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平成16年年金制度改正の全体像


平成16年年金制度改正の全体像の図

平成16年年金制度改正における給付と負担の見直し

給付水準
(厚生年金(夫婦の基礎年金を含む))
保険料負担
(厚生年金・国民年金)
基礎年金国庫負担割合の
引上げとその道筋
今後の少子化の中でも、
標準的な年金の給付水準は、
年金を受給し始める時点(65歳)で
現役サラリーマン世帯の平均的所得の
50%を上回るものとする。

平成35(2023)年度以降 50.2%





現在の59.3%から、現役世代の
人口減少とともに水準を調整。
ただし、もらっている年金額は
下げない。













年金をもらい始めた年以降
の年金額(名目額)は物価の
上昇に応じて増加するが、
通常は物価上昇率よりも
賃金上昇率の方が大きいため、
そのときどきの現役世代の
所得に対する比率は
下がっていくこととなる。








改正前  厚生年金:13.58%
(本人6.79%)
国民年金:13,300円
↓
(厚生年金)
・平成16(2004)年10月から毎年0.354%(本人0.177%)の増
 ※平均的勤労者(月収36.0万円、ボーナス3.6ヶ月分)本人
 各月650円
 ボーナス1回1,150円(年2回)
(国民年金)
・平成17(2005)年4月から毎年月額280円の増(平成16年度価格)
平成29(2017)年度以降
 厚生年金:18.30%
 (事業主9.15%)
 国民年金:16,900円
(平成16年度価格※)

「平成16年度価格」・・・16年度の賃金水準を基準として価格表示したもの。実際に賦課される保険料額は、16年度価格の額に、賦課される時点までの賃金上昇率を乗じて定められる。したがって、その額は今後の賃金の上昇の状況に応じて変化する。
平成16(2004)年度:着手
↓ 財源:年金課税の見直し(公的年金等控除の見直し、老年者控除の廃止)









増収約2,400億円のうち
地方交付税分を除く
約1,600億円を
基礎年金に充当
平成17年の所得から
適用なので
16年度の充当分は
その1/6(272億円)








平成17(2005)年度・18(2006)年度:
適切な水準にまで引上げ

↓ 財源:【平成15年12月与党税制改革大綱】
 個人所得課税の抜本的見直し
平成19(2007)年度を目途
【平成15年12月与党税制改革大綱】
 消費税を含む抜本的税制改革を実現
平成21(2009)年度まで:
2分の1への引上げ完了


厚生年金の保険料率の図、国民年金の保険料の図
国庫負担割合の引上げ、
積立金の計画的活用、
給付水準の見直し
などの改正を行い、
引上げを極力抑制
※ 平成16年価格とは、平成16年度の
賃金水準を基準として価格表示したもの。
実際に賦課される保険料額は、
平成16年度価格の額に、
賦課される時点までの
賃金上昇率を乗じて定められる。
したがって、その額は今後の賃金上昇の
状況に応じて変化するものである。


《現在の年金額改定(スライド)》の図   《マクロ経済スライドによる自動調整》の図
年金制度を支える力(保険料賦課のベース)は、社会全体の生産活動が生み出す所得や賃金
今後労働力人口が減少していく中で、平均賃金が上昇しても、それと同程度に年金制度を支える力(保険料賦課のベース)である社会全体の所得や賃金は増加しない。


ある程度、賃金(物価)が上昇した場合
ある程度、賃金(物価)が上昇した場合の図
賃金(物価)上昇率≧スライド調整率
 ⇒スライド調整を行う

賃金(物価)上昇が小さい場合
賃金(物価)上昇が小さい場合の図
賃金(物価)上昇率<スライド調整率
 ⇒スライド調整を行う
  (年金改定率は、マイナスとしない)

賃金(物価)が下落した場合
賃金(物価)が下落した場合の図
⇒スライド調整は行わない


保険料水準固定方式によるマクロ経済スライド −厚生年金(夫婦2人の基礎年金含む)−の図
※ ( )内は物価で現在価値に割り戻した価格表示


生き方、働き方の多様化に対応できる制度への見直し

【見直し(1) 働く高齢者の年金】
 
 60歳台前半では、働き始めたら年金額が減ると聞きました。これでは働く意欲が薄れてしまいます。

→
 60歳台前半で働いている方には、年金は一律2割支給停止されていますが、これを廃止します。

 70歳以上の方は、どんなに給与をもらっていても、年金がたくさんもらえるそうですが、それは不公平なのではないですか?

→
 70歳以上で働いている方については、報酬比例年金と給料の合計が現役世代の平均を超える(ボーナス込みで48万円以上)場合、報酬比例年金の支給調整を実施します。(基礎年金は減額しません。)

【見直し(2) 離婚時の年金】
 
 私は働いていた期間が短く、専業主婦期間が長かったので、離婚したら年金額がとても少なくなってしまいました。

→
 離婚の際に、両者の合意又は裁判の決定により、婚姻期間中に対応した両者の老齢厚生年金の合計額を、半分を上限に分割できるようにします。

【見直し(3) 子育てをする方の年金】
 
 子育てをしている家庭の支援をもっと充実させるべきではないですか。年金制度の中でも工夫ができませんか。

→
 待機児童ゼロ作戦の推進のほか、児童手当の拡充、児童虐待防止対策の充実、育児休業制度の見直しなどを行います。
 年金制度の中でも、育児休業期間の保険料免除措置を、子どもが1歳までから3歳までに拡大するなどの改善を行います。

【見直し(4) 障害年金】
 
 障害を持ちながら働いて来ましたが、65歳になっても年金額が障害基礎年金の額のまま変わりません。働いて納めてきた保険料は、年金に反映されないのでしょうか。
→
 障害をもちながら能力を発揮して働いたことが給付に結びつくよう、障害基礎年金と老齢厚生年金を併せて受給できるようにします。


国民年金保険料の収納対策の強化

要因分析を踏まえた新たな個別収納対策
 
保険料納付意識の徹底
 平成14年度の納付率低下要因の分析を踏まえた新たな個別対策を実施するとともに、未納者一人ひとりに対し、催告状、電話、戸別訪問等の地道な納付督励活動を強化する。

 1. 免除制度の見直し及び制度周知

 ○ 多段階免除制度の導入(法改正事項)
 免除対象者の負担感の急変を緩和し、免除制度を活用しつつできるだけ納付しやすい仕組みとするため、負担能力に応じたきめ細やかな免除制度とする

 ○ 単身世帯を中心とする所得基準の緩和

 ○ 免除申請等の承認期間の遡及(法改正事項)
 免除申請等が遅れた者が未納に陥ることを避ける

 2. 納付しやすい環境づくり

 ○ 口座振替割引制度の導入

 保険料の安定的な収納につながる口座振替の利用を促進

 ○ 若年者に対する納付猶予制度の導入(法改正事項)

 若年層の失業・無業者等に対し、保険料追納の機会を用意

 ○ 追納加算率の水準見直し

 3. 地域特性に応じたネットワーク(納付協力組織等)の活用

 ○ 納付協力組織に対する収納業務委託
 地域に根ざした同業者団体等を納付協力組織とし、当該組織加入員に係る収納業務を委託
年金制度の意義・役割や、保険料納付の有利さを正しく理解してもらう中で、保険料納付は国民の義務であるとの意識を徹底周知し、以下の対策を講ずる。また、こうした観点から、年金制度のわかりやすい広報、中高生に対する年金教育の実施を強化する。

1.強制徴収の実施
納付意識の徹底を図りつつ、度重なる納付督励によっても世代間連帯の下の納付義務を果たさない者であって、十分な所得や資産があり、他の被保険者の納付意欲にも悪影響を与えかねない滞納者について、強制徴収を実施する。

2.所得情報の取得(法改正事項)
効果的な保険料徴収のため必要な所得情報を取得するための法的整備を行う。

3.社会保険料控除の手続の見直し
未納者について国民年金保険料に係る社会保険料控除が適用されないようにするための措置を講じる。


制度の理解を深めるための取組み
年金個人情報の定期的な通知(法改正事項)

被保険者に保険料納付記録等の年金個人情報の定期的通知を行う。
その際、被保険者個々人の保険料納付実績を年ごとに点数化して表示する仕組み(ポイント制)を導入する。


改正事項 施行期日一覧

平成16年
10月
○ 厚生年金保険料の引上げ
○ 基礎年金国庫負担割合の引上げ
○ 年金額の伸びの調整(マクロ経済スライド) ※実際の適用は平成17年4月から
○ 給付水準50%の確保
○ 所得情報の取得
○ 確定拠出年金の拠出限度額の引上げ
 
平成17年
4月
○ 国民年金保険料の引上げ
○ 次世代育成支援の拡充
○ 60歳台前半の在職老齢年金制度の改善
○ 第3号被保険者の特例届出の実施
○ 若年者に対する納付猶予制度の創設
○ 保険料免除申請の遡及
○ 厚生年金基金の免除保険料率の凍結解除
○ 厚生年金基金の解散の特例措置
 
平成17年
10月
○ 確定拠出年金の中途引き出し要件の緩和
○ 企業年金のポータビリティの確保(年金通算措置)
 
平成18年
4月
○ 障害基礎年金と老齢厚生年金との併給
○ 障害基礎年金等の保険料納付要件の特例措置の延長
○ 年金積立金管理運用独立行政法人の創設
 
平成18年7月 ○ 多段階免除制度の導入
 
平成19年
4月
○ 離婚時の年金分割
○ 高齢期の遺族年金の支給方法の変更
○ 子のいない30歳未満の妻に対する遺族厚生年金の見直し
○ 中高齢寡婦加算の支給対象の見直し
○ 65歳以降の老齢厚生年金の繰下制度の導入
○ 70歳以上の被用者の老齢厚生年金の給付調整
 
平成20年
4月
○ 第3号被保険者期間に係る厚生年金の分割
○ 年金個人情報の定期的な通知(ポイント制)


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