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社会保障審議会医療保険部会の開催経緯及び今後の議論の進め方


第1回  ( 7月16日)
「基本方針」、基礎的資料の説明
フリートーキング(1)
第2回  (10月 6日)
フリートーキング(2)
第3回  (11月10日)
受療動向や生活習慣病の現状等の説明
高齢者医療の在り方について意見交換
第4回  (12月 3日)
都道府県単位で保険者を再編・統合する意義、考え方について説明、意見交換
医療提供、健康増進、介護等における都道府県の役割を踏まえた地域での取組について意見交換(1)
第5回  ( 2月 9日)
国保、政管健保、組合健保の再編・統合のイメージについて説明、意見交換
地域での取組について意見交換(2)
第6回  ( 3月22日)
老人保健制度及び退職者医療制度の説明
高齢者医療制度の論点案の提示
第7回  ( 5月13日)
高齢者医療制度(特に、基本的な考え方、保険料・社会連帯的な保険料、医療費適正化)について意見交換
第8回  ( 6月23日)
新たな高齢者医療制度(特に、保険者、財政方式、心身の状況にふさわしいサービスのあり方)について意見交換
第9回  ( 7月28日)
これまでの審議の整理(論点整理メモ)
第10回  (10月22日)
今後の議論の進め方について
三位一体改革の動向について
医療費適正化について
第11回  (11月30日)
三位一体改革・国保関係の経過報告
いわゆる「混合診療」の問題について
介護保険制度改革の検討状況について

平成17年
 1月〜3月  保険者再編(政管健保・健保組合)
 4月〜6月  高齢者医療制度
 7月〜8月  医療保険制度改革の全体像



社会保障審議会医療保険部会 委員名簿

平成16年10月22日現在
  浅野 史郎 全国知事会社会文教調査委員会委員長、宮城県知事
  井伊 雅子 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授
磯部 力 立教大学法学部教授
  岩村 正彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授
  岩本 康志 一橋大学大学院経済学研究科教授
  漆畑 稔 日本薬剤師会副会長
  大内 尉義 東京大学大学院医学系研究科教授
  岡谷 恵子 日本看護協会専務理事
  久保田 泰雄 日本労働組合総連合会副事務局長
  河内山 哲朗 全国市長会国民健康保険対策特別委員会委員長、山口県柳井市長
  齊藤 正憲 日本経済団体連合会社会保障委員会医療改革部会長
  清家 篤 慶応義塾大学商学部教授
  対馬 忠明 健康保険組合連合会専務理事
  西村 周三 京都大学大学院経済学研究科教授
  箱崎 守男 日本歯科医師会副会長
  北郷 勲夫 国民健康保険中央会理事長
星野 進保 総合研究開発機構客員研究員
  松原 謙二 日本医師会常任理事
  山本 文男 全国町村会会長、福岡県添田町長
(注) ◎は医療保険部会長、○は医療保険部会長代理 (五十音順、敬称略)



社保審―医療保険部会 資料3
第9回(H16.7.28)

今後の検討の方向性(事務局案)

I 基本的な考え方

  ○ 医療保険制度の改革に当たっては、年金制度、介護保険制度等の関連する社会保障制度の改革との整合性を確保することを念頭において、検討を進めていくべきではないか。


II 高齢者医療の在り方について

  ○ 高齢者医療の在り方については、
あくまでも生活の質(QOL)の向上を重視する観点から、高齢者に相応しい医療サービスの在り方を検討すべきではないか。
高齢期の医療は生活習慣病と深く結びついており、生活習慣病を中心とした疾病の予防に若齢期から努めることを重視すべきではないか。
患者1人1人の意識や受診行動についても議論すべきではないか。
  ○ 以上のような点についての検討を通じて、望ましい医療サービスの在り方を展望し、これを促す高齢者医療制度を設計すべきではないか。


III 高齢者医療制度について

1. 基本的考え方
(社会保険方式の維持)
  ○ 新たな高齢者医療制度について、国民皆保険の枠組みを維持することを前提とし、個人の自立を基本とした社会連帯による相互扶助の仕組みである社会保険方式を維持することが適当ではないか。この場合、関係者が制度運営に参加し、関与し合っていくという運動論的な発想を重視した組立てが必要ではないか。
(前期高齢者と後期高齢者それぞれの特性に応じたサービスに着目した制度)
  ○ 高齢者の心身の特性の変化は大きく言って後期高齢者に入ってから見られると言ってよいのでないか。前期高齢者と後期高齢者の心身の特性の相違に着目した上で、後期高齢者については、生活の質(QOL)の確保や医療費の適正化を図る観点から、地域において介護サービスとの連携した後期高齢者にふさわしい医療サービスが提供でき、かつ、地域ごとの医療費水準に応じた保険料設定ができるよう、独立した制度を設ける方向で議論を詰めるべきではないか。
  ○ 前期高齢者については、65歳を境として受療動向に質的な変化が見られないことに着目し、予防に重点を置くためにも従来の医療保険制度の枠組みの中に位置づけるべきではないか。

2. 高齢者の保険料
(保険料の水準)
  ○ 高齢者の負担する保険料について、現役世代との均衡を考慮した適切な保険料負担を求めることとし、応益と応能のバランスを具体的にどのように設定することが適切か、更に検討すべきではないか。
  ○ 高齢者の負担能力について、どのような指標(所得、資産など)により、どのような単位(個人、世帯)で評価することが適切か、更に検討すべきではないか。
(低所得者への配慮)
  ○ 高齢者の保険料の設定に当たり、低所得者に対する配慮をどのように講ずべきか、更に検討すべきではないか。
(保険料徴収の方法)
  ○ 確実な保険料徴収の方法として保険料を年金から徴収する方向で検討すべきではないか。
(患者負担)
  ○ 基本方針閣議決定時の経緯も踏まえ、患者負担についてどう考えるか。

3. 社会連帯的な保険料
(社会連帯的な保険料の性格)
  ○ 社会連帯的な保険料の性格については、従来から公的医療保険制度においては「世代間の連帯」を含めた「保険集団全体の連帯」によって医療費の負担が行われていたことを踏まえて、捉えるべきではないか。
  ○ 社会連帯的な保険料について、その性格や仕組みについて具体的に検討すべきではないか。
  ○ 社会連帯的な保険料の負担を現役世代に求める前提として、給付と負担の関係をいかに分かりやすいものとするか、実効性ある医療費の適正化をどのようにして進めるか、それに対して保険者がどのように関与していくか、具体的に検討をすべきではないか。
(社会連帯的な保険料の負担の方法)
  ○ 社会連帯的な保険料の負担については、現役世代の理解・納得を得ることが重要ではないか。
  ○ その観点から、社会連帯的な保険料の負担の配分について、現役世代の属する各保険者の保健事業などによる医療費適正化の努力や成果が評価されるとともに、各医療保険保険者が後期高齢者医療制度の運営に関与できる仕組みを設けることが必要ではないか。

4. 後期高齢者医療制度の保険者
(国保の保険者との関係・保険者の再編・統合の進捗状況等)
  ○ 後期高齢者医療制度を地域保険として設けることと、既存の地域保険である国保の再編・統合の考え方やその進め方を含めた制度改革全体の姿との関係を整理することが必要ではないか。
  ○ この場合、後期高齢者医療制度の保険者に求められる機能・役割や財政方式、さらに、医療費適正化のための仕組みや都道府県の役割についても、具体的に明らかにすることが重要ではないか。

5. 財政方式
(1) 基本的な考え方
(老人保健制度の廃止)
  ○ 負担関係が分かりにくいことや医療費適正化の動機付けが働きにくいことといった老人医療費拠出金制度に関する問題点を踏まえ、新たな高齢者医療制度の導入の前提としては老人医療費の適正化の仕組みが設けられていること、また、新制度の財政方式においては、負担関係を分かりやすくするとともに、医療費適正化の努力や成果が報われる仕組みを設けることが必要ではないか。また、その医療費適正化の努力や成果をどのようにして評価するか、具体的に検討することが必要ではないか。
(2) 後期高齢者医療制度の財政方式
(高齢者の保険料と現役世代からの支援金の位置づけ)
  ○ 高齢者本人の保険料と現役世代からの支援金の割合について、
高齢者と現役世代の双方とも、各世代全体の負担能力が向上した場合、少なくともそれぞれに見合う負担をすべきではないか
一方、負担能力を上回って高齢者医療費が伸びた場合、その部分をどのように評価し、負担すべきか、
具体的に検討すべきではないか。
  ○ 現役世代の負担については、年金制度等において保険料を負担していることや介護保険制度における議論を踏まえ、食費やホテルコストについての患者負担のあり方についても検討を行いつつ適切な負担水準を検討していくべきではないか。
(被用者保険・国保による支援金負担の在り方等)
  ○ 後期高齢者に対する支援金負担の被用者保険と国保の間の配分に関して、所得捕捉の現状や将来における所得捕捉の在り方を視野に入れた上で、検討すべきではないか。
  ○ 後期高齢者医療制度に対する公費及び支援金の交付に当たっては、保険者間の財政力格差、医療費水準の格差(被保険者構成による部分とそれ以外の部分)などに着目した調整を行うべきではないか。
(3) 前期高齢者の医療費の調整
(国保、被用者保険の費用負担の在り方)
  ○ 医療費調整を行う前期高齢者に関して、前期高齢者の偏在による医療費負担の不均衡を調整することについて、更に具体的に議論をすべきではないか。
(前期高齢者に対する公費負担の在り方)
  ○ 後期高齢者に公費を重点化するという平成14年度改正法の考え方に照らし、前期高齢者に対する公費負担の在り方について、どう考えるか。

6. その他
  ○ 保険給付の内容・範囲の在り方等についても議論をすべきではないか。


IV 保険者の再編・統合

1. 基本的考え方
  ○ 医療保険制度については、以下のような点を考慮し、保険者機能を強化しつつ、保険者の再編・統合を進めて、都道府県単位を軸とした保険運営を目指すべきではないか。
(1) 保険者として安定的な運営ができる規模が必要であること。
(2) 地域の保健医療施策が都道府県を中心に行われていること。
(3) 患者の受診行動は、都道府県の圏域で概ね完結していること。
(4) 医療の地域特性(疾病構造、患者の受診行動、医療提供の在り方等)は、都道府県単位で違いが大きく、これが都道府県ごとの医療費の格差に反映していることから、こうした地域特性を踏まえ、保険者、医療機関、地方公共団体等の関係者が、都道府県単位で連携して、質の高い効率的な医療の提供を図りつつ、医療費の適正化に取り組む必要があること。
(5) いずれの制度においても地域の医療費水準に応じた保険料水準の設定が行われることにより、上記(4)のような取組の促進が図られることが期待されること。

2. 国保の再編・統合
(市町村国保の再編・統合)
  ○ 市町村国保については、保険者の財政基盤の安定と保険者機能の強化を図るため、都道府県単位を軸とした保険運営を目指し、当面は、以下の理由により、医療費の適正化及び保険料の平準化を進めるべく都道府県の二次医療圏を基本に再編・統合を行うことについて、更に具体的に議論を深めるべきではないか。
(1) 二次医療圏は医療に関する通常の需要がその中でほぼ充足されるような区域であることから、医療費水準の平準化がしやすいこと。
(2) 実際に二次医療圏単位での市町村ごとの医療費水準の格差は、離島等一部の地域を除けば大きくないこと。
(3) 二次医療圏単位で医療費の格差があるときには、医療提供体制の在り方等に着目し、二次医療圏単位で医療費を適正化すべきであること。
  ○ 都道府県全体に医療費水準の大きな格差がない場合は、都道府県一本の保険者への再編・統合を検討し、医療費の適正化及び保険料の平準化を進めてはどうか。
  ○ 保険者の医療費適正化努力を促しつつ地域の医療費水準に応じた保険料負担が行われるよう、財政調整交付金の配分方法等を見直すべきではないか。
  ○ 市町村保険者を指導する立場にある都道府県が、都道府県内及び各二次医療圏における医療費の適正化及び保険料の平準化の実現に向けて一定の役割を果たすことができるよう、都道府県の具体的権限の在り方について検討すべきではないか。
  ○ 保険料収納率の向上を図るため、制度的対応を含めた方策を検討すべきではないか。
(国保組合の在り方)
  ○ 国保組合については、市町村国保との均衡の観点等を踏まえ、国庫助成の在り方等について見直しを行うべきではないか。

3. 政管健保の再編
  ○ 事業運営の効率性等を考慮しつつ、地域における保険者機能の強化を図る中で、地域の医療費水準に応じた保険料水準とするため、政管健保の財政運営を基本的に都道府県を単位としたものとすべきではないか。
  ○ 都道府県単位の財政運営に当たっては、国庫補助の配分方法の見直しや都道府県間の保険料収入の移転により、都道府県別の年齢構成や所得について調整を行った上で、地域の医療費水準が反映された保険料率の設定を行う仕組みとすべきではないか。
  ○ 保険料率の設定に当たっては被保険者等の意見を反映した自主性・自律性のある保険運営が行われる仕組みを設けるべきではないか。

4. 健保組合の再編・統合等
(健保組合の再編・統合)
  ○ 保健事業を中心に地域における他の保険者と共同・連携することによって、保険者機能の充実を図るべきではないか。
  ○ 主に同一都道府県域内において、健保組合間の共同・連携を進め、より効率的な事業運営を行い、保険者機能を発揮するよう、企業・業種を超えて健保組合同士が合併して形成する地域型健保組合の設立を認めるべきではないか。
  ○ 小規模・財政窮迫組合については、運営を安定化させるため、効果的・効率的な事業運営を行うよう指導するとともに、保険者機能の発揮のために、必要に応じて他の健保組合との共同事業や統合を促すべきではないか。
(共済組合の在り方)
  ○ 共済組合については、その自立性を尊重しつつ、保険者としての運営の在り方を検討すべきではないか。

5. 地域の取組
  ○ 高齢者の医療費の負担について現役世代の理解を得るためには、保険者も関与できる形で実効性ある医療費適正化の枠組みを明らかにする必要があるのではないか。
  ○ 地域住民の生活の質(QOL)を向上させるとともに、医療費の適正化を実現するという考え方を基本とすべきではないか。
  ○ 医療費適正化に向けた地域の取組に当たっては、保険者、医療機関、都道府県、市町村等の関係者の役割を明確にする必要があるのではないか。
  ○ 地域の実情に応じて地域住民の生活の質(QOL)の向上と医療費の適正化を進めていくためには、医療計画、介護保険事業支援計画、健康増進計画の策定等の事務を所掌している都道府県の役割が特に重要ではないか。こうした観点から、都道府県の権限の具体的在り方について検討すべきではないか。
  ○ 生活の質(QOL)の向上と医療費の適正化を進めていくため、
(1) 急性期医療を手厚くし、在院日数を短縮し、在宅で必要なケアが受けられるよう、医療機関の機能分化と連携の推進や介護サービスとの連携のもとでの高齢者の生活機能を重視した医療サービスの提供が必要である。このため、医療提供の在り方等を見直す必要があるのではないか。
(2) 生活習慣病対策を中心とする効果的な健康づくりについて、保険者同士及び保険者と地域保健行政が共同・連携して取り組む体制を地域において構築すべきではないか。
(3) そのほか、中長期的な取組だけでなく短期的な効果がでる取組が必要ではないか。また、国の役割を明確にするとともに、これに沿った取組も必要ではないか。



医療費の適正化対策について(事務局案)


1. 基本的考え方

(1)  近年の急速な高齢化の進展の中で老人医療費は増大し続けており、その国民医療費全体に占める割合は、年々上昇する傾向にある。

(2)  こうした中で、医療保険制度を今後とも持続可能なものとしていくためには、現役世代の負担が過重なものとならないよう、老人医療費を中心として医療費の伸びの適正化を図っていくことが重要である。

(3)  医療費の水準は、地域における疾病の発生状況及び患者の受診動向のほか、地域における医療提供体制の状況、保健事業及び介護サービスの実施状況等とも関連があり、これらは都道府県ごとに格差が大きい。こうした状況を踏まえ、都道府県単位で関係者が連携して医療費の適正化に取り組んでいく。

(4)  医療の地域特性に応じて、若齢期からの健康づくりや高齢者の生活機能を重視した医療・介護サービスの提供等に取り組み、国民のQOL(生活の質)の向上を図ることを通じて、医療費の適正化の実現を目指す。


2. 医療費適正化計画の策定

(1)  都道府県が、保険者・医療機関・市町村等の関係者による協議の場を設け、地域の医療特性を把握・分析した上で、医療費の適正化に向けて取り組むための計画(以下、「医療費適正化計画」という。)を策定する。

(2)  医療費適正化計画の策定に当たっては、まず地域の医療特性を把握・分析し、当該地域における課題を明らかにした上で、具体的取組の在り方を検討する。

(3)  医療費適正化計画では、特に次の視点を重視し、都道府県ごとの取組の目標を設定した上で、実効性ある取組を推進していく。
(1)  生活習慣病予防を中心とする保健事業の推進
(2)  急性期医療の質の向上と効率化
(3)  地域における高齢者の生活機能の重視(介護サービスと連携した在宅医療の充実)

(4)  医療費適正化計画については、同じく都道府県が策定する健康増進計画、医療計画、介護保険事業支援計画と相互に整合性を確保する。

(5)  国は、都道府県が策定する医療費適正化計画に関し、指針の策定などの技術的支援を行うとともに、計画の実効性ある推進のため、各種方策を総合的に実施する。


3. 具体的対策

(1)  生活習慣病予防を中心とする保健事業の推進
(1)  基本的考え方
 保険者が地域保健と連携しながら、若齢期からの保健事業に積極的に取り組むことにより、生活習慣病の発症を抑制し、加入者の健康度やQOLを向上させるとともに、中長期的な観点から医療費の適正化を図る。
(2)  具体策
ア.  生活習慣病の発症・重症化予防や医療費適正化について一定の成果を上げている取組について検証を行った上で、科学的根拠に基づいた効果的な保健事業の手法の開発・普及を図る。
イ.  具体的には、地域における取組として、健診後の保健師の戸別訪問による健康相談や運動教室の開催等により老人医療費の適正化に効果を上げている例、並びに職域における取組として、運動習慣がない者に対する個別指導の実施が健保組合の医療費の適正化に効果を上げている例などがあり、さらにこうした事例の収集・分析を行うことを通じて、効果的な保健事業の手法を明らかにしていく。
ウ.  都道府県が主体的な役割を発揮しながら、保険者と地域保健が一体的に保健事業に取り組む体制を構築し、両者の役割分担と連携の在り方を明らかにしつつ、保険者自らがより積極的に推進できるようにしていくことを目指す。
エ.  特にこれまで十分に行われてこなかった健診後の事後指導・フォローアップについて、保険者が中心となって取り組んでいく体制を強化する。
オ.  都道府県単位での保険者協議会の設置等により、保険者同士の連携や地域と職域の連携を強化し、サラリーマンに対する現役時代・退職後を通じた一貫した健康管理や被扶養者に対する保健事業の取組などを推進する。

(2)  急性期医療の質の向上と効率化
(1)  基本的考え方
 若年期・壮年期はもとより高齢期においても、疾病の特性や重症度に応じた質の高い急性期医療がより効率的に提供されることを目指す。
(2)  具体策
ア.  急性期入院医療を担う医療機関について、地域のニーズを踏まえ、それぞれの専門性に応じた機能の明確化を図る。
イ.  急性期の入院患者に対し、必要な医療資源が集中的に投入されるようにし、在院日数の短縮を図ることにより、急性期医療の質の向上と効率化を図る。
ウ.  急性期入院医療に係る診断群分類別包括評価(DPC)について、その導入の影響を検証し精緻化を図りつつ、疾病の特性や重症度を反映した包括評価の実施に向けて検討を進める。
エ.  急性期の入院から回復期(亜急性期)、慢性期の医療へと至る患者の流れを円滑なものとするため、地域における医療機関の連携を推進する。
オ.  具体的には、地域において機能を明確化させた急性期医療を担う病院が、当該病院を退院した後の回復期(亜急性期)、慢性期の医療をも視野に入れた診療計画を作成することなどにより、地域の医療機関との連携の強化を図る取組を進める。

(3)  地域における高齢者の生活機能の重視(介護サービスと連携した在宅医療の充実)
(1)  基本的考え方
ア.  急性期の入院から、回復期(亜急性期)等を経て、在宅(多様な居住の場)での療養に至る患者の流れを促進する。
イ.  在宅(多様な居住の場)における介護サービスと連携した医療サービスの充実を図ることにより、患者のQOLの向上を図るとともに、上記アのような入院から在宅への患者の流れを促進し、社会的入院の解消を図る。
(2)  具体策
ア.  医療機関からの転換を含め、多様な居住の場(ケアハウス、グループホーム、ユニットケア型特養・老健施設、小規模多機能型施設等)の質的・量的充実を図り、退院後の患者の受け皿を確保する。
イ.  入院から在宅(多様な居住の場)での療養生活に円滑に移行できるよう、入院医療提供者と在宅医療・介護サービス提供者の間の連携を強化する。
ウ.  既に要介護認定を受けている高齢者が心身の状況に応じた必要な医療を受けるため、地域において医療・介護の間で一層連携がとられ、生活機能を重視した形で総合的にサービスが提供できるような仕組みを検討する。
 この場合、とりわけ在宅でサービスを受ける後期高齢者に対して地域で主治医やケアマネージャーが一層協働できるようにする。
エ.  療養病床、訪問看護、訪問リハビリなど医療保険と介護保険に共通するサービスについて、その機能分担の在り方を明確化する。
オ.  介護保険施設におけるホテルコスト及び食費に係る費用負担の在り方に関する議論を踏まえ、医療保険制度としての対応の在り方を検討する。

(参考)  その他これまで議論されてきた医療費の適正化対策の例
 老人医療費の伸び率管理制度
 日本型参照価格制度
 OTC(一般用医薬品)類似薬(ビタミン剤等)の扱いや免責制など公的保険給付の内容及び範囲の見直し


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