2001年4月2日作成
医療用具回収の概要
(クラスIII)
1. 一般名及び販売名
一般名称: 血液凝固分析装置
販 売 名: コアグレックス 800
2. 対象ロット、数量及び出荷時期
機体番号: 580000 〜 580147
数 量 : 148台
出荷時期: 1999年10月 〜 2000年12月
3. 製造業者等名称
会社の名称: 株式会社 島津製作所
会社所在地: 京都市中京区西ノ京桑原町1番地
薬事の業態: 医療用具製造業
資 本 金 : 168億円
従業員数 : 3,464名
営 業 所 : 株式会社 島津製作所
営業所の住所: 京都市中京区西ノ京桑原町1番地
業許可番号: 26BZ0042
4. 回収理由
下記、1) から
6)のような不具合が発見されましたので改修いたします。
1)
約15cmのアーム先端にある長さ15cmの試薬ノズルは、アームの回転/上下動作の繰返し時の振動により機械的なズレが生じ、洗浄ポートの直径3mm穴の縁にノズルの先端が衝突し、ノズル動作だけが停止するトラブルが報告されました。この為、洗浄ポートの穴の形状をジョウロ(テーパー)状に改造し、ノズルの衝突を防止します。
2)
試薬保冷庫は、試薬をセットし容器ごと回転させる構造になっており、キャップを外した試薬をセットするようになっていますが、使用しない試薬にキャップをしたままセットする誤操作をされると試薬保冷庫の蓋が完全には閉じず浮いてしまいます。この為
蓋とそこに吸引にくるノズルとが衝突し、吸引動作を停止するトラブルが報告され、このトラブルを避ける為に、蓋下面の試薬容器の回転軌跡上を凹ませ、万一キャップ付試薬がセットされても、正常に稼動するように蓋の形状を変更します。また、蓋の閉じていない事が一目で分かるように赤シールを貼りつけます。
3)
キュベット(反応容器)は、1辺7mm,高さ30mmの四角柱・プラスチック容器で、上部開口部は2mmの縁が張出した形状をしています。またキュベットを反応部に供給する構造は、約8mmの間隔で平行配置した弓形に反った2枚の半月板で構成する滑り台を回転させ、500〜800個のキュベット収納部よりキュベットを両半月板の間に落とし込み、キュベットの縁を利用してすくいあげます。この供給動作に於いて半月板が、キュベット収納部に滑り込む時(下方回転)、その回転用モータに負荷が多くかかり、回転停止するトラブルが発生しています。この為、半月板回転の負荷が減るように収納部内・下方回転部分にキュベットを収納しない構造に改造し、上方回転時にキュベットをすくいあげるようにします。
4)
同様にキュベット搬送アームのチャック部(キュベットを挟む構造)は、キュベットを挟み搬送し、反応位置に挿入、挟みを開き
その位置にセットします。その時キュベット上面高さを揃える為に、チャック下部を利用して反応位置に押込みます。この押込みによる圧力が原因してチャック下部が僅かに上向きに反りキュベットが挟めず、アーム動作が停止するトラブルが報告された為、チャック機構を堅牢なものに改造します。
5)
試薬保冷庫の電子冷却素子(ペルチェ素子:保守部品)は、素子自体が高温になると内部回路に損傷が発生する為、長期に安定して使用するには
素子の充分な放熱が要求されます。設計寿命3年以上と考えていましたが、耐久試験で1.5〜2年で冷却能力が低下する素子がある事が分かり、素子の交換と
併せて、放熱風量アップの為
ダクト改造とファンを交換します。
6) 試薬分注を行う
プランジャーとシリンジパッキンは、使用に従ってプランジャー表面を消耗し自然と液洩れ(沁出る程度)を起しますが、設計寿命6ヵ月のところ、3〜4ヵ月で交換したとの報告を受けました。この為、プランジャーの硬度を上げ(SUS→サファイア)摩耗による耐久性を向上し、設計寿命を満足させます。
5. 危惧される具体的な健康被害
下記理由により健康被害の発生は考えられません。
4項1)から
4)では、エラー(トラブル)発生時、緊急停止がかかりトラブル発生部位の動きは停止しますが、既に試薬の分注の終わっているサンプルについては分析を続け結果を出します。その後、緊急停止解除ボタンを押し、トラブル部位をリセットすると、装置は分析出来る状態に復帰します。その場合、サンプルはそのまま分析に使用できます。
4項5)については、予防的措置であり、また試薬保冷庫には、ペルチェ素子を2個使用していますので、1個の故障では急激な温度上昇は起こりません。モニタで試薬保冷庫の温度を確認し、15℃になる前に部品交換する事により、健康被害の発生は考えられません。
4項6)については、プランジャー部分からの液洩れにより装置にダメージを与えたり、分析を停止する事はなく、健康被害の発生は考えられません。
6. 回収開始年月日
平成 13年 4月 2日 (情報提供の開始
7. 効能・効果又は用途等
血液のプロトロンビン時間(PT)や部分トロンボプラスチン時間(APTT)等の凝固項目の測定に加え、アンチトロンビンIII(AT-III)やプラスミノゲン(PLG)等の合成基質項目、および繊維素分解産物(FDP)やD-Dダイマー(DD)等のラテックス比濁項目を測定する自動分析装置です。
8. その他
納入した医療機関は、全て特定しています。
9. 担当者名及び連絡先
連絡先: 株式会社 島津製作所
京都市中京区西ノ京桑原町1番地
電話: 075-823-1214
Fax: 075-802-0318
担当者: 佐藤 教博
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