自立支援医療費の支給認定に係る実施要綱等について


(資料の構成)


 自己負担上限月額を定める際の所得区分の認定について

 概要資料

 前回会議からの修正箇所一覧

 資料本体


 「自立支援医療費の支給認定について(案)」

 本案について

 資料本体






×  かがみ
×  別紙1  自立支援医療費支給認定通則実施要綱
×  別紙2  自立支援医療費(育成医療)支給認定実施要綱
×  別紙3  自立支援医療費(更生医療)支給認定実施要綱
×  別紙4  自立支援医療費(精神通院医療)支給認定実施要綱



自己負担上限月額を定める際の所得区分の認定について



自立支援医療に係る自己負担上限額を定める際の所得区分の認定について

自立支援医療の支給認定にあたっては、自立支援医療を受診する者の「世帯」所得に応じて、各月ごとの自己負担上限額を定めることとなる。


支給認定を行う都道府県・市町村は、
 I 「世帯」の範囲を確認
 II 「世帯」の所得を確認
 III  必要に応じ、「重度かつ継続」かどうかを確認
して、どの所得区分(資料(1))に該当するかを判断し、各月ごとの自己負担上限額を決定する(右図)。

このとき

自立支援医療については、
I 「世帯」の範囲は同一医療保険単位とする(資料(2))
II 「世帯」の所得は、医療保険の保険料の算定対象となっている者の所得を確認する(資料(3))
こととすることを原則とする。


支給認定については、提出された資料に基づき、以下の流れで認定する

自立支援医療に係る自己負担上限額を定める際の所得区分の認定についての図


資料(1)所得区分概念図

1.受診者 従来の更生医療、育成医療、精神通院公費の対象者(対象疾病は、従来の対象疾病の範囲どおり)
2.給付水準 自己負担については1割負担網掛け部分)。ただし、所得水準に応じて負担の上限額を設定。
また、入院時の食費(標準負担額)については自己負担。
資料(1)所得区分概念図

※1  (1)   育成医療(若い世帯)における負担の激変緩和の経過措置を実施する。
 (2) 再認定を認める場合や拒否する場合の要件については、今後、実証的な研究結果に基づき、制度施行後概ね1年以内に明確にする。
※2  (1)   当面の重度かつ継続の範囲
疾病、症状等から対象となる者
 精神・・・・・・・・ 統合失調症、躁うつ病(狭義)、難治性てんかん
 更生・育成・・・・・ 腎臓機能・小腸機能・免疫機能障害
疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる者
 精神・更生・育成・・ 医療保険の多数該当の者
 (2) 重度かつ継続の対象については、実証的な研究成果を踏まえ、順次見直し、対象の明確化を図る。
※3  「一定所得以上」かつ「重度かつ継続」の者(所得区分(5)’)に対する経過措置は、施行後3年を経た段階で医療実態等を踏まえて見直す。


資料(2)自立支援医療に係る「世帯」について

医療保険単位による「世帯」
 「世帯」の単位については、同じ医療保険に加入している家族によって範囲を設定する。
 医療保険の加入関係が異なる場合には、税制における取扱いに関係なく、別の「世帯」として取り扱う。

《住民票上の「世帯」》

被保険者本人(A氏)

被扶養者(B氏)

【健保組合加入】

被保険者(C氏)

【国民健康保険加入】

───┬───
別々の世帯として取り扱う

<左図の例から・・・>

 健康保険に加入するA氏とB氏からなる「世帯」と、国民健康保険に加入するC氏からなる「世帯」に2分される。

 税制上はC氏がB氏を扶養親族としている場合であっても、医療保険の加入関係が異なるので、C氏とB氏は別の「世帯」。



資料(3)所得を確認する対象について

同一保険単位で認定された「世帯」の所得を確認し、どの所得区分に該当するかを見て、月額自己負担上限額を認定する。

「世帯」の所得は、当該「世帯」における医療保険の保険料の算定対象となっている者の所得を確認

同一の健康保険等
被保険者
 
被扶養者@
被扶養者A







国民健康保険
被保険者@
 
被保険者A
被保険者B
健康保険など国民健康保険以外の医療保険なら被保険者の所得   国民健康保険なら「世帯」内の被保険者全員の所得

自立支援医療を受ける者が、被保険者であっても被扶養者であっても上記原則は変わらない。



前回課長会議からの修正箇所一覧


<所得区分について>部
 1つ目の○(11ページ)
受給者の属する「世帯」の収入(※2箇所)
    ↓
受診者の属する「世帯」の収入


 図について、育成医療の経過措置を反映させる修正(12ページ)


<「世帯」の考え方・確認方法等について>部
 【原則的な考え方】部の2つ目の○(14ページ)
(育成医療の場合は受給者のものに加えて受診者の名前が記載されている被保険者証等の写しも同時に)を提出させるものとする。
    ↓
(育成医療の場合は、受給者のものに加えて受診者(=障害児)の名前が記載されている被保険者証等の写しも同時に)を提出させるものとする(カード型の被保険者等については、その券面の写しが該当。以下同様。)。


 あわせて、受診者の属する「世帯」に属する他の者の名前が記載された被保険者証等の写しを提出させるものとする。
    ↓
 あわせて、受診者の属する「世帯」に属する他の者の名前が記載された被保険者証等の写しを提出させるものとする。
 なお、受診者が国民健康保険に加入している場合については、申請者の提示した被保険者証等の写しが「世帯」全員のものかどうかにつき、申請者に住民票を提出させる又は職権で調査する等の方法によって確認することとして差し支えない。


 【原則的な考え方】部の注(14ページ)
 「市町村民税世帯非課税世帯」については、その属する「世帯」の世帯主及びすべての世帯員が自立支援医療を受ける日の属する年度(自立支援医療を受ける日の属する月が4月又は5月である場合にあっては、前年度)を基準として非課税であるかどうかを判断することとしているところ、仮に、自立支援医療を受ける日の属する月が4月又は5月である場合であって、6月以降も継続して自立支援医療を受けることとなっているときには、6月以降、課税状況が判明した段階で、利用者の属する「世帯」が、再度市町村民税世帯非課税世帯に該当するかどうかにつき確認を行うことを妨げない。
    ↓
 「市町村民税世帯非課税世帯」については、その属する「世帯」の世帯主及びすべての世帯員が自立支援医療を受ける日の属する年度(自立支援医療を受ける日の属する月が4月〜6月である場合にあっては、前年度)を基準として非課税であるかどうかを判断することとしているところ、仮に、自立支援医療を受ける日の属する月が4月〜6月である場合であって、7月以降も継続して自立支援医療を受けることとなっているときには、7月以降、課税状況が判明した段階で、利用者の属する「世帯」が、再度市町村民税世帯非課税世帯に該当するかどうかにつき確認を行うことを妨げない。


 【世帯の範囲の特例】部の1つ目の○(19ページ)
障害者を扶養しない
    ↓
受診者を扶養しない


<所得の確認方法等について>部
 【確認の対象となる所得】部の2つ目の○(21ページ)
 →  つまり、
 ・  国民健康保険加入者については、「世帯」の確認の際、受診者と同一の加入関係にある者全員の被保険者証の写しを提出させることが必要となる一方、
    ↓
 →  つまり、「世帯」の範囲の確認において、
 ・  国民健康保険加入者については、受診者と同一の加入関係にある者全員の被保険者証の写しを提出させることが必要となる一方、


 【所得区分の認定】部の1つ目の○(23ページ)
収入を確認し、(※2箇所)
    ↓
所得を確認し、


 【所得区分の認定】部の2つ目の○(23ページ)
住民税非課税の者
    ↓
市町村民税非課税の者


 【所得区分の認定】部の4つ目の○(24ページ)
 「この場合においても、7月以降の月額負担上限額について、7月に全員の再認定を行うことは要さないこととする。」の追加


 【支給認定の変更について】部の1つ目の○(24ページ)
必要な書面
    ↓
必要なもの


 【支給認定の変更について】部の3つ目の○(25ページ)
適用するわけではない
    ↓
適用するものではない



自己負担上限額を定める際の所得区分の認定について


<本資料について>
 自立支援医療の支給認定に際しては、同時に自己負担上限額を認定する必要があるが、当該認定については基本的に次の作業を行うこととなる。
 1  「世帯」の範囲を確認する。
 2  「世帯」の所得状況を確認する。
 3  必要に応じ「重度かつ継続」に該当するかどうかを確認する。

 本資料は上記のうち、1及び2について説明するものであり、最終的な流れをフロー図で示せば次頁のとおり。


(参考)
 自立支援医療の対象となる医療は、
  (1)  従来の育成医療
  (2)  従来の更生医療
  (3)  従来の精神通院公費負担医療(以下「精神通院医療」という。)
の3種類である。
 また、本資料中、
   ・  受診者 自立支援医療を実際に受ける者(障害者・障害児)
   ・  受給者 自立支援医療費を支給される者(障害者・障害児の保護者)
   ・  申請者 自立支援医療費の支給を申請する者(障害者・障害児の保護者)
   ・ 世帯 住民基本台帳上の世帯
   ・ 「世帯」 自立支援医療における「世帯」(医療保険単位・後述参照)
と整理している(受診者と受給者とを区別しているのは、育成医療等の場合において、実際に医療を受ける者と自立支援医療費を支給される者が異なるためである。)。


(参考)自立支援医療費の支給認定のフロー

支給認定については、提出された書類に基づき、次の流れで認定する。

自立支援医療費の支給認定のフローの図


<所得区分について>
 18年4月から、自立支援医療に係る自己負担の月額上限額については、受診者の属する「世帯」の収入や受給者の収入に応じて、以下の5区分に設定する。
 (1)  生活保護 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0円
 (2)  低所得1 ・・・・・・・・・・・・・・2,500円
 (3)  低所得2 ・・・・・・・・・・・・・・5,000円
 (4)  中間所得層・・・・医療保険の自己負担限度額(公費負担あり)
 (5)  一定所得以上・・医療保険の自己負担限度額(公費負担なし)

 なお、所得区分(4)又は所得区分(5)に該当する場合であって、受診者が「重度かつ継続」に該当するときにおける負担の月額上限額については、受診者の属する「世帯」の収入に応じて、以下の区分とする。
 (4)’ 中間所得層1 ・・・・・5,000円
 (4)” 中間所得層2 ・・・・10,000円
 (5)’ 一定所得以上(重継) ・・・20,000円
      ( 所得区分(5)’は施行後3年間の経過措置

所得区分概念図

1.受診者 従来の更生医療、育成医療、精神通院公費の対象者(対象疾病は、従来の対象疾病の範囲どおり)
2.給付水準 自己負担については1割負担網掛け部分)。ただし、所得水準に応じて負担の上限額を設定。
また、入院時の食費(標準負担額)については自己負担。
所得区分概念図

※1  (1)   育成医療(若い世帯)における負担の激変緩和の経過措置を実施する。
(施行後3年を経た段階で、医療費の分布、平均負担率等を踏まえ見直す。)
 (2) 再認定を認める場合や拒否する場合の要件については、今後、実証的な研究結果に基づき、制度施行後概ね1年以内に明確にする。
※2  (1)   当面の重度かつ継続の範囲
疾病、症状等から対象となる者
 精神・・・・・・・・・・・ 統合失調症、躁うつ病(狭義)、難治性てんかん
 更生・育成・・・・・・ 腎臓機能・小腸機能・免疫機能障害
疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる者
 精神・更生・育成・・ 医療保険の多数該当の者
 (2) 重度かつ継続の対象については、実証的な研究成果を踏まえ、順次見直し、対象の明確化を図る。
※3  「一定所得以上」かつ「重度かつ継続」の者に対する経過措置は、施行後3年を経た段階で医療実態等を踏まえて見直す。


 各所得区分の留意事項等は、次のとおり。
 所得区分(1)について
 所得区分(1)の対象となるのは、受診者の属する世帯が生活保護世帯である場合であるものとする。

 所得区分(2)について
 所得区分(2)の対象となるのは、受診者の属する「世帯」が市町村民税世帯非課税世帯(注1)であって、受給者に係る次に掲げる収入(障害者に対する一般的な制度として給付される収入として考えられるもの)が80万円以下である場合であって、かつ、(1)の対象ではない場合であるものとする。
 ・ 地方税法上の合計所得金額(注2)
(合計所得金額がマイナスとなる者については、0とみなして計算する)
 ・ 障害年金等(注3)
 ・ 特別児童扶養手当等(注4)

 (注1)  「市町村民税世帯非課税世帯」とは、受診者の属する「世帯」のすべての世帯員が自立支援医療を受ける日の属する年度(自立支援医療を受ける日の属する月が4月〜6月である場合にあっては、前年度)分の地方税法(昭和25年法律第226号)の規定による市町村民税(同法の規定による特別区民税を含むものとし、同法第328条の規定によって課する所得割を除く。以下同じ。)が課されていない者又は市町村の条例で定めるところにより当該市町村の条例で定めるところにより当該市町村民税を免除された者(当該市町村民税の賦課期日において同法の施行地に住所を有しない者を除く。)である世帯をいう。
 (注2)  「合計所得金額」とは、地方税法第292条第1項第13号に規定する合計所得金額をいう。
 (注3)  「障害年金等」とは、障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金、遺族基礎年金、遺族厚生年金、遺族共済年金等の公的年金をいう。
 (注4)  「特別児童扶養手当等」とは、特別障害者手当、障害児福祉手当、経過的福祉手当、特別児童扶養手当をいう。

 所得区分(3)について
 所得区分(3)の対象となるのは、受診者の属する「世帯」が市町村民税世帯非課税世帯(均等割・所得割の非課税)である場合であって、かつ、(1)・(2)の対象ではない場合であるものとする。

 所得区分(4)について
 所得区分(4)の対象となるのは、受診者の属する「世帯」に属する者の所得税額(納付すべき所得税額)の合計が30万円未満の場合であって、かつ、所得区分(1)〜(3)の対象ではない場合であるものとする。
 (注)  育成医療について
 育成医療については、所得区分(4)の対象になる場合、激変緩和のための経過措置を設けることとしている。

 所得区分(4)’について
 所得区分(4)’の対象となるのは、所得区分(4)の対象のうち「重度かつ継続」に該当し、かつ、「世帯」に属する者がいずれも所得税非課税である場合であるものとする。

 所得区分(4)”について
 所得区分(4)”の対象となるのは、所得区分(4)の対象のうち「重度かつ継続」に該当し、かつ、「世帯」に属する者の所得税額の合計が30万円未満の場合であるものとする。

 所得区分(5)’について
 所得区分(5)’の対象となるのは、所得区分(5)の対象のうち「重度かつ継続」に該当する場合であるものとする。

 所得区分の設定の際にいずれの区分に該当するか否かの判定に当たっては、所得確認に係る事務負担を考慮し、税情報を基本として判定に当たるものとする(詳細は後述参照。)。

 さらに、所得区分(2)に該当するかどうかを検討する場合は、税情報では収入額を把握できないこととなるが、障害者に対する一般的な制度として給付される収入については、税情報に加えて判定するものとする。

(注)  老人保健制度における高額医療費の負担区分の低所得Iの基準では、雑所得での公的年金等控除額を65万円とした上で、地方税法上の各所得金額がそれぞれすべて0円であるときを要件としている。 これと同様の方法を採用した場合、
 各所得項目につき、それぞれ税情報を取り寄せる必要があることから、事務が繁雑となること。
 黒字の所得項目がないこと(所得項目のいずれもが0円であること)が要件となっているため、黒字所得と赤字所得を相殺する損益通算後の合計所得金額を用いる場合より、対象者の範囲が狭くなること。
から、老人保健制度とは異なり合計所得金額を基本として、算定することとする。


<「世帯」の考え方・確認方法等について>
【原則的な考え方】
 自立支援医療における「世帯」については、「医療保険の加入単位」、すなわち「受診者と同じ医療保険に加入する者」をもって、「生計を一にする世帯」として取り扱うこととする。
 これは、(1)自立支援医療は、基本的には医療保険の自己負担部分を助成する機能を持っていること及び(2)医療保険における自己負担の上限額等は同じ医療保険に加入する者を単位として設定していることという実態に着目したことによる。


 具体的には、同一単位の被保険者証の交付を受けている単位によって「世帯」の範囲を判断することとなるが、「世帯」の範囲等に関する具体例については、別添資料を参照。
 →  申請の際に、申請書の他、受給者の名前が記載(被保険者本人として記載又は被扶養者として記載)されている被保険者証・被扶養者証・組合員証など医療保険の加入関係を示すもの(以下「被保険者証等」という。)の写し(育成医療の場合は、受給者のものに加えて受診者(=障害児)の名前が記載されている被保険者証等の写しも同時に)を提出させるものとする(カード型の被保険者等については、その券面の写しが該当。以下同様。)。
 あわせて、受診者の属する「世帯」に属する他の者の名前が記載された被保険者証等の写しを提出させるものとする。
 なお、受診者が国民健康保険に加入している場合については、申請者の提示した被保険者証等の写しが「世帯」全員のものかどうかにつき、申請者に住民票を提出させる又は職権で調査する等の方法によって確認することとして差し支えない。
 →  ただし、「世帯」に属する他の者の名前が記載された被保険者証等の写しについては、被保険者証等の形式や加入している医療保険によって、実質上、提出する必要のある範囲が異なることとなる点に注意(この点については<所得の確認方法について>を参照。)。

 (注)  「市町村民税世帯非課税世帯」については、その属する「世帯」の世帯主及びすべての世帯員が自立支援医療を受ける日の属する年度(自立支援医療を受ける日の属する月が4月〜6月である場合にあっては、前年度)を基準として非課税であるかどうかを判断することとしているところ、仮に、自立支援医療を受ける日の属する月が4月〜6月である場合であって、7月以降も継続して自立支援医療を受けることとなっているときには、7月以降、課税状況が判明した段階で、利用者の属する「世帯」が、再度市町村民税世帯非課税世帯に該当するかどうかにつき確認を行うことを妨げない。


 なお、実際の世帯の認定については、
 (1)  育成医療の場合、都道府県、指定都市(以下「都道府県等」という。)又は中核市に対して資料が提出されるので、これを当該都道府県等又は中核市が確認し、認定
 (2)  更生医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを当該市町村が確認し、認定
 (3)  精神通院医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを市町村が確認の上、都道府県等に送付、当該送付を受けた都道府県等が資料を再確認の上、認定
することとする。
 ちなみに、(3)の場合については、認定主体としての各都道府県の判断により、提出された資料を逐一確認するのではなく、市町村の確認結果をもって世帯を確認したこととして認定する取扱いとしても差し支えない。

(別添)  自立支援医療における「世帯」の具体例(親A・B及びその子C)
   ※ 以下、この別添資料における世帯は「「世帯」」を示すものとする。
 パターン1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険※の被保険者本人 A・B・Cは同一世帯
健康保険においてAの被扶養者
健康保険においてAの被扶養者
本資料にいう健康保険とは、国民健康保険以外の全ての医療保険を指すものとする。

 パターン2−1−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 A・Cは同一世帯
Bは単独世帯
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人
健康保険においてAの被扶養者

 パターン2−1−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 A・Bは同一世帯
Cは単独世帯
健康保険においてAの被扶養者
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人

 パターン2−2−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 Aは単独世帯
B・Cは同一世帯
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人
健康保険においてBの被扶養者

 パターン2−2−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 Aは単独世帯
B・Cは同一世帯
健康保険においてCの被扶養者
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人

 パターン3
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 A・B・Cは
それぞれ別世帯
A・C・ACと同じ健康保険だが被保険者本人
ACとは別の健康保険において被保険者本人
A・B・ABと同じ健康保険だが被保険者本人
ABとは別の健康保険において被保険者本人

 パターン4
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 A・B・Cは同一世帯
国民健康保険の被保険者
国民健康保険の被保険者

 パターン5−1−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 A・Cは同一世帯
Bは単独世帯
健康保険において被保険者本人
国民健康保険の被保険者

 パターン5−1−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 A・Bは同一世帯
Cは単独世帯
国民健康保険の被保険者
健康保険において被保険者本人

 パターン5−2−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 Aは単独世帯
B・Cは同一世帯
健康保険において被保険者本人
健康保険においてBの被扶養者

 パターン5−2−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 Aは単独世帯
B・Cは同一世帯
健康保険においてCの被扶養者
健康保険において被保険者本人

 パターン6−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険において被保険者本人かつ世帯主 Aは単独世帯
B・Cは同一世帯
国民健康保険の被保険者
国民健康保険の被保険者
ここにいう「世帯主」は国保の擬制世帯主である。以下本別添資料において同じ。

 パターン6−2−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険において被保険者本人かつ世帯主 A・Bは同一世帯
Cは単独世帯
健康保険においてAの被扶養者
国民健康保険の被保険者

 パターン6−2−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険において被保険者本人かつ世帯主 A・Cは同一世帯
Bは単独世帯
国民健康保険の被保険者
健康保険においてAの被扶養者

 パターン6−3−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険において被保険者本人かつ世帯主 A・B・Cは
それぞれ別世帯
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人
国民健康保険の被保険者

 パターン6−3−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険において被保険者本人かつ世帯主 A・B・Cは
それぞれ別世帯
国民健康保険の被保険者
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人

【世帯の範囲の特例】
 上記の原則にかかわらず、受診者と同一の「世帯」に属する親、兄弟、子どもがいる場合であっても、その親、兄弟、子どもが、税制と医療保険のいずれにおいても受診者を扶養しないこととしたときは、上記原則からいえば同一「世帯」であっても、特例として、受診者及びその配偶者を別の「世帯」に属するものとみなす取扱いを行うことを、受給者の申請に基づき選択できる。
 なお、この特例を認め得る場合は、
 @  受診者及びその配偶者は市町村民税非課税である一方、
 A  これ以外に同一の「世帯」に属する者が市町村民税課税であるとき
のみとする。

自立支援医療に係る「世帯」の特例について

<原則>
自立支援医療に係る「世帯」は、同一保険単位で認定(右図の網掛けの範囲、すなわち、家族Aと受診者・配偶者が同一「世帯」となる。)。
  →(1) 税制上の関係は問わない。
(2) 保険内の扶養・被扶養関係は問わない。
<特例>
下記の要件(1)及び(2)をいずれも満たしていれば、受診者及びその配偶者の所得に基づくことも選択することができる。


  (要件(1))
税制上、同一の「世帯」に属する親兄弟、子ども等が障害者を扶養控除の対象としていないこと。
(右図では、家族Aが受診者を扶養控除の対象としていないこと)
(要件(2))
医療保険上、同一の「世帯」に属する親兄弟、子ども等の被扶養者となっていないこと。
(右図では、受診者の加入している健康保険上、受診者が家族Aの被扶養者となっていないこと)
 ※ 「世帯」を同一保険単位で考えるので、受診者が国保に加入している場合は、要件(2)は自動的に満たしていることとなる。
住民票上の世帯の図

 特例の実際  特例については、上記@・Aを満たす場合であって、
 (1)  同一「世帯」に属する他の者が受診者及びその配偶者を市町村民税上、扶養関係に基づく各種控除の対象としていないこと
 (2)  受診者及びその配偶者が同一「世帯」に属する他の者の医療保険の被扶養者となっていないこと
ときに認めることとなる(なお、この特例を適用せず、医療保険単位という原則に沿って自立支援医療費の支給を受ける場合には、(1)・(2)を勘案する必要はない。)。
  →  この特例的な取扱いを行う際には、申請書の他、次に掲げる事項について確認することとする。
 ・  同一「世帯」に属する者の市町村民税の税情報(受診者及びその配偶者が扶養関係に基づく各種控除(以下「扶養控除」という。)の対象となっていないか確認するため)
  ※  なお、ある年度において扶養関係にあったものの、その後生計を別にしたような場合は、税の申告が年1回であることから、次回の税申告時には扶養控除の対象から外れることとなる者については、その旨の確認を本人から取る(誓約書の提出を想定)ことにより、別の「世帯」とみなす取扱いができるものとする。
 ・  医療保険関係の証明(被保険者証等の写し等)
  →  上記(2)を証明するためには、
   受診者及びその配偶者が国民健康保険に加入していること
 受診者が健康保険の被保険者であること
 受診者は健康保険の被扶養者であるが、当該健康保険の被保険者がその配偶者であること
が示される必要がある。
 したがって、この場合は加入している医療保険にかかわらず、受診者の被保険者証等の写しに加え、配偶者の被保険者証等の写しを提出させる必要があることとなる。

 (注)  このような特例的な取扱いを認めるのは、すでに与党からの確認質問に対する平成17年7月13日の衆議院厚生労働委員会における答弁でも示されたとおり、障害者の自立という観点から、本人の所得のみに基づいた負担上限とすべきという要望がある一方で、医療保険制度等において、受診者を被扶養者とすることなどで事実上の経済的な恩典を受けている場合に、障害分野においてのみ特別な取扱いを行うことについて国民の理解が得られるか疑問があるという観点から、原則は医療保険単位で「世帯」を認定することとしつつ、例外的に、福祉サービスと同様、月額負担上限を受診者とその配偶者の所得に基づくことも選択できるように扱うこととしたところ。


【世帯の範囲が変化した場合】
 加入している医療保険が変更となった場合など「世帯」の状況が変化した場合は、新たな被保険者証の写し等必要な書面を添付の上、速やかに変更の届出をしてもらう(支給認定の変更の申請とは異なるものであることに留意。)。
 なお、「世帯」を医療保険単位で考えることから、上記の例では、新たな被保険者証の写しが届いてから、変更の届出が行われても問題ないものと考えられる。


<所得の確認方法等について>
【原則的な考え方】
 どの所得区分に該当するかは、申請者の申請に基づき認定することとする。  なお、例えば、申請があったとしても、提出資料や申請者からの聞き取りから、
  ・  所得が一切確認できなければ、所得区分(5)として取り扱うこととし、
  ・  所得税額が30万円未満であることのみ確認できるような場合は所得区分(4)として取り扱うこととし、
  ・  市町村民税世帯非課税であることのみ確認できる場合は所得区分(3)として取り扱う
こととする。
 →  現在すでに育成医療・更生医療・精神通院医療を利用している者についても、区分を設定するため、申請を出すように周知することが必要。
 負担上限額の申請と支給認定の申請とは本来異なる位置づけの申請であるが、自治体の事務の便宜上、支給認定の申請様式と負担上限額の申請様式との間で共通化できる部分について、これを共通化した申請書を用いることとする。


 どの所得区分に該当するかは課税状況によって決せられることから、所得区分(2)に該当するかどうかを確認する場合を除けば、各都道府県等は、「世帯」に属する者の課税状況を確認すればよいこととなる。


【確認の対象となる所得】
 「世帯」の所得の確認については、医療保険の保険料の算定対象となっている者の所得(=課税状況)を確認する。


 したがって、国民健康保険加入者については、同一の加入関係にある者全員の所得を確認することになる。
 一方、健康保険(被用者保険)加入者については、被保険者本人の所得を確認することになる。
  →  つまり、「世帯」の範囲の確認において、
  ・  国民健康保険加入者については、受診者と同一の加入関係にある者全員の被保険者証の写しを提出させることが必要となる一方、
  ・  健康保険(被用者保険)加入者については、受診者の被保険者証の写しと被保険者本人の被保険者証の写しが必要(受診者が被保険者本人であれば後者は不要)
となることになる。
 「世帯」の認定方法とあわせて数例の実例を提示すれば、次表のとおり整理される(表内の世帯という文言は「世帯」を意味している。)。

所得の勘案の具体例(親A・B及びその子C
 パターン1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 A・B・Cは同一世帯
健康保険においてAの被扶養者
健康保険においてAの被扶養者
受診者 所得勘案
Aなら
Bなら
Cなら

 パターン2−1−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 A・Cは同一世帯
Bは単独世帯
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人
健康保険においてAの被扶養者
受診者 所得勘案
Aなら
Bなら
Cなら

 パターン4
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 A・B・Cは同一世帯
国民健康保険の被保険者
国民健康保険の被保険者
受診者 所得勘案
Aなら A・B・C
Bなら A・B・C
Cなら A・B・C

 パターン5−1−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 A・Cは同一世帯
Bは単独世帯
健康保険において被保険者本人
国民健康保険の被保険者
受診者 所得勘案
Aなら A・C
Bなら
Cなら A・C


【所得区分の認定】
 実際の所得区分の認定においては、
 1  受診者が生活保護世帯に属するかどうかを確認
 2  生活保護世帯に属しないのであれば、受診者の属する「世帯」が市町村民税世帯非課税かどうかを確認(→市町村民税世帯非課税なら3’へ)
 3  市町村民税世帯非課税でないのであれば、「重度かつ継続」の適用を求めているかどうかを確認。(→求めていれば4へ)
 求めていないのであれば、受診者の属する「世帯」について、各医療保険制度で保険料の算定対象となっている者の所得を確認し、所得区分(4)又は(5)のいずれに属するかを決定
 4  受診者が「重度かつ継続」に該当するかを確認
 5  該当しないのであれば、所得区分を決定(3の後段と同様)
 該当するのであれば、受診者の属する「世帯」について、各医療保険制度で保険料の算定対象となっている者の所得を確認し、所得区分(4)’、(4)”又は(5)’のいずれに属するかを決定
 3’  市町村民税世帯非課税であれば、受給者の所得を確認し、80万円を境に、所得区分(2)又は(3)のいずれに属するかを決定
するという流れになる。


 申請する際に、添付する必要のある書類は次に掲げるもの。
 ・  受診者の属する「世帯」のうち、各医療保険制度で保険料の算定対象となっている者の収入を確認するために必要な者の分の市町村民税の課税状況等が分かる資料
(資料の一例)
 市町村の証明書(利用者の属する世帯のうち、所得を勘案すべき者の市町村民税の課税・非課税状況)
 確定申告書の控えや源泉徴収票の写し(所得税の課税・非課税状況)
 標準負担額減額認定書など医療保険制度で市町村民税非課税の者に対する減免措置が行われていることを示す書面
 生活保護世帯であれば、福祉事務所の証明書や保護決定通知書の写し等
 ・  受診者の属する「世帯」が市町村民税世帯非課税である場合には、申請者の障害年金等、特別児童扶養手当等の受給状況がわかる資料
(資料の一例)
 年金証書の写し、振込通知書の写し
 特別児童扶養手当等の証書の写し


 なお、法律に基づき、市町村が必要な情報について調査を行うことは可能であるが、事務の便宜上、申請の際に必要な税情報や手当の受給状況等について調査同意を書面で得るような取扱い等を行うことは、差し支えない(この調査同意は、原則本人から得るものとするが、これが困難な場合は、自らの身分を示す適宜の書類を提出させた上で、保護者等から得てもよいこととする。)。
 また、申請者による添付書類から状況が確認できる場合は、添付書類で確認することを原則とし、添付書類だけで確認できない場合は、必要に応じ、税部局や社会保険事務所等に確認する。


 月額負担上限額については、支給認定時に把握されている所得状況に基づき認定することとする。
 つまり、4月から6月までの間に認定する場合は、前々年の所得が月額負担上限額の認定の基礎になることとなり、その他の場合は前年の所得が基礎となることとなる。この場合においても、7月以降の月額負担上限額について、7月に全員の再認定を行うことは要さないこととする。


 なお、実際の所得の認定については、
 (1)  育成医療の場合、都道府県、指定都市(以下「都道府県等」という。)又は中核市に対して資料が提出されるので、これを当該都道府県等又は中核市が確認し、認定
 (2)  更生医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを当該市町村が確認し、認定
 (3)  精神通院医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを市町村が確認の上、都道府県等に送付、当該送付を受けた都道府県等が資料を再確認の上、認定
することとする。
 ちなみに、(3)の場合については、認定主体はあくまで各都道府県であるから、各都道府県等の責任において、提出された資料を逐一確認するのではなく、市町村の確認結果をもって所得を確認したこととして認定する取扱いとしても差し支えない。


【支給認定の変更について】
 受給者による支給認定の変更の申請については、当初の受給申請と同様の書面(ただし、添付書類は必要なもののみでよい。)及び受給者に発行している受給者証の写しを提出させることとする。


 なお、実際の所得の認定については、
 (1)  育成医療の場合、都道府県、指定都市(以下「都道府県等」という。)又は中核市に対して資料が提出されるので、これを当該都道府県等又は中核市が確認し、認定
 (2)  更生医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを当該市町村が確認し、認定
 (3)  精神通院医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを市町村が確認の上、都道府県等に送付、当該送付を受けた都道府県等が資料を再確認の上、認定
することとする。
 ちなみに、(3)の場合については、認定主体としての各都道府県の判断により、提出された資料を逐一確認するのではなく、市町村の確認結果をもって所得を確認したこととして認定する取扱いとしても差し支えない。


 申請を受け、月額負担上限額の変更の必要があると判断した場合は、変更することを決定した日の翌月の初日から新たな月額負担上限額を適用するものとする(申請日から新たな月額負担上限額を適用するものではない。)。


 なお、申請日から新たな受給者証が受給者に届くまでの間に自立支援医療を受けた場合の受給者証の取扱い等については、以下の2案を軸に検討中。
  案1  償還払いにより対応する。
 この場合、受給者には、新たな受給者証、加入している医療保険の被保険者証、領収書(受診者名・医療点数が記載されているもの)・印鑑を持参させるなど、国民健康保険における取扱いと同様の対応を行うことを想定。
  案2  新たな受給者証が届くまで有効又は申請日の翌月の末日まで有効というように、一定期間に限って有効な「仮受給者証」を交付し、対応する。


【未申告者の取扱いについて】
 非課税であることから申告をしておらず、課税・非課税の確認がとれない者については、原則として、申告したうえで非課税の証明書を取り、提出してもらうこととする(所得がありながらこれを隠していたような例もあり、原則としては非課税の証明書を提出してもらう必要がある。)。
 なお、非課税であることが確認できなければ、所得区分(5)として取り扱うことは既述のとおりである。


 ただし、精神通院医療においては、これまで所得確認がなかったことなどを勘案し、新制度への切り替えに伴う当分の間の措置として、非課税の証明書が添付されていないにも関わらず非課税であることを申し述べる者が現れた場合については、例外的に、申請書類の提出を受けた市町村は、資料を都道府県に送付する際に、非課税であるとみなすことができるかどうかの意見を付して送付することとし、当該都道府県は、市町村の意見を参考に非課税であるとみなしてよいと判断すれば非課税とみなすことができるものとする。


 なお、上記の者については、実際の合計所得金額が確定できず、収入が80万円未満なのかどうかの確認ができない。
 この場合、原則としては低所得2として取り扱うこととなろうが、非課税とみなした者の判断によって、その者を低所得1とみなす取扱いをしても差し支えない。
 ただし、この場合には、障害基礎年金1級を受給する者とのバランスを失することのないよう、本人の収入状況等を十分に確認するなどの配慮をされたい。


【世帯の範囲の特例】
 上記の原則にかかわらず、受診者と同一の「世帯」に属する親、兄弟、子どもがいる場合であっても、その親、兄弟、子どもが、税制と医療保険のいずれにおいても受診者を扶養しないこととしたときは、上記原則からいえば同一「世帯」であっても、特例として、受診者及びその配偶者を別の「世帯」に属するものとみなす取扱いを行うことを、受給者の申請に基づき選択できる。
 なお、この特例を認め得る場合は、
 @  受診者及びその配偶者は市町村民税非課税である一方、
 A  これ以外に同一の「世帯」に属する者が市町村民税課税であるとき
のみとする。

自立支援医療に係る「世帯」の特例について

<原則>
自立支援医療に係る「世帯」は、同一保険単位で認定(右図の網掛けの範囲、すなわち、家族Aと受診者・配偶者が同一「世帯」となる。)。
  →(1) 税制上の関係は問わない。
(2) 保険内の扶養・被扶養関係は問わない。
<特例>
下記の要件(1)及び(2)をいずれも満たしていれば、受診者及びその配偶者の所得に基づくことも選択することができる。


  (要件(1))
税制上、同一の「世帯」に属する親兄弟、子ども等が障害者を扶養控除の対象としていないこと。
(右図では、家族Aが受診者を扶養控除の対象としていないこと)
(要件(2))
医療保険上、同一の「世帯」に属する親兄弟、子ども等の被扶養者となっていないこと。
(右図では、受診者の加入している健康保険上、受診者が家族Aの被扶養者となっていないこと)
 ※ 「世帯」を同一保険単位で考えるので、受診者が国保に加入している場合は、要件(2)は自動的に満たしていることとなる。
住民票上の世帯の図

 特例の実際
特例については、上記@・Aを満たす場合であって、
 (1)  同一「世帯」に属する他の者が受診者及びその配偶者を市町村民税上、扶養関係に基づく各種控除の対象としていないこと
 (2)  受診者及びその配偶者が同一「世帯」に属する他の者の医療保険の被扶養者となっていないこと
ときに認めることとなる(なお、この特例を適用せず、医療保険単位という原則に沿って自立支援医療費の支給を受ける場合には、(1)・(2)を勘案する必要はない。)。
  →  この特例的な取扱いを行う際には、申請書の他、次に掲げる事項について確認することとする。
 ・  同一「世帯」に属する者の市町村民税の税情報(受診者及びその配偶者が扶養関係に基づく各種控除(以下「扶養控除」という。)の対象となっていないか確認するため)
 ※  なお、ある年度において扶養関係にあったものの、その後生計を別にしたような場合は、税の申告が年1回であることから、次回の税申告時には扶養控除の対象から外れることとなる者については、その旨の確認を本人から取る(誓約書の提出を想定)ことにより、別の「世帯」とみなす取扱いができるものとする。
 ・  医療保険関係の証明(被保険者証等の写し等)
  →  上記(2)を証明するためには、
   受診者及びその配偶者が国民健康保険に加入していること
 受診者が健康保険の被保険者であること
 受診者は健康保険の被扶養者であるが、当該健康保険の被保険者がその配偶者であること
が示される必要がある。
 したがって、この場合は加入している医療保険にかかわらず、受診者の被保険者証等の写しに加え、配偶者の被保険者証等の写しを提出させる必要があることとなる。

 (注)  このような特例的な取扱いを認めるのは、すでに与党からの確認質問に対する平成17年7月13日の衆議院厚生労働委員会における答弁でも示されたとおり、障害者の自立という観点から、本人の所得のみに基づいた負担上限とすべきという要望がある一方で、医療保険制度等において、受診者を被扶養者とすることなどで事実上の経済的な恩典を受けている場合に、障害分野においてのみ特別な取扱いを行うことについて国民の理解が得られるか疑問があるという観点から、原則は医療保険単位で「世帯」を認定することとしつつ、例外的に、福祉サービスと同様、月額負担上限を受診者とその配偶者の所得に基づくことも選択できるように扱うこととしたところ。


【世帯の範囲が変化した場合】
 加入している医療保険が変更となった場合など「世帯」の状況が変化した場合は、新たな被保険者証の写し等必要な書面を添付の上、速やかに変更の届出をしてもらう(支給認定の変更の申請とは異なるものであることに留意。)。
 なお、「世帯」を医療保険単位で考えることから、上記の例では、新たな被保険者証の写しが届いてから、変更の届出が行われても問題ないものと考えられる。



「自立支援医療費の支給認定について(案)」



本案について


 本案は、障害者自立支援法の自立支援医療に係る実施要綱についての本日時点の案文(未定稿)であり、今後変更のあり得るものですので、その取扱いにはご注意願います。

 本案は、
  ・ 通知本文
  ・ 別紙1   自立支援医療費支給認定通則実施要綱
  ・ 別紙2 自立支援医療費(育成医療)支給認定実施要綱
  ・ 別紙3 自立支援医療費(更生医療)支給認定実施要綱
  ・ 別紙4 自立支援医療費(精神通院医療)支給認定実施要綱
から構成しています。

 なお、別紙1については、「自己負担上限額を定める際の所得区分の認定について」を基に、追って通知案文を作成しお示しする予定です。
 また、別紙2〜4については、現行の育成医療、更生医療及び精神通院医療に係る実施要綱に係る通知を基に適宜の修正を加え作成しています。



平成17年 月 日
 障発第     号

  都道府県知事  殿
指定都市市長
中核市市長


厚生労働省社会・ 援護局
障害保健福祉部長


自立支援医療費の支給認定について


 標記については、障害者自立支援法(平成17年法律第123号。以下「法」という。)に基づき、平成18年4月1日から自立支援医療として、自立支援医療費支給認定通則実施要綱(別紙1)、自立支援医療費(育成医療)支給認定実施要綱(別紙2)、自立支援医療費(更生医療)支給認定実施要綱(別紙3)及び自立支援医療費(精神通院医療)支給認定実施要綱(別紙4)によって実施することとなったので、御了知のうえ、円滑な執行を図りつつ、適宜貴管内市町村を含め関係者及び関係団体に対する周知方につき配慮されたい。
 なお、昭和62年7月3日児発第593号「身体に障害のある児童に対する育成医療の給付について」、平成5年3月30日社援更第89号「更生医療の給付について」及び健康保険及び精神障害者福祉に関する法律第32条に規定する精神障害者通院医療費公費負担の事務取扱いについて(昭和40年9月15日衛発第648号)は、本通知の施行に伴い廃止する。
 また、今回の改正により、昭和45年10月21日社更第89号通知「先天性心臓疾患による心臓機能障害者に対する更生医療の給付について」、昭和54年5月10日社更第56号通知「じん臓機能障害者に対する更生医療の給付について」、昭和55年5月20日社更第82号通知「更生(育成)医療における形成外科的治療を担当する医療機関の指定について」、昭和57年3月23日社更第43号通知「音声・言語機能障害を伴う唇顎口蓋列の歯科矯正の更生(育成)医療を担当する医療機関の指定について」及び平成10年4月8日障第230号「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害者に対する更生医療の給付について」に定める更生医療の給付の決定等については、本通知の事務手続により行うものであること。



別紙2
自立支援医療費(育成医療)支給認定実施要綱

 法第58条第1項に基づく自立支援医療費(育成医療)の支給認定(以下「支給認定」という。本要綱において同じ。)の事務手続及び運営等については、法令及び通知によるほか、本要綱により行い、支給認定の適正な実施を図るとともに効率的な運営に努めること。

1 自立支援医療(育成医療)の対象
 自立支援医療(育成医療)(以下単に「育成医療」とする。本要綱において同じ。)の対象となる児童は、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条の規定による別表に掲げる程度の身体上の障害を有する児童又は現存する疾患が、これを放置するときは、将来において同別表に掲げる障害と同程度の障害を残すと認められる児童であって、確実なる治療効果が期待しうるものとすること。
 育成医療の対象となる疾患を障害区分により示せば、次のとおりであること。
(1) 肢体不自由によるもの
(2) 視覚障害によるもの
(3) 聴覚、平衡機能障害によるもの
(4) 音声、言語、そしゃく機能障害によるもの
(5) 内臓障害によるもの(心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこう、直腸及び小腸機能障害を除く内臓障害については、先天性のものに限る。)
(6) ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害によるもの

 内臓障害によるものについては、手術により将来生活能力を得る見込みのあるものに限ることとし、いわゆる内科的治療のみのものは除くこと。
 なお、腎臓機能障害に対する人工透析療法及び小腸機能障害に対する中心静脈栄養法については、それらに伴う医療についても対象となるものであること。

2 支給認定の申請
 支給認定の申請は、障害者自立支援法施行規則(平成17年厚生労働省令第 号。以下「規則」という。本要綱において同じ。)第 条に定めるところによるが、その具体的事務処理は次によること。
 申請に当たっては、申請書(別紙様式○)に指定自立支援医療機関の担当医師の作成する意見書(以下「医師の意見書」という。本要綱において同じ。)(別紙様式○)、受診者及び受診者と同一の「世帯」(規則で定めるところによる自立支援医療における世帯をいう。本要綱において同じ。)に属する者の名前が記載されている被保険者証・被扶養者証・組合員証など医療保険の加入関係を示すもの(以下「被保険者証等」という。本要綱において同じ。)、受診者の属する「世帯」の所得の状況等が確認できる資料(市町村民税の課税状況が確認できる資料、生活保護受給世帯の証明書、市町村民税(均等割・所得割)非課税世帯については受給者に係る収入の状況が確認できる資料)の他、腎臓機能障害に対する人工透析療法の場合については、特定疾病療養受療証の写しを添付させること。

 医師の意見書は、支給認定に当たっての基礎資料となるものであるから、法第54条第2項の指定自立支援医療機関の担当医師の作成したものであること。

3 支給認定
 都道府県知事(指定都市及び中核市の市長を含む。以下同じ。)が所定の手続による申請を受理した場合は、申請者について育成医療の要否等について、育成医療の対象となる障害の種類、具体的な治療方針、入院、通院回数等の医療の具体的な見通し及び育成医療によって除去軽減される障害の程度について具体的に認定を行うとともに、支給に要する費用の概算額の算定を行うこと。
 なお、自立支援医療費の支給に要する費用の概算額の算定は、指定自立支援医療機関において実施する医療の費用(食事療養の費用を除く。)について健康保険診療報酬点数表によって行うものとすること。
 都道府県知事は、当該申請について、育成医療を必要とすると認められた場合は、「世帯」の所得状況を確認の上、「重度かつ継続」への該当・非該当、別表に定める自己負担限度額の認定を行った上で、規則の定めるところにより、自立支援医療受給者証(以下「受給者証」という。本要綱において同じ。)(別紙様式○)及び自己負担上限額管理票(別添様式○)を申請者に交付すること。認定を必要としないと認められるものについては認定しない旨、通知書(別紙様式○)を申請者に交付すること。
 なお、受給者証の交付に当たっては次の点に留意されたい。
(1) 支給認定の有効期間は、当該自立支援医療費の支給の終了期限であるので、その記載に当たっては、指定自立支援医療機関と十分連絡の上、治療予定期間に受給者証の送達等のための若干の余裕日数を見込む等育成医療に支障のないよう配意すること。
(2) 支給認定の有効期間が必要以上に長期に及ぶことは、予算の適正化の見地から厳に戒むべきところであるので、原則3ヶ月以内とし、3か月以上に及ぶものについての支給認定に当たっては、特に慎重に取り扱われたいこと。なお、腎臓機能障害における人工透析療法及び免疫機能障害における抗HIV療法等治療が長期に及ぶ場合についても最長1年以内とすること。
(3) 本人が死亡した場合又は身体の状況から育成医療を受ける必要がなくなった場合は、当該者に交付していた受給者証を速やかに都道府県知事に返還させること。

4 育成医療の再認定及び医療の具体的方針の変更
 支給認定の有効期間が終了し、再度の支給認定を申請する場合(以下「再認定」という。)、申請者は、申請書(別紙様式○)に医師の意見書、被保険者証等、受診者の属する「世帯」の所得の状況等が確認できる資料の他、腎臓機能障害に対する人工透析療法の場合については特定疾病療養受療証を添付の上、都道府県知事あて申請すること。都道府県知事は再認定の要否等について、再認定が必要であると認められるものについて、再認定後の新たな受給者証を交付すること。再認定を必要としないと認められるものについては認定しない旨を前記の却下手続に準じて通知書を交付すること。
 有効期間内に医療の具体的方針の変更について、申請者から申請があった場合、変更の申請書に変更の必要性を詳細に記した医師の意見書を添付の上、都道府県知事あて申請すること。都道府県知事は育成医療の変更の要否等について変更が必要であると認められるものについて、変更後の新たな受給者証を交付すること。変更を必要としないと認められるものについては認定しない旨を前記の却下手続に準じて通知書を交付すること。

5 自立支援医療費の支給の内容
 自立支援医療費の支給は、受給者証を指定自立支援医療機関に提示して受けた育成医療に係る費用について、都道府県が当該指定自立支援医療機関に支払うことにより行うことを原則とする。

 自立支援医療費の支給の対象となる育成医療の内容は、規則第 条第 項に列挙されているとおりであるが、それらのうち移送等の取扱いについては、次によること。
(1) 移送費の支給は、本人が歩行困難等により必要と認められる場合に支給することとし、その額は必要とする最小限度の実費とすること。
 なお、介護者が必要と認められる場合は、付添人の移送費についても支給して差支えないこと。
(2) 移送費等の支給申請は、その事実について指定自立支援医療機関の医師の証明書等を添えて、申請者から都道府県知事に申請させること。

 支給認定の有効期間中において、育成医療の対象疾病に直接起因する疾病を併発した場合は、その併発病の治療についても自立支援医療費の支給の対象として差支えないこと。

6 育成医療に係る診療報酬の請求、審査及び支払
 診療報酬の請求、審査及び支払については、昭和29年社発第353号通知「医療扶助並びに更生医療及び育成医療の給付に伴う診療報酬の審査及び支払に関する事務の委託について」、昭和49年児発第655号通知「育成医療費等公費負担医療の給付にかかる診療報酬等の審査及び支払に関する事務の国民健康保険団体連合会への委託について」及び昭和51年衛発第792号通知「公費負担医療に関する費用の審査支払事務を日本鉄道共済組合に委託する契約について」に定めるところによること。

 自己負担額については、指定自立支援医療機関において本人から受領するものであること。

7 医療保険各法との関連事項
 医療保険各法と自立支援医療費の支給との関係は、障害者自立支援法施行令(平成17年政令第 号)第 条に基づき、医療保険各法による医療の給付が優先すること。
 したがって、結果的に、自立支援医療費の支給は、いわゆる医療保険の自己負担部分を対象とすることとなるものであること。

8 その他  
 受給者証の交付及び自立支援医療費の支給について台帳等を備え付け、支給の状況を明らかにしておくこと。

 本要綱に係る各種様式の例は別添のとおりであるので、参考とされたい。



別紙3
自立支援医療費(更生医療)支給認定実施要綱

 法第58条第1項に基づく自立支援医療費(更生医療)の支給認定(以下「支給認定」という。本要綱において同じ。)についての事務手続及び運営等については、法令及び通知によるほか本要綱により行い、もって自立支援医療の適正な実施を図るとともに効率的な運営に努めること。

1 自立支援医療(更生医療)の対象
 自立支援医療(更生医療)(以下単に「更生医療」とする。本要綱において同じ。)の対象となる者は、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条の規定による別表に掲げる程度の身体上の障害を有する者であって、確実なる治療効果が期待しうるものとすること。
 更生医療の対象となる疾患を障害区分により示せば、次のとおりであること。
(1) 肢体不自由によるもの
(2) 視覚障害によるもの
(3) 聴覚、平衡機能障害によるもの
(4) 音声、言語、そしゃく機能障害によるもの
(5) 内臓障害によるもの(心臓、腎臓、小腸機能障害に限る)
(6) ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害によるもの

 内臓障害によるものについては、手術により障害の除去又は軽減が見込まれるものに限るものとし、いわゆる内科的治療のみのものは除くこと。
 なお、腎臓障害に対する人工透析療法、腎移植術後の抗免疫療法及び小腸機能障害に対する中心静脈栄養法については、それらに伴う医療についても対象となるものであること。

2 支給認定に係る事務の委任
 支給認定については、福祉行政の第一線機関である福祉事務所の長に事務を委任して行うこと。ただし、福祉事務所を設置していない町村についてはこの限りでないこと。

3 支給認定の申請
 支給認定の申請は障害者自立支援法施行規則(平成17年厚生労働省令第 号。以下「規則」という。本要綱において同じ。)第 条に定めるところによるが、その具体的事務処理は次によること。  
 申請者は、別紙様式○による申請書に指定自立支援医療機関の担当医師の作成する意見書(以下「医師の意見書」という。本要綱において同じ。)、身体障害者手帳の写し、受診者の名前が記載されている被保険者証・被扶養者証・組合員証など医療保険の加入関係を示すもの(以下「被保険者証等」という。本要綱において同じ。)、受診者と同一の医療保険に属する者の被保険者証等、受診者の属する「世帯」(規則で定めるところによる自立支援医療における世帯をいう。本要綱において同じ。)の所得の状況等が確認できる資料(市町村民税の課税状況が確認できる資料、生活保護受給世帯の証明書、市町村民税(均等割・所得割)非課税世帯については受給者に係る収入の状況が確認できる資料)の他、腎臓機能障害に対する人工透析療法の場合については、特定疾病療養受療証の写しを添付の上、市町村長(支給認定の事務を委任された福祉事務所の長を含む。本要綱において同じ。)に申請すること。

 医師の意見書は、支給認定に当たって基礎資料となるものであるから、法第54条第2項に定める指定自立支援医療機関の担当医師が作成したものであること。

 市町村長は、所定の手続による申請を受理した場合は、備付けの自立支援医療申請受理簿に記入し、かつ、申請者が申請の資格を有するか否かを検討し、申請の資格を有すると認められた者については、身体障害者更生相談所(以下「更生相談所」という。本要綱において同じ。)の長に対し、更生医療の要否等についての判定(以下「判定」という。本要綱において同じ。)を依頼するとともに、必要に応じ、申請者に期日を指示し、更生相談所に来所させること。
 なお、申請者について、その資格を有しないと認められた場合には、様式○○による通知書を申請者に交付すること。

4 更生医療の要否の判定  
 判定の依頼を受けた更生相談所の長は申請者について判定を行い、判定書及び付属書類を作成し市町村長に送付すること。

 判定は、申請者について、医学的、心理学的及び職能的に行うものであるが、特に医学的判定については、支給認定を行うかどうかについて的確な判定を行うことは勿論、更生医療を必要とすると認められた者については、医療の対象となる障害の種類、「重度かつ継続」の該当・非該当、具体的な治療方針、入院、通院回数等の医療の具体的な見通し及び更生医療によって除去軽減される障害の程度について具体的に判断を行うとともに、支給に要する費用の概算額の算定を行うこと。
 なお、自立支援医療費の支給に要する費用の概算額の算定は、指定自立支援医療機関において実施する医療の費用(食事療養の費用を除く。)について健康保険診療報酬点数表によって行うものとすること。また、老人保健法の対象者の更生医療の支給に要する費用の概算額の算定は、老人診療報酬点数表によって行うものとすること。

5 支給認定
 市町村長は、更生相談所の判定の結果、更生医療を必要とすると認められた申請者について、支給認定を行い、自立支援医療受給者証(以下「受給者証」という。)を交付すること。
 また、判定の結果、更生医療を必要としないと認められた者については前記第3の3の却下手続に準じて通知書を交付すること。
 なお、支給認定の際に指定自立支援医療機関において実施する医療以外に移送等を必要とすると認められた者については、それらに要する費用額の算定を行った調査書を作成すること。

 更生医療と他の法律による医療の給付等との関係は、更生医療の対象となる障害は、臨床症状が消退しその障害が永続するものに限られるので他の法律による療養の給付等とは対象を異にし、原則として競合することはないこと。
 ただし、例外的に他法によるものと更生医療とが同時に行われた場合には、本人が直接負担する部分についてのみ更生医療の対象とすること。

 受給者証の交付に当たっては、「世帯」の所得状況及び更生相談所の判定書に基づき「重度かつ継続」への該当・非該当、別表に定める自己負担上限額の認定を行った上で、規則の定めるところにより、別紙様式○による受給者証及び別添様式○自己負担上限額管理票を申請者に交付すること。

 有効期間は、当該自立支援医療費の支給の終了期限であるので、その記載にあたっては、指定自立支援医療機関と十分連絡の上、治療予定期間に受給者証送達等のための若干の余裕日数を見込む更生医療に支障のないよう配慮すること。

 更生医療の具体的方針は、判定書に基づき、受給者証裏面別紙に詳細に記入すること。

 自立支援医療費の支給の範囲は、受給者証に記載されている医療に限られること。

 支給認定の有効期間が必要以上に長期に及ぶことは、予算の適正化の見地から厳に戒むべきところであるので、有効期間は原則3ヶ月以内とし、3か月以上に及ぶものについての支給認定に当たっては、特に慎重に取り扱われたいこと。なお、腎臓機能障害における人工透析療法及び免疫機能障害に抗HIV療法等治療が長期に及ぶ場合についても最長1年以内とすること。

 本人が死亡した場合又は医療を受けることを中止した場合は、当該者に交付していた受給者証を速やかに市町村長に返還させること。

6 更生医療の再認定及び医療の具体的方針の変更  
 支給認定の有効期間が終了し、再度の支給認定を申請する場合(以下「再認定」という。)、申請者は別紙様式○の申請書に再認定の必要性を詳細に記した医師の意見書及び被保険者証等、受診者と同一の医療保険に属する者の被保険者証等、受診者の属する「世帯」の所得の状況等が確認できる資料の他、腎臓機能障害に対する人工透析療法の場合については、特定疾病療養受療証の写しを添付の上、市町村長あて申請すること。市町村長は、更生相談所の長に対し、再認定の要否等についての判定を依頼するとともに、更生相談所の判定の結果、再認定が必要であると認められるものについて、再認定後の新たな受給者証を交付すること。再認定を必要としないと認められるものについては認定しない旨を、前記第3の3の却下手続に準じて通知書を交付すること。

 有効期間内に医療の具体的方針の変更について、身体障害者本人から申請があった場合、変更の申請書に変更の必要性を詳細に記した医師の意見書を添付の上、市町村長あて申請すること。市町村長は、更生相談所の長に対し、変更の要否等についての判定を依頼するとともに、更生相談所の判定の結果、変更が必要であると認められるものについて、変更後の新たな受給者証を交付すること。変更を必要としないと認められるものについては認定しない旨を、前記第3の3の却下手続に準じて通知書を交付すること。

7 自立支援医療費の支給の実施
 市町村長は、支給認定を受けた者が更生医療を受けた指定自立支援医療機関に対し、必要に応じ、治療経過・予定報告書(以下「報告書」という。)の提出を求めること。ただし、当該指定自立支援医療機関が薬局の場合はその必要はないこと。

 指定自立支援医療機関において支給認定の有効期間を延長する必要があると認める場合には、報告書にその旨を記入して提出させること。この場合において単なる期間延長として認められる期間は、原則として、2週間以内でかつ、1回に限ることとする。この場合、更生相談所における判定は要せず、市町村長の判断により期間延長の承認を行って差し支えないこと。それ以上の期間を要するものについては、医療の具体的方針の変更として前記6(2)の取扱いによること。

 自立支援医療費を支給する場合にあっては次によること。
(1)  更生医療は指定自立支援医療機関において現物給付によって行うことを原則とし、現物給付に代えて費用を支給することは止むを得ない事情がある場合に限るようにされたいこと。
(2)  移送費の支給は本人を移送するために必要とする最小限度の経費とすること。なお、家族が行った移送等の経費については認めないこと。
(3)  施術はマッサージのみ認めることとし、この場合は当該指定自立医療機関にマッサージ師がなく、かつ、担当の医師の処方に基づいて指定する施術所において施術を受ける場合にのみその料金を支給すること。
(4)  治療材料費は、治療経過中に必要と認められた医療保険適用のものであり、最少限度の治療材料及び治療装具のみを支給すること。
 なお、この場合は現物給付をすることができること。また、運動療法に要する器具は指定自立支援医療機関において整備されているものであるから支給は認められないこと。
(5)  移送費、施術料及び治療材料費の費用の算定は次によること。
 移送費の算定は、移送のために必要な最少限度の実費とすること。
 施術料は保険局長通知「はり・きゅう、あんま、マッサージにかかる療養費の支給について」により算定すること。
 治療材料費の算定は、健康保険の規定による療養に要する費用の額の算定方法の例によること。

7 指定自立支援医療機関における診療報酬の請求及び支払  
 診療報酬の請求は、診療報酬請求書に診療報酬明細書を添付のうえ、当該指定自立支援医療機関所在地の社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に提出させること。

 自己負担額については、指定自立支援医療機関において本人から受領するものであること。

8 診療報酬の審査、決定及び支払  
 診療報酬の審査については「更生医療の給付に係る診療報酬の審査及び支払に関する事務の社会保険診療報酬支払基金への委託について」及び「更生医療の給付に係る診療報酬の審査及び支払に関する事務の国民健康保険団体連合会への委託について」の通知によること。

 診療報酬の額の決定は、都道府県知事又は指定都市若しくは中核市の市長が行うこと。

9 施行期日
 この通知は、平成○○年○月○日から施行すること。



別紙4
自立支援医療費(精神通院医療)支給認定実施要綱

 法第58条第1項の規定に基づく自立支援医療費(精神通院医療)の支給認定(以下「支給認定」という。本要綱において同じ。)についての事務手続運営等については、法令及び通知によるほか本要綱により行い、もって自立支援医療の適正な実施を図るとともに効率的な運営に努めること。

一 自立支援医療(精神通院医療)の対象及び医療の範囲
 自立支援医療(精神通院医療)(以下単に「精神通院医療」という。本要綱において同じ。)の対象となる者は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に規定する統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する程度の病状にあるものとする。

 精神通院医療の範囲は、精神障害及び当該精神障害に起因して生じた病態に対して病院又は診療所に入院しないで行われる医療とする。
 ここで、当該精神障害に起因して生じた病態とは、当該精神障害の治療に関連して生じた病態や、当該精神障害の症状に起因して生じた病態とし、指定医療機関において精神医療を担当する医師(てんかんについては、てんかんの医療を担当する医師)によって、通院による医療を行うことができる範囲の病態とする。
 ただし、複数の診療科を有する医療施設にあっては、当該診療科以外において行った医療は範囲外とする。また、結核性疾患は、結核予防法に基づいて医療が行われるので、範囲外とする。

 また、症状が殆ど消失している患者であっても、軽快状態を維持し、再発を予防するためになお通院治療を続ける必要がある場合には、対象となる。

二 支給認定の申請
 法第58条第1項の規定に基づく自立支援医療費(精神通院医療)の支給認定の申請については、別紙様式第1号による自立支援医療費支給認定申請書(以下「申請書」という。本要綱において同じ。)に、次の書類を添付して行う。
(1)  支給認定の申請のみを行う場合
 指定自立支援医療機関において精神障害の診断又は治療に従事する医師による別紙様式第2号による意見書(自立支援医療費の意見書)、受診者の名前が記載されている被保険者証・被扶養者証・組合員証など医療保険の加入関係を示すもの(以下「被保険者証等」という。本要綱において同じ。)、受診者と同一の医療保険に属する者の被保険者証等の写し、「世帯」(規則で定めるところによる自立支援医療費における世帯をいう。以下同じ。)の所得状況を証明する書類
(2)  手帳の新規交付又は再認定の申請と併せて支給認定の申請を行う場合  精神保健指定医その他精神障害の診断又は治療に従事する医師であって指定自立支援医療機関において精神通院医療を担当する医師による精神障害者保健福祉手帳実施要領の別紙様式2による診断書(精神障害者保健福祉手帳用の診断書)、受診者と同一の医療保険に属する者の被保険者証等の写し、「世帯」の所得状況を証明する書類

 申請書の提出は、精神障害者の居住地を管轄する市町村長を経由して行うものとする。提出を受けた市町村においては、申請書、添付資料等を確認の上、該当する所得区分等を記入して都道府県に進達するものとする。

 支給認定の申請は、現に支給認定を受けている者がその継続のために申請する場合には、支給認定の有効期間の終了する日の概ね3ヶ月前から行うことができるものとする。

三 支給認定
 都道府県知事(指定都市市長を含む。本要綱において同じ。)は、第一の1による申請書を受理したときは、次により審査を行う。
(1)  自立支援医療費の支給認定の申請のみを行う場合
 精神通院医療の要否について精神保健福祉センターにおいて判定すること。精神保健福祉センターは、別記第1の判定指針により、精神通院医療の要否について判定し、その結果を都道府県知事に報告すること。都道府県知事は、精神保健福祉センターの報告を受け、速やかに支給認定を行うかどうかを決定するものとする。
 都道府県知事は、支給認定を行うことを決定をしたときは別紙様式第3号による自立支援医療受給者証(以下「受給者証」という。本要綱において同じ。)を、支給認定を行わない決定をしたときは、別紙様式3号による通知書を精神障害者の居住地を管轄する市町村長を経由して申請者に交付する。
(2)  手帳の新規交付又は再認定の申請と併せて自立支援医療費の支給認定の申請を行う場合
 速やかに精神障害者福祉手帳の交付の可否についての所定の審査を行い、手帳の交付の決定をしたときは手帳を交付する。また、支給認定を行った場合は、受給者証を交付する。
 なお、精神保健福祉センターが手帳の交付の適否について判定を行う際においては、手帳の交付については否とする場合でも、別記第1の判定指針により、精神通院医療の要否について判定し、その結果を都道府県知事に報告すること。都道府県知事は、精神保健福祉センターの報告を受け、速やかに自立支援医療費の支給認定を行う決定又は行わない決定をする。
 この場合、手帳の交付又は支援認定の一方又は両方を行わないこととする場合には、精神障害者保健福祉手帳実施要領の別紙様式3による不認定の通知を行う。
(3)  既に手帳の交付を受けている者が新たに「重度かつ継続」に該当しない自立支援医療費の支給認定の申請を行う場合、受診者と同一の医療保険に加入している者の被保険者証等の写し、所得の確認書類等を確認し、精神通院医療が必要と判断されれば速やかに、当該手帳に自立支援医療費受給者番号を記入するとともに、受給者証を交付する。ただし、この取り扱いは手帳の有効期間が1年以上残っている場合に限る。

 受給者証の「有効期間」欄には、支給認定の有効期間を記入すること。支給認定の有効期間は、初回又は再度申請の場合には、都道府県知事が支給決定を行った日を始期とし、また、継続申請の場合には、前回支給認定の有効期間の満了日の翌日を始期とし、それぞれ、その始期を含む月の末日の翌日から1年以内の日で月の末日たる日を終期とする。

 受給者証の「自立支援医療費受給者番号」については、継続申請の場合には、確認できる限りにおいて、前回の認定時の受給者証に記載された受給者番号と同一とする。

 受給者証の交付を受けた者が氏名を変更したとき、同一の都道府県(指定都市を含む。以下同じ。)の居住地を移したとき、所得の状況に変化が生じたとき、「世帯」の状況が変化したとき、又は保険の種類に変更が生じた場合については、申請と同様に市町村長を経由して、都道府県知事に届け出させる。

 支給認定に当たっては、受診者の属する世帯の所得状況に応じて、月の負担上限額の設定を行い受給者証に記載するものとする。自己負担額の管理については、別に別紙様式○号による自己負担上限額管理票を発行して行うものとする。

四 医療に要する費用の額及び診療報酬の請求等
 医療費の算定方法は、健康保険の診療方針及び療養に要する費用の額の算定方法の 例による。なお、75歳以上の者及び65歳以上75歳未満の者であって老人保健法施行令別表に定める程度の障害の状態にあるものに係る通院医療については、現行の健康保険法その他医療保険各法と同等の仕組みとなった(平成14年改正)。

 法第58条に規定する医療を受けた者について同項に規定する病院若しくは診療所又は薬局が同項の規定により都道府県に対し自立支援医療を請求するときは、療養の給付、老人医療及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和51年厚生省令第36号)の定めるところによる。

 2の請求書は、各月分について翌月10日までに社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に送付しなければならない。

五 診療報酬請求書の審査及び支払
 都道府県知事は、法第73条第4項の規定による診療報酬の審査及び支払に関する事務の委託について、社会保険診療報酬支払基金の幹事長との間にあっては別記第2契約書例及び覚書例に準じて、国民健康保険団体連合会の理事長との間にあっては別途の通知による契約書例及び覚書例に準じて契約を締結する。

六 担当医療機関等の指導
 都道府県知事は、都道府県医師会、都道府県薬剤師会、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会等の関係機関の協力を求めて担当医療機関等の指導を行う。

七 届出事項
 患者から居住地の変更等する旨の届出(様式は別紙様式第5号による)があった場合、都道府県知事は受給者証の該当欄を訂正して患者に返送する。なお、指定自立支援医療機関を変更するには、支給認定の変更の申請によらなくてはならないことに留意のこと。

八 受給者証の返納
 支給認定の有効期間が満了したとき、受診者が他の都道府県に居住地を移したとき、その他当該都道府県において法第58条第1項の支給認定を行う理由がなくなったときは、速やかに受給者証をその交付を受けた際の居住地を管轄する市町村長を経由して都道府県知事に返納させる。

九 指定自立支援医療機関
 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により、指定自立支援医療機関リストを自立支援医療の種類ごとに作成する。
 また、指定自立支援医療機関リストについては、各月10日までに、社会保険診療報酬支払基金又は各都道府県の国民健康保険団体連合会に送付しなければならない。



別記第1


自立支援医療費の支給認定判定指針

一 精神通院医療の対象となる精神障害者
 法第58条に基づく精神通院医療の対象となる精神障害者は、法第5条に定める統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者で、以下の病状を示す精神障害のため、継続的な通院医療を要する者である。なお、現在病状が改善していても、その状態を維持し、かつ再発を予防するために、なお通院医療を継続する必要のある場合は、精神通院医療の対象となる。

二 精神通院医療の対象となる精神障害及びその状態像
 躁および抑うつ状態
 国際疾病分類ICD-10の気分(感情)障害、症状性を含む器質性精神障害、統合失調感情障害などでみられる病態である。疾患の経過において躁状態、およびうつ状態の両者がみられる場合と、いずれか一方のみの場合がある。躁状態においては、気分の高揚が続いて被刺激性が亢進し、多弁、多動、思考奔逸、誇大的言動などがみられる。一方、抑うつ状態では気分は沈み、精神運動制止がみられ、しばしば罪業妄想、貧困妄想、心気妄想などの妄想が生じ、ときに希死念慮が生じたり、昏迷状態に陥ることもある。躁状態で精神運動興奮が強い場合、抑うつ状態で希死念慮が強い場合、あるいは昏迷が持続する場合は、通常、入院医療を要する。入院を要さない場合で、躁、およびうつ状態が精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、持続するか、あるいは消長を繰り返し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

 幻覚妄想状態
 国際疾病分類ICD-10の統合失調症、統合失調型障害、妄想性障害、症状性を含む器質性精神病、精神作用物質による精神および行動の障害などでみられる病態である。その主症状として、幻覚、妄想、させられ体験、思考形式の障害などがある。強度の不安、不穏、精神運動興奮がともなう場合や、幻覚妄想に支配されて著しく奇異な行動をとったり、衝動行為に及ぶ可能性がある場合などは、入院医療を要する。入院を要さない場合で、幻覚妄想状態が精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、持続するか、あるいは消長を繰り返し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

 精神運動興奮及び昏迷の状態
 国際疾病分類ICD-10の統合失調症、統合失調型障害、妄想性障害、症状性を含む器質性精神障害、精神作用物質による精神および行動の障害などでみられる病態である。この病態は、精神運動性の障害を主体とし、運動性が亢進した精神運動興奮状態と、それが低下した昏迷状態とがある。しばしば、滅裂思考、思考散乱などの思考障害、拒絶、緘黙などの疎通性の障害、常同行為、衝動行為などの行動の障害を伴う。強度の精神運動性興奮がみられたり、昏迷状態が続く場合などは、入院医療を要する。入院を要さない場合で、精神運動興奮あるいは混迷状態が精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、持続するか、あるいは消長を繰り返し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

 統合失調等残遺状態
 国際疾病分類ICD-10の統合失調症、統合失調型障害、精神作用物質による精神および行動の障害などの慢性期、あるいは寛解期などにみられる病態である。この病態では、感情鈍麻、意欲低下、思路の弛緩、自発語の減少などがみられ、社会生活能力が病前に比べ、著しく低下した状態が続く。不食、不潔、寝たきりの状態が続くなどして身体の衰弱が著しい場合、通常、入院を要する。入院を要さない場合で、このような残遺状態が精神病か、それと同等の病態にあり、持続するか、あるいは消長を繰り返し、日常生活の指導、社会性の向上、および疾患の再発予防のため、持続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

 情動および行動の障害
 国際疾病分類ICD-10の成人の人格および行動の障害、症状性を含む器質性精神障害、生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群、小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害、精神遅滞、心理的発達の障害などでみられる病態である。情動の障害には、不機嫌、易怒性、爆発性、気分変動などの情動の障害などがあり、行動の障害には、暴力、衝動行為、常同行為、多動、食行動の異常、性行動の異常などがある。情動および行動の障害により、著しい精神運動興奮を呈する場合、あるいは行動制御の能力を失っている場合は、通常、入院医療を要する。入院を要さない場合で、情動および行動の障害が精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、持続するか、消長を繰り返し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

 不安および不穏状態
 国際疾病分類ICD-10の統合失調症、統合失調型障害、妄想性障害、症状性を含む器質性精神病、精神作用物質による精神および行動の障害、神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害などでみられる病態である。この病態は、長期間持続する強度の不安、あるいは恐怖感を主症状とし、強迫体験、心気症状、不安の身体化、および不安発作などを含む。強度の不安により、精神運動不穏を呈するか、あるいは心身の衰弱が著しい場合は、通常、入院医療を要する。入院を要さない場合で、不安および不穏状態が、精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、持続するか、あるいは消長を繰り返し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

 痙れんおよび意識障害
 国際疾病分類ICD-10のてんかん、症状性を含む器質性精神障害、精神作用物質による精神および行動の障害、解離性障害などでみられる病態である。この病態には、痙れんや意識消失などのてんかん発作や、もうろう状態、解離状態、せん妄など意識の障害などがある。痙れんおよび意識障害が遷延する場合は、入院医療を要する。入院を要さない場合で、痙れん、または意識障害が挿間性に発現し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

 精神作用物質の乱用および依存
 国際疾病分類ICD-10の精神作用物質による精神および行動の障害のうち、精神作用物質の有害な使用、依存症候群、精神病性障害などでみられる病態である。当該物質の乱用および依存には、しばしば、幻覚、妄想、思考障害、情動あるいは行動の障害などが生じ、さまざまな社会生活上の問題がともなう。依存を基礎として生じた急性中毒、離脱状態、あるいは精神病性障害において、精神運動興奮が著しい場合は、通常、入院医療を要する。入院を要さない場合で、乱用、依存からの脱却のため通院医療を自ら希望し、あるいは精神作用物質による精神および行動の障害が精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

 知能障害
 精神遅滞及び認知症については、易怒性、気分変動などの情動の障害や暴力、衝動行為、食行動異常等の行動の障害等を伴い、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合に、精神通院医療の対象となる。

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