年金積立金管理運用独立行政法人 中期目標


 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第29条第1項の規定に基づき、年金積立金管理運用独立行政法人が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を次のとおり定める。

  平成18年4月1日
厚生労働大臣 川崎 二郎

第1  中期目標の期間

 中期目標の期間は、平成18年4月から平成22年3月までの4年間とする。

第2  業務運営の効率化に関する事項

 1.  効率的な業務運営体制の確立
 組織編成及び人員配置を実情に即して見直すとともに、業績評価等を適切に行うことにより、効率的な業務運営体制を確立すること。

 2.  業務運営能力の向上
 職員の採用に当たって、資質の高い人材を広く求めるとともに、職員の資質の向上を図るため、研修の充実、資格取得の奨励、他の関係機関との人事交流等に積極的に取り組むことにより、業務運営能力の向上を図ること。

 3.  業務管理の充実
 業務の遂行状況の組織的かつ定期的な管理及び自己評価等を適切に行うとともに、職員の意識改革を図り、法令遵守及び受託者責任の徹底を図る観点から、内部統制を含めた業務管理の充実を行うこと。

 4.  事務の効率的な処理

(1)  運用資産の管理等に関するシステムの整備を行うこと等により、厚生年金保険及び国民年金における積立金(以下「年金積立金」という。)の管理及び運用を適切かつ効率的に行うこと。

(2)  業務及びシステムの最適化を図るため、業務・システムの監査及び刷新可能性調査を踏まえ、平成19年度までに業務及びシステムに関する最適化計画の策定及び公表を行い、その後速やかに当該計画を実施すること。

(3)  電子化・ペーパーレス化等により、事務の効率的かつ迅速な処理を推進すること。

 (注)  年金積立金には、年金積立金管理運用独立行政法人法(平成16年法律第105号)附則第8条の規定に基づき管理及び運用を行う資産を含む。

 5. 業務運営の効率化に伴う経費節減
 一般管理費(独立行政法人移行経費、退職手当、事務所移転経費を除く。)については、中期目標期間の最終年度において、特殊法人時の最終年度(平成17年度)における資金運用業務に係る当該経費と比べて12%以上節減すること。
 このうち人件費については、「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)を踏まえ、平成18年度以降の5年間において、国家公務員に準じた人件費削減の取組を行うこと。これを実現するため、中期目標期間の最終年度までの間においても、必要な取組を行うこと。
 併せて、国家公務員の給与構造改革を踏まえ、給与体系の見直しを進めること。
 また、業務経費(システム開発費、管理運用委託手数料を除く。)については、中期目標期間の最終年度において、特殊法人時の最終年度(平成17年度)における資金運用業務に係る当該経費と比べて4%以上節減すること。
 なお、管理運用委託手数料については、運用手法に応じ、効率的かつ合理的な水準とすること。

第3  業務の質の向上に関する事項

 1.  受託者責任の徹底
 年金積立金の管理及び運用に当たっては、専門性の向上を図るとともに、責任体制の明確化を図り、年金積立金の運用に関わるすべての者について、受託者責任(慎重な専門家の注意義務及び忠実義務の遵守)を徹底すること。

 2.  情報公開の徹底
 年金積立金の管理及び運用の方針並びに運用結果等について、十分な情報公開を行い、年金積立金の管理及び運用に関する国民の理解と協力を得るよう努めること。

第4  財務内容の改善に関する事項

 「第2 業務運営の効率化に関する事項」で定めた事項に配慮した中期計画の予算を作成し、当該予算による運営を行うこと。


第5  その他業務運営に関する重要事項

 1.  年金積立金の管理及び運用の基本的な方針

(1)  運用の基本的考え方
 年金積立金の運用は、年金積立金が被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の年金給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって年金事業の運営の安定に資することを目的として行うこと。

(2)  運用の目標
(1) 実質的な運用収益の確保
 年金財政は、実質的な運用利回り(賃金上昇率を上回る運用利回り)が確保される限り基本的には影響を受けないことから、年金財政上の諸前提(別添)における実質的な運用利回りを確保するよう、長期的に維持すべき資産構成割合(以下「ポートフォリオ」という。)を定め、これに基づき管理を行うこと。

(2) 市場平均収益率の確保
 各年度において、各資産ごとに、各々のベンチマーク収益率を確保するよう努めるとともに、中期目標期間において、各々のベンチマーク収益率を確保すること。
 ベンチマークについては、市場を反映した構成であること、投資可能な有価証券により構成されていること、その指標の詳細が開示されていること等の条件を満たす適切な市場指標を用いること。

(3)  年金積立金の管理及び運用におけるリスク管理
 年金積立金については、分散投資による運用管理とともに、年金積立金の管理及び運用に伴う各種リスクの管理を行うこと。

(4)  市場及び民間の活動への影響に対する配慮
 年金積立金の運用に当たっては、市場規模を考慮するとともに、市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないよう配慮すること。
 また、民間企業の経営に対して影響を及ぼさないよう配慮すること。

(5)  年金給付のための流動性の確保
 年金財政の見通し及び収支状況を踏まえ、年金給付等に必要な流動性(現金等)を確保すること。

(6)  管理及び運用に関する具体的な方針の策定
 年金積立金の管理及び運用について、具体的な方針を策定すること。

 2.  年金積立金の管理及び運用における長期的な観点からの資産の構成に関する事項

(1)  ポートフォリオの策定
 ポートフォリオは、年金財政上の諸前提(別添)と整合的なものとなるように策定することとし、その際、以下の点に留意すること。
 年金財政上の諸前提における実質的な運用利回りを確保するような資産構成とすること。
 年金財政の安定化の視点から、変動リスクを一定範囲に抑える資産構成とすること。その際、株式のリターン・リスクについては、そのリスク特性に配慮しつつ、慎重に推計を行い、ポートフォリオ全体のリスクを最小限に抑制すること。
 なお、財投債の引受けが平成19年度まで、財政融資資金に預託された年金積立金の償還が平成20年度まで継続することを踏まえて、年金積立金全体についてのポートフォリオを策定すること。

(2)  ポートフォリオの見直し
 ポートフォリオの策定時に想定した運用環境が現実から乖離していないかなどについての検証を行い、必要に応じて随時見直すこと。

 3.  年金積立金の管理及び運用に関し遵守すべき事項

(1)  リスク管理の徹底
 ポートフォリオ管理を適切に行うとともに、資産全体、各資産、各運用受託機関及び各資産管理機関のリスク管理を行うこと。

(2)  運用手法
 長期保有を前提としたインデックス運用等のパッシブ運用を中心とし、例外は確たる根拠がある場合に限るものとすること。

(3)  その他
 運用額の規模を考慮し、自ら過大なマーケットインパクトを蒙ることがないよう努めるとともに、市場の価格形成等への影響に配慮し、特に、資金の投入及び回収に当たって、特定の時期への集中を回避するよう努めること。
 企業経営等に与える影響を考慮し、株式運用において個別銘柄の選択は行わないこと。
 企業経営等に与える影響を考慮しつつ、長期的な株主等の利益の最大化を目指す観点から、株主議決権の行使などの適切な対応を行うこと。

 4.  その他

(1)  財投債の引受け
 平成19年度まで、厚生労働大臣から寄託された年金積立金の一部を財投債の引受けに充て、その管理及び運用を行うこと。

(2)  主たる事務所の移転に伴う関係機関との連携確保
 主たる事務所の神奈川県への移転により業務の円滑かつ効率的な実施に支障が生じることがないよう、関係行政機関及び関係金融機関等との緊密な連携の確保に努めること。



(別添)


 平成16年財政再計算における経済前提

 物価上昇率
  長期(平成21年以降) 1.0%

 賃金上昇率
  長期(平成21年度以降) 2.1%(実質 1.1%)

 運用利回り
  長期(平成21年度以降) 3.2%(実質的な運用利回り 1.1%)


(参考)
(単位:%)
  平成18
(2006)
平成19
(2007)
平成20
(2008)
平成21以降
(2009)
物価上昇率 1.2 1.5 1.9 1.0
賃金上昇率
[実質]
2.0
[0.8]
2.3
[0.8]
2.7
[0.8]
2.1
[1.1]
運用利回り
[実質(対賃金上昇率)]
2.3
[0.3]
2.6
[0.3]
3.0
[0.3]
3.2
[1.1]
 注1: 物価上昇率は各年の数値、賃金上昇率及び運用利回りは各年度の数値を記載。
 注2: 運用利回りは自主運用分の利回りの前提である。平成19年度までの運用利回りは、これに財投預託分の運用利回り(平成14年度末の預託実績より算出)を勘案した数値となる。


 厚生年金・国民年金の財政見通し(別紙


〈照会先〉 年金局総務課 運用管理係
TEL 5253-1111(内線3360)

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