参考資料



障害者自立支援法案に関するこれまでの国会答弁の議事録



この資料は、今国会におけるこれまでの障害者自立支援法案に関する国会質問及び答弁のうち、代表的なものの議事録抜粋をまとめたものです。


厚生労働省障害保健福祉部
平成17年4月28日



目次
I 改正の趣旨関係
 I−1  障害者自立支援法案は、利用者の負担増など、障害者の自立支援を妨げるものではないか。
(3/10参・予算委 紙智子議員)

 I−2  支援費制度について、創設からわずか2年しか経っていないのに、新たな自立支援制度に変更するのはなぜか。
(3/16参・予算委 小林正夫議員)

II 利用者負担関係
 II−1  利用者負担の見直しの基本的考え方如何。
(2/23衆・厚労委 園田康博議員)

 II−2  利用者負担は本人の所得に着目すべきで、親、兄弟に負担を求めるべきではないのではないか。
(3/16参・予算委 小林正夫議員)

 II―3  福祉工場における就労についても利用者負担を求めるのは、障害者の就労の促進に逆行するものであり、再検討が必要ではないか。
(2/18衆・予算委 福島豊議員)

III 新事業体系関係
 III−1  ガイドヘルパーについて、地域生活支援事業の中で給付が適切に確保されるか、当事者の不安の声は強い。政府の見解を求める。
(2/23衆・厚労委 福島豊議員)

 III−2  身体障害者のグループホームを認めるべきではないか。
(2/25衆・予算委第5分科会 宮下一郎議員)

 III−3  障害者自立支援法案により小規模作業所の位置づけや機能はどう変わるのか。しっかりと制度化されるのか。
(3/4参・予算委 木庭健太郎議員)

 III―4  小規模作業所は、地域活動支援センターに移行していくものも多いと思うが、運営費が裁量的経費で不安に感じている関係者も多い。どう対応していくのか。
(3/4参・予算委 木庭健太郎議員)

 III−5  障害者自立支援法案により、ヘルパーの派遣時間に1日4時間という制限が設けられたり、市町村が必要な予算を確保しなくなったりするのではないかという不安を聞いているが、政府の見解如何。
(3/11参・本会議 高橋千秋議員)

IV 精神通院医療関係
 IV−1  精神通院公費負担医療において、利用者の負担が上がることにより、早期に発見できず、また、治療が中断し、必要な医療が受けられず病状の悪化につながるのではないか。
(2/23衆・厚労委 福島豊議員)

 IV−2  負担増により受診抑制や精神症状の悪化を招かないよう、精神通院公費負担医療についても、負担上限を定める際の所得の範囲は個人の所得とすべきではないか。
(3/15参・厚労委 西島英利議員)

V その他
 V−1  将来的には自立支援法は障害の種別や手帳の有無に係わらない普遍的な法律とすべきではないか。
(2/23衆・厚労委 福島豊議員)

 V−2  障害者の所得保障について今後どのように取り組んでいくのか。
(2/23衆・厚労委 福島豊議員)

 V−3  介護保険法の附則において、今後、対象者の範囲について検討することとされているが、これは障害者にも対象を拡大するということを念頭に置いているのか。
(2/23衆・厚労委 園田康博議員)

 V−4  障害者給付審査会というものが設けられチェックを受けることになると重度の人のサービスが制約を受けるのではないか。
(2/18衆・予算委 福島豊議員)



I−1  障害者自立支援法案は、利用者の負担増など、障害者の自立支援を妨げるものではないか。

【平成17年3月10日 参予算委】

紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今、多くの障害者の皆さんが今度の国会に出されています障害者自立支援法による制度改悪で大幅な自己負担になることに強い不安を持って、この国会の審議も注目をしています。(資料提示)
 これは厚生労働省が作っている資料から作成したものですけれども、障害者福祉サービス平均利用料の負担増ということです。これは平均ということです。
 私の地元、北海道の社会福祉法人の試算でも、脳性麻痺の方で、重度、車いす、この方がアパート住まいをしている二十九歳の女性ですけれども、施設に通って、作業工賃、つまりお給料は月々わずか七千五十円と。今は施設利用料は掛かりませんけれども、制度改悪で月に一万九千円の負担になります。食費も切り詰めて生活をしている中で、本当にこれ打撃になるわけです。ホームヘルプサービスや移動介護など、もっとサービスを利用しますと更に多くの負担になるわけです。これではどこにも出ないで家にいろと言われているようなものだ、そして、自立支援ではなくて自立させないというのと同じだと、こういう言葉が次々に出されているわけです。こういう人たちに負担をさせるのはやっぱり余りにもひどいじゃないかと思うわけです。
 総理は厚生大臣のときに何度も障害者の地域における自立の支援を推進するというふうに言われてきたと思うんですけれども、今障害を持つ皆さんが逆に自立を阻害するとこぞって批判をされている中で、この声を総理はどう受け止められますか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現在、自立を支援する機運が盛り上がっており、各地域では様々な取組がなされております。この障害者の自立支援プログラム、利用者も増えてまいりました。同時に、この支援制度を生かしていかなきゃならないということから、この制度を存続させていくためにはということで、低所得者等に配慮しながらやってきているわけで、負担できない人にまで負担をしなさいという制度ではございません。
 こういうことにつきましては、各障害を持っている方、程度が違いますけれども、この制度に恵まれてない方もおりますので、そういう点も含めた対応を取っておるところであります。
 率直に、まだ不十分な点もあると思いますが、こういう方々の意見を聞きながら、改善すべき点は改善していかなきゃならないと思っております。

紙智子君 今、不十分な点もあるというふうに言われました。やはり、障害年金で八万ですとか十万とか、こういうところで生活をされている障害者にとっては、本当にわずかなものでも本当に負担が重いわけです。
 それで、減免制度もやるんだということですけれども、三年の期限があるわけですよね。それから、障害者への支援ということでは、これは外出をするとかおふろに入るとか、こういう普通の生活をする上では欠かせないものなわけです。ですから、こういうところになぜ負担をさせるのかと、そういう考え方自体が私、誤りじゃないかというふうに思うんです。
 しかも今回、障害者本人に収入がなくても家族に収入があればこの負担額が上がる世帯所得という考え方を入れているわけですよね。これは、年老いた親の年金からも費用をもらわなくちゃいけないということになると思うんです。ようやく作業所に行き出した我が子がまた家にこもらなくてはならなくなると、本当に涙ながらの訴えが私たちのところに寄せられているんです。
 厚生労働省も、一昨年、支援費制度を導入したときに、この障害者の皆さんの要望もあって、親や兄弟の収入を当てにすることはやめたはずだと思うんですけれども、それにも逆行していると思うんです。せめてこの世帯所得という仕組みはやめるべきではありませんか。

国務大臣(尾辻秀久君) まず、改悪というお話がございましたので、そこについても申し上げておきたいと思います。
 一昨年に私ども、支援費制度というのを……

紙智子君 時間がないので。

国務大臣(尾辻秀久君) はい。
 始めました。その支援費制度を始めて、市町村が新たに事業を取り組んできたものですから、このサービス量というのは物すごく大きくなったわけです。ですから、障害者の皆さんに対する国全体でサービス量が物すごく大きくなったというのは、まず評価をしていただいていいんじゃないかと思います。
 その大きくなったために財政的にどうするかという問題が出てきたんで、これを今までは裁量的経費だったから私どもは毎年予算で四苦八苦してたのを義務的経費に今度やろうという、そういう大きな流れだというのは是非御理解をいただいておきたいというふうに思って、まず一点申し上げました。
 それから、今度は負担義務の話でありますけれども、今回の新制度におきましては扶養義務者の負担を廃止して、扶養義務者の負担を廃止して本人のみを法律上の負担義務者にした、これはもうそのとおりしたわけであります。
 ただ、それはもう原則でそうしたんですけれども、今度は負担の限度額を設けなきゃいけない。負担の限度額を設けなきゃいけないということになったときに、じゃその経済的な面においてそれをどう見るかということがありますから、世帯の構成員がお互いに支え合うという生活実態があることを踏まえて、これは介護保険制度に合わしているんですけれども、介護保険制度に合わして生計を一にする世帯全体を負担能力と判定するということにしたわけで、それを提案しているんです。
 しかし、それ、そこまで言ってもまだいろんな議論がありますから、いろんな議論がありますから……

紙智子君 結論をお願いします。

国務大臣(尾辻秀久君) その議論を今からやって、今からやって今後具体的な検討を進めると、最後の答え、これなんですけれども、いろんな議論がありますからその議論の中身を言いたかったんですけれども……

委員長(中曽根弘文君) 答弁は簡潔にお願いいたします。

国務大臣(尾辻秀久君) 具体的な検討を進めるんですということを最後に申し上げます。

紙智子君 今、検討されるということなので、是非この要件については削除をするようにお願いをします。


I−2  支援費制度について、創設からわずか2年しか経っていないのに、新たな自立支援制度に変更するのはなぜか。

【平成17年3月16日 参予算委】

小林正夫君 平成十五年五月に、福祉サービスの利用に関して、サービス内容を決定する、決定する措置制度から利用者本位の考え方に立つ新しい仕組みの支援費制度に移行しました。
 今回、この制度を見直すという考え方ですけども、支援費制度の総括、まあ評価というんですかね、こういうものがどうだったのか、なぜ今回、二年もたたないこういう段階で見直しをするのか、このことについてお伺いしたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君) まず申し上げますけれども、支援費制度というのは、措置制度から今お話しのように変えたわけでありますけれども、大変評判はいいと思っております。評判が悪いから変えるということではないということをまずは申し上げた上で、更に申し上げます。
 支援費制度につきましては、障害者自らが契約により福祉サービスを利用する制度が導入されたこと、障害福祉サービスを実施する市町村が増え、それまでサービスを利用できなかった知的障害者や障害児を中心に多くの方が新たにサービスを利用できるようになったことなど、障害者の地域生活を進める上で重要な役割を果たしているものと評価をいたしております。まずそのことを申し上げます。
 しかしながら、同時に、現在の支援費制度は支援の必要性に応じた客観的な基準がないことなどのため地域における格差が大きいこと、そもそも福祉サービスの整備が後れている精神障害者が対象になっていないことなどの問題点があると認識をしておりまして、今後もサービスの利用者が増加することが見込まれる中で、これは二年間で本当に利用者が多くなりまして、そのこと、そのためにこのままでは制度を維持することが困難になっておるという状況にありますので、ここでまた一遍変えさして、制度を見直さしていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
 したがいまして、今般、障害者自立支援法案におきまして、支援費制度の自己決定と自己選択及び利用者本位、これは大きな理念でありますけれども、この理念は継承しつつ、これは守らなきゃいけない理念だと思っておりますから、大変重要な理念だと思っておりますから、自己決定と自己選択及び利用者本位というこの理念は継承しながら、障害者保健福祉施策の抜本的な見直しを行うこととしたものでございます。
 具体的には、障害の種別にかかわらず一元的にサービスを提供する仕組みの創設、様々な障害のある方が支援の必要度に応じて公平にサービスを受けられるよう障害の程度に関する尺度の設定や、ケアマネジメントの制度化によりサービスの支給決定の客観化、透明化、また、福祉サービスの利用者も含め皆で制度を支え合う仕組みとするため、サービスの利用と所得に着目した費用負担の仕組みの導入、障害者の在宅サービスに関する国及び都道府県の負担の義務化などを提案させていただいたところでございまして、障害者福祉、障害保健福祉施策をより推進していくために必要不可欠な見直しであると考えております。


II−1  利用者負担の見直しの基本的考え方如何。

【平成17年2月23日 衆・厚労委】

園田(康)委員 (略)そしてまた、もう一つ、今回のこの法律の中身でいきますと、いわば当然のようにと言ったらまたこれもちょっと語弊があるかもしれませんが、今までの応能負担から応益負担という形が定率負担の中に導入をされてきたわけでございます。利用者の方々が一割負担、これをお願いするということでございますけれども、その際の理由といたしまして、他の制度との整合性を図らなければいけないのだというようなことをおっしゃっておられるわけでございますけれども、これはどうも私自身にはちょっと納得のいくものではないのですね。
 といいますのは、応益負担というその考え方自身が、まだ私自身の中できちっと腑に落ちていない部分があります。つまり、益を得る、利益を得るという状況を応益負担という、能力ではなくて、何かサービスを受けて利益を得た上で、それに対して見合った部分を払うという考え方だろうというふうに考えているわけなんですけれども、果たして、障害者の方々が受けるサービスというのは、彼らにとっての利益という概念で私はくくっていいものかどうかという大きな疑問を持っているんです。したがって、私のところにも涙ながらにお訴えをしてこられる方々がいらっしゃるわけなんですけれども、障害を持った方々にとってみれば、私たちが受けるサービスというのは利益なんでしょうかという、本当に素朴な質問をいただいたのですね。
 つまり、私はもう幸いに風邪は完治してきておりますから、そんな、今五体満足の状況であるわけでありますけれども、障害を持った方々からすれば、本当に生活をしたい、地域の中で本当に自立をした自分自身の人間たる尊厳を持って暮らしをしたい、だけれどもそれが先天的にもできない、あるいは途中で事故を起こしてしまってそれもできなくなってしまった。できなくなってしまったということは、これはある種、マイナスと言ったらまたこれもちょっと語弊があるかもしれませんが、私に比べれば、要は私がサービスを受ければそれは利益になると思うんです、ゼロからのプラスですから。ところが、彼らにとってみれば、ゼロすらにもなれていない状況を何とか私たちと同じ生活に持っていこうというところの、国の措置といいますかサービスという形でこの制度があるわけですよね。そうすると、サービスの利益という概念というのは、ちょっと私はどうもこの中に納得のできていない部分があるんです。
 なぜ応益負担というものがこの中に導入されることになったのか、あるいは応益負担というものをどういう考えで政府は使っていらっしゃるのか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。

塩田政府参考人 一昨年の四月から始まった支援費制度、理念において自己選択と自己決定ということで、非常にすぐれたものであったと思いますが、全国各地でサービスが伸びる一方で、財源の確保が難しく、結果的に財源の問題から必要なサービスが提供できないという事態が懸念されているわけでございます。障害を持つ方がこれから地域で暮らすという意味で、サービスを質の面も量の面も格段に拡充していくことが必要だと思いますけれども、現行の支援費制度のままではそれが確保できないであろうと懸念を持っているところでございます。
 これから伸びていくサービスを質、量ともよくしていくという意味で、関係する関係者、これはサービスを利用される御本人も含めて、みんなで分担し合うということが不可欠であろうと考えているところでございます。
 現行の支援費制度は応能負担ということでありまして、在宅サービスについていえば、実際御本人が負担している事業費に比べて一%程度で、ほとんどの方が低所得者であることは事実でございますけれども、今度導入しようとする制度は、応益負担というもの、厳密に言うと応益負担のものではなくて、応益と応能のミックス、受けたサービスの量と所得の両者を勘案して御負担をしていただこうという制度であると考えております。
 一割負担という、定率は一割になりますけれども、低所得者の方々、生活保護でありますとか市町村民税非課税、そういう方々についてはきめ細かな限度額を設けるといった低所得者対策もしておりますし、グループホームなどで暮らしている方については、一割負担のサービスが、例えば基礎年金だけの場合には実質的に負担がないような仕組みを導入するとか、かなりきめ細かな配慮もする予定にしているところでございます。
 いずれにしても、これからサービスを伸ばしていかなくてはいけないということが至上命題でありまして、そういう場合には市町村の協力も要りますし、納税者の方の御理解も要りますし、そういう意味で、御本人にある程度の御負担をしていただくということは避けて通れない選択であろうと思っております。例えば、サービスがただであれば、それは一見非常にいいことでありますけれども、サービスを提供される側の事業者の質を向上する意味でも、サービスに見合うある程度の対価というものがサービスの質も向上していくと思いますし、量的な拡大をしていく上でも、関係の方、御本人の御負担は避けて通ってはいけないと私は考えております。


II−2  利用者負担は本人の所得に着目すべきで、親、兄弟に負担を求めるべきではないのではないか。

【平成17年3月16日 参・予算委】

小林正夫君 費用の負担上限にかかわる政府の試算では世帯単位で行われておりました。支援費制度では、本人が二十歳以上の場合は扶養義務から父母を外したという経過もありました。福祉的就労から一般雇用に移行した人の実績を見ると一・一%ぐらい、このような数字もあります。なかなか、障害を持っている方が雇用されるという割合がなかなか難しいということをこの数字は言っているというふうに思います。
 障害を持ってる御両親は、自分が死んだ後子供がどうなるかということが心配で、少しでも蓄えをしておきたいと、こういう親の気持ちになるんだと思います。費用負担上限について利用者本人の負担能力から世帯単位での負担能力とすれば、本人が払えない分を親や同居家族が払うということになる、こういうことになると思います。
 障害のある人々の個人の尊厳を傷付けたり、あるいは自主性を壊すことになってしまうのではないか。私、このように心配をいたしますけれども、関係大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君) まず、今回の新制度においては扶養義務者の負担を廃止をいたしまして、これはかねて強い御希望もあったところでありますから、本人のみを法律上の負担義務者としたところでございます。まず、これが基本でございます。
 ただ、その上で、低所得者対策をどうするかということになりますので、そこを是非きめ細かくやりたいということで、どういうことが今度はまた言われておるか、私どもが御提案申し上げているかということになるわけでございますけれども、どうしても、世帯単位の所得に応じて負担の限度額を設けることとしておるわけでございます。経済的な面において世帯の構成員がお互いに支え合うという生活実態があるということを踏まえて、これは介護保険制度などと同様にするということもありますけれども、生計を一にする世帯全体で負担能力を判定することを今御提案を申し上げております、御提案申し上げております。
 しかしながら、この点についてはいろいろ御意見がございます。まず、最初に申し上げましたように、障害者の自立という観点から、本人の所得のみに基づいた負担上限とすべきである、こういう御意見がございますし、また一方、生活が一体であるべき配偶者についてまで本人とは生活が別のものとして取り扱うことは適当ではないのではないかという御意見でありますとか、また、医療保険制度や特に税制面において被扶養者などとして事実上の経済的な恩典を受けている場合にまで、税制上の恩典を受ける場合にまで障害福祉分野においてのみ特別な取扱いを行うことについて理解が得られるかどうか、様々な意見がありますということを申し上げたところであります。
 そこで、私どもはそういう御意見を今お聞きをいたしておりますから、生計を一にする世帯の範囲につきましては、今後具体的な検討を進めることにいたしておりますが、その際に、今回の利用者負担の見直しの趣旨や、こうした御意見、今申し上げたような御意見などを踏まえて検討を行いまして、具体的な範囲や基準を改めてお示ししたいと考えております。

小林正夫君 そうなると、世帯単位でやるかどうかはまだ決まっていないと、こういうことでよろしいですね。

国務大臣(尾辻秀久君) 申し上げましたように、今後検討をいたす課題といたしております。

小林正夫君 財務大臣にちょっと御所見をお伺いします。
 今の、日本全体の税金を使っていこうと、こういう中の一つですから、先ほど言ったように、障害の方の支援費制度から、世帯単位も考えられると、こういうお話だったんですけれども、そのことに対して、個人の尊厳を傷付けたり、あるいは自主性を壊すことになるんじゃないかという私心配しているんですけれども、そのことに対して御所見を財務大臣としてあればお聞きをしたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君) 今、ここで自信を持ってお答えできるような所見があるわけではないんです。尾辻大臣と今後よく相談をして、御懸念がないような制度に仕組まれるかどうか、勉強したいと思っております。


II―3  福祉工場における就労についても利用者負担を求めるのは、障害者の就労の促進に逆行するものであり、再検討が必要ではないか。

【平成17年2月18日 衆・予算委】

福島委員 (略)今回の改革の中で、障害者の就労支援、これが体系としても大きく見直しをされるということになっております。その中で、障害者の当事者の方から御指摘があるのは、例えば福祉工場、これは雇用関係になるわけでありますけれども、福祉工場で働いた場合にも利用料というものが、自己負担というものが求められる、これはどうなんだろうかと。働いて、そしてまたそこで決して高くはない所得を得るわけであります。そこに利用料の負担を求めるというのはどういうことなんだろう、逆に働くなということなのか、こういう厳しい御指摘もあるわけであります。
 これは制度の中の公平性といいますか、そしてまた統一性、こういう考え方も当然あるわけでありますけれども、十分な配慮がなされるべきだ、そのように思いますが、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

尾辻国務大臣 手短にお答えした方がいいと思いますので、もう結論の部分だけを申し上げますけれども、事業者の負担により利用料を減免することができる仕組みを検討したいと考えております。


III−1  ガイドヘルパーについて、地域生活支援事業の中で給付が適切に確保されるか、当事者の不安の声は強い。政府の見解を求める。

【平成17年2月23日 衆・厚労委】

福島委員 (略)まず一つは、移動支援、ガイドヘルパーでありますけれども、これについてのお尋ねであります。
 今回の見直しにおきましては、この移動支援につきましては、地域生活支援事業、この中に位置づけられているわけであります。支援費制度がスタートいたしましてから、こうしたガイドヘルパーの利用というものが拡大をいたしておるわけであります。しかし、この地域生活支援事業は、厚生労働省が示しております考えでは、市町村の一般財源でこれを行うというところに位置づけられているわけであります。支援費ではなく一般財源に位置づけられるということから、その給付が果たしてこの改革後に適切に確保されるのか、こういう心配があるわけであります。この点についての厚生労働省の御見解をお聞きいたしたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、障害者の外出時の支援、いわゆるガイドヘルパーのことにつきましては、新しい制度では、個々の皆さんに対する給付ではなくて、市町村の地域生活支援事業の中に位置づけるということになっております。
 これによりまして、移動介護につきましては、急な外出が必要となった、こういう場合には即時に適用できる可能性がある。また、これは個々の状況にもよりますが、複数の人たちが一緒に移動することも可能になるであろう、こういうことが考えられております。それから、外出の目的や頻度を踏まえた、地域の実情に応じた効率的な利用ができるであろう、こういうふうなことについても可能ではないかというふうに考えております。
 今回、地域生活支援事業として位置づけるに当たりまして、今までは支援費制度のもとで居宅サービスとして提供されていた、こういう経緯がございます。そして、障害者が自立した社会生活を営む上で大変重要なサービスであるということも十分認識をしております。そんなことを踏まえまして、市町村が必ず実施しなければならない義務的な事業として私どもとしては位置づけておりまして、その費用につきましても、国、都道府県が補助することができる旨の規定を置かせていただいております。今後も必要なサービスが適切に受けられるようになるものというふうに考えております。
 なお、重度の行動障害を有する皆さんについては、これは移動支援、それから身体の介護等を一緒に、パッケージとして給付を今までのサービスメニューの中で受けていただくということにつきましても、制度としてやっていきたいというふうに考えております。


III−2  身体障害者のグループホームを認めるべきではないか。

【平成17年2月25日 衆・予算委第5分科会】

宮下分科員 次に、身体障害者の皆様を取り巻く施設整備とかサポートする体制についてお伺いしたいと思います。
 今、特に身体障害者の皆様なんですけれども、介護する方が高齢になって、場合によっては介護している方が亡くなられてしまったり、障害者自身で何とか生き抜いていかなければいけない、そういった状況もふえてきております。
 ところが、身体障害者のグループホームというのは現在認められておりません。これはやはり身体障害者の皆さんからも、ぜひ私たちにもグループホームをつくって国としてサポートしてほしいという要望がございますので、それを一点申し上げます。(略)

塩田政府参考人 まず、一点目の身体障害者の方々のグループホームについてお答えをしたいと思います。
 今度の障害者自立支援法案におきましては、障害の種別を問わないという形で在宅のさまざまなサービスの再編を行うことになっております。今度の法律では、比較的軽度の方を対象としたグループホーム、それから、介護が必要な重度の障害者を対象にしたケアホームという二つのジャンルを設けることになっております。
 法制度上は、身体障害者についてもグループホームの対象になるということでありますけれども、身体障害者の方々自身からグループホームについては二つの意見がありまして、先ほど先生の御指摘にあったように、自立するための住まいの確保という観点からグループホームが必要だという方々と、一方で、プライバシーの問題とか生活の縛りができるので好ましくないという意見の方もおられる。さまざまな御意見がありますけれども、国会で成立した場合のことではありますけれども、新しい制度、法律もできることでありますし、関係者の意見を聞いて、身体障害者の方へのグループホームが必要かどうか、どういうものが考えられるかについて検討して答えを出したいと思っております。(略)


III−3  障害者自立支援法案により小規模作業所の位置づけや機能はどう変わるのか。しっかりと制度化されるのか。

【平成17年3月4日 参・予算委】

木庭健太郎君 今、副大臣から御答弁がありましたが、今回のこの国会の中で予算関連法案として障害者の自立支援法というのを提出していただいております。これでかなり障害者の自立へ向けていろんな制度が変わっていくと思いますが、この法案において、この小規模作業所、この位置付け、機能はどのように変わっていくのか、しっかりと制度化されていくのかということについて、簡潔で結構でございます、御答弁をいただきます。

副大臣(西博義君) お答え申し上げます。
 小規模作業所、全国に約六千というたくさんの作業所が活動しておりまして、それぞれ大変大きな役割を果たしていただいております。
 今回、その小規模作業所についてどういう役割かという御質問でございますが、より障害者本人の支援につながるように、この小規模作業所又は授産施設等がございますが、この機能に着目して再編をさせていただいて新たな役割を負っていただきたいと、こう考えております。
 今回のこの支援法の体系においては、一つは将来的に企業の雇用につながるようなそういう支援をしていただく役割、それから作業所内で働いて、就労していただくためのそういう機能、それから重度の障害者の皆さんもいらっしゃいますが、その皆さんに対しては創作的活動などの機会の提供と、こういうことを考えて、それぞれの役割を障害種別を問わず負っていただくと、こういうことにさせていただきたいと考えております。都道府県の策定する障害者福祉計画に基づきながら計画的にこの方向に移行できるようにと、こういうふうに考えております。
 なお、先ほど申し上げました、この小規模作業所を利用する皆さん方の、経営のノウハウ等につきましても勉強をしていただくための予算を確保してスムーズに移行できるように頑張ってまいりたい、こう考えております。


III―4  小規模作業所は、地域活動支援センターに移行していくものも多いと思うが、運営費が裁量的経費で不安に感じている関係者も多い。どう対応していくのか。

【平成17年3月4日 参・予算委】

木庭健太郎君 大臣、一つだけちょっと確認しておきたいのが、この障害者自立支援法、成立しましたら、中核になっていくのは地域活動支援センターですね。ここへいろんなものが移行していきます。
 ところが、この分野の予算というのが、いわゆる国や都道府県の財政責任が明確な義務的経費じゃなくて、これ裁量的経費ということになっているんですよね。そういう意味で関係者が一番心配しているのは、本当に、それはいいよと、でもお金確保できるのというところを一番心配しているようでございますし、これについてどうされるのか、お答えをいただいておきたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君) それでは、地域生活支援事業の中の事業として地域活動支援センターを位置付け、平成十八年十月より実施したいと考えておる、これは今お述べになったとおりでございます。
 そこで、その地域活動支援センターの重要性にかんがみまして、これ大変重要な役割を果たしてもらうわけでありますから、市町村等が必ず実施しなければならない事業として位置付けるとともに、その費用についても国、都道府県が補助することができる旨の規定を設けることとしております。
 国としては、地域生活支援事業が適切に実施されるよう、十八年度予算においても、これ十八年度予算の話ですから更に先の話なんですが、必要な予算の確保に最大限努力をしたいと考えております。


III−5  障害者自立支援法案により、ヘルパーの派遣時間に1日4時間という制限が設けられたり、市町村が必要な予算を確保しなくなったりするのではないかという不安を聞いているが、政府の見解如何。

【平成17年3月11日 参・本会議】

高橋千秋君 (略)先日、私がこの質問に立つということを知った地元の身体障害者の方からメールをいただきました。彼は重度の障害者で、長時間のヘルパーによる介助を受け生活をしています。メールを打つにも大変な思いをして送ってくれました。
 彼の不安は、これから審議されると言われております障害者自立支援法案がそのまま成立してしまうと、ヘルパーの派遣時間に一日四時間という制限が設けられ、今受けている介護を維持しようと思えば、市町村が単独で予算を確保しなければならなくなってしまうということであります。
 彼自身は、ボランティアに頼らず、公的ヘルプのみの生活を実現させようと頑張っていますが、三位一体改革の中ではこのような弱い立場の人たちがまずしわ寄せを受けることになってしまいます。
 この障害者自立支援法案の見込みと、これらの本当に困っている人たちの助けてほしいという心の叫びにどうこたえるのか、厚生労働大臣の御見解を伺いたいと思います。(略)

国務大臣(尾辻秀久君) 障害者自立支援法案は、制度が抱える課題に対応し、支援の必要な障害者が必要度に応じてサービスを受けられる体制を整備するものでございまして、先生御懸念のように、一律にホームヘルプの時間を限定するものではございません。
 また、市町村への財政支援につきましては、これまで補助金になっておりました在宅サービスに係る費用について、負担金に改めて国の財政責任を強化するものでございます。
 今回の法案により、障害者の地域での自立支援を更に進め、障害のある人もない人も安心して暮らせる自立と共生の地域社会づくりに取り組んでまいります。(拍手)


IV−1  精神通院公費負担医療において、利用者の負担が上がることにより、早期に発見できず、また、治療が中断し、必要な医療が受けられず病状の悪化につながるのではないか。

【平成17年2月23日 衆・厚労委】

福島委員 (略)二点目は、自立支援医療についてであります。
 従来の更生医療でありますとか育成医療でありますとか、そうした公費によって担われていた医療を、大きく自立支援医療ということで制度の見直しを行うものであります。従来の負担から変わりまして、負担水準が引き上げられるということが起こるわけであります。
 そしてまた、精神医療の精神通院公費制度につきましては、定率負担の見直しが行われますけれども、一方では、それぞれの、例えば都道府県単位でこうした自己負担分についてそれを補助するという仕組みもありますので、実質的には単に定率負担の引き上げということにとどまらない変化が生じるというふうにも言われているわけであります。こうしたことから、治療の中断につながるのではないか、こういう懸念が、障害者の当事者団体のみならず、地方自治体からも寄せられているところであります。
 こうした地方自治体の行っている単独事業も存在するということも踏まえ、適切な負担水準の設定ということがまずは必要であるというふうに思います。この点についての御見解をお聞きしたいということがまず第一点であります。
 そしてまた、この自立支援医療の対象者につきましては、幾つかの分類が行われるわけであります。この中で、重度かつ継続という範囲に含まれる疾病については、現在の厚生労働省の御説明では、精神医療に関しては統合失調症、躁うつ病、そしてまた難治てんかんの三疾病がこの中に含まれているわけでありますけれども、これについても、現場のさまざまな御意見から、よりその対象というものは拡大をされるべきではないか、当然、この重度かつ継続の対象になっていいような状態がほかの疾病であったとしても存在するんではないか、こういう御指摘もあるわけであります。
 この点については範囲の見直しを二年以内に行うという方向も示されておりますけれども、この点につきましても厚生労働省のお考えをお聞きいたしたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。
 精神の通院の公費関係でございますが、毎年の利用者の増加によりまして、その費用が急増しております。そして、現在の国、地方の財政状況の中で、正直申し上げまして、現行制度を維持するということは非常に厳しい状況でございます。
 一方では、必要な医療を確保しつつ、持続可能な制度というふうにしなければならないということもございまして、更生医療等とあわせて、費用を皆で負担し合う、また支え合う、こういう仕組みに見直していき、そして、その結果、障害者自立支援法ということで、自立支援の医療として位置づけをさせていただくということになっております。
 具体的に申し上げますと、今回の改正では、自立支援医療の対象者につきましては、一部の比較的高額の所得のある方を除き、現在の制度を変更するものではございません。それから、医療費の額と所得に着目した公平な利用者負担の仕組みを基本にしてまいります。特に、低所得者と、重度かつ継続的に医療費負担が生じる者、この項目の中に給付の重点化を図るとともに、無理のない負担水準となるように、所得に応じ毎月の負担上限を設けさせていただくということにつきましても配慮をさせていただきます。
 なお、重度かつ継続の範囲につきましては、先ほどお話がございました、当面、精神の面につきましては、統合失調症、それから狭義の躁うつ病、それから難治性てんかん、この三疾患を対象とすることとしておりますが、重度で継続的に医療費が発生する代表例としては、今この三疾患が、この一つ一つのレベルも、疾患の重度か軽度かという問題もございまして、これでは広過ぎるんではないかという意見も一方ではございますし、これでは余りにも範囲が狭過ぎるんではないか、もっと疾病の数もふやしなさいという、双方の御意見があるというふうに承知をしております。
 そういうことでございますので、今後、実証的な研究結果を踏まえて、対象を早急に明確化していきたい。その期限をおおむね二年ということで考えておりまして、はっきりした段階で随時実施をしていきたい、このように考えているところでございます。

福島委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います


IV−2  負担増により受診抑制や精神症状の悪化を招かないよう、精神通院公費負担医療についても、負担上限を定める際の所得の範囲は個人の所得とすべきではないか。

【平成17年3月15日 参・厚労委】

西島英利君 特に、今まで精神保健福祉法三十二条にございました公費負担医療、これが今回この障害者自立支援法の中へ移ってまいりまして、その中で、今まで自己負担五%だったのが一〇%になるということになりました。数字的に見ますとたったの五%と思われるかもしれませんが、本人にとってみたらこれは倍になることにもなります。そもそも、受診を促進させるという観点からこの精神保健福祉法には規定として置かれたところでございます。
 また、障害者の方々の特質として、一つには病識がないという部分がございます。さらには、兄弟の方々が見ておられるという点も非常に多いわけでございまして、もう一つは、この病気に対する家族の理解がまだ十分ではないということもございます。
 以上の点から、この負担の大きさ、これが受診の抑制につながる可能性もあるわけでございます。私も精神科医でございますけども、治療を中断をすれば精神症状というのはこれ確実に悪化をいたします。したがいまして、三十二条の自己負担の所得の範囲、これは是非個人の所得にすべきと考えますけども、この点、現時点での考え方があれば教えていただきたいと思います。

政府参考人(塩田幸雄君) 精神通院公費は現在は五%負担でありますので、一律五%でありますので、ある意味では低所得者にとっては負担が重くなるケースもあるということでございます。今回のやつは、五%から一〇%ということになりますが、きめ細かな低所得者対策を併せて講じるということでございます。
 若干細かいデータになりますけれども、精神通院公費では九割以上の方が月額三万円以下でありますので、今回の負担増では、三万円としますと、現在千五百円の月額負担が三千円になるということでございます。そういう意味で、決して小さいとは言えないかもしれませんが、負担額に及ぼす影響は無理のない御負担ではないかと考えているところでございます。
 また、統合失調症などでかなり高額の医療が掛かる方がいらっしゃいますが、今回は低所得者対策を行いますので、かえって現行よりも負担減になる方もいらっしゃるということでありまして、今度の改正で必要な医療が受けられなくなるというようなことはないのではないかと考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、世帯の収入を認定する際の扶養義務者、親御さんでありますとか兄弟の、いった取扱いにつきましては、先生の御指摘も踏まえて、関係者の意見も聞きながら考えていきたいと思っております。

西島英利君 先ほど精神障害者の方々の特質と、つまりほかとはちょっと違うというようなお話もさせていただきました。是非このことも理解していただいて、是非大臣、前向きに御検討をいただければというふうに思いますが、一言何かございましたらよろしくお願いします。

国務大臣(尾辻秀久君) 負担は本人というのは原則として決めております。ただ、低所得者対策を取るためにその定義をどうするかというところで今のお話が出ておりますけれども、これはもう、先ほど申し上げましたように、この議論を始めるといろんな議論があるんですけれども、基本をそういうふうに定めておるわけでありますから、よく御議論、皆さんの御意見、今の先生の御意見も承りましたし、そうした御意見を承りながら私ども最後の判断をしたいと思っております。

西島英利君 是非前向きな御検討をお願い申し上げたいと思います。


V−1  将来的には自立支援法は障害の種別や手帳の有無に係わらない普遍的な法律とすべきではないか。

【平成17年2月23日 衆・厚労委】

福島委員 (略)そしてまた、今回のこの障害者自立支援法は、従来の身体、そしてまた知的、精神と、児童も入りますけれども、そうした諸法を束ねる、こういう性格があるわけであります。昨年の臨時国会におきましては、発達障害者支援法というものが成立をいたしました。従来の法体系、障害者の法体系の谷間に置かれていた障害者の方々に対しても支援の手を差し伸べようということが発端であったわけであります。
 今回の自立支援法というのは、ある意味で、既存の法律を前提として、その対象となる方、これを対象とするという考え方になっているわけでありますが、こうした谷間に置かれる障害者の方々の存在ということを考えますと、発達障害の点も含め、より包括的な制度へと将来的には転換をしていく、見直しをしていく、こういうことが要請をされているのではないかというふうに思っております。この点についての厚生労働省の御見解をお聞きいたしたいと思います。

尾辻国務大臣 議員御指摘のように、支援の必要な方がきちんとサービスを受けられる、利用できるようにしていくということが、これがもう一番重要なことでございます。
 今般、国会に提出いたしました障害者自立支援法案により、身体障害、知的障害、精神障害といった障害の種別にかかわらず、一元的に自立支援のためのサービスを提供する仕組みを構築することとしておりまして、とりわけ対策の今までおくれてまいりました精神障害者の福祉が進むものと考えております。
 今回の障害者自立支援法案は、御指摘にもございました普遍的な法律への大きな一歩となるものでございまして、今後とも、支援を必要とする人たちがきちんとサービスを利用できる仕組みについて、幅広く検討をしてまいります。


V−2  障害者の所得保障について今後どのように取り組んでいくのか。

【平成17年2月23日 衆・厚労委】

福島委員 (略)そして、次に、所得保障の話であります。
 昨年の臨時国会におきましては、特定障害者に対しての給付法が成立をいたしまして、無年金障害者の問題について一定の前進をかち取ることができたというふうに思っております。障害年金の水準の問題等々もあります。この所得保障について今後どうしていくんだということが、当事者団体からもさまざまに声が寄せられているところであります。昨年の給付法につきましても、今後の検討課題ということも含まれております。こうした点について、厚生労働省としての見解をお聞きいたしたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、障害者の皆さんの所得保障、これは、障害者の地域における自立ということを考えた上で、大変重要な問題だというふうに考えております。
 おかげさまで、昨年秋の臨時国会において、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律を成立させていただいたことは、今後の障害者の所得保障について大きな前進であったというふうに考えております。
 年金制度、それから各種手当などについては、現在の国の財政状況を考えると大変難しい面もありまして、大きく一挙に改善を図るということは大変困難な道であるということを言わざるを得ない面もありますけれども、障害者の所得保障としては、福祉と雇用が連携した就労支援に積極的にこれから取り組ませていただくということによりまして、その適性に応じて障害者が働けるようになっていただく、このことを一つの重要な柱として、今後、障害者施策に取り組んでまいりたいと思っております。


V−3  介護保険法の附則において、今後、対象者の範囲について検討することとされているが、これは障害者にも対象を拡大するということを念頭に置いているのか。

【平成17年2月23日 衆・厚労委】

園田(康)委員 (略)ちょっと時間がなくなってまいりましたので、幾つかあと質問を用意しておりましたけれども、障害者施策についての最後の質問という形で大臣にもちょっとぜひお願いをしておきたいんですけれども、先ほど話がありました介護保険との関係で、附則の第二条で、いわば二十一年度を目途として所要の措置を講じると。当然、この中には検討措置として障害者も入っているというふうに先ほど明確に御答弁をいただいたわけでございますけれども、ただ、検討に入っているというだけでは、まだ私自身は不安が残っているわけなんです。
 つまり、検討した結果、やはりだめでしたということも今までの例からするとあり得る話でありまして、検討ではなくて、ぜひ大臣、やはりここはもう一歩踏み込んでいただいて、二十一年度を目途に必ず被用者保険の拡大を行っていくんだ、そして、給付を受けられる方の年齢拡大も行っていくんだということをぜひちょっと最後に明言をいただけないか、お願いをしたいと思います。

尾辻国務大臣 先ほどお答え申し上げましたとおりに、今回の検討条項につきましては、障害者の介護を介護保険の対象とすることの検討を含むと考えておりますと申し上げました。
 今、法律でお願いをしております私の立場から申し上げますと、含むものと考えておりますと申し上げるところまででございますけれども、今先ほど申し上げた負担の話だとか、これもここでの、委員会での御議論を踏まえて私どもは答えを出していきたい、先ほどお答え申し上げたとおりでありまして、そのとおり考えておりますし、こうしたこともぜひこの委員会での御議論を賜りますようにお願いを申し上げます。

園田(康)委員 私は今三十七歳、ことし八歳になるわけですけれども、ぜひ私も介護保険料を払いたいんです。払わせてください。したがって、年齢拡大を一刻も早く、こういう民主党の考え方もあるわけですから、ぜひ与党の皆さんも一緒にこの拡大に向けて、やはりこれは社会保障制度全体の、一体の改革という形で進めていくものであるというふうに私は考えておりますので、強くお願いをしておきたいと思っております。(略)


V−4  障害者給付審査会というものが設けられチェックを受けることになると重度の人のサービスが制約を受けるのではないか。

【平成17年02月18日衆・予算委】

福島委員 (略)自立支援給付についての支給決定手続の話であります。
 これも支援費制度でも、重度の障害者の方、そのサービスの保障というものをどうするんだということが大変問題になりました。脊髄損傷による全身麻痺など重度の障害者の場合、施設から地域に移行して生活するためには、二十四時間の介護などのような手厚いサービスが必要であります。今回、この新しい制度では障害給付審査会というものが設けられ、そこでチェックを受けるということになるわけであります。これについて、こうした重度の方々に対してのサービスが制約を受けることになるのではないか、こういう懸念があるわけであります。
 この点について、そうではないということについて、大臣の御見解を手短によろしくお願いいたします。

尾辻国務大臣 支給決定の客観化だとか透明化を図る必要があるということで、かねて御指摘でございますから審査会を設置することにいたしましたが、御懸念のようなことはないようにちゃんといたします。

福島委員 どうもありがとうございました。

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