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2. 薬剤師の資質向上について

現状等
 ○  薬剤師の資質の向上に関する諸問題については、平成8年より文部省、厚生省、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会の4者で「薬剤師養成問題懇談会」において、平成11年5月からは国公立及び私立の大学薬学部・薬科大学の関係者を加えた6者で意見交換が行われてきた。また、平成14年の薬剤師養成問題懇談会において、関係各者が検討すべき具体的な課題が示されたことを踏まえ、厚生労働省、文部科学省の両省においてそれぞれの検討が進められた。
 ○  厚生労働省では、平成14年6月に「薬剤師問題検討会」を設置し、平成15年10月に、本検討会における検討結果をとりまとめた「中間報告書」を公表した。
 ○  文部科学省においても、平成14年10月に「薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」を設置して検討を行い、昨年2月には検討結果をとりまとめた「薬学教育の改善・充実について」の最終報告がなされた。また、この会議の最終報告を踏まえて、中央教育審議会においても、「薬学教育の改善・充実について」の答申がなされた。
 ○  これらの検討においては、近年の医療の高度化、複雑化、高齢社会の到来、医薬分業の進展など薬剤師を取り巻く環境が大きく変化している中で、薬剤師については、最適な薬物療法の提供、服薬指導、医療安全対策など幅広い分野において、医療の担い手としての役割を果たすことがより一層求められ、基礎的な知識・技術はもとより、高い倫理観、医療人としての教養、医療現場で通用する実践力など、薬剤師の資質の一層の向上を図る必要があるとされた。
 ○  このため、薬剤師養成を目的とする大学における薬学教育については、教養教育、医療薬学、実務実習を充実し、これらの教育課程を有機的に編成することによって臨床に係る実践的な能力を培うことができるよう、昨年、学校教育法の一部改正(※)が行われ、その修業年限を現在の4年から6年に延長する見直しが行われた。この際、薬剤師法の一部改正(※)も同時に行われ、薬剤師国家試験の受験資格についても6年制の薬学部を卒業した者について認めることとされた。
 ※ 「学校教育法等の一部を改正する法律」…平成16年法律第49号
「薬剤師法の一部を改正する法律」…平成16年法律第134号
 ○  また、薬剤師の資質向上を目的として、(財)日本薬剤師研修センターが実施する「研修認定薬剤師制度事業(同センター独自事業、平成6年〜)」や「薬剤師実務研修事業(厚生労働省の補助事業、平成9年度〜)」等、各種施策も進められてきている。

新制度の概要
 ○  学校教育法の改正(文部科学省)
 大学の薬学を履修する課程のうち、薬剤師の養成を目的として、臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とする課程については、その修業年限を6年とする。(併せて、研究者の養成など多様な人材の養成を目的とする修業年限4年の課程も存置)
 ○  薬剤師法の改正(厚生労働省)
 学校教育法の改正に伴い、修業年限6年の大学の薬学を履修する課程を修めて卒業した者に薬剤師国家試験受験資格を与える。
 ただし、新制度へ円滑に移行するための経過的取り扱いとして、平成29年度まで(法施行後12年間)に薬学の4年制課程に入学し、その後、薬学の修士課程を修了した者が、一定の要件(※)を満たす場合には、受験資格を付与する。
 ※ 「薬剤師法の一部を改正する法律附則第3条の規定に基づく厚生労働大臣の認定に関する省令」…平成16年厚生労働省令第173号
 ○  施行日
 平成18年4月1日(改正学校教育法、改正薬剤師法とも)

今後の取組み
 ○  薬学教育6年制の導入に伴い、新たに長期実務実習(6ヶ月程度)が開始されることから、この実習の質を担保するため、受入施設における指導薬剤師を養成することとしている。
 ○  また、現行4年制卒薬剤師に対する知識・経験の向上のための研修の充実に加え、生涯教育や、がん等の特定治療領域における専門知識習得を目的とした研修も求められているため、平成17年度においては、これら新たな研修事業についての研修内容、研修教材、研修希望者と受け入れ施設の調整方法などの検討を行うとともに、研修情報・管理支援システムの開発を行う予定。

都道府県への要請
 ○  各都道府県においては、引き続き、日本薬剤師研修センターが実施している「研修認定薬剤師制度事業」、「薬剤師実務研修事業」の地域薬剤師への周知等、薬剤師の資質向上を目的とした各種研修事業への御協力をお願いする。


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