<情報提供>
照会先:
<医薬品>
医薬食品局審査管理課
課長補佐 近澤(内線2737)
専門官 齊藤(内線2743)
<医療機器>
医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室
専門官 高江(内線2787)


米国産ウシ由来の原材料を使用している医薬品等について


平成18年3月31日
医薬食品局審査管理課

 平成15年12月末の米国でのBSEの発生後、医薬品等の製造業者等に対して調査を行い、米国産ウシ由来の原材料を使用して製造されている医薬品等約2600品目についての報告を受けました(平成16年2月)。
 これを受けて、平成16年2月に薬事・食品衛生審議会において、米国産ウシ由来の原材料を使用して製造されている医薬品等の安全性や今後の取扱い等についての審議が行われ、医薬品等については、リスクの高い部位の使用が制限されていること、その製造過程で、アルカリ処理、精製等BSEの病原体の除去・不活化に効果のある様々な化学処理等が施されていることから、通常使用されている範囲では公衆衛生上のリスクは回避されていると考えられるとの結論が得られております。また、更なる予防的な措置として、一部のものを除いた医薬品等については他の原産国又は他の原材料への切替えを行うこととしました(別紙1)。
 切替えを行うこととされた医薬品等については、現在までにそのほとんどが原産国又は原材料の切替えを終了しております。一部の医薬品(別紙2)については、そのほとんどは医薬品を製造する過程で使用する培地等に使われているものではありますが、現在も米国産ウシ由来の原材料を使用して製造されています。また、薬事法に基づく現行の基準においては、米国産ウシ等に由来する原材料を医薬品等に使用することは原則として認められていませんが、治療上の効果が当該原材料を使用することによるリスクを上回る場合等においては、その使用が認められており、平成15年7月以降、その製造工程においてウシ血清を使用した医薬品2品目が承認されています。これらについては、現在、他の原産国等への切替え後も、その有効成分の同一性・同等性等が確保されているかどうかの確認を進めているところであり、厚生労働省は、製造販売業者に対し、原材料を速やかに切替えるよう指導しているところです。
 また、医療機器についても、現在までにそのほとんどが原産国又は原材料の切替えを終了しております。原材料の切替えが困難な人工心臓弁1品目を除き、残り2品目についてはコラーゲンでありますが、その原材料を速やかに切り替えるよう指導しているところです(別紙3)。
 なお、これらの医薬品等については、使用者に対する徹底した情報提供を行うよう求めているところです。具体的には、米国産のウシ由来物を原材料として使用していること等について、添付文書又はその他の文書をもって情報提供したことに加え、本年5月中旬までに、患者向け説明文書を作成し、すべての納入医療機関に配布するよう、製造販売業者にあらためて指示するとともに、関係医療機関に対して、配付された文書等を用いて患者に対し説明を行うよう通知したところです。



別紙1

米国のBSE発生時にウシ等由来原材料の変更の対象とされた医薬品等
平成16年2月時点

 主たる成分としてウシ等由来物を使用しているもの(約250品目)
コンドロイチン硫酸製剤
組織接着剤
ゴオウ製剤
胆汁末製剤
胆汁エキス製剤
肝臓エキス製剤
心臓エキス製剤
精巣エキス製剤

 出発原料や菌培養の培地等としてウシ等由来物を使用しているもの(約100品目)
血栓溶解剤(遺伝子組換え)
抗悪性腫瘍抗体医薬品(遺伝子組換え)
腎性貧血改善剤(遺伝子組換え)
抗リウマチ薬(遺伝子組換え)
G−CSF製剤(遺伝子組換え)
ウイルス感染治療薬(遺伝子組換え)
抗生物質
肺炎球菌ワクチン
乾燥弱毒生麻しんワクチン
乾燥弱毒生風しんワクチン
乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン
日本脳炎ワクチン
血液凝固因子製剤
再生不良性貧血治療薬(遺伝子組換え)
インターフェロン(遺伝子組換え)
免疫抑制剤(遺伝子組換え)
インスリン(遺伝子組換え)
成長ホルモン(遺伝子組換え)
A型肝炎ワクチン
抗悪性腫瘍溶連菌製剤
抗悪性腫瘍薬
ステロイド剤
ウルソデオキシコール酸類

 カプセルなど材料としてウシ由来物を使用しているもの(約1750品目)
抗腫瘍剤
コンドロイチン硫酸製剤
高カロリー輸液用微量元素製剤
抗生物質、抗菌剤
癌治療薬
HIV治療薬
免疫抑制剤
抗インフルエンザ薬
血栓溶解剤
不整脈薬
心房細動等治療薬
虚血性心疾患治療薬
狭心症治療薬
心不全治療薬
強心配糖体
循環改善薬
微小循環系賦活剤
抗プラスミン剤
ウイルソン病用薬
抗炎症薬
抗潰瘍薬
代謝異常治療薬
リウマチ薬
子宮内膜症治療薬
癌昇圧化学療法剤
ステロイド剤
神経障害治療薬
パーキンソン病治療薬
精神分裂病治療薬
抗うつ剤
自律神経剤
抗てんかん薬
カルシウム拮抗薬
高脂血症改善薬
降圧剤
抗アレルギー薬
真菌症治療薬
甲状腺機能検査薬
利胆及び鎮痙剤
ビタミン剤
解熱鎮痛剤
鎮痙薬
骨粗鬆症用薬
肝機能改善薬
止しゃ薬
β作動薬
感冒薬
滋養強壮剤
抗リウマチ薬

注:本表は、平成16年2月開催の薬事食品衛生審議会生物由来技術部会の資料から再構成し、代表的な医薬品等を例示したものである(大臣承認品目が主体)。



別紙2

米国産ウシ由来の原材料が使用されている医薬品
(平成18年3月31日現在)
成分名 販売名(製造販売業者) 種類・適応など
インターフェロン ガンマ-n1 オーガンマ100(大塚製薬) インターフェロン製剤
インターフェロン アルファ
(BALL-1)
オーアイエフ250万IU、同500万IU、同1000万IU(大塚製薬) インターフェロン製剤
乾燥ガスえそ抗毒素 乾燥ガスえそ抗毒素”化血研”(化学及血清療法研究所) 抗毒素製剤
乾燥ボツリヌス抗毒素 乾燥ボツリヌス抗毒素”化血研”(化学及血清療法研究所) 抗毒素製剤
乾燥濃縮人活性化プロテインC 注射用アナクトC2500単位(化学及血清療法研究所) 静脈血栓症治療剤
乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン 乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン「化血研」(化学及血清療法研究所) ワクチン製剤
乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子 クロスエイトM250、同500、同1000(日本赤十字社) 血液凝固第VIII因子製剤
インフリキシマブ レミケード点滴静注用100(田辺製薬) 難治性関節リウマチ治療剤
ムロモナブ-CD3 オルソクローンOKT3注(ヤンセンファーマ) 腎移植後の急性拒絶反応の治療剤
肺炎球菌莢膜ポリサッカライド ニューモバックス(萬有製薬) 肺炎球菌ワクチン
オクトコグアルファ コージネイトFS250IU注射用、同500IU注射用、同1000IU注射用(バイエル) 血液凝固第VIII因子製剤
ルリオクトコグアルファ リコネイト250、同500、同1000(バクスター) 血液凝固第VIII因子製剤
イミグルセラーゼ セレザイム注200U(ジェンザイム・ジャパン) ゴーシェ病治療剤
A型ボツリヌス毒素 ボトックス注100(グラクソ・スミスクライン) 顔面痙攣治療剤
サキナビル フォートベイスカプセル(中外製薬) HIV感染症治療剤
トラスツズマブ ハーセプチン注射用60、同150(中外製薬) 乳癌治療剤
リツキシマブ リツキサン注10mg/mL (100mg/10mL)(全薬工業)
リツキサン注10mg/mL (500mg/50mL)(全薬工業)
難治性白血病治療剤

(平成15年7月以降に新たに承認された医薬品)
ゲムツズマブオゾガマイシン マイロターグ注射用5mg(ワイス) 難治性白血病治療剤
エタネルセプト エンブレル皮下注用25mg(ワイス) 難治性関節リウマチ治療剤

 (注)*印の医薬品は、本年4月までに米国産ウシ由来の原材料をその他の原材料へ切り替えるもの。



別紙3

米国産ウシ由来の原材料が使用されている医療機器
(平成18年3月31日現在)
種類 販売名(製造販売業者) 主な用途
人工心臓弁 カーペンター エドワーズ 牛心のう膜生体弁(エドワーズライフサイエンス) 心臓弁膜症の治療(心臓弁の置換)
外科・整形外科用手術材料 ヘリスタット(白鵬) 手術時の創傷の止血等に使用する
歯科用手術材料 バイオメンド吸収性コラーゲンメンブレン(白鵬) 歯周病の治療に使用

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