○登録試験機関における許可試験の業務管理について |
標記については、今般の健康増進法の一部を改正する法律(平成15年法律第56号)の施行に伴い、許可試験を行う施設として、独立行政法人国立健康・栄養研究所に加え、新たに登録試験機関が追加されたところですが、登録試験機関による業務管理については平成16年2月6日付食品安全部長通知「登録試験機関の登録等について」によるほか、別紙の「登録試験機関における許可試験の業務管理要領」により取り扱うこととしましたので業務の参考までに通知します。
(別紙)
1 | 目的 この要領は、健康増進法(平成14年法律第103号。以下「法」という。)に基づく登録試験機関における許可試験の業務管理について細則を定め、許可試験の信頼性を確保することを目的とする。 |
2 | 組織 |
(1) | 健康増進法施行規則(平成15年厚生労働省令第86号。以下「規則」という。)第14条の2第2項第5号ニに規定する許可試験部門責任者及び同項第4号ホに規定する信頼性確保部門責任者を機関ごとにそれぞれ1名以上設置すること。また、これらの者が不在の場合にあっては、あらかじめ当該業務を代理する者を指名し、行わせることができる。 | ||||||||||||||||||||||||||||
(2) | 許可試験部門責任者は、次の業務を自ら行い、又は業務の内容に応じてあらかじめ指定した者(以下「事業所試験部門責任者」という。)に行わせること。
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(3) | 信頼性確保部門責任者は、次の業務を自ら行い、又は業務の内容に応じてあらかじめ指定した者(以下「事業所信頼性確保部門責任者」という。)に行わせること。
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(4) | 試験機関において代表権を有する者は、許可試験部門責任者及び信頼性確保部門責任者の業務が適切に遂行されていることを確認すること。 | ||||||||||||||||||||||||||||
(5) | 信頼性確保部門は、許可試験部門から独立していること。 | ||||||||||||||||||||||||||||
(6) | 許可試験部門責任者及び信頼性確保部門責任者は登録試験機関の役員であること。 | ||||||||||||||||||||||||||||
(7) | 許可試験部門責任者及び事業所試験部門責任者は試験員を兼ねていないこと。 |
3 | 標準作業書の作成 |
(1) | 規則第14条の2第2項第4号イの標準作業書としては次のものが含まれていること。なお、許可試験実施標準作業書は、試験の項目ごとに作成すること。
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(2) | 標準作業書の作成にあっては、別添に留意すること。 |
4 | 許可試験室等の管理 |
(1) | 許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、適切な許可試験が実施可能となるよう十分な広さの許可試験室を確保し、必要に応じ区画を設けること。 | ||||||
(2) | 許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、許可試験に支障を生じないよう次の事項に留意して許可試験室の維持管理を行うこと。
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5 | 機械器具の管理 |
(1) | 許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、操作、保守点検、滅菌、消毒、洗浄、清掃、維持等が容易に行われるよう機械器具を適切に配置すること。 | ||||
(2) | 機械器具保守管理標準作業書の作成又は改定については、別添の2に留意すること。 | ||||
(3) | 許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、機械器具保守管理標準作業書に従い、個別の機械器具について管理を担当する試験員を定め、次の事項の確認を行うこと。
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6 | 試薬等の管理 |
(1) | 試薬等管理標準作業書の作成及び改定については、別添の3に留意すること。 | ||||||||
(2) | 許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、試薬等管理標準作業書に従い、試薬、試液、培地、標準品、標準液、標準微生物の株等(以下「試薬等」という。)について管理を担当する試験員を定め、次の事項の確認を行うこと。
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7 | 有毒な又は有害な物質及び危険物の管理 |
(1) | 許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、毒物、劇物、高圧ガスその他の有毒、有害物質及び危険物の保管、設置等について関係法令を遵守して適切に管理すること。 |
(2) | 許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、試験品、試薬、試液、培地等許可試験に用いられる全てのものに係る廃棄物について安全かつ衛生的に管理すること。 |
8 | 試験品の取扱いの管理 |
(1) | 試験品取扱標準作業書については、別添の4に留意の上作成し改定すること。 | ||||||||||||||||||||
(2) | 許可試験の申請書に基づき申請を受け付ける者は、必要な事項を確認すること。 | ||||||||||||||||||||
(3) | 試験品を受領する者は、次の事項を確認するとともに、その記録を保管すること。
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(4) | 許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、試験品の取扱いについて次の事項が遵守されていることを確認すること。
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9 | 許可試験の操作等の管理 |
(1) | 許可試験の方法は、当該試験項目に関する関係通知等で定められた(個別許可型病者用食品及び特定保健用食品に係る「関与する成分」の試験にあっては厚生労働省確認済みの申請者より示された)方法とすること。 |
(2) | 許可試験実施標準作業書の作成及び改定については、別添の5に留意するとともに、具体的な操作の手順の設定に当たっては、最新の知見を踏まえて行うこと。 また、同一の許可試験項目であっても試験品の種類ごとに操作手順等が異なる場合には、当該試験品の種類ごとに作成すること。 |
(3) | 許可試験に当たり、標準作業書又は内部点検に関する文書からの逸脱が生じた場合には、その内容を評価し、必要な措置を講ずること。 |
10 | 許可試験の結果の処理 |
(1) | 試験員は、許可試験終了後、その内容が許可試験の目的を十分に満たしたものであることを点検の上、必要な事項を許可試験結果表(以下「結果表」という。)に記入すること。 | ||||||||||||||||||
(2) | 試験員は、結果表にデータ、標本等を添えて、許可試験部門責任者に提出すること。 | ||||||||||||||||||
(3) | 許可試験部門責任者は、結果表等の提出を受け、次の事項を確認すること。
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(4) | 許可試験部門責任者は、確認終了後、許可試験の結果に疑義がないと認める場合には、結果表に許可試験が完了した旨とともに許可試験終了年月日及び許可試験の結果を確認した旨を記入し、許可試験結果通知書を作成する者に回付すること。 | ||||||||||||||||||
(5) | 許可試験部門責任者は、確認終了後、許可試験の結果に疑義があると認める場合には、他の試験員に再試験を行わせる等必要な措置を講じること。この場合において、許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、その経過を詳細に記録すること。 | ||||||||||||||||||
(6) | 許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、許可試験の信頼性に悪影響を及ぼす疑いのある事態について、その内容及び講じられた改善措置を記録すること。 | ||||||||||||||||||
(7) | 許可試験部門責任者又は事業所試験部門責任者は、許可試験の過程で得られた標本を保管すること。 ただし、現状を維持することが困難な場合には、この限りでない。 |
11 | 許可試験結果通知書 |
(1) | 許可試験結果通知書は、次の事項を記載し、試験品ごとに作成すること。
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(2) | 許可試験部門責任者は、許可試験結果通知書が適正に作成されていることを確認し、発行について承認すること。 |
12 | 試験品の保管 許可試験に用いた試験品については、その一部を当該許可試験に係る許可試験結果通知書の発行後少なくとも3か月(可能な場合は1年間)適切な条件の下に保管すること。 ただし、現状を維持することが困難な場合にあってはこの限りでない。 |
13 | 内部点検 |
(1) | 信頼性確保部門責任者は、規則第14条の2第2項第4号ロの文書に基づき内部点検を行い、又は事業所信頼性確保部門責任者に行わせ、次の事項を含む記録を作成し、許可試験部門責任者に報告するとともに、保管すること。
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(2) | 許可試験部門責任者は、(1)に基づく改善措置を講じた場合には、その内容を信頼性確保部門責任者に文書により報告すること。 | ||||||||||
(3) | 信頼性確保部門責任者は、(2)の報告を受けたときは、講じた改善措置の確認を行い、又は事業所信頼性確保部門責任者に行わせその記録を保管すること。 |
14 | 精度管理 |
(1) | 信頼性確保部門責任者又は事業所信頼性確保部門責任者は、規則第14条の2第2項第4号ハの精度管理に関する文書に基づき許可試験部門責任者と協議の上、試験員の技能についての評価を定期的に行うこと。 |
(2) | (1)の技能評価を行うに当たって、許可試験部門責任者は、(1)の評価及び必要に応じこれに基づく改善措置を記録し、信頼性確保部門責任者又は事業所信頼性確保部門責任者にその写しを提出すること。 |
(3) | 信頼性確保部門責任者は、(2)の報告に基づき、精度管理の結果をとりまとめ、改善措置が必要な場合には、その内容を含め、許可試験部門責任者に対し文書により報告を行うとともに、その記録(精度管理を行った年月日を含む。)を保管すること。 |
(4) | 許可試験部門責任者は、改善措置を講じた場合には、その内容を信頼性確保部門責任者に文書により報告すること。 なお、改善措置を講じるに当たって、許可試験部門責任者が試験員に改善の内容を指示したときは、指示内容及び講じた措置の確認内容を記録して保管すること。 |
(5) | 信頼性確保部門責任者は、(4)の報告を受けたときは、講じた改善措置の確認を行い、又は事業所信頼性確保部門責任者に行わせ、その記録を保管すること。 |
15 | 外部精度管理調査 |
(1) | 信頼性確保部門責任者は、許可試験部門責任者と協議の上、外部精度管理調査に定期的な参加計画を作成すること。 |
(2) | 信頼性確保部門責任者は、外部精度管理調査の結果をとりまとめ、改善措置が必要な場合には、その内容を含め、許可試験部門責任者に対し文書により報告を行うとともに、その記録(外部精度管理調査に参加した年月日の記録を含む。)を保管すること。 |
(3) | 許可試験部門責任者は、改善措置を講じた場合には、その内容を信頼性確保部門責任者に対し文書により報告すること。 なお、改善措置を講じるに当たって、許可試験部門責任者が試験員に改善の内容を指示したときは、指示内容及び講じた措置の確認内容を記録して保管すること。 |
(4) | 信頼性確保部門責任者は、(3)の報告を受けたときは、講じた改善措置の確認を行い、又は事業所信頼性確保部門責任者に行わせ、その記録を保管すること。 |
16 | データの作成 |
(1) | 許可試験中に得られるデータの作成は、次により行うこと。
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(2) | データの内容を変更する場合にあっては、変更前の内容を不明瞭にしない方法で行うとともに、変更の理由及び年月日を記入し、変更者の署名又は捺印を行うこと。 | ||||||||||||
(3) | コンピュータ等により直接データの作成を行い、保存する場合にあっては次の事項を確認すること。
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17 |
(1) | 標本、データ、記録、報告書、申請書、許可試験結果通知書の控え等(以下「標本等」という。)は、適切な設備に保管すること。なお、標本、データ又は記録を許可試験結果通知書の控えと別の施設に保管する場合は、当該許可試験結果通知書の控えを保管する施設において、標本、データ又は記録の保管場所を確認可能とすること。 | ||||||||||
(2) | 許可試験部門責任者は、標本等の保管に際し担当者を定め、索引を付ける等、検索に便利な方法で整理するとともに、標本等の損傷又は品質の変化を最小限にとどめるよう適切に措置すること。 | ||||||||||
(3) | 標本等の保存期間は、次表のとおりとすること。
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18 | 研修 |
(1) | 信頼性確保部門責任者及び事業所信頼性確保部門責任者は、研修の計画を記載した文書を作成し、これに従い、信頼性確保に関する必要な研修等を受けること。 |
(2) | 許可試験部門責任者は、信頼性確保部門責任者と協議の上、試験員に対し定期的に許可試験に係る必要な研修の機会を与えること。 |
19 | 外部査察 法第26条の17に基づき、厚生労働省の職員が、許可試験の信頼性を確保するため許可試験機関の試験施設に対し、その施設に立ち入り、許可試験に関する記録等について検査又は質問を行う場合には、これに応じること。 |
20 | その他 |
(1) | 帳簿、記録等については、担当試験員、確認を行った許可事業所試験部門責任者及び必要に応じ許可試験部門責任者の署名及び必要に応じ捺印欄を設け、記入、確認又は承認を行うごとにこれを行った者が署名及び必要に応じ捺印すること。 |
(2) | コンピュータにより直接帳簿の作成を行い保存する場合には、16の(3)に掲げる事項を確認すること。 |
(3) | 行政機関、依頼者又はその他の関係者等から受けた苦情に関する手順を作成するとともに、苦情の内容、調査、是正措置等の記録を作成し保存すること。 |
(4) | 精度管理、外部精度管理等の結果に基づいた測定の不確かさの評価の検討に努めること。 |
(別添)
1 | 一般的事項 |
(1) | 標準作業書の作成に当たっては、それが実行可能であることを確認すること。 |
(2) | 標準作業書は、使用者に周知され、いつでも使用できるようそれぞれ適切な場所に備え付けられていること。 |
(3) | 試験に対しての継続的な適切さと適合性を確実にするため、標準作業書の定期的な見直しを行い、必要に応じて改定すること。 |
(4) | 標準作業書の作成及び改定ごとにその年月日及び理由を明記すること。また、これを管理するためのリスト(改廃履歴)を作成すること。 |
(5) | 標準作業書の改定が行われた場合には、旧文書の誤使用を防止するため、速やかに撤去するなどの措置を講じること。 |
2 | 機械器具保守管理標準作業書の作成に当たっては、次の点に留意すること。 |
(1) | 「常時行うべき保守点検(計器にあっては、校正を含む。)の方法」としては、次の事項が含まれていること。
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(2) | 「定期的な保守点検に関する計画」として、各機器ごとに保守点検の日時、保守点検を行う者の氏名等を記載した計画表が作成されていること。 | ||||||||||
(3) | 「故障が起こった場合の対応(測定中に故障が起こった場合にあっては、試験品の取扱いを含む。)」には、次の事項が含まれていること。
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(4) | 「機械器具の保守管理に関する記録の帳簿への記載要領」には、帳簿への次の記載事項が含まれていること。
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3 | 試薬等管理標準作業書の作成に当たっては、次に留意すること。 |
(1) | 「試薬等の容器にすべき表示の方法」としては、次の事項を適切に表示できる方法が含まれていること。
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(2) | 「試薬等の管理に関する注意事項」には、試薬等の保存の方法その他の試薬等の管理を行う上で注意すべき具体的事項が含まれていること。 | ||||||||||||||||
(3) | 「試薬等の管理に関する記録の帳簿への記載要領」には、次の帳簿への記載事項のうち必要なものが含まれていること。
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4 | 試験品取扱標準作業書の作成に当たっては、次の事項に留意すること。 |
(1) | 「試験品の受領に当たっての注意事項」としては、次の事項が含まれていること。
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(2) | 「試験品の管理の方法」としては、次の事項が含まれていること。
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(3) | 「試験品の管理に関する記録の帳簿への記載要領」には、次の帳簿への記載事項が含まれていること。
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5 | 許可試験実施標準作業書の作成に当たっては、次に留意すること。 |
(1) | 必要に応じ、次の事項の記載が含まれていること。ただし、個別許可型病者用食品及び特定保健用食品に係る「関与する成分」の試験法にあっては、厚生労働省確認済みのものが申請者により提示されることから、可能な範囲で作成すること。また、提示された試験法を基に標準作業書を作成するための手順について文書化しておくこと。
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(2) | 「許可試験に関する記録の帳簿への記載要領」には、次の帳簿への記載事項が含まれていること。 ただし、(9)から(18)までの事項については、帳簿とは別にデータ等としてその記録を保存する場合には内容を確認した旨の記載で差し支えないこと。
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