今後の生活習慣病対策の推進について

(1) 生活習慣病の現状(メタボリックシンドロームの疾患概念の提示)

 急速な人口の高齢化の進展に伴い、疾病構造が変化し、疾病全体に占める、がん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病等の生活習慣病の割合が増加し、例えば、平成14年で、糖尿病と強く疑われる人に、糖尿病の可能性を否定できない人をあわせると1,620万人、5年間で約2割増加している。また、死亡原因では生活習慣病が約6割、医療費に占める生活習慣病の割合も国民医療費の約3割となっている。
 最近では、糖尿病、高血圧症、高脂血症等は内臓脂肪型肥満と強く関連があり、これらが重複した状態は心疾患、脳血管疾患等の発症リスクが高く、内臓脂肪を減少することで糖尿病等の諸病態の改善及び心疾患、脳血管疾患等の発症リスクの低減が図られるという考え方を基本とした「メタボリックシンドローム」の疾患概念と診断基準が関係学会において示された。(資料1)

(2) これまでの取組(「健康日本21」、健康増進法、健康フロンティア戦略)

 平成12年から9分野70項目の目標を掲げた「健康日本21」を推進しており、平成14年には、「健康日本21」を中核とする国民の健康づくり・疾病予防を更に積極的に推進するため、健康増進法が制定され、平成15年5月に施行された。
 また、平成16年5月には、生活習慣病対策の推進と介護予防の推進を柱とした「健康フロンティア戦略」がとりまとめられ、平成17年度から10年間、同戦略に基づく施策を重点的に展開していくこととしている。
 平成18年度予算(案)においても、今般の医療制度改革も踏まえ、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診・保健指導の重点化・効率化など、健康フロンティア戦略関連予算として、1,229億円を計上しているところである。

(3) 医療制度改革における生活習慣病対策

 こうした状況の中、平成16年10月より、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において、今後の生活習慣病対策の推進方策について検討を行い、昨年9月15日に中間とりまとめを行ったところである。
 この中間とりまとめの内容も踏まえ、昨年10月19日に医療制度構造改革の厚生労働省試案が公表され、さらに、12月1日に、政府・与党医療改革協議会において、「医療制度改革大綱」がとりまとめられた。この大綱に基づき、「安心・信頼の医療の確保と予防の重視」、「医療費適正化の総合的な推進」、「超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現」という基本的な考え方の下、構造改革を推進することとされたところである。
 その中で、「予防の重視」に関しては、今後は、治療重点の医療から疾病の予防を重視した保健医療体系へと転換を図っていくこととし、特に、生活習慣病の予防を中長期的な医療費適正化対策の柱の一つとして位置付けたところである。
 このため、今後は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概念を導入し、
 (1)  国民の運動、栄養、喫煙面での健全な生活習慣の形成に向け、国民や関係者の「予防」の重要性に対する理解の促進を図るための国民運動を展開する
とともに、
 (2)  医療保険者の役割を明確化し、糖尿病等の予防に着目した健診・保健指導の計画的な実施を義務付けるとともに、効果的・効率的な健診・保健指導の徹底を図る
こととしている。(資料2)

(4) 今後の主な取組

 医療制度改革の施行に向けた準備
(1)  健診・保健指導の重点化・効率化
 健診・保健指導については、医療制度改革大綱を踏まえ、医療保険者の役割を明確化し、国民健康保険及び被用者保険の医療保険者に、40歳以上の被保険者及び被扶養者に対する糖尿病等の予防に着目した健診・保健指導の計画的な実施を義務付けることとする方向で医療制度改革関連法案の国会提出に向けた準備を進めているところである。
 なお、従来、老人保健法に基づいて実施されてきた保健事業のうち、医療保険者に義務付けられる糖尿病等の予防に着目した健診・保健指導以外の事業については、引き続き市町村が実施することとする予定であり、がん検診についても、引き続き市町村の事業とする予定である。
 また、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診・保健指導が効果的・効率的な内容で実施されるよう、これまでの科学的知見や既に取り組まれてきている先進事例等を踏まえ、糖尿病等の有病者・予備群の減少に向け、効果的な健診の在り方や保健指導プログラムの標準化について、国において検討し、提示していく予定である。(資料3)

(2)  都道府県健康増進計画の内容充実
 医療保険者を中心とする健診・保健指導の推進や、国民運動としての生活習慣病対策の展開に向け、国の示す基本方針に基づき、都道府県健康増進計画の内容を充実させることが必要である。
 具体的には、「健康日本21」の代表目標項目等を勘案し、メタボリックシンドロームの発症予防・重症化予防の流れに対応した指標として国で示した項目に、地域の実情に応じた独自の項目を加えた項目について具体的な目標を設定するとともに、その達成に向け、医療保険者、市町村等の具体的な役割分担を明確にし、連携の促進を図ることが必要である。
 特に、医療制度改革大綱において平成20年度に実施することとされている医療費適正化計画にも政策目標として盛り込むこととしている、糖尿病等の有病者・予備群の減少率、健診・保健指導の実施率の目標や、その達成に向けた施策等については、平成19年度にすべての都道府県で、これらを盛り込むための健康増進計画の改定をお願いしたい。このため、平成18年度には、新規に盛り込む目標の設定に必要な調査の実施が必要となることから、その準備をお願いする((5)ア参照)。
 なお、平成19年度における各都道府県での計画改定に資するよう、現在、いくつかの都道府県との勉強会を踏まえ、計画改定ガイドラインの暫定版を今年度中に策定する方向で検討を進めており、平成18年度には確定版のガイドラインをお示しする予定である。(その他、健康増進計画の内容充実の基本的な考え方については、昨年12月の医療制度改革大綱等に関する説明会資料を参照していただきたい。)(資料4)

(3)  医療制度改革の実施に向けた準備事業
 医療制度改革の実施に向け、平成18年度予算(案)では、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した生活習慣病予防を推進するため、(1)都道府県健康増進計画の先行的な見直し、(2)新たなプログラムに基づく効果的・効率的な健診・保健指導の実施、(3)保健師、管理栄養士等のマンパワーの育成等を図るための準備事業に国庫補助するための経費を計上しているところである。

 「健康日本21」の中間評価
 栄養・食生活、身体活動・運動、休養・こころの健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器病、がんの9分野について70項目にわたる目標数値を設定し、国民運動として推進している「健康日本21」については、中間評価を行い、その後の健康づくり運動に反映させることとしており、現在、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において検討を進めているところである。
 この中間評価の結果も踏まえ、国民運動としての生活習慣病対策の今後の取組強化方策について、更に検討していくこととしている。

 がん対策の推進(地域がん診療連携拠点病院(仮称)の整備促進)
 がんは日本人にとって第一位の死亡原因、国民の健康にとって重大な脅威である。また、国民・患者は、がん医療の進歩に期待しつつも、実際に享受できる医療サービスには満足していない現状があり、この現状の改善や不安の解消を強く求めている。
 このような状況を踏まえ、厚生労働省としては、昨年8月、「がん対策推進アクションプラン2005」を掲げ、緊急にがん対策の飛躍的な向上を目指すものとしたところである。
 このアクションプラン2005や「第3次対がん10か年総合戦略」等に基づき、がん医療水準の均てん化を推進する観点から、「地域がん診療拠点病院のあり方に関する検討会」における検討を踏まえ、がん診療連携拠点病院(仮称)の整備に関する指針の見直しを行っているところであり、近日中に新たな整備指針を通知する予定である。
 地域がん診療連携拠点病院(仮称)は、2次医療圏に1か所程度を目途に整備することとしていることから、未整備の地域については、医療計画等との整合性を図りつつ、新たな整備指針に基づいた積極的な整備をお願いする。
 また、新たな整備指針では、都道府県において中心的ながん診療機能を担い、主に地域がん診療連携拠点病院(仮称)の医師等への研修の実施や情報提供、症例相談や診療支援等の機能を担う、都道府県がん診療連携拠点病院(仮称)を各都道府県に1か所程度指定することとしているため、推薦する医療機関の検討をお願いしたい。

(5) 地方公共団体における取組について

 都道府県健康増進計画の内容充実に向けた調査の実施
 昨年10月及び12月に開催された医療制度改革に関する説明会でも御説明したとおり、平成19年度の各都道府県における計画改定において、各地域の実情を踏まえた目標設定が必要となることから、平成18年度には、各都道府県において、地方財政措置(ヘルスアッププラン)を活用し、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の有病者・予備群などの把握に必要な調査の実施をお願いする。なお、具体的な調査の実施マニュアルについては、今年度中に策定しお示しする予定である。(各都道府県における調査の設計等については、昨年12月の医療制度改革大綱等に関する説明会資料を参照していただきたい。)

 地方財政措置(ヘルスアッププラン)の活用
 平成14年度から、地方公共団体の健康づくり・疾病予防対策について、地方健康増進計画の策定、住民健康・栄養調査等の実施、40歳未満の青壮年層に対する健康診査、健康教育等の実施、健康づくり支援のためのマンパワーの確保などを柱とする地方財政措置(ヘルスアッププラン:平成17年度550億円)が講じられており、平成18年度においても引き続き措置される予定であるので、積極的な事業の推進をお願いする。
 また、市町村における健康増進計画の策定や健康づくり事業の推進についても、当該地方財政措置を活用した取組を促すとともに、管内の市町村の健康課題等についての情報提供、保健所におけるデータの分析・評価、市町村が行う調査や計画策定に係る指導助言等の支援をお願いする。

 地域・職域連携推進協議会の設置
 平成17年度から設置をお願いしている地域・職域連携推進協議会については、平成19年度の都道府県健康増進計画の改定作業を担うことが想定されることから、平成18年度にすべての都道府県において設置されるよう、関係者との調整等の準備をお願いする。
 なお、地域・職域連携推進協議会の設置に当たっては、平成18年度まで国庫補助による財政支援を図ることとしているので御活用いただきたい。


  感染症対策について

 1. 新型インフルエンザ対策について

(1)  新型インフルエンザ対策については、一昨年8月末にまとめられた「新型インフルエンザ対策報告書」を基に、「感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針」及び「インフルエンザに関する特定感染症予防指針」を改正した。

(2)  また、昨年10月に新型インフルエンザ対策推進本部を立ち上げて全省的な体制を整えた上で、厚生労働省が中心となって、「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定したところであり、政府一丸となって新型インフルエンザ対策を推進しているところである。

(3)  「新型インフルエンザ対策行動計画」では、新型インフルエンザパンデミック(大流行)が発生した場合の対策として、抗インフルエンザウイルス薬を備蓄することとしており、都道府県には、1,050万人分の備蓄をお願いしているところである。
 都道府県の抗インフルエンザウイルス薬の確保に向けては、総務省においては所要の地方財政措置を予定していると聞いているところであり、積極的な対応をお願いしたい。

(4)  情報を早く捉え、対策を講じることが重要であり、国では、国内外からの情報収集とともに、広く情報発信をしているところであり、関係機関、国民への情報の提供・共有を図るなど、地域での連携の強化を推進していただきたい。

 2. 第一種感染症指定医療機関の指定等について

   第一種感染症指定医療機関については、昨年1月以降、4県で指定(4医療機関8床)が行われ、全体として、21都府県(24医療機関45床)の指定が完了したところである。(資料参照)
 生物テロとして使用されるおそれのある天然痘、SARS等の新興感染症など、昨今、一類感染症の発生の蓋然性が高まっているのに加え、今後の発生が危惧されている新型インフルエンザへの対応についても、第一種感染症指定医療機関の活用が考えられる。
 しかしながら、未だ約6割の道府県が未指定のままである。
 感染症法の基本指針の改正により、複数の都道府県による第一種感染症指定医療機関の確保等、整備の促進に資する見直しも行ったところであるので、指定の完了していない道府県においては、早期指定に向け、医師会、医療機関等関係者との調整を進められるようお願いする。
 なお、指定が行われるまでの間については、一類感染症患者等の発生に備え、近隣県等との協力体制を取るなど、万一患者が発生した場合を想定した万全な体制を確保されたい。

 3. 生物テロの未然防止等のための法整備について

   適正な感染症対策の総合的推進を図る観点から、生物テロや事故による感染症の発生・まん延を防止するための病原体等の管理体制の確立、感染症の分類の見直し、結核対策の法的位置付けの見直し等所要の措置を講ずることを内容とする感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部改正する法律案を今国会に提出する予定である。


  エイズ対策について

 後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正について

 アジア地域においては、特に、中国、台湾などを中心として、HIV感染者・エイズ患者数が爆発的に増加しており、国連エイズ合同計画(UNAIDS)から警鐘を鳴らされているところである。我が国においても、主な欧米諸国と比較すると感染者の絶対数は低いものの、依然として増加しており、平成16年には、HIV感染者・エイズ患者の新規報告数が、初めて合計1,000件を突破し、過去最高となるなど、まさに予断を許さない憂慮すべき状況となっている。
 このような状況を踏まえ、エイズ予防のための総合的な施策の推進を国、地方公共団体、医療機関及び患者団体を含む非営利組織又は非政府組織(NGO等)が共に連携して進めていくため、いわゆる「エイズ予防指針」の改正を行い、本年4月1日から施行することとしている。

(今般のエイズ予防指針の見直しの基本的方向性)
 ○  疾患特性の変化を踏まえた施策の展開
 多剤併用療法の進歩により、死亡率は著しく減少したことから、いわば「不治の特別な病」から「コントロール可能な一般的な病」へと変化しつつある。
 ○  国と地方公共団体との役割分担の明確化
 ○  施策の重点化、計画化

 予防指針の見直しを踏まえた対策の推進

 今後5年間、次のような施策を人権に配慮しつつ重点的に取り組み、エイズ対策の推進を図られたい。
 (1)  「普及啓発及び教育」については、一般的な普及啓発を行いつつ、個別施策層の中でも特に、青少年や同性愛者に対する普及啓発を行われたい。

 (2)  「検査・相談体制の充実」については、診断時には既にエイズを発症している事例が30%を占めていることから、年間検査計画を策定の上、早期発見につながるよう利用者にとって利便性が高い検査・相談体制(迅速検査、夜間検査、休日検査)の構築を図られたい。
 また、国や地方公共団体が行う検査・相談体制の充実を図る取組を強化し、国民のHIV・エイズに対する関心を喚起するきっかけとなるよう平成18年度からHIV抗体検査普及週間(仮称)を創設することとしており、世界エイズデーと併せて積極的に参加をお願いする。

 (3)  「医療提供体制の再構築」については、HIV感染者・エイズ患者報告数の増加にもかかわらず、地方ブロック拠点病院とエイズ治療拠点病院間に診療の質の格差等が存在するため、一部医療機関へ患者が集中している。そのため、医療水準の向上及びその地域格差を是正する必要があることから、各都道府県において原則として1箇所中核拠点病院を選定されるとともに、それを契機として都道府県内のHIV・エイズ医療体制の再構築を図られたい。

 その他、上記(1)から(3)の実施にあたっては、実施状況等を評価し、効果を上げるよう、政策の評価を行っていただきたい。
 また、効果的に普及啓発等を実施するために、NGO等との連携強化を図られたい。
 なお、財団法人エイズ予防財団が連携支援の核として、人材育成、活動支援等を行うとともに、NGO等の活動状況について地方公共団体に提供することとしているので御了知ありたい。


4. 移植対策について

(1) 臓器移植対策について

 臓器移植については、臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号。以下「臓器移植法」という。)に基づき、社団法人日本臓器移植ネットワークを中心として、公平かつ適正な臓器あっせん体制を整備するとともに、移植医療に関する普及啓発を行い、臓器移植の円滑な推進を図ってきたところである。
 臓器移植法が制定されて8年が経過したところであるが、脳死下での臓器提供は、昨年は過去最多の9例行われ、また、これまでに全国で40例(平成18年1月10日現在)行われており、このほか、心停止下での腎臓及び眼球(角膜)の提供による腎臓移植、角膜移植等が行われている。
 しかしながら、今なお多くの方が移植を待ち望んでいるので、国としては、関係機関の協力を得ながら、移植医療の一層の推進に取り組む所存である。
 各都道府県においても移植医療に関する普及啓発活動等にご尽力いただいているところであるが、移植医療について国民の理解を深めていくことは国及び地方公共団体の責務であることが法律上も明文化されている(臓器移植法第3条)ところであり、引き続き臓器提供意思表示カード及びシールの普及について一層の御協力をお願いするとともに、都道府県コーディネーターを中心に管内の医療機関への啓発活動等に御尽力いただきたい。

(2) 造血幹細胞移植対策について

 骨髄移植対策について
 白血病や重症再生不良性貧血等の血液難病患者に対する有効な治療法である骨髄移植の推進を図るため、平成3年12月から「日本骨髄バンク」事業を実施している。都道府県をはじめ、関係者の御尽力により、骨髄ドナー登録者数は過去最多の39,233人となり、累計で平成17年12月末現在23万人を超え、骨髄バンクを介して行われた移植件数も累計で7,017例に上っている。
 しかしながら、一人でも多くの方が移植の機会を受けられるようにするためには、引き続き、骨髄提供者の確保が重要である。各都道府県におかれては、普及啓発活動等により同事業の推進に御協力いただいているところではあるが、引き続き、「ドナー登録者30万人」の目標に向け、一人でも多くの方に骨髄移植の機会を提供できるよう一層の普及啓発等に御尽力願いたい。

 さい帯血移植対策について
 さい帯血移植とは分娩後、通常は廃棄されていた胎盤及びへその緒に含まれているさい帯血を採取し、その中に含まれている造血幹細胞を移植して、造血機能を再生させる方法であり、白血病や再生不良性貧血等の血液難病の有効な治療法として行われている。我が国では平成17年11月末現在、日本さい帯血バンクネットワーク加入さい帯血バンクを介した非血縁者間移植は2,715例が実施されている。この移植は産後のさい帯と胎盤から採取するため、母体にも新生児にも影響はなく、必要なときに移植できる等の利点を有している。
 都道府県におかれては、さい帯血移植の普及啓発等に引き続き御協力願いたい。


5. 生活衛生関係営業対策について

(1) 生活衛生営業振興事業等について
 生活衛生関係営業は、国民の日常生活に極めて関係の深い業種であり、衛生施設の改善向上、経営の健全化、営業の振興等を通じてその衛生水準の維持向上を図ることは引き続き重要な課題となっている。
 このため、厚生労働省では(財)全国生活衛生営業指導センターによる営業者組織に対する振興事業助成を支援し、生活衛生営業者等の自助努力による衛生水準の確保を通じた地域の公衆衛生の維持向上に取り組んでいるところである。
 一方、こうした生活衛生営業者組織の自主的活動を支援、促進していくため、平成12年度からは地方交付税(都道府県単独事業分:約4億円)が「生活衛生振興対策費」として措置されているものの、主に都道府県生活衛生営業指導センターを活用した同業組合事業への助成について、需要に十分対応できるようになっていない状況が見られる。このため、財政担当部局に対して強力に申し入れるなど、引き続き生活衛生関係営業の振興のために積極的な財源確保に取り組むよう特段の御配慮をお願いする。
 なお、昨年、政府・与党において政策金融改革に関する検討が行われてきたが、生活衛生資金貸付については、平成17年12月24日に閣議決定された「行政改革の重要方針」の中で、民間中小金融機関でも採算上供給困難な零細・中小企業への事業資金貸付として存続することとされたところである。

(2) 旅館業法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う措置の周知徹底等について
 日本国内に住所を有しない外国人が宿泊する場合には、その国籍及び旅券番号を宿泊者名簿の記載事項とすることを内容とする旅館業法施行規則の一部を改正する省令が昨年4月1日より施行されており、立入検査時に従業者への周知徹底を営業者に指導することなどにより、今後も関係団体及び営業者等に対する継続的な指導をお願いする。


6. 「水道ビジョン」の推進に向けた取組について

   21世紀の初頭において、我が国の水道は、運営基盤の強化、安心・快適な給水の確保、災害対策等の充実、環境・エネルギー対策の強化、国際貢献等に関する取組を求められている。
 このため、厚生労働省では、平成16年6月に「水道ビジョン」を策定し、今後の水道に関する重点的な政策課題と、具体的な施策及び方策、工程等を示したところであり、その推進に向けて以下のような取り組みを行っている。
 水道ビジョンに掲げる目標達成のためには、水道関係者が一体となった取組が不可欠であり、都道府県等の水道行政担当部局におかれても、本ビジョンの趣旨を踏まえ、その責務、役割に応じた取組につき対応方よろしくお願いする。

(1) 地域水道ビジョンの作成について
 我が国の水道が直面する各種の課題に適切に対処していくためには、各水道事業者及び水道用水供給事業者(以下、「水道事業者等」という。)が自らの事業を取り巻く環境を総合的に分析した上で、経営戦略を策定し、それを計画的に実行していくことが必須である。
 このため、水道事業者等が自らの事業の現状と将来見通しを分析・評価した上で、目指すべき将来像を描き、その実現のための方策等を示すものとして「地域水道ビジョン」の作成を推奨することとし、平成17年10月に健水発第1017001号として各都道府県水道行政主管部局長宛に水道課長から「地域水道ビジョン作成の手引き」を通知したところである。また、各水道事業者等が地域水道ビジョンを作成するにあたって、水道事業の現状分析や実施方策の検討を行うための各種参考資料をガイドライン等として順次提供していくこととしている。
 各都道府県におかれては、管内の水道事業者等が、「地域水道ビジョン」を作成することにより、今後の水道事業等に求められる施策の着実な実施が図られるよう、周知をお願いする。また、地域水道ビジョンについては、広域的な観点から、都道府県が管内の水道事業等を包括した「地域水道ビジョン」を作成することについても検討されたい。
 なお、地域水道ビジョンの策定状況については昨年12月に水道課ホームページで公表を行ったところであり、今後も順次更新を行っていく予定である。

(2) 水道ビジョンに掲げた施策目標の達成状況の把握
 水道施設の耐震化率など本ビジョンに示された定量的目標については、平成18年度以降の水道統計調査等により把握・公表し、達成状況を評価することとしており、調査へのご協力を宜しくお願いする。

(3) 水道ビジョン推進会議によるフォローアップ
 日本水道協会等水道関係者で構成する水道ビジョン推進会議を平成17年1月に設立した。昨年7月に水道ビジョンに掲げた目標の達成に向けた当面の取組を取りまとめたところであり、「災害対策における関係者の連携」、「水道に係る技術開発とその普及促進」及び「業務指標の利用と普及」について、関係者が役割分担・連携しつつ情報連絡体制の整備や参考資料の作成、講習会の開催等を行うことにより、ビジョンのフォローアップ、推進を図ることとしている。

(4) ケーススタディによる水道広域化の検討
 福島県、愛知県、大阪府、岡山県の4府県をモデル地域として、従来行ってきた施設の一体化による広域化に加え、経営の一体化、管理の一体化などを含めた新たな広域化の推進策について、ケーススタディを実施し、平成19年度を目途に取りまとめを行うこととしている。

(5) 水道の国際化と国際貢献について
 長期的な政策目標のキーワードのひとつとなっている「国際」の課題に対応するため、(1)水道分野の国際貢献の推進、(2)国際調和の推進等、我が国水道の国際化を施策として掲げているところである。
 (1)については主に開発途上国の抱える問題への支援を目的とするものであり、引き続き、水道ビジョンで掲げられている人材組織の拡充等今後の国際協力の体制強化への検討を行うこととしている。また(2)についてはわが国の水道関係者が国際感覚やコミュニケーション能力の向上をもって、相互理解と協力関係の増進にあたることが求められおり、世界水フォーラム等の国際会議などの機会を積極的に活用することとしている。
 今後の国際協力においても、上記の取組を促進していく所存であるので、関係各位の御参加・御協力をよろしくお願いしたい。


7. 三位一体の改革について

   三位一体の改革に係る政府・与党合意を踏まえ、健康局関係の補助金について、次の改革を行うこととした。


廃止・縮減国庫補助金

 ○疾病予防対策事業費等補助金の一部
  (1) 地域保健推進特別事業費
  (2) 地域保健関係職員等対策事業費
  (3) がん・循環器病診療施設情報ネットワーク事業費(うち循環器病事業分)
  (4) 結核対策特別推進事業費(うち一般対策事業分)
  (5) 感染症対策基盤整備事業費

 ○保健衛生施設等設備整備費補助金の一部
  (1) 地方中核循環器病センター設備
  (2) 健康科学センター設備
  (3) 農村検診センター設備
  (4) 難病相談・支援センター設備
  (5) 臓器移植コーディネーター設備

 ○保健衛生施設等施設整備費補助金の一部
  (1) 保健所
  (2) 市町村保健センター
  (3) 健康科学センター

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