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(看護課)


1.看護職員確保対策について

(1) 看護職員の養成・確保を図るため、平成17年度予算(案)においては、資質の向上、離職の防止、養成力の確保を行うなど、92億1千7百万円(看護職員確保対策費等補助金68億8千3百万円)を計上している。
 特に、看護職員の資質の向上に重点を置き、平成16年度に創設した訪問看護推進事業の拡充や、新人助産師に対する医療安全推進モデル研修事業の創設などの予算や、各都道府県の看護職員の受給見通し策定の支援として、委託費を計上しているところである。

(2) 三位一体改革による看護職員確保対策予算の対応については、その必要性について精査の結果、看護師等修学資金貸与費を税源移譲対象としたところである。
 看護師等修学資金貸与費は、平成16年度から自治体立養成所分について一般財源化を行ったところであるが、民間立養成所分についても創設以来40年を超え、地方自治体の事業として同化・定着・定型化していると認められることから、各自治体の責任において、看護職員の確保状況に応じた弾力的な制度とするため、税源移譲対象事項としたところであるが、看護職員確保の観点から各都道府県の創意工夫の下、事業実施に必要な予算の確保方よろしくお取り計らい願いたい。

(3) 新設の看護師等養成所等に対する施設整備、設備整備等の国庫補助の採択に当たっては、各都道府県の看護職員需給見通しの達成状況や看護職員確保対策への取組み状況等を総合的に勘案することとしており、採択できない場合もあることを了知されたい。具体的な国庫補助採択方針については、別途お知らせする予定である。

(4) 医療安全の確保に向け新人助産師に対し、十分な教育体制(専任の指導者等)と研修プログラムに基づき研修を実施する医療安全推進モデル研修事業を行うところである。
 当該事業の実施については、研修体制が充実し、新人助産師に対して十分な研修が可能と考えられる医療機関に直接委託し、実施する予定である。
 なお、研修実施の通知は後日発出するが、各都道府県におかれては、管下医療機関等に対して実施事業の周知とともに、関係都道府県におかれては積極的な支援をお願いしたい。

(5) 平成16年度より創設した「新人看護職員研修推進費」については、各都道府県の積極的なご協力により、多くの参加を得て一定の成果が上げられたものと考えている。平成17年度も継続して実施していくこととしているので、引き続きご協力をよろしくお願いする。

(6) 10年以上の就業経験を持つ准看護師を対象に、看護師学校養成所2年課程(通信制)を平成16年度から開始し、本年度は3校(1学年定員650名)が開校し、平成17年4月には、8校(1学年定員1,800名)の開校が予定されているところである(あわせて1学年定員2,450名)。
 当該通信制では働きながら学習ができるよう臨地実習として、紙上事例演習、面接授業、病院見学実習の方式を取り入れたが、当然のことながら通常の2年課程と同様の教育理念、教育水準が求められる。准看護師として就業されている看護職員の方からは強い期待が寄せられているので、各都道府県におかれては引き続き、関係者に通信制の設置を広く呼びかけられるとともに、設置予定者に対して、適切な指導、支援をされるようお願いしたい。

(7) 医療の高度化・患者の高齢化・重症化や、平均在院日数の短縮などに伴い、看護業務は複雑化し、かつ看護密度も高くなっているところである。また、医療安全の確保に対する取り組みの強化が求められている。一方で、在宅医療の推進により訪問看護の二一ズが拡大しているところである。このような状況に看護基礎教育が十分対応できるよう、臨地実習の強化や医療安全教育及び在宅看護論の強化等、看護基礎教育カリキュラムの内容について検討するため、「看護基礎教育のカリキュラム等改正に係る検討会」を設置する予定である。

(8) 看護職員の需給については、これまで、通算5回にわたり需給計画及び需給見通しの策定を行ってきたところである。平成12年に策定された第五回の需給見通しにおいては、平成17年にはほぼ受給が均衡する見通しとなっているが、平成15年末の就業者数は約126万人と推計しており、現在までのところ、就業者数は順調に推移している。
 看護職員の需給見通しは、全国レベルにおいても、また、各都道府県レベルにおいても、看護政策の方向を考えるうえで重要な基礎資料であることから、平成18年以降についても、引き続き需給見通しを策定することとし、平成16年6月に「第六次看護職員需給見通しに関する検討会」を設置し、現在まで4回にわたり検討を行い、本年2月には各都道府県における需給見込算定方法についてとりまとめ、各都道府県にお示しすることとしている。
 平成17年度においては、この算定方法に基づき、各都道府県の需給見通しを算定いただき、12月末に全国ベースの需給見通しを決定したいと考えている。
 各都道府県におかれては、本需給見通しの策定の意義をご理解いただき、本年4月以降の算定作業につき、ご協力をいただきたい。
 なお、平成17年度の政府予算(案)として、需給見通し策定にかかる調査等の経費として総額約1億円が決定されたところであり、調査経費に御活用いただけるよう、予算成立後、各都道府県への配分について早急にお示ししてまいりたい。

(9) 看護に対する国民の理解を深めるため、5月12日を「看護の日」及び5月12日を含む1週間を「看護週間」として、全国的に1日看護体験などの行事を開催し、普及啓発に取り組んでいるところである。
 平成17年度の中央行事(看護フォーラム)は、東京都で行う予定である。各都道府県におかれても、普及啓発に関する事業への積極的な取り組みをお願いしたい。


2.日・比経済連携協定における看護師の受け入れについて

(1) 日・比経済連携協定については、平成16年11月29日の日比首脳会談において大筋合意に至ったところであり、今後、協定文書の作成作業を進めることとしている。

(2) 大筋合意の内容としては、厚生労働省のスタンス(5原則)を前提に、フィリピンの看護師国家資格を取得する等の一定の要件を満たすフィリピン人看護師候補者の入国を認め、日本語等の研修修了後、日本の看護師国家資格を取得するための準備活動の一環として、我が国の医療機関で看護助手として就労することを認め、資格取得後は看護師として就労を認めるというものである。
 また、円滑な実施のため、適切な送り出し、受入れの仕組みの整備等を行うこととしている。

※厚生労働省のスタンス(5原則)
 (1)専門家の移動に限定
 (2)国家資格の取得を求める
 (3)労働市場への悪影響を避けるため、受け入れ枠を設定
 (4)送り出し及び受け入れの組織・枠組みを構築
 (5)ステップバイステップのアプローチ

(参考)看護師に関する日比首脳会談の合意内容
 目的看護師国家資格取得と取得後の就労
 在留資格二国間の協定に基づく特定活動(入管法上新たに創設)
 在留内容雇用契約(日本国内の病院で就労)
 在留期間等
資格取得前の在留期間:3年間を上限
不合格や資格不取得の場合は帰国
資格取得後の在留期間:3年間を上限(更新回数の制限無し)
労働市場への悪影響を避けるため、受入枠を設定
 要件
フィリピン看護師資格保有者
看護師経験
6ケ月間の日本語研修等
(「AOTS」(経済産業省)及び「国際交流基金」(外務省)が実施)
日本人と同等の処遇
 送り出し調整機能政府関係機関(POEA/フィリピン海外労働者雇用庁)
 受け入れ調整機能福祉・医療関係団体


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