(6) 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度について(案)

 この資料は、平成18年4月から福祉サービスの利用者負担に係る社会福祉法人等による利用者負担軽減制度(以下「社会福祉法人軽減制度」という。)が円滑に実施できるよう、現段階で考えている社会福祉法人軽減制度の基本的な仕組みを整理したものである。都道府県及び市町村にあっては、社会福祉法人軽減制度の実施主体となる所管の社会福祉法人に事業内容を十分周知し、すべての社会福祉法人から社会福祉法人軽減制度の実施申し出がなされるよう特段の配慮をお願いしたい。

 基本的な考え方
 社会福祉法人については、低所得者も福祉サービスを利用できるようにすることを目的とする公共性の高い法人として制度上位置づけられているものであり、このため、社会福祉法人が利用料を自ら負担することで、利用者負担を軽減することができるものとする。
 その際、激変緩和の観点から、一定の範囲の者に対する軽減措置については、経過的に、特に公費による助成を行うことによりその実施を促進する。

 社会福祉法人軽減制度の内容
 社会福祉法人軽減制度による軽減を実施する事業者(社会福祉法人又は市町村、都道府県が実施する社会福祉事業体(以下「社会福祉法人等」という。)の事業所(施設を含む。以下同じ。)から下記サービスを利用する場合の一月の利用額のうち、月額負担上限額の半額を超える額を軽減。

(1) 社会福祉法人軽減制度対象サービス
(1)  在宅で生活をする者のうち、通所施設、デイサービス(障害者デイサービス、児童デイサービス)を利用する場合の定率負担分
(2)  20歳未満の施設入所者の定率負担分
(3)  ホームヘルプ等(居宅介護、行動援護、外出介護)の定率負担分

(2) 軽減対象額
 低所得1 ・・・7,500円 を超える額
 低所得2 ・・・12,300円 (上記(1)については、7,500円)を超える額
 食費等実費負担については、すでに低所得者に対する配慮措置を講じていることから、社会福祉法人軽減制度の対象としない。
 18年10月以降の社会福祉法人軽減制度対象サービスについては、引き続き検討。

(3) 軽減対象額の適用方法
 軽減は、原則として一の事業所ごとに上記の基準により行う。
 したがって、障害者又は障害児(以下「障害者等」という。)が利用する事業所が社会福祉法人軽減措置を実施している場合であっても、異なる事業所から社会福祉法人軽減制度対象サービスを利用した場合は、各々の事業所について上記基準による利用者負担額(ただし、当該月における各事業所に係る利用者負担額を全て合算した額が月額負担上限額を超える場合は、月額負担上限額が上限額となる。)を支払う。
 ただし、複数の社会福祉法人軽減制度対象サービスを軽減制度同一管理事業所(同じ法人が同一建物又は同一敷地内において複数の事業所を運営するなど、複数の事業所が一体的に運営されており、かつ、当該一体的に運営されている複数の事業所を利用する障害者等の利用者負担額について、当該一体的に運営されている複数の事業所分を併せて管理できる事業所をいう。以下同じ。)において利用する場合は、当該軽減制度同一管理事業所における利用者負担額を一の事業所における利用者負担額とみなして軽減制度を適用する。

軽減制度同一管理事業所における負担上限適用例
(例1)ホームヘルプ、外出介護、行動援護の場合
 ・ 低所得1→3事業所分を合わせて7,500円を超える額を軽減
 ・ 低所得2→3事業所分を合わせて12,300円を超える額を軽減
(例2)通所サービスとホームヘルプの場合
 ・ 低所得1→2事業所分を合わせて7,500円を超える額を軽減
 ・ 低所得2→2事業所分を合わせて12,300円*を超える額を軽減
* 個々の事業で見た場合、負担上限は、通所は7,500円、ホームヘルプは12,300円となるので、両者を合わせた場合は高い方の12,300円を負担上限とする。ただし、一本の負担上限とした場合、ホームヘルプの利用量が少ないときは個々の事業ごとに軽減した方が負担が低くなるケースがあるので、当該ケースのように負担上限が異なるサービスを合わせる場合は、個々の事業ごとに一旦軽減適用した上で合わせた負担上限を適用する2段階の軽減を行う。

 社会福祉法人軽減制度対象者
 低所得者1、2の者のうち、申請者(支給決定を受けた障害者又は障害児の保護者)及び申請者の属する世帯の主たる生計維持者が一定の不動産以外の固定資産*を有さず(個別減免の基準と同様)、申請者及び申請者の属する世帯の主たる生計維持者の収入及び預貯金等の額が基準額以下の者**
* 一定の固定資産(個別減免の基準と同様)
現に申請者、配偶者、子、親、兄弟姉妹の一定の親族が居住している不動産(土地、建物)
資産価値が低いことにより現実的に処分が困難であると市町村が判断した不動産
(例)負債の額が不動産の評価額を上回る場合
**  この他、社会通念上、社会福祉法人軽減措置の対象とするには不適切と考えられる資産を保有していないと市町村が判断することを要件とする。

 在宅で暮らす者について、収入や資産額を認定するものであるため、多様な生活実態があることを踏まえ、市町村の事務の簡素化の観点等から、申請者の属する世帯の主たる生計維持者*及び障害者の収入額(年金等を含む。)、資産額を確認することで、当該世帯における収入額、資産額を確認したものとみなすことができることとする。
* 主たる生計維持者は世帯でもっとも収入額の多い者とするが、住民票の世帯主等を収入の多い者としてみなすことができることとする。

【基準額】
  単身世帯 2人世帯 3人世帯
収入基準額 150万円 200万円 250万円
預貯金等額 350万円 450万円 550万円
 収入基準額については、世帯人数が一人増えるごとに50万円加算、預貯金額等については、100万円加算
 市町村民税非課税世帯に属する者のうち、さらに負担能力がないものを判断するため、基本的には、非課税収入や個別減免における特定目的収入等も含むすべての収入額で判断する。ただし、所得税の算定において、必要経費と認められるものについて、申請者から提出があった場合等については、収入額から控除して認定できるものとする。


*  預貯金等の範囲については、基本的に個別減免と同様の基準とする。この際、障害者名義の個人年金や、障害者を受益者として設定する信託財産については、障害者本人のために将来使われるものであり、その際に、負担能力を判断することが適切であるため、預貯金等の額に含まない財産とするが、主たる生計維持者の名義の個人年金や信託財産については、預貯金等の額には含まない財産とはしないこととする。

 社会福祉法人軽減制度対象者の確認手続
 社会福祉法人軽減制度の適用を受けようとする利用者は、必要書類(※)を添付して社会福祉法人軽減制度対象者であることの確認を当該利用者の支給決定を行う市町村(児童福祉施設の場合は都道府県、指定都市又は児童相談所設置市。以下、「市町村等」という。)に申請する。ただし、実際の申請を行う場合には、事業者がとりまとめて、市町村に申請書を提出することも認める。
 市町村において対象者である確認を行った場合は、受給者証の特記事項欄に、社会福祉法人軽減制度の対象者である旨(記載例:「社会福祉法人軽減制度対象者」)を記載する。

必要書類
 ・ 申請者及び主たる生計維持者の収入額、障害年金等の額の合計額が基準額以下であることを証明する書類
→ 申請者及び主たる生計維持者の収入額を確認できるもの(給与の証明書、事業収入がわかる資料、年金証書、年金振り込み通知書の写し 等)
 ・ 預貯金額が一定額以下であること、一定の固定資産を有していないことを証明する書類
→ 申請者及び主たる生計維持者の主たる収入を管理する通帳の写し、居住用以外の固定資産を有していないことを証明できるもの(固定資産税納税通知書の写し、住民票の写し等)

 公費助成
(1) 公費助成対象額
 事業所における年間の軽減額のうち、事業所が本来受領すべき利用者負担額(軽減を行わなければ受領できた額:軽減対象でない者分を含む年間ベース)の5%までは1/2、5%を超える部分については3/4を公費助成の対象とする。《参考資料1参照》

(2) 負担割合
 国1/2、都道府県1/4、市町村1/4
 《国庫間接補助、大都市特例なし》
 ただし、児童福祉施設については、国1/2、都道府県・指定都市・児童相談所設置市1/2(18年10月以降)

(3) 公費助成の方法
 社会福祉法人等は、次の方法により、公費助成の対象となる軽減を行った利用者に対し支給決定をした市町村等に対して補助金の請求を行い、これを受けて市町村等は公費助成を行う。
 都道府県は、法人から市町村への補助金請求が円滑に行われるよう、必要な調整を行うものとする。

具体的な事務の流れ
(1)  事業所単位(軽減制度同一管理事業所であっても、別々の事業所として扱う)で公費助成額の算定を行う。
(2)  事業所単位で算定された公費助成額を、公費助成の対象となった軽減を行った利用者に対し支給決定をした市町村等に、各々の市町村等の利用者の軽減額に応じて按分する。《参考資料2参照》
(3)  法人は、(1)(2)により事業所ごとに市町村等別に按分された公費助成額を、事業所ごとに又は複数事業所分を合計して、軽減を行った利用者に対し支給決定をした市町村等に補助金請求する。
 (補助金の支払は、年度末に一括して精算払で行うことを想定。)

 実施対象となる法人
(1) 実施対象となる法人
 社会福祉法人等を原則とする。
 なお、市町村が、市町村内に特定のサービスを提供する社会福祉法人等がないと認めた場合は、当該地域で特定のサービスを利用する利用者が社会福祉法人軽減制度を受けられないため、例外的に社会福祉法人等以外の法人も対象とする。また、当該取り扱いを行う際には、市町村は、都道府県と協議するものとする。
(2) 実施申し出等
 軽減は、(1)の対象法人のうち、軽減を実施する旨を都道府県等に申し出たものが行う。
 都道府県、市町村においては、社会福祉法人軽減制度対象サービスを実施する全ての社会福祉法人に対し、この事業を実施するよう働きかけるものとする。

 児童福祉施設以外
 軽減を行おうとする法人は、対象となる事業所の指定を受けた都道府県知事又は指定都市若しくは中核市の市長及び事業所所在地の市町村長に申し出を行う。
 この際、軽減制度同一管理事業所については、管理を同一とする事業所を併せて届け出ることとする。
 実施申し出を受けた指定都市及び中核市は、都道府県に実施事業所のリストを送付する。
 都道府県は、自らに実施申し出のあった事業所のリスト並びに指定都市及び中核市から送付のあったリストを管下の市町村に提供する。
 18年4月から9月までは、事業者指定事務を行う指定都市及び中核市についても社会福祉法人等からの実施申し出先となるが、情報提供方法を含め、都道府県と指定都市及び中核市との協議により適宜異なる運用を行っても差し支えない。

 児童福祉施設(18年10月以降)
 軽減を行おうとする法人は、対象となる施設の指定を受けた都道府県、指定都市又は児童相談所設置市の長に申し出を行う。
 実施申し出を受けた都道府県、指定都市及び児童相談所設置市は、相互に実施施設のリストを送付し、情報を共有する。(都道府県は、必要に応じて管下の市町村に情報提供)

 高額障害福祉サービス費及び月額負担上限額の関係
 高額障害福祉サービス費については、社会福祉法人軽減制度を適用後の利用者負担額をもとに算定すること。
 月額負担上限額の適用についても、各事業所ごとに講じられた社会福祉法人軽減制度を適用した後の利用者負担額をもとに行うこと。



参考資料1
社会福祉法人等への補助の考え方

本来受領すべき利用者負担額(軽減対象でない者を含む年間ベース)=A
社会福祉法人等への補助の考え方の図

公費助成額は事業所単位で算定
(1)  法人の年間軽減額(B)が、年間の本来受領すべき利用者負担額(軽減を行わなければ受領できた額)(A)の5%までは1/2を公費助成。
(2)  BがAの5%を超える部分については、その3/4を公費助成。
(例) A=3,000,000円 B=200,000円
 (1)  3,000,000円×5%=150,000円
→ 150,000円×1/2=75,000円
 (2)  200,000円−150,000円=50,000円
→ 50,000円×3/4=37,500円
   ∴ 公費助成額=75,000円+37,500円=112,500円
法人負担額=200,000円−112,500円=87,500円



参考資料2
公費助成額の市町村への配分例

前ページの例で、軽減を受けた利用者の市町村別の内訳が次のとおりとすると、下表のように配分される。

(金額単位:円)
市町村 利用者の軽減額 按分率の計算 按分率 補助額の計算 補助額
A市 81,000 81,000/200,000 0.405 112,500×0.405 45,562
B市 49,000 49,000/200,000 0.245 112,500×0.245 27,562
C市 30,000 30,000/200,000 0.15 112,500×0.15 16,875
D町 21,500 21,500/200,000 0.1075 112,500×0.1075 12,093
E村 18,500 18,500/200,000 0.0925 112,500×0.0925 10,406
200,000   1.0000   112,498
(注1) この表では、わかりやすいように一旦按分率を算出しているが、実際の計算方法は、「市町村の補助額=公費助成額×当該市町村の利用者の軽減額合計/全体の軽減額」とする。
(注2) 補助額に1円未満の端数が生じた場合は、端数を切り捨てる。
(注3) 介護給付費等の請求明細書に軽減額を記載することとするので、各市町村は明細書に記載された軽減額を事業所ごとに管理しておき、補助金請求の際の審査に用いる。



参考資料3
社会福祉法人軽減制度の事務フロー

社会福祉法人軽減制度の事務フローの図



参考資料4
月額負担上限額と社会福祉法人軽減制度による軽減の整理について

 事業費の1割(本来の利用者負担額)を以下の3つに分類。
(1)  利用者から徴収できる額
(2)  社福軽減対象となる事業費(低所得1なら75,000円、低所得2なら123,000円を超える額)の利用者負担額分(法人が軽減する額)
(3)  月額負担上限額にぶつかったために、利用者から徴収できない額((2)の部分除く)

 それぞれ、事業者が市町村に報酬請求する際には、以下の取り扱いとする。
(1) については、すでに利用者から徴収しているため、請求しない。
(2) については、社福軽減の補助金の精算時に請求する。((2)のうち、一定割合が公費助成の対象となる。)
(3) については、報酬請求時に、請求する。(すべて公費が出る)

低所得2(24,600円)、社会福祉法人軽減制度の対象となる人の場合
(社福軽減を実施するA、B、C事業所を利用し、A、B、Cの順に同じ月に利用した場合。)

A事業所(ホームヘルプ)の図 B事業所(ホームヘルプ)
の図 C事業所(ホームヘルプ)
の図
A事業所(ホームヘルプ)
事業費14万円
社福軽減実施事業所
B事業所(ホームヘルプ)
事業費14万円
社福軽減実施事業所
C事業所(ホームヘルプ)
事業費14万円
社福軽減実施事業所
事業費 14万円 1割分14,000円
(1) 利用者から徴収出来る額 7,500円
(2) 社福軽減により軽減された負担額  6,500円
(3) 月額負担上限額にぶつかったために徴収していない額  0円
事業費 14万円 1割分14,000円
(1) 利用者から徴収出来る額 7,500円
(2) 社福軽減により軽減された負担額  6,500円
(3) 月額負担上限額にぶつかったために徴収していない額  0円
事業費 14万円 1割分14,000円
(1) 利用者から徴収出来る額 0円
(2) 社福軽減により軽減された負担額  6,500円
(3) 月額負担上限額にぶつかったために徴収していない額 7,500円

低所得2(24,600円)、社会福祉法人軽減制度の対象となる人の場合
(社福軽減を実施するA、B、C事業所を利用し、A、B、Cの順に同じ月に利用した場合。)

A事業所(通所)、B事業所(ホームヘルプ)の図 C事業所(ホームヘルプ)
の図
A事業所(通所)
事業費14万円
社福軽減実施事業所
B事業所(ホームヘルプ)
事業費16万円
社福軽減実施事業所
C事業所(ホームヘルプ)
事業費14万円
社福軽減実施事業所
事業費 14万円 1割分14,000円
(1) 利用者から徴収出来る額 7,500円
(2) 社福軽減により減免された負担額 6,500円
(3) 月額負担上限額にぶつかったために徴収していない額 0円
事業費 16万円 1割分16,000円
(1) 利用者から徴収出来る額 12,300円
(2) 社福軽減により軽減された負担額 3,700円
(3) 月額負担上限額にぶつかったために徴収していない額 0円
事業費 14万円 1割分14,000円
(1) 利用者から徴収出来る額 4,800円
(2) 社福軽減により軽減された負担額 1,700円
(3) 月額負担上限額にぶつかったために徴収していない額 7,500円



社会福祉法人等による利用者負担軽減申出書(例)
(社会福祉法人等による利用者負担の軽減措置)

社会福祉法人等による利用者負担軽減申出書(例)(社会福祉法人等による利用者負担の軽減措置)の図



社会福祉法人等利用者負担軽減対象確認申請書(例)
(社会福祉法人等による利用者負担の軽減措置)

社会福祉法人等利用者負担軽減対象確認申請書(例)(社会福祉法人等による利用者負担の軽減措置)の図



社会福祉法人等利用者負担軽減対象確認通知書(例)
(社会福祉法人等による利用者負担の軽減措置)

社会福祉法人等利用者負担軽減対象確認通知書(例)(社会福祉法人等による利用者負担の軽減措置)の図

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