衆議院厚生労働委員会において与党より確認的に行われた質問及びそれに対する答弁

障害者の自立の観点からの利用者負担の個人単位化
(福祉サービスの利用者負担)

 利用者の負担能力を考える場合、我が国の医療保険制度や介護保険制度では生計を一にする世帯の課税状況などによって判断するのが一般的である。しかしながら、障害者福祉においては、特に障害者の自立という観点から、他制度以上に特別な配慮が必要であると考える。障害者自立支援法案の福祉サービスの利用者負担については、定率負担と所得に応じた月毎の負担上限を組み合わせた仕組みとされているが、この月毎の負担上限を決める場合には、一律に親や兄弟、子どもの所得を合わせて考えるのではなく、それぞれの家庭の事情に合わせて障害者やその家族が選択できるようにすることが重要と考える。この点、既に与党から、「障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子どもがいる場合であっても、税制上及び医療保険上、障害者を扶養しないこととしたときは、障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることとすること」といった提案がなされているが、政府としてどう考えるか、大臣の見解を問う。
(答)
 従来の支援費制度における費用負担については、障害者本人のみならず、一定の扶養義務者にも負担義務が課されていたが、障害者自立支援法案においては、扶養義務者の負担を廃止し、障害者本人(障害児の場合は保護者)のみを法律上の負担義務者としたところである。

 利用者本人の負担については、世帯単位の所得に応じて負担の限度額を設けることとしているが、経済的な面において世帯の構成員がお互いに支え合うという生活実態があることを踏まえ、介護保険制度などと同様、生計を一にする世帯全体で負担能力を判定することを提案しているところである。

 この点については、障害者の自立という観点から本人の所得のみに基づいた負担上限とすべきとの要望がある一方で、
生活が一体であるべき配偶者についてまで、親や兄弟と同様に本人とは生活が別のものとして取り扱うことは適当ではないのではないか
医療保険制度や税制面において、被扶養者などとして事実上の経済的なメリットを受けている場合にまで、障害福祉分野においてのみ特別な取扱いを行うことについて国民のご理解が得られるか疑問がある
などの意見もあり、検討を行ってきたところである。

 今般、与党より、障害者の願いと社会との調和を図るご提案をいただいたところであり、これを検討した結果、ご提案のように、月毎の負担上限を決める場合は、生計を一にする世帯の所得で決定することを原則とするが、障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子どもがいる場合であっても、その親、兄弟、子どもが、税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは、障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることとしたい。

 政府の提案においては、「低所得1」と呼んでいる月額の負担上限が1万5千円となる方について、住民税非課税世帯であり、かつ、世帯に属する方全員が一定所得以下であることが要件とされているが、障害者の自立の観点から、また、介護保険制度においても個人単位とされていることとのバランスからいっても、住民税非課税世帯であれば、障害者本人のみが一定所得以下であれば対象となるようにすべきではないか。大臣の見解を問う。
(答)
 月額負担上限などを定める際に用いている「低所得1」に該当するか否かについては、低所得世帯の場合、世帯員相互に支え合うといっても限界があること等から、ご提案のように、住民税非課税世帯であれば、障害者本人のみ(障害児の場合は保護者)の所得で判断することとしたい。


(自立支援医療の利用者負担)
 障害に係る公費負担医療制度である自立支援医療についても、福祉サービスと同様の問題がある。障害者自立支援法案の自立支援医療の利用者負担については、定率負担と所得に応じた月毎の負担上限を組み合わせた仕組みとされているが、この月毎の負担上限を決める場合には、一律に親や兄弟、子どもの所得を合わせて考えるのではなく、それぞれの家庭の事情に合わせて障害者やその家族が選択できるようにすることがやはり重要である。このため、福祉サービスの利用者負担の月毎の負担上限について、障害者本人と配偶者の所得に基づくことも選択することを認めるのであれば、自立支援医療についても同じように認めるべきではないか。また、自立支援医療は、医療保険の上乗せ給付という考え方ができるので、家族の中でも加入している医療保険が異なれば、別世帯扱いすることも併せて考えるべきではないか。大臣の見解を問う。
(答)
 今般、与党のご提案も踏まえ、福祉サービスについて、月額負担上限を障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることとしたことから、自立支援医療についても、同様の扱いとすることが適当と考えている。

 また、ご指摘のように自立支援医療は、基本的には医療保険の自己負担部分を助成する機能を持っていること、また、医療保険における自己負担の上限額等は同じ医療保険に加入する者を単位として設定していることに着目して、障害者本人と、配偶者を含め家族が加入している医療保険が異なっている場合には、別世帯扱いすることも考えられるところである。

 したがって、月毎の負担上限を決める場合は、障害者本人と同じ医療保険に加入し、生計を一にする世帯の所得で決定することを原則とするが、障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子どもがいる場合であっても、その親、兄弟、子どもが、税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは、障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることとしたい。

 自立支援医療において、「低所得1」と呼んでいる月額の負担上限が2,500円となる方について、福祉サービスの場合と同様、住民税非課税世帯であれば、障害者本人のみが一定所得以下であれば対象となるようにすべきではないか。大臣の見解を問う。
(答)
 月額負担上限などを定める際に用いている「低所得1」に該当するか否かについては、ご提案のように、福祉サービスと同様、住民税非課税世帯であれば、障害者本人のみの所得で判断することとしたい。


低所得者への一層の配慮

 障害者自立支援法案の福祉サービスの利用者負担については、大臣は再三にわたりきめ細かく低所得者への配慮を講じているとしてきた。確かに、所得に応じた月毎の負担上限額の設定に加え、絶対的な負担額が高くなりやすいグループホームや施設入所者に対して個別の減免措置を講じたり、福祉サービスに係る個別給付全体を対象に生活保護に移行することを防止するための特別減額制度などが講じられている。しかしながら、新制度における負担額がそれなりのものであったとしても、現在の負担との比較においては、負担額の上がる幅が大きいというケースもある。それは、自宅に住んで通所サービスを利用する場合であったり、障害児が入所施設を利用する場合であったり、重度の障害者が長時間のホームヘルプサービスを利用するような場合である。こうしたケースについては、激変緩和という観点から、所得も預貯金等も一定以下の方について、社会福祉法人が減免の措置を行い、その費用の一定割合について公費助成を行う仕組みを設けるべきと考える。また、この制度が単に社会福祉法人の任意の取り組みではなく、こうした措置を必要とする方が確実に利用できるよう、いわば制度的なものとして運用すべきと考えるが、併せて大臣の見解を問う。
(答)
 障害者自立支援法案においては、利用者の方にご負担をお願いするに当たり、きめ細かく配慮することとしてきたが、今般、与党より、負担の上がり幅の大きい方について新たな仕組みのご提案をいただいた。

 負担の上がり幅が大きいとのご指摘をいただいた通所サービス、児童入所施設、長時間サービスを利用する必要がある重度障害者のホームヘルプサービスについては、所得に応じた月額負担上限、生活保護への移行を防止するための特別減額制度などにより配慮しているところであるが、激変緩和の観点から低所得の方にさらにきめ細かく配慮するため、経過措置として一定の低所得の方について定率負担の月額上限額を実質的に半分程度にするような社会福祉法人による減免とそれへの公費助成の仕組みを設けることとしたい。

 今後、減免の内容のほか、対象となるサービス、対象者の所得や預貯金等の基準、公費の助成割合など具体的な内容について、ご提案の趣旨を十分踏まえ、早急に検討してまいりたい。

 また、ご指摘の制度的なものとして運用するための仕組みの在り方についても、地方自治体をはじめ関係者の意見を聴きながら十分検討したい。

 グループホーム利用者や施設入所者について利用料を個別に減免する仕組みがあるが、これは預貯金等が一定額以下の者を対象とすることとなっている。これをいくらに設定するつもりか。また、現場では、この仕組みを気にして、預貯金等を本人から、家族へ名義を変更するケースもあると聞く。これは将来のトラブルのもとにもなりかねない問題である。預貯金等といっても、目的は様々であり、当面の生活費に充当するための費用と、親亡き後の生活費や施設から地域生活に移行した後の生活費など将来のための費用とでは性格が異なると思われる。このため、両者を区別して、障害者の将来の暮らしの安心の観点から、障害者本人を受取人として設定された信託等は、個別減免や社会福祉法人減免の対象者を決める際の「預貯金等」には含めないこととすべきではないか。大臣の見解を問う。
(答)
 グループホーム利用者や施設入所者については、所得や預貯金等の個別の事情に応じて減額する措置を設けることとしている。

 この預貯金等の額については、定率負担分について公費で賄う基準であることを考慮すると、納税者である国民の生活実態と比較し、国民のご理解が得られる水準とすることが必要であると考えており、低所得で同様の生活水準にある世帯の貯蓄水準やマル優などにおける低所得者の方への配慮措置の水準等を踏まえて検討を進めてきた結果、具体的な水準を350万円としたいと考えている。

 さらに、ご指摘のとおり、障害者の暮らしの安心や障害者の自立のために将来の生活費として障害者本人のために設定された一定の範囲の信託等については、個別減免の基準における「預貯金等」には含めないで考えることとしたい。


就労支援関係の利用者負担

 雇用型の就労継続支援事業については、他の福祉サービスと異なり、事業所と障害者が福祉サービスの提供に係る契約を交わすと同時に、一般企業が障害者を雇用する場合と同様、事業の実施主体と障害者との間に雇用関係があるという特別な事情がある。こうした点に着目すれば、雇用型の就労継続支援事業については、いわば福利厚生のような位置づけで、事業主の負担により利用者負担を減免することを認めるべきである。これまでに、検討する旨の答弁があったが、是非とも実施すべきと考える。大臣の見解如何。
(答)
 雇用型の就労継続支援事業については、他の福祉サービスと異なり、事業者と利用者が雇用関係にあること等から、事業者の判断で事業者の負担により利用料を減免出来る仕組みを導入してまいりたい。

 雇用型の就労継続支援事業以外にも就労支援の通所サービスがあるが、さきほど導入を言明された社会福祉法人減免の仕組みの対象に、就労支援の通所サービスは当然含まれるものと考えるが、大臣の見解如何。
(答)
 さきほどお答えしたとおり、負担の上がり幅が大きいとのご指摘をいただいた通所サービス、児童入所施設、重度障害者のホームヘルプサービスについては、所得に応じた月額負担上限、生活保護への移行を防止するための特別減額制度などにより配慮しているところであるが、激変緩和の観点から低所得の方にさらにきめ細かく配慮するため、経過措置として一定の低所得の方について定率負担の月額上限額を実質的に半分程度にするような社会福祉法人による減免とそれへの公費助成の仕組みを設けることとしたいと考えている。

 ご指摘のとおり、就労支援の通所サービスは当然他の通所サービスと同様に考えるべきものであり、今後、減免の内容のほか、対象となるサービス、対象者の所得や預貯金等の基準、公費の助成割合など具体的な内容について早急に検討してまいりたい。


福祉サービスの利用手続き

 福祉サービスの利用手続きについては、障害者の実情やサービス利用の意向が適切に反映されることが重要である。障害者自立支援法案において、市町村が支給決定の際、障害程度区分や障害者のサービス利用意向を勘案することとされているが、障害程度区分を審査判定するのは、市町村に置かれる審査会の委員である。この審査会の委員は障害保健福祉の有識者から市町村長が任命するものであるが、障害者の実情をよりよく反映した審査を行うという観点から、障害保健福祉の有識者であって中立かつ公正な立場で審査が行える者であれば、障害者を委員に加えることが望ましいことを市町村に周知徹底すべきと考えるが、大臣の見解如何。
(答)
 市町村の審査会の委員は、
(1)  障害者の心身の状態に関し、専門的な見地から客観的な判定を行うとともに、
(2)  市町村が作成した支給決定案の合理性・公平性について意見を述べる
ことを業務とするものであり、その委員については、障害者の保健福祉に関する専門的な知見を有し、中立・公正な立場であることが求められる。

 これに加え、審査会の委員については、障害者の実情に理解のある方が委員となることが望ましいことから、ご指摘のとおり、障害保健福祉の有識者であって中立かつ公正な立場で審査が行える者であれば、障害者を委員に加えることが望ましいことを、市町村に助言してまいりたい。


福祉サービス体系の基準の在り方

 今回の改正においては、障害者の就労支援に力が入れられているが、障害者のおかれた状況や、心身の状態は多様である。既存の事業において相当長期間にわたり活動を行ってきた中高年の障害者などの中には、介護の必要度は低くても、訓練、就労支援関連の事業になじまない者もいる。一方、就労支援以外の通所サービスの中心となる「生活介護事業」は、常時介護の必要な障害者が対象となっており、新たな体系に移行した場合、こうした訓練、就労支援関連の事業になじまない障害者が現在利用している施設から他の施設に移らなくてはならなくなる可能性がある。このため、生活介護事業の対象者について、年齢といった単純な介護の必要度以外の要素を考慮すべきと考えるが、大臣の見解如何。
(答)
 障害者自立支援法案においては、施設・事業の体系を見直し、それぞれの施設や事業の持つ「機能」に着目して再編し、それぞれの障害者に合った個別の支援を実現したいと考えている。

 この中で、一つの事業として生活介護事業を創設することとしているが、これは常時介護の必要な障害者に対して、入浴、排せつ、食事の介護や創作的活動、生産活動の機会の提供などのサービスを提供する事業である。

 生活介護事業を含めた新たなサービスの具体的な基準については、今後検討することとしているが、障害者に対して一人ひとりに合ったより適切な支援を行うという観点から、ご指摘を踏まえ、生活介護事業の対象者については、介護の必要度合いと年齢を組み合わせる方向で、十分検討してまいりたい。

 今回、グループホームのほかに介護の必要な障害者を対象にケアホームが新たに設けられるが、地域においては、既に障害の程度の異なる障害者がグループホームに同居している実態がある。法案の第二条にあるように、障害者が自ら選択した場所に住めるようにしていくという観点からは、グループホームの対象者とケアホームの対象者について、それぞれに適切なサービスが提供される体制の確保を前提に、同居を可能とすべきと考えるが、大臣の見解如何。
(答)
 障害者自立支援法案においては、支援が必要な方に対し、それぞれの状態にふさわしい支援を行っていく観点から、現在のグループホームを
(1)  介護が必要な方を対象とする「ケアホーム」と
(2)  就労をしている方等を対象とする「グループホーム」に分けることとしている。。

 現在の知的障害者グループホームについては、重度の障害のある方が入居していることに着目した単価が設けられているものの、人員配置が義務づけられていないことから、グループホーム以外の外部の事業者から責任関係が曖昧なままサービスが提供されるといったケースも見られており、今回の改正で見直しが必要であると考えている。

 他方、ご指摘のように現に様々な障害の程度の方々が同居している実態があることから、事業者が責任を持って、利用される方それぞれの状態にふさわしいサービスを提供するということを前提に、グループホームの対象者とケアホームの対象者が一つの住宅等に同居できることとし、その具体的な条件については、関係者の意見も聴きながら検討してまいりたい。

 障害者の地域生活支援を考える場合には、重度の障害者が地域で暮らせるような環境を整備していくことが重要である。障害者の完全参加と平等を謳った昭和56年の「国際障害者年」以降、障害者が地域で普通に暮らすことが重要なテーマとなり、支援費によって道が開かれたが、まだ一部の地域に限られたものにとどまっている。こうした地域生活支援の流れを、障害者自立支援法案によって、全国的に展開していくためには、ひとり暮らしの重度の障害者であっても必要なサービスが確保されるよう、重度障害者等包括支援などのサービスの内容や国庫負担基準を適切に設定する必要があると考えるが、大臣の見解如何。
(答)
 障害者自立支援法案においては、支援の必要度を総合的に表す障害程度区分を設定するとともに、特に重度の障害のある方については、地域で暮らしていくことができるよう「重度障害者等包括支援」や「重度訪問介護」といった新たな給付類型を創設することとしている。

 現在、地域で暮らす重度の障害のある方の状況は、地域によって、また、家族が居るかどうかなどによってサービス利用に大きなばらつきがあると認識している。

 こうした状況も踏まえ、ご指摘のように重度障害者等包括支援などのサービスの内容や国庫負担基準については、重度の障害のある方の心身の状況、他制度のサービスも含めたサービスの利用の実態等を把握した上で、適切な水準となるよう、十分検討してまいりたい。


基盤整備など18年度予算対応

 ホームヘルプサービスなどの個別給付に加え、障害者を支える重要な事業が地域生活支援事業である。地域生活支援事業には、障害者にとってサービス利用の手続きについて便宜を図ったり権利擁護の中核となる相談支援事業や障害者の社会参加を進めていく上で柔軟な利用が認められることが期待される移動支援事業、手話通訳や要約筆記などのコミュニケーション支援、小規模作業所を含め様々な日中活動の拠点となる地域活動支援センターなど、障害者の生活を支える上で不可欠な数々の重要な事業が含まれている。これらの事業は市町村が必ず取り組むべき事業とされているが、こうした地域生活支援事業に盛り込まれた事業が、地域のニーズを踏まえ、市町村が確実に実施できるよう、必要な財源の確保を図ることが極めて重要と考えるが、大臣の見解如何。
(答)
 障害者自立支援法案においては、地理的条件や社会資源の状況といった地域の特性や利用者の状況に応じて、柔軟に実施されることが好ましい事業を「地域生活支援事業」として法定化したところである。

 この地域生活支援事業に盛り込まれた、相談支援、手話通訳等のコミュニケーション支援、日常生活用具、移動支援、地域活動支援センターといった事業については、ご指摘のように障害者の地域生活支援のために必要不可欠なものと考えており、法案においても、市町村が必ず実施しなければならない義務的な事業としたところである。

 また、地域生活支援事業が、地域の実情に応じて確実に実施できるよう、これらの事業の実施に関する事項を市町村等の障害福祉計画に盛り込むこととし、その費用について、国、都道府県が補助することができることとしている。

 このため、地域生活支援事業の実施に必要な予算の確保については、平成18年度の予算編成における最重点事項の一つとして、最大限努力してまいりたい。

 障害者の地域生活支援を進めるためには、各地にサービス基盤を整備することが重要であるが、現時点では不十分と言わざるを得ない。今後、障害者が身近なところで福祉サービスを利用できるよう、福祉サービスの基盤を早急に整備しなければならないと考えるが、大臣の見解如何。
(答)
 障害者の方々が地域で暮らすためには、様々な障害福祉サービスの基盤整備を進めていくことが必要であると考えている。

 そのため、今般の障害者自立支援法案においては、市町村等に必要なサービス量の見込み量を定めた障害福祉計画の策定を義務付け、計画的なサービス提供体制の整備を図ることとしている。

 国としても、基盤整備の推進を図る観点から、既存の社会資源を有効に活用できるよう必要な規制緩和を行い、より身近な場所でサービスが提供できる仕組みを構築するとともに、市町村等の障害福祉計画を踏まえ、障害者プランの見直しを行いたいと考えている。

 先に閣議決定された骨太方針2005においては、「地域における就労・生活支援のためのハード・ソフトの基盤を速やかかつ計画的に充実強化する」としたところであり、地域生活支援事業とともに、必要な予算の確保に向けて最大限努力してまいりたい。


自立支援医療の利用者負担

 精神障害者の社会復帰を支える精神通院公費負担医療制度については、障害者自立支援法案において自立支援医療として再編されるが、その趣旨目的が変わるわけではなく、低所得の方や医療費負担の重い方に重点化しながらしっかりと継続していくことが重要である。障害により高額な医療費が継続的に発生し家計に重い負担がかかる人は、「重度かつ継続」として月毎の負担上限が設定されるが、この「重度かつ継続」の範囲については、現在示されている統合失調症など3つの疾病に限らず、早急に検討を進め、その結果に基づいて、可能な疾病については施行までに対象範囲に含めるべきと考えるが、大臣の見解如何。
(答)
 ご指摘の精神通院公費負担医療制度については、精神障害の適正な医療を普及する役割を担ってきており、この趣旨・目的は自立支援医療に位置づけられても変わらないと考えている。

 自立支援医療における「重度かつ継続」とは、医療上の必要性から、継続的に相当額の医療費負担が発生する方について、一定の負担能力がある場合にも、月の負担額に上限を設ける措置である。

 「重度かつ継続」の対象となる疾患については、当面、精神通院医療については、統合失調症、狭義の躁うつ病及び難治性てんかんを対象とすることとしている。

 この3疾患については、「重度かつ継続」の範囲として狭すぎる又は広すぎる双方の意見があることから、その範囲を明確にするため、去る6月22日に「自立支援医療制度運営調査検討会」を発足させ、検討を開始したところである。

 この検討会においては、「重度かつ継続」の範囲についてデータに基づいてご議論いただくこととしており、厚生労働省としては結論を得たものから順次対応したいと考えている。

 特に精神通院医療の「重度かつ継続」に関する当面の結論については、ご指摘を踏まえ、地方自治体の新制度施行における準備も考え、夏の間に結論を得て、適切に実施してまいりたい。

 育成医療については、障害児の健全育成の観点からも必要な仕組みであり、しっかりと維持する必要がある。今回の見直しにおいては、経過措置があるとはいっても心臓病のお子さんのいる家庭などにおいては、負担の上がり幅の大きいケースがある。障害児の健全育成と激変緩和の観点からも、一層の負担軽減措置を検討すべきと考えるが、大臣の見解如何。
(答)
 育成医療は、障害のあるお子さんが健やかに育つよう、その障害の軽減等を図るために必要な医療を提供するものであり、他の障害に係る公費負担医療とのバランスも考えながら、その維持を図ることが必要と考えている。

 特に育成医療については、対象となる方には若い世帯が多いことから、高額な医療を受けた場合でも医療機関窓口での支払額が高額にならないよう、激変緩和の経過措置を設け、健全育成の観点から、大人を対象とした更生医療以上の工夫を盛り込んだところである。

 更なる負担軽減については、全体のバランスもあり難しい面があるが、ご指摘を踏まえ、激変緩和の観点から何ができるか、さらに検討してまいりたい。

 障害者の中には、福祉サービスと医療サービス双方を必要とする障害者も少なくないと考える。このような障害者の負担が過大とならないよう、医療保険改革において、医療保険の給付と介護保険の給付の自己負担の合算額が著しく高額になる場合の負担の軽減を図る仕組みについて実現を図った上で、別途幅広く必要な措置について検討すべきと考えるが、大臣の見解如何。
(答)
 ご指摘を踏まえ、検討してまいりたい。

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