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別添


平成15年度 厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)

分担研究報告書

国、自治体を含めた院内感染対策全体の制度設計に関する緊急特別研究


「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」

分担研究者 大久保 憲 所属 NTT西日本東海病院外科部長


研究要旨
 従来からの院内感染対策には、科学的根拠のない方法の採用や、過去の習慣により行われてきたことも多い。これらの感染対策について、適切なエビデンスをもとに改めて考えてみる必要がある。Evidence based precaution(EBP)とは、科学的な根拠に基づく予防策を指し、最も信頼できる根拠を把握したうえで、個々の状況を考慮した感染防止策を行うための一連の行動指針である。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin - resistant Staphylococcus aureus: MRSA)などの薬剤耐性菌および新興感染微生物による院内感染が引き続き問題となっていることから、この機会に改めて一般的な院内感染に対する注意を喚起する目的で感染防止のための推奨事項を提示する。(付記:院内感染または病院感染という用語は、世界的には在宅ケアでの感染を含めて「医療関連感染 healthcare-associated infections; HAIs」 と言われることが多い)

研究協力者
小林寛伊 (NTT東日本関東病院:名誉院長)
倉辻忠俊 (国立国際医療センター研究所:副所長)
荒川宜親 (国立感染症研究所細菌第二部:部長)
切替照雄 (国立国際医療センター研究所:部長)

A. 表現用語

 できるだけ簡明となるように基本表現を下記のごとくに定めた。
1. 必須事項( ・・・する必要がある。・・・しなければならない)
 必須の実施事項であると判断される項目についての表現。

2. 推奨事項( ・・・が望ましい)
 院内感染防止のために必要性があり、できるだけ実施してほしいが、種々の理由で実施困難な場合も想定される事項についての表現。

3. 禁止事項(・・・してはならない。・・・する必要はない)
 実施することにより感染防止効果がないばかりか、弊害を生ずる可能性のある項目。

B. 基本的推奨事項

1.感染制御の組織化
 病院においては院内感染の発生を未然に防止することと、ひとたび発生した感染症が拡大しないように制圧することが大切である。そのためには施設管理者(病院長など)が積極的に感染制御に関わり、感染対策委員会、感染対策チーム(ICT)などが中心となって、総ての職員に対して組織的な対応と教育・啓発活動をしなければならない1)
 院内感染実務担当者は、一定の権限のもとに組織横断的に活動する必要がある。

2.感染対策マニュアル
 医療機関においては院内全体で活用できる総合的なマニュアルに加えて、必要に応じて部門ごと等のそれぞれ特有の対策を盛り込んだマニュアルを整備し、常に見直しを行ない、更新している必要がある。
 効率よく感染防止を実施するためには、感染対策マニュアルを充実させ、患者や医療従事者への感染防止において、科学的根拠に基づいた予防策を採用し、経済的にも有効な対策を実施できるマニュアルを作成する必要がある2-4)

3.サーベイランスの実施とアウトブレイクの察知
 日常的に自施設における感染症の発生状況を把握するシステムとして、対象限定サーベイランスを必要に応じて実施することが望ましい5-7)
 その際、院内の各領域別の微生物の分離率ならびに感染症の発生動向から、院内感染のアウトブレイク8,9)をいち早く察知し、アウトブレイク時の初動態勢を含めて迅速な対応がなされるよう、感染に関わる情報管理を適切に行なう必要がある。
 臨床微生物検査室では、検体からの検出菌の薬剤耐性パターンなどの解析を行なって、疫学情報を臨床側へフィードバックする必要がある。

4.標準予防策と感染経路別予防策等
 医療機関においては、最も有効な感染防止対策として標準予防策3,4)を実施する必要がある。たとえば、湿性生体物質などの感染性物質に触れる可能性のある場合には手袋・ガウン・マスクなどの個人用防御具が適切に配備され、その使用法が正しく認識、遵守されている必要がある。呼吸器症状のある場合には、咳による飛沫を防止するために口にタオルなどをあて、汚染の拡散防止を図らなければならない。また、疾患及び病態等に応じて感染経路別予防策(空気予防策、飛沫予防策、接触予防策)を追加して実施する必要がある4)。従来の基本的な感染経路別予防策に加えて、「防御環境 protective environment」という概念が加わり、易感染患者を病原微生物から保護することにも重点が向けられるようになってきた。
 集中治療室などの清潔領域への入室に際して、履物交換と個人用防御具着用を常時実施する必要はない10,11)
 各種の感染防御用具の対応を容易かつ確実に行なう必要があり、感染性疾患の患者は個室収容されることが望ましい。

5.手洗いおよび手指消毒
 手洗いおよび手指消毒のための設備・備品を整備し、患者ケアの前後に必ず手指消毒しなければならない12)
 手指消毒の基本は擦式消毒用アルコール製剤の使用もしくは抗菌性石けん(クロルヘキシジン・スクラブ剤、ポビドンヨード・スクラブ剤等)と流水による手指消毒である。目に見える汚れがある場合には流水と石けんで洗った後にアルコール擦式消毒を行なう必要がある12-15)

6.職業感染防止
 針刺し切創防止にはリキャップを禁止するとともに、廃棄専用容器を配置する必要がある。その際、安全装置付き器材を導入することが望ましい16,17)
 ワクチン接種によって感染予防が可能な疾患に対しては、医療従事者が当該ワクチンを接種する体制を確立することが望ましい。

7.環境整備と環境微生物調査
 院内における空気調和(空調)および給湯設備の適切な管理等、感染対策に有用な建築設備が整備され、清掃や環境管理が適切に行なわれる必要がある。
 病院環境整備の基本は清掃であり、広範囲の環境消毒はしてはならない。血液・体液による汚染がある場合は、汚染局所を清拭除去し消毒を行なう必要がある18-21)
 手が常に触れる部位(ドアノブ,ベッド柵など)は,定期的な清拭もしくはアルコール消毒が必要である.
 消毒薬の噴霧、散布、薫蒸や紫外線照射などは効果が不確実であり、作業者への危険性もあり、院内で実施してはならない。
 粘着マット、薬液浸漬マットは感染防止効果が認められていないため使用する必要はない22-26)
 環境微生物検査は定期的に行う必要はなく、その結果が施設清浄度の指標となるものでもないので、感染経路を把握するなど、疫学的な目的に限定して実施すべきものである27)

8.器材の洗浄、消毒、滅菌
 医療材料、機器などが安全に管理され、器材の洗浄・消毒・滅菌が適切に行なわれなければならない。消毒薬や滅菌用ガスが生体に有害とならないような配慮が必要である。そして、日常の滅菌は、滅菌保証が十分得られるような条件で行ない、各種滅菌インジケータを使用し、それを保存する必要がある(日本医科器械学会「滅菌保証のガイドライン」28参照)。
 使用器材は現場での一次洗浄は行なわずに、中央の滅菌供給部門で行なうことが望ましい。器材の消毒および滅菌に先立ち、洗浄を十分行なわなければならない。
 生体の無菌領域へ使用する器材は滅菌が必要であり、粘膜に接触する器材は高水準消毒を行ない、正常皮膚に接触するものは低水準消毒もしくは水拭きしなければならない29)
 軟性内視鏡の処理は、洗浄後に高水準消毒を行い、その後水で十分すすいで乾燥させて保管する必要がある30-35)。内視鏡検査において無菌性が要求される処置では、フィルタ(孔径0.25μm)を通した水ですすぐことが望ましい。生検鉗子は滅菌したものを使用し、術者は標準予防策を遵守して検査を行なわなければならない。

9.手術と感染防止
 手術室は周辺の各室に対して陽圧を維持し、清浄な空気を供給するとともに、清掃が容易にできる構造としなければならない。環境の無菌性を目的に日常的に消毒薬を使用した床消毒は行なう必要はない。手術中の感染防止には無菌操作を基本とした手術手技を確立しなければならない23)
 術前患者の準備として硬毛が邪魔になる場合以外は除毛してはならない。除毛する場合もカミソリ剃毛は行なわない36,37)。術野消毒は生体消毒薬にて広範囲に消毒しなければならない。
 手術時の手指消毒は、アルコール擦式消毒もしくは抗菌性石けんと流水による手洗いが基本とされ、手洗い水は管理された水道水で十分であり、あえて滅菌水を使用する必要はない38)
 予防的抗菌薬は、清潔手術・準清潔手術に対して、手術直前にセフェム系第一世代もしくは第二世代抗菌薬(下部消化管などではこの限りではない)を一回投与し、長時間手術等の場合には術中に追加投与することがある。術後長期間に亘る予防的抗菌薬投与は行なってはならない39-51)。消化器外科手術では術後3日間程度の投与が一般的であるが、術直前投与のみの方法も採用されている。
 手術室への入室に際して履物交換は不要であるが10,11)、手術中には帽子、外科用マスク、手術用衣(術者はさらに滅菌ガウン)を着用する必要がある。

10.カテーテル関連感染対策
 1)  血管内留置カテーテル感染対策
 輸液の調合は無菌的に行ない、速やかに投与を開始しなければならない52-56)
 高カロリー輸液のためのカテーテル挿入部位は左右の鎖骨下静脈を使用し、滅菌手袋、滅菌ガウン、マスク、キャップと大き目の覆布を使用することが望ましい57-59)
 輸液関連器材の消毒はアルコール製剤を使用し、中心静脈カテーテルの交換は定期的に行なうのではなく、感染症状など抜去の必要性がある場合に交換することが望ましい60-64)

 2)  尿路留置カテーテル感染対策
 カテーテル挿入は無菌操作に留意し、尿の逆流と回路からの細菌の侵入を防止する必要がある65,68)。刺入部位の消毒は不要であり69)、汚染が強い場合には外陰部を微温湯にて洗浄する必要がある。
 膀胱洗浄やカテーテル交換は定期的ではなく、閉塞などの所見が見られた場合に実施する70)

11.抗菌薬耐性菌対策
 薬剤耐性菌の検出状況や感受性パターンなどのデータを把握し、抗菌薬の濫用を避けなければならない。薬剤師と協力して抗菌薬使用のマニュアルを作成し71-76)、重要な抗菌薬の使用を許可制にすると同時に、治療薬剤モニタリング(therapeutic drug monitoring: TDM)77-81)を行なうことが望ましい。
 MRSA保菌者および感染者へは標準予防策で対応する必要がある。特に感染防止には易感染患者に対して注意が必要となる。易感染患者が少ない施設では、鼻腔などへのMRSAの保菌(定着)を理由に診療を拒否する根拠はない87)

12.NICUでの対応
 未熟児を扱うNICUでは、カテーテル関連感染および医療器材関連感染防止に注目し83-85)、気道吸引や創傷処置においても無菌操作に留意する必要がある86,87)。保育器は日常的な消毒はしないが、消毒薬を使用した場合には、残留毒性に注意する88)

13.その他
 1)  感染性廃棄物処理
 感染性廃棄物処理マニュアル(平成16年3月16日改正)に基づき、密閉した容器で収集運搬し、感染性を失わせる処分方法などの基準を遵守する必要がある。

 2)  行政への連絡等
 感染症法等の法律に規定されている疾患については、所轄の保健所へ届け出ることとされている。これ以外の院内感染のアウトブレイクを察知した場合などには、所轄の保健所へ相談して支援・助言を求めることが望ましい。院内感染地域支援ネットワークが構築されている地域においては、それらを活用して支援・助言を求めることができる。

C. 具体的な事項(解説を含めて)

1.感染制御の組織化
 病院では感染制御のための組織が作られ、病院管理者が積極的に関わっていなければならない1)
 感染対策委員会は各部門の代表者(管理的立場にある職員、医師、看護師、薬剤師、検査技師、滅菌技士等)が参加し、定期的に開催して、感染防止に対する基本姿勢と年間計画などを作成する。また、直接的に感染制御を実務担当する感染制御医師(ICD)、感染制御看護師(ICN)もしくは感染制御担当者(ICP、ICS)などからなる院内感染対策チーム(ICT)が任命され、定期的に病棟巡回を実施して現場での情報収集、情報提供、効果的介入、スタッフ教育・啓発と院内感染状況の把握に努めなければならない。
 ICTの一員として抗菌薬使用に関する薬剤師および臨床微生物検査技師の現場介入も必要である。その他、病棟などの医療現場で業務を行ないながらICTとのつなぎ役として経験豊富な看護師(リンクナース)2)を任命して情報交換を行なうシステムもある。このようにICTを機能化することにより、効果的かつ迅速な対応が可能となる。
 院内感染実務担当者には、院内で一定の権限と責任が与えられて組織横断的な活動が求められる1)。さらに地域医療圏との関係を密接にし、広域的な感染防止対策にも協力していかなくてはならない。

2.感染対策マニュアル
 医療機関では院内全体で活用できる総合的な感染対策マニュアルと、必要に応じて部門ごとに特有の感染対策を盛り込んだマニュアルを整備する必要がある。この感染対策マニュアルは最新の科学的根拠に基づき、常に見直しを行なって更新しなければならない3,4)
 内容的には標準予防策の概念を導入すると同時に、血管内留置カテーテル感染対策、器材の洗浄・消毒法、患者環境の清潔管理法、個室病室への収容基準、対象限定サーベイランスの実際、手洗いと手指消毒、薬剤耐性菌対策、空気感染防止対策、飛沫感染防止対策、接触感染防止対策、尿路感染防止対策、手術部位感染防止対策、未熟児・新生児感染防止対策、ワクチン接種規定、医療従事者の感染対策、新興・再興感染症対策、抗菌薬使用の院内指針、術後感染予防薬投与の基準、無菌性の破綻が無い手技の厳守などが記述されていることが望ましい。
 さらにマニュアルには院内感染が起きた場合の患者インフォームドコンセントが適切に行なえるような手順が述べられていることが必要である。

3.サーベイランスの実施とアウトブレイクの察知
 日常的に院内で発生する感染症の発生状況を把握するシステムとして対象限定サーベイランスを実施することが望ましい5-7)
 対象限定サーベイランスとして、血管内留置カテーテル感染、尿道留置カテーテル感染、手術部位感染、人工呼吸器関連肺炎、細菌分離状況や薬剤感受性試験などを必要に応じて実施することが望ましい。それぞれの感染について、基本となる定義(NNIS system:全米院内感染サーベイランスシステムなど)に基づいた調査が重要であり、国際的にもデータが比較できるシステム内容とする必要がある。
 さらに、サーベイランスのデータから院内感染のアウトブレイク8,9)を早期に察知し、速やかに感染の拡大防止に努めなければならない。アウトブレイク時の初動態勢など事態収拾に向けた対応が求められる。アウトブレイクの終息は、最後の症例の感染性が消失してから、その疾患の潜伏期間の2倍が経過した時点を目安とすべきである。しかし、院内生息菌によるものでは定着症例が存在することを考慮しなければならない。
 沈静化後は感染対策の評価とその後の再発防止策等についての検討が必要となる。
 分離菌の種類や推移が検体別、領域別に把握され、特に抗菌薬耐性菌の検出頻度と耐性化率が領域別に定期的に報告されている必要がある。しかし、鼻腔スクリーニングなどの監視培養は対象を限定して、入退院を繰り返している者、過去に耐性菌感染の既往がある者、侵襲の過大な手術の予定者、臓器移植患者など、それぞれの病院でハイリスクグループを決めて、必要に応じて実施すべきであり、全患者を対象としたスクリーニングの意義は疑問視されている90)

4.標準予防策と感染経路別予防策等
 標準予防策を実施するために以下の事項を徹底しなければならない3,4)
 各病室ならびに清潔区域には流水式手洗い設備を設け、擦式消毒用アルコール製剤を配置しなければならない(精神科など例外となる区域もある)。
 湿性生体物質はすべて感染性があるものとして対応されるべきである。湿性生体物質、粘膜、創に触れるときには新しい手袋を着用する。湿性生体物質が飛散し目、鼻、口の粘膜に付着するのを防ぐためマスクやゴーグルなどを着用し、湿性生体物質で衣服が汚染されるのを防止するために防水性のエプロン・ガウンを着用する。患者の血液・体液で汚染した器材の洗浄には手袋、防水性エプロンのほか場合によってはマスクやゴーグルが必要な場合がある。
 呼吸器症状のある患者が咳をする場合には、鼻や口にタオルなどを当てて、分泌物が飛散しないような注意が必要であり、その後の手指消毒も重要である。
 空気感染隔離予防策の必要な疾患は、飛沫核を介した感染に限定される疾患(結核)と空気感染以外にも感染経路が存在するが、主な感染経路が空気感染である疾患(麻疹、水痘)および特殊環境下でのみ空気感染する可能性のある疾患(重症急性呼吸器症候群:SARS)に分類できる。
 集中治療室(ICU)などの清潔区域への出入りにおいて感染防止のための一律的な履物交換、マスク、ガウンの着用などは行なわないが、個人用防御具(手袋、マスク、ガウン、ゴーグル、帽子、足カバーなど)を適切に配備し、接触感染防止には手袋とガウンを着用し、飛沫感染防止にはさらにマスクやゴーグルを着用する。さらに、これらの防御具の着脱の手順が正しく認識されて遵守されていなければならない10)
 肺結核症などの空気感染防止では、病室は前室を有して陰圧制御とし、空調は全外気方式にて行ない、排気口が居住地に隣接する場合には超高性能フィルタでろ過して排出する必要がある91)。一方、再循環方式の場合では単独回路内に超高性能フィルタを設置して空気をろ過しなければならない。従来の病室を利用する場合には、簡易型で超高性能フィルタ内蔵の空気清浄装置を設置して陰圧制御する方法もある92)
 感染性疾患の患者を個室収容(隔離)する目的は、各種の感染防御用具の対応を容易かつ確実に行なうためであり、患者を室内に拘束することが目的ではない。
 多床室でも技術的に隔離することは可能であるが、対象患者が多数発生した場合には、一定の領域にまとめて収容し、看護体制も他の部署との交流を絶つコホート管理21,93)が行なわれることが望ましい。
 従来の感染経路別予防策に加えて、易感染患者を病原微生物から保護するために「防御環境 protective environment」という概念も提唱されている。

5.手洗いおよび手指消毒
 手指消毒の基本はアルコール擦式消毒である。これに代わる方法として抗菌性石けん(クロルヘキシジン・スクラブ,ポビドンヨード・スクラブなど)と流水を用いてもよい。目に見える汚れがある場合には非抗菌性石けんと流水もしくは抗菌性石けんと流水のいずれかで手を洗う11-14)。擦式消毒用アルコール製剤は15秒以内に乾燥しない程度の十分量(約3ml)を使用し、アルコールが完全に揮発するまで両手を擦り合せる必要がある11,94)
 手指消毒のタイミングは、患者のケアの前後および手袋を外した後、中心静脈カテーテルおよび導尿カテーテルを挿入するなどの侵襲的処置の前、患者周辺器材に触れた後などである。医療従事者のみならず、患者や見舞い客についても手指消毒の遵守を促す必要がある。
 流水と石けんによる手洗いが見直された背景には、この手洗い方法の有効性の根拠とされたエビデンスの多くが30〜60秒間をかけた手洗いであるにもかかわらず、実際の医療現場では7〜10秒程度95)の手洗いしか行なわれていない点、またアルコールは普通石けんに比較して明らかに減菌効果が高く、皮膚に対する反応においても、保湿剤の配合された擦式消毒用アルコール製剤の方が手荒れの頻度が少ない点などが明らかになったことがある11)。さらに、流水と石けんの手洗いでは手洗い場までのアクセスにおいて時間と距離の問題があるが、アルコール擦式消毒はベッドサイドでも行なえるという利点がある。

6.職業感染防止
 針刺し切創による感染防止のために、リキャップを禁止するとともに各ベッドサイドに専用の耐貫通性の廃棄容器を設置して安全に廃棄しなければならない。また、針刺し防止のための安全装置付き器材を導入することが望ましい15,16)
 通常の注射針を使用するときにはリキャップしてはならない。
 医療従事者をはじめ、病院内で業務を請け負う職種、実習生、研修者等は、B型肝炎、麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎、インフルエンザ等のウイルス抗体価検査を行なうとともに、率先してワクチン接種することが望ましい。

7.環境整備と環境微生物調査
 病院環境整備の基本は清掃による汚染の除去であり、洗面所、便所、汚物処理室を含め、その他患者の出入りする院内全般に対して毎日の清掃が必要である17-20)。細菌汚染が強い領域といえども常時消毒する必要はない。しかし、便を介した特異的な感染症(腸管出血性大腸菌O157:H7など)が多発している場合には、洗面所や便所などにおいて手が触れる部位は、アルコール類、第四級アンモニウム塩などを使用して定期的な消毒を行なう意義はある。
 床などの環境表面に対して広範囲の消毒は行なわない。手がしばしば接触する環境表面は頻回の水拭き清掃もしくはアルコールによる清拭消毒が必要である。床などの水平面は、血液・体液等目に見える汚染がある場合には、汚れを安全な方法で清拭除去した後に汚染局所の消毒を行なう。それ以外の場合には消毒薬を使用する必要はなく、一日一回の定期的な清掃、患者の退院時の清掃、汚染時清掃など、時期を決めた清掃が行なわれる必要がある。一方、壁やカーテンなどの垂直面は感染との関わりはさらに低いため、目に見える汚染がある場合に清拭もしくは洗浄すればよい96)。床の清掃には汚れたモップを何度も使用すると、汚染の拡大になるため、清潔な清掃用具を使用する必要がある。
 環境に付着する菌が感染をおこすためには、菌の存在、その毒力・菌力(ビルレンス:感染を起こすことができる能力の程度)、菌量、菌の侵入門戸の存在、患者の易感染性とともに、菌が環境から患者に達する感染経路が存在しなくてはならない。したがって、広範囲の環境の無菌性を追求するのではなく、感染経路を有効に遮断して感染防止を行なうことが有効で且つ確実な方法である。消毒薬にて環境を消毒しても短時間に元の汚染状態に戻ってしまう。
 環境に対する消毒薬の使用方法として、噴霧、散布、薫蒸および照射などは消毒効果が不確実であるばかりか、作業者への有害性および周辺環境への残留毒性などの観点から行なうべきではない96)
 環境消毒に生体消毒薬ならびに高水準消毒薬は使用しないとともに、面積の広い部分にアルコールは使用しない。
 また、病室や手術室の入り口の粘着マットおよび薬液浸漬マットについては、それらを不要とするエビデンスは示されていないが、粘着マット周辺はむしろ汚染されており清掃がしにくく、しかも粘着マットを中止しても感染率等には変化がないので、これらのマットの有効性は否定されている22-26)
 定期的な環境の細菌検査(落下細菌検査、表面汚染菌検査等)は行なわない27)。その理由は、環境は常に変化しており、一定の条件化で比較できないこと、多くのコロニーを全て同定する労力の問題、さらに環境汚染度と感染との関係を示すパラメータが存在しないことおよび費用の問題などである。したがって、環境細菌検査の結果が施設清浄度の指標となるものでもない。しかし、特異的な感染症が発生した場合に、その感染源を特定するなど疫学的な調査のための環境の細菌検査は重要である。
 院内における空調および給湯設備の管理を適切に行なう必要がある。(日本医療福祉設備協会規格「病院空調の設計管理指針 HEAS-02, 2004」を参照)

8.器材の洗浄、消毒、滅菌
 再使用器材の洗浄は使用現場での一次洗浄処理を避け、中央の滅菌供給部門(材料部など)などで一括して安全に行なうことが望ましい。
 器材の消毒においては予め洗浄を十分行なう必要がある。熱を利用した消毒が第一選択であるが、非耐熱性器材に対しては消毒薬を使用する。消毒薬は、その作用機序や殺菌効果および抗菌スペクトルを考慮して目的に応じた使い方をすることが大切であり、その消毒薬の使用方法は浸漬法と清拭法が基本である29)。消毒薬は決められた濃度にて使用期限内のものを使用し、使用後は適切に廃棄する必要がある。
 体内の無菌の組織や血管系に挿入する器材は滅菌(高圧蒸気滅菌、酸化エチレンガス滅菌、過酸化水素ガスプラズマ滅菌など)するか、もしくは化学滅菌剤(グルタラール、過酢酸)に長時間接触させる必要があり、粘膜に接触するものは必要に応じて熱水消毒(80℃、10分間)または高水準消毒薬(グルタラール、フタラール、過酢酸)を使用した消毒をおこなう。正常な皮膚に接触する器材は低水準消毒、アルコールもしくは水拭きによる清拭でよい29)
 粘膜に接触する器材として軟性内視鏡の使用後の処理は、吸引・生検チャンネル内を十分にブラッシング、流水洗浄を行なった後に、自動洗浄器を使用してグルタラール、フタラール、過酢酸などの高水準消毒薬を使用して消毒し、その後十分量の水によりすすいで乾燥させなければならない30-35)。高い無菌性を要求される内視鏡では、すすぎ用の水は無菌水を使用する必要がある。生検鉗子は滅菌済みのものを使用し、さらに作業者は個人用防御具を適切に使用して、標準予防策を遵守しなければならない。
 病院内で行なわれる日常の滅菌では、滅菌保証が十分得られるように適宜化学的インジケータ、生物学的インジケータなどを使用して滅菌工程を評価し記録を保存する(日本医科器械学会「滅菌保証のガイドライン」28参照)。
 既滅菌物は適切な包装がしてあれば、汚染物との厳格な動線の分離は必要ないが、汚染されにくい場所で保管しなければならない。
 滅菌不良が生じた場合には前回確認日までのリコール(滅菌不良と思われる物の回収)を速やかに行なう必要がある。リコールが適切に行なわれることがリスク管理上重要であり、そのための院内マニュアルが必要である。

9.手術と感染防止
 手術室は、周辺室から塵埃が入らないようにし、有効な室内圧と気流を確保し、その内壁全部を不浸透質の素材で覆い、適切な空気調和(空調)による清浄空気の供給と照明設備を有し、清掃がしやすい構造としなければならない。清潔と不潔の動線の交差を厳しく設定することや、履物の交換および術後の広範囲の床消毒などを行なうことは、感染対策上において科学的根拠が認められない。
 整形外科のインプラント手術に相当する清潔度を要求する手術以外の手術を行なう一般手術室では、超高性能フィルタの設置は不要である23)
 手術室への入室に際して履物交換は不要であるが、手術中の部屋に入る場合には帽子、マスク、手術用下着(手術衣)を正しく着用し、素肌をなるべく露出しないように心がけなければならない。
 術前の患者準備において、硬毛が邪魔になる場合以外は除毛しない。除毛する際もクリッパー(電気カミソリ)等を使用し、カミソリによる剃毛は行なってはならない36,37)。シャワー浴などで皮膚の清浄化を図ることは大切である。
 手術前の手指消毒はアルコール擦式消毒(ラビング)もしくは抗菌性石けん(クロルヘキシジン・スクラブ,ポビドンヨード・スクラブなど)と流水による手洗い(スクラビング)が基本である。抗菌石けんを使用したスクラビング法とアルコール擦式消毒によるラビング法とを比較した臨床試験で、両者間に手術部位感染率において有意差がなかった38)。一方、同様に手指付着菌数で比較した検討においても両者間において有意差が認められなかった97)。以上のエビデンスから、手術時の手指消毒には、アルコール擦式消毒法のみでも問題ないことが明らかとなった。また、水道水と滅菌水による手術時手洗い(スクラビング法)を、付着菌数で比較した検討では、水道水でも滅菌水でも菌数には差が見られなかった98)。したがって手術時手洗いに使用する水は、水道水でも滅菌水でも構わないと結論できる。
 スクラビング法では過度なブラッシングに伴う手荒れにも注意する必要があり、最近ではブラシを指先のみに適用する短時間手洗い法や、ブラシを使用しない揉み洗いによる手洗い法も行われている。手荒れのある皮膚には多くの細菌が生息しており、薬剤耐性菌の存在する可能性も高く、感染対策上で問題となる。
 術野の皮膚消毒は、アルコール製剤、クロルヘキシジン製剤、ヨードホール製剤にて十分の範囲を消毒する23)。消毒薬の毒性を考慮して適用領域を決めなければならない。また、アルコール製剤は燃焼する危険があり、注意が必要である。
 予防的抗菌薬は、手術創分類において清潔手術・準清潔手術に対して、手術直前にセフェム系第一世代もしくは第二世代抗菌薬(下部消化管などではこの限りではない)を一回投与し、長時間手術等の場合には術中に追加投与することがある39-51)。術後長期間に亘る予防的抗菌薬投与は行なってはならない。消化器外科手術では術後3日間程度の投与が一般的である。
 手術終了後の手術室清掃は、目に見える汚染が無い場合には水拭き清掃もしくは湿式吸引清掃でよい。血液や体液が付着する部分は拭き取った後に必要に応じて局所的消毒を行なう。

10.カテーテル関連感染対策
 1)  血管内留置カテーテル感染対策
 高カロリーの栄養管理が必要な場合には、可能な限り経腸栄養法を用いる。
 高カロリー輸液の調合は無菌的に行ない、混合物を最小限にとどめ、速やかに投与を開始しなければならない52-56)。カテーテル挿入部位は鎖骨下静脈を第一選択とし、挿入の際には滅菌手袋、滅菌ガウン、マスク、キャップと大き目の覆布を使用する57-59)。輸液ラインの接続部などの消毒にはアルコール類を使用する。三方活栓の使用は控える。輸液セットの交換は週に2回程度とするが、カテーテルの交換は定期的に行なう必要はない60-64)

 2)  尿路留置カテーテル感染対策
 尿道カテーテルの留置を回避できないかをまず考慮する。
 カテーテルを挿入する場合は、無菌操作に心がけて無理のない固定をする。カテーテル挿入部の清潔を保つことが重要であり、シャワーや洗浄で清潔にすれば特別な消毒は不要である。閉鎖式導尿システムを選択し、尿が逆流しないように膀胱部より低い位置に固定する65-69)
 膀胱洗浄やカテーテル交換は定期的ではなく閉塞など必要性がある場合のみに行なう70)

11.抗菌薬耐性菌対策
 施設内での各種薬剤耐性菌の検出頻度や薬剤感受性パターン、動向などを把握しなければならない71-76)。薬剤耐性菌の伝播防止には標準予防策の遵守と接触感染予防策が大切である。患者間感染、環境や器具を介した接触感染にも注意が必要である。
 抗菌薬の濫用が薬剤耐性菌の増加に関わる状況から、薬剤感受性試験に基づいて抗菌薬を選択し、多剤併用投与、長期投与を避けることが望ましい。抗菌薬の有効性を得るために、体内動態・薬力学を考慮して抗菌薬の選択と投与を行なう。そのためには、各施設で抗菌薬使用のための基準をつくり、薬剤部は感染対策委員会及びICTと協力してコンサルテーションシステムを構築する必要がある。このように院内感染防止における薬剤部の関わりは重要である71-76)。特に、抗MRSA薬の使用は、院内で届出制にするなど使用制限が必要であり、さらに、これらの薬剤は治療薬物モニタリング(TDM)することが推奨されている77-81)
 MRSA感染者ならびに保菌者への対応は、標準予防策で十分対応可能である。保菌者に比較して感染患者の方が問題になるとは限らない。MRSAなどの耐性菌においては、患者から飛散する菌の量が問題である。感染症を発症している患者が必ずしも多くの菌を排出しているとは限らない。
 これらの薬剤耐性菌は、特に易感染患者に対して感染対策上で問題となるものであり、易感染患者が少ない施設では、鼻腔などへの保菌(定着)を理由に診療または入所を拒否する根拠はない82)

12.NICUでの対応
 カテーテル関連感染が最も頻度が高いため、採血などの日常検査を最小限とし、薬物投与は無菌的操作で行なう必要がある。臍帯動静脈カテーテルは感染または血栓などの徴候が現れたら抜去し再挿入してはならない。また、抗菌軟膏またはクリームは真菌感染を助長するため、臍帯カテーテル刺入部には使用してはならない。同様に気道吸引や創傷処置も無菌操作の原則を遵守して実施する必要がある。処置ごとに手袋を交換して感染防止を図る方法もあり,有用である99)
 患児に接する前後のスタッフのアルコール擦式手指消毒を徹底し、保育器内の清拭とリネン類の乾燥に心がけて清潔環境の維持に努めなければならない。日常的に保育器内を消毒することは推奨されていないが86)、消毒薬を使用した場合にはその残留毒性に注意しなければならない。
 感染性疾患のある者の面会は禁止し、スタッフが呼吸器感染などの感染性疾患に罹患した場合には、その間の従事を避けることが望ましい。

13.その他
 1)  感染性廃棄物処理
 感染性廃棄物処理マニュアル(平成16年3月16日改正)100)に基づき、密閉した容器での収集運搬し、感染性を失わせる処分方法などの基準を遵守しなければならない。
 血液や体液に関わるもの以外に、排出場所として感染症病床、結核病床、手術室、緊急外来室、集中治療室および検査室において、治療・検査等に使用された後に排出されたものも感染性廃棄物として対応することが義務付けられた。また、非感染性廃棄物にも非感染性であることを明記したラベルを付けることが推奨されている。

 2)  行政への連絡等
 感染症法等の法律に規定されている疾患については、所轄の保健所へ届け出ることとされている。これ以外の院内感染のアウトブレイクを察知した場合などには、所轄の保健所へ相談して支援・助言を求めることが望ましい。院内感染地域支援ネットワークが構築されている地域においては、それらを活用して支援・助言を求めることができる。

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