戻る

生活習慣病対策室

1. 栄養施策について

 栄養・食生活は、多くの生活習慣病と関連が深く、また生活の質との関連も深いことから、健康・栄養状態の改善を図るとともに、良好な食生活を実現するための個人の行動変容を促すこと、及び個人の行動変容を支援する環境の確保が必要である。
 そこで、科学的根拠に基づく栄養施策の推進、栄養・食生活に関する知識の普及啓発、管理栄養士等による栄養指導の実施、管理栄養士等の人材育成を柱として栄養施策を推進している。

(「日本人の食事摂取基準」について)
   科学的根拠に基づく栄養施策の推進として、栄養学及び医学の学術誌等の文献の系統的レビューを行い、国民の健康の増進、エネルギー及び栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的に、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準として、平成17年度から平成21年度までの5年間使用する「日本人の食事摂取基準(2005年版)」を策定したところである。地域における健康づくり、健康診査後の栄養指導、給食の提供等関係事業の推進のための資料として御活用願いたい。

(国民健康・栄養調査について)
   毎年11月に実施している国民健康・栄養調査については、「健康日本21」の中間評価を始めとして、各種健康増進施策の基礎資料に活用されるものであることから、今後とも調査の実施について御協力願いたい。

(栄養・食生活に関する普及啓発について)
   これまで、厚生労働省、文部科学省、農林水産省の連携により心身ともに健康で豊かな食生活の実現に向け、「食生活指針」の普及啓発を行ってきているところである。しかしながら、30〜60歳代男性の肥満の増加、食塩の過剰摂取、野菜摂取量の不足などの状況がみられ、栄養・食生活に関する正しい知識の普及が喫緊の課題となっている。そこで、さらに具体的に「何を」「どれだけ」食べれば良いかといった、食事選択の場面でわかりやすい情報提供を行い、個々人の行動変容に結びつけるための啓発媒体を策定するため、平成16年12月に「フードガイド(仮称)検討会」を設置し、検討を進めているところである。

(管理栄養士等による栄養指導の実施について)
   各地方公共団体において、生活習慣病予防のための食生活に関する正しい知識の普及啓発のための栄養指導(一次予防)、健康診査の結果等に基づく個々人の状況に応じた適切な栄養指導(二次予防)が実施されているところである。
 平成17年度は、効果的な栄養指導を推進する観点から、糖尿病等の予防に重点をおいた栄養指導マニュアルを策定することとしている。

(管理栄養士等の人材育成について)
   地域における行政栄養士の業務について平成15年10月に健康局長から通知しているほか、管理栄養士の配置について地方財政措置を講じているところであり、「健康日本21」の推進、都道府県及び市町村における栄養指導業務の充実、国民健康・栄養調査の実施及び特定給食施設の栄養管理指導等の業務の重要性にかんがみ、行政栄養士の配置の促進による専門性を活かした体制の整備に特段の御配慮をお願いする。(平成16年7月現在、行政栄養士未配置の市町村は38.4%)
 また、管理栄養士国家試験については、第19回(平成17年3月27日実施)から、試験実施日が早期化されることから、各種事務手続の速やかな実施とともに、受験者及び養成施設への指導等をお願いする。


2. 運動施策について

 糖尿病を始めとする生活習慣病の予防には、バランスのとれた栄養・食生活と適度な運動を生活習慣として定着させていくことが重要である。
 このため、科学的根拠に基づく施策の推進、運動習慣の定着に必要な知識の普及、運動実践の場の提供及び運動実践を支援する人材の育成という4本の柱を中心に、施策を推進しているところである。

(運動所要量及び運動指針について)
   科学的根拠に基づく施策の推進としては、健康を維持するために必要な運動量を示した「運動所要量」を平成元年度に策定し、普及啓発を行っているところであるが、策定時に比べ科学的知見の蓄積が進んでいることから、平成17年度にこの見直しを行うこととしている。
 また、運動習慣の定着に必要な知識の普及としては、運動所要量に基づいて誰もが気軽に運動を行えるよう「運動指針」を平成5年度に策定し、普及啓発を行っているとところであるが、運動所要量同様、科学的知見の蓄積が進んでいることから、平成17年度にこの見直しを行うこととしている。

(運動実践の場の提供及びそれを支援する人材の育成について)
   健康づくりのための運動を安全かつ適切に行うことができる施設を「健康増進施設」として認定するとともに、医学的基礎知識、運動生理学の知識等に立脚しつつ、個々人の身体状況に応じた運動プログラムの提供及び指導を行う健康づくりのための運動指導者(健康運動指導士及び健康運動実践指導者)の養成等を行っているところである。

(その他の施策について)
   平成17年度には、運動所要量及び運動指針の見直しの他に、運動の中で最も手軽に誰もが取り組めるウォーキングについて、健康づくりのためのウォーキングロードについてのコンセプトづくりやウォーキングマニュアルの策定に必要な経費を予算計上しているところである。


3. たばこ対策について

 たばこが健康に悪影響を与えることは明らかとなっており、がん、循環器病等の生活習慣病を予防する上で、たばこ対策を進めることは重要な課題である。
 このため、平成12年から実施している「健康日本21」において、
(1) 喫煙がもたらす健康影響についての知識の普及、
(2) 未成年者の喫煙の防止、
(3) 公共の場所での分煙の徹底及び知識の普及、
(4) 禁煙希望者に対する禁煙支援プログラムの普及
の4つを柱とし、総合的なたばこ対策を推進することとしている。
 また、平成15年5月に施行された健康増進法においても、多数の者が利用する施設を管理する者は、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨が規定されたところである。

(たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の発効等について)
   公衆衛生分野における初めての多数国間条約である「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」については、批准国が40カ国に達した90日後に発効することとなっており、平成16年11月に批准国が40カ国に達したことから、本年2月27日に発効することとなったところである。
 我が国では、平成16年6月8日に同条約を批准し、関係省庁連絡会議を開催するなど、各省庁が連携してたばこ対策を推進しているところである。

(平成17年度予算案について)
   平成17年度予算案では、
(1) 地域の関係者から成る協議会を設け、連携してたばこ対策に取り組むこと、
(2) 受動喫煙対策が遅れている施設等を対象とした禁煙・分煙指導の強化を図ること
等に重点を置いた地域における対策を支援する観点から、「たばこ対策緊急特別促進事業」として必要な経費を計上しているほか、禁煙、節煙を希望する者に対する禁煙支援プログラムを全ての市町村で受けられるようにするために、禁煙支援マニュアルの作成に必要な経費を計上しているところである。


4. 糖尿病対策について

 循環器疾患の主要な危険因子である糖尿病については、平成14年度糖尿病実態調査によると、糖尿病が強く疑われる人は約740万人であり、糖尿病の可能性を否定できない人を合わせると約1,620万人に上っており、境界型を含めた糖尿病患者数は急増している。
 糖尿病は、自覚症状のないまま発症することが多く、治療することなく放置すると、腎症、網膜症、神経症などの合併症を引き起こすのみならず、心疾患や脳卒中といった重大な合併症に至ることも多く、糖尿病予防対策の強化が重要な課題となっている。
 平成17年度においては、将来における具体的な成果目標を設定し、確実な目標達成に向けた取組を推進する大規模戦略研究を実施するほか、糖尿病の予防・進行防止に関する対策を引き続き実施していくこととしているので、各地方公共団体におかれても地域に密着した施策の展開をお願いする。
 また、栄養施策、運動施策の中でも述べたところであるが、平成17年度においては、(1)効果的な栄養指導を推進する観点から、糖尿病等の予防に重点をおいた栄養指導マニュアルを策定することとしているほか、(2)糖尿病を始めとする生活習慣病の予防には適度な運動を生活習慣として定着させていくことが重要であることから、運動所要量及び運動指針の見直しを行うこととしている。


5. がん対策について

 がん対策に関しては、昭和59年度から「対がん10カ年総合戦略」、平成6年度からは「がん克服新10か年戦略」、そして平成16年度からは「第3次対がん10か年総合戦略」を策定し、引き続き、がん対策の総合的かつ重点的な推進を図っているところである。
 第3次対がん10か年総合戦略は、がんの罹患率と死亡率の激減を目指し、革新的な予防・診断・治療法の開発、がん患者の生活の質の向上、がんの実態把握とがん情報の発信に関する研究等の「がん研究の推進」、がん予防に関する知識の普及啓発等の「がん予防の推進」、地域がん診療拠点病院の整備促進等の「がん医療の向上とそれを支える社会環境の整備」を大きな柱として推進している。

(がん登録制度について)
   がん対策を推進していく上で重要な基礎となるがん登録制度については、地域がん登録の標準化と精度の向上を目指し、研究事業による取組を進めているところである。

(「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」について)
   第3次対がん10か年総合戦略及び健康フロンティア戦略でも重要な課題とされているがん医療の「均てん化」については、平成16年9月から厚生労働大臣の懇談会として、「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」を開催しているところである。
 この検討会では、
(1) がん専門医等の育成・確保
(2) 各がん専門医療機関の役割分担を踏まえたネットワーク体制の整備
(3) 地域がん診療拠点病院制度のあり方
等について検討を進めているところであり、本年度末を目途に報告を取りまとめることとしている。

(地域がん診療拠点病院制度について)
   特に、がん医療の「均てん化」に向けての取組として、2次医療圏に1か所を目安として整備を進めている「地域がん診療拠点病院」については、現在、40都道府県の135病院が指定されているが、その指定制度については、今後、上記の検討会における検討結果等を踏まえて見直しを行うこととしているので、平成17年度の指定申請等については、おって御連絡する。
 また、地域がん診療拠点病院の全国的な協議会の近々の設置に向けて準備中であるが、本協議会の場で、地域がん診療拠点病院の機能向上に関する事項について意見交換を行うなど、本協議会の機能を十分活用した取組を推進していくこととしている。


トップへ
戻る