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(総務課)


1.特区における株式会社の医療への参入に係る取扱いについて

 医療分野における株式会社の参入については、平成15年6月の「経済財政と構造改革に関する基本方針2003」(平成15年6月27日閣議決定)及び「特区における株式会社の医療への参入に係る取扱いについて(成案)」を踏まえて、医療法等の特例措置を講ずる構造改革特別区域法の改正法が昨年5月28日に公布され、10月1日より施行されたところである。これにより、株式会社は、特区内において、自由診療で高度な医療であって以下に掲げるものを提供する医療機関を開設できることとなった。
 (1) 特殊な放射性同位元素を用いて行う陽電子放射断層撮影装置等による画像診断
 (2) 脊髄損傷の患者に対する神経細胞の再生及び移植による再生医療
 (3) 肺がん及び先天性免疫不全症候群の患者に対する遺伝子治療
 (4) 高度な技術を用いて行う美容外科医療
 (5) 提供精子による体外受精
 (6) その他前各号に掲げる医療に類する医療

 この特区制度は、株式会社による医療の提供についての様々な議論のある中、株式会社の資金調達能力、研究開発意欲等を活用することが高度な医療の開発・普及を促進する上で適切かつ有効かということを検証するという観点で導入されたものである。

 各都道府県におかれては、この制度の趣旨等について十分御了知いただくとともに、事業者から特区制度を活用した医療機関開設の相談があった場合や制度の運用上疑義が生じた場合等には、速やかに医政局総務課及び内閣官房構造改革特区推進室に相談いただく等、制度の円滑な実施により一層のご協力をお願いしたい。


2.医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインについて

 平成15年5月23日に「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号。以下「法」という。)が成立し、本年4月1日から全面施行されるが、法第6条第3項では、個人の権利利益の一層の保護を図るため特にその適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報について、保護のための格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとされている。
 医療分野については、「個人情報の保護に関する基本方針」(平成16年4月2日閣議決定)において、金融・信用や情報通信等と並んで、「個人情報の性質や利用方法等から特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある分野」の一つと位置付けられている。
 このため、昨年6月に「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」を設置し、医療機関等において個人情報を適切に取り扱うためのガイドラインの策定及び個別法の必要性も含めた、医療機関等における個人情報保護のあり方に係る議論を行ったところである。(医療機関等では医療サービスとあわせて介護サービスを提供することが多いことから、介護関係事業者も検討対象とした。)
 同検討会における議論を踏まえ、昨年12月24日付けで「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」を定めたので(平成16年12月24日付け医政発第1224001号・薬食発第1224002号・老発第1224002号厚生労働省医政局長・医薬食品局長・老健局長通知)、各都道府県におかれては、個人情報の保護に関する施策の更なる推進を図るとともに、関係機関・関係団体等に対する周知・指導等に御協力をお願いしたい。


3.独立行政法人福祉医療機構(医療貸付事業)について

 平成17年度予算案においても、適切な医療提供体制の整備等国の施策に合わせ、必要となる資金需要に十分対応できるよう融資枠の確保を行うとともに、以下の貸付条件の改善を行うこととしたので、管下の医療機関等に対する周知についてご協力願いたい。

 ○マンモグラフィ(乳房断層撮影装置)の特例貸付
 病院及び診療所に係る「機械購入資金」の特例として、マンモグラフィを購入する場合、建築資金との併せ融資に限らず、単独でも融資することとする。


 ※独立行政法人福祉医療機構
 独立行政法人福祉医療機構は、特殊法人等改革により、社会福祉・医療事業団の事業を承継して、独立行政法人福祉医療機構法(平成14年法律第166号)に基づき、平成15年10月1日に設立された独立行政法人であり、福祉の増進・医療の普及を目的として、病院、診療所及び介護老人保健施設等の医療関係施設に対して、その設置・整備又は経営に必要な資金を長期かつ低利な条件で融資する事業等を行っている。


4.規制改革・民間開放推進会議第1次答申について

 昨年12月24日、規制改革・民間開放推進会議において、「規制改革・民間開放の推進に関する第1次答申」が決定されたところである。医政局関係で同答申において「具体的施策」として盛り込まれた事項は、以下のとおりであるが、これらについては、厚生労働省としても規制改革・民間開放推進会議側と真摯な議論を重ねてきた結果得られた成果であり、今後その着実な実施を行ってまいりたい。各都道府県におかれては、同答申の内容について御了知いただくとともに、今後答申を踏まえた施策の実施についてもご協力をお願いしたい。

(1)医療法人を通じた株式会社等の医療機関経営への参入
 構造改革特区における株式会社の医療への参入要件の緩和【平成17年度中に措置】
 本年10月時点で構造改革特別区域における株式会社の医療への参入に関する認定申請はなかったが、特区制度上行われる評価も踏まえ、特区における株式会社の医療への参入要件について、その見直しも含め検討すべき。
 医療法人から医療法人への出資等の容認【平成17年度中に措置】
 (1) 医療法人から医療法人への出資の容認
 (2) 出資した際の社員としての地位を付与
 非営利性を更に徹底した持ち分のない医療法人を新たに創設するにあたっては、徹底した情報開示を要件に盛り込むとともに、経営に関する住民の参加を促すべき。
 そのような新しい医療法人については、経営上存続できない自治体病院をはじめとした公的医療機関の移譲を積極的に受けるようにするべき。
 医療法人の会計状況をはじめとする経営情報の公開を進め、非営利性の徹底を図るべき。【平成18年の医療制度改革で措置】

(2)地域医療計画(病床規制)の見直し等
 病床規制を撤廃するためには、どのような条件整備が必要かについても検討すべきである。【平成18年の医療制度改革で措置】
 質が低く、都道府県の改善命令に従わない医療機関の退出を促すなど、地域が真に必要とする医療機関の参入方策を検討するべき。【平成18年の医療制度改革で措置】
 当面、いわゆる病床規制は、地域の実情・ニーズを踏まえた基準病床数の算定基準を設定し、適正な病床数に管理されるようすべきである。【平成17年度早期に措置】

(3)人材の国際間移動の円滑化
 我が国の医師国家資格を有する外国人医師については、6年間を上限とする研修又は僻地における勤務のみが認められているが、このような就労制限を撤廃するべき。【平成17年度中に措置】
 我が国の看護師国家資格を有する外国人看護師については、4年間を上限とする研修のみが認められているが、この制限を撤廃若しくは在留可能な期間を延長するなどの措置を講ずることについて早急に結論を得るべき。【平成17年度中に結論】


5.医療安全対策の新たな取組について


診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業

平成16年度予算額 平成17年度予定額
0千円 → 102,074千円

(要旨)
 医療の質と安全を高めていくためには、診療の過程において予期し得なかった死亡や診療行為の合併症等で死亡(以下、「医療関連死」とする。)に遭遇した場合に、臨床面及び法医学・病理学の両面からの解剖所見に基づいた正確な死因の究明と、診療内容に関する専門的な調査分析とに基づき、診療上の問題点と死亡との因果関係とともに、同様の事例の再発を防止するための方策が専門的・学際的に検討され、広く改善が図られていくことが肝要である。
 そこで、医療機関から医療関連死の調査依頼を受け付け、臨床医、法医学者及び病理学者を動員した解剖を実施し、更に専門医による事案調査も実施し、専門的、学際的なメンバーで因果関係及び再発防止策を総合的に検討するため学会等に補助するモデル事業を行うものである。

(事業概要)
 ○ 実施内容
 モデル地域に所在する医療機関は、患者遺族から解剖の承諾を得て、当該地域の調査受付機関(仮称)に調査を依頼する。
 調査受付機関では、依頼された事例が本事業の対象となる場合は、法医学、病理学、臨床の専門医の三者による解剖を実施し解剖結果報告書を作成すると同時に、臨床の専門家による、診療録等の調査や面接等の因果関係の調査を行う。
 調査受付機関は、上記の資料や結果をもとに個別事案についての分析・評価を行い、調査分析結果報告書案を作成して、中央に設けられた評価委員会に報告する。
 中央の評価委員会においては、モデル地域から提出された個別事例について最終的な評価を行い、評価結果報告書を作成するとともに、各モデル地域から集積された事例をもとに予防・改善策を検討する。
 個別事例については、その調査結果を依頼先の医療機関及び患者遺族に適切な方法で報告する。
 運営委員会では、本モデル事業の運営方法等の検討を行う。



周産期医療施設オープン病院化モデル事業

平成16年度予算額 平成17年度予定額
0千円 → 26,888千円

(要旨)
 産科医師数の減少に伴い、地域でお産が出来る医療機関数が減少するなど地域における産科医療を取り巻く状況に大きな変化が起こっている。
 このような状況の下で、安全・安心な周産期医療体制の確保を図るため、ハイリスク分娩などを受け入れることが可能な地域の中核病院を中心とした周産期医療のモデル事業を行うものである。

 ※ 平成15年12月24日「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」における「施設」に関する対策

 (5) 地域の中核となっている周産期医療施設のオープン病院化の研究を進める。

(事業概要)
 ○ 実施内容
 ハイリスク分娩などを受け入れることが可能な地域の中核病院を中心として、オープン、セミオープン等、地域の実情に即した病診連携のシステムを構築する。
 オープンシステム等を担う地域の中核病院(以下、オープン病院という)に運営事務局(外部委員を含む)を設置し、診療所との連絡調整、普及啓発、妊婦教育等を行う。
 都道府県、オープン病院、診療所で連絡協議会を組織し、問題点の改善やネットワーク化の促進などの取り組みを行う。

(実施例)
 ┌
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 └
 診療所では妊婦検診やローリスク分娩を行い、ハイリスク分娩はオープン病院で行う。
 診療所の医師はオープン病院の登録医師となり、自分が検診した妊婦の出産に立ち会う。


 ○ 実施主体 都道府県、市町村、厚生労働大臣の認める者
 ○ 実施箇所数 全国数か所
 ○ 補助率 1/2(国1/2、都道府県1/2)
 ○ 実施期間 3年


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