04/05/19 食品に関するリスクコミュニケーション〈議事録〉 厚生労働省医薬食品局食品安全部                       平成16年5月19日(水)                       午後1時から4時05分                       於:大分全日空ホテルオアシスタワー 1.開会 2.あいさつ  大分県生活環境部長           齋藤  哲 3.基調講演「食品の安全性確保のための体制と取組について」         内閣府食品安全委員会委員        寺尾 允男 4.パネルディスカッション・意見交換   【パネリスト】         内閣府食品安全委員会委員        寺尾 允男          厚生労働省大臣官房参事官        外口  崇          農林水産省消費・安全局消費者情報官補佐 片桐  薫         大分県生活環境部食品安全・衛生課長   上野 正利         大分県食品産業協議会((株)菊家会長)  齋藤  智         大分県かん水養殖協議会青年部会長    村松 一也         大分県生活協同組合連合会専務      足立 勇一 5.あいさつ  厚生労働省大臣官房参事官        外口  崇 6.閉会  〈議事録〉 1.開会 ○司会  それでは時間となりましたので、ただいまから、「食品に関するリスクコミュニケー ション」を開催したいと思います。  私は、本日司会を務めさせていただきます、大分県生活環境部食品安全・衛生課の関 恵子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  初めに、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。皆さんの資料の中にござ います資料。資料1「食品の安全性確保のための体制と取組について」、資料2「食品 に関するリスクコミュニケーションにおける事前意見・質問について」、資料の3「大 分県における食品の安全確保に係る取組について」、参考資料といたしまして「安心を 食べてほしいから。見守ってます、食の安全。」というパンフレット、「新食品衛生法 の概要」、「遺伝子組換え食品の安全性について」のパンフレット、「食の安全・安心 のための政策大綱」という資料をお配りしていると思いますが、もし不足等ございまし たら、事務局もしくは受付までお申し出ください。  続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきます。お手元の「次第」の ペーパーをごらんになりながら、お話しさせていただきたいと思います。  まず、大分県生活環境部・齋藤哲部長よりごあいさつを申し上げた後、基調講演とし て「食品の安全性確保のための体制と取組について」というタイトルで、内閣府食品安 全委員会・寺尾允男委員よりご講演いただきます。所要時間は40分程度を予定いたして おります。その後10分間程度の休憩をいただきまして、午後2時をめどにパネルディス カッションに移らせていただき、その後、全体についての意見交換を行うこととしてお ります。なお、会場の都合上、午後4時ごろには終了させていただきたいと存じますの で、あらかじめご了承お願いいたします。 2.あいさつ ○司会  それでは齋藤部長、お願いいたします。(拍手) ○大分県生活環境部長(齋藤哲)  皆さん、こんにちは。4月1日付で大分県の生活環境部長になりました齋藤でござい ます。今日、午前中、食品表示ウォッチャーの委嘱式をしまして、 100名のウォッチャ ーをお願いしましたが、その方々を初めとしまして、消費者の代表の方々、さらには食 品関係の業者の方々、行政関係の方々がここに来られております。  今日は、食品のリスクコミュニケーションの講演会及び討論会ということでございま して、内閣府の食品安全委員会、あとは厚生労働省、農林水産省、さらには大分県とい う4者の共催で、今年度、全国で2番目に大分県で開催させていただいたところでござ います。  特に食の問題というのは、BSEの問題とか高病原性鳥インフルエンザの問題とか、 さらにはコイへルペスとか、最近たくさんの問題が起こってございます。それで国にお きましても、昨年の5月に食品安全基本法という食品の安全に関する基本的な法律を定 めました。  大分県におきましても、既に2年ほど前から指針をつくりまして、食品の安全に取り 組んでいます。昨年は食品安全推進県民会議を設置して、県を挙げて食品の安全に取り 組もうという体制をとりました。さらに、今年度中には大分県食品安全に関する条例を 作成して、食品の安全に関して、より幅広く取り組むというのが大分県の姿勢でござい ます。  特に大分県は今年、鳥のインフルエンザが山口県に続いて発生したのですが、恐らく 取り組みは大分県は万全であった、非常に早い対応をして全国に模範になるような対応 をしたということでございまして、食の安全に関する体制、取り組み姿勢は、まさに今 でき上がりつつあるということでございます。やはりこの食品安全に関する条例をつく りまして、大分県は食品の安全を期したいということでございます。  午前中も申し上げたのですが、今、広瀬知事は「安全安心」ということが一つの県政 の基本方針になってございます。そして、一つのそれの基本的な言葉は「ごみゼロ運動 」という言葉に集約しているのでありますが、「ごみゼロ運動」というのは決してごみ を拾いましょうだけではありません。いわばごみを拾って花を植えて、きれいな町をつ くりましょう、さらには住みやすい、食べ物はおいしいし、安全で非常にいいところ だ、空気はおいしい、空気は非常にきれいだ、いわば住みよい、行ってみたい、さらに は非常にすばらしい大分だ、そういった地域づくりの発想としての「ごみゼロ運動」で ございます。きょうの食品の安全のリスクの問題も含めまして大分県が非常に力を入れ ている、いわば県政の基本方針でございます。  皆さん方は、ここにおられる食品表示ウォッチャーの方々も初め、まさに県民のそう いった食品の安全部門に関して先兵であります。県民のいわば目になり、耳になり、口 になって行動していただく方ばかりでございますので、ぜひそういった観点できょうの 食品のリスクコミュニケーション、いわば食品に対するいろんな問題がある、そういっ たことも承知しながら、皆さん方の活動を深めていっていただきたいと思います。  大分は田舎の県でありますが、まさに田舎の県だからこそ、今後は環境問題とか食の 安全とか、そういったものは最先端に生きると私どもは考えてございまして、大分が今 から食の安全、環境問題に関しては日本をある意味ではリードしていくぐらいの気概 で、大分県も取り組みたいと考えているところでございます。皆さん方のご協力をお願 い申し上げます。  なお、きょう基調講演をしていただきます寺尾先生は、東大の薬学部を出られた、ま さにこういった食品の問題とか衛生に関する本当に日本のオーソリティーでございまし て、東大の助教授とか、さらには国の研究機関の所長さんとかされて、今、食品安全委 員会の方におられるわけでありますが、非常に権威者でありますので、先生の基調講演 をお聞きになり、さらには各界各層の権威者である皆さん方の議論を聞きながら、非常 にいい勉強して帰っていただきたいと思います。今日は一日お疲れでございますが、決 してむだな時間にはならないと確信いたします。よろしくお願い申し上げます。(拍手 ) ○司会  ありがとうございました。 3.基調講演「食品の安全性確保のための体制と取組について」 ○司会  続きまして、内閣府食品安全委員会の寺尾先生より、「食品の安全性確保のための体 制と取組について」と題してご講演いただきたいと思います。  寺尾委員は、東京大学大学院化学系研究科薬学専門課程を修了、東京大学薬学部助教 授、国立医薬品食品衛生研究所所長等を歴任され、昨年7月に内閣府食品安全委員会の 委員に就任されました。  寺尾先生、どうぞよろしくお願いいたします。 ○寺尾食品安全委員会委員  ただいまご紹介いただきました、食品安全委員会の委員をしております寺尾でござい ます。会場の皆様方、本日はこの食品に関するリスクコミュニケーション、この会にご 出席賜りまして、まことにありがとうございます。心からお礼申し上げたいと思いま す。  我が国では昨年の7月から、食に関します行政上の体制というものが従来と大きく変 わりました。そのきっかけとなりましたものは何かといいますと、皆さんご存じのよう に、3年ほど前に我が国でBSEの牛が見つかったということでございます。何で日本 でBSEの牛が出てしまったのかということでございまして、これまで食に関しますい ろいろの行政上の対応とか体制というものに何か問題があったのではないかということ が、いろいろ検討されまして、いろいろなことが指摘されているわけでございますけれ ども、そういうものを是正するといいましょうか、改めるというようなことから、将来 に向けて食に関する安全性を確保するための仕組みを新しくつくり上げたということで ございます。  私ども食品安全委員会、これは厚生労働省、農林水産省もそうでございますけれど も、新しい体制につきまして国民の皆様方によくご理解いただく必要があるということ で、これまで全国の主要な都市あちこちでいろいろな会合、我々が会合を主催すること もありますし、あるいはいろいろの県とかそういうところで主催します会に呼ばれて行 きまして、そこでお話をするとか、いろいろ努力してまいってきております。  本日は、私のお話は体制ということでございますけれども、食品安全委員会の機能、 その役割とか、そういうものを中心にしてお話をいたしたいと思います。 〔スライド〕  本日、私の演題というのは「食品の安全性確保のための体制と取組」ということにな ってございまして、スライドのコピーが、お手元に資料の1ということであると思いま すけれども、後ろの方、多分スライドよく見えないところがあると思いますので、でき ましたら、そのコピーをごらんいただければと思います。  それと、40分ということでございますので、ちょっとスライドの枚数が多いのかなと いうことでございまして、ところどころ飛ばしたり、はしょらなきゃいけないことがあ ると思いますけれども、どうかご了解いただきたいと思います。というのは、一応どう いうスライドで話をしようかということになりますと、あちこちから注文がありまし て、この話もしろ、あの話もしろということで、何かどんどんスライドの枚数ふえてい きまして、多分これ30何枚あると思いますけれども、初めの予定では、こんな40分で30 何枚説明するというのはちょっと無理があったものですから、少なかったのですけれど も、随分ふえてしまいました。 〔スライド〕  私が本日お話をしますのは、ここに5つほど課題が書いてございますけれども、これ について順番にお話ししたいと思います。最後の方の5番目あたりは、もしかしたらも う時間切れで、後ほど終わってからスライドを見てもらうということになるかもしれま せん。 〔スライド〕  最初が我が国の食の状況ということで、これは2枚ほどスライドを使いまして、簡単 に申し上げたいと思います。 〔スライド〕  日本の食料自給率というのが非常に低いということは、皆さんよくご存じだろうと思 います。一番端に赤で書いてありますけれども、日本は40%、カロリーベースにしまし て40%ということであります。世界の主要な国の中で自給率が最も低い部類に属すると いうことになります。 〔スライド〕  それでは、昭和40年度と平成13年度の比較。ちょっと古いですけれども、13年度とい うことで、14年度も大して変わらないと思いますけれども。約40年近くありますけれど も、自給率がどうなっていったかというのを示したスライドがこれでございますけれど も、一番下にありますお米は、昭和40年に 100あったものが大体今95ということで、こ れはいいとして、あとのものは軒並み物すごく下がってきてしまっているということで あります。  これは外国から大量の、60%は食品を外国に依存しているということでございますの で、結局それに伴いまして、国民の皆様方、外国から入ってくる食品というのは安全な のかという、一方で非常な心配が起きているということになります。何とか自給率を高 くしなきゃいけないということで、今、国といたしましては、これを45%にしようとい う目標を設定してございますけれども、この自給率を高めるというということは、行政 的な対応だけではどうしても困難であるということでございまして、国民一人一人、消 費者一人一人の、これは消費のことに関係してきますので、国民一人一人が当事者意識 を持って対策を考えていかなければいけないのではないかなと思っております。 〔スライド〕  それで、次が我が国の食の安全性確保の新しい仕組みということでございまして、こ れが一番私が本日お話を申し上げたいことであります。 〔スライド〕  結局、一番最初に申し上げましたけれども、BSE発生の反省の上に立ちまして、い ろいろ対応を考えてきたわけですけれども、昨年の5月に国会で食品安全基本法という ものが成立いたしまして、それが7月1日から施行になっております。  この食品安全基本法の基本的な理念といたしましては、まず1番に書いてございます けれども、「国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に、必要な措置 が行われること」、つまり、こういう何というか国民側に非常に目を向けた法律である ということ。  それから2番目に、食品供給行程の全段階、つまり生産の段階から消費の段階に至る まで、すべてのステップにおきまして安全性を確保する、そういう姿勢がなければいか ぬということ。  それから3番目に、国民の健康への悪影響が未然に防止されるようにすることを旨と いたしまして、国際的な動向及び国民の意見、国民の意見というのも、これまた重要で ございますけれども、十分に配慮して、科学的知見に基づいて必要な措置が行われるこ と。  この食品安全基本法の基本理念というのは、結局ここに主なものは3つ掲げてござい ますけれども、こういう理念のもとに食の安全を確保していこう、これから確保してい こうということでございまして、これが昨年の7月から施行されているということであ ります。 〔スライド〕  それで、繰り返しになりますけれども、この国民の健康保護を最優先にするというこ とを目的といたしまして、食品安全行政にリスク分析手法を導入いたしまして、食品の 安全に関するリスク評価、リスク評価というのは、この法律の中では食品健康影響評価 という言葉が使われていますので、括弧で入れてございますけれども、とにかくこうい うようなことに関係いたします各省から、各省というのは、厚生労働省と農林水産省が 主でございますけれども、ここから独立いたしまして、評価だけを行う食品安全委員会 を内閣府に設置したということでございます。  ここにありますリスク分析手法って一体何だ、これは余り聞いたことないぞというこ とになるわけでございますけれども、これにつきまして説明を次にいたしたいと思いま す。 〔スライド〕  リスク分析あるいはリスク分析手法というものはどういうものかといいますと、3つ の要素から成り立っていると言われております。1つがリスク評価、それからもう1つ がリスク管理、それからリスクコミュニケーション、この3つがリスク分析評価を構成 する要素であるというわけで、何か説明すると非常にかた苦しくて理解しにくいのです けれども、とにかくリスクの評価をして、リスクの管理をして、それをよく国民の皆様 方に説明をして、一方で国民の皆様方からよく意見を聞くということだとご理解いただ ければよろしいと思います。言ってしまえば、科学情報というのは食品に関します科学 情報ということになりますけれども、これの情報に基づきまして、食品の安全性確保を 行うという手順であると考えていただければいいと思います。  ですから、従来もリスク評価とかリスク管理というのはやってきていたわけですけれ ども、ここのところが現在のこの新しい体制では、これとここはそれぞれ独立して行っ ているわけですけれども、従来はこれが渾然一体となってやっていた。それから、あと はこのリスクコミュニケーション、これは別にリスクを、危険性につきまして皆様方に お知らせするという話ではなくて、もっと広い意味のコミュニケーションでありますけ れども、ここのところが非常になかったということです。  実際どうするかといいますと、まず既存の科学情報、これは動物実験、ある、例えば 農薬あるいは添加物でも何でも結構でございますけれども、それに関します既存の科学 情報に基づきまして、それがどの程度人の健康に害になるかというようなことをリスク の評価をするということであります。既存の科学情報の中には、今、動物実験のデータ と言いましたけれども、時と場合によっては、例えばメチル水銀のような場合あるいは カドミウムの場合には、いきなり人間に対する影響という情報もあるわけですけれど も、そういうもの、あるいはその有害な物質が、個々のお米の中にどのくらいカドミウ ムが入っているかとか、魚の中にどのくらいメチル水銀があるかというような、そうい う科学的な分析の結果とかいろいろありますけれども、そういうものを総合いたしまし て、それでは、そういうものを食べたときに人にどの程度の健康影響というものが出る かということが予測できるかということを、まずやるというわけです。この部分が、私 ども食品安全委員会の役割ということであります。  ここでこういうような評価を行いますと、それに基づきまして、これリスク管理機関 といいまして、厚生労働省及び農林水産省でございますけれども、ここが、それでは、 そのようなリスクをいかにして減らすことができるか、あるいは回避することができる かということで、さまざまな施策を決めるということであります。それぞれ、どういう 根拠に基づいてリスクを評価して、どういう結論になったかということ、あるいはリス クを低減化する、あるいは回避するために、どういうような方策をとったか、あるいは とろうとしているかということは、リスクコミュニケーションによって、それぞれの機 関が国民の皆様方に説明をして意見を聞くということであります。  ですから、リスク分析というのは、ただ単に分析をするというだけ、どのくらいの危 険性あるいは健康影響があるかというのをただ単に分析をするという話ではございませ んで、いかにそれに基づいてそのリスクを回避する、あるいは減らしていくかという、 ここの最終的なことまで考えるということです。  先ほど部長さんの方から「ごみゼロ」でしたっけ、何かごみを減らすとかゼロにする というお話で、あれは単にゴミを拾って歩いてきれいにするという話ではなくて、さら にその先にありますいろいろな生活のレベルをぐっと上げるというようなお話がござい ましたけれども、それと同じような考え方と思っていただければよろしいと思います。 〔スライド〕  それでは、食品安全委員会の役割はどういうところにあるかということを、これから ご説明いたします。  食品安全委員会の役割というのは大きく分けますと3つございまして、まず最初の1 番目といたしまして、食品健康影響評価、いわゆるリスク評価ですね。これがいってみ れば一番大きな役割であるということであります。ここに説明が書いてございますけれ ども、食を介して入ってくる可能性のある化学物質及び微生物等の要因について、その 健康に及ぼす悪影響のリスクを、科学的な知見に基づいて客観的かつ中立公正に評価を するということでありまして、科学的な知見に基づいて科学的に判断をするということ でございますので、これは客観的にもなるのは当然でありますし、中立公正になるのも 当然ということでありまして、こういうことでリスクの評価を行うということです。 〔スライド〕  それから2番目の役割といたしましては、このリスクコミュニケーションということ でありまして、これを実施するということであります。食品安全委員会の場合ですと、 リスク評価の内容等に関しまして、消費者とか、あるいは食品関連事業者などの関係 者、そのほかによる幅広い情報や意見の交換、ここが非常に重要なんですね。意見を交 換しないと、一方的に情報を流すだけでは、これはリスクコミュニケーションではあり ませんので、意見の交換をするということが重要であります。  それから、当然そのためには意見の交換会を開催するとか、あるいは私どものホーム ページを使っていろいろの情報を流す、それから、それに対しましていろいろの意見を 伺うということになります。ここのところは従来余り日本では行われてこなかった、我 々が余り慣れてないような部分でありまして、いろいろ困難を伴いますけれども、これ からはちゃんとやっていかなければいけないと思います。  あと役割の3番目といたしまして、緊急時の事態への対応ということがございますけ れども、これは何か食品に関しまして大きな事件が起きてしまったような場合、しか も、それが政府全体として何か対応しないとこれはいかぬというような場合には、食品 安全委員会が事務局的な役割を担って情報を集めたり、あるいはいろんなところに連絡 をしたり、あるいは国民の皆様方に情報を提供するというような役割も担っているとい うことです。この点につきましては、まだ幸いなことに、こういうような緊急時に私ど もが事務局を担って何かをやらなきゃいけないという事態は、発生はしたことがないと いうことであります。 〔スライド〕  これ、ちょっと見にくいかもしれませんけれども、これが我が国全体の食品安全行政 ということになりますけれども、リスクの評価をいたします食品安全委員会があって、 ここのところに厚生労働省、農林水産省のリスクの管理の機関ですね、こういうものが ある。全体でもって食品の安全行政を行っているということであります。例えば農薬あ るいは添加物、新しいものが承認申請がなされる場合には、厚生労働省、あるいは物に よって、どちらに申請がなされるかということになってきますけれども、厚生労働省あ るいは農林水産省に申請書が出されるわけでございます。そうしますと、そこの安全性 に関する申請書にいろいろの資料がついてまいりますけれども、安全性評価に関する部 分は、こちらのリスクの管理機関から私どもの方に安全性評価依頼というものが参りま して、私どもの方でそれの評価を行って答申という形で、それぞれ諮問してきた機関に お返しするということになります。  ここで結論が出るわけですけれども、結論が出たら、どういう根拠をもとにして私ど もはそういう結論を出したかということは、リスクコミュニケーションによりまして国 民の皆様方によく説明をする。当然これは意見を聞いて、何かまだ少し考え方が足りな いんじゃないかというようなご意見が来た場合には、それが妥当かどうかということを 検討して、もしもっと議論しなきゃいかぬ場合には、それは議論をするということで す。  同様に管理機関も、当然安全性評価に基づいていろいろの政策を決めたときには、ど ういう根拠に基づいてそういう施策を決定したかということを皆様方に説明をするとい うこと、それに対するまたご意見も聞くということになると思います。 〔スライド〕  ただ、食品安全委員会というのは委員が7名しか、いろいろの専門分野の人間が7名 しかおりませんので、7名ですべての問題についてまず対応するということは非常に困 難であるということでございまして、この委員会の下に専門調査会というものをつくっ てございます。専門調査会というのは全部で16ございまして、大体そこに委員としてお 入りいただいている人は約 200名。 200名近くの方が委員としてお入りいただいている ということであります。安全性評価だけを見てみますと、評価チームというのは全部で 13ありますけれども、添加物だけを議論するところ、あるいは農薬だけを議論するよう な、こういう専門調査会があるということでございます。 〔スライド〕  それで、安全委員会そのものは毎週1回委員会をやっておりまして、審議は透明性、 これはリスクコミュニケーションということになりますけれども、審議は透明性という のを確保する必要がありますので、これは原則公開であるということであります。です から、どなたでも委員会で何を議論しているか、お聞きになりたい方は委員会の方へ来 ていただければよろしいと思います。あと、議事録もホームページ上で公開をしており ます。 〔スライド〕  役割の最初に申し上げました食品健康影響評価につきましては、つまりリスク評価に つきましては、これまでに厚生労働省あるいは農林水産省から 283件のものにつきまし ての安全評価の依頼がございました。 〔スライド〕  今のところ74件の評価が終わりまして、全部これは一応両省にお返しをしているとい うことでございます。透明性を高めるということ、あるいはリスクコミュニケーション ということで、これはお返ししているのですけれども、一応専門委員会で結論が出ます と、一旦そこで私どものホームページを使いまして一般の方からご意見を伺うというス テップを踏んでおりまして、それに対しまして賛成反対、反対であれば、どういう点に ついて配慮されてないから反対とか、いろいろ理由をつけていただくことになりますけ れども、そういうステップを経まして、そのご意見をもう一度よく精査しまして、最終 的に食品安全委員会で結論を出して通知をする、そういうステップを踏んでおります。 〔スライド〕  一例を申し上げますと、これ農薬の例ですけれども、では農薬が安全かどうかという のは、どういうことをやって安全性を評価しているんだという話をお話しいたします と、まず多くの場合は実験動物を使ったような毒性試験のデータというものがついてお ります。毒性試験というのは一体何かといいますと、ここらにあります。これはかなり 専門的なことにわたりますけれども、急性毒性あるいは反復投与毒性試験というのは、 中期的な、あるいは長期的に毎日、例えば3カ月なり1年、2年なり、動物にその農薬 なら農薬を食べさせ続けまして、どの程度動物の健康に影響が出るかということを調べ る。あるいは発がん性試験、変異原性試験あるいは催奇形性試験、体内動態、これは代 謝ですけれども、こういうような一連の試験のデータをよく見まして、それでまず無毒 性量というものを決めます。無毒性量というのは、どこまで以下であったならば、その 動物に何ら有害な影響が、作用が出ないかということを調べまして、その有害な作用を 示さない物質の最大量ということで、これは無毒性量といいますけれども、それをまず 出します。NOAELと普通呼びますけれども、日本語にしますと無毒性量です。これ が動物実験の結果ですね。 〔スライド〕  次に、その動物実験の結果に基づきまして、それでは人にそのデータを使うとき、ど うしたらいいかという話になりますけれども、一日摂取許容量という、ADIといって おりますけれども、これをまず出すということであります。このADIというのは何か といいますと、認められるような健康上のリスクを伴わずに、人が生涯にわたって毎日 摂取することができる体重1kg当たりの量ということです。体重1kgというのは、人間 太った人もいれば、やせた人もいますので、体重当たりにして換算していくのがよろし いということで、この一日摂取許容量、ADIを決めます。  その出し方というのはどういうやり方かといいますと、先ほど動物試験の結果から来 ました無毒性量、ある一定の安全係数で割るということで出しております。安全係数 は、通常はここに 100と書いてございますけれども、この 100の根拠というのは、まず 動物から人へということ、これを10というふうに普通置きます。10というのは妥当かと 言われますと、これはヤッと置いた数字ですので、その科学的な根拠というのはそれほ どないと思いますけれども、10置けば大丈夫だろうという、いろいろの経験的な数字で すね。それから、人間というのは非常に遺伝的に個人個人、個人差がありますので、個 人差をやはり10と置きまして、両者合わせて 100ということになりますけれども、通 常、安全係数 100ということです。これで先ほどの無毒性量を割りまして、それで一日 摂取許容量というものを出します。  ここまでが、このADIまでを出すというところまでが食品安全委員会の役割という ことでございまして、この先、ADIを幾つに設定しましたというようなことを私ども は例えば厚生労働省の方に連絡いたしますと、厚生労働省の方は、それではということ で想定される摂取量がADIを超えないように使用基準を設定するということです。で すから、農薬の場合ですと、どういう野菜に使用許可がされていて、その野菜を国民全 体で大体平均的にどのくらい食べるかというようなことを出しまして、そういうものを 全部食べたときにADIを超えないようにするために、残留基準というものを決めてい くということです。ナスの場合には1ppmであるということです。 〔スライド〕  次の役割として、リスクコミュニケーションということがございますけれども、1つ は、先ほど申しましたように、リスクコミュニケーション、我々の役割は透明性をとに かく確保するということと情報を提供するということで、これは今まで説明してきたと おりでございます。  それから、リスク評価に関する一般からの意見、情報の募集等ということもありまし て、一つはやはり先ほど申し上げましたように、最終的にリスク評価の決定をする前に 必ず原則ということになっていますけれども、ホームページを通じまして、国民の皆様 方広くから、それにつきましての意見を聞くということをやっております。  それからもう一つ、非常に重要な安全評価基準のようなものを決めるときには、例え ば遺伝子組換え食品のような安全評価基準を決めるときには、初めから意見を聞きなが ら基準をつくっていくというようなことをやっております。今まで何回かこういうよう な会を行いまして決めましたということであります。 〔スライド〕  その続きなんですけれども、もう一つ意見交換会とか懇談会を開催いたしますという ことで、今日のこういうような会もその一つに当たるということであります。  それから、あと私どもには食の安全ダイヤルというものがありまして、どういうご意 見でも、あるいはご質問でも構わないのですけれども、とにかく電話番号ここに書いて ございますけれども、これに電話をしていただきますと、四六時中というわけにいきま せんが、私ども月曜日から金曜日まで、大体勤務時間の中であれば必ずだれかが出て、 しかるべくお答えをするというぐあいになっておりますので、どうか積極的にお電話を いただきたいと思います。ただ、残念なことに、これはフリーダイヤルではありません ので、長々と電話をおかけになりますと、それだけ電話代が高くなるという欠点があり まして、これフリーダイヤルにすればいいのですけど、なかなかそこは今のところ難し いということで行っております。  あと食品安全モニターというものがございまして、これは全国で 470名の方にお願い してございまして、多分この会場にもモニターをお願いしている方がいらっしゃると思 いますけれども、大分県でも10名前後ぐらいの方にモニターをお願いしておりまして、 絶えずご意見をいただいたり、こちらから何かお願いをする場合にはお願いするという ようなことをやっております。 〔スライド〕  次が、今言いました食品安全モニター、昨年度のモニターの方のアンケート調査の結 果でございます。 〔スライド〕  幾つか質問がございまして、例えばこれは、食品の安全性を確保するために改善が必 要と考えられる段階って、どういうステップが考えられるかということをお尋ねしまし たら、やはり生産段階、一番ここを改善する必要があるのではないか。というのは、逆 にいいますと、ここのところを国民の皆様方が一番心配しているということだろうと思 います。 〔スライド〕  次に、輸入食品が不安であるという方が大変多いわけでございまして、この輸入食品 の安全性の確保はどういうふうにしたらいいかということを伺いましたら、やはりこれ は輸入食品の監視業務を強化する必要。監視業務というのは、多分港とか空港における 検査だろうと思いますけれども、こういうところでちゃんと入ってくるやつを監視して いて、違反食品はどんどんはねろということだろうと思います。  2番目にありますのは、輸出国の衛生管理の状況についての情報収集をもっとちゃん とやれというようなことでございます。 〔スライド〕  では、発がんを起こすような可能性が高いと感じる要因は何かといいますと、たばこ とか放射線。たばこなんていうのは今非常に言われておりますので、あれですけれど も、ここら辺、食品添加物や農薬、こういうものでもがんが起きるんだとお感じになっ ている方が非常に多いということで、これはがんの疫学者の方と非常に大きく意見が分 かれるところで、少なくともがんの専門家は、食品添加物とか農薬というのはちゃんと 基準が守られている限りにおいては、がんを起こす危険性というのは非常に少ないと思 っておりまして、大分ここら辺は一般の方と考えが乖離しているということでありま す。 〔スライド〕  それから、やはりこれも似たようなものなんですけれども、何に不安を感じています かといいますと、農薬が非常に多いですね。輸入食品、添加物、こういうところであり まして、農薬とか添加物というのが非常に上位に来るというのは、やはりこういうもの に不安を感じている方がたくさんいらっしゃるという話でありまして、これはちょっと リスクコミュニケーションが足りないかなと私どもは思います。 〔スライド〕  それで、もう時間が余りなくなってきましたけど、BSEと鳥インフルエンザについ て、これは今までもさんざんもうあちこちでお読みいただいたりしてご存じかもしれま せんけれども、これについて申し上げます。 〔スライド〕  日本では、ご存じのように平成13年9月、もうじき3年になりますけれども、初めて BSEの牛が見つかりまして、平成15年に9頭目で、現在この先がまだありまして、実 は全部で11頭、BSEの牛が見つかっております。 〔スライド〕  問題は何かといいますと、それではBSEの牛、肉を食べて安全かという話にすぐ話 は当然いくわけですけれども、逆にいいますと、BSEの危険性があるところは牛全体 の中でどういうところかという特定危険部位ということになりますけれども、そういう ものを非常に詳細に調べた実験データがありまして、結局はよく言われておりますよう に、脳とか扁桃、脊髄ですね。 それから、脊髄から出ております背根神経節、背骨の ここのところですね。それから回腸の遠位部ですね。ここのところが危なくて、全体の 99.44危ないところはこういうところにあるんだということでありまして、これを特定 危険部位と呼びまして、現在こういうものを排除しているわけです。  わかっていることは、少なくともこういうBSEにかかった牛の肉を使いまして感染 実験やっても、全然牛はBSEを発症しないということがわかっておりまして、肉は安 全であるということになります。ですから、一番大事なことは、ここのところをいかに 完全に除去するかということが大事かということになると思います。  何でこんなところが突然あるのかといいますと、BSEというのは異常プリオンとい うたんぱくで発症するんですけど、牛がそれを食べると、子牛のときここから入るんで すね。しばらくここにおりまして、異常プリオンがたまってきまして、ある年齢、潜伏 期間を置きまして、ここに集まってくるということになるということであります。 〔スライド〕  これは、イギリスにおけるBSEの発生の状況ですけれども、イギリスは1992年をピ ークといたしまして、非常におさまりつつあるということです。1988年にBSEの牛か らつくった肉骨粉というものを牛に食わせる、共食いのようなことをやっていたわけで すけれども、それを禁止してから一定の潜伏期間を置いて出て、その効果がだんだんあ らわれつつある。  それから後は、今度は牛から人間の方に来て、バリアントタイプのクロイツフェルト ヤコブ病、CJDといいますけれども、そういう病気の方が、大部分イギリスですけれ ども、発生して、これも多分下がっていくだろうと期待されております。 〔スライド〕  問題は、米国においてBSEを発生したということでありまして、今、牛肉の輸入が 禁止されているということでありまして、今日あたりも日米でいろんな協議が行われて いるということであります。 〔スライド〕  結局、この絵は先ほど申し上げたことなんですけど、BSEの牛からつくった肉骨粉 というものを子牛に与えるために、まず子牛に感染をして、長いことたちまして、ここ でBSEが発症する。潜伏期間2年から8年ということになっていますけれども、この ところにきまして、脳のところの特定のところに異常プリオンというものがたまってき て、ここの部分をとって日本では全頭について検査をしているということであります。 ですから、まだこっちのときには、ほとんどここのところにはたまっていないというこ とでありまして、ここの部分を検査しましても、こういう若いときにはまずかからない 可能性が非常に高いとお考えいただいて構わないと思います。 〔スライド〕  問題は、今また繰り返しですけれども、BSEの牛の肉骨粉を使って、グルグルグル グル回ったリサイクリングを起こしまして、どんどんイギリスではBSEの牛が起きて いったと。イギリス人とかフランス人というのは脳を食べるという習慣がありまして、 その脳を食べたために、特定危険部位ですね、これを食べてしまったために、人間の方 に来て、ここでクロイツフェルトヤコブ病、バリアントタイプですけれども、これが起 きたということで、現在イギリスでたしか 146人出ておりますけれども、ですから、脳 を食べる習慣のありますイギリスとかフランスに非常に多く発生している。当然日本で はこの変異型のクロイツフェルトヤコブ病というのは一人も起きていないし、これから も多分起きないだろうというのが私どもの判断でございますけれども、今そこは議論中 でございます。  それで、今、私ども食品安全委員会ではこのBSEの問題につきまして、大体 300万 頭ぐらい今まで全頭検査やってきまして、全部で11頭見つけておりまして、そういうよ うなこと。あるいはこれまでの経験から、人に変異型のCJDが発症する可能性がどの くらいあるだろうかということ。あるいはこれまでとってこられましたいろいろの措置 ですね、そういうものがどのくらい効果があったのかということを議論をやっていると ころでございまして、プリオン専門調査会というところで議論をやっている最中でござ いまして、いずれ結論が出ると思います。  それからもう一つは鳥インフルエンザなんですけれども、これも前に3省で意見広告 出しましたけれども、鳥がインフルエンザにかかっても鶏肉とか鶏卵は安全であります ということであります。その理由としては、一つはこのウイルスは酸に非常に弱いとい うことがありまして、まず胃に入れば普通胃酸で活性を失うだろうということ。それか ら、ウイルスが感染するときには必ず細胞の受容体というところに取りついて、それか ら細胞の中に入るということになるわけですけれども、その受容体の構造というものが 人と鳥では違っておりまして、鳥型の受容体、鳥型のウイルスが取りつく受容体という ものは人の細胞にはないということ。それから、当然ウイルスで温度に弱いということ がありまして、こういうような理由でまず肉や卵を食べても感染することはないし、現 実の問題として、鳥インフルエンザウイルスが肉や卵を食べたために人に感染したとい う例は世界的には知られていないということであります。 〔スライド〕  それから、卵あるいは鳥そのものにつきましては、しかるべく消毒が行われておりま して、こういうような塩素消によって、まず表面についていないから大丈夫であろうと いう話であります。ですから、普通そこらに入っているようなウイルス様のものでイン フルエンザウイルスがかかるということはないということであります。 〔スライド〕  次は食品安全委員会の今後の課題ということで、次の1枚だけ。 〔スライド〕  いろいろ今後我々がやらなきゃいけないようなことがズラズラ書いてありまして、こ れは今考えられるいろいろのことをやっているということでありまして、これからこう いうことを議論をちゃんとやっていかなきゃいかぬなということを示しただけです。 〔スライド〕  最後のスライドは、これはまた私がかなり主観を持ちまして集めてきたものでありま して、こういうものが世界的に見て今話題になっていますよということをお知らせする ために、つくったものでありますので、これをながめていただければいいと思います。  時間、大分超過してしまいまして申しわけございませんでした。私の話は以上でござ います。どうもありがとうございました。(拍手) ○司会  ありがとうございました。  それでは、ここで10分間の休憩を設けさせていただきたいと思います。パネルディス カッションは2時5分から開始したいと思いますので、それまでにお席の方にお戻りい ただきますよう、よろしくお願いいたします。                  〔 休憩 〕 4.パネルディスカッション・意見交換 ○司会  それでは時間となりましたので、パネルディスカッションに移らせていただきたいと 思います。  パネルディスカッションにつきましては、コーディネーターに進行をお願いしたいと 思います。よろしくお願いいたします。 ○コーディネーター  本日、意見交換会のコーディネーターを務めさせていただきます、厚生労働省医薬食 品局食品安全部企画情報課の広瀬と申します。よろしくお願いいたします。  本日のパネルディスカッションの進め方ですけれども、テーマごとに進めさせていた だきたいと思います。複数のテーマについてご意見等がございます場合には、一度にご 発言いただくのではなくて、それぞれのテーマで一回ずつご発言いただきますようお願 いいたします。また、会場の皆様にもご意見等いただく機会を設けたいと考えておりま す。ご発言をいただく際には手を挙げていただきますようにお願いいたします。こちら から発言される方を指名させていただきますので、その場合には係の者がマイクを持っ て順番に伺います。差し支えなければ、ご職業などとお名前をおっしゃられた上でご発 言いただければと考えております。  本日のテーマですが、まず「食品安全行政の枠組みについて」ということ、それか ら、「食品に関するリスクアナリシスについて」という順番で進めさせていただきたい と思います。3つ目に「その他」というテーマで一通りさせていただいて、最後に全体 を通じての意見交換の時間を設けさせていただきたいと思っております。  それでは、本日のパネリストの方のご紹介をさせていただきたいと思います。  まず、こちら側から順番に紹介させていただきたいと思いますが、内閣府食品安全委 員会の寺尾委員でございます。(拍手)  そのお隣が、厚生労働省の大臣官房・外口参事官でございます。(拍手)  その隣が、農林水産省消費・安全局の片桐消費者情報官補佐でございます。(拍手)  そのお隣が、大分県生活環境部の上野食品安全・衛生課長でございます。(拍手)  そのお隣が、大分県食品産業協議会(株式会社菊家会長)の齋藤様でございます。 (拍手)  そのお隣が、大分県かん水養殖協議会青年部会長の村松様でございます。(拍手)  そのお隣が、大分県生活協同組合連合会専務の足立様でございます。(拍手)  それでは、最初のテーマの「食品の安全確保に向けた取組」ということでございます が、まず最初に、この大分県におきまして、食品安全確保に係る取組というものが進め られておると伺っておりますので、上野課長からちょっとご紹介いただけませんでしょ うか。お願いいたします。 ○上野課長  食品安全・衛生課の上野でございます。  お手元資料の3になろうかと思いますが、大分県におきましては、今年度より県庁内 に食の安全安心確保の事業に取り組む専任のスタッフを設置いたしました。食品安全・ 衛生課の中に、人数4名ですけれども、少ないのですが、県庁各課で取り組んでいる事 業の取りまとめを行っております。それを推進するために昨年の9月に、お手元資料の 1ページにございますように、副知事をトップ、本部長とする食の安全確保推進本部を つくりました。  推進本部は食に関する緊急事態にも対応するようになっておりまして、この資料の7 ページにございますように、今年の2月に本県での高病原性鳥インフルエンザ発生時は 緊急会議を開催いたしまして、鶏肉や鶏卵の安全性をアピールするとともに、風評被害 の防止に努めたところでございます。また、消費者、生産・製造者あるいは販売・流通 事業者の各代表と有識者等20名から成る食品安全推進県民会議を開催し、直接皆様の代 表者の方々からご意見を伺っているところでございます。この県民会議も昨年の9月か ら開催をしておりまして、詳しい資料の2ページからつけてございますので、ご参照い ただければと思います。  今年度の取り組みでございますけれども、今日の午前中に、本日ここにおられる県下 の消費者の 100名の方々に食品表示ウォッチャーを委嘱をさせていただきました。食品 表示ウォッチャーの方々には、今日から早速買い物のときに食品の表示に注意していた だきまして、正しい表示がされているか、消費者の立場から見ていただくようになりま す。また、昨年度から引き続き同様に活動していただける方には、食品表示ウォッチャ ーのOBとして食品表示アドバイザーをお願いしているところでございます。  このほかに、資料の9ページにございますように、県内、佐伯、日田、宇佐地域で は、食品に関する意見交換会を7月から9月にかけて開催を予定してございます。消費 者の方や食品関係事業者の方が対象となりますので、この地域の方はぜひご参加いただ ければと思っております。  最後に、本日私どもの部長のあいさつの中にもございましたけれども、大分県では食 品に関する新しい条例を制定する予定でございます。大分県産品の安全性を確保し、安 心して皆さんが食生活を送れるよう、生産から消費に至る各段階での安全安心対策を盛 り込んでまいりたいと思っております。県庁のホームページなどでパブリックコメン ト、意見、皆さん方の意見を取り入れながら策定をしていきたいと思っております。6 月ごろの予定をいたしておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  以上が大分県の取り組みのあらましなんですが、このほかにも多くの事業を予定して おりまして、詳しいことは県庁のホームページに掲載をいたしてございますので、見て いただいて、よろしくお願いをいたしたいなと思っております。  以上でございます。 ○コーディネーター  どうもありがとうございました。  それでは、意見交換の方に入っていきたいと思います。  まず、皆様のお手元に資料2という横長のものが入っているかと思いますが、これ は、今回意見交換会に参加いただくに当たりまして、参加申込書のところにあわせて意 見等をお寄せいただいたものをまとめたものでございます。今回事前にお寄せいただい た意見につきましては、1ページをおめくりいただきますと、どんな背景の方からいた だいた質問かということ、それからテーマ番号とかご質問の内容を書かせていただい て、一番右側に一応国の方で質問の回答というものを用意させていただきました。すべ てのものはなかなか意見交換会のテーマに時間的に取り上げることができないかと思い ますので、取り上げられなかったものについては、ここにある回答をもちましてご容赦 いただければと考えております。  まず、食品安全行政の枠組みにつきましては、2点ほど意見をいただいております。  1つ目が、残留農薬の問題等でございます。残留農薬等、原因が判明しているのにど うしてそれを水際で阻止することができないのか、問題点を把握したいということでご ざいます。  回答といたしましては、ちょっと長くなっておりますので、かいつまんで解説させて いただきますと、輸入食品につきましては、全国にあります厚生労働省の検疫所でモニ タリング検査というものと命令検査というものが行われております。モニタリング検査 は、幾つか、何件に1件というような形で調べていくもので、これは貨物を留め置くこ となく進められているわけですが、何か違反が見つかれば直ちに回収等の措置がとられ るということで、この検査で違反が見つかれば、今度は命令検査というようなことにな りまして、これは検査結果が出るまで貨物が動くことはないというような状況です。特 に過去の中で、中国産のホウレンソウなどは幾つか貨物の中で非常に残留濃度のばらつ きが多かったということがありまして、検査の過程では合格していたものが、また後、 国内で流通している段階で発見されたというような事例が出てきたことがあります。こ ういった輸入食品については、検体数などを増加させて、要するにモニタリングすると きのモニタリング率ですね。そういったものを上げて、検査を厳しくして対応している ところでございます。  こちらについてパネラーの方からも少しご発言いただければと思いますが。外口参事 官。 ○外口参事官  それでは、私の方からちょっと補足させていただきます。  お手元に横長の「新食品衛生法の概要」というのがありますでしょうか。「厚生労働 省食品安全部」という横長の紙なんですけれども。それの15ページをお開き願いたいと 思います。「輸入食品の監視体制の強化」というところですけれども、その輸入食品、 水際で今どんなことをやっているかということで、15ページの左側に図がありますけれ ども、今、輸入食品どのぐらい入ってきているかというと、約 162万件、重量にすると 3,300万トン入ってきています。この左下の図でわかりますように、件数の伸びがすご いですね。重量はそんなに、胃の大きさそんなに変わらぬものですから、余り変わりま せんけれども、種類がふえてきている。どこから件数が多く入っているかというと、一 番多いのが中国、それからアメリカ、フランス、タイ、韓国、そういうところが多いん ですね。  それで、それに対してどういうことをやっているかというと、16ページを見てくださ い。次のページで、今、コーディネーターの広瀬さんの方からお話がありましたけれど も、輸入食品入ってくると、輸入届け出する検疫のセクションが31カ所ありますので、 そこで一定の比率でねらって、全部調べるわけにいきませんから、出そうなものをある 一定の確率で、この国はちょっと多く調べるとか、そういうのをやりながら調べるわけ です。それをモニタリング検査というんですけれども、それで引っかかると、2回目に はもっと頻度を高く調べるわけです。2回引っかかると、命令検査といって、今度はも う通さないわけですね。全部調べて、よくないともう流通させない。それが命令検査で す。このモニタリング検査が今年度の予定が7万 6,000件。何をどれぐらいやるかとい うのは最初からある程度計画立てて、例えば残留農薬だったら1万 8,100件、今予定し ていますけれども、これもいろいろ出てきたら数をふやしたりしますけれども、そうい う仕組みになっています。  それから、モニタリング検査と命令検査だけじゃなくて、あと包括的に全部禁止する ときもあります。例えば何度も違反を繰り返したりするようなときは命令検査以前の問 題で、最初からもう受け付けない、そういう制度もつくったところです。  15ページに戻りまして、これを水際で何とか食いとめたいということで、15ページの 右側に「食品衛生法の改正内容」というのがありますけれども、去年の8月に法律を変 えて、命令検査を、今まで手続が大変だったんですけど、すぐかけられるようにした。 それから、輸入食品監視指導計画というのをつくって、その中で検疫所で出てきたもの を調べるだけではなくて、例えば輸出国に対する働きかけ、現地調査だとか、相手の政 府への働きかけだとか、場合によっては技術指導までする、そういった事前の働きか け。それから、初回輸入時にはよく指導することとか、自主検査をまずやってもらうこ ととか、そういった最初の働きかけなども強化することをこの輸入食品監視指導計画に 盛り込んでいます。  それから、営業禁停止処分というのが自治体の知事だけに限られていたのを国の方で も処分できるようにしたこととか、指定検査機関を登録制移行して検査できる施設をふ やしたりということで、大分監視体制はちょうど強化したところでありますので、また これで頑張っていきますから、また皆様方から、特に表示ウォッチャーの方、いろんな ご意見とか寄せていただければ、よりよい方向に変えていきたいと思っています。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  ただいまのテーマにつきまして、何かご意見あるほかのパネラーの方とかはいらっし ゃらないでしょうか。特にないようでしたら、会場の方からも、今のこのご質問に関係 するご意見もしあれば、ご発言されたい方、手を挙げていただければと思いますが。 <参加者1>()  東京の方から来ました、有機食品の検査認証をやっています。  ちょっと基本的なことを今の農薬の件とあわせてお聞きしたいんですけれども、私が 認識していたリスクコミュニケーションというのは、今日、寺尾先生のお話の中では、 あくまで化学物質とかそういう科学的な危害というのが主にリスク評価の対象であり、 リスクコミュニケーション、リスク管理の対象であり、リスクコミュニケーションの土 台になるものだというようなお話だったと思うんですけれども、私が考えるというか、 認識していたリスクコミュニケーションというのは、もう少し情報交換という意味で、 例えば今の残留農薬検査にしても、水際でやっているのはモニタリング、全量じゃない わけですね。ただ農薬検査をやっていますよ、残農検査をやっていますよというと、消 費者の中ではどうしても全量やっている、それで、それはもう安全なものなんだ、 じゃ、どうしてそうやって水際で抜けちゃうんだという話になるわけですね。そこのと ころ、消費者の方、それから、よく知らない方がそういう検査とか聞くと、穴なく 100 %やれているんじゃないかと勘違いをされる。でも、現場はそういうふうに動いていな い。  それは製造の現場でも同じだと思います。HACCPにしてもそういうことがあると 思いますし、もちろん有機食品の生産・製造現場でも同じようなことがあります。そう いうところの限界、生産・製造の現場における管理の限界というのが、人がやることで すから、あると思うのですけれども、そこのところに関する、そういうところからリス クは発生するわけですね。食品ですから、もともとリスクゼロなんてことはあり得ない わけですから、そこの情報交換、それから認識のコンセンサスづくりといいますかね、 そういうのがリスクコミュニケーションに含まれるのかどうか。食品安全委員会の方の 立場として、それから厚生労働省、食品衛生法を管理される、所管される立場として、 その辺まで含めてリスクコミュニケーションとおっしゃっているのかどうかというとこ ろを、まず教えていただけないかと思います。 ○コーディネーター  ありがとうございます。外口参事官の方からお願いいたします。 ○外口参事官  ご指摘のリスクコミュニケーション、もっと幅広いんじゃないかというご意見ですけ れども、私も全く同意見です。リスクコミュニケーションというのは、すごく狭い概念 じゃなくて、リスク評価の分野だけじゃなくて、リスク管理の部分あるいはそれ以外の 部分を含めてもいいかもしれません、食の安全安心にかかわることであれば、すべて入 れてもいいかもしれません。それを含めての概念だと思っています。 ○コーディネーター  寺尾委員もお願いいたします。 ○寺尾委員  私も、外口さんの意見に賛成でありまして、結局、今のようなお話は、情報の交換、 双方向だということを先ほど私申し上げましたけれども、そういうのをどんどん言って いただければ、私どもはそれに対応するようなリスクコミュニケーションをやっていき たいと思いますので、どうかご意見どんどんお寄せいただければ非常に参考になりまし てありがたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。 ○コーディネーター  外口参事官、お願いいたします。 ○外口参事官  先ほど農薬検査で全部やってないじゃないか、こういうご質問があると思うのです ね。では、どうすればいいかという話なんですけれども、 162万件全部検査できるよう にするかと、これはなかなか物理的に難しいんですよね。検査の精度を上げるために は、そのやっている検査の量をふやすだけじゃなくて、いろんなのを組み合わせるとい うやり方もあるんです。例えばさっき言ったみたいな輸入相手国への働きかけとか、そ れからあと業者さんの自主検査だとか、そういったものをできるものを幾つか組み合わ せていくと、かなり効果があるんですね。だから、我々としては、むしろできる範囲で どうすれば一番よくできるかということを追求していきたいと思っています。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  一応我々のリスクコミュニケーションの意見交換会では、ご質問いただいたときは、 もう一度質問者の方に回答を踏まえてご意見いただいているのですけれども、このよう な回答に対して追加の意見とか補足等ございますでしょうか。 <参加者1>()  いえ、非常にありがたいお言葉というか、リスクコミュニケーションというのをこれ からの分野だと思っていますし、絶対食品の、安全という言葉は余り好きじゃないんで すけれども、安全性を向上させるという上では、やはり広くとって、つくる側と消費す る側というのが離れていますから、そこのところの意識のすり合わせというのをうまく やっていかないと、そのために、やっぱりあるものなんだろうなと思っていますので、 余り科学的な分析にだけ偏るのはちょっと怖いなと思っているので、そういうご意見を いただければありがたいなと思います。ありがとうございます。 ○コーディネーター   ありがとうございました。  そのほか、この同じ問題につきまして何かご発言ある方いらっしゃいますでしょう か。どうぞ。村松様ですね、はい。 ○村松会長  蒲江で養殖をしています村松と申します。  外口参事官の方に、例えば日本が物を輸入するというときに、アメリカぐらいの強い 姿勢で、例えばこういう規格でなければもう輸入はできませんよとか、そういう制度を つくるということは無理なんでしょうか。どう言ったらいいのかな。入ってくるものを 検査する。当然全量できない。アメリカの場合は、入れるものには厳しく、出すものに はそうでもないというような大体貿易の仕方をやっているんで、日本も何か入れるもの に対しては、もうちょっと検査だけでない、つくる過程から規格をこっちから押しつけ るというか、こっちの規格で、日本の規格で合うものしか入れませんよ、そういうつく り方をしたものしかだめですよということはできないんでしょうか。 ○コーディネーター   参事官、お願いいたします。 ○外口参事官  まず、基本的に国内で流通するものに関してかかっている規制は、国産品であろうが 輸入品であろうが、全く同じです。国内の規制のルールを満たしていないものは輸入し て流通することは一切できません。じゃ、その国内の規制の規格のつくり方ですけれど も、これは科学的根拠があればいいわけなんです。例えばアメリカとの間はどうする か、中国との間はどうするか、基本的にはそれは2国間で相談して、両方がこれは科学 的根拠に従って正しいということであれば、その規格をつくることができます。ただ、 科学的根拠のないものは、これはなかなか納得が得られなくて、そういった場合に意見 が割れるときがあるわけですよ。そういったときは国際基準に準じて、そこを話し合っ て詰めていくということになりますので、科学的根拠がない、緩いような規制のものを 押しつけられても、それは我々当然はね返すべきだと思っていますし、今までもそうし ています。何か弱気だというようにお思いでしょうか。 ○村松会長  最近BSEでアメリカの方は全頭検査なんか必要ないんだと、当然食べてよい部分に は何もそういう害はない、日本の全頭検査は非科学的であるというような言い方で、日 本に輸入を再開せぬかという強い態度で臨んできたのを、日本は頑張って今とめて、向 こうの民間業者がやりますと。ああいうときに、あのままの形でずっといったときにど うなるんだろうかという。こっち側から、一次産業者として、農業も漁業も同じ一次産 業だけど、国がどういうふうに動くのかなという非常に心配をしながら見ていたんです よ。そういうところから、ちょっと何かできぬのかなと思ってご質問しました。 ○外口参事官  BSEは実際アメリカと日本、考え方が大分変わりして、まずBSEの定義からして 違うんですね。BSEの検査するときに、日本はウエスタンプロット法という、分子レ ベルで異常プリオンを見つける検査が陽性だったらBSEにしちゃうんですけれども、 アメリカはそうじゃなくて、免疫組織学的検査が陽性じゃないとBSEじゃないという ふうに定義自体が少し違う。ということもあって、ちょうど今日、東京で日本の専門の 学者とアメリカの学者が集まって、そういった科学的な議論を戦わせているところで す。これを5月、6月、7月と3回やって、その後また詰めていくんですけれども、と いうようなことを今ちょうどやっているところです。 ○コーディネーター  ありがとうございました。 ○齋藤会長  今、アメリカのお話が出ましたので、アメリカのことについて少しお話しさせていた だきます。  10年くらい前にアメリカ私どもの会社商品の委託製造を行ったことがあります。輸入 した商品は主に東京方面で販売したのですが、アメリカは、衛生・品質基準が意外と厳 しいんですよ。例えば生クリームは雑菌が少なくなければならないとか、もちろん大腸 菌は許されませんけどその他の基準もハードルが高いんです。乳関係ではアメリカ国内 で流通されているもののほうが、日本よりずっと厳しいと思いました。  部下を連れて1ヶ月位、ずっとアメリカのある工場に行ったことがありました。我々 が外から見ていたとき、アメリカって楽な国なんだろうなと思っていたのですが、とん でもありませんでした。だから、生クリーム一つ持ってくるのでも、何日に搾乳したも ので、どこで加工して、乳脂肪何%、カルシウム何%とピシャッと書いて、きちんと貼 ってくるんです。  何トンも注文した時でも、全てにきちんと貼られているんです。  原料メーカーに聞いて、その検査機関まで調べることはしませんでしたが、おそらく それなりの技術を持った機関だと思いますし、また、納品する際の文書の仕様について も、日本より本当に厳しいんだなと思いました。乳牛業者が我々のところに20リット ル入りの容器でが持ってくるときは、そんな検査データなんか貼ってきませんからね。 パック入りの生クリームや牛乳のときは、原料名とか、脂肪率とか、、カルシウム何 %、とかあらかじめ印刷になっていて、我々はそれを信じて使うわけですけれども、そ ういうことを考えると、アメリカ国内では意外と厳しかったということを、少しだけ御 報告します。終わります。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、2番目のテーマの方に移らせていただきたいと思います。  これもまた検査みたいな関係になるんですが、昨年BSE問題、鳥インフルエンザ等 が発生してから、食品に対する不正の表示とか無農薬の使用など、食に対する安全が不 安ですというようなご意見です。どのようなチェック体制になっているのでしょうかと いうことですが、食品関係業者に対する監視指導につきましては、各都道府県の保健所 に食品衛生監視員という者がおりまして、これが検査、監視等を実施しているところで ございます。食品衛生法に基づきまして、施設への立ち入り検査ですとか製品の収去検 査などを行っております。都道府県の監視指導につきましては国が指針を示しておりま すが、さらに地方、都道府県において住民の意見なども聴取しつつ、都道府県の食品衛 生監視指導計画というものを策定し、今年の4月1日からこの計画に基づく指導という のを実施しているところでございます。今年から始まったところですので、結果が出る のは来年6月ごろまでになるのではないかということでございます。  衛生監視の現状というようなこともございますので、大分県の上野課長からもお一言 いただければと思います。 ○上野課長  当然、大分県もこれに基づきまして監視計画を策定しておりまして、本年4月1日か らそれに基づいて実施されているわけですけれども、この内容につきましては、県庁の ホームページで詳しく、冊子で申し上げますとA4で19ページございますけれども、そ の内容すべて掲載をされております。  この策定に当たって、県民の意見をということで、パブリックコメントも実施してお りますし、また、先ほどお話し申し上げましたけれども、食品安全推進の県民会議の中 で説明をさせていただいて、意見等お聞きをし、策定をしたという経緯でございまし て、この中には、計画ですけれども、趣旨、基本的方向、それから一般的な監視指導事 項とか、本年度重点的にこういったのをやると、それから監視の回数とかですね、ある いは今年度はこういうものを検査するということを挙げております。  例えば、本年度どういったものをやるかということで若干紹介させていただきます と、先ほど農薬の残留とか輸入食品云々というのございましたけれども、そういったも のを大体重点的に入れてございます。例えば、海外から輸入される農作物について残留 農薬等の検査を実施いたしますとかですね。遺伝子組換え食品の検査を実施いたします とかですね。そういったのを重点的に項目の中に挙げて、これだけの件数をやりますと いうことで、この計画の中にうたっておりまして、最終的には16年度のこの結果を17年 6月に公表するというスタイルで、そういった体制でこれから進むということになって ございます。 ○コーディネーター  ありがとうございます。  パネラーの方で何かご意見等ございますか。 ○齋藤会長  私どもはずっと以前から会社を挙げて、リスク回避について、食品衛生対策を講じて おりますし、4〜5年前から特に力を入れて行っております。  我々は農産物とか、あるいは第一次産業ではなく、加工業でございますので、割と管 理はしやすいのですが、それでも大変です。  また、よくご存じない方もいるかも知れませんが、現在、農産物や畜産物、あるいは 加工食品でさえも、その生い立ちや、使用農薬、肥育方法、使用原材料の産地や管理方 法など、その履歴を確認するトレーサビリティなるシステムが、先進国で取り入れられ ようとしています。コード番号を入力したり、ICタグを用いたり、いろいろ試験され ているようです。大分県ではまだ行われていませんが。  またこれが、実際には、どれくらいお金がかかるものか分かりませんからね。本当は 実用化レベルの見通しが難しいのに、ただ試験レベルや言葉だけで、役所関係の方々が ちょっと騒いでいるだけじゃない、なんて私らは思っているのですが。ただ、やがてそ ういう日が来るだろうということで、先駆けてやっているのでしょう。  アメリカやヨーロッパなどに行って勉強して、食品業界をずっと回っていますと、意 外と外国は、本当に厳しくやっているんだなというのがよく見えてきます。  それから見ると、日本の場合は緩いという訳じゃないんですが、意外と我々加工業者 も、漠然と食品を作っていることが多い、ということが過去10年くらい前まではあっ たんです。ですから、これではいけないということで、私どもリスク回避について真剣 に取り組みました。ちょっとだけお時間をいただいて、お話しさせていただきます。  牛乳、生クリームについては、入荷時に必ず細菌検査を実施しております。本当に手 間がかかるんですよ。シャーレに入れて、最近が一番繁殖しやすい温度帯で規定時間培 養し、結果を見て、基準値を逸脱するような場合はもちろん使いませんが、多いなと思 った時などは、原料メーカーへ指導しています。  これは何故かといいますと、35年前にお菓子から大腸菌が出たんですよ。それで、 保健所の方が見えて、「菊屋さん、おまえのところのお菓子から大腸菌が出たから回収 せい」という、命令があったんです。その当時、私どものチェーン店は50店舗くらい ございましたから、生クリームのついたお菓子を10万個くらい回収いたしました。当 時の金で400万ぐらいあったと思います。使用材料、保管材料を捨てたりしました。 でも、その時の保健所の方がとても親切で、1週間ぐらい手の検査、器具の検査、水の 検査など、全部やってくれたんです。でも、社内から大腸菌は出なかったんです。その 他、従業員の手も便も検査して、何でこれだけ検査してでないのかということになって ・・・そしてある時、乳牛業者がトラックで生クリームを運んできたんです。その時、 保健所の一番若い方ですよ。トラックから降ろされた生クリームの缶を見て、さっと検 体を採取して、持って帰ったんです。そしたら、生クリームから大腸菌が出たんです よ。  35年も前の話ですから。これは昭和45年頃の話ですからので、そのころは今みた いに食品に対する中毒とかいろいろなことが騒がれた時代でもありませんでしたしね。 十年一昔といいますから、もう四昔の話ですので、400万円も回収して捨てたという ことが、うちの会社にとってどれくらい大変だったことか。当時は、まだ3億6千万く らいの売り上げですから。  ですから、それから私たちもこれではいけないと、自分のところだけ注意してもいけ ないということで、こういった材料に対して、仕入れる時から注意するシステムを作り 上げました。それで入荷時にこういった検査をするようにしたんです。  原料を仕入れる際は、規格書や細菌検査証をとったりして、より安全で安心なものを 仕入れるようにしています。清掃や、装置や器具の洗浄・殺菌なんかも徹底してやって います。  それから、洋菓子の各種クリーム、和菓子、あんこなどについては抜き打ち検査を実 施いたしております。あんこというのは大体、菌がつきにくい商品なのに雑菌がついた ことがあるんです。これも何でかって、本当に真剣に原因を探し回って探し回って、徹 底的に追求いたしました。今は4名検査員がいますが、うちの検査員総出で実施いたし ました。それで今は消毒アルコールぐらいではダメだということで、まず蒸気で消毒 し、その上にアルコールを噴霧して、更にアルコールをふったビニールをかけて雑菌が つかないようにしております。  それから、プリン、ゼリー、コロンブスの卵、麦田餅、焼き菓子等、これはロット別 に全部番号を付け、検査しております。それから密閉容器でpHの高いもの、プリンと か水羊羹とかは通常検査に加えて、別に2個ずつとって更に最も菌の生えやすい条件下 に1週間おき、再度細菌検査を実施しております。特殊な場合を除いてほとんどの検査 結果は1〜2日くらいで分かります。今日検査したら翌日には菌が多いとか少ないとか 大体分かりますので、商品を店に出せるとか出せないとか判断できます。  そして、細菌が多かった時は、すぐ現場に行って、係員が従業員の手とか器具・装置 と課の抜き取り検査を実施して汚染状況を把握し、原因を究明し、改善しています。2 回以上指摘された社員・パートに対しては個別に徹底指導しています。さらに食品衛生 に関しては毎月会議を設け、工場長も含めて、係長、主任クラスまで参加し徹底討議し ております。  それから工場内の落下菌検査も定期的に行っています。落下細菌数、真菌数を測定 し、部署別、作業場別にチェックし、もし菌数が多かったら、作業場の徹底清掃などを 行っております。  賞味期限を設定する場合は保存試験を実施し、風味・食感・味等の官能検査と細菌検 査を同時に行い、その総合評価で判断しております。更にその結果に1.5倍の安全率 をかけて設定しております。  害虫に関しては、侵入防止のため窓も開けないようにして作業している訳ですが、私 どもの工場も300人以上いますので、中には外へ出てタバコを吸ったりする人がいる んですよ。そんなとき、虫が入ったりするんですよ。そういったことに関しては、もう 少し本当に厳重注意し、そして先ほどいいました食品衛生会議で指摘しまして、徹底的 にやっています。  補虫器は工場内に28カ所設置しています。害虫駆除ですね。原料を入れる入り口 や、商品出荷場所から虫が入る場合がありますので、こういったところにも重点を置い ております。トラックの発着場には、通常の4%しか虫が集まらない低圧ナトリウム灯 を使って、害虫ができるだけ入らないように配慮しております。  クレームに対する対策も徹底しております。原料や製品等の異物混入対策として、篩 を通したり、金属探知器を通したりしていますが、ただ、機械のプラスチックとか、飴 を練る時の木べらが折れたりなんかして、入ってしまうことがございます。金属探知器 よりはかなり高いんですけど、工場の要望もありますので、今年の予算でそういった異 物を感知できる検査機も、経営者として、最低1台ぐらい入れようと思っております。 1年に1台ずつ入れて、2年で2台ぐらいになれば、そういった異物に対しても対応で きるんじゃないかなと思っております。  現在、全ての商品に対し、金属探知器を通しております。それでもやはり、1年に1 回か2回出てきます。全く情けないと思いますけど、実情としてはそういう状態です。  それから、異物のクレームの際は、分析機械にかけないと分からないものがありま す。そういう時は、大分県産業科学技術センターへ持っていき、デジタルファイバース コープで観察・写真撮影をしたり、赤外分光光度計やプラズマ発光分光分析装置、IC Pですね、そういったもので分析・解析し、原因物質を究明しています。  このように、原因物質がわかりにくい混合物の特定検査も徹底的に行っています。自 分の手に負えないものは県の機関に持っていって、技術指導を受けながら、一緒に分析 を行っています。  それから、クレーム分析については、発生したクレームの分析を部署別、原因別、商 品別に詳細に行っています。データをグラフ化したものを、毎日安全委員会で発表し て、みんなで討議し、対策を立て、改善いたしております。  お客様に万が一、中毒事件が発生したとします。そういうことは今までございません けれども、中には「おまえのところのショートケーキを食べて下痢をした」とか言って くるお客様がございます。ところが、わたしどもはロット別にきちんと管理しますの で、一人が下痢をするということはあり得ない、ということが出てくるのです。食べ合 わせが悪いか、お腹の具合が悪いか、あるいは保管が悪かったんじゃないかということ が考えられます。  そしてロット番号がございますので、各店に何月何日に出したロットの商品は、何時 に作って、そして何時の便で出荷、到着したかという記録が残っています。  東京や大阪など遠くへ出荷する冷蔵商品の場合は、発送から到着までプラス5℃で管 理しています。その間、途中で管理温度に間違いがあった時は、品物を運ぶ際の温度履 歴のことですね、例えば東京まで6時間かかったら、その間の温度履歴が全部分かるん です。途中で15℃に上がったとか、25℃に上がったというのを全部詳細にデータで 見ることができるんです。チップが送られてきて、うちで機械に入れたらパーッと出る んですよ。そしたら、俊司に何月何日何時何分という単位まで、配送中の温度を見るこ とができるので、商品の劣化を招いた原因を明確にすることができます。その結果、配 送中の不備、受け入れ態勢の不備などが分かり、問題となった業者に責任をとらせるこ とができます。  実は5年ぐらい前ですが、要冷蔵の配送システムが確立していない時、鉄人プリンを 発売してものすごく売れたことがあったんです。これは「要冷蔵」の商品なので5℃管 理が絶対条件だったのに、販売当初、輸送を委託していた業者に不備があって、配送途 中に保冷剤が溶けてしまい、25℃まで上がってしまっていたんです。それで三越百貨 店に到着した時にはプリンが分離していたんです。その時には700万円ぐらいの損害 を被りました。そんなことがあってから、今の温度管理システムが出来上がりました。  こうしてあらゆるリスクに対応できるよう、細心の注意を払い、万全にシステム作り を構築し、お客様に安全、安心で、信頼ある商品づくりを目指していきたいと考えてお ります。以上です。 <参加者>  済みません、内容が個人の会社の経営の話は。 ○齋藤会長  いや、それは、そういったリスクということに対してのね。 <参加者>  いや、そうじゃないと思います。 ○齋藤会長  そういうことがきちっと行われれば、やはり今日行われているこの勉強会に随分役に 立つんじゃないかなと思って、お話ししているわけでございます。以上です。 ○コーディネーター  済みません。ありがとうございました。食品自体も国際的な流れとして、一部の安全 かどうかということよりは、結局生産されたところから最後、消費されて口に入るま で、このすべてにおいて、やはり安全管理が重要だと言われております。なかなか現場 における安全管理のお話、私どもも聞く機会は少ないところもございますので、いろい ろご紹介いただきましてありがとうございました。  一応、時間的なこともございますので、会場の方からのご質問につきまして、後ろの 方に送らせていただきたいと思います。  次の2番目のテーマで、「食品に関するリスクアナリシスについて」というものがご ざいますが、ご質問が来ております。「食品に関するリスクコミュニケーション、リス クアナリシスという言葉の大まかな意味を教えていただければ」というようなご意見で す。「当日もなるべくわかりやすい言葉で表現していただけるとありがたいです。よろ しくお願いいたしします。」ということですが、回答といたしましては、「リスク分析 手法」については「リスク評価」、「リスク管理」、「リスクコミュニケーション」か ら構成されるもので、ちょっと前後しましたが、食品を摂取することによる健康への悪 影響の発生を防止または抑制するための科学的手法ということでございます。ちょっと 割愛させていただきますが、パネラーの方、参事官から補足をいただければと思います が。 ○外口参事官  「リスクコミュニケーション」、「リスクアナリシス」という言葉がわかりにくいと いうこと、これは実は多数いただいております。  まず、何で「リスク」なの、どうして「危険」じゃいけないのというご質問をよくい ただきますけれども、あえて危険と訳さなかったのは、リスクと危険ってちょっと意味 合いが違うんですね。リスクに似た言葉で「ハザード」というのがあるんですけれど も、ハザードというのは危害なんです。危険の害の危害。危険そのもの、危害そのもの ですよね。危険といったときには、ハザード、危害の概念とリスクの概念がまじっちゃ うんですね。リスクは何かというと、危害が起きる可能性とか危害が起きる確率とか、 そういった程度をあらわす概念なんです。だから、危険と言わないで、あえてリスクと いう原語のままにしているんです。  でも、もっと何かわかりやすい言葉ないのかと。実はあるんですよ。やばいって言う でしょう。これはやばいぞ。あれがリスクに近いんです。名詞形にすればやばさですよ ね。コミュニケーションの意見交換会。じゃ、「食品に関するやばさの意見交換会」と 看板書くかというと、ちょっと品が悪いんですよ。それで「食品に関するリスクコミュ ニケーション」というふうになっているんですけれども、意味合いはそういうことなん です。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  リスクコミュニケーション等の取り組みで、また齋藤様から、業界におけるコミュニ ケーションなどについて、ご発言いただけるとよろしいかと思いますが。 ○齋藤会長  どこかの質問にもございましたが、食品加工業者において、色素や安定剤など、現在 と20年前ではずいぶん違ってきています。例えば醤油やお酒ですね。醤油の安定剤、 お酒の安定剤など、20年前は結構いろいろなものが使われておりましたが、現在はあ まり使われなくなりました。また、皆さんが使っている商品の食品表示を見た時に、無 添加とか、そういったものが書かれているものをたくさん見るのではないでしょうか。 では、なぜ、無添加なのに日がもつかといったら、殺菌法が変わり、その他の技術もめ ざましく向上いたしまして、20年前とはもう製造技術が100%変わったといっても 構わないと思います、それぐらい、あらゆる技術が進歩したのです。  そういうことで、醤油では、昔のような添加物を入れた醤油なんていうのは、なかな か見つけにくいと思います。  ですから、先ほど私がちょっと自社のあり方を申したんですけれども、食品業界では 勉強会とか、研究会とか、技術研究会とかいろいろ行われていますし、科学的に、ある いは機械的にものすごく進歩しています。特に大型加工業で設備をもっているところ は、高度な技術を導入し、安全・衛生対策には十分注意をしていると思いますので、消 費者の方々には安心していただきたいと思います。それでも多くのものの中からやはり 漏れるものもあるかと思いますので、皆様どうぞ、そういったことに気付いた時は、本 当にお店に行って注意されてもいいし、あるいは保健所とかにお届けになっていただき たいと思います。そして全体のレベルアップを図り、大分県の、いや大分県のというよ りも、我々が食べるもの全てに対して、あらかじめ起こりうるリスクを予測し、万全の 対策を立て、安全で安心である商品がお届けできるよう、我々産業グループ、特に加工 業のグループではそういったことを注意し続けていかなければならないと考えておりま す。答えになったでしょうか。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  ご発言あれば、足立様お願いいたします。 ○足立専務  食品の安全に対して、安全なのか危険なのかという単純なところではリスクのところ はないと思うのですね。やはり食品の場合は、先ほども言ったように、危険ということ じゃなくて、日本語で直すと危ないことなり、それからもう一つは悪いことが起こるお それがあるとかですね。そういうので総合的にリスクということになると思うのです ね。そうすると、やはり危ないというのは、一つは科学的に検証すれば安全のところは わかると思うのですね。  もう一つ、起こるおそれがというところを本当に消費者に安心をして提供できるのか というのと、それとリスクコミュニケーションは、やはり食のところというのは主婦が ほとんど預かっているわけなんですね。そうすると、主婦の立場で食卓でそのおそれが どうなのかというのは、これはコミュニケーションのところでは出していかなければで きないし、安全委員会のところもそこまでのところを気を遣ったところでね、やっても らわなければできないなと思うのですよね。だから、とにかくそれが生まれてきて、双 方が本当に理解し合ったときに、やはり初めて安心というのができると思うのですね。  だから、物に例えると安全というのは何なのかというと、これはやはり科学的の見地 なりデータなりで安全というのは言われると思うのですね。それで安心というのをどう つくるのかというのが、これは双方の信頼をどう生むのかということが、これからの食 の安全の基本法のところでどう生かされるのかというのが大切だろうと思うのですね。  そこで、今日出席者は主婦の方随分多いんですが、本当にそういうふうな食生活の中 で安心を生むためにどうなんだというのを、やはりいつも疑問を持ちながら家族の暮ら しを守るということをつくっていくというのが大切だろうと思うのですね。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  ほかにパネラーの方で何かご意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、ちょっと次の方に移らさせていただきたいと思います。同じくアナリシス の関係で、アレルギー表示に関してのご意見でございますが、アレルギー表示について ゼロリスクでなければ調味目的で微量でも入れると製品にアレルギー物質を入っている ということを記入することになっているが、かえって表示が複雑になって評判がよくな いということでございます。ゼロリスクから脱却するために、何 ppm以下であれば表示 の必要がないというような指導があれば、製造側も自信を持って提供できるような製品 なんですが、国として、そういったゼロリスクに対する教育などを求めるというご意見 でございます。  一応アレルギー物質につきましては、非常に人によって大分差がありまして、微量の ものでも発症することがあるために、その含有量にかかわらず特定の原材料等を含む場 合に表示をお願いしているということがございます。ただしでございますが、最終加工 品における特定原材料等の総たんぱく量、ちょっとだんだん難しくなってくるんですけ れども、たんぱくがやっぱりアレルギーの原因だというようなことがあるので、そのた んぱくの総量が数μg/mlという濃度のレベル、または数μg/gの含有状況であれ ばアレルギー症状を誘発する可能性が低いということで、表示を省略することができる というふうにしております。これについては、厚生労働省のホームページに「アレルギ ー物質を含む食品に関する表示Q&A」ですとか「加工食品に含まれるアレルギー物質 の表示」、これパンフレットとしてもつくっているんですが、これらについてホームペ ージにも記載されておりますし、パンフレットそのものは都道府県、保健所、国民生活 センターなどに送付しているということがございます。  また、ゼロリスクについてのお話でございますけれども、いろいろ最近このような意 見交換会を各地でしてきておりますし、安全委員会でもいろいろご説明いただいている こともあって、食品のリスクがゼロでないということはだんだん少しずつ理解が広まっ てきているところでございます。  ただ、この事例で本当にゼロリスクならばという話になると、そもそもゼロリスクと いうことであればアレルギー物質が含まれること自体がいけないという考え方になるの ではないかということなので、これはアレルギー物質は入っているんだけれども、その 健康被害を防止するために、そういうことを表示することによって、アレルギーを起こ しやすい体質の方がそういった健康被害を起こすことを防ぐというような表示という管 理措置というのがとられているということでございます。  おしまいに、このような意見交換会を各地で開催することで、こういったリスクに対 する考え方を国としても普及させていきたいと考えているところでございます。  パネラーの方で何かご意見等ございますでしょうか。じゃ齋藤様、どうぞ。 ○齋藤会長  何回も済みません。例えばゼラチンですね。豚由来とか牛由来、いろんな食品の中に そういう由来と書いたのを見たことあるが女性の方はございますか。ございますね。も う少し多く元気よく手を挙げてもらうと、何人ぐらいいらっしゃるのか、わかるのです が。この豚由来、牛由来というのはどんな品物かといいますとね、ゼラチンなんか最も 代表的なものだと思われます。そうすると、ゼラチンをちょっと使っても、豚由来とか 牛由来とか書かなくちゃいけないのです。そのような表示を実際に見て、どのように思 われるのかなというような気が私なんかはするのですが、生菓子の場合は外装とか容器 に入れませんから、これは書かなくてもいいのですけれども、包装したもの、密封した ものに、もし使った場合には記載しなければいけない法律がございます。ですから、多 少、ほんのわずかでも、ゼラチンなんか全体量の千分の二ぐらい入れれば固まるわけで すから、硬質のものを使えばですね。それを入れてもやはり書かなきゃいけない。お客 様が実際それを見てわかるのだろうかという疑問をもちながら、記載しております。お 客様もそこのところをどのようにご理解していただいているかななんて思いまして、ち ょっと今マイクをとらせていただいたわけです。  どうぞ皆さんからもご意見をいただければ、大変ありがたいと思います。 ○コーディネーター  ありがとうございました。外口参事官、どうぞ。 ○外口参事官  アレルギー表示の話で、まずご参考に「食品表示ハンドブック」、前の 100人はお持 ちですよね。食品表示の隠れたバイブルと言われる群馬県の表示ハンドブックの60ペー ジにアレルギーの表示の説明が書いてあります。60ページの下のところですね。そこで は、百万分の一の濃度以上あったら、それはやっぱり書くべきだろうというような書き 方です。千分の一だと、やっぱりちょっと私は症状が出る方がおられると思うので、書 いていただいた方がいいと思うのですけれども、一応専門家の判断では、グラム当たり のマイクログラム、百万分の一になりますけれども、その辺からまず症状はほとんど起 きないだろうということになっていますので、そこから省略できることになっていま す。  とはいっても全員が全員、本当に大丈夫なのか、書けるものなら書きゃいいじゃない かというようなご意見もあると思うのです。だけど、なぜ省略するかというのは、実は こういう事情があるのです。食品加工のときに酵素というのを使うことがあるのです よ。例えばジュースをつくるときも、ペクチナーゼという酵素を途中で使うときがある のです。それから、おしょうゆでもグルタミナーゼという酵素を使うときがある。パン ではヘミセルラーゼという酵素を使うときがある。この酵素を微生物がつくるんですけ れども、もちろん精製してつくるんですけれども、酵素をつくる微生物をつくる培地で すね。培養する場所に小麦とか大豆とか牛乳とかを含むんですよ。その場合に、幾ら精 製しても検出限界ぎりぎりのところでもゼロにはならぬわけです。そういったものも全 部記載するようにする。例えば 0.1 ppmとか0.01 ppmでも書くようにすると、例えば ジュースの表示に「小麦、大豆を含む」になっちゃうんですね。それから、しょうゆ、 みその表示に「乳を含む」になっちゃう。そうすると、何を食べていいかわからなくな っちゃう。実際それじゃ多分症状は起きないだろうということで、もう症状が起きない 量だったら、そこは省略してもいいじゃないか。だけど、それ以上のものは普通の添加 物よりもぐっと厳しい基準で、加工助剤であろうがキャリーオーバーであろうが、ある 一定量以上入ったら、これは必ず書いていただく、そういう仕組みになっています。  今、私が言ったような酵素を含めた考え方は、「アレルギー物質を含む加工食品の表 示ハンドブック」、持ってないと思います。これは厚生労働省のホームページの食品安 全のページの一番下のところの事業者向けのページのところ(注:現在はQ&Aのとこ ろ)に載っていますので、そこからダウンロードしていただけると、特に食品表示のウ ォッチャーの方はぜひ一度見ていただくと、いろいろなご質問に答えやすくなると思い ます。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  ほかにパネラーの方で何かご発言等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、先に次のテーマに進めさせていただきたいと思います。3つ目、「その他 」ということなんですが、食品添加物の関係で2点ほどご意見をいただいております。 これはあわせてちょっと説明をさせていただきたいと思います。  1つ目のご意見は、「インスタントラーメンを毎日食べていた中学生の男の子が胃が んで死んだ。」、それから「毎日かまぼこを食べていた猫が死んだ。」、それから「コ カコーラに歯を一晩つけていたら、溶けていた。」というようなことでございます。  関連する意見なので、あわせて紹介させていただきたいと思いますが、保存料とか発 色剤、着色料、合成保存料など、とり過ぎると発がん性などの不安がある添加物につい てというようなことでございます。  まず上の方のものからでございますが、ご質問いただいた意見というのはいろんな問 題が含まれておりまして、深い広がりがあるということで、意見交換のテーマとしては 非常に発展性があると我々は考えているものでございます。まず、これら3つの意見に ついてなんですけれども、このような話を人から聞いたことがあるということなのか、 それともご自身で経験されているのかということは、これも一つの重要なポイントでし て、人から聞いたことがあるだけだと、どこでそういう話が起きてきたのかということ が非常によくわからない面が出てくるということがあります。  それから、1つ目のインスタントラーメンの事例についてですけれども、そもそも特 定の食品に偏った食生活を続けること自体が、食事のバランスという点でまず健康上好 ましい状況ではないということがあるわけですし、また、毎日インスタントラーメンを 食べたことががんの原因になっているのか、それとも、もともとがんの原因を持ってい る人だったんだけれども、たまたまインスタントラーメンが好きで毎日食べていたの か、そういうことも当然あるのかもしれません。  2つ目のかまぼこの事例では、猫が特定の食品を摂取し続けたことによって何らかの 中毒が発生した可能性、これ、いろいろ動物によってこういう特定のものを食べ続ける と、何か中毒になったりとかということがあるらしいのですけれども、そういったもの によるものなのか、それともたまたま食べたかまぼこが微生物汚染などによって食中毒 みたいなことになって死んだというような可能性も考える必要があるのではないでしょ うかということです。  3つ目の歯の溶けた事例なんですが、そもそも表面が数ミリ、数マイクロメートルぐ らい、ちょこっと溶けたのか、それとも歯にボコッと大きな穴があいたのか、そういっ たものでも大分話が違ってくるのですが、そもそも炭酸飲料には炭酸が入っているの で、一晩ずっとつけて置いたときの炭酸による影響はどうなのかとか、通常我々がそう いった飲料を飲むときというのは、一瞬口に含んで後はゴクンと飲んで、どんどんのど から胃の方に行ってしまうと思うのですが、そういったことも考える必要があるんでは ないでしょうか。  本当に添加物が原因なのかどうか、一つ一つ可能性というものを解きほぐして、事実 関係を考えていく必要があると考えております。  2番目でございますが、これは保存料とか発色剤・着色料等の食品添加物について、 食品衛生法に基づいて食品安全委員会にまずご意見を聞いて、人の健康を損なうおそれ がない場合というものをご意見を伺って、ADI等決めていただくと、厚生労働省で は、そのADIに従って、ADIを超えないような基準をつくって指定していくという ような形になっているところでございます。  添加物については、発がん性も含めて人の健康を損なうおそれがないことが確認され て、かつ使用者とか消費者に何らかの利点を与えるものでなければならないということ で進めてきているところでございます。  ここにちょっと1、2、安全性とか有効性とか書きましたけれども、こういった条件 を満たすものについて国際的な動きも参考にしつつ、我が国の摂取状況など勘案して、 公衆衛生の観点から、科学的見地に基づいて評価が行われているという状況でございま す。  添加物の試験にはいろんなものがございまして、一番最後に挙げておりますが、慢性 毒性試験、これは1年とか2年とか、ラットとか、いわゆるネズミにそれを食べさせ続 けて、がんができるかどうかというようなものや、慢性的な毒性があるかどうか、それ から発がん性試験、同じようにがんができるかどうか。それから、微生物を使って変異 原性みたいなものがあるかどうかですとか、何世代にもわたって見たときに、いわゆる 繁殖毒性みたいなものがあるか。催奇形性試験とか、そういったものをいろいろやった 試験成績に基づいて安全性評価を行って、必要に応じて使える食品とか使用料の限度に ついて基準を定めて、添加物の安全性を確保しているということでございます。  ちょっとパネラーの方からご意見をいただきたいと思うのですが、生活協同組合の足 立様から、添加物の関係でご発言いただければと思います。 ○足立専務  最初のインスタントラーメンとかまぼこのところは、やはり親が子供にどう食のとこ ろを教育するかというのが問われているんじゃないかと感じますね。先ほど言ったよう に、これが本人か情報で入ったのかというのはあるんですけど、こういうことが耳に入 っているということは何かで知らされたんだろうとは思うんですね。そうすると、これ はぜひ今日出席している人は自分のものと受け取ってね、子供さん、例えば学校で、寮 じゃなくても一人で生活しているとか、だんなさんが単身しているとか、いろんなこと があれば、やはり栄養バランスのところを含めてね、ぴしゃっとこれはお母さんはチェ ックなり報告を受けるべきだと思います。  それと、保存料、発色、それから着色とか合成保存料のところですが、なぜこれが日 本では使われたのかというところなんですね。世界には3つの食があるということを言 われているのですが、洋食と中華と、それから和食というのがあるんですけど、洋食の 場合は舌で味わって食べるということを言われていますが、中華の場合は腹で食べる。 それから、和の日本食の場合はやはり目で食べるというのが、この間あったわけです ね。皿数が多いとごちそうだったというのがね。そういうふうな時代があって、ハムに しても、もう今大分少なくはなっているんですが、発色剤を使ったものがあるというの はね、やはり目で食事を楽しむというのがこの間あったわけで、今時代が随分変わって きて、いろんな情報が、正確な情報が入っているし、それと製造者のところもそうです が、技術、それから商品の管理、それから今流通のところも随分改善をされてきている んですね。そういうところではここのところも、一部では保存料を使っているのもある し、発色剤、着色のところもあるんですけど、随分少なくはなってきているのも事実な んですね。だから、ここのところはぜひ自分の食生活がどうなのかという、2つの問題 はいい提起をされていると思うし、消費者として本当に真摯に受けとめて、自分の暮ら しを振り返るチャンスだと私は思います。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、こういったもののリスク評価をいただいている寺尾先生からも、ちょっと コメントいただければと思いますが。 ○寺尾委員  2番目のことなんですけれども、先ほど私がさせていただきましたお話のスライドの 17枚目と18枚目に使いました農薬の例を使いまして、一日の許容摂取量というのの決め 方、それから残留基準の決め方、使用基準を含めまして、ちょっとお話しさせていただ きましたけれども、ここに掲げてございます保存料・発色剤・着色料、合成保存料、こ ういうものにつきまして、全く農薬と同じような決め方をしているわけであります。で すから、動物実験から人間、そのデータを人間に持ってきて安全量を掛けて決めるとい うことでありまして、少なくとも基準を守って使われている限りにおいては、一生そう いうものを、その量食べても構わないということが言えると思います。  ただ、発がん性のあるような物質の場合については、これは一定量以下という決め方 はしませんで、発がん性があるといいましても、遺伝子を傷つける、物質でいえばDN Aを傷つけるという話になりますけれども、そういう物質につきましては例え認めたと いたしましても、そういうものは残留していてはいけない。つまり、中に入っていては いけない、途中で消えてなくならなければいけないという決め方をしますので、発がん 性があって一定量以下のものが入っているというような、そういうことにはなっていま せん。ですから、今認められているものの多分大部分のものにつきましては、発がん性 がないということが動物実験で確かめられておりまして、多分こういうものが原因で人 ががんになるという可能性はほとんどない。これは少なくともがんの疫学者があまね く、あまねくかどうかわかりませんけど、少なくともそういう疫学者にアンケート調査 をしますと、大部分の人はこれは人間のがんの発症には関係がないということになって おります。ですから、ここにご心配の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、それ はそれほど心配することはないといことだろうと思います。  それから、上のコカコーラが歯を溶かすという話は、もしかしたら私ぐらい歳が多い 人がいれば覚えているかもしれませんけど、多分30〜40年前に日本にコカコーラが入っ てきて非常に広がったときに、コカコーラを飲み過ぎると歯が溶けるぞという話があり まして、何で溶けるのか溶けないのか、私も知りません。ただ、そういう話が広まって いたということと、そのとき聞いた話では、原因は燐酸が入っているんだ、この燐酸が 歯を溶かす原因だという話だけは聞きました。ここは炭酸云々という話が出ていますけ れども。ですから、そういう可能性もあるのかどうか、ちょっとわかりませんけれど も、とにかく何十年か前にはコカコーラで歯が溶ける、その原因が燐酸だという話が広 まっていたということだけ、ちょっと。 ○コーディネーター  恐らくその燐酸の話は、燐酸カルシウムとかになって体外に排出されていってしまう ので、体のカルシウム量が下がって骨とか歯がもろくなるというお話だったかと思いま す。一応ここで回答で炭酸と書かせていただいたのは、歯を一晩つけておくというのは 多分物理的に別に外してつけないといけないのかなという話だったので、そういうよう なことから一応このような回答を、ホームページとかで調べたところ、炭酸で溶けると いうような話も書いてあったりしましたので、そのような回答にさせていただきまし た。  あと足立様、どうぞ。 ○足立専務  ちょっと言い忘れたんですが、ここのところで単品で見ちゃうと、実験含めてやって いるんですね。それが複合摂取のときにどうなのかというのはね、がんじゃなくても、 どこかに細胞のところを含めて影響があるのかというのは、これはやっぱり心配される ところだろうと思うんですね。ここにありますように、この4つを一度に複合で食べた ときにどうなのか。また今ひどいのは、これ以上まだ入っているやつもあるわけで、そ ういうときにどういうふうな食事のあり方がいいのかというのはね。  それと、学者の人にも、一つは単品じゃなくて複合摂取したときの調査といいます か、それはぜひやっていただきたいなと思っております。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  何かコメントを外口参事官どうぞ。 ○外口参事官  添加物について、いつも聞くお話が、発がん性大丈夫だ大丈夫だという話しか聞かな い、それが信用できないというお話をよく聞きます。それで、たしか専門家の先生呼ん で添加物の発がん性の話聞くと、これはこうこうこうやっているから大丈夫だの話しか しないんですよ。じゃ、どうして消費者の方が発がん性を気にされるかというと、やっ ぱり今までの歴史というのがあるんですね。例えば昭和40年代ごろに、実際に肝臓障害 の疑いとかで赤色何号とかいう着色料、随分禁止しているんですね。 ○齋藤会長  赤色2号。 ○外口参事官  2号は大丈夫なんです。後でお話しします。4号とか5号です。それで、あと発がん 性だったらズルチンだとかAF2だとか、そういうのも40年代にあって、確かに随分前 のはそういうのもあったんです。それはちゃんと調べて禁止はしています。それから、 最近ではかなり厳しく調べていますし、それから赤色2号、今お話ありましたけれど も、大丈夫かという話が最近ありまして、それで医薬品食品衛生研究所で厳密にもう一 度調べ直して、大丈夫だろうという結論を得ています。  ということで、古いのもちゃんと、問題がありそうだという話が出れば、チェックし てやっていますので、今出回っているのはまず大丈夫だろうと思います。  そこで問題は、たくさん種類とったらどうなるか。実際どのぐらいとっているかなん ですけれども、これも一日摂取量調査というのを実際やって、マーケットバスケット調 査というのですけれども、実際に本当に買ってきて一人がどのぐらい摂取しているか、 それが一日許容摂取量のどのぐらいに値するかというと、ほとんどの添加物は、一日摂 取許容量の1%以下。例えば多いのでソルビン酸。これ調べた年度によって違いますけ れども、平成11年度の調査だと一日摂取許容量の 1.2%。だから、ここまで食べて大丈 夫だという量の 1.2%なんですね。もちろん個人差あるし、毎日食べる人もいるし、子 供もいるし、老人もいるしだから、そのぐらい余裕があった方がいいと思うんですけれ ども、そのぐらい。  それから、あと相乗作用がないかとか、これとこれを食べたら、単に足し合わせただ け以上の毒があるんじゃないかという心配もあるんですが、それも組み合わせが無数に ありますので、全部やるというのは不可能ですけれども、やっぱり可能性を見つけて、 学者が調べている範囲では今のところ明らかな相乗作用というのは発見されていないと いう状況にありますので、今出回っているものはまず大丈夫だろうと思いますし、危な そうなのがあったら、すぐ我々の方で、それは科学的見地から調べて食品安全委員会の 方でしっかり議論いたします。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、もう一つ、テーマのお話をさせていただきたいと思いますが、これ最後に なりますけれども、油ガニをタラバガニとして売ったり、これ済みません、バットで打 つわけではなくて、お店で売っているという意味なんですが、誤字で申しわけありませ ん。輸入牛肉を国産牛としたり、シジミを中国産なのに島根産としたり、どの段階でう そが始まるのか、たどってみたいですというご意見でございます。回答といたしまして は、食品の虚偽表示については、行政において、違反がどの事業者の段階で発生したの かといったことの事実確認や原因等の調査を行った上で、JAS法に基づく指示を行う とともに、その事実を公表し、違反業者名・違反内容を明らかにしているというような 対策をとっているところでございます。  以上でございますけれども、何かご意見、もしパネラーの方であればということなん ですが、片桐補佐の方からまずお願いいたします。 ○片桐補佐  農林水産省消費・安全局から参りました、片桐と申します。  午前中、食品表示ウォッチャーの委嘱式があったということを、この場で会場に参り ます際にお聞きいたしまして、まさにここで回答させていただいていますように、JA S法に基づきます表示につきましては、地方農政局ですとか、その下に昨年の7月から 旧食糧事務所を組織を改正いたしまして、地方農政事務所という形にいたしました。そ の地方農政事務所の中に従来の米、麦に関する業務として、引き続きやるべきものにつ いては仕事として残っておりますけれども、食品の安全行政を実施する部局といたしま して新たに立ち上げたところでございます。  こういった農政局、農政事務所の表示担当部門が都道府県の表示ご担当の部門などと 連携しながら、基本的にその県内で起こった事案、もしくは広域的な事案、その広がり ごとに役割分担をしながら、JAS法に基づく指導、監視を行うという仕組みになって いるということでございますけれども、これにつきましては、午前中、恐らくより詳細 な説明があったかと思いますので、私の方からはこれ以上追加で申し上げることはない わけですけれども、その際、我々行政の力だけではどうしても限界があるということ で、実際に食品を購入し、調理をされている方々、食品に接している方々にご協力をい ただく形で、食品表示ウォッチャーという形でお願いをしているということなんだろう と思います。  私ども農林水産省は、食品安全行政の中のまさに農林水産業、原料供給ないしは生鮮 物については食品そのものですけれども、そういったものをきちんと安全に生産し、そ れを安心して食べていただくということを厚生労働省、食品安全委員会と一緒になって やっている部局でございます。  私、ゆうべ11時ごろ大分市内に入りまして、初めて大分に参ったものですから、お店 もう閉めかかっていたんですけれども、無理をお願いしまして地場の魚と鳥天というの をいただきました。当然一見の客でありますから、そこは何の知識もない人間ですけれ ども、安心してお店で物を注文し、おいしくいただかせていただきました。それは私が こういう行政の立場にいるということをあえて外せば、基本的に日本全国どこに行って も、仮に一見の人間であっても安心して外食に行って地場のものを食べていけるという 体制は恐らくできているんだろうと思います。そこは厚生労働省さんの食品安全行政と いうのが、基本的には保健所を中心にしてワークしているからなんだと思います。  そういう中で、安全性そのものについては、13年9月の国内のBSEの発生と発生直 後の私ども行政の不手際によって、安全行政そのものについて不信を抱かせてしまった ということが、そもそもの食品安全行政の信頼回復ということの発端なんだろうと思っ ております。そういった意味で、鳥インフルエンザ、この大分県下で発生した際も、県 のご担当の方の迅速な対応によりまして、極めて短期間のうちに終息できたということ が、まさに私どもとしても非常に感謝をしているところでありますけれども、こういっ た今回の食に関するリスクコミュニケーション、添加物ですとか残留農薬、主に厚生労 働省の食品衛生の分野についてのテーマではありますが、なかなか安全について見えな いところ、生産の現場、加工・流通の現場、こういったものはなかなか消費者の方には 見えない部分が多いということで、まさにそこが安全と安心の間に隔たりのある一つの 垣根といいますか、溝のある、これをいかに安全と安心というものをきちんとリンクさ せていくかというところが、リスクコミュニケーションの最終的な目指すところなんだ ろうと思います。そういった意味で、安全と安心の架け橋となるものの一つのツールと して、表示というものがあるんだろうと思っております。きちんとした規則に基づいて 安全性に基づいて製造されたものが、どこでつくられ、どういった原料でつくられたと いうことが、きちんと消費者の方に届く、その一つの仕組みとして表示という制度があ るわけでございますから、この表示がきちんとルールどおりなされているかどうかとい うことを監視する、チェックするということも、一つの安全行政というよりは安心の部 分の行政のお手伝いといいますか、そういった意味でウォッチャーの方にはいろいろご 面倒をおかけしているということなんだろうと思います。  最後に、先ほど生協の方から食べ方、食のバランスの話がありましたけれども、安全 なものを供給する、製造する、これは我々行政なり食品産業の使命でございますけれど も、最終的にそれをどう組み合わせて食事として摂取するか、食べるかというのは、各 消費者の方々、皆様方の選択、ご判断というのがかなり大きなものになりまして、幾ら 安全安心なものでも、間違った食べ方というと語弊がありますが、偏った食べ方、場合 によっては朝食を食べない、一気にまとめて食べるという食べ方によっては、幾ら安全 なものでも最終的には健康な食生活、我々の健康な体づくりにはならないわけでござい ます。  そういった意味で、今回、「食生活指針について」という資料を封筒の中に入れさせ ていただきましたのは、安全なものをきちんと食べ、ちゃんと望ましい食べ方で食べて いただきたいなということで、その際の目安として、10項目の指針を厚生労働省、文部 科学省と一緒に私どもつくりましたので、ご参考までにお手元に配らせていただいたも のでございます。食事というのは楽しいもの、そして、地域ごとにおいしいもの、すば らしいものがあります。そういったものをきちんと安心していただけるような食生活を つくっていく、そのために食品安全行政もその一部としてあるということをご理解いた だきたいということで、私の方からの追加説明ということにさせていただきます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、水産業のお立場から、村松様にもご意見をいただければと思っております が。 ○村松会長  ここの質問で出ている肉の偽装とかシジミ貝の偽装、こういう悪質であろうと思われ る事例とはまた別のところで水産業界では今苦労しています。トレーサビリティーとい って、魚に生産現場までちゃんと履歴が追えるという制度が今徐々に浸透しつつありま す。まだ完全ではありません。ただ、ブリ1匹、5キロ物を出荷して、1匹そのまま消 費者の人が買ってくれるわけではないので、その1枚つけたトレーサビリティーの表示 の紙が、まず例えば店頭で表示されます。私たちが今、生産者のシールとか、そんなの を魚につけます。けど、例えば1匹のブリを5つの切れにして売ったとします。5枚入 れます、シールを。1つのバックに1枚張ってくださいと。スーパーのバックヤードで 4つしか切らなかって1枚余ったので、違うものにも張ってしまおうとか、6つに切っ て足りぬので、それをもう張りませんとかという問題も今各地で起きたりして、これは 偽装じゃなくてミスなんですが、トレーサビリティーが果たして本当に生産現場でつけ たものがどの程度消費者の皆さんに届いているのか、また、消費者の人がどの程度の要 求を生産現場にしているのか、まだはっきりと私たち水産業界もつかめた状態ではあり ません。ただ、極力我々が思う食は安全であると。ただ、安心な部分を理解してもらっ てないとか、誤解された部分もある。そこらをどういうふうに距離を縮めて理解しても らうのかというところで、今、水産業界の方もいろんな努力をしております。  昨年、食品安全推進県民会議の方の現地研修先として、うちも来ていただきました。 沖の養殖場にも行っていただいたのですが、そういうところで直接どうなっているんで すかとか言ってもらうと、またこちらも勉強になりますので、これから先またいろんな 勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いします。  それと、先ほど外国でつくったもののことで一つ、はっきり申し上げて、参事官が残 留がなければいい。当然それが安全です。つくる過程で、今日本ではホルマリン絶対禁 止です。まだ外国では実際に使われている部分があります。輸入したときには残留はあ りません。使ったという証拠も出てきません、残留がありませんので。ただ、日本のい ろんなそういう食品に対する制度というのはかなり厳しい部分があって、当然その中で 日本の生産者は頑張っておりますので、そこら辺の理解をこれからゆっくりしていただ けたらいいなと思います。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、一通りテーマを終わりましたので、ちょっとお時間少なくなってしまいま したが、会場の方からも全体を通してということで、何でも結構ですので、ご発言され たい方いらっしゃいましたら手を挙げていただければと思いますが。特にはよろしいで しょうか。 <参加者2>  大分県中央保健所大分郡支所というところで食品衛生監視員をしています。 先ほどちょうど養殖業の村松さんの方からお話出ていたトレーサビリティーのことで、 ちょっとお伺いしたいのですが、BSEが発生して牛肉の関係はトレーサビリティー、 今年の12月から、店頭でも義務づけが始まると思うのですが、今パネラーの村松さんが 言われたように、水産物とか農産物ですね、野菜等、試験的にICタグをつけるとか、 そういう形で生産履歴が非常にわかる、流通履歴もわかるようなシステムを検討されて いるようなんですけれども、非常にコストの問題が出てくると思うのですけど、行政か ら行政に質問して申しわけないんですが、今後そのあたりをどういうふうに国としては やっていこうとされているか、その辺の方向性だけ、ちょっとわかれば教えていただき たいのですが。 ○コーディネーター  片桐補佐からお願いしたいと思います。 ○片桐補佐  ただいま地元の行政の方、それと養殖の代表の方から、トレーサビリティーという言 葉についていろいろご意見、ご質問がありましたので、簡単にお答えいたします。  まず、今日、食品安全委員会の寺尾先生からお配りいただいたレジュメの2ページに 「食品安全基本法の基本理念」というところがあるかと思います。  それの2、「食品供給行程の各段階において、安全性を確保」するということが挙げ られています。  食品安全基本法ができる前、食品衛生法で主に担保していた時代には、最終製品の段 階で、きちんと細菌検査なりがされていれば、安全性は確保されているだろうというよ うなことで仕組まれていたわけですが、今回、食品安全基本法ができまして、私ども農 林水産省が所管している農林水産業の現場、そこから出荷され、場合によりましては加 工業者の方の手で加工され、外食業者の方の手で調理をされ、小売店に並び、皆様方の 手に届き、最終的には皆様方の冷蔵庫経由で食卓に並ぶ。その圃場から食卓まで、ここ の各行程できちんと安全性が確保されていないと最終的な食の安全は確保できないとい うのが、この食品安全基本法の基本理念になっているわけでございます。  その際、この各段階から各段階に移るとき、例えば圃場から出荷され市場に入り、そ こから仲卸さんの手を経てスーパー、場合によっては加工業者の方に、それぞれのステ ージごとに人が違うわけです。その各段階ごとにきちんとそれぞれのパーツはパーツで しっかりやっていただきますが、そのバトンタッチのところがきちんとうまくいってい るんだろうかということもあるわけでございます。先ほど食品産業協議会の、食産協の 会長さんからもありましたけれども、幾らその前の管理がしっかりして、その後の管理 をしっかりしても、途中の輸送の温度管理がルーズでは、そこで問題が発生するかもし れないということもあります。  トレーサビリティーといいますのは、そういう意味で各行程ごとにやられていたこと で、さらにそこの橋渡しをする段階ごとにどういうふうな管理が行われていたかという ことを、後になってきちんとトレースバック、逆にたどっていける仕組みをつくるとい うことになるわけです。トレーサビリティーそのものは各行程ごとにきちんと安全管理 がなされ、その間の橋渡しもきちんとうまくいっていることが前提にならない限りは、 安全を担保するものではないわけです。トレーサビリティー・システムがあるからとい って、各段階で手を抜かれてしまったら、それは当然安全性は確保できません。  トレーサビリティー・システムは、基本的には安全の確保というよりは安心を担保す る一つのツールだと思います。そのトレーサビリティーが機能するためには、まず生産 段階できちんと生産の履歴を記帳するということから始まり、各段階で管理してきた内 容についてきちんと記録にとどめるという、このベーシックなところがなされなければ いけないと思います。  それを食卓から逆にたどるときに、例えば今お話がありましたICタグですとか情報 化といった先端技術を活用する方法も一つありますし、プリミティブな原始的な伝票で 受け渡しをしても全然構わないわけです。そういう意味で、トレーサビリティー・シス テムというのは、決して一つの型にはまったものではありません。ICチップを使って 指の爪先ほどのものを商品に張りつけて流通させるシステムも実験的に始まっています けれども、それがすべてトレーサビリティーというわけではありません。牛肉の場合に はBSEの発生を教訓に、牛を飼用する段階で一頭一頭、耳票という形で生産管理をし て、一頭管理を既にしておりますので、それをベースに流通まで、牛から出てきた牛肉 レベルで追いかけるシステムをつくることが物理的にも可能でありましたし、さらに安 心して食べていただくためにも、そういうシステムが求められていたわけですけれど も、すべての加工食品を同じような仕組みでトレーサビリティー・システムでやるとい うことを考えているわけではありません。やれるものについて、どういうやり方がいい のか、中身をそれぞれ議論しながら進めていくということになろうと思います。  その際、当然コストについては、価格という形で転嫁されるということになるわけで すから、その際、消費者の方とのコミュニケーションの中で、ここまでなら許容でき る、この内容でこの値段であれば、ここまでは負担できるといったことも当然議論して いく必要があると思います。  先日、東京でこのトレーサビリティーそのものについてのリスクコミュニケーション も行いました。例示として、仙台でやっておりますカキのトレーサビリティーと千葉県 でやっております鶏卵、卵のトレーサビリティーなどを取り上げたところです。卵につ きましては新聞などでごらんになっているかと思いますが、製造年月日や、先ほどあり ましたGPセンター、処理のセンターの記号を卵そのものに印字をするシステムです。 今のスーパーなどの卵を見ます、卵に採卵日張ってあるかと思いますが、それとほぼ同 等のコストで、シールではなくて卵の殻そのものに印刷できるシステムが、実験段階、 プロトタイプですけれども、開発されています。当然インクも食用性のインクというこ とで、人体に影響がないということです。しかし、そういうシステムをつくっても、京 都でありましたように、採卵日そのものを偽られては、それは何もならないわけでござ いますから、そういった意味でトレーサビリティー・システムというのはあくまでも後 になって確認をできるためのシステムであって、安全そのものを担保するシステムでは ないということを前提に、関係業界、消費者の方とも話をしながら、進めるべきものに ついては、それにふさわしいやり方で進めていくというのが私どもの考え方でございま す。 ○コーディネーター  ありがとうございました。ご質問いただいた方、それでよろしいでしょうか。 <参加者2>  ありがとうございました。 ○コーディネーター  では、次、そちらの方。 <参加者3>  生活学校から参りました。ささいな質問で恥ずかしいんですが、私どもいつも学習し ますときに、残留農薬の問題で水際でもっと検査してほしいということを言いますと、 必ず言われるのが、検査する人員がいないんだ、設備ができていないんだというふう な。だから、そういう検査員の増員ということはもっと考えられないものでございま しょうか。お願いしたいと思います。 ○コーディネーター  ありがとうございました。外口参事官からお願いします。 ○外口参事官  水際の検査の人員ですけれども、年々ふやしておりますけれども、もとが少ないの で、まだ足りないと思うのですね。それで、単に人員をふやすだけじゃなくて、では、 効率的に検査するにはどうするかと。例えば何項目か何十項目か一遍にスクリーンかけ られるような方法の開発とか、効率的なやり方とか、これを今研究しています。実際、 今度、残留農薬がポジティブリストになると、対象になる農薬の数が物すごくふえちゃ うんですね。だから、多少人員をふやしても追いつかないので、ここはもう機器の開発 とか検査法の開発とか、それから検査機関の数をふやすとか、それから自治体も含めて 連携してやっていくとか、いろんなことを考えていきたいと思っております。 <参加者3>  ありがとうございました。 ○コーディネーター  ありがとうございました。よろしいですか。はい。  ほかに何かご意見等。 <参加者4>  食品表示アドバイザーをしております。  アドバイザーをしている関係で原料、原産地、食品、品質保持期限とか、よく表示を 見るようになりました。私たち消費者はこのラベルを信じて買っているわけです。ウォ ッチャーをしているときに、たまたま保健所の方と販売側の内部も見せていただきまし た。衛生管理とか温度管理も見せていただきましたが、消費者がわかる範囲はここまで です。この表示に関して偽装がある場合とか、わからないんですね。例えば大豆とかト ウモロコシ、アメリカから、アメリカが大体8割が遺伝子組換え、トウモロコシは4割 が遺伝子組換え。日本は大体9割が輸入に頼っているわけです。そうしますと、私たち の口の中に遺伝子組換えが入っている可能性もあるわけですが、遺伝子組換えが危ない となると、業者は一斉に遺伝子組換えではありません、しょうゆ、豆腐、油揚、納豆、 油に至るまで、全部が書き込まれています。そうなると、遺伝子組換えされている輸入 された大豆やトウモロコシ、どこに行ったんでしょうね。その表示が信用できないとい うことなんです。私たちはこの検査をしっかりとやっていただきたいと思っておりま す。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。片桐補佐からお願いします。 ○片桐補佐  遺伝子組換えの表示ですけれども、例えば大豆製品ですが、確かに日本でつくられて いる大豆は、主に豆腐ですとか納豆ですとか食品向けにつくっているもので、量は足り ないですから、当然豆腐、納豆の材料もアメリカ、場合によりましては中国から入れて おります。一方、大豆は油の原料にもなるわけです。大豆油、菜種油、こういったもの をミックスして、今こういうボトルに入った食用油という形で出ているんですけれど も、油については、基本的に遺伝子組換えした大豆であっても、そうでない大豆であっ ても、そのものの遺伝子からできたたんぱくとか、そういうものが残るわけではないの で、表示の義務はないという形にしているわけです。その形質が残るようなものについ ては義務表示という形になっているわけです。遺伝子組換え大豆を使っていませんとい うふうに表示する場合は、IPハンドリングという形でアメリカの農場、そして、はし けでミシシッピーを渡って、ガルフから船に乗って日本の港に来るわけですけれども、 きちんとそこで分別管理をしているということが前提になっているわけです。  ただ、その際にどうしても、コンタミネーションと言っているようですけれども、ま ざってしまうことがある。物理的にそれはゼロにはできません。その場合、たしか3% か5%だったと思いますけれども、そこまでの混入はだめとは言えないということで、 基準がたしかあったはずです。したがいまして、アメリカの大豆を入れているから、そ れを豆腐、納豆に使っているから、それは全部遺伝子組換えのはずだということではな いのです。きちんと油用の大豆と、豆腐用の大豆というのは品質も違います。大豆の中 には油とたんぱく質が当然あるわけで、油を絞りたい会社は油の含有量が多い大豆が欲 しいわけです。豆腐とか納豆をつくりたい会社は、油ははっきりいって要らなくて、た んぱくが欲しいわけですから、そういった意味で豆腐とかに使う大豆と油として使う大 豆は、もとから品種、大豆そのものが違うということもありますけれども、いずれにし ても、遺伝子組換えを使っていませんよというからには、きちんと生産段階から流通段 階まで分別して流通させるのがルールになっていますので、そこで管理をしているとい うのが今実態でございます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。どうぞ、齋藤様。 ○齋藤会長  大豆のことですが、私たち食品加工業全体として会議がいろいろあります。そのとき に今ご心配になるようなことがやはり大きな問題として持ち上がってきます。それで、 この遺伝子組換えの問題が浮上したときに輸入実態がどうなるかというので検証したこ とがございます。先ほどおっしゃったように、油と豆腐のたんぱく質とか納豆のものは 全然異質の、種類も違えば産地も違う。特に日本の輸出について、アメリカも今8対2 じゃありません。もう4割以上、減農薬でしかもできるだけ農薬を使わない。それか ら、できるだけ有機肥料を使う。アメリカ自身も日本向けに輸出したいために、どんど ん変化しています。中国もね、ホウレンソウが昔は肥料漬け、薬品漬けだったんです。 先月私は中国に視察に行ってきて見てきましたけれども、有機肥料をつくる設備なんて のは日本の何倍もの設備をかけてね、つくっているんです。ですから、1年先あるいは 2、3年先のことがすでに現実に社会で起きているかということは、日本の輸入する規 制が厳しいからなんですが、日本に送るにはこれだけのものをやらなくちゃいけないと いう考えをもって真剣に取り組んでいることは事実です。  ですから、私はまた商社と一緒にアメリカに行って、それを実際見てきたんですけれ ども、私は豆腐業じゃありませんけど、食品関係の方といろいろな検証をしたり、ある いは消費者にこたえるために、食品業者が集まったとき、偽表示をしてはいけないよ、 あるいは今おっしゃったように、表示に貼ったものがうそであったら、これはニワトリ じゃないけれども、本当に自分の企業がつぶれるものと思いなさいと。うその表示をし た場合は、自分の企業が守れないんだという使命感をもってやらなくちゃいけないとい うことをいつも私は言っております。  ですから、中国に行って、この間本当にびっくりしました。夏になると、ホウレンソ ウがたくさんこっちへ送られてきます。それから北京のあたりをずっと視察しました ら、有機肥料のつくる工場の大きいこと、土地が広いですからね。日本なんか有機肥料 を積むのは山間部でつくっています。向こうは大きな部屋で何十ヘクタールというとこ ろで、ものすごく機械化して有機肥料をつくっているんですね。これを見て、ああ、本 当に中国も生まれ変わったんだなと思いました。ただ単に経済成長が伸びているだけ じゃなくて、こういった点もやはり配慮しているなということは目の当たりに見てきま したので、その辺はもちろん監視はもっともっと行わなければいけないと思っていま す。  参考のためですけれども、過日、私は大分空港である佃煮を見ました。これは販売者 は書いていましたけど、僕は販売会社の卸屋さんを知っていましたので、販売者の名前 はあるんだけれども、そこに製造者の記号がないんですね。皆さん、ウォッチャーの方 はよくわかるでしょうけれども、もし売るところとつくったところが違い、販売者表示 をする場合は、売るところの記号とつくったところの記号がちゃんと出ているわけなん です。ところが、記号が入ってなかったんです。  それで私は、実はお得意様ですけれども、名刺を出して、これはぜひ販売の会社に製 造者の記号を入れてもらうようにしてくださいということをお願いしました。これは、 我々食品加工業というものは、お菓子だろうが豆腐だろうが、しょうゆだろうが酒だろ うが、あるいは佃煮だろうが何だろうが、食品加工業全体を盛り上げていかなければ、 経済というのは発展しないし、大分県の経済も発展しないわけですから。製造者自身き ちんと正さなければ、それでもこの前みたいに日田で中国のシイタケが偽装されたりな んかして、問題も摘発されるわけです。当然そこの会社は信用なくなりますし、絶対つ ぶれるんじゃないかと想像しますけれども。今、我々製造業の業者は、そこまで真剣に 取り組んでいるということを製造業のグループ団体としてお話をして、終わりにしたい と思います。 ○コーディネーター  ありがとうございました。質問をお寄せいただいた方、一応こんな感じなんですが、 よろしいでしょうか。 <参加者4>  はい。任意表示であることはわかっております。でも、猫も杓子も遺伝子組換えでは ありませんって書いているのに、疑問を持っているだけなんです。輸入された大豆やト ウモロコシが業者用の油になったり、飼料になっているのも、それはわかります。た だ、私たちが買うお豆腐やおしょうゆ、そういうものに万が一混じっているかもしれな いというときに、もうすべて任意にもかかわらず遺伝子組換えではありませんと書いて いるところがかえっておかしいと思っているだけです。以上です。 ○コーディネーター  はい、ありがとうございました。  一応任意とはいっても、うそを書いたらやっぱり罰則はかかりますので、その辺は監 視していきたいと考えております。  それでは、ちょっと時間もあれですので、この辺で終了させていただきまして、司会 の方に進行を返したいと思います。よろしくお願いいたします。 ○司会  ありがとうございました。  閉会に当たりまして、外口参事官よりごあいさつをお願いいたします。 5.あいさつ ○外口参事官  閉会に当たりまして、一つだけお願いがあります。この「参加いただいた皆様へ」と いうアンケートの記載をぜひお願いします。お忙しい方は○つけるところも飛ばして結 構ですけど、自由記載のところに何か感想を書いてください。ここはよかった、ここは こうすべきだと。ここに書いていただいたことによって、次またこちらへお伺いすると きに、もっといい意見交換会ができるかもしれません。  このリスクコミュニケーション、当初は一方的説明だと言われていました。次に単な る質疑応答だと言われていました。それを何とか意見交換の形にするために、今いろい ろ模索しているところであります。皆様方からいただいたご意見をもとに、質問も最初 のころはその場でいただいていたのです。あるいは休憩時間に。それを最初にもらっ て、全部一旦答えを書いた上で質疑をしようということに変えていますけれども、こう いったいろんな工夫をさらに積み重ねていきたいと思いますので、自由記載のところ に、どんなご意見でも結構ですから、ご記入いただければ幸いです。私も以前大分県庁 に3年勤めておりまして、大分県に大変愛着があるものですから、皆様方のご意見を期 待しております。  ありがとうございました。(拍手) 6.閉会 ○司会  以上をもちまして、本日の食品に関するリスクコミュニケーションを終了させていた だきます。ただいま外口参事官も申し上げましたように、ぜひアンケートにお答えくだ さいませ。  本日はご参集いただき、まことにありがとうございました。(拍手)                                      以上