平成17年4月28日

3月18日全国会議で提出された質問事項(制度改正関係)について

注)3月18日の全国会議にて地方自治体から提出された主な質問事項(制度改正関係)について、現段階の考え方を整理してまとめたもの。

分類 質問の内容 現段階の考え方
公費負担医療
 地方自治体としては施行は年度替わりで、かつ同時期に施行することが望ましいが、なぜ公費負担医療の見直しについては17年10月からで、新支給決定手続きは18年1月からなのか、理由を教えていただきたい。

 障害者自立支援法案の内容は、現行制度の大きな改正であり、その施行には準備作業を要する一方で、制度を安定的なものとするため、実施が可能なものから極力早期に施行することが求められていることから、施行時期を段階的に設定している。

 自立支援医療には、大都市特例の規定は設けられないのか。事務全般について整理して教えてほしい。なお、3月18日の課長会議資料では「都道府県」が指定を行うとされているが、大都市特例はないのか。現行の更生医療では中核市は別に審査事務を行っているが、中核市分も県が行わなければならないのか。

 事務の実施主体については、基本的に現行どおりであるが、新たに設けられる精神通院医療機関の指定事務の実施主体については、関係機関の意見も踏まえ、次回課長会議を目途にお示ししたい。

 「育成医療(若い世帯)における一時的な高額医療費発生の場合への経過措置」とは具体的にどんな場合に、どのような措置をとるのか。

 (別紙)を参照願いたい。

 旧制度による支給認定を受けている者で、平成17年10月1日を超えた有効期限の者については、所得の再認定はいつ行うのか。17年6月なのか、10月なのか、それとも分散された申請期間なのか。

 前年所得が判明する17年7月以降、10月までに確認することが基本となると考えているが、具体的な時期については、分散か一括かも含め各実施主体の判断で設定して頂いて差し支えない。

 精神通院公費負担について、所得の確認作業はいつ頃からどのような方法で行えば良いのか、ご教示願いたい。

 現行の精神通院医療を受けている方についても、更生医療、育成医療を受けている方と同様に、17年10月までにみなし支給認定の手続きをしていただく必要がある。したがって、申請期間を分散させることなどにより、事務を効率的に処理し、確実に実施していただきたい。
 支給認定の具体的な実施方法については、現行制度と同様、市町村が申請窓口となり、都道府県及び指定都市が支給認定することとなる。

 生活保護世帯へは生保からではなく、医療費の公費負担で行うのか。

 貴見のとおり。

 自立支援医療の「重度かつ継続」の要件の一つである「医療保険の多数該当」の確認の方法はどのように考えているのか。また「重度かつ継続」の範囲の対象となる者の具体的な範囲を教えていただきたい。医師の診断書の診断名で判断すれば良いのか。

 多数該当の詳細な手続きについては、現在関係機関と調整しているところであり、また、「重度かつ継続」の範囲、判定方法等については、医師の診断名をもとに判断することになるが、いずれについても、次回課長会議を目途にお示ししたい。

 精神通院公費における薬局の指定も行う必要があるのか。

 医療機関と同様に、薬局についても指定する必要がある。(法案第59条第2項)

 院外処方の薬局の患者票は主となる医療機関の患者票があれば不要と思うが、必要なのか。

 医療機関と薬局をともに1枚の受給者証に記載する。(法案第54条第3項)

 院内処方と院外処方では更生医療費の公費負担に違いが生ずることとなっているが、新法では何か対応を想定しているか。

 院内処方と院外処方のいずれの場合であっても公費負担に違いは生じない。

 新制度で認定を受けた者が、認定期間中に生活保護の受給開始となった場合、自己負担額の認定は変更することとなるのか、または同様に廃止となった時はどうなるのか。

 ご指摘のような場合には、受給者が変更の届出をする取扱いとする方向で検討中である。

 市町村での所得状況の確認に当たって、本人に資料提出を求めるのでなく、本人同意のうえ職権で課税状況を確認する方法でも良いか。(現在の更生医療ではそのように運用している。)

 患者本人及び保護者等からの申請(資料提出)を原則とするが、ご指摘のような方法も差し支えないものと考える。

 精神通院公費利用者の有効期間について17年10月時点において1年以上残存している者は、現利用期間のままにはできないのか。

 新制度においては、有効期間は原則として1年以内であり、現行制度において認められている利用期間の残存期間についても、みなし支給認定において1年までの範囲内で省令に規定する期間内に限り新制度に承継される。また、みなし支給認定期間後に、再認定するかどうかについては、別途判断することとなる。

 患者票に家族や家族の住所は記載不要ではないか。

 新制度の様式では、家族やその住所の記載欄を設けることは考えていない。

 当県では、現在、保険変更の届出がない場合は公費適用不可としているが、この判断でよいのか。適用してもよいのであれば、保険変更の届出は不要と考えるがどうか。

 保険変更の届出をしないために、直ちに保険適用の効力が失われるものではないため、公費負担医療の適用に当たっても、保険変更の届出がないという理由で公費負担医療を適用しないことは妥当ではないと考える。保険変更の届出は、求める方向で検討中である。

支給決定等
 本年7月の所得の見直しについては行わなくてよいとのことだが、受給者証の更新をする必要が生じた場合や新規申請があった場合についても、前々年の所得の状況で決定して良いか。

 所得の見直しについては、基本的に市町村の判断により行うものであるが、制度改正により、平成18年1月までに必ず利用者負担の見直しを行う必要があるため、市町村の事務負担の軽減等の観点から、平成17年度については平成18年1月に1回見直すことでもよいこととしている。
 従って、受給者証の更新の必要が生じた場合には、市町村の判断により、前々年の所得の状況によることとして差し支えない。新規申請については、申請時点で把握することのできる最新の年の所得の状況により決定されたい。

 市町村審査会について複数作る必要はあるのか。構成メンバーの職種について具体的に示してほしい。構成人数はどのくらいが妥当か。

 審査会の構成委員は、障害者等の保健又は福祉に関する学識経験を有する者を委員とすることとしており、現時点において特定の職種を想定しているわけではないが、身体障害、知的障害、精神障害の3障害について審査することになることから、審査会は、これらの3障害について知見を有する者によってバランスよく構成されていることが望ましいと考えている。
 市町村審査会の構成人数については、今後検討していく予定であるが、試行事業においては基本的には5名とし、審査判定の質が維持されると市町村が判断した場合には3人以上であればよいこととしている。
 なお、市町村審査会は一市町村につき一つ設置することとし、当該審査会の中に複数の合議体を設置するかどうかについては、市町村の事情により判断されるべきものと考えている。

 障害程度区分認定調査委員研修は、何人くらいの研修を予定しているのか。希望者が多ければ、何回でも開催してよいのか。

 障害程度区分認定調査員等研修事業について研修実施時期が準備期間を含め短いため、マニュアルの確定等の時期について教えていただけないか。







 今年度の障害程度区分認定調査委員研修のあり方については、秋頃を目途にお示ししたいと考えている。

 認定調査員、市町村審査会委員研修については、介護保険制度創設時のように、全国レベルでの研修を受けた人が講師となり、都道府県で研修を行うのか。また、中核市は実施主体となりえないのか。

 障害程度区分認定調査委員等研修については、まず、国において当該研修を行う講師の研修を行い、次に、国の研修を受けた者が各都道府県ないしは指定都市において障害程度区分認定調査委員等研修を実施することを考えている。
 また、障害程度区分認定調査委員等研修については、原則として都道府県(指定都市は任意とする。)が実施主体となることを想定しており、中核市がその実施主体となることは考えていない。

利用者負担
 高額サービス費は償還払いが原則となっているが、事業者の了解が得られた場合には、世帯単位での上限管理票により、償還払いをしない方法も可能かどうか。

 原則は償還払いを想定しているが、世帯単位で管理が可能であれば、償還払いによる方式をとらないことも差し支えない。

 障害児施設の過齢児の利用者負担は、児と同様ということであるが、重度心身障害児施設の年齢超過児の取扱いはどのようになるのか。

 医療機関である障害児施設については、福祉部分は福祉サービスに係る定率1割負担、医療部分については、医療費の一部負担及び入院時食事療養費に係る標準負担をご負担いただくこととなる。また、医療費については、公費負担医療制度(障害児施設医療)により負担を軽減することとしている。
 なお、障害児施設における具体的な負担額については、18年度予算で決定することとしている。

 利用者負担の上限額管理票について、チェック対象者が膨大になると事務量も増大するため、市町村の手作業での対応は困難でありシステム化が必要。ついては、国保連のチェックシステムに上限管理を導入することができないのか。

 障害者自立支援法では、支払いの事務を国保連に委託することができることとしており、平成19年10月からの完全実施に向けて今後そのシステムを検討していくこととしており、その中で利用者負担の管理の方法についても検討してまいりたい。しかし、システムの検討は、18年1月の施行までに間に合わないため、18年1月からは上限管理票等の方法により上限額管理を行っていただくことが必要である。

障害福祉計画
 「障害福祉サービスに係る利用の実態把握のための調査」と5年に1回全国的に行われる「知的障害者(児)実態調査」(17年度実施)について内容が重複している部分があるが、それぞれどのような関係があるのか。

 今回実施する「サービス利用の実態把握調査」は、市町村における支援費等のサービスの利用者数、利用量、支給実績を把握するものであり、障害者の生活の場の状況や就労状況、手当・年金の受給の有無等を調査する「知的障害者(児)実態調査」とは、調査目的・内容等が異なっているため、直接の関係はない。

 サービス利用の実態調査において、精神障害者社会復帰施設と共同作業所の調査がないがそれでよいのか。また施設整備費との関連はどうなるのか。

 精神障害者社会復帰施設や作業所など施設に係る調査項目(施設数、定員、在所者数)については、省内の所管課又は例年10月に実施している社会福祉施設調査による統計を使用することで代用が可能であると判断ししたため、今回の調査項目には入れていないものである。
 また、施設整備費と今回の調査とは関係はない。

その他
 福祉工場の補助金は、当該福祉工場が新施設体系へ移行するまで継続するのか。福祉ホームは市町村の地域支援事業へ移行するが、平成18年10月1日からは県から市へ補助主体が変更になるのか。

 福祉工場においても、他の施設と同様に18年10月から新体系への移行が開始されることになるが、移行が完了する平成24年3月31日までの間として定める経過措置期間中における予算措置の内容については、新体系への移行促進の観点を踏まえ、18年度予算要求において検討することとしている。
 福祉ホームについては、お見込みのとおりであり、今まで都道府県が実施していた場合には、18年10月以降は原則として市町村の地域生活支援事業の一環として福祉ホームを実施することとなるため、補助主体も都道府県から市町村に変更されることになる。

 平成18年度より施設体系の見直しを行うとなっているが、平成17年度に行う国の18年度施設整備協議は今までどおり行うのか。

 平成18年度協議については、制度改革を含め、流動的要因が大きいため、現在検討中であるが、基本的には新たな施設体系を十分踏まえたものが協議の対象になるものと考えている。

 障害者自立支援法の施行に伴う他の法律の改正で、社会福祉法第14条第6項(福祉事務所が所管する事務)に規定する事務に障害者自立支援法に関する事務が入っていないのはどうしてか。

 福祉事務所は、社会福祉行政の第一線機関として、主に地域の実情の把握、情報の提供、相談・指導といった業務を担っている。これらの業務は、児童福祉法第18条の2、身体障害者福祉法第9条の2、知的障害者福祉法第10条などに具体的に規定されており、社会福祉法第14条第6項は、このような福祉事務所の業務を規定している法律を列記したものである。
 障害者自立支援法案には、福祉事務所の業務に関する規定がないことから、社会福祉法第14条第6項に列記されていないが、障害者自立支援法案に基づく市町村の業務を福祉事務所に行わせることは、社会福祉法第14条第6項に規定する業務に支障のない範囲内で可能である。




(別紙)
育成医療(若い世帯)の経過措置の概要

 施行時に平均負担率が急上昇する育成医療の激変緩和措置として、入院医療費の計算において一定の控除制度を設ける。(食費の標準負担額は患者負担)

 この経過措置により、「重度かつ継続」以外の中間層(一時的に高額医療費の発生するもの)が給付対象となり、平均負担率は、1%台(現状)→7〜8%台(見直し案)→5%台(経過措置)と推計。

育成医療(若い世帯)の経過措置の概要グラフ

 当初の計算方式:平均入院医療費の額まで  医療費(実額)の1/2として
 平均入院医療費の額を超え300万円までは  医療費(実額)の1/4として
 300万円を超える部分については  医療費(実額)の1%としてそれぞれ計算

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