○ |
我が国における薬物事犯は、覚せい剤事犯が最も多く、平成17年においては、
押収量は減少したものの、検挙者は13,549人(前年:12,397人)と5年ぶりに増加した。
また、大麻事犯やMDMA等合成麻薬事犯は、検挙人員がともに過去最高を記録
した平成16年と同様に高水準であり、憂慮すべき状況にある。
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○ |
平成17年における未成年の検挙者数は、覚せい剤事犯で435人(前年:395人)、大麻事犯で182人(前年:223人)、MDMA等麻薬事犯で66人(前年:67人)と高い水準にあり、薬物の入手可能性等の社会環境は改善されておらず、青少年の薬物乱用状況は、依然として厳しい情勢にある。
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覚せい剤事犯検挙者の年次推移(昭和27年〜平成17年)
覚せい剤事犯における未成年検挙者の推移(人)
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平成13年 |
平成14年 |
平成15年 |
平成16年 |
平成17年 |
検挙者総数 |
18,110 |
16,964 |
14,797 |
12,397 |
13,549 |
うち未成年者 |
954 |
749 |
528 |
395 |
435 |
注) |
厚生労働省・警察庁・海上保安庁の統計資料による。 |
大麻事犯における未成年検挙者の推移
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平成13年 |
平成14年 |
平成15年 |
平成16年 |
平成17年 |
検挙者総数 |
1,525 |
1,873 |
2,173 |
2,312 |
2,063 |
うち未成年者 |
180 |
192 |
191 |
223 |
182 |
注) |
厚生労働省・警察庁・海上保安庁の統計資料による。 |
MDMA等錠剤型麻薬事犯における未成年検挙者の推移
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平成13年 |
平成14年 |
平成15年 |
平成16年 |
平成17年 |
検挙者総数 |
113 |
138 |
272 |
450 |
472 |
うち未成年者 |
※ |
7 |
29 |
67 |
66 |
注1) |
厚生労働省・警察庁・海上保安庁の統計資料による。 |
注2) |
※の部分は、年齢についてMDMA単独で統計を取っていなかったため、不明 |
○ |
なお、平成18年上半期における薬物事犯全体の検挙人員は平成17年の同時期とほぼ同水準であり、依然として憂慮すべき状況にある。 |
(2) |
「薬物乱用防止新五か年戦略」に基づく政府の取組 |
○ |
薬物乱用対策推進本部が平成15年7月に策定した「薬物乱用防止新五か年戦略」に基づき、関係省庁が連携し、各種の薬物乱用対策を進めており、厚生労働省においても、取締りの強化、啓発活動の充実、再乱用防止対策の推進、国際協力の推進などの各種施策の充実強化に努め、引き続き総合的に取り組んでいる。
|
○ |
また、政府の犯罪対策閣僚会議が平成15年12月に策定した「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」に基づき、誰もが安心して暮らせる安全な社会の実現のため、関係省庁が薬物犯罪を含む各種犯罪の予防、取締り等対策に取り組んでいる。 |
○ |
各都道府県に設置されている薬物乱用対策推進地方本部においても、国の取組を踏まえて、取締りの徹底、啓発活動の充実、再乱用防止対策の推進等、一層効果的
・積極的な取組をお願いしたい。 |
○ |
最近の薬物事犯の特徴は、従来の暴力団に加え、イラン人等外国人犯罪組織による組織的密売の増加や検挙者の国籍の多様化のほか、携帯電話やインターネットを用いた密売など、複雑かつ巧妙化している。
また、我が国で乱用される薬物のほとんどが外国から密輸入されたものであるが、近年その密輸手口は更に巧妙化しており、国内外の関係機関による緊密な連携の下、薬物密売組織の壊滅を視野に入れた取締りを強化する必要がある。
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○ |
地方厚生局麻薬取締部においては、平成18年度に、巧妙化する薬物密輸出入事犯に機動的に対処すべく、関係機関との連携によるコントロールド・デリバリー(CD)捜査の体制強化等から、全国の麻薬取締官19人(鑑定官1人を含む。)を増員した。
また、平成19年度には、ますます巧妙化・広域化かつ潜在化する薬物事犯に対処すべく、情報収集体制の強化及び捜査企画体制の構築を図る必要があることから、
全国の麻薬取締官15人を増員することとしている。
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○ |
麻薬、向精神薬、覚せい剤原料等の製造業、卸売業者、医療施設、研究施設等に対する各都道府県の麻薬取締員等による立入検査等は、正規薬物の不正ルートへの横流れを防止する上で重要となっている。 |
○ |
各都道府県に置かれている麻薬取締員におかれては、麻薬取扱者等への立入検査に加え、麻薬等事犯の取締りについても積極的な対応をお願いしたい。
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○ |
麻薬取締官が行う犯罪捜査について、引き続き御協力をお願いしたい。
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○ |
都道府県の麻薬取締員等により実施されている薬局、医療機関等の麻薬取扱者等への指導監督に当たっては、一層の管理徹底の周知をお願いしたい。
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○ |
医療用麻薬等については、薬剤師による不正譲渡し事件、看護師による大量持ち出し事件など、医療関係者による事件も起きており、医療機関等への指導強化とともに、麻薬取締員による取締りの徹底について改めてお願いしたい。
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○ |
薬物犯罪の取締り及び医療用麻薬等の正規流通に係る指導監督体制の充実を目的とした研修を平成17年度から実施しており、引き続き都道府県の麻薬取締員の積極的な参加をお願いしたい。 |
○ |
薬物乱用の多くは、薬物に対する正しい知識が不十分でその恐ろしさを知らないことに起因しており、特に青少年に対しては、できるだけ早い時期から薬物乱用防止に関する啓発を行うことが重要である。
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○ |
「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」、「麻薬・覚せい剤乱用防止運動」の全国的な展開、薬物乱用防止キャラバンカー(8台)の学校、地域の場への派遣等を通じて、啓発活動の推進を図っている。
また、地域における啓発活動の中堅的役割を担う者を養成するための研修会の開催や指導員が主体となった地域での対話集会の開催等を通じて、薬物乱用防止指導員による地域における啓発活動の一層の推進を図っている。
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○ |
近年、特に青少年によるMDMA等合成麻薬や大麻の乱用が問題となっていることから、これらの薬物に特化した啓発読本を中学1年生に対して配布したところである。
また、乱用拡大が問題となっている違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)については、啓発リーフレットを全ての中・高校生に対して配布するとともに、街頭ビジョンによるコマーシャルフィルムの放映、ラッピングバスの運行等、対策の強化を図っている。 |
○ |
全国の各地域で、薬物乱用防止キャラバンカーや啓発用読本等の啓発資材を活用するとともに、薬物乱用防止指導員による活動や麻薬・覚せい剤乱用防止運動等の実施に当たり、効果的な啓発活動の取組をお願いしたい。
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○ |
薬物乱用防止指導員に対する研修事業への各都道府県の薬物乱用防止指導員の積極的な参加について、引き続き御協力をお願いしたい。 |
○ |
薬物犯罪の大きな特徴は、再犯性が高いことであり、本人の再乱用を防止するの
みならず、新たな薬物乱用者を作らないという意味においても、薬物依存の治療と
社会復帰への取組を行い、再乱用の防止対策を充実することが必要である。また、
薬物乱用者のみならず、その家族も含めた対策が重要である。
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○ |
保健所及び精神保健福祉センターにおける薬物相談窓口において、薬物乱用者本人とその家族に対して、相談事業を実施して、薬物関連問題の発生予防、薬物依存者の社会復帰の促進等を図っている。
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○ |
全国6ブロックにおいて「薬物中毒対策連絡会議」を昨年度に引き続き開催し、薬物依存・中毒者の治療、社会復帰支援に関る関係機関(医療機関、取締機関、行政機関等)の専門家による情報・意見交換を通じて地域における関係機関の強化を図ることとしている。 |
○ |
各都道府県及び薬物乱用対策推進地方本部におかれては、引き続き本事業の円滑な推進に努めるとともに、地方厚生局麻薬取締部、保健所、精神保健福祉センター、医療機関、保護観察所、警察等の関係機関間における薬物乱用
・依存に関する相談
・指導業務について、より綿密な連携を図るようお願いしたい。 |
○ |
「海外麻薬行政官研修」及び「JICA薬物乱用防止啓発活動研修」が開催されており、平成18年は東京都に御協力をいただいたところである。
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○ |
平成19年2月には、「第3回麻薬・覚せい剤原料の統制に関する国際フォーラム」を東京において開催し、一昨年に引き続き、麻薬等の原料となる物質の東南アジア地域における生産や流通の監視等に関して、アジア地域の原料供給国及び米国関係機関、国連機関の担当者による意見交換を行う予定である。これに伴い、必要な調査を行うこととなった場合には御協力をお願いしたい。
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○ |
在宅医療を推進する上で、特に疼痛緩和のために使用される麻薬が適切かつ円滑に提供される体制整備を進めることは、これらを必要とする方々が、住み慣れた家庭や地域で療養し、また、自宅で終末期医療を受けるために極めて重要であると考えている。
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○ |
このため、麻薬が適切かつ円滑に提供される体制の整備が図られるよう、平成18年3月には、患者の意を受けたホームヘルパー等が患者のために麻薬を受け取ることができることを明確化する通知を発出したほか、医療関係者に対する医療用麻薬の使用の推進のための講習会の充実、麻薬を取り扱う薬局における麻薬の流通の迅速化を図るための措置、医療関係者に対する麻薬の取扱いに関する手引きの改善等を行った。
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○ |
今までの施策に引き続き、関係通知等を整理するなどして、さらに医療用麻薬の提供体制の整備を図ることとしている。 |
○ |
麻薬取締員等により実施されている麻薬取扱者等に対する指導監督に当たっては、引き続き、麻薬の管理徹底の周知を行うとともに、薬局における麻薬の流通の迅速化や手引きの改善等の周知をお願いしたい。
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○ |
(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターが各都道府県を始めとした関係団体の協力を得て、医療関係者や麻薬担当行政職員等を対象としたがん疼痛緩和と医療用麻薬の適正使用推進のための講習会を各地で開催しているところであるが、引き続き関係団体への周知や担当者の積極的な参加をお願いしたい。
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