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食品関係



1. 新たな食品安全行政について

(1) 新しい食品安全行政の体制について
   平成15年の食品安全基本法(平成15年法律第48号)の公布を受け、同年7月1日から、食品の安全に関するリスク評価(食品健康影響評価)を行う新たな機関として食品安全委員会が設立されたことに伴い、厚生労働省は規格基準の策定やそれに基づく監視指導の業務などを担うリスク機関としての立場が明確になった。
 同時に、(1)予防的観点に立ったより積極的な対応、(2)事業者による自主管理の促進、(3)農畜水産物の生産段階の規制との連携という視点から、食品衛生法等の抜本改正が行われたところであり、こうしたことによって、食品安全行政にリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションからなるリスク分析手法が導入され、新たな枠組みが構築されたところである。
 このような新たな体制の下、厚生労働省としては、関係行政機関と連携し、国民の健康の保護を図るための施策を一層積極的に推進していくこととしている。

(2) 改正食品衛生法等の施行について
   食品衛生法等の一部を改正する法律(平成15年法律第55号)及び健康増進法等の一部を改正する法律(平成15年法律第56号)については、一昨年5月30日に公布されたところであり、(1)公布の日、(2)公布の日から起算して3か月を超えない範囲において政令で定める日(平成15年8月29日)、(3)公布の日から起算して9か月を超えない範囲において政令で定める日(平成16年2月27日)、(4)平成16年4月1日に段階的に施行され、未施行部分はいわゆるポジティブリスト制の導入に関する部分を残すのみとなっている。
 残留基準が設定されていない農薬等を含む食品の流通を原則として禁止するいわゆるポジティブリスト制の導入については、公布の日から起算して3年を超えない範囲において政令で定める日から施行することとされており、引き続き、国際基準等を参考に施行に向けて準備を進めていくこととしている。

(3) 食の安全に関するリスクコミュニケーションの取組について
   リスクコミュニケーション(リスクに関する情報及び意見の相互交換)については、リスク分析手法の重要な一要素として、食品安全基本法にその実施に関する規定が盛り込まれたほか、個別の食品の安全性確保に係る施策(リスク管理措置)について定める食品衛生法等においても、より具体的な形で、国民や住民からの意見聴取の規定(いわゆるリスクコミュニケーション規定)が盛り込まれたところである。
 これらの規定を受け、厚生労働省(地方厚生局を含む。)においては、内閣府食品安全委員会や農林水産省と連携を図りつつ、リスクコミュニケーションに関する取組みを進めている。
 現在の取組みとしては、食品安全行政全体を対象とした全般的なものに止まらず、農薬等のポジティブリスト制、いわゆる健康食品、牛海綿状脳症(BSE)対策又は輸入食品監視指導計画などの具体的な事項について意見交換会を積極的に開催している。
 また、規制の設定又は改廃に係る意見提出手続(いわゆるパブリック・コメント)や審議会の公開、ホームページを活用した情報発信等を推進している。
 このほか、より効果的にリスクコミュニケーションを推進していくため、その在り方を検討する研究会を立ち上げ、わかりやすい情報提供や双方向のコミュニケーションの実現に努めている。
 今後とも、消費者等関係者との意見交換会を積極的に開催していくとともに、意見交換会の運営のあり方や情報発信の手法について、より良いものを目指して改善を行っていく予定である。
 リスクコミュニケーションの実施に当たっては、地方公共団体など関係行政機関との連携下に行われることがより効果的であると考えられることから、厚生労働省による意見交換会の実施に当たっては、関係地方公共団体の御協力をお願いしたい。
 また、リスクコミュニケーションは、リスク管理の実施機関であり、より住民に身近な地方公共団体においても実施されることが望ましい。このため、食品衛生法において義務づけられている都道府県等監視指導計画の策定に当たっての意見聴取に止まらず、国の取組みを参考として、地域レベルでの消費者等関係者相互のリスクコミュニケーションの推進に努めていただきたい。


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