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6. 血液事業

(1) 献血の推進・普及

現状

 ○  少子高齢社会の一層の進展により、血液製剤の使用量の増加が見込まれる一方で、献血の担い手である若年層が減少することが予想されていることから、今後若年層を中心とした国民各層への成分採血、400mL 全血採血を主体とした献血の推進をより一層展開する必要がある。

 ○  こうした事情を踏まえ、国は、平成15年7月に施行された「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(以下「血液法」という。)」第10条第1項に基づき、「献血推進計画」を定めることとしている。

 ○  平成17年度献血推進計画については、現在事務局において検討しているところであり、平成17年1月中旬に一般への意見募集を行う予定としている。その結果を踏まえ、平成17年2月に開催される平成16年度第2回血液事業部会において、御審議いただく予定である。

 ○  本計画は、部会の審議結果を踏まえ、速やかに公布することとしている。

都道府県への要請

 ○  各都道府県においては、献血推進計画に基づき、的確な都道府県献血推進計画の策定を行うなど管下市町村及び各血液センターと十分な連携を図り、血液製剤の安定供給の確保と確保目標量達成に向け効果的な献血推進運動を実施されるようお願いする。

 ○  また、献血活動の普及、推進を一層全国的な運動として展開することが重要であることから、献血推進運動に携わる関係者の協議の場として平成11年度に設置した「献血推進運動中央連絡協議会」の趣旨を御理解の上、同協議会及び都道府県献血推進協議会の積極的な活用をお願いする。

 ○  献血制度推進特別事業費については、いわゆる三位一体改革において廃止・税源移譲の対象となったところであるが、各都道府県等におかれては、国内自給の達成に向けて引き続き献血の推進に係る着実な取組をお願いする。


(2) 原料血漿の確保

現状

 ○  血漿分画製剤の国内自給に必要な原料血漿を確保するため、毎年度、都道府県別原料血漿確保目標量を設定しその達成をお願いしてきているが、平成17年度の目標量は、90万Lを予定している。

 ○  原料血漿確保目標量及び平成17年度に製造・輸入すべき血液製剤の目標量等については、血液法第25条第1項に基づく「需給計画」に規定することとされており、年度末にかけて、血液事業部会において御審議いただく予定である。、

 ○  本計画は、部会の審議結果を踏まえ、速やかに公布することとしている。

都道府県への要請

 ○  平成17年度都道府県別原料血漿確保目標量の達成に向けて御協力をお願いする。


(3) 血液製剤の安全性確保対策の推進

現状

 ○  これまで、日本赤十字社に対し、供血者からの遡及調査の徹底を指導(平成15年6月)するとともに、新たな安全対策の検討を指示(平成15年7月)したところであるが、平成15年12月に判明したHIV混入血がNAT検査をすり抜け、輸血を受けた者が感染した事例等を踏まえ、平成16年7月7日に開催された血液事業部会において「輸血医療の安全性確保のための総合対策」が取りまとめられた。この中で、安全対策に係る以下の5本の柱が明示されるとともに、対策の進捗状況や成果等については、血液事業部会及び同運営委員会に定期的に報告し、その意見及び評価を受けることとされている。
 (1)  健康な献血者の確保
 (2)  検査目的献血の防止
 (3)  血液製剤に係る検査・製造体制の充実
 (4)  医療現場における適正使用等の推進
 (5)  輸血後感染症対策の推進
 具体的な対策として、平成16年度においては、既に、血液事業に関する年報の発行(7月)、日本赤十字社作成の遡及調査ガイドラインの制定(7月)、輸血前後の感染症マーカー検査の在り方についての検討(9月)、献血者の本人確認の徹底(10月)、NAT実施方法に関するガイドラインの策定(10月)、血液製剤の標準的使用量等の調査と結果公表(12月)等を行ってきたところ。

 ○  ウエストナイル熱等の輸入感染症対策について、国外からの帰国者の採血禁止期間等を設定・改正(平成15年3月設定、平成16年10月改正)。

 ○  輸血によるvCJD発症の可能性は科学的に未知であるが、理論的感染のリスクを減らす観点から、当分の間の予防措置として、献血時の欧州渡航歴に関する問診の強化を実施(平成15年6月)しており、血液センターの協力を得つつ国民の理解を得られるよう努めている。

平成17年度以降について

 ○  総合対策を中心とした血液事業に関する安全性確保対策を一層推進する。

都道府県への要請

 ○  各都道府県においては、引き続き、エイズ等の検査を目的とする献血の危険性の周知徹底及び検査に係る保健所等の活用について広く住民へ呼びかけるとともに、総合対策を中心とした取組みの推進について適切な支援がなされるよう特段の御協力をお願いする。


(4) 血液製剤の適正使用の推進

現状

 ○  平成11年度に、「血液製剤の使用指針」及び「輸血療法の実施に関する指針」を策定した。

 ○  各都道府県において、地域医療の代表者及び医療機関の管理者等の委員からなる血液製剤の使用に関する合同輸血療法委員会が設置され、多くの都道府県において、当該委員会を通じて血液製剤の使用に係る問題点の整理が進んでいる。

 ○  血液法第3条第3項では、血液製剤の適正使用の推進を、法の基本理念として掲げている。また、参議院厚生労働委員会の附帯決議には、「血液製剤の過剰使用等の原因調査」及び「使用指針普及等の実施」が規定されている。

 ○  血液法第9条に基づく「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針」第七の二において、国及び都道府県等は、適正使用のため医療機関に対し、様々な機会を通じて、院内における輸血療法委員会、責任医師の任命及び輸血部門の設置を働きかけるものとするとしている。

 ○  平成16年12月に病床規模別、機能別平均的使用量を提示し、各都道府県へ通知した。

都道府県への要請

 ○  現在、先進的取組を行っている都道府県等の実態を調査しているところであり結果がまとまり次第、各都道府県へ送付する予定である。

 ○  また、年度内を目途に「血液製剤の使用指針」等の各種指針を改訂する予定である。

 ○  各都道府県におかれては、上記内容を踏まえて、血液製剤の適正使用に関する医療機関への働き掛けについて、特段の御協力をお願いする。


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