の輸入が自由化されて、日本の方々が行って日本人向けにフィードロットで穀 物を給与した牛肉もつくっているわけです。  そういうことで、牛の場合、消費者とかの嗜好に合った牛肉をつくる過程でどうして も穀物を給与するという状況になっています。豚や鳥の場合は、たんぱく源として利用 するということで、BSEが出るまでは、資源の循環だ、リサイクルで大変いいことだ と考えられていたんですけれども、BSEが出て、こういうことではいけないというこ とで、牛の場合は肉骨粉を給与するのを日本では禁止してきているという状況でありま す。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。  それでは、右の列の後ろの方の方。 ○参加者12  みかわ市民生協の福島といいます。座ったままで失礼させていただきます。今まで聞 いた中で少し疑問に思ったことがありますので、2点お伺いしたいと思います。  国内の基準の方では、全頭検査をする中で、科学的な安全性がある中で20カ月齢以下 のものは検査をしないということが言われているんですが、もし検査方法が変わった場 合、精度が変わって出る可能性もあるのか、ないのか。  というのは、安全性が幾らわかったとしても、消費者の食べる方としては、安心がつ いてこないと買えない部分があるんですね。幾ら情報とかいろんなことで「これは大丈 夫だから食べなさい、食べなさい」と言われても、本当にそれが自分たちの体の中に入 ってどうなるかという部分まで安心感がないと、どんなものでも食べられないという状 況があるのが1点です。  もう1点は、質問の中でも、これから日本側による査察を定期的に繰り返すとお聞き しました。その査察には業者が行くということもあったんですが、業者のメンバーはど ういうふうに選定されるのか。そして、定期的というのは、何回ぐらい見にいくのか。 あと、予算の関係も含めてどうなのか。見てきたものの情報をどのように消費者側に伝 えていただけるのか。  先ほどからホームページという言葉をお聞きするんですが、消費者のすべての人がホ ームページを見るわけでもありません。高齢の方もあれば、いろんな方がみえます。情 報の伝え方ももう少し工夫していただけたら、いろんな状況でも消費者としてわかる部 分があると思いますので、お願いしたいと思います。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。 ○松本参事官  BSE検査の感度が変わったときにどうするかということであります。今、BSEの 検査について、いい感度のもの、感度を上げるというもの、確実性のあるもの、また一 番いいのは生体、血液だとかでわからないかということをやっております。いずれにし ましても、検査の感度が上がって、実用性のある検査が出てきたときには、その時点で リスクがどうなのかについて検討すべきものだろうと考えております。それで、検査の 月齢を引き下げる必要があるということであれば引き下げることになるでしょうし、リ スクが変わらないということであれば、その時点での対策になろうかと思います。  それと、米国の業者につきましては、先ほど申し上げましたけれども、米国の輸出プ ログラムという、日本に輸出するための上乗せの基準があります。その基準を守ります ということで、いろいろ取り扱いの手順だとかをきちっと整備しないといけませんし、 それで業者として手を挙げて、米国あるいはカナダ政府の方がそれを検証して、いいと いうことであれば、そこが認定されてリストアップされることになります。ですから、 多く業者がありますけれども、そのすべてということではなくて、基準を満たしている ところで、かつ輸出したいという業者が登録されることになります。  したがいまして、輸出が再開された後、我が国から定期的に査察に行くことになりま すけれども、その頻度をどうするかについては、まだ今のところ確たることを言える状 況ではありません。  また、調査をしたものについてはどうかということですけれども、わかりやすい形で 提供していくことは当然だろうと思います。提供の仕方につきましては、今インターネ ットだけではだめではないかという御意見もありましたので、今後工夫していきたいと 思っております。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。  それでは、そろそろお時間の方が来ておりますので、もうお一方ぐらい御意見のある 方がいらっしゃればお聞きして、それで最後にしたいと思いますが、いかがでしょう か。それでは、前の方。 ○参加者13  済みません。座ったまま失礼します。私、名古屋市中央卸市場の婦人部連合会の鈴木 と申します。  厚生労働省と農林水産省、本当にお力を合わせて、このところ安全対策の方を、さま ざまなこういうコミュニケーションをつくってやっていただいて、大変ありがたいと思 います。私も何度か出席させていただいて、大変参考にさせていただき、勉強させてい ただいております。  私は、「命と健康を守る食生活の改善」というテーマを掲げて20年、うちの組織をや っておりまして、なるべく果物、野菜をとることにして健康を維持したいと常々言わせ ていただいております。牛肉とかいうものはなるべく少なくしていただきたいというこ とで、対策を考える前に、日本国民の食生活をもっともっと考えていただけたらと思 い、国民の人たちの食生活の安全を本当に危惧している一人です。  今、小中学生の3割が生活習慣病ということで、食に対しても、本当に肉もなるべく 減らしていただきたい、また、ファーストフードを子供たちの食生活の中から少しでも 削減したいという思いで運動を進めております。食の安全ということで、牛肉対策とし てなさっていることは大変すばらしいと思うんですけれども、それ以前に、もっともっ と基本的な食生活を見直していただきたいという思いでやっております。  ちょっと論点は違うかと思いますけれども、安全性ということで、一般的なことでま た御意見をちょうだいするところとかがあったら本当にありがたいと思いますので、よ ろしくお願いします。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  ありがとうございました。食生活としてバランスのいいものをということもあります けれども、やはりその前提には安全なものということもあるかと思います。  どうぞ、松本参事官の方から。 ○松本参事官  安全な食料を提供するためにはいろんな取り組みがありますけれども、そういうもの が提供されている中で、食事のとり過ぎだとか、食生活習慣が乱れているということが ありまして、我々も非常に懸念をしております。  そういうこともありまして、ちょっと古くなりますけれども、文部省、厚生省、農林 水産省が一緒になりまして、皆さん方の資料にも入っておりますが、「食生活指針」を 作りました。「食事を楽しみましょう」とか、「1日の食事のリズムから、健やかな生 活リズムを」とか、「ごはんなどの穀類をしっかりと」とか、「主食、主菜、副菜を基 本に、食事のバランスを」というようなことがいろいろ書いてあります。このようなも のを、機会をとらえて提供していくことを考えております。  また、国会議員の先生方も現在の日本人の食生活の乱れについて大変御懸念されてお りまして、現在、国会では、食育基本法という法律で、いろんな各省庁の持ち場持ち場 で働きかけていくように、また、国民の皆様にも自分の食生活を見直していただくこと を定めた法律が審議されております。それが成立しましたら、より一層、こういう指 導、食生活指針等についても力を入れていきたいと思っております。  貴重な御意見をどうもありがとうございました。 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  どうもありがとうございました。 4.閉会 ○コーディネーター(広瀬企画情報課長補佐)  以上をもちまして、「食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉等のリス ク管理措置に関する意見交換会)」を閉会したいと思います。長時間にわたり御出席い ただきまして、どうもありがとうございました。  お帰りの際にアンケートを回収いたしますので、御協力お願いいたします。  どうもありがとうございました。                                     (了)