2. 違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)対策について

現状等

 ○  違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)は、近年、多幸感、快感等を高めるものとして、インターネット等で、「合法ドラッグ」等と称して販売されているが、その有害性のみならず、麻薬等の乱用の契機となることも危惧されることから、取締りの強化が必要である。

 ○  違法ドラッグは、使用目的に係る標榜ぶりに関わらず、事実上、人体への摂取を目的として販売されていると判断される場合には、薬事法上の無承認無許可医薬品に該当し、取締りの対象となることを、平成17年2月25日付監視指導・麻薬対策課長通知で示した。

 ○  同通知に基づき、
 (1) 平成17年4月、横浜市内の販売業者(厚生労働省及び横浜市実施)
 (2) 同年4月、香川県内の販売業者(香川県実施)
 (3) 同年7月、和歌山県内の販売業者(和歌山県実施)
 (4) 同年11月、東京都内の卸売販売業者(厚生労働省及び東京都実施)
 (5) 同年12月、東京都内の輸入販売業者(厚生労働省及び東京都実施)
に対して都道府県等の協力を得て、立入検査を実施し、違法ドラッグの販売中止、廃棄等の必要な措置を行い、公表を行った。

 ○  特に、亜硝酸エステル類を含有する「RUSH」等については、違法ドラッグとして上記(4)及び(5)に掲げる業者への取締りなど必要な指導等を行ってきたところである。このほか米国政府からの情報提供により、「RUSH」等を輸入販売していた別の業者に対して立入検査等を行ったが指導に応じないため、厳正に対応すべく警察当局と協議中である。

 ○  また、販売実態を調査するために、平成13年度から、(1)インターネット上の広告監視、(2)全都道府県での買上げ調査を実施している。

 ○  さらに、違法ドラッグ対策については、平成17年2月に、医学、薬学、法律等の専門家からなる「脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会」を設け、同年2月から11月にかけて6回にわたり審議を行い、11月に提言がまとめられたところである。

 ○  違法ドラッグのうち、科学的根拠に基づいて依存性、精神毒性等が認められたものを麻薬に指定している。(平成17年3月に「5-Meo-DIPT」、「AMT」を麻薬に指定。今年度中にさらに3物質(「MBDB」、「2C-T-7」、「ケタミン」)を指定する予定。

今後の取組

 ○  脱法ドラッグのあり方に関する検討会においてとりまとめられた提言の内容を踏まえ、次期通常国会に提出予定の薬事法改正案に、違法ドラッグ対策に関する以下の措置を盛り込む予定である。
 (1)  幻覚等の作用を有する一定の薬物について、その製造、輸入、販売等を禁止する。
 (2)  当該薬物の疑いのある物についての検査命令等を行うことができることとする。

 ○  平成18年度は、引き続き精神毒性、依存性に関する試験を実施し、迅速な麻薬指定により取締りの強化を図っていくこととしている。
 ア  全都道府県での買上げ調査の実施  5,798万円
 イ  民間調査機関での買上げ調査の実施  946万円
 ウ  麻薬指定のための依存性等の試験実施  1,546万円
 エ  違法ドラッグ乱用防止の啓発の実施  4,426万円
 オ  乱用薬物情報収集分析の実施  137万円

都道府県への要請

 ○  次期通常国会に提出予定の薬事法改正案に盛り込まれる違法ドラッグ対策の実施においては、成分の分析、販売者への指導等が必要となる見込みである。これらの円滑な実施に向け、必要な準備等をお願いしたい。

 ○  改正薬事法案の成立、施行までの期間については現行薬事法による取締りを継続することとなる。平成17年2月の通知でお示ししている通り、現行法においても取締りが可能であるので、違法ドラッグの監視指導を強化し、薬事法違反事案に対する厳重な取締りをお願いしたい。

 ○  今後とも全都道府県での買上げ調査事業を行うこととしている。本調査で得られる情報は、違法ドラッグ対策の基礎をなし、特に規制すべき物質の指定のために不可欠のものであるので、引き続き本事業の円滑な実施に向け協力をお願いしたい。

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