04/09/03 平成16年9月3日「食品に関するリスクコミュニケーション(牛海綿状 脳症(BSE)対策に関する意見交換会)」議事録            食品に関するリスクコミュニケーション          牛海綿状悩症(BSE)対策に関する意見交換会                    会議録                平成16年9月3日(金)                13:30〜16:30                  メルパルク札幌   1.開会 ○司会  本日は、大変お忙しい中をご出席いただきまして、ありがとうございます。  定刻となりましたので、ただいまから、食肉に関するリスクコミュニケーション、牛 海綿状悩症対策に関する意見交換会を開催いたします。  本日は、厚生労働省と農林水産省の共催でございます。   2.あいさつ ○司会  まず、両省を代表いたしまして、厚生労働省大臣官房の松本参事官からごあいさつ申 し上げます。 ○松本参事官  皆様、こんにちは。  本日のリスクコミュニケーションにお集まりいただきまして、厚く御礼申し上げま す。  振り返りますと、今から3年前の平成13年9月10日に、我が国で初めてのBSE が確認されました。その翌月の10月にはスクリーニング検査、また、特定危険部位で あるSRMの除去、飼料規制等から成る安全対策が講じられましたけれども、消費者に 安心を呼び込むまでには至らず、その後、長いこと、牛肉消費の低迷が続きました。  このような状況のもとで、食の安全・安心の確立に向けた政策の抜本的な改革が行わ れ、これまでにないリスク分析という手法に基づいて政策を進めていくということで、 牛海綿状悩症対策特別措置法とか、食品安全基本法を初め多数の法律が制定あるいは改 正されました。政府におきましても、そのリスク分析に基づく手法の政策の中で、リス ク評価を行うという点において、新たに内閣の方で食品安全委員会というものが昨年4 月1日からスタートいたしましたし、農林水産省におきましては、消費安全局ができま した、また、厚生労働省においても、食品安全部が発足してほぼ1年がたったわけでご ざいます。これらの組織の見直し、法律の改正等々で目指すものは、消費者の保護を重 視し、いわゆるリスク分析の考え方に基づいた行政の展開であります。  この間、昨年末の米国におきますBSE発生とか、ことしの春になりまして我が国に おける79年ぶりの鳥インフルエンザの発生など、新たな問題がございましたが、これ らの問題に対処するため、迅速かつ的確な対処に両省挙げて努めますとともに、国民各 層への情報提供とか意見交換を通じて、いわゆるリスクコミュニケーションを行いなが ら、食の安全・安心の確保に向けて各種の施策を推進してまいりました。  このようなBSEに対する意見交換会も、まず東京と大阪で開きました。また、大消 費地で開いたけれども、生産地ではまだ開いていないということで、9月1日、今週の 火曜日でございますが、熊本で開きましたし、本日は、大生産地である北海道の札幌で 開かせていただいたわけでございます。  本日の意見交換会も、リスクコミュニケーションの一環として、ともすると一方的な 行政説明になりがちでございますが、そういう説明ではなく、あるいは、短なる質疑応 答ではなく、立場の違う関係者の方々が意見交換をしていく中から、よりよい施策、納 得できる施策につなげて発展させていくものにしたいと考えております。  新聞等で報じられておりますが、ご存じのように、BSE対策をとり始めましてほぼ 3年がたちます。BSE対策につきましては、今までにわかった知見を踏まえ、現在、 リスク評価機関であります内閣府の食品安全委員会で評価、検証が行われております。  一方、昨年12月の米国でのBSEの発生以来とまっております米国産牛肉の輸入を いつ再開するかにつきましては、日米の専門家レベルのワーキンググループにより問題 点の整理等が行われております。これらにつきましては、我が国の消費者の食の安全・ 安心の確保を大前提といたしまして、米国産牛肉についても国産牛と同等の措置が必要 との基本認識のもとで米国と協議を進めているわけでございます。  本日の意見交換に寄せられましたご意見の中には、それぞれのお立場からBSE対策 についてさまざまなお考え、ご意見がおありと思いますけれども、食の安全と安心の確 保が重要であること、科学的根拠に基づいた評価とか消費者の納得できる施策が重要で あることについては共通した認識があると考えております。  本日の意見交換会の目的は、結論を出すことではありませんし、異なる意見を持つ方 々同士で論争するものでもありません。本日の参加者名簿が入っておりますけれども、 消費者の方もいますし、流通・加工業者の方も、生産者、行政、マスコミの方もお見え でございます。そういう立場の違う方々が、考えの違うご意見とその背景を相手の立場 に立ってよく理解していただく中から、次のステップにつながるご提言をいただけたら と考えております。本日は、熱心に意見交換をやっていただきたいと思いますので、よ ろしくお願いいたします。  少々長くなりましたが、農林水産省、厚生労働省を代表いたしまして、一言ごあいさ つを申し上げました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○司会  どうもありがとうございました。  ここで、参加者をご紹介いたします。  本日は、募集によって大変多数の方にご参加いただいております。  まず、広く皆様方のご意見をいただくために、一般の方を募集し、198名から応募 をいただきました。予定数内でございましたので、全員に参加いただくようにご案内を 差し上げた次第でございます。参加者のご紹介につきましては、お手元にあります参加 者名簿でかえさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  なお、資料の準備の関係から、名簿は期限までにお申し込みいただいた184名の方 を整理させていただいておりますので、残りの14名の方は名簿から漏れておりますけ れども、ご了解いただきたいと思います。  次に、前に座っている方々をご紹介いたします。  まず、アドバイザーとして、皆様方から向かって左から3番目は、北海道大学大学院 獣医研究科プリオン病学講座教授の堀内基広先生でございます。  そのお隣は、内閣府食品安全委員会事務局の西郷リスクコミュニケーション官でござ います。  また、主催者側でございますが、真ん中に戻りまして、先ほどあいさついたしました 厚生労働省大臣官房の松本参事官でございます。  そのお隣は、食品安全部監視安全課の蟹江専門官でございます。  一番左側は、意見交換会でコーディネーターを務めます食品安全部企画情報課の広瀬 課長補佐でございます。  それから、皆様方から向かって右から3番目は、農林水産省大臣官房の高橋審議官で ございます。  そのお隣は、農林水産省消費安全局衛生管理課薬事・飼料安全室の境室長でございま す。  私は、本日の進行役を務めさせていただきます消費安全局消費者情報官の姫田でござ います。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、議事に先立ち、資料の確認をお願いいたします。  お手元に配付資料一覧という1枚紙をお配りしております。資料は、1から5と参考 資料の1、2がございます。資料1は本日の出席者名簿、資料2は、堀内先生のご説明 のときのものです。パワーポイントで前に出ますが、中身はお手元のものときょうご説 明するものと大分変わっているかと思います。内容はどちらも正しいものですので、ま ずは前を見ながら堀内先生のご説明をお聞きになっていただき、お手元のものは持って 帰っていただくことでご了解いただきたいと思います。また、資料3は農林水産省の説 明資料、資料4は厚生労働省の説明資料、また、資料5は事前にいただいた意見を集約 したものでございます。  また、参考資料の1は、先ほど松本参事官のごあいさつの中でもお話がありました が、BSE対策について、今、プリオン専門調査会でいただいているご意見の途中の案 でございます。これは、まだ最終案ではなく、途中経過のものでございます。それか ら、参考資料2は、日米のBSEに関する専門家及び実務担当者会合の報告書の概要 と、後ろには報告書そのもがついております。最後に、色刷りのもので食の安全・安心 トピックスというご案内がございます。これは、毎日、食品安全委員会、厚生労働省、 農林水産省から、皆様方に食の安全に関するプレスリリースなど、ヘッドラインをメー ルでお送りするものでございます。ぜひご登録いただければ、月曜から金曜まで、毎 日、こういうメールが届きますので、よろしくお願いいたします。  また、アンケートをつけておりますので、ぜひこれにもお答えいただいて、これから のリスクコミュニケーションの会合の運営の仕方について参考にさせていただきたいと 思います。よろしくお願いいたします。  続きまして、本日の進行について説明いたします。  本日は、牛海綿状悩症、BSEの対策に関する意見交換ということで、現在、厚生労 働省と農林水産省でやっている対策についての意見交換としたいと思います。まず、意 見交換に先立ちまして、堀内先生から、BSEとその食へのリスクについて30分程度 説明していただきます。引き続き、牛のBSE感染症の予防対策については農林水産省 の境室長から、BSEに関する牛肉についての安全対策は厚生労働省の蟹江専門官か ら、それぞれ15分ずつ説明いたしまして、ここで5分間ほど休憩をとります。再開後 は、生産から消費の流れに沿って、前半では牛のBSE感染予防対策について、後半は 牛肉の安全対策についてそれぞれ意見交換を行いたいと思います。  また、リスクコミュニケーションの会合は札幌でも何回か行っておりますが、マスコ ミを初めとして、皆様方のご興味はどうしても検査の方に流れるようです。しかし、き ょうは、それだけの話に限ったり、パネルディスカッションのように、前に座っている 人たちが話をして、会場から二、三の意見を聞くようなものではありません。主役はご 出席された皆様方全員でございます。生産者、消費者、外食の方々、流通の方々、それ ぞれの意見をお互いに交換していこう、そして、相手のことを少しでも理解することが 重要であると考えておりますので、どんどん手を挙げて積極的な意見交換をお願いした いと思います。   3.議事 ○司会  それでは、これから議事に入ります。  まず、BSEとその食へのリスクについて、北海道大学大学院獣医学研究科プリオン 病学講座の堀内先生にお願いいたします。 ○堀内  ただいまご紹介にあずかりました北海道大学の堀内と申します。  きょうは、BSEとその食へのリスクについてということで、総論的な話をできるだ けわかりやすくご説明したいと思います。特に、検査のこと、SRM除去のこと、また 長期的なBSE対策の考え方について少しご紹介できればと思っております。  早速、始めさせていただきます。  まず、プリオン病と呼ばれる病気の一群ですが、伝達性海綿状悩症とも呼ばれており ます。動物にも人にも病気がありまして、動物のプリオン病から説明しますと、古くか ら知られているのは羊のスクレイピーという病気です。これは、日本でも発生がありま して、日本の発生の大部分は北海道で発生しております。また、シカの慢性消耗病、こ れは、最近、北米で問題になっている病気であります。それから、皆さんもよくご存じ の牛海綿状悩症、BSE、ほかにはミンクでも同じような病気が知られております。  この中で、上に挙げたスクレイピーと慢性消耗病という二つの病気は、原因のところ に書きましたが、自然状態で羊から羊へ、あるいは、シカからシカへ感染します。しか し、牛海綿状悩症や伝達性ミンク悩症というのは、自然状態では、牛から牛へ、あるい はミンクからミンクへは感染しないと考えられています。その原因は、基本的にはプリ オンに汚染された飼料の給餌であります。  それに対しまして、ヒトのプリオン病は、幾つかの種類がありますが、有名なところ では、クロイツフェルト・ヤコブ病です。また、クロイツフェルト・ヤコブ病は4種類 に分かれます。  下から説明しますと、BSEの関連で問題になっている変異型のCJD、これはBS Eが原因であります。次に、日本で大きな問題になっております医原性のクロイツフェ ルト・ヤコブ病です。医療行為が原因でこの病気になってしまうものです。日本では汚 染硬膜の使用による医原性のクロイツフェルト・ヤコブ病の患者が100名を超えてお ります。  次に、家族性のクロイツフェルト・ヤコブ病です。これは、我々もPRP遺伝子とい うものを持っておりますが、その遺伝子に変異があることによって起こる病気です。で すから、遺伝します。  また、クロイツフェルト・ヤコブ病のうちの大体80%を占めるのは孤発性のクロイ ツフェルト・ヤコブ病でして、これは皆さんが発症する可能性があります。我々は、P RP遺伝子をというものを持っておりまして、そこから出てくるたんぱくを脳の中に発 現しておりますので、偶発的ではありますけれども、皆さんがこの病気にかかる可能性 は秘めております。ただし、100万人に1人と割合で、非常に頻度の低い病気です。  遺伝性のプリオン病というのはほかにもございまして、ここに挙げているゲルストマ ン・シュトロイスラー・シャインカーであるとか、致死性家族性不眠症というのがあり ます。この病気のフィールドではガジャセフという学者がおりますが、この方は、パプ アニューギニアで発生していたクールーという病気、これが実は伝達性であることを証 明して、初めてノーベル賞をもらいました。クールーというのは、宗教的なカンニバリ ズム、食人儀式が原因でヒトからヒトに移る。特に、パプアニューギニアのホア族とい う種族では、女性や子供が死んだ人の脳を食べる風習があります。その脳にはプリオン がたくさんたまっておりますから、それを食べることによって広まっていったという病 気であります。  では、プリオンとは一体何なのか。これは、わかっているようで、完全にはわかって いない部分があります。わかっていない要素があるゆえに、この病気は何となく正体不 明だと恐れられています。  ここに、その幾つかを書きました。ここは、病原体を不活化する処理に対する抵抗性 の違いです。例えば、紫外線を照射する。紫外線を当てることによって、核酸が破壊さ れます。核酸というのは、我々の体にももちろん遺伝情報としてありますし、病原体も 遺伝情報として核酸を持っておりますので、その核酸を破壊する方法です。ウイルスや 細菌は、核酸を破壊されると、もはや感染できなくなりますから、紫外線照射に対して 感受性がある。しかし、プリオンは、今のところ、核酸を持っていないと考えられてい ます。ですから、紫外線照射に対しても感染性を失わない。抵抗性であるということで す。  次に、熱処理です。お肉をよく焼くこともその一つです。ウイルスや細菌はたんぱく 質から構成されておりますから、そのたんぱく質を熱で壊してしまう、そういう処理に よって病原体を不活化します。したがって、ウイルスや細菌も熱によって不活化されま す。しかし、プリオンは、普通のウイルスや細菌が失活するような熱処理では完全には 失活しないと考えられております。実は、ここは、プリオンが非常に忌み嫌われる一つ の要素になっております。  また、よく日常的に使われる消毒薬、例えばアルコールとか、病院で使っている手な どを消毒する薬ですけれども、これに対してもプリオンは抵抗性であります。  しかし、たんぱく質を強力に変性させるような処理をしてやると、プリオンといえど も感染性が失われます。  こういうことから、プリオンは、核酸を破壊する処理に対して抵抗性なので核酸を含 まない、けれども、構成要素としてたんぱく質を含むと考えられております。  ただ一つ、よく誤解されるのは、プリオンは熱処理に対しても完全に抵抗性であると 受けとめておられる方もいらっしゃいますが、実は、プリオンは、感受性か抵抗性かと いうと、熱に対して感受性です。ただ、感受性の程度が違います。普通の細菌やウイル スは、温度を上げるとともに、どんどん元気さがなくなっていって、通常のものであれ ば、100度で処理することによって完全に死んでしまいます。しかし、プリオンは、 熱をかけるとだんだん元気がなくなっていくのですが、普通の細菌やウイルスが死ぬ1 00度とか121度では完全には死なない。より強力な熱をかけてあげなければ完全に 死なない。プリオンの熱抵抗性というのはこういうことであります。決して熱に対して 絶対的に抵抗性であるわけではありません。  この病気の特徴ですが、これから挙げますのは、きょう私がお話しする問題に関連し た部分の特徴だけです。  一つは、潜伏期が非常に長い。つまり、感染してから病気を発症するまでの期間が非 常に長い。牛ですと、平均で4年から6年と言われております。これがどういう問題に なるかというと、まだ発病していないけれども、病原体を保有しています。新聞紙上で も潜伏期にある動物という表現をされますが、そういう病気がどのぐらいいるかわから ないわけです。  次に、病原体に対する免疫応答がないということです。普通の感染症ですと、我々の 体は、病原体を排除するための免疫応答というのが起こります。それを指標に私たち が、例えば肝炎に感染していたとか、エイズに感染した、そういうことを判断すること ができます。ただ、その免疫応答というのが起こらないので、通常の感染症に比べると 診断が非常に難しい。これは、今でも問題になっております検査法の精度であるとか感 度に影響してまいります。  もう一つは、この病気は、一たび発症すると確実に死に至ります、残念ながら、まだ 治療法がありません。そういうことから、100%死に至る恐怖といいますか、決して 発生率は高くないのですが、治療法がないという恐怖があるのかなと感じております。  では、BSEがヒトの健康へどのようなリスクがあるかということについて、少し考 えをお話ししたいと思います。  ここには、三つに分けて書いてありますが、一つ目は牛から牛への感染です。  これはどういうことかというと、例えば、日本にいる牛のどのぐらいがBSEに感染 しているのだろうかと。BSEの汚染の程度です。イギリスのように高いのか、あるい は、非常に低いのかということです。BSEの感染牛がどのぐらいいるか。もう一つ は、BSEの病原体に汚染された飼料などはどのぐらいあるのだろうかということで す。  次に、牛からヒトへの感染というリスクがあります。これは、BSEの病原体に汚染 された食肉やその加工食品が原因であったり、BSEの病原体に汚染されて医薬品や化 粧品の原材料や何かが問題になってまいります。  実は、BSEがヒトに移ったためにバリアントCJDという病気が出てきました。現 在、バリアントCJDというのは輸血でヒトからヒトに移るということがもう明らかに なっておりますので、BSEから発生したバリアントCJDのヒトからヒトへの感染リ スクも考えなければいけない。ただ、きょうは、ここについてはお話しいたしません。  それでは、リスクを排除するためにどういう対策があるかというと、一番大切なのは 飼料の規制であります。最初にお話ししましたが、BSEというのは、牛から牛には自 然状態では感染が成立しません。ほとんどの場合、汚染飼料が原因であります。ですか ら、飼料の規制を徹底的に行うことにより、この病気はいずれ撲滅できると考えられて おります。  もちろん、このほかに、BSEがどのぐらい日本にいるのか、あるいは、世界の地域 にどのぐらいいるのかを調べるために、アクティブサーベイランスと言いまして、今、 我が国で行っているような検査を続けなければいけません。それと同時に、牛の由来が わかるようなトレーサビリティーのシステムも続けていかなければいけない。それか ら、輸入によってこの病気が日本に侵入してくることを防ぐための検疫を徹底しなけれ ばいけません。非常に一般的な話ですが、そういうことが挙げられます。  次に、牛からヒトへのリスクを減らすための対策として、例えば、今日本で行われて いるBSEのスクリーニングです。後ほどサーベイランスとスクリーニングの使い分け について少しお話ししたいと思いますが、これによってBSEに感染している牛を食物 連鎖から排除する、あるいは、特定部位、SRM、プリオンが感染しているかもしれな い組織を使わない。あるいは、牛由来医薬商品の使用規制です。こういうことがリスク を低減するための有効な対策になると考えられます。  それでは、BSEの検査について、何枚かスライドを使ってご説明したいと思いま す。  現在のBSEの検査の流れは、まず、牛の延髄の閂部、ちょうど囲ってあるところで すが、ここから材料をとってまいりまして、エライザという方法で1次検査を行ってお ります。この検査は、食肉に供する牛であれば、食肉検査事務所で行っておりますし、 24カ月齢以上の死亡牛は家畜保健衛生所というところで行っております。こで、陽 性、疑陽性の結果が出ましたら、それは確認検査機関へ送られて、ウエスタンブロット あるいは免疫組織化学というより精度の高い方法で検査を行います。これは、皆さんも よくご存じのことと思います。  では、なぜ延髄という部分を使うかということについて少しだけご説明したいと思い ます。  プリオンというのは、BSEの場合、基本的には口から病原体が侵入すると考えられ ています。これは消化管の模式図ですが、口から侵入します。どこから入るかという と、ここに消化管付随リンパ装置とちょっとわかりにくい名前を書きました。扁桃腺と いうリンパ球が入った装置をご存じと思いますが、我々のおなかの中ではそういうもの が消化管の周りにいっぱいありまして、そこから侵入します。侵入したプリオンは、今 度は末梢神経に乗りかえて、およそ二つのルートで中枢神経系に到達します。一つは、 迷走神経という神経をたどって延髄の閂部に入ります。もう一つは、内臓神経という神 経を通って、胸部の脊髄に入ってまいります。つまり、脳のいろいろな部位を検査し て、最初にプリオンが見つかってくるのが延髄の閂部とここら辺です。ここら辺をサイ ザイするのは非常に難しい。ですから、今の検査は延髄閂部を使います。ですから、逆 に言うと、ここを使わなければ正確な検査ができないことになります。  では、この検査というのは一体どのぐらいの感度を持っているか。これは、最近非常 に議論になっているところです。このグラフの縦軸は、脳内におけるプリオン、PRP SCと書きましたが、プリオンを構成するたんぱくの蓄積量で、横軸は時間を書きまし た。これは、対数グラフと考えてください。ですから、1、2、3、4、5ではなく、 10、100、1,000、1万、10万というスケールです。感染が起こった後、し ばらくはPRPSCというのは脳にはたまってまいりません。徐々にたまっていきま す。そして、ある程度までたまると、牛は臨床症状を出して発症し、やがて死に至りま す。  今の検査法は、どこら辺まで検出できるのかというと、発症する前の段階、要する に、潜伏期と言われるある時期以降から検出可能です。それは、プリオンが一体どのぐ らいたまったら検出されるようになるかというと、病後末期の牛の脳にたまっているP RPSCという異常型プリオンたんぱく質の100分の1から1000分の1くらいた まったところで今の検査法は陽性と判断できます。これは、科学者の目から見ると非常 に感度が高いと考えますが、これからお話しする問題が必ず起こってまいります。  それは、検出限界に満たないもの、青い点線で囲った部分ですが、ここの牛を陽性と 判断することはできません。これは、プリオンの検査に限らず、どんな検査法にも検出 限界というものがあります。ですから、正確に言い方をすると、検出限界以下という表 現をして、これは一般論としてすべてのものに当てはまりますが、いない、あるいはな いのではなくて、この検査では検出できないというのが正確なとらえ方になります。つ まり、我々の目からすると、潜伏期にある牛をある程度検出できるというのは非常に感 度が高いと考えますが、それ以下のもの、微量のプリオンがたまっているような牛まで を摘発することはできません。  そこで、これも最近は非常に問題になっておりますが、それでは、若齢牛の検査の必 要があるのかということです。この表は、イギリスでのBSE牛の発症年齢を示してお ります。一番若い牛、2は目に若い牛、一番年をとった牛です。1992年、93年 は、イギリスでBSEが一番発生していたときです。一番若い牛では20カ月齢で発症 しています。これは検査でつかまっているのではなく、症状を出している牛です。93 年では29カ月齢です。しかし、BSEがだんだん減ってきた1990年代後半では、 一番若い牛でも30カ月齢から40カ月齢の牛でBSEの臨床症状を出しています。  2001年からEUのほとんどの国では日本で行われているようなBSEの迅速検査 が導入されました。EUの迅速検査で摘発された最も若いBSE陽性牛は42カ月齢で す。もちろん、EUでは、24カ月あるいは30カ月齢以上の牛を対象としております から、それ以下の牛でつかまるかというとEUの検査ではわかりません。  それでは、日本ではどうかといいますと、日本では、皆様もご存じかと思いますが、 これまでに11例のBSE感染牛が摘発されております。そのうち特に問題になってい るのが黒でかいた二つですが、21カ月齢と23カ月齢という若さで陽性と判断されま した。でも、これらの牛は、もちろんBSEを発病していたわけでもありませんし、ほ かの牛のように、脳の中にたくさんPRPSCがたまっていたわけではありません。非 常に少ない量、もう検出できるかできないかのぎりぎりくらいの量の蓄積があってつか まってきた牛であります。21カ月齢とか23カ月齢というのは、日本でしかそういう スクリーニングを行っておりませんので、日本でしか出てこないデータです。  こういうように、イギリスの例、あるいはヨーロッパの例、日本の例から、今後、若 い牛の検査をどうするべきかということを考えていかなければいけません。もちろん、 これだけで線を引くのではなくて、ほかの対策の成果とあわせて総合的に線を引くべき ものだと考えております。  今、BSEのサーベイランス、スクリーニングで使うBSE検査の話を簡単にご紹介 しましたが、次に、もう一つ問題になります特定部位、SRMの除去の話を二、三枚の スライドを使ってしたいと思います。  では、BSEに感染した牛のどこにプリオンがあるか。それがわかれば、牛のここは 食べても安全だ、ここは使わない方がいいという線引きができます。これも、プリオン という非常に扱いにくい病原体の難しさもありまして、完全にはわかっておりません。 現時点でわかっている範囲の説明となりますが、この表は、牛の組織の中におけるプリ オンの量、感染価とその重さから、牛の個体におけるプリオン全体の感染価の割合を出 しております。例えば、脳には牛1匹中の64%のプリオンの感染価があります。脊髄 には26%のプリオンがあって、90%のプリオンは脳と脊髄に分布していることにな ります。そのほか、三叉神経節といって、ちょうどあごの骨にへばりついているような 神経節とか、背根神経節と言って、恐らくそういう業界の方も来られていると思います が、特定危険部位が脊髄から脊柱に広がりましたが、背根神経節というのは脊柱の中に 埋もれるように存在している神経節です。そこにも少しの感染価があります。あと、回 腸遠位部と言われるところにも感染価が少しあります。眼球、目の神経にも少しありま す。こういうデータから、現在、特定部位というのは舌やほお肉を除く頭骸、頭骸の中 には脳であるとか三叉神経節が含まれます。脊柱、ここには脊髄、背根神経節が含まれ ます。あと、回腸遠位部が特定部位として除去されています。  では、特定部位の除去の有効性と問題点について簡単にご説明したいと思います。  実は、牛の絵にかきました脳、脊髄、目、三叉神経、回腸遠位部、背根神経節です が、ここに99%以上の感染価があるというお話をしました。ですから、これが完全 に、しかもきれいに取り除ければ、確かに特定部位の除去というのは安全性確保に非常 に有用な手段であります。  しかし、問題点もまだありまして、本当に完全に除くことが可能かということです。 我々の体は、プラモデルのように組み合わせてできているわけではなく、非常に入り組 んで弾力性のある組織からできています。そういうところから、こういうものだけをき れいに100%除くこと、周りを傷つけないで除くことが可能かという問題がありま す。解体時に、特定部位が枝肉などを汚染する可能性ももちろん否定できません。日本 では、ピッシングと言いまして、スタンガンで牛を気絶させるのですが、その後、作業 に従事する方の安全性を確保するためにピッシングという方法で脊髄を破壊する方法を とっているところがまだ大部分です。ただ、そういうことをすることによって脳組織を 傷つけてしまうので、それが周りを汚染する可能性もあるのではないか。  もう一つ問題になるのは、まだ完全には解明されていない病気なので、まだ確認され ていない部位にもプリオンがいるのではないか。例えば、つい最近、量は少ないのです が、羊の筋肉にプリオンがいるという報告が幾つか出ていました。つまり、牛の場合に は筋肉はまだ入っていませんが、牛の筋肉に本当にプリオンがゼロと言えるかどうか。 ほんの少しいたとしても、全体で見ると筋肉はかなりの重量になりますから、トータル で見るとそこそこのプリオンがいるかもしれない。ここら辺は、まだ科学が解明し切れ ていない部分ですが、こういう問題も考えなければいけません。特定部位というのが本 当にここだけでいいのかということです。  ただ、現時点では、科学的にまだ完全に解明されていな部分が多い病気であるけれど も、安全性を確保するために、現時点でわかっている範囲で最大限の対策をとっていか なければいけません。その中でBSEの検査と特定部位の除去ということがどういう機 能しているか、役割を果たしているかについて簡単にお話ししたいと思います。  まず、サーベイランスという言葉です。これは、BSEの感染の程度を明らかにする ことが目的であります。後からスクリーニングの違いをご説明しますけれども、どうい うことかというと、ある国や地域にBSEの発生があるのか、また、その汚染状況、浸 潤状況などを正確に把握して的確なBSE対策に役立てる、そういう目的です。  この問題としましては、国ごとに検査対象の設定などが違うとか、日米の間でもそう いう問題が起こっていると思いますが、そういうことがあります。一方、スクリーニン グとはどういう目的で行われているかというと、BSE感染動物を食物連鎖から排除す ることが目的です。ですから、今、と畜場の食肉検査事務所で行われているのはスクリ ーニングに相当するもので、検査結果が明らかになるまでは流通に回りません。理想的 には、BSE感染牛のいかなる組織も食物連鎖から排除することになります。というの は、BSEというのはまだわかっていない部分が多い。例えば、本当に筋肉に病原体が ないのか、おしっこに出てこないのか、血液中にないのか、まだ統一的な見解を得られ るだけの科学的な情報がありません。そういう観点からすると、感染牛のいかなる組織 も食物連鎖に入れないことが安全性を確保する一つの手段であります。  しかし、問題となるのは、検査の対象年齢です。先ほどちょっとお話ししましたが、 一般的に、どんな検査法にも検出限界がありますので、ある一定以上のものがたまらな いと陽性と判断できないという問題があります。  一方、特定部位の除去というのは、プリオンに感染している、していないにかかわら ず、プリオンが含まれる可能性のある組織を除いてあげようと。これは、確かに食の安 全を確保する非常に有効な手段であります。しかし、一つ前のスライドでご紹介しまし たけれども、本当に完全に除去できるのか、あるいは、除去方法をもう少し検討しなけ れば完全に安全性を保障する手段にはなり得ないと考えられます。  そこで、今、日本はどういうスタンスでいるかというと、BSEのスクリーニングと 特定部位の除去、その長所と短所をうまく合わせることによって、両者の併用により双 方の問題点を補い、高度に安全性を確保しているのであります。  それでは、もう一方の問題として、本当に日本のBSEが原因で変異型のCJDの患 者さんが発生するのだろうかという問題です。  可能性が低いから何も対策をとらなくていいという意味ではなく、一つの考え方とし てご紹介したいと思います。  青で示したのは、イギリスにおけるBSEの年次別の発生数です。実は、1988 年、BSE発生のかなり早い段階で、フィードバンと言われる反すう獣由来の飼料を反 すう獣に使用しない、あるいは、牛の特定臓器を人の食用に供しないという行政措置を とりました。  しかし、その7年後から変異型CJDの患者さんが出てきました。多い年でも28 人、今まで140名ほどの患者さんが出ておりますが、幸いなことに増加傾向は認めら れておりません。  このスライドは、ヨーロッパの国々の牛の飼養頭数とBSEの発生率、100万頭当 たりでどのぐらい発生しているか、また、BSEの総数とバリアントCJDの患者さん の数を示しております。2003年2月までのデータなのでちょっと古いのですが、例 えばイギリスでは1,600万トンの牛を飼っています。1996年には100万頭当 たり1,628頭のBSEが出ました。2000年になりますと、その7分の1くらい になって100万頭当たり250頭出ているということです。単純に比例式で出すべき ものではないですが、イギリスでは、今までBSEが18万と公式に報告されていて、 それに対して132名の患者さんが出ていると考えます。  イギリスは汚染が非常に激しいので余りいい例にはなりませんから、フランスの例を 出します。こういう計算をすると怒られるかもしれませんが、1996年のフランスの 発生率が100万頭当たり1.1で、2001年に日本が検査を始めたときにはちょう ど100万頭当たり1匹ちょっとということなので、この数字をかりて簡単な計算をし てみます。  フランスの場合、2003年の時点で754頭のBSEが報告されています。フラン スは、2001年のちょっと前からリスク牛と言われる牛のアクティブサーベイランス を行っておりますので、それまでに取り残した数を危険率を見て5倍に見積もりまし た。大体3,000頭くらいのBSE感染牛がいただろうと。日本では、この段階で7 頭のBSE汚染牛が出ております。しかし、これはすべて食用に供される牛の検査であ って、リスク牛と言われる牛の検査、つまり24カ月齢以上の全頭を対象とした検査は このときはまだスタートしておりませんでしたので、その部分の危険率をちょっと高く 見積もり10倍くらいの数がいただろうと想定します。それと、人口とバリアントCJ Dの患者さんの比をとってみますと、日本は1億2,000万くらいの人がいるとする と、単純比では0.2という数字が出てきます。もちろん、どのぐらい牛肉を食べる か、あるいは加工の問題、いろいろな問題があるので、こういう単純な比例式ではリス クを真剣にやっている先生には怒られてしまいますが、決してリスクは高くない、現在 行われているような対策をしっかりとっていれば、日本のBSEが原因で日本の方がバ リアントCJDになる可能性は高くないということは間違いないと思います。  そして、ここが私の最後の話になりますが、今問題となっているのは、BSE病原体 というのはもう既に日本に侵入しております。ですから、SRMの除去であるとか、B SE感染牛のスクリーニング、あるいは汚染の可能性のあるものの排除、これはあくま で緊急措置としての出口管理だと考えるべきだと思いますが、この対策を一生懸命にや らなければいけない。それが牛のスクリーニングサーベイランスであったり、可能であ れば医薬品や食品原料の検査、監視や使用規制などです。ただ、これはあくまで緊急措 置であります。  将来的には、BSEフリー、清浄国となって未来永劫の安全性を確保するためには、 今後はBSE非感染牛群の飼育に力を入れなければいけない。長期的に安全性を確保す るための入り口側の管理出あります。それには、もちろんBSEの汚染状況を把握する ためのサーベイランスも必要ですし、やはり、キーになるのは飼料です。これを検査し て、本当に牛由来のものが入っていないかどうかを確認してその品質を保証する、監視 体制を強化するということです。  これは余談になりますが、日本のキリンビールとアメリカのベンチャーのグループが BSEにかからない牛をつくったりしております。今、ソウル大学でも同じようなこと をやっていますが、ここら辺は、食用としてではなく、あくまで医薬品原料の供給のソ ースとしての利用価値はあるのではないかと思っております。  BSEという病気は、自然状態で牛間では感染しません。感染源としては、汚染飼料 を介した肉骨粉というのが一番ですので、ここをしっかり断つことによって制圧できま す。これの両極にあるのが口蹄疫です。口蹄疫というのは、自然状態でも牛から牛、豚 から牛に簡単に広がってしまいます。そういうものは非常に制御しづらいけれども、B SEという病気自体は非常に制圧しやすい病気です。  ただ、そのときに必要なものは、肉骨粉の飼料を規制するための法整備です。法整備 はかなりできていると思うのですが、問題はそれを本当に守るかどうか。これは、生産 現場ではなく、飼料メーカーあるいは輸入業者、ここにかかわるすべての方々のモラル の問題になってきていると思います。  もちろん、それと同時に、科学的手法に基づいた飼料の内容の検査とか品質保証、こ こら辺はまだ技術的に難しい部分があると思いますが、こういうことに力を入れること によって、入り口側でBSEの発生を未然に防ぐ体制ができるのではないかと思いま す。もしそういう土壌がしっかりできてくれば、当然ながら、出口側の検査のあり方も 変わってくるであろうと考えております。  これから両省の方から具体的な対策についてお話しされると思いますが、その対策の 考えのもとになるような話を幾つかさせていただきました。これで、私の話を終わりた いと思います。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○司会  どうもありがとうございました。  BSEについて、非常にわかりやすく、そして、その対策についても専門的にご説明 いただいたと思います。  続きまして、牛のBSE感染予防対策について、現実に具体的なリスク管理をやって おります農林水産省の境室長から説明いたします。 ○境室長 農林水産省で薬事・飼料安全室長を務めております境でございます。  私の方から、牛の海綿状脳症、BSEの予防対策、リスク管理につきましてご説明さ せていただきます。  次をお願いします。  BSEのリスク管理対策について、農場から食卓まで、全般的にどういったことをや っているかについて書いております。管理対策の目的は、一つは、蔓延防止と書いてい るように、牛から牛に蔓延していくことを防止するための措置です。そして、将来的に は我が国からBSEをなくしてしまう対策であります。もう一つは、安全確保というこ とで、食品である牛肉の安全性を確保する、大きく分けてこの二つが対策の目的であり ます。  こういった目的を達成するために、まず、検疫ということです。外国からBSEに感 染した牛を入れないとか、汚染されたものを入れないということで、動物検疫は農水省 が、食品であります牛肉等の検疫は厚生労働省が担当しております。  それから、飼料規制です。BSEの場合は、異常プリオンを含んだ肉骨粉を牛に給与 することによって感染が成立すると言われておりますので、飼料規制をしっかりやるこ とによってBSEの蔓延を防ぐことができます。  三つ目は、死亡牛検査です。ヨーロッパの例では、BSEの感染牛は健康な牛より死 亡牛の方がより高い確率で発見されると言われておりますので、現在、24カ月齢以上 の死亡牛について全頭検査をやっております。それから、こちらの方は、と畜場で屠殺 される牛について全頭検査がなされておりますし、今、堀内先生からご説明がありまし たように、特定部位の除去がなされております。  上二つが農水省、下二つが厚生労働省が所管しております。  次をお願いします。  BSEの発生と原因究明でございます。ご説明がありましたように、86年に英国で 初めてBSEが見つかりまして、これまで英国では18万頭以上の発生が見られており ます。その原因につきましては、疫学調査とか、あるいは肉骨粉の給与試験などを行い まして、異常プリオンたんぱく質を含む肉骨粉を牛に給与したことが原因であるという ふうにされております。  我が国では、平成13年9月10日に第1頭目が確認され、これまで11頭出ており ますが、11頭のうち上の9頭分については平成7年12月から8年4月生まれという わずか4カ月の間に出生日が集まっております。それから、8頭目、9頭目につきまし ては、最初の9頭から約6年くらい後の2頭となっておりまして、最初のところに原因 となるものが一つ固まっていたのではないか、その6年後、乳用牛は6歳か7歳で淘汰 されますので、次の世代の感染が起こったのかなというふうに見ておりまして、ここで 摘発されなかった9頭以外のもの、それが肉骨粉になって、何らかの形で若い牛に感染 が起こったのかなと推測されるわけでございます。  原因につきましては、昨年9月、BSE疫学検討チームの報告書が出ております。私 どもは、BSEが発生しましたら、これらの牛が生まれてから死ぬまでどういったえさ を食べていたのか、全部調べております。その中では肉骨粉を給与していたような事例 はありませんけれども、現に発生したということで、この報告書の中では、牛用飼料へ の製造・輸送段階での肉骨粉の意図しない混入、いわゆる交差汚染があったために感染 が起こったのではないかと推測されております。  次をお願いします。  これは、BSE発生サイクルとその遮断ということでございます。  まず、と畜場で牛が屠殺されますが、特定部位は除去されて焼却されます。それか ら、食用に回るもの以外の牛の骨とか内臓につきましては、肉骨粉の製造工場、通常は 化製場とかレンダリング工場と言っておりますが、そこで肉骨粉が製造されますけれど も、牛の肉骨粉はすべて焼却処分をしております。したがいまして、えさには牛の肉骨 粉は回らない仕組みになっております。  一方で、輸入につきましても、肉骨粉は、牛ばかりではなく、すべての肉骨粉の輸入 を禁止しておりまして、それが飼料工場では使われない仕組みで、肉骨粉の入っていな い飼料を製造し、牛に給与するということで、感染のサイクルを断ち切ることになって おります。したがいまして、牛の世代交代が進めば、我が国からBSEはなくなるとい う仕組みになるわけです。  次をお願いします。  飼料規制の基本的考え方でございますけれども、BSEの感染牛となり得るものの飼 料利用を規制するということで、牛ばかりではなく、豚等の肉骨粉、魚粉、動物性油脂 といった異常プリオンの汚染の可能性のあるものは、すべて牛用飼料への利用を法的に 禁止しております。  それから、牛用飼料とその他の飼料の分離ということです。先ほど若い牛になぜ起こ ったかということで交差汚染が疑われたわけですけれども、牛用飼料には肉骨粉は一切 使っていない、動物性のたんぱくは使っていませんが、その他の豚とか鶏用には、一部 で、例えば鶏のチキンミールあるいは魚粉といったものが使われております。そこで、 そうしたものがまじらない、交差汚染をしない仕組みが必要でございまして、飼料の輸 入から製造、保管、輸送、使用の各段階で交差汚染を防止するためのラインの分離、使 用の分離といったことを行っております。  次をお願いします。  飼料原料の規制状況でございますが、こちらには動物性の飼料原料を書いておりま す。肉骨粉、獣脂かす、チキンミール、フェザーミール、動物性油脂です。ここは、原 料の由来となった動物でございます。こちらは、飼料の種類で牛用飼料、豚用飼料、鶏 用飼料、養魚用飼料となっております。  まず、牛用飼料につきましては、動物性たんぱく質すべて使用は禁止になっておりま す。それから、牛由来の肉骨粉等につきましては、これもすべての家畜用の飼料に使っ てはならないという仕組みになっております。豚と馬につきましては、現在、すべて使 っていけないことにしておりますけれども、豚は自然状態ではBSEに感染しないこと がわかっておりまして、豚肉骨粉については、牛用飼料と交差汚染しないということを 厳格に確保した上で、牛以外の豚、鶏、魚には使用できるのではないかということで、 今、使用再開に向けた取り組みを行っております。  それから、チキンミール、鶏でございますが、鶏は実験的にも全くBSEに感染しな いとされておりますので、牛以外には使用が認められております。  それから、レンダリング、肉骨粉製造時に発生する牛由来の油脂でございますが、こ れについては、牛については使ってはいけませんけれども、それ以外の豚等につきまし ては利用が認められております。牛では、唯一、油脂が認められておりまして、食用の 肉由来の油脂につきまして、いわゆるファンシータローというもの、これについては代 用乳として牛に使用が認められております。  次をお願いします。  これは、いわゆる飼料のライン分離の模式図でございますが、上が牛用飼料、下が鶏 ・豚用飼料の製造工程です。要は、原料の搬入段階から、製造して製品として出荷する まですべて分けるということで、こちら側で使用される動物性たんぱく質がこちらに交 差汚染しない仕組みでございます。方法としては、牛用飼料の専用の製造工場をつく る、あるいは、一つの工場の中で隔壁を設けて交差汚染を防止する、そういった対応が とられております。  次をお願いします。  先ほど堀内先生からもご指摘がありましたが、こういった規制がきちんと遵守されて いるかどうかチェックする体制もとっております。まず、輸入でございますけれども、 BSEの感染の原因となるような飼料原料は禁止されていますから、それが輸入されて いないか。また、BSEに感染した牛も発生国から輸入を禁止しておりまして、動物検 疫所できちんと検疫を行っております。ですから、そういった汚染物質は輸入禁止にし ております。それから、肉骨粉の製造工場、レンダリング工場でちゃんと牛の肉骨粉が ほかのものにまざらないようにしているかどうか、それから、配合飼料工場でもまざり ものができていないかどうか、そういったものを独立行政法人肥飼料検査所が抜き打ち で立入検査を行っておりまして、少なくとも、これらの工場には、年1回以上、立入検 査を行っておりまして、遵守状況の監督、あるいは抜き取り検査を行って守られている かどうかチェックしております。それから、飼料の販売店とか農家でのえさの使用につ きましては、都道府県の方で同様に立入検査あるいは抜き打ち検査が行われておりま す。  次をお願いします。  今度は、BSEの検査でございますが、先ほどご説明がありましたように、と畜場で は安全な牛肉の供給を目的に全頭検査が行われております。一方、農場段階では、BS Eの蔓延を防止する観点から、死亡牛とか中枢神経症状等が疑われる牛につきまして検 査を行っております。こちらの検査を行うことによって食品としての牛肉の安全性が担 保されますし、検査結果の全体を見ますと、我が国でBSEがどのくらい広がっている のか、あるいは、原因はどこにあったかがわかります。また、現在とられておりますB SEのリスク管理措置が有効に機能しているかどうかを判断することができるわけでご ざいます。検査方法としましては、エライザ法によるスクリーニング検査で陽性が出た 場合にウエスタンブロット法等の検査を使いまして確定診断が行われております。  次をお願いします。  BSEサーベイランスの結果でございます。この表に検査頭数を書いておりますが、 赤い括弧書きはそのうちの陽性だった頭数でございます。上の方がリスクとしては高い と考えられるもの、下が低いリスクだろうと思われるものであります。13年度から1 5年度と、年々、検査頭数がふえてきています。先ほども言いましたように、死亡牛検 査は、15年度から本格的に取り組みまして、16年度からは24カ月齢以上は全頭検 査が行われておりまして、16年度は、4月から7月までに3万3,000頭余りの検 査が行われ、年間10万頭くらい行われる予定になっております。こういったことで、 我が国では、現在はほぼすべての牛について検査が行われる仕組みになっております。  次をお願いします。  次に、主要国におきますBSE対策の比較でございます。日本におきましては、ご説 明したように、健康牛、神経症状牛につきましてはすべて検査を行っておりますし、死 亡牛についても24カ月齢以上の牛すべてについて検査を行っております。飼料規制に つきましては、反すう動物由来の飼料原料につきましては、反すう動物はもちろん全く 使用禁止にしておりますし、豚、鶏につきましては、油脂を除いて飼料利用が禁止され ております。  EUは、我が国と似ておりまして、現在、30カ月齢以上、一部では24カ月齢以上 でございますが、牛すべてについて健康牛の検査が行われております。また、神経症状 牛は24カ月齢以上の牛すべて、死亡牛は我が国と同じように24カ月齢以上のすべて の牛が検査されております。それから、飼料規制につきましても、我が国と同様の対応 が行われております。  一方、アメリカは、検査はあくまでもBSEの広がりぐあいを見るサーベイランスだ という位置づけになっておりまして、健康牛は成牛2万頭くらいの一部、それから、神 経症状牛、死亡牛は30カ月齢以上の一部で20万頭から27万頭程度が検査される予 定になっております。飼料規制につきましても、反すう動物由来物質のもの、いわゆる 牛の肉骨粉は、反すう動物には使用が禁止されておりますが、豚とか鶏用の飼料には牛 の肉骨粉も使用が可能という状況になっております。  次をお願いします。  次は、トレーサビリティー制度でございます。牛の生産・と畜段階は、既に昨年12 月1日から法的に施行されております。牛肉の流通につきましては、ことしの12月1 日から施行される予定になっております。まず、牛が生まれたり輸入された場合は、生 産者は届け出を行うことになっておりまして、個体識別台帳に記録されます。そうしま すと、ここにありますような10けたの番号が牛の個体ごとに付与されて、耳標を牛に つける形になります。牛を販売したり死んだりと殺したら、その旨を届け出る仕組みに なっております。それから、肉の段階に入りましても、個体識別番号を表示したり伝達 することによって、牛の情報すべてを入れることができる仕組みになっております。  トレーサビリティーの目的は二つございまして、一つは、BSE発生時の迅速な遡及 調査を行うことができるようになりましてBSEの蔓延防止に効果があります。二つ目 は、国産牛に関する生産情報を消費者に提供させていただくことによりまして信頼の確 保を期待しているわけでございます。  次をお願いします。  BSEのリスク管理全般でございます。まず、外国から汚染されたものを入れないと いうことで、肉骨粉等につきましては、すべての国から輸入停止をしており、我が国に 入ってこない仕組みがとられておりますし、牛に給与しないということで飼料規制が厳 格に実施されております。それから、牛につきましては、と畜場に行くまで、トレーサ ビリティー制度ができておりまして、ことし12月から本格的に稼働いたしますが、問 題が発生した場合には直ちに原因究明ができる、さかのぼって関連牛を摘発することが できる仕組みになります。それから、と畜場におきましては、全頭検査、特定部位の除 去、焼却が行われております。こうして、検査で陰性の牛の肉のみが食肉に回っている ということでございます。死亡牛の検査、全頭検査を合わせてBSEに関する検査が行 われており、これにより、我が国での全体のリスク管理措置が適正に機能しているかど うかといったことを監視する、評価する仕組みになっております。  全頭検査とか特定部位の関係は、厚生労働省の方からご説明させていただきます。  以上でございます。 ○司会  お疲れさまでございました。  今、境室長から、農林水産省関係の牛のBSE感染予防対策についての説明がござい ました。  質問等については意見交換の場でしていただければと思います。  続きまして、BSEに関する牛肉の安全対策について、厚生労働省の蟹江専門官から 説明いたします。よろしくお願いいたします。 ○蟹江  ただいまご紹介いただきました厚生労働省食品安全部監視安全課の蟹江でございま す。  私の方からは、牛肉の安全対策についてということでご説明をさせていただきます が、先ほどの堀内先生、境室長の説明とかなり重なる部分がございますので、あらかじ めご了承いただきたいと思います。  まず、最初のスライドでございますが、BSEの問題を総括的にまとめた図でござい ます。  先ほど境室長からもご説明がありましたとおり、BSEの感染サイクルの遮断が重要 だということで、厚生労働省といたしましては、まず、国内対策としてと畜場でのBS E対策、それから、外国から輸入されてまいります食品の監視という二つの対策を講じ ているところでございます。  まず、と畜場におきましては、各都道府県の獣医師の資格を持っていると畜検査員の 方々が検査あるいは特定危険部位の管理・監督を行っております。それから、輸入時に つきましては、厚生労働省に検疫所という機関がございまして、そこの食品衛生監視員 が輸入食品の監視をしております。  次をお願いします。  このスライドは、我が国でBSEが確認されるまでどういう対応をとってきたかにつ いて簡単にまとめたものでございます。平成8年にイギリスでBSEとバリアントCJ Dの関係が指摘され、その段階でイギリスから牛肉あるいはその加工品の輸入を停止 し、国内対策といたしましてはと畜場での検査の対象疾病にBSEを追加いたしまし た。それから、平成12年12月、EU諸国におきましてBSEがかなり拡大してきた こともございまして、EU全体からの牛肉及びその加工品の輸入を停止し、国内対策と いたしましては、13年5月から、まず牛については何らかの症状があるようなものが と畜場に搬入された段階でサーベイランスを行っていこうと。また、羊についてもあわ せて行っていく。これは、この段階では実際に食肉衛生検査所で行っていますエライザ 検査法ではございませんで、堀内先生のご協力を得まして、現在使っております確認検 査の一つでございますウエスタンブロット法によって直接検査を実施してまいりまし た。国産の牛は今は全頭検査にかわっているわけでございますが、羊について今も継続 しておりまして、これまで約570頭程度の検査を実施し、すべて陰性と確認しており ます。  こちらのスライドでございますが、国内でBSEが確認されたことに伴いまして講じ た対策をまとめたものでございます。ご承知のとおり、13年10月18日からと畜場 における全頭検査を開始し、同時に、と畜場法に基づきまして特定部位の除去、焼却の 義務づけを行っています。  それから、BSEが確認され、それ以前に既に流通している牛由来の原料を含む食品 につきましては、特定部位を含有する食品について各事業者の自主点検が行われ、含ま れているものについては回収、廃棄、それ以外のものも点検結果をすべて公表していく 措置をとったところでございます。  それから、15年7月には食品安全委員会が設置をされております。16年2月に は、堀内先生の説明にもございましたとおり、感染性を有する部位の一つとして背根神 経節が含まれます脊柱は、骨そのもの自体には感染性はございませんが、背根神経節と 脊柱を区分するのが難しいということで、脊柱全体の食品への使用禁止ということで、 食品安全委員会の議論を踏まえて食品衛生法に基づく基準を設定いたしております。  2月からは、食品安全委員会におきまして、我が国のBSE対策について、全般的な 内容ですが、評価、検証が開始されている状況でございます。  こちらのスライドは、と畜場におけるBSE対策全般を図にあらわしたものでござい ます。まず、特定部位の除去が重要ということで、すべての牛について除去を実施し、 検査につきましては、エライザ法によりますスクリーニング検査を実施します。陰性の ものはそのまま食肉として流通し、陽性のものにつきましては、さらに確認検査を実施 し、方法といたしましてはウエスタンブロット法、免疫組織化学検査のどちらかで陽性 が確認された場合に、最終的に、厚生労働省で専門家会議を開催して確定診断を行って いただき、BSEと診断されれば牛由来の食肉等は焼却するという制度になっておりま す。  こちらは、と畜場におけるBSE検査の実績を年度別にまとめた表でございます。大 体、1年間に125万頭の牛がと畜され、同数の検査がなされております。これまで に、と畜場では合計で9頭のBSE感染牛が確認されました。平成13年9月に千葉県 で確認された最初の1頭、それから、農林水産省の死亡牛の検査で確認された1頭を含 めますと、国内では合計で11頭のBSEが確認されております。  こちらは、11頭の詳細な情報ですが、2頭目から10頭目まではと畜場で確認され たものです。1頭目は千葉県、11頭目は死亡牛ということで、そのうち、色を変えて いるところがいわゆる若齢牛で確認されたBSEでございます。先ほど確認検査の方法 でウエスタンブロット法と免疫組織化学検査のどちらかが陽性であればBSEと診断し ているとご説明いたしましたけれども、8頭目、9頭目以外はすべて両方の検査で陽性 を確認しております。8頭目、9頭目につきましては、異常プリオンたんぱくの蓄積が かなり微量ということで、ウエスタンブロット法のみ陽性、免疫組織化学検査は陰性と いう結果でございました。しかし、どちらかが陽性ということでBSEと判断しており まして、8頭目、9頭目についての最終的な診断はBSEという状況でございます。  今の表をBSE感染牛の出生年度分布ということでグラフにあらわしますと、平成7 年度生まれの牛が7頭、平成8年度生まれが2頭、これで合計9頭です。13年度生ま れが21カ月、23カ月のいわゆる若齢牛でございます。  こちらは、また別の観点で整理をしてみた図でございますが、横軸がBSEを確認し た年度、縦軸はその月齢でございます。平成13年度には3頭、14年度には4頭、1 5年度は4頭をBSEと確認しておりますが、2頭ずつ、分布が少し異なっておりま す。上の白、黄色、青のグループは、平成7年あるいは平成8年生まれの牛でございま すので、確認年度が遅くなればなるほど対象の牛の月齢も上がっている、一つのグルー プとして考えることができると思います。一方、若齢牛につきましては、平成13年、 14年生まれということもございまして、これとは少し分布が違う状況でございます。  こちらは、と畜場におけるBSEの検査体制を日本とアメリカ、EUで比較した表で ございます。先ほどのご説明にもありましたとおり、日本ではと畜場の段階で検査を し、BSE感染牛由来の肉等をフードチェーンから排除する、感染牛の排除ということ で食肉検査の目的でBSE検査を行っております。一方、アメリカにおきましては、B SEの浸潤状況等を把握するためのサーベイランス、EUにつきましては、中間的なサ ーベイランスでもあり食肉検査でもあるという位置づけでそれぞれの国でBSE検査が なされております。  こちらは、特定危険部位の範囲ですが、これも各国の考え方が少し違っておりますの で、その比較表をつくってみました。部位を見ていただくと、基本的には同じような部 位を除去しておりますけれども、対象としている牛の月齢が異なっております。日本は 全頭から特定危険部位を除去しておりますが、米国では中枢神経系の特定危険部位、3 0カ月齢以上、EUでは12カ月齢以上となっております。いずれの国もヨーロッパで の感染実験データをもとに最終的なリスク管理組織を決めておりまして、参考としてい るデータは同じでございますが、考え方が多少違うということで、月齢の違いが管理措 置にあらわれている状況でございます。  最後に、今までは国内の対策についてご説明させていただきましたけれども、輸入時 にどういった対策がとられているかといいますと、非常に簡単でございますが、BSE 発生国からの牛由来製品の輸入を停止しております。対象国は現在24となっておりま すが、牛肉だけではなくて、牛由来製品、牛由来の成分が含まれる加工品も含めて、B SE発生国からの輸入を停止しております。例えば、BSE非発生国でBSE発生国の 原料を使った場合でも同じように輸入を認めていないという状況で、食品の輸入の監視 が各検疫所の段階でなされております。  以上で、私からは、牛肉の安全対策ということで、厚生労働省がとっておりますリス ク管理措置についてご説明いたしました。 ○司会  どうもお疲れさまでございました。  それでは、私どもからの説明はこれで終わり、この後に意見交換会に入りたいと思い ますが、その前にここで5分間の休憩を設けさせていただきたいと思います。                 〔  休憩  〕 ○司会  それでは、再開いたします。  これから、意見交換に入ります。  進行は、コーディネーターの広瀬課長補佐にお願いします。  広瀬さん、よろしくお願いします。 ○広瀬  それでは、意見交換に入りたいと存じます。  先ほどもご紹介いただきましたが、企画情報課の広瀬と申します。よろしくお願いい たします。  本日は、牛肉の生産から消費への流れに沿ってということで意見交換を進めていきた いと思っております。  まず、牛のBSE感染予防対策について、具体的にはフィードバン、サーベイラン ス、動物検疫などについて意見交換をいただき、後半は、BSEに関する牛肉の安全対 策、具体的にはSRMの除去や全頭検査の実施、輸入検疫などについて意見交換をして いきたいと考えております。  意見交換の方法は、まず、最初に意見を出していただきまして、それと同じ趣旨の意 見を補足する部分があれば二、三人の方に追加で意見をいただきます。  次に、それとは別の意見として二、三人の方に発言いただき、また、その方が終わっ た後に別の意見という形でご発言いただく、そういうふうに交互にやりとりを繰り返し ていきたいと考えております。また、必要に応じて、アドバイザーや行政の担当者から 発言をお願いいたします。  まず、BSEの感染予防対策についてご質問やご意見をお受けしたいと思います。  なお、時間を有効に活用する観点から、大変申しわけありませんが、ご質問、ご意見 ともにお一人2分で簡潔にお願いいたします。事務局の方で、1分半で1回予鈴を鳴ら します。2分たちましたら、もう一回鳴らしますので、そこで他の方にお譲りいただき ますようお願いいたします。  それでは、まず感染予防対策ということで、特に飼料とかサーベイランス、動物検疫 などについていきたいと思います。  どなたか、ご意見のある方は挙手いただけますか。 ○フロア  日本で発生した狂牛病の牛の種類に関しては、すべてホルスタインで発生していると 思います。それで、日本古来の和種である黒毛、褐色、無角、短角という和牛に関して は一切発生していません。  また、今現在、乳牛は、我が国あるいは世界でも、本交ではなくてほとんど人工授精 で子牛を生産されているものと思います。その歴史は、ご存じのように四、五十年経過 していると思うのですが、最近は、人工受精のときに、日本でも国内の種牛から人工授 精の精液を採っていると思いますけれども、かつては世界各国から輸入されてきたいき さつがあると思うのです。  それから、1989年12月に、アメリカでは、一応、肉骨粉が原因ではないかとい う仮説を立てました。確かに、日本でもたくさんの肉骨粉の製造工場がありましたけれ ども、今は閉鎖されているところもあるし、家畜の飼料には使われていないと思いま す。  そこで、日本ではホルスにばかりBSEが発生されていますから、原因は人工授精に あるのではないかと私は考えますけれども、皆さんはどう思われますか。 ○広瀬  ありがとうございました。  私の説明不足で恐縮ですが、質問される際にはお名前と、もし差し支えなければご所 属をご発言いただければと思います。  今のお話につきましては、牛の発生がホルスタインに偏っているということで、人工 授精に何らかの原因があるのではないかというご趣旨だったかと思います。  堀内先生、いかがでしょうか。 ○堀内  この病気のすべてがわかっているわけではないので、当然、いろいろな可能性をでき るだけ広く考えながら原因を絞り込んでいく必要はあると思います。  なぜ、ホルスタイン種にこの病気が多いかというと、イギリスの例では明らかです が、イギリスでは人工乳に肉骨粉を入れて使っております。ですから、人工乳が茶色を しております。牛乳は人が使ってしまいますから、ホルスタインの子牛は当然ながら人 工乳で育てられることになります。ですから、イギリスでは、肉牛に比べて乳牛で明ら かに発生が高いのです。  人工授精の精液の由来と、今回、日本で発生したBSEの関連については、私はそう いう観点から見たことがないのでわかりませんが、それ以外に、使用形態が肉牛とホル スタインではかなり違うということもあります。ですから、ここですぐに可能性を否定 するわけではありませんが、一概に人工授精というよりは、ほかにもう少し可能性の高 い原因があるのではないかと考えるのが妥当ではないかと思います。その一番の原因 は、やはり、えさではないかというのが一般的な考えだと思います。 ○広瀬  ありがとうございます。  境室長。 ○境  ちょっと補足させていただきますと、人工授精につきましては、乳牛はもちろんです けれども、和牛も基本的には人工授精で受精が行われております。一部、日本短角種の 牧牛という放牧形態もございますが、和牛も基本的には人工授精で受精されているとご 理解いただきたい。  今、堀内先生からご説明がありましたように、えさの給与の仕方として、和牛の場合 は親に6カ月くらいつけていますから母乳を飲んでいますが、乳牛の場合、お乳は人が 飲みますので子牛は代用乳を飲んでいる、そこに違いがあるのだろうと考えておりま す。 ○広瀬  ありがとうございました。  3列目の女性の方、どうぞ。 ○フロア  消費者の立場から2点ほど質問がございます。  まず、1点目は、飼料規制について、2001年に肉骨粉の使用が禁止されました が、その後、全頭検査による結果だと思いますけれども、21カ月齢と23カ月齢の感 染牛が発生しました。そのニュースを聞いたときに、やはり交差汚染というのは防ぎ切 れないものなのかと非常に不安を覚えました。そこで、一つの質問は、そのときの感染 牛は異常プリオンの量が非常に少ないという報告があったのですが、異常プリオンが少 ないと感染する危険性がないのかということです。  もう一つは、背根神経節の除去については、たしか2002年にOIEで特定危険部 位に追加しましたが、その後、日本では2年おくれて特定危険部位に追加しました。な ぜ、2年ほどブランクがあったのか、その辺が非常に不思議に思っております。  以上、2点の質問について、よろしくお願いいたします。 ○広瀬  ありがとうございます。  もう数名、同じような観点からご質問される方、もしくはご意見のある方はいらっし ゃいますでしょうか。 ○フロア  今、異常プリオンは少量の場合には人間に影響がないのかどうかということでした。 私はちょっと質問の角度が違うのですが、最近の農業新聞に出ていましたけれども、カ リフォルニア大学の教授と助教授のお二方が、最近は少量でも精度の高い検査体制がで きたと。  これは、堀内先生にもお伺いしたいのですが、こういうことは日本の検査技術レベル の中でどの程度まで進んでいるのか。あわせて、農林省の次官がこうした新しい検査体 制を非常に興味深く見ているということは、近いうちに、日本の検査体制の中でもこう いうことをやられるおつもりがあるのかどうか、その点をお伺いします。 ○広瀬  ありがとうございます。  ただいまいただいた質問については、後ほど検査についてまとめて討議する時間を設 けておりますので、そちらの方で対応させていただきたいと思います。  ほかに、飼料とかトレーサビリティーなどの観点からご意見のある方はいらっしゃい ますでしょうか。  特にいらっしゃらないようであれば、いただいている2点の質問のうち、感染の危険 性はないのかということについては、堀内先生からコメントをいただければと思いま す。 ○堀内  ご質問にあった21カ月齢と23カ月齢ですが、定量的に解析しますと、その以前に 日本で見つかったBSE感染牛の500分の1から1,000分の1の程度しか異常型 プリオンたんぱく質がたまっていない。これは、言いかえると、500分の1から1, 000分の1くらいの感染性しかないと言いかえていいのです。そういうことからする と、当然ながら、異常型プリオンたんぱく質がたくさん蓄積している牛に比べると、人 への感染のリスクは低くなります。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、もう一点の質問で、背根神経節の規制に関して日本で追加されたのは2年 程度おくれているのではないかというご指摘ですけれども、蟹江さん、いかがでしょう か。 ○蟹江  それでは、背根神経節のご質問にお答えをしたいと思います。  背根神経節は脊柱の中に含まれることもございまして、私の冒頭の説明で脊柱の規制 について少しご説明させていただきましたが、今のご質問にあったとおり、OIEで食 用とすべきでない部位として脊柱を追加しました。これは平成14年9月に公表してお りますが、それを受けて、所要の手続を踏み、最終的に基準を策定したところでござい ます。  具体的には、まず、イタリア、ドイツにおける状況を調査し、それから、厚生労働省 の薬事・食品衛生審議会に新しい部会を設けて、リスク評価を実施し、結果を取りまと め、それから、食品安全委員会に評価を依頼した経緯がございます。  その後、規制を設けるには、通常、パブリックコメントと言いましていろいろな立場 の方々から意見をお伺いする期間を設け、その基準を平成16年1月に告示して2月の 施行となったという状況でございます。  しかしながら、最終的に食品衛生法で基準を施行される前にも、ある一定の結論が出 た段階で、脊柱を含む食品の販売の自粛を指導し、必要な措置を講じてきたという状況 でございます。 ○広瀬  ありがとうございました。  今のようなことで考えているとのことですが、何か追加のコメント等はありますか。 ご質問いただいた方、今のお答えでよろしいでしょうか。 ○フロア  2年のスパンで、背根神経節が混入された食品が相当量流通されたと。結局、後で回 収となると、大変な量の食品を回収しなければならないということで、それは、事実 上、無理だというようなニュースを聞きました。  そういう点では、やはり、未然防止ということを考えたときに、ある程度の危険があ るものについては早目の処置をとっていただかないと、私ども消費者が、これは危険で した、でも、もういいだけ食べた後でしたとなってしまいます。そうならないように、 未然防止という意味で、危険性のあるものは早目の処置というか、早目の広報という形 でお願いしたいと思っております。 ○広瀬  希望として、そういうことでお願いしたいということだと思います。  実際にそういうものが流通していたということはあるかと思いますけれども、一方で は検査もされていますので、そういう意味では、BSEのリスクの低いものであったと いうことはあるのかなと思います。  それから、事前にお寄せいただいた意見の中には肥料の話があります。資料5の1で すが、BSEが発生してから農林水産省の指導で動物質の有機肥料の原料の輸入が停止 となっております、こういった討論会などでは、やはり、人が口にする方に議論が集中 していて、肥料に関する討議が皆無に等しいような現状です、ぜひとも、肥料に関する 討議を重ねていただき、早急な動物質有機肥料原料の輸入解禁を希望しますというご意 見をいただいます。  こちらの方のコメントを境室長にお願いします。 ○境  肥料についても、基本的に、飼料と同様にリスク評価を行った上で、使えるかどうか ということを行っております。特に、動物性肥料の輸入禁止につきましては、動物検疫 所の方で汚染の疑いのあるものは輸入禁止措置をとっております。  また、肥料原料につきましても、牛由来のものにつきましては、感染性について食品 安全委員会にご意見をお伺いして評価をしていただいた上で、リスク管理措置が適切に とれることを前提として利用を認めており、厳しい規制をしているということでご理解 いただきたいと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。  そのほか、トレーサビリティーや飼料など牛肉の生産段階での安全対策についてご意 見のある方はいらっしゃいますでしょうか。  特によろしければ、後半に入りたいと思います。  全頭検査については、見直し反対、賛成といろいろ意見をいただいているところです が、これからは検査やSRMの除去、輸入食品の安全対策などについての意見交換とさ せていただきたいと思います。  先ほどご意見をいただいている方からは、新しい検査法が見つかっており、検査がど の程度進んでいるのかという話と、また、近いうちにそういった体制に変わっていくの かというご質問をいただいているところですが、ほかに何か、検査の関係で発言された いという方はいらっしゃいますか。  一応、反対と賛成とありますので、まず検査の見直しについて反対であるという意見 の方から最初にご意見をいただければと思います。  挙手をお願いします。 ○フロア  私は生産者です。  基本的に、ヨーロッパでもBSEの検査基準を緩めるには10年、15年という歴史 を持っております。日本の場合には、検査を始めてまだ3年足らずです。平成12年9 月、皆さんにはこのときをちょっと思い出してほしいのです。なぜかといいますと、私 の同級生であり、私の牛肉を使って加工食品をやっている男が、実は、このBSEが出 たということで加工している食品10万食がキャンセルを食らいました。それで、その 同級生は半月後に自殺をしました。  その後、日本国内に牛肉パニックが起きて、私たち生産者は消費地・東京へ行って、 毎日、毎日、牛肉の売り込みをやりました。牛肉の安全性を訴えながら、まだわずか3 年、4年なのです。きのうまでは熱く燃えていて、あしたからは、もう20カ月以下は いいという日本の生産システムや流れや流通も含めて、日本民族が食料を大事にすると いう観点からも私は反対をいたします。  以上です。 ○広瀬  ありがとうございました。  ほかに、反対だということで意見をいただける方はいらっしゃいますか。 ○フロア  今まで約300万頭余りが検査されていて、よく年齢が若い牛ということで問題にな りますけれども、実際に日本で検査している牛の年齢の内訳を知りたいと思います。  一緒にお答えしていただけるのでしょうか。 ○広瀬  こちらの方で受けたいと思います。  ほかに反対という方…… ○フロア  反対の立場の意見もちょっと述べたいのです。 ○広瀬  それもお願いします。 ○フロア  消費者の立場として、BSEに関してはまだまだわからないことがあるということは 皆さんもよくご承知だと思います。  イギリスとヨーロッパでは、BSEが確認されてから約20年近くたつのに、いまだ に、毎年、何百頭という牛がBSEにかかっているということは、やはり、イギリス初 めヨーロッパの監視体制、防御体制が確立していないという証拠だと思うのです。日本 は、まず、私たちの口に入るものは安全なものにするために全頭検査は当たり前です が、もう一つ、去年の9月に、一度、検討委員会の感染原因の究明の結果というものが 出ましたけれども、まだはっきりしていません。  これからも全頭検査の中で何頭か出てくると思いますが、いずれにしても、BSEの 原因をきちんと突きとめて、それから、いろいろな措置を緩めていくことが順番ではな いかと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。  もう1名、ご発言いただいて、一たん整理をさせていただきたいと思います。 ○フロア(生産者)  きょうの産経新聞で、厚労省、農水省は全頭検査をしないということを大筋で合意し たという記事が出ました。つまり、20カ月齢以下の牛は検査しない。ですから、賛 成、反対というよりも、きょうは、むしろ、20カ月と線引きをはっきり出されたこと の是非について討論をした方がいいのではないかと思います。 ○広瀬  一応、ご意見として賜ります。  それでは、整理をさせていただきたいと思います。幾つか意見をいただいております ので、消費者情報官からお願いします。 ○姫田  と畜場では検査することが前提ですから、それでお答えしますと、12カ月齢未満の 牛でと畜されるものが0.5%程度だと思います。それから、その次の13カ月齢から 24カ月齢くらいが全体の25%くらい、24カ月齢から36カ月齢くらいが65%程 度です。そうしますと、残り10%くらいが36カ月齢以上となると思います。 ○広瀬  ありがとうございました。  それから、検査について、新しい検査法ができたという話もございますが、この点に ついては堀内先生からコメントをいただいてもよろしいでしょうか。 ○堀内  ここ数日、新しい検査法というか、より感度の高い検査法という話が新聞等に上がっ ておりますが、2002年に、ECがオーソライズしたというか、同じ土俵の上で幾つ もの検査キットを評価した会があります。それは、1999年に1回目、2002年に 2回目の評価会がなされ、そのときに、実は、今お話に上がった検査キットがそこにエ ントリーをして評価を受けております。その結果を見る限り、確かに、感度は高いので すけれども、一番ではない、ずば抜けていいわけではないという印象を私は持っていま す。  こういう検査は、そのキットに習熟した人、例えば、その開発者がそこでやる場合 と、そういうキットを別の研究室に持っていって、説明書を読めば扱える人がやる場合 では精度にかなり差が出ることがあります。  ですから、問題になっているキットが本当にいいものであれば、今後、それを取り入 れていく必要があると思いますので、やっぱり、複数のところで評価をする必要がある と思います。本当にいいものであれば、それは取り入れていくべきだと思っています。  ご質問の日本ではどうなっているのかという話ですけれども、私は、もちろん大学人 として税金を使って研究させていただいておりますので、我々のところでも独自により 感度の高い方法、精度の高い方法に取り組んでおります。ただ、今の段階でずば抜けて いいものはありません。そういう努力は日々しておりますので、いいものが出てきた段 階ではどんどん社会に還元していきたいと思っております。 ○広瀬  ありがとうございました。  それから、BSEについては、ヨーロッパでは長い歴史の中で検査を緩めてきたけれ ども、日本ではまだ3年足らずであり、見直すには早いのではないかということと、よ く原因もわかっていないので、原因をきちんとした上で見直すべきではないかというご 意見もいただいています。  これについては、松本参事官、お願いします。 ○松本  平成13年10月18日から全頭検査を始めました。そのときに、厚生労働省と我々 農水省がいろいろ議論をいたしまして、国会でもいろいろ質問を受けましたが、そのと きの状況として、まず牛の個別の月齢が把握できる状況になかったことが一つありま す。当時は、ヨーロッパの方は30カ月齢以上についてやっていましたけれども、日本 の場合は月齢がはっきりしないことと、あわせて、検査済みのものと検査をやっていな いものが同時にマーケットに出回ったときに非常に混乱を来すだろうということで、科 学的という点においてはいささか疑問があるけれども、とりあえずの出口の緊急的な措 置ということで全頭検査を始めました。  ですから、全頭検査以外にも、特定部位の除去、あるいは、農水省では飼料規制とい うことでBSE対策をとってきましたけれども、初めてから2年半たったところで、そ のとってきたものが客観的、科学的にどうであるかについて、現在、食品安全委員会の 方で評価をしていただいている最中ということでございます。  それから、先ほどの方がけさの産経新聞の記事のことに言及されましたけれども、報 道されておりますような何らかの対応方針を決めた事実はございません。先ほど申し上 げましたように、BSEの国内対策の評価、検証につきましては、現在、食品安全委員 会で議論されているところでありまして、結論が得られた段階でBSE検査等のリスク 管理措置のあり方について検討を行うことになると考えております。  ですから、繰り返しになりますけれども、新聞記事ではあたかも決めたような格好で 書かれてありましたが、そのような事実はございませんので、ここで説明させていただ きます。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、もう数名から反対の意見をいただいた後に、賛成の意見もお伺いして、そ れを繰り返すような形にしたいと思います。今の意見などを踏まえて、ほかにこういう 理由で反対だということがございましたら、ご発言いただければと思います。  特にいらっしゃらないようでしたら、BSE検査については科学的ではないというこ とも言われており、見直すべきだというご意見もいただいているところですので、見直 すべきだということについてご意見をいただければと思います。 ○フロア(焼肉店従業員)  まず、私ごとで恐縮ですが、小学2年生の長女を初めに3人の子供がいる父親でし て、食の安全・安心には非常に関心がありまして、きょうは親の立場で参加させていた だきました。先ほどからいろいろな説明を伺いましたけれども、正直なところ、私には 難し過ぎて、また専門的過ぎて、広範囲過ぎて、若干、頭が混乱しているのが事実でご ざいます。  そういう中で冷静に考えると、私や国民が理解したり納得できる方法として、わかり やすい確実なものを中心に、それを補完する方法をつけ加えるのが一番いいのではない かと私自身は思います。3年前に日本でBSEが発生したときに、政府や有識者の方々 は、口々にいわゆる危険部位を除去した牛肉は安全ですとPRしておりますし、それは 今も変わらないと思います。  今、全頭検査が議論の焦点となっていますけれども、当時の国産牛の買い上げ、廃棄 と同様、やはり緊急措置と私自身は認識しております。大量にBSEが発生したEU諸 国でも危険部位の除去が対策の中心であり、それを補完する部分が飼料やトレーサビリ ティー等の問題だと思いますので、ぜひとも早急な対応をよろしくお願いしたいと思い ます。  最後に、私は牛肉が好きで焼肉店に勤めていますし、私の家族も牛肉が大好きです。 ただし、今、スーパーではこのような値段で牛肉を買えません。このままでは牛肉離れ が起こりますし、牛肉好きの子供はいなくなります。私自身はそれが一番の危惧です。  以上です。 ○広瀬  ありがとうございました。  ほかに、見直すべきだというご意見の方はいらっしゃいませんか。 ○フロア(焼肉店経営者)  先ほどからお話を聞いていましたが、我々にとって一番の問題は、肉が高騰してお り、大変です。牛肉の精肉に関しては、国内産は60%くらい、輸入物に関しては 150%くらい上がっている状態です。今、本当に大変な中でやっておりますが、一番 の観点は、リスクマネジメントというものを皆さんがもう一度見直すべきでないかとい う気がします。  野菜を食べても、水道水を飲んでも、リスクを背負っていると思います。水道水には 塩素が入っていて、これは発がん性の物質だということも科学的に実証されています。 農薬も、体にいいということは絶対ないと思います。ただし、私たちは、それを食べて いる。それは、きちんとリスクマネジメントをしているからだと思うのです。  ただ、狂牛病はすごく怖くて、私の友達は、もうエイリアンのごとく、食べると中枢 神経に入り込んで、脳みそまで上がって脳みそを食いつぶしてしまうような話を言って おりました。それくらい恐ろしいものと言っているのですが、リスクとして考えてみる と、それはお酒もたばこもそうです。副流煙を吸うとがんになるなどと言う科学者もい ますので、その辺を総合的にバランスよく考えていかなければだめだと思います。  最後に、質問ですが、全頭検査と言いますけれども、今、オーストラリアからの輸入 ものが入っております。また、12月24日前の牛肉も実際にまだ流通されています。 オーストラリアから入っている肉は、全頭検査はしていません。なぜ、オーストラリア の全頭検査はしていなくてもいいのかというと、それは、発生していないからという理 論だと思いますが、発生しないという確率は100%あるのでしょうか。オーストラリ アは、過去に肉骨粉を輸入していた実例があることも事実であると述べておきたいと思 います。  以上です。 ○広瀬  ありがとうございました。  ほかに、見直すべきだというご意見の方はいらっしゃいませんか。事前にお寄せいた だいている中には、五、六人の方から見直すべきだというご意見をいただいておりま す。  よろしいでしょうか。 ○フロア(食肉関連事業従事者)  BSEに関しましては、ある本で読みましたが、人工授精の精液でないかと言われて 国際的に相当問題視されているのです。ただ、国際獣医学会のオーソリティーがなくな るおそれがあるので、これは表面に出すなという話はたくさん聞いております。  それで、厚生労働省及び農林省に一番お願いしたいことは、日本でも、かつて、非加 熱製剤しかり、北大で在庫がありましたクロイツフェルト・ヤコブ病については、在庫 があったからドイツに返さなかった、だから使ったのだと。こんなばかなことばかり、 後手、後手の対応策では日本の国民の食の安全を守ることはなかなか難しいのではない か。やはり、お役人根性ではなくて、がっちりやっていただけないか。  北海道でも、我々の同業者は販売額が半減して倒産に追い込まれていたり、あるい は、三重県松坂市のWという生産牧場も何十億という負債を抱えて倒産しました。彼ら は何も悪いことをしていないのです。本人たちの自己責任はないのです。ただ、こうい う病気が発生したための2次災害で、本当に激甚災害に指定していただきたいくらいで す。当時のBSEでは価格が3分の1になっていますから、生産者も大変だと思いま す。  以上、アメリカの意見で20カ月未満は科学的に根拠がないのだとか、そういう大国 のエゴに押されないで、日本独自の検査体制なりを研究していただき、早急の対応をお 願いして、終わります。 ○広瀬  ありがとうございました。  ちょっと賛成という議論とは少しずれてしまったようですが、ほかに賛成の方はいら っしゃいますか。  いらっしゃらなければ、一たん、整理をさせていただきます。  先ほどいただいた意見の中で、オーストラリアから輸入しているものはそもそも検査 していないし、12月24日前のアメリカ産牛肉についても流通しているではないかと いうお話がありました。この辺について、蟹江専門官からご発言いただければと思いま す。 ○蟹江  まず、オーストラリアの状況でございますが、EUではBSEのリスクについて国と しての評価をしておりまして、1から4まで、清浄国、暫定的な清浄国、3番目は、発 生していないけれども、発生する可能性が高いところ、あるいは、発生しているけれど も、少数の発生、4番目は高発生というランクづけがなされております。オーストラリ ア自体は、発生する確率がどれくらいかはわかりませんけれども、先月もEUが再評価 をしておりますが、ランク1の清浄国という位置づけをなされております。  それから、アメリカでBSEが発生した祭にとった措置といたしまして、国内でBS Eが発生したときと同じような値をとりました。それは、どういうものかというと、ア メリカ産の牛由来の成分を使った加工品も含めて、特定危険部位が含まれている、ま た、そのおそれがあるようなものをすべてチェックしまして、確認をされれば回収ある いは廃棄という措置をとっております。  その結果につきましては、かなり詳細な情報を公表し、厚生労働省のホームページに も掲載している状況でございます。 ○広瀬  ありがとうございました。  姫田情報官、お願いします。 ○姫田  オーストラリアのことについて少し補足しますと、EUの話がありましたが、OIE ・国際獣疫機構でもオーストラリアは暫定清浄国ということで、一番上のランクに入っ ています。  その理由として、オーストラリアは、イギリスでBSEで起こってから一番早い段階 で肉骨粉の輸入を停止しているということがございます。オーストラリアの国の肉用牛 あるいは酪農の生産形態というのは、酪農は基本的にほとんど放牧でやっております。 ですから、夏場は放牧して、冬はえさがなくなりますので閑乳期間ということでお乳を とりません。なぜかというと、いわゆる乳製品をつくっている国だからでございます。 もちろん、肉用牛についても放牧中心でございますので、グレーインフェッドというよ うなものが余り多くないという形態でございます。草地酪農、あるいは草地畜産中心の 国ですからそういうことになっています。  もう一つ、早く禁止したのは、輸出国でございますので、当然、こういう点について はかなり厳しくやったことが結果論としてこういうことになっているのではないかと思 っております。 ○広瀬  ありがとうございました。  それから、いただいた意見の中で、人工授精が問題ではないかというご発言がありま して、放っておいたがために、後でまた何かまずいことが起きることがないように、国 として対策をしっかりやってもらいたいという意見をいただいております。  これについても、できれば農水省の方からコメントをいただきたいと思います。検討 会で原因究明などを進められていると思いますので、その辺のお話をいただければと思 います。 ○境  EUが牛のいろいろな部位のリスク評価をやっておりますが、精液は一番リスクの低 い部分に位置づけられております。したがいまして、精液の輸入につきましては、BS Eについてのいろいろな防止措置をきちんと講じている国からのものにつきまして、衛 生条件を結んで、それが守られているのであれば精液の輸入は認めるという対応をとっ ております。  原因究明検討チームの中におきましても、これまで精液が原因として疑わしいという 議論は特になかったと記憶しております。 ○広瀬  ありがとうございました。  最後になりますが、まず、BSEのリスクについてもう少しバランスよく考えてほし いというご意見と、そもそも欧州などの規制を見ているとSRMの除去などが中心で、 それを補完するものとして検査や飼料規制があるのではないかということから、やは り、検査についても見直していくべきではないかというご意見もいただいています。  これは、松本参事官から、コメントをいただきたいと思います。 ○松本  今お尋ねのありました件につきましては、平成13年10月から、リスク管理官庁と してそれぞれ対策をとってきております。厚生労働省といたしましては、緊急措置のよ うなことで全頭検査をやり、またSRMの除去も全頭に対してやっております。  それをやり始めて、科学的あるいは客観的にどうなのかということについては、やり 始めたときから一定期間を過ぎたら評価をする必要があるだろうということで、現在、 食品安全委員会へ客観的・科学的な評価をお願いしており、その評価を待っているとこ ろでございます。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、見直しについて、こういう形でいろいろ検討が進んでいるけれども、やは り見直してほしくないという立場から、もう一度、意見を集めてみたいと思います。  ご意見のある方はお願いしたいと思います。 ○フロア  これは8月に農水省が発表した消費者のアンケート調査ですけれども、その中で、消 費者が生産者に望むことのトップは安全・安心であって、新鮮さや安さではない。これ は、農水省が1,000人のアンケート調査の結果だということで発表しています。  私も、一日本人として、安全・安心な食料を生産し、それを消費していく、これは非 常に大事なことだと思います。私は、先ほどご説明があったように、20カ月未満が安 全であると厚生省や農水省がおっしゃるならば、百歩譲って、それも結構だと思いま す。ただし、同じような検査レベルをアメリカにもきちんと申し上げてほしい。そうで なければ、日本国内の生産者いじめとしか見ようがない。  日本は金を出して食料を輸入しているわけですから、これを管理する政府は絶対的な 責任があるわけです。その責任をとっていただくという前提は、やはり外交交渉だろう と思います。それをしっかりやっていただいた中で、国内で牛肉が余り高過ぎると食べ られませんし、今の相場も決して安くはありませんから、国民が喜んで、国産牛肉、輸 入牛肉を選択して食べられるような状態に戻すことが大事なことだと思います。ただ し、健康であるとか、安全あるとかについては、政府が責任をとってやっていただきた い。  以上です。 ○広瀬  ありがとうございました。  ほかに、補足される方はいらっしゃいませんか。 ○フロア(消費者)  特定危険部位の除去は、先ほど補完するものだというお話だったのですけれども、ピ ッシング処理による交差汚染とか、きちんととれていないのではないかということがあ るので、二重に補完する意味でも検査はずっと継続していただきたいと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。 ○フロア  賛成、反対ではないのですけれども、一つだけ、もし全頭検査しないということにな ると、将来的には検査済みの牛肉と検査しないものが市場に出ます。そうしたときに、 消費者の方は、きちんと理解して、こういうことだから検査しないということで分け隔 てなく購入されるのか、その辺を国はどう考えているのか、お聞きしたいと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。  何か意見はありますか。 ○フロア(消費者)  私たちは、食品衛生法をいろいろ勉強して、食品安全室ができたように、この法律が できたことで日本政府が国民の健康を守ってくれるのだと。お任せ主義ではないのです が、私たちの健康を考えるという文言が入った法律がやっとできたわけです。  そうであるならば、その立場にのっとって、私たちの健康を守るためにもこれからも 全頭検査を続けてほしい。それは、どうして続けてほしいかというと、BSEの正体が わからないからです。やっぱり、わかるまではやり続けてほしいのです。不安な中でい ろいろなことがまかり通るのはよくないと思いますので、この検査は、ぜひ、ぜひ、わ かるまで続けてほしいと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、この辺で、一度、整理をしたいと思います。  検査を続けてほしいという意見をいただいておりますが、SRM除去といってもすべ てを取り切れないこともあるので、どうしても検査が必要ではないかということと、今 いただいたように、健康を守るという観点からぜひ検査を続けてほしい、この2点につ いて参事官にご意見をお願いしてよろしいでしょうか。 ○松本  現在、全頭検査とSRMの除去をやっておりますけれども、完全に除去できれば確か に検査は要らなくなります。一方、検査の方だけやっていたときには、もし万が一、う まくサンプルがとれずに間違った判定が出たときに出てはいけないものが出てしまうと いうことで、二重のセーフティーネットということで検査とSRM除去をやっていると ころです。  これにつきましても、確かに、国民の健康の保護というのが昨年の食品衛生法の見直 しのところで目的規定に入りました。そういうことで取り組んでおりますけれども、た だ、施策というのも科学的根拠に基づいてやっていかなければいけませんから、何度も 繰り返しになりますが、やり始めて2年半たったところで、どうなのかということを中 立的な機関である食品安全委員会に評価をお願いしております。先ほどリスク管理官庁 として決まった方針があるということはありませんと申し上げましたが、今は、その安 全委員会の検討、評価を待っているところであります。  それから、ピッシング等につきましては、調査すると、161のと畜場のうち約3割 がピッシングをやっていません。つまり、残りのところはやっているわけです。と畜場 をごらんになった方がどれくらいいらっしゃるか存じませんけれども、500キロの巨 体の牛を気絶させて、逆さにつるして血を抜くわけです。そのときに、どうしても暴れ てしまうことがあって、かつ、作業員の方々はよく切れる刃物を持ってやっているので 事故につながることもあり、スペースの関係などでなかなか十分にできていないところ があります。  そういうところもありますが、ピッシングの後の脊髄の吸引等につきましては75% くらいやって、実際の屠殺頭数から言えば、9割の牛からは背割りの前に、一番感染が 高いと言われている危険部位の脊髄の除去をするということでいろいろ取り組んでおり ます。  ピッシングについても、できるだけやらないように指導はしておりますが、と畜場の いろいろな物理的な条件なり何なりというところで、まだそこまでいっていません。た だ、厚生労働省としては、できるだけピッシングをしないように指導は続けていきたい と思っております。 ○広瀬  ありがとうございます。  もう一点、仮に国内で検査の見直しがあったとしても、輸入品についても同じような 措置でお願いしたいという意見をいただいておりますので、高橋審議官、お願いしま す。 ○高橋  先ほどお話がございましたけさの産経新聞にも、アメリカの牛肉の輸入再開問題をど うするかという話が出ております。  一つは、政府全体としては、アメリカの牛肉輸入の話と今までの日本の国内の措置と いうのはちょっと別な話だと理解しています。つまり、私どもは、アメリカのために国 内措置をどうするかという話をやっているわけではありません。  食品安全委員会も、昨年秋くらいから国内措置の見直しの作業に入っていますけれど も、本格的に始めたのはことしの春からとなります。13年の秋から2年半たってみ て、いろいろな知識の蓄積がなされてきました。まして、世界的にはまれに見る全頭検 査ということで、狂牛病の全頭検査というのは日本だけですから、検査関係の知見は一 番蓄積されているのだろうと思います。そういった中で、この2年半の経験をもう一回 振り返って、それではどうするかということを今検討しているわけです。そういう中 で、現在、食品安全委員会の報告のたたき台の中に、検査限界が存在するという意味 で、その辺をどう考えるかという話が一つ出てきております。食品安全委員会の方は今 検討中でありまして、来週6日の月曜日にさらに報告内容の詰めを行うと聞いておりま す。いずれにしても、食品安全委員会の結論がどうであれ、アメリカに対してどういう 措置を要求するかということについては、日本国内の措置よりも相当緩めていいという 話にはならないだろうと思います。  ただ、その場合に、先ほどオーストラリアの例がございましたが、相手の国のBSE の汚染度といいますか、広がりぐあいといいますか、そういうものの評価が当然バック グラウンドにあります。ですから、オーストラリアの場合には、日本に比べればずっと 検査をやっていないけれども、どうなのかといえば、あそこはほとんど草を食べさせて いて、もともと狂牛病の発生とはかなり縁遠いところにあるから、そうそう心配はない だろうということでオーストラリアの肉は輸入を認めております。では、アメリカの場 合はどうかといえば、飼育形態が日本ともかなり近いですし、国のリスク評価としても パーフェクトに安全ということではありません。ですから、農水省も厚労省もそうです が、日本政府として、アメリカに対してはこれから日本における措置と同等のものをや っていただきたいと要求していくということでございます。 ○広瀬  ありがとうございました。  それから、先ほどいただいた意見の中で、もし検査を見直すとなると、検査済みのも のと検査していないものが流通するということで、消費者はどのように思うのか、国は どういう見解なのかということでした。  まず、ここに来ていただいている消費者の方に率直なご意見をお伺いして、それか ら、国としてどう考えるのか、お答えさせていただきたいと思います。  消費者の方で、検査済みのものと検査していないものが流通する事態になったときに どう思われるか、ご発言をいただきたいと思います。全部で27名くらいの消費者の方 がいらしているようですけれども、どなたか、お願いできませんか。 ○フロア  消費者の立場から言うと、検査済みのものと検査は必要ないとされたもののどちらを 選ぶかとなったときに、率直に言って、やはり検査済みのものを選ぶと思います。だか ら、どこまでのリスクを許容できるかというところが非常に難しいと思います。安全で すと言っていても、消費者が安心感を得られないと購買意欲は出てこないと思うので、 消費者に対するその辺の情報提供のあり方は難しいかなと思います。  私がどちらですかと言われると、やはり検査済みのものを購入したいと思います。そ れが率直な感想です。 ○広瀬  ありがとうございました。  ちょっと変わった意見があるという方はいらっしゃいますか。 ○フロア  実は、BSEが発生したときに、テレビで一つの画像が放映されました。あの牛はど うだったのだろうと考えると、今現在、殺して脳をとって調べなければわからないの に、何で生きた牛がああやってうろうろしていたのかと。これはおかしくないですか。 から、マスコミが放映したあの画像は、皆さんにそういうインパクトを非常に与えてお ります。あの牛はいきているのに、どうしてBSEとわかったのか。では、今、生きて いるものでも、即BSEとわかる方法があるのではないか。殺して、脳をとって検査し なければならないものが、なぜそうなるのか。  もう一つ、方法として、消費者もいろいろなことをおっしゃいますけれども、ホルス タインの去勢牛は大体20カ月で一人前の牛になります。これが国内の主流牛として動 いているわけですから、この部分だけは検査しないでも早く通せるのではないか。そし て、それ以外のものについては、F1とか和牛というのは年数がかかりますので、年数 がかかればBSEの発生があるという感じがしますので、その辺をお考えになったらま たいい案も出てくるのではないかという気がします。 ○広瀬  ありがとうございました。  もう数名、消費者の方で、検査をしたもの、していないものが流通した場合にどうい う感想を持たれるか、伺ってみたいと思います。  いらっしゃらなければ、また整理をさせていただきます。  まず最初に、今いただいたご意見で、生きた牛で、よろよろして、BSEだと言われ ている牛があるけれども、どういうことかということでしたが、堀内先生からコメント をお願いします。 ○堀内  イギリスのようにたくさん出ているところでは、幾つかの典型的な症状が出れば、そ れは臨床症状からBSEと判定できるわけです。ですから、流れている映像というのは 臨床症状からBSEと判断できるケースです。ただ、日本のように非常にBSEの発生 頻度の少ないところは、特に初期の段階で臨床症状からBSEと判定することは不可能 です。この違いははっきり押さえていただきたいと思います。  日本で延髄をとって検査をしているのは、BSEの症状を発症する前でも、あるとこ ろまで異常型プリオンたんぱく質が蓄積していれば陽性と判断できるからということで やっています。 ○広瀬  それから、検査済みのものと検査していないものが流通すると、消費者としては検査 したものを選びたいということでしたが、国としてもコメントをいただきたいと思いま す。  姫田情報官、お願いします。 ○姫田  なかなか難しいことですけれども、多分、検査済み云々ということになると、一括表 示のところで表示するのは今の状況では難しいと思います。ただ、逆に、検査済みの牛 を検査済みという別のシールを張って表示することはできると思います。つまり、検査 済みではないものを検査済みではないと張るのはなかなか難しいです。それは、多分、 公正取引規約でだめになると思いますけれども、済みの方を済みと張ることは明確にで きるのではないかと思います。 ○広瀬  そもそも全体の方針自体がまだ決まっていませんので、このようなことだと思いま す。 ○フロア  先ほど国にお答えしてほしかったのは、消費者の方が率直におっしゃいましたが、そ うなった場合に、売れない牛肉をどうするつもりなのかということをお聞きしたいので す。先ほどどなたか言っていましたけれども、今、主流はホルスタインです。そうなる と、どこで月齢の線引きをするかわかりませんけれども、消費者のほとんどの方は、こ れだけ物があふれていたら、そちらを選ぶのが普通ではないか。そうした場合は、国と して、売れないことに対して、どうお考えになるかということをお聞きしたかったので す。 ○広瀬  情報官からお願いします。 ○姫田  どうも皆さん方はすごく気が早くて、きょうの産経新聞に影響されたのかもしれませ んけれども、我々としては、先ほども、参事官、審議官が口をそろえて言っているよう に、まだ安全委員会の評価を待っている段階で、どうするかについては全然考えていな い状態でございます。ですから、それについて、今どうこうという話はございません。  ただ、例えばヨーロッパの例で言うと、別に検査をしてはいけないということはあり ませんから、ドイツでは自主検査でみんな検査をしているところもあります。  今、私が具体的に答えられないということは、産経新聞のように決めたということで はないことで明確になるのではないかと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。  今ご質問いただいた方は、これでよろしいでしょうか。追加のコメントがあれば受け たいと思います。 ○フロア  結構です。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、評価のところにも若干話が飛んでおりますので、内閣府の西郷リスクコミ ュニケーション官から少しご説明いただければと思います。 ○西郷  食品安全委員会の西郷でございます。  厚生労働省、農林水産省からいろいろご説明があったとおり、食品安全委員会におき ましては、2003年10月以来の国内のBSE対策の検証をずっと続けてきておりま す。食品安全委員会は去年の7月にできましたが、設立の一つの大きな引き金になった のはBSE問題でございまして、このことについて、食品安全委員会は非常に一生懸命 にやらなければいけないということで、委員長以下事務局員にいたるまで真剣に取り組 んでいるところでございます。  ただ、プリオン専門調査会と言って、今この問題を一生懸命科学的に御議論いただい ているグループがありまして、堀先生もメンバーでございますが、かなり集中的な議論 をしていて、先ほど高橋審議官からお話がございましたように、月曜日にまた集まって いただいていろいろ議論することになっております。これがいつまとまるかにつきまし て、先生方のご議論ですからまだよくわかりませんが、検査のことだけではなくて、広 範に、例えば飼料の問題とか、SRMの除去の問題とか、対策がとられているものにつ いてその効果がどのくらいあったかという検討が進められております。今後の見通しに つきましては、次の会合の日程だけは決まっていますが、その先がどうなるかは不明で ございます。  それから、よくお問い合わせいただくのは、食品安全委員会は、アメリカからの牛肉 輸入を再開するための理屈だけ考えているのではないかと、そういう批判というか、そ う思い込まれている方がいらっしゃいますが、先ほどからご説明があるように、そうい うことは一切なくて、食品安全委員会ができたときからこの問題について取り組んでお ります。  それから、検査について先生方のご議論はどうなっているかということです。科学的 か非科学的かということではなくて、今のところ、検査の意義と限界がどの程度あるの だろうかという議論が進んでいるようでございます。意義と申しますのは、例えば先ほ ど言いましたように、普通だったら見つからなかったとよくおっしゃいますけれども、 若齢の2例が見つかったのは確かに全頭検査があったからで、あれをどう見るべきかと いうことについて集中的な議論が行われております。また、限界というのは、先ほど堀 内先生のお話にもありましたように、どんな検査でもひっかからないものはひっかから なくて、感染していたものであっても、ひっかからなかった場合はそのまま出ていって しまいます。そういうことですから、全頭検査ということで安心はあるかもしれません が、もしかしたら全頭検査をやった後でもリスクは残っているということもあります。  その辺につきましては、ずっと議論が続いているところでございまして、今後も注目 していただければと思います。食品安全委員会は今そんな仕事をやっておりますので、 よろしくお願いしたいと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。  最後に、全般を通してご発言のある方がいらっしゃいましたら、少し質疑応答をした いと思います。 ○フロア(消費者)  一つだけ質問ですけれども、SRM除去の件で、これだけ不確実なことが多い中で、 全頭除去ということが日本の一つのマネジメントになっているわけです。先ほどのご説 明の中で、アメリカ産は10カ月でEUは12カ月と、同じデータを見ていて解釈が異 なるというお話だったのですけれども、何でこんなに異なるのかポイントを教えてくだ さい。 ○フロア  先ほど発言させていただいた者ですけれども、賛成・反対というくくりの中でお話し させていただいたので、もしかしたら皆さんに真意が伝わっていないのかなと思いまし て、改めて挙手させていただきました。  先ほど消費者の方が言われたように、私も不安な食品は食べたくないですし、そうい うものは子供に食べさせたくありません。ですから、少しでも不安を解消するためにこ の場に来ました。この場に来て、堀内先生から、危険部位の除去で100%近くプリオ ンを除去できるという具体的な話を伺いました。その一方で、プリオンの検出は、全頭 検査をしてもできる、できないという点ではまだ不透明な部分があるという中で、それ だったら、今よりも危険部位の除去に中心を置いた方が本当にいい牛肉が出るのではな いかという見地から発言させていただきました。  今の経済状況は、受給と供給のバランスが非常に大きく崩れていると思います。先ほ ど生産者の方から、やっぱり価格よりも安心・安全だというお話もありました。もちろ んそうですけれども、私自身、現実的に倍の値段の牛肉が売れ残っているのをスーパー で本当にたくさん見ております。そういう中で、牛肉の大生産地である北海道は、牛肉 に対してもっと意識を高めなければなりませんし、BSEに対してももっと勉強しなけ ればならないのではないか思います。  その中で、本当に全頭検査がベストな方法なのか、それとも、それはベターなのか、 モアベターなものはもっとないのかというような突っ込んだ議論がなされたら、本当に いい北海道になると思いますし、私も生産地の一人の人間として本州に対して誇れるよ うな気持ちになります。私自身は、牛肉文化をなくしたくないので、そういう見地から もいろいろな角度でみんなで一緒に考えたいと思いますので、よろしくお願いいたしま す。  以上です。 ○広瀬  ありがとうございました。  SRMの除去について、日米で状況は異なるというお話をいただいているところです が、蟹江専門官からコメントをお願いします。 ○蟹江  特定危険部位の取り扱いにつきましては、まず、国際的な基準がございます。これ は、OIEの動物衛生規約と言いまして、各国のリスクの程度に応じて特定危険部位の 範囲あるいは対象月齢が異なっております。例えば、発生リスクが非常に低い国では 30カ月と決まっておりますし、中程度では12カ月という月齢が決まっております。  それで、もとのデータはイギリスでの感染実験のデータで、32カ月から中枢神経 系、脳とか脊髄の感染性が認められているデータがございます。一方、回腸遠位部とか 中枢神経以外の部位につきましてはどの国もゼゲンするようにしているわけであります が、中枢神経系につきましては一定の基準を設けています。  これは、アメリカの方は、恐らく32カ月という数字をそのまま使う、あるいは、国 際的なOIEの基準に沿った形で30カ月と決めています。ヨーロッパの方は、そのデ ータをもとに、どういう形で12カ月と決めたのかわかりませんが、OIEでも12カ 月になっていることもありますし、ヨーロッパで食文化も考慮されているかどうか、私 も明確ではありませんが、想像するとそういったことも考慮されているのではないかと 思います。  日本では、感染実験のデータは現状では限られたデータしかございませんので、その 中で月齢を区分けするという判断には至っておらず、異常プリオンたんぱく質が蓄積す る部位をすべて除去することによって食肉の安全確保を図るというリスク管理措置を講 じています。日本がとっている措置については、先ほど来出ていますとおり、食品安全 委員会の方で全般的な評価がなされておりますので、その中には特定危険部位の取り扱 いについても議論がなされているというふうに承知しておりまして、その取り扱いにつ いても、食品安全委員会の最終的な結論を見ながら、今後の対応を検討していくことに なろうと思っております。 ○広瀬  ありがとうございました。  ほかにどなたか、追加のコメント等がある方はいらっしゃいますか。 ○フロア  先ほどホルスタイの去勢牛というお話を出したのですけれども、今まで、ホルスタイ ンの雄でBSEが出たという経緯はないですね。先生方、どうですか。 ○広瀬  境室長お願いします。 ○境  現在、日本では11頭発生しておりますが、8頭目、9頭目の23カ月齢と21カ月 齢はホルスタインの去勢牛でございます。この2頭が発生しておりまして、残りの9頭 はホルスタインの雌です。 ○フロア  それで、先ほどお話ししたのは、新しい方法として、部位を除去するものは除去し て、20カ月くらいまでのものは検査をしなくても出せるのではないかと、そういう話 をしたかったのですけれども、私も言葉足らずでした。  また、検査に非常にお金もかかっていますから、そういうことから言うと、農水あた りの出費もかなり落ちるでしょう。  そうかといって、農水あたりから出ている補助金は、非常に大きいお金が農家に出て います。これなど、私たちが聞いたところによると、ホルスを育てている者は、アメリ カから輸入するから、その関税で補助金を出すからという話を私たちは聞いていまし た。ところが、今は肉も入ってこない、何もしないのに牛屋さんにお金だけは全部払わ れている。これ自体、私たちは何となく矛盾を感じています。こういうお金は、すごい 頭数にすごいお金なのです。こういうものが国から出ているという自体がちょっとおか しいと思いますので、この辺はどうお考えでしょうか。 ○広瀬  姫田情報官、お願いします。 ○姫田  まず最初に、誤解を解いておきますが、と畜場の検査は厚生労働省の方でやっていた だいておりまして、農林省のお金は一円も出ておりませんので、ご理解いただきたいと 思います。  それから、第2点として、今、ホルスのということでございましたけれども、平成3 年4月から牛肉が自由化になったときに、国内の肉用牛生産に大きな影響が起きるだろ うということで国内対策をしようということがありました。牛肉の価格は下がりますか ら、下がった結果、肥育業者が厳しくなるので子牛の値段が下がるだろう、だから子牛 の値段を保障するということで、アメリカとの牛肉の交渉の中で国が決めたものですか らそれを国が保障し、それによって生産を守っていこうという考えの中で行われた施策 です。そういうことで、乳牛になる雌牛は対象になりませんけれども、ホルスタインの 子牛で肉用に回るものについては、もちろん和牛も同じですが、補給金制度の対象にな ります。  ただ、この制度は、当然、価格が下回った場合という考え方でございますので、価格 が上がってくれば、その分だけ補給金は少なくなります。国内価格が上がっていて、一 方で補給金がどんどん出ていることにはならないことはご理解いただきたいと思いま す。 ○広瀬  ほかにどなたか、コメントがある方はいらっしゃいますか。  では、今、立っている方と後ろで手を挙げている方を最後にして意見交換を終わりた いと思います。 ○フロア  しつこいようですけれども、やはり、食品の安全ということは非常に大事だと思いま す。今の安全委員会は、聞くところによりますと、科学者の集まりなのか、消費者、生 産者は一切入っていないようですが、例えば参考人で意見を聞くようなことをやってお られるのか、あくまでも、純粋に、よく言われる科学的根拠を探すためにやっておられ るのか、その辺をちょっとお聞かせ願いたいと思います。 ○広瀬  ありがとうございます。  もう一人の方のコメントも先にいただきたいと思います。 ○フロア  大学で非常勤で科学史を教えています。  BSE問題は学生のちょうどいい教材だったのでやったのですけれども、その際のア ンケート結果をまずお話ししておきます。  292人に聞きましたが、ちょうど吉野家が5月にパフォーマンスでちょっと復活さ せたときがありましたが、あのときに学生に食べたいかと聞くと、半々でした。ところ が、食べたい、食べたくないにしても、その中で、彼らの70%以上がアメリカの牛肉 が輸入再開になるのだったら嫌だとはっきり答えています。その中の少数意見の中で、 15%ほどは、全頭検査が重要で、合意などはしなくてもいいという極端なものもあり ました。しかし、33.6%は、日本はアメリカ案に押し切られてしまうという言い方 をしています。さらに、彼らのコメントの中では、押し切られてしまうだろうけれど も、もし押し切られないで独自にきちんとやるのだったらうれしいと言っています。だ から、この33.6%は、アメリカ案でいいと言っているのではなくて、頑張ってほし いということを国に対して言っています。  そこで、お願いですけれども、出口管理といったものから入り口管理へなるだろうと いうことは、恐らく、皆さん方も薄々わかっていると思います。問題は、食品安全委員 会の方が、仮に入り口管理でOKという形になったとしても、多くの国民が反対してい る、不安を感じている、安心させてほしいという意見を要素としてプラスアルファし て、仮に転換しましょうとなっても、決してその時期を早めないでほしい、ゆっくりと やってほしいということをお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。 ○広瀬  ありがとうございました。  まず、1点目について、西郷リスクコミュニケーション官からお願いいたします。 ○西郷  どのような議論をしているのかというお話でございますが、先ほど言ったように、プ リオン調査会というのがございまして、そこはすべて専門家の先生方で科学的な議論を 進めています。食品安全委員会は、基本的に科学的評価をするところでございますの で、基本的にはそうなっております。  ただ、いろいろなご意見を伺うということにつきましては、食品安全委員会主催で も、また、各省とも連携したこともありますが、リスクコミュニケーションということ で、直接、プリオン専門調査会の先生方にご説明いただき、先生方に意見をいただく機 会はあちこちで設けております。きょうは厚生労働省、農水省でございますが、きょう のご議論につきましてももちろん帰ってご報告申し上げますし、月曜日の調査会でもご 報告申し上げたいと思います。  メンバーについてですが、科学的な評価をするという立場からすると、そういうチー ムはすべて科学者ということになっております。ただ、食品安全委員会のオペレーショ ンをするに当たって、こういうふうにやっていかなければいけないのではないかという ことを決める企画専門調査会とかリスクコミュニケーションについて議論している専門 調査会がございます。そこには、公募で入られた消費者の方や食品の関連の事業者の 方、マスコミの方、生産者の方など、いろいろな方に入っていただいてご議論をいただ いているところでございます。  以上でございます。 ○広瀬  ありがとうございました。  それから、安全委員会の方で入り口管理でOKという評価が出たとしても、実際に、 管理措置を講じる際には、国民の多くの方が不安を感じていることもあるので、その時 期をゆっくりやってほしいというご希望もありました。これについては、松本参事官か らご回答をいただきたいと思います。 ○松本  アンケート調査の結果、そういう意見があったということは貴重なご意見だと思いま す。また、今、国がBSE対策をとり始めて3年が経とうとしていますけれども、それ が客観的、科学的にどうであったかということについては、今、食品安全委員会で評価 をいただいているところですので、その評価をいただき、リスク管理官庁として国内的 にどのようにするかということが一つあります。  それから、先ほど高橋審議官からお答えがありましたけれども、アメリカの牛肉輸入 の日米交渉と安全委員会は全く別物だということであります。輸入に当たりましては、 日本の安全性と同等の安全性の確保が講じられていることが基本であると考えておりま すし、我が国の消費者の信頼を損なうことのないよう、食の安全と安心の確保を大前提 に進めていくべきものだと考えております。 ○広瀬  ありがとうございました。  貴重なご意見をいただきまして、大変ありがとうございました。  ここで、意見交換会の方は終了させていただきたいと思います。  それでは、司会に進行をお返しいたします。   4.閉会 ○司会  皆様、どうもお疲れさまでございました。  BSEに関してのこういうリスクコミュニケーションは北海道で初めてでございます が、我々は、これからリスク管理のいろいろな変更点などについてさまざまなタイミン グでリスクコミュニケーションをやっていきたいと思っておりますので、ぜひ積極的な ご参加をお願いいたします。  それでは、お礼のあいさつを兼ねまして、農林水産省大臣官房の高橋審議官より、全 体を通して一言申し上げます。 ○高橋  本日は、長時間にわたりまして、さまざまなご意見、活発な討論をいただきまして、 大変ありがとうございました。  会議の途中でもずっと申し上げましたとおり、現在、食品安全委員会におきまして、 この3年近くのBSE対策の改めての評価を行っております。その結論がどういうふう になるか、まだ予断はできないところではありますけれども、私どもはその結論に沿っ て対策の方ももう一回考えていくことになるだろうと思います。  きょうもマスコミの方がいらっしゃっていますけれども、きょうの新聞に限らず、新 聞記事の書き方というのは、どうしても、日本政府とアメリカ政府はこういうことにな っているから、アメリカ政府にやられそうだという書き方をされます。こういう書き方 は、読み物としては、確かにおもしろいのかもしれません。書き方を変えて、国内対策 をこういうふうにする、日本政府はそれと同じことをアメリカに要求するだろうと書い たら、ちっともおもしろくありません。アメリカは、こういうふうに言っているから、 日本政府はどうするのだろうかと書くと、読み物としてはおもしろくなります。私も、 ふだん、マスコミとの接触が多いですから、多分にそういう目で取材を受けます。そう いうことではないのだと幾ら言っても、どうしても記事はそういうふうになってしまい ます。  私どもとしては、まず、日本国内措置をどうするか。そのベースとしては、今、国内 にいる牛の安全性をベースにして、日本の対策をどうするかということがあるわけでご ざいます。国によってBSEの広がりは違いますから、それぞれの国での対策は違うは ずです。アメリカの場合は現実に1頭発生していますので、先ほど繰り返し申し上げま したように、日本よりも緩くていいだろうということにはならないだろう、やはり日本 と同等の条件でやっていただくしかないのではないかと私どもは思っております。  いずれにしても、食品安全委員会の結論がどういうふうになるかはわかりませんけれ ども、私どもはその結論に従って国内対策について考えていきたいと思います。その際 には、皆様方からまた本日のようにいろいろなご意見を賜りたいと思いますので、よろ しくお願いを申し上げます。  本日は、どうもありがとうございました。                                      以上