2.新しいサービス体系における事業運営のポイント


1. 障害種別の取扱い

 ○  障害種別にかかわらず、必ず利用者を受入れなくてはならないのか。

→
 障害者自立支援法においては、障害種別にかかわらず、施設体系を一元化し、全ての障害者の受入れが可能になる。
 サービス提供の場面では、障害特性に応じた専門性に、十分配慮する必要がある。
↓
 事業者においては、障害種別にかかわらず、利用者を受け入れることが基本。
 しかしながら、サービスの専門性を確保するため、特に必要がある場合においては、あらかじめ、事業者ごとに、障害種別により、「主たる対象者」を定めることができることとし、この範囲に該当する者から利用申込があった場合には、応諾義務を課すこととする。

具体的な取扱いのイメージ】
(1)  事業者は、運営規程において、「主たる対象者」を定めることを可能とする。
 「主たる対象者」の範囲については、障害種別による特定に限り認める。
(身体障害のうち、肢体不自由、視覚障害、言語聴覚障害、内部障害を特定する場合を含む。)

(2)  「主たる対象者」を定めた事業者については、指定申請の際に、その理由を付したものを併せて、都道府県知事へ提出する(変更は届出)。

(3)  各事業者は、「主たる対象者」について、重要事項説明書や広告等により、利用者へ周知。


2. 入所施設における日中活動と住まいの場の分離

(1) 支給決定

 市町村は、1人1人の利用者に対し、日中活動と夜間の入所支援について、それぞれ種類・量を決定。

【現行】   【新制度】  
入所施設




日中活動

夜間の介護、居住の場











1種類のサ|ビスに関する支給決定 → ∧週5日間∨
生活介護
(日中活動)




2種類のサ|ビスに関する支給決定
∧週7日間∨
施設入所
(夜間及び休日の介護、居住の場)




 ※  日中活動と居住の場は一体。
(入所施設とは別の日中活動の選択は不可能。)
 
※1  入所施設から離れて、日中活動の選択が可能に。
※2  施設入所者の日中活動に係る支給決定については、原則、週5日間に限る。(休日の日中における介護体制については、施設入所の中で評価。)
 


(2) 入所施設及びグループホーム・ケアホーム事業者による外部の日中活動の利用支援

 施設入所者等が外部の日中活動の利用を希望する場合、入所施設等は外部事業者との利用調整等の支援を実施することを義務付け。

図

 入所施設等は、利用調整と併せて、利用者負担上限額について、外部の日中活動事業者分も含めて一元的に管理する。


3. 報酬の利用実績払い(日額払い)

 利用の有無に関わらず、毎月一定額が保証される「月払い」方式から、利用実態を反映する「利用実績払い(日額払い)」方式へ転換。

 1日当たりの実利用人員に基づき、給付すべき費用を算定。

 サービス利用量に応じた定率負担の導入に対応。

 利用者の実情に応じて、土日・祝日を含め、積極的なサービス提供も可能。

   入院・外泊期間の報酬の取扱いについては、他制度との整合性や利用率の実態等を勘案して、設定。
↓
利用実績払いの導入と併せて、運営の効率化が図られるよう、規制を見直し


利用実績払いに伴う規制の見直し(1)

 利用実績払いにより、事業運営が不安定になるのではないか。

→
 定員と実際の利用者数の取扱いを柔軟化し、施設の利用率向上を図る。
↓
【サービス利用者数の算定方法の見直し(案)】
(1) 定員を超えて利用者を受け入れることを可能とする。
(2) 過去3ヶ月間の平均実利用人員が定員を下回っていることを前提に、一日当たりの実利用人員が定員を超過している場合でも、一時的なものとして認める。
(3) ただし、サービスの質を確保するため、次の事由に該当する場合には、報酬を減算する仕組みを導入。

(1)  一日当たりの利用者数が、定員の○%又は定員に△人を加えた数を超過している場合
(2)  過去3ヶ月間の平均実利用人員が、定員の○%又は定員に△人を加えた数を超過している場合
期待される効果)
→
各事業所の利用率の向上と併せて、サービスの潜在的な需要に対応
 ※  現行においては、定員の概ね10%の範囲内で定員外の入所を認めることとされている。


利用実績払いに伴う規制の見直し(2)

 日によって配置すべき職員数が変動し、職員の配置や確保が困難になるのではないか。

→
 一定期間の平均実利用人数に基づき、職員数を算定することとし、日によって人員配置が変動することのないよう配慮。
↓
【施設従事者数の算定方法の見直し(案)】
 前年度の平均実利用人数に基づき、配置すべき職員数を算定する方法に変更。

 新規に事業を開始した場合においては、次に基づき、職員数を算定。
(1)  前年度の実績が6ヶ月以上1年未満ある場合は、直近の6ヶ月の平均実利用人員
(2)  前年度の実績が6ヶ月未満の場合は、定員の90%
期待される効果)
→
職員の安定的な確保


4. 日中活動の最低定員

 良質なサービスが安定的かつ効率的に提供されるようにするため、原則、社会福祉法に定める最低定員20人を適用。

 就労継続支援事業(雇用型)については、様々な形により、障害者の就労の場が確保されるよう、最低定員を10人とする。

 過疎、離島地域等において、単一のサービスについて利用者数を確保することが困難な場合は、都道府県の判断により、10人以上を可能とする。

図
例外的な取扱い
 ※1  過疎・離島地域等の事情により、単一のサービスでは利用人数を確保することが不可能と都道府県知事が判断した場合には、10人以上で良いこととする。
 ※2  地域活動支援センターについては、定員ではなく、実利用人員とする。


5. サービス管理責任者の研修

 サービスの質を確保するため、事業者ごとに、個別支援計画の作成、サービス内容の評価  等を行うサービス管理責任者を配置。

 サービス管理責任者の要件として、
(1)  障害福祉サービスにおいて個別支援計画の作成に従事した経験など、一定の実務経験を有していること、
(2)  一定の研修を受講していること
を課す。

 具体的には、
 国においては、都道府県レベルで実施される「サービス管理責任者養成研修」の講師の養成、
 都道府県レベルにおいては、実際に従事するサービス管理責任者の養成
を行う。

 施行後3年間は、個別支援計画作成業務に関して一定の実務経験を有する者について、サービス管理責任者として認める経過措置を検討(経過措置期間内の研修受講を義務付け)。


サービス管理責任者研修の取扱いについて(案)

1. 指導者養成研修(国研修)
(1)  実施主体 国
(2)  研修の期間等
2〜3日間程度
講義及び演習による
(3)  費用負担
教材費等は受講者負担
2. サービス管理責任者養成研修(都道府県研修)
(1)  実施主体 研修事業者
事前に、研修事業者が申し出た上で、都道府県が一定の要件に該当する研修事業者を選定
当面、都道府県自らが実施することも可
一定の実務経験を有することをもって、経過措置により、サービス管理責任者としての業務を行う者については、優先して研修を受講
(2)  研修の期間等
個別研修(講義・演習)+実務研修 2〜3日間程度
 18年9月までの間は個別研修のみを実施し、10月以降に実務研修を行うといった柔軟な対応も検討
ケアマネジメント従事者研修の受講を前提とする
(3)  費用負担
(ア) 研修事業者が実施主体となる場合
研修事業者ごとに定める額
(イ) 都道府県が実施主体となる場合
18年10月から、都道府県地域生活支援事業により、研修会開催費用の一部を補助
 18年9月までの間に行う場合は、研修会開催費用の一部について「障害者保健福祉推進事業等(仮称)」を活用することを可能とする予定
教材費等は受講者負担
(4)  研修に係る経過措置
施行後3年間は、個別支援計画の作成に関する業務に関し一定期間の実務経験を有する者を認める経過措置を設けることを検討


サービス管理責任者研修のイメージ】

サービス管理責任者研修のイメージの図

※┤



介護系: 生活介護、療養介護
訓練系: 機能訓練、生活訓練
就労系: 就労移行支援、就労継続支援
居住系: 共同生活援助・共同生活介護
 さらに、事業ごとのプログラム等の必要性について検討。


今後のスケジュール(案)

平成18年 1月〜6月   研修のあり方等に関する検討
研修カリキュラム及びテキストの作成



国の指導者養成研修

都道府県のサービス管理責任者研修

 施行後3年間は、個別支援計画作成業務に関して一定の実務経験を有する者について、サービス管理責任者として認める経過措置を検討(経過措置期間内の研修受講を義務付け)。

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