(4) 障害者自立支援法の施行による精神障害者社会復帰対策の推進について

 (1) 精神障害者への支援体制づくり

 従来、精神障害者は支援費制度の対象となっていなかったが、障害者自立支援法においては、精神障害を含め障害種別を超えて市町村が中心となって福祉サービスを一元的に提供する仕組みに改めるなど、精神障害者に対する支援が抜本的に強化されるものと考えている。
 一方で、一般的な相談支援も、障害種別を超えて市町村に一元化されるが、市町村においては精神障害者に対する相談支援等の体制づくりに十分対応できないことも想定し得るところである。
 そのため、地域における精神障害者に対する支援体制づくりという観点から、各都道府県におかれては、
 市町村が実施する地域生活支援事業の中で、市町村相談支援機能強化事業によって精神保健福祉士などの精神障害分野に通じた人材を確保すること、
 現行の精神障害者地域生活支援センターは、主として相談支援事業や地域活動支援センター等への移行を想定して平成18年10月から新事業体系へ移行(経過措置対象外)することとしているが、この地域生活支援センターに対し精神障害者に係る相談支援事業を委託し、その機能を活用すること、
 これらの取組みについて、必要に応じて、障害保健福祉圏域単位など広域での市町村共同実施に向けた調整を行うこと、
 など、管内市町村に対する働きかけや広域調整、さらには技術的支援等について、格別のご協力をお願いしたい。

 (2) 精神障害者退院促進支援事業について

 精神病院に入院している精神障害者のうち、受け入れ条件が整えば退院可能な者の退院促進を目的として、平成15年度から精神障害者退院促進支援事業を実施しているところである。
 障害者自立支援法においては、都道府県障害福祉計画に精神障害者の退院促進に資する事項を盛り込むこととしたところであるが、引き続き退院患者を受け入れるための支援体制づくりを進めるとともに、より円滑な退院を図るため、本事業の活用を図られたい。
 本事業については、従来、一部の都道府県によるモデル的事業という位置づけであったが、平成18年度予算案においては、都道府県の地域生活支援事業(平成18年4月〜9月までの間は障害者地域生活推進事業)として位置づけて実施することとしており、全都道府県による恒常的事業へと位置づけが変わることとなる。各都道府県におかれては、なお一層積極的な取組をお願いしたい。

 (3) 住宅入居等支援事業(居住サポート事業)について

 入院・入所中の障害者の地域移行を進める上で、住まいの確保は重要な課題である。そのため、平成18年度予算案において、一般住宅への入居が困難な障害者を支援する「住宅入居等支援事業(居住サポート事業)」を市町村の地域生活支援事業に位置づけることとし、その支援内容として、
 不動産業者に対する物件あっせん依頼及び家主等との入居契約手続き支援
 入居者である精神障害者、知的障害者や家主等に対する、夜間を含めた緊急時の相談支援体制や関係機関との連絡調整
 などを行うこととしている。
 また、昨年12月2日付けで「公営住宅法施行令」が改正され、知的障害者、精神障害者の公営住宅への単身入居が可能とされたところである。
 各都道府県におかれては、こうした住宅施策の担当部署との連携も図りつつ、市町村に対し本事業への取組みを促す、広域での実施のための市町村間調整を行うなど、障害者の居住支援の充実に向けた取組みの一層の強化を図るようお願いしたい。

 (4) 成年後見制度利用支援事業について

 成年後見制度の利用に係る手続等の支援を行う「成年後見制度利用支援事業」については、平成18年度予算案においては、市町村の地域生活支援事業に位置づけ、これまで、介護予防・地域支え合い事業の下では対象としていなかった精神障害者についても新たに本事業の対象とすることとしたところである。
 各都道府県におかれては、市町村に対し本事業の周知徹底を図り、積極的な取組みを促すなど、本事業の活用を含め障害者の権利擁護の充実に向けた取組みの一層の強化を図るようお願いしたい。

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