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総務課

1. 地域保健対策

(1)  地域保健対策の推進について
 地域保健対策については、地域保健法及び同法第4条に基づいて策定されている「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(平成6年12月1日厚生省告示第374号、以下「基本指針」という。)に基づき、進められているところである。
 各地方公共団体においては、引き続き、これらに基づき地域保健対策の一層の推進を図られたい。
 また、保健所や市町村等において実施する先駆的、モデル的事業については、引き続き支援したいと考えているので、関係補助金の効果的な活用について検討されたい。

 (1)  地域保健計画(仮称)の策定推進について
 都道府県においては、従来から医療計画の一部として、二次医療圏ごとに地域保健医療計画を作成し、地域の実情に即した具体的施策を推進していただいているところであるが、今般、医療制度改革にあわせて、地域保健対策をさらに推進する観点から、地域保健に関する計画の位置づけを明確化し、各都道府県における「地域保健計画(仮称)」の策定を推進することとしている。今後、同計画の具体的な在り方等についてお示ししていくこととしているが、各都道府県における計画策定・改訂を支援するために平成17年度予算(案)に地域保健計画策定推進事業を計上したところであるので、活用願いたい。

 (2)  地域保健対策検討会の設置について
 地域保健対策を更に推進していく観点から都道府県における計画の位置づけを明確化すること等については上記(1)で述べたとおりであるが、これに伴い、今般、有識者から成る「地域保健対策検討会」を設置したところであり、主に次のような事項について検討を進めていく予定である。
  ○  地域保健計画(仮称)について
 計画の策定手続
 計画の評価 など
  ○  公衆衛生の新たな潮流に即した体制及び制度の整備について
 地域における健康危機管理に関する基本的な考え方
 健康危機管理実施体制 など

(2)  地方衛生研究所の機能強化について
 地方衛生研究所については、地域における科学的かつ技術的な中核機関として位置づけており、その専門性を活用して総合的な調査及び研究を行うとともに、地域保健関係者に対する研修を実施することが基本指針に規定されているなど、大きな役割が期待されている。
 今後とも、基本指針、「地方衛生研究所の機能強化について」(平成9年3月14日厚生省発健政第26号:事務次官通知)、「地域健康危機管理ガイドライン」(平成13年3月)、「感染症の予防の総合的推進を図るための基本的な指針」(平成11年厚生省告示第115号)等を踏まえ、精度管理及びリファレンス活動の推進、健康危機管理の観点からの体制づくり、広域連携、調査研究等の企画調整及び組織強化、情報関連機能の充実強化等に特段の御配慮をお願いする。

(3)  地域における健康危機管理体制の推進について
 昨今、鳥インフルエンザなどの感染症や新潟県中越地震、豪雨などによる自然災害等の健康危機事例が頻発し、地域における健康危機管理の在り方が問われている。
 各地方公共団体におかれては、健康危機管理における保健衛生部局の役割分担の明確化や健康危機情報の収集・伝達体制の整備に努めるとともに、保健所と本庁、地方衛生研究所等の関係機関、関係団体との連携の強化等を一層推進していただきたい。
 なお、平成13年度より実施している「健康危機管理保健所長等研修」については、平成17年度においても保健所長及び保健所管理職員等を対象に実施することとしているので、未受講の保健所長等の受講促進等について特段の御配慮をお願いする。
 また、平成14年度より構築、運用している「健康危機管理支援情報システム」については、データベース機能に加えて、緊急情報発信や意見交換のためのフォーラム等の機能を追加するなど、随時、より有効なシステムとなるよう整備及び機能強化を図っており、利用対象者も都道府県等衛生主管部局、保健所から地方衛生研究所、検疫所、地方厚生局に拡大している。平成17年度においては、同システムに健康危機管理演習機能を構築することとしているので、各地方公共団体におかれても、同システムの有効活用をお願いしたい。

(4)  保健所長の資格要件について
 「保健所長の職務の在り方に関する検討会」において昨年3月末に報告書がとりまとめられたことを受け、11月4日に地域保健法施行令の一部を改正する政令を公布・施行し、医師でない技術吏員が保健所長になることができる要件等について明示したところである。また、12月27日には「地域保健法施行令第4条に定める保健所長の資格について」(健発第1227014号健康局長通知)を発出しているので御了知いただくとともに、関係機関への周知等についてよろしくお願いしたい。

(5)  公衆衛生医師育成・確保推進事業について
 公衆衛生に従事することを希望する医師及び公衆衛生に従事する医師を求める地方公共団体に対する情報提供等を通じて、公衆衛生医師の確保を支援し、地域における公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的として「公衆衛生医師確保推進室」を設置し、昨年6月より公衆衛生医師確保推進登録事業を実施しているところであるので、各地方公共団体におかれては、本事業に積極的に参加されたい。なお、本事業の登録手続きについては、厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/06/tp0621-2.html)に掲載しているので活用されたい。
 また、昨年6月に「公衆衛生医師の育成・確保のための環境整備に関する検討会」を設置し、5回にわたり検討を重ねた結果、今般、国や地方公共団体が取り組むべき施策を示す報告書が取りまとめられたところである。各地方公共団体におかれては、この報告書の提言を踏まえ、公衆衛生医師の育成・確保に向けて一層の努力をお願いする。

(6)  保健師等の人材確保及び資質の向上

ア.  保健師の確保
 老人保健、介護予防、児童虐待予防など、地域保健対策に取り組む上で必要な保健師を確保するため、各都道府県・市町村には、従来から、地方財政計画を踏まえた増員を図ってきていただいているところである。
 地方行財政をめぐる状況には極めて厳しいものがある中ではあるが、保健師については、平成17年度の地方財政計画においても、平成16年度と同様の措置が講じられる予定であるので、この点を十分に踏まえ、保健師の計画的な配置の確保に特段の御配慮をお願いする。
 また、都道府県には、市町村合併が進む中で、地域のニーズに対応したきめ細かな取り組みに支障が生じることのないよう、管内の市町村への適切な助言等についてもお願いする。

イ.  小規模町村対策
 保健師の未設置町村及び1人設置町村は年々減少してきているが、平成15年3月31日現在の状況をみるとそれぞれ5町村及び110町村と、いまだ人材確保の困難な町村も存在している。
 各都道府県においては、人材確保支援計画に基づき、これら保健師等の人材確保が困難な町村と十分連携を図り、「特定町村人材確保対策事業」を活用して人材の確保及び保健所での活動等を中心とした専門分野における資質の向上に努められたい。

ウ.  地域保健関係職員等の資質の向上
 新たな健康課題に対応した地域保健対策の推進を図るためには、人材の確保とともに資質の向上が重要な課題である。このため、平成15年度に「新任時期における地域保健従事者の現任教育に関する検討会」を開催し、適切に新任者の現任教育を実践している事例の収集や、新任時期の現任教育に関する到達目標、教育方法等及び指導者の育成について検討したところであり、その報告書については、昨年6月26日付けで各都道府県等に周知したところである。
 都道府県、政令市、特別区においては、新たな健康課題に対応するため、健康増進法に基づく健康づくり活動の推進や現任教育を行う指導者育成、保健指導技術の向上、災害時等健康危機管理体制の充実、児童虐待予防やC型肝炎に関する保健指導従事者研修等「地域保健関係職員等研修事業」を活用し、管内の市町村を含めた地域保健関係職員等の資質の向上のための事業の実施に特段の御配慮をお願いする。

(7)  地域・職域の保健活動の推進

 生活習慣病の予防のためには、個人の主体的な健康づくりへの取り組みが重要であり、そのためには保健事業による生涯を通じた継続的な健康管理の支援が必要である。
 このため、平成14、15年度には、地域保健、職域保健各々が実施する保健事業等の効果的・効率的な活用を図るため「地域・職域連携共同モデル事業」を行ったところであり、平成16年度には、この成果をもとに、地域・職域の連携を全国的に普及するため、「地域・職域連携共同モデル事業評価検討会」においてガイドラインを作成することとしている。
 平成17年度には、健康フロンティア戦略の一環として、地域保健と職域保健の連携を全国的に推進するため、都道府県単位及び2次医療圏単位に地域・職域連携推進協議会を設置し、地域保健と職域保健の保健事業を実施する上で社会資源の有効活用を図ることとしている。このような地域・職域連携推進協議会の設置に関しては、平成17年度予算(案)に関連経費を盛り込んでいるところである。
 また、国においては、都道府県における地域・職域連携保健活動を支援するため、専門家による検討会(「地域・職域連携推進会議」(仮称))を設置することとしている。
 なお、平成16年度から都道府県ごとに、医療保険者を中心とした「保険者協議会」の設置が進められているところであるが、都道府県単位の地域・職域連携推進協議会と構成メンバーが重複することなどから、当該協議会と保険者協議会との適切な連携を図り、効果的に協議会を開催されるよう、その運用に特段の御配慮をお願いする。

(8)  ホームレスの保健対策

 ホームレス自立支援法に基づき行われた実態調査では、身体不調を訴える者は5割弱、そのうち治療を受けていない者は7割弱となっていることから、ホームレスに対する保健・医療の確保が自立支援の上で重要な課題となっている。
 このため、平成16年度から、健康に不安を抱えるホームレスに対して都道府県、政令市、特別区が健康相談等の保健サービスを実施する場合には国庫補助の対象としており、平成17年度予算(案)においても引き続き計上している(「ホームレス保健サービス支援事業」)ところである。


2. 原爆被爆者関係施策

(1)  進達事務等の適正な執行について
 昨年、進達すべき書類が長期間にわたって放置されるなど誠に遺憾な事例が判明したところであり、既に各都道府県並びに広島市及び長崎市(以下「各都道府県・市」という。)には、関連事務の執行状況について点検し、こうしたことが起こることのないようにすべきことを通知したところである。
 引き続き、進達事務等の適正な執行の確保に留意していただきたい。

(2)  在外被爆者への支援について
 今年度から新たに「在外被爆者保健医療助成事業」を開始したところであり、その円滑な実施を図るためには、実施主体となっていただく県市と併せて、各都道府県・市にもご協力いただくことが必要である。
 具体的には、次の(1)及び(2)について、よろしくお願いしたい。
(1)  在外被爆者への情報提供
 在外被爆者がそれぞれ所持している被爆者健康手帳等を交付した各都道府県・市から、個別に広報資料を送付する。
〔注〕本年1月7日付け通知により依頼済み。おって、追加の依頼を予定。
(2)  当省への情報提供
 当省において「在外被爆者に係る被爆者健康手帳・被爆確認証交付者名簿」を作成し、随時更新していく必要があることから、各都道府県・市から当省に、所定の情報を四半期ごとに送付する。
〔注〕本年1月6日付け通知により依頼済み。

 在外被爆者が渡日して被爆者健康手帳の交付や治療を受けることを支援する観点から、できる限り多くの都道府県で「手帳交付渡日支援事業」や「渡日治療支援事業」(国庫補助率10/10)を実施していただきたいと考えている。
 これらの事業を未だ実施していない都道府県におかれては、早急に具体的な検討をお願いしたい。

(3)  各種手当の支給額等について
 健康管理手当等の平成17年度の支給額等に関しては、平成16年の消費者物価指数が確定した後に、改定予定の有無及び改定する場合にはその予定額について連絡することとしている。

(4)  被爆二世健康診断について
 被爆二世健康診断については、受診希望者の利便を図る観点から、年度の早い時期から実施するようご配慮願いたい。


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