骨太の方針2006

(平成18年7月7日 閣議決定)
第3章 財政健全化への取組
1.歳出・歳入一体改革に向けた取組

社会保障
    ○   今後とも高齢化の進展等に伴い、社会保障給付については大幅に増加し、そのための保険料・税負担も大きく増大していくことが見込まれる。
    こうした中、社会保障制度が国民の安心や安定を支えるセーフティネットとしての役割・機能を将来にわたり果たし続けていくためには、制度自体の持続可能性・安定性を確保していくことが何より重要であり、そのためには、現役世代の負担が過度のものとならないよう社会保障制度全般にわたり不断の見直しを行い、セーフティネットとして求められる水準に配慮しつつ、給付の伸びを抑制することが必要となる。
    また、政府・与党の公約である2010年代初頭の基礎的財政収支の黒字化を実現するために、政府全体の歳出を聖域なく厳しく見直し、増税額を出来る限り小さくすることを目指す中で、国の一般歳出の4割を超える水準にあり、また高齢化の進展等により今後増加が見込まれる社会保障についても、国民の理解を前提としつつも一定の歳出の抑制努力は避けられない。
    社会保障については、これまで各般の改革を行ってきたところであるが、以上のような観点を踏まえれば、今後5年間においても、次に掲げる事項を含め改革努力を継続していく必要がある。

 <雇用>
    失業等給付の国庫負担のあり方については、「廃止を含めて検討する」という行革推進法の趣旨を踏まえ、かつ、昨今の雇用保険財政の状況(積立金2.5兆円)に鑑み、2007年度において、廃止を含む見直しを行う。

 <生活保護>
    以下の内容について、早急に見直しに着手し、可能な限り2007年度に、間に合わないものについても2008年度には確実に実施する。
−生活扶助基準について、低所得世帯の消費実態等を踏まえた見直しを行う。     
−母子加算について、就労支援策を講じつつ、廃止を含めた見直しを行う。     
−級地の見直しを行う。     
−自宅を保有している者について、リバースモーゲージを利用した貸付等を優先することとする。
    現行の生活保護制度は抜本的改革が迫られており、早急に総合的な検討に着手し、改革を実施する。

 <介護>
    介護については、これまで所要の改革を行ってきたが、それでも経済の伸びを上回って給付費が増大することを踏まえるならば、保険料の増大が避けられない状況にある。
    保険料負担が過度のものとならないよう、次期事業計画の開始が2009年度であることを念頭に置きつつ、2011年度までの間においても、公的給付の内容・範囲及び介護報酬のあり方についての見直しなど必要な改革に取り組む。
 <医療>
    今回の医療改革により、医療給付費のための保険料・税負担について、足下の期間では相応の抑制が実現した。しかしながら、それでもなお、経済の伸びを上回って給付費が増大することが見込まれており、保険料・税負担も増大していくものと予想される。
    中期的な視野に立って、医療保険制度の持続可能性・安定性を確保し、現役世代の負担が過度のものとならないようにしていくためには、更なる改革が不可避であり、2011年度までの間には、更なる給付の重点化・効率化に取り組むことが必要である。
    具体的には、医療保険制度改革の直後であることも踏まえ、今後5年間の幅の中で、公的給付の内容・範囲及び負担と給付のあり方、ならびに救急医療、小児・産科などへの対応を含めた診療報酬のあり方、後発品の使用拡大など薬剤費のあり方について見直しを行う。

    また、上に述べた分野別の見直しに加えて、社会保障番号の導入など社会保障給付の重複調整という視点からの改革などについても検討を行う。

    以上のような取組みを通じ、過去5年間の改革(国の一般会計予算ベースで▲1.1兆円(国・地方合わせて▲1.6兆円に相当)の伸びの抑制)を踏まえ、今後5年間においても改革努力を継続することとする。


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