1   HIV感染者の障害認定等に係るプライバシー保護等について


  HIV感染者の身体障害認定については、平成10年4月1日に施行されて以来、まもなく10年目を迎えようとしている。
  HIV感染者が安心して障害者に係るサービスを利用できるようにしていくためには、各種福祉サービスの窓口業務に携わる職員を始め、一般の行政窓口においても、HIV感染者への理解を深め、プライバシーの保護に配慮した適切な対応を行うことが重要である。


  このことに関しては、国と「HIV弁護団・原告団」との協議の中でも、各自治体が、それぞれの職員に対し、職種を超えて広く研修会等を継続的に実施することにより、周知徹底を図ることについて要望を受けているところであり、各自治体の障害福祉部局の窓口にとどまらず、一般行政窓口においても、HIV感染者をはじめとする障害者のプライバシー保護等について十分留意されるよう、関係部課・関係機関に対する助言をお願いいたしたい。


  また、身体障害者手帳の交付を受けたHIV感染者に対しては、手帳により利用できる福祉の制度・サービスのみならず、就労・障害年金等、障害者に係るそれ以外の制度・サービスについても、それぞれの制度や相談機関等の情報提供等の対応についてお願いいたしたい。


  さらに、障害者自立支援法に基づく自立支援医療(更生医療)を受ける指定医療機関は、原則として1つの障害につき1つの指定医療機関で対応することとしているところであるが、HIV感染者のように、受給者がおかれている個々の治療状況に応じて、1つの指定医療機関だけで対応することが困難であることに対してやむを得ない理由があり、当該医療機関間で十分な連携を行うことが可能であれば、複数の指定医療機関で対応することも可能であるので、関係機関に対して周知をお願いしたい。


2   特別児童扶養手当・特別障害者手当等の額について


  特別児童扶養手当、特別障害者手当、障害児福祉手当及び経過的福祉手当については、「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」及び昭和60年の「国民年金法等の一部を改正する法律」附則(経過的福祉手当)の規定に基づいて、公的年金と同様、毎年度、消費者物価指数の上昇又は低下に応じ、手当額を改定することとされている。


  平成11年以降、消費者物価指数は低下してきたが、平成12年度から平成14年度の3年間は、公的年金と同様、社会経済情勢に鑑みて特例措置により手当額を据え置いてきたところである。


  平成15年度及び平成16年度については、平成11年から平成13年の3年間の消費者物価指数の下落分(△1.7%)は反映させず、それぞれ直近1年間の消費者物価指数の下落分のみの額の改定を行うという公的年金と同じ取扱いとしてきたところである。


  平成17年度以降は、「児童扶養手当法による児童扶養手当の額等の改定の特例に関する法律」の規定に基づき、物価が上昇した場合には、手当額を据え置き、物価が下落した場合には、物価スライドにより引き下げることにより、段階的に特例措置分(△1.7%)を解消することとされている。


  そのため、平成19年度においては、平成18年の消費者物価指数の上昇分(0.3%の見込み)の額の改定を行わず、手当額を据え置くこととしているので、関係機関・関係団体への周知方お願いしたい。




3   郵政民営化に伴う特別児童扶養手当支払事務の変更等について

  平成19年10月1日に日本郵政公社が民営化されることに伴い、特別児童扶養手当及び児童扶養手当(旧法分)の支払事務については、厚生労働省で行うこととなり、現在、障害保健福祉部と雇用均等・児童家庭局において共同で支払システムの開発を行っているところである。

  各都道府県においても、昨年11月に示したインタフェース仕様書に基づき、当省に提出いただく支払データフォーマットの改正が必要であるので、その作成した支払データフォーマットに全受給者のデータを内包した上で、平成19年2月末までに(締切厳守)当省に提出願いたい。

  それに基づき、当省において、システムテスト及び連携テスト等を行うこととしているので、ご協力方お願いしたい。


4   心身障害者扶養保険について

  心身障害者扶養保険制度については、財政安定化のため、平成7年度に、保険料の引き上げ及び公費の投入などの措置を講じた(第3次改正)ところである。

  心身障害者扶養保険制度の財政状況については、その後の金利状況の低下や障害者の平均寿命の伸長等により、第3次改正以降も大変厳しい状況にあることから、厚生労働省内において、検討を進めてきているところである。

  今後、関係省庁・団体等との調整を行いながら、外部有識者等の意見もいただき、制度のあり方についての結論を得た上で、平成19年度中に制度の見直しを行うこととしている。

  なお、各道府県・指定都市においては、条例等の改正が必要となることが予想されるため、円滑な事務処理についてご協力方お願いしたい。



5   特別障害給付金制度の周知について

  特別障害給付金制度については、平成17年4月1日から施行されているところであるが、その一層の周知徹底を図るため、各都道府県及び市区町村を通じ引き続き制度の周知・広報をお願いしたい。
  また、特別障害給付金制度の更なる周知を図るために、福祉関係施設や事業者、医療関係者、民生委員、障害者団体等、日頃障害者と接する機会の多い方々を通じた周知についても特段のご協力をお願いしたい。


6   障害保健福祉に関する先駆的・試行的事業について(案)
〜障害福祉計画の実践に向けて〜


(1)目的
  本事業は、障害者自立支援の充実のための先駆的、革新的なモデル事業等に対して所要の助成を行い、もって、障害者に対する保健福祉サービスの一層の充実と障害福祉計画の推進に資することを目的とする。


(2)事業の実施主体
  (1)   都道府県又は市町村(特別区、一部事務組合及び広域連合を含む。)
※ 障害福祉計画の実践に向けた事業を全都道府県において実施することを想定。
  (2)   厚生労働省所管の公益法人等及び厚生労働大臣が特に必要と認めた団体(民間団体)

(3)対象事業(参考例)
  ○   障害者の就労支援の充実や就業率向上に資する訓練プログラムに関するもの
  ○   地域における福祉、雇用、教育等とのネットワーク構築等の環境整備に関するもの
  ○   精神科病院入院患者の早期退院・地域生活移行に関するもの
  ○   三障害を一体的に受け入れる事業の展開に関するもの
  ○   障害者に対する社会的偏見の是正、差別・虐待防止、成年後見等の権利擁護を推進するもの
  ○   重度障害者の地域生活を支えるための調査研究・試行的事業
  ○   障害者と高齢者の相談支援を一体的に実施するなど、対象者のユニバーサル化に資するもの
  ○   IT技術を活用した障害者福祉サービスの高度化・充実に関するもの
  ○   高次脳機能障害、発達障害等の介護に関するもの
  ○   市町村合併に対応した地域組織の強化に関するもの
  ○   地域住民による障害者自立支援システムの構築に関するもの
  ○   その他障害者自立支援の拡充・強化に資するもの

(4)補助額等
  (1)   総事業費 25億円(18年度予算額:5億円)
  (2)   1事業当たり 2,000万円程度の範囲内とする。(補助率10/10相当)
※ 障害福祉計画の実践に向けた事業については別途。

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