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参考資料3

暫定基準(第1次案)に対して寄せられた主なご意見について(未定稿)
(個別の基準値に係る意見を除く)


1.総括的な意見

1-1. 暫定基準設定の方針の前提として、「国民の健康保護」の趣旨を明記すべき。
(日本生活協同組合連合会)
【回答案】
   ご指摘のとおりですので、を踏まえ、改め修正します。

1-2.
 (1) 直接食べられるものは今回の規制の対象として当然だと思うが、それだけで直接食されることがなく、食品の素材として使用される原料に関しては安全性の面から言っても考慮すべき。
((社)日本植物油協会、浜島守男)
 (2) 直接口に入る「生食用トウモロコシ」に比べ、加工工程を経る「原料用トウモロコシ」は、最終製品における農薬残留の可能性は極めて小さい。したがって、一律に「国内基準」を設定することは非合理と考え、用途別の暫定基準値を強く要望する。
(飼料輸出入協議会)
(参考)油脂原料用である綿実、亜麻仁、菜種など。
【回答案】
   綿実、トウモロコシ等については、国内においても、コーデックス基準においても、基本的には、それぞれの農作物ごとに基準が策定され、用途別等には策定されていないことから、暫定基準においても同様の取扱いを行うことが適当であると考えます。
 なお、加工食品については「食品中に残留する農薬等の暫定基準(第1次案)に対する意見の募集について」(以下「説明文書」という。)のIIの4に記載したとおり、使用される原材料、その割合、加工方法等により、残留量が異なることから、国際基準が設定されている加工食品のみ暫定基準の設定対象とし、基本的には原材料段階で農薬等の残留を管理することとしましたしています

1-3. 農薬が使用される作物は多岐にわたっており、その中にはマイナー作物と称する作物も多い。農薬の開発においては、まず主要作物での登録を行い、その後徐々に他の作物やマイナー作物に登録を拡大していくのが通常である。米国及びEUにおいて行われている(作物群毎の)Group ToleranceやGroup MRLsの設定を制度を導入すべき。
(農薬工業会)
【回答案】
   暫定基準の検討に当たっては、我が国の農薬取締法における登録のほか、ご指摘の制度を採用しているといわれる米国やEUにおける対象作物とその基準値を参考としたところであり、対象農作物の範囲は欧米とも整合しているものと考えます。

1-4. 既にADIが一杯であり、他に振り向けられる状況になっていない、フェニトロチオンの場合は、どうするつもりなのか。
(遺伝毒性を考える集い)
【回答案】
   ご指摘の「ADIが一杯である」とは、理論最大一日摂取量(TMDI)の試算におけるフェニトロチオン等の場合を指しているものと考えられます。しかしながら、マーケットバスケット方式を用いて調査したフェニトロチオンの実際の摂取量は、平成3〜12年度でADI比0.3〜2.9%であるように、TMDI方式による試算を大幅に下回っています。このようなことからフェニトロチオン等について特段の取扱いをする必要があるとは考えておりません。
 なお、暫定基準設定においては、コーデックス基準や諸外国の基準を参考に設定することといたしますが、今後、実際の一日摂取量調査結果等を踏まえ、優先順位を付した上で暫定基準を見直し、いわゆる本基準(以下単に「本基準」という。)としたいと考えています。

1-5. 暫定基準の見直しについて
 (1) 暫定基準の見直しについて、5年ではなく必要に応じて随時行うべき。
((社)日本冷凍食品協会)
 (2) 薬剤開発のスピード化等を考慮し、見直しを2〜3年ごとにするなどその期間の短縮を図るべきである。
((社)全国ビスケット協会、全日本菓子協会、日本チョコレート・ココア協会、日清シスコ(株)、ニチレイ(株)、(株)ブルボン、マルハ(株)、森永製菓(株))
 (3) 見直された基準は、本基準の取扱いになるのか。
(永山敏広)
 (4) 日本における摂取量に基づく精密化された暴露評価に基づいて行うべき。
(Japan Food Information Center(JFIC)、(株)日清製粉グループ本社、日清製粉(株))
【回答案】
   国内的には、農薬取締法等と連動して基準値を見直すものであること、国外的には、基準値の設定又は改正を要請する制度を設けたこと等から、暫定基準の見直しを5年程度毎に行うとしても不都合は生じないものと考えています。
 なお、一日摂取量調査結果等を踏まえて、優先順位を付した上で、リスク評価及び我が国の食品摂取量に基づいて暫定基準を見直すこととしていますがおりこの見直しは、我が国の食品摂取量に基づき実施するとともに、見直し後の残留基準は暫定基準でなく、いわゆる本基準の取扱いとするなるものです。

1-6. 暫定基準の作成方法は、例えば抗菌剤の評価においては、MIC(最少発育阻止濃度)に基づいてADIを設定する際、JECFAと欧州委員会・食品科学委員会とでは用いる算出式が異なり、また、FDAはMICを用いていない。さらに、BST(Bovine Somatotropin)の事例では、JECFAの結論と欧州委員会・食品科学委員会の結論は異なっている。従って、今後の暫定基準の見直しに際しては、JMPR及びJECFAが用いるデータに基づいて諸外国が必ずしも基準を設定しているわけではないという点について充分に調査を実施することを要望する。
(日本生活協同組合連合会)
【回答案】
   暫定基準のリスク評価に基づく見直しに当たっては、ご指摘の点を含め踏まえ、幅広く検討してきたいと考えています。

1-7.
 (1) 650種類といわず、世界に現存するすべての農薬を対象にすべき。また、食生活でのトータルから推しての基準値を算定すべき。
(松田敏子)
 (2) すべての農薬について測定することは困難であるという問題点を補うため、抽出物について細菌等生物を用いた評価基準方法について検討すべき。
(北九州市環境科学研究所)
 (3) 総農薬摂取量を減らすため、総農薬基準を決めるべき。
(反農薬東京グループ)
【回答案】
   今回のいわゆるポジティブリスト制(以下単に「ポジティブリスト制」という。)では、すべての農薬が規制の対象となります。具体的には、一部例外を除き、暫定基準を含め残留基準が設定されているものは、その基準が、残留基準が設定されていないものは一律基準が対象となります。が、また、暫定基準の設定に当たっては、科学的なデータに基づき評価を行い、基準を設定しているとして申出があった国又は地域の定める残留基準について調査検討のうえ、参考にすることとしたところです。
 また、暫定基準をリスク評価に基づき見直す際には、我が国の食品摂取量国民の食生活を基に、基準値の設定再検討を行うこととなります。
 さらに、生物を用いた試験法については、現段階で実用化できるようなものがあるとは考えておりません。
 なお、個々の物質の毒性・物性等が異なることから、国内的にも、国際的にも、原則として、個々の農薬ごとに基準を設ける方策がとられているところです。

1-8. 食品添加物のポジティブリスト制度と同様、基準が設定されていない農薬等が使用された食品の流通を原則禁止すべき。
(反農薬東京グループ)
【回答案】
   食品衛生法においては、農薬等の残留を規制、すなわちポジティブリスト制の導入にすることによって、使用された農薬等が残留する食品の流通が原則禁止されることから、国民の健康を確保することができるものと考えています。
 なお、農薬等の使用に関しては、食品衛生法の所掌目的の範疇を超えるものであって、その規制等を食品衛生法に基づき行うことは困難法制上不可能です。

1-9. 基準値の対象となる残留物の定義を明示すべき。同じ使用方法であっても、残留物の定義が親化合物の場合と代謝物の場合では、MRLが異なる。また、同一物質で、農薬と動物用医薬品とで用いられた場合の残留物の定義が異なる場合がある。
(オーストラリア政府、日本生活協同組合連合会
【回答案】
   暫定基準における規制対象の農薬等の範囲については、品目名における記載、脚注における記載等によって、極力その明確化を図ったところです。
 なお、今後、試験法(案)の公表等により、規制の内容がより明確になるものと考えています。

1-10. 食糧の60%以上を海外に依存しているので、海外に広く作物及び畜水産品毎の暫定基準値案を示して合意を得るべき。農薬の有効性に地理的、気象的な違いがある場合、個別的な対応をして欲しい。
(アヲハタ(株))
【回答案】
   暫定基準の第1次案については、各国大使館からなる食品輸入円滑化推進会議(FSG)に示し、意見提出の機会を設けたところであります。今後ともWTO通報等を通じ、国内外に広く基準値案に対する意見を求めることとしています。また、後段については4-1の回答を参考にしてください。

1-11.
 (1) 作物の生産計画の関係から、少なくとも1年間の猶予期間を設定すべき。
((財)食品産業センター、味の素(株))
 (2) 分析方法の公開・提示を制度の施行前に十分な猶予期間を設けるべき。
((財)食品産業センター)
【回答案】
   暫定基準の施行については、最終案のパブリックコメント、WTO通報等の手続きのあと、食品衛生分科会における答申を経て、告示し、告示日から少なくとも6月をおいて施行することとしています。分析法についてもまとまったものから公表するとともに、遅くとも告示日には全体を示したいと考えています。

1-12. 加工食品の中には、賞味期限が2年以上のものがあるため、ポジティブリスト制の実施に当たっては、その実施以降に製造されたものについて適用することにしていただきたい。また、軽微な基準からの逸脱であって、明らかに健康への影響がないと思われる事態の適用については、特段の配慮をお願いしたい。
((財)食品産業センター、武村百合子、水野浩夫、宮下隆)
【回答案】
   暫定基準の対象となるのは施行日以降に製造された食品とする方向で検討しています。また、残留基準は科学的根拠に基づいて、ヒトの健康に影響がない量として設定しているものであることから、基準からの逸脱が軽微であっても、食品衛生法違反となります。なお、その取扱いについては、後段については、平成16年2月4日付け食安企発第0204001号食品安全部企画情報課長通知「食品衛生法第7条第2項の解釈に係る疑義について(回答)」をご参照下さい。

1-13.  陸棲哺乳類でトナカイ、家禽類で雉やいわしゃこなどが独立されているが、これらは摂取量が多いためなのか、「上記以外の・・・」にまとめるべきではないか。
(永山敏広)
【回答案】
   ご指摘の方向で検討しますご指摘を踏まえ、国民栄養調査における1日あたりの摂取量が1g以下の羊、馬、鹿、山羊、兎及びトナカイについては、上記以外の陸棲哺乳類に、あひる、七面鳥、うずら、がちょう、雉及びいわしゃこについては、上記以外の家禽にそれぞれ整理しますまた、あわせて魚介類の分類についても整理することとします。



2.一般規則案(ポジティブリスト制導入に係る暫定基準(第一次案)の規則(案))

2-1.
 (1) ポジティブリスト制とは、本来、残留基準が設定されていない物質は検出されてはならないとする制度である。したがって、毒性データがない場合には、原則不検出とすべきであって、検出を許される一定の量は、検出限界量とすべきである。
(神山美智子)
 (2) ここでいう「基準が設定されていない農薬等が一定量以上含まれる食品の流通を原則として禁止する制度」の”原則として”の意味、運用面でなにかあるのか。NDという解釈であれば、過去に使用されていた農薬についても半減期等を考慮して全て基準が設定されていなければ、流通が禁止されるおそれがある。国内で栽培されたものでも、半減期の長い農薬が検出される場合がある。
(国産生薬(株))
【回答案】
   農薬等については、食品添加物とは異なり、環境経由等による非意図的な残留が想定されることなどを踏まえ、諸外国の事例も参考に、「人の健康を損なうおそれのない量」として基準値が設定されていない場合に適用する一定の値(一律基準)を定めることとしたところです。
 残留農薬の規制としてポジティブリスト制を導入している国、例えばニュージーランドでは0.1ppm、ドイツでは0.01ppm、米国では明文化されていないが、運用上、農薬によって0.01ppm〜0.1ppmの範囲を目安に規制が行われていると承知しています。
 また、EUは0.01ppmで規制するという案を示しています。
 なお、ポジティブリストの施行に当たって、一律基準ではなく検出限界をもって規制するという方策は、科学技術の進歩により検出限界は変わり得るものであること、人の健康危害のおそれと係わりなく検出限界を採用することは、あまりに過剰な規制になりかねないことなどから、平成15年5月の法改正において採用されていません。

2-2.
 (1) 農薬と抗生物質という異なる性質の物質について、抗生物質等を「含有しないこと」とする従来の原則を維持したまま、今回の「いわゆるポジティブリスト制」としてひとまとめに適用することには無理があると考えられる。特に、動物用医薬品としての抗生物質は、従来より「含有しないこと」となっているが、一方で抗生物質(ストレプトマイシン等)の中には農薬取締法では農薬(殺菌剤)として取り扱われるものもあり、これらが農作物中から検出された場合、個別基準または一律基準値が適用されるはずである。また、「含有しない」では、検査方法及び検出下限値が不明確である。
((株)ニチレイ)
 (2) 現在の抗生物質は、「食品は、抗生物質を含有してはならない」とされているが、農薬等と同様に、原則として基準値を設けていただきたい。
((財)食品産業センター)
【回答案】
   従前から抗生物質は動物用医薬品のみでなく、農薬として使用される場合においても、個別に基準値が設定されたものを除き、「含有してはならない」こととされています。ポジティブリスト制の施行に当たっても、これらの規定は従前のとおりとすることとしています。従って、抗生物質については一律基準は適用されず、基準がある場合には当該基準、基準がない場合には「含有してはならない」という規定が適用されます。
 なお、抗生物質についても、他の農薬等と同様に、我が国の基準、コーデックス基準、米国基準等があるものについては暫定基準を設定しています。

2-3.
 (1) 「自然環境中の汚染」とは、どのように定義され、食品に一般的に含まれるレベルとはどの程度なのか。
(オーストラリア政府)
 (2) 銅、鉛、硫黄等、古典的な農薬として使用されている物質は、どのように取り扱うのか。
(日本紅茶協会)
【回答案】
   農薬等によっては、農薬等の残留物なのか自然に食品に含まれているのか区別が付かない場合があります。このような場合において、健康確保の観点から特に基準設定が必要な場合(例.ヒ素)には、基準値を設定しています。他方、自然に食品に含まれる物質に一律基準を適用することは適当ではないと考えられることから、規則(案)の第4項を設けたものです。そのレベルについては、個々の物質毎に、また食品の種類によっても異なるものであって、一概に決定できるものではないと考えています。なお、ご照会の物質の取扱いについては、検討をとりまとめ次第、案を示すこととしています。

2-4.
 (1) 実験値の取扱いについて、最終的には質量分析計を使用することから、一桁多く求めることは無理な農薬もあると考えられることから、検査現場では、「基準値を十分確認できる濃度まで求める」ということにならざるをえないのではないか。
(奈良県保健環境研究センター)
 (2) 分析値として多く求めた一桁の扱いについては、四捨五入するべきではなく、そのまま比較すべきである。
(奈良県保健環境研究センター)
 (3) 規則(案)の8にある、「実験値は基準値より1けた多く求め、その多く求めた1けたについて四捨五入し、基準値と比較することにより判定を行う」とあるが、この方法は、CCPRにおいて検討されている不確実性の測定原則(measurement uncertainty)と一致しているのか。また、分析化学で用いられる原則的な考え方と一致しないのではないか。
(オーストラリア政府、EU)
(参考) 不確実性の測定原則(measurement uncertainty)とは、CCPR及びCCMASにおいて分析値には測定手段によって生じるバラツキ(不確かさ)を考慮すべきとして検討されているもの。
【回答案】
   分析値として一桁多く求めて四捨五入する方法は、通常一般的に行われている方法であり、日本薬局方、米国薬局方等でも採用されている方法です。
 また、実験値において一桁多く求める必要があるのは、基準値と実測値が非常に近い場合(例えば、基準値0.5ppmの場合、実測値が0.5ppmの時など)であり、常に一桁多く求める必要はないものと考えます。
 なお、この方法はCCPRの不確かさの測定原則に反するものではなく、諸外国でも一般に用いられているものと考えます。

2-5. 生物農薬に関する記載がないが、「厚生労働大臣が指定する物質:ポジティブリスト制の対象外」の物質として指定されると考えてよいか。また、マトリン(クララ根の抽出物)等、主に有機野菜に使用されている有機農薬についての考え方を示すべき。
(日本紅茶協会、日本水産(株)、三井物産(株))
【回答案】
   ポジティブリスト制の対象外とする農薬は、農薬取締法との連携の観点から農薬取締法における特定農薬の範囲と考えています。生物農薬については、一般に食品中に残留することは考えにくいことから、一律基準の対象としても特段の問題はないものと考えています。
 なお、専ら国外で使用される農薬等であって、ポジティブリスト制の対象外にすることを希望される場合にあっては、本年2月に設けた外国使用農薬等の基準設定を要請する制度に基づき、必要な資料を添付した上、要請して下さい。
 対象外物質の考え方については、○○の「対象外物質の考え方(仮称)」を参照下さい。
 また、再度ご意見がある場合には、当該国において基準設定が不要とされた背景、ADI、残留性等を説明した米国Federal Registerのような、外国政府の公式文書の写し等によりご説明下さい。
 なお、毒性に関する資料等の提出が可能であれば、リスク評価を行う用意がありますので、平成16年2月5日付け食安発第0205001号食品安全部長通知「国外で使用される農薬等に係る残留基準の設定及び改正に関する指針について」に基づき要請してください。



3.不検出とする物質について

3-1.
 (1) これまでADIが設定されており、登録保留基準や残留基準が設定されている物質であっても、その後、発がん性がみつかったもの(DDVPなど)、内分泌かく乱性が動物実験により確認されたもの(ビンクロゾリン)、耐性菌問題を最も多く発生させており、人畜共用であって、現在定められている基準を変更し、本来使用禁止を決めてゆくべきもの(オキシテトラサイクリン)などについても、不検出とすべきである。また環境省が環境ホルモンとして疑われている化合物の例としてあげている物質(DDT他)は、原則として不検出もしくは検出限界を暫定基準値とするべきである。また同じく環境省が優先してリスク評価に取り組む物質は、不検出とすべきである。
(神山美智子)
 (2) 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律により、第1種特定化学物質として疑われている化合物に含まれる物質及び危険物質と判断され、農薬登録が失効し、登録保留基準が取り消された物質は、不検出もしくは検出限界を暫定基準値とすべき。
(例:クロルデン、ビンクロゾリン)(神山美智子)
【回答案】
   農薬等のADIについては、新しい科学的な知見に応じて適宜見直しを図ることべきが必要であること当然ですが、ご指摘の化合物等については、国際的にも国内的にも不検出としなくてはならない状況にはないと考えています。なお、いわゆる耐性菌問題については、食品安全委員会において検討されているものと承知しています。

3-2.
 (1) 輸入食品等を含め、「不検出」の判断に際しては、欧州連合が設定している「最少要求施行限界値」と同等の検出値を、その拠り所とするべきである。
(日本生活協同組合連合会)
 (2) 当該物質の分析感度は国によって異なっていること、また、EUはそのような物質の一部に関して、minimum requirement performance limitsを採用している。
(EU)
(参考) minimum requirement performance limits (MRPLs)とは、EU指令2002/657/ECにおいて、「ある検体における対象物質の分析対象の最少量のことであり、その量は少なくとも検出及び確認同定されなければならない量である。これは、基準が設定できない物質に対する分析方法の精度等性能を調和させることを目的と意図するためのものである。(仮訳)」と定義されている。
【原文】Minimum required performance limit (MRPL) means minimum content of an analyte in a sample, which at least has to be detected and confirmed. It is intended to harmonise the analytical performance of methods for substances for which no permitted limited has been established.
【回答案】
   「不検出」とする物質については、規格基準告示において公定試験法を示すとともに検出限界(定量限界)を明確にしたいと考えています。また、これらの設定に当たっては、諸外国での設定状況を踏まえ、高感度であるとともに実行可能な分析法にしたいと考えています。

3-3. 動物実験で、発癌性、催奇形性、生殖毒性の認められた農薬については、安全サイドにたった評価をすべきで、その残留基準を原則NDとすべきである。
(反農薬東京グループ)
【回答案】
   遺伝毒性を有する発がん性物質であるなど、閾値が設定できない物質である場合には、その残留基準は不検出としています。
 なお、これらの規定については、規則(案)の第2項に明記しており、別表1として対象となる農薬等を示しております。

(参考)規則(案)別表1 食品中において「不検出」とする農薬等の一覧

品目名 英名 主な用途
2,4,5-T 2,4,5-T 農薬・除草剤
アミトロール AMITROLE 農薬・除草剤
カプタホール CAPTAFOL 農薬・殺菌剤
カルバドックス(キノキサリン
−2−カルボン酸を含む)
CARBADOX including QCA 動物薬・抗生物質
クロラムフェニコール CHLORAMPHENICOL 動物薬・抗生物質
クロルプロマジン CHLORPROMAZINE 動物薬・鎮静剤
シヘキサチン及びアゾシクロチン CYHEXATIN、AZOCYCLOTIN 農薬・殺菌剤
ジメトリダゾール DIMETRIDAZOLE 動物薬・寄生虫駆除剤
ダミノジット DAMINOZIDE 農薬・成長調整剤
ニトロフラン類 NITROFURANS 動物薬・抗菌剤
メトロニダゾール METRONIDAZOLE 動物薬・寄生虫駆除剤
ロニダゾール RONIDAZOLE 動物薬・寄生虫駆除剤

フルメキンについては、平成15年2月のJECFAにおいてADIが取り消されたことから、同年10月に公表した第一次案では、別表1に掲載していました。しかしながら、本年2月に開催されたJECFAにおいて、再度審議され、ADIが設定されたことから、別表1から削除することとします。




4.暫定基準設定方法について

4-1.
 (1) 暫定基準の設定にあっては、(1)コーデックス基準、(2)登録保留基準、(3)外国の基準を参考に作成するとのことですが、(1)(2)(3)の各基準の中で最も低い値を採用すべきである。
(反農薬東京グループ、河道前伸子)
 (2) 昭和47年の食品衛生調査会の考え方にそって、現行基準、登録保留基準、国際基準、外国基準がある場合、そのうち最小の値を採用するという原則を定めるべき。
(神山美智子)
 (3) 国内基準がなく外国の基準が複数ある場合は、その中で最も低い値を採用すべきである。
(日本生活協同組合連合会)
 (4) 参考基準国の平均値を採用した場合、暫定基準値を超えるものが輸入されることがある。安全性と円滑な流通の双方を確保する観点から、最も高い基準値の国のものを採用すべきと考える。
(オーストラリア政府、EU、製粉協会、メチルブロマイド工業会、U.S. wheat associates、(株)日清製粉グループ本社、日清製粉(株)、日本製粉(株))
 (5) 複数の外国基準を参考にする場合、単純に平均でなく、食品業界として実行可能なものとしてもらいたい。例えば最高値基準値の国の輸入占有率が多い農作物などでは、暫定基準が農産物供給の支障となることが危惧されるため、十分な配慮をする必要がある。主要輸出国の基準を採用してほしい。
((財)食品産業センター、Japan Food Information Center (JFIC) 、バイエルクロップサイエンス(株)、堀池俊介)
 (6) 外国基準の採用について、Codex基準がなく、登録保留基準がないか、もしくは外国基準が登録保留基準を上回った場合の全てにおいて考慮する必要があると考える。日本政府が、なぜ平均値を採用するに至ったのかについて、明確な説明を求める。
(米国大使館)
 (7) 外国基準を採用する場合は、供給バランスに配慮して暫定基準を設定すべきである。特にいくつかの農薬では穀物の主要供給国である米国基準より低く、コーデックス基準でもない場合、関係者と話し合い、そられの農薬が果たしている役割の重要性もみたうえで慎重に検討すべき。
(アメリカ穀物協会)
 (8) 外国基準に大きな差がある場合、各基準設定根拠となったGAPを考慮するとともに、当該国からの当該食品の輸入が過去の統計から主である場合には、平均でなく、その国の基準が最大であれば、その数値を採用する。
(農薬工業会)
 (9) 動物薬については従来残留なしが原則であったため、定量限界値を基に基準が設定されているが、定量法によって限界値が異なるなどの問題があるので、外国基準がある場合、外国基準を基に暫定基準を設定すべき。
(大日本製薬(株))
 (10) トウモロコシは海外基準が採用された小麦よりも海外依存率が高いので、海外基準を採用すべき。
(飼料輸出入協議会)
【回答案】
   暫定基準(案)は、国民の健康の保護や、不要な貿易障害の回避等の観点から、コーデックス基準、登録保留基準、JMPR等と同様の科学的な方法により基準を設定されている外国の基準を参考に定めています。具体的には次のとおりです。
 まず、我が国がWTOに加盟していることに鑑み、コーデックス基準がある場合にはこれを採用することを基本としています。
 次に、コーデックス基準がない場合であって、農薬の登録保留基準など我が国で設定された基準がある場合にはこれを採用することを基本としています。これらの基準は、我が国の環境省や農林水産省において農薬の登録等に当たって用いられてきたものであって、毒性試験結果や残留試験結果等に基づき科学的に設定されたものと考えております。他方、参考とした外国基準については、これらの試験結果は入手しておりません。従って、我が国の環境省や農林水産省が毒性試験結果等に基づき設定した基準を採用することは、科学的にも適当なものであって、かつ、国際的な基準設定方法にも合致しているものと考えます。
 また、コーデックス基準がなく、我が国で設定された基準がない場合には、外国基準を参考にすることとしています。その際、複数の国の基準がある場合には、それぞれの国では、それぞれの基準が国内産品はもとより輸入品にも適用されていること、これらの国では残留試験結果等に基づき科学的な方法によって基準が設定されていると考えられること、今回の暫定基準の設定は、ポジティブリスト制の導入のため数多くの農薬を対象としていることなどから、個々の農薬のADIと作物残留、摂取量の検討といったリスク分析を行うことが困難であることなどを勘案して、それらの平均値をとることを基本としています。ただし、4−13の回答のとおり、説明文書の留意事項の6に記載している「合理的な理由」がある場合には、平均値を採用するのではなく、そのばらつきを踏まえ適切な値を採用することとしています。
 その上で、コーデックス基準を採用した場合には国内産品について、わが国で設定した基準を採用した場合には輸入品について、生産・流通や農薬の使用実態等を勘案する必要がある場合は、それぞれ、国内基準あるいは外国基準を採用することにしています。具体的には、農林水産省のホームページにある各農作物毎の自給率が低いものとして農林水産省がホームページで示しているグレープフルーツ、レモン、パイナップル、小麦、大豆等については、必要に応じ、外国基準を基本としました。トウモロコシについも農林水産省のホームページで確認ができましたので上記と同様に対応します。ては農林水産省のホームページには掲げられていませんので、更に調査した上で対応したいと考えます。
 また、動物薬動物用医薬品についても、上述のとおりですが、加えて、国内における残留試験結果等に基づき、農林水産省から通知された値を用いることは農林水産省との連携という観点からも望ましいことと考えています。
 なお、暫定基準(第一次案)について、基準値の変更等の要望がある場合であってには、毒性に関する資料等の提出が可能である場合については、リスク評価を食品安全委員会に依頼することが可能ですので、平成16年2月5日付け食安発第0205001号食品安全部長通知「国外で使用される農薬等に係る残留基準の設定及び改正に関する指針について」に基づき要請してください別途、要請制度を設けておりますので、必要な書類を添えて要請していただくことが可能です

4-2. 他の外国基準がある場合であって、かつ、検出限界値を基準値に採用していない国の基準値との乖離が認められる場合は、検出限界値と等しい基準値を平均値の算出に用いるべきでない。
(バイエルクロップサイエンス(株))
【回答案】
   ご指摘の場合においても、当該国又は地域では規制の根拠としてその基準が用いられていることから、平均値の算出の対象とすることが適当であると考えています。

4-3.
 (1) 参考とした5カ国以外でも、当該国の試験結果を基にした基準値設定がされている場合には暫定基準値として採用可能であると考えるため、5カ国以外からの輸入が想定される作物に対し、輸出国の基準値の採用を希望する。輸入実績のある国、輸入量の多い中国、台湾、タイなどの基準も参考にしてほしい。
((社)日本青果物輸入安全推進協会、(社)日本冷凍食品協会、日本紅茶協会、農薬工業会、油糧輸出入協議会、シンジェンタジャパン(株)、(株)ニチレイ、三井物産(株)、宮下隆)
 (2) 韓国から輸出される農産物が不利益を受けないよう、韓国に基準があるものについて、基準未設定のものには基準の設定を、基準値が低いものについては上向き調整を要請する。 (駐日大韓民国大使館)
 (3) ホップはその多くがドイツから輸入されているので、ドイツの基準を採用してほしい。
(Joh. Barth&Sohn GmbH&Co.KG、S. H. Steiner, Hopfen, GmbH、TOP HOP Ltd)
【回答案】
   暫定基準の策定に当たり、参考とする外国の基準は科学的なものでなくてはならないと考えています。このため、各国の在日大使館を通じ、平成15年4月11日に開催した食品輸入円滑化推進会議から1か月間の申し出を受け付け、JMPR及びJECFAと同等の科学的なデータに基づいて評価を行い基準を設定しており、これらのデータについて提供可能であると申し出があった国又は地域の定める残留基準について検討の上、参考としています。
 なお、ホップについては、その多くが輸入でありますので、説明文書の図の3のただし書に該当するものとして外国基準の採用を検討します。また、国外で使用される農薬等について、新たな基準値設定あるいは又は我が国の基準値の変更(暫定基準を含む)等の要望がある場合には、別途、要請制度(4−1回答を参照)を設けておりますので、必要な書類を添えて要請していただくことが可能です。

4-4. アメリカの基準値を全て網羅しているはずであるが、抜けが多数認められる。どの資料を基に作成しているのか、ご教示願いたい。また、現行の基準はしっかり反映していただきたい〔原文英語〕。
(米国大使館)
【回答案】
   米国基準については、暫定基準案作成時点における米国EPA及びFDAのホームページから入手した情報を基づき整理したところですが、当方の整理ミス誤りがあれば個別具体的にご指摘下さい。

4-5. コーデックスの基準には制限条件がついたものが多い。例えば、シロマジンの基準値には”The MRL accommodates external treatment”という注釈が付いている食品がある。無定見な使用を防ぐ目的からも、必要な場合にはこの様な付帯条件を明示すべき。
(日本生活協同組合連合会)
【回答案】
   ご指摘の農薬生産段階における使用法等については、食品衛生法の目的の所掌範疇を超えるものであって、その規制を行うことは困難であると考えます。

4-6.
 (1) ADI設定の根拠である毒性試験データが開示されていないため、基準案の妥当性が、検討できないのは、問題である。最終基準案の設定に際しては、登録時に提出された毒性試験、残留性試験のデータを開示すべきである。
(反農薬東京グループ)
 (2) 今回の暫定基準については、法改正の関係から3年以内に策定することとなっているので、食品安全委員会との緊密な情報・意見交換なしに行うことはやむを得ないが、暫定基準の見直しはリスクアナリシスの原則にそって、食品安全委員会によるリスク評価を実施するとともに、その作業計画を明示すべき。
(日本生活協同組合連合会)
【回答案】
   暫定基準は、平成18年5月までにいわゆるポジティブリスト制を導入するため、農薬取締法における登録保留基準や国際基準等を参考として設定するものであり、(1)のご指摘に応えることは困難です。
 また、計画に基づき実施する予定の一日摂取量調査結果等を踏まえて、優先順位を付した上で、暫定基準について見直しを行うことを考えていますが、この際には、毒性試験データ等必要な資料を収集し、食品安全委員会にリスク評価を依頼することとしています。

4-7. 農薬については、海外で栽培された作物の輸入を前提として、現在日本の農薬取締法や保留基準のリストに無い農薬も基準作成がなされている。しかし、水産物に使用する動物用医薬品は、海外各国で使用が認められている動物用医薬品を反映していないリストとなっており、各国基準とのハーモナイゼーションを取っていただきたい。
(日本水産(株))
【回答案】
   暫定基準(第一次案)の検討に当たっては、4-3の回答のとおり、農薬だけでなく、動物用医薬品及び飼料添加物においても、コーデックス基準のほか、米国等の基準を参考とし、設定しています。

4-8. 妊婦、心身発達途上の子供への影響を配慮した基準を設定する。
(反農薬東京グループ)
【回答案】
   我が国及び今回基準値を参考とした国においては、動物を用いた試験において、繁殖毒性試験、催奇形性試験など、妊婦や胎児、乳幼児への影響を考慮した試験を含め、その他の様々な試験に基づき、毒性が認められない量に更に安全係数を考慮して基準値を設定されております。

4-9.
 (1) 多くの諸外国では、標識体を用いた残留性試験の結果から、体内の残留性を最も正確に、しかも代表して示すことのできる臓器・組織、並びに化合物について残留性の指標にしている。動物薬における残留規制に関する国際的基準値設定の動きの中で、日本でも基本的に諸外国と同様な考え方による基準値の設定をすべき。この方法により、主要臓器以外の基準値の設定無しでも標的組織の残留性をもって、他の組織の残留性が十分低いことを担保できるため、より現実的である。
(畜水産品残留安全協議会、日本イーライリリー(株))
 (2) 諸外国では、使用が認められた対象動物・農作物に基づき、その国の国民の各種食品に対する標準的な摂取量を考慮した上で、卵、乳、肉その他の可食組織、農産物などに残留許容量を割り当てる、いわゆるフードバスケットの考え方をとっていると理解しております。日本においても単純な平均ではなく、フードバスケットの考え方に基づく基準値の設定をお願いしたい。
(畜水産品残留安全協議会、(社)日本科学飼料協会、(社)日本動物用医薬品協会、武田シェリングプラウアニマルヘルス(株)、日本イーライリリー(株))
 (3) 基準値未設定の動物種/臓器・組織について、一律基準値(0.01ppmになるかもしれないという)を適用すると聞いているが、その物質に対して基準値が設定されている動物種/臓器・組織が存在する場合には、その他の対象動物に由来する臓器・組織についても日本人の標準摂取量の相対的比較に基づいて、未設定の動物種/臓器・組織の暫定基準値を設定して欲しい。
((社)日本動物用医薬品協会)
【回答案】
   米国ではと畜場等における標的臓器を用いた検査により、安全性の確保が図られていると承知しています。しかしながら、総体的に見るとカロリーベースで50%以上を占める輸入品については、相対的に見るとこのような標的臓器を用いた管理は困難であることから、ご指摘のような手法のみとすることは我が国では採り得ないものと考えます。
 また、今回の暫定基準の設定に当たっては、ADIの評価を行わず、コーデックス基準や諸外国の基準を参考に設定することから、ご指摘のように、ADIから食品の摂取量毎に残留許容量を割り当てる方式を採用することは困難であると考えます。
 一方、同一動物であって、筋肉、脂肪等、一部の組織、臓器に基準が設定されている場合、それ以外の組織、内臓については、当該動物に対してその使用が認められていること、米国等においては標的臓器による検査体制が取られており、すべての組織又は臓器に基準が設定されているわけではないことから、同一動物で基準が設定されている組織、臓器のうち、最も低い値をそれ以外の組織、臓器に設定することとしたいと考えています。

4-10. 「検出限界値をもって基準値として参照せず、一律基準値を適用する」ことは妥当ではなく、検出限界値をもって基準値としている場合でも、当該諸国地域におけるその作物に対する登録の有無あるいはその食品の部位における検出限界値を考慮し、設定されるであろう一律基準値を上回る値が設定されている場合には、検出限界値と等しい基準値であっても参考基準とすべきである。
(バイエルクロップサイエンス(株))
【回答案】
   説明文書の留意事項の6の(3)については、ポジティブリスト制を採用していない国における特例的な取扱いによるものであることからご指摘の作物等に対して使用が認められている場合で検出限界値をもって基準値としている場合には、暫定基準設定の参考としたいと考えています。当該国において使用が承認されていることを説明した米国Federal Registerのような外国政府の公式文書の写し等によりご説明下さい。ポジティブリスト制の採用にあたっては我が国では一律基準を採用することとしていることから、ご意見の趣旨は適当ではないと考えています。

4-11. 作物の残留性に関する厚生労働省の案では、類似の食品カテゴリー毎に均一の基準を設定しているが、この考え方は動物にも応用できる。牛、豚、鶏、羊などの筋肉については、消費量はほぼ同一となると考えられることから、例えば牛のMRLを豚の暫定MRLとして使うことは可能である。
(日本イーライリリー(株)、大日本除蟲菊(株))
【回答案】
   動物用医薬品の承認又は使用については動物毎であること、残留基準は適切に使用した場合の残留量を基に決めるべきものであることから、例えば、肉のMRLを豚のMRLとして採用することは困難であると考えます。
 なお、説明文書の留意事項の7の適用については極めて限定的に運用すべきと考えております。

4-12. 説明文書の留意事項の7における各食品分類毎の基準の整合性を考慮するという意味を明確にすべきである。
(EU)
【回答案】
   本条項を用いた例は、類型6として明らかにしておりますが、その適用は極めて限定されており、例えば、畜産物でほとんどの動物に同一の基準値が設定されており、残りの動物にその値を入れた場合があります。

4-13.
 (1) 「一つの農産物に対し、大きな差異のある基準値が設定されていた場合には、適切な値を採用する」としているが、この例外規定はどのように適用されるのか明示すべき。
(米国大使館)
 (2) 「コーデックス基準なし」で「外国基準あり」の場合、類型が3通りありますが、国内登録がありながら、外国基準を採用する類型3−2−1や3−2−2に該当する場合の採用条件についてご教示下さい。
(製粉協会、大日本製薬(株))
 (3) 外国基準に大きな違いがある場合には、ばらつきを踏まえ、適切な値を採用する、ただし、合理的な理由がある場合にはその事情を勘案するという留意事項にある、「合理的な理由」とはどのようなものか。
(EU)
【回答案】
   ご指摘の(1)は説明文書の留意事項の6の(2)の規定であってに関するものであり、同文書の図の類型で言えばにおける3-2-2、または5-2に該当します。今回の第一次案では、3-2-2の類型に該当する事例はなく、5-2の類型はクロロタロニルのハックルベリーの基準値及びナイカルバジンのあひるの肉等に対する基準値のみです。クロロタロニルにあっては各種のいちごに対する基準からみて、ハックルベリーのEUの基準値が他のいちご等に対する基準値に比べ、また、ナイカルバジンにあっては各種の食肉等に対する基準からみて豪州の基準値が他の食肉等に対する基準値に比べ、それぞれ「大きな違い」があると判断し、これらを除いて、外国基準の平均を採用したものです。
 また、ご指摘の(2)の3-2-1の類型については、4-1の回答を参照してください。
 さらに、ご指摘の(3)の「合理的な理由」としては、いろいろ様々な理由があるものと考えられますが、例えば当該地域の気候条件、農業の慣習等からみて当該農薬の使用方法及び量が適当であること、そのような条件下で実施した作物残留試験結果から見ると平均値を採用する残留基準(案)では不十分であることを示すことなどが考えられます。

4-14. 本改正案で動物用医薬品中サルファ剤の場合、個別物質別で0.1ppmの基準が設けられているが、これは韓国の残留許容基準(立案予告案、総sulfa剤0.1ppm)及びEUの基準(総sulfa剤0.1ppm)と異なっている。個別物質に対して基準を適用する場合、混用使用の総残留量に対する基準適用問題など毒性学的な側面を勘案すると個別的な基準設定よりは、韓国のように総サルファ剤を設定して運用する方がもっと妥当ではないか。また、サルファ剤類は体内代謝や毒性発現量が相互似ている。一方、ストレプトマイシンやテトラサイクリンは総合基準を適用しているなど、基準適用方法面で一貫性を失っている側面がある。
(駐日大韓民国大使館)
【回答案】
   ご指摘のサルファ剤やストレプトマイシン等の取扱いについては、コーデックス基準の考え方を基本としております。すなわち、サルファ剤についてコーデックス基準では個別のスルファジミジンのみに残留基準が設定されており、ご指摘のような方法は採用されておりません。また、ストレプトマイシン等については、コーデックス基準も我が国の第1次案と同様の方法で設定しております。

4-15.
 (1) BSTとエストラジオール17βについては、天然型ホルモンであり、MRL値の設定の必要のないもの(一律基準値の適用されないもの)との解釈でよいか。
(日本イーライリリー(株))
 (2) BSTやエストラジオール17-βなどの成長ホルモン等、国民の健康に及ぼす影響の面から重要であるにも関わらず、記載のない品目が認められる。成長促進ホルモンは、記載がなかったことについてその理由を付して公表することが必要であると考える。
(日本生活協同組合連合会)
【回答案】
   コーデックス又はJECFAにおいて、BSTやエストラジオール17βについては残留基準の設定が不要と評価されていることから、暫定基準(第1次案)の設定対象としていません。これらは規則(案)の4の自然に含まれる量を超えてはならないとの規定が適用になるものと考えています。

4-16. 綿実油の暫定基準の根拠となったCodexのMRLには、crude oilとedible oilのものが混在しており、crude oilのMRLを食用油に適用すると緩いものとなり、edible oilのMRLを粗製油に適用すると厳しすぎるものになると思う。いずれにしても基準値案の対象が粗製油か精製油か明示する必要がある。
(国立医薬品食品衛生研究所、油糧輸出入協議会)
【回答案】
   コーデックス基準に従い、粗製油と精製油に分けることとします。

4-17. 鶏・七面鳥・その他の家禽の卵ともに、卵黄の基準値が設定されていない。残留農薬等は主に卵黄に残留するので、全卵と一律基準値では不適切であり、全卵の3倍から4倍程度の基準値を設定するか、もし設定しないのであれば卵黄を削除してほしい。
(綿貫智香)
【回答案】
   卵については、これまで我が国における基準及びコーデックス基準においても全卵として基準を設定しており、今後とも全卵として設定し、卵黄は削除したいと考えています。しかし、参考とする国の基準が卵黄にしか設定されていない場合には、卵黄として暫定基準を設定せざるを得ないと考えていますが、この場合、全卵は一律基準の対象とはなりません。
 なお、乳と乳脂肪についても、いずれかに残留基準があれば、その他については一律基準の対象にすることは考えておりません。



5.加工食品

5-1.
 (1) 加工食品の残留基準の考え方「残留基準に適合した原材料を用いて製造され又は加工された加工食品は残留基準に適合する物とする」を明確に示し、加工食品の円滑な流通を確保していただきたい。
(すべての加工食品に個別の残留基準を定めることは無理とは思うが、(1)原材料の残留基準適合証明が加工食品の残留基準適合証明となるもの(2)個別に残留基準が設定されたもの・・があることが流通過程で共通認識とならない心配がある。)(水野浩夫、(財)食品産業センター)
 (2) 濃縮される例(野菜ジュース、乾燥果実、乾燥野菜等)についての判断基準はどうなっているのか。
((社)日本植物油協会、養命酒製造(株)、小川邦彦)
【回答案】
   加工食品については、規格残留基準に適合した原材料を用いて製造又は加工された食品は、流通を可能とすることとしています(規則案第6項)。その運用に当たっては、まず一律基準を適用するものとし、検出値が一律基準を超えた場合は原材料として用いた農畜水産物毎に設定された残留基準をもとに判断することとしています。具体的には、希釈される例については、原材料として使用された農畜水産物の割合と、それらの食品に設定された残留基準から試算した値、また、濃縮される例については、水分含量をもとに試算した値により、まず判断することとしています。それでも判断できない場合は、使用された原材料をチェックすることになります。
 ただし、コーデックス基準が設定されている加工食品については、コーデックス基準を参考とし加工食品ごとに暫定基準を設けています。

5-2.
 (1) 加工品で安全性が確保できるものについては、原料の基準値は不要にしていただきたい。
(浜島守男)
 (2) 加工食品を原材料に使用している場合、それらに基準が無ければ農薬の分析を行って結果を得ても判断できないため、一次農産物から最終の加工品に至るまでの全ての食品に対する暫定基準を適用していただきたい。
(日清シスコ(株))
 (3) コーデックスで基準を設けているもの以外の加工食品に対しても、基準値を定めてほしい。
(味の素(株))
 (4) 農産物の原材料段階での規制ではなく、加工食品については、最終形態でのみ、あるいは最終形態までの全ての段階において、判断、規制するようにして欲しい。
((社)全国ビスケット協会、(株)ブルボン、土屋一行)
【回答案】
   1-2の回答にもあるとおり、従来から原材料について基準設定してきたところであり、加工食品の基準設定に当たっては、使用される原材料、その割合、加工方法等により、残留量が異なることから、コーデックス基準が設定されている加工食品のみを暫定基準の設定対象とし、基本的には原材料で農薬等の残留を管理することとしています。このような方法は、ポジティブリスト制を採用している米国等においても用いられているものと承知しております。

5-3. 残留農薬基準の決められていない原料を使った加工食品はどのように考えたら良いか。
(日本紅茶協会)
【回答案】
   ポジティブリスト制は、加工食品を含めすべての食品を対象としたものです。従って、残留基準の決められていない原料については、一律基準の対象となります。

5-4. 栄養補助食品等の最終製品および原材料は、生薬や植物成分を濃縮したものが数多く有り、その残留農薬基準を設ける必要性がある。このような生薬及びエキス等は、欧州では一部医薬品として流通しているものもあり、ヨーロッパ薬局方4局(European Pharmacopoeia 4th Edition)を基に基準が設定されているので、これを参考に検討してはどうか。
(インデナジャパン(株))
【回答案】
   先にも述べたように、今回参考とした国又は地域は、農薬等の国際基準の評価を行っているJMPR、JECFAと同等の科学的なデータに基づいて評価を行い、基準を設定しており、これらのデータについて提供可能であると申し出があったことから、これらの又は地域の基準を参考としています。
 なお、医薬品分野の公定書であるヨーロッパ薬局方を食品分野に直ちに採用することは必ずしも適当ではないと考えます。

5-5. 単一の原材料から製造された加工食品については、原材料の残留基準を参考に水分含量などから算定される基準設定も可能と考えるが、その際の“加工とみなす”/“加工でない”の定義を明確にしてほしい。また、対象製品の原材料における残留が検出限界以下で、問題がない場合でも、乾燥食品(フリーズドライ食品など)や濃縮抽出する加工品(エキス加工品など)では残留物質が濃縮され、検出される可能性が出てくるので、何をもって加工とみなすかという判断基準を明確にしてほしい。特に抗生物質・合成抗菌剤については、“食品・添加物等の規格基準”中の“食品一般の成分規格”で“抗生物質・抗菌性物質を含んではならない”となっていますが、例外項目として基準に適合する原材料では検出限界以下の残留であれば基準に適合しているので、それらの原材料を用いた濃縮加工品では検出されても問題は無い・・・と理解できるのか、あるいは否か。
((社)日本冷凍食品協会、マルハ(株))
【回答案】
   今回のいわゆるポジティブリスト制は、個別の基準値が設定されている場合(加工食品を含む)を除き、一律基準を超えて検出してはならないこととされています。一律基準を超える農薬等が検出された場合、当該食品の適否は使用された原材料が基準を満たしているかどうかにより、判断することとしています。従って、“加工とみなす”又は“加工でない”によって判断されるものではなく、基準値表の食品分類にある食品に遡って判断されます。
 また、規則案の1及び2については、例えば濃縮された物や乾燥品であっても、そのもの自体に適用されます。

5-6. 製パン業者がパン中の残留農薬をコントロールすることは、全く不可能である。残留農薬をコントロールできる段階で、基準値が設定されるべきであり、暫定基準の設定は小麦と小麦粉の段階とすべきである。
((社)日本パン工業会)
【回答案】
   暫定基準の設定に当たって、加工食品については、コーデックスにおいて基準が設定されているものを対象に基準値を設定することとしています。
 なお、製パン業者を含む食品関連業者にあっては、食品安全基本法(平成15年法律第48号)にも明記されているとおり、自らが食品の安全性の確保について第一義的責任を有していることを認識し、必要な措置を講ずる責務を有しています。



6.基準値に係る個別意見

6-1. 代謝物となる農薬基準値の取扱いについて  共に暫定基準が設定されている農薬A、Bがあり、農薬Aが農薬Bに代謝されるとする。そのとき、農薬Aの農作物Xに基準値が定められた場合、代謝物として生成してしまう農薬Bの農作物Xについても、一律基準値を採用するのではなく、適切な基準値を定めて欲しい。 例:トリアジメホン/トリアジメノール、カルボスルファン/ベンフラカルブ/フラチオカルブ/カルボフラン、等(石原産業(株)、サントリー(株))
【回答案】
   ご指摘の前提において、農作物Xに農薬A及び農薬Bが同時に検出された場合、農薬Bに一律基準を適用する考えはありません農薬の毒性、残留性、さらには農薬に代謝される態様等によると考えられますが、農薬AとBの間に齟齬を生じないように基準を設定することとしています。

6-2. 光学異性体等の農薬基準値の取扱いについて
 (1)共に暫定基準が設定されている農薬C、Dがあり、両者は光学異性体とする。そのとき、農薬Cの農産物Xの基準値と、農薬Dの農産物Xの基準値が異なり、矛盾が生じる上、分析技術上も困難であることから、農薬C、Dを分離せず、総計で基準を設定して欲しい。
 (2) 共に暫定基準が設定されている農薬C、Dがあり、農薬Cが農薬Dを構成する複数の異性体の一つであるにもかかわらず、両者の間に整合性がとられていない。例:エスフェンバレレート/フェンバレレート、等(住友化学工業(株)、(株)ニチレイ)
【回答案】
   異性体によって毒性が異なり、基準値が異なる場合も想定されるので、一概に「総計で基準を設定する」ことは適当ではなく、個別具体的に検討する必要があると考えます。
 (2)の事例については整合性をとる方向で検討します。

6-3. テトラサイクリン系抗生物質の水産物への残留基準は、オキシテトラサイクリンに限定されているが、畜産物への残留基準と同様に、他のクロルテトラサイクリン、テトラサイクリンの合計値に変更してほしい。もし現行基準を動かさないのであれば、クロルテトラサイクリン、テトラサイクリンの残留基準値を設定してほしい。なお、CODEXによるADIは、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、テトラサイクリンの単独または和として、30μg/kgbw/dayとなっている。
((財)食品産業センター、(社)日本冷凍食品協会、阪和興業(株)、(株)兵食、マルハ(株)、天野篤繁、加藤昭夫、原田幸人)
【回答案】
   魚介類のオキシテトラサイクリンの残留基準は現行基準であり、説明文書の留意事項の1に記載のとおり、現行基準については、改正の対象とはしていないことから、暫定基準によりクロルテトラサイクリン、テトラサイクリンの合計値に変更することは困難ですませんまた、従前から、個別の残留基準が設定されていない抗生物質については、「含有してはならない」と規定されており、魚介類のクロルテトラサイクリン、テトラサイクリンについてはこの規定が適用になります。
 なお、また、JECFAでは、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、テトラサイクリンの単独または和として、30μg/kgbw/dayというADIが設定されていますが、コーデックス基準は魚介類についてオキシテトラサイクリンのみの基準値となっています。
 現行基準の変更等の要望がある場合には、平成16年2月5日付け食安発第0205001号食品安全部長通知「国外で使用される農薬等に係る残留基準の設定及び改正に関する指針について」に基づき要請してください。



7.今回の意見募集の対象外のもの

(1)現行基準の取扱い
(1)過去の経緯から国際基準等とのハーモナイゼーションが不十分な点が散見される、現行の残留基準値設定後に諸外国での基準値が設定あるいは変更になったものは、当該基準値が反映されていない場合がある、等の理由により、残留基準値設定済の作物であっても、必要に応じ暫定基準値の設定を望む。現行の基準値について、見直しを図ってほしい。
(製粉協会、シンジェンタジャパン(株)、(株)ニチレイ)

(2)本来は農薬であるが、日本では食品添加物と規定されている物質(例えば、ポストハーベスト処理に用いられるOPP等)は、コーデックスの設定基準においても農薬として規定されている。このような物質は、改めて農薬として分類し直し、今回の暫定基準にも含めるべきである。
(日本生活協同組合連合会)

(3)現行基準についても、ADI設定、ポストハーベスト農薬の取扱い、環境ホルモンなどの点から問題があるものがあるので、改正の対象とすべきである。
(神山美智子)

(2)一律基準
(1)一律基準値を超えるものについては全て規制の対象となるとしているが、どのような科学的な根拠に基づいて設定されるのか等、そのポリシーを明示すべきである。 (米国大使館、三井物産(株))
(2)諸外国の一律基準は0.01ppmから0.1ppmの範囲であるが、国民の健康保護の観点から、分析による検証が可能である限り、0.01ppmにすべきである。
(日本生活協同組合連合会)

(3)本来残留基準は、化学物質の安全評価に基づき、個別に科学的に設定されるべきものである。安全性とは別の次元で一律に厳しい基準が設定されることは科学的合理性を欠いており、また、科学的根拠のない基準の設定は、食の信頼回復には結びつかないものと考える。
((株)ニチレイ)

(4)一律基準は物質ごとに設定してほしい。
(べーリンガーインゲルハイムシオノギベトメディカ(株))

(5)一律基準値は、各国の食習慣の違いによる摂取量の差異、輸入依存率や物流の確保も十分に考慮すると、全ての商品に一律に適用されるべきではなく、商品(作物)ごとに設定すべきである。
(飼料輸出入協議会)

(6)一律基準値を設定する場合には、安全性の評価の有無、動物種別、臓器別等により段階的な値を用いるべきである。例えば、5カ国で安全評価がなされているものは0.1ppm、その他は0.01ppmとすべき。
(農薬工業会、武田シェリングプラウアニマルヘルス(株))

(7)Codex、外国基準等がない場合は一律基準を適用するとされているが、オキシテトラサイクリン及びストレプトマイシン等抗生物質の残留の有無は検出をもって判断するところから、一律基準が検出限界値以下に設定された場合、意味をなさなくなることが懸念される。農薬取締法に遵守して使用したにもかかわらず残留が認められたと判断されるケースの発生が予想され、使用者に多大なとまどいと不安を与えかねない。このことから、一律基準を設定する場合にはその各作物の基準値は検出限界値0.05 ppmをもって一律に設定されるよう考慮していただきたい。
(ファイザー(株))

(8)一律基準値を検出限界に近い値にすると測定誤差などで問題が起こることも予想されるので、考慮するようお願いしたい。
(キッコーマン(株))

(9)オーストラリアは、亜リン酸と亜リン酸塩がUSAにおいて「一般的に安全と見なされている(GRAS)」という条件を与えられ、規制対象から除外されていることを重視する。この化合物は近年、APVMA(Australian Pesticides & Veterinary Medicines Authority)よりFSANZ(Food Standards Australia New Zealand)へMRLを必要としない物質とするよう、勧告されたが、日本においては、この物質の取扱いはどのようになっているのか。
(オーストラリア政府)

(3)分析法
(1)GC/MS、LC/MS等の機器整備のための補助金制度、リース制度等の創設、一斉分析法に適った混合標準品の斡旋、高度な分析技術習得のための分析実務研修の実施を行い、検査体制を充実させる必要がある。
(姫路市環境衛生研究所、北九州市環境科学研究所)

(2)基準に関わる全物質(代謝物を含めた)標準品を早急に整備してほしい。民間での自主検査においても、公立の研究機関または半官半民の試験所と同様に標準品が入手できるようにしていただきたい。
(キッコーマン(株)、雪印乳業(株)、宮下隆)

(3)一斉分析法で対応できないものについては個別法を必要とする農薬等がかなりでてくるものと思われる。全ての農薬について測定するのは大変であるが、全てを測定しないことで消費者は満足するのか。対処方法を示唆してほしい。
(北九州市環境科学研究所)

(4)単一な方法のみを指定するのではなく、各検査方法について求められる検出限界、精度等の確認方法を明確にしたうえで、同等またはそれ以上の精度を有する方法も認める方式とすべきである(輸入食品モニタリング検査方法として公開されている試験法に検出限界の記載がないため、何をもって「含有しない」とするのかが不明)。また、今回のリストに収載されていない物質(特定農薬等を除く)についても、一律基準が適用されるのであれば、これらについても検査方法を設定すべきである。
((株)ニチレイ)

(5)試験法について、多くの機関において活用しやすい方法であること、簡便迅速で精度が高く、測定者による誤差が少ないこと等、適切な評価方法を検討すべきである。
(浜島守男)

(6)分析方法の開示・提示から施行までに十分な猶予期間がほしい。
(味の素(株)、キッコーマン(株)、(株)日清製粉グループ本社、日清製粉(株))

(7)分析方法の開発の進捗状況について、可能な限り公表いただきたい。できたら説明会を開催していただきたい。
((社)全国清涼飲料工業会)

(8)分析対象物質が同一のため、複数の農薬成分について設定された基準について、元はどの農薬成分が該当しているのか、具体的な成分名を明示して欲しい。また、その場合、元の農薬成分を特定する具体的な分析方法についても開示して欲しい。
(姫路市環境衛生研究所)

(9)今後、分析機関の不足が予測されるため、事業者の分析の依頼に充足できる体制を準備してほしい。
((社)全国清涼飲料工業会)

(10)今後、分析技術の進歩が見込まれるので、分析方法や検出限界の変化(違い)による混乱が生じないように整理しておくべきである。
(製粉協会、浜島守男)

(11)加工食品の検査法を作成されたいこと。 ((社)日本乳業協会)
(12)茶の基準について、現在、国内では、熱湯抽出法を採用しており、水に溶けにくい農薬の残留実態は十分に把握できていない。また、海外では溶媒抽出法を採用しているが、残留実態例が少ない。したがって、国産、輸入茶葉の流通に支障のないよう農薬残留実態調査を実施し、溶媒抽出法での農薬検出範囲と暫定基準値を比較検討して戴きたい。
(サントリー(株))

(13)現在食品衛生法で基準のあるものはそのままの運用と諒解するが、現行の茶の残留農薬基準はほとんどが抽出液を分析することとなっている。一方他国の残留農薬基準は茶葉自体を分析するのが主流であるが、かかる状況を加味し、茶葉の暫定基準及び一律基準は茶葉自体の分析となるのか。
(三井物産(株))

(14)テトラサイクリン系、フェバンテル等を除いて、試験されるべきマーカーが示されていない。
(EU)
(4)残留基準設定方法一般
(1)農薬の使用を減らすことも念頭に置いた施策がとられるべきであり、対象農薬の数を増やし、かつ、高い残留基準を設定しても、食の安全・安心にはつながらない。
(反農薬東京グループ)

(2)水、空気からの摂取も十分配慮すべき(特に、農耕地近郊の大気汚染や室内汚染、街中汚染、飲料水汚染が懸念される農薬)。
(反農薬東京グループ)

(3)算定の根拠に用いられるADIは個々に設定されていて、複数摂取した場合の評価がなされていないため、現行の残留基準は科学的でない。
(反農薬東京グループ、河道前伸子)

(4)基準の設定に当たっては、内分泌撹乱化学物質問題検討会の結果も十分に考慮すべき。
(河道前伸子)

(5)監視指導関係
(1)農薬と動物用医薬品の全ての検査は現実的ではないのではないか。また、今後の厚生労働省としての市場モニタリング、検疫所等による検査体制はどうするのか。さらに、国産品の検査制度についても明確にすべき。
(キッコーマン(株)、(株)ニチレイ、宮下隆)

(2)検査体制を強化し、基準違反の農作物が輸入されないようにしてほしい。
((社)全国ビスケット協会、全日本菓子協会、全日本菓子工業組合連合会、日本チョコレート・ココア協会、日清シスコ(株)、(株)ブルボン、森永製菓(株))


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