麻しん(はしか)に関するQ&A
I−4 なぜ今年、10代から20代の人を中心に流行した
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かつては小児のうちに麻しんに感染し、自然に免疫を獲得するのが通常でした。しかし、麻しんワクチンの接種率の上昇で自然に感染する人は少なくなってきています。 10代から20代の人たちの中には、今まで一度も麻しんの予防接種を受けていない人がいます。そのうえ、そもそも予防接種は、一度で十分な免疫が獲得できるとは限らず、麻しんワクチンを一回接種しても、数%程度の人には十分な免疫がつかないことが知られています。今回は、そのような人達の間で麻しんの流行が起きたものと考えられています。 さらに、麻しんワクチンの接種率の上昇に伴って、麻しんの患者数が減り、麻しんウイルスにさらされる機会が減少しました。そのため、幼少時にワクチンを接種した現在の10代から20代の人は免疫が強化されず、時間の経過とともに免疫が徐々に弱まって来ている人がいることも原因の一つと考えられています。 |
I−5 妊娠しているのですが麻しんの流行が心配です。
どうしたらよいでしょうか?
妊娠中に麻しんに罹ると流産や早産を起こす可能性があります。妊娠前であれば未接種・未罹患の場合、ワクチン接種を受けることを検討すべきですが、既に妊娠しているのであればワクチン接種を受けることが出来ませんので、流行した場合は外出を避け感染者に近づかないようにするなどの注意が必要です。 |
II 予防接種について
II―1 予防接種はどれくらいの効果があるのですか。副反応は
あるのですか?
麻しん患者の1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われている 麻しんに対し、そのワクチンを接種することによって、95%以上の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。 ワクチン接種後の反応として最も多くみられるのは発熱で、接種した人の約13%が接種して2週間以内に発熱を来します。その他には、じんま疹が約3%に、発熱に伴うけいれんが約0.3%にみられます。稀な副反応として、脳炎・脳症が100万〜150万人に1人以下、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)が100万〜200万人に1人みられます。 なお、麻しんワクチンは、ニワトリの胚細胞を用いて製造されており、卵そのものを使っていないため卵アレルギーによるアレルギー反応の心配はほとんどないとされています。しかし、重度のアレルギー(アナフィラキシー反応既往)のある方は、その他の成分によるアレルギー反応が生ずる可能性もあるので、接種時にかかりつけ医に相談してください。 |
II−2 過去に麻しんに罹ったことがあるのですが予防接種を
受けるべきでしょうか?
今まで麻しんに罹ったことのある人は免疫を持っていることから、予防接種を受ける必要はありません。 |
II−3 10代、20代で麻しんが流行しているようです
が、ワクチン接種を優先的に受けた方が良いのは
どのような人ですか?
「麻疹にかかったこともなく、ワクチンを1回も受けたことのない人」は重症になり易いので、流行地域においては、ワクチンの接種は定期予防接種の対象者に加え、未接種・未罹患の方が優先されます。また、麻しんが流行し、ワクチンの需要が増大している時期においては、定期の予防接種対象者のうち、特に1期の生後12月から24月までの方が優先されます。 |
II−4 麻しんの予防接種を受けるのに、単独の麻しんワ
クチンの替わりに、MRワクチン(麻しん風しん混
合ワクチン)を接種しても健康への影響に問題ありませんか?
麻しん感染防止対策としては、MRワクチンは単独ワクチンと同様の効果が期待されます。 また、麻しんワクチンの替わりにMRワクチンを接種することにより健康への影響が大きくなることは通常ありません。ただし、MRワクチンは、風しんのワクチンも含まれていることから、妊娠している方は接種を避けることはもちろんのこと、妊娠されていない方は、接種後2ヶ月程度の避妊が必要です。おなかの赤ちゃんへの影響を出来るだけ避けるためです。 また、麻しんの単独ワクチンの接種に当たっても、妊娠している方は接種を避けるなど同様の注意が必要です。 |