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4.介護関連施設の整備・運営について

(1)地域介護・福祉空間整備等交付金(仮称)について

 地域介護・福祉空間整備等交付金(仮称)は、三位一体改革や地域再生の観点などを踏まえ、国民が住み慣れた地域で暮らし続けることができるようにするため、各地方公共団体が地域の実情に合わせて予防から介護に至るまでのサービス基盤を面的に整備することを支援する新たな助成制度であり、平成17年度予算案に866億円を計上したところである。
 本交付金の内容については、昨年9月及び11月の全国課長会議で主だった事項をお示ししたところであるが、その後の検討で追加及び変更があったのでお示しする。
 今後の予定としては、採択基準等を明らかにした厚生労働省令(案)、実施要綱(案)並びに都道府県及び市町村が作成する整備計画の指針となる基本方針(案)を作成し、お示しすることとしているので、各都道府県(指定都市、中核市)におかれては、「施設生活環境改善計画」の策定に着手いただくとともに、管内市町村に対して速やかな情報提供をお願いしたい。

   計画策定に当たっての留意点

 市町村整備計画及び施設生活環境改善計画の策定に当たっては、第2期介護保険事業支援計画に定める各圏域ごとの平成18年度必要入所定員総数の範囲内であることが前提となる。
 なお、都道府県におかれては、管内市町村の市町村整備計画に係る小規模の特別養護老人ホーム等の整備量を把握するとともに、施設生活環境改善計画に係る特別養護老人ホーム等を含めた全体として平成18年度必要入所定員総数を上回ることのないよう十分留意されたい。

   市町村に対する交付金

(ア)市町村整備計画の策定等
 市町村は、国の基本方針に基づき、生活圏域を単位として、各種サービス基盤の面的な配置構想を基に、今後3年以内に実施する基盤整備事業を明らかにした「市町村整備計画」を策定することができる。(なお、1生活圏域に対する交付金の交付は、3年に1回を限度とする。)
 市町村整備計画に記載すべき事項としては、市町村の名称、計画の区域、計画の期間、計画の目標、既存の社会福祉資源の整備状況、基盤整備事業の内容、概算事業費及び計画の評価に関する事項等を考えている。

(イ)計画の対象となる事業
 地域密着型サービス等の拠点
 小規模多機能型居宅介護事業
 小規模(定員29人以下)の特別養護老人ホーム(創設、改修及び増築。個室・ユニット型を基本としつつ、地域における特別の事情も踏まえるものとする。)
 小規模(定員29人以下)の老人保健施設(創設及び改修。個室・ユニット型を基本としつつ、地域における特別の事情も踏まえるものとする。)
 小規模(定員29人以下)の特定施設入所者生活介護の指定を受けるケアハウス(創設に限る。ユニット型を基本としつつ、地域における特別の事情も踏まえるものとする。)
 認知症高齢者グループホーム
 認知症対応型デイサービス
 夜間対応型訪問介護事業
 介護予防拠点
 地域包括支援センター
 生活支援ハウス(離島、山村等の特別措置法に基づくものに限る。)
 高齢者の在宅生活を支えるための情報網等

(ウ)交付金に係る具体的採択等の流れ
(1) 指標のポイント化による計画の順位付け
 高齢者数の将来上昇率、高齢独居・夫婦世帯率などの客観的指標と介護サービス基盤等の複合的・効果的な整備を評価するための政策的指標を設定し、各計画のポイントを求め、順位付けを行う。
(2) 計画に対する交付額の算定
 2月に予定している全国課長会議で示す予定の基盤整備事業区分ごとの配分基礎額を基に算定した額を交付額とする。ただし、実際の総事業費を上限とし、また、1億円を超える場合は1億円とする。
(3) 計画の採択方法
 (1)で求めたポイントの高い計画から順に、予算の範囲内で採択する。ただし、平成17年度においては、介護予防拠点の緊急整備を優先し、介護予防拠点単体の計画も認めることとする。

   都道府県に対する交付金

(ア)施設生活環境改善計画の策定
 都道府県(指定都市、中核市)は、毎年度、国の基本方針に基づき、特別養護老人ホーム等の生活環境の改善を行うための「施設生活環境改善計画」を策定することができる。
 施設生活環境改善計画に記載すべき事項としては、都道府県の名称、計画の目標、参酌標準に照らした必要整備量及び基盤整備事業の内容等を考えている。

(イ)計画の対象となる事業
〈介護関連〉
 特別養護老人ホーム(定員30人以上)及び併設される老人ショートステイ用居室(創設、改修及び増築。個室・ユニット型を基本としつつ、地域における特別の事情も踏まえるものとする。)
 老人保健施設(定員30人以上。創設及び改修。個室・ユニット型を基本としつつ、地域における特別の事情も踏まえるものとする。)
 特定入所者生活介護の指定を受けるケアハウス(定員30人以上。創設に限る。ユニット型を基本としつつ、地域における特別の事情も踏まえるものとする。)
 訪問看護ステーション
 養護老人ホーム及び併設される老人ショートステイ用居室(創設、改修及び増築)
〈障害者関連〉
 補装具製作施設
 盲導犬訓練施設
 聴覚障害者情報提供施設
 点字図書館

(ウ)交付金に係る算定方法の流れ
(1) 当該年度の配分基礎単価の設定
 施設種別を問わない定員1人当たりの配分基礎単価を、2月に予定している全国課長会議で示す予定である。なお、老人保健施設、訪問看護ステーション及び障害者関連施設については、これとは別の単価を設定する。
(2) 調整率による調整
 配分基礎単価を基に、次の調整率を乗じて調整し、都道府県への配分基礎額を算定する。
 調整率a:施設種別や創設・改修等の別に応じたもの
 調整率b:建設コストの地域差や沖縄振興特別措置等の財政上の特別措置に応じたもの
 調整率c:既整備量と国の参酌標準との比較に応じたもの
(3) 配分額の決定
 (2)により算定された各都道府県等に対する配分基礎額の合計額が予算の範囲内となるように調整し、各都道府県等への交付額を決定する。

   平成17年度地方財政措置の取扱い

 施設生活環境改善計画又は市町村整備計画の対象となる事業のうち入所型施設等に係る交付金については、都道府県又は市町村が当該交付金の1/2見合いを補助することを想定し、これに見合った地方財政措置が行われる予定である。

   平成17年度の機構融資の取り扱いについて

 交付金の対象となる介護関連施設等の整備に対する機構融資については、当面、平成17年度が制度の切換え時期でもあることから、従来の融資対象範囲(従来の補助制度を前提とした自己負担相当分)を維持するとともに、従来と同程度の公費助成が行われた施設等に対して優先的に貸付けが行われる予定である。
  なお、介護関連施設の整備に係る資金需要に対応して資金調達が円滑に行えるよう、機構と民間金融機関が連携して融資を行う協調融資の仕組みを導入されたところであるので、これを充分活用するよう指導されたい。


(2)施設整備業務の適正化について


   補助金の不正受給の未然防止について

 社会福祉法人が、補助事業を行うために締結した契約の相手等から寄付金等の資金提供を受けることは、いわゆる水増し契約が行われていてリベートなどとして不当に資金が還流しているのではないかとの社会的な疑惑を招く基になる。
 このため、既に「社会福祉施設等施設整備費及び社会福祉施設等設備整備費に係る契約の相手方等からの寄付金等の取扱いについて」(平成13年7月19日付4部局課長連名通知)により通知しているとおり、契約の相手方等からの寄付金等の資金提供を受けることを禁止しているところである。
 しかしながら、本年度においても、本来の工事費を水増しした虚偽の契約書をもとに実績報告を行い、整備費補助金を不正な手段により過大に受給するなどの事件が散見される。
 このような事件の再発の防止のため、管内市区町村及び社会福祉法人等に対し、引き続き各種関連通知の趣旨に沿った指導の徹底を図られたい。
 さらに、各種の全国会議等でも再三申し上げてきたところであるが、不正受給の事実が発覚した場合には、補助金を返還させることはもとより、不正に関与していた者について告発を行うなど、厳正な対処を行われたい。併せて、このような不適正な整備事業が採択された要因を分析し、再発防止に万全を期されたい。

   補助金の過大受給の防止について

 平成16年度の会計検査院の実地検査においても、特別養護老人ホーム等の設置者である社会福祉法人に補助の仕組みに対する理解が不足していたことによって、補助対象外経費を補助対象に含め、結果として補助金等を過大に受給している事例が指摘されている。
 ついては、管内市区町村及び社会福祉法人等に対して、適切な補助の取扱いについて更なる周知徹底を行うとともに、国庫補助協議時のみならず、交付申請時、実績報告時の書類審査をより厳格に行われたい。


(3)三位一体改革における国庫補助負担金の廃止・税源移譲について


   養護老人ホーム

 老人福祉法に基づき市町村が養護老人ホームへの入所措置等を行うに当たり必要な経費については、国としても一定の負担を行ってきたところであるが、地方六団体からの廃止・税源移譲要望を受けて、本制度が各市町村において40年間適切に実施されてきており、各市町村の事務・事業として既に同化・定着していることを踏まえ、平成17年度から国の養護老人ホーム等保護費負担金は廃止し、税源移譲を行うこととしたところである。
 なお、養護老人ホームの入所については、『養護老人ホーム及び軽費老人ホームの将来像研究会報告書』(平成16年10月28日)を踏まえ、平成18年度から介護保険サービスが利用可能となるよう制度改正を行うこととしていることにも留意されたい。

   生活支援ハウス

 生活支援ハウスは、平成2年度に過疎地域における「高齢者生活福祉センター」として創設され、その後、過疎地域の限定を廃止し、名称も「生活支援ハウス」となったが、既に制度創設以来14年が経過し、各市町村において適切な事業運営が行われてきており、市町村の行う事務・事業として同化・定着していることを踏まえ、平成17年度からこれに係る補助金を廃止し、税源移譲を行うこととしたところである。


(4)介護関連施設における感染症対策の適正な実施について

 介護関連施設内における感染症の発生及びまん延の防止対策については、従来から指導いただいているところであるが、冬季に入り集団発生している施設が見られることから、次のことに御留意の上、衛生主管部局との連携の下で、各施設に対する十分な指導をお願いしたい。


  ア 昨年末から本年の年始めにかけて、広島県福山市内の特別養護老人ホームで多数の入所者が下痢・おう吐等を発症し、相次いで死亡者が出て、一部の検体からノロウイルスが検出された事例を始め、全国各地において介護関連施設において感染性胃腸炎によるものと思われる下痢・おう吐等の症状を呈する者の発生が頻発したことから、「高齢者施設における感染性胃腸炎の発生・まん延防止対策の徹底について」(平成17年1月10日老発第0110001号厚生労働省老健局計画課長通知)を通知したところであり、本通知を踏まえ、管内市区町村及び管内高齢者施設における対策の徹底を図ること。

  イ インフルエンザについては、近年、高齢者施設における集団感染、高齢者の死亡等の問題が指摘され、その発生の予防とまん延防止が重要な課題となっている。
 「今冬のインフルエンザ総合対策の推進について」(平成16年10月22日健感発第1022001号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)を踏まえ予防対策の徹底を図ること。

  ウ レジオネラ症の発生防止については、「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」(平成15年7月25日厚生労働省告示第264号)が策定されているので、これに基づき各施設において適切な措置が講じられるよう、発生防止対策の徹底を図ること。

  エ その他、多数の高齢者が利用する施設等については、衛生主管部局と連携の上で、衛生管理と感染症の発生及びまん延の防止のために適切な措置が講じられるよう留意すること。


(5)老人福祉施設の適正な運営について

 老人福祉施設の適正な運営については、監査等を通じて御指導いただいているところであるが、これまでの指導通知等を踏まえ、管内の施設において適正な運営が確保されるよう、強力な指導をお願いしたい。


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