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1.医療提供体制の改革について

 医療制度改革については、厚生労働大臣の下に平成14年3月に設置された「医療制度改革推進本部」に4つの検討チームが設置され、このうち医療提供体制については「医療提供体制の改革に関する検討チーム」(主査:医政局長)において、15年8月に「医療提供体制の改革のビジョン」のとりまとめを行うなど、その取組を進めてきたところである。
 一方、医療保険制度改革については、平成14年7月の健康保険法等改正法附則の規定を受けた「医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針について」(平成15年3月28日閣議決定)に基づいた議論が行われているところであり、医療保険制度と車の両輪の関係にある医療提供体制についても、医療保険制度の改革と一体となって改革に取り組むことが必要不可欠である。
 「医療提供体制の改革のビジョン」を踏まえ、昨今の医療を取り巻く状況の変化に対応すべく、より質の高い効率的な医療サービスの提供の実現に向けた医療提供体制の改革の議論を行うという趣旨から、昨年9月より社会保障審議会医療部会を開催している。
 同部会においては、「医療提供体制の改革のビジョン」で掲げた将来像のイメージと当面の取組の進捗状況を確認しつつ、
(1) 患者の視点の尊重(医療情報の提供の促進、安全で安心できる医療の再構築 等)
(2) 質の高い効率的な医療提供体制の構築(医療機関の機能分化、地域医療の確保、医業経営の近代化・効率化 等)
(3) 医療を担う人材の確保と資質の向上
(4) 医療の基盤整備
等の事項につき、現在検討を行っている。
 昨年9月の第1回以降、「医療提供体制の改革のビジョン」に沿ってフリートーキングを行い、12月に行われた第4回部会において第一巡目の議論を終了したところである。今後は、本年2月初めに主要な論点の整理を行い、その後、夏頃(6月〜7月)を目途に中間的なとりまとめを行い、年内に具体的な改革案に向けた意見書のとりまとめを行う予定としている。
 医療計画制度の見直しを初めとして、都道府県行政にも深く関係する内容となるものであることから、各都道府県における一層のご理解とご協力をお願いしたい。


2.医療計画制度の見直しについて

 現在、「医療計画の見直し等に関する検討会」において、現行の医療計画制度について評価を行うとともに、基準病床数の算定方式など医療計画制度の課題について検討を行っているところである。さらに、平成18年の医療制度改革に向け、今後の医療計画制度の在り方について議論を行っているところである。
 改革の方向性として、
 (1)患者の望む医療の実現(住民や患者の視点を尊重した制度改革)
 (2)質が高く効率的で検証可能な医療提供体制の構築
(数値目標と評価の導入による実効性ある医療計画の作成)
 (3)都道府県の自主性・裁量性の発揮による医療提供体制の地域格差の是正
等が重要だと考えている。
 なお、平成17年においては、保健医療関係の国庫補助負担金について、三位一体改革を踏まえつつ、都道府県が作成する医療計画と関連づけることによって、良質かつ効率的な医療提供体制の確保に資するものとする改革を実施し、平成18年度から施行することとしているところである。
 現在、その準備を行っているところであり、各都道府県にも早急にお示ししたいと考えている。


3.三位一体の改革に伴う医政局関係補助金の改革について

 保健医療提供体制の確保については、「国民の健康寿命の延伸」、「患者・国民のQOLの向上」、「地域格差の是正」及び「限りある保健医療資源の有効な活用に向けてのシステム作り」という方向性を目指して行うことが必要である。その具体化に当たっては、三位一体改革の視点を踏まえ、医療行政、地域保健・健康増進行政における都道府県の役割を一層充実させることが不可欠である。そのため、平成18年に予定されている医療制度改革における医療計画制度の見直しにあわせ、医政局関係補助金についての改革を実施する。
 改革に当たっては、医療提供体制整備のための補助金について、医療計画と密接に関連づけたものに見直し、また、三位一体改革の趣旨に基づき、都道府県の自主性、裁量性が高まるような補助金改革を行っていく。
 具体的には、医療提供体制と地域保健・健康増進体制との連携の充実・強化という視点も踏まえ、地域保健関係補助金も含め、保健医療提供体制関係の補助金を一本化し、施設整備費については交付金化、運営費及び設備整備費については統合補助金化を、平成18年度より行うこととしている。
 これらの詳細については、都道府県における準備にも配慮しながら、今後関係審議会等における検討を経て、順次お示ししていくこととするので、各都道府県におかれても、ご理解とご協力をいただくとともに、実効性ある医療計画制度の実現について一層の取組をお願いしたい。
 なお、三位一体改革の一環として、病院群輪番制病院運営事業及び看護師等修学資金貸与事業に係る補助金が税源委譲対象事項とされたが、これらは地方公共団体における事務として同化定着したものとして講じられたものであり、各都道府県におかれては、引き続き、必要な事業の実施について取り組んでいただきたい。


4.医療法人制度改革について

 医療法人制度については、平成15年3月の「これからの医業経営の在り方に関する検討会」最終報告書において、「非営利性・公益性の徹底」、「効率性の向上」、「透明性の確保」、「安定した経営の実現」といった視点から、今後の医業経営改革につき具体的な提言を受け、特定医療法人制度の要件緩和などの諸施策を進めているところである。
 一方で、平成16年12月の規制改革・民間開放推進会議答申における具体的施策として、株式会社による医療機関経営への参入等医療機関経営の多様化や持分のない新たな医療法人の創設を講ずることで医療法人の透明性の向上、経営の近代化が求められているところである。
 これらを踏まえ、制度創設後50年以上を経過した医療法人制度について、(1)非営利性・公益性の徹底による国民の信頼の確立、(2)効率的で透明な医業経営の実現による医療の安定的な提供、を柱に改革を推進すべく、平成18年の医療法改正を視野に、平成16年12月より「医業経営の非営利性等に関する検討会」において新たな持分なし医療法人制度の創設などの検討作業を開始したところであるのでご承知おき願いたい。


5.医療安全対策の取組について

 厚生労働省においては、平成14年4月に医療安全対策検討会議において取りまとめた「医療安全推進総合対策」及び平成15年12月に出された「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」に基づき、各般の取り組みを進めているところであり、各都道府県等におかれては、平成15年4月より設置を開始している「医療安全支援センター」の円滑な運営及び二次医療圏における速やかな体制整備を推進されるとともに、管下医療機関、関係団体等への周知、指導、支援など積極的な取り組みをお願いしたい。

(1) 医療安全支援センターの設置
 本センターは、医療に関する患者・家族等の苦情・心配や相談等に迅速に対応することにより、医療の安全と信頼を高めるとともに、センターに寄せられた情報を医療機関へ提供することを通じて、医療機関が行う患者サービスの向上等を図ることを目的として、各都道府県、保健所設置市区及び二次医療圏に重層的に設置することとしている。(平成15年4月から)
 なお、本センター設置に係る経費については、医療に関する相談は地域住民に身近な事業であること、地方自治体における主体的・自主的な取り組みを推進する必要があることなどから、センターに係る人件費、基本運営費、協議会の設置・運営、各種研修の実施、相談事例の収集・情報提供等に係る経費については、地方財政措置を講じている。
 また、厚生労働省としては、都道府県等においてセンターの設置・運営が円滑に進められるよう、相談職員等に対する研修、相談事例等の収集・分析・情報提供などの総合的な支援を実施するため、当該支援事業を、財団法人日本医療機能評価機構に委託しているものである。

(2) 医療安全管理体制の義務化
 医療機関における組織的な安全管理体制の確保を図るため、医療法施行規則の一部を改正し、全ての病院、有床診療所及び特定機能病院及び臨床研修病院の管理者に対して、それぞれ一定の安全管理体制整備を義務付けたところ。各都道府県等におかれては、医療監視の立入検査等を通じて、管下医療機関における適切な安全管理体制の確保について指導方願いたい。

(3) 医療安全対策に関する情報の提供
 現在、厚生労働省ホームページにおいて、医療機関における事故防止に資する情報として、医療安全対策ネットワーク整備事業により全国の医療機関から収集した「ヒヤリ・ハット事例」の集計・分析結果等の情報や研究成果等を提供しているところである。
 また、昨年10月からは医療事故等の事例に関しても、日本医療機能評価機構において収集・分析し、分析結果を提供する事業を開始したところである。
 これらの情報を各医療機関等が活用し、効果的な取組がなされるよう、各都道府県等におかれても、管下医療機関等への周知をお願いしたい。

(4) 医療安全推進週間の実施(平成17年度は11月20日からの1週間)
 厚生労働大臣提唱の「患者の安全を守るための医療関係者の共同行動」(Patient Safety Action)の一環として、当該週間を中心に、医療安全に関するワークショップ、シンポジウム等を開催することとしている。
 各都道府県等におかれても、引き続き、当該週間に合わせて様々な事業を実施することにより、関係者の意識啓発を図っていただきたい。

(5) 医療安全対策の新たなる取組みについて
 平成17年度においては、医療事故等の発生リスクが高い部署、診療科に的を絞った施策や、事故後の対応に関する施策を実施することとしている。

 ○周産期医療施設オープン病院化モデル事業
 産科医師数の減少に伴い、地域でお産が出来る医療機関数が減少するなど地域における産科医療を取り巻く状況に大きな変化が起こっている。このような状況の下で、安全・安心な周産期医療体制の確保を図るため、ハイリスク分娩などを受け入れることが可能な地域の中核病院を中心とした周産期医療のモデル事業を行うものである。

 ○診療行為に関連した死亡の調査分析に係るモデル事業
 医療の質と安全を高めていくため、診療の過程において予期し得なかった死亡や診療行為の合併症等での死亡に遭遇した場合に、臨床医、法医学者及び病理学者を動員した解剖を実施し、更に専門医による事案調査も実施することにより、専門的、学際的なメンバーで因果関係等の評価を行うとともに、再発防止策を総合的に検討するモデル事業を行うものである。
 補助先については学会等を予定しているが、当該モデル事業の実施地域となった都道府県においては、関係者間の調整等当該モデル事業へのご支援ご協力をお願いする。


6.新医師臨床研修制度の実施について

(1) 医師臨床研修の必修化
 昭和43年以来、36年ぶりの抜本的な改正として、新しく必修化となった医師臨床研修制度が平成16年4月からスタートした。
 新制度施行後、9ヶ月が経過したが、大きな支障もなく順調に制度が定着しつつあると認識している。
 これも、各都道府県におけるご理解、ご協力の賜物であると厚くお礼申し上げたい。

(2) 臨床研修の実施体制の確保
 平成16年度は新たに67病院(単独型・管理型)を指定し、臨床研修病院は、協力型も含めると平成16年4月1日の2,081病院から87病院増え2,168病院となった。
 また、平成16年10月に実施された研修医マッチングでは、8,000名の研修希望者の研修先が決まったが、大学病院ではなく、地域の臨床研修病院で研修を受ける研修医の割合は昨年に引き続き増加し、全体の47.3%となった。
 各都道府県においては、地域の医師確保という観点から医学生への働きかけなど積極的な取り組みを行うとともに、地域医療に関する関係省庁連絡会議への参加等を通じ、研修の実施に伴い地域医療に支障が生じないよう必要な対応をお願いしたい。

(3) 臨床研修に係る財源の確保
 新制度施行2年目にあたる平成17年度予算案においては、2学年全ての研修医が新制度の対象となることから、全ての研修医が適切な指導体制の下で研修を実施するための経費として、対前年度11億円増の182億円を計上した。
 各都道府県におかれては、新医師臨床研修制度の趣旨を踏まえ、円滑かつ着実な実施に向けて引き続きご協力をお願いしたい。

(4) 保健所研修の実施について
 平成17年度においては、2年目に入り多くのプログラムにおいて、必修科目の1つである地域保健・医療の研修が予定されている。
 その一環として、地域社会に生きる患者を学び、全人的医療を身につけるとともに、医療の社会性を理解することを目的とした保健所研修が、約4割の研修プログラムで計画されている。
 各都道府県におかれては、この研修の趣旨をよくご理解の上、管内の保健所で効果的かつ円滑に研修が実施できるようご協力をお願いしたい。


7.救急・災害医療及びへき地医療について

(1)救急医療体制の充実

 地域における医療提供体制の整備を図るに当たり、救急医療体制の確保はその筆頭にも挙げられる重要課題である。
 なかでも、小児救急医療については、昨今、我が国において少子化が進展する中で、今後の我が国社会を担う若い生命を護り育てるため、保護者の育児面の安心の確保を図るという観点から、都道府県における体制整備が急務となっている。
 しかしながら、その整備状況は、昨年11月26日の全国小児救急医療関係者主管課長会議で公表したとおり、調整不足などにより、未整備にとどまる地域も依然として数多く残されている。
 各都道府県におかれては、小児救急医療体制をめぐる「危機意識」を改めて共有し、強力なリーダーシップの下、地域における関係者による協議の場において、その整備計画の進捗状況の点検や新たな整備方針の策定など早期に努めるとともに、国庫補助制度の積極的な活用等により小児救急医療体制の早期確立を図るようお願いする。
 小児救急医療体制の充実に関する国庫補助制度については、平成17年度予算案において、従来二次医療圏単位で行われていた小児救急医師を確保するための協議会を都道府県単位に拡大させることや、離・退職小児科医師の発掘、医師の再教育を行うことにより、小児救急医療等に対応する医師の確保を行う事業について、新たに補助制度に盛り込んだところである。
 また、病院群輪番制病院運営事業については、地方公共団体で二次救急医療体制が確保されることを前提に、当該補助事業を廃止し、その分の財源を地方公共団体に税源移譲されたものであるので、地域における二次救急医療体制の確保に当たっては、従来どおり、関係者との連携を図り、支障の生ずることのないようお願いする。
 なお、平成16年7月1日に「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会報告書」が公表され、平成17年度予算案において、各都道府県が協議会を設置し、非医療従事者によるAEDを用いた積極的な救命活動が行われるよう講習の実施や啓発を図る事業を新たに国庫補助制度に盛り込んだところであるので、積極的な活用をお願いする。

(2)新潟県中越地震の対応について

 平成16年10月23日18時頃から数回にわたる強震度地震により新潟県は甚大な被害を被ったところである。厚生労働省では、地震発生直後に、緊急参集チームとして、官邸危機管理センターに参集し、同日19時05分に厚生労働省災害対策本部を設置し、被害状況の情報収集及び支援の調整を行った。
 今回の地震でお亡くなりになられた方には心よりご冥福をお祈り申し上げる一方、震災直後の医療の実施については、地元の行政機関、医師会及び医療機関等の尽力により、また新潟県外からも多くの医療救護班の派遣等の支援もあり、概ね適切に実施されたことについて感謝申し上げる。
 なお、今回の地震により一部の医療機関の建物が被害を受け、医療の提供に支障が生じたことから、厚生労働省研究班と四病院団体協議会が共同で、医療機関の建物に関する耐震調査を実施する予定なので、ご協力をお願いするとともに、各都道府県におかれては、医療機関の耐震化に真摯に取り組んでいただきたい。
 また、地震発生直後に、各都道府県の災害拠点病院等が広域災害救急医療情報システム(EMIS)への支援情報の更新を迅速に行えるようにするために、防災担当者の携帯電話メールアドレスの登録を行い、1月18日にEMISの情報通信訓練を実施した(結果は別紙参照)。今後は、EMISへの情報入力に関するマニュアルを作成し、定期的に同様な訓練を実施することを予定しているので、ご協力をお願いする。
 さらに、平成16年度第1次補正予算(案)においては、新潟県中越地震により被災した医療施設等に対する災害復旧費として542百万円、災害の急性期(48時間以内)に可及的早期に被災地で活動できるようトレーニングを受け、機動性を持った災害派遣医療チーム(DMAT)の体制の確保に必要な災害派遣用医療機器等の整備及び研修事業として784百万円をそれぞれ計上したところである。

(3)へき地医療

 へき地保健医療対策の現状
 へき地医療の確保については、「第9次へき地保健医療計画」に基づき、各都道府県単位に設置した「へき地医療支援機構」を中心として、二次医療圏を超えた広域的な支援体制を構築いただくようお願いしているところであり、平成17年度は当期計画の最終年ということからも、より一層、計画に沿った医療提供体制の充実が図るよう取り組みをお願いする。
 また、「第10次へき地保健医療計画(平成18年度〜22年度)」の策定に向けた「へき地保健医療対策検討会」を今月から開催することとしており、これに合わせて5年に1度全国的に調査を実施する「無医地区等実態調査」を本年3月頃に行うこととしていることからご協力をお願いしたい。

 へき地を含む地域における医師確保対策
 へき地を含む地域における医療提供体制の確保は、医療政策における重要課題となっており、特に医師の地域偏在は依然として大きな問題であることから、厚生労働省、総務省及び文部科学省で構成された「地域医療における関係省庁連絡会議」により、平成16年2月26日に「へき地を含む地域における医師の確保等の推進について」が取りまとめられたところである。
 これを受け、厚生労働省としては医師等の医療従事者の確保のため、へき地等病院医師確保支援特別対策を推進することとしており、具体的には緊急的な対応として、医師の確保が著しく困難な病院に対して「医師配置標準の特例措置」を講じ、当該許可を受けた病院へ定期的な医師派遣を行う「へき地医療拠点病院」等に対しても必要な経費の補助が行えるよう実施要綱の改正を行ったところである。

 また、17年度予算案におけるへき地を含む地域における医師確保対策関係として
 (ア) へき地保健医療システム事業等の増額 10百万円
 (イ) 退職医師の再就業支援講習会費  8百万円
 (ウ) へき地離島診療支援設備整備事業 メニュー項目に追加
等の所要額を確保したところであるので、積極的な活用をお願いしたい。


8.質の高い看護の提供について

(1) 訪問看護の推進について
 医療提供体制の改革において入院医療の適正化と在宅医療の推進が重要課題となっており、訪問看護の充実が不可欠である。特に24時間のたんの吸引が必要なALS患者等や、医療処置が必要な患者等の在宅療養生活の支援が重要であるため、平成16年度に訪問看護推進事業を創設したが、さらに平成17年度から事業の拡大を図ることとしている。
 当該事業は、訪問看護推進協議会の設置、ALS患者等人工呼吸器を装着しながら在宅で療養している患者等への訪問看護を充実するための体制整備に向けたモデル事業の実施、がん末期患者等の在宅ホスピスケアの推進及び訪問看護ステーションと医療機関の看護師の相互交流による研修などであり、平成17年度より補助対象を都道府県から市町村まで拡大することとし、さらに、新たに都道府県を対象に訪問看護ステーションに患者が通所し、集中的に効率的な看護の提供を受ける「通所看護」機能などの訪問看護ステーションの多機能化に向けた検討を行う(委託費により、所要額を手当てする)こととした。
 各都道府県におかれては、市町村への周知をお願いするとともに、在宅医療の推進に向けてこの訪問看護推進事業を積極的に活用していただきたい。特に各地域における訪問看護の実態把握は今後の施策の基礎となる事項であり、全都道府県で実施いただくことが不可欠であるため、引き続き、積極的な実施を願いたい。

(2) 新人助産師に対する医療安全推進モデル研修事業について
 近年、医療安全の確保に向けた体制整備が喫緊の課題となっている。特に周産期領域の医療提供においては、母子の安全確保に向けた対策の充実が求められているとともに、少子化対策の中で快適な出産環境の一層の整備が求められている。
 助産師は、周産期領域において分娩介助等の助産業務を通じて、妊産褥婦及び新生児に直接にケアを提供することが多いことから、安心、安全な出産のために重要な役割を担っている。
 このため、医療安全の確保に向け、新人助産師に対し、十分な教育体制(専任の指導者等)と研修プログラムに基づき研修を実施する医療安全推進モデル研修事業を新たに創設した。
 当該事業の実施については、研修体制が充実し新人助産師に対して十分な研修が可能と考えられる医療機関に直接委託し、実施する予定である。
 また、研修実施の通知は後日発出するが、各都道府県におかれては、管下医療機関等に対して実施事業の周知とともに、関係都道府県におかれては積極的な支援をお願いしたい。

(3) 看護職員需給見通しについて
 平成16年6月に「第六次看護職員需給見通しに関する検討会」を設置し、平成18年以降の需給見通しの検討を行っているところであるが、本年2月には各都道府県における需給見込算定方法についてとりまとめ、各都道府県にお示しする予定である。
 各都道府県における需給の把握は、新たな看護職員需給見通しの基本である。また、各都道府県における看護政策の企画立案に際しての重要な基礎資料となるものであり、平成17年度早期から本格的な作業の着手をお願いしたい。
 なお、御要望を踏まえ、平成17年度の政府予算(案)において、需給見通し策定にかかる調査等の経費として総額約1億円が計上されたところである。具体的な配分については、今後できるだけ早期にお示ししたい。


9.医療分野の情報化の推進について

 医療分野の情報化については、平成13年12月に情報技術を活用した今後の望ましい医療の実現を目指し、「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を策定し、その着実な推進に努めてきているところである。

 まず、根拠に基づく医療(EBM)を推進するため、平成15年度までに主要な20疾患について、学会等による診療ガイドラインの作成支援を行い、診療ガイドライン及び関連する医学文献情報等を(財)日本医療機能評価機構において、インターネット等により医療関係者や国民へ情報提供する事業を平成16年5月から開始しており、今後段階的に内容の充実を図っていく予定である。

 また、電子カルテシステムの普及促進を図るため、平成17年度予算案においては、地域の中心的役割を果たしている医療機関にWeb型電子カルテシステムを導入し、セキュリティを確保したインターネット等を介して、周辺の連携医療機関が電子カルテソフトの活用を図るネットワークを構築するための事業を行うなど、普及に向け各般の施策を行っていくこととしている。

(参考)これまでのモデル事業(地域診療情報連携推進費補助金)の実施地域
平成14年度 地域医療機関連携のための電子カルテによる診療情報共有化モデル事業
 ・千葉県(県立東金病院、亀田総合病院)
 ・宮崎県(宮崎県医師会)
平成15年度地域医療機関連携のための電子カルテ導入補助事業
 ・北海道(日鋼記念病院、釧路脳神経外科病院)
 ・群馬県(NPO法人地域診療情報連携協議会)
 ・千葉県(亀田総合病院)
 ・石川県(恵寿総合病院)
 ・京都府(洛和会音羽病院)
 ・高知県(幡多医師会)
平成16年度電子診療情報安全活用モデル事業
 ・東京都(東京都教職員互助会三楽病院)
 ・徳島県(県立中央病院)

 各都道府県におかれては、電子カルテシステムの普及等に向けて、引き続き、医療機関に対する指導・支援など格段の御協力をお願いしたい。


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