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社会保険庁改革について

社会保険は国民の信頼があってこそ成り立つものであり、効率的で質の高い社会保険サービスの実現と国民の信頼回復に向けて、社会保険庁の抜本的な改革を推進。

 
社会保険庁改革推進本部
庁内に社会保険庁改革推進本部を設置し、以下の課題ごとに改革プロジェクトチ−ム等を設置。
  (1)保険料徴収の徹底、(2)システムの抜本的見直し、(3)国民サービスの向上、(4)予算執行の透明性の確保
(5)個人情報保護の徹底、(6)年金福祉施設等の整理合理化

民間の発想や感覚を大胆に導入
長官に対して高い見識に基づくアドバイスを行う最高顧問2名を迎える。
課題ごとにプロジェクトリーダー、アドバイザリースタッフなどを経済界の協力により配置。

社会保険事業運営評議会
社会保険庁の個々の事業運営の適切さや効率性をチェックするための評議会として社会保険庁長官の下に設置。
保険料拠出者、学識経験者等が参加。

社会保険庁の在り方に関する有識者会議
社会保険庁の在り方について基本に立ち返った議論を行う場として、内閣官房長官の下に設置。
有識者8名と内閣官房長官及び厚生労働大臣が参加。

 
有識者会議を踏まえた改革の推進
有識者会議の意見を踏まえ、80項目の業務改革メニューを掲げた「緊急対応プログラム」をまとめるとともに、第5回会議(11月26日)では、これまでの議論を中間的にとりまとめたところ。
組織の在り方を含め、本年の夏頃を目途に最終的な取りまとめを行う予定。



これまでの議論の整理と今後の検討方針
(中間とりまとめ)



社会保険庁の在り方に関する有識者会議
平成16年11月26日



1. 社会保険庁を取り巻く状況等

 ○  社会保険庁については、先般の年金制度改革の審議やマスコミの報道等において、その事業運営の在り方について、
利用者の立場や目線に立ったものとなっていない
税金や保険料を年金給付に関すること以外に安易に使っている
個人情報保護の重要性等について意識が足りない
保険料の徴収対策に真剣に取り組んでいない
組織としての一体性や内部統制がとれていない
国民に対する情報の提供が迅速・適切に行われていない
 など、その問題点等について様々な指摘がなされた。

 ○  社会保険制度は、国民の信頼があってこそ成り立つものであり、損なわれた国民の信頼を回復するためには、提起された様々な厳しい批判を真摯に受け止め、社会保険庁の改革を速やかに進めていくことが必要である。

 ○  このような状況を踏まえ、社会保険庁の在り方について基本に立ち返った検討を行う場として、本年8月に官房長官の下に、この「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」が設置された。

 ○  また、この間、社会保険庁においても改革を推進する体制が整備されてきた。新しい体制の下で、民間の発想や感覚を大胆に導入した取組を推進することが求められている。

 ○  しかしながら、その後も社会保険庁幹部職員の収賄容疑での逮捕や、監修料問題といった国民の疑惑を招く事案が明らかになったことは誠に遺憾であり、組織そのものの在り方が問われている。今後、厚生労働省に設置された副大臣を委員長とする信頼回復対策推進チームの下で、徹底した調査を進めるとともに、監修料の受け取り禁止等の厳格なルールの遵守が図られなければならない。

2. これまでの議論の状況等

 ○  本会議は、第1回会議を平成16年8月11日に、第2回会議を8月25日に開催し、社会保険庁改革の課題と方向性について議論を行ってきた。その際、特に、構造的課題が何であるのかを明らかにしつつ、それに対して対症療法的ではなく、構造的に解決できる対応が講じられるよう留意しながら議論を進めてきた。

 ○  また、9月17日の第3回会議においては、こうした議論を踏まえ、社会保険庁から当面の具体的な業務改革メニューとして「緊急対応プログラム」が提示され、その具体的方策等について議論を行った結果、10月25日の第4回会議において「緊急対応プログラム」(修正版)が提示され、緊急対応方策の具体化に関し、引き続き議論を深めた。

 ○  さらに、本日の第5回会議の議論を経て、別添(略)のとおり、最終的な「緊急対応プログラム(再修正版)」が取りまとめられた。

3. 「緊急対応プログラム」に基づく取組について

 ○  「緊急対応プログラム」においては、構造的課題に対応するため、国民サービスの向上、予算執行の透明性の確保、個人情報保護等の徹底、保険料徴収の徹底及び組織の改革の各分野にわたる業務面での対応に加えて、運営評議会、調達委員会及び法令遵守委員会の設置等の組織面での対応も掲げられ、実施可能なものから逐次取組が開始されているところである。

 ○  今後、社会保険庁においては、緊急対応プログラムに掲げられた取組事項のうち、緊急に実施すべきものとされている事項については、今年度中に確実に実施すべく対応を進めるとともに、来年度に実施すべき事項については、平成17年度予算に向けて必要な措置を講じた上で、円滑な実施に努められたい。

 ○  また、これらの実施に当たっては、調達コスト削減目標の設定、社会保険事務所毎の事業コストの管理等を通じて、予算の効果的・効率的な執行を徹底するとともに、具体的な取組内容等について、ホームページなどを通じて国民に分かりやすい形で情報提供し、国民の理解を得るよう最大限努めるべきである。併せて、「緊急対応プログラム」に掲げられた取組を円滑に推進するための体制整備にも留意すべきである。

 ○  なお、今後とも、緊急対応プログラムの内容については、状況に応じて適宜追加、改善を図るなど、国民のニーズ等に即し機動的に対応することが必要である。

4. 今後の検討方針

 ○  本会議においては、第4回会議から、社会保険庁の組織の在り方についての議論にも着手したが、今後、来年夏の最終とりまとめに向けて、様々な観点から議論を深めることとしたい。

 ○  社会保険業務については、今後、高齢化の進展に伴い業務量が確実に増加するとともに、国民の社会保険制度への関心の高まり等により、質の高いものであることが求められる。

 ○  したがって、組織の在り方についての議論に当たっては、まずは、運営主体がどのように変わろうとも、国民のニーズに十分に応えるサービスを提供することを徹底することと併せて、組織の効率化を徹底していくことが不可欠であり、
どのようにして業務そのものの効率化を図っていくか
どのような業務について、外部委託や非正規職員への転換を図っていくか
どのような業務について、広域的な集約化を図っていくか
どのようにして人員配置の地域格差を是正していくか
等の具体的方策について検討することとする。

 ○  また、運営主体の在り方についての検討に際しては、社会保険事業の運営主体に求められる基本的要素を十分踏まえることが必要であり、具体的には、
(1) 国民の信頼の下における将来にわたる持続可能性の確保
(2) 全国民による支え合いの仕組みの確保
(3) 国民の視点に立ったサービス提供の推進
(4) 全国民を対象とした一元的かつ超長期的な被保険者情報の管理
(5) 政府管掌健康保険における被用者の受け皿としての機能の確保
(6) 被保険者情報の保護の徹底
(7) 保険料の強制徴収等の公権的行為の迅速・確実な実施
(8) 費用対効果の視点等に立った効率的・効果的な業務の実施
といったことを遂行できるものであることを前提として、独立行政法人化等公法人化すべきではないか、民間に委ねてはどうか、社会保険庁の業務の一つである徴収業務を他の機関に移管してはどうかという議論をも含め、あらゆる議論を例外とせず幅広い検討を進めていく。

 ○  なお、運営主体の在り方に関しては、他の審議会等における制度の在り方についての議論の進展状況にも十分留意しつつ、議論を進めることとする。

 ○  また、こうした組織の在り方についての議論を進めるとともに、事務・事業や情報公開の在り方、関連する団体の在り方等についても引き続き検討を行うなど、社会保険制度の主役である国民の便益が最優先されなければならないという基本的な考え方に立って、本会議に課せられた役割・責任を十分に果たすべく議論を尽くしてまいりたい。



社会保険庁改革の進捗状況

 社会保険庁の事業運営について、いただいてきた様々な御指摘・御批判の一つひとつをしっかりと受け止め、速やかに改革すべく、業務改革メニューとして80項目にわたる「緊急対応プログラム」をとりまとめ、逐次取組を開始するなど、社会保険庁改革を推進しています。

問題点

緊急対応プログラム等に基づく主な取組

1. 予算執行の透明性の確保等
 ○ 安易な随意契約が多い
→
競争入札又は企画競争の原則化(16年8月〜)
 ○ 予算執行に当たって必要性等
が精査されていない
→
調達案件の厳格な審査等を行う調達委員会の設置(16年10月)
調達コストの削減目標数値の設定(16年度中)
各事務局等の家賃を総検証し、価格交渉・移転を実施(16年度中)
社会保険オンラインシステムの最適化計画の策定及び契約内容の明確化・審査の厳格化(17年度〜)
独立行政法人を設立し、年金福祉施設等を売却(17年度からの5年間)
 ○ 職員が多額の監修料を
受け取っていた
→
監修料の受け取り禁止、幹部職員の給与自主返納(16年10月〜)
2. 個人情報保護の徹底
 ○ 個人情報が簡単に漏洩していた
→
職員毎にカード番号を固定化(16年7月)し、本人識別のためのパスワードを登録する(16年10月)とともに、アクセス内容の監視を行う(16年度中)など、個人情報が漏洩することのないシステムを整備
3. 国民サービスの向上

 ○ 年金相談の待ち時間が長い
→
年金相談の充実
毎週月曜日における相談時間の延長(平成16年12月〜)
休日における年金相談のモデル実施(本年度中に7日実施)
年金相談窓口の増設
年金相談にお越しいただく必要をなくすための取組
インターネットによる年金個人情報の即時提供(17年度〜)
毎年、年金加入者に保険料納付記録を通知(17年度〜)
 ○ 窓口の対応が不親切である
→
職員行動規範を策定し、窓口・電話応対を改善(16年12月〜)
サービススタンダードを設定し、事務処理期間や待ち時間を短縮
(16年度中)
4. 保険料徴収の徹底
 ○ 効率的・効果的な対策が
講じられておらず、
年金給付に結びつかない
おそれがある
→
要因別収納対策の推進
市町村の税情報の活用による強制徴収等の実施(16年10月〜)
コンビニ等での納付の周知(16年2月〜)
社会保険事務所ごとの年度別行動計画の策定(16年10月〜)
<平成15年度:63.4%→19年度:80%>
厚生年金・健康保険の未適用事業所に対する加入指導の強化と職権適用の実施(16年度中)
5. 組織の改革
 ○ 地域によって人員配置や
事業成績に格差がある
→
今年度中に人員配置の見直し計画を策定し、来年度から地域間格差の是正に着手
国民年金保険料収納業務・年金電話相談センター業務等について市場化テストを実施(17年度〜)
 ○ 職員の意欲を喚起する組織と
なっていない
→
各事務局・事務所ごとの事業実績の公表による競争の促進(17年度〜)
職員団体との確認事項等の破棄(16年11月〜)

 今後、官房長官の下に設置された有識者会議において、本年夏頃の最終とりまとめに向けて、社会保険庁の組織の在り方について、組織の形態論や統合論など、あらゆる議論を例外としない幅広い議論を進めていただくこととしています。


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